(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086609
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】充電システム及び電力変換ボックス
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20230615BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H02J7/10 P
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201257
(22)【出願日】2021-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】521543576
【氏名又は名称】能海電能科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】盧 關仁
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 宗勳
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503BB02
5G503FA03
5G503GB03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電動アシスト自転車を野外で充電する利便性を高める充電システム及び電力変換ボックスを提供する。
【解決手段】ポートを有するリン酸鉄リチウム電池40を充電するための充電システム1であって、第一電圧を有する第一直流電力を出力するための電力出力裝置を含む充電スタンド10と、ボックス本体22及び変換裝置を含む電力変換ボックス20を含む、ボックス本体は、リン酸鉄リチウム電池のポートに分離可能に電気接続される出力ポートを有し、リン酸鉄リチウム電池が挿入するための電池スロット26を有する。変換裝置は、ボックス本体に設置されると共に、電力出力裝置と出力ポートに電気接続されており、第一直流電力を、第二電圧を有する第二直流電力に変換しながら出力ポートに出力してリン酸鉄リチウム電池を充電する。変換裝置は、比較的高い電圧を出力する充電スタンドの第一直流電力を比較的低い電圧の第二直流電力に変換する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポートを有するリン酸鉄リチウム電池を充電するための充電システムであって、
第一電圧を有する第一直流電力を出力するための電力出力裝置を含む充電スタンドと、
ボックス本体と変換裝置を含む電力変換ボックスを含み、
当該ボックス本体は、当該リン酸鉄リチウム電池のポートに分離可能に電気接続される出力ポートを有し、当該リン酸鉄リチウム電池が挿入するための電池スロットを有し、
当該変換裝置は、当該ボックス本体に設置されると共に、当該電力出力裝置と当該出力ポートに電気接続されており、当該第一直流電力を第二電圧を有する第二直流電力に変換しながら当該出力ポートに出力して当該リン酸鉄リチウム電池を充電し、ただし、当該変換裝置は、当該第一電圧を当該第二電圧に降下させる、ことを特徴とする充電システム。
【請求項2】
当該充電スタンドは、当該電力出力裝置に電気接続される充電ガンを含み、
当該第一直流電力は、当該充電ガンを介して出力され、
当該ボックス本体は、入力ポートを有し、当該充電ガンが挿入するための充電ガンソケットを有し、
当該変換裝置は、当該入力ポートと当該充電ガンを介して、当該電力出力裝置に電気接続される、ことを特徴とする請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
当該充電スタンドは、充電ガンを含み、当該電力出力裝置は、それぞれ、当該変換裝置と当該充電ガンに電気接続される第一出力ポートと第二出力ポートを有し、当該第一出力ポートを介して当該第一直流電力を出力すると共に、当該第二出力ポートを介して第三直流電力を出力すると共に当該充電ガンを介して出力する、ことを特徴とする請求項1に記載の充電システム。
【請求項4】
当該充電スタンドは、当該電力出力裝置に電気接続される第一通信モジュールを含み、当該電力変換ボックスは、第二通信モジュールを含み、ただし、当該第一通信モジュールが当該第二通信モジュールに通信しており、
当該出力ポートが当該リン酸鉄リチウム電池のポートに電気接続されていない場合には、当該電力出力裝置が当該第一直流電力を出力せず、当該リン酸鉄リチウム電池が当該電池スロットに挿入すると共に当該出力ポートが当該リン酸鉄リチウム電池のポートに電気接続されている場合には、当該第二通信モジュールが電力出力命令を当該第一通信モジュールに送信して当該電力出力裝置が当該第一直流電力を出力するようにする、ことを特徴とする請求項1に記載の充電システム。
【請求項5】
当該変換裝置が当該第二直流電力を出力している状態において、当該出力ポートは、当該リン酸鉄リチウム電池のポートに電気接続されていることが、当該リン酸鉄リチウム電池のポートに電気接続されないことに変わる場合には、当該変換裝置が当該第二直流電力を当該出力ポートに出力しないように停止する、ことを特徴とする請求項4に記載の充電システム。
【請求項6】
当該変換裝置が当該第二通信モジュールに電気接続されていると共に当該第二直流電力を当該出力ポートに出力しないように停止した場合には、当該第二通信モジュールは、電力停止命令を当該第一通信モジュールに送信して、当該電力出力裝置が当該第一直流電力を出力しないように停止する、ことを特徴とする請求項5に記載の充電システム。
【請求項7】
当該変換裝置は、当該第二通信モジュールに電気接続されており、当該リン酸鉄リチウム電池に電圧が所定の電圧まで充電されると、当該第二直流電力を当該出力ポートに出力しないように停止すると共に、当該第二通信モジュールは、電力停止命令を当該第一通信モジュールに送信して、当該電力出力裝置が当該第一直流電力を出力しないように停止する、ことを特徴とする請求項4に記載の充電システム。
【請求項8】
当該充電スタンドの電力出力裝置が出力する第一直流電力は、その電圧が調整可能な電圧範囲を有し、当該第一電圧が当該調整可能な電圧範囲における最小電圧とされる、ことを特徴とする請求項1に記載の充電システム。
【請求項9】
当該変換裝置の出力する第二直流電力は、当該リン酸鉄リチウム電池における充電電流の二倍である出力電流を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の充電システム。
【請求項10】
第一直流電圧を有する第一直流電力を出力するための充電スタンドに接続されると共に、ポートを有するリン酸鉄リチウム電池を充電するための電力変換ボックスであって、
当該リン酸鉄リチウム電池のポートに分離可能に電気接続される出力ポートを有し、当該リン酸鉄リチウム電池が挿入するための電池スロットを有するボックス本体と、
当該ボックス本体に設置されると共に、当該充電スタンドと当該出力ポートに電気接続されており、当該第一直流電力を第二電圧を有する第二直流電力に変換しながら当該出力ポートに出力して、当該リン酸鉄リチウム電池を充電し、ただし、当該第一電圧が当該第二電圧に降下される、変換裝置を含む、ことを特徴とする電力変換ボックス。
【請求項11】
当該充電スタンドは、充電ガンを含み、当該第一直流電力が当該充電ガンを介して出力されており、
当該ボックス本体は、入力ポートを有し当該充電ガンが挿入するための充電ガンソケットを有し、当該変換裝置は、当該入力ポートを介して当該充電ガンに電気接続される、ことを特徴とする請求項10に記載の電力変換ボックス。
【請求項12】
当該電力変換ボックスは、通信モジュールを含み、ただし、当該出力ポートが当該リン酸鉄リチウム電池のポートに電気接続されていない場合には、当該充電スタンドが当該第一直流電力を出力せず、当該リン酸鉄リチウム電池が当該電池スロットに挿入されていると共に当該出力ポートが当該リン酸鉄リチウム電池のポートに電気接続されている場合には、当該通信モジュールが電力出力命令を当該充電スタンドに送信して当該充電スタンドが当該第一直流電力を出力する、ことを特徴とする請求項10に記載の電力変換ボックス。
【請求項13】
当該変換裝置が当該第二直流電力を出力している状態において、当該出力ポートは、当該リン酸鉄リチウム電池のポートに電気接続されていることが、当該リン酸鉄リチウム電池のポートに電気接続されないことに変わると、当該変換裝置が当該第二直流電力を当該出力ポートに出力しないように停止する、ことを特徴とする請求項12に記載の電力変換ボックス。
【請求項14】
当該変換裝置が当該通信モジュールに電気接続されていると共に、当該第二直流電力を当該出力ポートに出力しないように停止した場合には、当該通信モジュールは、電力停止命令を当該充電スタンドに送信して、当該充電スタンドが当該第一直流電力を出力しないように停止する、ことを特徴とする請求項13に記載の電力変換ボックス。
【請求項15】
当該変換裝置は、当該通信モジュールに電気接続されており、リン酸鉄リチウム電池に電圧が所定の電圧まで充電されると、当該第二直流電力を当該出力ポートに出力しないように停止すると共に、当該通信モジュールは、電力停止命令を当該充電スタンドに送信して当該充電スタンドが当該第一直流電力を出力しないように停止する、ことを特徴とする請求項12に記載の電力変換ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電の設備に関し、特に、リン酸鉄リチウム電池(lithium-iron battery)を充電する充電システム及び電力変換ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
自転車により活動を楽しみにすることは盛んに行われるのに伴い、自転車も、楽しみに運動するための道具の一つとなる。普通の自転車は、完全に、人力による踏みを前進用の動力とすることが必要となる。電動アシスト自転車は、科学技術の発展に伴い、自転車により楽しみに活動するための他の選択肢となっている。電動アシスト自転車は、アシストモーターを介して、人力による踏みをアシストし、換言すると、利用者にとってわずかな部分の踏み力だけでモーターによる駆動を適正にアシストすれば、走行用の動力を提供することができるものである。従って、電動アシスト自転車は、普通の自転車に比べて、相当的に力を掛けないでも、自転車に乗って行楽を楽しむことが可能となる。
【0003】
電動アシスト自転車は、全体として重さ及び寸法に鑑み、一般的に、電池が相対的大きくないことから、電池容量が限られてしまう。また、電動アシスト自転車は、充電を行うことが常に部屋に実施されており、野外で実施されないため、利用者が出かけて電動アシスト自転車に乗る場合に、電力が無くなった窮地に立たされないように、いつでも電池の残量に注意しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このことに鑑み、電動アシスト自転車を野外で充電する利便性を高めることが可能である、充電システム及び電力変換ボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために、ポートを有するリン酸鉄リチウム電池を充電するための充電システムであって、充電スタンドと電力変換ボックスを含み、ただし、当該充電スタンドは、第一電圧を有する第一直流電力を出力するための電力出力裝置を含み、当該電力変換ボックスは、当該リン酸鉄リチウム電池のポートに分離可能に電気接続される出力ポートを有し当該リン酸鉄リチウム電池が挿入するための電池スロットを有するボックス本体と変換裝置を含み、当該変換裝置は、当該ボックス本体に設置されると共に、当該電力出力裝置と当該出力ポートに電気接続され、当該第一直流電力を第二電圧を有する第二直流電力に変換しながら当該出力ポートに出力して当該リン酸鉄リチウム電池を充電し、ただし、当該変換裝置は、当該第一電圧を当該第二電圧に降下させる、充電システムを提供する。
【0006】
本発明は、第一直流電圧を有する第一直流電力を出力するための充電スタンドに接続されると共に、ポートを有するリン酸鉄リチウム電池を充電するための電力変換ボックスであって、当該リン酸鉄リチウム電池のポートに分離可能に接続される出力ポートを有し当該リン酸鉄リチウム電池が挿入するための電池スロットを有するボックス本体と変換裝置を含み、当該変換裝置は、当該ボックス本体に設置されると共に当該充電スタンドと当該出力ポートに電気接続され、当該第一直流電力を第二電圧を有する第二直流電力に変換しながら当該出力ポートに出力して對当該リン酸鉄リチウム電池を充電し、ただし、当該変換裝置は、当該第一電圧を当該第二電圧に降下させる、電力変換ボックスを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、電力変換ボックスにより、比較的高い電圧を出力する充電スタンドの第一直流電力を比較的低い電圧の第二直流電力に変換することが可能であり、そして、比較的低い充電の電圧を必要とするリン酸鉄リチウム電池を充電することが可能になり、電動アシスト自転車を野外で充電する利便性が高まる、という効果を果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の好ましい第一実施例に係る充電システムの模式図である。
【
図2】本発明の好ましい第一実施例に係る充電システムのブロック図である。
【
図3】本発明の好ましい第一実施例に係る充電システムのブロック図である。
【
図4】本発明の好ましい第一実施例に係る充電システムのブロック図である。
【
図5】本発明の好ましい第二実施例に係る充電システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を明確に説明するために、好ましい実施例を挙げて、図面を参照しながら以下に詳しく説明する。
図1~
図4に示すものは、本発明の好ましい第一実施例に係る充電システム1である。充電システム1は、電動アシスト自転車の電池とされるリン酸鉄リチウム電池40を充電するためのものである。リン酸鉄リチウム電池40は、定格電圧が36V、容量が6.6Ah、標準的な充電電流が6.6Aである。リン酸鉄リチウム電池40は、二倍の急速充電(2C充電)でも良く、ただし、二倍の充電電流が13.2Aである。リン酸鉄リチウム電池40は、ポート42、通信モジュール44、電池管理モジュール46及び電池パック48を含む。ポート42は、通信モジュール44に電気接続される通信ポート422、及び、通信ポート422と電池パック48に電気接続される電池管理モジュール46に電気接続される電力ポート424を有する。通信モジュール44には、CAN-busの通信規格が例に用いられる。電池管理モジュール46は、電池パック48から電力を電力ポート424に出力し、又は、電力ポート424により充電電力を受けて電池パック48を充電するように切り替える。電池管理モジュール46は、電圧、電流や温度などを含んでいる電池パック48の電池状態を検測する。電池管理モジュール46は、通信モジュール44により、電池状態を通信ポート422から外部に送信してもよいし、也通信モジュール44により、識別コード、必要な充電電圧や充電電流などを含んでいる電池の情報を外部に送信してもよい。
【0010】
充電システム1は、充電スタンド10と電力変換ボックス20を含み、ただし、充電スタンド10は、例えば、電動二輪車又は電気自動車に電力を供給することを主たる目的とする。充電スタンド10は、スタンド本体12、電力出力裝置14及び充電ガン16を含む。電力出力裝置14は、スタンド本体に位置しており、第一電圧と第一電流を有する第一直流電力を出力するものである。電力出力裝置14は、交流電力を第一直流電力に変換する。本実施例では、第一直流電力の電圧は、調整可能な電圧範囲を有し、第一電圧為は、調整可能な電圧範囲における最小電圧とされ、例えば、調整可能な電圧範囲における最大電圧が100V、最小電圧(第一電圧)が50Vである。異なる電動車両に必要な充電電圧によって、電力出力裝置14が異なる電圧を出力してもよいし、異なる電流を出力してもよい。
【0011】
充電ガン16は、電力出力裝置14に電気接続され、しかも、第一直流電力が充電ガン16を介して出力されるものである。本実施例では、充電ガン16は、通信ポート162aと電力ポート162bを含むポート162を有し、ただし、電力ポート162bは、電力出力裝置14に電気接続されて、第一直流電力を出力する。
【0012】
充電スタンド10は、通信モジュール(以降、第一通信モジュール18と呼ばれる)を含み、第一通信モジュール18は、電力出力裝置14と充電ガン16の通信ポート162aに電気接続され、CAN-busの通信規格が例に用いられる。電力出力裝置14は、第一通信モジュール18を介して外部の通信モジュールに通信可能であり、例えば、充電ガン16が電動車両と接続される場合に、充電スタンド10の第一通信モジュール18が電動車両の通信モジュールに通信して、電池に必要な充電電圧や充電電流などを含んでいる電動車両の電池情報を取得し、取得した電池情報に基づいて、出力する第一直流電力の電圧や電流を特定する。
【0013】
電力変換ボックス20は、第一直流電力を第二直流電力に降下させるように変換して、比較的低い充電電圧を必要とするリン酸鉄リチウム電池40を充電するためのものである。電力変換ボックス20は、充電ガンソケット24と電池スロット26を有するボックス本体22と変換裝置28を含む。充電ガンソケット24は、充電ガン16における内部のポート162に分離可能に電気接続される入力ポート242を有する。入力ポート242は、通信ポート242aと電力ポート242bを有し、充電ガン16がガンソケット24に挿入して接続される場合に、充電ガン16におけるポート162の通信ポート162a及電力ポート162bが、それぞれ、入力ポート242における通信ポート242a及び電力ポート242bに接続されることになる。
【0014】
電池スロット26は、出力ポート262を有する。電池スロット26は、リン酸鉄リチウム電池40が挿入するものである。しかも、出力ポート262は、リン酸鉄リチウム電池40のポート42に分離可能に電気接続される。出力ポート262は、通信ポート262aと電力ポート262bを有し、リン酸鉄リチウム電池40が電池スロット26に挿入して接続される場合に、リン酸鉄リチウム電池40におけるポート42の通信ポート422及び電力ポート424がそれぞれ、出力ポート262における通信ポート262a及び電力ポート262bに接続されることになる。
【0015】
変換裝置28は、ボックス本体22に設置されると共に電力出力裝置14と出力ポート262に電気接続される。本実施例では、変換裝置28は、入力ポート242と充電ガン16を介して電力出力裝置14に電気接続される。
【0016】
変換裝置28は、第一直流電力を第二直流電力に変換しながら出力ポート262に出力する。ただし、第二直流電力は、第二電圧と第二電流を有しており、変換裝置28は、第一電圧を第二電圧に降下させると、第二電圧を、リン酸鉄リチウム電池40を充電するための電圧として用いる。本実施例では、変換裝置28は、降圧モジュール30と充電回路36を含む。降圧モジュール30は、入力ポート242の電力ポート242bに電気接続され、第一電圧を第二電圧に降下させるためのものである。降圧モジュール30は、離隔型変圧器32と降圧回路34を含む。離隔型変圧器32は、入力ポート242の電力ポート242bに電気接続され、充電スタンド10の高い電圧を電気離隔して、電力変換ボックス20の安全性を高めるものである。離隔型変圧器32は、第一直流電力の電力を、第一所定の電圧を有する第一所定の直流電力に降下させてから降圧回路34に出力する。降圧回路34は、buck降圧回路とされ、第一所定の電圧を有した第一の所定の直流電力を、第二所定の電圧を有する安定的な第二所定の直流電力に降圧させて、第二所定の直流電力を充電回路36に出力する。充電回路36は、定格電流と定格電圧(CC-CV)を混ぜた充電回路であり、出力ポート262の電力ポート262bに電気接続され、第二所定の直流電力を第二直流電力に変換し、電力ポート262bに出力する。第二直流電力は、最高の第二電圧が43.8Vであり、第二電流(つまり、出力電流)が13.2Aであり、第二電流は、リン酸鉄リチウム電池40における標準的な充電電流の二倍である。そして、リン酸鉄リチウム電池40を二倍急速で充電する能力を提供することが可能である。
【0017】
なお、電力変換ボックス20は、さらに、通信モジュール(以降、第二通信モジュール38と呼ばれる)を含み、第二通信モジュール38は、変換裝置28に電気接続されると共に、それぞれ入力ポート242の通信ポート242aと出力ポート262の通信ポート262aに電気接続される。第二通信モジュール38には、CAN-busの通信規格が例に用いられる。第二通信モジュール38は、充電スタンド10の第一通信モジュール18とリン酸鉄リチウム電池40の通信モジュール44に通信することが可能である。本実施例では、第二通信モジュール38は、変換裝置28に電気接続される充電回路36とされる。
【0018】
利用者は、使用の場合に、先に、充電ガン16を充電ガンソケット24に挿入したり(
図2参照)、先に、リン酸鉄リチウム電池40を電池スロット26(
図3参照)に置いたりするように選択してもよい。
【0019】
図2に示す状態を例に挙げると、充電ガン16が充電ガンソケット24に挿入ているが、出力ポート262がリン酸鉄リチウム電池40のポート42に電気接続されていない場合には、電力出力裝置がまだ第一直流電力を出力しない。本実施例では、第二通信モジュール38は、リン酸鉄リチウム電池40における通信モジュール44との通信を確立できず、しかも、充電回路36により、電力ポート262bがまだリン酸鉄リチウム電池40の電力ポート424と接続されていないと検測すると、充電スタンド10の電力出力裝置14が第一直流電力を出力するように要求しない。次に、
図4に示すように、リン酸鉄リチウム電池40が電池スロット26に挿入されると共に出力ポート262がリン酸鉄リチウム電池40のポートに電気接続されている場合には、第二通信モジュール38が電力出力命令を第一通信モジュール18に送信して、電力出力裝置14が第一直流電力を出力する。本実施例では、第二通信モジュール38は、リン酸鉄リチウム電池40における通信モジュール44との通信を確立することができる場合に、リン酸鉄リチウム電池40からの電池情報及び電池状態を受信する。また、充電回路36は、電力ポート262bが既にリン酸鉄リチウム電池40の電力ポート424に接続されていると検測すると、用意完了命令を第二通信モジュール38に送信する。次に、第二通信モジュール38は、電力出力命令を第一通信モジュール18に送信し、電力出力裝置14は、第一直流電力を出力し、変換裝置28は、第一直流電力を第二直流電力に変換しながら出力ポート262に出力することから、リン酸鉄リチウム電池40を二倍急速で充電することができる。
【0020】
図3に示す状態を例に挙げると、リン酸鉄リチウム電池40が電池スロット26に挿入されると共に出力ポート262がリン酸鉄リチウム電池40のポート42に電気接続される場合には、第二通信モジュール38がリン酸鉄リチウム電池40における通信モジュール44との通信を確立することができ、第二通信モジュール38は、リン酸鉄リチウム電池40からの電池情報及び電池状態を受信する。また、充電回路36は、電力ポート262bが既にリン酸鉄リチウム電池40の電力ポート424に接続されると検測すると、用意完了命令を第二通信モジュール38に送信する。次に、
図4に示すように、充電ガン16が充電ガンソケット24に挿入される場合に、電力出力裝置14がまだ第一直流電力を出力しない。第二通信モジュール38は、第一通信モジュールとの通信を確立することができる。また、変換裝置28は、充電ガン16の電力ポート162bと入力ポート242の電力ポート242bとが接続されていると検測すると、第二通信モジュール38が電力出力命令を第一通信モジュール18に送信し、電力出力裝置14が第一直流電力を出力し、変換裝置28が第一直流電力を第二直流電力に変換しながら出力ポート262に出力することにより、リン酸鉄リチウム電池を二倍急速で充電することができる。
【0021】
充電の際に、換言すると、変換裝置28が第二直流電力を出力している場合に、出力ポート262は、リン酸鉄リチウム電池40のポートに電気接続されることが、リン酸鉄リチウム電池40のポートに電気接続されないことに変えると、変換裝置28が第二直流電力を出力ポート262に出力しないように停止する。本実施例では、第二通信モジュール38は、リン酸鉄リチウム電池40における通信モジュール44との通信を確立できない場合に、又は、充電回路36により、電力ポート262bがリン酸鉄リチウム電池40の電力ポート424に接続されていないと検測する場合に、充電回路36が第二直流電力を出力しないように停止する。従って、リン酸鉄リチウム電池40を充電している際に電池スロット26から取り外すと、人が感電されてしまうリスクを避けることができる。次に、第二通信モジュール38は、直ぐに、電力停止命令を第一通信モジュール18に送信し、電力出力裝置14が第一直流電力を出力しないように停止する。従って、充電スタンドの高電圧を継続的に電力変換ボックス20に入力するのをも避けることが可能である。
【0022】
リン酸鉄リチウム電池40に電圧を所定の電圧まで充電した場合には、変換裝置28が第二直流電力を出力ポート262に出力しないように停止すると共に、第二通信モジュール38が電力停止命令を第一通信モジュール18に送信して電力出力裝置14が第一直流電力を出力しないように停止する。本実施例では、充電回路36は、リン酸鉄リチウム電池40の電圧が所定の電圧になると検測すると、第二直流電力を出力しないように停止すると共に充電完了命令を第二通信モジュール38に送信し、第二通信モジュール38が電力停止命令を第一通信モジュール18に送信して電力出力裝置14が第一直流電力を出力しないように停止する。従って、リン酸鉄リチウム電池40への充電が済む。
【0023】
図5に示すのは、本発明の好ましい第二実施例に係る充電システム2であり、第一実施例に係る構成と大体的に同様なものであるが、電力出力裝置50は、それぞれ、変換裝置28と充電ガン16に電気接続される第一出力ポート502と第二出力ポート504を有するということが相違点である。本実施例では、第一出力ポート502は、アダプタ52を介して、電力変換ボックス20の入力ポート242に接続されている。電力出力裝置50は、第一出力ポート502を介して、第一直流電力を電力変換ボックス20に出力し、リン酸鉄リチウム電池40を充電する。一実施例では、第一出力ポート502は、ケーブルを介して、変換裝置28に直接電気接続されてもよい。
【0024】
充電ガン16を電動車両に接続する場合には、電力出力裝置50が第二出力ポート504を介して第三直流電力を出力すると共に充電ガン16を介して電動車両に出力して充電を行う。
【0025】
以上より、本発明に係る充電システムは、電力変換ボックスを介して、比較的高い電圧を出力する充電スタンドの第一直流電力を比較的低い電圧の第二直流電力に変換することができることから、比較的低い充電電圧を必要とするリン酸鉄リチウム電池に充電することができ、電動アシスト自転車を野外で充電する利便性が高まる。
【0026】
以上の説明は、本発明における好ましい実施可能な実施例に過ぎず、本発明に係る明細書及び特許請求の範囲に基づいてなされる均等変化は、いずれも、本発明の特許範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0027】
1 充電システム
10 充電スタンド
12 スタンド本体
14 電力出力裝置
16 充電ガン
162 ポート
162a 通信ポート
162b 電力ポート
18 第一通信モジュール
20 電力変換ボックス
22 ボックス本体
24 充電ガンソケット
242 入力ポート
242a 通信ポート
242b 電力ポート
26 電池スロット
262 出力ポート
262a 通信ポート
262b 電力ポート
28 変換裝置
30 降圧モジュール
32 離隔型変圧器
34 降圧回路
36 充電回路
38 第二通信モジュール
40 リン酸鉄リチウム電池
42 ポート
422 通信ポート
424 電力ポート
44 通信モジュール
46 電池管理モジュール
48 電池パック
2 充電システム
50 電力出力裝置
502 第一出力ポート
504 第二出力ポート
52 アダプタ