(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086557
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】給水装置
(51)【国際特許分類】
F04B 49/06 20060101AFI20230615BHJP
F04D 15/00 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
F04B49/06 321Z
F04D15/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201155
(22)【出願日】2021-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】坂谷 哲則
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 章太
【テーマコード(参考)】
3H020
3H145
【Fターム(参考)】
3H020AA07
3H020CA08
3H020DA28
3H020EA01
3H020EA07
3H020EA12
3H020EA16
3H145AA12
3H145AA23
3H145AA31
3H145AA42
3H145BA28
3H145BA31
3H145CA22
3H145CA28
3H145DA01
3H145EA02
3H145EA31
3H145EA41
3H145EA49
(57)【要約】
【課題】 給水装置の操作利便性を向上させることが可能な構成の一例を開示する。
【解決手段】 給水装置1では、音声入力部12を備える。音声入力部12は、作業者が発した音声を認識するとともに、制御部に対して当該音声の意味内容に対応した指示信号を発信する入力手段の一例である。そして、作業者は、音声入力可能な機能を制御部に実行させる際には、操作部11及び音声入力部12のうちいずれか任意の入力手段を利用して制御部に指示できる。これにより、作業者が求める作業内容の説明を会話的に実行可能となる。このため、円滑に保守点検作業をアシストすることが可能となるので、給水装置の操作利便性を向上させることが可能となり得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水用の電動ポンプと、
少なくとも前記電動ポンプの作動を制御するとともに、予め決められた機能を実行可能な制御部と、
作業者の操作を受け付ける操作部であって、当該操作に対応した指示を前記制御部にする操作部と、
作業者が発した音声を認識して当該音声の意味内容に対応した指示を前記制御部にする音声入力部と
を備える給水装置。
【請求項2】
携帯型通信機器と直接的又は間接的に通信を行うための通信部と、
作業者が行うべき作業内容を説明した音声データを前記通信部を介して携帯型通信機器に送信する機能が実行可能な情報処理部と
を備える請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
前記情報処理部は、給水装置の機種名、製造番号、運転方式、前記電動ポンプの電動モータの出力、最大運転台数のうち少なくとも1つの情報を音声データとして携帯型通信機器に送信する機能が実行可能である請求項2に記載の給水装置。
【請求項4】
前記情報処理部は、故障が検出された後に、故障表示及び故障出力を停止させるための操作部が作業者により操作された場合、給水装置の機種名、製造番号、故障発生日時、故障した部品名、点検項目、及び故障した部品の品番、並びに故障した部品の交換手順を音声データとして携帯型通信機器に送信する機能が実行可能である請求項2又は3に記載の給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載のポンプ装置は、「ポンプ個別の試運転方法のガイダンス」を携帯電話を介した音声にて作業者に伝える機能を有する(特に、特許文献1の段落0031等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明では、上記機能を実行させるための操作をポンプ装置に対して行う必要がある。本開示は、当該点に鑑み、ポンプ装置等の給水装置の操作利便性を向上させることが可能な構成の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
給水装置は、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。すなわち、当該構成要件は、給水用の電動ポンプ(3)と、少なくとも電動ポンプ(3)の作動を制御するとともに、予め決められた機能を実行可能な制御部(7)と、作業者の操作を受け付ける操作部(11)であって、当該操作に対応した指示を制御部(7)にする操作部(11)と、作業者が発した音声を認識して当該音声の意味内容に対応した指示を制御部(7)にする音声入力部(12)とである。
【0006】
これにより、当該給水装置では、作業者は操作部(11)を介した指示、及び音声入力部(12)を介した指示のいずれも可能となる。したがって、操作部(11)を介した指示が困難な場合には、作業者は、音声入力部(12)を介した指示ができる。延いては、給水装置の操作利便性を向上させることが可能となり得る。
【0007】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る給水装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0010】
少なくとも符号が付されて説明された機器や部材等の構成要素は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該構成要素は2以上設けられていてもよい。本開示に示された給水装置は、少なくとも符号が付されて説明された構成要素等を備える。
【0011】
(第1実施形態)
<1.給水装置の概要>
本実施形態は、例えば、マンションや商業ビル等の建物に適用される給水装置に本開示に係る給水装置の一例が適用されたものである。本実施形態に係る給水装置1は、
図1に示されるように、電動ポンプ3、蓄圧器5、制御装置7、圧力センサPs及び流量センサFs等を少なくとも備える。
【0012】
電動ポンプ3は、ポンプ部及びモータ部等を有する給水用ポンプである。なお、本実施形態では、同一仕様の電動ポンプ3が複数設けられている。各電動ポンプ3の吐出し側は、建物の配水管側に接続されている。
【0013】
そして、各電動ポンプ3は、受水槽9に貯留された水を配水管を通して建物に供給する。以下、電動ポンプ3とは、複数の電動ポンプ3の総称、又は任意の電動ポンプ3を意図するものとする。
【0014】
流量センサFsは給水流量を検出する。なお、本実施形態では、電動ポンプ3の台数と同数の流量センサFsを有し、かつ、各流量センサFsは、対応する電動ポンプ3の吐出し口にて流量を検出する。このため、本実施形態では、各流量センサFsの検出値の合計流量が給水流量となる。
【0015】
圧力センサPsは給水圧を検出する。蓄圧器5は、全ての電動ポンプ3が停止しているときに給水圧を保持する。制御装置7は、電動ポンプ3の作動を制御するとともに、予め決められた機能を実行可能な制御部の一例である。
【0016】
<2.制御装置>
制御装置7は、操作部11、音声入力部12、情報処理部13、通信部14、ポンプ制御部15等を有する。
【0017】
<ポンプ制御部>
ポンプ制御部15は、圧力センサPs及び流量センサFsの検出値を利用して各電動ポンプ3の作動を制御する。ポンプ制御部15は、CPU、ROM及びRAM等を有するマイクロコンピュータで構成されている。
【0018】
そして、当該CPUにてポンプ制御用のソフトウェアが実行されることにより、電動ポンプ3の作動が制御される。ポンプ制御部15は、駆動装置(図示せず。)を介して電動ポンプ3の停止及び稼働を制御する。
【0019】
駆動装置は、ポンプ制御部15から出力される指令周波数に応じた周波数の駆動電流をモータ部に供給する。これにより、電動ポンプ3の回転速度がポンプ制御部15により可変制御される。
【0020】
ポンプ制御部15は、圧力センサPsを利用して起動制御及び目標圧力制御を実行する。起動制御は、全ての電動ポンプ3が停止している状態において、給水圧が予め決められた値以下となったときに電動ポンプ3を起動させる制御である。
【0021】
目標圧力制御は、給水圧が目標とする圧力(以下、目標圧力という。)となるように電動ポンプ3の回転速度を調整する制御である。なお、目標圧力は、例えば、予め決められた値、又は給水量もしくは指令周波数の関数として決定される値である。
【0022】
ポンプ制御部15は、流量センサFsを利用して小水量停止制御を実行する。小水量停止制御は、流量センサFsの検出流量、つまり給水量が予め決められた流量以下となったときに電動ポンプ3を停止させる制御である。
【0023】
<操作部>
操作部11は、作業者の操作を受け付けるとともに、ポンプ制御部15又は情報処理部13等(以下、制御部という。)に対して当該操作に対応した指示信号を発信する設定入力手段の一例である。
【0024】
具体的には、例えば、作業者は、ポンプ制御部15が目標圧力を決定する際に必要なパラメータ等を操作部11を介して入力できる。また、作業者は、情報処理部13に実行させる機能を操作部11を介して指示できる。
【0025】
<音声入力部>
音声入力部12は、作業者が発した音声を認識するとともに、制御部に対して当該音声の意味内容に対応した指示信号を発信する設定入力手段の一例である。そして、作業者は、音声入力にて指示可能な機能を制御部に実行させる際には、操作部11及び音声入力部12のうちいずれかの設定入力手段を利用して制御部に指示できる。
【0026】
なお、音声入力部12は、マイクロフォン(図示せず。)、音声認識部(図示せず。)及び指示部(図示せず。)等を有して構成されている。マイクロフォンは、音声を電気信号に変換する。音声認識部は、当該電気信号を利用して音声の意味内容を把握するAIを利用したコンピュータである。指示部は、当該意味内容に対応した指示信号を制御部に向けて発信する。
【0027】
<通信部>
通信部14は、携帯型通信機器20と直接的又は間接的に通信を行うため通信手段である。なお、本実施形態に係る通信部14は、近距離無線通信機能を利用して情報を携帯型通信機器20に送信可能である。
【0028】
<2.1 情報処理部>
情報処理部13は、作業者からの指示により、少なくとも以下の3つの機能を実行することが可能である。なお、作業者は、操作部11もしくは音声入力部12、又は携帯型通信機器20を介して当該指示が可能である。
【0029】
(1)作業者が行うべき作業内容を説明した音声データを通信部14を介して携帯型通信機器20に送信する機能
なお、作業者が行うべき作業内容とは、例えば、以下の通りである。
【0030】
(a)運転モードの切り替え方法の説明
(b)操作部11の操作方法の説明
(c)情報を表示する表示部の表示内容の説明
(d)ポンプ制御部15等に供給される直流電源電圧
(e)受水槽9に設けられた水位検出用電極間電圧の測定箇所の説明
(f)電動ポンプ3の軸シール部の漏水確認の説明
(g)交換すべき消耗部品があった場合、部品品番と交換手順の説明
(h)圧力センサPsや流量センサFs等のセンサの取り外し方法の説明
(i)圧力センサPsや流量センサFs等の清掃方法の説明
(2)給水装置の機種名、製造番号、運転方式、電動ポンプ3の電動モータの出力、及び最大運転台数のうち少なくとも1つの情報を音声データとして携帯型通信機器20に送信する機能
(3)給水装置の機種名、製造番号、故障発生日時、故障した部品名、点検項目、及び故障した部品の品番、並びに故障した部品の交換手順を音声データとして携帯型通信機器20に送信する機能
なお、(3)の機能は、故障が検出された後に、故障表示及び故障を示す信号出力を停止させるための操作が操作部11を介してされた場合に実行される。因みに、上記(2)及び上記(3)における「給水装置」とは、通信を介して接続された給水装置ではなく、当該機能を実行すべき情報処理部13が設けられた給水装置である。
【0031】
<3.本実施形態に係る給水装置の特徴>
本実施形態に係る給水装置1では、音声入力部12を備えるので、作業者が必要とする情報の提供を音声にて指示可能となる。このため、例えば、保守点検作業のアシストを円滑に実行することが可能となるので、給水装置の操作利便性を向上させることが可能となり得る。
【0032】
情報処理部13は、各種の説明用音声データを携帯型通信機器20に送信可能であるので、作業者は、携帯型通信機器20を介して音声にて当該説明を把握することが可能である。
【0033】
これにより、作業者は両手を使いながら説明を聞くことができるため、例えば、試運転の準備作業を円滑に実施可能となる。そして、試運転作業中の作業者にメッセージに伝えるには、文字によって伝えるのではなく音声によって伝える方が、作業の集中力を阻害すること少ないので、より効果的である。
【0034】
情報処理部13は、上記(3)の機能を有する。これにより、サービスセンターやユーザから故障発生の通知を受けた作業者が、給水現場に赴いた際に、当該作業者は、適切な行動を取ることが可能となる。
【0035】
なお、上記(3)において、例えば、故障内容が圧力センサPsの異常であった場合においては、情報処理部13は、更に、以下の機能を発揮可能である。
【0036】
(a)給水装置の機種名、製造番号、故障発生日時、及び故障部品が圧力センサである旨の音声データの送信機能
(b)運転モードを手動運転に切り替えるよう指示する音声データの送信機能
(c)圧力センサPsの電源電圧力と出力電圧を測定し、操作部11に表示される圧力値を確認して記録するよう促す等の作業手順を意味する音声データの送信機能
(d)交換部品の部品品番を伝えて圧力センサPsのコックを閉じる等の作業手順を意味する音声データの送信機能
(e)圧力センサPsの推定故障原因(例えば、ウォータハンマや凍結等)を例示する音声データの送信機能
(第2実施形態)
上述の実施形態では、給水装置1から音声データを携帯型通信機器20に送信する構成であった。これに対して、本実施形態は、
図2に示されるように、作業者が選択可能な形式(例えば、アルバム形式やオーディオブック形式)の音声データが、携帯型通信機器20に作業種別毎に記憶されている。
【0037】
当該音声データの携帯型通信機器20への組み込み方法は不問である。なお、当該組み込み方法は、例えば、給水装置1から携帯型通信機器20に組み込むべきデータを送信する手法、又は遠隔管理装置等のサーバから遠隔通信又はケーブルを利用して携帯型通信機器20に組み込むべきデータを送信する手法である。
【0038】
(第3実施形態)
上述の実施形態では、給水装置1と携帯型通信機器20とは、双方向に通信可能であった。これに対して、本実施形態では、給水装置1と携帯型通信機器20との通信方式を単方向通信として、携帯型通信機器20から給水装置1へのアクセスを不可としたものである。
【0039】
これにより、通信回線を介して外部からポンプ制御プログラムへの不正なアクセスが発生することを抑制でき得る。したがって、複雑な暗号キーチェーンシステムを構築する必要がないので、制御装置7に組み込まれるソフトウェアの肥大化が抑制され得る。
【0040】
(第4実施形態)
本実施形態に係る給水装置は、当該給水装置自身が近距離無線通信可能な携帯型通信機器の有無を探索する機能を有する。
【0041】
そして、携帯型通信機器が検出された場合には、当該給水装置は、当該携帯型通信機器に、給水装置の機種名、製造番号、運転方式、搭載する電動ポンプのモータ出力、最大運転台数の情報を示す音声データを送信する。
【0042】
これにより、作業者は、例えば、給水装置に貼り付けられた銘板を作業者が視認することなく、試運転に必要な基本的な作業情報を容易に確認可能となる。
【0043】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係る給水装置は受水槽方式であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、直結給水方式の給水装置等、その他のポンプ装置に適用可能である。
【0044】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0045】
1… 給水装置 3…電動ポンプ 7… 制御装置 9… 受水槽
11… 操作部 12…音声入力部 13… 情報処理部 14…通信部
15… ポンプ制御部 20…携帯型通信機器 Ps… 圧力センサ
Fs… 流量センサ