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特開2023-86624情報処理装置、プログラム及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086624
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0242 20230101AFI20230615BHJP
【FI】
G06Q30/02 382
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201291
(22)【出願日】2021-12-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-04
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年12月18日に株式会社VOYAGE GROUPのウェブサイトのhttps://voyagegroup.com/news/press/01_20201218_01/にて発表 〔刊行物等〕
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年12月18日に「MarkeZine」のhttps://markezine.jp/article/detail/35164にて発表 〔刊行物等〕
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年12月22日に「MarkeZine」のhttps://markezine.jp/article/detail/34986にて発表 〔刊行物等〕
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年12月23日に「スタートライズ広告ニュース」のhttps://www.startrise.jp/articles/view/10598にて発表 〔刊行物等〕 /inte
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年3月17日に株式会社VOYAGE GROUPのウェブサイトのhttps://voyagegroup.com/news/press/01_20210317_02/にて発表 〔刊行物等〕
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年3月17日に「Screens」のhttps://www.screens-lab.jp/article/26543にて発表 〔刊行物等〕
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年3月17日に「MarkeZine」のhttps://markezine.jp/article/detail/35790にて発表 〔刊行物等〕
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年3月18日に「ミツカル」のhttps://mitsu-karu.com/article/telecy/にて発表 〔刊行物等〕
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年4月1日に株式会社テレシーのウェブサイト及び「PR TIMES」のhttps://telecy.tv/press/270/及びhttps://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000076049.htmlにて発表 〔刊行物等〕
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年8月11日に株式会社unerryのウェブサイトのhttps://www.unerry.co.jp/news/unerry_telecy/にて発表 〔刊行物等〕
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年10月14日に株式会社テレシーのウェブサイトのhttps://telecy.tv/column/766/にて発表 〔刊行物等〕
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年10月28日に「ExchangeWire」のhttps://www.exchangewire.jp/2021/10/28
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.THUNDERBOLT
(71)【出願人】
【識別番号】521543978
【氏名又は名称】株式会社テレシー
(71)【出願人】
【識別番号】320005501
【氏名又は名称】株式会社電通
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】大竹 聡子
(72)【発明者】
【氏名】野村 亮二
(72)【発明者】
【氏名】早坂 琢真
(72)【発明者】
【氏名】柏倉 寛紀
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】CMに使用された素材の価値と、CMに紐付いた番組の価値とを評価する情報処理装置、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理システムにおいて、情報処理装置の制御部は、現在進行中の商品又は役務に関連する重要業績評価指標に係るデータを取得する取得部と、過去の時間推移と、過去の時間推移に対応する重要業績評価指標の推移との関係を示す参照情報を利用し、現在以降の時間推移に基づいて、現在以降の重要業績評価指標の推移を予測する予測部と、現在進行中の重要業績評価指標と、現在進行中の重要業績評価指標に対応する予測した重要業績評価指標の推移から導出される重要業績評価指標との差分を示す推定CM効果を算出し、推定CM効果に基づいて、商品又は役務のCMに使用された素材に係る素材CM効果及びCMに紐付いた番組に係る番組CM効果を算出する算出部と、素材CM効果及び番組CM効果を出力する出力部と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置であって、
取得部と、予測部と、算出部と、出力部とを備え、
前記取得部は、現在進行中の重要業績評価指標に係るデータを取得し、
前記重要業績評価指標は、商品又は役務に関連し、
前記予測部は、過去の時間推移と、該過去の時間推移に対応する重要業績評価指標の推移との関係を示す参照情報を利用し、現在以降の時間推移に基づいて、現在以降の重要業績評価指標の推移を予測し、
前記算出部は、前記現在進行中の重要業績評価指標と、該現在進行中の重要業績評価指標に対応する前記予測した重要業績評価指標の推移から導出される重要業績評価指標との差分を示す推定CM効果を算出し、
前記算出部は、前記推定CM効果に基づいて、前記商品又は役務のCMに使用された素材に係る素材CM効果及び該CMに紐付いた番組に係る番組CM効果を算出し、
前記出力部は、前記素材CM効果及び前記番組CM効果を出力する、
情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記参照情報は、前記過去の時間推移と、該過去の時間推移に対応する重要業績評価指標の推移との関係を予め学習させた学習済みモデルである、
情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置において、
学習部を備え、
前記学習部は、時間推移と、該時間推移に対応する重要業績評価指標の推移との関係を学習させて、前記学習済みモデルを生成又は更新する、
情報処理装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記取得部は、前記CMが放映されていないエリアにおける現在進行中の重要業績評価指標を示す非放映エリア重要業績評価指標に係るデータを取得し、
前記予測部は、前記参照情報を利用し、前記現在以降の時間推移と、前記非放映エリア重要業績評価指標とに基づいて、現在以降の重要業績評価指標の推移を予測する、
情報処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理装置において、
前記予測部は、前記非放映エリア重要業績評価指標に係るデータがない場合、任意のエリアにおける前記推定CM効果が最も低い時間帯の重要業績評価指標を前記非放映エリア重要業績評価指標として利用する、
情報処理装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の情報処理装置において、
前記予測部は、前記非放映エリア重要業績評価指標に係るデータがない場合、任意のエリアにおける所定の日の重要業績評価指標を前記非放映エリア重要業績評価指標として利用する、
情報処理装置。
【請求項7】
請求項4に記載の情報処理装置において、
前記予測部は、前記非放映エリア重要業績評価指標に係るデータがない場合、任意のエリアにおける現在進行中の重要業績評価指標を前記非放映エリア重要業績評価指標として利用する、
情報処理装置。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記予測部は、前記CMの放映後における該CMの効果を示すCM残存効果を予測し、
前記算出部は、前記推定CM効果と、前記CM残存効果とに基づいて、前記素材CM効果及び前記番組CM効果を算出する、
情報処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理装置において、
前記CM残存効果は、前記CMの放映終了後から所定期間経過後に、0とする、
情報処理装置。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載の情報処理装置において、
前記取得部は、前記CMの視聴率に係るデータを取得し、
前記予測部は、前記視聴率と、前記CMが放映されたエリアの人口とに基づいて、前記CMの広告統計データを予測し、
前記予測部は、前記CMの広告統計データに基づいて、前記CM残存効果を予測する、
情報処理装置。
【請求項11】
請求項8~請求項10のいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記予測部は、設定された重み付けに基づいて、前記CM残存効果を予測する、
情報処理装置。
【請求項12】
請求項11に記載の情報処理装置において、
前記重み付けは、前記CM残存効果の残存期間、残存率及びピークのうち少なくとも1つ以上のパラメータに基づいて設定され、
前記予測部は、過去の時間推移と、該過去の時間推移に対応する重要業績評価指標の推移とに基づいて、前記パラメータを予測する、
情報処理装置。
【請求項13】
請求項12に記載の情報処理装置において、
前記予測部は、ベイズ推定を実施することにより、前記パラメータを予測する、
情報処理装置。
【請求項14】
請求項1~請求項13のいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記算出部は、マルチレベルモデルを適用することにより、前記素材CM効果及び前記番組CM効果を算出する、
情報処理装置。
【請求項15】
プログラムであって、
請求項1~請求項14のいずれか1項に記載の情報処理装置の各部としてコンピュータを機能させる、
プログラム。
【請求項16】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
取得工程と、予測工程と、算出工程と、出力工程とを備え、
前記取得工程では、現在進行中の重要業績評価指標に係るデータを取得し、
前記重要業績評価指標は、商品又は役務に関連し、
前記予測工程では、過去の時間推移と、該過去の時間推移に対応する重要業績評価指標の推移との関係を示す参照情報を利用し、現在以降の時間推移に基づいて、現在以降の重要業績評価指標の推移を予測し、
前記算出工程では、前記現在進行中の重要業績評価指標と、該現在進行中の重要業績評価指標に対応する前記予測した重要業績評価指標の推移から導出される重要業績評価指標との差分を示す推定CM効果を算出し、
前記算出工程では、前記推定CM効果に基づいて、前記商品又は役務のCMに使用された素材に係る素材CM効果及び該CMに紐付いた番組に係る番組CM効果を算出し、
前記出力工程では、前記素材CM効果及び前記番組CM効果を出力する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、プログラム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CMの配信日時と、所定期間内に発生したコンバージョン数とに基づいて、CMの効果を評価する装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-198005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された装置では、CMに使用された素材要因でコンバージョンが発生したのか、又は、このCMに紐付いた番組要因でコンバージョンが発生したのかを見極めることができなかった。
【0005】
本発明では上記事情を鑑み、CMに使用された素材の価値と、このCMに紐付いた番組の価値とを評価することができる情報処理装置を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、情報処理装置が提供される。この情報処理装置は、取得部と、予測部と、算出部と、出力部とを備える。取得部は、現在進行中の重要業績評価指標に係るデータを取得する。重要業績評価指標は、商品又は役務に関連する。予測部は、過去の時間推移と、該過去の時間推移に対応する重要業績評価指標の推移との関係を示す参照情報を利用し、現在以降の時間推移に基づいて、現在以降の重要業績評価指標の推移を予測する。算出部は、現在進行中の重要業績評価指標と、該現在進行中の重要業績評価指標に対応する予測した重要業績評価指標の推移から導出される重要業績評価指標との差分を示す推定CM効果を算出する。算出部は、推定CM効果に基づいて、商品又は役務のCMに使用された素材に係る素材CM効果及び該CMに紐付いた番組に係る番組CM効果を算出する。出力部は、素材CM効果及び番組CM効果を出力する。
【0007】
上記の開示によれば、CMに使用された素材の価値と、このCMに紐付いた番組の価値とを評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る情報処理システム100を表す構成図である。
図2】サーバ装置200のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】情報処理装置300のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】情報処理装置300(制御部310)によって実現される機能を示すブロック図である。
図5】情報処理装置300によって実行される情報処理の流れを示すアクティビティ図である。
図6】時間帯別におけるアプリケーションFのCM効果コンバージョン数の推移を示すグラフである。
図7】非放映エリアコンバージョン数に係るデータを利用しなかった場合(第1パターン)と、非放映エリアコンバージョン数に係るデータを利用した場合(第2パターン)とにおけるコンバージョン数の推移の予測精度の違いを示す図である。
図8】インプレッション数とCM効果コンバージョン数との比較、及び、CM残存効果とCM効果コンバージョン数との比較を示す図である。
図9】インプレッション数とCM効果コンバージョン数との比較、及び、CM残存効果とCM効果コンバージョン数との比較の散布図である。
図10】アプリケーションFのコンバージョン数の推移を示すグラフである。
図11】CM残存効果の各パラメータを変更することによるCM残存効果の推移の違いを示す図である。
図12】夜間に放映されたCMのCM残存効果の推移、及び、日中に放映されたCMのCM残存効果の推移を示す図である。
図13】CM放映時間ごとの各局のCM効果コンバージョン数の推移を示す図である。
図14】各局のCM効果コンバージョン数の推移を示す図である。
図15】局ごとの放映枠におけるCM効果の算出の例を示す表である。
図16】局ごとの放映枠におけるCM効果の算出の例を示す表である。
図17】局ごとの放映枠におけるCM効果の算出の例を示す表である。
図18】局ごとの放映枠におけるCM効果の算出の例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0011】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0012】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0013】
1.ハードウェア構成
第1節では、本実施形態のハードウェア構成について説明する。
【0014】
1.1 情報処理システム100
図1は、本実施形態に係る情報処理システム100を表す構成図である。情報処理システム100は、サーバ装置200と、情報処理装置300とを備え、これらがネットワークを通じて接続されている。これらの構成要素についてさらに説明する。ここで、情報処理システム100に例示されるシステムとは、1つ又はそれ以上の装置又は構成要素からなるものである。
【0015】
1.2 サーバ装置200
図2は、サーバ装置200のハードウェア構成を示すブロック図である。サーバ装置200は、制御部210と、記憶部220と、通信部250とを有し、これらの構成要素がサーバ装置200の内部において通信バス260を介して電気的に接続されている。各構成要素についてさらに説明する。
【0016】
制御部210は、サーバ装置200に関連する全体動作の処理・制御を行う。制御部210は、例えば、不図示の中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。制御部210は、記憶部220に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、サーバ装置200に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶部220に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例である制御部210によって具体的に実現されることで、制御部210に含まれる各機能部として実行されうる。これらについては、次節においてさらに詳述する。なお、制御部210は単一であることに限定されず、機能ごとに複数の制御部210を有するように実施してもよい。またそれらの組み合わせ出会ってもよい。
【0017】
記憶部220は、サーバ装置200の情報処理に必要な様々な情報を記憶する。これは、例えば、制御部210によって実行されるサーバ装置200に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。また、これらの組み合わせであってもよい。
【0018】
通信部250は、USB、IEEE1394、Thunderbolt、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいものの、無線LANネットワーク通信、LTE/3G等のモバイル通信、Bluetooth(登録商標)通信等を必要に応じて含めてもよい。すなわち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。すなわち、サーバ装置200は、通信部250を介して、情報処理装置300とネットワークを介して種々の情報を通信する。
【0019】
1.3 情報処理装置300
図3は、情報処理装置300のハードウェア構成を示すブロック図である。情報処理装置300は、制御部310と、記憶部320と、表示情報生成部330と、入力受付部340と、通信部350とを有し、これらの構成要素が情報処理装置300の内部において通信バス360を介して電気的に接続されている。制御部310、記憶部320及び通信部350の説明は、サーバ装置200における制御部210、記憶部220及び通信部250と略同様のため省略する。
【0020】
表示情報生成部330は、テキスト、画像(静止画及び動画を含む)を表示するものであり、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及びプラズマディスプレイ等の表示デバイスに表示する情報を生成する。
【0021】
入力受付部340は、情報処理装置300に種々の情報を入力するものであり、マウス、キーボード、ポインティングデバイス等から入力される信号を受け付ける。ユーザによってなされた操作入力は、命令信号として、通信バス360を介して制御部310に転送される。そして、制御部310は、必要に応じて所定の制御や演算を実行しうる。
【0022】
2.機能構成
本節では、本実施形態の機能構成について説明する。前述の通り、記憶部320に記憶されているソフトウェアによる情報処理がハードウェアの一例である制御部310によって具体的に実現されることで、制御部310に含まれる各機能部として実行されうる。
【0023】
図4は、情報処理装置300(制御部310)によって実現される機能を示すブロック図である。具体的には、情報処理装置300(制御部310)は、取得部311と、予測部312と、算出部313と、出力部314と、学習部315とを備える。
【0024】
取得部311は、種々の情報を取得するように構成される。例えば、取得部311は、商品又は役務に関連する重要業績評価指標に係るデータを取得する。重要業績評価指標は、例えば、最終コンバージョン数、マイクロコンバージョン数、セッション数、最終コンバージョン率、マイクロコンバージョン率、セッション率等であってもよい。以下、単に「コンバージョン」と記載があるときは、「最終コンバージョン」を示すものとする。
【0025】
予測部312は、種々の情報を予測するように構成される。例えば、予測部312は、所定の参照情報を利用し、商品又は役務に関連する重要業績評価指標の推移を予測する。
【0026】
算出部313は、種々の情報を算出するように構成される。例えば、算出部313は、現在進行中の重要業績評価指標と、該現在進行中の重要業績評価指標に対応する予測した重要業績評価指標の推移から導出される重要業績評価指標との差分を示す推定CM効果を算出する。
【0027】
出力部314は、種々の情報を出力するように構成される。例えば、出力部314は、推定CM効果に基づいて算出された、CMに使用された素材に係る素材CM効果及び当該CMに紐付いた番組に係る番組CM効果を出力する。
【0028】
学習部315は、種々の情報を学習するように構成される。例えば、学習部315は、時間推移と、この時間推移に対応する重要業績評価指標の推移との関係を学習させて、学習済みモデルを生成又は更新する。機械学習のアルゴリズムは特に限定されず、k近傍法、ロジスティック回帰、サポートベクターマシン、ニューラルネットワーク、トピックモデル、混合ガウスモデル等が適宜採用されればよい。
【0029】
3.情報処理方法
本節では、前述した情報処理装置300の情報処理方法について説明する。この情報処理方法は、コンピュータが実行する情報処理方法である。この情報処理方法は、取得工程と、予測工程と、算出工程と、出力工程とを備える。取得工程では、現在進行中の重要業績評価指標に係るデータを取得する。重要業績評価指標は、商品又は役務に関連する。予測工程では、過去の時間推移と、該過去の時間推移に対応する重要業績評価指標の推移との関係を示す参照情報を利用し、現在以降の時間推移に基づいて、現在以降の重要業績評価指標の推移を予測する。算出工程では、現在進行中の重要業績評価指標と、該現在進行中の重要業績評価指標に対応する予測した重要業績評価指標の推移から導出される重要業績評価指標との差分を示す推定CM効果を算出する。算出工程では、推定CM効果に基づいて、商品又は役務のCMに使用された素材に係る素材CM効果及び該CMに紐付いた番組に係る番組CM効果を算出する。出力工程では、素材CM効果及び番組CM効果を出力する。
【0030】
図5は、情報処理装置300によって実行される情報処理の流れを示すアクティビティ図である。以下、このアクティビティ図の各アクティビティに沿って、説明するものとする。本実施形態では、重要業績評価指標の一例としてコンバージョン数を用いて説明する。また、CMは、テレビ放送局又はラジオ放送局等から放送波を用いて配信されたものとする。さらに、番組の価値は、例えば、局Eにおけるニュース番組の価値を示す。
【0031】
ここで、コンバージョン数は、商品又は役務に関連するコンバージョンの数であり、例えば、商品であれば販売数量等を示し、アプリケーションであればダウンロード数やインストール数等を示す。本実施形態では、コンバージョン数は、アプリケーションFのダウンロード数を示すものとして説明する。また、本実施形態では、CMは、アプリケーションFのCMを示すものとして説明する。さらに、サーバ装置200は、情報処理装置300によって実行される情報処理に必要なコンバージョン数、視聴率等の種々のデータを記録している。
【0032】
まず、取得部311は、現在進行中のコンバージョン数に係るデータをサーバ装置200から取得する(アクティビティA110)。すなわち、情報処理装置300における通信部350が現在進行中のコンバージョン数に係るデータを受信し、情報処理装置300における制御部310が、受信した現在進行中のコンバージョン数に係るデータを記憶部320に記憶させる。ここで、現在進行中のコンバージョン数とは、リアルタイムに行われているアプリケーションFのダウンロード数のことを示す。
【0033】
続いて、制御部310は、非放映エリアコンバージョン数(請求項の「非放映エリア重要業績評価指標」に相当)に係るデータがサーバ装置200に記録されているか否かを判断する(アクティビティA120)。ここで、非放映エリアコンバージョン数とは、アプリケーションFのCMが放映されていないエリアにおける現在進行中のコンバージョン数を示す。例えば、アプリケーションFのCMが関東エリアのみで放映されている場合、制御部310は、関西エリアにおいてリアルタイムに行われているアプリケーションFのダウンロード数を、非放映エリアコンバージョン数として取り扱う。
【0034】
ここで、アプリケーションFの非放映エリアコンバージョン数に係るデータがサーバ装置200に記録されていると制御部310が判断すると(アクティビティA120のYes)、取得部311は、当該非放映エリアコンバージョン数に係るデータをサーバ装置200から取得する(アクティビティA130)。すなわち、情報処理装置300における通信部350が非放映エリアコンバージョン数に係るデータを受信し、情報処理装置300における制御部310が、受信した非放映エリアコンバージョン数に係るデータを記憶部320に記憶させる。
【0035】
一方、アプリケーションFの非放映エリアコンバージョン数に係るデータがサーバ装置200に記録されていないと制御部310が判断すると(アクティビティA120のNo)、取得部311は、任意のエリアにおけるCM効果コンバージョン数(請求項の「推定CM効果」に相当)が最も少ない時間帯のコンバージョン数に係るデータを取得する(アクティビティA131)。この場合、予測部312は、任意のエリアにおけるCM効果コンバージョン数が最も少ない時間帯のコンバージョン数を非放映エリアコンバージョン数として利用する。
【0036】
ここで、CM効果は、例えば、どれだけの人がCMに接触したか(CMリーチ)、どれだけの人がCMを知っているか(CM認知)、どれだけの人がアプリケーションFを知っているか(銘柄認知)、どれだけの人がアプリケーションFの内容を知っているか(内容理解)、どれだけの人がアプリケーションFをダウンロードする意欲があるか(購入意向)、どれだけの人が実際にアプリケーションFをダウンロードしたか(購入)等、種々の観点から測定されてもよい。本実施形態では、CM効果は、CMが放映されたことを要因とする、アプリケーションFのコンバージョン数として測定されるものとする。
【0037】
ここで、CM効果コンバージョン数は、例えば、CMが放映されたことによって生じたアプリケーションFのダウンロード数を示す。すなわち、CM効果コンバージョン数は、CM効果によって生じるコンバージョン数のことを示す。
【0038】
CM効果コンバージョン数が最も少ない時間帯は、商品やアプリケーションの種類によって異なり、例えば、23時台から7時台であってもよく、好ましくは0時台から6時台であってもよく、より好ましくは1時台から5時台であってもよい。本実施形態では、アプリケーションFのCM効果コンバージョン数が最も少ない時間帯を4時台及び5時台として説明する。すなわち、情報処理装置300における通信部350が任意のエリアにおける4時台及び/又は5時台のコンバージョン数に係るデータを受信し、情報処理装置300における制御部310が、受信した当該コンバージョン数に係るデータを記憶部320に記憶させる。
【0039】
ここで、アプリケーションFの非放映エリアコンバージョン数に係るデータがサーバ装置200に記録されていない場合とは、例えば、アプリケーションFのCMが全国で放映されている場合が該当する。この場合、取得部311は、任意のエリア(例えば、北海道エリア)における4時台及び/又は5時台のコンバージョン数に係るデータを取得する。
【0040】
図6は、時間帯別におけるアプリケーションFのCM効果コンバージョン数の推移を示すグラフである。
【0041】
アプリケーションFのCM効果コンバージョン数は、0時から4時にかけて減少し、4時台及び5時台では最も少なく、6時から21時にかけて増加傾向を示し、21時以降は減少している。すなわち、CM効果は、4時台及び5時台ではほとんど生じていない。その理由は、4時台及び5時台に行動している視聴者が少ないためと思われる。したがって、非放映エリアコンバージョン数の推移は、4時台及び/又は5時台のコンバージョン数をベースにして各時間帯のコンバージョン数を逐次的に計算することで、予測することができる。
【0042】
これによれば、非放映エリアコンバージョン数に係るデータが存在しない場合であっても、より高い精度で、現在以降のコンバージョン数の推移を予測することができる。
【0043】
続いて、予測部312は、過去の時間推移と、該過去の時間推移に対応するコンバージョン数の推移との関係を示す参照情報を利用し、現在以降の時間推移に基づいて、現在以降のコンバージョン数の推移を予測する。好ましくは、予測部312は、当該参照情報を利用し、現在以降の時間推移と、非放映エリアコンバージョン数とに基づいて、現在以降のコンバージョン数の推移を予測する(アクティビティA140)。すなわち、制御部310が、記憶部320に予め記憶された、ルックアップテーブルや学習済みモデル321等の参照情報を読み出し、予測処理を実行することで、現在以降の時間推移と、非放映エリアコンバージョン数とに基づいて、現在以降のコンバージョン数の推移を予測する。
【0044】
予測部312は、現在以降のコンバージョン数の推移を2段階に分けて予測する。すなわち、予測部312は、参照情報から出力された第1段階に係る現在以降のコンバージョン数の推移と、非放映エリアコンバージョン数とを時間軸を合わせて対比し、これらの差分に基づいて、第1段階に係る現在以降のコンバージョン数の推移を補正することで、第2段階に係る現在以降のコンバージョン数の推移を予測する。
【0045】
ここで、参照情報は、過去の時間推移と、該過去の時間推移に対応するコンバージョン数の推移との関係を予め学習させた学習済みモデル321である。学習済みモデル321は、例えば、状態空間モデル、一般化線形モデル、正規線形モデル、一般化線形混合モデル、自己回帰移動平均モデル、一般化自己回帰条件付き分散不均一モデル、確率的分散変動モデル等、適宜選択可能である。
【0046】
これによれば、機械学習を用いることで、高い精度で、現在以降のコンバージョン数の推移を予測することができる。
【0047】
アクティビティA140によれば、非放映エリアコンバージョン数を利用することにより、より高い精度で、現在以降のコンバージョン数の推移を予測することができる。
【0048】
図7は、非放映エリアコンバージョン数に係るデータを利用しなかった場合(第1パターン)と、非放映エリアコンバージョン数に係るデータを利用した場合(第2パターン)とにおけるコンバージョン数の推移の予測精度の違いを示す図である。
【0049】
図7では、第1パターン及び第2パターンについて、コンバージョン数の推移(実績)とコンバージョン数の推移(予測)とを折れ線グラフで示し、これらの差分を棒グラフで示した。第2パターンについては、さらに、非放映エリアコンバージョン数を塗りつぶし領域で示した。当該棒グラフは、コンバージョン数の推移の実績値と予測値との誤差を示す。コンバージョン数の推移の予測誤差率は、第1パターンで4%、第2パターンで2%であった。
【0050】
図7によれば、非放映エリアコンバージョン数に係るデータを利用することで、より高い精度で、現在以降のコンバージョン数の推移を予測できることが実証された。
【0051】
続いて、算出部313は、現在進行中のコンバージョン数と、該現在進行中のコンバージョン数に対応する予測したコンバージョン数の推移から導出されるコンバージョン数との差分を示すCM効果コンバージョン数を算出する(アクティビティA150)。すなわち、制御部310が、記憶部320に記憶された、現在進行中のコンバージョン数と、これに対応する予測したコンバージョン数の推移とを読み出し、算出処理を実行することで、CM効果コンバージョン数を算出する。
【0052】
ここで、「対応する」とは、同じ時間軸におけるコンバージョン数のことを示す。アクティビティA150を例に挙げると、算出部313は、2021年12月6日10時のコンバージョン数(実績値)と、2021年12月6日10時のコンバージョン数(予測値)との差分をCM効果コンバージョン数として算出する。
【0053】
続いて、取得部311は、アプリケーションFのCMの視聴率に係るデータをサーバ装置200から取得する(アクティビティA160)。すなわち、情報処理装置300における通信部350が視聴率に係るデータを受信し、情報処理装置300における制御部310が、受信した視聴率に係るデータを記憶部320に記憶させる。ここで、視聴率とは、世帯視聴率、個人視聴率のことを示し、それぞれに、リアルタイムの視聴率とタイムシフトの視聴率とがある。また、個人視聴率は、個人全体視聴率と、F1~M3層等の特定のカテゴリーの個人視聴率とがある。視聴率は、CMに使用された素材及び該CMに紐付いた番組の価値を評価する際に、適宜選択されればよい。
【0054】
続いて、予測部312は、アプリケーションFのCMの放映後における該CMの効果を示すCM残存効果を予測する(アクティビティA170)。すなわち、制御部310が、記憶部320に記憶された、アプリケーションFのCMの視聴率に係るデータと、CMが放映されたエリアの人口に係るデータとを読み出し、予測処理を実行することで、CM残存効果を予測する。
【0055】
予測処理は、例えば、次の通りである。予測部312は、視聴率と、CMが放映されたエリアの人口とに基づいて、CMのインプレッション数(請求項の「広告統計データ」に相当)を予測する。続いて、予測部312は、予測したCMのインプレッション数に基づいて、CM残存効果を予測する。すなわち、予測部312は、インプレッション数をCM残存効果に変換処理する。
【0056】
ここで、インプレッション数は、CMの表示回数を示す。CM残存効果は、CM放映後に残存するCM効果を示す。
【0057】
図8は、インプレッション数とCM効果コンバージョン数との比較、及び、CM残存効果とCM効果コンバージョン数との比較を示す図である。本実施形態では、CMの素材A、素材B及び素材Cを用意し、放映エリアと局を分散させて素材別にCM放映した。一例として、各素材に係るCMは、北海道エリアの北海道テレビ放送(HTB)及び北海道放送(HBC)、並びに関東エリアのテレビ朝日(EX)及び日本テレビ(NTV)の各局で放映された。このように、放映エリアと局を分散させて素材別にCM放映することで、エリア特性、局特性、番組特性を排除することができると考えられる。
【0058】
図8の上図では、素材Aのインプレッション数は、素材B、素材Cのインプレッション数よりも高い値を示している。図8の下図は、各素材のインプレッション数をCM残存効果に変換処理した値を示している。図8の下図に示す各素材のCM残存効果の推移は、図8の上図に示す各素材のインプレッション数の推移と比べて、CM効果コンバージョン数の推移と近い形状を示している。
【0059】
図9は、インプレッション数とCM効果コンバージョン数との比較、及び、CM残存効果とCM効果コンバージョン数との比較の散布図である。
【0060】
素材Aに係るCMのインプレッション数とCM効果コンバージョン数との相関係数は、0.844である。一方、素材Aに係るCMのCM残存効果とCM効果コンバージョン数との相関係数は、0.891である。素材Bに係るCMのインプレッション数とCM効果コンバージョン数との相関係数は、0.845である。一方、素材Bに係るCMのCM残存効果とCM効果コンバージョン数との相関係数は、0.942である。素材Cに係るCMのインプレッション数とCM効果コンバージョン数との相関係数は、0.830である。一方、素材Cに係るCMのCM残存効果とCM効果コンバージョン数との相関係数は、0.90である。
【0061】
図8及び図9によれば、CM残存効果の推移は、インプレッション数の推移と比較して、CM効果コンバージョン数の推移との相関性が高い。したがって、インプレッション数をCM残存効果に変換処理することで、より正確にCM効果コンバージョン数を算出することができる。
【0062】
図10は、アプリケーションFのコンバージョン数の推移を示すグラフである。棒グラフで示されるCM効果コンバージョン数は、コンバージョン数の実績と、CMが放映されなかったとした場合における予測されたコンバージョン数との差分から算出された値である。CM効果コンバージョン数は、アプリケーションFのCMが放映された直後から生じ、その後時間が経過しても引き続き生じている。
【0063】
ここで、CM残存効果は、CMの放映終了後から所定期間経過後に、0とする。CM残存効果は、前述のように、CMが放映された日以降も有効であるが、時間の経過に伴って減衰することが経験則から分かっている。したがって、CM残存効果を0とみなす所定期間を設定することが好ましい。所定期間は、例えば、CM放映時のCM残存効果を100とした場合、CM残存効果が1未満になる期間のことを示す。所定期間は、本段落以降、残存期間として適宜説明する。
【0064】
図10では、コンバージョン数の推移(実績)とコンバージョン数の推移(予測)とを折れ線グラフで示し、これらの差分を棒グラフで示した。棒グラフで示されるCM効果コンバージョン数は、一定期間が経過した後に0になっている。すなわち、CM残存効果は、CMの放映終了後から所定期間経過後に0となることが読み取れる。
【0065】
CM残存効果を0とみなす所定期間を設定することによれば、適切な期間において、CM残存効果を適用することができる。
【0066】
ここで、予測部312は、設定された重み付けに基づいて、CM残存効果を予測する。当該重み付けは、CM効果の残存期間、CM効果の残存率及びCM効果のピークが生じるタイミングのうち少なくとも1つ以上のパラメータに基づいて設定される。本段落以降、残存期間をL、ピークをP、残存率をDとして適宜説明する。重み付けは、例えば、次の式に基づいて求められる。
【0067】
【数1】
(ただし、l=0,...,L-1、0<DC<1、0≦PC≦L-1、wは重み付け、cは素材を示す。)
【0068】
予測部312は、過去の時間推移と、該過去の時間推移に対応するコンバージョン数の推移とに基づいて、当該パラメータを予測する。パラメータの予測は、例えば、ベイズ推定、最尤推定等の手法が用いられてもよい。本実施形態では、予測部312は、ベイズ推定を実施することにより、当該パラメータを予測する。
【0069】
CM残存効果は、放映エリア、局、時間帯別に求められる。CM残存効果は、例えば、次の式に基づいて求められる。
【0070】
【数2】
(ただし、AdstockはCM残存効果、kは広告統計データ、cは素材、wは重み付け、Lは素材に応じた残存期間を示す。)
【0071】
図11は、CM残存効果の各パラメータを変更することによるCM残存効果の推移の違いを示す図である。図11では、比較対照のため、重み付けなしのデータを記載している。
【0072】
図11の上図では、残存期間を5、ピークを1として、残存率の値を変更した場合のCM残存効果の推移を示す。残存率が0.1の場合は、CM放映後に高いピークを示し、その後、急速にCM効果が低減している。残存率が0.5の場合は、残存率が0.1の場合よりも低いピークを示し、その後、残存率が0.1の場合よりも緩やかにCM効果が低減している。残存率が0.8の場合は、残存率が0.5の場合よりも低いピークを示し、その後、残存率が0.5の場合よりも緩やかにCM効果が低減している。残存率が0.9の場合は、残存率が0.8の場合よりも低いピークを示し、その後、残存率が0.8の場合よりも緩やかにCM効果が低減している。
【0073】
図11の上図から、残存率の値が低い場合は、短期間のうちに高いCM効果を示す一方、CM効果が継続する期間は短くなることが読み取れる。また、残存率の値が高くなるにつれて、CM効果としての高い値は示さなくなる一方、CM効果が継続する期間が長くなることが読み取れる。
【0074】
図11の下図では、残存期間を5、残存率を0.5として、ピークの値を変更した場合のCM残存効果の推移を示す。ピークが1の場合は、CM放映後すぐに最も高いCM効果を示す。ピークが2の場合は、ピークが1の場合と比較して2倍の期間経過後に最も高いCM効果を示す。ピークが3の場合は、ピークが1の場合と比較して3倍の期間経過後に最も高いCM効果を示す。ピークが4の場合は、ピークが1の場合と比較して4倍の期間経過後に最も高いCM効果を示す。
【0075】
図11の下図から、ピークの値が低い場合は、最も高いCM効果を示すまでの期間が短いことが読み取れる。また、ピークの値が高くなるにつれて、最も高いCM効果を示すまでの期間が長くなることが読み取れる。
【0076】
ここで、コンバージョン数は、CMの放映開始時には効果が出にくいことが経験則から分かっている。その理由は、視聴者のCM接触回数が少ないため、アプリケーションFが視聴者に十分に認知されていないことだと考えられる。したがって、CM残存効果は、CMの放映開始から一定期間が経過した後にピークが生じる。
【0077】
また、残存率は、例えば、仮の残存率を設定してCM残存効果を計算し、相関係数が最も高くなる仮の残存率を採用することで決定される。なお、CMは、放映されたその日だけではなく、次の日以降も効果が残存することが経験則から分かっている。
【0078】
したがって、アクティビティA170によれば、より高い精度で、CMに使用された素材及び該CMに紐付いた番組の価値を評価することができる。
【0079】
続いて、算出部313は、CM効果コンバージョン数と、視聴率とに基づいて、CMに使用された素材に係る素材CM効果及び該CMに紐付いた番組に係る番組CM効果を算出する(アクティビティA180)。好ましくは、算出部313は、CM効果コンバージョン数と、視聴率と、CM残存効果とに基づいて、素材CM効果及び番組CM効果を算出する。すなわち、制御部310が、記憶部320に記憶された、CM効果コンバージョン数と、視聴率と、CM残存効果とを読み出し、算出処理を実行することで、素材CM効果及び番組CM効果を算出する。
【0080】
算出部313は、算出処理においてマルチレベルモデルを適用することにより、素材CM効果及び番組CM効果を算出する。素材CM効果は、例えば、次の式に基づいて求められる。
【0081】
【数3】
(ただし、CmEffectはCM効果、τは係数、AdstockはCM残存効果、kは広告統計データ、cは素材、βは素材ごとに掛かる係数、nは素材の数を示す。)
【0082】
数3は、複数種類の素材を使用した場合の数式である。数3では、数2で示されるCM残存効果を適用する。βは、例えば、ベイズ推定、最尤推定等の手法により推定されてもよい。本実施形態では、βは、ベイズ推定を実施することで推定される。
【0083】
番組CM効果は、例えば、次の式に基づいて求められる。
【0084】
【数4】
(ただし、CmEffectはCM効果、τは係数、AdstockはCM残存効果、kは広告統計データ、sは局、βは局ごとに掛かる係数、nは局の数を示す。)
【0085】
数4は、複数の局で各素材をCM放映した場合の数式である。数4では、数2で示されるCM残存効果を適用する。上述のように、βは、例えば、ベイズ推定、最尤推定等の手法により推定されてもよく、本実施形態では、ベイズ推定を実施することで推定される。
【0086】
図12は、夜間に放映されたCMのCM残存効果の推移、及び、日中に放映されたCMのCM残存効果の推移を示す図である。図12では、比較対照のため、重み付けなしのデータを記載している。
【0087】
図12の上図において、夜間に放映されたCMのCM残存効果は、局Dで6時間後にピークを示し、局Eで2時間後にピークを示した。一方、図12の下図において、日中に放映されたCMのCM残存効果は、局Dで1時間後にピークを示し、局Eで放映時にピークを示した。
【0088】
図12によれば、夜間にCMが放映された場合は、視聴者は、起床時や通勤時に当該CMを思い出してアプリケーションFをダウンロードする等の行動をすることが読み取れる。一方、日中にCMが放映された場合は、視聴者は、アプリケーションFをダウンロードする等の行動をすぐにすることが読み取れる。したがって、局の評価では、時間帯別にCM残存効果を設定することが好ましい。
【0089】
図13は、CM放映時間ごとの各局のCM効果コンバージョン数の推移を示す図である。図13では、CM効果を局Dと局Eとに分けて、さらに放映時間ごとにCM効果を分解した。折れ線グラフは、局Dと局Eで様々な放映枠でCMを放映した場合における、局Dと局Eの合計のCM効果を示す。棒グラフの濃淡は、CMの放映枠(放映時間)ごとのCM効果を示す。ここで、CM効果の放映枠への紐付けは、CM放映時での合計としている。当該紐付けの詳細は後述する。
【0090】
図14は、各局のCM効果コンバージョン数の推移を示す図である。図14では、局Dと局Eのそれぞれについて、放映時間ごとのCM効果コンバージョン数を合算した。局Dと局Eの各CM効果コンバージョン数は、棒グラフの濃淡で示される。局Dと局Eの各CM効果コンバージョン数は、予測したCM残存効果に基づいて算出した。
【0091】
図13及び図14によれば、局ごとの放映枠におけるCM効果(請求項の「番組CM効果」に相当)と、放映されたCMとを紐付けすることができる。
【0092】
図15図18は、局ごとの放映枠におけるCM効果の算出の例を示す表である。図15では、局D及び局Eについて、それぞれ、2021年1月1日0時にCMを放映した場合と、2021年1月1日1時にCMを放映した場合とを例に挙げた。図15では、予測されたパラメータに基づいて、放映時のCM効果を局ごとに計算した。図15では、CM放映後1時間ごとのCM効果の推移を表している。このCM効果は、数4から求められた値である。
【0093】
図16では、放映エリアごとに推定したCM効果(以下「エリアCM効果」という。)の行を追加した。局Dの放映エリアと、局Eの放映エリアとは、同じであるものとする。エリアCM効果は、2021年1月1日1時において20、2021年1月1日2時において40、2021年1月1日3時において20、2021年1月1日4時において5と推定されたものとする。
【0094】
図17では、エリアCM効果を局及び時間ごとに按分した。エリアCM効果の按分は、例えば、2021年1月1日0時に局DでCMが放映された場合において、1時間経過後の2021年1月1日1時には、20/(0.6+0.4)×0.6=12となる。
【0095】
図18では、番組CM効果の算出結果を示す。番組CM効果は、按分されたエリアCM効果のうち、1つの放映枠に対応するものの合計値で示される。例えば、2021年1月1日0時に局DでCMが放映された場合の局・枠CM効果は、2021年1月1日1時の値+2021年1月1日2時の値+2021年1月1日3時の値+2021年1月1日4時の値=12+22+1.8+0.2=50となる。
【0096】
ここで、局Dの放映エリア(例えば関東エリア)と、局Eの放映エリア(例えば北海道エリア)とが異なる場合は、局DでのCM放映後の時間推移に応じたCM効果に関東エリアのエリアCM効果を按分し、局EでのCM放映後の時間推移に応じたCM効果に北海道エリアのエリアCM効果を按分すればよい。
【0097】
すなわち、図15図18によれば、番組CM効果と、放映されたCMとを紐付け可能であることが示された。
【0098】
アクティビティA180によれば、CMに使用された素材の価値、及びこのCMに紐付いた番組の価値の両方を評価することができる。
【0099】
続いて、出力部314は、算出された素材CM効果及び番組CM効果を出力する(アクティビティA190)。すなわち、制御部310が、記憶部320に記憶された素材CM効果及び番組CM効果を読み出し、出力処理を実行することで、情報処理装置300の表示デバイスに表示する。
【0100】
続いて、学習部315は、時間推移と、該時間推移に対応するコンバージョン数の推移との関係を学習させて、学習済みモデル321を生成又は更新する(アクティビティA200)。すなわち、制御部310が、記憶部320に記憶された、時間推移と、この時間推移に対応するコンバージョン数の推移との関係を読み出し、学習処理を実行することで、学習済みモデル321を生成又は更新する。ここで、時間推移は、例えば、学習済みモデル321に学習させた時間推移に重複しない時間推移を選択することができる。
【0101】
アクティビティA200によれば、実データを教師データとするため、CMに使用された素材の価値、及び該CMに紐付いた番組の価値を評価する精度を向上させることができる。
【0102】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0103】
4.その他
本実施形態に係る情報処理装置300に関して、以下のような態様を採用してもよい。
【0104】
本実施形態の態様は、プログラムであってもよい。このプログラムは、情報処理装置300の各部としてコンピュータを機能させる。
【0105】
第1変形例として、アプリケーションFの非放映エリアコンバージョン数に係るデータがサーバ装置200に記録されていないと制御部310が判断した場合(アクティビティA120のNo)、取得部311は、他の任意のエリアにおける現在進行中のコンバージョン数に係るデータを取得してもよい(アクティビティA131)。この場合、予測部312は、任意のエリアにおける現在進行中のコンバージョン数を非放映エリアコンバージョン数として利用してもよい。
【0106】
第1変形例によれば、非放映エリアコンバージョン数に係るデータが存在しない場合であっても、より高い精度で、現在以降のコンバージョン数の推移を予測することができる。
【0107】
第2変形例として、重要業績評価指標は、コンバージョン数に限られず、例えば、マイクロコンバージョン数、セッション数、コンバージョン率、マイクロコンバージョン率、セッション率等であってもよい。セッションは、一人のユーザがあるウェブサイトを訪れてから利用しなくなるまでの一連の操作を示す。マイクロコンバージョンは、最終的な成果(例えばアプリケーションのダウンロード)に至るまでの中間ゴールのことを示す。
【0108】
第3変形例として、広告統計データは、インプレッション数に限られず、例えば、延べ視聴率(Gross Rating Point:GRP)、ターゲット延べ視聴率(Target Rating Point:TRP)等であってもよい。
【0109】
第4変形例として、CMは、テレビ放送局又はラジオ放送局等から放送波を用いて配信されたものに限られず、例えば、新聞広告、雑誌広告、デジタル広告(Webサイト、ストリーミングコンテンツ等のオンラインチャネルを通じた広告)、OOH(Out of home)広告等であってもよい。情報処理装置300は、メディアや媒体の種類に限定されることなく、種々のCMの評価に適用することができる。
【0110】
第5変形例として、出力部314は、算出された素材CM効果及び番組CM効果に加えて、推定CM効果を出力してもよい。
【0111】
第5変形例によれば、種々のCM効果を出力することにより、CMの価値を多角的に評価することができる。
【0112】
第6変形例として、アプリケーションFの非放映エリアコンバージョン数に係るデータがサーバ装置200に記録されていないと制御部310が判断した場合(アクティビティA120のNo)、取得部311は、他の任意のエリアにおける所定の日のコンバージョン数に係るデータを取得してもよい(アクティビティA131)。この場合、予測部312は、任意のエリアにおける所定の日のコンバージョン数を前記非放映エリアコンバージョン数として利用してもよい。
【0113】
所定の日は、商品又は役務の種類に応じて決定すればよく、例えば、土曜日、日曜日、及び/又は国民の祝日等であってもよい。例えば、BtoB(Business to Business)に係る商品の場合、企業の休日に該当する日(例えば、土曜日、日曜日、及び国民の祝日)は、該企業による取引活動が行われないため、結果として、CM効果によるコンバージョンが生じない。したがって、企業の休日に該当する日のコンバージョン数を非放映エリアコンバージョン数として好適に利用することができる。
【0114】
次に記載の各態様で提供されてもよい。
前記情報処理装置において、前記参照情報は、前記過去の時間推移と、該過去の時間推移に対応する重要業績評価指標の推移との関係を予め学習させた学習済みモデルである、情報処理装置。
前記情報処理装置において、学習部を備え、前記学習部は、時間推移と、該時間推移に対応する重要業績評価指標の推移との関係を学習させて、前記学習済みモデルを生成又は更新する、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記取得部は、前記CMが放映されていないエリアにおける現在進行中の重要業績評価指標を示す非放映エリア重要業績評価指標に係るデータを取得し、前記予測部は、前記参照情報を利用し、前記現在以降の時間推移と、前記非放映エリア重要業績評価指標とに基づいて、現在以降の重要業績評価指標の推移を予測する、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記予測部は、前記非放映エリア重要業績評価指標に係るデータがない場合、任意のエリアにおける前記推定CM効果が最も低い時間帯の重要業績評価指標を前記非放映エリア重要業績評価指標として利用する、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記予測部は、前記非放映エリア重要業績評価指標に係るデータがない場合、任意のエリアにおける所定の日の重要業績評価指標を前記非放映エリア重要業績評価指標として利用する、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記予測部は、前記非放映エリア重要業績評価指標に係るデータがない場合、任意のエリアにおける現在進行中の重要業績評価指標を前記非放映エリア重要業績評価指標として利用する、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記予測部は、前記CMの放映後における該CMの効果を示すCM残存効果を予測し、前記算出部は、前記推定CM効果と、前記CM残存効果とに基づいて、前記素材CM効果及び前記番組CM効果を算出する、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記CM残存効果は、前記CMの放映終了後から所定期間経過後に、0とする、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記取得部は、前記CMの視聴率に係るデータを取得し、前記予測部は、前記視聴率と、前記CMが放映されたエリアの人口とに基づいて、前記CMの広告統計データを予測し、前記予測部は、前記CMの広告統計データに基づいて、前記CM残存効果を予測する、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記予測部は、設定された重み付けに基づいて、前記CM残存効果を予測する、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記重み付けは、前記CM残存効果の残存期間、残存率及びピークのうち少なくとも1つ以上のパラメータに基づいて設定され、前記予測部は、過去の時間推移と、該過去の時間推移に対応する重要業績評価指標の推移とに基づいて、前記パラメータを予測する、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記予測部は、ベイズ推定を実施することにより、前記パラメータを予測する、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記算出部は、マルチレベルモデルを適用することにより、前記素材CM効果及び前記番組CM効果を算出する、情報処理装置。
プログラムであって、前記情報処理装置の各部としてコンピュータを機能させる、プログラム。
コンピュータが実行する情報処理方法であって、取得工程と、予測工程と、算出工程と、出力工程とを備え、前記取得工程では、現在進行中の重要業績評価指標に係るデータを取得し、前記重要業績評価指標は、商品又は役務に関連し、前記予測工程では、過去の時間推移と、該過去の時間推移に対応する重要業績評価指標の推移との関係を示す参照情報を利用し、現在以降の時間推移に基づいて、現在以降の重要業績評価指標の推移を予測し、前記算出工程では、前記現在進行中の重要業績評価指標と、該現在進行中の重要業績評価指標に対応する前記予測した重要業績評価指標の推移から導出される重要業績評価指標との差分を示す推定CM効果を算出し、前記算出工程では、前記推定CM効果に基づいて、前記商品又は役務のCMに使用された素材に係る素材CM効果及び該CMに紐付いた番組に係る番組CM効果を算出し、前記出力工程では、前記素材CM効果及び前記番組CM効果を出力する、情報処理方法。
もちろん、この限りではない。
【符号の説明】
【0115】
100 :情報処理システム
200 :サーバ装置
210 :制御部
220 :記憶部
250 :通信部
260 :通信バス
300 :情報処理装置
310 :制御部
311 :取得部
312 :予測部
313 :算出部
314 :出力部
315 :学習部
320 :記憶部
321 :学習済みモデル
330 :表示情報生成部
340 :入力受付部
350 :通信部
360 :通信バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2022-05-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置であって、
取得部と、予測部と、算出部と、出力部とを備え、
前記取得部は、現在進行中の重要業績評価指標に係るデータを取得し、
前記重要業績評価指標は、商品又は役務に関連し、
前記予測部は、過去の時間推移と、該過去の時間推移に対応する重要業績評価指標の推移との関係を示す参照情報を利用し、現在以降の時間推移に基づいて、現在以降の重要業績評価指標の推移を予測し、
前記算出部は、前記現在進行中の重要業績評価指標と、該現在進行中の重要業績評価指標に対応する前記予測した重要業績評価指標の推移から導出される重要業績評価指標との差分を示す推定CM効果を算出し、
前記算出部は、前記推定CM効果と、第1算出式とに基づいて、前記商品又は役務のCMに使用された素材に係る素材CM効果を算出し、
前記算出部は、前記推定CM効果と、前記第1算出式とは異なる第2算出式とに基づいて、前記CMに紐付いた番組に係る番組CM効果を算出し、
前記出力部は、前記素材CM効果及び前記番組CM効果の双方を出力する、
情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記参照情報は、前記過去の時間推移と、該過去の時間推移に対応する重要業績評価指標の推移との関係を予め学習させた学習済みモデルである、
情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置において、
学習部を備え、
前記学習部は、時間推移と、該時間推移に対応する重要業績評価指標の推移との関係を学習させて、前記学習済みモデルを生成又は更新する、
情報処理装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記取得部は、前記CMが放映されていないエリアにおける現在進行中の重要業績評価指標を示す非放映エリア重要業績評価指標に係るデータを取得し、
前記予測部は、前記参照情報を利用し、前記現在以降の時間推移と、前記非放映エリア重要業績評価指標とに基づいて、現在以降の重要業績評価指標の推移を予測する、
情報処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理装置において、
前記予測部は、前記非放映エリア重要業績評価指標に係るデータがない場合、任意のエリアにおける前記推定CM効果が最も低い時間帯の重要業績評価指標を前記非放映エリア重要業績評価指標として利用する、
情報処理装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の情報処理装置において、
前記予測部は、前記非放映エリア重要業績評価指標に係るデータがない場合、任意のエリアにおける所定の日の重要業績評価指標を前記非放映エリア重要業績評価指標として利用する、
情報処理装置。
【請求項7】
請求項4に記載の情報処理装置において、
前記予測部は、前記非放映エリア重要業績評価指標に係るデータがない場合、任意のエリアにおける現在進行中の重要業績評価指標を前記非放映エリア重要業績評価指標として利用する、
情報処理装置。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記予測部は、前記CMの放映後における該CMの効果を示すCM残存効果を予測し、
前記算出部は、前記推定CM効果と、前記CM残存効果とに基づいて、前記素材CM効果及び前記番組CM効果を算出する、
情報処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理装置において、
前記CM残存効果は、前記CMの放映終了後から所定期間経過後に、0とする、
情報処理装置。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載の情報処理装置において、
前記取得部は、前記CMの視聴率に係るデータを取得し、
前記予測部は、前記視聴率と、前記CMが放映されたエリアの人口とに基づいて、前記CMの広告統計データを予測し、
前記予測部は、前記CMの広告統計データに基づいて、前記CM残存効果を予測する、
情報処理装置。
【請求項11】
請求項8~請求項10のいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記予測部は、設定された重み付けに基づいて、前記CM残存効果を予測する、
情報処理装置。
【請求項12】
請求項11に記載の情報処理装置において、
前記重み付けは、前記CM残存効果の残存期間、残存率及びピークのうち少なくとも1つ以上のパラメータに基づいて設定され、
前記予測部は、過去の時間推移と、該過去の時間推移に対応する重要業績評価指標の推移とに基づいて、前記パラメータを予測する、
情報処理装置。
【請求項13】
請求項12に記載の情報処理装置において、
前記予測部は、ベイズ推定を実施することにより、前記パラメータを予測する、
情報処理装置。
【請求項14】
請求項1~請求項13のいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記算出部は、マルチレベルモデルを適用することにより、前記素材CM効果及び前記番組CM効果を算出する、
情報処理装置。
【請求項15】
プログラムであって、
請求項1~請求項14のいずれか1項に記載の情報処理装置の各部としてコンピュータを機能させる、
プログラム。
【請求項16】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
取得工程と、予測工程と、算出工程と、出力工程とを備え、
前記取得工程では、現在進行中の重要業績評価指標に係るデータを取得し、
前記重要業績評価指標は、商品又は役務に関連し、
前記予測工程では、過去の時間推移と、該過去の時間推移に対応する重要業績評価指標の推移との関係を示す参照情報を利用し、現在以降の時間推移に基づいて、現在以降の重要業績評価指標の推移を予測し、
前記算出工程では、前記現在進行中の重要業績評価指標と、該現在進行中の重要業績評価指標に対応する前記予測した重要業績評価指標の推移から導出される重要業績評価指標との差分を示す推定CM効果を算出し、
前記算出工程では、前記推定CM効果と、第1算出式とに基づいて、前記商品又は役務のCMに使用された素材に係る素材CM効果を算出し、
前記算出工程では、前記推定CM効果と、前記第1算出式とは異なる第2算出式とに基づいて、前記CMに紐付いた番組に係る番組CM効果を算出し、
前記出力工程では、前記素材CM効果及び前記番組CM効果の双方を出力する、
情報処理方法。