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特開2023-8650縦型充填包装機および充填包装体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008650
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】縦型充填包装機および充填包装体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/207 20120101AFI20230112BHJP
【FI】
B65B9/207
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112373
(22)【出願日】2021-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】307028493
【氏名又は名称】株式会社悠心
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】二瀬 克規
【テーマコード(参考)】
3E050
【Fターム(参考)】
3E050AA02
3E050AB02
3E050AB08
3E050BA01
3E050BA02
3E050BA03
3E050CA01
3E050CB01
3E050CB10
3E050DC02
3E050DC08
3E050DD04
3E050DF02
3E050FA01
3E050FB01
3E050FB07
3E050GB03
(57)【要約】
【課題】積層プラスチックフィルム製の包装体を、液中シール充填を用いて製造するに際し、横シール部内へのシワの発生を効果的に抑制することのできる、充填包装機および充填包装体の製造方法を提供すること。
【解決手段】積層プラスチックフィルム製の包装袋内に被包装物を充填してなる充填包装体を連続して製造する縦型充填包装機において、1以上の筒状体を形成するための一対以上の縦シールロールと、被包装物を充填しながら横シールを施すことにより包装体を連続的に製袋する一対の横シールロールと、を備えるものであって、前記横シールロールのその上流側の位置に近接して、前記横シールロールによる横シールのタイミングに合わせて、筒状体に対して相互に近接および離反する方向に移動して該筒状体を順次に絞り込むように動作する可動整形ロール対を有し、該可動整形ロール対が、前記筒状体の走行方向に沿って複数対配設されていること。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともベース層とシーラント層を有する積層プラスチックフィルム製の包装袋内に被包装物を充填してなる充填包装体を連続して製造する縦型充填包装機において、
前記シーラント層どうしが対面するように連続的に繰り出される前記積層プラスチックフィルムを、長手方向に沿って連続的に縦シールすることにより1以上の筒状体を形成するための一対以上の縦シールロールと、
前記筒状体内に、被包装物を充填しながら長手方向に所定の間隔をおいて横シールを施すことにより包装体を連続的に製袋する一対の横シールロールと、を備えるものであって、
前記横シールロールのその上流側の位置に近接して、繰り出される前記筒状体の胴部に面して相互に対向するように設けられていて、前記横シールロールによる横シールのタイミングに合わせて、該筒状体に対して相互に近接および離反する方向に移動して該筒状体を順次に絞り込むように動作する可動整形ロール対を有し、該可動整形ロール対が、前記筒状体の走行方向に沿って複数対配設されていることを特徴とする縦型充填包装機。
【請求項2】
複数の前記可動整形ロール対は、各可動整形ロール対の対向するロール間の距離が、前記筒状体の走行方向の上流から下流に向かって次第に狭くなるように配設されるものであることを特徴とする請求項1に記載の縦型充填包装機。
【請求項3】
複数の前記可動整形ロール対のうち、前記筒状体の走行方向の最下流に位置する該可動整形ロール対は、前記筒状体の胴部に最も近接した位置にあって、対向するロール間距離が1mm以上100mm以下であることを特徴とする請求項2に記載の縦型充填包装機。
【請求項4】
一対の前記横シールロールは、固形物を含む被包装物の充填に際し、ヒートシール位置に残留する被包装物を排除すると同時に、該被包装物中に含まれる固形物を粉砕すると共に、粉砕されたそれら固形物どうしの隙間および当該固形物に発生する割れ目内に、軟化-溶融した前記積層プラスチックフィルムのシーラント層樹脂を含浸させていく粉砕含浸処理を可能とするものであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の縦型充填包装機。
【請求項5】
少なくともベース層とシーラント層を有する積層プラスチックフィルム製の包装袋内に被包装物を充填してなる充填包装体を連続して製造する方法であって、
前記シーラント層どうしが対面して連続的に繰り出される前記積層プラスチックフィルムを、一対以上の縦シールロールによって長手方向に連続的に繰り出しながら順次に縦シールすることにより、1以上の筒状体を形成する筒状体形成工程と、
前記筒状体に対し、一対の横シールロールによって被包装物を充填しながら長手方向に所定の間隔をおいて横シールを施すことにより連続的に製袋して包装体を形成する製袋工程と、を有し、
前記製袋工程に先立ち、一対の前記横シールロールの筒状体走行方向の上流において、前記横シールロールに近接する位置であって、前記筒状体胴部に面して対向するように配設された複数の可動整形ロール対を、走行する前記筒状体胴部に接するように移動させて、該筒状体胴部を順次に絞り込み、その絞り込み完了後に、前記一対の横シールロールによって横シール部を形成することを特徴とする充填包装体の製造方法。
【請求項6】
複数の前記可動整形ロール対は、前記一対の横シールロールによる横シールのタイミングに合わせて相互に近接または離間する方向に移動することを特徴とする請求項5に記載の充填包装体の製造方法。
【請求項7】
複数の前記可動整形ロール対は、各可動整形ロール対の対向するロール間の距離が、前記筒状体の走行方向の上流から下流に向かって次第に狭くなるように配設され、該可動整形ロール対によって、前記筒状体胴部が、前記横シールロールに向かって徐々に絞り込まれていくことを特徴とする請求項5または6に記載の充填包装体の製造方法。
【請求項8】
複数の前記可動整形ロール対のうちの、前記筒状体の走行方向の最下流に位置する可動整形ロール対は、前記筒状体の胴部に最も近接した位置にあって、対向するロール間距離が1mm以上100mm以下となるように移動するものであることを特徴とする請求項7に記載の充填包装体の製造方法。
【請求項9】
一対の前記横シールロールは、固形物を含む被包装物の充填に際し、ヒートシール位置に残留する被包装物を排除すると同時に、該被包装物中に含まれる固形物を粉砕すると共に、粉砕されたそれら固形物どうしの隙間および当該固形物に発生する割れ目内に、軟化-溶融した前記積層プラスチックフィルムのシーラント層樹脂を含浸させていく粉砕含浸処理を可能とするものであることを特徴とする請求項5~8のいずれか1項に記載の充填包装体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、長尺の積層プラスチックフィルムを製袋し、液状や粘稠状、粉・粒状物、固形物等の各種の流動性を有する被包装物を充填包装して充填包装体を製造する縦型充填包装機および充填包装体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より飲食物や調味液、医薬品、化学品等の液状物や粘稠物等からなる被包装物を、積層プラスチックフィルムを袋状に成形しながら自動的に充填包装することのできる縦型の充填包装機が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1の充填包装機では、帯状のプラスチックフィルムを幅方向中央位置で折り畳み、重なり合う側縁どうしを一対の縦シールロールによってシールして筒状体とした後、該筒状体内に被包装物を連続して充填しながら、一対の横シールロールの周方向に等間隔で設けられた横シールバーによって前記筒状体を挟持し、該横シールロールの回転に伴って被包装物を絞り出しながら、該絞り出し位置をヒートシールする、所謂、液中シール充填により、連続して被包装物を充填包装してなる包装体を製造することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09-226708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような液中シール充填においては、上記したように、被包装物を充填しながら横シールを行うため、図1(a)の側面図に示したように、横シール位置の筒状体5は、充填された被包装物および、一対の横シールロール10の対向するシールバー13によってしごき出された被包装物によって膨らんで胴膨れ、ないしは下膨れした状態になる。そのため、図1(b)の正面図および筒状体5の断面図(A-A位置断面図、B-B位置断面図)に示したように、筒状体5の胴幅dは、被包装物の充填前の胴幅Dよりも狭くなり、その状態で筒状体5を一対の横シールロール10の対向するシールバー13によって挟持して横シールを行うと、その寸法差(胴幅D-胴幅d)に基づいて横シール部内の、とくに横シール部と縦シール部とが交差する部分にシワが発生するという問題点があった。このような横シール部内のシワは、美観を損なうだけでなく、液漏れの原因となるためその発生を防止することが強く求められている。
【0006】
なお、上記のような筒状体の胴膨れによるシワの発生は、積層プラスチックフィルムが薄く、撓みやすい場合に顕著であり、そのため、従来は、積層プラスチックフィルムの厚みを厚くすることでシワの発生を防いでいた。しかし、近年、プラスチックの使用量を減らすことが求められており、プラスチックフィルムの厚みを薄くしてもシワの発生を効果的に抑制することのできる方法の開発が求められている。
【0007】
さらに、上記液中シール充填においては、被包装物がシリコンや練り物(ポテトサラダなど)のような粘性が高く、かつ固形物を含むようなものからなる場合、一対の横シールロールによって絞り出された被包装物は、流動性が悪いため逃げにくく、横シールロールの上流位置に滞留してしまう。そのため、滞留した該被包装物によって、前記したように筒状体が大きく胴部膨れし、シワが発生しやすいという課題があった。
【0008】
そこで、本発明では、積層プラスチックフィルム製の包装体を、液中シール充填を用いて製造するに際し、一対の横シールロールによって絞り出された被包装物による筒状体の胴膨れの影響や、積層プラスチックフィルムの撓みの影響を受けることなく、横シール部内へのシワの発生を効果的に抑制することのできる充填包装機および充填包装体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、少なくともベース層とシーラント層を有する積層プラスチックフィルム製の包装袋内に被包装物を充填してなる充填包装体を連続して製造する縦型充填包装機において、前記シーラント層どうしが対面するように連続的に繰り出される前記積層プラスチックフィルムを、長手方向に沿って連続的に縦シールすることにより1以上の筒状体を形成するための一対以上の縦シールロールと、前記筒状体内に、被包装物を充填しながら長手方向に所定の間隔をおいて横シールを施すことにより包装体を連続的に製袋する一対の横シールロールと、を備えるものであって、前記横シールロールのその上流側の位置に近接して、繰り出される前記筒状体の胴部に面して相互に対向するように設けられていて、前記横シールロールによる横シールのタイミングに合わせて、該筒状体に対して相互に近接および離反する方向に移動して該筒状体を順次に絞り込むように動作する可動整形ロール対を有し、該可動整形ロール対が、前記筒状体の走行方向に沿って複数対配設されていることを特徴とする。
【0010】
なお、本発明の縦型充填包装機においては、
(1)複数の前記可動整形ロール対は、各可動整形ロール対の対向するロール間の距離が、前記筒状体の走行方向の上流から下流に向かって次第に狭くなるように配設されるものであること、
(2)複数の前記可動整形ロール対のうち、前記筒状体の走行方向の最下流に位置する該可動整形ロール対は、前記筒状体の胴部に最も近接した位置にあって、対向するロール間距離が1mm以上100mm以下であること、
(3)一対の前記横シールロールは、固形物を含む被包装物の充填に際し、ヒートシール位置に残留する被包装物を排除すると同時に、該被包装物中に含まれる固形物を粉砕すると共に、粉砕されたそれら固形物どうしの隙間および当該固形物に発生する割れ目内に、軟化-溶融した前記積層プラスチックフィルムのシーラント層樹脂を含浸させていく粉砕含浸処理を可能とするものであること、
が好ましい解決手段となる。
【0011】
また、本発明は、少なくともベース層とシーラント層を有する積層プラスチックフィルム製の包装袋内に被包装物を充填してなる充填包装体を連続して製造する方法であって、前記シーラント層どうしが対面して連続的に繰り出される前記積層プラスチックフィルムを、一対以上の縦シールロールによって長手方向に連続的に繰り出しながら順次に縦シールすることにより、1以上の筒状体を形成する筒状体形成工程と、前記筒状体に対し、一対の横シールロールによって被包装物を充填しながら長手方向に所定の間隔をおいて横シールを施すことにより連続的に製袋して包装体を形成する製袋工程と、を有し、前記製袋工程に先立ち、一対の前記横シールロールの筒状体走行方向の上流において、前記横シールロールに近接する位置であって、前記筒状体胴部に面して対向するように配設された複数の可動整形ロール対を、走行する前記筒状体胴部に接するように移動させて、該筒状体胴部を順次に絞り込み、その絞り込み完了後に、前記一対の横シールロールによって横シール部を形成することを特徴とする。
【0012】
なお、本発明の充填包装体の製造方法においては、
(1)複数の前記可動整形ロール対は、前記一対の横シールロールによる横シールのタイミングに合わせて相互に近接または離間する方向に移動すること、
(2)複数の前記可動整形ロール対は、各可動整形ロール対の対向するロール間の距離が、前記筒状体の走行方向の上流から下流に向かって次第に狭くなるように配設され、該可動整形ロール対によって、前記筒状体胴部が、前記横シールロールに向かって徐々に絞り込まれていくこと、
(3)複数の前記可動整形ロール対のうちの、前記筒状体の走行方向の最下流に位置する可動整形ロール対は、前記筒状体の胴部に最も近接した位置にあって、対向するロール間距離が1mm以上100mm以下となるように移動するものであること、
(4)一対の前記横シールロールは、固形物を含む被包装物の充填に際し、ヒートシール位置に残留する被包装物を排除すると同時に、該被包装物中に含まれる固形物を粉砕すると共に、粉砕されたそれら固形物どうしの隙間および当該固形物に発生する割れ目内に、軟化-溶融した前記積層プラスチックフィルムのシーラント層樹脂を含浸させていく粉砕含浸処理を可能とするものであること、
が好ましい解決手段となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る縦型充填包装機および充填包装体の製造方法によれば、横シールロールの上流位置に、該横シールロールに近接して可動整形ロール対を、筒状体の走行方向に沿って複数対配設し、該可動整形ロール対によって筒状体の被包装物による膨らみを絞り込んで、ほぼ平坦に整形した状態で横シールに臨むようにしたことで、胴膨れの影響を受けることがなくなり(横シール時の筒状体の胴幅と、被包装物の充填前の筒状体の胴幅との寸法差がなくなり)、横シール部内のシワの発生を抑制することができる。
【0014】
しかも、本発明によれば、好ましくは複数対の可動整形ロール対を、各可動整形ロール対の対向するロール間の距離が、前記筒状体の走行方向の上流から下流に向かって次第に狭くなるように配設することで、被包装物が充填された筒状体を、走行方向に沿って、前記可動整形ロールを回転させながら徐々に絞り込んで減厚させることができるため、一対の絞りロール対や絞り板等によって一気に絞り込んだ場合よりも筒状体に対する摩擦抵抗を小さくすることができ、筒状体が破袋等するおそれがなく、安定した絞り込み操作を行うことができる。
【0015】
また、本発明によれば、複数対の可動整形ロール対のうち、最下流に位置する可動整形ロール対の近接位置(絞り込み位置)における、ロール間距離を1~100mmとすることで、被包装物の筒状体内への充填を停止させる(堰き止める)ことなく、包装体の高速での連続した充填包装を可能とすることができる。
【0016】
さらに、本発明によれば、被包装物がレトルト食品などの固形物を含むものである場合に、前記横シールロールのシール圧力を、例えば500kPa以上の高圧にすることで、横シールロールによって、横シール位置の積層プラスチックフィルムを加圧して該被包装物を押し出すと共に、該横シール位置に残留する被包装物中の、その固形物を粉砕すると同時に、その粉々になった固形物の割れ目および該固形物どうしの隙間に、該横シールロールによる加熱によって軟化し溶融した積層プラスチックフィルムのシーラント層樹脂を含浸させていく粉砕含浸処理を可能とすることで、横シール部内に残留する固形物は、島状に分散して点在した状態で溶融したシーラント層樹脂によって含浸もしくは包囲されると共に、積層プラスチックフィルムのシーラント層樹脂と共に融着接合して横シール部を形成することができるようになるため、該横シール部の融着接合が前記固形物によって阻害されるようなことがなく、隙間の発生や剥離等によってシール不良(液漏れ)を招くようなことがない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】従来の縦型充填包装機において、横シールロールによる筒状体の横シール時の状態を示す図であり、(a)は側面図、(b)は正面図およびA-A位置、B-B位置断面図である。
図2】本発明の縦型充填包装機の一実施形態を示す模式図である。
図3】(a)は複数の可動整形ロール対の、横シール直前における筒状体への近接状態を示す図であり、(b)は複数の可動整形ロール対の、横シール後における筒状体からの離間状態を示す図である。
図4図1の縦型充填包装機に設けられた3対の可動整形ロール対を拡大して示す平面図である。
図5】(a)は粉砕含浸処理により形成された横シール部の断面図であり、(b)は粉砕された固形物に溶融したシーラント層の樹脂が含浸する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、被包装物の充填包装体を一列もしくは複数列(多列)で同時に製造するいずれの場合にも適用が可能であるが、以下の説明は、主として一列充填の例で説明する。図2は、この発明に係る縦型充填包装機の一実施形態(一列充填)を示す模式図である。
【0019】
この発明に係る縦型充填包装機によって製造される包装体Wは、例えば、一軸もしくは二軸延伸したポリエチレンテレフタレートフィルム層やナイロン樹脂フィルム層等からなるベース層と、無延伸のポリエチレン層やポリプロピレン層等からなるシーラント層とを積層してなる積層プラスチックフィルムFからなり、フィルムロールRから該積層プラスチックフィルムFを連続して繰り出しながら、その繰り出し走行中に、ガイドロッド1の案内によってシーラント層が互いに向かい合わせになるように幅方向に折り返し、その両側端部6どうしを重ね合わせる。
【0020】
なお、積層プラスチックフィルムFは、少なくともベース層とシーラント層を有するものであればとくに限定されるものではなく、例えばアルミ箔、アルミ合金箔、アルミニウム蒸着層および/または紙などのシーラント層への熱の伝わりを阻害するような材料を積層してなる積層プラスチックフィルムも好適に使用することができる。
【0021】
前後で一対の縦シールロール2(図2の水平面内で、前後方向で平行に延在し、手前側に位置する前方側のものだけを示す。)の回転下で、積層プラスチックフィルムFの側端部6を、加熱、加圧することで、対面するシーラント層どうしを長手方向(縦方向)に連続して融着接合させて縦シール部4を形成し、これによって筒状体5を形成する。
【0022】
なお、一対の縦シールロール2は、その外周面に円形フランジ状のシールバー3を有するとともに、該シールバー3の加熱に寄与するヒータを内蔵している。一対の前記縦シールロール2は、図示しない一対のシリンダによって前方側の縦シールロール2を後方側の縦シールロール2に向けて押圧することで、積層プラスチックフィルムFの重ね合わせ側端部6をシールバー3間に挟持し、加熱、加圧して合掌状に融着させて縦シール部4を形成するように構成されている。
【0023】
本実施形態では、三方シール形の包装体を製造する場合を示しているが、それに限定されるものではなく、四方シール形や背張りシール形の包装体など各種のものを製造することができる。なお、四方シール形の包装体を製造する場合には、縦シールロール2の、ガイドロッド1において折返された積層プラスチックフィルムFの折返し部7が通過する位置にさらにシールバー3を設け、縦シールロール2によって、積層プラスチックフィルムFの重ね合わせた側端部6および折返し部7にそれぞれ縦シール部4を形成する。
【0024】
また、筒状体5は、上記のように1枚の長尺の積層プラスチックフィルムFを幅方向に折り返して形成する他、2つのフィルムロールRを使ってそれぞれ繰り出された2枚の積層プラスチックフィルムFをシーラント層どうしが対面するように重ね合わせ、その両側端部をそれぞれ長手方向に加熱および加圧して縦シール部4を形成し、これにより筒状体5を形成してもよい。この場合は、ガイドロッド1は存在せず、また縦シールロール2は、積層プラスチックフィルムFの両側端部にシールバー3が必要となる。
【0025】
このようにして形成された筒状体5の内側へは、図示しないタンクから図示しないポンプおよび供給路を介して供給された被包装物Mが、充填ノズル11から連続的に充填される。なお、被包装物Mは、固形物を含まない液状物や粘稠物の他、胡椒や胡麻などの穀物粒子や肉、魚、野菜などの固形物を含む液状物や粘稠物、塩や胡椒等の粉粒状物、流動性を有する固形物や半固形物(シリコンや練り物等)などの飲食品や化学品、医薬品等、各種のものを用いることができる。
【0026】
被包装物Mが充填された筒状体5は、後述する横シールロール10による横シールに先立ち、筒状体5に対して相互に近接する方向、および相互に離間する方向へ移動可能な、前後で対をなす複数の可動整形ロール対20(図2では手前側に位置する前方側のものだけを示す。)によって前後から徐々に絞り込まれ、ほぼ平坦な状態に整形されるまで減厚されて横シールロール10へと送り込まれる。
【0027】
なお、可動整形ロール対20は、図3(a)に示すように対向する一対の横シールロール10の周面に設けられたシールバー13による加熱、加圧による横シール開始前に筒状体5に対して相互に近接する方向に移動し、筒状体5をほぼ平坦な状態になるまで整形して減厚し、その状態で該筒状体5を横シールロール10に送り出す。また、可動整形ロール対20は、横シールロール10による横シールの終了後には、図3(b)に示すように相互に離間する方向へ移動し、この筒状体5への近接方向および離間方向への移動が、各包装体Wの製造に対して繰り返して行われる。
【0028】
このように横シールロール10の上流位置において被包装物Mの充填によって膨らんだ(胴膨れした)筒状体5を、ほぼ平坦な状態になるまで整形して減厚することで、被包装物Mの充填前の筒状体5の胴幅と、横シール時の筒状体5の胴幅との寸法差を小さくすることができ、横シール部12へのシワの発生を効果的に抑制することができる。
【0029】
可動整形ロール対20は、図2および図3に示すように、筒状体5の走行方向に沿って設けられ、走行方向の上流側からロール対20A、ロール対20B、ロール対20Cの3つのロール対によって構成されている。なお、本実施形態では、可動整形ロール対20が、3つのロール対20A、20B、20Cによって構成される場合を一例として示しているが、可動整形ロール対20は2対以上とし、より好ましくは3対以上とする。
【0030】
3つのロール対20A、20B、20Cは、図4の平面図に示したように筒状体5を挟んで前方側のロール20a1、20b1、20c1と、後方側のロール20a2、20b2、20c2とからなる。各ロール軸は、両端部を回転可能に支持する各軸受けが、軸受け箱21a、21b、22a、22bに内装、保持されている。図における符号23、24は、軸受け箱21a、22aに設けられ、該軸受け箱21a、22aを、相互に近接または離間するように前進移動または後退移動させる押圧手段である。
【0031】
押圧手段23、24としては、図示しないマイクロコンピュータ等からなる制御手段によって制御することができるエアシリンダや油圧シリンダ等を用いることができ、該押圧手段23、24によって、前方側のロール20a1、20b1、20c1と、後方側のロール20a2、20b2、20c2とを相互に近接する方向に押し出す、または離間する方向に後退させる。なお、複数対の可動整形ロール対20の近接方向、離間方向への移動のタイミングや時間等は、積層プラスチックフィルムの品種や被包装物の種類等の各種の条件によって適宜設定される。
【0032】
筒状体5の走行方向に沿って上流から順に設けられた3つのロール対20A、20B、20Cは、対向するロール間距離(ロール20a1とロール20a2との間、ロール20b1とロール20b2との間、ロール20c1とロール20c2との間)が、次第に狭くなるように配設されている。これにより、可動整形ロール対20による筒状体5胴部の絞り込み時(近接位置)において、走行する筒状体5の被包装物Mの充填によって生じた膨らみを、横シールロール10に向かって徐々に絞り込んでいくことができ、筒状体5が可動整形ロール対20による絞り込みによってふらつくようなことがなく、安定して平坦な状態まで減厚することができ、横シール部12へのシワの発生を効果的に抑制することができる。
【0033】
また、3つのロール対20A、20B、20Cのうち、筒状体5の走行方向の最下流に位置する、ロール対20Cは、図3(a)に示す筒状体5の胴部に最も近接した位置(絞り込み時)において、対向するロール20c1とロール20c2とのロール間距離(隙間)が1mm以上100mm以下となるようにすることが好ましく、これにより絞り込み時においても筒状体5内への被包装物Mの充填が途切れることがなく、高速での連続した充填包装を可能にすることができる。なお、ロール間の距離は、積層プラスチックフィルムFの品種や厚みなどの条件に基づき、筒状体5の膨らみを絞り込み、ほぼ平坦な状態になるまで整形して横シールロール10に送り出すことができるように適宜、決定される。
【0034】
また、可動整形ロール対20は、横シールロール10の上流位置に、該横シールロール10に近接して設け、好ましくは、最下流に位置するロール対20Cが、横シールロール10のロール軸中心から100mm以内、好ましくは80mm以内、より好ましくは60mm以内に位置するように配設することが好ましく、これにより筒状体5を可動整形ロール対20によって絞り込んで減厚したまま横シールロール10に送り出すことができ、横シール部12へのシワの発生を効果的に抑制することができる。
【0035】
続いて、可動整形ロール対20によって絞り込まれた筒状体5は、一対の横シールロール10によって挟持され、該筒状体5の長手方向に所定の間隔をおいて、充填された被包装物を絞り出しながら、その絞り出し位置を加熱および加圧して横シール部12を形成することで、上下端部が横シール部12によって、両側端部が縦シール部4(図では左側)と折返し部7によって包囲された包装体Wを、積層プラスチックフィルムFの長手方向へ繋がった状態の包装体Wとして製袋することができる。
【0036】
一対の横シールロール10は、図の前後方向に平行に延在させてあり(図では手前側に位置する前方側のものだけを示す。)、歯車組を介してモータで互いに逆向きにかつ等速で回転駆動するものである。例えば、該横シールロール10については、その外周面上に等間隔に位置し、軸線方向へ延在する複数本のヒートシールバー13を有し、対向するヒートシールバー13同士によって筒状体5を挟持し、加圧、加熱することで、筒状体5の走行方向と直交する方向に、その全幅にわたって横シール部12を形成することができる。
【0037】
なお、一対の横シールロール10は、筒状体5に向かって接近および離間する開閉動作に合わせ、積層プラスチックフィルムFの繰り出し方向に一定の間隔で上下動する昇降動作と、を組み合わせたボックスモーションの動作を行うものであることが好ましい。このボックスモーション形の横シールロール10では、筒状体5を挟持して横シールしながら降下動作を行うため、横シール時間を十分に確保することができるため、横シール部のシール強度を高めることができ、たとえ積層プラスチックフィルムFに、アルミ箔や紙等のシーラント層への熱の伝わりを阻害するような材料が積層されていても、シール不良(液漏れや剥離等)の発生を阻止することができる。
【0038】
被包装物が液状物からなる場合には、一対の横シールロール10によって筒状体5を挟持し、該横シールロール10の回転によって筒状体5の間に残存する被包装物を絞り出しながら、その絞り出し位置をヒートシール(夾雑物シール)することで被包装物の横シール部12内への噛み込みを阻止することができるものの、被包装物が胡椒や胡麻、果皮などの固形物を含有する液状物や粘稠物等の流体や流動性を有する固形、半固形物からなる場合には、横シール部12内に被包装物の一部(固形物)が残留し、噛み込まれやすく、その噛み込み位置の融着接合が阻害されて剥離が生じ、やがては液漏れ(スローリーク)が発生するおそれがある。これに対し、従来、固形物を含む被包装物を充填包装する場合には、固形物の横シール部内への噛み込みを阻止するため、被包装物を間欠的に充填して被包装物が介在しない部分を横シールすることや、横シールロールの上流位置に、絞り板や絞りロールからなる絞り手段を設けて、該絞り手段によって筒状体内への被包装物の降下を間欠的に阻止して被包装物が介在しない部分を形成し、該部分を横シールすることで固形物の横シール部内への噛み込みを阻止していた。
【0039】
これに対し、本発明では、一対の横シールロール10を、ボックスモーション動作を行うものにして、強加圧下(好ましくは500kPa以上、好ましくは500~2000kPa、より好ましくは600~1500kPa)でヒートシールを行い、横シール位置の筒状体5を強加圧することで、該横シール位置に残留する被包装物中の固形物を強く粉砕すると同時に、その粉々になった固形物の割れ目および該固形物どうしの隙間に、該横シールロール10による加熱によって軟化し溶融した積層プラスチックフィルムのシーラント層樹脂を含浸させていく、いわゆる粉砕含浸処理を行う。
【0040】
その結果、図5に示すように横シール位置に残留する固形物Sは、図5(a)に示すようにベース層30とシーラント層31からなる積層プラスチックフィルムFの、対面するシーラント層31中において島状に分散して点在するようになり、該シーラント層31中の固形物Sは、図5(b)に拡大して示したように粉々になると同時に、溶融したシーラント層31の樹脂31’がその固形物Sの割れ目に含浸し、もしくは包囲して、積層プラスチックフィルムFのシーラント層31と共に融着接合し、横シール部12を形成するようになる。その結果、該横シール部12の融着接合が前記固形物によって阻害されるようなことがなくなり、隙間の発生や剥離等によってシール不良(液漏れ)を招くようなことがなくなる。
【0041】
したがって本実施形態の充填包装機によれば、横シールロール10の上流位置に近接して設けた複数対の可動整形ロール対20によって横シール部12内へのシワの発生を抑制することができると共に、一対の横シールロール10によって横シール部内に残留した固形物を粉砕含浸処理することができるため、横シール部12内のシワの発生や夾雑物の噛み込みによる隙間の発生や剥離等の発生を抑制することができ、シール不良(液漏れ)の発生を効果的に阻止することができる。
【0042】
なお、横シールロールは、2段で設けてもよく、その場合には、1段目で筒状体5を加熱、加圧して横シール部12を形成し、2段目で該横シール部12部分を冷却されたシールバーによって押さえ付けることで、横シール部12を定着させて安定化させることができる。
【0043】
次に、横シールロール10によって連続して製袋された包装体Wは、ロータリーカッター等による切り離し手段15によって横シール部12の略中間部を幅方向にカットして一体ずつ、もしくは所要の複数体ずつに切り離したり、横シール部12の略中間部にミシン目を入れて複数体を繋げた状態で搬出される。
【0044】
以上、この発明に係る縦型充填包装機について、包装体Wを一列で連続して製造する場合を一例として説明したが、本発明の縦型充填包装機および充填方法は、上記したように幅方向に折り返してなる一枚の広幅の積層プラスチックフィルムF、または二枚重ねにした広幅の積層プラスチックフィルムFに対し、縦シールロール2を幅方向に並列して複数設けて、包装体Wを多列で同時に連続して製造する場合にも好適に利用することができ、同様の作用効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の縦型充填包装機は、飲食物や調味液、医薬品、化学品等の液状物、粘稠物等からなる被包装物を充填包装してなる包装体を一列または多列で同時に連続して製造する際に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 ガイドロッド
2 縦シールロール
3 環状フランジ
4 縦シール部
5 筒状体
6 側端部
7 折返し部
10 横シールロール
11 充填ノズル
12 横シール部
13 ヒートシールバー
15 切り離し手段
20 可動整形ロール対
20A、20B、20C ロール対
20a1、20b1、20c1 ロール
20a2、20b2、20c2 ロール
21a、21b、22a、22b 軸受け箱
30 ベース層
31 シーラント層
31’ 樹脂
R フィルムロール
F 積層プラスチックフィルム
W 包装体
M 被包装物
図1
図2
図3
図4
図5