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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086447
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】塗工装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/02 20060101AFI20230615BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
B05C5/02
B05C11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200972
(22)【出願日】2021-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】595038198
【氏名又は名称】株式会社ラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100081282
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 俊輔
(74)【代理人】
【識別番号】100085084
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 高英
(72)【発明者】
【氏名】康井 義成
(72)【発明者】
【氏名】松本 充弘
(72)【発明者】
【氏名】坂田 芙美子
(72)【発明者】
【氏名】茶木原 雄司
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AA12
4F041AB01
4F041BA05
4F041BA10
4F041BA59
4F041CA03
4F041CA13
4F041CA17
4F041CA25
4F041CA28
4F042AA22
4F042AB00
4F042BA12
4F042BA25
4F042BA27
4F042CA01
4F042CB02
4F042CB08
4F042CB11
4F042CB20
4F042CC08
4F042CC15
4F042CC30
4F042DF23
(57)【要約】
【課題】供給された塗工剤が、塗工剤供給用のダイの全長に渡って均一に行き渡り、しかも、バルブを閉じても、塗工剤中のフィラーが沈降する等の不都合が生じない塗工装置を提供すること。
【解決手段】塗工装置1は、ダイ2から供給される塗工剤10を、走行している連続体状の薄い基材100に対して均一な厚さでべた塗りする。この塗工装置1は、ポンプ45と、塗工剤10を収容している塗工剤タンク5と、ポンプ45の駆動によりダイ2に対して、塗工剤タンク5の塗工剤10を供給し、ダイ2を通過した塗工剤10を塗工剤タンク5に戻すことで、塗工剤10を塗工剤タンク5とダイ2との間で循環させる塗工剤の循環系統部40を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイから供給される塗工剤を、走行している連続体状の薄い基材に対して均一な厚さでべた塗りする塗工装置であって、
ポンプと、
前記塗工剤を収容している塗工剤タンクと、
前記ポンプの駆動により前記ダイに対して、前記塗工剤タンクの前記塗工剤を供給し、前記ダイを通過した前記塗工剤を前記塗工剤タンクに戻すことで、前記塗工剤を前記塗工剤タンクと前記ダイとの間で循環させる塗工剤の循環系統部と、を備えることを特徴とする塗工装置。
【請求項2】
前記ポンプの出口側と前記ダイの入り口側とを接続する供給配管と、
前記ダイの出口側と前記塗工剤タンクの入り口側を接続する戻し配管と、
前記戻し配管に配置されて開閉可能な第1バルブと、を有することを特徴とする請求項1に記載の塗工装置。
【請求項3】
前記供給配管の途中に配置されている第2バルブと、前記第2バルブと、前記塗工剤タンクの入り口側とを接続する迂回配管と、を備えることを特徴とする請求項2に記載の塗工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイを用いて、走行している連続体状の薄い基材に対して塗工剤を均一な厚さでべた塗りすることができる塗工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
塗工装置は、ダイを用いて、走行している連続体状の薄い基材に対して塗工剤を均一な厚さでべた塗りすることができる。通常、走行している連続体状の薄い基材は、塗工剤容器内の塗工剤を、塗工剤供給用のダイから連続体状の薄い基材の面に塗工するようになっている。なお、この種の塗工装置は、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-181355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常用いられている塗工剤供給用のダイはノズルとも呼ばれる。このダイは、塗布剤容器に対して、1本のチューブとバルブを介して接続されている。塗布剤容器内の塗工剤は、バルブを開けて圧送することで、1本のチューブを通じてダイの中間部位に送られる。これにより、ダイの中に塗布剤を供給するようになっている。
【0005】
しかし、このような塗工剤の供給方式では、塗工剤がダイの中間部位にだけ供給されるので、供給された塗工剤が、ダイの全長に渡って均一に行き渡りにくくなっている。しかも、バルブを閉じると、塗工剤が配管やダイの中に滞留するので、塗工剤中のフィラーが沈降する等の不都合が生じやすい。
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、供給された塗工剤が、塗工剤供給用のダイの全長に渡って均一に行き渡り、しかも、バルブを閉じても、塗工剤中のフィラーが沈降する等の不都合が生じない塗工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解消するために、第1の態様の塗工装置は、ダイから供給される塗工剤を、走行している連続体状の薄い基材に対して均一な厚さでべた塗りする塗工装置であって、ポンプと、前記塗工剤を収容している塗工剤タンクと、前記ポンプの駆動により前記ダイに対して、前記塗工剤タンクの前記塗工剤を供給し、前記ダイを通過した前記塗工剤を前記塗工剤タンクに戻すことで、前記塗工剤を前記塗工剤タンクと前記ダイとの間で循環させる塗工剤の循環系統部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
第1の態様の塗工装置は、ポンプの駆動によりダイに対して、塗工剤タンクの塗工剤を供給し、ダイを通過した塗工剤を塗工剤タンクに戻すことで、塗工剤を塗工剤タンクとダイとの間で循環させる塗工剤の循環系統部を備える。このため、供給された塗工剤が、塗工剤タンクとダイとの間で循環できるので、塗工剤供給用のダイの全長に渡って均一に行き渡り、しかも、バルブを閉じても、塗工剤が滞留してしまうことが無く、塗工剤タンクに戻すことができるので、塗工剤中のフィラーが沈降する等の不都合が生じない。
【0008】
第2の態様の塗工装置は、前記ポンプの出口側と前記ダイの入り口側とを接続する供給配管と、前記ダイの出口側と前記塗工剤タンクの入り口側を接続する戻し配管と、前記戻し配管に配置されて開閉可能な第1バルブと、を有することを特徴とする。
第2の態様の塗工装置では、ダイに対して、供給配管を通じて塗工剤タンクの塗工剤を供給し、ダイを通過した塗工剤を戻し配管を通じて塗工剤タンクに戻すことができる。このため、塗工剤を塗工剤タンクとダイとの間で循環させることができる。
【0009】
第3の態様の塗工装置は、前記供給配管の途中に配置されている第2バルブと、前記第2バルブと、前記塗工剤タンクの入り口側とを接続する迂回配管と、を備えることを特徴とする。
第3の態様の塗工装置では、供給配管の第2バルブを開けることにより、ダイや供給配管や戻し配管に残っている塗工剤は迂回配管を通じて、塗工剤タンクに戻すことができる。このため、塗工剤が、ダイの内部や供給配管に滞留してしまうことが無いので、塗工剤中のフィラーが沈降する等の不都合が生じない。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、供給された塗工剤が、塗工剤供給用のダイの全長に渡って均一に行き渡り、しかも、バルブを閉じても、塗工剤中のフィラーが沈降する等の不都合が生じない塗工装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の塗工装置の実施形態を示す断面を有する正面図である。
図2図1に示す塗工用供給ダイと、塗工用供給ダイに付随する塗工剤の循環系統部を示す図である。
図3】比較例として通常用いられている塗工装置を示し、(A)は正面図、(B)は(A)の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら詳しく説明する。
<塗工装置の全体構成>
図1は、本発明の塗工装置の実施形態を示す断面を有する正面図である。図1に示す塗工装置1は、ダイ(ノズルともいう)を用いて、走行している連続体状の薄い基材に対して塗工剤を均一な厚さでべた塗りするのに用いられる。塗工装置1は、塗工用供給ダイ2と、基材100を走行させる展張ロール3,4と、塗工剤供給部としての塗工剤タンク5(図2参照)を有する。
【0013】
<ガイドロール3,4>
ガイドロール3,4は、図示しないモータを駆動することにより、同期してR1方向に回転することで、連続体状の薄い基材100をR方向に走行させる。走行される基材100には、塗工用供給ダイ2のノズル口20から供給される塗工剤を、基材100の面101側に均一にべた塗りすることができる。基材100は、図示しない巻き出しロールに巻かれており、ガイドロール3,4により走行された基材100は、最後に図示しない巻き取りロールに巻き取られる。
【0014】
<塗工用供給ダイ2>
図1図2を参照して、塗工用供給ダイ2の構造例を説明する。塗工用供給ダイ2は、図1に示すように、基材100の幅方向に対して平行に設置されている。この塗工用供給ダイ2のノズル口20と基材100の面101との間のギャップGは、塗工用供給ダイ2の全長に渡って、すなわち図1におけるX方向(紙面垂直方向)に沿って均一に保持されている。
【0015】
塗工用供給ダイ2は、正面側ノズル半体21と背面側ノズル半体22とを有する。正面側ノズル半体21の平坦な接合面と背面側ノズル半体22の平坦な接合面が密着された状態で、正面側ノズル半体21と背面側ノズル半体22は、ボルト23により固定されている。背面側ノズル半体22には、X方向に沿って断面半円形状の塗工剤貯留部30が設けられている。塗工剤貯留部30は、背面側ノズル半体22の半円形状の凹部と、正面側ノズル半体21の平坦な接合面とにより形成されている。
【0016】
ノズル口20は、塗工剤貯留部30につながっている。塗工剤供給パイプ31が、この塗工剤貯留部30内において、X方向に沿って配置されている。この塗工剤供給パイプ31は、例えば塗工剤供給パイプ31の軸方向に沿って、複数の塗工剤供給孔32を有している。塗工剤供給パイプ31を通ってきた塗工剤は、塗工剤供給孔32から塗工剤貯留部30内に流出する。この塗工剤貯留部30に流出した塗工剤は、ノズル口20に達するので、ノズル口20から塗工剤を、基材100の面101側にX方向に均一になるように供給できる。ただし、この塗工用供給ダイ2の構造は、特に限定されず、任意に変更できる。
【0017】
<塗工用供給ダイ2と塗工剤の循環系統部40>
図2は、図1に示す塗工用供給ダイ2と、塗工用供給ダイ2に付随する塗工剤の循環系統部40を示している。
図2に示すように、塗工用供給ダイ2は、X方向に長く形成されており、図1に示したノズル口20と塗工剤貯留部30は、塗工用供給ダイ2の全長に渡ってX方向に長く形成されている。塗工剤供給パイプ31は塗工剤貯留部30内を通っていて、一端部37と他端部38は、塗工用供給ダイ2の両端部からそれぞれ突き出ている。塗工剤供給パイプ31の一端部37と他端部38は、第1バルブ41,42にそれぞれ接続されている。
【0018】
塗工剤の循環系統部40は、各種バルブ41,42,51,53と、各種配管61から65を有する。塗工剤の循環系統部40は、塗装工タンク5とポンプ45に対して接続されている。
この塗工剤の循環系統部40の接続構造例を、図2を参照して詳細に説明する。塗工剤タンク5の出口側5Tは、ポンプ45の入り口側45Sに接続され、ポンプ45の出口側45Tは、供給配管63の一端部63Aに接続されている。供給配管63の他端部63Bは、塗工剤供給パイプ31の中間部31Mに接続されている。供給配管63には、第2バルブ51が中間部31Mに近い位置に配置されている。迂回配管64の一端部64Aは、第2バルブ51に接続され、迂回配管64の他端部64Bは、塗工剤タンク5の入り口側5Aに接続されている。
【0019】
戻し配管61の一端部61Aは第1バルブ41に接続され、戻し配管61の他端部61Bは第3バルブ53に接続されている。同様にして、戻し配管62の一端部62Aは第1バルブ42に接続され、戻し配管62の他端部62Bは第3バルブ53に接続されている。第3バルブ53は、戻し配管65を介して、塗工剤タンク5の入り口側5Bに接続されている。塗工剤タンク5内には、塗工剤10が収容されている。ポンプ45と、各バルブ41,42,51,53の動作は、制御部50の指令により制御される。
【0020】
(動作例)
次に、上述した塗工装置1の動作例を説明する。
図1に示すように、塗工装置1において、ガイドロール3,4は、図示しないモータを駆動することにより、同期して回転することで、連続体状の薄い基材100をR方向に走行させる。塗工用供給ダイ2のノズル口20から出る塗工剤10は、走行している基材100の面101に均一な厚さでべた塗りされる。
【0021】
図2において、塗工用供給ダイ2のノズル口20から塗工剤10を基材100に供給しながら均一な厚さでべた塗りをする場合には、制御部50は、第2バルブ51を中間部31M側に対しては開けるが、迂回配管64側に対しては第2バルブ51を閉じる。制御部50はポンプ45を駆動させる。つまり、塗工剤タンク5内の塗工剤10が、矢印Sで示すように、供給配管63を通って塗工剤供給パイプ31の中間部31Mに供給されるが、この塗工剤10は、迂回配管64には入らない。
【0022】
ポンプ45の駆動により、塗工剤タンク5内の塗工剤10が、矢印Sで示すように、供給配管63と、開成されている第2バルブ51を通じて、塗工剤供給パイプ31の中間部31Mから塗工剤供給パイプ31内に供給される。これにより、塗工剤供給パイプ31は、図1に示す塗工用供給ダイ2のノズル口20に塗工剤10を供給できることから、塗工剤10はノズル口20から基材100の面101へ吐出される。従って、図1に示す基材100の一方の面101に対して、塗工剤10を均一な厚さでべた塗りすることができる。
【0023】
塗工用供給ダイ2を通ってべた塗りを行って塗工に供されなかった一部の塗工剤10は、矢印Tで示すように、開成されている第1バルブ41,42を介して、戻り配管61,62を通り、そして開成されている第3バルブ53を経て、戻し配管65から塗工剤タンク5の入り口側5Bに戻される。このように、ポンプ45が駆動することにより、塗工剤10が塗工剤供給パイプ31内に供給されることで、基材100に対する塗工が行われ、他方、塗工に供されなかった一部の塗工剤10は、塗工剤タンク5内におけるフィラーの沈降を防ぐために必要な流動液であり、この塗工剤10を塗工剤タンク5に戻すことで、塗工作業中は、塗工剤10をダイ2と塗工剤タンク5との間で循環させることになる。
【0024】
前述したように、塗工時、塗工剤の一部は、塗工剤タンク5内におけるフィラー沈降を防止するため、塗工剤タンク5に還流される。このためには、第1バルブ41,42の開度を、塗工剤の一部が基材100の面101にべた塗りされ、かつ、塗工剤の他部が塗工剤タンク5内に還流されるような流量となるように制御部50により制御しておく。また、塗工を一時停止する場合には、第1バルブ41,42の開度を、塗工材10が塗工用供給ダイ2から吐出されないが、戻り配管61,62を通り、そして開成されている第3バルブ53を経て、戻し配管65から塗工剤タンク5の入り口側5Bに戻される開度に保持される。
【0025】
ところで、塗工剤による作業が終わった時には、制御部50は、第2バルブ51を中間部31M側に対して開けるとともに、第2バルブ51を迂回配管64側に対しても開ける。そして、制御部50が塗工剤タンク5の出口側5Tを閉じて、ポンプ45を駆動することより、塗工剤供給パイプ31内に残っている塗工剤と、供給配管63内に残っている塗工剤を、迂回配管64を介して、塗工剤タンク5の入り口側5Aに戻すことができる。
【0026】
これにより、塗工剤10が塗工剤供給パイプ31と供給配管63と迂回配管64には残らないように、塗工剤を塗工剤タンク5側に戻すことができる。塗工剤10は、塗工剤タンク5からダイ2へ供給してダイ2から塗工剤タンク5へ回収することができるので、塗工剤供給パイプ31と供給配管63と迂回配管64と戻し配管61,62内には塗工剤が残らないことになり、運転終了時に各バルブを閉めても塗工剤中のフィラーが沈降する等の不都合が生じない。
【0027】
(比較例)
次に、図1図2に示す本発明の実施形態における塗工装置1と、通常用いられている塗工装置と、を比較するために、比較例として通常用いられている塗工装置200を、図3に示す。
【0028】
図3に示す通常用いられている塗工装置200では、塗工剤供給用のダイ210は、塗工剤タンク202に対して、1本のチューブ203とバルブ204を介して接続されている。塗工剤タンク202内の塗工剤は、バルブ204を開けてポンプで圧送することで、1本のチューブ203を通じて塗工剤供給用のダイ210の中間箇所に送られ、ダイ210の中の塗工剤供給パイプ211に供給されるようになっている。しかし、このような通常用いられている塗工剤の供給方式では、供給された塗工剤が、ダイ210の全長に渡って均一に行き渡り難い。しかも、バルブ204を閉じると、チューブや塗工剤供給パイプ211内に塗工剤が残り、この塗工剤中のフィラーが沈降する等の不都合が生じやすい。
【0029】
以上説明したように、本発明の実施形態の塗工装置1は、ダイ2から供給される塗工剤10を、走行している連続体状の薄い基材100に対して均一な厚さでべた塗りする。そして、この塗工装置1は、ポンプ45と、塗工剤10を収容している塗工剤タンク5と、ポンプ45の駆動によりダイ2に対して、塗工剤タンク5の塗工剤10を供給し、ダイ2を通過した塗工剤10を塗工剤タンク5に戻すことで、塗工剤10を塗工剤タンク5とダイ2との間で循環させる塗工剤の循環系統部40とを備えている。
【0030】
これにより、塗工剤の循環系統部40は、ポンプ45の駆動によりダイ2に対して、塗工剤タンク5の塗工剤10を供給し、ダイ2を通過した塗工剤を塗工剤タンク5に戻すので、塗工剤10を塗工剤タンク5とダイ2との間で循環させることができる。このため、供給された塗工剤10が、塗工剤供給用のダイ2の全長に渡って均一に行き渡り、しかも、バルブを閉じても、塗工剤10がダイ2の内部や配管等に滞留してしまうことが無いので、塗工剤中のフィラーが沈降する等の不都合が生じない。
【0031】
塗工装置1では、ポンプ45の出口側とダイ2の入口側とを接続する供給配管63と、ダイ2の出口側と塗工剤タンク5の入り口側を接続する戻し配管64と、戻し配管64に配置されて開閉可能な第3バルブ53とを有する。
これにより、ダイ2に対して、供給配管63を通じて塗工剤タンク45の塗工剤10を供給し、ダイ2を通過した塗工剤10を戻し配管61,62,65を通じて塗工剤タンク45に戻すことができる。このため、塗工剤10を塗工剤タンク5とダイ2との間で循環させることができる。
【0032】
塗工装置1は、供給配管63の途中に配置されている第2バルブ51と、第2バルブ51と塗工剤タンク5の入り口側5Aとを接続する迂回配管64とを備える。これにより、供給配管63の第2バルブ51を開けることにより、ダイ2や供給配管63に残っている塗工剤10は、迂回配管64を通じて、塗工剤タンク5に戻すことができる。このため、バルブを閉じても、塗工剤が配管やダイの中に滞留しないで塗工剤タンクに戻すことができるので、塗工剤中のフィラーが沈降する等の不都合が生じない。
【0033】
本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。例えば、図2に例示する塗工剤の循環系統部40における各配管と各バルブの配置は、これに限定されず、任意に変更することができる。
【0034】
また、上記実施形態においては、塗工剤貯留部30内には、塗工剤供給パイプ31がX方向に沿って配置されているように説明したが、塗工剤貯留部30内に塗工剤供給パイプを配置することなく、塗工剤貯留部30に直接塗工剤を供給するようにし、ここから塗工剤貯留部30につながっているノズル口20へ塗工剤を到達させ、正面側ノズル半体31から塗工剤を基材100の面101側X方向において均一になるように塗布するようにしてもよい。このような構成によれば、塗工剤供給パイプ31を省略することが可能となり、装置の簡略化をはかることができる。
【符号の説明】
【0035】
1 塗工装置
2 塗工用供給ダイ
5 塗工剤タンク
5T 塗工剤タンクの出口側
10 塗工剤
20 ノズル口
30 塗工剤貯留部
40 塗工剤の循環系統部
41,42 第1バルブ
45 配管
50 制御部
51 第2バルブ
53 第3バルブ
61,62 戻し配管
63 供給配管
64 迂回配管
65 戻し配管
図1
図2
図3