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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086547
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】ラジカル硬化性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 283/01 20060101AFI20230615BHJP
   C08F 290/00 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
C08F283/01
C08F290/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201132
(22)【出願日】2021-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】503090980
【氏名又は名称】ジャパンコンポジット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】小林 潤司
(72)【発明者】
【氏名】浅尾 信一郎
【テーマコード(参考)】
4J127
【Fターム(参考)】
4J127AA03
4J127BB041
4J127BB071
4J127BB251
4J127BD131
4J127BE391
4J127BE39Y
4J127BF411
4J127BF41Y
4J127BG181
4J127BG18Y
4J127CB052
4J127CB201
4J127CB221
4J127CC231
4J127DA15
4J127DA18
4J127DA19
4J127FA48
(57)【要約】
【課題】硬化時のホルムアルデヒドの発散量を抑制しつつ、硬化後の表面乾燥性および貯蔵安定性に優れるラジカル硬化性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】ラジカル硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合性樹脂と、アリル基含有第一級アミンおよび/またはアリル基含有第二級アミンとを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジカル重合性樹脂と、
アリル基含有第一級アミンおよび/またはアリル基含有第二級アミンとを含む、ラジカル硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
さらに、金属石鹸および空気乾燥性付与剤を含む、請求項1に記載のラジカル硬化性樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジカル硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不飽和ポリエステル樹脂などのラジカル重合性樹脂を含むラジカル硬化性樹脂組成物は、建築分野における建築材料の仕上げに用いられている。
【0003】
一方、これらのラジカル硬化性樹脂組成物は、硬化する際に、ホルムアルデヒドが発生する場合がある。このような場合には、健康被害が高くなるという不具合がある。
【0004】
そのため、ラジカル硬化性樹脂組成物として、例えば、不飽和ポリエステル樹脂と、ピペリジンとを含むラジカル硬化性樹脂組成物が提案されている(例えば、下記特許文献1の実施例4参照。)。このラジカル硬化性樹脂組成物では、ピペリジンによって、ホルムアルデヒドの発散量を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-282912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、建築材料に対するシックハウス対策としてJISの一部改正に伴い、ホルムアルデヒドの発散量を、より一層低減する要求がある。
【0007】
また、ラジカル硬化性樹脂組成物には、作業性の向上の観点から、硬化後の表面乾燥性が要求される場合がある。また、ラジカル硬化性樹脂組成物には、用途および目的に応じて、貯蔵安定性が要求される。
【0008】
本発明は、硬化時のホルムアルデヒドの発散量を抑制しつつ、硬化後の表面乾燥性および貯蔵安定性に優れるラジカル硬化性樹脂組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明[1]は、ラジカル重合性樹脂と、アリル基含有第一級アミンおよび/またはアリル基含有第二級アミンとを含む、ラジカル硬化性樹脂組成物である。
【0010】
本発明[2]は、さらに、金属石鹸および空気乾燥性付与剤を含む、上記[1]に記載のラジカル硬化性樹脂組成物を含んでいる。
【発明の効果】
【0011】
ラジカル硬化性樹脂組成物は、アリル基含有第一級アミンおよび/またはアリル基含有第二級アミンを含む。そのため、硬化時のホルムアルデヒドの発散量を抑制しつつ、硬化後の表面乾燥性および貯蔵安定性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のラジカル硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合性樹脂と、アリル基含有第一級アミンおよび/またはアリル基含有第二級アミンとを含む。
【0013】
<ラジカル重合性樹脂>
ラジカル重合性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレートが挙げられ、各種物性(靱性、強度、耐久性、耐候性、耐熱水性、および、透明性)に優れる観点から、好ましくは、不飽和ポリエステル樹脂が挙げられる。
【0014】
不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和ポリエステルおよび重合性単量体を含む。つまり、不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和ポリエステルおよび重合性単量体を含む不飽和ポリエステル樹脂組成物である。
【0015】
不飽和ポリエステルは、多塩基酸と、多価アルコールとの縮合生成物である。
【0016】
多塩基酸は、必須成分としてのエチレン性不飽和二重結合を有する多塩基酸(以下、エチレン性不飽和結合含有多塩基酸とする。)と、任意成分としてのエチレン性不飽和二重結合を有しない多塩基酸(以下、エチレン性不飽和結合不含多塩基酸とする。)とを含む。
【0017】
エチレン性不飽和結合含有多塩基酸としては、例えば、エチレン性不飽和脂肪族二塩基酸およびその無水物、エチレン性不飽和脂肪族二塩基酸のハロゲン化物、および、エチレン性不飽和脂肪族二塩基酸のアルキルエステルが挙げられる。
【0018】
エチレン性不飽和脂肪族二塩基酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、および、ジヒドロムコン酸が挙げられる。また、エチレン性不飽和結合含有多塩基酸には、例えば、上記のエチレン性不飽和脂肪族二塩基酸から誘導される酸無水物が含まれる。エチレン性不飽和脂肪族二塩基酸から誘導される酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸が挙げられる。エチレン性不飽和結合含有多塩基酸としては、好ましくは、無水マレイン酸が挙げられる。
【0019】
エチレン性不飽和結合不含多塩基酸としては、例えば、飽和脂肪族多塩基酸、飽和脂環族多塩基酸、芳香族多塩基酸、これらの酸の無水物、これらの酸のハロゲン化物、および、これらの酸のアルキルエステルが挙げられる。
【0020】
飽和脂肪族多塩基酸としては、例えば、飽和脂肪族二塩基酸が挙げられる。
【0021】
飽和脂肪族二塩基酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、2,2-ジメチルコハク酸、2,3-ジメチルコハク酸、ヘキシルコハク酸、グルタル酸、2-メチルグルタル酸、3-メチルグルタル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、3,3-ジメチルコハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、および、セバシン酸が挙げられる。また、飽和脂肪族多塩基酸には、上記の飽和脂肪族二塩基酸から誘導される酸無水物が含まれる。飽和脂肪族二塩基酸から誘導される酸無水物としては、例えば、無水シュウ酸、および、無水コハク酸が挙げられる。
【0022】
飽和脂環族多塩基酸としては、例えば、飽和脂環族二塩基酸が挙げられる。
【0023】
飽和脂環族二塩基酸としては、例えば、ヘット酸、1,2-ヘキサヒドロフタル酸、1,1-シクロブタンジカルボン酸、および、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(cis-またはtrans-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸もしくはその混合物)が挙げられる。飽和脂環族多塩基酸としては、上記の飽和脂環族二塩基酸から誘導される酸無水物が含まれる。飽和脂環族二塩基酸から誘導される酸無水物としては、例えば、無水ヘット酸が挙げられる。
【0024】
芳香族多塩基酸としては、例えば、芳香族二塩基酸が挙げられる。
【0025】
芳香族二塩基酸としては、例えば、フタル酸(オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸)、トリメリット酸、および、ピロメリット酸が挙げられる。また、芳香族多塩基酸には、上記の芳香族二塩基酸から誘導される酸無水物が挙げられる。芳香族二塩基酸から誘導される酸無水物としては、例えば、無水フタル酸が挙げられる。
【0026】
多塩基酸は、単独使用または2種以上併用できる。
【0027】
多塩基酸が、エチレン性不飽和結合含有多塩基酸およびエチレン性不飽和結合不含多塩基酸を含む場合には、多塩基酸に対して、エチレン性不飽和結合含有多塩基酸の配合割合は、例えば、10モル%以上、好ましくは、20モル%以上、また、例えば、99モル%以下、好ましくは、80モル%以下である。
【0028】
多価アルコールとしては、例えば、2価アルコールおよび3価アルコールが挙げられる。
【0029】
2価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール、脂環族ジオール、および、芳香族ジオールが挙げられる。脂肪族ジオールとしては、例えば、アルカンジオール、および、エーテルジオールが挙げられる。アルカンジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2-または1,3-プロパンジオールもしくはその混合物)、ブチレングリコール(1,2-または1,3-または1,4-ブチレングリコールもしくはその混合物)、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,2-トリメチルペンタンジオール、および、3,3-ジメチロールヘプタンが挙げられる。エーテルジオールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、および、ジプロピレングリコールが挙げられる。脂環族ジオールとしては、例えば、シクロヘキサンジオール(1,2-または1,3-または1,4-シクロヘキサンジオールもしくはその混合物)、シクロヘキサンジメタノール(1,2-または1,3-または1,4-シクロヘキサンジメタノールもしくはその混合物)、シクロヘキサンジエタノール(1,2-または1,3-または1,4-シクロヘキサンジエタノールもしくはその混合物)、および、水素化ビスフェノールAが挙げられる。芳香族ジオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、および、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物が挙げられる。
【0030】
3価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、および、トリイソプロパノールアミンが挙げられる。
【0031】
多価アルコールとしては、好ましくは、2価アルコール、より好ましくは、エーテルジオール、さらに好ましくは、ジエチレングリコールが挙げられる。
【0032】
多価アルコールは、単独使用または2種以上併用できる。
【0033】
不飽和ポリエステルは、多塩基酸と、多価アルコールとを重縮合することにより得られる。
【0034】
多塩基酸と、多価アルコールとを重縮合させるには、まず、下記の当量比で、多塩基酸と、多価アルコールとを配合する。
【0035】
多塩基酸に対する多価アルコールの当量比(多価アルコールのヒドロキシル基/多塩基酸のカルボキシル基)は、例えば、0.9以上、好ましくは、0.95以上、また、例えば、1.2以下、好ましくは、1.1以下である。
【0036】
多塩基酸と、多価アルコールとを配合した後、常圧および窒素雰囲気下で撹拌しながら、多塩基酸と、多価アルコールとを反応させる。反応温度は、例えば、150℃以上、好ましくは、190℃以上、また、例えば、250℃以下、好ましくは、230℃以下である。
【0037】
なお、上記の反応において、必要に応じて、公知の溶剤および公知の反応触媒を配合することもできる。
【0038】
これにより、不飽和ポリエステルが得られる。
【0039】
不飽和ポリエステルの酸価(測定方法:JIS K6901(2008年)に準拠)は、例えば、5mgKOH/g以上、好ましくは、10mgKOH/g以上、また、例えば、40mgKOH/g未満、好ましくは、30mgKOH/g以下である。
【0040】
不飽和ポリエステルの重量平均分子量は、例えば、2000以上、好ましくは、4000以上、また、例えば、25000以下、好ましくは、20000以下である。
【0041】
なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量である。重量平均分子量は、不飽和ポリエステルをGPC測定することにより求めることができる。
【0042】
重合性単量体としては、例えば、スチレン系モノマー、および、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーが挙げられる。
【0043】
スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、t-ブチルスチレン、および、クロロスチレンが挙げられる。
【0044】
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリルエステル、環構造含有(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステル、(メタ)アクリル酸フルオロアルキルエステル、および、多官能(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル)、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、および、(メタ)アクリル酸ステアリルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アリルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アリルが挙げられる。環構造含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、および、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルが挙げられる。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、および、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、および、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、および、これらのクロライド塩が挙げられる。(メタ)アクリル酸フルオロアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、および、(メタ)アクリル酸ヘプタデカフルオロデシルが挙げられる。多官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、および、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0045】
重合性単量体としては、好ましくは、スチレン系モノマー、より好ましくは、スチレンが挙げられる。
【0046】
重合性単量体は、単独使用または2種以上併用できる。
【0047】
そして、不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和ポリエステルを重合性単量体に溶解させることにより、調製される。不飽和ポリエステル樹脂の調製において、重合性単量体の配合割合は、不飽和ポリエステル100質量部に対して、例えば、50質量部以上、好ましくは、60質量部以上、また、例えば、100質量部以下である。
【0048】
<アリル基含有第一級アミンおよびアリル基含有第二級アミン>
【0049】
アリル基含有第一級アミンとしては、例えば、モノアリルアミン、および、2-メチルアリルアミンが挙げられる。
【0050】
アリル基含有第二級アミンとしては、例えば、ジアリルアミン、N-アリルベンジルアミン、N-アリル-N-tert-ブチルアミン、および、N-アリルドデカン-1-アミンが挙げられ、好ましくは、ジアリルアミンが挙げられる。
【0051】
アリル基含有第一級アミンおよびアリル基含有第二級アミンのうち、好ましくは、アリル基含有第二級アミンが選択される。つまり、ラジカル硬化性樹脂組成物は、好ましくは、アリル基含有第一級アミンを含まず、アリル基含有第二級アミンを含む。
【0052】
<ラジカル硬化性樹脂組成物の調製>
ラジカル硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合性樹脂と、アリル基含有第一級アミンおよび/またはアリル基含有第二級アミンとを混合することにより調製される。
【0053】
アリル基含有第一級アミンの配合割合、または、アリル基含有第二級アミンの配合割合は、ラジカル重合性樹脂100質量部に対して、硬化時のホルムアルデヒドの発散量を抑制する観点から、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上、より好ましくは、0.8質量部以上、また、硬化後の表面乾燥性を向上させる観点から、例えば、3質量部以下、好ましくは、2質量部以下である。
【0054】
[金属石鹸]
また、上記調製において、硬化後の表面乾燥性を向上させる観点から、金属石鹸を配合することもできる。このような場合には、ラジカル硬化性樹脂組成物は、金属石鹸を含む。
【0055】
金属石鹸としては、例えば、ナフテン酸金属塩、および、オクチル酸金属塩が挙げられる。ナフテン酸金属塩としては、例えば、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸カリウム、ナフテン酸カルシウム、ナフテン酸マンガン、および、ナフテン酸銅が挙げられる。オクチル酸金属塩としては、例えば、オクチル酸コバルト、オクチル酸カリウム、オクチル酸カルシウム、オクチル酸マンガン、および、オクチル酸銅が挙げられ、好ましくは、オクチル酸金属塩、より好ましくは、オクチル酸コバルトが挙げられる。
【0056】
金属石鹸の配合割合は、ラジカル重合性樹脂100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.4質量部以上、また、例えば、1質量部以下、好ましくは、0.6質量部以下である。
【0057】
金属石鹸は、単独使用または2種以上併用できる。
【0058】
[空気乾燥性付与剤]
また、上記調製において、空気乾燥性付与剤を配合することもできる。このような場合には、ラジカル硬化性樹脂組成物は、空気乾燥性付与剤を含む。
【0059】
空気乾燥性付与剤は、ラジカル重合性樹脂が硬化し、硬化物を形成する際に、その硬化物の表面に析出し、空気との遮断層を形成する。これにより、空気中の酸素が、ラジカル重合性樹脂のラジカル重合を阻害することを抑制できる。その結果、硬化後の表面乾燥性を向上させることができる。また、上記した金属石鹸とともに、空気乾燥性付与剤を配合すれば、硬化後の表面乾燥性をより一層向上できる。
【0060】
空気乾燥性付与剤としては、例えば、ワックス、および、アリル化合物が挙げられる。
【0061】
ワックスとしては、例えば、天然ワックス、および、合成ワックスが挙げられる。
【0062】
天然ワックスとしては、例えば、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、および、石油系ワックスが挙げられる。植物系ワックスとしては、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木蝋、および、ホホバ油が挙げられる。動物系ワックスとしては、例えば、密蝋およびラノリンが挙げられる。鉱物系ワックスとしては、例えば、モンタンワックス、オゾケライト、および、セレシンが挙げられる。石油系ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、および、ペトロラタムが挙げられる。
【0063】
合成ワックスとしては、例えば、合成炭化水素系ワックスが挙げられる。
【0064】
ワックスとして、好ましくは、天然ワックス、より好ましくは、パラフィンワックスが挙げられる。
【0065】
アリル化合物としては、例えば、上記したアリル基含有第一級アミン、および、アリル基含有第二級アミンが挙げられる。このようなアリル化合物を用いると、硬化時のホルムアルデヒドの発散量を抑制するとともに、硬化後の表面乾燥性を向上できる。
【0066】
また、アリル化合物としては、上記したアリル化合物以外に、例えば、トリアリルアミン、N,N-ジメチルアリルアミン、酢酸アリル、アリルエーテル、アリルグリシジルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、アリルメタクリレート、アリルアルコール、ジアリルジメチルアンモニウム塩酸塩、2-アリルフェノール、アリルベンゼン、イソフタル酸ジアリル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、および、アジピン酸ジアリルが挙げられ、好ましくは、トリアリルアミン、および、フタル酸ジアリルが挙げられる。このようなアリル化合物を用いると、硬化後の表面乾燥性を向上できる。
【0067】
空気乾燥性付与剤の配合割合は、ラジカル重合性樹脂100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.3質量部以上、また、例えば、1質量部以下、好ましくは、0.6質量部以下である。
【0068】
空気乾燥性付与剤は、単独使用または2種以上併用できる。
【0069】
[β-ジケトン]
また、上記調製において、好ましくは、β-ジケトンを配合する。つまり、ラジカル硬化性樹脂組成物は、好ましくは、β-ジケトンを含む。
【0070】
β-ジケトンは、ラジカル重合性樹脂の硬化を促進させるための促進助剤である。
【0071】
β-ジケトンとして、例えば、下記一般式(1)~(6)で示される化合物が挙げられる。
【化1】

上記式(1)において、R1は、炭素数1以上6以下のアルキル基、シクロアルキル基を示す。R2は、炭素数1以上6以下のアルキル基、シクロアルキル基、炭素数1以上6以下のアルコキシ基、および、置換アルコキシ基を示す。
【0072】
上記一般式(1)で示される化合物として、例えば、アセチルアセトン(上記一般式(1)において、R1がメチル基を示し、R2がメチル基を示す。)、アセト酢酸メチル(上記一般式(1)において、R1がメチル基を示し、R2がメトキシ基を示す。)、アセト酢酸エチル(上記一般式(1)において、R1がメチル基を示し、R2がエトキシ基を示す。)が挙げられ、好ましくは、アセチルアセトン、アセト酢酸エチルが挙げられる。
【化2】

上記式(2)において、R1は、上記式(1)と同義である。nは、1以上5以下の整数を示す。
【0073】
上記一般式(2)で示される化合物として、例えば、α-アセチル-γ-ブチロラクトン(上記一般式(2)において、R1がメチル基を示し、nが2を示す。)が挙げられる。
【化3】

上記式(3)において、R1は、上記式(1)と同義である。また、nは、上記式(2)と同義である。
【化4】

上記式(4)において、R1は、上記式(1)と同義である。また、R3およびR4は、R1と同様である。R1、R3およびR4は、同一または相異なってもよい。
【0074】
上記一般式(4)で示される化合物として、例えば、N,N-ジメチルアセトアセトアミド(上記一般式(4)において、R1、R3およびR4がメチル基を示す。)が挙げられる。
【化5】

上記式(5)において、R1は、上記式(1)と同義である。また、mは、2以上7以下の整数を示す。
【化6】

上記式(6)において、R1は、上記式(1)と同義である。
【0075】
β-ジケトンとしては、好ましくは、上記一般式(1)で示される化合物、上記一般式(2)で示される化合物、および、上記一般式(4)で示される化合物が挙げられる。
【0076】
β-ジケトンの配合割合は、ラジカル重合性樹脂100質量部に対して、硬化時のホルムアルデヒドの発散量を抑制する観点および硬化の立ち上がり時間を充分に短縮する観点から、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.2質量部以上、また、貯蔵安定性を向上させる観点、および、硬化速度が速くなりすぎることを抑制する観点から、例えば、1質量部以下である。
【0077】
β-ジケトンは、単独使用または2種以上併用できる。
【0078】
[重合禁止剤]
また、上記調製において、重合禁止剤を配合することもできる。このような場合には、ラジカル硬化性樹脂組成物は、重合禁止剤を含む。
【0079】
重合禁止剤は、可使時間、硬化反応を調整するために配合される。
【0080】
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン化合物、ベンゾキノン化合物、カテコール化合物、フェノール化合物、および、N-オキシル化合物が挙げられる。ハイドロキノン化合物としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、および、モノ-t-ブチルハイドロキノンが挙げられる。ベンゾキノン化合物としては、例えば、p-ベンゾキノン、および、メチル-p-ベンゾキノンが挙げられる。カテコール化合物としては、例えば、t-ブチルカテコールが挙げられる。フェノール化合物としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、および、4-メトキシフェノールが挙げられる。N-オキシル化合物としては、例えば、1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-オール、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラピペリジン-1-オキシル、4-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル-アセテート、1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル-2-エチルヘキサノエート、1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル-ステアレート、1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル-4-t-ブチルベンゾエート、ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)コハク酸エステル、ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アジピン酸エステル、ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート、ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)n-ブチルマロン酸エステル、ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)フタレート、ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)イソフタレート、ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)テレフタレート、ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサヒドロテレフタレート、N,N’-ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アジパミド、N-ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カプロラクタム、N-ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ドデシルサクシンイミド、2,4,6-トリス-[N-ブチル-N-(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)]-s-トリアジン、および、1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-オンが挙げられる。
【0081】
重合禁止剤としては、好ましくは、ハイドロキノン化合物、より好ましくは、モノ-t-ブチルハイドロキノンが挙げられる。
【0082】
重合禁止剤の配合割合は、ラジカル重合性樹脂100質量部に対して、例えば、0.001質量部以上、また、例えば、0.5質量部以下である。
【0083】
重合禁止剤は、単独使用または2種以上併用できる。
【0084】
[硬化剤]
また、上記調製において、硬化剤を配合することもできる。このような場合には、ラジカル硬化性樹脂組成物は、硬化剤を含む。
【0085】
硬化剤としては、例えば、有機過酸化物が挙げられる。有機過酸化物としては、例えば、アセチルアセトンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジエチルケトンパーオキサイド、メチルプロピルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、エチルアセトアセテートパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、キュメンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルイソプロピルパーオキシカーボネート、1,1-ジブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサノン、t-ブチルパーオキシ-2-エチルへキサノエート、アミルパーオキシ-p-2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、および、t-へキシルパーオキシベンゾエートが挙げられ、好ましくは、メチルエチルケトンパーオキサイドが挙げられる。
【0086】
硬化剤の配合割合は、ラジカル重合性樹脂100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上、また、例えば、5質量部以下、好ましくは、2質量部以下である。
【0087】
硬化剤は、単独使用または2種以上併用できる。
【0088】
[添加剤]
また、上記調製において、必要により、添加剤を、適宜の割合で配合することもできる。添加剤としては、例えば、低収縮化剤、湿潤分散剤、離型剤、着色剤、難燃剤、充填材、増粘剤、柄材、抗菌剤、親水剤、光触媒、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、分離防止剤、シランカップリング剤、帯電防止剤、チクソ付与剤、チクソ安定剤、および、重合促進剤が挙げられる。
【0089】
これにより、ラジカル硬化性樹脂組成物を調製する。
【0090】
<作用効果>
ラジカル硬化性樹脂組成物は、アリル基含有第一級アミンおよび/またはアリル基含有第二級アミンを含む。そのため、硬化時のホルムアルデヒドの発散量を抑制することができる。
【0091】
詳しくは、ラジカル硬化性樹脂組成物は、硬化する際に、ホルムアルデヒドが発生する場合がある。
【0092】
一方、ラジカル硬化性樹脂組成物は、アリル基含有第一級アミンおよび/またはアリル基含有第二級アミンを含むため、ホルムアルデヒドの発散量を抑制できる。
【0093】
また、ラジカル硬化性樹脂組成物は、アリル基含有第一級アミンおよび/またはアリル基含有第二級アミンを含むため、硬化後の表面乾燥性および貯蔵安定性を向上させることができる。また、アリル基を含まない第一級アミン(アリル基不含第一級アミン)および/またはアリル基を含まない第二級アミン(アリル基不含第二級アミン)でもホルムアルデヒドの発散量を抑制できるが、アリル基含有第一級アミンおよび/またはアリル基含有第二級アミンよりも、硬化性の点で劣り、乾燥性および貯蔵安定性も同時に低下する。
【0094】
そして、このようなラジカル硬化性樹脂組成物は、硬化時のホルムアルデヒドの発散量を抑制しつつ、硬化後の表面乾燥性および貯蔵安定性を向上させることができるため、例えば、フィルム、シートを含むプラスチック成型品、太陽電池、ポリマー電池、家電製品、鋼製品、大型構造物、自動車、船舶、建築材料、木工、ガードフェンス、表示物、機械、器具、産業機器、ガラス製品、各種工業製品の下塗り、中塗り、上塗り塗装用塗料、人造大理石、および、化粧板に好適に用いることができ、とりわけ、建築分野における建築材料の仕上げに好適に用いることができる。また、ラジカル硬化性樹脂組成物に、強化繊維(例えば、ガラス繊維)を配合し、繊維強化プラスチックを製造することもできる。
【実施例0095】
以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替できる。また、以下の記載において特に言及がない限り、「部」および「%」は質量基準である。
【0096】
<不飽和ポリエステル樹脂の調製>
合成例1(不飽和ポリエステル樹脂の調製)
温度計、撹拌機、不活性ガス吹込管及び還流冷却管を備えた四ツ口フラスコに、ジエチレングリコール1120質量部、テレフタル酸747質量部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら210℃で酸価3まで縮合反応した。150℃まで冷却して無水フタル酸518質量部、無水マレイン酸196質量部を仕込み、210℃まで昇温し、15時間縮合反応させることにより、重量平均分子量4500の不飽和ポリエステルを得た。この不飽和ポリエステル60質量部に、スチレン40質量部、モノ-t-ブチルハイドロキノン0.005部を加え、酸価10mgKOH/g、粘度0.6Pa・sの不飽和ポリエステル樹脂を得た。
【0097】
<ラジカル硬化性樹脂組成物の調製>
実施例1
下記の成分を、順に添加しながら混合した。これにより、ラジカル硬化性樹脂組成物を調製した。
不飽和ポリエステル樹脂:合成例1の不飽和ポリエステル樹脂 100質量部
アリル基含有第二級アミン:ジアリルアミン 0.1質量部
β-ジケトン:N,N-ジメチルアセトアセトアミド 0.5質量部
金属石鹸:オクチル酸コバルト(コバルト分が8%であるミネラルスピリット溶液) 0.5質量部
重合禁止剤:モノ-t-ブチルハイドロキノン0.15質量部
空気乾燥性付与剤:パラフィンワックス(パラフィンワックス10質量%含有ミネラルオイル溶液、商品名「BYK-S 750 N」、ビックケミー社製)0.5質量部
硬化剤:メチルエチルケトンパーオキサイド(メチルエチルケトンパーオキサイド55質量%含有フタル酸ジメチル溶液、商品名「カヤメックM」、化薬ヌーリオン株式会社製)、1質量部
【0098】
実施例2~実施例17、および、比較例1~比較例13
実施例1と同様の手順に基づき、ラジカル硬化性樹脂組成物を調製した。但し、表1および表2の記載に従って配合処方を変更した。
【0099】
<評価>
[常温ゲル化時間]
各実施例および各比較例のラジカル硬化性樹脂組成物について、JIS K6901(1999年)に記載される常温ゲル化時間(A法)に準拠して、常温ゲル化時間を測定した。その結果を表1および表2に示す。
【0100】
[ホルムアルデヒドの発散量]
縦170mm×横170mmのガラス板片面に、シリコン製のガイドを設置し、各実施例および各比較例のラジカル硬化性樹脂組成物50.0gを、刷毛などでガイドの内側全体に満遍なく伸ばし、縦150mm×横150mm×厚さ約2.0mmの、硬化物を作成した。次いで、これを、7日間、23℃で養生した。
【0101】
この硬化物を用い、JIS K 5601-4-1(2012年改訂)に準拠して、ホルムアルデヒドの発散量試験を実施した。その結果を表1および表2に示す。また、ホルムアルデヒドの発散量について、下記の基準に基づき、評価した。その結果を表1および表2に示す。
(基準)
◎:ホルムアルデヒドの発散量が、0.06mg/L未満であった。
○:ホルムアルデヒドの発散量が、0.06mg/L以上0.12mg/L未満であった。
×:ホルムアルデヒドの発散量が、0.12mg/L以上であった。
【0102】
[乾燥性(表面乾燥性)]
縦170mm×横170mmのガラス板片面に、シリコン製のガイドを設置し、各実施例および各比較例のラジカル硬化性樹脂組成物50.0gを、刷毛などでガイドの内側全体に満遍なく伸ばし、縦150mm×横150mm×厚さ約2.0mmの、硬化物を作成した。次いで、これを、7日間、23℃で養生した
【0103】
そして、硬化剤を添加した時点から、2時間、4時間および8時間経過後に、硬化物の表面を指で確認し、その乾燥性(表面乾燥性)を、以下の基準に基づき、評価した。
(基準)
◎:2時間経過後には、ベタツキは観測されなかった。
〇:2時間経過後には、ベタツキが観測されたが、4時間経過後には、ベタツキは観測されなかった。
△:2時間経過後および4時間経過後には、ベタツキが観測されたが、8時間経過後には、ベタツキは観測されなかった。
×:2時間経過後、4時間経過後および8時間経過後に、ベタツキが観測された。
【0104】
[貯蔵安定性]
各実施例および各比較例について、硬化剤を配合しないラジカル硬化性樹脂組成物を調製した。次いで、このラジカル硬化性樹脂組成物を、密閉可能な蓋付の容量500mlの石油缶に容量で95%充填し、蓋をして50℃環境下で保管した。
【0105】
そして、ラジカル硬化性樹脂組成物がゲル化するまでの時間(単位:日)を記録し、以下の基準に基づき、貯蔵安定性を評価した。その結果を表1および表2に示す。
◎:14日以上経過でゲル化しなかった。
〇:7日以上14日未満でゲル化した。
△:3日以上7日未満でゲル化した。
×:3日以下でゲル化した。
【0106】
【表1】
【0107】
【表2】