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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086502
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】電解イオン水生成機
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/461 20230101AFI20230615BHJP
【FI】
C02F1/461 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201060
(22)【出願日】2021-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】508177910
【氏名又は名称】株式会社Eプラン
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】松澤 民男
【テーマコード(参考)】
4D061
【Fターム(参考)】
4D061DA03
4D061DB08
4D061EA02
4D061EB04
4D061EB13
4D061EB16
4D061EB19
4D061EB37
4D061EB38
4D061EB39
4D061ED06
4D061ED12
4D061FA06
4D061FA08
4D061FA13
4D061GA04
4D061GA11
4D061GA18
4D061GB11
4D061GB18
4D061GB30
4D061GC20
(57)【要約】
【課題】 電解イオン水生成機と水道の蛇口をホースで連結しておくことなく電解イオン水を生成することができ、小型、軽量で持ち運びが容易な電解イオン水生成機を提供する。
【解決手段】 筐体内に電解液を貯留できる電解液タンクと、原水及び生成されたイオン水を貯留できる生成タンクと、イオン交換器と、添加剤投入部と、原水給水部がある。イオン交換器は陰極板と陽極板とイオン交換膜を備えており、陽極板側が電解液タンク内に、陰極板側が生成タンク内に収容されている。添加剤投入部は前記筐体内であって電解液タンクの上方に配置されている。原水給水部は前記筐体内であって生成タンクの上方に配置されている。イオン交換器の陰極板と陽極板間に通電すると電気分解により電解イオン水が生成されて生成タンクに貯留される。筐体は回収容器をセットできる容器セット部を備えており、容器セット部は筐体の下部であって生成タンクの下方にある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に電解液を貯留できる電解液タンクと、原水及び生成されたイオン水を貯留できる生成タンクと、イオン交換器と、添加剤投入部と、原水給水部を備えており、
イオン交換器は陰極板と陽極板とイオン交換膜を備えており、陽極板側が電解液タンク内に収容され、陰極板側が生成タンク内に収容されており、
添加剤投入部は投入した添加剤と溶解液が電解液タンクに落下するように、前記筐体内であって電解液タンクの上方に配置されており、
原水給水部は給水した原水が生成タンク内に給水されるように、前記筐体内であって生成タンクの上方に配置されており、
前記筐体内に収容されたイオン交換器は、陰極板と陽極板間に通電すると電気分解により電解イオン水を生成して、生成された電解イオン水を生成タンクに貯留されるようにしてあり、
前記筐体が、回収容器をセットできる容器セット部を備えており、容器セット部は当該筐体の下部であって生成タンクの下方に設けられている、
ことを特徴とする電解イオン水生成機。
【請求項2】
請求項1記載の電解イオン水生成機において、
イオン交換器は陽極板と陰極板の間にイオン交換膜が配置固定されており、このイオン交換器の陽極板側が電解液タンク内に、陰極板側が生成タンク内に配置されて一つの電解セルとなっており、その電解セルが生成機の筐体内に出し入れ可能である、
ことを特徴とする電解イオン水生成機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の電解イオン水生成機において、
電解液タンクと、生成タンクと、イオン交換器が個別に、筐体内に出し入れ可能に収容配置された、
ことを特徴とする電解イオン水生成機。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電解イオン水生成機において、
生成機の筐体の外表面に、生成機を操作する操作機器と生成機の状況を表示する表示機器を備えた操作・表示部がある、
ことを特徴とする電解イオン水生成機。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電解イオン水生成機において、
筐体内に排水ポンプがあり、排水ポンプは生成タンク内の電解イオン水を排出するものである、
ことを特徴とする電解イオン水生成機。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電解イオン水生成機において、
筐体内に攪拌ポンプがあり、攪拌ポンプは電解液タンク内にエアを送って、電解液タンク内の電解液を攪拌するものである、
ことを特徴とする電解イオン水生成機。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電解イオン水生成機において、
電解液タンクと生成タンクの夫々が、夫々のタンクからの溢水を排出する排水ホースを備え、
筐体の下部に、前記排水ホースを通して排水される溢水を受ける水受部がある、
ことを特徴とする電解イオン水生成機。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の電解イオン水生成機において、
生成機の添加剤投入部及び原水給水部は、生成機とは別体の軟水器から軟水を供給することができ、
前記軟水器は受容器の下方にフィルタを備えており、受容器に給水された水道水がフィルタを通過することにより軟水化されるようにしてあり、
フィルタは軟水器から取り出して他のフィルタと交換可能である、
ことを特徴とする電解イオン水生成機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリイオン水、強アルカリイオン水といった電解イオン水を生成することのできる電解イオン水生成機に関する。
【背景技術】
【0002】
アルカリイオン水は飲料水として使用でき、洗浄効果に優れ、地球環境に優しいことも知られている。このため、近年アルカリイオン水を生成できる電解イオン水生成機を工場内や事務所内、家庭内に設置し、水道水等を給水してアルカリイオン水を生成して利用することが増えている。
【0003】
電解イオン水生成機でアルカリイオン水を生成するには、電解イオン水生成機内に原水を給水する必要がある。原水には水道水が使用されることが多い。この場合、水道の蛇口や配水管等(以下「配水管」という。)と、電解イオン水生成機の給水口を給水ホースで連結固定し、この給水ホースを通して水道水が給水される。
【0004】
前記給水ホースの連結作業は面倒で手間がかかるため、多くは、水道工事の業者や電解イオン水生成機を設置する業者により行われている。このため費用がかかる。また、電解イオン水生成機の給水口が給水ホースで常時連結されていることから、電解イオン水生成機の設置場所が限定される。また、一旦設置すると移動しにくくなるため、設置場所によっては不便であるとか邪魔になるといったこともあった。
【0005】
特許文献1には、移動可能な電解イオン水生成機が開示されている。この電解イオン水生成機は水道水を使用するものである。アルカリイオン水の生成には軟水が適しているが、水道水はカルシウムやマグネシウム等(以下「カルシウム等」という。)が含まれているため、水道水を使用する場合はカルシウム等を除去した又は減少させた水(軟水)にするのが望ましい。しかし、特許文献1の電解イオン水生成機はカルシウム等を除去する装置がないため、純水を購入して使用するか、電解イオン水生成機とは別の装置で、カルシウム等を除去して軟水化する必要がある。このため、必ずしも使い勝手の良いものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-042684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の解決課題は、小型、軽量で持ち運びが容易で、水道の蛇口に接続しておく必要がなく、設置場所が制約されず、家庭内、オフィス内等の任意箇所に設置して、電解イオン水を生成できる電解イオン水生機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電解イオン水生成機(以下、単に「生成機」という。特許請求の範囲においても同じ。)は、筐体内に電解液を貯留できる電解液タンクと、原水及び生成された電解イオン水を貯留できる生成タンクと、陰極板と陽極板の間にイオン交換膜が挟まれて固定されているイオン交換器を備えている。イオン交換器は陽極板側が電解液タンク内に収容され、陰極板側が生成タンク内に収容されている。陰極板と陽極板間に通電すると電気分解により電解イオン水が生成され、その電解イオン水が生成タンクに貯留されるようにしてある。
【0009】
電解液タンク、生成タンク、イオン交換器は陽極板側を電解液タンク内に、陰極板側を生成タンク内に収容して一つの電解セルとし、その電解セルを筐体内に収容・取り出し可能とすることができる。電解液タンク、生成タンク、イオン交換器は個別に筐体内に収容・取り出し可能とすることもできる。いずれの場合も、電解液タンク、生成タンクの夫々には、水道水を軟水にした軟水器から直に軟水を給水することができる。
【0010】
筐体内であって、電解液タンクの上に添加剤投入部を設け、添加剤投入部に電解剤(添加剤)と軟水を投入するとそれらが電解液タンクに落下して電解液となるようにしてある。筐体内であって、生成タンクの上に原水給水部を設け、原水給水部に軟水を給水すると生成タンクに落下するようにしてある。
【0011】
筐体の外表面には生成機の運転を操作することができる操作機器と、生成機の状態を表示する表示機器を備えた操作・表示部がある。
【0012】
筐体は、生成された電解イオン水を回収する回収容器をセットできる容器セット部を備えている。容器セット部は筐体の下部であって生成タンクの下方に設けてある。筐体内には電解液タンク内の電解液を攪拌する攪拌ポンプと、生成タンク内の電解イオン水を回収容器に送り出す排水ポンプが内蔵されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の生成機は次のような効果がある。
(1)軟水器で軟水にした水道水(軟水)を軟水器から直に電解液タンク、生成タンクに給水できるので、水道の蛇口に給水ホースで連結しておく必要がなく、設置箇所の制約を受けにくい。小型、軽量で、両手で持って持ち運び可能であるので、家庭内、オフィス内等の狭い場所への設置に適する。
(2)操作・表示部に生成機の運転を操作する操作機器、生成機の状態が表示される表示機器があるので、生成機の操作が容易で、消耗品の交換、メンテナンス等の確認も容易にできる。
(3)電解液タンク内の電解液を攪拌する攪拌ポンプを備えているので、電解液が均一化される。
(4)生成された電解イオン水を回収する回収容器をセットできる容器セット部を備えており、生成タンク内の電解イオン水を回収容器に送り出す排水ポンプを備えているので、電解イオン水の回収が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)は本発明の生成機と軟水器の正面側斜視図、(b)は生成機と回収容器の正面側斜視図。
図2】(a)は本発明の生成機の背面図、(b)は生成機の使用時の背面図。
図3】本発明の生成機の背面側内部説明図。
図4】本発明の生成機の側面側内部説明図。
図5】本発明の生成機における電解セルを取り外した状態の説明図。
図6図5の生成部の正面側斜視図。
図7】本発明の生成機における電解セルの正面側縦断の内部説明図。
図8図1のA-A断面図。
図9図1のB-B断面図。
図10】本発明の生成機の操作・表示部の説明図。
図11】軟水器の蓋を開いた状態の説明図。
図12】本発明の生成機の電解液タンクへの電解剤(添加剤)投入説明図。
図13】本発明の生成機の電解液タンクへの軟水給水説明図。
図14】本発明の生成機の生成タンクへの軟水給水説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態)
本発明の生成機の実施形態を、図面を参照して説明する。この実施形態はあくまでも一例であり、本発明は図示されたものに限定されることなく、本発明の課題を解決可能な範囲で設計変更可能である。
【0016】
[生成機の外観]
本発明の生成機1は図1(a)(b)のように、筐体(ケース)2の上部に開閉可能な蓋3があり、筐体2の正面下部に回収容器4をセットできる容器セット部5がある。筐体2の両側面には窪んだ手掛け部6(図1(a)(b))があり、それに手を掛けて生成機1を持ち運び(移動)できるようにしてある。
【0017】
筐体2の正面には生成機1を操作することができる操作機器、生成機1内の電解液や原水等の状況を表示できる表示機器を備えた操作・表示部7(図1(a)(b))がある。操作・表示部7の左側には電解液タンク20(図3)内の電解液の水位(水量)が表示される電解液表示窓8aがあり、右側には生成タンク21(図4)内の原水及び生成された電解イオン水の水位(水量)が表示されるイオン水表示窓8bがある。
【0018】
筐体1の背面には図2(a)のように、電源コードC、電源スイッチSW、ドレインホースH1、H2、それらホースの出口を開閉する開閉栓S1、S2がある。
【0019】
生成機1は両手で持って容易に持ち運び可能であり、卓上や調理台等の上に設置できる程度の小型、軽量である。一例として、筐体2の外形寸法は高さ424mm、横幅222mm、奥行206.5mmである。重量は両手で持って生成機1を持ち運び(移動)可能な重さ(数kg)である。これら数値は一例であり、両手で持って持ち運び(移動)可能な範囲で設計変更可能である。必要であれば、生成機1は筐体2の底にキャスターをつけて移動可能とすることもできる。キャスターはロック機構を備えたもので、設置箇所に固定できるものが望ましい。
【0020】
[軟水器]
図1では生成機の他に軟水器10(図1(a))を用意してある。軟水器10は水道水を軟水にして生成機1に給水できるものである。軟水器10は本発明に必須のものではないが、必要に応じて生成機1とセットにして用意すると便利である。
【0021】
[生成機の内部構造]
生成機1の筐体2内には、図3図6のように、電解液タンク(陽極槽)20、生成タンク(陰極槽)21、イオン交換器22、電源ユニットE、攪拌ポンプP1、排水ポンプP2がある。
【0022】
[電解液タンク、生成タンク]
電解液タンク20、生成タンク21は汎用の電解イオン水生成機のそれらと同様のものである。電解液タンク20は電解液を貯めておくもの、生成タンク21は原水及び生成された電解イオン水を貯めておくものである。
【0023】
[イオン交換器、電解セル]
イオン交換器22(図5図6)は陽極板23と陰極板24の間にイオン交換膜25が配置固定されている。イオン交換器22は陽極板23を電解液タンク20内に収容配置し、陰極板24を生成タンク21内に収容配置して、一枚の基板B(図6)に取り付けて一台の電解セル30(図5図6)としてある。電解セル30は生成機1の収容空間31(図5)内に出し入れ可能なサイズであり、必要に応じて新しい電解セルと交換できるようにしてある。
【0024】
イオン交換膜25は汎用のものであり、水を通さず、陽イオンのみを通す性質の膜である。例えば、旭硝子株式会社製の「セレミオン」(登録商標)や、デュポン株式会社製の交換膜等を使用することができる。
【0025】
陽極板23(図3図6)、陰極板24(図3図6)は、生成機1の筐体2に内蔵されている電源ユニットE(図8図9)に接続されており、電解に必要な直流電圧が電源ユニットEから給電されるようにしてある。電源ユニットEは外部電源(AC電源)から取り込んだ交流を直流に変換して、生成機1の稼動に必要な電気を供給する。
【0026】
電解液タンク20、生成タンク21、イオン交換器22は図5図6のように一つの電解セル30とするのではなく、それらを個別に生成機1内の収容空間31(図5)内に収容配置することもできる。この場合も、電解液タンク20、生成タンク21、イオン交換器22等は筐体2内の収容空間31から取り外し可能として、適時、メンテナンスや新しいそれらと交換できるようにしておくのが望ましい。
【0027】
[添加剤投入部、原水給水部]
生成機1の筐体2の内部には、図7のように、添加剤投入部26、原水給水部27、電解液タンク20内の電解液の量を検知する電解液センサー28、生成タンク21内の原水の量を検知する原水センサー29、電解液タンク20内の電解液を攪拌する攪拌ポンプP1、生成タンク21内の電解イオン水を回収容器4に送り出す排水ポンプP2、排水ポンプP2に接続されている排水ホース33(図6図7)、電源ユニットE(図8図9)が内蔵されている。筐体2内には電解イオン水の生成に必要な他の機器を内蔵することもできる。
【0028】
[添加剤投入部]
添加剤投入部26(図7)は電解剤(添加剤)を投入し、添加剤を溶解するための水(軟水)を給水するためのものであり、電解液タンク20の上方に設けてあり、上部が投入口26a、下部が出口26bとなっている。投入口26aは上向き開口であり、キャップ32(図8)により開閉可能である。出口26bは電解液タンク20の上に配置して、投入口26aから投入された添加剤及び給水される軟水が電解液タンク20内に落下して、電解液タンク20内で溶解して電解質液(電解液)になるようにしてある。
【0029】
添加剤投入部26の出口26bには、多数の通孔のある底板(メッシュ板、穴あき板等:図視せず)を設け、その底板が電解液タンク20内の軟水に浸るようにしておくことにより、添加剤投入部26の投入口26aから投入された添加剤が底板の上に落下し、その上で軟水に溶解して、電解液タンク20内に流出するようにすることもできる。
【0030】
[攪拌ポンプ]
電解液タンク20内にはホース(図示せず)を引き込んでおき、そのホースに攪拌ポンプP1(図5)から空気を送って電解液タンク20内に排出し、電解液タンク20内の電解液を攪拌して添加剤の沈殿を防止し、電解液を均等濃度とすることもできる。
【0031】
[添加剤]
添加剤には炭酸カリウム(KCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)等が用いられる。添加剤は生成する電解イオン水の量に応じた量が、電解液タンク20内の軟水に投下される。一例として、一回の運転で1Lの強アルカリイオン水を生成する場合、15g程度の添加剤で6回生成可能である。添加剤は粒状、粉状、固形、液状等のいずれの形態でもよいが、粒状、粉状が取り扱い易い。これら添加剤を一回の投入量ずつ分包しておき、分包された分だけを使い切りにしておくと使い勝手が良い。添加剤は生成する電解イオン水の性質に合わせて前記以外のものを使用することもできる。以下の説明では、説明の便宜上、添加剤を「POCA」と記すこともある。
【0032】
[電解液センサー]
電解液センサー28(図7)は添加剤投入部26の出口26bの下に設けて、電解液タンク20内の電解液の水位を検知できるようにしてある。電解液センサー28には汎用の水位センサーを使用することができる。電解液タンク20内の電解液の水位(水量)は電解液表示窓8a(図1(a)(b))から目視により確認することもできる。
【0033】
[原水給水部]
生成タンク21(図7)の上方には、原水(軟水)を給水するための原水給水部27(図7)があり、上部が給水口27a、下部が出口27bとなっている。給水口27aは上向き拡がりに開口している。出口27bは生成タンク21の上に配置して、給水口27aから供給された原水が生成タンク21内に落下するようにしてある。
【0034】
[原水センサー]
原水センサー29は、原水給水部27の出口27bの下に設けて、原水の水位を検知できるようにしてある。原水センサー29には汎用の水位センサーを使用することができる。生成タンク21内の原水又は生成された電解イオン水の水位(水量)はイオン水表示窓8b(図1)から目視により確認することもできる。
【0035】
[容器セット部]
容器セット部5は生成機1の下部であって生成タンク21(図1)よりも下方に設けてあり、回収容器4を生成機1の正面から出し入れできるように正面手前に開口している。容器セット部5の近くには、容器セット部5にセットした回収容器4を検知する容器センサー(図示しない)がある。容器セット部5の近くには報知ランプ(図示しない)を設けて、容器センサーで回収容器4が検知されると点灯して、回収容器4が容器セット部5にセットされていることを確認できるようにすることもできる。報知ランプにはLEDが適する。
【0036】
[回収容器]
回収容器4は生成タンク21から排水ポンプP2で排出される電解イオン水を収容(回収)するものである。図示した回収容器4はボトルであるが、電解イオン水を回収できるものであればボトル以外のもの、例えば、カップ、その他のものであってもよい。回収容器4はポリプロピレン、ポリエチレン、繊維強化プラスチック等の樹脂製、金属製(ステンレス等)、陶器でも良く、市販されているカップ等を使用することもできるが、アルミ製のものは生成された強アルカリイオン水と反応して水素ガスが発生する恐れがあるため好ましくない。回収容器4の容量は生成タンク21内の電解イオン水の全てを収容できる程度が望ましい。
【0037】
[排水ポンプ]
筐体2内には排水ポンプP2(図3図4)が内蔵されている。排水ポンプP2は生成タンク21内の電解イオン水を排水ホース33(図4図6)に排出して、排水ホース33から回収容器4に送り出すものである。
【0038】
[操作・表示部]
生成機1の操作・表示部7(図10)には生成機1の運転を操作する運転ボタン40とリセットボタン42がある。運転ボタン40を操作する(ONにする)と生成機1が稼働して電解イオン水の生成を開始するようにしてある。
【0039】
操作・表示部7(図10)には、運転ボタン40を操作する(ONにする)と点灯する電源ランプ(POWER)41がある。電源ランプ41は通電中は点灯を続け、運転ボタン40をOFFにすると消灯する。
【0040】
操作・表示部7には電解液タンク20内の電解液が所定量以上あると点灯し、不足すると消灯する電解液ランプ(P-TANK)43、原水給水部27から給水された軟水が生成タンク21内に所定量以上あると点灯し、不足すると消灯するイオン水ランプ(E-TANK)44がある。また、電解剤(POCA)が所定量あると消灯し、不足すると点灯するPOCAランプ(ePOCA)45、前記電解セル30(図5図6)の正常時には消灯しているが交換時期になると点灯するセルランプ(CELL)46、前記軟水器10(図1(a))内のフィルタ10bの正常時には消灯しているが交換時期になると点灯するフィルタランプ(FILTER)47もある。
【0041】
電解液ランプ43及びイオン水ランプ44はFULLの文字、POCAランプ45はePOCAのマーク、セルランプ46はCELLのマーク、フィルタランプ47はFILTERのマークの夫々が、点灯、消灯可能なランプになっている。
【0042】
電解セル30、フィルタ10bの交換時期は、生成機1で生成した電解イオン水の量により判定できるようにしてある。電解セル30の交換時期になるとセルランプ46のマークが、フィルタ10bの交換時期になるとフィルタランプ47のマークの夫々が点灯する。セルランプ46のマークが点灯したときは電解セル30を、フィルタランプ47のマークが点灯したときはフィルタ10bを交換する。電解液タンク20内のPOCAが不足するとPOCAランプ45のマークが点灯する。POCAランプ45のマークが点灯しても電解イオン水の生成を継続すると、生成される電解イオン水のpH値が変化するため、POCAランプ45のマーク点灯時には生成機1の動作が停止して電解イオン水の生成が停止する。POCAを投入(補充)してからリセットボタン42を操作(例えば、長押し)すると、点灯していたマークが消灯し、生成機1の運転が可能になる。
【0043】
図示した実施形態の生成機1は、前記した電解液ランプ43とイオン水ランプ44が点灯し、POCAランプ45、セルランプ46、フィルタランプ47が消灯し、容器セット部5に回収容器4がセットされているときに、運転ボタン40を操作すると運転を開始するが、それ以外の時は、運転ボタン40を操作しても運転を開始しないようにしてある。各ランプの点灯、消灯は前記以外とすることもできる。
【0044】
[軟水器]
軟水器10(図1(a)、図11)は水道水に含まれるカルシウムや他の不純物を濾過して軟水化するものある。軟水器10には市販のものを使用することができる。軟水器10は容器内の上部が受容器10a、下部がフィルタ10bであり、受容器10aに給水した水道水がイオン交換樹脂等のフィルタ10bを通過してカルシウム等が濾過されて軟水化される。受容器10aの底には穴あき板、メッシュ板等の底板があり、水道水に混入している塵芥や不純物が除去されて、水道水が軟水化されるようにしてある。軟水器10で生成された軟水は、軟水器10のフィルタ10bの下に溜まる。その軟水は軟水器10を傾けると、軟水器10内の排出路(図示せず)を通って、その自重で出口10cを押し開けて排出されるようにしてある。
【0045】
軟水器10内の受容器10aの容量は、生成機1内の電解液タンク20、生成タンク21の容量と同程度にして、受容器10a内の軟水を電解液タンク20又は生成タンク21に給水すると、電解液タンク20又は生成タンク21が適量になるようにしておくと、電解イオン水の生成量の計測や、軟水器10のフィルタ10bや、生成機1内の電解セル30(図6)等の交換時期の目安にすることができて便利である。
【0046】
[フィルタ]
軟水器10内のフィルタ10bには、例えば、汎用のメッシュフィルタ、活性炭フィルタ、イオン交換樹脂フィルタ、その他のフィルタを使用することができる。使用後のフィルタ10bは軟水器10から取り出して新しいフィルタと交換することができるようにしてある。
【0047】
[電解イオン水の生成]
本発明の生成機1で電解イオン水を生成する場合の一例を次に説明する。
【0048】
[生成機の準備:軟水化]
生成機1の電解液タンク20、生成タンク21に水道水を入れると、水道水に含まれるカルシウム等が生成機1の電解セル30(図5図6)に付着して、電解セル30の早期故障の一因となるので、電解液タンク20、生成タンク21には軟水を入れる。生成機1の運転に先立って、図1(a)の軟水器10の蓋10dを開いて受容器10aに水道水を入れて、水道水に含まれるカルシウム、その他の不純物を、フィルタ10bで除去して軟水にしておく(軟水化)。生成機1の一回の動作で生成される電解イオン水の量は、電解液タンク20、生成タンク21の容量等により選択できるが、この実施形態では、一例として、500cc程度の量に設定してあり、4分間程度の連続稼働で、pH12前後のアルカリイオン水を生成できるようにしてある。
【0049】
[生成準備:電源の接続]
電源コードC(図2(b))を商用電源のコンセントに接続し、電源スイッチSWをONにしておく。
【0050】
[生成準備:電解液タンクへの電解剤及び軟水の投入]
電源を前記のように入れた状態で、生成機1の添加剤投入部26の投入口26aのキャップ32(図8)を取り外して、投入口26aから添加剤投入部26に電解剤(添加剤)を投入する(図12)。その後、軟水器10内の軟水を投入口26aに入れて電解液タンク20に給水し(図13)、その軟水で先に投入した電解剤を溶解させて電解液とする。軟水と電解剤の投入順序はこれとは逆であってもよい。この場合は、電解剤は電解液タンク20(図7)内の軟水に落下して溶解し、カリウムイオンの電解液となる。電解剤には前記のように、予め所定量ずつ分包してあるPOCAを使用することができる。
【0051】
[生成準備:生成タンクへの軟水の投入]
軟水器10で軟水化しておいた軟水を、軟水器10から生成機1の原水給水部27に投入して生成タンク21内に給水する。生成タンク21内への軟水の給水と電解液タンク20への電解剤及び軟水の投入の順序は前記と逆であってもよい。いずれであっても、イオン交換器22のイオン交換膜25は陽イオンのみを通すため、電解液タンク20内の電解液が生成タンク21内の原水(軟水)に混ざることはない。
【0052】
前記生成準備により、電解液ランプ43とイオン水ランプ44が点灯する。この時、POCAが適量あり、電解セル30、軟水器10のフィルタ10bが使用期間内であれば、POCAランプ45、セルランプ46、フィルタランプ47は消灯している。
【0053】
[オーバーフローした軟水]
電解液タンク20、生成タンク21へ給水した軟水が所定の水位を超えた(オーバーフローした)ときは、超えた軟水がオーバーフロー用(溢水用)の排水ホース50a、50b(図6)内を通過して、皿状の水受部51(図1(b))に流れ落ちるようにしてある。
【0054】
[生成機の稼働開始]
生成機1の各種ボタンの点灯、消灯状況を確認してから、運転ボタン40をONにすると、電源ランプ41が点灯し、生成機1が運転を開始して、電解イオン水の生成が開始される。この間、生成機1内の電解セル30で電気分解が行われて、電解液タンク20からカリウムイオン等の陽イオンがイオン交換膜25を透過して生成タンク21内に入り、生成タンク21内で還元反応がおきて電解イオン水(アルカリイオン水、強アルカリイオン水)が生成される。生成中(正常運転中)は各ランプが運転開始時のままであり、正常に生成中であることを知らせる。予め設定してある時間、例えば、500ccの軟水の場合、数分(例えば、4分程度)で電解イオン水が生成される。電解イオン水の生成が完了すると生成機1に内蔵されているタイマー(図示しない)が作動して生成が自動的に停止する。このとき、電源ランプ41の点灯が消えて生成完了を知らせる。また、ブザー等の報知機が鳴るようにすることもできる。
【0055】
[POCA、電解水の補充]
POCAランプ45が点灯して添加剤(POCA)の投入が要求されたときは、規定量の添加剤(前記分包1袋)を添加剤投入部26の投入口26aから投入して補充する。このとき、必要に応じて、添加剤投入部26の投入口26aから軟水を補充する。軟水は軟水器10から補充することができる。
【0056】
[原水の補充]
イオン水ランプ44が点灯して、原水の補充が要求されたときは、規定量の軟水を軟水器10から原水給水部27に消灯するまで給水して補充する。
【0057】
[電解セルの交換]
セルランプ46は電解セル30(図6)が交換時期になると点灯して、電解セル30の交換を要求する。交換要求されたときは、運転ボタン40を操作して生成機1の運転を停止させてから電解セル30を取り出して新しい電解セル30と入れ替える。電解セル30の交換時期は生成機1による電解イオン水の生成量が、予め定めてある水量(所定水量)になったときに設定してある。
【0058】
[フィルタの交換]
フィルタランプ47は、軟水器10のフィルタ10bが交換時期になると点灯して、フィルタ10bの交換を要求する。フィルタ10bの交換時期は、軟水器10から電解液タンク20及び生成タンク21への軟水の供給回数が、予め定めてある回数(所定回数)になった時と設定してある。フィルタ10bの交換が要求されたら、フィルタ10bを新しいフィルタと交換する。
【0059】
生成機1の上記動作は、各ランプが点灯・消灯して正常運転する場合であるが、各ランプの点灯・消灯状況が前記の場合と異なるときは、夫々の状況に応じて点灯、消灯する。
【0060】
[電解イオン水の回収]
生成タンク21内に所定pHの電解イオン水が所定量生成されたら、排水ポンプP2により、生成タンク21内の電解イオン水を回収容器4に回収することができる。この場合、容器セット部5に回収容器4をセットすると、容器センサー(図示せず)が回収容器4を検出し、排水ポンプP2が自動的に作動を開始して、回収容器4に生成タンク21内の電解イオン水が自動的に排出されて回収される。
【0061】
[トラブル発生による電解液の交換]
添加剤を既定量より多く入れ過ぎると、電源装置に負担が掛りすぎるので、電解イオン水生成中であっても生成機1が停止するようにしてある。このときは、電源スイッチSWをOFFにして、ドレインホースH1から電解液タンク20内の電解液を全量排出し、電解液タンク20内を水道水で洗浄する。洗浄後の電解液タンク20内に軟水を注水して生成を再開する。
【0062】
[移動、移設時の排水]
電解液タンク20、生成タンク21内の液体を全量排出するときは、ドレインホースH1、H2の開閉栓S1、S2(図2)を開いて、夫々のタンク20、21内の液体をドレインホースH1、H2から排出する。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の電解イオン水生成機、それによる電解イオン水生成方法はあくまでも一例であって、本発明はこれに限られるものではない。本発明の電解イオン水生成機は家庭用として使用するのに適するものであるが、業種を問わず各種分野において利用することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 電解イオン水生成機(生成機)
2 (生成機の)筐体
3 蓋
4 回収容器
5 容器セット部
6 手掛け部
7 操作・表示部
8a 電解液表示窓
8b イオン水表示窓
10 軟水器
10a (軟水器内の)受容器
10b (軟水器内の)フィルタ
10c (軟水器内の)出口
10d (軟水器内の)蓋
20 電解液タンク(陽極槽)
21 生成タンク(陰極槽)
22 イオン交換器
23 陽極板
24 陰極板
25 イオン交換膜
26 添加剤投入部
26a (添加剤投入部の)投入口
26b (添加剤投入部の)出口
27 原水給水部
27a (原水給水部の)給水口
27b (原水給水部の)出口
28 電解液センサー
29 原水センサー
30 電解セル
31 (生成機内の)収容空間
32 キャップ
33 排水ホース
40 運転ボタン
41 電源ランプ
42 リセットボタン
43 電解液ランプ
44 イオン水ランプ
45 POCAランプ
46 セルランプ
47 フィルタランプ
50a (オーバーフロー用の)排水ホース
50b (オーバーフロー用の)排水ホース
51 水受部
B 基板
C 電源コード
E 電源ユニット
H1 ドレインホース
H2 ドレインホース
P1 攪拌ポンプ
P2 排水ポンプ
S1 開閉栓
S2 開閉栓
SW 電源スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14