(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086645
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/306 20060101AFI20230615BHJP
E06B 9/322 20060101ALI20230615BHJP
E06B 9/325 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
E06B9/306
E06B9/322
E06B9/325
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033985
(22)【出願日】2022-03-04
(31)【優先権主張番号】P 2021201287
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143568
【弁理士】
【氏名又は名称】英 貢
(72)【発明者】
【氏名】江波戸 武信
(72)【発明者】
【氏名】阿坂 翼
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 潤一
【テーマコード(参考)】
2E043
【Fターム(参考)】
2E043AA01
2E043BB13
2E043BB15
2E043BC03
2E043BD01
(57)【要約】
【課題】遮蔽材の開閉を行う手動操作に係る安全性や意匠性を向上させた上で、手動操作による駆動軸の回転でヘッドボックスに吊下支持される遮蔽材を開閉させる遮蔽装置を提供する。
【解決手段】本発明の遮蔽装置は、遮蔽材(下端にボトムレール4を有するスラット3)の開閉を行うために回転可能とする昇降用駆動軸11と、昇降用駆動軸11を回転させ当該遮蔽材を開閉操作するための操作装置7と、操作装置7による操作で昇降用駆動軸11の回転のロック及びロック解除を可能とするストッパー装置13と、を備える。操作装置7は、ヘッドボックス1から吊下される操作棒8に対して相対的にスライド可動する操作グリップ9と、操作グリップ9のスライド可動で昇降用駆動軸11を回転操作するための操作伝達手段(操作軸71、操作コード72、操作プーリー73、ぜんまいバネ74、及びクラッチユニット75等)と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手動操作による駆動軸の回転でヘッドボックスに吊下支持される遮蔽材を開閉させる遮蔽装置であって、
遮蔽材の開閉を行うために回転可能とする駆動軸と、
前記駆動軸を回転させ前記遮蔽材を開閉操作するための操作装置と、
前記操作装置による操作で前記駆動軸の回転のロック及びロック解除を可能とするストッパー装置と、を備え、
前記操作装置は、前記ヘッドボックスから吊下される操作棒に対して相対的にスライド可動する操作グリップと、前記操作グリップのスライド可動で前記駆動軸を回転操作するための操作伝達手段と、を有することを特徴とする遮蔽装置。
【請求項2】
前記操作棒は、前記駆動軸を回転操作するために移動又は軸回転する部材を挿通するように構成され、
前記操作グリップは、前記操作棒上に可動配置され、
前記操作伝達手段は、前記部材の移動又は軸回転を前記操作棒から外部露出させることなく前記操作グリップの引き操作によって操作する手段と、前記操作グリップの非引き操作時に前記操作棒の所定位置まで前記操作グリップを自動復帰させる付勢手段と、を有することを特徴とする、請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項3】
前記操作棒は、前記駆動軸を回転操作するための操作コードを挿通するように構成され、
前記操作グリップの上部に、前記操作コードを前記操作棒と共に挿通する筒部が前記操作グリップに対して一体又は別体に設けられ、
前記筒部が前記操作棒に対して相対移動可能に係合する範囲内で、前記操作グリップが前記操作棒の下端側に可動配置され、
前記操作伝達手段は、前記操作コードの移動を前記操作棒及び前記筒部から外部露出させることなく前記操作グリップの引き操作によって操作する手段と、前記操作グリップの非引き操作時に前記操作棒の下端位置まで前記操作グリップを自動復帰させる付勢手段と、を有することを特徴とする、請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項4】
前記操作棒は、前記駆動軸を回転操作するための操作コードを挿通するように構成され、
前記操作グリップの上部に、前記操作コードを前記操作棒と共に挿通する筒部が前記操作グリップに対して一体又は別体に設けられ、
前記筒部が前記操作棒に対して相対移動可能に係合する範囲内で、前記操作グリップが前記操作棒の下端側に可動配置され、
前記筒部は、把持可能とするよう前記操作棒の外側に沿って前記操作棒に対して相対移動可能に係合させており、且つ前記操作グリップは、把持を要することなく前記筒部の把持による引き操作により前記操作棒に対して相対的にスライド可動するように構成され、
前記操作伝達手段は、前記操作コードの移動を前記操作棒及び前記筒部から外部露出させることなく前記操作グリップ又は前記筒部の引き操作によって操作する手段と、前記操作グリップ又は前記筒部の非引き操作時に前記操作棒の下端位置まで前記操作グリップを自動復帰させる付勢手段と、を有することを特徴とする、請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項5】
前記操作グリップは、前記操作コードの一部を係止する係止手段として構成されて把持不能な形状を有し、
前記操作伝達手段は、前記操作コードの移動を前記操作棒及び前記筒部から外部露出させることなく前記筒部の引き操作によって操作する手段と、前記筒部の非引き操作時に前記操作棒の下端位置まで前記操作グリップを自動復帰させる付勢手段と、を有することを特徴とする、請求項4に記載の遮蔽装置。
【請求項6】
前記操作装置は、前記操作伝達手段として、
操作軸と、
前記操作軸を軸中心として相対回転不能に設けられ操作コードの上端を取着して巻き上げ可能に回転する操作プーリーと、
前記操作軸に対して所定の回転付勢方向に常に回転付勢する付勢手段と、
前記操作棒内に挿通される当該操作コードの下端を取着した前記操作グリップによる前記操作棒に沿った引き操作で当該操作コードを移動させて前記操作軸を前記付勢手段による回転付勢方向とは逆方向となる一方向に回転させるときに、前記操作軸の当該一方向の回転は前記駆動軸に伝達し、前記操作軸の当該回転付勢方向に対応する他方向の回転は前記駆動軸に非伝達とするクラッチユニットと、を有し、
前記操作グリップは、前記操作棒に沿って相対移動可能に前記操作棒の外面に可動配置されて、前記操作コードの移動を前記操作棒から外部露出させることなく操作可能とし、非引き操作時に前記付勢手段によって所定位置まで自動復帰するよう構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の遮蔽装置。
【請求項7】
前記操作装置は、前記操作伝達手段として、
操作軸と、
前記操作軸を軸中心として相対回転不能に設けられ操作コードの上端を取着して巻き上げ可能に回転する操作プーリーと、
前記操作軸に対して所定の回転付勢方向に常に回転付勢する付勢手段と、
前記操作棒内に挿通される当該操作コードの下端を磁力吸着する手段を有する前記操作グリップによる前記操作棒に沿った引き操作で当該操作コードを移動させて前記操作軸を前記付勢手段による回転付勢方向とは逆方向となる一方向に回転させるときに、前記操作軸の当該一方向の回転は前記駆動軸に伝達し、前記操作軸の当該回転付勢方向に対応する他方向の回転は前記駆動軸に非伝達とするクラッチユニットと、を有し、
前記操作グリップは、前記操作棒に沿って相対移動可能に前記操作棒の外面に可動配置されて、前記操作コードの移動を前記操作棒から外部露出させることなく操作可能とし、非引き操作時に前記付勢手段によって所定位置まで自動復帰するよう構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の遮蔽装置。
【請求項8】
前記操作装置は、前記操作伝達手段として、
操作軸と、
前記操作軸を軸中心として相対回転不能に設けられ操作コードの上端を取着して巻き上げ可能に回転する操作プーリーと、
前記操作軸に対して所定の回転付勢方向に常に回転付勢する付勢手段と、
前記操作棒に沿って可動とする筒部を上部に有し前記操作棒及び前記筒部内に挿通される当該操作コードの下端を取着した前記操作グリップ、又は前記筒部による引き操作で当該操作コードを移動させて前記操作軸を前記付勢手段による回転付勢方向とは逆方向となる一方向に回転させるときに、前記操作軸の当該一方向の回転は前記駆動軸に伝達し、前記操作軸の当該回転付勢方向に対応する他方向の回転は前記駆動軸に非伝達とするクラッチユニットと、を有し、
前記操作グリップの上部に位置する筒部は前記操作棒の内側又は外側に沿って相対移動可能とし、
前記操作グリップは、前記筒部が前記操作棒に対して相対移動可能に係合する範囲内で、前記操作棒の下端側に可動配置されて、前記操作コードの移動を前記操作棒及び前記筒部から外部露出させることなく前記操作グリップ又は前記筒部による引き操作で前記操作棒に対して相対的にスライド可能とし、非引き操作時に前記付勢手段によって前記操作棒の下端位置まで自動復帰するよう構成されていることを特徴とする、請求項1、3、4のいずれか一項に記載の遮蔽装置。
【請求項9】
前記操作装置は、前記操作伝達手段として、
操作軸と、
前記操作軸を軸中心として相対回転不能に設けられ操作コードの上端を取着して巻き上げ可能に回転する操作プーリーと、
前記操作軸に対して所定の回転付勢方向に常に回転付勢する付勢手段と、
前記操作棒に沿って可動とする筒部を上部に有し前記操作棒及び前記筒部内に挿通される当該操作コードの下端を取着し把持不能な形状を有する前記操作グリップに対し、前記筒部による引き操作で当該操作コードを移動させて前記操作軸を前記付勢手段による回転付勢方向とは逆方向となる一方向に回転させるときに、前記操作軸の当該一方向の回転は前記駆動軸に伝達し、前記操作軸の当該回転付勢方向に対応する他方向の回転は前記駆動軸に非伝達とするクラッチユニットと、を有し、
前記操作グリップの上部に位置する筒部は前記操作棒の内側又は外側に沿って相対移動可能とし、
前記操作グリップは、前記筒部が前記操作棒に対して相対移動可能に係合する範囲内で、前記操作棒の下端側に可動配置されて、前記操作コードの移動を前記操作棒及び前記筒部から外部露出させることなく前記筒部による引き操作で前記操作棒に対して相対的にスライド可能とし、非引き操作時に前記付勢手段によって前記操作棒の下端位置まで自動復帰するよう構成されていることを特徴とする、請求項1又は5に記載の遮蔽装置。
【請求項10】
前記操作装置は、前記操作伝達手段として、
操作軸と、
前記操作軸を軸中心として相対回転不能に設けられ無端状伝動部材を掛装して前記無端状伝動部材を周回移動可能に回転する操作プーリーと、
前記操作軸に対して所定の回転付勢方向に常に回転付勢する付勢手段と、
前記操作棒内に周回移動可能に挿通される前記無端状伝動部材について前記操作グリップによる前記操作棒に沿った引き操作で周回移動させて前記操作軸を前記付勢手段による回転付勢方向とは逆方向となる一方向に回転させるときに、前記操作軸の当該一方向の回転は前記駆動軸に伝達し、前記操作軸の当該回転付勢方向に対応する他方向の回転は前記駆動軸に非伝達とするクラッチユニットと、を有し、
前記操作グリップは、前記操作棒に沿って相対移動可能に前記操作棒の外面に可動配置されて、前記無端状伝動部材の周回移動を前記操作棒から外部露出させることなく操作可能とし、非引き操作時に前記付勢手段によって所定位置まで自動復帰するよう構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の遮蔽装置。
【請求項11】
前記操作装置は、前記操作伝達手段として、
操作軸と、
前記操作軸の回転に伴って回転する被動ベベルギアと、
前記操作軸に対して所定の回転付勢方向に常に回転付勢する付勢手段と、
前記操作棒内で軸回転する捩じれ棒について前記操作グリップによる前記操作棒に沿った引き操作で軸回転させて、前記捩じれ棒の回転に伴って回転する駆動ベベルギアと、
前記駆動ベベルギア及び前記被動ベベルギアが噛合するように構成された伝達ギア機構を介して前記操作グリップによる前記操作棒に沿った引き操作で前記操作軸を前記付勢手段による回転付勢方向とは逆方向となる一方向に回転させるときに、前記操作軸の当該一方向の回転は前記駆動軸に伝達し、前記操作軸の当該回転付勢方向に対応する他方向の回転は前記駆動軸に非伝達とするクラッチユニットと、を有し、
前記操作グリップは、前記操作棒に沿って相対移動可能に前記操作棒の外面に可動配置されて、前記捩じれ棒の軸回転を前記操作棒から外部露出させることなく操作可能とし、非引き操作時に前記付勢手段によって所定位置まで自動復帰するよう構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の遮蔽装置。
【請求項12】
前記操作グリップの可動上限位置及び/又は可動下限位置を外部設定で規制する可動範囲規制部材が前記操作棒上に設けられていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の遮蔽装置。
【請求項13】
前記操作グリップは、前記操作棒に対して相対的に軸回転不能に係合する手段を有することを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手動操作による駆動軸の回転でヘッドボックスに吊下支持される遮蔽材を開閉させる遮蔽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手動操作による駆動軸の回転でヘッドボックスに吊下支持される遮蔽材を開閉させる遮蔽装置の一種として、有端状(非ループ状)の操作コードをぜんまいバネ等で自動巻き上げする操作装置を備える遮蔽装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような遮蔽装置は、典型的には、ヘッドボックスから吊下される操作棒内に操作コードを挿通し、その操作コードの下端に取着したつまみを操作棒下端側に位置させておき、つまみを掴持した操作コードの引き操作で遮蔽材の開閉を可能とするとともに、当該操作コードの非引き操作時には当該操作コードをぜんまいバネ等で自動的に巻き上げ、つまみを操作棒下端に位置させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来、手動操作による駆動軸の回転でヘッドボックスに吊下支持される遮蔽材を開閉させる遮蔽装置の一種として、有端状(非ループ状)の操作コードをぜんまいバネ等で自動巻き上げする操作装置を備える遮蔽装置がある。
【0006】
このような構造の遮蔽装置では、操作コード自体をループ状としない、若しくは操作コードの下端を遮蔽材に取着しない、いわゆる非ループ操作となっているが、操作コードが非ループ構造となっているとはいえ、操作コードの引き操作を行うと操作棒下端側から露出し操作コードが周囲の物に絡んだりする危険性があり意匠性も悪い。
【0007】
このため、手動操作による駆動軸の回転でヘッドボックスに吊下支持される遮蔽材を開閉させる際に、その手動操作に係る部材に対する安全性や意匠性を向上させる技法が望まれる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上述の問題に鑑みて、遮蔽材の開閉を行う手動操作に係る安全性や意匠性を向上させた上で、手動操作による駆動軸の回転でヘッドボックスに吊下支持される遮蔽材を開閉させる遮蔽装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の遮蔽装置は、手動操作による駆動軸の回転でヘッドボックスに吊下支持される遮蔽材を開閉させる遮蔽装置であって、遮蔽材の開閉を行うために回転可能とする駆動軸と、前記駆動軸を回転させ前記遮蔽材を開閉操作するための操作装置と、前記操作装置による操作で前記駆動軸の回転のロック及びロック解除を可能とするストッパー装置と、を備え、前記操作装置は、前記ヘッドボックスから吊下される操作棒に対して相対的にスライド可動する操作グリップと、前記操作グリップのスライド可動で前記駆動軸を回転操作するための操作伝達手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の遮蔽装置において、前記操作棒は、前記駆動軸を回転操作するために移動又は軸回転する部材(後述する第1、第2、第4、第5実施形態の例では、操作コード72又は無端状伝動部材79、或いは捩じれ棒80)を挿通するように構成され、前記操作グリップは、前記操作棒上に可動配置され、前記操作伝達手段は、前記部材の移動又は軸回転を前記操作棒から外部露出させることなく前記操作グリップの引き操作によって操作する手段と、前記操作グリップの非引き操作時に前記操作棒の所定位置まで前記操作グリップを自動復帰させる付勢手段(後述する第1、第2、第4、第5実施形態の例では、ぜんまいバネ74)と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の遮蔽装置において、前記操作棒は、前記駆動軸を回転操作するための操作コード(後述する第3実施形態の例では、操作コード72)を挿通するように構成され、前記操作グリップの上部に、前記操作コードを前記操作棒と共に挿通する筒部が前記操作グリップに対して一体又は別体に設けられ、前記筒部が前記操作棒に対して相対移動可能に係合する範囲内で、前記操作グリップが前記操作棒の下端側に可動配置され、前記操作伝達手段は、前記操作コードの移動を前記操作棒及び前記筒部から外部露出させることなく前記操作グリップの引き操作によって操作する手段と、前記操作グリップの非引き操作時に前記操作棒の下端位置まで前記操作グリップを自動復帰させる付勢手段(後述する第3実施形態の例では、ぜんまいバネ74)と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の遮蔽装置において、前記操作棒は、前記駆動軸を回転操作するための操作コード(後述する第3実施形態の変形例では、操作コード72)を挿通するように構成され、前記操作グリップの上部に、前記操作コードを前記操作棒と共に挿通する筒部が前記操作グリップに対して一体又は別体に設けられ、前記筒部が前記操作棒に対して相対移動可能に係合する範囲内で、前記操作グリップが前記操作棒の下端側に可動配置され、前記筒部は、把持可能とするよう前記操作棒の外側に沿って前記操作棒に対して相対移動可能に係合させており、且つ前記操作グリップは、把持を要することなく前記筒部の把持による引き操作により前記操作棒に対して相対的にスライド可動するように構成され、前記操作伝達手段は、前記操作コードの移動を前記操作棒及び前記筒部から外部露出させることなく前記操作グリップ又は前記筒部の引き操作によって操作する手段と、前記操作グリップの非引き操作時に前記操作棒の下端位置まで前記操作グリップを自動復帰させる付勢手段(後述する第3実施形態の変形例では、ぜんまいバネ74)と、を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の遮蔽装置において、前記操作グリップは、前記操作コードの一部を係止する係止手段(後述する第3実施形態の変形例に対する応用例では「コード止め9S」)として構成されて把持不能な形状を有し、前記操作伝達手段は、前記操作コードの移動を前記操作棒及び前記筒部から外部露出させることなく前記筒部の引き操作によって操作する手段と、前記筒部の非引き操作時に前記操作棒の下端位置まで前記操作グリップを自動復帰させる付勢手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の遮蔽装置において、前記操作装置は、前記操作伝達手段として、操作軸と、前記操作軸を軸中心として相対回転不能に設けられ操作コードの上端を取着して巻き上げ可能に回転する操作プーリーと、前記操作軸に対して所定の回転付勢方向に常に回転付勢する付勢手段と、前記操作棒内に挿通される当該操作コードの下端を取着した前記操作グリップによる前記操作棒に沿った引き操作で当該操作コードを移動させて前記操作軸を前記付勢手段による回転付勢方向とは逆方向となる一方向に回転させるときに、前記操作軸の当該一方向の回転は前記駆動軸に伝達し、前記操作軸の当該回転付勢方向に対応する他方向の回転は前記駆動軸に非伝達とするクラッチユニットと、を有し、前記操作グリップは、前記操作棒に沿って相対移動可能に前記操作棒の外面に可動配置されて、前記操作コードの移動を前記操作棒から外部露出させることなく操作可能とし、非引き操作時に前記付勢手段によって所定位置まで自動復帰するよう構成されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の遮蔽装置において、前記操作装置は、前記操作伝達手段として、操作軸と、前記操作軸を軸中心として相対回転不能に設けられ操作コードの上端を取着して巻き上げ可能に回転する操作プーリーと、前記操作軸に対して所定の回転付勢方向に常に回転付勢する付勢手段と、前記操作棒内に挿通される当該操作コードの下端を磁力吸着する手段を有する前記操作グリップによる前記操作棒に沿った引き操作で当該操作コードを移動させて前記操作軸を前記付勢手段による回転付勢方向とは逆方向となる一方向に回転させるときに、前記操作軸の当該一方向の回転は前記駆動軸に伝達し、前記操作軸の当該回転付勢方向に対応する他方向の回転は前記駆動軸に非伝達とするクラッチユニットと、を有し、前記操作グリップは、前記操作棒に沿って相対移動可能に前記操作棒の外面に可動配置されて、前記操作コードの移動を前記操作棒から外部露出させることなく操作可能とし、非引き操作時に前記付勢手段によって所定位置まで自動復帰するよう構成されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の遮蔽装置において、前記操作装置は、前記操作伝達手段として、操作軸と、前記操作軸を軸中心として相対回転不能に設けられ操作コードの上端を取着して巻き上げ可能に回転する操作プーリーと、前記操作軸に対して所定の回転付勢方向に常に回転付勢する付勢手段と、前記操作棒に沿って可動とする筒部を上部に有し前記操作棒及び前記筒部内に挿通される当該操作コードの下端を取着した前記操作グリップ、又は前記筒部による引き操作で当該操作コードを移動させて前記操作軸を前記付勢手段による回転付勢方向とは逆方向となる一方向に回転させるときに、前記操作軸の当該一方向の回転は前記駆動軸に伝達し、前記操作軸の当該回転付勢方向に対応する他方向の回転は前記駆動軸に非伝達とするクラッチユニットと、を有し、前記操作グリップの上部に位置する筒部は前記操作棒の内側又は外側に沿って相対移動可能とし、前記操作グリップは、前記筒部が前記操作棒に対して相対移動可能に係合する範囲内で、前記操作棒の下端側に可動配置されて、前記操作コードの移動を前記操作棒及び前記筒部から外部露出させることなく前記操作グリップ又は前記筒部による引き操作で前記操作棒に対して相対的にスライド可能とし、非引き操作時に前記付勢手段によって前記操作棒の下端位置まで自動復帰するよう構成されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の遮蔽装置において、前記操作装置は、前記操作伝達手段として、操作軸と、前記操作軸を軸中心として相対回転不能に設けられ操作コードの上端を取着して巻き上げ可能に回転する操作プーリーと、前記操作軸に対して所定の回転付勢方向に常に回転付勢する付勢手段と、前記操作棒に沿って可動とする筒部を上部に有し前記操作棒及び前記筒部内に挿通される当該操作コードの下端を取着し把持不能な形状を有する前記操作グリップに対し、前記筒部による引き操作で当該操作コードを移動させて前記操作軸を前記付勢手段による回転付勢方向とは逆方向となる一方向に回転させるときに、前記操作軸の当該一方向の回転は前記駆動軸に伝達し、前記操作軸の当該回転付勢方向に対応する他方向の回転は前記駆動軸に非伝達とするクラッチユニットと、を有し、前記操作グリップの上部に位置する筒部は前記操作棒の内側又は外側に沿って相対移動可能とし、前記操作グリップは、前記筒部が前記操作棒に対して相対移動可能に係合する範囲内で、前記操作棒の下端側に可動配置されて、前記操作コードの移動を前記操作棒及び前記筒部から外部露出させることなく前記筒部による引き操作で前記操作棒に対して相対的にスライド可能とし、非引き操作時に前記付勢手段によって前記操作棒の下端位置まで自動復帰するよう構成されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の遮蔽装置において、前記操作装置は、前記操作伝達手段として、操作軸と、前記操作軸を軸中心として相対回転不能に設けられ無端状伝動部材を掛装して前記無端状伝動部材を周回移動可能に回転する操作プーリーと、前記操作軸に対して所定の回転付勢方向に常に回転付勢する付勢手段と、前記操作棒内に周回移動可能に挿通される前記無端状伝動部材について前記操作グリップによる前記操作棒に沿った引き操作で周回移動させて前記操作軸を前記付勢手段による回転付勢方向とは逆方向となる一方向に回転させるときに、前記操作軸の当該一方向の回転は前記駆動軸に伝達し、前記操作軸の当該回転付勢方向に対応する他方向の回転は前記駆動軸に非伝達とするクラッチユニットと、を有し、前記操作グリップは、前記操作棒に沿って相対移動可能に前記操作棒の外面に可動配置されて、前記無端状伝動部材の周回移動を前記操作棒から外部露出させることなく操作可能とし、非引き操作時に前記付勢手段によって所定位置まで自動復帰するよう構成されていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の遮蔽装置において、前記操作装置は、前記操作伝達手段として、操作軸と、前記操作軸の回転に伴って回転する被動ベベルギアと、前記操作軸に対して所定の回転付勢方向に常に回転付勢する付勢手段と、前記操作棒内で軸回転する捩じれ棒について前記操作グリップによる前記操作棒に沿った引き操作で軸回転させて、前記捩じれ棒の回転に伴って回転する駆動ベベルギアと、前記駆動ベベルギア及び前記被動ベベルギアが噛合するように構成された伝達ギア機構を介して前記操作グリップによる前記操作棒に沿った引き操作で前記操作軸を前記付勢手段による回転付勢方向とは逆方向となる一方向に回転させるときに、前記操作軸の当該一方向の回転は前記駆動軸に伝達し、前記操作軸の当該回転付勢方向に対応する他方向の回転は前記駆動軸に非伝達とするクラッチユニットと、を有し、前記操作グリップは、前記操作棒に沿って相対移動可能に前記操作棒の外面に可動配置されて、前記捩じれ棒の軸回転を前記操作棒から外部露出させることなく操作可能とし、非引き操作時に前記付勢手段によって所定位置まで自動復帰するよう構成されていることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の遮蔽装置において、前記操作グリップの可動上限位置及び/又は可動下限位置を外部設定で規制する可動範囲規制部材が前記操作棒上に設けられていることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の遮蔽装置において、前記操作グリップは、前記操作棒に対して相対的に軸回転不能に係合する手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、手動操作による駆動軸の回転でヘッドボックスに吊下支持される遮蔽材を開閉させる遮蔽装置として、操作棒に沿った操作グリップによる遮蔽材の開閉操作を可能とし、操作コードを用いることを不要とするか、或いは操作コードを用いて遮蔽材を開閉する場合でも、操作コードが操作棒外部へと常に露出することが無いようになるので、遮蔽材の開閉を行う手動操作に係る安全性や意匠性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】(a)は本発明による第1実施形態の遮蔽装置を構成する横型ブラインドの概略構成を示す平面図であり、(b)本発明による第1実施形態の遮蔽装置を構成する横型ブラインドの概略構成を示す正面図である。
【
図2】(a)は本発明による第1実施形態の遮蔽装置を構成する横型ブラインドにおける操作装置の一部の構成を簡略図示した断面正面図であり、(b),(c)はそれぞれ第1実施形態における操作装置に係る操作棒及び操作グリップの概略構成を簡略図示した分解斜視図及び断面斜視図であり、(d)は変形例の操作棒及び操作グリップの概略構成を簡略図示した分解斜視図である。
【
図3】本発明による第1実施形態の遮蔽装置を構成する横型ブラインドの概略構成を示す断面側面図である。
【
図4】(a),(b)は、それぞれ本発明による第1実施形態の遮蔽装置を構成する横型ブラインドにおける操作装置に係る操作棒に対する操作グリップの可動操作を説明するための正面図である。
【
図5】(a)は本発明による第1実施形態の遮蔽装置を構成する横型ブラインドにおける操作装置に係る操作棒に対する操作グリップの可動範囲を説明するための断面正面図であり、(b)は第1実施形態における操作装置に係る操作棒に対する操作グリップの変形例の可動範囲を説明するための断面正面図である。
【
図6】(a)は本発明による第2実施形態の遮蔽装置を構成する横型ブラインドにおける操作装置に係る操作棒及び操作グリップの概略構成を簡略図示した分解斜視図であり、(b),(c)は、それぞれ第2実施形態における操作装置に係る操作棒に対する操作グリップの可動操作を説明するための断面正面図である。
【
図7】(a)は本発明による第3実施形態の遮蔽装置を構成する横型ブラインドにおける操作装置の一部の構成を簡略図示した断面正面図であり、(b),(c)はそれぞれ第3実施形態における操作装置に係る操作棒及び操作グリップの概略構成を簡略図示した分解斜視図及び断面斜視図である。
【
図8】(a)乃至(c)は、それぞれ第3実施形態の遮蔽装置における操作装置に係る操作棒に対する操作グリップの可動操作を説明するための断面側面図である。
【
図9】(a)は本発明による第3実施形態の変形例の遮蔽装置を構成する横型ブラインドにおける操作装置の一部の構成を簡略図示した断面正面図であり、(b),(c)はそれぞれ第3実施形態の変形例における操作装置に係る操作棒及び操作グリップの概略構成を簡略図示した分解斜視図及び断面斜視図である。
【
図10】(a),(b)は、それぞれ第3実施形態及びその変形例の遮蔽装置における操作装置に係る操作棒に対する操作グリップの可動操作を説明するための断面側面図である。
【
図11】(a),(b)は、それぞれ第3実施形態の変形例の遮蔽装置における操作装置に係る操作棒に対する操作グリップについて、その実施例と応用例を説明するための断面側面図である。
【
図12】(a)は本発明による第4実施形態の遮蔽装置を構成する横型ブラインドにおける操作装置の一部の構成を簡略図示した断面正面図であり、(b)は第4実施形態における操作装置に係る操作棒及び操作グリップの概略構成を簡略図示した分解斜視図であり、(c)は第4実施形態の遮蔽装置の概略構成を示す断面側面図である。
【
図13】(a)乃至(c)は、それぞれ第4実施形態の遮蔽装置における操作装置に係る操作棒に対する操作グリップの可動操作を説明するための断面側面図である。
【
図14】(a)は本発明による第5実施形態の遮蔽装置を構成する横型ブラインドにおける操作装置の一部の構成を簡略図示した断面正面図であり、(b)は第5実施形態における操作装置に係る操作棒及び操作グリップの概略構成を簡略図示した分解斜視図であり、(c)は第5実施形態の遮蔽装置の概略構成を示す断面側面図である。
【
図15】(a)乃至(c)は、それぞれ第5実施形態の遮蔽装置における操作装置に係る操作棒に対する操作グリップの可動操作を説明するための断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明による各実施形態の遮蔽装置として構成される横型ブラインドを説明する。尚、本願明細書中、
図1(b)に示す横型ブラインドの正面図に対して、図示上方及び図示下方をそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、図示左方向を横型ブラインドの左側、及び、図示右方向を横型ブラインドの右側と定義して説明する。また、
図1(b)に示す横型ブラインドの正面図に対して、視認する側を前側(又は室内側)、その反対側を後側(又は室外側)とする。
【0025】
〔第1実施形態〕
図1(a)は本発明による第1実施形態の遮蔽装置を構成する横型ブラインドの概略構成を示す平面図であり、
図1(b)本発明による第1実施形態の遮蔽装置を構成する横型ブラインドの概略構成を示す正面図である。ただし、本発明に係る遮蔽装置は、下端にボトムレール4を有する多数段のスラット3を遮蔽材として有する横型ブラインドとする以外にも、くの字状又はハニカム状で折り畳み可能なスクリーンを遮蔽材として有するプリーツスクリーン、巻き取り可能なスクリーンを遮蔽材として有するロールスクリーン、或いは折り畳み可能なスクリーンを遮蔽材として有するローマンシェード等としてもよく、有端状の操作コード72を用いて駆動軸11を回転させ、遮蔽材を開閉させる遮蔽装置であればよい。
【0026】
図1に示す第1実施形態の遮蔽装置として構成される横型ブラインドは、ヘッドボックス1の左右両側近傍及びその中央から吊下するラダーコード10を介して多数段のスラット3が支持され、そのラダーコード10の下端にボトムレール4が吊下支持されている。
【0027】
ヘッドボックス1内には、ラダーコード10を吊下するチルトドラム6が配設され、チルトドラム6の軸中心には、チルトドラム6を回転させてスラット3をチルト動作させるためのチルト用駆動軸12が相対回転不能に挿通されている。
【0028】
また、ヘッドボックス1の右端側には操作装置7(詳細は後述する。)が配設され、本例の操作装置7では、ヘッドボックス1に対して相対回転可能に吊下される操作棒8の軸回転操作で、チルト用駆動軸12を回転させるように伝達するギア機構76が設けられている。そして、ギア機構76には、スラット3のチルト動作の非操作時にチルト用駆動軸12の回転状態を保持するようチルト用駆動軸12に対して所定の制動力を付所するブレーキ装置(図示略)が設けられている。従って、操作棒8の軸回転操作で、スラット3を所望の角度にチルトさせることができる。
【0029】
また、ヘッドボックス1から吊下される複数のラダーコード10のうち一部のラダーコード10に併設して、ヘッドボックス1から複数の昇降コード2が垂下され、各昇降コード2の下端にボトムレール4が取着されている。各昇降コード2の上端は、ヘッドボックス1内にそれぞれ配設される巻取ドラム5に取着され、各巻取ドラム5によって各昇降コード2を巻き取り、或いは巻き戻すことによってスラット3を畳み込み、或いは展開させるようにボトムレール4を昇降させることができる。巻取ドラム5の中心軸には昇降用駆動軸11が挿通されている。
【0030】
そして、本実施形態の操作装置7は、ヘッドボックス1から吊下される操作棒8に対して相対的にスライド可動する操作グリップ9と、操作グリップ9のスライド可動で昇降用駆動軸11を回転操作するための操作伝達手段と、を有する。より具体的に、本実施形態の操作装置7は、当該操作伝達手段として、操作軸71と、操作軸71を軸中心として相対回転不能に設けられ操作コード72の上端を取着して巻き上げ可能に回転する操作プーリー73と、操作軸71に対して所定の回転付勢方向(操作プーリー73が操作コード72を巻き上げる方向)に常に回転付勢するぜんまいバネ74(付勢手段)と、操作棒8内に挿通される操作コード72の下端を取着した操作グリップ9による操作棒8に沿った引き操作で操作コード72を移動させて操作軸71を当該ぜんまいバネ74による回転付勢方向とは逆方向となる一方向に回転させるときに、操作軸71の当該一方向の回転は昇降用駆動軸11に伝達し、操作軸71の当該回転付勢方向に対応する他方向の回転は昇降用駆動軸11に非伝達とするクラッチユニット75と、本例では上述したスラット3のチルト動作に係るギア機構76、及び操作軸71とクラッチユニット75の入力軸74aとの間に設けられ回転速度変換等を可能に連結する伝達ギア機構77と、を備える。
【0031】
操作コード72の下端は、中空状の操作棒8内に挿通され、操作棒8に沿って相対移動可能に操作棒8の外面に可動配置される操作グリップ9に取着されている。操作グリップ9は、操作棒8に沿ってスライド可能であるが、本例では操作棒8に対して相対的に軸回転不能に係合している。従って、操作グリップ9を把持した操作棒8の軸回転操作で、スラット3を所望の角度にチルトさせることができる。また、操作棒8の下端には、操作グリップ9の相対的な可動下限位置を規制する抜け止め8aが設けられている。
【0032】
尚、
図2(a)には、操作装置7について遮蔽材の昇降操作に係る一部の構成(操作軸71、操作コード72、操作プーリー73、ぜんまいバネ74、クラッチユニット75、及び伝達ギア機構77)について簡略図示している。本実施形態の例では、伝達ギア機構77は、操作軸71と一体となって回転する駆動ギア77aと、駆動ギア77aと噛合する被動ギア77bからなり、被動ギア77bはクラッチユニット75の入力軸75aに接続されている。また、クラッチユニット75の出力軸(図示略)に昇降用駆動軸11が相対回転不能に接続されるものとなっている。そして、ぜんまいバネ74は、操作軸71に対して操作プーリー73が操作コード72を巻き上げる方向に常に回転付勢しており(
図2(a)で図示する矢印方向)、操作グリップ9の非引き操作時には常に、操作コード72は操作プーリー73に巻き上げられる。
【0033】
本例では、
図2(a)で図示しているように、伝達ギア機構77について駆動ギア77a及び被動ギア77bの2個で構成した例としているため、操作グリップ9の引き操作時の操作プーリー73及び操作軸71の回転方向(ぜんまいバネ74の回転付勢とは逆方向)と、クラッチユニット75の入力軸75aの回転方向とは逆方向に回転し、このときのクラッチユニット75の入力軸75aの回転方向のみが、クラッチユニット75の機能によって昇降用駆動軸11に伝達される。ただし、伝達ギア機構77について駆動ギア77a及び被動ギア77bの間に伝達ギアを介在させる(図示せず)か、或いは伝達ギア機構77自体の設置を省略し、クラッチユニット75の入力軸75aに操作軸71を接続させて、操作グリップ9の引き操作時の操作プーリー73及び操作軸71の回転方向(ぜんまいバネ74の回転付勢とは逆方向)と、このときの昇降用駆動軸11の回転方向とを同方向とする構成とすることもできる。従って、操作軸71の回転がクラッチユニット75の入力軸75aに伝達される構成であればよく、その他の種々の構成とすることができる。
【0034】
また、
図2(b),(c)には、それぞれ本実施形態における操作装置7に係る操作棒8及び操作グリップ9の概略構成を簡略図示している。操作棒8は、本例では六角棒状の外形形状を有し、操作コード72を挿通可能な空洞部81を有するとともに、操作棒8の長手方向のほぼ全長に亘って2本のスリット82が設けられている。また、操作グリップ9の上端頂部には、操作棒8の2本のスリット82によって二股状となる外壁をそれぞれ挿通可能とする2個の挿通孔92が設けられ、操作グリップ9の上端から下端に至るまで操作グリップ9の内部に操作棒8の二股状の外壁を貫通できるようにしている。更に、操作グリップ9の上端頂部中央には操作コード72の下端を挿通し結び玉等で係止するための係止孔91が設けられている。
【0035】
従って、操作コード72の下端は、中空状の操作棒8内に挿通されて操作グリップ9に取着され、操作グリップ9は、操作棒8に沿って相対移動可能に操作棒8の外面に可動配置される。このため、操作グリップ9は、操作棒8に沿ってスライド可能であるが、本例では操作棒8に対して相対的に軸回転不能に係合するようになり、操作グリップ9の操作棒8に沿ったスライド可動で、操作コード72を操作棒8から外部露出させることなく操作グリップ9の引き操作により操作コード72を移動させて遮蔽材の開閉操作を行うことが可能となり、操作グリップ9を把持した操作棒8の軸回転操作でスラット3のチルト操作が可能となる。尚、
図2(b),(c)に示す本実施形態の例では、操作棒8の2本のスリット82によって二股状となる外壁をそれぞれ挿通可能とする挿通孔92が設けられた操作グリップ9としているが、
図2(d)の変形例で示すように、操作棒8には1本のスリット82を設け、この操作棒8の外壁を挿通可能とする1個の挿通孔92が設けられた操作グリップ9としてもよい。
【0036】
図3には、本実施形態の遮蔽装置を構成する横型ブラインドの概略構成を示す断面側面図を示しており、
図4(a),(b)には、本実施形態における操作装置7に係る操作棒8に対する操作グリップ9の可動操作を説明するための正面図を示している。
【0037】
図3及び
図4から理解されるように、操作グリップ9の操作棒8に沿った引き操作で(
図4(a)参照)、操作コード72を移動させて操作プーリー73をぜんまいバネ74による回転付勢力に抗する方向に回転させることができる。この操作グリップ9の操作棒8に沿った引き操作に応じた操作プーリー73の回転により、ぜんまいバネ74による回転付勢力に抗して操作軸71が操作プーリー73の回転と同方向に回転し、クラッチユニット75を介して昇降用駆動軸11を回転させ、各巻取ドラム5によって各昇降コード2を巻き取ることによってボトムレール4を上昇させることができる。
【0038】
ここで、
図1に示すように、ヘッドボックス1内には、昇降用駆動軸11の一方向の回転(本例では、ボトムレール4の下降に対応する昇降用駆動軸11の回転方向)に対して制動力を付与してロックする所定のストッパー装置13が設けられている。従って、ストッパー装置13の作動でボトムレール4を所望位置に位置させてスラット3を所望の開閉状態とすることができる。
【0039】
一方、操作グリップ9の引き操作をやめて(
図4(b)参照)、例えば操作グリップ9を手放すと、ぜんまいバネ74による回転付勢力によって操作プーリー73に操作コード72が巻き上げられるため、操作グリップ9が操作棒8に沿って所定位置(本例では操作棒8の上端近傍)まで機構的に自動上昇する。操作プーリー73に操作コード72が巻き上げられる方向の操作軸71の回転は、クラッチユニット75の機能によって昇降用駆動軸11には回転伝達しないので、ストッパー装置13の作動による昇降用駆動軸11に対するロックにより、操作グリップ9の引き操作をやめて手放した時の開閉状態が維持される。更に、操作グリップ9の僅かな引き操作でストッパー装置13の作動によるロックを解除してスラット3及びボトムレール4を自重降下させることができる。
【0040】
尚、
図1に示すように、ヘッドボックス1内には、速度調整装置14が設けられている。速度調整装置14は、ボトムレール4の自重降下時に、昇降コード2の移動を所定の速度以下に制限する装置である。ただし、この速度調整装置14の設置自体は省略してもよい。
【0041】
図5(a)には、本実施形態における操作装置7に係る操作棒8に対する操作グリップ9の可動範囲を説明するための断面正面図を示している。
図5(a)に示すように、本実施形態では、操作グリップ9を操作棒8上の上端近傍から操作グリップ9の相対的な可動下限位置を規制する抜け止め8aまでの範囲内(図示“L1”)で可動できるようになっている。ただし、スリット82の上端位置によって操作グリップ9の可動上限位置を定めることができ、例えば操作棒8の上端近傍を可動上限位置とする代わりに、操作棒8の長手方向の略中間位置を可動上限位置とするように構成できる。また、
図5(b)に示すように、操作棒8に対する操作グリップ9の可動上限位置を外部設定で規制するべく、操作棒8に対して着脱可能な可動範囲規制部材15を設ける構成としてもよい。
図5(b)に示す変形例では、操作グリップ9の可動上限位置を外部設定で規制するべく、可動範囲規制部材15を操作グリップ9より上方の操作棒8上に設け、操作グリップ9を操作棒8上の可動範囲規制部材15から抜け止め8aまでの範囲内(図示“L2”)で可動できるようにした例を示している。尚、図示を省略するが、操作グリップ9の可動下限位置を外部設定で規制するべく、着脱可能な別の可動範囲規制部材15を操作グリップ9より下方の操作棒8上に設けた構成としてもよい。可動範囲規制部材15は、操作者によって所望位置に操作グリップ9の可動範囲を設定できるようになるので、利便性が向上する。
【0042】
従って、本実施形態によれば、手動操作による昇降用駆動軸11の回転でヘッドボックス1に吊下支持される遮蔽材(本例では下端にボトムレール4を有するスラット3)を開閉させる遮蔽装置として、操作棒8に沿った操作グリップ9による引き操作で遮蔽材の開閉操作を可能としている。そして、操作コード72を用いて遮蔽材を開閉する場合でも、操作コード72が操作棒8外部へと常に露出することが無いようになる。このため、遮蔽材の開閉を行う手動操作に係る安全性や意匠性を向上させることができる。
【0043】
〔第2実施形態〕
図6(a)は本発明による第2実施形態の遮蔽装置を構成する横型ブラインドにおける操作装置7に係る操作棒8及び操作グリップ9の概略構成を簡略図示した分解斜視図であり、
図6(b),(c)は、それぞれ第2実施形態における操作装置7に係る操作棒8に対する操作グリップ9の可動操作を説明するための断面正面図である。尚、
図6において、第1実施形態と同様の構成要素には同一の参照番号を付している。
【0044】
図6に示す第2実施形態は、上述した第1実施形態と比較して、操作棒8及び操作グリップ9の構成が異なる点を除き、操作装置7を含む他の構成は第1実施形態と同様とする。このため、以下、主として、
図6に示す操作棒8及び操作グリップ9に係る構成及び動作についてのみ説明する。
【0045】
まず、
図6(a)に示すように、本実施形態における操作棒8は、第1実施形態と同様に六角棒状の外形形状を有し操作コード72を挿通可能な空洞部81を有するが、第1実施形態とは異なり操作棒8には
図2(b)に示したようなスリット82は設けられていない。そして、
図6(a)に示す本実施形態では、操作コード72の下端に環状の磁石72aが結び玉等で支持されている(又は係止してもよい)。この磁石72aは、操作棒8の空洞部81内を移動可能な大きさに設定されている。また、操作グリップ9の上端頂部には、操作棒8の六角棒状の外形形状を挿通可能とする六角状の挿通孔92が設けられ、操作グリップ9の上端から下端に至るまで操作グリップ9の内部に操作棒8の六角棒状の外壁を貫通できるようにしている。更に、操作グリップ9の上端頂部の挿通孔92を形成する周壁には鉄板等の磁性材93が嵌め込まれている。
【0046】
従って、操作コード72の下端に設けられる磁石72aは中空状の操作棒8内に挿通され、操作グリップ9は操作棒8に沿って相対移動可能に操作棒8の外面に可動配置され、
図6(b)に示すように操作グリップ9の磁性材93により磁石72aを磁力吸着させた状態では、
図6(c)に示すように操作グリップ9の操作棒8に沿った引き操作で操作コード72を移動させることができるようにしている。このように、本実施形態においても、操作グリップ9は、操作棒8に沿ってスライド可能であるが、本例では操作棒8に対して相対的に軸回転不能に係合するようになり、操作グリップ9の操作棒8に沿ったスライド可動で、操作コード72を操作棒8から外部露出させることなく操作グリップ9の引き操作により操作コード72を移動させて遮蔽材の開閉操作を行うことが可能となり、操作グリップ9を把持した操作棒8の軸回転操作でスラット3のチルト操作が可能となる。尚、
図6に示す本実施形態の例では、操作コード72の下端に磁石72aを、操作グリップ9に磁性材93を設ける例を説明したが、操作コード72の下端に磁性材93を、操作グリップ9に磁石72aを設ける構成としてもよい。
【0047】
即ち、本実施形態においても、操作装置7は、
図2(a)に示すものと同様の構成要素を備え、ヘッドボックス1から吊下される操作棒8に対して相対的にスライド可動する操作グリップ9と、操作グリップ9のスライド可動で昇降用駆動軸11を回転操作するための操作伝達手段と、を有するように構成される。より具体的には、本実施形態における操作装置7は、当該操作伝達手段として、操作軸71と、操作軸71を軸中心として相対回転不能に設けられ操作コード72の上端を取着して巻き上げ可能に回転する操作プーリー73と、操作軸71に対して所定の回転付勢方向(操作プーリー73が操作コード72を巻き上げる方向)に常に回転付勢するぜんまいバネ74(付勢手段)と、操作棒8内に挿通される操作コード72の下端を磁力吸着する手段を有する操作グリップ9による操作棒8に沿った引き操作で操作コード72を移動させて操作軸71を当該ぜんまいバネ74による回転付勢方向とは逆方向となる一方向に回転させるときに、操作軸71の当該一方向の回転は昇降用駆動軸11に伝達し、操作軸71の当該回転付勢方向に対応する他方向の回転は昇降用駆動軸11に非伝達とするクラッチユニット75と、本例では上述したスラット3のチルト動作に係るギア機構76、及び操作軸71とクラッチユニット75の入力軸74aとの間に設けられ回転速度変換等を可能に連結する伝達ギア機構77と、を備える。
【0048】
ただし、本実施形態においても、
図2(a)に示すものと同様の構成要素を備える操作装置7とする以外に、伝達ギア機構77について駆動ギア77a及び被動ギア77bの間に伝達ギアを介在させる(図示せず)か、或いは伝達ギア機構77自体の設置を省略し、クラッチユニット75の入力軸75aに操作軸71を接続させて、操作グリップ9の引き操作時の操作プーリー73及び操作軸71の回転方向(ぜんまいバネ74の回転付勢とは逆方向)と、このときの昇降用駆動軸11の回転方向とを同方向とする構成とすることもできる。従って、操作軸71の回転がクラッチユニット75の入力軸75aに伝達される構成であればよく、その他の種々の構成とすることができる。
【0049】
このように、本実施形態では、操作コード72の下端が、中空状の操作棒8内に挿通され、操作棒8に沿って相対移動可能に操作棒8の外面に可動配置される操作グリップ9に磁力吸着可能となっている。操作グリップ9は、操作棒8に沿ってスライド可能であるが、本例では操作棒8に対して相対的に軸回転不能に係合している。従って、操作グリップ9を把持した操作棒8の軸回転操作で、スラット3を所望の角度にチルトさせることができる。また、スラット3のチルト操作に関して、操作グリップ9によるチルト操作を可能とせずに操作棒8のみによるチルト操作を可能とする形態とする場合や、チルト操作を必要としない遮蔽装置の場合では、操作グリップ9は、操作棒8に沿ってスライド可能であるが、操作棒8に対して相対的に軸回転可能に係合したものとすればよい。
【0050】
尚、本実施形態においても、第1実施形態に係る
図5を参照して説明したように、操作グリップ9の可動上限位置及び/又は可動下限位置を外部設定で規制するべく、可動範囲規制部材15を操作棒8上に設けた構成としてもよい。可動範囲規制部材15は、操作者によって所望位置に操作グリップ9の可動範囲を設定できるようになるので、利便性が向上する。
【0051】
従って、本実施形態によれば、手動操作による昇降用駆動軸11の回転でヘッドボックス1に吊下支持される遮蔽材(本例では下端にボトムレール4を有するスラット3)を開閉させる遮蔽装置として、操作棒8に沿った操作グリップ9による引き操作で遮蔽材の開閉操作を可能としている。そして、操作コード72を用いて遮蔽材を開閉する場合でも、操作コード72が操作棒8外部へと常に露出することが無いようになる。このため、遮蔽材の開閉を行う手動操作に係る安全性や意匠性を向上させることができる。
【0052】
〔第3実施形態〕
図7(a)は本発明による第3実施形態の遮蔽装置を構成する横型ブラインドにおける操作装置7の一部の構成を簡略図示した断面正面図であり、
図7(b),(c)はそれぞれ第3実施形態における操作装置7に係る操作棒8及び操作グリップ9の概略構成を簡略図示した分解斜視図及び断面斜視図である。また、
図8(a)乃至(c)は、それぞれ第3実施形態の遮蔽装置における操作装置7に係る操作棒8に対する操作グリップ9の可動操作を説明するための断面側面図である。尚、
図7及び
図8において、第1実施形態と同様の構成要素には同一の参照番号を付している。
【0053】
図7及び
図8に示す第3実施形態は、上述した第1実施形態と比較して、操作棒8及び操作グリップ9の構成が異なる点を除き、操作装置7を含む他の構成は第1実施形態と同様とする。このため、以下、主として、
図7及び
図8に示す操作棒8及び操作グリップ9に係る構成及び動作について説明する。
【0054】
まず、
図7(a)に示すように、本実施形態において、操作棒8及び操作グリップ9に係る構成を除き、操作装置7自体は、
図2(a)に示すものと同様の構成要素を備え、ヘッドボックス1から吊下される操作棒8に対して相対的にスライド可動する操作グリップ9と、操作グリップ9のスライド可動で昇降用駆動軸11を回転操作するための操作伝達手段と、を有するように構成される。より具体的に、本実施形態の操作装置7は、当該操作伝達手段として、操作軸71と、操作軸71を軸中心として相対回転不能に設けられ操作コード72の上端を取着して巻き上げ可能に回転する操作プーリー73と、操作軸71に対して所定の回転付勢方向(操作プーリー73が操作コード72を巻き上げる方向)に常に回転付勢するぜんまいバネ74(付勢手段)と、操作棒8内に挿通される操作コード72の下端を取着した操作グリップ9による引き操作で操作コード72を移動させて操作軸71を当該ぜんまいバネ74による回転付勢方向とは逆方向となる一方向に回転させるときに、操作軸71の当該一方向の回転は昇降用駆動軸11に伝達し、操作軸71の当該回転付勢方向に対応する他方向の回転は昇降用駆動軸11に非伝達とするクラッチユニット75と、
図7(a)では図示を省略しているが、本例では第1実施形態と同様に、上述したスラット3のチルト動作に係るギア機構76、及び操作軸71とクラッチユニット75の入力軸74aとの間に設けられ回転速度変換等を可能に連結する伝達ギア機構77と、を備える。
【0055】
また、本実施形態においても、操作装置7の変形例として、伝達ギア機構77について駆動ギア77a及び被動ギア77bの間に伝達ギアを介在させる(図示せず)か、或いは伝達ギア機構77自体の設置を省略し、クラッチユニット75の入力軸75aに操作軸71を接続させて、操作グリップ9の引き操作時の操作プーリー73及び操作軸71の回転方向(ぜんまいバネ74の回転付勢とは逆方向)と、このときの昇降用駆動軸11の回転方向とを同方向とする構成とすることもできる。従って、操作軸71の回転がクラッチユニット75の入力軸75aに伝達される構成であればよく、その他の種々の構成とすることができる。
【0056】
ところで、
図7(a)乃至(c)に示すように、本実施形態における操作棒8は、第1実施形態と同様に六角棒状の外形形状を有するが、操作コード72を挿通可能とする本例では六角孔状の空洞部81を有し、更には第1実施形態とは異なり操作棒8には
図2(b)に示したようなスリット82は設けられておらず、尚且つ操作棒8の下端に第1実施形態のような抜け止め8aが設けられておらず、六角孔状の空洞部81は操作棒8の上端から下端まで貫通している。
【0057】
そして、
図7(a)乃至(c)に示す本実施形態では、操作グリップ9の上端頂部に、その上端頂部中央から所定長さで上方に延在する本例で六角状の筒部94が固着形成され、この筒部94は操作コード72を挿通可能な空洞部95を有するとともに、操作棒8の空洞部81内に係合収容可能とされ操作棒8に対して相対移動可能となっている。更に、操作グリップ9の上端頂部中央には、筒部94の空洞部95を経て操作コード72の下端を挿通し結び玉等で係止するための係止孔91が設けられている。このため、操作グリップ9は、操作棒8の下端側に位置する。
【0058】
そして、操作グリップ9による非引き操作時では、ぜんまいバネ74により操作軸71に対して操作プーリー73が操作コード72を巻き上げる方向に常に回転付勢しているため、操作グリップ9は操作棒8の下端に位置するようになっている。
【0059】
例えば、
図8(a)に示すように、ボトムレール4が最下限位置にあるときでは、操作グリップ9は、操作グリップ9の上端頂部から上方に延在する筒部94が操作棒8に対して相対移動可能に係合する範囲内で、操作棒8の下端側で引き操作可能となっている。ここで、本実施形態では、操作グリップ9の可動上限位置は操作棒8の下端に当接する位置であり、操作グリップ9の可動下限位置は筒部94が操作棒8から抜け出さないように操作コード72の長さで制限する構成としている。
【0060】
尚、筒部94が操作棒8から抜け出さない抜け止めを設けてもよく、例えば操作棒8に対してその長手方向にスリット(図示せず)を設け、このスリットに係合し操作棒8の外壁の外方まで突起する突起部(図示せず)を筒部94に設けて、操作棒8の当該スリットに対して相対移動可能に係合する範囲内で筒部94の当該突起部が可動する構成とすることで、操作グリップ9の可動範囲を制限することができる。このような構成とする場合には、筒部94の当該突起部に対して当接可能に、第1実施形態に係る
図5を参照して説明した可動範囲規制部材15を操作棒8上に設け、操作グリップ9の可動上限位置及び/又は可動下限位置を外部設定で規制する構成とすることもできる。
【0061】
そして、
図8(a)に示す状態から操作グリップ9の引き操作を行うと、
図8(b)に示すように、操作グリップ9は、操作グリップ9の上端頂部から上方に延在する筒部94が操作棒8に対して相対移動可能に係合する範囲内で、操作棒8に対して相対移動し、操作プーリー73をぜんまいバネ74による回転付勢力に抗する方向に回転させることができる。この操作グリップ9の引き操作に応じた操作プーリー73の回転により、ぜんまいバネ74による回転付勢力に抗して操作軸71が操作プーリー73の回転と同方向に回転し、クラッチユニット75を介して昇降用駆動軸11を回転させ、各巻取ドラム5によって各昇降コード2を巻き取ることによってボトムレール4を上昇させることができる。
【0062】
ここで、第1実施形態と同様に、ヘッドボックス1内には、昇降用駆動軸11の一方向の回転(本例では、ボトムレール4の下降に対応する昇降用駆動軸11の回転方向)に対して制動力を付与してロックする所定のストッパー装置13が設けられている(
図1参照)。従って、ストッパー装置13の作動でボトムレール4を所望位置に位置させてスラット3を所望の開閉状態とすることができる。
【0063】
そして、
図8(b)に示すボトムレール4を所望位置に位置させた状態から操作グリップ9の引き操作をやめて手放すと、
図8(c)に示すように、ぜんまいバネ74により操作軸71に対して操作プーリー73が操作コード72を巻き上げる方向に常に回転付勢しているため、操作グリップ9は操作棒8の下端まで機構的に自動上昇する。尚、操作プーリー73に操作コード72が巻き上げられる方向の操作軸71の回転は、クラッチユニット75の機能によって昇降用駆動軸11には回転伝達しないので、ストッパー装置13の作動による昇降用駆動軸11に対するロックにより、操作グリップ9の引き操作をやめて手放した時の開閉状態が維持される。また、操作グリップ9の僅かな引き操作でストッパー装置13の作動によるロックを解除してスラット3及びボトムレール4を自重降下させることができる。
【0064】
尚、本実施形態では、中空状の操作棒8の内側に操作グリップ9の筒部94が相対移動可能に可動係合する例を説明したが、操作グリップ9の筒部94内に中空状の操作棒8が配置されるようにして、中空状の操作棒8の外側に操作グリップ9の筒部94が相対移動可能に可動係合する形態としてもよい。
【0065】
また、
図7に示す例では、スラット3を遮蔽材とする遮蔽装置を例にしているため、操作グリップ9によるスラット3のチルト動作を可能とするべく筒部94が操作グリップ9に対して固着形成した例を説明したが、チルト動作を必要としない遮蔽装置の場合では、筒部94は操作グリップ9に対して分離可能な別体の部材とし、操作グリップ9の上端に筒部94が自重で載置されるように構成してもよく、この場合も
図8に示す遮蔽材の開閉動作と同様になる。また、スラット3のチルト操作に関して、操作グリップ9によるチルト操作を可能とせずに操作棒8のみによるチルト操作を可能とする形態とすることもできる。この場合では、筒部94は操作棒8に対して軸方向に相対的にスライド可能ではあるが軸回転方向には相対回転不能に係合させたものとすればよい。
【0066】
そこで、包括的に説明すると、操作グリップ9の上部に位置する筒部94は操作棒8の内側又は外側に沿って相対移動可能とし、操作コード72の下端は、中空状の操作棒8内に挿通されて、尚且つ操作グリップ9の上部に位置する中空状の筒部94に挿通されて操作グリップ9に取着される。操作グリップ9は、筒部94が操作棒8に対して相対移動可能に係合する範囲内で、操作棒8の下端側に可動配置される。そして、操作グリップ9の上部に位置する筒部94は、操作棒8に沿ってスライド可能であるが、本例では操作棒8に対して相対的に軸回転不能に係合するようになり、操作グリップ9の操作棒8に沿ったスライド可動で、操作コード72を操作棒8及び筒部94から外部露出させることなく操作グリップ9の引き操作により操作コード72を移動させて遮蔽材の開閉操作を行うことが可能となり、操作グリップ9を把持した操作棒8の軸回転操作でスラット3のチルト操作が可能となる。
【0067】
従って、本実施形態によれば、手動操作による昇降用駆動軸11の回転でヘッドボックス1に吊下支持される遮蔽材(本例では下端にボトムレール4を有するスラット3)を開閉させる遮蔽装置として、操作棒8に沿って可動とする筒部94を上部に有する操作グリップ9による引き操作で遮蔽材の開閉操作を可能としている。そして、操作コード72を用いて遮蔽材を開閉する場合でも、操作コード72が操作棒8及び筒部94の外部へと常に露出することが無いようになる。このため、遮蔽材の開閉を行う手動操作に係る安全性や意匠性を向上させることができる。
【0068】
〔第3実施形態(変形例)〕
図9(a)は本発明による第3実施形態の変形例の遮蔽装置を構成する横型ブラインドにおける操作装置7の一部の構成を簡略図示した断面正面図であり、
図9(b),(c)はそれぞれ第3実施形態の変形例における操作装置7に係る操作棒8及び操作グリップ9の概略構成を簡略図示した分解斜視図及び断面斜視図である。尚、
図9において、第1実施形態と同様の構成要素には同一の参照番号を付している。
【0069】
図9に示す第3実施形態(変形例)は、
図7及び
図8に示す第3実施形態の変形例として、簡潔に上述したが、操作グリップ9の筒部94内に中空状の操作棒8が配置されるようにして、中空状の操作棒8の外側に操作グリップ9の筒部94が相対移動可能に可動係合する形態としたものである。そして、
図9に示す第3実施形態(変形例)は、上述した第1実施形態と比較して、操作棒8及び操作グリップ9の構成が異なる点を除き、操作装置7を含む他の構成は第1実施形態と同様とする。このため、以下、主として、
図9に示す操作棒8及び操作グリップ9に係る構成及び動作について説明する。
【0070】
まず、
図9(a)に示すように、第3実施形態(変形例)において、操作棒8及び操作グリップ9に係る構成を除き、操作装置7自体は、
図2(a)に示すものと同様の構成要素を備え、ヘッドボックス1から吊下される操作棒8に対して相対的にスライド可動する操作グリップ9と、操作グリップ9のスライド可動で昇降用駆動軸11を回転操作するための操作伝達手段と、を有するように構成される。ただし、第3実施形態(変形例)では、操作グリップ9の上部に、操作コード72を操作棒8と共に挿通する筒部94が操作グリップ9に対して一体(又は別体)に設けられ、筒部94は、把持可能とするよう操作棒8の外側に沿って操作棒8に対して相対移動可能に係合させている。このため、第3実施形態(変形例)における操作グリップ9は、その把持を要することなく筒部94の把持による引き操作により操作棒8に対して相対的にスライド可動するように構成されている。
【0071】
より具体的に、第3実施形態(変形例)の操作装置7は、当該操作伝達手段として、操作軸71と、操作軸71を軸中心として相対回転不能に設けられ操作コード72の上端を取着して巻き上げ可能に回転する操作プーリー73と、操作軸71に対して所定の回転付勢方向(操作プーリー73が操作コード72を巻き上げる方向)に常に回転付勢するぜんまいバネ74(付勢手段)と、操作棒8内に挿通される操作コード72の下端を取着した操作グリップ9又は筒部94による引き操作で操作コード72を移動させて操作軸71を当該ぜんまいバネ74による回転付勢方向とは逆方向となる一方向に回転させるときに、操作軸71の当該一方向の回転は昇降用駆動軸11に伝達し、操作軸71の当該回転付勢方向に対応する他方向の回転は昇降用駆動軸11に非伝達とするクラッチユニット75と、
図7(a)では図示を省略しているが、本例では第1実施形態と同様に、上述したスラット3のチルト動作に係るギア機構76、及び操作軸71とクラッチユニット75の入力軸74aとの間に設けられ回転速度変換等を可能に連結する伝達ギア機構77と、を備える。
【0072】
また、第3実施形態(変形例)においても、操作装置7の変形例として、伝達ギア機構77について駆動ギア77a及び被動ギア77bの間に伝達ギアを介在させる(図示せず)か、或いは伝達ギア機構77自体の設置を省略し、クラッチユニット75の入力軸75aに操作軸71を接続させて、操作グリップ9の引き操作時の操作プーリー73及び操作軸71の回転方向(ぜんまいバネ74の回転付勢とは逆方向)と、このときの昇降用駆動軸11の回転方向とを同方向とする構成とすることもできる。従って、操作軸71の回転がクラッチユニット75の入力軸75aに伝達される構成であればよく、その他の種々の構成とすることができる。
【0073】
ところで、
図9(a)乃至(c)に示すように、第3実施形態(変形例)における操作棒8は、第1実施形態と同様に六角棒状の外形形状を有するが、操作コード72を挿通可能とする本例では六角孔状の空洞部81を有し、更には第1実施形態とは異なり操作棒8には
図2(b)に示したようなスリット82は設けられておらず、尚且つ操作棒8の下端に第1実施形態のような抜け止め8aが設けられておらず、六角孔状の空洞部81は操作棒8の上端から下端まで貫通している。
【0074】
そして、
図9(a)乃至(c)に示す第3実施形態(変形例)では、操作グリップ9の上端頂部に、その上端頂部中央から所定長さで上方に延在する本例で六角状の筒部94が固着形成(ただし、別体形成でもよい)され、この筒部94は操作コード72を挿通可能な空洞部95を有するとともに、この空洞部95が操作棒8の外側に係合配置され操作棒8に対して相対移動可能となっている。更に、操作グリップ9の上端頂部中央には、筒部94の空洞部95を経て操作コード72の下端を挿通し結び玉等で係止するための係止孔91が設けられている。このため、操作グリップ9は、操作棒8の下端側に位置する。
【0075】
そして、操作グリップ9による非引き操作時では、ぜんまいバネ74により操作軸71に対して操作プーリー73が操作コード72を巻き上げる方向に常に回転付勢しているため、操作グリップ9は操作棒8の下端に位置するようになっている。
【0076】
(
図7に示す第3実施形態と、
図9に示す第3実施形態(変形例)との操作比較)
図10(a)は
図7に示す第3実施形態の遮蔽装置における操作装置7に係る操作棒8に対する操作グリップ9の可動操作を説明するための断面側面図であり、
図10(b)は
図9に示す第3実施形態(変形例)の遮蔽装置における操作装置7に係る操作棒8に対する操作グリップ9の可動操作を説明するための断面側面図である。
【0077】
図7に示す第3実施形態では、例えば
図10(a‐1)に示すようにボトムレール4が最下限位置にあるときでは、
図10(a‐2)に示すように操作グリップ9を把持することによって、操作グリップ9の上端頂部から上方に延在する筒部94が操作棒8に対して相対移動可能に係合する範囲内で、操作棒8の下端側で引き操作可能となっている。そして、
図10(a‐1)に示す状態から操作グリップ9の引き操作を行うと、
図10(a‐2)に示すように、操作グリップ9は、操作グリップ9の上端頂部から上方に延在する筒部94が操作棒8に対して相対移動可能に係合する範囲内で、操作棒8に対して相対移動し、操作プーリー73をぜんまいバネ74による回転付勢力に抗する方向に回転させることができる。この操作グリップ9の引き操作に応じた操作プーリー73の回転により、ぜんまいバネ74による回転付勢力に抗して操作軸71が操作プーリー73の回転と同方向に回転し、クラッチユニット75を介して昇降用駆動軸11を回転させ、各巻取ドラム5によって各昇降コード2を巻き取ることによってボトムレール4を上昇させることができる。ただし、
図7に示す第3実施形態では、
図10(a‐1)における図示“A”の両矢印の範囲で示すように、操作者が遮蔽材を開閉させるために把持可能とする範囲は、操作グリップ9を握ることができる範囲に限られる。
【0078】
一方、
図9に示す第3実施形態(変形例)では、例えば
図10(b‐1)に示すようにボトムレール4が最下限位置にあるときでは、
図10(b‐2)に示すように操作グリップ9の把持を要することなく、操作グリップ9の上端頂部から上方に延在する筒部94を把持することによって、筒部94が操作棒8に対して相対移動可能に係合する範囲内で、操作棒8の下端側で引き操作可能となっている。
【0079】
尚、
図9に示す第3実施形態(変形例)においても、
図7に示す第3実施形態と同様に、操作グリップ9の可動上限位置は操作棒8の下端に当接する位置であり、操作グリップ9の可動下限位置は筒部94が操作棒8から抜け出さないように操作コード72の長さで制限する構成としている。ただし、筒部94が操作棒8から抜け出さない抜け止めを設けてもよく、例えば筒部94に対してその長手方向にスリット(図示せず)を設け、このスリットに係合し筒部94の外壁の外方まで突起する突起部(図示せず)を操作棒8に設けて、筒部94の当該スリットに対して相対移動可能に係合する範囲内で操作棒8の当該突起部が可動する構成とすることで、操作グリップ9の可動範囲を制限することができる。このような構成とする場合には、操作棒8の当該突起部に対して当接可能に、第1実施形態に係る
図5を参照して説明した可動範囲規制部材15を筒部94上に設け、操作グリップ9の可動上限位置及び/又は可動下限位置を外部設定で規制する構成とすることもできる。
【0080】
そして、
図10(b‐1)に示す状態から筒部94の引き操作を行うと、
図10(b‐2)に示すように、操作グリップ9は、筒部94が操作棒8に対して相対移動可能に係合する範囲内で、操作棒8に対して相対移動し、操作プーリー73をぜんまいバネ74による回転付勢力に抗する方向に回転させることができる。この筒部94の引き操作に応じた操作プーリー73の回転により、ぜんまいバネ74による回転付勢力に抗して操作軸71が操作プーリー73の回転と同方向に回転し、クラッチユニット75を介して昇降用駆動軸11を回転させ、各巻取ドラム5によって各昇降コード2を巻き取ることによってボトムレール4を上昇させることができる。そして、
図9に示す第3実施形態(変形例)では、
図10(b‐1)における図示“B”の両矢印の範囲で示すように、操作者が遮蔽材を開閉させるために把持可能とする範囲は、筒部94及び操作グリップ9を握ることができる範囲となることから、
図7に示す第3実施形態における把持可能とする範囲(
図10(a‐1)における図示“A”の両矢印の範囲)よりも広がり、操作性が向上するようになる。
【0081】
ここで、第1実施形態と同様に、ヘッドボックス1内には、昇降用駆動軸11の一方向の回転(本例では、ボトムレール4の下降に対応する昇降用駆動軸11の回転方向)に対して制動力を付与してロックする所定のストッパー装置13が設けられている(
図1参照)。従って、ストッパー装置13の作動でボトムレール4を所望位置に位置させてスラット3を所望の開閉状態とすることができる。
【0082】
そして、
図10(b‐2)に示すボトムレール4を所望位置に位置させた状態から筒部94の引き操作をやめて手放すと、第3実施形態に係る
図8(c)に示す例と同様に、ぜんまいバネ74により操作軸71に対して操作プーリー73が操作コード72を巻き上げる方向に常に回転付勢しているため、操作グリップ9は操作棒8の下端まで機構的に自動上昇する。尚、操作プーリー73に操作コード72が巻き上げられる方向の操作軸71の回転は、クラッチユニット75の機能によって昇降用駆動軸11には回転伝達しないので、ストッパー装置13の作動による昇降用駆動軸11に対するロックにより、筒部94の引き操作をやめて手放した時の開閉状態が維持される。また、筒部94の僅かな引き操作でストッパー装置13の作動によるロックを解除してスラット3及びボトムレール4を自重降下させることができる。
【0083】
尚、
図10(b)に示す例では、筒部94の引き操作で、スラット3及びボトムレール4の昇降操作を可能とする動作を説明したが、操作グリップ9の引き操作で、スラット3及びボトムレール4の昇降操作を行うこともできるようになっている。
【0084】
また、
図9に示す例では、スラット3を遮蔽材とする遮蔽装置を例にしているため、操作グリップ9又は筒部94によるスラット3のチルト動作を可能とするべく筒部94が操作グリップ9に対して固着形成した例を説明したが、チルト動作を必要としない遮蔽装置の場合では、筒部94は操作グリップ9に対して分離可能な別体の部材とし、操作グリップ9の上端に筒部94が自重で載置されるように構成してもよく、この場合も
図10(b)に示す遮蔽材の開閉動作と同様になる。また、スラット3のチルト操作に関して、操作グリップ9又は筒部94によるチルト操作を可能とせずに操作棒8のみによるチルト操作を可能とする形態とすることもできる。この場合では、筒部94は操作棒8に対して軸方向に相対的にスライド可能ではあるが軸回転方向には相対回転不能に係合させたものとすればよい。第3実施形態(変形例)において、このように操作棒8のみによるチルト操作を可能とする構成する場合では、操作グリップ9が操作棒8の下端に位置する状態でも操作棒8の把持を可能とするように、筒部94の上端より上方で操作棒8が常に露出する長さに筒部94を構成し、尚且つ操作コード72が操作棒8及び筒部94の外部へと常に露出することが無いように構成すればよい。
【0085】
従って、
図9に示す第3実施形態(変形例)によれば、手動操作による昇降用駆動軸11の回転でヘッドボックス1に吊下支持される遮蔽材(本例では下端にボトムレール4を有するスラット3)を開閉させる遮蔽装置として、操作棒8に沿って可動とする筒部94を上部に有する操作グリップ9、又は筒部94による引き操作で遮蔽材の開閉操作を可能としている。そして、操作コード72を用いて遮蔽材を開閉する場合でも、操作コード72が操作棒8及び筒部94の外部へと常に露出することが無いようになる。このため、遮蔽材の開閉を行う手動操作に係る安全性や意匠性を向上させることができる。
【0086】
〔第3実施形態(変形例)に対する実施例と応用例〕
図9及び
図10(b)に係る第3実施形態(変形例)では、筒部94の引き操作、或いは操作グリップ9の引き操作のいずれでも、スラット3及びボトムレール4の昇降操作を行うこともできる構成を説明したが、筒部94の引き操作のみによってスラット3及びボトムレール4の昇降操作を行う構成とすることもできる。この場合では、
図9及び
図10(b)に係る第3実施形態(変形例)において、操作グリップ9は、操作コード72の一部(本例では下端)を係止する係止手段として構成し、把持不能な形状を有するコード止め9Sとすることができる。
【0087】
図11(a)は
図9及び
図10(b)に係る第3実施形態(変形例)の遮蔽装置における操作装置7に係る操作棒8に対する操作グリップ9についてその実施例を示す断面側面図であるが、
図11(b)はその応用例としてコード止め9Sとして構成した例を示す断面側面図である。
【0088】
即ち、上述した
図9及び
図10(b)に係る第3実施形態(変形例)に関して、好適な実施例としては、
図11(a)に示すように、筒部94の把持でその軸回転によるスラット3のチルト操作やその引き操作による昇降操作を可能とし、尚且つ操作グリップ9の把持でその軸回転によるスラット3のチルト操作やその引き操作による昇降操作を可能とし、これにより操作性や利便性を向上させている。
【0089】
一方、上述した
図9及び
図10(b)に係る第3実施形態(変形例)に関して、その応用例としては、
図11(b)に示すように、筒部94の把持のみでその軸回転によるスラット3のチルト操作やその引き操作による昇降操作を可能とし、この場合の操作グリップ9は、操作コード72の一部(本例では下端)を係止する係止手段として構成し、把持不能な形状を有するコード止め9Sとして構成している。これにより、比較的にすっきりとした意匠性を持たせた形態とすることができる。
【0090】
上述した各実施形態(変形例を含む。)では、操作コード72を用いて遮蔽材を開閉する場合に、操作コード72が操作棒8(第3実施形態及びその変形例ではこれに加えて筒部94)の外部へと常に露出することが無いようにして、遮蔽材の開閉を行う手動操作に係る安全性や意匠性を向上させた遮蔽装置について説明した。一方、そもそも操作コード72を用いることなく手動操作で遮蔽材の開閉を行うように構成し、手動操作に係る安全性や意匠性を向上させることもできる。
以下、具体的に、第4実施形態及び第5実施形態として、操作コード72を用いることなく手動操作遮蔽材の開閉を行うように構成した遮蔽装置の例を説明する。
【0091】
〔第4実施形態〕
図12(a)は本発明による第4実施形態の遮蔽装置を構成する横型ブラインドにおける操作装置7の一部の構成を簡略図示した断面正面図であり、
図12(b)は第4実施形態における操作装置7に係る操作棒8及び操作グリップ9の概略構成を簡略図示した分解斜視図であり、
図12(c)は第4実施形態の遮蔽装置の概略構成を示す断面側面図である。また、
図13(a)乃至(c)は、それぞれ第4実施形態の遮蔽装置における操作装置7に係る操作棒8に対する操作グリップ9の可動操作を説明するための断面側面図である。尚、
図12及び
図13において、第1実施形態と同様の構成要素には同一の参照番号を付している。
【0092】
図12及び
図13に示す第4実施形態は、上述した第1実施形態と比較して、操作棒8及び操作グリップ9の構成が異なる点、及び、操作装置7が操作コード72の巻き取り用の操作プーリー73を有するものとする代わりに、無端状(環状)の紐、ベルト及びワイヤのうちいずれかからなる無端状伝動部材79を掛装する操作プーリー78を有するものとする点を除き、他の構成は第1実施形態と同様とする。このため、以下、主として、
図12及び
図13に示す操作棒8及び操作グリップ9、並びに操作装置7に係る構成及び動作について説明する。
【0093】
まず、
図12(a)に示すように、本実施形態において、操作装置7の基本構成は、操作コード72の巻き取り用の操作プーリー73を有するものとする代わりに、無端状(環状)の紐、ベルト及びワイヤのうちいずれかからなる無端状伝動部材79を掛装する操作プーリー78を有するものとする点を除き、
図2(a)に示すものと同様の構成要素を備え、ヘッドボックス1から吊下される操作棒8に対して相対的にスライド可動する操作グリップ9と、操作グリップ9のスライド可動で昇降用駆動軸11を回転操作するための操作伝達手段と、を有するように構成される。より具体的に、本実施形態の操作装置7は、当該操作伝達手段として、操作軸71と、操作軸71を軸中心として相対回転不能に設けられ無端状伝動部材79(環状の紐、ベルト、又はワイヤ)を掛装して無端状伝動部材79を周回移動可能に回転する操作プーリー78と、操作軸71に対して所定の回転付勢方向に常に回転付勢するぜんまいバネ74(付勢手段)と、操作棒8内に周回移動可能に挿通される無端状伝動部材79について操作グリップ9による操作棒8に沿った引き操作で周回移動させて操作軸71を当該ぜんまいバネ74による回転付勢方向とは逆方向となる一方向に回転させるときに、操作軸71の当該一方向の回転は昇降用駆動軸11に伝達し、操作軸71の当該回転付勢方向に対応する他方向の回転は昇降用駆動軸11に非伝達とするクラッチユニット75と、
図12(a)では図示を省略しているが、本例では第1実施形態と同様に、上述したスラット3のチルト動作に係るギア機構76、及び操作軸71とクラッチユニット75の入力軸74aとの間に設けられ回転速度変換等を可能に連結する伝達ギア機構77と、を備える。
【0094】
また、本実施形態においても、操作装置7の変形例として、伝達ギア機構77について駆動ギア77a及び被動ギア77bの間に伝達ギアを介在させる(図示せず)か、或いは伝達ギア機構77自体の設置を省略し、クラッチユニット75の入力軸75aに操作軸71を接続させて、操作グリップ9の引き操作時の操作プーリー78及び操作軸71の回転方向(ぜんまいバネ74の回転付勢とは逆方向)と、このときの昇降用駆動軸11の回転方向とを同方向とする構成とすることもできる。従って、操作軸71の回転がクラッチユニット75の入力軸75aに伝達される構成であればよく、その他の種々の構成とすることができる。
【0095】
ところで、
図12(a)乃至(c)に示すように、本実施形態における操作棒8は、第1実施形態と同様に六角棒状の外形形状を有するが、無端状伝動部材79を周回移動可能に挿通する本例では丸孔状の空洞部81を有し、更には操作棒8には
図2(d)に示したようなスリット82が設けられ、尚且つ操作棒8の下端には、無端状伝動部材79の下端側を周回軸支するとともに操作グリップ9の可動下限位置を規制する抜け止め8bが設けられている。
【0096】
そして、
図12(a)乃至(c)に示す本実施形態では、操作グリップ9の上端頂部に、操作棒8の外壁を挿通可能とする挿通孔92が設けられ、操作グリップ9の上端から下端に至るまで操作グリップ9の内部に操作棒8の外壁を貫通できるようにしている。更に、操作グリップ9の上端頂部には、操作棒8のスリット82に対して可動係合し、操作棒8の空洞部81内で周回移動可能な無端状伝動部材79の一部を係止して無端状伝動部材79の周回移動操作を可能とするための係止部96が設けられている。
【0097】
従って、
図12(a)乃至(c)に示す本実施形態では、操作グリップ9による操作棒8に沿った引き操作で周回移動させて操作軸71を当該ぜんまいバネ74による回転付勢方向とは逆方向に回転させることができる。また、操作グリップ9による非引き操作時では、ぜんまいバネ74により操作軸71に対して所定の回転付勢方向に常に回転付勢しているため、操作グリップ9は操作棒8上の所定位置(操作棒8の長手方向の略中間位置)に機構的に自動復帰するようにしている。尚、本実施形態に係るぜんまいバネ74による回転付勢力は、操作グリップ9による非引き操作時に、
図12(c)に示す操作棒8上の所定位置(操作棒8の長手方向の略中間位置)に自動復帰するように設定されている。ただし、スリット82の上端位置によって操作グリップ9の可動上限位置を定めることができ、本例のように、操作棒8の長手方向の略中間位置を可動上限位置とするように構成できる。
【0098】
例えば、
図13(a)に示すように、ボトムレール4が最下限位置にあるときでは、操作グリップ9は、操作棒8の長手方向の略中間位置に位置して、操作棒8に沿って引き操作可能となっている。尚、第1実施形態に係る
図5を参照して説明したように、可動範囲規制部材15を操作棒8上に設け、操作グリップ9の可動上限位置及び/又は可動下限位置を外部設定で規制する構成とすることもできる。
【0099】
そして、
図13(a)に示す状態から操作グリップ9の引き操作を行うと、
図13(b)に示すように、操作グリップ9は、操作棒8に対して下方に相対移動し、操作プーリー78をぜんまいバネ74による回転付勢力に抗する方向に回転させることができる。この操作グリップ9の引き操作に応じた操作プーリー78の回転により、ぜんまいバネ74による回転付勢力に抗して操作軸71が操作プーリー78の回転と同方向に回転し、クラッチユニット75を介して昇降用駆動軸11を回転させ、各巻取ドラム5によって各昇降コード2を巻き取ることによってボトムレール4を上昇させることができる。
【0100】
ここで、第1実施形態と同様に、ヘッドボックス1内には、昇降用駆動軸11の一方向の回転(本例では、ボトムレール4の下降に対応する昇降用駆動軸11の回転方向)に対して制動力を付与してロックする所定のストッパー装置13が設けられている(
図1参照)。従って、ストッパー装置13の作動でボトムレール4を所望位置に位置させてスラット3を所望の開閉状態とすることができる。
【0101】
そして、
図13(b)に示すボトムレール4を所望位置に位置させた状態から操作グリップ9の引き操作をやめて手放すと、
図13(c)に示すように、ぜんまいバネ74により操作軸71に対して操作グリップ9の引き操作に応じた操作プーリー78の回転とは逆方向となる所定の回転付勢方向に常に回転付勢しているため、操作棒8上の所定位置(操作棒8の長手方向の略中間位置)まで機構的に自動上昇する。尚、ぜんまいバネ74による回転付勢方向の操作軸71の回転は、クラッチユニット75の機能によって昇降用駆動軸11には回転伝達しないので、ストッパー装置13の作動による昇降用駆動軸11に対するロックにより、操作グリップ9の引き操作をやめて手放した時の開閉状態が維持される。また、操作グリップ9の僅かな引き操作でストッパー装置13の作動によるロックを解除してスラット3及びボトムレール4を自重降下させることができる。
【0102】
このように、操作棒8内に配設される無端状伝動部材79の周回移動で操作軸71の回転を操作可能とするべく、操作グリップ9は、操作棒8に沿って相対移動可能に操作棒8の外面に可動配置されて操作棒8に沿ってスライド可能であるが、操作棒8に対して相対的に軸回転不能に係合するようになっている。このため、操作グリップ9の操作棒8に沿ったスライド可動で、無端状伝動部材79を操作棒8から外部に露出させることなく操作グリップ9の引き操作により無端状伝動部材79を周回移動させて遮蔽材の開閉操作を行うことが可能となり、操作グリップ9を把持した操作棒8の軸回転操作でスラット3のチルト操作が可能となる。
【0103】
従って、本実施形態によれば、手動操作による昇降用駆動軸11の回転でヘッドボックス1に吊下支持される遮蔽材(本例では下端にボトムレール4を有するスラット3)を開閉させる遮蔽装置として、操作棒8に沿って可動とする操作グリップ9による引き操作で遮蔽材の開閉操作を可能としている。そして、操作コード72を用いることはなく、無端状伝動部材79を用いて遮蔽材を開閉する場合でも、無端状伝動部材79が操作棒8の外部へと常に露出することが無いようになる。このため、遮蔽材の開閉を行う手動操作に係る安全性や意匠性を向上させることができる。
【0104】
〔第5実施形態〕
図14(a)は本発明による第5実施形態の遮蔽装置を構成する横型ブラインドにおける操作装置7の一部の構成を簡略図示した断面正面図であり、
図14(b)は第5実施形態における操作装置7に係る操作棒8及び操作グリップ9の概略構成を簡略図示した分解斜視図であり、
図14(c)は第5実施形態の遮蔽装置の概略構成を示す断面側面図である。また、
図15(a)乃至(c)は、それぞれ第5実施形態の遮蔽装置における操作装置7に係る操作棒8に対する操作グリップ9の可動操作を説明するための断面側面図である。尚、
図14及び
図15において、第1実施形態と同様の構成要素には同一の参照番号を付している。
【0105】
図14及び
図15に示す第5実施形態は、上述した第1実施形態と比較して、操作棒8及び操作グリップ9の構成が異なる点、及び、操作装置7が操作コード72の巻き取り用の操作プーリー73及び伝達ギア機構77を有するものとする代わりに、操作グリップ9の引き操作によって操作棒8内で軸回転する捩じれ棒80の回転を操作軸71の回転に伝達する伝達ギア機構77Sを有するものとする点を除き、他の構成は第1実施形態と同様とする。このため、以下、主として、
図14及び
図15に示す操作棒8及び操作グリップ9、並びに操作装置7に係る構成及び動作について説明する。
【0106】
まず、
図14(a)に示すように、本実施形態において、操作装置7の基本構成は、操作コード72の巻き取り用の操作プーリー73及び伝達ギア機構77を有するものとする代わりに、操作グリップ9の引き操作によって操作棒8内で軸回転する捩じれ棒80の回転を操作軸71の回転に伝達する伝達ギア機構77Sを有するものとする点を除き、
図2(a)に示すものと同様の構成要素を備え、ヘッドボックス1から吊下される操作棒8に対して相対的にスライド可動する操作グリップ9と、操作グリップ9のスライド可動で昇降用駆動軸11を回転操作するための操作伝達手段と、を有するように構成される。より具体的に、本実施形態の操作装置7は、当該操作伝達手段として、操作軸71と、操作軸71の回転に伴って回転する被動ベベルギア77d(本例の被動ベベルギア77dは操作軸71を軸中心として相対回転不能に設けられるが、図示しないギア機構を介してもよい。)と、操作軸71に対して所定の回転付勢方向に常に回転付勢するぜんまいバネ74(付勢手段)と、操作棒8内で軸回転する捩じれ棒80について操作グリップ9による操作棒8に沿った引き操作で軸回転させて、捩じれ棒80の回転に伴って回転する軸部80aの先端に設けられる駆動ベベルギア77cと、駆動ベベルギア77c及び被動ベベルギア77dが噛合するように構成された伝達ギア機構77Sを介して操作グリップ9による操作棒8に沿った引き操作で操作軸71を当該ぜんまいバネ74による回転付勢方向とは逆方向となる一方向に回転させるときに、操作軸71の当該一方向の回転は昇降用駆動軸11に伝達し、操作軸71の当該回転付勢方向に対応する他方向の回転は昇降用駆動軸11に非伝達とするクラッチユニット75と、
図14(a)では図示を省略しているが、本例では第1実施形態と同様に、上述したスラット3のチルト動作に係るギア機構76と、を備える。
【0107】
また、本実施形態においても、操作装置7の変形例として、伝達ギア機構77Sとクラッチユニット75の入力軸75aとの間に速度変換させるギア機構(図示略)を設ける構成とすることもできる。従って、操作軸71の回転が伝達ギア機構77Sを介してクラッチユニット75の入力軸75aに伝達される構成であればよく、その他の種々の構成とすることができる。
【0108】
ところで、
図14(a)乃至(c)に示すように、本実施形態における操作棒8は、第1実施形態と同様に六角棒状の外形形状を有するが、捩じれ棒80を軸回転可能に挿通し収容する本例では丸孔状の空洞部81を有している。更に、操作棒8には
図2(b)に示したような2本のスリット82が設けられ、尚且つ操作棒8の下端には、捩じれ棒80の下端側を軸回転可能に軸支するとともに操作グリップ9の可動下限位置を規制する抜け止め8cが設けられている。ただし、本実施形態の変形例として、
図2(d)に示したような1本のスリット82が設けられた操作棒8とすることもできる。
【0109】
そして、
図14(a)乃至(c)に示す本実施形態では、操作グリップ9の上端頂部に、操作棒8の2本のスリット82によって二股状となる外壁をそれぞれ挿通可能とする2個の挿通孔92が設けられ、操作グリップ9の上端から下端に至るまで操作グリップ9の内部に操作棒8の二股状の外壁を貫通できるようにしている。更に、操作グリップ9の上端頂部中央には、捩じれ棒80の軸周に形成される捩じれ溝と噛合する歯溝部97が設けられ、操作グリップ9の操作棒8に沿った引き操作で捩じれ棒80が軸回転するようになっている。
【0110】
従って、
図14(a)乃至(c)に示す本実施形態では、操作グリップ9による操作棒8に沿った引き操作で操作棒8内の捩じれ棒80を軸回転させて、伝達ギア機構77Sを介して操作軸71を当該ぜんまいバネ74による回転付勢方向とは逆方向に回転させることができる。また、操作グリップ9による非引き操作時では、ぜんまいバネ74により操作軸71に対して所定の回転付勢方向に常に回転付勢しているため、操作グリップ9は操作棒8上の所定位置(操作棒8の長手方向の略中間位置)に機構的に自動復帰するようにしている。尚、本実施形態に係るぜんまいバネ74による回転付勢力は、操作グリップ9による非引き操作時に、
図14(c)に示す操作棒8上の所定位置(操作棒8の長手方向の略中間位置)に自動復帰するように設定されている。ただし、スリット82の上端位置によって操作グリップ9の可動上限位置を定めることができ、本例のように、操作棒8の長手方向の略中間位置を可動上限位置とするように構成できる。
【0111】
例えば、
図15(a)に示すように、ボトムレール4が最下限位置にあるときでは、操作グリップ9は、操作棒8の長手方向の略中間位置に位置して、操作棒8に沿って引き操作可能となっている。尚、第1実施形態に係る
図5を参照して説明したように、可動範囲規制部材15を操作棒8上に設け、操作グリップ9の可動上限位置及び/又は可動下限位置を外部設定で規制する構成とすることもできる。
【0112】
そして、
図15(a)に示す状態から操作グリップ9の引き操作を行うと、
図15(b)に示すように、操作グリップ9は、操作棒8に対して下方に相対移動し、捩じれ棒80を軸回転させて、ぜんまいバネ74による回転付勢力に抗して操作軸71を当該ぜんまいバネ74による回転付勢方向とは逆方向に回転させることができる。この操作グリップ9の引き操作に応じた操作軸71の回転により、クラッチユニット75を介して昇降用駆動軸11を回転させ、各巻取ドラム5によって各昇降コード2を巻き取ることによってボトムレール4を上昇させることができる。
【0113】
ここで、第1実施形態と同様に、ヘッドボックス1内には、昇降用駆動軸11の一方向の回転(本例では、ボトムレール4の下降に対応する昇降用駆動軸11の回転方向)に対して制動力を付与してロックする所定のストッパー装置13が設けられている(
図1参照)。従って、ストッパー装置13の作動でボトムレール4を所望位置に位置させてスラット3を所望の開閉状態とすることができる。
【0114】
そして、
図15(b)に示すボトムレール4を所望位置に位置させた状態から操作グリップ9の引き操作をやめて手放すと、
図15(c)に示すように、ぜんまいバネ74により操作軸71に対して操作グリップ9の引き操作に応じた操作プーリー78の回転とは逆方向となる所定の回転付勢方向に常に回転付勢しているため、操作グリップ9の引き操作時とは逆回転となる捩じれ棒80の回転を伴いながら、操作棒8上の所定位置(操作棒8の長手方向の略中間位置)まで機構的に自動上昇する。尚、ぜんまいバネ74による回転付勢方向の操作軸71の回転は、クラッチユニット75の機能によって昇降用駆動軸11には回転伝達しないので、ストッパー装置13の作動による昇降用駆動軸11に対するロックにより、操作グリップ9の引き操作をやめて手放した時の開閉状態が維持される。また、操作グリップ9の僅かな引き操作でストッパー装置13の作動によるロックを解除してスラット3及びボトムレール4を自重降下させることができる。
【0115】
このように、操作棒8内に配設される捩じれ棒80の軸回転で操作軸71の回転を操作可能とするべく、操作グリップ9は、操作棒8に沿って相対移動可能に操作棒8の外面に可動配置されて操作棒8に沿ってスライド可能であるが、操作棒8に対して相対的に軸回転不能に係合するようになっている。このため、操作グリップ9の操作棒8に沿ったスライド可動で、捩じれ棒80を操作棒8から外部に露出させることなく操作グリップ9の引き操作により捩じれ棒80を軸回転させて遮蔽材の開閉操作を行うことが可能となり、操作グリップ9を把持した操作棒8の軸回転操作でスラット3のチルト操作が可能となる。
【0116】
従って、本実施形態によれば、手動操作による昇降用駆動軸11の回転でヘッドボックス1に吊下支持される遮蔽材(本例では下端にボトムレール4を有するスラット3)を開閉させる遮蔽装置として、操作棒8に沿って可動とする操作グリップ9による引き操作で遮蔽材の開閉操作を可能としている。そして、操作コード72を用いることはなく、捩じれ棒80を用いて遮蔽材を開閉する場合でも、捩じれ棒80が操作棒8の外部へと常に露出することが無いようになる。このため、遮蔽材の開閉を行う手動操作に係る安全性や意匠性を向上させることができる。
【0117】
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、上述した各実施形態では、ボトムレール4の自重降下を利用して遮蔽材(スラット3等)の開閉を行う例を説明したが、別例として、ボトムレール4の自重降下に逆らってボトムレール4を常に上昇させる方向に付勢するスプリングモータ等を設け、この場合にはボトムレール4の自動上昇を阻止可能とするようにストッパー装置13、及びクラッチユニット75等を設定し、操作棒8に沿った操作グリップ9の引き操作で遮蔽材の下降操作を行うものとしてもよい。従って、本発明は、上述した実施形態の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ制限される。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明によれば、遮蔽材の開閉を行う手動操作に係る安全性や意匠性を向上させることができるので、手動操作による駆動軸の回転でヘッドボックスに吊下支持される遮蔽材を開閉させる遮蔽装置の用途に有用である。
【符号の説明】
【0119】
1 ヘッドボックス
2 昇降コード
3 スラット(遮蔽材)
4 ボトムレール
5 巻取ドラム
6 チルトドラム
7 操作装置
8 操作棒
8a,8b,8c 抜け止め
9 操作グリップ
9S コード止め
10 ラダーコード
11 昇降用駆動軸
12 チルト用駆動軸
13 ストッパー装置
14 速度調整装置
15 可動範囲規制部材
71 操作軸
72 操作コード
72a 操作コード下端の磁石
73 操作プーリー
74 ぜんまいバネ(付勢手段)
75 クラッチユニット
75a クラッチユニットの入力軸
76 ギア機構
77 伝達ギア機構
77a 駆動ギア
77b 被動ギア
77S 伝達ギア機構
77c 駆動ベベルギア
77d 被動ベベルギア
78 操作プーリー
79 無端状伝動部材
80 操作棒内の捩じれ棒
80a 操作棒内の捩じれ棒の軸部
81 操作棒の空洞部
82 操作棒のスリット
91 操作グリップの係止孔
92 操作グリップの挿通孔
93 操作グリップの磁性材
94 操作グリップの筒部
95 操作グリップの筒部の空洞部
96 操作グリップの係止部
97 操作グリップの歯溝部