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特開2023-86664静電気防止用のブランクマスク及びフォトマスク、並びにその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086664
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】静電気防止用のブランクマスク及びフォトマスク、並びにその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/54 20120101AFI20230615BHJP
【FI】
G03F1/54
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145100
(22)【出願日】2022-09-13
(31)【優先権主張番号】10-2021-0176594
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】522363597
【氏名又は名称】フォトロニクス チョナン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100162765
【弁理士】
【氏名又は名称】宇佐美 綾
(72)【発明者】
【氏名】ホ イキポム
(72)【発明者】
【氏名】キム ミョンヨン
(72)【発明者】
【氏名】チェ サンスー
【テーマコード(参考)】
2H195
【Fターム(参考)】
2H195BA12
2H195BB17
2H195BB19
2H195BB25
2H195BC05
2H195BC24
(57)【要約】
【課題】静電気防止用のブランクマスク及びフォトマスク、並びにその製造方法を提供する。
【解決手段】静電気防止用のブランクマスク及びフォトマスク、並びにその製造方法に係り、ブランクマスク、及びそれを利用して製作されたフォトマスクは、基板と、遮光層と、を含み、遮光層は、基板上に存在する遮光膜と、遮光膜上に存在する反射防止膜とを含み、遮光膜は、CrまたはMoSiを主成分とする物質によって構成され、電気抵抗を大きくするために、主成分の含量比は、80%以下に構成される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、遮光層と、を含み、
前記遮光層は、
前記基板上に存在する遮光膜と、
前記遮光膜上に存在する反射防止膜と、を含み、
前記遮光膜は、CrまたはMoSiを主成分とする物質によって構成され、電気抵抗を大きくするために、前記主成分の含量比は80%以下に構成される、ブランクマスク。
【請求項2】
前記遮光膜は、前記主成分と、O、N及びCのうちの少なくとも1以上の非金属物質と、を含み、前記非金属物質の含量の総量は、20%以上である、請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項3】
仕事関数値を増大させるために、前記遮光層は、酸化処理されるか、あるいは前記遮光層上に酸化物層をさらに含む、請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項4】
仕事関数値を増大させるために、前記遮光層は、8%以上のN成分、または2%以上のC成分を含む、請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のブランクマスクを利用して製作された、フォトマスク。
【請求項6】
パターンが形成された前記基板の表面に存在する残留イオンによる静電気放電を防止するために、SiOまたはSiNを含む静電気防止膜をさらに含む、請求項5に記載のフォトマスク。
【請求項7】
パターン形成後、有機物除去のための洗浄工程として、DI-O3洗浄工程またはアセトン+メタノール洗浄工程が遂行された、請求項5に記載のフォトマスク。
【請求項8】
前記遮光膜と前記反射防止膜は、MoSiを主成分とする物質によって構成され、
フォトレジストとの接着力を向上させるために、前記反射防止膜上にクロム膜をさらに含み、
前記クロム膜は、パターン形成後、除去される、請求項5に記載のフォトマスク。
【請求項9】
基板に遮光層を形成する段階を含み、
前記遮光層は、CrまたはMoSiを主成分とする物質によって構成され、電気抵抗が大きくなるように、前記主成分の含量比は、80%以下に構成される、フォトマスク製造方法。
【請求項10】
MoSiを主成分とする前記遮光層上にクロム膜を蒸着する段階と、
パターン形成後、前記クロム膜を除去する段階と、をさらに含む、請求項9に記載のフォトマスク製造方法。
【請求項11】
仕事関数値を増大させるために、パターン形成後、表面を酸化処理する段階、あるいは酸化物層を追加蒸着する段階をさらに含む、請求項9に記載のフォトマスク製造方法。
【請求項12】
前記酸化処理は、ベーク工程、オゾン水処理工程、及び酸素プラズマ処理工程のうちの少なくとも1つの工程を含み、
前記ベーク工程は、加熱板を利用し、80~300℃で10分~2時間ベークする工程であり、前記オゾン水処理工程は、200ppm以下のオゾンを使用して洗浄する工程である、請求項11に記載のフォトマスク製造方法。
【請求項13】
前記基板の表面の残留イオンの移動を防ぐために、SiOまたはSiNを主成分とする静電気防止膜を蒸着する段階をさらに含む、請求項9に記載のフォトマスク製造方法。
【請求項14】
パターン形成後、有機物除去のためにDI-O3洗浄工程またはアセトン+メタノール洗浄工程を遂行する段階をさらに含む、請求項8に記載のフォトマスク製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板ディスプレイパネル製作に使用されるブランクマスク及びフォトマスク、並びにその製造方法に係り、さらに詳細には、静電気放電を防止することができるブランクマスク及びフォトマスク、並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、平板ディスプレイパネル製作に使用されるフォトマスクは、完全に光を遮断する遮断領域と、光を100%透過する透過領域と、を含む。該平板ディスプレイパネル製作の生産性向上のために、フォトマスクの大きさは、だんだんと大きくなり、マスクのパターンはだんだんと小さくなっている。8世代フォトマスク(1220*1400mm2)が多用されてきたが、現在は、10世代フォトマスク(1620*1780mm2)が使用されている。
【0003】
フォトマスクの大きさが大きくなり、フォトマスクによって具現されるパターンの大きさが小さくなっている間で、静電気放電によるパターン損傷が深刻な問題になっている。静電気放電によってパターン損傷が生じたフォトマスクの場合、フォトリソグラフィ(photolithography)工程において、それ以上使用することができないので、さらに製作する間、生産工程が停止されるという深刻な問題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、平板ディスプレイ製作工程において、静電気放電を防止することができるフォトマスク及びブランクマスク、並びにその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述の技術的課題を達成するための、本発明の実施形態によるブランクマスクの一例は、基板と、遮光層と、を含み、前記遮光層は、前記基板上に存在する遮光膜と、前記遮光膜上に存在する反射防止膜と、を含み、前記遮光膜は、CrまたはMoSiを主成分とする物質によって構成され、電気抵抗を大きくするために、前記主成分の含量比は、80%以下に構成される。
【0006】
前述の技術的課題を達成するための、本発明の実施形態によるフォトマスク製造方法の一例は、基板に遮光層を形成する段階を含み、前記遮光層は、CrまたはMoSiを主成分とする物質によって構成され、電気抵抗が大きくなるように、前記主成分の含量比は、80%以下に構成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、基板の大型化及びパターンの緻密化によって生じる静電気による問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態によるフォトマスクの一例を図示した図である。
図2】本発明の実施形態によるフォトマスクのパターン間の静電気放電が生じる概念を図示した図である。
図3図2の構造を等価回路で表現した図である。
図4】本発明の実施形態による静電気防止のためのフォトマスクの一例を図示した図である。
図5図4の遮光層を等価回路で表現した図である。
図6】本発明の実施形態による、静電気防止のために、仕事関数値を増大させるフォトマスクの表面処理方法の一例を図示した図である。
図7】本発明の実施形態による、静電気防止のためのフォトマスクの表面処理方法の他の一例を図示した図である。
図8】本発明の実施形態による、静電気防止用フォトマスクの製造方法の一例を図示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
フォトマスクにおいて、静電気放電を起こす原因であるフォトマスクのパターン上の電圧差は、大きく見て、3種の原因によって生じる。第一は、フォトマスク外部に電界が印加される場合であり、第二は、摩擦帯電のように、外部からフォトマスクに電荷が印加される場合である。第三は、フォトリソグラフィ工程において、フォトマスクに入射される光による光電効果の帯電である。
【0010】
該フォトマスクの静電気防止方法として、フォトマスクの遮光層と、基板(例えば、石英(Qz))との間に、導電層(例えば、ITO(indium tin oxide)フィルム)を蒸着する方法がある。該導電層の蒸着により、静電気を防止することができるが、フォトリソグラフィ工程において、重要な値のうちの一つである基板透過率が低下するという問題点が存在する。一般的に、光の波長が低減されれば、透過率低下幅が急激に大きくなるという問題がある。透過率が低下すれば、フォトリソグラフィ工程の生産性を阻害するので、静電気防止方法として、導電層を追加蒸着する方法には、限界がある。
【0011】
静電気防止のための他の方法として、分解能(resolution)以下の小さいパターンでもって、パターンとパターンとの間を連結する方法がある。しかし、分解能以下の小さいパターンであっても、フォトリソグラフィ工程において、パターン跡が残り、本来のパターンと同一パターンを得難い。また、パターン連結は、設計段階において、多くの負担になる。
【0012】
さらに他の静電気防止方法として、フォトマスクの遮光層上に、非導電膜を追加して塗布する方法がある。しかしながら、その場合、非導電膜蒸着により、追加コストが生じ、フォトマスク製作工程が複雑になるという短所がある。また、該非導電膜は、単に、摩擦帯電による静電気を防止する解決策であるのみであるので、摩擦帯電以外に、さまざまな原因で静電気が生じるフォトマスクに適用するのに限界がある。
【0013】
以下において、添付された図面を参照し、本発明の実施形態による、静電気防止用のブランクマスク及びフォトマスク、並びにその製造方法について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態によるフォトマスクの一例を図示した図面である。
【0015】
図1を参照すれば、該フォトマスクは、基板100上にパターンを含む。該パターンは、大きく見て、A,B,C及びD領域にも区別される。A領域は、ディスプレイパネルに転写される領域であり、アクティブ領域(active area)と言う。B領域は、A領域だけを露光するために、ブラインダが位置する領域であり、遮光層110が存在し、ブラインダ領域(blinder area)と言う。C領域は、外部で生じる電気的影響を除去するために、遮光層110を除去した領域であり、該フォトマスクに対する平面視で、ブラインダ領域Bを4面から取り囲んだ形態である。FPD(Flat Panel Display)用フォトマスクの場合、C領域の幅は、数cmが一般的に使用される。D領域は、フォトマスクの外郭部分であり、ペリクル(pellicle)120であり、フォトマスクを使用するための整列キー(alignment key)、及びその他便宜のためのパターンが存在する。ペリクル120を付着させる理由は、該フォトマスクの使用時、パターン面に異物が付くことを防止するためである。
【0016】
静電気原因の一つである摩擦帯電側面について見れば、D領域で生じる、ユーザの接触、及び空気の流れが摩擦帯電の原因になる。摩擦帯電が生じ、D領域に電荷が蓄積されても、絶縁層領域である数cmのC領域が存在するので、A領域に影響を及ぼさない。従って、C領域が存在するフォトマスクの場合、摩擦帯電による静電気放電問題は、考慮する必要がない。また、一般的なクリーンルーム(clean room)環境としては、イオナイザ(ionizer)を設け、蓄積される電荷を持続的に除去しているので、フォトマスクの場合、外部からの電界印加、及びフォトマスクに入射される光による光電効果による電荷蓄積によって生じる静電気放電のみを考慮すればよい。
【0017】
図2は、本発明の実施形態による、フォトマスクのパターン間の静電気放電が生じる概念を図示した図面であり、図3は、それを等価回路で表現した図面である。
【0018】
電気的に見れば、基板(Qz)表面で流れる電流と、空気中に流れる電流とがある。空気中に流れる電流は、いったん電子が金属表面を脱出するための電圧が必要である(すなわち、仕事関数(work function)であり、回路的な側面においては、Vth値を有するダイオード(diode)と同一に見なすことができる。)。該電圧以下においては、電流が流れない。脱出した電子は、電界によって加速され、空気分子と衝突しながら、電流を維持する(Rair)。また、両端に電極が存在するので、キャパシタ(capacitor)が形成される。図3の等価回路において、電流の最大値はRsurface値が0であるときであり、最小値は、Rsurface値が無限大であるときである。
【0019】
静電気放電は、並列に連結されたRair及びRsurfaceに加えられる電圧Vair_surfaceの値が、絶縁層である空気(air)を導体に変更させるVbreakdown値以上になるときに生じる。Vbreakdown以上の電圧が印加されれば、瞬間的に非常に多くの量の電流が空気を介して流れ、それは、フォトマスクパターンの温度を急激に上昇させ、パターンを破壊する。該現象がフォトマスクで生じれば、使用不能になり、新たなフォトマスクを製作するか、あるいは欠陥を修正しなければならない。その期間の間、FPD製品の生産工程は、不可能である。
【0020】
それを解決するためには、Vair_surfaceの値を低くしなければならない。Vair_surface値を低くする方法として、外部から印加されるV値を小さくする方法と、R1crの電圧V1crとR2crの電圧V2crの値を大きくする方法と、がある。外部から印加されるV値は、クリーンルーム環境に起因するものであり、それを変更するように低くすることは、非常に大変である。V値は、ほぼ固定されている値であるので、V1crとV2crの値を大きくするためには、R1crとR2crを大きくすればよい。R1crとR2crの値を大きくするためのフォトマスクの一例が図4に図示されている。
【0021】
図4は、本発明の実施形態による、静電気防止のためのフォトマスクの一例を図示した図面であり、図5は、図4の遮光層を等価回路で表現した図面である。
【0022】
図4を参照すれば、フォトマスクは、基板100上に、遮光層110を含む。遮光層110は、反射防止膜(AR:Anti Reflection)112と、光を遮断する遮光膜(shielding)111と、を含む。
【0023】
遮光層110は、Crを主成分とし、非金属物質であるO、N、Cを含む化合物によっても構成されるか、あるいはMoSiを主成分とし、非金属物質であるO、N、Cを含む化合物によっても構成される。反射防止膜112は、遮光膜111対比で、相対的に透明な物質によっても構成される。例えば、遮光膜111がCrを主成分とする場合、反射防止膜112は、CrOの主成分に、N,C成分を追加した物質によっても構成される。すなわち、反射防止膜112は、遮光膜111対比で、O,N,C成分をさらに多く含むものでもある。
【0024】
一実施形態において、遮光層110がMoSiを主成分とする物質によって構成された場合、フォトマスク製造工程において、遮光層とフォトレジストとの接着力問題を解決するために、薄クロム(Cr)膜を遮光層上に蒸着することができる。そのとき、クロム膜厚は、2~50nmでもある。該クロム膜は、フォトマスク製造工程において、MoSi遮光層のパターン形成後に除去される。
【0025】
図5を参照すれば、反射防止膜112は、遮光膜111対比で、非金属物質であるO,N,C成分がさらに多いので、電気的に見れば、RAR値がRshielding値より常時大きい。抵抗が並列に連結された場合、抵抗公式から分かるように、遮光層110全体の抵抗を大きくするためには、Rshieldingを大きくすることが核心である。非導電膜を追加して塗布する場合は、遮光層全体の抵抗をさらに小さくし、望ましくない。
【0026】
一般的に、CrOを主成分とする遮光膜111のシート抵抗(sheet resistance)値は、100~300Ωである。遮光膜111の金属成分の含量を減らし、遮光膜111の抵抗値を大きくすることができる。例えば、遮光膜111の組成比において、Crの比率が、一般的に約80%を占めているが、Crの組成比を80%以下にすれば、シート抵抗値は、1,000Ω以上になり、それにより、V1cr,V2cr値が大きくなり、静電気放電問題を解決することができる。他の実施形態として、遮光膜111の抵抗を大きくするために、遮光膜111を構成する金属化合物において、非金属成分であるO、N、Cの含量の総量を20%以上にすることができる。反射防止膜112は、反射防止という光学的な役割を担わなければならないので、従来のものをそのまま使用してもよいが、光学的な要求事項を満足する条件においては、できる限り大きい抵抗値を有するように、反射防止膜112の組成比を調節することができる。
【0027】
図3を、再び参照すれば、フォトマスクの場合、パターンが空気によって分離されるだけではなく、それが基板上に存在するので、基板表面に流れる電流も考慮しなければならない。本出願人の研究によれば、R1cr,R2cr値が小さく、Vbreakdown以下の電圧が印加される場合にも、Rsurface値が小さい場合、過度な電流により、基板表面に流れる電流によるパターン損傷問題が生じる。損傷される程度がVbreakdown以上の電圧が印加されて生じる一般的な静電気放電現象よりは小さいが、フォトリソグラフィ工程で容認される程度ではない。従って、Rsurface値を十分に大きくすることも重要である。Rsurface値を決定する変数は、温度、湿度、及び基板表面に存在する残留イオンの量である。温度と湿度との場合、フォトマスクを使用するFPD製造工場で制御する基本環境値であるので、改善の余地が多くないが、残留イオンの量は、フォトマスク製造工程で使用する洗浄工程によっても調節される。
【0028】
本出願人の研究結果によれば、静電帯電現象が生じれば、残留イオンの種類によって損傷される+極と-極とが異なる。それは、残留イオンが非常に重要な影響を及ぼすことを意味する。従って、基板の残留イオンによる静電気帯電問題を解決する方法として、有機物を除去する洗浄工程において、酸(acid)ではない物質を使用することができる。該洗浄工程において酸を使用した場合には、その後、それを除去する工程を追加してしまう。例えば、残留イオンの量を減らし、静電気放電を予防することができる洗浄方法として、オゾン化脱イオン水(DI-O3)洗浄、またはアセトン(acetone)+メタノール(methanol)溶液を使用した洗浄工程を使用することができる。
【0029】
他の実施形態として、基板表面に存在する残留イオンが動くことができないように、パターン形成工程及び洗浄工程を遂行した後、SiO成分やSiN成分が主成分である透明な薄い静電気防止膜を塗布する工程を追加して遂行することができる。その時、該静電気防止膜厚は、10nm以下に形成することができる。
【0030】
さらに他の実施形態として、基板表面に存在する残留イオンを除去するために、パターン形成工程と洗浄工程との後、追加洗浄工程を遂行することができる。該追加洗浄工程は、DI-O3洗浄工程、熱処理(thermal treatment)工程、UV-O3工程、及びHot DI工程の中で少なくとも1以上を含むものでもある。
【0031】
本実施形態は、理解の一助とするために、遮光層110を含むフォトマスクを提示しているが、位相反転層と透過率変調膜とを組み合わせて使用することができる。また、本実施形態の静電気防止技術は、ブランクマスク(例えば、バイナリマスク)、位相反転層を含む位相反転マスクなどにも適用される。ただし、以下においては、説明の便宜のために、フォトマスクを基準に説明する。
【0032】
図6は、本発明の実施形態による、静電気防止のために仕事関数値を増大させるフォトマスクの表面処理方法の一例を図示した図面である。
【0033】
図6を参照すれば、平板ディスプレイに使用される露光装備は、生産性のために、光源から出る光を、特定の波長だけフィルタリング(filtering)せずに使用するために、遮光層の仕事関数値より大きい短波長の光が存在する。静電気帯電防止側面において、遮光層の仕事関数が大きければ、光電効果を低減させてしまう。
【0034】
純粋Crの仕事関数(φ)値は、約4.5eVであると知られている。フォトマスクの製造工程に、表面処理過程(surface treatment process)を追加し、遮光層110表面を酸化(oxidation)させることができる。一実施形態として、酸化のための表面処理過程として、オゾン水(O3 water)処理工程、O2プラズマ(plasma)処理工程、及びベーク(bake)工程のうちの少なくとも1以上が使用されうる。該ベーク工程は、オゾン水洗浄工程、プラズマ処理工程と共に使用されるか、あるいは独立しても使用される。該オゾン水処理工程は、200ppm以下のO3濃度を利用して遂行することができる。該ベーク工程は、80~300℃温度で、10分~2時間ほど遂行される。例えば、効果的な酸化処理のために、該ベーク工程は、加熱板(hot plate)を使用する工程でもある。
【0035】
遮光層110の表面を酸化させれば、遮光層110の性質が、導体から絶縁層に変わるようになる。絶縁層の場合、結合エネルギーが、導体に比べ、相対的に大きいので、導体の自由電子が減る。それは、薄膜の表面を脱出する電子の量が少なくなることを意味するので、仕事関数が増大することになる。
【0036】
また、非金属物質であるO,N,C物質における結合エネルギー(bonding energy)は、Oと比較すると、相対的に、NとCが大きい値を有する。従って、NとCの含量を高めれば、仕事関数値を増大させることができる。一実施形態として、仕事関数値を増大させる目的で、Nの含量を8%以上、またはCの含量を2%以上に使用することができる。
【0037】
図7は、本発明の実施形態による、静電気防止のためのフォトマスクの表面処理方法の他の一例を図示した図面である。
【0038】
図7を参照すれば、フォトマスクの仕事関数を増大させるために、パターン形成が完了した後、酸化物層150を塗布することができる。酸化物層150による透過率損失を最小化させるために、酸化物層150の厚みは200Å以下にする。酸化物層150は、絶縁層であるので、図6で説明したように、仕事関数値を増大させる効果がある。また、酸化物層150は、パターン間の基板表面に残留するイオンが動くことができないようにする効果もある。
【0039】
図8は、本発明の実施形態による、静電気防止用フォトマスクの製造方法の一例を図示した図面である。
【0040】
図8を参照すれば、静電気防止のための方法として、基板に電気抵抗が大きい遮光層を形成することができる(800)。例えば、該遮光層は、CrまたはMoSiを主成分とする物質によって構成され、電気抵抗を大きくするために、主成分の含量比を80%以下に構成することができる。他の実施形態として、該遮光層は、図4のように、遮光膜と反射防止膜とによって構成され、該遮光膜は、CrまたはMoSiを主成分とする物質で具現するものの、主成分の含量比を80%以下になるようにすることができる。
【0041】
他の実施形態として、フォトマスクの光電効果による帯電を防止するために、フォトマスクの表面を酸化処理するか、あるいはフォトマスクに酸化物層を形成することができる(810)。フォトマスクの遮光層表面を酸化処理する方法の例が、図6に図示されており、酸化物層を形成する例が、図7に図示されている。
【0042】
さらに他の実施形態として、フォトマスクのパターン形成後、パターン間の基板表面に残留するイオンによる静電気帯電を防止するために、フォトマスクの洗浄工程時、酸成分ではない物質を利用することができる(820)。例えば、オゾン化脱イオン水(DI-O3)洗浄工程、またはアセトン+メタノール溶液を使用した洗浄工程を使用することができる。
【0043】
以上、本発明につき、その望ましい実施形態を中心に説明した。本発明が属する技術分野において当業者であるならば、本発明が、本発明の本質的な特性から外れない範囲において、変形された形態に具現されうるということを理解することができるであろう。従って、開示された実施形態は、限定的な観点ではなく、説明的な観点から考慮されなければならない。本発明の範囲は、前述の説明ではなく、特許請求の範囲に示されており、それと同等な範囲内にあるすべての差異は、本発明に含まれたものであると解釈されなければならないのである。
【符号の説明】
【0044】
100 基板
110 遮光層
111 遮光膜
112 反射防止膜
150 酸化物層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8