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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086666
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】直視のための色の最適化
(51)【国際特許分類】
   G03H 1/26 20060101AFI20230615BHJP
   G03H 1/22 20060101ALI20230615BHJP
   G03H 1/08 20060101ALI20230615BHJP
   G02B 27/02 20060101ALN20230615BHJP
【FI】
G03H1/26
G03H1/22
G03H1/08
G02B27/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022148814
(22)【出願日】2022-09-20
(31)【優先権主張番号】2117867.8
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】519027213
【氏名又は名称】エンヴィシクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル バーナム
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー スミートン
【テーマコード(参考)】
2H199
2K008
【Fターム(参考)】
2H199CA06
2H199CA24
2H199CA27
2H199CA29
2H199CA42
2H199CA50
2H199CA54
2H199CA68
2H199CA69
2H199DA26
2K008AA00
2K008AA10
2K008CC03
2K008FF21
2K008FF27
2K008HH03
2K008HH06
2K008HH13
2K008HH18
2K008HH26
2K008HH27
(57)【要約】
【課題】投影システムを提供する。
【解決手段】投影システムは、投影のための画像を受信するように配置される。画像は、第1の色成分及び第2の色成分を含むカラー画像である。システムは、第1の色成分の第1のホログラムを計算し、第2の色成分の第2のホログラムを計算するように配置される。システムは、第1のホログラムを計算する前に、第2の色成分のコンテンツを第1の色成分に追加するようにさらに配置される。第1のホログラムは、第1の色成分の情報及び第2の色成分の少なくとも一部の情報を含む。システムは、第1のホログラムを第1の色光で照明することによって第1のホログラフィック再構成を形成し、第2のホログラムを第2の色光で照明することによって第2のホログラフィック再構成を形成するようにさらに配置される。したがって、第1のホログラフィック再構成は、第2の色成分の少なくとも一部の色度を変化させる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影のための画像を受信することであって、前記画像が、第1の色成分と第2の色成分とを含むカラー画像である、投影のための画像を受信することと、
前記第1の色成分の第1のホログラム及び前記第2の色成分の第2のホログラムを計算することと、
前記第1のホログラムが、前記第1の色成分の情報及び前記第2の色成分の少なくとも一部分の情報を含むように、前記第1のホログラムを計算する前に前記第2の色成分のコンテンツを前記第1の色成分に追加することと、
前記第1のホログラムを第1の色光で照明することによって第1のホログラフィック再構成を形成し、前記第2のホログラムを第2の色光で照明することによって第2のホログラフィック再構成を形成することとであって、前記第1のホログラフィック再構成及び第2のホログラフィック再構成が、前記第1のホログラフィック再構成が前記第2の色成分の前記少なくとも一部分の色度を変化させるように実質的に同時に形成される、第1のホログラフィック再構成を形成し、第2のホログラフィック再構成を形成することと、
を実行するように構成された
投影システム。
【請求項2】
前記第2のホログラムを計算する前に、前記第1の色成分に追加された前記第2の色成分のコンテンツに基づいて前記第2の色成分の前記コンテンツを除去する
ようにさらに構成された
請求項1に記載の投影システム。
【請求項3】
前記システムが、前記第2の色成分の対応する1つ又は複数の画素の値に基づいて前記第1の色成分の1つ又は複数の画素の値を増加させることによって前記第2の色成分のコンテンツを前記第1の色成分に追加するように配置され、任意選択的に、前記画素の値が強度又は階調値である
請求項1又は2に記載の投影システム。
【請求項4】
前記カラー画像の1つ又は複数の色のそれぞれに対応する色コンテンツ値を少なくとも前記第1及び第2の色の新しいコンテンツ値で置き換えることによって前記第2の色成分のコンテンツを前記第1の色成分に追加するように配置され、新しい色コンテンツ値が、それぞれの色の前記第2の色の相対強度など、それぞれの色の前記第2の色の量を最小化するなど低減するように選択される
請求項1又は2に記載の投影システム。
【請求項5】
前記新しい色コンテンツ値が、受信された前記カラー画像の前記色コンテンツ値及びルックアップテーブルを使用して決定される
請求項4に記載の投影システム。
【請求項6】
前記色コンテンツ値が、前記カラー画像の画像画素値であり、各画像画素が、前記第1の色に対する第1の画素値及び前記第2の色に対する第2の画素値を含み、及び/又は、
前記色コンテンツ値が、色空間内のそれぞれの画像画素の色を共に表す画像画素値である
請求項4に記載の投影システム。
【請求項7】
前記カラー画像が、前記第1及び第2の色を含む色空間内に画定され、前記システムが、
前記カラー画像の1つ又は複数の色の各々について、
2次元色度空間において、前記カラー画像の前記色空間からの前記色を表す色値を第1の色度値xyに変換することと、
前記対応する第1の2次元色度値、xyを含むマクアダム楕円を決定することと、
所定の規則に基づいて前記楕円内の第2の2次元色度値、x’y’を識別することと、
前記第2の2次元色度値、x’y’を前記色空間内の新しい色値に変換することと、
前記カラー画像の前記新しい色値を使用して、前記第1の色成分の前記第1のホログラム及び前記第2の色成分の前記第2のホログラムを計算することと、
を実行するようにさらに構成され、
前記第2の色度値が、前記第1の色成分に前記第2の色成分のコンテンツを加算する
請求項1又は2に記載の投影システム。
【請求項8】
前記第1及び第2の色度値の前記色度値の各々が、前記2次元色度空間内の色度座標のそれぞれの対を含み、及び/又は
前記色空間が、RGB色空間などの3次元色空間を含む
請求項7に記載の投影システム。
【請求項9】
前記所定の規則が、少なくとも前記第1及び第2の色を含む前記カラー画像の前記色の総パワー密度を最小化するなど、低減するように構成される
請求項7に記載の投影システム。
【請求項10】
前記所定の規則が、前記第1及び第2のホログラムをそれぞれ照明する前記第1及び第2の色の光源を駆動するために必要な電力又は電流の量を最小化するように構成される
請求項7に記載の投影システム。
【請求項11】
前記予め定義された規則が、前記カラー画像の前記色が閾値を満たすことであり、
【数1】
式中、
Pbは、前記カラー画像の青色の色成分の総パワーであり、
Pgは、前記カラー画像の緑色の色成分の総パワーであり、
Prは、前記カラー画像の赤色の色成分の総パワーであり、
MPEb、MPEg、及びMPErが、それぞれの青色、緑色、及び赤色の色成分を形成するために使用される光の青色、緑色、及び赤色の波長のMPE閾値である
請求項7に記載の投影システム。
【請求項12】
前記第1及び第2のホログラフィック再構成を観察者の網膜上に形成するように直視構成で配置され、前記第2の色成分のコンテンツを前記第1の色に追加することにより、前記カラー画像の前記観察者の光の曝露が低減される
請求項1又は2に記載の投影システム。
【請求項13】
前記第1及び第2のホログラムのそれぞれの光を前記観察者の眼に伝播するように構成された少なくとも1つの導波路瞳孔拡張器を備える
請求項12に記載の投影システム。
【請求項14】
各ホログラムは、フレネルホログラム又はフーリエホログラム又は点群ホログラムである
請求項1又は2に記載の投影システム。
【請求項15】
前記観察者による領域内の前記色の知覚を変化させるように、閾値強度などの閾値量より大きい第2の色コンテンツを有する前記第2の色成分の領域に隣接する空間位置で前記カラー画像にコンテンツを追加することをさらに含み、任意選択的に、前記カラー画像の第3の色成分にコンテンツを追加すること、又は前記カラー画像に赤外線若しくは近赤外線などの非可視波長のコンテンツを追加することを含む
請求項1又は2に記載の投影システム。
【請求項16】
前記第1の色成分が緑色であり、前記第2の色成分が青色である
請求項1又は2に記載の投影システム。
【請求項17】
投影のための画像を受信することであって、前記画像が、第1の色成分と第2の色成分とを含むカラー画像である、投影のための画像を受信することと、
前記第1の色成分の第1のホログラム及び前記第2の色成分の第2のホログラムを計算することと、
前記第1のホログラムを第1の色光で照明することによって第1のホログラフィック再構成を形成し、前記第2のホログラムを第2の色光で照明することによって第2のホログラフィック再構成を形成することであって、前記第1のホログラフィック再構成及び第2のホログラフィック再構成が、実質的に同時に形成される、第1のホログラフィック再構成を形成し、第2のホログラフィック再構成を形成することと、
を実行するように配置され、
任意選択で、前記投影システムが、前記第1のホログラフィック再構成が前記第2の色成分の少なくとも一部分の色度を変化させるように、前記第1のホログラムが前記第1の色成分の情報及び前記第2の色成分の少なくとも一部分の情報を含むように、前記第1のホログラムを計算する前に、前記第2の色成分のコンテンツを前記第1の色成分に追加するようにさらに配置され、
前記第1のホログラムが、レーザ光源からの第1の色光で照明され、前記第2のホログラムが、前記第1のホログラフィック再構成及び前記第2のホログラフィック再構成を含む合成色ホログラフィック再構成内の前記第2の色の量を低減するように、LED又は低減された/短い波長(例えば、440nm未満)の光源からの第2の色光で照明され、任意選択で、前記第1の色成分が緑色であり、前記第2の色成分が青色である、
投影システム。
【請求項18】
投影のための画像を受信することであって、前記画像が、第1の色成分と第2の色成分とを含むカラー画像である、投影のための画像を受信することと、
前記第1の色成分の第1のホログラム及び前記第2の色成分の第2のホログラムを計算することと、
を含み、
前記第1のホログラムが、前記第1の色成分の情報及び前記第2の色成分の少なくとも一部分の情報を含むように、前記第1のホログラムを計算する前に前記第2の色成分のコンテンツを前記第1の色成分に追加することと、
前記第1のホログラムを第1の色光で照明することによって第1のホログラフィック再構成を形成し、前記第2のホログラムを第2の色光で照明することによって第2のホログラフィック再構成を形成することであって、前記第1のホログラフィック再構成が前記第2の色成分の前記少なくとも一部分の前記色度を変化させるように、前記第1のホログラフィック再構成及び第2のホログラフィック再構成が、実質的に同時に形成される、第1のホログラフィック再構成を形成し、第2のホログラフィック再構成を形成することと、
をさらに含む
カラー画像を表示する方法。
【請求項19】
前記第1の色成分に追加された前記第2の色成分のコンテンツに対応して、前記第2の色成分のコンテンツを低減すること
をさらに含む
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
プログラムがコンピュータによって実行されると、前記コンピュータに請求項18又は19に記載の前記方法を実行させる命令を含む
コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。より詳細には、本開示は、ホログラフィックプロジェクタ、ホログラフィック投影の方法及びホログラフィック投影システムに関する。いくつかの実施形態は、ヘッドアップディスプレイに関する。いくつかの実施形態は、特に、排他的ではないが、1つ又は複数のレーザ光源を使用して実装される場合に、観察者にとって眼に安全なフルカラーのホログラフィック再構成を形成するためのカラー画像のホログラムの生成及び表示に関する。
【背景技術】
【0002】
物体から散乱された光は、振幅及び位相情報の両方を含む。この振幅及び位相情報は、例えば、干渉縞を含むホログラフィック記録又は「ホログラム」を形成するための周知の干渉技術によって感光板上に取り込むことができる。ホログラムは、元の物体を表す2次元若しくは3次元ホログラフィック再構成、又は再生画像を形成するために、適切な光による照明によって再構成することができる。
【0003】
コンピュータ生成ホログラフィは、干渉プロセスを数値的にシミュレートすることができる。コンピュータ生成ホログラムは、フレネル変換又はフーリエ変換などの数学的変換に基づく技術によって計算することができる。これらの種類のホログラムは、フレネル/フーリエ変換ホログラム又は単にフレネル/フーリエホログラムと呼ばれ得る。フーリエホログラムは、物体のフーリエ領域/平面表現又は物体の周波数領域/平面表現と考えられ得る。コンピュータ生成ホログラムは、例えば、コヒーレント光線追跡又は点群技術によって計算されてもよい。
【0004】
コンピュータ生成ホログラムは、入射光の振幅及び/又は位相を変調するように配置された空間光変調器で符号化され得る。光変調は、例えば、電気的にアドレス指定可能な液晶、光学的にアドレス指定可能な液晶又はマイクロミラーを使用して達成され得る。
【0005】
空間光変調器は、典型的には、セル又は素子とも呼ばれ得る複数の個別にアドレス指定可能な画素を含む。光変調方式は、バイナリ、マルチレベル、又は連続であってもよい。あるいは、装置は連続的(すなわち、画素で構成されていない)であってもよく、したがって、光変調は装置全体にわたって連続的であってもよい。空間光変調器は、変調された光が反射して出力されることを意味する反射性であってもよい。空間光変調器は、同様に、変調光が透過して出力される透過手段であってもよい。
【0006】
ホログラフィックプロジェクタが、本明細書に記載のシステムを使用して備えられ得る。そのようなプロジェクタは、例えば、ニアアイ装置を含むヘッドアップディスプレイ「HUD」及びヘッドマウントディスプレイ「HMD」に用途を見出している。
【0007】
ホログラフィックプロジェクタは、フルカラーのホログラフィック再構成を形成することができる。これは、3つの単色ホログラムを表示し、対応する単色光源を使用して各ホログラムを照明して、3つの単色ホログラフィック再構成を実質的に同時に形成することによって達成され得る。空間的に分離された色として知られる手法「SSC」は、3つの単色ホログラフィック再構成を同時に形成することを含み、一方、フレームシーケンシャル色として知られる別の手法「FSC」は、人間の眼の積分時間内になるように、3つの単色ホログラフィック再構成を連続して迅速に形成することを含む。したがって、いずれの手法を使用しても、人間の観察者はフルカラー(すなわち、多色)画像を知覚する。
【発明の概要】
【0008】
本開示の態様は、添付の独立請求項に定義されている。
【0009】
本明細書では、カラー画像を表示する方法が開示される。本方法は、投影のための画像を受信するステップを含む。画像はカラー画像である。カラー画像は、第1の色成分及び第2の色成分を含む。各色成分は、画素値の配列を含んでもよい。各画素値は、強度値又はいわゆる階調であってもよい。方法は、第1の色成分の第1のホログラムを計算し、第2の色成分の第2のホログラムを計算するステップをさらに含む。第1のホログラムは、第1の色の光で照明されると、第1の色成分の第1のホログラフィック再構成を形成するように構成される。第2のホログラムは、第2の色の光で照明されると、第2の色成分の第2のホログラフィック再構成を形成するように構成される。本方法は、第1のホログラムを計算する前に、第2の色成分のコンテンツ(例えば、画像/画素コンテンツ)を第1の色成分に追加するステップをさらに含む。第2の色成分からのコンテンツの少なくとも一部は、第1の色成分に追加されると言える。したがって、第1のホログラムは、第1の色成分の情報と、第2の色成分の少なくとも一部の情報とを含む。方法は、第1のホログラフィック再構成及び第2のホログラフィック再構成を実質的に同時に形成するステップをさらに含む。したがって、第1のホログラフィック再構成は、第2の色成分の少なくとも一部の色度を変化させる。実施形態では、色度を変更することは、色度空間における光の色の色度座標を変更することを意味する。
【0010】
実施形態では、方法は、第2のホログラムを計算する前に、第1の色成分に追加された第2の色成分のコンテンツに基づいて第2の色成分のコンテンツを減少させることをさらに含む。第2の色成分の少なくとも一部からのコンテンツは、第1の色成分に追加された第2の色成分のコンテンツに対応して低減又は除去されると言える。いくつかの例では、第2の色成分のコンテンツの一部は、第1の色成分に移動されると言える。
【0011】
「色」という用語は、本明細書では、スペクトルの可視部分の波長などの光波長を反射するために使用される。本開示によれば、各単一の「色」の波長は、+/-15nm又は+/-5nm(例えば、全波半値)などの狭帯域波長である。
【0012】
「色空間」という用語は、カラー画像の色を参照するためのシステムとして当技術分野で周知である。色空間は、複数の原色を含む色モデルを使用して色の表現を提供すると言える。色度空間とは対照的に、以下に説明するように、色空間は、強度、放射照度、輝度などに関して各原色の量を表す。例えば、3次元色モデルは、赤、緑、及び青などの三原色を有することができ、色空間は、赤、緑、及び青の色モデルを使用することができる。したがって、色空間で表される色は、原色、赤、緑、及び青に対応する3つの色成分を有する。したがって、3つの色成分の値(又は量)は共に、色空間内の特定の「色」(例えば二次色)を識別する。以下の説明は、原色である赤、緑、及び青に基づく「3D色空間」、すなわち「RGB色モデル」に言及する。これは、RGB色空間が、従来、人間の眼による赤、緑、及び青の色の検出に対応するように画像データ内のカラー画像を表すために使用されているためである。RGB色空間は、赤、緑、及び青が一緒に混合される相対量、典型的には相対強度に基づいて色を定義すると言える。しかしながら、当業者は、説明された技術が、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック(CMYK)色モデルなどの4次元色モデルに基づくものを含む他の種類の色空間に適用可能であることを理解するであろう。
【0013】
カラー画像の「色成分」という用語は、画像領域内の画像の色を表すために使用されるそれぞれの色の量、典型的には強度値を指す。例えば、RGB画像データには、カラー画像の3つの色成分、すなわち赤色成分、緑色成分及び青色成分がある。カラー画像の各色成分は、典型的には、それぞれの色の値の配列を含み、各値は、画像領域内のそれぞれの空間位置における特定の色を表すために使用されるそれぞれの光の色の量、典型的には強度を表す。したがって、例えば、色成分の値の配列内の各位置は、画像内の画像画素の位置に対応することができる。
【0014】
カラー画像の「コンテンツ」という単語は、画像を表す情報を指す。実施形態では、カラー画像のコンテンツ(又は「色コンテンツ」)は、カラー画像の色成分の値を指す。したがって、カラー画像の特定の色成分の内容は、色成分のそれぞれの色についての情報(例えば、強度値/輝度値などの定量的な量)を指す。例えば、RGB画像データでは、特定の色成分のコンテンツは、画像領域内のそれぞれの空間位置(例えば、画像画素値の配列)で特定の色を表すために使用されるそれぞれの色について、データ値、典型的には強度値の配列によって表される情報を含む。
【0015】
本明細書におけるカラー画像の色成分の「コンテンツの一部」への言及は、色成分の画像領域の全体又は一部内の色の総量の一部を表す色の量又は数量を指す。記載された実施形態では、色の量又は数量は、光パワー、強度又は放射照度測定値、あるいはカラー画像又はその色成分内の色の値である。当業者が理解するように、カラー画像内の色の量を定量化するための他の種類の測定値及び値も可能であり、考えられる。
【0016】
「コンテンツを追加/追加する」への言及は、カラー画像の情報を増加させることを指し、「コンテンツを除去/除去する」(又は「コンテンツを低減/低減する」)への言及は、カラー画像の情報を減少させることを指す。例えば、カラー画像の第2の色成分にコンテンツを追加することは、第2の色成分の値(例えば、強度又は画素/階調値)を増加させることを含んでもよい。同様に、カラー画像の第1の色成分のコンテンツを除去/除去することは、第1の色成分の値(例えば、強度又は画素/階調値)を低減することを含んでもよい。例では、コンテンツ又は情報は、光パワー、強度又は放射照度測定値などのカラー画像又はその色成分内の色の量又は数量に対応する。
【0017】
本開示は、カラー画像の第2の色成分のコンテンツをカラー画像の第1の色成分に追加することを指す。これは、典型的には、カラー画像の第2の色成分の対応する値(例えば、画像内の同じ空間位置における強度値)に基づいて/それに従って、カラー画像の第1の色成分の値(例えば、画像内の特定の空間位置における強度値)を増加させることを含む。本開示はさらに、第1の色成分に追加された第2の色成分のコンテンツに基づいて/対応して、第2の色成分からコンテンツを除去することを指す。これは、典型的には、カラー画像の第2の色成分に追加された値(例えば、画像内の同じ空間位置で)に基づいて/対応して、カラー画像の第2の色成分の値(例えば、画像内の特定の空間位置における強度値)を低減することを含む。
【0018】
「色度空間」という用語は、色彩科学又はディスプレイ技術の当業者に周知であり、色の色度を表すシステムと見なすことができる。特に、色度空間は、輝度とは無関係に色(の品質)の表現を可能にする。典型的には、色度空間における色の色度は、2つの独立したパラメータ、すなわち色相(h)及び彩度(s)からなる。したがって、色度空間は2D色空間であり、標準色度空間はいわゆるCIE 1931 xy色度空間である。したがって、特定の色の色度は、強度/輝度から独立した(又は正規化された)、(例えば、色相(h)及び彩度(s)に関して)色を表す色度空間における色度値である。
【0019】
本明細書における「色度」への言及は、色度空間における色の客観的尺度を指す。色度は、色度空間内の点又は座標のセットを含み得る。座標は、色相及び彩度などの極座標であってもよい。座標はまた、xy色度空間における線形座標であってもよい。本開示によれば、RGB色空間で定義されたカラー画像が処理される。いくつかの実施形態では、カラー画像は、色空間と色度空間との間で変換される。当業者は、色度をRGB色空間に、及びその逆に変換するための様々な手法に精通している。いくつかの実施形態は、2つの単一の色成分、例えば緑色及び青色を記載しているが、読者は、これらの実施形態が3つの単一の色成分、すなわちRGBに拡張されることを理解するであろう。同様に、全カラー画像形成は一般にRGB色空間において3つの色成分すべてを必要とするが、本明細書における記述は、第3の単一色成分が本明細書に開示される概念を具現化するために必須ではないので、2つの単一色成分のみを指す。
【0020】
各色成分は、事実上、カラー画像の単一カラー画像成分である。例えば、カラー画像は、カラー画像形成の読者当業者によく知られている方法で、赤色画像成分、緑色画像成分及び青色画像成分を含むことができる。
【0021】
例では、投影のために受信された画像は、複数の画像画素を含む。したがって、画像は、画像の各画素について第1の色値及び第2の色値を含み、第1の画素値は第1の色成分に対応し、第2の画素値は第2の色成分に対応する。実施形態では、RGBカラー画像の各画素は、赤色画素値、緑色画素値、及び青色画素値を効果的に含む。例えば、カラー画像の各画素は、それぞれの赤色、緑色、及び青色の画素値に従って、赤色、緑色、及び青色のサブ画素を含む従来の表示装置の画素上に表示されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の色成分は多色画像の緑色成分であり、第2の色成分は多色画像の青色の色成分である。いくつかの実施形態では、少なくとも選択された画像コンテンツに関して、青色の色成分の色度を緑色に向けて調節するために、緑色光に対するホログラムの計算の前に、青色(画像)成分の画像コンテンツが緑色(画像)成分に追加される。
【0022】
本開示の方法によれば、第2の色成分(例えば、青色)の画像コンテンツの少なくとも一部の色度は、第1の色成分(例えば、緑色)に向かって少なくとも部分的にシフトされ得る。したがって、例えば、画像コンテンツの少なくとも一部の色度は、ミッドブルーからアクアマリンに「シフト」又は「調整」され得る。例えば、1つ又は複数の画像画素の緑色値を増加させ、1つ又は複数の画像画素の青色値を対応して減少させることができる。したがって、受信されたカラー画像の対応する画像コンテンツ(例えば、1つ又は複数の画像画素)の色値は、RGB色空間内で調節又はシフトされる。結果として、緑色成分の画像情報(例えば、1つ又は複数の緑色画素値)は、コンテンツを追加することによって変更され(緑色の量を増加することは、典型的には緑色の強度値を増加すること)、青色の色成分の画像情報(例えば、1つ又は複数の青色画素値)は、コンテンツを除去/低減することによって変更される(青色の量を減少することは、典型的には青色の強度値を減少すること)。
【0023】
本明細書では、投影システムが開示される。投影システムは、投影のための画像を受信するように構成される。画像はカラー画像である。カラー画像は、第1の色成分及び第2の色成分を含む。方法は、第1の色成分の第1のホログラムを計算し、第2の色成分の第2のホログラムを計算するように配置される。システムは、第1のホログラムを計算する前に、第2の色成分のコンテンツを第1の色成分に追加するようにさらに配置される。第1のホログラムは、第1の色成分の情報及び第2の色成分の少なくとも一部の情報を含む。システムは、第1のホログラムを第1の色光で照明することによって第1のホログラフィック再構成を形成するようにさらに配置される。システムは、第2のホログラムを第2の色光で照明することによって第2のホログラフィック再構成を形成するように配置される。第1のホログラフィック再構成及び第2のホログラフィック再構成は、実質的に同時に形成される。したがって、第1のホログラフィック再構成は、第2の色成分の少なくとも一部の色度を変化させる。
【0024】
本開示の方法及びシステムは、特にレーザベースの投影システムにおいて大きな利点を保持する。青色レーザによって提供される光を含む青色コンテンツの場合、緑色レーザによって提供される光を含む少量の緑色コンテンツの追加は、色度をわずかに(例えば、アクアマリンに向けて)調節又はシフトすることができるが、必要な強度/輝度を達成するために必要な青色レーザのパワーを実質的に減少させる。より短い波長の青色光(例えば、430nm又は451nm)について、より短い波長の青色レーザが眼の安全性の理由から通常除外される場合、より短い波長の青色レーザが考慮され得るような減少はより重要である。
【0025】
本開示の実施形態は、色度(又は色)空間の任意の点について、色が人間の眼で区別できない領域が存在するという原理に基づいている。これらの領域は、色度空間におけるマクアダム楕円(又は色空間における同等の「識別楕円体」)と呼ばれることがある。したがって、カラー画像の青色コンテンツの色度は、対応するマクアダム楕円内で調節又はシフトされ得る。新しい色度値(複数可)は、1つ又は複数の予め定義された規則に基づいてマクアダム楕円内から選択されることができる。いくつかの実施形態では、特定の「色」(例えば、赤色、緑色、及び青色値によって一意に定義される)を表示するように要求されると、本方法は、カラー画像の2つの目的又は規則、(1)各波長にわたって合計された最大許容露光(MPE)閾値に対する最低レーザ(光)パワー、及び/又は(2)最小電力使用量、のうちの1つ又は複数に基づいて、「色」についてのそれぞれのマクアダム楕円内の点を決定することを含むことができる。以下でさらに説明するように、新しい色度値を選択するための他の規則も可能であり検討される。
【0026】
第2の色成分の画像コンテンツは、第2の色成分全体又は第2の色成分の1つの画像要素(すなわち画素)などの第2の色成分のサブ区域又はサブ領域から第1の色成分に追加されてもよい。画像コンテンツは、第2の色成分の複数の画素又は画素のサブセットを含むことができる。画像コンテンツは、形状、物体、アイコン、又は例えば印などの画像特徴であってもよい。例えば、画像コンテンツは、画像領域内に形状、物体又はアイコンなどの特徴を形成するために同じ「色」(例えば、赤色、緑色、及び青色値によって一意に定義される二次色)を有する画素のサブセットを含むことができる。これらの実施形態では、このサブセット内のすべての画素の単色成分値は、本明細書に開示された目的又は規則に従って変更され得る。
【0027】
実施形態では、コンテンツを追加することは、カラー画像の第2の色成分(例えば、青色)の対応する画素値に基づいて/を使用して、カラー画像の第1の色成分(例えば、緑色)の画像画素値(例えば、強度/放射照度値)を変更するプロセスを指す。画像画素値の変更は、典型的には、画素強度値(階調値と呼ばれることもある)の増減を含む。いくつかの実施形態では、第2の色成分(すなわち、画素値によって表される色の量の一部)の画素値によって表される画像コンテンツの一部分は、第1の色成分の対応する画素値に加算される。いくつかの実施形態では、第2の色成分の画像コンテンツの一部を第1の色成分に追加することにより、第2の色成分の対応する画素値を低減することが可能になる。追加的に、又は代替的に、第2の画像成分のホログラムを照明するために使用される光源の光の強度及び/又はパワーを低減することができる。他の実施形態では、方法は、第2の色(例えば、470nmで青色)の波長を、画像形成にとって通常望ましくないと考えられる波長(例えば430nm)又はより高い最大許容露光閾値を有する波長に変更することを可能にする。
【0028】
第1のホログラムは、第1の色成分の情報と、第2の色成分の少なくとも一部の情報とを含むと言える。各ホログラムは、対応する(単一の色の)画像を符号化すると言うことができる。したがって、第1のホログラムは、第1の色成分の情報と、第2の色成分(の少なくとも一部の)情報とを符号化すると言える。第1のホログラムは、第1の色光を使用する同じ再構成プロセス中に、第1の色成分全体及び第2の色成分(の少なくとも一部)を形成する。実質的に同時に(例えば、空間的に分離された色(SSC)方式又はフレームシーケンシャル色(FCS)方式で)、第2の色成分の少なくとも一部も、第2の色光を使用して第2のホログラムから形成される。第1の色光で形成された第2の色成分の少なくとも一部は、第2の色光で形成された第2の色成分の少なくとも一部と実質的に重なる。組み合わせる、混ぜ合わせる、又は混合して異なる色(例えば二次色)を形成する第1の色光及び第2の色光(例えば、第1及び第2の原色波長の光)。典型的には強度である、第1の色光と第2の色光の量の比が色を決定し得る。混合によって形成された異なる色は、第2の色のみとは色度スペクトル上の異なる点に対応し得る。このようにして、混合プロセスは、第2の画像成分の少なくとも一部の色度を第1の色に向かって変化、調節、又はシフトすると言うことができる。
【0029】
本開示の実施形態のさらなる態様、特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び添付の従属請求項から明らかになるであろう。
【0030】
投影のための画像を受信するように構成される投影システムがさらに提供される。画像は、第1の色成分及び第2の色成分を含むカラー画像である。システムは、第1の色成分の第1のホログラムを計算し、第2の色成分の第2のホログラムを計算するように配置される。システムは、第1のホログラムを第1の色光で照明することによって第1のホログラフィック再構成を形成し、第2のホログラムを第2の色光で照明することによって第2のホログラフィック再構成を形成するようにさらに配置される。第1のホログラフィック再構成及び第2のホログラフィック再構成は、実質的に同時に形成される。第1のホログラムは、レーザ光源からの第1の色光で照明され、第2のホログラムは、第1のホログラフィック再構成及び第2のホログラフィック再構成を含む合成色ホログラフィック再構成における第2の色の量を低減するために、LED又は低減された波長/短波長(例えば、440nm未満)の光源からの第2の色光で照明される。任意選択的に、投影システムは、第1のホログラフィック再構成が第2の色成分の少なくとも一部の色度を変化させるように、第1のホログラムが第1の色成分の情報及び第2の色成分の少なくとも一部の情報を含むように、第1のホログラムを計算する前に第2の色成分のコンテンツを第1の色成分に追加するようにさらに配置される。第1の色成分は緑色であってもよく、第2の色成分は青色であってもよい。
【0031】
「ホログラム」という用語は、対象物に関する振幅情報若しくは位相情報、又はそれらの何らかの組み合わせを含む記録を指すために使用される。「ホログラフィック再構成」という用語は、ホログラムを照明することによって形成される物体の光学的再構成を指すために使用される。ホログラフィック再構成は実像であり、ホログラムから空間的に分離されているので、本明細書に開示されるシステムは「ホログラフィックプロジェクタ」として説明される。「再生フィールド」という用語は、ホログラフィック再構成が形成され、完全に焦点が合わされる2D領域を指すために使用される。ホログラムが画素を含む空間光変調器に表示される場合、再生フィールドは複数の回折次数の形態で繰り返され、各回折次数は0次再生フィールドのレプリカである。0次再生フィールドは、最も明るい再生フィールドであるため、一般に、好ましい、又は一次再生フィールドに対応する。特に明記しない限り、「再生フィールド」という用語は、0次再生フィールドを指すと解釈されるべきである。「再生平面」という用語は、すべての再生フィールドを含む空間内の平面を指すために使用される。「画像」、「再生画像」、及び「画像領域」という用語は、ホログラフィック再構成の光によって照明される再生フィールドの領域を指す。いくつかの実施形態では、「画像」は、「画像スポット」又は便宜的にのみ「画像画素」と呼ばれ得る離散スポットを含み得る。
【0032】
「符号化」、「書き込み」、又は「アドレス指定」という用語は、各画素の変調レベルをそれぞれ決定するそれぞれの複数の制御値をSLMの複数の画素に提供するプロセスを説明するために使用される。SLMの画素は、複数の制御値の受信に応答して光変調分布を「表示」するように構成されていると言うことができる。したがって、SLMはホログラムを「表示する」と言うことができ、ホログラムは光変調値又はレベルの配列と考えられ得る。
【0033】
許容可能な品質のホログラフィック再構成は、元の物体のフーリエ変換に関連する位相情報のみを含む「ホログラム」から形成され得ることが分かっている。このようなホログラフィック記録は、位相限定ホログラムと呼ばれてもよい。実施形態は位相限定ホログラムに関するが、本開示は振幅限定ホログラフィにも等しく適用可能である。
【0034】
本開示はまた、元の物体のフーリエ変換に関連する振幅及び位相情報を使用してホログラフィック再構成を形成することにも同様に適用可能である。いくつかの実施形態では、これは、元の物体に関する振幅情報と位相情報の両方を含む、いわゆる完全複素ホログラムを使用した複素変調によって達成される。このようなホログラムは、ホログラムの各画素に割り当てられた値(階調)が振幅及び位相成分を有するため、完全複素ホログラムと呼ばれてもよい。各画素に割り当てられた値(階調)は、振幅成分と位相成分の両方を有する複素数として表されてもよい。いくつかの実施形態では、完全複素コンピュータ生成ホログラムが計算される。
【0035】
「位相遅延」の省略表現として、位相値、位相成分、位相情報、又は単に、コンピュータ生成ホログラム又は空間光変調器の画素の位相を参照することができる。すなわち、記載される任意の位相値は、実際には、その画素によって提供される位相遅延の量を表す(例えば、0~2πの範囲の)数である。例えば、π/2の位相値を有すると記載された空間光変調器の画素は、受信光の位相をπ/2ラジアン遅延させる。いくつかの実施形態では、空間光変調器の各画素は、複数の可能な変調値(例えば、位相遅延値)のうちの1つで動作可能である。「階調」という用語は、複数の利用可能な変調レベルを指すために使用され得る。例えば、「階調」という用語は、異なる位相レベルが異なる灰色の階調を提供しない場合であっても、位相限定変調器において複数の利用可能な位相レベルを指すために便宜上使用され得る。「階調」という用語はまた、複素変調器における複数の利用可能な複素変調レベルを指すために便宜上使用され得る。
【0036】
したがって、ホログラムは、階調の配列、すなわち、位相遅延値又は複素変調値の配列などの光変調値の配列を含む。ホログラムは、空間光変調器に表示され、空間光変調器の画素ピッチに匹敵する、一般にそれ未満の波長を有する光で照明されたときに回折を引き起こすパターンであるため、回折パターンとも考えられる。本明細書では、ホログラムを、レンズ又は格子として機能する回折パターンなどの他の回折パターンと組み合わせることについて言及する。例えば、格子として機能する回折パターンは、再生フィールドを再生平面上で並進させるためにホログラムと組み合わされてもよく、又はレンズとして機能する回折パターンは、ホログラフィック再構成を近距離場の再生平面上に集束させるためにホログラムと組み合わされてもよい。
【0037】
以下の詳細な説明では、異なる実施形態及び実施形態のグループを別々に開示することができるが、任意の実施形態又は実施形態のグループの任意の特徴を、任意の実施形態又は実施形態のグループの任意の他の特徴又は特徴の組み合わせと組み合わせることができる。すなわち、本開示において開示された特徴のすべての可能な組み合わせ及び置換が想定される。
【0038】
特定の実施形態は、以下の図を参照して単なる例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】スクリーン上にホログラフィック再構成を生成する反射型SLMを示す概略図である。
図2A】例示的なGerchberg-Saxton型アルゴリズムの第1の反復を示す。
図2B】例示的なGerchberg-Saxton型アルゴリズムの第2の反復及びその後の反復を示す。
図2C】例示的なGerchberg-Saxton型アルゴリズムの代替的な第2の反復及びその後の反復を示す。
図3】反射型LCOS SLMの概略図である。
図4】実施形態による「直視」ホログラフィック投影システムの一例を示す。
図5A】実施形態によるカラー画像を処理して表示する方法のフロー図を示す。
図5B】実施形態によるカラー画像を処理して表示する方法のフロー図を示す。
図6】色度空間内の例示的なマクアダム楕円を示す色度図である。
図7図5の実施形態による、異なる例示的な波長の青色コンテンツの色度座標値を調節する例を示す、図6の色度図の一部である。
図8】実施形態によるシステムの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
同じ又は同様の部分を指すために、図面全体を通して同じ参照符号が使用される。
【0041】
本発明は、以下に記載される実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲の全範囲に及ぶ。すなわち、本発明は、異なる形態で具現化されてもよく、例示の目的のために上述の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。
【0042】
単数形の用語は、特に明記しない限り、複数形を含み得る。
【0043】
別の構造の上部/下部又は他の構造の上/下に形成されると記載された構造は、構造が互いに接触する場合、さらに、それらの間に第3の構造が配置される場合を含むと解釈されるべきである。
【0044】
時間関係を説明する際に、例えば、事象の時間的順序が「後」、「後続」、「次」、「前」などと説明される場合、本開示は、特に明記しない限り、連続的及び非連続的な事象を含むと解釈されるべきである。例えば、「ちょうど」、「即時」、又は「直接」などの表現が使用されない限り、説明は連続的でない場合を含むと解釈されるべきである。
【0045】
本明細書では、「第1」、「第2」などの用語を使用して様々な要素を説明することができるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるものではない。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶことができる。
【0046】
異なる実施形態の特徴は、部分的又は全体的に互いに結合又は組み合わせられてもよく、互いに様々に相互運用されてもよい。いくつかの実施形態は、互いに独立して実行されてもよく、又は共依存関係で一緒に実行されてもよい。
【0047】
光学構成
図1は、コンピュータ生成ホログラムが単一の空間光変調器で符号化される実施形態を示す。コンピュータ生成ホログラムは、再構成のための物体のフーリエ変換である。したがって、ホログラムは、物体のフーリエ領域又は周波数領域又はスペクトル領域表現であると言える。この実施形態では、空間光変調器は、シリコン上の反射型液晶オンシリコン「LCOS」装置である。ホログラムは空間光変調器上で符号化され、ホログラフィック再構成が再生フィールド、例えばスクリーン又はディフューザなどの受光面で形成される。
【0048】
光源110、例えばレーザ又はレーザダイオードは、コリメートレンズ111を介してSLM140を照明するように配置される。コリメートレンズにより、光の略平面波面がSLMに入射する。図1では、波面の方向はオフノーマルである(例えば、透明層の平面に対して真に直交することから2~3度離れている)。しかしながら、他の実施形態では、略平面波面が垂直入射で提供され、ビームスプリッタ配置が入力光路と出力光路とを分離するために使用される。図1に示す実施形態では、配置が、光源からの光がSLMのミラー後面から反射され、光変調層と相互作用して出口波面112を形成するようなものである。出口波面112は、スクリーン125にその焦点を有するフーリエ変換レンズ120を含む光学系に適用される。より具体的には、フーリエ変換レンズ120は、SLM 140から変調光のビームを受け取り、周波数空間変換を実行してスクリーン125でホログラフィック再構成を生成する。
【0049】
特に、この種のホログラフィでは、ホログラムの各画素が全体の再構成に寄与する。再生フィールド上の特定の点(又は画像画素)と特定の光変調素子(又はホログラム画素)との間に1対1の相関関係はない。換言すれば、光変調層を出る変調光は、再生フィールドにわたって分散される。
【0050】
これらの実施形態では、空間におけるホログラフィック再構成の位置は、フーリエ変換レンズの屈折力(集束力)によって決定される。図1に示す実施形態では、フーリエ変換レンズは物理レンズである。すなわち、フーリエ変換レンズは光学フーリエ変換レンズであり、フーリエ変換は光学的に実行される。任意のレンズはフーリエ変換レンズとして作用することができるが、レンズの性能は、それが実行するフーリエ変換の精度を制限する。当業者は、レンズを使用して光学フーリエ変換を実行する方法を理解している。
【0051】
ホログラム計算
いくつかの実施形態では、コンピュータ生成ホログラムは、フーリエ変換ホログラム、又は単にフーリエホログラム若しくはフーリエベースのホログラムであり、正レンズのフーリエ変換特性を利用することによって遠方場で画像が再構成される。フーリエホログラムは、再生平面内の所望の光照射野をフーリエ変換してレンズ平面に戻すことによって計算される。計算機合成フーリエホログラムは、フーリエ変換を使用して計算され得る。
【0052】
フーリエ変換ホログラムは、Gerchberg-Saxtonアルゴリズムなどのアルゴリズムを使用して計算され得る。さらに、Gerchberg-Saxtonアルゴリズムを使用して、空間領域の振幅限定情報(写真など)からフーリエ領域のホログラム(すなわち、フーリエ変換ホログラム)を計算することができる。対象物に関する位相情報は、空間領域における振幅限定情報から効果的に「検索」される。いくつかの実施形態では、コンピュータ生成ホログラムは、Gerchberg-Saxtonアルゴリズム又はその変形を使用して振幅限定情報から計算される。
【0053】
Gerchberg Saxtonアルゴリズムは、平面A及び平面B内それぞれの光ビームの強度断面I(x、y)及びI(x、y)が既知であり、I(x、y)及びI(x、y)が単一のフーリエ変換によって関連付けられるときの状況を考慮する。所与の強度断面を用いて、平面A及び平面B内の位相分布Ψ(x、y)及びΨ(x、y)に対する近似値がそれぞれ見出される。Gerchberg-Saxtonアルゴリズムは、反復プロセスに従うことによってこの問題の解を見出す。より具体的には、Gerchberg-Saxtonアルゴリズムは、I(x、y)及びI(x、y)を表すデータセット(振幅及び位相)を空間領域とフーリエ(スペクトル又は周波数)領域との間で繰り返し転送しながら、空間的制約及びスペクトル制約を繰り返し適用する。スペクトル領域内の対応するコンピュータ生成ホログラムは、アルゴリズムの少なくとも1回の反復によって得られる。アルゴリズムは収束し、入力画像を表すホログラムを生成するように配置される。ホログラムは、振幅限定ホログラム、位相限定ホログラム、又は完全複素ホログラムであってもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、位相限定ホログラムは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる英国特許第2,498,170号又は第2,501,112号に記載されているようなGerchberg-Saxtonアルゴリズムに基づくアルゴリズムを使用して計算される。しかしながら、本明細書に開示される実施形態は、単なる例として位相限定ホログラムを計算することを記載している。これらの実施形態では、Gerchberg-Saxtonアルゴリズムは、既知の振幅情報T[x、y]をもたらすデータセットのフーリエ変換の位相情報Ψ[u、v]を検索し、振幅情報T[x、y]は目標画像(例えば写真)を表す。大きさ及び位相はフーリエ変換において本質的に組み合わされるため、変換された大きさ及び位相は、計算されたデータセットの精度に関する有用な情報を含む。したがって、アルゴリズムは、振幅情報及び位相情報の両方に対するフィードバックを用いて反復的に使用され得る。しかしながら、これらの実施形態では、画像平面でターゲット画像を表すホログラフィックを形成するために、位相情報Ψ[u、v]のみがホログラムとして使用される。ホログラムは、位相値のデータセット(例えば2Dアレイ)である。
【0055】
他の実施形態では、Gerchberg-Saxtonアルゴリズムに基づくアルゴリズムを使用して、完全複素ホログラムを計算する。完全複素ホログラムは、大きさ成分と位相成分とを有するホログラムである。ホログラムは、複素データ値の配列を含むデータセット(例えば2Dアレイ)であり、各複素データ値は、大きさ成分及び位相成分を含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、アルゴリズムは複素データを処理し、フーリエ変換は複素フーリエ変換である。複素データは、(i)実数成分及び虚数成分、又は(ii)大きさ成分及び位相成分を含むと考えられ得る。いくつかの実施形態では、複素データの2つの成分は、アルゴリズムの様々な段階で異なるように処理される。
【0057】
図2Aは、位相限定ホログラムを計算するためのいくつかの実施形態によるアルゴリズムの第1の反復を示す。アルゴリズムへの入力は、画素又はデータ値の二次元配列を含む入力画像210であり、各画素又はデータ値は、大きさ又は振幅の値である。すなわち、入力画像210の各画素又はデータ値は、位相成分を有していない。したがって、入力画像210は、大きさのみ又は振幅のみ又は強度のみの分布と考えることができる。そのような入力画像210の例は、写真又はフレームの時系列を含むビデオの一フレームである。アルゴリズムの第1の反復は、開始複素データセットを形成するために、ランダム位相分布(又はランダム位相シード)230を使用して、入力画像の各画素にランダム位相値を割り当てることを含むデータ形成ステップ202Aで開始し、セットの各データ要素は、大きさ及び位相を含む。開始複素データセットは、空間領域における入力画像を表すと言える。
【0058】
第1の処理ブロック250は、開始複素データセットを受信し、フーリエ変換複素データセットを形成するために複素フーリエ変換を実行する。第2の処理ブロック253は、フーリエ変換された複素データセットを受け取り、ホログラム280Aを出力する。いくつかの実施形態では、ホログラム280Aは位相限定ホログラムである。これらの実施形態では、第2の処理ブロック253は、ホログラム280Aを形成するために、各位相値を量子化し、各振幅値を1に設定する。各位相値は、位相限定ホログラムを「表示」するために使用される空間光変調器の画素上に表され得る位相レベルに従って量子化される。例えば、空間光変調器の各画素が256の異なる位相レベルを提供する場合、ホログラムの各位相値は、256の可能な位相レベルのうちの1つの位相レベルに量子化される。ホログラム280Aは、入力画像を表す位相限定フーリエホログラムである。他の実施形態では、ホログラム280Aは、受け取ったフーリエ変換複素データセットから導出された複素データ値(各々が振幅成分及び位相成分を含む)の配列を含む完全複素ホログラムである。いくつかの実施形態では、第2の処理ブロック253は、各複素データ値を複数の許容可能な複素変調レベルのうちの1つに制約してホログラム280Aを形成する。制約するステップは、各複素データ値を複素平面内の最も近い許容複素変調レベルに設定するステップを含むことができる。ホログラム280Aは、スペクトル領域又はフーリエ領域又は周波数領域における入力画像を表すと言える。いくつかの実施形態では、アルゴリズムはこの時点で停止する。
【0059】
しかしながら、他の実施形態では、アルゴリズムは、図2Aの点線矢印によって表されるように継続する。言い換えれば、図2Aの点線矢印に続くステップは任意である(すなわち、すべての実施形態に必須ではない)。
【0060】
第3の処理ブロック256は、第2の処理ブロック253から修正された複素データセットを受け取り、逆フーリエ変換を実行して、逆フーリエ変換された複素データセットを形成する。逆フーリエ変換された複素データセットは、空間領域における入力画像を表すと言える。
【0061】
第4の処理ブロック259は、逆フーリエ変換された複素データセットを受け取り、大きさの値の分布211A及び位相の値の分布213Aを抽出する。任意選択的に、第4の処理ブロック259は、大きさの値の分布211Aを評価する。具体的には、第4の処理ブロック259は、逆フーリエ変換された複素データセットの大きさの値の分布211Aを、それ自体が、もちろん、大きさの値の分布である入力画像510と比較することができる。大きさの値の分布211Aと入力画像210との間の差が十分に小さい場合、第4の処理ブロック259は、ホログラム280Aが許容可能であると判定することができる。すなわち、大きさの値の分布211Aと入力画像210との間の差が十分に小さい場合、第4の処理ブロック259は、ホログラム280Aが入力画像210を十分正確に表していると判定することができる。いくつかの実施形態では、逆フーリエ変換された複素データセットの位相の値の分布213Aは、比較の目的のために無視される。大きさの値の分布211Aと入力画像210とを比較するための任意の数の異なる方法が利用されてもよく、本開示は任意の特定の方法に限定されないことが理解されよう。いくつかの実施形態では、平均二乗差が計算され、平均二乗差が閾値未満である場合、ホログラム280Aは許容可能と見なされる。第4の処理ブロック259がホログラム280Aを許容できないと判定した場合、アルゴリズムのさらなる反復が実行されてもよい。しかしながら、この比較ステップは必須ではなく、他の実施形態では、実行されるアルゴリズムの反復回数は、予め決定されているか、予め設定されているか、又はユーザ定義である。
【0062】
図2Bは、アルゴリズムの第2の反復及びアルゴリズムの任意のさらなる反復を表す。前の反復の位相の値の分布213Aは、アルゴリズムの処理ブロックを介してフィードバックされる。大きさの値の分布211Aは、入力画像210の大きさ値の分布を優先して拒絶される。第1の反復では、データ形成ステップ202Aは、入力画像210の大きさの値の分布とランダム位相分布230とを組み合わせることにより、第1の複素データセットを形成した。しかしながら、第2及び後続の反復では、データ形成ステップ202Bは、(i)アルゴリズムの以前の反復からの位相の値の分布213Aと、(ii)入力画像210の大きさ値の分布とを組み合わせることによって複素データセットを形成することを含む。
【0063】
次に、図2Bのデータ形成ステップ202Bによって形成された複素データセットは、図2Aを参照して説明されたものと同じ方法で処理されて、第2の反復ホログラム280Bを形成する。したがって、プロセスの説明はここでは繰り返さない。アルゴリズムは、第2の反復ホログラム280Bが計算されたときに停止することができる。しかしながら、アルゴリズムの任意の回数のさらなる反復が実行されてもよい。第3の処理ブロック256は、第4の処理ブロック259が必要とされるか、又はさらなる反復が必要とされる場合にのみ必要とされることが理解されるであろう。出力ホログラム280Bは、一般に、反復ごとに良好になる。しかしながら、実際には、通常、重要な改善が観察されないところに到達するか、又はさらなる反復を実行することの正の利点が追加の処理時間の負の効果が上回る。したがって、アルゴリズムは、反復的かつ収束的であると説明される。
【0064】
図2Cは、第2及びその後の反復の代替の実施形態を表す。前の反復の位相の値の分布213Aは、アルゴリズムの処理ブロックを介してフィードバックされる。大きさの値の分布211Aは、大きさ値の代替的な分布の優先のために拒絶される。この代替的な実施形態では、大きさ値の代替的な分布は、以前の反復の大きさの値の分布211から導出される。具体的には、処理ブロック258は、以前の反復の大きさの値の分布211から入力画像210の大きさ値の分布を減算し、その差を利得係数αでスケールを変更し、スケールを変更された差を入力画像210から減算する。これは、以下の式によって数学的に表され、下付き文字及び数字は反復回数を示す。
【数1】
式中、
F’は、逆フーリエ変換であり、
Fは、順フーリエ変換であり、
R[x、y]は、第3の処理ブロック256によって出力された複素データセットであり、
T[x、y]は、入力又は目標画像であり、
∠は位相成分であり、
Ψは位相限定ホログラム280Bであり、
ηは、新しい大きさの値の分布211Bであり、
αは利得係数である。
【0065】
利得係数αは固定であっても可変であってもよい。いくつかの実施形態では、利得係数αは、入ってくるターゲット画像データのサイズ及びレートに基づいて決定される。いくつかの実施形態では、利得係数αは反復回数に依存する。いくつかの実施形態では、利得係数αは、単に反復回数の関数である。
【0066】
図2Cの実施形態は、他のすべての点で図2A及び図2Bの実施形態と同じである。位相限定ホログラムΨ(u、v)は、周波数領域又はフーリエ領域における位相分布を含むと言える。
【0067】
いくつかの実施形態では、フーリエ変換は、空間光変調器を使用して実行される。具体的には、ホログラムデータは、光パワーを提供する第2のデータと組み合わされる。すなわち、空間光変調に書き込まれるデータは、物体を表すホログラムデータと、レンズを表すレンズデータとを含む。空間光変調器に表示され、光で照明されると、レンズデータは物理レンズをエミュレートし、すなわち、対応する物理光学系と同じ方法で焦点に光をもたらす。したがって、レンズデータは、光学的又は集束的なパワーを提供する。これらの実施形態では、図1の物理フーリエ変換レンズ120は省略されてもよい。レンズを表すデータを計算する方法は既知である。レンズを表すデータは、ソフトウェアレンズと呼ばれることがある。例えば、位相限定レンズは、その屈折率及び空間的に変化する光路長に起因してレンズの各点によって引き起こされる位相遅延を計算することによって形成されてもよい。例えば、凸レンズの中心における光路長は、レンズの縁における光路長よりも大きい。振幅限定レンズは、フレネルゾーンプレートによって形成され得る。コンピュータ生成ホログラフィの技術分野では、物理的なフーリエレンズを必要とせずにホログラムのフーリエ変換を実行できるように、レンズを表すデータをホログラムと組み合わせる方法も知られている。いくつかの実施形態では、レンズデータは、単純なベクトル加算などの単純な加算によってホログラムと組み合わされる。いくつかの実施形態では、フーリエ変換を実行するために、物理レンズがソフトウェアレンズと共に使用される。あるいは、他の実施形態では、ホログラフィック再構成が遠方場で行われるように、フーリエ変換レンズは完全に省略される。さらなる実施形態では、ホログラムは、格子データ、すなわち画像ステアリングなどの格子の機能を実行するように配置されたデータと同じ方法で組み合わせることができる。この場合も、このようなデータをどのように計算する方法は、当分野において既知である。例えば、位相限定格子は、ブレーズド格子の表面上の各点によって引き起こされる位相遅延をモデル化することによって形成することができる。振幅限定格子は、ホログラフィック再構成の角度ステアリングを提供するために、振幅限定ホログラムと単純に重ね合わせることができる。第2のデータ提供レンズ及び/又はステアリングは、画像形成機能又は画像形成パターンと呼ばれる場合があるホログラムデータと区別するために、光処理機能又は光処理パターンと呼ばれる場合がある。
【0068】
いくつかの実施形態では、フーリエ変換は、物理フーリエ変換レンズとソフトウェアレンズとによって一緒に実行される。すなわち、フーリエ変換に寄与するいくつかの光パワーはソフトウェアレンズによって提供され、フーリエ変換に寄与する残りの光パワーは1つ又は複数の物理光学系によって提供される。
【0069】
いくつかの実施形態では、画像データを受信し、アルゴリズムを使用してリアルタイムでホログラムを計算するように配置されたリアルタイムエンジンが提供される。いくつかの実施形態では、画像データは、画像フレームのシーケンスを含むビデオである。他の実施形態では、ホログラムは、予め計算され、コンピュータメモリに記憶され、SLMに表示するために必要に応じて呼び出される。すなわち、いくつかの実施形態では、所定のホログラムのリポジトリが提供される。
【0070】
実施形態は、単なる例として、フーリエホログラフィ及びGerchberg-Saxton型アルゴリズムに関する。本開示は、同様の方法によって計算することができるフレネルホログラフィ及びフレネルホログラムに等しく適用可能である。本開示はまた、点群法に基づくものなどの他の技術によって計算されたホログラムにも適用可能である。
【0071】
光変調
空間光変調器を使用して、コンピュータ生成ホログラムを含む回折パターンを表示することができる。ホログラムが位相限定ホログラムである場合、位相を変調する空間光変調器が必要となる。ホログラムが完全複素ホログラムである場合、位相及び振幅を変調する空間光変調器を使用してもよく、又は位相を変調する第1の空間光変調器及び振幅を変調する第2の空間光変調器を使用してもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、空間光変調器の光変調素子(すなわち、画素)は、液晶を含むセルである。すなわち、いくつかの実施形態では、空間光変調器は、光学活性構成要素が液晶である液晶装置である。各液晶セルは、複数の光変調レベルを選択的に提供するように構成される。すなわち、各液晶セルは、任意の時点で複数の可能な光変調レベルから選択された1つの光変調レベルで動作するように構成される。各液晶セルは、複数の光変調レベルとは異なる光変調レベルに動的に再構成可能である。いくつかの実施形態では、空間光変調器は反射型液晶オンシリコン(LCOS)空間光変調器であるが、本開示はこの種類の空間光変調器に限定されない。
【0073】
LCOS装置は、小さな開口(例えば、幅数センチメートル)内に光変調素子又は画素の高密度配列を提供する。画素は、典型的には数度の回折角をもたらす約10ミクロン以下であり、光学系をコンパクトにすることができることを意味する。LCOS SLMの小さな開口を適切に照明することは、他の液晶装置の大きな開口よりも容易である。LCOS装置は、典型的には反射性であり、これは、LCOS SLMの画素を駆動する回路を反射面の下に埋め込むことができることを意味する。その結果、開口率が高くなる。言い換えれば、画素は密集しており、すなわち、画素間にデッドスペースがほとんどない。これは、再生フィールドにおける光学的ノイズを低減するので有利である。LCOS SLMは、画素が光学的に平坦であるという利点を有するシリコンバックプレーンを使用する。これは、位相変調装置にとって特に重要である。
【0074】
適切なLCOS SLMを、図3を参照して、単なる例として以下に説明する。LCOS装置は、単結晶シリコン基板302を用いて形成される。これは、基板の上面に配置された、ギャップ301aによって離間された正方形の平面アルミニウム電極301の二次元アレイを有する。電極301の各々は、基板302に埋め込まれた回路302aを介してアドレス指定することができる。各電極は、それぞれの平面ミラーを形成する。電極の配列上に配向層303が配置され、配向層303上に液晶層304が配置されている。第2の配向層305は、例えばガラスの平面透明層306上に配置される。例えばITO製単一透明電極307が、透明層306と第2の配向層305との間に配置される。
【0075】
正方形電極301の各々は、透明電極307の上を覆う領域及び介在する液晶材料と共に、しばしば画素と呼ばれる制御可能な位相変調素子308を画定する。有効画素面積、すなわちフィルファクタは、画素間の空間301aを考慮して、光学的に活性な全画素の割合である。透明電極307に対して各電極301に印加される電圧を制御することによって、それぞれの位相変調素子の液晶材料の特性を変化させることができ、それによってそこに入射する光に可変遅延をもたらすことができる。効果は、波面に位相限定変調を与えることであり、すなわち振幅効果は生じない。
【0076】
記載されたLCOS SLMは、空間的に変調された光を反射して出力する。反射型LCOS SLMには、信号線、ゲート線、及びトランジスタが鏡面の下にあるという利点があり、その結果、フィルファクタが高く(通常は90%を超える)、分解能が高くなる。反射型LCOS空間光変調器を使用する別の利点は、液晶層の厚さを、透過型装置を使用した場合に必要となる厚さの半分にすることができることである。これにより、液晶のスイッチング速度が大幅に向上する(動画像の投影にとって重要な利点)。しかしながら、本開示の教示は、透過型LCOS SLMを使用して同様に実装することができる。
【0077】
色ホログラフィックプロジェクタ
図4は、例示的な色ホログラフィック投影システムを示す。例示的なシステムは、観察者が表示装置を直接見ることを意味する、「直視」構成で配置されている。これらの実施形態では、ホログラフィック再構成は、観察者の眼の網膜上に形成される。
【0078】
システムは、3つの色チャネルを備え、各色チャネルは、色空間内のカラー画像を表すために使用される色モデルの原色のうちの1つの光の波長に対応する。図示の例では、原色は、緑色、青色、及び赤色である。
【0079】
図4を参照すると、第1の色チャネルは、第1のホログラムH1を表示し、コリメートレンズ412及び第1のビームスプリッタ413を介して緑色光源411からの光によって照明されるように配置された第1のSLM414を備える。第1のSLM414は、コリメートされた緑色光を第1ホログラムH1に従って空間的に変調する。これにより、第1のSLM414は、ホログラムH1に対応する空間的に変調された光を出力する。出力波面はホログラムH1によって形成され、ホログラムH1に対応するため、第1のSLM414は、第1のホログラムを担持する(又はそれによって若しくはそれを用いて符号化された)空間的に変調された光H1を含む信号を出力すると言える。したがって、単純化のため、第1のSLM414は第1のホログラムH1を出力すると言える。第1のホログラムH1は、投影用の入力/目標カラー画像の緑色成分に対応する。第1のホログラムH1は、緑色のホログラムであると言える。第1のホログラムH1(すなわち、空間的に変調された緑色光)は、共通光路440に沿って導波路瞳孔拡張器450に向けられる(第3の色チャネルに関連付けられた第3のミラー415によって)。
【0080】
第2の色チャネルは、第2のホログラムH2を表示し、コリメートレンズ422及び第2のビームスプリッタ423を介して青色光源421からの光によって照射されるように配置された第2のSLM424を備える。第2のSLM424は、コリメートされた青色光を第2のホログラムH2に従って空間的に変調する。これにより、第2のSLM424は、第2のホログラムH2に対応する空間的に変調された光を出力する。出力波面は第2のホログラムH2によって形成され、第2のホログラムH2に対応するため、第2のSLM424は、第2のホログラムH2を担持する(又はそれによって符号化された)空間的に変調された光を含む信号を出力すると言える。したがって、単純化のため、第2のSLM424は第2のホログラムH2を出力すると言える。第2のホログラムH2は、投影用の入力/目標カラー画像の青色の色成分に対応する。第2のホログラムH2は、青色のホログラムであると言える。第2のホログラムH2(すなわち、空間的に変調された青色光)は、共通光路404に沿って導波路瞳孔拡張器450に向けられる(第1の色チャネル及び第3のミラー415に関連付けられたダイクロイックミラー425によって)。
【0081】
第3の色チャネルは、第3のホログラムH3を表示し、コリメートレンズ432及び第3のビームスプリッタ433を介して赤色光源431からの光によって照射されるように配置された第3のSLM434を備える。第3のSLM434は、コリメートされた赤色光を第3ホログラムH3に従って空間的に変調する。これにより、第3のSLM434は、第3のホログラムH3に対応する空間的に変調された光を出力する。出力波面は第3のホログラムH3によって形成され、第3のホログラムH3に対応するため、第3のSLM434は、第3のホログラムH3を担持する(又はそれによって符号化された)空間的に変調された光を含む信号を出力すると言える。したがって、単純化のため、第3のSLM434は第3のホログラムH3を出力すると言える。第3のホログラムH3は、投影用の入力/目標カラー画像の赤色成分に対応する。第3のホログラムH3は、赤色ホログラムであると言える。第3のホログラムH3(すなわち、空間的に変調された赤色光)は、共通光路404に沿って導波路瞳孔拡張器450に向けられている。
【0082】
実施形態では、緑色光源411は、緑色波長(例えば500~560nm)を有する光を出力するレーザであり、青色光源421は、青色波長(例えば420~480nm)を有する光を出力するレーザであり、赤色光源431は、赤色波長(例えば620~680nm)を有する光を出力するレーザである。
【0083】
第1、第2、及び第3ホログラムH1、H2、H3の空間的に変調された光は、共通光路440に沿って伝播し、その第1端部で入力ポートを介して導波路瞳孔拡張器450に受け取られる。当技術分野で周知であるように、導波路瞳孔拡張器450は、第1の完全反射面451と、第1の面451に実質的に平行に配置された第2の部分反射/部分透過面452とを備える。したがって、導波路瞳孔拡張器450に入る第1、第2、及び第3のホログラムの光は、第1の面451と第2の面452との間の一連の内部反射によって、導波路の長さに沿ってその第2の端部に向かって伝播する。同時に、第2の部分反射/部分透過面452は、その長さに沿って一連の「レプリカ」として光を出力し、各レプリカは、第1、第2、及び第3のホログラムH1、H2、H3に対応する。したがって、アイボックス465内の第2の表面452を直接見る観察者460は、第1、第2、及び第3のホログラムH1、H2、H3の光を受け取る。第1/緑色、第2/青色、及び第3/赤色ホログラムH1、H2、H3のそれぞれのホログラフィック再構成が、観察者の眼の網膜上に形成される。第1、第2、及び第3のホログラムH1、H2、H3は、第1のSLM414、第2のSLM424、及び第3のSLM434によってそれぞれ表示され、第1/緑色、第2/青色、及び第3/赤色のホログラフィック再構成が実質的に同時に形成されるように、それぞれの光源によって実質的に同時に(すなわち、人間の眼の積分時間内)照射される。したがって、観察者は、入力/目標画像の緑色、青色、及び赤色成分に対応する第1/緑色、第2/青色、及び第3/赤色のホログラフィック再構成を含む合成フルカラー又は多色ホログラフィック再構成を知覚する。
【0084】
したがって、図4に示す配置では、観察者460は、導波路瞳孔拡張器450を介して、第1/緑色、第2/青色、及び第3/赤色ホログラムH1、H2、H3でそれぞれ符号化された緑色、青色、及び赤色の空間的に変調された光を直接見る。レーザ光源が緑色光、青色光及び赤色光を提供した実施形態では、レーザ光は観察者460の眼に入射する可能性がある。
【0085】
眼の安全のためのレーザ曝露の最小化及び低減
レーザ光源を備える表示装置は、眼の安全性のため所定の限界を満たす必要がある。例えば、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)は、単一のレーザ光ビームへの直接曝露条件下での眼の最大許容露光(MPE)レベルを定義している。レーザの眼の安全性の限界は、レーザのパワー、レーザ光の波長、及び曝露時間に依存する。青色光のレーザ安全性の限界は、赤色又は緑色よりもはるかに低い。例えば、パワー限界は、瞳に入射する約40μWの青色光であるが、パワー限界は、瞳に入射する300μWの赤色光及び緑色光よりも大きい。別の例では、放射照度限界は、青色光については約1.05Wm-2であり、赤色光及び緑色光については約10Wm-2である。さらに、いくつかの波長のレーザ光への曝露に対する眼の安全性の限界は、以下でさらに説明するように、比例的に相加効果を想定している。レーザの眼の安全性に関するさらなる情報は、参照により本明細書に組み込まれる、国際電気標準会議の技術報告書-IEC TR 60825-14:2004(E)-に見出すことができる。
【0086】
空間光変調器などの表示装置が、多数の「純青色」(又は「純青色」に近い)画素を有するカラー画像を高強度/輝度で表示し、特に直視表示装置に実装される場合に、眼がさらされるすべてのレーザ光波長についてレーザ安全条件内にとどまることは困難である。
【0087】
本開示は、カラー画像を表示するときに観察者の眼のレーザ曝露を最小限に抑えるための技術を提案する。実施形態では、この技術は、カラー画像を表示するとき、観察者の瞳孔に入射する光のレーザパワー又は放射照度が、カラー画像を形成するために使用されるすべての光の波長について、複合/混合カラーの最大許容露光(MPE)閾値を下回ることを保証し、これは上述のように「相加効果」を想定する。
【0088】
特に、青色、緑色、及び赤色の色成分を含む合成カラー画像を形成する実施形態では、複合/混合カラーMPE閾値は、以下の式1を使用して定義することができる。
【数2】
式中、
Pbは、観察者の眼の瞳孔に入射する合成カラー画像の青色の色成分の光の総パワーであり、
Pgは、観察者の眼の瞳孔に入射する合成カラー画像の緑色の色成分の光の総パワーであり、
Prは、観察者の眼の瞳孔に入射する合成カラー画像の赤色の色成分の光の総パワーであり、
MPEb、MPEg、及びMPErは、それぞれの青色、緑色、及び赤色成分を形成するために使用される光の青色、緑色、及び赤色の波長のMPE閾値である。
【0089】
したがって、式1に定義された条件又は規則が満たされる場合、カラー画像の表示は眼の安全性の限界を満たす。
【0090】
本明細書に記載の色表示装置の場合、青色光、緑色光、及び赤色光のパワーにそれぞれ対応するカラー画像の値Pb、Pg、Prは、測定によって決定することができる。例えば、値Pb、Pg、Prは、表示装置から青色、緑色、及び赤色の光を受光するように構成された適切な瞳孔サイズを有する光パワーメータを使用して測定することができる。
【0091】
以下の説明では、式1の左辺の値、すなわち、
【数3】
は、各色/波長のMPE閾値に対するカラー画像の色成分の光パワーの合計に対応する。この値は、直視表示装置によって表示されるカラー画像を直接見るときのレーザ曝露の客観的測定値を表す。
【0092】
眼の安全性のためのカラー画像の調整
本開示は、上記の式1で定義された複合/混合カラーMPE閾値などの眼の安全要件を満たすために、受信されたカラー画像を処理することを提案する。特に、受信されたカラー画像を分析して、カラー画像の表示が眼の安全要件を満たすかどうかを判定する。眼の安全要件が満たされていないと判定された場合、受信されたカラー画像は、提案された画像処理方法を使用して処理される。
【0093】
実施形態では、画像処理方法は、人間の眼に対する色コンテンツの知覚を変更することなく、レーザ曝露を低減するために、より高い眼の安全性リスクを有するより短い波長から離して(例えば、純青色から離して)カラー画像の色コンテンツを「調整」又はさらには「最適化」することを含む。したがって、本開示の原理は、観察者によって知覚されるカラー画像の合成コンテンツを変更することなく、カラー画像の第2の色成分(例えば、青)のコンテンツ(色情報)の一部をカラー画像の第1の色成分(例えば、緑)のコンテンツ(色情報)に移動又はシフトすることである。したがって、(より短い波長/より高いリスク/エネルギーの)第2の色成分のコンテンツは、(より高い波長/より低いリスク/エネルギーの)第1の色成分のコンテンツに追加され、それとして表示される。
【0094】
実施形態では、「青」と呼ばれる特定の色に対応する色度/色空間内の第1の点(例えば、x、y座標)のカラー画像内の画像コンテンツは、調整された色は人間の眼には「青」と区別できない色度/色空間内の第2の点に調整されてもよい。例えば、色度空間内の第2の点は、色度空間内の第1の点と同じマクアダム楕円の境界内にある。同様に、色空間内の第2の点は、色空間内の第1の点と区別できない色を含む同じ識別楕円体の境界面内にある。したがって、「調整」後の色コンテンツの知覚は、人間の視聴者にとって同じままである。色度/色空間の第2の点は、例えば眼の安全性の条件(例えば、パワー又は放射照度限界)に基づいて、カラー画像の予め定義された規則を満たすように、マクアダム楕円/識別楕円体内から選択される。一般に、予め定義された規則は、より短い波長/より高いパワー光の寄与を低減するために、「青」の画像コンテンツの量を低減するように定義され、その結果、観察者の瞳孔に入射するカラー画像の緑色、青色、及び赤色の光の組み合わせが眼の安全要件を満たす。いくつかの実施形態では、予め定義された規則は、カラー画像の青色コンテンツ(例えば、青色の色成分の量、例えば強度など)の量を低減又は最小化することである。
【0095】
一実施形態では、画像コンテンツは、各色/波長に対するMPE閾値にわたって合計されたときに画像の色成分の光パワーを最小にするように、すなわち、式1の左辺の値に対して最小の結果(1未満)を達成するように調整又は調節される。別の実施形態では、画像コンテンツは、画像を表示するために消費される総電力を最小化するように調整される。これは、赤色、緑色、及び青色光源によって消費される総電力を最小化することに対応し得る。さらに別の実施形態では、画像コンテンツは、例えば、「純青色」から最も遠い楕円/楕円体内の点を選択することによって、青色コンテンツの量、例えば、強度又は放射照度などを最小化するように調整される。そのような規則の任意の適切な組み合わせを、用途要件に従って定義することができる。以下に説明するように、カラー画像の色又は色コンテンツを調整するための基礎を形成する様々な代替又は追加の規則が可能である。
【0096】
第2の色成分は、比較的短い波長/高い光子エネルギーを有する光の第2の色を含む。したがって、第2の色成分の第2の色は、(対応するレーザパワーでの)第1の色成分の第1の色の眼の安全性リスクと比較して、比較的高い眼の安全性リスク(例えば、第2の色のレーザ光への眼の曝露に関連付けられたリスク)を有する。すなわち、第2の色のパワー及び/又は放射照度の安全性限界は、第1の色のパワー及び/又は放射照度の安全性限界よりも低い。したがって、本開示の技術は、眼の安全要件を満たさない(例えば、レーザの眼の安全性条件に適合しない)カラー画像の色成分のコンテンツ(色情報)を、表示装置によって表示されたときに眼の安全性要件を満たすように調節することができる。同時に、実施形態では、カラー画像の調節は、観察者に対してカラー画像の外観を変化させない。
【0097】
例示的な方法
図5A及び図5Bは、上述したように、カラー画像が眼の安全性のために「調整」される、表示用のカラー画像を処理する例示的な方法のフロー図を示す。
【0098】
本方法は、図5Aのステップ505で開始する。ステップ510で、カラー画像が受信される。カラー画像は、第1の色成分及び第2の色成分を含む。例えば、第1の色成分は、緑色などの中エネルギー波長を有する第1の原色の光に対応することができ、第2の色成分は、青色などの最も高いエネルギー波長を有する第2の原色の光に対応することができる。実施形態では、カラー画像は、例えば、赤色などの最も低いエネルギー波長を有する第3の原色の光に対応することができる第3の色成分をさらに含むことができる。当業者には理解されるように、カラー画像は、所定の色空間(例えば、RGB色空間)に従ってカラー画像の複数の画素を表す画像データとして受信されてもよい。
【0099】
ステップ515において、本方法は、ホログラム計算の前に、本開示に従って、受信された「カラー」画像の処理が必要かどうかを判定する。例えば、ステップ515は、受信したカラー画像の色コンテンツ(すなわち、異なる合成/混合/二次色)を分析して、関連する表示装置によるカラー画像の表示が、式1で定義された複合/混合カラーMPE閾値などの眼の安全条件を満たすかどうか(例えば、システム較正に基づく)を判定することができる。代替的又は追加的に、ステップ515は、「純青色」又は「純青色」に近い画素、すなわち、緑色及び/又は赤色よりもはるかに高い青色画素値を有する画素の数及び/又は大きさを識別又は評価することを含み得る。当業者は、受け取った「カラー画像」のこの評価又は分析が様々な異なる技術を使用し得ることを理解するであろう。それにもかかわらず、ステップ515は任意選択であり、方法は、受信した画像の個々の構成要素、例えば領域、特徴又は二次/合成「色」の画素値を変更するなど、入力画像を変更することに単純に進むことができる。
【0100】
ステップ520において、本方法は、ステップ515の結果を考慮する。一方で、受信した画像がこの初期評価に「合格」した場合、受信したカラー画像のさらなる処理は必要とされず、方法はステップ560に進み、以下に説明するようにホログラム生成用のカラー画像を出力する。他方で、受信した画像がこの初期評価に「不合格」である場合、眼の安全要件を満たすために、受信したカラー画像の画像処理が、画像の1つ又は複数の構成要素/態様(例えば、二次色)を「調整」又は「最適化」するために必要又は必要であると見なされ、方法はステップ525に進む。
【0101】
この実施形態のステップ525で、方法は、所定の閾値を超えるカラー画像の「色」(すなわち、合成色又は二次色)を識別し、例えば、かなりの量の純青色又はほぼ純青色を含むと識別される。この実施形態では、カラー画像の特定の「色」を識別することへの言及は単なる例であり、当業者には理解されるように、カラー画像の他の態様又は構成要素は、本明細書に開示された方法による処理のために識別されてもよい。カラー画像の各「色」(すなわち、二次色/合成色)は、赤色、緑色、及び青色の色成分などの原色成分の組み合わせを含む。しかしながら、上述したように、大量の青色を含む「色」が全パワーに最も寄与する。したがって、一例では、所定の閾値は、赤色及び緑色に対する青色の量(すなわち、第2の色成分の原色)の閾値であってもよい。例えば、方法は、第2の(青色)色成分(例えば、青色画素値)の相対強度/階調が閾値を上回る色(例えば、青色画素値、緑色画素値及び赤色画素値を組み合わせたもの)を識別することができる。他の例では、カラー画像の色成分のパワー寄与は、各原色のそれぞれの閾値に対して評価されてもよい。次に、ステップ525で識別された色は、後述するように、色を調整又は調節するために処理されるが、識別されない画像の色は変化しないままである(すなわち、調節又は調整されていない)。当業者には理解されるように、いくつかの実施形態では、カラー画像のすべての色を処理することができ、その場合、ステップ525は省略される。いくつかの実施形態では、ホログラム計算のために最適化された画像を形成するために、カラー画像のすべての画素が処理される。
【0102】
ステップ530において、カラー画像の第1の色が、後続のステップ535から550における処理のために選択される。ここでも、本実施形態は、画像の異なる成分又は部分を処理する一例として、画像の異なる「色」を指す。本明細書に記載されるように、ステップ535から550の処理は、色の外観を観察者に変更することなく、第2の色成分(例えば、青色)の内容を第1の色成分(例えば、緑色)に追加するように機能する。したがって、コンテンツは、最も高いエネルギー/安全性リスク波長を有する原色の光に対応する第2の色成分から、より低いエネルギー/安全性リスク波長を有する一次色の光に対応する第1の色成分にシフトすると言える。したがって、カラー画像は、眼の安全性条件をより良く満たすように処理される。当業者には理解されるように、眼の安全性状態をより良好に満たすためにカラー画像の色を処理するための他の技術が可能であり企図される。
【0103】
ステップ535で、所定の色空間における選択された色についての第1及び第2の色成分の(色)コンテンツ値、典型的には強度値が、色度空間における色度値に変換される。例えば、RGB色空間におけるカラー画像の選択された色の(色)コンテンツ値は、色度空間における対応する色度値に変換されてもよい。実施形態では、カラー画像の一部分の各画素に対する赤色、緑色、及び青色の画素値を含む(色)コンテンツ値は、(二次元)色度空間内のx、y色度値に変換され得る。色空間と色度空間との間でコンテンツ値を変換するための技術は当業者に周知であり、したがって本明細書には記載されない。
【0104】
ステップ540で、カラー画像の選択された色の(元の)色度値と同等の(新しい/置き換えの)色度値が決定され、第2の色成分から第1の色成分にコンテンツが追加される。例えば、カラー画像の一部分の各画素の色のx、y色度値を使用して、同等のx、y色度値を決定することができる。同等のx、y色度値は、同等の色に対応し、新しい/置き換えのx、y色度値が、カラー画像の元のx、y色度値によって表される色と人間の観察者が区別できない色を表すことを意味する。重要なことに、等価x、y色度値は、再生色のパワー/エネルギーを低減し、したがって、レーザ光への観察者の曝露を低減する、及び/又はレーザの眼の安全性条件により良く適合するために、第2の色成分から第1の色成分へ色コンテンツの量を追加する。元のx、y色度値に等しい新しい/置き換えx、y色度値は、図6及び図7を参照して以下に説明するように、対応するマクアダム楕円を使用して決定することができる。
【0105】
ステップ545で、等価なx、y色度値は、元の色空間の新しい(色)コンテンツ値に変換し戻される。例えば、カラー画像の一部分の各画素に同等のx、y色度値は、RGB色空間のそれぞれの画素の対応する赤色、緑色、及び青色の画素値に変換することができる。
【0106】
ステップ550で、カラー画像の一部分の(少なくとも)第1及び第2成分の元の(色)コンテンツ値は、ステップ535において決定された新しい/置き換え(色)コンテンツ値によって置換される。したがって、第2の色成分(例えば、青色)からのコンテンツは、カラー画像の選択された色の第1の色成分(例えば、緑色)のコンテンツに追加される。
【0107】
ステップ555で、方法は、ステップ525において識別された考慮するより多くのカラー画像の色があるかどうかを判定する。より多くの考慮する色がある場合、方法はステップ530に戻り、処理のために次の識別されたカラー画像の色を選択する。次いで、方法は、次及び後続の識別されたカラー画像の色についてステップ535から550を繰り返す。ステップ555が、考慮するさらなる識別されたカラー画像の色がないと判定した場合、方法はステップ560に進む。いくつかの実施形態では、画像のあらゆる異なる合成/二次色は、図5に記載されるように処理される。いくつかの実施形態では、画像のあらゆる画素は、図5に記載されるように処理される。当業者は、実際には、同じマクアダム楕円内で二次色を「等価」色に変更するためにルックアップテーブルが実装され得ることを理解するであろう。
【0108】
ステップ560で、(少なくとも)第1及び第2の色成分を含むカラー画像は、図5Bに示される次の処理段階への入力のために「A」として出力される。したがって、カラー画像がステップ525から555に従って処理された場合、(元の)カラー画像の識別された色に対応する処理されたカラー画像は、第1の色成分に追加された(元の)カラー画像の第2の色成分からのコンテンツを含む。当業者には理解されるように、特定の(2次)色(例えば、ステップ525で識別される)に対応する元の受け取られたカラー画像のすべての画像画素の(色)コンテンツ値は、第2の色成分の低減された量(例えば、低減された強度/階調値)を有する新しい(色)コンテンツ値に置き換えられる。
【0109】
さらなる処理は、図5Bを参照して以下に説明するように、表示装置による(典型的には従来の)ホログラム生成及び表示を含む。
【0110】
ステップ570で、出力カラー画像の第1の色成分の第1ホログラムが決定され(例えば、緑色ホログラム)、出力カラー画像の第2の色成分の第2のホログラムが決定される(例えば青色ホログラム)。実施形態では、出力カラー画像の第3の色成分の第3のホログラムも決定される(例えば、赤色ホログラム)。例えば、第1、第2、及び任意選択の第3のホログラムのそれぞれは、任意の適切なホログラム計算アルゴリズムを使用して、画像の対応する色成分から計算することができる。
【0111】
ステップ580で、第1のホログラムと第2のホログラムとが実質的に同時に表示される。実施形態では、第3のホログラムも、第1及び第2のホログラムと実質的に同時に表示される。
【0112】
ステップ590で、(表示された)第1のホログラムの第1のホログラフィック再構成及び(表示された)第2のホログラムの第2のホログラフィック再構成が形成される。実施形態では、(表示された)第3のホログラムの第3のホログラフィック再構成も形成される。例えば、第1、第2、及び第3のホログラムは、空間光変調器などの表示装置によって、同時に、又は人間の眼の積分時間未満の期間に迅速に連続して表示され得る。さらに、表示された第1、第2、及び第3のホログラムは、それぞれの第1、第2、及び第3のホログラムの空間的に変調された光を形成するために、対応する波長の光で照明され得る。第1、第2、及び第3のホログラムを担持する空間的に変調された光は、観察者への光路に沿って伝播することができ、それぞれの第1、第2、及び第3のホログラムのそれぞれのホログラフィック再構成が観察者の眼の網膜上に形成される。ホログラムが表示され、したがってホログラフィック再構成が形成されるので、実質的に同時に(すなわち、人間の眼の積分時間未満の期間)、観察者は、第1/緑色、第2/青色及び第3/赤色の色成分を含む合成多色ホログラフィック再構成を知覚する。処理されたカラー画像の色度は元のカラー画像の色度とは異なるが、合成色ホログラフィック再構成の観察者の知覚は元のカラー画像と同じである。有利には、眼の安全性の限界をより良く満たすために、第2の色成分のパワー、したがって合成ホログラフィック再構成の全体的なパワーが低減される。方法はステップ595で終了する。
【0113】
当業者には理解されるように、図示の方法は、眼の安全性リスクを低減するために、カラー画像の第2の色成分(例えば、青色)から第1の色成分(例えば、緑色)にコンテンツを追加するための1つの技術のみを実装する。他の例では、色空間と色度空間との間のコンテンツ値の変換は不要であり得る。代わりに、色空間内のいわゆる「識別楕円体」をマクアダム楕円の代わりに使用することができ、識別楕円体内の色空間内の色値又は座標は、同等又は区別できない色を表す。
【0114】
図6は、2次元色度空間内にプロットされた例示的なマクアダム楕円を示す色度図である。具体的には、図6は、標準CIE 1931 x、y色度空間を示しており、図示の「馬蹄形」領域内の各点のx、y色度値/座標は、固有の色を表す。当業者には理解されるように、特定の色空間内の表示装置の色域は、典型的には馬蹄形状の三角形領域内で定義されるCIE 1931色度図に示される色のサブセットを含む。図6は、色度図にプロットされた複数のマクアダム楕円600を示す。各楕円600は、CIE x、y色度空間に中心点602を有し、楕円600の境界内の領域604を画定する。当業者によく知られているように、マクアダム楕円によって画定される領域内に入るすべての点によって色度空間に表される色は、人間の観察者にとってその中心点602によって表される色と区別できない。したがって、マクアダム楕円(の境界)内の色の色度値は、人間の観察者にとってその外観に関して「等価」であると言える。
【0115】
したがって、図5Aの方法では、ステップ540は、その中心点602に元のx、y色度値(例えば、「純青色」に対応する)を有するマクアダム楕円600を使用して、閾値を超えるカラー画像の識別された色について、同等のx、y色度値を決定することができる。例えば、(例えば、少なくとも1つの画像画素)「純青色」コンテンツを含む識別された色は、「純青色」に対応するx、y色度値を有する。当業者には理解されるように、「純青色」への言及は、表示装置の青色光源の光の波長に対応する原色「青色」を指す。いくつかの実施形態では、純青色への言及は、赤色及び緑色の比較的低い階調/画素値を意味する。したがって、「純青色」のコンテンツを表すカラー画像の識別された色は、カラー画像の「青色」の色成分の情報のみを含み、「緑色」又は「赤色」の色成分の有意な色のコンテンツを含まない。ステップ540は、色「純青色」のx、y色度値を含むマクアダム楕円を使用して、より短い波長/高光子エネルギーの青色光の量が減少した、よりアクアマリン色(すなわち、「純青色」が「青/緑色」にシフトされるように)の色の等価x、y色度値を決定することができる。あるいは、各色の等価なx、y色度値は、(例えば、マクアダム楕円を使用して)事前に決定され、ステップ540における後続の検索のためにルックアップテーブルに記憶されてもよい。さらに、色の新しい/置き換え(色)コンテンツ値が事前に決定され、ルックアップテーブルに記憶されてもよい。この場合、ステップ525から555において色ごとに実行される画像処理は、ルックアップテーブルを使用してカラー画像の各画素について元の画素値に対応する新しい/置き換え画素値を検索することによって画素ごとの画像処理に置き換えることができる。
【0116】
画素ごとの処理の場合、色ごとの処理の代わりに、カラー画像の画素の色成分/コンテンツ値を調整するためのより複雑な技術が、規則(例えば、眼の安全性及び/又は他の用途要件を満たすために)に対する1つ又は複数を満たすために実行されてもよい。例えば、カラー画像の画素はグループで処理されてもよく、各画素の(色)コンテンツ値は、周囲の画素の(色)コンテンツ値に応じて調整されてもよい。具体的には、周囲の画素は、人間の眼によって知覚されたときに画素の「色」の外観を変えることができる。したがって、(色)コンテンツ値は、いくつかの画素については調整又は調節され得るが、他の画素(例えば、同じ「色」のもの)については調整又は調節されなくてもよい。同様に、(色)コンテンツ値は、異なる量だけ同じ「色」を有する画素に対して調整又は調節することができる。周囲の画素に基づいて(例えば、観察者に対するカラー画像の外観が元の画像に対して「真」であるように)画素の(色)コンテンツ値のそのような調整又は調節を制御する予め定義された規則を定義することができると考えられる。
【0117】
実施例1
以下の表1に示す実施例1は、カラー画像の青色画像成分の光パワー、強度、又は放射照度が、上述の技術を使用してどのように低減され得るかを示す。この実施例では、カラー画像は、(Cd/mで測定された)所定の輝度を有する「純青色」色を有する単一の(仮想)画像画素を含む。具体的には、元の画像画素は、緑色光源からの緑色光又は赤色光源からの赤色光なしに、青色光源からの青色光を使用して表示される。
【0118】
図7は、画素の青色の色度を元のx,y色度値から等価な(新しい又は置き換え)x,y色度値にどのように調節、「調整」又は「シフト」又は「最適化」され得るかを示す。したがって、(色の)「シフトされた」画像画素は、青色及び(少なくとも)緑色を含み、これらは組み合わされて同じ強度で元の画素の色と同等の外観を有する。したがって、「シフトされた」画像画素は、青色光源からの青色光、緑色光源からの緑色光、及び任意選択で赤色光源からの赤色光を使用して表示される。
【表1】
【0119】
実施例は、青色光源によって提供される原色「青色」の3つの異なる波長、すなわち430nm、440nm、及び451nmを比較する。上記の技術によれば、「純青色」画像画素の色は、予め定義された規則(例えば、眼の安全性状態又は限界への適合に基づく規則)に基づいて、対応するマクアダム楕円内の異なる点によって表される二次「青色/緑色」又は「アクアマリン」の色にシフトされ、これにより、青の量が減少する(例えば、青色光の強度、パワー又は放射照度)。
【0120】
表1を参照すると、430nmの青色波長の場合、表1の430nmの左側の列について示すように、青色レーザパワーの1000ユニットを使用して元の画像画素が形成される。青色波長430nmの色は、図7の色度図の点703でx、y色度座標によって表される。青色波長が440nmの場合、表1の440nmの左側の列に示すように、青色レーザパワーの500ユニットを使用して元の画像画素が形成される。青色波長440nmの色は、図7の色度図の点702でx、y色度座標によって表される。最後に、青色波長が451nmの場合、表1の451nmの左側の列に示すように、青色レーザパワーの300ユニットを使用して元の画像画素が形成される。青色波長451nmの色は、図7の色度図の点701でx、y色度座標によって表される。「純青色」の色がそれぞれの場合に表されているので、点701、702及び703のそれぞれは、図7の色度空間に示されている色度空間700の左下の周辺境界に位置付けられている。
【0121】
記載された技術によれば、点701、702及び703のそれぞれに対応する画像画素の「純青色」色の色度は、図7に示すように、それぞれのマクアダム楕円内のそれぞれの異なる点701’、702’及び703’にシフトすることによって、青色の相対量、この場合は相対パワー、結果として相対強度を減少させるように変更又は調節される。具体的には、同等の色又は置き換え色は、低減された量の青色を含み、その結果、ある量の緑色(及び任意選択的に赤色)を含むので、新しい点701’、702’及び703’の各々は、色度図内の色度空間700の左下周辺境界から離れるようにシフトされる。
【0122】
再び表1を参照すると、430nmの青色波長について、新しい(カラーシフトされた)青色画像画素の色は、図7の色度図内の点703’でx、y色度座標によって表されるように、青色、緑色、及び赤色の色成分の組み合わせを有する。表1の430nmの右側の列に示されているように、青色成分を形成するために使用される青色レーザパワーは、1000パワーユニットから135パワーユニットに低減され、(追加された)緑色成分は、緑色レーザパワーの13パワーユニットを使用して形成され、(追加された)赤色成分は、赤色レーザパワーの0.07パワーユニットを使用して形成される。440nmの青色波長の場合、新しい青色画像画素の色は、図7の色度図の点702’でx、y色度座標によって表されるように、青色成分と緑色成分との組み合わせを有する。表1の440nmの右側の列に示されているように、青色成分を形成するために使用される青色レーザパワーは、500パワーユニットから105パワーユニットに低減され、(追加された)緑色成分は、緑色レーザパワーの9パワーユニットを使用して形成される。451nmの青色波長の場合、新しい青色画像画素の色は、図7の色度図の点701’でx、y色度座標によって表されるように、青色と緑色の組み合わせを有する。表1の440nmの右側の列に示されているように、青色成分を形成するために使用される青色レーザパワーは、300パワーユニットから105パワーユニットに低減され、(追加された)緑色成分は、緑色レーザパワーの12パワーユニットを使用して形成される。表1の451nmの右側の列に示されているように。
【0123】
この実施例では、色度空間内のシフトされた点701’、702’及び703’はそれぞれ、本明細書で説明されるように、1つ又は複数の予め定義された規則に基づいて、それぞれ元の点701、702、703に関連付けられたマクアダム楕円内の領域から選択される。通常、予め定義された規則は、カラー画像の光パワー又はカラー画像を形成するために表示装置によって消費される電力など、全体としてカラー画像の特性に関連する。実施例の青色画像画素はカラー画像全体であるため、予め定義された規則は、(i)複合/混合カラーMPE閾値(式1を参照)に従ってレーザパワーを最小化する、及び/又は(ii)画像を形成するための電力使用量を最小化する、のうちの1つ又は複数とすることができる。
【0124】
他の例では、カラー画像の「色」を表す色度空間内のシフトされた点(例えば、異なる色の複数の画像画素)は、本明細書で説明されるように、青色成分のコンテンツの一部分を緑色成分に移動する任意の予め定義された規則に基づいて、マクアダム楕円内から選択され得ることが理解されよう。他の予め定義された規則の例を以下に説明する。
【0125】
上述したように、各色について、色度空間内の、上述の同等のx、y色度値に対応する、シフトされた点は、1つ又は複数の予め定義された規則を使用して事前に決定されてもよく、受信されたカラー画像の処理中に検索のためルックアップテーブル内に記憶されてもよい。
【0126】
したがって、実施例は、色を表すx、y色度値を「純青色」から離してシフトさせることによって、(カラー画像に対応する)青色画像画素内の緑色の(相対的な)量を増加させると、青色光の(相対的な)強度、したがって画像表示に要求又は消費される青色光源(例えば青色レーザ)のパワーが大幅に減少することを示している。これにより、本明細書で説明するように、直視ホログラフィック投影システムにおけるレーザ光への曝露など、直視表示システムにおける(高エネルギー/眼の安全性リスク)青色光への観察者の眼の曝露が低減される。さらに、この例は、430nm、440nm及び451nmなどの様々な異なる波長の青色光源を使用して、眼の安全性の限界内でカラー画像を表示することが可能であることを示している。したがって、カラー画像を調整するための本明細書に記載の技術は、用途要件に従って異なる光源の選択を可能にすることによって、表示システムの設計の柔軟性を高めることを可能にする。特に、これらの技術は、より短い波長/より高いパワーの青色光源を使用して眼の安全性の限界を満たす可能性を広げるが、これは(未調整の)カラー画像の表示には可能でなかった(例えば、「純青色」の表示は明るすぎるため、眼に安全ではない)。
【0127】
カラー画像の色を調整するための規則
様々な可能な予め定義された規則を使用して、受信されたカラー画像の1つ又は複数の色の色度を「調整」、「調節」、又は「最適化」して、表示されたときに眼の安全性要件を満たす処理済みカラー画像を形成することができる。
【0128】
特に、実施形態では、処理されたカラー画像は、観察者の眼の瞳孔に入射するカラー画像の光の総光パワーが眼に安全であるように、式1で定義された複合/混合カラーMPE閾値を満たす必要がある。したがって、本規則は、複合/混合カラーMPE閾値に対応し得る。したがって、予め定義された規則は、処理されたカラー画像に対応するホログラムの組み合わされたホログラフィック再構成の(光)パワーの測定値に関連し得る。
【0129】
他の実施形態では、同様の規則は、処理されたカラー画像を形成するためにレーザ光源によって使用される総電力(又は電流)に関して表現されてもよい。したがって、最大電力閾値を予め定義された規則として使用することができる。したがって、予め定義された規則は、処理されたカラー画像に対応するホログラムのホログラフィック再構成を形成するために使用される電力(又は電流)の測定値に関連し得る。
【0130】
カラー画像全体に対する上記の規則の変形が可能である。例えば、別の予め定義された規則は、そのそれぞれのMPE閾値(例えば、MPEb)に対する各色(例えば、Pb)の曝露レベル(例えば、光パワー)の間の差を最大化することができる。別の予め定義された規則は、これらの差の合計を最大化することができる。
【0131】
上記の規則は、眼の安全性基準で定義されたパワー又は放射照度の限界と直接相関するように、アイボックス内に位置付けられた観察者の眼によって見られる処理されたカラー画像全体に関連付けられたパワーの測定値に関係する。カラー画像の各色の等価なx、y色度値の選択のための予め定義された規則を使用することができ、予め定義された規則は、カラー画像全体の光又は電力の上記閾値のうちの1つに基づく。例えば、予め定義された規則は、カラー画像の色の青色の量を最小化することであってもよい。これは、y値(すなわち、緑色の量を増加させる)を増加/最大化し、任意選択的に、x値(すなわち、赤色の量を増加させる)を増加させる、それぞれのマクアダム楕円からのカラー画像の色に対する等価x、y色度値を選択することに対応する。したがって、この予め定義された規則は、式1の複合/混合カラーMPE閾値における青色成分Pbの(相対)パワーを低減/最小化する効果を有するので、カラー画像全体の上記閾値のうちの第1のものに基づく。
【0132】
上記の規則の変形は、色内の青色成分の(相対的な)割合、色を形成するために使用される青色光の(相対的な)強度又は放射照度、及び色を形成するために青色光源によって使用される(相対的な)電力のうちの1つ又は複数を最小化することを含む。別の例では、予め定義された規則は、色の青色の量を低減する(最小化するのではなく)ことであってもよい。さらに別の例では、規則は、色の総パワー密度を最小化することであってもよい。
【0133】
実施形態では、カラー画像の各色の同等の色度値の選択のための予め定義された規則は、青色成分のコンテンツの一部分を緑色成分(及び任意選択で赤色成分)にシフトさせる効果を有する。
【0134】
色調整の変更
上述の「色調整」技術の変更では、画像領域内の異なる空間位置で同じ色を異なるように調整することが望ましい場合がある。具体的には、当技術分野で周知のように、人間の眼の網膜の異なる領域は、異なる感度を有する。したがって、色は角度コンテンツに応じて異なるように調整されてもよい。したがって、例えば、色についての同等のx、y色度値(又は色空間における色コンテンツ値)の異なるルックアップテーブルが、カラー画像内の異なる角度コンテンツに対して提供され得る。
【0135】
色「白色」を含むカラー画像の場合、標準的な発光体の白色点の定義が異なるため、色調整はより複雑になる可能性がある。したがって、カラー画像の色「白色」を処理するとき、色コンテンツ値(例えば、赤色、緑色、及び青色の色成分の値)は、表示装置の光源を使用して表示されたときに最良の眼の安全性(例えば、パワーを最小化する)を提供するが、環境条件下では依然として白色に見える規則を使用して決定され得る。
【0136】
その他の技術
単独で、又は上述のようにカラー画像を調整することに加えて使用することができる、カラー画像を表示するときに観察者の眼のレーザ曝露を最小化するための他の技術が可能であり、企図される。
【0137】
例えば、ホログラフィックプロジェクタ用の表示装置の光源は、青色レーザ光源に加えて、又はその代わりに、LEDなどの実質的に単色の青色光の別の適切な光源を備えてもよい。LED青色光に関連付けられた眼の安全性条件(例えば、パワー及び放射照度の限界)は、レーザ光の場合よりもはるかに高いため、この技術を使用して、(高エネルギー/眼の安全性リスクが高い)青色光への曝露を最小限に抑え、特に、直視表示装置における眼の安全性条件内にとどまることができる。当業者には理解されるように、本明細書に記載のカラー画像の青色成分の「色調整」は、特定の用途におけるLED青色光源の効果的な使用を可能にすることができる。
【0138】
追加的に、又は代替的に、画像処理技術を使用して、カラー画像の一部分(例えばサブ領域)の色の知覚を変更することができる。当業者は、カラー画像内の隣接する色が人間の観察者による各色の知覚に影響を及ぼし得るという原理に精通している。例えば、1つの領域における赤色/(近)赤外波長の使用は、依然として眼の赤色応答を刺激する可能性があり、これにより、カラー画像の青色領域付近の配置と結合された場合に、眼に青色のより高い輝度又はコントラストをだまして知覚させることができる。したがって、大量の青色コンテンツ(例えば、多数の「純青色」画像画素及び/又は高い青色強度を有する部分)のために眼の安全性条件を満たさないカラー画像の青色部分について、カラー画像内の1つ又は複数の隣接する部分の色(複数)は、青色部分がより青色に見えるように、より多くの赤色を含むように(又は、さらに、眼に見えないほぼ赤色を含むように)変更され得る。したがって、カラー画像の青色コンテンツの色度を維持しながら、青色光源のパワー及び/又は青色部分の強度を低減することが可能である。当業者には理解されるように、この技術は、図5の方法のステップ525から540を使用してカラー画像の識別された部分を処理するときに使用することができる。
【0139】
単独で、又は本明細書に記載の技術のいずれかと組み合わせて使用することができる別の技術では、表示装置は、レーザ光源のゲーティング、及び/又はレーザ光パルスのパルス幅変調(PWM)を実装することができる。そのようなゲーティング及び/又はPWMのタイミングは、電力を最小にしながら所望の輝度(例えば、カラー画像の1つ又は複数の色あるいは色成分について、)を達成するように選択することができる。
【0140】
図8は、本開示の実施形態によるシステムの概略ブロック図である。
【0141】
システムは、画像プロセッサ805を備える。画像プロセッサ805は、第1の色成分I、第2の色成分I、及び第3の色成分Iを含む表示用の目標カラー画像800を受信するように配置される。画像プロセッサ805は、例えば、第2の色成分からのコンテンツ(の一部)を第1の色成分に追加するために、本明細書に記載の技術のうちの1つ又は複数に従ってカラー画像800を処理するように配置される。したがって、画像プロセッサ805は、新しい第1の色成分I、新しい第2の色成分I、及び新しい第3の色成分Iを含む処理されたカラー画像を決定するように配置される。
【0142】
システムは、ホログラムプロセッサ810をさらに備える。ホログラムプロセッサ810は、画像プロセッサ805から処理されたカラー画像を受信し、例えば任意の適切なホログラム計算アルゴリズムを使用して、新しい第1、第2、及び第3の色成分のそれぞれについてホログラムを計算するように配置される。したがって、ホログラムプロセッサ810は、処理されたカラー画像の新しい第1の色成分I’を使用して第1のホログラム1を計算し、新しい第2の色成分I’を使用して第2のホログラム2を計算し、新しい第3の色成分I’を使用して第3のホログラム3を計算するように配置される。
【0143】
システムは、ディスプレイ及びタイミングコントローラ815をさらに備える。ディスプレイ及びタイミングコントローラ815は、第1のホログラム1、第2のホログラム2、及び第3のホログラム3をホログラムプロセッサ810から受信するように構成される。ディスプレイ及びタイミングコントローラ815は、予め定義されたタイミングシーケンスに従って、受信されたホログラム1、2、及び3をディスプレイ820上に符号化する(又は書き込む)ようにさらに配置される。図示の配置では、ディスプレイ820は、第1のホログラム1を表示するように配置された第1の空間光変調器SLM1と、第2のホログラム2を表示するように配置された第2の空間光変調器SLM2と、第3のホログラム3を表示するように配置された第3の空間光変調器SLM3とを備え、それにより、3つの個々の単色ホログラム1、2、及び3を同時に表示することができる。他の配置では、ディスプレイ820は、空間光変調器などの単一の表示装置を備えてもよく、3つの個々の単色ホログラムは、人間の眼の積分時間内の期間に順次表示される。さらに、ディスプレイ及びタイミングコントローラ815は、ホログラム1、2及び3の各々をその表示中に対応する単色の光で照明するように、予め定義されたタイミングシーケンスに従って光源825を制御するように配置される。具体的には、光源825は、第1の色成分の第1の色光で第1の空間光変調器SLM1を照明するように配置された第1の光源LD1と、第2の色成分の第2の色光で第2の空間光変調器SLM2を照明するように配置された第2の光源LD2と、第3の色成分の第3の色光で第3の空間光変調器SLM3を照明するように配置された第3の光源LD3とを含む。
【0144】
したがって、例えば、図4を参照して上述したように導波路瞳孔拡張器を介して観察者がディスプレイ820を直接見ると、目標カラー画像800と同じであると知覚される合成色ホログラフィック再構成が観察者の眼に形成される。具体的には、合成ホログラフィック再構成は、カラー画像800の第1の色成分として知覚される第1のホログラムの第1のホログラフィック再構成、カラー画像800の第2の色成分として知覚される第2のホログラムの第2のホログラフィック再構成、及びカラー画像800の第3の色成分として知覚される第3のホログラムの第3のホログラフィック再構成の組み合わせによって形成される。
【0145】
追加の特徴
実施形態は、単なる例として、電気的に活性化されるLCOS空間光変調器を指す。本開示の教示は、例えば、任意の電気的に作動されるSLM、光学的に作動されるSLM、デジタルマイクロミラー装置又は微小電気機械装置など、本開示によるコンピュータ生成ホログラムを表示することができる任意の空間光変調器で等しく実装することができる。
【0146】
いくつかの実施形態では、光源は、レーザダイオードなどのレーザである。本開示のホログラフィック投影システムを使用して、改良されたヘッドアップディスプレイ(HUD)又はヘッドマウントディスプレイを提供することができる。いくつかの実施形態では、HUDを提供するために車両に設置されたホログラフィック投影システムを備える車両が提供される。車両は、自動車、トラック、バン、貨物車、オートバイ、電車、飛行機、ボート、又は船などの自動車両であってもよい。
【0147】
本明細書に記載されるように、第1、第2、及び第3の単色ホログラフィック再構成を含む合成色ホログラフィック再構成が形成される。いくつかの実施形態では、空間的に分離された色「SSC」として知られる手法を使用して、カラーホログラフィック再構成を提供する。他の実施形態では、フレームシーケンシャルカラー「FSC」として知られる手法が使用される。
【0148】
SSCの方法は、3つの単色ホログラムに対して3つの空間的に分離された光変調画素のアレイを使用する。SSC法の利点は、3つすべてのホログラフィック再構成が同時に形成され得るため、画像が非常に明るくなり得ることである。しかしながら、空間の制限により、光変調画素の3つの空間的に分離された配列が共通のSLMに提供される場合、利用可能な光変調画素のサブセットのみが各色に使用されるため、各単色画像の品質は最適ではない。したがって、比較的低解像度のカラー画像が提供される。
【0149】
FSCの方法は、共通の空間光変調器のすべての画素を使用して、3つの単色ホログラムを順に表示することができる。単色再構成は、人間の観察者が3つの単色画像の統合から多色画像を知覚するような十分な速さで循環される(例えば、赤色、緑色、青色、赤色、緑色、青色などである。)。FSCの利点は、SLM全体が各色に使用されることである。これは、SLMのすべての画素が各カラー画像に使用されるため、生成される3つのカラー画像の品質が最適であることを意味する。しかしながら、FSC法の欠点は、各単色照明イベントはフレーム時間の1/3しか発生し得ないため、合成カラー画像の輝度がSSC法よりも約3倍低いことである。この欠点は、レーザをオーバードライブすることによって、又はより強力なレーザを使用することによって対処できる可能性があるが、これはより多くの電力を必要とし、その結果、コストが高くなり、システムのサイズが大きくなる。
【0150】
例は可視光でSLMを照明することを説明しているが、当業者は、例えば本明細書に開示されるように、光源及びSLMを等しく使用して赤外線又は紫外線を向けることができることを理解するであろう。例えば、当業者は、情報をユーザに提供する目的で赤外光及び紫外光を可視光に変換する技術を認識するであろう。例えば、本開示は、この目的のために蛍光体及び/又は量子ドット技術を使用することに及ぶ。
【0151】
いくつかの実施形態は、単なる例として2Dホログラフィック再構成を説明している。他の実施形態では、ホログラフィック再構成は3Dホログラフィック再構成である。すなわち、いくつかの実施形態では、各コンピュータ生成ホログラムは3Dホログラフィック再構成を形成する。
【0152】
本明細書に記載の方法及びプロセスは、コンピュータ可読媒体上で具現化することができる。「コンピュータ可読媒体」という用語は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、バッファメモリ、フラッシュメモリ、及びキャッシュメモリなど、データを一時的又は永続的に記憶するように配置された媒体を含む。「コンピュータ可読媒体」という用語はまた、命令が、1つ又は複数のプロセッサによって実行された場合に、機械に、本明細書に記載の方法論のうちの任意の1つ又は複数を全体的又は部分的に実行させるように、機械によって実行するための命令を記憶することができる任意の媒体、又は複数の媒体の組み合わせを含むと解釈されるべきである。
【0153】
「コンピュータ可読媒体」という用語は、クラウドベースのストレージシステムも包含する。「コンピュータ可読媒体」という用語は、ソリッドステートメモリチップ、光ディスク、磁気ディスク、又はそれらの任意の適切な組み合わせの例示的な形態の1つ又は複数の有形かつ非一時的なデータリポジトリ(例えば、データ量)を含むが、これらに限定されない。いくつかの例示的な実施形態では、実行のための命令は、キャリア媒体によって伝達されてもよい。このようなキャリア媒体としては、例えば、トランジェント媒体(例えば、命令を伝達する伝播信号)が挙げられる。
【0154】
添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変形を行うことができることは当業者には明らかであろう。本開示は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内のすべての修正及び変形を包含する。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
【外国語明細書】