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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086475
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】加圧型脱液装置及び脱液方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/50 20060101AFI20230615BHJP
【FI】
B01D29/24 L
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201012
(22)【出願日】2021-12-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】598110507
【氏名又は名称】株式会社マシンテック中澤
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】中澤 誠
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116AA12
4D116AA13
4D116BC28
4D116DD04
4D116DD05
4D116FF13B
4D116GG12
4D116KK04
4D116QA04C
4D116QA04E
4D116QB02
4D116QB13
4D116QB24
4D116RR01
4D116VV12
(57)【要約】
【課題】ろ過板の締め付けを必要とせず、他の機構で密閉としろ過ができる小型化可能な加圧型脱液装置及び脱液方法を提供する。
【解決手段】本発明の一観点に係る加圧型脱液装置は、加圧空間を備える加圧タンクと、加圧タンクの加圧空間に挿入及び収容されるろ過板と、ろ過板が固定されるとともに加圧タンクの加圧空間を閉じる蓋を備える。また、本発明の他の一観点に係る脱液方法は、上記加圧型脱液装置を用いた脱液対象物から脱液する加圧型脱液方法であって、加圧タンクに、表面がろ布で覆われたろ過板を挿入し、蓋と加圧タンクを固定部材によって固定するステップ、加圧タンク内に脱液対象物を加圧しながら供給して脱液対象物を脱液して脱液ケーキにするステップ、加圧タンクからろ過板及び脱液ケーキを取り出すステップを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧空間を備える加圧タンクと、
前記加圧タンクの前記加圧空間に挿入及び収容されるろ過板と、
前記ろ過板が固定されるとともに前記加圧タンクの前記加圧空間を閉じる蓋と、を備える加圧型脱液装置。
【請求項2】
前記蓋には、複数の前記ろ過板が固定されている請求項1記載の加圧型脱液装置。
【請求項3】
前記ろ過板の表面を覆うように配置されるろ布と、を備える請求項1記載の加圧型脱液装置。
【請求項4】
前記ろ過板周囲に付着する脱液ケーキを前記ろ過板から剥離するための剥離部材を備える請求項1記載の加圧型脱液装置。
【請求項5】
前記脱液用ろ過板には、
先端に行くに従い厚みが薄くなっており、しかも、表面に挿入方向に沿った溝が複数形成されている請求項1記載の加圧型脱液装置。
【請求項6】
前記蓋には、前記脱液用ろ過板の前記溝に連結した排液口が形成されている請求項1記載の加圧型脱液装置。
【請求項7】
前記加圧タンクは、外部からの脱液対象物を供給するための供給口が形成されている請求項1記載の加圧型脱液装置。
【請求項8】
前記蓋と前記加圧タンクを固定するための固定部材を備える請求項1記載の加圧型脱液装置。
【請求項9】
加圧空間を備える加圧タンクと、前記加圧タンクの前記加圧空間に挿入及び収容されるろ過板と、前記ろ過板が固定されるとともに前記加圧タンクの前記加圧空間を閉じる蓋と、を備える加圧型脱液装置を用いた脱液対象物から脱液する加圧型脱液方法であって、
前記加圧タンクに、表面がろ布で覆われた前記ろ過板を挿入し、前記蓋と前記加圧タンクを固定部材によって固定するステップ、
前記加圧タンク内に脱液対象物を加圧しながら供給して前記脱液対象物を脱液して脱液ケーキにするステップ、
前記加圧タンクから前記ろ過板及び前記脱液ケーキを取り出すステップ、を備える脱液方法。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧型脱液装置及び脱液方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場においては、コンクリートの基礎を形成するためにセメントが一般的に用いられている。セメントは、砂と砂利と水と混合され、基礎の形状に組まれた枠内に投入され、硬化させることでコンクリート基礎となる。
【0003】
セメントは水と混合されることで、水和や重合して硬化するものである。水とセメントと砂と砂利を混合して生コンとする容器や、水とセメントと砂と砂利を混合して混ぜながら運搬するミキサートラックにおいて混合された状態が長時間になるとセメントの結合力が弱くなり、生コンとして使用できなくなる。また、そのまま外に放置しておくと放置した状態でコンクリートになってしまい、非常に邪魔な状態となる。したがって、ミキサー車の生コンを使用した後の残った生コン及びミキサー車のタンクの中を洗浄すると、洗浄液中の生コンの残分の処理が必要となる。
【0004】
そのため一般的には、残生コンの処理をするため脱水機のフィルタープレス装置が用いられている。フィルタープレス装置は、多数のろ過版を横にセットしろ過板とろ過板の間から生コンの水が漏れないように多数のろ過板を油圧シリンダーで締め付けている。その状態でフィルタープレスに残生コンをポンプで加圧導入し、ろ過板に取り付けられているろ布によりろ過され固形物はろ過板内にたまり、ろ過された水はろ過水出口から排出されて脱水される。
【0005】
一般的なフィルタープレスの例としては、下記非特許文献1にその記載がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】https://www.nihon-rokasochi.co.jp/filterpress/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のフィルタープレスでは複数のろ過板同士を横にセットして油圧シリンダー等で締め付けて脱水作業をしているため、ろ過板の強度が必要でありろ過板の肉厚が厚くかつ大きくなって頑丈なものとなっている。ろ過板が頑丈なため製造全体も大型化となり重量も重く取り扱いに手間を要すものである。すなわち、コンパクトで取り扱いが容易な脱水装置が求められており、かつ少量の脱水にも好適な小型装置の提供が望まれている。
【0008】
そこで本発明は上記課題に鑑み、ろ過板の締め付けを必要とせず、他の機構で密閉としろ過ができる小型化可能な加圧型脱液装置及び脱液方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明の一観点に係る加圧型脱液装置は、加圧空間を備える加圧タンクと、加圧タンクの加圧空間に挿入及び収容されるろ過板と、ろ過板が固定されるとともに加圧タンクの加圧空間を閉じる蓋と、を備える。
【0010】
また、本観点においては、限定されるわけではないが、蓋には、複数のろ過板が固定されていることが好ましい。
【0011】
また、本観点においては、限定されるわけではないが、ろ過板の表面を覆うように配置されるろ布と、を備えることが好ましい。
【0012】
また、本観点においては、限定されるわけではないが、ろ過板周囲に付着する脱液ケーキをろ過板から剥離するための剥離部材を備えることが好ましい。
【0013】
また、本観点においては、限定されるわけではないが、脱液用ろ過板には、
先端に行くに従い厚みが薄くなっており、しかも、表面に挿入方向に沿った溝が複数形成されていることが好ましい。
【0014】
また、本観点においては、限定されるわけではないが、蓋には、脱液用ろ過板の溝に連結した排液口が形成されていることが好ましい。
【0015】
また、本観点においては、限定されるわけではないが、加圧タンクは、外部からの脱液対象物を供給するための供給口が形成されていることが好ましい。
【0016】
また、本観点においては、限定されるわけではないが、蓋と加圧タンクを固定するための固定部材を備えることが好ましい。
【0017】
また、本観点においては、限定されるわけではないが、蓋と加圧タンクと剥離部材等をセットし組み立てた時の合わせ目よりの脱液対象物の漏れを防ぐため、合わせ目にシートパッキンを備えていることが好ましい。
【0018】
また、本発明の他の一観点に係る脱液方法は、加圧空間を備える加圧タンクと、加圧タンクの加圧空間に挿入及び収容されるろ過板と、ろ過板が固定されるとともに加圧タンクの加圧空間を閉じる蓋と、を備える加圧型脱液装置を用いた脱液対象物から脱液する加圧型脱液方法であって、加圧タンクに、表面がろ布で覆われたろ過板を挿入し、蓋と加圧タンクを固定部材によって固定するステップ、加圧タンク内に脱液対象物を加圧しながら供給して脱液対象物を脱液して脱液ケーキにするステップ、加圧タンクからろ過板及び脱液ケーキを取り出すステップ、を備える。
【発明の効果】
【0019】
以上、本発明によって、ろ過板の締め付けを必要とせず、他の機構で密閉としろ過ができる小型化可能な加圧型脱液装置及び脱液方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態に係る加圧型脱液装置の概略を示す図である。
図2】実施形態に係る加圧型脱液装置の概略を示す図である(固定部材により固定した場合の図)。
図3】実施形態に係る加圧型脱液装置の加圧タンクの概略を示す図である。
図4】実施形態に係る加圧型脱液装置の加圧タンクの概略を示す図である。
図5】実施形態に係る加圧型脱液装置の蓋及びろ過板の概略を示す図である。
図6】実施形態に係る加圧型脱液装置のろ布の概略を示す図である。
図7】実施形態に係る加圧型脱液装置の剥離部材の概略を示す図である。
図8】実施形態に係る加圧型脱液装置を用いた脱液方法の概略を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、また以下に示す実施形態、実施例において記載される具体的な例示についても適宜変更及び調整が可能であり、これらに限定されるものではない。
【0022】
図1、2は、本実施形態に係る加圧型脱液装置(以下、「本装置」という。)1の概略図である。本図で示すように、本装置1は、加圧空間21を備える加圧タンク2と、加圧タンク2の加圧空間21に挿入及び収容されるろ過板3と、ろ過板3が固定されるとともに加圧タンク2の加圧空間21を閉じる蓋4と、を備える。
【0023】
図3、4は、本装置1における加圧タンク2の概略を示す図である。本装置1において、加圧タンク2は、加圧空間21を備えるものであり、上記の通りこの中にろ過板3を収容するとともに、ろ過板3と加圧空間21の間に空間を形成し、この空間内に脱液対象物を注入して脱液処理するものである。
【0024】
加圧空間21の形状は特に限定されない。ただし、ろ過板3が板状であるため、この板状を収容することに対応した形状であることが好ましく、立方体又は直方体等を含む六面体であることが好ましい形状である。
【0025】
なお、この加圧空間21を形成するため、加圧タンク2は、底面部211と、この底面部211に接続する4つの側壁部212を有していることが好ましい。また、側壁部212が形成する開口部分には加圧タンク縁部213を有しており、蓋4を固定するために用いられる。この場合において底面部211と側壁部212の間の面の角度は略垂直であることが好ましいがろ過板3のテーパーに沿って略垂直でなくてもよく、90度より大きく110度以下の範囲とすることが可能である。ここで「略垂直」とは完全な垂直を含むものであるが、製造上の誤差を含む概念であり、5度程度の誤差は含まれうるものである。ただし、この場合でも底面部211と側壁部212の角度は90度より小さくないことが重要である。90度より小さくなると脱液対象物が脱液ケーキとなったときに加圧空間21から引き抜けなくなってしまうおそれがあるためである。
【0026】
ここで「脱液対象物」とは、文字通り脱液される対象物であり、具体的には液体と固形物が混合した流動性のあるものをいう。ここで液体としては特に限定されるわけでは無いが、水等が典型例であり、食品や薬品関係であればアルコール等の溶媒を例示することができる。一方、固形物については、土木関係であれば土やいわゆる生コン等を例示することができ、食品であれば果物の果肉部、薬品であれば固体状の触媒等を例示することができるがこれに限定されない。また、本明細書では、脱液対象物から液体を十分に除去して脱水した状態になったものを「脱液ケーキ」と呼ぶ。
【0027】
また本装置1における加圧タンク2の材質は、高い圧力が内部に加わったとしても破損しない程度の硬さが必要である。材質については限定されるわけでは無いが、例えばステンレス等の鉄を含む金属で構成されていることは好ましい一例である。
【0028】
また、本装置1においては、限定されるわけではないが、加圧タンク2は、外部からの脱液対象物を供給するための供給口22が形成されていることが好ましい。この供給口22は、加圧タンク2のいずれに設けることとしてもよいが、底面部211に設けておくことが好ましい。このようにすることでろ過板3の抵抗を少なくしたうえで均一に加圧空間21内に充填させることが可能となる。
【0029】
また、本装置1では、加圧タンク2の加圧空間21に挿入及び収容されるろ過板3を備える。そして、ろ過板3は蓋4に固定されている。図5はろ過板3及びこれに接続される蓋4の概略を示す図である。本図においてろ過板3は、3枚の例を示しているが、加圧空間21の大きさや要求する脱液対象物の処理量に応じて適宜調整可能でありこの数は限定されず、1枚以上あればよく、実際的には10枚以下であることが好ましい。
【0030】
上記の通り、蓋4には1枚以上又は複数のろ過板3が固定されるが、この固定方法は特に限定されず、一体に形成されていてもよく、ろ過板3を蓋4にボルトやナット等の固定部材Fにより固定してもよい。本図の例は、ろ過板3をボルトやナット等の固定部材Fにより固定している例を示している。
【0031】
上記の記載から明らかなように、本装置1の蓋4は、ろ過板3を固定するものである一方、加圧空間21を閉じる蓋としての機能を有するものである。これにより、脱液対象物に対する脱液処理が可能となる。なお、蓋4と加圧タンク2とは固定が可能となっている。具体的には、加圧タンク2の加圧タンク縁部213及び蓋4の縁部分に切り欠き2131、42を設け、この切り欠きに共通してボルトを挿入し、ナット等を用いて固定することが可能となる。もちろんこの固定については限定されず、これ以外にも他の固定部材を用いての固定が可能である。
【0032】
ろ過板3とは、文字通りろ過するために用いられるものであり、脱液対象物に含まれる液体は、ろ過板3に沿って本装置1の外部に排出されることになる。
【0033】
ろ過板3は、上記の機能を有する限りにおいてその構造は限定されるわけでは無いが、先端に行くに従い厚みが薄くなっていることが好ましい。このようにすることで、脱液対象物を脱液した後、ろ過板3を加圧空間21及び脱液ケーキから抜きやすくなるといった効果がある。
【0034】
また、ろ過板3には、表面に挿入方向に沿った溝31が複数形成されていることが好ましい。この溝を形成することで、後述のろ布と相まって脱液対象物中に含まれる液体を排出するための排出路とすることが可能となる。
【0035】
また、本装置1においては、限定されるわけではないが、蓋4には、ろ過板3の溝31に連結した排液口41が形成されていることが好ましい。より具体的に説明すると、蓋4のろ過板3を接続する側の面に溝31に接続される蓋溝が形成され、この蓋溝がこの蓋4を貫通する排出口41に接続されているため、ろ過板3の溝31から蓋溝を経由して排出口41から排出されることになる。
【0036】
また、本装置1においては、限定されるわけではないが、ろ過板3の表面を覆うように配置される着脱可能なろ布5を備えることが好ましい。ろ布を用いることで、上記の通り、脱液対象物から分離される液体を外部に排出するための排出路を形成することが可能となる。ろ布5のイメージを図6に示しておく。
【0037】
ろ布5は上記の機能を有する限りにおいてどのような形状であってもよいが、本図で示すように、ろ過板3の周囲を覆うような袋状部分51を備えたものであって、更に複数のろ過板3を備える場合はこの複数のろ過板3に合わせた複数の袋状部分を備えこれらを一体に接続形成したものであることが好ましい。このようにろ布5を一体形成することで、複数のろ過板3を備えた場合にそれぞれにろ布5を配置する手間を省くことが可能となる。また、この場合においてろ布5にはその周囲の縁となるろ布縁部52が形成されていることが好ましい。このろ布縁部52を設けることで、加圧タンク2の加圧タンク縁部213及び蓋4の間にろ布5のろ布縁部52を挟みこむことが可能となり、確実な固定が可能となる。
【0038】
本装置1におけるろ布5は、液体と固形物を分離することができる限りにおいて限定されるわけでは無いが、布状であればよく、糸状部材を織り込んだ布であっても、織り込まない不織布であってもよい。ろ布5の材質としては特に限定されるものではなく、紙、綿や麻等であってもよいが、ポリスチレンやポリエチレン等の高分子を用いたものであってもよい。高分子を糸状部材にして織り込むことで均一の隙間を備えつつ強いろ布とすることが可能である。
【0039】
また、本装置1では、ろ過板3周囲に付着する脱液ケーキをろ過板3から剥離するための剥離部材6を備えることが好ましい。剥離部材6の概略を図7に示しておく。
【0040】
本装置1において剥離部材6は、脱液対象物から脱液して脱液ケーキとした後、脱液ケーキとろ布5との圧着をほどき、ろ布5から脱液ケーキを剥離させるためのものである。この剥離部材6は、ろ過板3と加圧タンク2の間、より具体的にはろ布5と加圧タンク2の間に配置されるものである。
【0041】
剥離部材6の形状については上記の機能を有する限りにおいて限定されないが、例えば上記図で示すように、ろ過板3が挿入可能な孔61が形成された板状部材であることは好ましい一例である。このようにすることで、ろ過板3を抜き差しすることが可能であり、例えば、脱液対象物から脱液した後、この剥離部材6と蓋4を固定し、ろ布5及びろ過板3を抜くまたは加圧タンク2を引き抜くことでも、脱液ケーキを加圧空間21内に残したままろ布5及びろ過板3を抜き出すことが可能となる。また、剥離部材6を蓋4から抜くことで脱液ケーキを剥離することができる。
【0042】
(脱液方法)
以上の通り、本装置1を用いると脱液対象物から脱液させて脱液ケーキとすることが可能となるが、より具体的に、上記した本装置1を用いた脱液方法(以下「本方法」という。)について説明する。
【0043】
本実施形態に係る本方法は、加圧空間を備える加圧タンクと、加圧タンクの加圧空間に挿入及び収容されるろ過板と、ろ過板が固定されるとともに加圧タンクの加圧空間を閉じる蓋と、を備える加圧型脱液装置を用いた脱液対象物から脱液する加圧型脱液方法であって、(S1)加圧タンクに、表面がろ布で覆われたろ過板を挿入し、蓋と加圧タンクを固定部材によって固定するステップ、(S2)加圧タンク内に脱液対象物を加圧しながら供給して脱液対象物を脱液して脱液ケーキにするステップ、(S3)加圧タンクからろ過板及び脱液ケーキを取り出すステップ、を備える。本方法のイメージについて図8に示しておく。
【0044】
まず、本方法は、(S1)加圧タンクに、表面がろ布で覆われたろ過板を挿入し、蓋と加圧タンクを固定部材によって固定するステップを有する。本ステップでは、上記した本装置1の構造から明らかである。
【0045】
次に、本方法では、(S2)加圧タンク内に脱液対象物を加圧しながら供給して脱液対象物を脱液して脱液ケーキにするステップを有する。
【0046】
より具体的には、上記固定した本装置1に対し、加圧タンク2の供給口22からホース等の配管を接続し、更にポンプ等で脱液対象物を加圧しながら本装置1内部に供給する。このポンプにより加圧しながら脱液対象物を投入することで脱液対象物は脱液され、液体はろ過板3の溝から蓋4の排出口41より排出される一方、脱液対象物の固形物は加圧タンク内に残る。これが大量に堆積していくことにより、脱液した固形物すなわち脱液ケーキが形成されることになる。また、ポンプによる加圧脱水後に圧縮エアーを加圧タンク2の供給口22より導入することで圧縮エアーにより加圧され水分がろ過板3を通って排出されて脱水効果をさらに向上させることもできる。
【0047】
また、本方法では、(S3)加圧タンクからろ過板及び脱液ケーキを取り出すステップ、を備える。
【0048】
具体的には、蓋4と加圧タンク2を固定している固定部材を外し、蓋4及びろ過板3、及びろ布5を加圧タンク2から引き抜き、その後加圧タンク2内に残った脱液ケーキを取り出すことになる。なお、蓋4及びろ過板3、及びろ布5を加圧タンク2から引き抜く処理においては、上記の通り、剥離部材を加圧タンク2に固定しておく状態を維持させておくことで、脱液ケーキがろ布5に固着して残ることを防ぐことが可能となる。
【0049】
以上、本実施形態によって、ろ過板の締め付けを必要とせず、他の機構で密閉し、ろ過ができる小型化可能な加圧型脱液装置及び脱液方法を提供することができる。より具体的に説明すると、従来はフィルタープレス装置といった非常に大きな構造物を用いる必要がある一方、本装置によると非常に簡便に脱液処理が可能となる。特にフィルタープレスのようにろ過板を強く締め付ける必要はなく、簡便に蓋と加圧タンクを固定部材で固定するだけで済む。また、脱液ケーキとした後も、ろ過板を引き抜くだけで脱液ケーキを取り出すことが可能となり、剥離部材を用いることでさらに簡便になる。なお、なおこの場合において、加圧タンクと剥離部材は、固定するためこの二つのみをボルトやナット等の固定部材により固定しておくこととしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、加圧型脱液装置及びこれを用いる脱液方法として産業上の利用可能性がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2021-12-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧空間を備える加圧タンクと、
前記加圧タンクの前記加圧空間に挿入及び収容されるろ過板と、
前記ろ過板が固定されるとともに前記加圧タンクの前記加圧空間を閉じる蓋と、を備える加圧型脱液装置。
【請求項2】
前記蓋には、複数の前記ろ過板が固定されている請求項1記載の加圧型脱液装置。
【請求項3】
前記ろ過板の表面を覆うように配置されるろ布と、を備える請求項1記載の加圧型脱液装置。
【請求項4】
前記ろ過板周囲に付着する脱液ケーキを前記ろ過板から剥離するための剥離部材を備える請求項1記載の加圧型脱液装置。
【請求項5】
前記ろ過板には、
先端に行くに従い厚みが薄くなっており、しかも、表面に挿入方向に沿った溝が複数形成されている請求項1記載の加圧型脱液装置。
【請求項6】
前記蓋には、前記ろ過板の前記溝に連結した排液口が形成されている請求項1記載の加圧型脱液装置。
【請求項7】
前記加圧タンクは、外部からの脱液対象物を供給するための供給口が形成されている請求項1記載の加圧型脱液装置。
【請求項8】
前記蓋と前記加圧タンクを固定するための固定部材を備える請求項1記載の加圧型脱液装置。
【請求項9】
加圧空間を備える加圧タンクと、前記加圧タンクの前記加圧空間に挿入及び収容されるろ過板と、前記ろ過板が固定されるとともに前記加圧タンクの前記加圧空間を閉じる蓋と、を備える加圧型脱液装置を用いた脱液対象物から脱液する加圧型脱液方法であって、
前記加圧タンクに、表面がろ布で覆われた前記ろ過板を挿入し、前記蓋と前記加圧タンクを固定部材によって固定するステップ、
前記加圧タンク内に脱液対象物を加圧しながら供給して前記脱液対象物を脱液して脱液ケーキにするステップ、
前記加圧タンクから前記ろ過板及び前記脱液ケーキを取り出すステップ、を備える脱液方法。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧空間を備える加圧タンクと、
前記加圧タンクの前記加圧空間に挿入及び収容されるろ過板と、
前記ろ過板が第一の固定部材によって固定されるとともに前記加圧タンクの前記加圧空間を閉じる蓋と、
前記蓋と前記加圧タンクを固定するための第二の固定部材と、を備え、
前記蓋には排液口が形成されており、
前記ろ過板は、先端に行くに従い厚みが薄くなっており、しかも、表面に挿入方向に沿った溝が複数形成されており、
前記溝は、前記排液口に連結されている加圧型脱液装置。
【請求項2】
前記蓋には、複数の前記ろ過板が固定されている請求項1記載の加圧型脱液装置。
【請求項3】
前記ろ過板の表面を覆うように配置されるろ布と、を備える請求項1記載の加圧型脱液装置。
【請求項4】
前記ろ過板周囲に付着する脱液ケーキを前記ろ過板から剥離するための剥離部材を備える請求項1記載の加圧型脱液装置。
【請求項5】
前記加圧タンクは、外部からの脱液対象物を供給するための供給口が形成されている請求項1記載の加圧型脱液装置。
【請求項6】
加圧空間を備える加圧タンクと、前記加圧タンクの前記加圧空間に挿入及び収容されるろ過板と、前記ろ過板が第一の固定部材によって固定されるとともに前記加圧タンクの前記加圧空間を閉じる蓋と、前記蓋と前記加圧タンクを固定するための第二の固定部材と、を備え、前記蓋には排液口が形成されており、前記ろ過板は、先端に行くに従い厚みが薄くなっており、しかも、表面に挿入方向に沿った溝が複数形成されており、前記溝は、前記排液口に連結されている加圧型脱液装置を用いた脱液対象物から脱液する加圧型脱液方法であって、
前記加圧タンクに、表面がろ布で覆われた前記ろ過板を挿入し、前記蓋と前記加圧タンクを前記第二の固定部材によって固定するステップ、
前記加圧タンク内に脱液対象物を加圧しながら供給して前記脱液対象物を脱液して脱液ケーキにするステップ、
前記加圧タンクから前記ろ過板及び前記脱液ケーキを取り出すステップ、を備える脱液方法。