(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086453
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】表示制御装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20230615BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200981
(22)【出願日】2021-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138771
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 将明
(72)【発明者】
【氏名】雪下 智且
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】笹川 嘉孝
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 祐太
(72)【発明者】
【氏名】松山 誠
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
(57)【要約】
【課題】車両に搭載される障害物センサの検出範囲に変化が生じた場合に、その検出範囲の変化を運転者に認識させる。
【解決手段】車両に搭載される表示制御装置は、車両の周辺に存在する障害物を検出する障害物センサの現在の検出範囲と過去の検出範囲とを記録する検出範囲分析部と、現在の検出範囲を示す画像及び過去の検出範囲を示す画像を、車両が備える表示装置を用いて車両の周辺の景色に重畳表示させる表示制御部と、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される表示制御装置であって、
前記車両の周辺に存在する障害物を検出する障害物センサの現在の検出範囲と過去の検出範囲とを記録する検出範囲分析部と、
前記現在の検出範囲を示す画像及び前記過去の検出範囲を示す画像を、前記車両が備える表示装置を用いて前記車両の周辺の景色に重畳表示させる表示制御部と、を備える、
表示制御装置。
【請求項2】
前記検出範囲分析部は、前記現在の検出範囲が所定の第1の閾値未満であるか否かを判定し、
前記表示制御部は、前記現在の検出範囲が前記第1の閾値未満である場合、前記現在の検出範囲を示す画像を、前記第1の閾値以上である場合の前記検出範囲の態様とは異なる態様にて表示させる、
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記検出範囲分析部は、前記現在の検出範囲と前記過去の検出範囲との差分を特定し、
前記表示制御部は、前記差分が所定の第2の閾値以上である場合、前記現在の検出範囲を示す画像及び前記過去の検出範囲を示す画像を表示させる、
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記検出範囲分析部は、前記現在の検出範囲が所定の第1の閾値未満であるか否かを判定し、
前記表示制御部は、前記現在の検出範囲が前記第1の閾値未満である場合、前記現在の検出範囲が劣化している旨を示す情報を表示させる、
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項5】
改善手法分析部をさらに備え、
前記検出範囲分析部は、前記現在の検出範囲が所定の第1の閾値未満であるか否かを判定し、
前記改善手法分析部は、前記検出範囲分析部において前記現在の検出範囲が前記第1の閾値未満であると判定された場合、前記車両が搭載する所定のセンサから得られる情報に基づいて、前記現在の検出範囲の劣化が運転者によって改善可能であるか否かを判定し、
前記表示制御部は、前記改善手法分析部において前記現在の検出範囲の劣化が前記運転者によって改善可能であると判定された場合、改善手法を示す情報を表示させる、
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項6】
故障検出部をさらに備え、
前記検出範囲分析部は、前記現在の検出範囲が所定の第1の閾値未満であるか否かを判定し、
前記故障検出部は、前記検出範囲分析部において前記現在の検出範囲が前記第1の閾値未満であると所定回数以上連続して判定された場合、前記障害物センサに故障が発生していると判定し、
前記表示制御部は、前記故障検出部において前記障害物センサに故障が発生していると判定された場合、前記障害物センサに故障が発生している旨を示す情報を表示させる、
請求項1に記載の表示制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両に搭載される障害物センサの検出対象の範囲を運転者に視認させる車両用表示制御装置が開示される。当該車両用表示制御装置は、センサ作動検出部で障害物センサ群が作動していることを検出している場合に、障害物センサ群が検出対象としている範囲におさまり、かつ、車両から路面に沿って周辺へ広がる検出目安領域を車両の運転者の視点で表す画像に変換した検出目安画像を、HUDを用いて、車両のウインドシールドを通して車両の運転者に見える景色に重畳表示させる表示制御部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、車両に搭載される障害物センサの検出範囲に変化が生じた場合に、その検出範囲の変化を運転者に認識させることができない。
【0005】
本開示の目的は、車両に搭載される障害物センサの検出範囲に変化が生じた場合に、その検出範囲の変化を運転者に認識させることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る表示制御装置は、車両に搭載される表示制御装置であって、前記車両の周辺に存在する障害物を検出する障害物センサの現在の検出範囲と過去の検出範囲とを記録する検出範囲分析部と、前記現在の検出範囲を示す画像及び前記過去の検出範囲を示す画像を、前記車両が備える表示装置を用いて前記車両の周辺の景色に重畳表示させる表示制御部と、を備える。
【0007】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、車両に搭載される障害物センサの検出範囲に変化が生じた場合に、その検出範囲の変化を運転者に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態に係る表示制御装置が適用された運転支援システムの構成の一例を示す図
【
図3】本実施の形態に係るHCUの概略的な構成の一例を示すブロック図
【
図5】HCUでの表示制御関連処理の流れの一例を示すフローチャート
【
図6】障害物センサ群の検出範囲に変化が生じた場合の例を示す図
【
図7】第1の方法に係るHCUの構成例を示すブロック図
【
図8】第1の方法に係るHCUが実行する処理の一例を示すフローチャート
【
図9】第2の方法に係るHCUが実行する処理の一例を示すフローチャート
【
図10】第3の方法に係るHCUが実行する処理の一例を示すフローチャート
【
図11】第4の方法に係るHCUの構成例を示すブロック図
【
図12】第4の方法に係るHCUが実行する処理の一例を示すフローチャート
【
図13】第5の方法に係るHCUの構成例を示すブロック図
【
図14】運転者によって改善可能な例を示す図(表)
【
図15】第5の方法に係るHCUが実行する処理の一例を示すフローチャート
【
図16】第6の方法に係るHCUの構成例を示すブロック図
【
図17】第6の方法に係るHCUが実行する処理の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の記載の主題を限定することは意図されていない。
【0011】
(実施形態1)
<運転支援システムの構成>
図1は、本開示に係る車両用表示制御装置が適用された運転支援システム100の構成の一例を示す図である。
【0012】
図1に示すように運転支援システム100は、HCU(Human Machine Interface Control Unit)1、障害物センサ群2、周辺監視ECU(Electronic Control Unit)3、HUD(Head-Up Display)4、車両状態センサ群5、車両制御ECU6、及び操作スイッチ群7を備える。例えば、HCU1と、周辺監視ECU3、車両状態センサ群5及び車両制御ECU6とは、車内LANを介して接続される。運転支援システム100を搭載している車両を、以降では自車と呼ぶ。
【0013】
障害物センサ群2は、自車に搭載され、自車の周囲に存在する障害物を検出するための種々の障害物センサである。障害物センサ群2は、ミリ波レーダ、レーザレーダ、ソナー、カメラ等の障害物センサである。
【0014】
ここで、障害物センサ群2の検出範囲について、
図2を用いて説明する。
図2は、障害物センサ群2の検出範囲の一例を示す図であって、HVが自車を示しており、SEが障害物センサ群2の検出範囲を示している。以降の図についても同様である。障害物センサ群2は、例えば、検出範囲の異なるセンサを複数組み合わせることによって、
図2に示すように、自車の周囲の全方位を検出範囲としている。
【0015】
周辺監視ECU3は、障害物センサ群2の作動を制御する。また、周辺監視ECU3は、障害物センサ群2の信号に基づいて、自車の周囲に存在する障害物の検出や、その障害物の自車に対する相対位置や相対速度を検出する。そして、検出した相対位置や相対速度をHCU1に逐次出力する。
【0016】
例えば、障害物センサ群2がミリ波レーダ、レーザレーダ又はソナーである場合には、探査波に対して反射波を受信したことから障害物を検出する。また、反射波の得られた探査波を送信した方向から自車に対する障害物の方位を検出し、探査波を送信してから反射波を受信するまでの時間から自車から障害物までの距離を検出する。障害物センサ群2がレーダの場合には、位相モノパルス方式のレーダを用いることで自車に対する相対位置を検出する構成としてもよい。相対速度については、探査波と反射波とのドップラーシフトをもとに、公知の方法によって検出する構成とすればよい。
【0017】
障害物センサ群2がカメラである場合には、公知の画像認識技術によって障害物を検出する。また、自車に対するカメラの設置位置及び光軸の向きが決まれば、撮像画像中での位置から、自車に対する方位や距離(つまり、相対位置)を検出することができるので、自車に対するカメラの設置位置及び光軸の向きと、撮像画像中の障害物の位置とから、自車に対する障害物の相対位置を検出する。障害物センサ群2がステレオカメラの場合には、一対のカメラの視差量をもとに、自車に対する障害物の距離を検出する構成とすればよい。相対速度については、逐次撮像される撮像画像中における障害物の大きさの変化をもとに相対速度を検出する構成とすればよい。
【0018】
HUD4は、TFT液晶パネルに形成された表示画像を自車のウインドシールドに投影することにより、表示画像の虚像を自車の室内から視認可能に表示させるヘッドアップディスプレイ装置である。HUD4によって表示されるこの虚像は、車両前方の風景と重なって運転者に視認される。つまり、HUD4は、自車のウインドシールドを通して自車の運転者に見える景色に画像を重畳表示させる。以降では、HUD4によってウインドシールドに投影される表示画像を、HUD画像と呼ぶ。なお、HUD4は、表示素子としてTFT液晶パネルを用いる構成に限らず、レーザー素子を用いる構成としてもよい。
【0019】
HUD画像が投影されるウインドシールド上の投影面は、運転者の視線移動量を少なくして焦点調整負荷を軽減するために、運転者が運転操作する際に確保されるべき運転視界領域よりも下方に位置するようになっている。
【0020】
車両状態センサ群5は、自車の状態を検出する種々のセンサであって、例えば、車速センサ、加速度センサ、ヨーレートセンサ、衛星測位システムで用いる受信機、舵角センサなどが含まれる。車速センサは自車の速度を検出し、加速度センサは自車に作用する加速度を検出し、ヨーレートセンサは、自車の鉛直軸まわりの角速度(つまり、ヨーレート)を検出する。衛星測位システムで用いる受信機は、測位衛星からの電波を受信することで、現在位置を示すデータを取得する。舵角センサは、自車の操舵角を検出する。
【0021】
車両制御ECU6は、周辺監視ECU3や車両状態センサ群5から入力される情報に基づき、図示しないEPS_ECUに自動で操舵制御を行わせたり、図示しないエンジンECUやブレーキECUに自動で加減速制御を行わせたりする。EPS_ECUは、EPSアクチュエータを動作させることで操舵角の制御を行う。エンジンECUは、スロットルアクチュエータを動作させることで加速の制御を行う。ブレーキECUは、ブレーキアクチュエータを動作させることで減速の制御を行う。
【0022】
自動で加減速制御を行う例としては、周辺監視ECU3で検出した障害物のうちの自車の先行車との車間距離が目標車間距離となるように自動で加減速制御を行う周知の追従走行制御が挙げられる。自動で操舵制御を行う例としては、走行車線を維持するように自動で操舵制御を行う車線保持制御が挙げられる。車線保持制御を行う場合には、障害物センサ群2に、自車前方の路面を撮像するためのカメラを含ませる構成とする。追従走行制御や車線保持制御を実施して自車が走行していることを以降では自動運転と呼ぶ。なお、自動運転は半自動運転と言い換えることもできる。
【0023】
操作スイッチ群7は、例えばステアリング周辺に設けられるメカニカルなスイッチ等である。操作スイッチ群7は、自動運転の開始/終了を切り替えたり、各種設定を行ったりするために運転者によって操作される。
【0024】
HCU1は、主にマイクロコンピュータとして構成され、いずれも周知のCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read-Only Memory)やRAM(Random Access Memory)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等のメモリ、I/O(Input/Output)、及びこれらを接続するバスによって構成される。HCU1は、周辺監視ECU3、車両状態センサ群5、車両制御ECU6、操作スイッチ群7から入力された各種情報に基づき、HUD4を用いて投影させる表示画像を生成してHUD4に投影させる表示制御関連処理等の各種処理を実行する。このHCU1は、表示制御装置と読み替えられてもよい。
【0025】
なお、HCU1が実行する機能の一部又は全部を、一つあるいは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。
【0026】
<HCU1の構成>
図3は、本実施の形態におけるHCU1の概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、HCU1は、センサ作動検出部11、自動運転判定部12、車速特定部13、相対位置特定部14、相対速度特定部15、把握領域選択部16、変換前設定部17、投影変換部18、及び表示制御部19を備えている。
【0027】
センサ作動検出部11は、周辺監視ECU3が障害物センサ群2を作動させている場合に、この周辺監視ECU3の信号から、障害物センサ群2が作動していることを検出する。
【0028】
自動運転判定部12は、車両制御ECU6が追従走行制御や車線保持制御を行わせている場合に、この車両制御ECU6の信号から、自車が自動運転中と判定する。一方、車両制御ECU6が追従走行制御及び車線保持制御のいずれも行わせていない場合には、自車が非自動運転中と判定する。
【0029】
自動運転判定部12は、操作スイッチ群7に含まれる自動運転の開始/終了を切り替えるスイッチのオン/オフによって、自車が自動運転中か非自動運転中かを判定する構成としてもよい。
【0030】
車速特定部13は、車両状態センサ群5に含まれる車速センサの信号から、自車の速度を特定する。相対位置特定部14は、周辺監視ECU3で検出した自車に対する障害物の相対位置を、自車に対する障害物の相対位置と特定する。相対速度特定部15は、周辺監視ECU3で検出した自車に対する障害物の相対速度を、自車に対する障害物の相対位置と特定する。
【0031】
把握領域選択部16は、操作スイッチ群7への運転者の入力操作に基づいて、パーソナルセーフティスペース(以下、検出目安領域)の範囲を選択する。検出目安領域とは、障害物センサ群2が検出範囲としていることを運転者が把握しておきたい領域である。
【0032】
まず、検出目安領域について、
図4を用いて説明を行う。
図4は、検出目安領域について説明するための模式図である。検出目安領域(
図4のPSS参照)は、障害物センサ群2の検出範囲(
図4のSE)そのものではなく、障害物センサ群2の検出範囲よりも狭い領域である。検出目安領域は、障害物センサ群2の検出範囲そのものを示すためのものでなく、少なくともどの程度の範囲までが障害物センサ群2の検出対象となっているのかを運転者が把握するための領域である。よって、検出目安領域は、障害物センサ群2の検出範囲におさまってさえいれば、運転者が自由に範囲を選択してもよい。
【0033】
また、検出目安領域は、自車から周辺に広がる平面領域である。本実施の形態では、一例として、自車が水平面上に位置するとした場合の自車から水平方向に広がる平面領域とする。この平面領域の形状は、自車の車幅方向よりも自車の前後方向に長く、車線に沿って伸びるような形状とする。
【0034】
検出目安領域は、例えば自車から見て前後方向をY軸、左右方向をX軸、高さ方向をZ軸とするワールド座標系上における、高さの値が固定された平面として表現される構成とする。検出目安領域のZ軸の値は、路面の高さを0とした場合に、この路面から離れすぎない程度の値に設定されているものとする。一例として、検出目安領域のZ軸の値は、1m以下程度とすればよい。
【0035】
変換前設定部17、投影変換部18、及び表示制御部19については、以下の表示制御関連処理の説明において詳述する。
【0036】
<表示制御関連処理>
ここで、HCU1での表示制御関連処理について
図5のフローチャートを用いて説明を行う。
図5のフローチャートは、センサ作動検出部11で障害物センサ群2が作動していることを検出した場合に開始する。ここでは、便宜上、検出目安領域の選択は既に完了しているものとして説明を行う。
【0037】
まず、ステップS1では、変換前設定部17が、把握領域選択部16で選択されたデフォルトの検出目安領域の範囲をもとに、車速特定部13で特定した自車の速度に応じて検出目安領域の範囲を決定する。
【0038】
具体的には、自車の速度が基準となる値よりも大きくなるのに応じて、障害物センサ群2の検出範囲を越えない範囲で、デフォルトの検出目安領域を広げる。一方、自車の速度が基準となる値よりも小さくなるのに応じて、デフォルトの検出目安領域を狭める。よって、自車が速度を上げるほど検出目安領域は広がる一方、渋滞などで自車の速度が下がるほど検出目安領域は狭まることになる。
【0039】
なお、ステップS1では、自車の速度が上限下限の閾値を超えるまでは検出目安領域をデフォルトから変更せず、この閾値を超えた場合に自車の速度に応じて検出目安領域を広げたり狭めたりする構成としてもよい。
【0040】
ステップS2では、自車が自動運転中と自動運転判定部12で判定した場合(S2:YES)には、ステップS3に移る。一方、自車が非自動運転中と自動運転判定部12で判定した場合(S2:NO)には、ステップS10に移る。
【0041】
ステップS3では、変換前設定部17が、ステップS1で決定した検出目安領域を青色で表示させるための設定を行う。具体例として、検出目安領域の各座標に対して、検出目安領域の中心から縁になるほど色が薄くなる青色となるようにRGB値を設定する。つまり、縁がぼけて表示されるように設定する。
【0042】
ステップS4では、相対位置特定部14で特定した自車に対する障害物の相対位置が、ステップS1で決定した検出目安領域の範囲内であった場合(S4:YES)には、ステップS5に移る。一方、検出目安領域の範囲内でなかった場合(S4:NO)には、ステップS8に移る。
【0043】
ステップS5では、変換前設定部17が、自車に対する障害物の相対位置に応じて、検出目安領域の表示態様を変更させるための設定を行う。まず、検出目安領域のうちの障害物の相対位置に応じた方向にある境界領域に、障害物の存在を知らせるための障害物通知領域を設定する。
【0044】
ステップS6では、ステップS5で変換前設定部17が設定した、障害物通知領域を含む検出目安領域のうち、自車よりも前方の領域を切り出し、切り出した検出目安領域を、投影変換部18が周知の投影変換によって、自車の運転者から見た画像(以下、検出目安画像)に変換する。切り出す検出目安領域は、HUD画像が投影されるウインドシールド上の投影面に対応する範囲と言い換えることもできる。なお、投影変換する場合に用いる運転者の視点の位置は、予め記憶されている固定位置であってもよいし、乗員カメラなどによって検知された位置であってもよい。
【0045】
ステップS7では、表示制御部19が、ステップS6で投影変換部18が投影変換した検出目安画像に透明感を与える処理を行ってHUD4に送信し、この検出目安画像を表示させるようにHUD4に指示を行う。投影変換部18及び表示制御部19は、表示制御部と読み替えられてもよい。ステップS6で得られた検出目安画像は、HUD4によって自車のウインドシールドに投影されることで、車両の運転者に見える景色に半透明で重畳表示される。透明感を与える処理としては、周知のアルファブレンディングなどを用いればよい。
【0046】
図5に戻って、相対位置特定部14で特定した自車に対する障害物の相対位置が、ステップS1で決定した検出目安領域の範囲内でなかった場合のステップS8では、ステップS3で変換前設定部17が設定した検出目安領域を、投影変換部18がステップS6と同様にして投影用画像に投影変換する。
【0047】
ステップS9では、表示制御部19が、ステップS8で投影変換部18が投影変換した投影用画像をHUD4に送信し、この投影用画像を表示させるようにHUD4に指示を行う。ステップS8で投影変換する検出目安領域には、前述した障害物通知領域や円弧状の波紋が設定されていないので、HUD4でウインドシールドに投影される検出目安画像は、前述した障害物通知領域や円弧状の波紋のない検出目安画像となる。
【0048】
図5に戻って、自車が非自動運転中と判定した場合のステップS10では、相対位置特定部14で特定した自車に対する障害物の相対位置が、ステップS1で決定した検出目安領域の範囲内であった場合(S10:YES)には、ステップS11に移る。一方、検出目安領域の範囲内でなかった場合(S10:NO)には、ステップS14に移る。
【0049】
ステップS11では、変換前設定部17が、自車に対する障害物の相対位置に応じて、ステップS5と同様にして、障害物の存在を知らせるための障害物通知領域の設定を行う。ステップS11でも、障害物通知領域については、黄色で表示させるための設定を行う。
【0050】
ステップS12では、ステップS11で変換前設定部17が設定した障害物通知領域を、投影変換部18が周知の投影変換によって、自車の運転者から見た画像に変換する。以降では、この障害物通知領域を投影変換した画像を障害物通知画像と呼ぶ。ステップS12では、障害物通知領域とともに検出目安領域も投影変換する構成としてもよいが、従前のステップで検出目安領域に色を付けて表示させる設定を行っていないので、障害物通知領域にあたる領域以外の検出目安領域については、色のついた画像とならない。つまり、障害物通知領域にあたる領域以外の検出目安領域については、表示されない画像となる。
【0051】
ステップS13では、表示制御部19が、ステップS12で投影変換部18が投影変換した障害物通知画像をHUD4に送信し、この障害物通知画像を表示させるようにHUD4に指示を行う。障害物通知画像のうちの円弧状の波紋については、ステップS7で説明したのと同様にして表示させるように指示を行う。
【0052】
ステップS14では、表示制御部19が、自車の速度を示す画像をHUD4に送信し、自車の速度をウインドシールドに投影させる。つまり、非自動運転中で障害物なしの場合には、検出目安画像も障害物通知画像もウインドシールドに投影されないことになる。ステップS14の後は、ステップS15に移る。
【0053】
ステップS15では、表示制御関連処理の終了タイミングであった場合(S15:YES)には、表示制御関連処理を終了する。一方、表示制御関連処理の終了タイミングでなかった場合(S15:NO)には、ステップS1に戻って処理を繰り返す。表示制御関連処理の終了タイミングの一例としては、センサ作動検出部11で障害物センサ群2が作動していることを検出しなくなったときなどがある。
【0054】
図6は、障害物センサ群2の検出範囲に変化が生じた場合の例を示す図である。
図6に示すように、障害物センサ群2の現在の検出範囲SE2が、障害物センサ群2の汚れや故障といった様々な原因により、過去の検出範囲SE1に対して変化(劣化)する場合がある。このような障害物センサ群2の検出範囲の変化を適切に運転者に認識させることで、運転者はより安全に運転を行うことができる。以下では、障害物センサ群2の検出範囲に変化が生じた場合に、その検出範囲の変化を適切に運転者に認識させるいくつかの方法について説明する。
【0055】
<第1の方法>
図7は、第1の方法に係るHCU1の構成例を示すブロック図である。
【0056】
第1の方法に係るHCU1は、
図7に示すように、
図3に示すHCU1と比較して、検出範囲分析部31をさらに備える。検出範囲分析部31は、自車の周辺に存在する障害物を検出する障害物センサ群2の現在の検出範囲SE2と過去の検出範囲SE1とを記録する機能を有する。
【0057】
図8は、第1の方法に係るHCU1が実行する処理の一例を示すフローチャートである。次に、
図8を参照して、第1の方法に係るHCU1が実行する処理について説明する。
【0058】
検出範囲分析部31は、現在の検出範囲SE2をメモリに一時的に記録する(S101)。なお、メモリは、揮発性メモリ又は不揮発性メモリのいずれであってもよい。
【0059】
検出範囲分析部31は、現在の車両の状態が記録条件に合致するか否かを判定する(S102)。例えば、記録条件がエンジンOFFである場合、検出範囲分析部31は、車両のエンジンがONのとき、記録条件に合致しないと判定し、車両のエンジンがOFFになったとき、記録条件に合致すると判定する。
【0060】
検出範囲分析部31は、現在の車両の状態が記録条件に合致すると判定した場合(S102:YES)、ステップS101にてメモリに一時的に記録された検出範囲を、ストレージに記録する(S103)。ストレージは不揮発性記憶媒体の一例であり、車両のエンジンがOFFになり、電力が供給されない状態でもデータを記憶できる。そして、検出範囲分析部31は、処理をステップS104に進める。
【0061】
検出範囲分析部31は、現在の車両の状態が記録条件に合致しないと判定した場合(S102:NO)、処理をステップS104に進める。
【0062】
検出範囲分析部31は、ストレージに検出範囲が記録済みであるか否かを判定する(S104)。
【0063】
検出範囲分析部31は、ストレージに検出範囲が記録済みでない場合(S104:NO)、処理をステップS101に戻す。
【0064】
検出範囲分析部31は、ストレージに検出範囲が記録済みである場合(S104:YES)、ストレージに記録済みの検出範囲(つまり過去の検出範囲SE1)と、ステップS101における現在の検出範囲SE2との両方を投影変換部に出力し(S105)、処理をステップS101に戻す。
【0065】
投影変換部18は、過去の検出範囲SE1と現在の検出範囲SE2との両方が入力された場合、過去の検出範囲SE1と現在の検出範囲SE2との両方を投影用の画像に変換する。そして、表示制御部19は、投影用に変換された現在の検出範囲を示す画像及び過去の検出範囲を示す画像を、HUD4を用いて、自車の周辺の景色に重畳表示させる。
【0066】
これにより、運転者は、HUD4を通じて現在の検出範囲SE2を示す画像及び過去の検出範囲SE1を示す画像の両方を視認できるので、障害物センサ群2の検出範囲に変化が生じた場合に、その検出範囲の変化を認識できる。
【0067】
<第2の方法>
第2の方法に係るHCU1は、
図7に示すように、
図3に示すHCU1と比較して、検出範囲分析部31をさらに備える。検出範囲分析部31は、第1の方法にて説明した機能に加えて、現在の検出範囲が所定の第1の閾値未満であるか否かを判定する機能を有してよい。
【0068】
図9は、第2の方法に係るHCU1が実行する処理の一例を示すフローチャートである。次に、
図9を参照して、第2の方法に係るHCU1が実行する処理について説明する。
【0069】
検出範囲分析部31は、現在の検出範囲を所定の第1の閾値と比較する(S201)。第1の閾値は、自車の位置から劣化していない検出範囲の境界までの距離よりも短い所定の距離であってよい。あるいは、第1の閾値は、劣化していない検出範囲の面積よりも小さい所定の面積であってよい。
【0070】
検出範囲分析部31は、現在の検出範囲が第1の閾値未満であるか否かを判定する(S202)。
【0071】
現在の検出範囲が第1の閾値以上である場合(S202:NO)、検出範囲分析部31は、処理をステップS201に戻す。
【0072】
現在の検出範囲が第1の閾値未満である場合(S202:YES)、検出範囲分析部31は、現在の検出範囲SE2の表示色を、劣化を示す色に設定する(S203)。劣化を示す色は、劣化していないときの検出範囲の表示色と異なる色であれば、どのような色であってもよい。なお、検出範囲の表示色に代えて、劣化を示す模様が設定されてもよい。劣化を示す模様は、劣化していないときの検出範囲の表示模様と異なる模様であれば、どのような模様であってもよい。
【0073】
検出範囲分析部31は、現在の検出範囲SE2と劣化を示す色(又は模様)の設定とを、投影変換部18に出力し(S204)、処理をステップS201に戻す。
【0074】
投影変換部18は、現在の検出範囲SE2と劣化を示す色の設定とが入力された場合、現在の検出範囲SE2を劣化を示す色にて投影用の画像に変換する。そして、表示制御部19は、投影用に変換された現在の検出範囲SE2を示す画像及び過去の検出範囲SE1を示す画像を、HUD4を用いて、自車の周辺の景色に重畳表示させる。
【0075】
これにより、現在の検出範囲SE2が劣化している場合、現在の検出範囲SE2を示す画像が劣化を示す色にて表示されるので、運転者は、現在の検出範囲SE2が劣化していることを直ちに認識できる。
【0076】
<第3の方法>
第3の方法に係るHCU1は、
図7に示すように、
図3に示すHCU1と比較して、検出範囲分析部31をさらに備える。検出範囲分析部31は、第1の方法及び第2の方法の少なくとも1つにて説明した機能に加えて、現在の検出範囲SE2と過去の検出範囲SE1との差分を特定(又は算出)する機能を有してよい。当該差分は、現在の検出範囲SE2の境界までの距離と、過去の検出範囲SE1の境界までの距離との差分であってよい。あるいは、当該差分は、現在の検出範囲SE2の面積と、過去の検出範囲SE1の面積との差分であってよい。
【0077】
図10は、第3の方法に係るHCU1が実行する処理の一例を示すフローチャートである。次に、
図10を参照して、第3の方法に係るHCU1が実行する処理について説明する。
【0078】
検出範囲分析部31は、
図8に示すS101~S104と同様の処理を行う。
【0079】
そして、検出範囲分析部31は、ストレージに検出範囲が記録済みである場合(S104:YES)、処理を次のS301に進める。
【0080】
検出範囲分析部31は、現在の検出範囲SE2と過去の検出範囲SE1との差分を特定する(S301)。
【0081】
検出範囲分析部31は、現在の検出範囲SE2と過去の検出範囲SE1との差分が、所定の第2の閾値以上であるか否かを判定する(S302)。
【0082】
現在の検出範囲SE2と過去の検出範囲SE1との差分が、第2の閾値未満である場合(S302:NO)、検出範囲分析部31は、処理をS101に戻す。
【0083】
現在の検出範囲SE2と過去の検出範囲SE1との差分が、第2の閾値以上である場合(S302:YES)、ストレージに記録済みの過去の検出範囲SE1と、ステップS101における現在の検出範囲SE2の両方とを投影変換部18に出力し(S303)、処理をステップS101に戻す。
【0084】
投影変換部18は、過去の検出範囲SE1と現在の検出範囲SE2との両方が入力された場合、過去の検出範囲SE1と現在の検出範囲SE2との両方を投影用の画像に変換する。そして、表示制御部19は、投影用に変換された現在の検出範囲SE2を示す画像及び過去の検出範囲SE1を示す画像を、HUD4を用いて、自車の周辺の景色に重畳表示させる。
【0085】
これにより、現在の検出範囲SE2と過去の検出範囲SE1との差分が第2の閾値以上の場合、現在の検出範囲SE2を示す画像及び過去の検出範囲SE1を示す画像がHUD4に表示され、現在の検出範囲SE2と過去の検出範囲SE1との差分が第2の閾値未満の場合、現在の検出範囲SE2を示す画像及び過去の検出範囲SE1を示す画像はHUD4に表示されない。よって、運転者は、現在の検出範囲SE2を示す画像及び過去の検出範囲SE1を示す画像がHUD4に表示された場合、障害物センサ群2の検出範囲に変化が生じたことを認識できると共に、現在の検出範囲SE2が過去の検出範囲SE1と比較してどのくらい変化しているかも認識できる。
【0086】
<第4の方法>
図11は、第4の方法に係るHCU1の構成例を示すブロック図である。
【0087】
第4の方法に係るHCU1は、
図11に示すように、
図3に示すHCU1と比較して、検出範囲分析部31及び検出結果通知部32をさらに備える。
【0088】
検出範囲分析部31は、第1~第3の方法の少なくとも1つにて説明した機能を有する。
【0089】
検出結果通知部32は、検出範囲分析部31にて現在の検出範囲SE2が所定の第1の閾値未満であると判定された場合、現在の検出範囲SE2が劣化している旨を示す情報(以下、劣化通知情報と称する)を生成し、劣化通知情報を表示制御部19に出力する。表示制御部19は、劣化通知情報が入力された場合、当該劣化通知情報をHUD4に表示させる。劣化通知情報は、例えば、「検出範囲が狭くなりました」といったメッセージ、又は、検出範囲が狭くなったことを示す所定のアイコン等であってよい。
【0090】
図12は、第4の方法に係るHCU1が実行する処理の一例を示すフローチャートである。次に、
図12を参照して、第4の方法に係るHCU1が実行する処理について説明する。
【0091】
検出範囲分析部31は、現在の検出範囲SE2の劣化を分析する(S401)。例えば、検出範囲分析部31は、第2の方法のように、現在の検出範囲SE2が第1の閾値未満であるか否かを判定し、現在の検出範囲SE2が第1の閾値未満である場合、現在の検出範囲SE2に劣化が発生していると分析する。あるいは、検出範囲分析部31は、第3の方法のように、現在の検出範囲SE2と過去の検出範囲SE1との差分が第2の閾値以上であるか否かを判定し、当該差分が第2の閾値以上である場合、現在の検出範囲SE2に劣化が発生していると分析する。
【0092】
検出結果通知部32は、ステップS401による分析結果が、通知条件に合致するか否かを判定する(S402)。例えば、通知条件が現在の検出範囲SE2に劣化の発生であるとした場合、ステップS401にて現在の検出範囲SE2に劣化が発生していると分析されたならば、検出結果通知部32は、通知条件に合致すると判定する。
【0093】
通知条件に合致しない場合(S402:NO)、検出結果通知部32は、処理をS401に戻す。
【0094】
通知条件に合致する場合(S402:YES)、検出結果通知部32は、劣化通知情報を生成する(S403)。
【0095】
検出結果通知部32は、生成した劣化通知情報を、表示制御部19に出力し(S404)、処理をS401に戻す。
【0096】
表示制御部19は、劣化通知情報が入力された場合、その劣化通知情報が示すメッセージ又はアイコン等をHUD4に表示させる。
【0097】
これにより、運転者は、劣化通知情報が示すメッセージ又はアイコン等がHUD4に表示された場合、現在の検出範囲SE2に劣化が生じていることを認識できる。
【0098】
<第5の方法>
図13は、第5の方法に係るHCU1の構成例を示すブロック図である。
図14は、運転者によって改善可能な例を示す図(表)である。
【0099】
第5の方法に係るHCU1は、
図13に示すように、
図3に示すHCU1と比較して、検出範囲分析部31、改善手法分析部33、及び、検出結果通知部32をさらに備える。
【0100】
検出範囲分析部31は、第1~第4の方法の少なくとも1つにて説明した機能を有する。
【0101】
改善手法分析部33は、検出範囲の劣化の改善手法を分析する。検出範囲の劣化には、運転者によって改善できない劣化と、運転者によって改善可能な劣化とが存在する。運転者によって改善できない劣化の例として、障害物センサ群2の故障が挙げられる。運転者によって改善可能な劣化の例として、
図14に示すものが挙げられる。例えば、
図14に示すように、例えば、障害物センサ群2のレンズ汚れによって検出範囲の劣化が生じている場合、運転者がレンズ部分を清掃することで、簡単に検出範囲の劣化を改善できる。例えば、自車の周囲環境がトンネル内であって、自車のヘッドライトが消灯していることによって検出範囲の劣化が生じている場合、運転者がヘッドライトを点灯させることで、簡単に検出範囲の劣化を改善できる。
【0102】
検出結果通知部32は、第4の方法にて説明した機能を有する。また、検出結果通知部32は、改善手法分析部33による改善手法を示す情報(以下、改善通知情報と称する)を生成し、改善通知情報を表示制御部19に出力する。表示制御部19は、改善通知情報が入力された場合、当該劣化通知情報をHUD4に表示させる。
【0103】
図15は、第5の方法に係るHCU1が実行する処理の一例を示すフローチャートである。次に、
図15を参照して、第5の方法に係るHCU1が実行する処理について説明する。
【0104】
検出範囲分析部31は、現在の検出範囲SE2の劣化を分析し、その分析結果をメモリに一時的に記録する(S501)。
【0105】
改善手法分析部33は、ステップS501による分析結果が、現在の検出範囲SE2に劣化が発生していることを示しているか否かを判定する(S502)。
【0106】
分析結果が現在の検出範囲SE2に劣化が発生していることを示していない場合(S502:NO)、改善手法分析部33は、処理をS501に戻す。
【0107】
分析結果が現在の検出範囲SE2に劣化が発生していることを示している場合(S502:YES)、改善手法分析部33は、障害物センサ群2が劣化しやすい環境であるか否かを判定する(S503)。例えば、
図14の表において周囲環境として示している、トンネル内、野外かつ夜間、降雨時、低温時などは、障害物センサ群2が劣化しやすい環境である。なお、これらの周囲環境を示す情報は、車両位置情報センサ群41又は車両周辺状況センサ群42を通じて取得されてよい。車両位置情報センサ群41は、自車の位置を測定するセンサ群(例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)信号の受信機)である。車両周辺状況センサ群42は、自車の周辺の状況を測定するセンサ群(例えば明るさセンサ、温度センサ、降雨センサ等)ある。
【0108】
障害物センサ群2が劣化し易い環境でない場合(S503:NO)、改善手法分析部33は、処理をS501に戻す。
【0109】
障害物センサ群2が劣化しやすい環境である場合(S503:YES)、改善手法分析部33は、運転者によって現在の検出範囲SE2の劣化を容易に改善可能であるか否かを判定する(S504)。例えば、改善手法分析部33は、周囲環境を示す情報と、車両状態を示す情報(車両情報)とを取得し、
図14の表において、取得した周囲環境と車両情報とによって特定される欄に改善手法が記載されている場合、運転者によって現在の検出範囲の劣化を容易に改善可能であると判定する。
【0110】
運転者によって現在の検出範囲SE2の劣化を容易に改善可能でない場合(S504:NO)、改善手法分析部33は、処理をS501に戻す。
【0111】
運転者によって現在の検出範囲SE2の劣化を容易に改善可能である場合(S504:YES)、改善手法分析部33は、その改善手法を検出結果通知部32に出力し(S505)、処理をS501に戻す。例えば、
図14の表において、周囲環境「降雨時」と、車両情報「フロントワイパー停止」とによって特定される欄には、改善手法として「ワイパーを作動」が記載されているので、改善手法分析部33は、「ワイパーを作動」を改善手法として検出結果通知部32に出力する。
【0112】
検出結果通知部32は、改善手法分析部33から入力された改善手法に基づいて、改善通知情報を生成し、表示制御部19に出力してよい。表示制御部19は、改善通知情報が入力された場合、その改善通知情報が示す内容をHUD4に表示させる。例えば、表示制御部19は、「ワイパーを作動させてください」といったメッセージを表示させる。
【0113】
これにより、運転者は、改善通知情報の内容がHUD4に表示された場合、その改善通知情報が示す内容に従って対応することにより、現在の検出範囲SE2の劣化を容易に改善できる。
【0114】
<第6の方法>
図16は、第6の方法に係るHCU1の構成例を示すブロック図である。
【0115】
第6の方法に係るHCU1は、
図16に示すように、
図3に示すHCU1と比較して、検出範囲分析部31、検出結果通知部32、及び、故障検出部34をさらに備える。
【0116】
検出範囲分析部31は、第1~第5の方法の少なくとも1つにて説明した機能を有する。検出結果通知部32は、第5の方法にて説明した機能を有する。
【0117】
故障検出部34は、検出範囲分析部31において現在の検出範囲SE2に劣化が発生していると所定回数以上連続して判定された場合、障害物センサ群2に故障が発生していると判定する。
【0118】
図17は、第6の方法に係るHCU1が実行する処理の一例を示すフローチャートである。次に、
図17を参照して、第6の方法に係るHCU1が実行する処理について説明する。
【0119】
検出範囲分析部31は、現在の検出範囲SE2の劣化を分析し、その分析結果をメモリに一時的に記録する(S601)。
【0120】
故障検出部34は、ステップS601による分析結果が、現在の検出範囲SE2に劣化が発生していることを示しているか否かを判定する(S602)。
【0121】
分析結果が、現在の検出範囲SE2に劣化が発生していることを示していない場合(S602:NO)、故障検出部34は、劣化カウンタをリセットする(S603)。例えば、故障検出部34は、劣化カウンタを0にする。そして、処理はステップS601に戻る。
【0122】
分析結果が、現在の検出範囲SE2に劣化が発生していることを示している場合(S602:YES)、故障検出部34は、劣化カウンタをインクリメントする(S604)。例えば、故障検出部34は、劣化カウンタに1を加算する。
【0123】
故障検出部34は、劣化カウンタが所定の第3の閾値以上であるか否かを判定する(S605)。
【0124】
劣化カウンタが第3の閾値未満である場合(S605:NO)、処理はS601に戻る。
【0125】
劣化カウンタが第3の閾値以上である場合(S605:YES)、故障検出部34は、障害物センサ群2の故障を検出した旨を示す情報を、検出結果通知部32に出力し(S606)、処理をS601に戻す。
【0126】
検出結果通知部32は、故障検出部34部から入力された故障を検出した旨を示す情報に基づいて、故障通知情報を生成し、表示制御部19に出力してよい。表示制御部19は、故障通知情報が入力された場合、その故障通知情報が示す内容をHUD4に表示させる。例えば、表示制御部19は、「障害物センサが故障しています」といったメッセージをHUD4に表示させる。
【0127】
これにより、運転者は、故障通知情報の内容がHUD4に表示された場合、現在の検出範囲SE2の劣化は障害物センサ群2の故障によるものであると認識できる。
【0128】
<変形例>
上述した方法によって、現在の検出範囲SE2に劣化が生じていることを認識した場合、運転者は、自動運転を手動運転に切り替えてもよい。また、HCU1は、現在の検出範囲SE2に劣化が生じていることを検出した場合、自動運転から手動運転への切り替えを促す情報を、HUD4に表示してもよい。
【0129】
(本開示のまとめ)
本開示の内容は以下の付記のように表現できる。
【0130】
<付記1>
本開示に係る車両制御装置(例えばHCU1)は、車両(HV)に搭載され、車両の周辺に存在する障害物を検出する障害物センサ(2)の現在の検出範囲(SE2)と過去の検出範囲(SE1)とを記録する検出範囲分析部(31)と、現在の検出範囲を示す画像及び過去の検出範囲を示す画像を、車両が備える表示装置(例えばHUD4)を用いて車両の周辺の景色に重畳表示させる表示制御部(19)と、を備える。
これにより、現在の検出範囲と過去の検出範囲とが表示装置に表示されるので、運転者は、障害物センサの検出範囲の変化を容易に認識できる。
【0131】
<付記2>
付記1に記載の表示制御装置において、検出範囲分析部は、現在の検出範囲が所定の第1の閾値未満であるか否かを判定し、表示制御部は、現在の検出範囲が第1の閾値未満である場合、現在の検出範囲を示す画像を、第1の閾値以上である場合の検出範囲の態様とは異なる態様にて表示させてよい。
これにより、現在の検出範囲が第1の閾値未満に変化(劣化)した場合、現在の検出範囲を示す画像が劣化を示す態様にて表示されるので、運転者は、障害物センサの検出範囲の変化(劣化)を容易に認識できる。
【0132】
<付記3>
付記1に記載の表示制御装置において、検出範囲分析部は、現在の検出範囲と過去の検出範囲との差分を特定し、表示制御部は、差分が所定の第2の閾値以上である場合、現在の検出範囲を示す画像及び過去の検出範囲を示す画像を表示させてよい。
これにより、現在の検出範囲と過去の検出範囲との差分が第2の閾値以上である場合に、現在の検出範囲を示す画像と過去の検出範囲を示す画像とが表示装置に表示されるので、運転者は、障害物センサの検出範囲の変化を容易に認識できる。
【0133】
<付記4>
付記1に記載の表示制御装置において、検出範囲分析部は、現在の検出範囲が所定の第1の閾値未満であるか否かを判定し、表示制御部は、現在の検出範囲が第1の閾値未満である場合、現在の検出範囲が劣化している旨を示す情報を表示させてよい。
これにより、現在の検出範囲が第1の閾値未満に変化(劣化)した場合、現在の検出範囲が劣化している旨を示す情報が表示されるので、運転者は、障害物センサの検出範囲の変化(劣化)を容易に認識できる。
【0134】
<付記5>
付記1に記載の表示制御装置は、改善手法分析部をさらに備え、検出範囲分析部は、現在の検出範囲が所定の第1の閾値未満であるか否かを判定し、改善手法分析部は、検出範囲分析において現在の検出範囲が第1の閾値未満であると判定された場合、車両が搭載する所定のセンサから得られる情報に基づいて、現在の検出範囲の劣化が運転者によって改善可能であるか否かを判定し、表示制御部は、改善手法分析部において現在の検出範囲の劣化が運転者によって改善可能であると判定された場合、改善手法を示す情報を表示させてよい。
これにより、現在の検出範囲の劣化が運転者によって改善可能である場合、改善手法を示す情報が表示されるので、運転者は、改善手法を示す情報に従って、現在の検出範囲の劣化を改善することができる。
【0135】
<付記6>
付記1に記載の表示制御装置は、故障検出部をさらに備え、検出範囲分析部は、現在の検出範囲が所定の第1の閾値未満であるか否かを判定し、故障検出部は、検出範囲分析部において現在の検出範囲が第1の閾値未満であると所定回数以上連続して判定された場合、障害物センサに故障が発生していると判定し、表示制御部は、故障検出部において障害物センサに故障が発生していると判定された場合、障害物センサに故障が発生している旨を示す情報を表示させてよい。
これにより、現在の検出範囲の劣化が、障害物センサの故障によるものであるか否かを判定できる。加えて、障害物センサに故障が発生している旨を示す情報が表示されるので、運転者は、現在の検出範囲の劣化が、障害物センサの故障によるものであることを認識できる。
【0136】
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本開示の技術は、センサを用いて周囲の状況を検出する車両に有用である。
【符号の説明】
【0138】
1 HCU
2 障害物センサ群
3 周辺監視ECU
4 HUD
5 車両状態センサ群
6 車両制御ECU
7 操作スイッチ群
11 センサ作動検出部
12 自動運転判定部
13 車速特定部
14 相対位置特定部
15 相対速度特定部
16 把握領域選択部
17 変換前設定部
18 投影変換部
19 表示制御部
31 検出範囲分析部
32 検出結果通知部
33 改善手法分析部
34 故障検出部
41 車両位置情報センサ群
42 車両周辺状況センサ群