(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086516
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】熱回収器
(51)【国際特許分類】
F01N 3/28 20060101AFI20230615BHJP
F01N 3/02 20060101ALI20230615BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20230615BHJP
F01N 5/02 20060101ALI20230615BHJP
F01N 13/08 20100101ALI20230615BHJP
【FI】
F01N3/28 301U
F01N3/02 101E
F01N3/02 101J
F01N3/24 L
F01N3/24 Q
F01N5/02 C
F01N5/02 K
F01N5/02 H
F01N13/08 B
F01N5/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201081
(22)【出願日】2021-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】林 克樹
【テーマコード(参考)】
3G004
3G091
【Fターム(参考)】
3G004DA01
3G004DA14
3G004EA06
3G091AA17
3G091AA18
3G091AA19
3G091AA21
3G091AB01
3G091BA36
3G091CA08
(57)【要約】
【課題】管状部材内に収容された触媒の当該管状部材の中心軸方向へのズレを抑制する。
【解決手段】熱回収器は、主配管と、触媒と、熱交換部と、を備える。主配管は、ガスが通過する。触媒は、主配管の内部空間に収容される。熱交換部は、触媒通過後のガスが流入し、ガスと冷媒との間で熱交換を行う。主配管は、主配管の側壁の一部が内部空間内に向かって突き出るように形成される突起部を有する。触媒は、突起部によって主配管の中心軸方向への移動が制限される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱回収器であって、
ガスが通過する主配管と、
前記主配管の内部空間に収容される触媒と、
前記触媒通過後のガスが流入し、ガスと冷媒との間で熱交換を行う熱交換部と、
を備え、
前記主配管は、前記主配管の側壁の一部が前記内部空間内に向かって突き出るように形成される突起部を有し、
前記触媒は、前記突起部によって前記主配管の中心軸方向への移動が制限される、熱回収器。
【請求項2】
請求項1に記載の熱回収器であって、
前記突起部は、前記主配管の前記側壁の一部が切り起こされて形成される、前記主配管の前記内部空間に延び出す舌片状の部分であり、
前記側壁の一部が切り起こされることで形成された開口部から前記熱交換部へガスが流入する、熱回収器。
【請求項3】
請求項2に記載の熱回収器であって、
前記熱交換部は、前記開口部から流入したガスを当該熱交換部の外に流出させる流出口と、前記開口部と前記流出口とを繋ぐ複数の流路と、を有し、
前記複数の流路は、前記開口部から前記流出口までの流路長が略同一の長さとなるように形成されている、熱回収器。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の熱回収器であって、
前記突起部は、ガスの流れ方向において前記触媒よりも下流側に位置する、熱回収器。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の熱回収器であって、
前記触媒と前記主配管との間に配置される保持部材を更に備え、
前記触媒は、前記保持部材が当該保持部材の前記中心軸方向の端部において前記突起部と当接することによって、前記中心軸方向への移動が制限される、熱回収器。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の熱回収器であって、
前記熱交換部は、前記主配管の少なくとも一部を径方向外側から囲むように配置される、熱回収器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱回収器に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用の内燃機関における排気ガスの熱を冷却水によって回収する排気熱回収器が知られている。排気熱回収器は、排気ガスの排出流路に設けられる。排気熱回収器内で冷却水によって回収された排気熱は、車内の暖房、内燃機関の暖機等に供される。
【0003】
特許文献1には、内部を冷却水が流通可能な第1、第2、第3の円筒壁部を備え、第1、第2、第3の円筒壁部のうち一番内側に配置される第1の円筒壁部の内部空間に触媒が収容される排気熱回収器が開示されている。この排気熱回収器では、触媒通過後の排気ガスが、第1の円筒壁部の下流側に設けられた多数の排気導入孔から第1、第2、第3の円筒壁部により形成される排気流通路内に流入することで、排気ガスと冷却水との間で熱交換が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した排気熱回収器では、第1の円筒壁部内に収容された触媒が振動や排気ガスの圧力によって当該第1の円筒壁部の中心軸方向にズレる可能性があるという問題があった。
【0006】
本開示の一局面は、管状部材内に収容された触媒の当該管状部材の中心軸方向へのズレを抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、熱回収器であって、主配管と、触媒と、熱交換部と、を備える。主配管は、ガスが通過する。触媒は、主配管の内部空間に収容される。熱交換部は、触媒通過後のガスが流入し、ガスと冷媒との間で熱交換を行う。主配管は、主配管の側壁の一部が内部空間内に向かって突き出るように形成される突起部を有する。触媒は、突起部によって主配管の中心軸方向への移動が制限される。
【0008】
このような構成では、主配管の内部空間内に向かって突き出る突起部を主配管が有するため、主配管内に収容される触媒の当該主配管の中心軸方向への移動は、突起部によって妨げられやすい。したがって、主配管の内部空間に収容された触媒の当該主配管の中心軸方向へのズレを抑制することができる。
【0009】
本開示の一態様では、突起部は、主配管の側壁の一部が切り起こされて形成される、主配管の内部空間に延び出す舌片状の部分であってもよい。側壁の一部が切り起こされることで形成された開口部から熱交換部へガスが流入してもよい。このような構成によれば、突起部が主配管の側壁の一部を切り起こすことで形成されるため、新たな部材を追加することで突起部が形成される構成と比較して、簡易な構成で触媒の位置ズレを抑制することができる。また、突起部を形成するために側壁が切り起こされた結果、突起部の形成と共にガスの熱交換部への流入口である開口部が形成されるため、新たにガスの熱交換部への流入口が形成される構成と比較して、簡易に開口部を形成することができる。
【0010】
本開示の一態様では、熱交換部は、流出口と、複数の流路と、を有してもよい。流出口は、開口部から流入したガスを当該熱交換部の外に流出させる。流路は、開口部と流出口とを繋ぐ。複数の流路は、開口部から流出口までの流路長が略同一の長さとなるように形成されていてもよい。このような構成では、複数の流路の流路長が略同一であるため、流路長の差に起因する各流路の圧力損失の差が生じにくいことから、ガスが各流路内にムラなく流れやすい。その結果、各流路におけるガスと冷媒との間の熱交換が一様に行われやすいため、熱交換部の性能を高めやすい。
【0011】
本開示の一態様では、突起部は、ガスの流れ方向において触媒よりも下流側に位置してもよい。このような構成によれば、突起部が触媒よりも下流側に位置するため、触媒の下流側へのズレを抑制することができる。
【0012】
本開示の一態様は、触媒と主配管との間に配置される保持部材を更に備えてもよい。触媒は、保持部材が当該保持部材の中心軸方向の端部において突起部と当接することによって、中心軸方向への移動が制限されてもよい。このような構成によれば、保持部材が突起部と当接するため、保持部材の主配管の中心軸方向へのズレを物理的に制限することができる。そして、保持部材の突起部への当接によって、摩擦力を有するように保持部材に周囲を保持される触媒の主配管の中心軸方向へのズレを抑制することができる。
【0013】
本開示の一態様では、熱交換部は、主配管の少なくとも一部を径方向外側から囲むように配置されていてもよい。このような構成によれば、主配管から熱交換部への流路を短縮できると共に、熱回収器を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】
図1のII―II線での模式的な断面図である。
【
図3】
図2のIII-III線での模式的な断面図である。
【
図4】
図2のIV-IV線での模式的な断面図である。
【
図5】
図5Aは主配管を示す模式的な斜視図であり、
図5Bは触媒及びマットが収容された状態の主配管を示す模式的な端面図であり、
図5Cは
図5BのVC-VC線での模式的な断面図である。
【
図6】三角形状の突起部を有する主配管を示す模式的な端面図である。
【
図7】半楕円形状の突起部を有する主配管を示す模式的な端面図である。
【
図8】触媒と重なる位置まで延びる長さの突起部を有する主配管を示す模式的な端面図である。
【
図9】下流側の端部が当該端部の縁で閉塞される主配管を示す模式的な断面図である。
【
図10】下流側の閉塞位置が異なる主配管を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.構成]
図1に示す熱回収器1は、次に説明する様々な態様で用いられることが可能である。例えば、熱回収器1は、内燃機関の下流側の排気ガス流路内に設けられ、排気ガスの熱を冷媒である冷却水に回収する排気熱回収器であってもよい。排気熱回収器が設けられる内燃機関としては、例えば、自動車に用いられるガソリンエンジン又はディーゼルエンジンが挙げられる。
【0016】
また、例えば、熱回収器1は、内燃機関の上流側の吸気ガス流路内に設けられ、内燃機関へ流入する燃料として利用可能なガスの熱を冷媒である冷却水に回収して当該ガスを冷却するメタネーション器、又は、水蒸気改質器であってもよい。
【0017】
メタネーション器が設けられる内燃機関としては、例えば、メタンエンジンが挙げられる。メタネーション器では、水素及び二酸化炭素を含むガスが当該メタネーション器に導入され、メタネーション触媒を用いて当該ガスからメタンガスが生成される。この生成されたメタンガスは、例えばメタンエンジンの燃料として利用される。
【0018】
また、水蒸気改質器が設けられる内燃機関としては、例えば、水素エンジンが挙げられる。また、水蒸気改質器は、例えば、燃料電池を備える装置にも設けられる。水蒸気改質器では、水蒸気及びメタン、メタノール、エタノール等の炭化水素を含むガスが当該水蒸気改質器に導入され、改質触媒を用いて当該ガスから水素ガスが生成される。この生成された水素ガスは、例えば燃料電池の発電に用いられたり、水素エンジンの燃料として利用されたりする。
【0019】
なお、メタネーション器が備えるメタネーション触媒において生成されるガスは、発熱反応であるメタネーション反応によって生成されるため、ガスの温度が高くなりやすい。このため、後の工程において高温による負荷を与えにくくするために、内燃機関への導入前にガスを冷却することが必要な場合がある。また、水蒸気改質器が備える改質触媒において行われる改質反応によって生じる熱の温度が、例えば燃料電池に供給したい温度よりも高い場合、燃料電池への供給前に冷却することが必要な場合がある。上述した排気熱回収器、メタネーション器及び水蒸気改質器において、冷媒と熱交換することによってガスから回収した熱は、そのまま熱として、又は、他のエネルギーに変換して別工程において活用される。
【0020】
熱回収器1は、主配管2と、熱交換部3と、ステイプレート4と、バルブ5と、シール部材6と、シェル7と、カバー8と、第1通水口9と、第2通水口10と、を備える。
【0021】
<主配管>
主配管2は、ガスGを第1端部2Aから第2端部2Bに向かって通過させる。
図2に示すように、主配管2の第2端部2Bは、後述するステイプレート4の内側に圧入されている。主配管2の中心軸P1は、ステイプレート4の中心軸P2と一致する。なお、本実施形態では、主配管2は、径が一定の直管である。
【0022】
本実施形態では、
図3及び
図4に示すように、熱回収器1は、主配管2の内部空間に収容される触媒21及びマット22を備える。また、主配管2は、突起部23と、開口部24と、を有する。
【0023】
主配管2に設けられる突起部23は、主配管2の側壁の一部が主配管2の内部空間内に向かって突き出るように形成される。開口部24は、主配管2の内側と外側とを貫通する貫通孔である。開口部24は、後述する熱交換部3と連通する。なお、突起部23及び開口部24の詳細については後述する。
【0024】
<触媒>
触媒21は、円筒状を有する。本実施形態では、触媒21として、主配管2の中心軸P1方向に沿った長さが短い薄型触媒が用いられる。触媒21は、上述した排気熱回収器に用いられるような、排気ガスとの接触によって排気ガス中の環境汚染物質を改質又は捕集し、排気ガスを浄化する浄化触媒であってもよい。また、触媒21は、上述したメタネーション器に用いられるような、水素及び二酸化炭素を含むガスとの接触によって、メタンガスを生成するメタネーション触媒であってもよい。また、上述した水蒸気改質器に用いられるような、水蒸気及び炭化水素を含むガスとの接触によって水素ガスを生成する改質触媒であってもよい。
【0025】
<マット>
マット22は、触媒21と主配管2との間の隙間に配置される円筒状の部材である。マット22は、主配管2の内周面を覆うと共に、触媒21の外周面を覆った状態で配置される。マット22は、主配管2の中心軸P1方向に沿った長さが、触媒21の長さよりも少し短い、又は、触媒21の長さと同程度である。マット22は、クッション性及び断熱性を有し、主配管2からの振動及び騒音の少なくとも一方を吸収する。また、マット22は、アルミナファイバー、グラスウール等であってもよい。
【0026】
<熱交換部>
熱交換部3は、触媒21を通過後のガスが主配管2の開口部24から流入し、ガスと冷却水との間で熱交換を行う部位である。熱交換部3は、主配管2の少なくとも一部を径方向(つまり、ガスの流れ方向と交差する方向)外側から囲むように配置されており、触媒21が内部空間に収容された主配管2と一体に形成されている。熱交換部3は、複数のプレート31を有する。熱交換部3は、複数のプレート31の外側を流れるガスGと、複数のプレート31の内側を流れる冷却水Wと、の間で各プレート31を介して熱交換を行う。これにより、熱交換部3は、ガスGの熱を冷却水Wに与える。
【0027】
複数のプレート31は、主配管2におけるガスGの流れ方向に重ねられている。各プレート31は、円盤状の形状を有する。複数のプレート31は、主配管2の径方向外側を囲むように配置されており、複数のプレート31の中心軸は主配管2の中心軸P1と一致する。
【0028】
熱交換部3は、主配管2の開口部24から流入したガスGを当該熱交換部3の外に流出させる後述する流出口Sを有する。複数のプレート31が上述したように重ねられることによって、各プレート31間の隙間をガスGが通過可能となる。このため、熱交換部3は、開口部24と流出口Sとを繋ぐ複数の流路を有する。本実施形態では、開口部24から流出口Sまでの流路長が略同一の長さとなるような、例えば3つの流路31A~31Cが形成されている。
【0029】
第2通水口10から各プレート31内に供給された冷却水Wは、各プレート31内を通過し、第1通水口9から排出される。なお、冷却水Wは、第1通水口9から供給されて第2通水口10から排出されてもよい。
【0030】
<ステイプレート>
ステイプレート4は、主配管2と後述するバルブ5との間に配置された円筒状の部材である。ステイプレート4は、円筒状の本体部41と、円盤状の鍔部42と、円筒状のストレート部43と、を有している。
【0031】
本体部41には、上述した主配管2が圧入されている。具体的には、本体部41の内周面が主配管2の第2端部2Bの外周面と全周において当接するように、主配管2の第2端部2Bがステイプレート4の内側に圧入されている。
【0032】
鍔部42は、本体部41の主配管2に近い端部、つまりガスGの流れ方向における上流側の端部から径方向外側に延伸している。鍔部42は、主配管2の中心軸P1と交差する環状面を有する。本実施形態では、鍔部42の環状面は、主配管2の中心軸P1と垂直である。また、鍔部42には、熱交換部3の複数のプレート31のうちの1つが面接触している。つまり、ステイプレート4は、熱交換部3によってガスGの流れ方向に押圧されている。
【0033】
ストレート部43は、鍔部42の径方向外側の縁からガスGの流れ方向に延伸している。ストレート部43の外周面は、後述するシェル7の内周面と平行である。ストレート部43における外周面の周方向の一部は、
図3に示すように、シェル7の内周面と面接触している。一方、ストレート部43における外周面の周方向の残りの部分は、
図4に示すように、シェル7の内周面と離間しており、ストレート部43とシェル7との間に隙間が形成されている。熱交換部3に供給されたガスGは、当該熱交換部3の下流側に位置する当該隙間から排出される。つまり、ストレート部43とシェル7との間に形成された隙間が、上述した熱交換部3の流出口Sとなる。流出口Sは、熱交換部3の下流側に位置する。
【0034】
<バルブ>
バルブ5は、ガスGの主配管2から熱交換部3への供給量を調整するように開閉するスイング式のバタフライバルブである。バルブ5は、主配管2の第2端部2BのガスGの流れ方向における下流側に配置される。具体的には、バルブ5は、シェル7に取り付けられ、ステイプレート4の開口を主配管2とは反対側から閉塞可能に開閉する。バルブ5の開閉は、
図1に示すバルブ5の回動軸を構成する軸部54を中心としてバルブ5が回動することにより実現される。なお、軸部54の具体的な構造及びバルブ5と軸部54の支持機構については説明を割愛する。
【0035】
<シール部材>
シール部材6は、バルブ5とステイプレート4との隙間をシールする円筒状の部材であり、弾性体で構成されている。シール部材6を構成する弾性体としては、例えば、ステンレス等の金属材料を用いたメッシュが好適に使用できる。バルブ5が閉じた状態において、シール部材6の外周面には、バルブ5の内周面が当接する。シール部材6は、
図3及び
図4に示すように、ステイプレート4の本体部41のうち、バルブ5によって閉塞される端部の外周面に固定されている。シール部材6は、例えば、溶接、カシメ、挟み込み等の手段によって、ステイプレート4に固定される。
【0036】
<シェル>
シェル7は、主配管2の一部と、熱交換部3の一部と、ステイプレート4と、バルブ5と、シール部材6と、を格納する円筒状のケーシングである。シェル7の中心軸P3は、主配管2の中心軸P1及びステイプレート4の中心軸P2と一致している。シェル7は、後述する軸受74、つまりカバーアウターが設けられた部分を除いて径が一定の第1部71と、ガスGの流れ方向に沿って縮径する第2部72と、径が一定の第3部73と、を有する。
【0037】
第1部71には、ステイプレート4におけるストレート部43の外周面の一部が当接している。第2部72は、第1部71のガスGの流れ方向における下流側に接続されている。バルブ5は、第2部72の内側に配置されている。第3部73は、第2部72のガスGの流れ方向における下流側に接続されている。第3部73は、熱回収器1におけるガスGの排出口であるガス出口7Aを有する。
【0038】
シェル7の第1部71には、
図2に示すように、軸受74が配置されている。軸受74には、バルブの軸部54が回転可能に挿入されている。
【0039】
<カバー>
カバー8は、
図3に示すように、シェル7のガス出口7Aとは反対側を塞ぐ有底筒状の部材である。カバー8は、シェル7の内側に挿入されると共に、底部81に設けられた開口に主配管2が挿入されている。また、カバー8の底部81には、第1通水口9と第2通水口10とが取り付けられている。カバー8は、熱交換部3の一部を覆っている。
【0040】
<突起部及び開口部>
図5A~
図5Cに示すように、本実施形態では、突起部23は、主配管2の側壁の一部が切り起こされることで形成される。開口部24は、主配管2の側壁の一部が切り起こされることで形成された貫通孔である。突起部23は、主配管2の内部空間に延び出す、具体的には、開口部24の周縁部から内側に延び出す四角形状の舌片状の部分である。換言すると、突起部23は、主配管2の側壁の一部領域について、上流側における一部分を残して周囲から切り離され、当該一部分を中心に内側に起こされた部分である。
【0041】
本実施形態では、突起部23は、ガスの流れ方向において、触媒21よりも下流側に位置する。また、開口部24は、ガスの流れ方向において、突起部23よりも下流側に位置する。突起部23は、ガスの流れ方向において、熱交換部3よりも上流側に位置する。このため、
図3及び
図4に示すように、開口部24が熱交換部3の上流側に位置する。
【0042】
図5A及び
図5Bに示すように、本実施形態では、突起部23は、主配管2の周方向において所定の間隔を空けて4つ設けられる。このため、開口部24も主配管2の周方向において所定の間隔を空けて4つ設けられる。突起部23は、主配管2の内部空間側に向かう方向への長さが、マット22の径方向の幅と同程度の長さを有する。突起部23は、マット22のガスの流れ方向の下流側の端部に当接する。換言すると、突起部23の第1端部2A側の面が、マット22の第2端部2B側の面と当接する。これにより、マット22のガスの流れ方向への移動が制限される。そして、マット22と触媒21とは摩擦力によって互いにズレにくい関係にある。このため、マット22が突起部23と当接することによって、触媒21のガスの流れ方向への移動も制限される。すなわち、突起部23と直接当接したマット22との摩擦力によって、間接的に触媒21のガスの流れ方向への移動が制限される。
【0043】
[2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2a)本実施形態では、主配管2の内部空間内に向かって突き出る突起部23を主配管2が有し、突起部23が触媒21よりも下流側に位置する。また、突起部23は、主配管2の内部空間側に向かう方向への長さが、マット22の径方向の幅と同程度の長さであり、ガスの流れ方向においてマット22が突起部23と当接する。このため、マット22のガスの流れ方向、すなわちマット22の下流側へのズレを突起部23によって物理的に制限することができる。そして、マット22の突起部23への当接によって、摩擦力を有するようにマット22に周囲を保持される触媒21のガスの流れ方向、すなわち触媒21の下流側へのズレも抑制することができる。また、本実施形態では、突起部23が触媒21と重ならないため、触媒21のガス通過が阻害されにくい状態で、突起部23によって触媒21の下流側へのズレを抑制することができる。
【0044】
(2b)本実施形態では、突起部23が主配管2の側壁の一部を切り起こすことで形成される。このため、新たな部材を追加することで突起部が形成される構成と比較して、簡易な構成で触媒21の主配管2の中心軸P1方向への位置ズレを抑制することができる。また、突起部23を形成するために側壁が切り起こされた結果、突起部23の形成と共にガスの熱交換部3への流入口である開口部24が形成される。このため、新たにガスの熱交換部3への流入口が形成される構成と比較して、簡易に開口部24を形成することができる。
【0045】
(2c)本実施形態では、熱交換部3へのガスの流入口である開口部24が熱交換部3の上流側に位置し、熱交換部3からのガスが流出する流出口Sが熱交換部3の下流側に位置する。このため、例えば開口部及び流出口が共に熱交換部3の下流側に位置する構成と比較して、ガスが上流側から下流側に向かって流れやすい。また、開口部24と流出口Sとを繋ぐ複数の流路31A~31Cの流路長が略同一の長さとなるように形成されている。このため、流路長の差に起因する各流路の圧力損失の差が生じにくいことから、ガスが各流路31A~31C内にムラなく流れやすい。その結果、各流路31A~31Cにおけるガスと冷媒との間の熱交換が一様に行われやすいため、熱交換部3の性能を高めやすい。
【0046】
なお、本実施形態では、マット22が保持部材に相当する。
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0047】
(3a)上記実施形態では、主配管2に四角形状の突起部23が主配管2の周方向において所定の間隔を空けて4つ設けられる構成を例示したが、突起部の形状及び数はこれに限定されるものではない。例えば、突起部は、1~3つ、又は、5つ以上設けられていてもよい。
【0048】
また、例えば、
図6に示す主配管2aのように、三角形状の突起部23aが設けられていてもよい。具体的には、突起部23aは、主配管2aの側壁の一部が切り起こされた状態において、図示を省略する開口部の周縁部から内側に延び出す三角形状の舌片状の部分であってもよい。なお、突起部23aが設けられることによって形成される開口部も、三角形状の貫通孔となる。また、例えば、
図7に示す主配管2bのように、半楕円形状の突起部23bが設けられていてもよい。具体的には、突起部23bは、主配管2bの側壁の一部が切り起こされた状態において、図示を省略する開口部の周縁部から内側に延び出す半楕円形状の舌片状の部分であってもよい。なお、突起部23bが設けられることによって形成される開口部も、半楕円形状の貫通孔となる。また、突起部は、上述した形状の他、様々な形状であってもよい。突起部の形状を変えることによって、ガスの流入口である開口部の大きさを調整したり、触媒21のガスの流れ方向へのズレの防止のしやすさを調整したりすることができる。また、突起部の数を変えることによって、ガスの流入口である開口部の相対面積を大きくしたり、触媒21のガスの流れ方向へのズレの防止のしやすさを調整したりすることができる。
【0049】
(3b)上記実施形態では、突起部23がマット22の径方向の幅と同程度の長さを有する構成を例示したが、突起部の主配管の径方向に延びる長さはこれに限定されるものではない。例えば、
図8に示す主配管2cのように、突起部23cが触媒21と重なる位置まで延びて、突起部23cによってマット22及び触媒21を直接支持する構成であってもよい。これにより、突起部23cによって物理的に触媒21がガスの流れ方向にズレることを防止することができる。すなわち、上述した実施形態では、突起部23と直接当接したマット22との摩擦力によって、間接的に触媒21のガスの流れ方向への移動が制限される構成を例示したが、例えば、上述した突起部23cと触媒21とが直接当接することで直接的に触媒21のガスの流れ方向への移動が制限されてもよい。なお、触媒に対してズレないように取り付けられた他の部品の移動を抑制することで、触媒のガスの流れ方向への移動が間接的に制限されてもよい。例えば、当該他の部品と突起部23とが直接当接することによって、他の部品を介して触媒の移動が間接的に制限されてもよい。また、例えば、突起部は、主配管の周方向に長さを有してもよい。
【0050】
(3c)上記実施形態では、触媒21として薄型触媒が用いられる構成を例示した。しかし、主配管2の内部空間に収容される触媒及びマットのガスの流れ方向の長さ及び流れ方向に直交する方向への大きさは限定されるものではない。
【0051】
(3d)上記実施形態では、主配管2の第2端部2Bが開口しており、ステイプレート4の主配管2側の端部とは反対側の端部がバルブ5によって開閉する構成を例示した。しかし、例えば、熱回収器は、バルブ5を有しない構成であって、主配管の第2端部側に閉塞壁が設けられ、主配管が常時閉塞した状態の構成であってもよい。
【0052】
例えば、
図9に示す主配管2dのように、第2端部2Bの縁に形成される閉塞壁25dによって主配管2dが閉塞されていてもよい。また、例えば、
図10に示す主配管2eのように、第2端部2Bの縁よりも上流側、つまり触媒21に近い位置に形成される閉塞壁25eによって主配管2eが閉塞されていてもよい。このように、主配管2の第2端部2B側を閉塞する閉塞壁が、上流側に位置するほど、閉塞壁から開口部24までの距離が短くなるため、ガスが開口部24よりも下流側で停滞しにくくなる。その結果、熱交換部3にガスが流れやすくなる。
【0053】
(3e)上記実施形態では、主配管2の側壁の一部を切り起こすことで突起部23が形成される構成を例示したが、主配管に設けられる突起部の形成方法はこれに限定されるものではない。例えば、突起部は、主配管の下流側の第2端部の縁が、主配管の内部空間側に折れ曲がることによって形成されてもよい。また、例えば、突起部は、主配管の側壁の一部が、主配管の内部空間に突出するような凸部が設けられることによって形成されていてもよい。
【0054】
(3f)上記実施形態では、主配管2の側壁の一部が切り起こされることで開口部24が形成される構成を例示したが、開口部24の形成方法はこれに限定されるものではない。例えば、開口部は、突起部とは別に主配管の側壁に貫通孔を設けることによって形成されてもよい。また、例えば、主配管は、開口部を有しない構成であってよい。この場合、熱回収器1における他の位置から熱交換部へ触媒通過後のガスが流れる構成となる。
【0055】
(3g)上記実施形態では、突起部23がガスの流れ方向において触媒21よりも下流側に位置したが、例えば、突起部は、ガスの流れ方向において触媒21よりも上流側に位置していてもよい。また、例えば、突起部は、触媒21の上流側及び下流側の両方に設けられていてもよい。
【0056】
(3h)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0057】
1…熱回収器、2,2a~2e…主配管、2A…第1端部、2B…第2端部、3…熱交換部、4…ステイプレート、5…バルブ、6…シール部材、7…シェル、7A…ガス出口、8…カバー、9…第1通水口、10…第2通水口、21…触媒、22…マット、23,23a~23c…突起部、24…開口部、25d,25e…閉塞壁、31…プレート、31A~31C…流路、41…本体部、42…鍔部、43…ストレート部、54…軸部、71…第1部、72…第2部、73…第3部、74…軸受、81…底部、G…ガス、P1,P2,P3…中心軸、S…流出口、W…冷却水。