(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086605
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0631 20230101AFI20230615BHJP
【FI】
G06Q10/06 302
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201252
(22)【出願日】2021-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】500147023
【氏名又は名称】デジタルアーツ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】道具 登志夫
(72)【発明者】
【氏名】猪俣 清人
(72)【発明者】
【氏名】日野 正義
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA10
(57)【要約】
【課題】社員に対して効果的な行動提案を迅速に実施することができる情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置10は、社員の活動内容を示す活動データ及び業務の実績を示す実績データを保存する活動実績保存部11と、各社員の目標データを設定する目標設定部13と、所定の条件を満たす実績データを有する社員の活動データに基づいて活動モデルを求める活動モデル解析部12と、社員に設定された目標データに対応する活動モデルを決定して、決定された当該活動モデルに基づき社員に行動案を通知する活動提案部14と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
社員の活動内容を示す活動データ及び業務の実績を示す実績データを保存する活動実績保存部と、
各前記社員の目標データを設定する目標設定部と、
所定の条件を満たす前記実績データを有する前記社員の前記活動データに基づいて活動モデルを求める活動モデル解析部と、
前記社員に設定された前記目標データに対応する前記活動モデルを決定して、決定された当該活動モデルに基づき前記社員に行動案を通知する活動提案部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記活動提案部は、前記社員の前記実績データが前記目標データを満たさないときに、前記目標データに対応する前記活動モデルを決定して、決定された当該活動モデルに基づき前記社員に行動案を通知する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記活動モデル解析部は、所定の条件を満たす前記実績データを有する前記社員の前記活動データを機械学習して、前記実績データにおいて所定の条件を満たすための前記活動モデルを求める、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記活動モデルに基づく活動の提案による前記活動データ又は前記実績データの変化を表示する、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記社員の上長に対して決定された活動モデルを通知して、前記上長による承認を受け付けた行動案を前記社員に通知する、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記社員の属する組織の組織図データを保存する組織情報保存部と、
前記活動データ又は前記実績データに基づいて前記社員の評価点を計算する評価点計算部と、
各前記社員の前記評価点に基づいて前記社員の配置の変更を提案する組織情報提案部と、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記評価点計算部は、複数の社員が属するグループ単位で計算し、
前記組織情報提案部は、前記グループの評価点に基づいて前記社員の配置の変更を提案する、
ことを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記組織情報提案部は、配置の変更が提案された前記社員について、当該社員が属するグループの評価の基準に基づいて前記評価点を再計算する、
ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
社員の活動内容を示す活動データ及び業務の実績を示す実績データを保存するステップと、
各前記社員の目標データを設定するステップと、
所定の条件を満たす前記実績データを有する前記社員の前記活動データに基づいて活動モデルを求めるステップと、
前記社員に設定された前記目標データに対応する前記活動モデルを決定して、決定された当該活動モデルに基づき前記社員に行動案を通知するステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータを、
社員の活動内容を示す活動データ及び業務の実績を示す実績データを保存する機能、
各前記社員の目標データを設定する機能、
所定の条件を満たす前記実績データを有する前記社員の前記活動データに基づいて活動モデルを求める機能、
前記社員に設定された前記目標データに対応する前記活動モデルを決定して、決定された当該活動モデルに基づき前記社員に行動案を通知する機能、
として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、働き方が多様化しており、在宅勤務、いわゆる「テレワーク」と呼ばれる勤務の形態が定着しつつある。テレワークでは、業務上のやりとりは、ビデオ会議やチャットなどのオンラインツールを介して行われ、社員同士の打ち合わせや会議はWeb上で実施される。業務の大部分についてオンラインツールを介して実施することで、物理的な場所の確保や印刷物などを削減することができる。
【0003】
また、社員にとっても、オンラインツールを利用することで意思疎通が簡潔かつ迅速に行われることで作業の効率が高まり、物理的な移動が無くなることで通勤時間が削減されて時間を有効に活用できる大きなメリットがある。
【0004】
一方で、テレワークが進むことで、社員が会社の拠点に集合して業務を実施する従来の働き方と比較して、社員それぞれの日々の業務の状況を把握することが難しい場合がある。社員の業務効率を高めるために、社員の業務状況を詳細に把握、管理する必要があり、従来では、テレワークを実施する社員の業務状況を可視化する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
社員の多くがテレワークを実施することで業務の効率が向上する一方で、オンライン上では率直な意思疎通が難しい面もあり、社員同士が直接対面で気軽に会話して、業務のアドバイスをしあうような状況が減ってしまう場合がある。
【0007】
また、社員が出社して業務を行っていたときには、高い業務実績をあげる模範となる社員の活動状況などを日常的に肌で感じることで自身の活動内容を考え、改善することができたが、テレワークではそのようなことが難しく、現状を踏まえて実績につながる適切な活動方法を自身で検討することが難しい場合がある。
【0008】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、社員に対して効果的な行動提案を迅速に実施することができる情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態に係る情報処理装置は、社員の活動内容を示す活動データ及び業務の実績を示す実績データを保存する活動実績保存部と、各前記社員の目標データを設定する目標設定部と、所定の条件を満たす前記実績データを有する前記社員の前記活動データに基づいて活動モデルを求める活動モデル解析部と、前記社員に設定された前記目標データに対応する前記活動モデルを決定して、決定された当該活動モデルに基づき前記社員に行動案を通知する活動提案部と、を備えることを特徴とする情報処理装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態により、社員に対して効果的な行動提案を迅速に実施することができる情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示す構成図。
【
図2】活動実績保存部に保存される社員それぞれの活動データ及び実績データの一例を示す説明図。
【
図3】社員それぞれに設定された目標データの一例を示す説明図。
【
図4】所定の実績条件を満たす活動モデルの一例を示す説明図。
【
図5】社員の社員端末に通知された、活動モデルに基づき当該社員に対して提案される行動案の一例を示す説明図。
【
図6】第1実施形態に係る情報処理方法の一例を示すフローチャート。
【
図7】第2実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示す構成図。
【
図8】社員の評価点に基づいて配置の変更を提案する場合の一例を示す説明図。
【
図9】組織情報提案部により提案された配置変更後の組織図の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態に係る情報処理装置10を用いて社員の社員端末50に業務における行動提案を行うシステムの全体構成の一例を示す図である。
【0013】
第1実施形態に係る情報処理装置10は、会社や団体等に属する社員それぞれの業務における活動の情報及び実績の情報を保存して、所定の実績情報を有する社員の活動情報に基づいて実績を達成するための活動モデルを求める。そして、社員それぞれに設定されている業務の目標値に対応する活動モデルを決定して、決定された活動モデルに基づいて行動案を社員に通知するものである。
【0014】
第1実施形態に係る情報処理装置10の具体的な構成について説明する。
情報処理装置10は、活動実績保存部11と、目標設定部12と、活動モデル解析部13と、活動提案部14と、通知部15と、を備えている。
【0015】
なお、情報処理装置10を構成する各ユニットの機能は、所定のプログラムコードを、プロセッサを用いて実行することによって実現しても良く、このようなソフトウェア処理に限らず、例えば、ASIC等を用いたハードウェア処理で実現してもよいし、ソフトウェア処理とハードウェア処理とを組み合わせて実現してもよい。
【0016】
社員端末50は、社員が業務で使用するPC、スマホ、タブレット端末などの端末を示しており、情報処理装置10とネットワークを介して通信可能な端末である。なお、
図1では、社員端末50を1つで記載しているが、複数の社員が社員端末50をそれぞれ保有して、情報処理装置10は社員端末50のそれぞれと通信可能に接続されて、活動データ等の各種のデータが送受信される。
【0017】
活動実績保存部11は、社員の活動内容を示す活動データ及び業務の実績を示す実績データを保存する。
【0018】
活動データは、社員が日々実行している業務上の具体的な活動内容を意味しており、例えばメールによる対応業務の内容、オンラインによるチャットやWeb会議による対応業務の内容、資料作成の業務の内容、製品の開発関係の業務の場合にはプログラムの作成業務の内容などが例示される。活動データは、社員が属する会社の業種や社員それぞれが担当する業務の内容によって異なるものになる。
【0019】
例えばメールによる対応業務の内容として、メールの宛先は誰なのか、その対応が社内宛てのメールであるか、あるいは社外宛てのメールであるのか、メールを受信してからどれくらいの時間をかけて送信しているのか、メールの件名、宛先等から特定できる、同一または関連する案件についてどれくらい(何通の)のやりとりをしているのか、さらには送信した時間、メールの件名、メールの文字数、添付ファイルの名称等の詳細が保存されてもよい。
【0020】
また、オンラインによるチャットやWeb会議による対応業務の内容として、その対応が社内とのチャットであるのか、あるいは社外とのやりとりであるのか、Web会議による対応業務にどれくらいの時間かけているのか、チャットやWeb会議の相手は誰なのか、一日に複数の相手とWeb会議を実施している場合には、それぞれの実施時間はどれくらいの長さなのか、社外のお客様との打ち合わせの回数、会議の開始・終了時間、チャットの文字数、Web会議で共有する添付ファイルの名称等の詳細が保存されてもよい。
【0021】
資料作成の業務の内容として、資料作成に係る時間、作成に利用するアプリケーションやファイル名や文字数、資料に利用される図面の数などの詳細が保存されてもよい。
【0022】
また、活動データは、社員が担当する特定の業務への活動内容の詳細が保存されてもよく、例えばX案件について対応の詳細(だれとやりとりをしたのか、Web会議の回数や時間、打ち合わせで使用した資料等)を保存してもよい。
【0023】
さらに活動データには、勤務開始・終業の時間、業務に使用しているアプリケーションなど勤怠情報等、業務上の基本情報も含まれてもよい。
【0024】
活動データは、社員による社員端末50を介したデータ入力により情報処理装置10に保存されてもよいし、社員端末50のアプリケーションの動作情報に基づいて社員の活動データを自動で認識して、情報処理装置10に送信されてもよい。なお、活動データは、例えば30分ごと、または1時間ごとなど、所定の時間単位で保存してもよいし、社員端末50からデータ入力により保存される場合には、社員が活動にかかる時間帯を任意に指定して保存してもよい。
【0025】
また、業務に関係する知識のインプット時間(書籍や文献を読むことによる分析の時間)、業務の合間に行う休息(例えば散歩や社員同士の雑談)、例えばノートに筆記する等して業務の段取りや直面する課題を解決する手段を検討する構想時間など、社員がPC端末を操作することが無いために、データとして記録されにくい社員の活動であっても、
社員の日々のパフォーマンスに寄与して、高い実績達成に影響を与えるものがある。このため、データとして記録されない上記のような社員の活動を、活動データとして詳細に保存してもよい。例えば、書籍や文献による分析についてはどのような書籍を利用したのか、散歩により休息する場合にはどれくらいの歩数や時間をかけて歩いたのか、ノート等による業務の構想はどれくらいの分量を記載しているのかを活動データとして保存してもよい。
【0026】
この場合、活動データは、PC端末を操作して実施する活動など、社員の業務に直接関係する内容のものと、データとして記録されにくい上記のような社員の活動とを、例えばフラグを設定するなどして区別して保存してもよい。これにより、後述の活動モデル解析部13では、社員の活動内容を実態に即して分析することができ、活動モデルをより正確に求めることが可能となる。
【0027】
実績データとは、業務上における社員の実績値を意味しており、社員の評価の対象となる実績であればよく、例えば営業関係の社員であれば、売り上げや案件獲得数、顧客へのアプローチ数、お客様からの評価、さらに営業事務を担当する社員であれば、伝票の処理数やそれにかかる時間等がある。また、製品の開発関係の業務を担当する社員であれば、プログラムの作成量、テスト(検証)実数やその時間、バグの発生具合、発生したバグの影響度、バグの修正にかかった日数が例示される。
【0028】
実績データは、社員の社員端末50を介した入力により情報処理装置10に保存されてもよいし、情報処理装置10の管理者による情報処理装置10へのデータ入力により保存されてもよい。また、会社のデータベース等で保有、管理している社員それぞれの業績データを利用して保存してもよい。なお、社員の実績データは、月ごと、四半期ごと、あるいは半期ごと等、所定の期間を設定して保存してもよい。
【0029】
図2は、活動実績保存部11に保存される社員それぞれの活動データ及び実績データの一例を示している。
図2に示すように、活動実績保存部11には、社員それぞれの情報(社員名、所属情報等)に対応づけて活動データ及び実績データが保存される。例えば、社員Aについては、2021年12月1日付の活動データとして、メール対応、Web会議、資料作成の業務の対応内容が保存されている。さらに、2021年9月1日から2021年12月31日までの実績評価期間における実績値として、売り上げ、案件獲得数が保存されている。実績評価期間の設定は、四半期ごと、あるいは半期ごと等、所定の期間を設定することができる。社員B、Cについても同様に、活動データ及び実績データが保存されている。活動データ及び実績データは、日々保存されて蓄積される。また、活動実績保存部11には、社員それぞれに対応付けて、社員の生年月日、学歴、職歴などの社員の基礎情報が保存されてもよい。
【0030】
また、社員の実績データに対して一定の基準を設けて(例えば売り上げ〇〇円以上であれば50点、△△円より少なければ10点など)、その基準に基づき実績を評価点として計算してもよい。実績として評価する項目が複数ある場合には、項目ごとに評価点を求めて合計して点数を求めてもよいし、合計点数を項目数で割って平均値を計算してもよい。同様に、活動データについても一定の基準を設けて評価点を求めて評価してもよい。評価点の利用方法については第2実施形態において詳述する。
【0031】
目標設定部12は、社員それぞれの目標データを設定する。目標データとは、社員が業務上で達成すべきとして設定される目標値であり、例えば営業関係の社員であれば、売り上げや案件獲得数、製品の開発関係の業務を担当する社員であれば、プログラムの作成量、作成に係る作業日数、バグの発生具合が例示される。目標データは、社員の上長等の管理職等により予め設定されて管理される。
【0032】
図3は、社員それぞれに設定された目標データの一例を示す説明図である。
図3に示すように、社員の情報に対応づけて、対象の社員が達成すべきとして設定される目標値が設定されており、例えば社員Aについては売上△△円、案件獲得数××件が目標として設定されている。なお、目標データは、上述した評価点の計算方法に基づいて設定してもよい。
【0033】
活動モデル解析部13は、所定の条件を満たす実績データを有する社員の活動データに基づいて活動モデルを求める。
【0034】
具体的には、活動モデル解析部13は、評価すべき高い水準の実績値に関して実績条件を設けておき、この実績条件を満たす社員の活動データを活動実績保存部11から抽出する。そして、活動モデル解析部13は、抽出した活動データを活動モデルとして求める。
【0035】
また、同一の実績条件を満たす社員が複数いる場合には、複数の社員の活動データのすべてを抽出して、その社員の中で類似する特徴的な活動データを、活動モデルとして求めてもよい。
【0036】
また、実績条件は、特定の業務への実績等、様々な実績項目に対して設定してもよく、設定した実績条件ごとに活動モデルを求めてもよい。さらに、実績条件は、社員に対して定められる一律の基準に基づいて設定される条件でもよいし、各評価項目の重要度に応じて定量評価(点数化)して計算した値に基づき設定される条件でもよく、設定した条件ごとに活動モデルを求めてもよい。
【0037】
また、活動モデル解析部13は、実績条件を満たす社員の活動データを機械学習して、実績条件を満たすための活動データの特徴量を学習して、実績条件を満たすための活動モデルを求めてもよい。
【0038】
図4は、所定の実績条件を満たす活動モデルの一例を示す説明図である。実績条件が複数設定されており、実績条件を満たす社員の活動データを抽出して、活動モデルとして求めている。例えば、売上が〇〇円以上を実績条件として設定した場合に、この実績条件を満たす社員の活動データであるメール対応の内容、Web会議対応の内容、資料作成の内容が活動モデルID:001として登録されている。設定された実績条件のそれぞれに対して活動データが抽出されて、複数の活動モデルが登録されている。
【0039】
活動提案部14は、社員に設定された目標データに対応する活動モデルを決定して、決定された活動モデルに基づき社員に行動案を通知する。
【0040】
具体的には、活動提案部14は、社員それぞれに設定された目標データに対応する実績条件の活動モデルを社員に提案するモデルとして決定し、この活動モデルに基づき行動案を社員に通知する。社員の目標データに対応する実績条件を有する活動モデルが複数存在する場合には、全てを社員に行動提案するためのモデルとして決定してもよいし、どの目標項目について行動提案のモデルとするかを予め設定してもよい。
【0041】
活動提案部14は、決定された活動モデルが複数の活動データから構成されている場合は、全て行動案として社員に通知してもよいし、当該社員の現状の活動データとモデルとなる活動データとを比較して、その差異について行動案として通知してもよい。
【0042】
また、活動提案部14は、社員の実績データが目標データを満たさないときに、目標データに対応する実績条件を有する活動モデルを社員に提案するモデルとして決定し、決定された活動モデルに基づき社員に行動案を通知してもよい。
【0043】
さらに、活動提案部14は、活動モデルに基づく行動案の通知による活動データ又は実績データの変化を表示してもよい。活動データ又は実績データの変化を示すデータは、社員端末50上に表示できるように制御してもよいし、情報処理装置10にアクセス可能な管理者などの端末に表示できるように制御してもよい。これにより、社員は、行動案の通知後の活動データ又は実績データの変化を確認することができる。
【0044】
通知部15は、活動モデルが決定されて行動案が社員に通知される前に、予め登録されている社員の上長に対して、社員の現状の実績データ及び提案予定の行動案を通知してもよい。その上長から承認する旨の承認通知が情報処理装置10に返された場合に、活動提案部14は、活動モデルに基づく行動案を社員に通知する構成にしてもよい。なお、提案される予定の活動モデルの活動データが複数ある場合には、上長が行動案として提案するものを選択できる構成にしてもよい。これにより、社員の上長が、情報処理装置10から提案される行動内容を確認した上で、部下の社員に行動案を通知することができ、社内での情報共有を迅速に行うことができる。
【0045】
図5は、社員の社員端末50に通知された、活動モデルに基づき当該社員に対して提案される行動案の一例を示す説明図である。
図5に示すように、社員Aの目標値や実績値が表示されて、目標値を達成するために、目標値に対応する活動モデルに基づいて「お客様とのWeb会議を増やすことを提案します。」のように行動案が社員の端末上に表示される。さらに、「現在:5件/月の実施ですが、7件/月の実施を提案します。」のように現在の実績値、活動モデルの数値を具体的に示して通知してもよい。
【0046】
続いて、第1実施形態に係る情報処理装置10の動作について説明する。
図6は、第1実施形態に係る情報処理方法の一例を示すフローチャートである(適宜、
図1参照)。
【0047】
活動実績保存部11は、社員の活動内容を示す活動データ及び業務の実績を示す実績データを保存する(S10)。
【0048】
活動モデル解析部13は、所定の実績条件を満たす社員の活動データを活動実績保存部11から抽出し、抽出した活動データを活動モデルとして求める(S11)。
【0049】
活動提案部14は、社員の実績データが目標データを満たさないとき、目標データに対応する実績条件を有する活動モデルを提案するモデルとして決定する(S12:YES、S13)。なお、社員の実績データが目標データを満たす場合には、行動案を通知せず終了する(S12:NO、終了)。
【0050】
活動提案部14は、決定した活動モデルに基づき行動案を社員に通知する(S14)。
【0051】
このように、第1実施形態に係る情報処理装置10は、社員それぞれの業務における活動の情報及び実績の情報を保存し、社員の活動情報に基づいて実績を達成するための活動モデルを求めておき、社員それぞれに設定されている業務の目標値に対応する活動モデルを決定して行動案を社員に通知することで、社員の現状に即した効果的な行動提案を迅速に実施することができる。社員の実際の活動情報に基づいて活動モデルが提案されるため、社員から実際にアドバイスをもらうかのように、実効性の高い行動案を社員は確認することができる。
【0052】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態に係る情報処理装置10の構成の一例を示す図である。なお、
図7において第1実施形態(
図1)と共通の構成又は機能を有する部分は、同一符号で示し、重複する説明を省略する。
【0053】
第2実施形態に係る情報処理装置10は、評価点計算部16、組織情報保存部17と、組織情報提案部18と、をさらに有している。
【0054】
評価点計算部16は、活動実績保存部11に保存された活動データ又は実績データに基づいて社員の評価点を計算する。
【0055】
評価点とは、社員の実績データに対して一定の基準を設けてその基準に基づき計算した社員の評価値を意味する。評価点は、社員を同じ基準により評価できる数値であればよいためその計算方法に制限はなく(業務や役割が異なる場合は、業務や役割ごとに評価の基準を設けてもよい)、実績データに対応する項目が複数ある場合には項目ごとに評価点を求めて、それらの値を合計して点数を求めてもよいし、合計して点数を項目の数で割って平均値を計算してもよい。同様に、活動データについても一定の基準を設けて評価点を求めてもよい。
【0056】
また、複数の社員が属する課、部等のグループ単位で、そのグループの実績データ又は活動データに基づいて評価点を求めてもよい。
【0057】
組織情報保存部17は、社員の属する組織の組織図データを保存している。組織図データとしては、会社内における社員の現在の配置を把握できるツリー状の配置図などが例示される。また、組織情報保存部17は、課、部等のグループ単位で組織図データを保存してもよい。情報処理装置10にアクセス可能な管理者や管理職等は、組織情報保存部17の組織図データにアクセスして表示させることができる。
【0058】
組織情報提案部18は、各社員の評価点に基づいて社員の配置の変更を提案するものである。具体的には、組織情報提案部18は、評価点計算部16から社員それぞれの評価点を取得して、組織図データに割り当てる。そして、社員の評価点を参照して、予め設定した条件に基づき社員間で配置の変更が推奨される組織図上の位置を提案する。予め設定する条件とは、社員の配置を変更するための基準となるルールであり、例えば高評価となる第1の基準点と低評価となる第2の基準点とを設けておき、第1の基準点以上の社員と第2の基準点以下の社員とを抽出して、異なるグループに属する社員間で配置を変更する方法などが考えられる。さらに、同じ職位の社員間でのみ配置の変更が制限される等のルールがあってもよい。
【0059】
また、グループ単位で評価点を設けている場合には、例えば複数のグループ間で評価点が近い値(グループ間で評価点の差異が基準となる値以下になる)になるように、異なるグループに属する社員間で配置を変更してもよい。
【0060】
なお、組織情報提案部18による配置変更の提案は、組織図データを表示させた際に、提案された変更位置が認識できるように表示して提案してもよい。
【0061】
また、組織情報提案部18は、配置を変更した後の組織図データを表示可能に保存してもよく、変更後に予想されるグループの評価点、社員の評価点が表示されてもよい。このとき、配置の変更後のグループの男女比等、グループに関する統計データもあわせて表示してもよい。
【0062】
なお、提案された配置変更を実際の組織データに適用した場合には、配置変更後の組織図データが最新のものとして保存される。また、組織情報提案部18は、組織図データを表示させた際に、配置変更前後の評価点の変化を社員ごとにグラフ表示できるようにしてもよい。また、組織情報提案部18は、提案された配置の変更が組織図データとして適用される際に、組織図データと、配置変更が実施された日付や組織データの世代情報(何回目の配置変更であるかを識別するための情報)などの情報と関連付けて保存して、組織図データを世代ごとに表示可能な構成にしてもよい。
【0063】
組織情報提案部18は、評価点において所定の基準を満たす社員の配置変更の履歴を機械学習し、基準を満たす社員の異動モデルを解析してもよい。そして、組織情報提案部18は、この学習した異動モデルと社員の評価点を用いて社員の配置変更を提案してもよい。評価点の基準を満たす社員の異動履歴のモデルを用いて社員の配置変更を行うことで、評価点に沿った最適な異動を提案することもできる。
【0064】
図8は、社員の評価点に基づいて配置の変更を提案する場合の一例を示す説明図である。
組織情報提案部18は、社員の評価点に基づいて配置変更を提案しており、高評価となる第1の基準点(評価点80以上)と低評価となる第2の基準点(評価点20以下)とを設けておき、第1の基準点以上となる社員Dと第2の基準点以下となる社員Aとの変更を提案している。
【0065】
図9は、提案された配置変更後の組織図の一例を示す説明図である。
図9に示すように組織情報提案部18は、配置の変更後の組織図データを表示しており、変更後に予想されるグループ(例えば部や課)の評価点、社員の評価点を表示している。なお、部や課等のグループごとに評価点の基準が異なる場合には、配置の変更が提案された社員について、配置の変更後に当該社員が属するグループの評価の基準に基づいて評価点を再計算してもよい。このとき、組織情報提案部18は、再計算により求めた社員の評価点、それに伴い予想されるグループの評価点を表示してもよい。
【0066】
このように、第2実施形態に係る情報処理装置10は、社員の評価点に基づいて組織の配置の提案を自動で行うことで、最適な組織の構築をサポートすることができる。
【0067】
以上述べた各実施形態の情報処理装置によれば、会社や団体等に属する社員それぞれの業務における活動情報及び実績情報を保存し、この活動情報及び実績情報に基づいて実績を達成するための活動モデルを求める。そして、社員それぞれに設定されている目標値に基づき求めた活動モデルを社員に通知することにより、社員に対して効果的な行動提案を迅速に実施することができる。
【0068】
なお、情報処理装置10で実行されるプログラムは、ROM等の記憶回路に予め組み込んで提供される。もしくは、このプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD、フレキシブルディスク等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供するようにしてもよい。また、情報処理装置10で実行されるプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせて提供するようにしてもよい。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
10…情報処理装置、11…活動実績保存部、12…目標設定部、13…活動モデル解析部、14…活動提案部、15…通知部、16…評価点計算部、17…組織情報保存部、18…組織情報提案部、50…社員端末。