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特開2023-8646情報処理システム、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008646
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/06 20120101AFI20230112BHJP
【FI】
G06Q20/06 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112364
(22)【出願日】2021-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】521298492
【氏名又は名称】株式会社プラムゲイトウェイ
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】伊東 久雄
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA15
(57)【要約】
【課題】暗号資産の管理のためのブロックチェーン技術において富の集中化を防ぐ技術を提供すること。
【解決手段】ノード1は、暗号資産のブロックチェーンネットワークのノードとして機能する情報処理システムである。即ち、コイン保有総数管理部52は、ノード1についてのブロック承認確率の決定に用いられるコイン保有数を、コイン保有総数Aとして管理する。コイン保有個別数管理部53は、コイン保有総数がN(Nは2以上の整数値)個に分割された結果得られる夫々の保有数をコイン保有個別数a1乃至aNとして、N個のコイン保有個別数の夫々と、夫々のコイン保有者OC1乃至OCNとを対応付けて管理する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
暗号資産のブロックチェーンネットワークのノードとして機能する情報処理システムにおいて、
前記ノードについてのブロック承認確率の決定に用いられるコイン保有数を、コイン保有総数として管理するコイン保有総数管理手段と、
前記コイン保有総数がN(Nは2以上の整数値)個に分割された結果得られる夫々の保有数をコイン保有個別数として、前記N個のコイン保有個別数の夫々と、夫々のコイン保有者とを対応付けて管理するコイン保有個別数管理手段と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記Nのコイン保有個別数のうち所定の1のコイン保有個別数と対応付けられた前記コイン保有者は、前記ノードを管理するノード管理者である、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記Nのコイン保有個別数の夫々と対応付けられたNの前記コイン保有者は全て、出資者である、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記Nのコイン保有個別数のうち1つは、さらにM(MはNとは独立した2以上の整数値)個に分割されており、
前記コイン保有個別数管理手段は、前記M個に分割された結果得られる前記M個のコイン保有個別数の夫々と、夫々のコイン保有者とを対応付けて管理する、
請求項2又は3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
暗号資産のブロックチェーンネットワークのノードとして機能する情報処理システムが実行する情報処理方法において、
前記ノードについてのブロック承認確率の決定に用いられるコイン保有数を、コイン保有総数として管理するコイン保有総数管理ステップと、
前記コイン保有総数がN(Nは2以上の整数値)個に分割された結果得られる夫々の保有数をコイン保有個別数(a1乃至aN)として、前記N個のコイン保有個別数の夫々と、夫々のコイン保有者とを対応付けて管理するコイン保有個別数管理ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項6】
暗号資産のブロックチェーンネットワークのノードとして機能するコンピュータに、
前記ノードについてのブロック承認確率の決定に用いられるコイン保有数を、コイン保有総数として管理するコイン保有総数管理ステップと、
前記コイン保有総数がN(Nは2以上の整数値)個に分割された結果得られる夫々の保有数をコイン保有個別数(a1乃至aN)として、前記N個のコイン保有個別数の夫々と、夫々のコイン保有者とを対応付けて管理するコイン保有個別数管理ステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ブロックチェーンに関する技術(以下、「ブロックチェーン技術」と呼ぶ)の開発が進んでいる。ブロックチェーンに新たに追加されるブロックは、例えば、プルーフ・オブ・ワーク・アルゴリズムを用いて生成される。また、例えば、プルーフ・オブ・ワーク・アルゴリズムに代わって、プルーフ・オブ・ステーク・アルゴリズムが採用されることもある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-157926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブロックチェーン技術を用いた暗号資産の管理システムにおいてプルーフ・オブ・ワーク・アルゴリズムが採用された場合、新たなブロックの生成のためにマシンパワーが要求されることから、電力の使用量が増大し、環境への悪影響が問題視されている。
プルーフ・オブ・ステーク・アルゴリズムが採用された場合、多くの暗号資産を保有する者が新たなブロックの生成することになる。暗号資産の管理においては、新たなブロックの生成を行ったものに対して新たな暗号資産が発行される。即ち、多くの暗号資産を保有する者に対して新たな暗号資産が発行されるため、富の集中化が加速することが懸念されている。
更に言えば、そのような暗号資産の管理システムに新たに参加する場合、その暗号資産を新たに買い付ける必要が発生するため、資産を多く保有する者でないと新たに参加することは難しい、という問題があった。
【0005】
本発明は、暗号資産の管理のためのブロックチェーン技術において、富の集中化を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理システムは、
暗号資産のブロックチェーンネットワークのノードとして機能する情報処理システムにおいて、
前記ノードについてのブロック承認確率の決定に用いられるコイン保有数を、コイン保有総数として管理するコイン保有総数管理手段と、
前記コイン保有総数がN(Nは2以上の整数値)個に分割された結果得られる夫々の保有数をコイン保有個別数として、前記N個のコイン保有個別数の夫々と、夫々のコイン保有者とを対応付けて管理するコイン保有個別数管理手段と、
を備える。
【0007】
本発明の一態様の上記情報処理システムに対応する情報処理方法及びプログラムも、本発明の一態様の情報処理方法及びプログラムとして提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、暗号資産の管理のためのブロックチェーン技術において富の集中化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に情報処理システムにより実現可能となる本サービスの概要を示す図である。
図2図1の本サービスのノードのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図2のノードを含む情報処理システムの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図4】ノードの保有者がコインを保有しない場合におけるコイン保有量の関係性を示す図である。
図5】ノードの保有者がコインを保有する場合におけるコイン保有量の関係性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に情報処理システムにより実現可能となる本サービスの概要を示す図である。
本サービスは、暗号資産のブロックチェーンネットワークを利用した暗号資産をノード参加単位未満での保有を希望する又は保有する保有者に対して提供されるものである。
【0011】
ここで、ノード参加単位とは、情報処理システムを暗号資産のブロックチェーンネットワークのノードとして参加させる際における、そのノードのブロック承認確率の決定に用いられる暗号資産の保有量である。また、ノード参加単位は、そのノードをブロックチェーンネットワークに参加させるための暗号資産の保有量の下限となる量の単位でもある。
なお、暗号資産とは、情報処理システムを用いて移転又は交換可能な財産的価値であって、電子的に記録されたものである。即ち、暗号資産にはいわゆる仮想通貨が含まれる。
ビットコイン(登録商標)や、派生した各種アルトコイン(Alternative Coin)は、仮想通貨の一例である。そこで、以下、暗号資産として「コイン」が採用されているものとする。また、コインの保有者を「コイン保有者」と呼び、コインの保有量を「コイン保有数」と呼ぶ。
また、「ブロック承認確率」の詳細については、後述する。
【0012】
まず、本サービスの前提となる、暗号資産におけるブロックチェーン技術について説明する。
【0013】
ブロックチェーン技術は、複数のノードにより構成されるブロックチェーンネットワークを用いて、ブロックチェーンを管理する技術である。即ち、ブロックチェーンネットワークに属するノードにより、ブロックチェーンの記憶や新たなブロックの生成が行われる。
複数の管理者により夫々管理されるノードを用いるため、夫々のノードの間でブロックチェーンに齟齬が発生したり、悪意ある者に管理されたノードによりブロックチェーンが改変されること等を防ぐ必要が有る。そこで、ブロックチェーン技術では、プルーフ・オブ・ワーク・アルゴリズムやプルーフ・オブ・ステーク・アルゴリズムを用いて、新たなブロックの生成を行うのである。即ち、後述する所定の仕事(ワーク)の多いノードや暗号資産の保有量(ステーク)の多いノードは、暗号資産の価値を維持することに努めているため信頼に足りる、という思想に基づいて、これを担保しているのである。
【0014】
ブロックチェーン技術を用いた暗号資産の管理システムにおいてプルーフ・オブ・ワーク・アルゴリズムが採用された場合、所定の計算量を演算した、即ち、所定の仕事をしたと認められるノードが、新たなブロックを生成することになる。新たなブロックを生成したノードには、新たに発行された暗号資産等が報酬として付与される。このため、所定の仕事をしたと認められるために多くのノードが競争的に仕事をするため、システム全体の電力の消費量が膨大となってしまう。即ち、プルーフ・オブ・ワーク・アルゴリズムが採用されることは地球環境に悪影響である、と言われている。
【0015】
これに対し、プルーフ・オブ・ステーク・アルゴリズムが採用された場合、暗号資産の保有量が多いノードが、新たなブロックを生成することになる。即ち、上述のプルーフ・オブ・ワーク・アルゴリズムと異なり、システム全体の電力の消費量は比較的小さくて済む。
【0016】
より正確には、所定の仕事をしたと認められるノードや、暗号資産の保有量が多いノードが、他のノードより新たなブロックを生成することができる確率が高いシステムとなっている。
即ち、仕事をより多くした者や暗号資産の保有量のより多い者が、新たなブロックを生成することができる確率が高い、といえる。
なお、このような、新たなブロックを生成することができる確率を、「ブロック承認確率」と呼ぶ。
つまり、プルーフ・オブ・ステーク・アルゴリズムが採用された場合には、暗号資産の保有量が多いノードに対して新たな暗号資産が発行される確率が高くなる。また、暗号資産は、その暗号資産を用いる者が増えるほどその価値が向上することが通常である。このため、価値の低い初期から暗号資産を保有していたノード(そのノードの管理者)に富の集中化が加速することが懸念されているのである。
【0017】
更に言えば、上述したように、プルーフ・オブ・ステーク・アルゴリズムにおいては、ノード参加単位が設定されることがある。即ち、暗号資産の保有量が所定量(ノード参加単位)よりも少ないノードは、ブロックチェーンネットワークに参加できないシステムとされていることがある。若しくは、暗号資産の保有量がノード参加単位よりも少ないノードはブロックチェーンネットワークに参加したとしても、新たなブロックを生成することができる確率が低すぎるため、実質的に参加していないも同然となってしまうこともある。
【0018】
そこで、本サービスは、暗号資産の保有量がノード参加単位よりも少ない者でもブロックチェーンネットワークに参加可能としている。
【0019】
図1には、本サービスのブロックチェーンネットワークBNを構成するノードが図示されている。具体的には、ブロックチェーンネットワークBNは、ノードN1乃至N3、及びノード1の合計4つのノードから構成されている。
【0020】
ここで、ノードN1乃至N3は、従来のプルーフ・オブ・ステーク・アルゴリズムが採用されているノードである。
ノード1は、本サービスにより提供される、プルーフ・オブ・ステーク・アルゴリズムが改良されたアルゴリズム(以下、「ヴェスト・プルーフ・オブ・ステーク・アルゴリズム」と呼ぶ)が採用されたノードである。
【0021】
以下、ノードN3の例を用いて、従来のプルーフ・オブ・ステーク・アルゴリズムについて説明する。
ノードN3は、ノード管理者O3により所有されている。
ノード管理者O3は、コイン保有数Bのコインを、コイン保有期間Yの間にわたって保有しているコイン保有者である。
【0022】
このとき、ノードN3のブロック承認確率は、コイン保有数Bとコイン保有期間Yの積に比例する。つまり、ノードN1乃至N3のうち、コイン保有数とコイン保有期間の積が大きいノードが、新たなブロックを生成する確率が高いと言える。
ノードN3が新たなブロックを生成した場合、コイン保有期間Yは、ゼロにリセットされる。これにより、次回はノードN3以外のノードが新たなブロックを生成することが期待される。
このように、コイン保有数の多いノードがコイン保有数に応じて順次新たなブロックを生成するのが、従来のプルーフ・オブ・ステーク・アルゴリズムである。
【0023】
次に、ノード1を用いて、本サービスのヴェスト・プルーフ・オブ・ステーク・アルゴリズムについて説明する。
ノード1は、ノード管理者Oにより所有されている。
図1の例のノード管理者Oは、自身はコイン保有者ではない。
【0024】
即ち、本サービスにより、ノードOは、コインの保有数がノード参加単位より小さい(ゼロである)にもかからず、ノード1はブロックチェーンネットワークBNのノードとして機能する(参加できる)のである。
以下、コイン保有者ではないノード保有者Oがどのようにしてノード1をブロックチェーンネットワークBNの一ノードとして機能させるのかについて説明する。
【0025】
ノード1についてのブロック承認確率の決定に用いられるコイン保有数Aは、N人(Nは2以上の整数値)のコイン保有者OC1乃至OCNが夫々保有するコイン保有者a1乃至aNの総数である。
そこで、以下、コイン保有数Aを、「コイン保有総数A」と呼ぶ。また、コイン保有者OCk(kは1乃至Nのうち何れかの整数値)が個別に保有するコイン保有数akを、「コイン保有個別数Ak」と呼ぶ。
換言すれば、コイン保有者OC1乃至OCNは、ノード1についてのブロック承認確率の決定に用いられるコイン保有総数Aは、N個に分割された結果得られる夫々の数のコインを保有している。
即ち、ブロックチェーンネットワークBNを構成する他のノードN1乃至N3にとっては、実際にコインを保有しているコイン保有者OC1乃至OCNの夫々のコイン保有個別数a1乃至aNを合計した数であるコイン保有総数Aが、ノード1のコイン保有数として把握される。
【0026】
ノード1のコイン保有総数AがブロックチェーンネットワークBNのノード参加単位よりも大きければ、プルーフ・オブ・ステークを前提としてブロックチェーンにノード1の参加が可能となる。
換言すれば、コイン保有者OC1乃至OCNは、個々のコイン保有個別数a1乃至aNがノード参加単位よりも少なくとも、ノード1をブロックチェーンネットワークBNの一ノードとして参加させることができる。
【0027】
ノード1が新たなブロックを生成した場合、ノード1には新たなコインが発行される。ノード1に発行されたコインは、コイン保有者OC1乃至OCNの夫々のコイン保有個別数a1乃至aNに応じて分配される。
このように、本サービスにより、ノード参加単位よりも少ないコイン保有量のコイン保有者に対しても新たなコインが発行されるため、富の集中化を緩和することができるのである。
【0028】
以上まとめると、ノード1は、次のような機能を有する。
即ち、ノード1は、当該ノード1についてのブロック承認確率の決定に用いられるコインコイン保有総数Aを管理するコイン保有総数管理機能を有する。
また、ノード1は、コイン保有総数AがN個に分割された結果得られる夫々の保有数をコイン保有個別数a1乃至aNとして、N個のコイン保有個別数の夫々と、夫々のコイン保有者数a1乃至aNとを対応付けて管理するコイン保有個別数管理機能を有する。
このように、ノード1に対応付けられたコイン保有総数Aを管理することにより、ノード1をヴェスト・プルーフ・オブ・ステーク・アルゴリズムを採用したブロックチェーンネットワークBNの一ノードとして参加させることができる。その結果、プルーフ・オブ・ワーク・アルゴリズムを採用したブロックチェーンネットワークと比較して電力の消費量を軽減することができる。
また、ノード参加単位未満のコイン保有量a1乃至aNのコイン保有総数のノード1をブロックチェーンネットワークBNにノードとして参加させることができる。
また、ノード1が新たなブロックチェーンを生成した際に発行された新たなコインをコイン保有者a1乃至aNに分配することができる。即ち、ノード参加単位よりも少ないコイン保有量のコイン保有者もブロックの生成に参加することができ、また、そのようなコイン保有者に対して新たなコインが発行されるため、富の集中化を緩和することができる。
【0029】
図2は、図1の本サービスのノードのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0030】
ノード1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、入力部16と、出力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0031】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0032】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、入力部16、出力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0033】
入力部16は、キーボードやマウス等で構成され、各種情報を入力する。
出力部17は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
【0034】
記憶部18は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークを介して他の装置(図1の例ではノードN1乃至N3)との間で通信を行う。
【0035】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。
また、リムーバブルメディア31は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0036】
図3は、図2のノードを含む情報処理システムの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図1の例と対応付けながら、ノード1の機能的構成について説明する。
図1の本サービスを提供する際には、ノード1のCPU11において、ブロックチェーン制御部51と、コイン保有総数管理部52と、コイン保有個別数管理部53と、ノード保有者管理部54とが機能する。なお、記憶部18の一領域には、コインDB80と、ノード管理DB81とが設けられている。
【0037】
ブロックチェーン制御部51は、ノード1をブロックチェーンネットワークBNの一ノードとして機能させるべく、ブロックチェーンの記憶や、新たなブロックの生成、新たなブロックの生成の報酬として付与されたコインの管理のための制御を実行する。
【0038】
コイン保有総数管理部52は、ノード1についてのブロック承認確率の決定に用いられるコイン保有数を、コイン保有総数Aとして管理する。コイン保有総数管理部52は、コイン保有総数AをコインDB80に格納して管理する。このように、コイン保有総数管理部52は、コイン保有総数管理機能を提供する。
【0039】
コイン保有個別数管理部53は、コイン保有総数AがN個に分割された結果得られる夫々の保有数をコイン保有個別数a1乃至aNとして、N個のコイン保有個別数a1乃至aNの夫々と、夫々のコイン保有者OC1乃至OCNとを対応付けて管理する。コイン保有個別数管理部53は、コイン保有個別数a1乃至aNの夫々と、夫々のコイン保有者OC1乃至OCNとを対応付けて、コインDB80に格納して管理する。このように、コイン保有個別数管理部53は、コイン保有個別数管理機能を提供する。
【0040】
また、コイン保有個別数管理部53は、ブロックチェーン制御部51の制御による新たなブロックの生成の報酬として付与されたコインを、コイン保有者OC1乃至OCNに対して分配して管理する。
具体的には例えば、コイン保有個別数管理部53は、コイン保有者OC1乃至OCNの夫々のコイン保有個別数a1乃至aNに応じて、報酬として付与されたコインを分配して管理する。
また例えば、コイン保有個別数管理部53は、コイン保有個別数a1乃至aNと、夫々の保有期間X1乃至XNの積に応じて、報酬として付与されたコインを分配して管理する。
【0041】
ノード保有者管理部54は、ノード1の保有者Oを管理する。即ち、ノード保有者管理部54は、ノード1そのものを保有する者をノード1の保有者Oとして管理する。ノード保有者管理部54は、ノード1の保有者Oをノード管理DB81に格納して管理する。
なお、コイン保有個別数管理部53は、ノード保有者管理部54により管理されたノード1の保有者Oに対しても報酬として付与されたコインを分配して管理することもできる。
【0042】
このように、コイン保有個別数管理部53により管理されたコイン保有者OC1乃至OCNの保有するコイン保有個別数a1乃至aNの総数を、コイン保有総数管理部52によりコイン保有総数Aとして管理する。
即ち、コイン保有総数管理部52が、コイン保有個別数a1乃至aNの総数をコイン保有総数Aとして管理することにより、ノード1をヴェスト・プルーフ・オブ・ステーク・アルゴリズムを採用したブロックチェーンネットワークBNの一ノードとして参加させることができるのである。
【0043】
以下、図1の例と異なるノード1の保有者Oとコイン保有者の関係性の例を説明する。
図4は、ノードの保有者がコインを保有しない場合におけるコイン保有量の関係性を示す図である。
図4(A)の例において、コイン保有者OC1乃至OC4は、夫々コインを保有している。即ち、コイン保有者OC1は、コインを2枚保有している。また、コイン保有者OC2は、コインを1枚保有している。また、コイン保有者OC3は、コインを4枚保有している。また、コイン保有者OC4は、コインを3枚保有している。
このように、コイン保有者OC1乃至OC4の夫々のコイン保有個別数は、同じ量でなくてもよく、4分割(図1等においてはN分割)されていればよい。
コイン保有個別数管理部53は、上述のコインをコイン保有個別数として管理する。
コイン保有総数管理部52は、コイン10枚をコイン保有総数Aとして管理する。
【0044】
その結果、ブロックチェーンネットワークBNの他のノード(例えば、図1のノードN1)にとってみれば、ノード1のコイン保有数はコイン保有総数Aの10枚であると把握される。即ち、ブロックチェーンネットワークBNのノード参加単位が10枚であったとしても、ノード1をブロックチェーンネットワークBNの一ノードとして参加させることが可能となる。
また、これにより、ノード1の保有者Oは、自身がコインを持っていなくても、コイン保有者OC1乃至OC4を集めることでブロックチェーンネットワークBNに自身のノード1を参加させることができる。この場合、ノード1の保有者Oは、新たなブロックの生成の報酬は受け取らず、ブロックチェーンネットワークBNへの参加権利に対する対価を受け取ることができる、即ち、参加権利を販売することができる。
【0045】
図4(B)の例において、コイン保有者OC1乃至OC6は、夫々コインを保有している。
即ち、コイン保有者OC3は、コイン保有者OC1、OC2及びOC4と比較した左列においてはコインを4枚保有している。しかしながら、コイン保有者OC3の保有する4枚のコインは、実際には右列に示されるように、コイン保有者OC3、OC5及びOC6の3人のコイン保有者からなる。
即ち、コイン保有者OC3は、さらに3個に分割されており、3つに分割された結果得られる3個のコイン保有個別数の夫々を、コイン保有者OC3、OC5及びOC6の夫々が保有している。
つまり、コイン保有者OC3は、2枚のコインを保有している。また、コイン保有者OC5は、1枚のコインを保有している。また、コイン保有者OC6は1枚のコインを保有している。
このように、コイン保有個別枚数は、実際には多数の階層(左列と右列の階層)により管理されていてもよい。多数の階層のコイン保有個別枚数は、コイン保有個別数管理部53により管理される。
【0046】
これにより、コイン保有者OC3は、さらにコイン保有者OC5及びOC6を募ることができる。これにより、コイン保有総数Aがノード参加単位により達しやすくなるため、ノード1をブロックチェーンネットワークBNへ参加させることが容易となる。
【0047】
図5は、ノードの保有者がコインを保有する場合におけるコイン保有量の関係性を示す図である。
図5(A)の例において、ノード保有者O及びコイン保有者OC2乃至OC4は、夫々コインを保有している。即ち、ノード保有者Oは、コインを2枚保有している。また、コイン保有者OC2は、コインを1枚保有している。また、コイン保有者OC3は、コインを4枚保有している。また、コイン保有者OC4は、コインを3枚保有している。
即ち、図5の例は、図4の例と異なり、ノード保有者Oは、コイン保有者を兼ねている。
コイン保有個別数管理部53は、上述のコインをコイン保有個別数として管理することもできる。
その結果、ブロックチェーンネットワークBNの他のノード(例えば、図1のノードN1)にとってみれば、ノード1のコイン保有数はコイン保有総数Aの10枚であると把握される。即ち、ブロックチェーンネットワークBNのノード参加単位が10枚であったとしても、ノード1をブロックチェーンネットワークBNの一ノードとして参加させることが可能となる。
【0048】
また、これにより、ノード1の保有者Oは、自身のみではコインが足りなくとも、ノード1に紐づけるコイン保有者OC2乃至OC4を集めることで、ブロックチェーンネットワークBNへの参加に必要なノード参加単位を集めることができる。
【0049】
図5(B)の例において、ノード保有者O及びコイン保有者OC2乃至OC6は、夫々コインを保有している。
即ち、図4(B)の例のように、コイン保有個別枚数は、実際には多数の階層(左列と右列の階層)により管理される場合においても、ノード保有者Oは、コイン保有者を兼ねることができる。
【0050】
以上、本発明の情報処理システムの一実施形態に係るノード1について説明してきた。しかしながら、本発明が適用される実施形態は、例えば次のようなものであってもよい。
【0051】
上述の実施形態では、暗号資産の管理にブロックチェーンが用いられる、即ち、ブロックチェーン技術が用いられるものとしていたが、特にこれに限定されない。即ち例えば、暗号資産の取引(売買や交換等)の記録に分散型台帳技術が用いられ、その分散型台帳に暗号資産の取引(売買や交換等)を記録する際に新たな暗号資産が既存の暗号資産の保有量に応じて分配される場合にも適用可能である。
【0052】
また、上述の実施形態では、ノード1の保有者Oが1人存在するものとしたが、特にこれに限定されない。即ち、ノード1の保有者として複数人が存在し、ノード1を共同保有しているものとしてもよい。この場合においても、図4及び図5を用いて説明したように、複数人のノード保有者がコイン保有者を兼ねることができる。
【0053】
ここで、ノード1を共同保有する者や、コイン保有者は、ノード1を主として保有する者にそのノードを保有することに対する対価を支払ってもよい。
また例えば、ノード1は、サービス提供者が保有するものとし、コイン保有者は、サービス提供者にそのノードを共同保有する対価を支払ったり、本サービスの利用料を支払うものとしてもよい。
更に言えば、コイン保有者はサービス提供者にノードを共同保有する対価や本サービスの使用料を支払う必要はなく、サービス提供者は新たなブロックの生成の報酬の一部を対価として受け取ってもよい。
【0054】
また、上述の実施形態では、本発明の情報処理システムの一実施形態としてノード1を説明したが、特にこれに限定されず、各種各様な規模のシステムとして実現可能である。
即ち例えば、ノード1は、図2に示すハードウェアのような1つの情報処理装置として構成されるものではなく、複数の情報処理装置からなる情報処理システムであってもよい。具体的には例えば、複数の情報処理装置のハードウェア資源を統合した1つの仮想マシンにより上述の機能が提供されてもよい。
また例えば、複数の情報処理装置が協働したシステムにより、上述の各機能が提供されてもよい。
更に言えば、サービス提供者は、本発明の情報処理システムの一実施形態として、上述のブロックチェーンネットワークBNに存在する複数のノードを実現させてもよい。
【0055】
また例えば、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、図3の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。
即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図3の例に限定されない。また、機能ブロックやデータベースの存在場所も、図3に特に限定されず、任意でよい。例えば、ノード1の機能ブロックを図示せぬ他の情報処理装置等に移譲させてもよい。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0056】
また例えば、一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。
また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0057】
また例えば、このようなプログラムを含む記録媒体は、参加者Uにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態で参加者Uに提供される記録媒体等で構成される。
【0058】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0059】
以上を換言すると、本発明が適用される情報処理システムは、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理システム(例えば図3等のノード1)は、
暗号資産のブロックチェーンネットワークのノードとして機能する情報処理システムにおいて、
前記ノードについてのブロック承認確率の決定に用いられるコイン保有数を、コイン保有総数(例えば、図1のコイン保有総数A)として管理するコイン保有総数管理手段(例えば、図3のコイン保有総数管理部52)と、
前記コイン保有総数がN(Nは2以上の整数値)個に分割された結果得られる夫々の保有数をコイン保有個別数(例えば、図1のコイン保有個別数a1乃至aN)として、前記N個のコイン保有個別数の夫々と、夫々のコイン保有者(例えば、図1のコイン保有者OC1乃至OCN)とを対応付けて管理するコイン保有個別数管理手段(例えば、図3のコイン保有個別数管理部53)と、
を備えれば足りる。
【0060】
これにより、ノード参加単位未満のコイン保有量しか保有していないコイン保有者のコインに基づいて、ブロックチェーンネットワークに情報処理システムをノードとして参加させることができる。
その結果、ノード参加単位よりも少ないコイン保有量のコイン保有者もブロックの生成に参加することができ、また、そのようなコイン保有者に対して新たなコインが発行されるため、富の集中化を緩和することができる。
【0061】
更に、前記Nのコイン保有個別数のうち所定の1のコイン保有個別数と対応付けられた前記コイン保有者は、前記ノードを管理するノード管理者(ノード保有者)である、ものとすることができる。
【0062】
更に、前記Nのコイン保有個別数の夫々と対応付けられたNの前記コイン保有者は全て、出資者である、ものとすることができる。
【0063】
更に、前記Nのコイン保有個別数のうち1つは、さらにM(MはNとは独立した2以上の整数値)個に分割されており、
前記コイン保有個別数管理手段は、前記M個に分割された結果得られる前記M個のコイン保有個別数の夫々と、夫々のコイン保有者とを対応付けて管理する、ことができる。
【符号の説明】
【0064】
1・・・ノード、11・・・CPU、18・・・記憶部、31・・・リムーバブルメディア、51・・・ブロックチェーン制御部、52・・・コイン保有総数管理部、53・・・コイン保有個別数管理、54・・・ノード保有者管理部、80・・・コインDB、81・・・ノード管理DB
図1
図2
図3
図4
図5