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  • 特開-パイプ切断装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086606
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】パイプ切断装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/12 20060101AFI20230615BHJP
   B23D 21/14 20060101ALI20230615BHJP
   E21B 29/00 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
E02D3/12 101
B23D21/14 A
E21B29/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201253
(22)【出願日】2021-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】591247798
【氏名又は名称】原工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104488
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 良夫
(72)【発明者】
【氏名】矢口 哲也
【テーマコード(参考)】
2D040
【Fターム(参考)】
2D040AB01
2D040CB03
2D040DC02
(57)【要約】
【課題】地盤改良工事等の際に地中に残置したパイプを切断する際に、パイプ径が大きくなった場合でも、本体部がぶれずに確実にパイプを切断可能とする。
【解決手段】モーターを収容した本体部2と、本体部の先端側に回動自在に備えた切断部6と、本体部における切断部手前側に備えたパッカー部12と、本体部内部に備えた、モーターに駆動源を供給する駆動源伝達手段を備え、切断部は、モーターに連結されたカッターホルダー7と、カッターホルダーにカッターホルダーの外周側に回動自在に軸支されたカッター本体10を有し、回動することで遠心力でカッター本体を本体部の外周側に回動可能で、パッカー部は、本体部に周設したハウジング13と、ハウジングの外周部に膨張自在に周設した膨張部14と、ハウジング内部に形成した、膨張部内周側にエアーを供給することで膨張部を膨張可能としたエアー搬送路16を具備した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動手段としてのモーターを収容した本体部(2)と、
該本体部(2)の先端側に回動自在に備えた切断部(6)と、
前記本体部(2)における前記切断部(6)の手前側に備えたパッカー部(12)と、
前記本体部(2)の内部に備えた、前記モーターに駆動源を供給するための駆動源伝達手段と、を備えて、
前記切断部(6)は、
前記モーターの回転軸に連結されたカッターホルダー(7)と、
該カッターホルダー(7)にカッターホルダー(7)の外周側に回動自在にして軸支されたカッター本体(10)と、を有して、前記モーターを駆動することで回動するとともに、遠心力でカッター本体(1)を本体部(2)の外周側に回動可能であり、
前記パッカー部(12)は、
前記本体部(2)に周設したハウジング(13)と、
該ハウジング(13)の外周部に膨張自在に周設した膨張部(14)と、
前記ハウジング(13)の内部に形成した、先端部が前記膨張部(14)の内周側に開口にするとともに基端部は前記ハウジング(13)の壁部に開口とし、流動体を供給することで前記膨張部(14)を膨張可能とした作動流体搬送路(16)と、を具備し、
パイプ内にパイプの深さ方向の所定位置まで挿入し、前記作動流体搬送路(16)に作動流体を供給することで膨張部(14)を膨張させて膨張部(14)の外周部をパイプ内壁に当接させ、その状態でモーターを駆動して切断部(6)を回動することで、遠心力でカッター本体(10)を本体部(2)の外周側に回動させて、カッター本体(10)をパイプ内壁に当接するとともにカッター本体(10)でパイプ内壁を切断する、ことを特徴としたパイプ切断装置。
【請求項2】
前記モーターがエアーモーターであり、前記駆動源伝達手段がエアー供給路であることを特徴とした請求項1に記載のパイプ切断装置。
【請求項3】
前記膨張部(14)がラバー製であることを特徴とした請求項1又は請求項2に記載のパイプ切断装置。
【請求項4】
前記作動流体供給路(18)がエアー供給路であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のパイプ切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤改良工事等の際に 地中に残置したパイプを切断するためのパイプ切断装置に係り、より詳しくは、パイプ径が大きい場合でも確実にパイプを切断可能としたパイプ切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、ダム建設や巨大構造物の建築の際には、地盤を改良して強化する必要があるが、その方法として従来から、地中に形成されたボーリング孔に外管としてのスリーブパイプを挿入し、その後に、スリーブパイプ内に、パッカーといわれる薬液注入装置を挿入し、パッカーによってスリーブパイプ内の特定空間をシールして閉塞空間を形成し、この閉塞空間内にセメントミルク等の薬液を放出しながら、この薬液を、ボーリング孔側壁のクラック等を介して地中に圧入しつつ地盤に浸透させて、地盤を強化することが行われている。
【0003】
そしてこのとき、従来は、薬液の注入が完了した後は、スリーブパイプは、そのまま地中に残置状態にして放置しておくことが一般的であった。
【0004】
そのために、その後に当該地域でトンネル工事や暗渠形成工事を行う際は、地中に残置したパイプがシールドカッター等に巻き付いて掘進に支障を来す恐れがあった。
【0005】
そこで、このような事態を未然に防止するために、スリーブパイプを破砕されやすい材質にする方法や、スリーブパイプに筋目を入れておく方法が考えられるが、このような方法を採用した場合でも、シールドカッターに巻きつくことを完全に防止することはできないのみならず、薬液注入中にスリーブパイプが破砕されてしまう事態も考えられていた。
【0006】
そこで、このような問題点を解決するために、切断刃を有する切断装置をパイプ内に挿入して、パイプを内部から切断破砕するパイプ切断装置が提供されている。そして、この切断装置を用いることにより、地中に残置したパイプを切断することで、トンネル工事や暗渠形成工事を行う際に、地中に残置したパイプがシールドカッター等に巻き付いて掘進に支障を来す恐れを防止することが可能である。
【0007】
ここで、図3を用いて従来のパイプ切断装置について説明すると、図3においてPは地中に残置されたスリーブパイプであり、31は切断装置である。即ち、前記切断装置31は、スリーブパイプP内に挿入されて使用される。
【0008】
そして、切断装置31は、本体部とこの本体部の先端側に備えられた切断部を有しており、スリーブパイプP内に挿入された状態で、切断部によってパイプPを内部から切断することとしている。
【0009】
図3において32が本体部であり、この本体部32は、駆動手段としてのモーターを収容した中央部33を有しており、この中央部33の先端側(図における下側)には、前記モーターの回転軸が収容された先端部34が連設され、更に前記中央部33の基端側(図における上側)には、前記モーターを駆動するための動力源を伝達する伝達手段が収容された基端部35が連設されている。そして、動力源としては電力、油圧あるいはエアー等が考えられ、前記伝達手段によってモーターに電力、油圧あるいはエアー等が供給されてモーターが駆動することとしている。
【0010】
次に、図において36は切断部であり、この切断部36は、前記本体部32における先端部34に備えられており、先端部34に対して回動自在に備えられている。そして、この切断部36は、前記先端部34内に収容されたモーターの回転軸に連結されており、これにより、モーターを駆動することで、切断部36が回動することとしている。
【0011】
そして、切断部36は、モーターの回転軸に連結されたホルダー37と、このホルダー37の外周側に支持されたカッター38を有しており、カッター38は、ピン39によりホルダー37にスイング自在に軸支されており、モーターを駆動して切断部36が回動することにより、遠心力により先端部34の外周側にスイングして広がり、それによって、スリーブパイプPの内周壁に臨むこととしている。
【0012】
そのために、この切断装置31をスリーブパイプP内に挿入した状態で、モーターを駆動することで、遠心力でカッターを外周方向に広げてスリーブパイプPの内壁に臨ませると、カッター38によって、スリーブパイプPを内部から切断破砕することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第4086614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
前述したように切断装置では、モーターの駆動によって遠心力でカッターをスリーブパイプの内壁に当接することでスリーブパイプを切断していくため、切断するパイプの内径が大きくなった場合には、パイプの内径に合わせてカッターの長さを長くしてパイプ径の変化に対応させる必要があり、それによって、パイプの径が大きくなった場合でも、カッターをパイプの内壁に当接させることが可能である。
【0015】
しかし、かかる場合には、本体部が安定せずにパイプの切断に支障を来すことが指摘されていた。即ち、前述の従来の切断装置では、パイプ内径が大きくなった場合は、モーターを収容した中央部33の外径が変わらないために、中央部33の外径とパイプ内径との間に隙間が形成されてしまっていた。そうすると、モーターを駆動すると本体部32がぶれてしまい、それにより、カッター38によるパイプの切断をうまく行うことができないという問題点が指摘されていた。
【0016】
そこで、本発明は、地盤改良工事等の際に地中に残置したパイプを切断する際に、パイプの内径が大きくなった場合でも、本体部がぶれることなく、確実にパイプを切断することが可能なパイプ切断装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の地中に残置されたパイプ切断装置は、
駆動手段としてのモーターを収容した本体部と、
該本体部の先端側に回動自在に備えた切断部と、
前記本体部における前記切断手段の手前側に備えたパッカー部と、
前記本体部の内部に備えた、前記モーターに駆動源を供給するための駆動源伝達手段と、を備えて、
前記切断部は、前記モーターの回転軸に連結されたカッターホルダーと、
該カッターホルダーにカッターホルダーの外周側に向けて回動自在に軸支されたカッター本体と、を有して、前記モーターを駆動することで回動し、遠心力でカッター本体を本体部の外周側に回動可能であり、
前記パッカー部は、
前記本体部に連結したハウジングと、
該ハウジングの外周部に膨張自在に周設した膨張部と、
前記ハウジングの内部に形成した、先端部が前記膨張部の内周側に開口にするとともに基端部は前記ハウジングの壁部に開口とし、流動体を供給することで前記膨張部を膨張可能とした作動流体供給路と、を具備し、
パイプ内にパイプの深さ方向の所定位置まで挿入し、前記作動流体供給路に作動流体を供給することで膨張部を膨張させて膨張部の外周部をパイプ内壁に当接させ、その状態でモーターを駆動して切断手段を回動することで、遠心力でカッター本体を本体部の外周側に回動させて、カッター本体をパイプ内壁に当接するとともにカッター本体でパイプ内壁を切断する、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の地中に残置されたパイプ切断装置は、パイプを内部から切断する切断手段の手前側に、膨張部を有したパッカー部を備えて、膨張部を膨張させることで膨張部の外周部をパイプ内壁に当接させ、その状態でモーターを駆動して切断手段を回動して、遠心力でカッター本体を本体部の外周側に回動させて、カッター本体でパイプを内部から切断することとしている。そのために、切断するパイプの内径が大きくなった場合でも、本体部がぶれることなく、確実にパイプを切断することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明のパイプ切断装置の実施例を説明するための一部断面図である。
図2】本発明のパイプ切断装置の実施例における切断部を説明するための図である。
図3】従来のパイプ切断装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の地中に残置されたパイプ切断装置では、本体部を有しており、この本体部の内部には、駆動手段としてのモーターを収容している。
【0021】
また、本体部の内部には、モーターに駆動源を供給するための駆動源伝達手段が形成されている。
【0022】
そして、本体部の先端側には、回動自在にして切断部を備えており、この切断部は、前記モーターの回転軸に連結されたカッターホルダーを有しており、モーターを駆動することで、カッターホルダーを回転させることを可能としている。
【0023】
また、カッターホルダーには、カッター本体が連結されており、このカッター本体は、カッターホルダーの外周側に回動自在にしてカッターホルダーに軸支されている。そして、これにより、前記モーターを駆動してカッターホルダーを回転することで、遠心力によって、カッター本体を本体部の外周側に回動することを可能としている。
【0024】
そして、前記本体部における前記切断手段の手前側にはパッカー部が備えられており、このパッカー部は、前記本体部に連結したハウジングを有しており、ハウジングの外周部には、膨張自在にして膨張部が周設されている。
【0025】
また、前記ハウジングの内部には作動流体供給路が形成されており、作動流体供給路は、先端部が前記膨張部の内周側に開口としており、基端部は前記ハウジングの壁部で開口としている。そして、作動流体供給路に基端部から流動体を供給することで、前記膨張部を膨張可能としている。
【0026】
そして、パイプ内にパイプの深さ方向の所定位置まで挿入し、前記作動流体供給路に作動流体を供給することで膨張部を膨張させて膨張部の外周部をパイプ内壁に当接させ、その状態で、モーターを駆動することで切断部を回動し、遠心力でカッター本体を本体部の外周側に回動させて、カッター本体をパイプ内壁に当接することで、カッター本体でパイプ内壁を切断することを可能としている。
【0027】
ここで、前記モーターとしてエアーモーターを用いると良く、これにより、カッター本体を回動させることが容易となる、
【0028】
また、前記膨張部をラバー製にするとともに、作動流体供給路をエアー供給路にし、エアーによって膨張部を膨張させることにするとよく、それにより、膨張部を容易に膨張させることが可能となる。
【実施例0029】
本発明のパイプ切断装置の実施例について図1を参照して説明すると、図1は本実施例のパイプ切断装置の一部断面図であり、図において1が、本実施例のパイプ切断装置である。
【0030】
そして、本実施例のパイプ切断装置1は、本体部を有しており、この本体部の内部に、モーターが収容されている。即ち、図において2が本体部であり、この本体部2は、モーターを収容した中央部3と、この中央部3の先端側(図における下側)に連設した先端部4と、中央部3の基端側(図における上側)に連設した基端部5を有しており、中央部3、先端部4及び基端部5は一体で形成されている。
【0031】
そして、モーターの回転軸は先端部4を貫通する形態で先端部4の内部に収容されている。また、基端部5内にはモーターに駆動源を供給するための駆動源伝達手段が備えられており、この駆動源供給手段はモーターに接続され、駆動源供給手段を介してモーターに駆動源を供給することでモーターを駆動することとしている。
【0032】
なお、本実施例としては、前記モーターはエアーモーターとしており、駆動源供給手段はエアー供給路としている。そして、本体部2の外部において、前記エアー供給路に連結用の継手5を連結し、この継手5にエアホースを連結し、それにより、エアー供給路に圧縮エアー等を供給することで前記エアーモーターを駆動可能としている。但し、モーターは、必ずしもエアーモーターにする必要はなく、電気式、油圧式等いずれでもよい。
【0033】
次に、図において6は、パイプを内部から切断するための切断部であり、この切断部6は前記先端部4の先端側に備えられており、カッターホルダーとカッター本体を有している。即ち、図において7がカッターホルダーであり、カッターホルダーは、先端部4の先端側において前記モーターの回転軸に連結され、それにより、モーターを駆動することで回転することとしている。
【0034】
ここで図2は前記切断部6の正面図であり、カッターホルダー7は、正面形状を円形としており、外周部に等間隔で複数、図においては6カ所の切欠き8を形成することで、外周部に6個の突出部9を形成している。
【0035】
そして、前記突出部9のそれぞれに、カッター本体10を取り付けている。また、カッター本体10の取り付けに際しては、図1に示すように、カッターホルダー7の外周側に回動自在なようにして、ピン11により突出部9に軸支している。そのため、モーターを駆動してカッターホルダー7を回転させることで、遠心力により、カッター本体10がカッターホルダー7の外周側に回動して、カッター本体1の先端がカッターホルダー7の外周側に向くようになる。
【0036】
従って、本実施例のパイプ切断装置1では、パイプ内に挿入した状態でモーターを駆動してカッターホルダー7が回転すると、カッター本体10がカッターホルダー7の外周側に回動してカッター本体10の先端がパイプの内周に当接し、その状態でカッターホルダーの回転を継続すると、パイプを内部から切断することが可能となる。
【0037】
なお、図1において、先端がカッターホルダー7の外周側に向いているカッター本体10が、カッターホルダー7が回転することで、遠心力によりカッターホルダー7の外周側に回動した状態を示しており、先端がカッターホルダー7の前方側に向いているカッター本体10が、カッターホルダー7が回転していない状態を示している。
【0038】
次に、図において12は、パッカー部である。即ち、本実施例のパイプ切断装置1では、前記本体部2における前記切断部6の基端側(図における上側)に、パッカー部12を備えており、このパッカー部12によって、パイプ内で本体部2の位置を固定可能としている。
【0039】
ここで、前記パッカー部12について説明すると、前記パッカー部12は、ハウジング13と膨張部14とを具備している。そして、前記ハウジング13は、リング状としており、前記本体部2の先端部4における前記切断部6の基端側に周設されている。また、前記膨張部14は、前記ハウジング13の外周側に周設されている。
【0040】
ここで、前記膨張部14について説明すると、本実施例において前記膨張部14は、スチール製の線材を内蔵したラバー製としており、内周側から流体圧力を受けることにより外周側に膨張し、前記圧力が解除されることで元の形状に復元可能としている。
【0041】
次に、本実施例において前記膨張部14の内周側には、エアー室15が形成されており、このエアー室15には、前記ハウジング13の内部に形成した作動流体搬送路の先端部が連結している。即ち、図において16が作動流体搬送路であり、本実施例においては、前記エアー室15にエアーを供給することとしており、従って、作動流体搬送路はエアー搬送路としている。
【0042】
そして、前記エアー搬送路16は、前述したように、先端部は、膨張部14の内周側の形成した前記エアー室15に連結され、これにより前記膨張部14の内周側に開口としている。
【0043】
また、エアー搬送路16は前記ハウジング13を基端側に向けて貫通し、基端側はハウジング13の後壁部で開口としている。そして、エアー搬送路16の基端部分には、継手17を介してエアー供給手段18が連結されており、エアー供給手段18からエアーを供給し、エアー搬送路16を介して膨張部14の内周側にエアーを供給することで、膨張部14を外周側に膨張させることを可能としている。
【0044】
従って、本実施例のパイプ切断装置1では、パイプ内に挿入した状態で、膨張部14の内周側にエアーを供給して膨張部14を外周側に膨張させて膨張部14をパイプの内壁に当接させることで、本体部2の位置を固定することが可能である。なお、膨張部14を膨張させるための作動流体は必ずしもエアーである必要はなく、液体でもよい。
【0045】
次に、図において19はフランジである。即ち、本実施例のパイプ切断装置1では、本体部2の基端部5にフランジ19を周設している。そして、このフランジ19の外径を前記ハウジング13の外径とほぼ同じとするとともに前記エアー供給手段18はハウジング19を貫通する構成としている。そしてこれにより、パイプ内に挿入したときに、基端部5をパイプ内に固定して、モーターを駆動したときに、本体部がぶれてしまうことをより効果的に防止している。
【0046】
次に、このように構成される本実施例のパイプ切断装置を用いて、地盤改良工事等の際に地中に残置したパイプを切断する場合には、まず、本実施例のパイプ切断装置を地中に残置したパイプ内に、パイプの深さ方向の所定位置まで挿入する。そして次に、エアー供給手段18にエアーを供給し、エアー搬送路16を介して膨張部14の内周側にエアーを供給し、それにより膨張部14を外周側に膨張させ、膨張部14をパイプの内壁に当接させ、本体部2の位置をパイプ内で固定する。
【0047】
次に、その状態でエアーモーターにエアーを供給してモーターを駆動し、それにより、カッターホルダー7を回転させる。そうすると、遠心力によりカッター本体10がカッターホルダー7の外周側に回動して、カッター本体10の先端がパイプの内周に当接し、パイプを内部から切断することが可能となる。
【0048】
次に、パイプの切断が完了した後は、モーターの駆動を停止してカッター本体10を基の位置に戻すとともに、エアー供給手段18によるエアーの供給を停止して膨張部を基の形状に解除してパイプに対する本体部の固定を解除し、その後は、パイプ切断装置をパイプ内における次に切断する位置まで移動させた後に、上記と同様にしてパイプを内部から切断し、更にその後は、パイプ内における移動とパイプの切断を繰り返す。
【0049】
そしてこのとき、本実施例のパイプ切断装置1では、パッカー部12の膨張部14を外周側に膨張させて膨張部14をパイプの内壁に当接させることで、本体部2の位置をパイプ内で固定しているために、パイプ内径が大きくなり、本体部の外径とパイプ内径との間に隙間が形成されている場合でも、モーターを駆動したときに、本体部がぶれることが無く、確実に、カッター本体によるパイプの切断を行うことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明のパイプ切断装置は、パイプの内径が大きくなった場合でも、本体部がぶれることなく確実にパイプを切断可能としているために、パイプの切断装置の全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 パイプ切断装置
2 本体部
3 中央部
4 先端部
5 基端部
6 切断部
7 カッターホルダー
8 切り欠き
9 突出部
10 カッター本体
11 ピン
12 パッカー部
13 ハウジング
14 膨張部
15 エアー室
16 エアー搬送路
17 継手
18 エアー供給手段
19 フランジ
図1
図2
図3