IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メレクシス・テクノロジーズ・ソシエテ・アノニムの特許一覧

特開2023-86689ジョイスティック又はサムスティックを有するセンサアセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086689
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】ジョイスティック又はサムスティックを有するセンサアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/30 20060101AFI20230615BHJP
【FI】
G01B7/30 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022192020
(22)【出願日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】21213625
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516186407
【氏名又は名称】メレクシス・テクノロジーズ・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】MELEXIS TECHNOLOGIES SA
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】高橋 寛幸
(72)【発明者】
【氏名】吉谷 拓海
【テーマコード(参考)】
2F063
【Fターム(参考)】
2F063AA37
2F063BA28
2F063BB03
2F063DA01
2F063DA05
2F063DC08
2F063DD02
2F063DD06
2F063GA52
2F063KA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】レバー又はハンドル又はスティック、例えばジョイスティック又はサムスティックの向きを決定するためのセンサアセンブリを提供する。
【解決手段】センサアセンブリ(100)であって、磁場を生成するための磁気源(101)と、基準方位(112)を中心として手動で傾けることができるレバー又はスティック(102)と、上記磁場を測定するための磁気センサデバイス(130)と、を備え、磁気源(101)が、中央開口部を備え、スティックが、スティックが基準方位に配向されるときに磁場のポテンシャルエネルギーが最小となるように取り付けられた強磁性体(105)を備える、センサアセンブリ(100)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサアセンブリ(100、200、300、1100、1200、1300、1400)であって、
-基準方位(Z)を規定する中心軸を中心として円対称又は回転対称の磁場を生成するための磁気源(101、201、301、1101、1201、1301、1401)と、
-レバー又はスティック(102、202、302、1102、1202、1302、1402)であって、前記レバー又はスティックを前記基準方位(Z)に対して傾けることができるように取り付けられており、前記レバー又はスティックが、強磁性体(105;205;305;1105、1108;1205;1305;1405)を含むか、又は前記強磁性体に固定して接続されている、レバー又はスティック(102、202、302、1102、1202、1302、1402)と、
-前記磁場を示すセンサ信号を提供するように構成されている複数の磁気センサを有する基板を備える磁気センサデバイス(130、230、330、1130、1230、1330、1430)と、を備え、
前記磁気センサデバイスが、前記磁気源と前記強磁性体との間に位置し、
-前記レバー又はスティックが前記基準方位(Z)に配向されるときに、前記磁場のポテンシャルエネルギーが最小となるような方法で、前記レバー又はスティックが取り付けられている、センサアセンブリ(100、200、300、1100、1200、1300、1400)。
【請求項2】
前記磁気源が、軸方向に配向されたトラフ開口部を有する軸方向磁化磁石であるか、
又は、前記磁気源(640)が、平行に配向されており、間に開口部を形成するように配置されている複数の個々の2極磁石を含む、請求項1に記載のセンサアセンブリ(100、200、300、1100、1200、1300、1400)。
【請求項3】
前記磁気センサデバイスのセンサ素子が、前記磁気源の前記中心軸(112)上に実質的に位置し、軸方向磁場成分(Bz)がゼロに等しい軸方向位置(ZA)に、又は、前記軸方向位置から1.0mm未満、若しくは0.8mm未満、若しくは0.5mmの距離(ε)に位置するように、前記磁気センサデバイスが位置付けられている、請求項1~2のいずれか一項に記載のセンサアセンブリ(100、200、300、1100、1200、1300、1400)。
【請求項4】
前記強磁性体が、前記磁気源に面する空洞を有するか、
又は、前記強磁性体が、丸みを帯びた形状を有するか、若しくは、前記磁気源に向かって延在する強磁性突起を有する形状を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のセンサアセンブリ(100、200、300、1100、1200、1300、1400)。
【請求項5】
前記アセンブリが、前記磁気源に対する前記スティック及び前記強磁性体の可動取り付けを可能にするハウジング又は保持機構を更に備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のセンサアセンブリ(100、200、300、1100、1200、1300、1400)。
【請求項6】
前記強磁性体(105、205、305)が、前記磁気源(101、201、301)の方へ向けられた周縁フランジを有する形状を有し、
前記ハウジング又は保持機構が、前記周縁フランジを支持するための接触面部分(224)を更に備える、請求項5に記載のセンサアセンブリ(100、200、300)。
【請求項7】
前記強磁性体が、旋回点(pp)を中心に旋回可能である、請求項1~6のいずれか一項に記載のセンサアセンブリ(1100、1200、1300、1400)。
【請求項8】
前記ハウジング又は保持機構が、前記磁気源(101)に対して固定された第1のハウジング部分(121)と、前記磁気源(101)に対して可動な第2のハウジング部分(122)と、を備える、請求項5~7のいずれか一項に記載のセンサアセンブリ(100)。
【請求項9】
前記センサデバイスが、少なくとも2つの直交方向に配向された少なくとも2つの磁場成分(Bx、By、Bz)を決定し、かつこれら磁場成分に基づいて少なくとも1つの傾斜角(α)を決定するように構成されているか、
又は、前記センサデバイスが、3つの直交方向に配向された少なくとも3つの磁場成分(Bx、By、Bz)を決定し、かつこれら磁場成分に基づいて1つ又は2つの傾斜角(α、β)を決定するように構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のセンサアセンブリ。
【請求項10】
前記センサデバイスが、異なる方向に配向された2つ又は4つの磁場勾配(dBx/dx、dBy/dy、dBz/dx、dBz/dy)を決定し、かつこれら磁場勾配に基づいて1つ又は2つの傾斜角(α、β)を決定するように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のセンサアセンブリ。
【請求項11】
前記センサデバイスが、前記基準方位に平行な第1の方向(Z)において第1の磁場成分(Bz)を測定するための少なくとも1つの水平ホール素子を備え、前記第1の方向(Z)と直角をなす第2の方向に配向された第2の磁場成分(Bx)を測定するための少なくとも1つの垂直ホール素子を備え、任意選択的に、前記第1の方向(Z)及び前記第2の方向(X)と直角をなす第3の方向に配向された第3の磁場成分(By)を測定するための少なくとも1つの垂直ホール素子を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載のセンサアセンブリ。
【請求項12】
前記センサデバイスが、円形の形状を有する積算磁束コンセントレータ(IMC)、及び、前記IMCの周縁の近くに位置し、180°の角度間隔で配置された少なくとも2つの水平ホール素子(H1、H2)、又は、前記IMCの周縁の近くに位置し、複数の120°の角度間隔で配置された少なくとも3つの水平ホール素子、又は、前記IMCの周縁の近くに位置し、複数の90°の角度間隔で配置された少なくとも4つの水平ホール素子(H1、H2、H3、H4)を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載のセンサアセンブリ。
【請求項13】
前記複数の磁気センサが、第1のセンサ(S1)、第2のセンサ(S2)、第3のセンサ(S3)、及び第4のセンサ(S4)を含み、前記第1のセンサ(S1)が、第1のセンサ位置に位置し、前記第2のセンサ(S2)が、第2のセンサ位置に位置し、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサが、前記第1の方向(X)に配向された第1の仮想ライン上に位置付けられており、互いに第1の距離だけ離間しており、前記第1のセンサ(S1)が、前記第1の方向(X)に配向された第1の磁場成分(Bx1)、及び、前記第3の方向(Z)に配向された第2の磁場成分(Bz1)を測定するように構成されており、前記第2のセンサ(S2)が、前記第1の方向(X)に配向された第3の磁場成分(Bx2)、及び、前記第3の方向(Z)に配向された第4の磁場成分(Bz2)を測定するように構成されており、前記第3のセンサ(S3)が、第3のセンサ位置に位置し、前記第4のセンサ(S4)が、第4のセンサ位置に位置し、前記第3のセンサ及び前記第4のセンサが、前記第2の方向(Y)に配向された第2の仮想ライン上に位置付けられており、互いに第2の距離だけ離間しており、前記第3のセンサ(S3)が、前記第2の方向(Y)に配向された第5の磁場成分(By1)、及び、前記第3の方向(Z)に配向された第6の磁場成分(Bz3)を測定するように構成されており、前記第4のセンサ(S4)が、前記第1の方向(X)に配向された第7の磁場成分(By2)、及び、前記第3の方向(Z)に配向された第8の磁場成分(Bz4)を測定するように構成されている、請求項1~12のいずれか一項に記載のセンサアセンブリ。
【請求項14】
前記センサデバイスが、前記基板と直角をなして配向された第1の磁場成分(Bz)と、前記基板に平行に配向された第2の磁場成分(By)との比の関数を使用して、第1の角度(α)を決定するように構成されており、
任意選択的に、前記センサデバイスが、前記第1の磁場成分(Bz)と、前記基板に平行にかつ前記第2の磁場成分(By)と直角をなして配向された第3の磁場成分(Bx)との比の関数を使用して、第2の角度(β)を決定するように更に構成されている、請求項1~13のいずれか一項に記載のセンサアセンブリ。
【請求項15】
前記センサデバイスが、第1の磁場勾配(dBz/dx)と、第2の磁場勾配(dBy/dx)との比の逆正接関数を使用して、第1の角度(α)を決定するように構成されており、
任意選択的に、前記センサデバイスが、第3の磁場勾配(dBz/dy)と、第4の磁場勾配(dBy/dy)との比の逆正接関数を使用して、第2の角度(β)を決定するように構成されている、請求項1~14のいずれか一項に記載のセンサアセンブリ。
【請求項16】
前記センサデバイスが、前記少なくとも2つの磁場成分の平方和を決定し、この和又は前記和から導出される値を所定の閾値と比較するように更に構成されており、
前記和又は前記和から導出される値が前記閾値よりも大きい場合に、前記スティックが押され又は押圧されたと判定し、前記和又は前記和から導出される値が前記閾値よりも小さい場合に、前記スティックが解放されたと判定する、請求項9~15のいずれか一項に記載のセンサアセンブリ。
【請求項17】
前記センサデバイスが、前記3つの磁場成分(Bx、By、Bz)の平方和を決定し、この和又は前記和から導出される値を所定の閾値と比較するように更に構成されており、
前記和又は前記和から導出される値が前記閾値よりも大きい場合に、前記スティックが押され又は押圧されたと判定し、前記和又は前記和から導出される値が前記閾値よりも小さい場合に、前記スティックが解放されたと判定する、請求項9~15のいずれか一項に記載のセンサアセンブリ。
【請求項18】
前記磁気源が、8~12mmの範囲内の外径(Do)、2.0~5.0mmの範囲内の内径(Di)、及び約3.0~約5.0mmの高さ(H)を有するリング磁石である、請求項1~17のいずれか一項に記載のセンサアセンブリ(100、200、1000)。
【請求項19】
前記センサデバイス(130、230、1030)が、前記リング磁石から0.2mm~0.8mmの範囲内の距離(d5)に位置付けられている半導体基板を備える、請求項18に記載のセンサアセンブリ(100、200、1000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、磁気センサの分野に関し、より具体的には、旋回可能であるジョイスティック又はサムスティックの向きを測定するためのセンサアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
ジョイスティックアセンブリ又はサムスティックアセンブリは、例えば、北磁極及び南磁極を有する第1の磁石、並びに北磁極及び南磁極を有する第2の磁石、並びに第1の磁石と第2の磁石との間に位置するセンサデバイスを含むジョイスティックアセンブリを記載している特許文献1から、当該技術分野において知られている。シャフトの第1の端部が、シャフトの移動が第1の磁石に対する第2の磁石の移動をもたらすように、第2の磁石に結合されている。第2の磁石が第1の磁石に引き寄せられる結果として、シャフトに対する復元力がもたらされる。
【0003】
ジョイスティックアセンブリはまた、2021年6月18日に出願された特許文献2からも知られており、外乱場に対して非常にロバストである方法でジョイスティックの位置を決定するセンサシステム及び方法を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/179357号公報
【特許文献2】欧州特許出願第21180417.4号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
改善又は代替案の余地は常にある。
【0006】
本発明の実施形態の目的は、レバー又はハンドル又はスティック、例えばジョイスティック又はサムスティックの向きを決定するためのセンサアセンブリを提供することである。
【0007】
本発明の実施形態の目的は、1自由度で傾けることができるか又は旋回可能であるレバー又はハンドル又はスティックの向きを(例えば、単一の角度の形態で)決定するためのセンサアセンブリを提供することである。
【0008】
本発明の実施形態の目的は、2自由度で傾けることができるか又は旋回可能であるレバー又はハンドル又はスティックの向きを(例えば、2つの角度の形態で)決定するためのセンサアセンブリを提供することである。
【0009】
本発明の実施形態の目的は、1若しくは2自由度で傾けることができるか又は旋回可能であるレバー又はハンドル又はスティックの向きを(例えば、2つの角度の形態で)決定し、レバー又はハンドル又はスティックが押圧され(すなわち、押下され)又は解放されているか否かを決定するためのセンサアセンブリを提供することである。
【0010】
本発明の実施形態の目的は、スティックが解放されたときにスティックを中立位置に戻すことを可能にしながら、単一の磁石のみを有するセンサアセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
いくつかの実施形態において、アセンブリは、外乱場(「漂遊場」としても知られる)に対して非常にロバストである方法で上記向きを決定するために提供される。
【0012】
これら及び他の目的は、本発明の実施形態によって達成される。
【0013】
第1の態様によれば、本発明は、センサアセンブリであって、基準方位(例えば、Z)を規定する中心軸を中心として円対称又は回転対称(例えば、次数は3又は4又は5又は6又は7又は8)の磁場を生成するための磁気源と、例えば、ジョイスティック又はサムスティックなどのレバー又はスティックであって、レバー又はスティックを上記基準方位(本明細書においては「中立方位」又は「中立位置」としても参照される)に対して傾けることができるように取り付けられており、レバー又はスティックが、強磁性体を含むか、又は強磁性体に固定して接続されている、レバー又はスティックと、磁場(磁気源によって生成され、強磁性体によって変化させられる)を示すセンサ信号を提供するように構成されている複数の磁気センサ(例えば、例として3D磁気ピクセルとして配置構成されているか、又は、4つの2D磁気ピクセルとして配置構成されている複数の磁気素子)を有する基板を備える磁気センサデバイスと、を備え、磁気センサデバイスが、磁気源と強磁性体との間に位置し、レバー又はスティックが基準方位に配向されるときに、磁場のポテンシャルエネルギーが最小となるように、レバー又はスティックが取り付けられている、センサアセンブリを提供する。
【0014】
レバー又はスティックは、「ハンドル」として参照することもできる。
【0015】
磁石又は磁気源は、強磁性体に引力を及ぼす。アセンブリの構造に起因して、強磁性体が動くと、レバー又はスティックが傾く。本発明は、強磁性体が磁気源に最も近いときに、システムのエネルギーが最小であるという事実を利用しており、これは、スティック又はレバーが「基準方位」(「中立方位」又は「中立位置」としても参照される)に配向されていることに対応する。
【0016】
単純に言えば、このセンサアセンブリは、「中立位置まで引き戻す力を有するジョイスティックアセンブリ」として参照され得る。
【0017】
好ましい実施形態では、アセンブリは単一の磁石のみを含む。
【0018】
好ましくは、強磁性体が基準方位から離れて傾いているときに、ポテンシャルエネルギーが(例えば、厳密に単調に)増大する。
【0019】
任意選択的に、アセンブリは更に、「プッシュボタン」機能を提供してもよい。
【0020】
この位置センサアセンブリは、スティックがジョイスティックである場合は「ジョイスティックアセンブリ」、又はスティックがサムスティックである場合は「サムスティックアセンブリ」としても参照され得る。
【0021】
好ましい実施形態では、スティック又はレバーは細長い軸を有する。好ましくは、この軸は、磁石の中心軸と一致する。
【0022】
一実施形態において、磁気源は、軸方向に配向されたトラフ開口部を有する軸方向磁化磁石である。
【0023】
貫通開口部は、円形断面、又は、例えば正三角形、正方形、五角形、若しくは六角形、八角形など正多角形を有してもよい。
【0024】
磁石は、2極リング磁石であってもよい。
【0025】
一実施形態では、磁気源は、円筒形の貫通開口部を有する軸方向磁化リング磁石である。
【0026】
一実施形態において、磁気源は、平行に配向されており、間に開口部を形成するように配置されている複数の個々の2極磁石を含む。
【0027】
別の実施形態では、磁気源は、間に中心開口部を形成する、少なくとも2つ、又は少なくとも3つ、又は少なくとも4つの磁気素子を含む。
【0028】
一実施形態では、磁気源は、複数の棒磁石又はビーム状磁石、例えば、3つ又は4つ又は5つ又は6つ又は8つの2極磁石を含む。
【0029】
一実施形態において、磁気センサデバイスのセンサ素子が、磁気源の中心軸上に実質的に位置し、軸方向磁場成分(例えば、Bz)がゼロに等しい軸方向位置(例えば、zA)に、又は、軸方向位置から1.0mm未満、若しくは0.8mm未満、若しくは0.5mm未満の距離(例えば、ε)に位置するように、磁気センサデバイスが位置付けられている。
【0030】
このようなアセンブリの利点は、磁石が中立位置にあるとき、センサデバイスによって測定される磁場成分Bzがおよそゼロに等しいことである。これにより、比較的大きい傾斜範囲(少なくとも±15°、又は少なくとも±20°、又は少なくとも±25°)にわたって、良好な正確度で、単純な式を使用して、単純な方法で傾斜角度を計算することが可能になる。
【0031】
一実施形態では、強磁性体は、鉄を含むか、又は鉄から作成される。
【0032】
一実施形態では、強磁性体は、円対称性を有するか、又は対称軸に対して回転対称性を有する形状を有する。好ましい実施形態では、強磁性体のこの対称軸は、レバー又はスティックの長手方向軸と一致するが、それは絶対的に必要ではない。好ましくは、強磁性体の回転対称軸は、強磁性体の「中立位置」における磁石の回転対称軸と一致し、これらの軸は、強磁性体の「傾斜」位置における非ゼロ角を形成する。
【0033】
一実施形態では、強磁性体は、レバー又はスティックと直角をなす平面内で正方形断面を有する、プリズム形状又は立方体形状を有する。
【0034】
一実施形態では、強磁性体は、レバー又はスティックの軸に対して円対称形状を有する。
【0035】
一実施形態では、強磁性体は、全体的な円筒形状を有する。
【0036】
全体的な円筒形状は、更に、磁気源の方向に延在する、軸方向に延在するリム又はフランジを有してもよい。
【0037】
好ましくは、強磁性体の半径方向サイズ(例えば、外径、又は外周の対角線)は、磁気源の半径方向サイズ(例えば、外径、又は外周の対角線)より小さい。例えば、強磁性体が円筒形状を有するか、又は円筒形若しくは球形若しくは半球形の突起を含む場合、かつ磁石がリング磁石である場合、円筒形又は球形又は半球形状の外径は、好ましくは、リング磁石の外径よりも小さい。
【0038】
一実施形態では、強磁性体は、磁気源に面する空洞を有する。
【0039】
一実施形態では、強磁性体は、磁気源に向かって延在する強磁性突起を有する形状を有する。
【0040】
実施例を図11A図14に示す。「強磁性突起」は、より大きい物体、例えば円筒体又は立方体物体に接続され得、後者は、例えばプラスチック又はアルミニウムから作成された強磁性又は非強磁性のものである。強磁性体又は強磁性突起の形状は、好ましくは丸みを帯びた、例えば半球状であるが、それは絶対的に必要ではない。
【0041】
一実施形態では、レバー又はスティック、例えばジョイスティックは、1つの平面(1自由度の場合)、又は2つの直交する平面(2自由度の場合)において中立位置を中心に少なくとも-25°~+25°の範囲にわたる傾斜範囲を有する。
【0042】
一実施形態において、アセンブリは、磁気源に対するスティック及び強磁性体の可動取り付けを可能にするハウジング又は保持機構(例えば、1つ以上のブラケットを有する機構)を更に備える。
【0043】
一実施形態では、ハウジング又は保持機構は、突起を有し、強磁性体は、少なくとも部分的に上記突起を受容するための空洞又は開口部を有し、又はその逆であってもよい。
【0044】
突起は、プラスチック又はアルミニウムボスとして実装されてもよい。
【0045】
実施形態では、強磁性体は、ハウジング又は保持機構の一部に載るように構成されているリム又はフランジを含む凸形状を有する。
【0046】
一実施形態では、強磁性体は、凹形状を有する。
【0047】
一実施形態では、強磁性体は、磁気源に向けられた周縁フランジを有する形状を有し、ハウジング又は保持機構は、上記周縁フランジを支持するための接触面部分を更に備える。接触面は、リング状であってもよい。
【0048】
スティックがその基準方位にあるとき、強磁性体の周縁フランジは、複数の位置(例えば、周縁全体)において上記表面に接触することができ、旋回点が、磁気源に最も近くてもよい。スティックが基準方位に対して手動で傾けられているとき、強磁性体は、旋回点の軸方向位置が磁気源から更に離れているように、一方の側のみにおいて上記支持面に接触してもよい。
【0049】
又は、単純に言えば、強磁性体は、基準方位に配向されたときに磁気源に最も近く、周縁フランジ(又はリム)は、典型的には、この位置においてリング状平面上に載る。この位置では、位置エネルギーは最小である。
【0050】
強磁性体が基準位置に対して一定の角度にわたってタイトルを付けられるとき、強磁性体は、1つの位置においてリング状表面に接触するが、別の位置ではリング状表面に接触しない。この位置では、ポテンシャルエネルギーは最小ではない。
【0051】
一実施形態では、強磁性体は、(実在又は想像上の)旋回点を中心に旋回可能である。
【0052】
旋回点は、磁気源に対して固定位置を有してもよい。
【0053】
一実施形態では、旋回点は、例えば、磁石の基準軸に実質的に平行な方向で、磁気源に向かって、又は磁気源から離れて押圧され得る。
【0054】
一実施形態では、強磁性体は、強磁性ボールを収容するための空洞を有し、ハウジング又は保持機構は、上記ボールを支持し、したがって、上記強磁性体及びスティックも支持するための非平坦面(例えば、球形又は卵形又は放物状の表面)を更に備える。
【0055】
好ましくは、非平坦面は、磁気源と非平坦面との間の距離が、基準軸と非平坦面との交点において最小となるように成形される。又は、「単純な用語」で述べると、磁石に最も近い表面の「最低位置」は、基準方位(又は基準軸)がその表面と交差する位置である。
【0056】
一実施形態では、強磁性体は、球形又は半球形の形状又は突起を有する。
【0057】
一実施形態では、ハウジング又は保持機構は、磁気源に対して固定された第1のハウジング部分と、例えば、第1の軸方向位置と第2の軸方向位置との間で磁気源に対して可動な第2のハウジング部分と、を備える。
【0058】
センサデバイスは、旋回点が上記第1の軸方向位置にあるか又は第2の軸方向位置にあるかを判定するように更に構成されてもよい。
【0059】
一実施形態では、プッシュ検出は、スティックがその中立方位にあるときにのみ動作する必要がある。別の実施形態では、プッシュ検出は、スティックが傾けられたときにも動作する。
【0060】
一実施形態では、押し下げストロークは、0.2~2.0mmの範囲内、又は0.2~1.0mmの範囲内の値である。旋回点を軸方向に動かすために必要な軸力は、に依存し得る。
【0061】
一実施形態では、第2のハウジング部分は、ばね若しくは膜によって、及び/又は複数のガイドペンによって磁気源に対して可動である。
【0062】
ばねは、非磁性材料から作成された膜ばね又は円板ばね又は皿ばねであってもよい。このように、スティックは、このばね又は膜によって軸方向(Z)に押し戻される。対照的に、スティックを中立方向に押し戻す(回転させる)力は磁気的である。旋回点の任意の位置について、ポテンシャルエネルギー(回転に対する)は、中立方位において最も低い。
【0063】
センサデバイスは、旋回点が上記第1の高さ位置にあるか又は第2の高さ位置にあるかを(直接的又は間接的に)判定するように更に構成されてもよい。
【0064】
一実施形態において、センサデバイスは、3つの直交方向に配向された2つ又は3つの磁場成分(例えば、Bx、By、Bz)を決定し、これら磁場成分に基づいて1つ又は2つの傾斜角(例えば、α、β)を決定するように構成されている。角度の意味は、図1に示すようなもの、又は図15に示すようなものであってもよい。これらの磁場成分は、磁石の中心軸に位置付けられた単一のセンサで測定されてもよい。
【0065】
一実施形態において、センサデバイスは、少なくとも2つの直交方向に配向された少なくとも2つの磁場成分(例えば、Bx、By、Bz)を決定し、これら磁場成分に基づいて少なくとも1つの傾斜角(例えば、α)を決定するように構成されている。
【0066】
一実施形態において、センサデバイスは、3つの直交方向に配向された少なくとも3つの磁場成分(例えば、Bx、By、Bz)を決定し、これら磁場成分に基づいて1つ又は2つの傾斜角(例えば、α、β)を決定するように構成されている。
【0067】
一実施形態において、センサデバイスは、3つの直交方向に配向された2つ又は3つの磁場成分(例えば、Bx、By、Bz)を決定するように構成されているセンサ構造を有し、これら磁場成分に基づいて1つ又は2つの傾斜角(例えば、α、β)を決定するように構成されている処理回路を有する。
【0068】
一実施形態において、センサデバイスは、異なる方向に配向された少なくとも2つ又は4つの磁場勾配(例えば、dBx/dx、dBy/dy、dBz/dx、dBz/dy)を決定し、磁場勾配に基づいて1つ又は2つの傾斜角(例えば、α、β)を決定するように構成されている。
【0069】
一実施形態において、センサデバイスは、異なる方向に配向された少なくとも2つ又は4つの磁場勾配(例えば、dBx/dx、dBy/dy、dBz/dx、dBz/dy)を決定するように構成されているセンサ構造を有し、磁場勾配に基づいて1つ又は2つの傾斜角(例えば、α、β)を決定するように構成されている処理回路を有する。
【0070】
「軸方向位置を決定する」とは、スティック(例えば、ジョイスティック又はサムスティック)が押されているか否かを判定することを意味する。
【0071】
一実施形態において、センサデバイスは、基準方位に平行な第1の方向(例えば、Z)において第1の磁場成分(例えば、Bz)を測定するための少なくとも1つの水平ホール素子を備え、第1の方向(例えば、Z)と直角をなす第2の方向に配向された第2の磁場成分(例えば、Bx)を測定するための少なくとも1つの垂直ホール素子を備え、任意選択的に、第1の方向(例えば、Z)及び第2の方向(例えば、X)と直角をなす第3の方向に配向された第3の磁場成分(例えば、By)を測定するための少なくとも1つの垂直ホール素子を備える。
【0072】
一実施形態において、センサデバイスは、円形の形状を有する積算磁束コンセントレータ(IMC)、及び、IMCの周縁の近くに位置し、180°の角度間隔で配置された少なくとも2つの水平ホール素子、又は、IMCの周縁の近くに位置し、複数の120°の角度間隔で配置された少なくとも3つの水平ホール素子、又は、IMCの周縁の近くに位置し、複数の90°の角度間隔で配置された少なくとも4つの水平ホール素子を備える。
【0073】
一実施形態において、複数の磁気センサは、第1のセンサ(例えば、S1)、第2のセンサ(例えば、S2)、第3のセンサ(例えば、S3)、及び第4のセンサ(例えば、S4)を含み、第1のセンサが、第1のセンサ位置に位置し、第2のセンサが、第2のセンサ位置に位置し、第1のセンサ及び第2のセンサが、第1の方向(例えば、X)に配向された第1の仮想ライン上に位置付けられており、互いに第1の距離だけ離間しており、第1のセンサ(例えば、S1)が、第1の方向(例えば、X)に配向された第1の磁場成分(例えば、Bx1)、及び、第3の方向(例えば、Z)に配向された第2の磁場成分(例えば、Bz1)を測定するように構成されており、第2のセンサ(例えば、S2)が、第1の方向(例えば、X)に配向された第3の磁場成分(例えば、Bx2)、及び、第3の方向(例えば、Z)に配向された第4の磁場成分(例えば、Bz2)を測定するように構成されており、第3のセンサ(例えば、S3)が、第3のセンサ位置に位置し、第4のセンサ(例えば、S4)が、第4のセンサ位置に位置し、第3のセンサ及び第4のセンサが、第2の方向(Y)に配向された第2の仮想ライン上に位置付けられており、互いに第2の距離だけ離間しており、第3のセンサ(例えば、S3)が、第2の方向(Y)に配向された第5の磁場成分(例えば、By1)、及び、第3の方向(例えば、Z)に配向された第6の磁場成分(例えば、Bz3)を測定するように構成されており、第4のセンサ(S4)が、第1の方向(例えば、X)に配向された第7の磁場成分(例えば、By2)、及び、第3の方向(例えば、Z)に配向された第8の磁場成分(例えば、Bz4)を測定するように構成されている。
【0074】
このような構成を使用して、第1の磁場勾配(dBx/dx)は、第1の磁場成分(Bx1)と第3の磁場成分(Bx2)との間の差に基づいてもよく、第2の磁場勾配(dBz/dx)は、第2の磁場成分(Bz1)と第4の磁場成分(Bz2)との間の差に基づいてもよく、第3の磁場勾配(dBy/dy)は、第5の磁場成分(By1)と第7の磁場成分(By2)との間の差に基づいてもよく、第4の磁場勾配(dBz/dy)は、第6の磁場成分(Bz3)と第8の磁場成分(Bz4)との間の差に基づいてもよい。
【0075】
一実施形態では、センサデバイスは、外部プロセッサが方位を計算することを可能にするために、測定値を測定し、出力するように構成される。
【0076】
一実施形態では、センサデバイスは、センサ信号に基づいて、スティックの向きを示す第1の角度(α)及び任意選択的にまた第2の角度(β)を決定するように構成されている処理回路、例えば、プログラマブルプロセッサを更に備える。
【0077】
一実施形態では、センサデバイスは、第1の磁場成分(例えば、Bz)と第2の磁場成分(例えば、By)との比の関数(例えば、逆正接関数)を使用して第1の角度(例えば、α)を決定するように構成され、又は、センサデバイスは、第1の磁場勾配(例えば、dBz/dx)と第2の磁場勾配(例えば、dBy/dx)との比の逆正接関数を使用して第1の角度(例えば、α)を決定するように構成され、任意選択的に、センサデバイスは、第1の磁場成分(例えば、Bz)と第3の磁場成分(例えば、Bx)との比の関数(例えば、逆正接関数)を使用して第2の角度(例えば、β)を決定するように更に構成され、又はセンサデバイスは、第3の磁場勾配(例えば、dBz/dy)と第4の磁場勾配(例えば、dBy/dy)との比の逆正接関数を使用して第2の角度(例えば、β)を決定するように構成される。
【0078】
一実施形態では、センサデバイスは、第1の磁場成分(例えば、Bz)と第2の磁場成分(例えば、By)との比の関数を使用して第1の角度(例えば、α)を決定するように構成され、任意選択的に、センサデバイスは、第1の磁場成分(例えば、Bz)と第3の磁場成分(例えば、Bx)との比の関数を使用して第2の角度(例えば、β)を決定するように更に構成される。
【0079】
一実施形態では、センサデバイスは、第1の磁場勾配(例えば、dBz/dx)と第2の磁場勾配(例えば、dBy/dx)との比の逆正接関数を使用して第1の角度(例えば、α)を決定するように構成され、任意選択的に、センサデバイスは、第3の磁場勾配(例えば、dBz/dy)と第4の磁場勾配(例えば、dBy/dy)との比の逆正接関数を使用して第2の角度(例えば、β)を決定するように構成される。
【0080】
一実施形態において、センサデバイスは、少なくとも2つ又は少なくとも3つの磁場成分の平方和を決定し、この和又はこの和から導出される値(例えば、その和の平方根)を所定の閾値と比較するように更に構成されており、和又は和から導出される値が上記閾値よりも大きい場合に、スティックが押され又は押圧されたと判定し、和又は和から導出される値が上記閾値よりも小さい場合に、スティックが解放されたと判定するように更に構成されている。
【0081】
磁気源は、リング磁石であってもよい。リング磁石の高さは、内径以上であってもよい。リング磁石の高さは、好ましくは、リング磁石の外径よりも小さい。
【0082】
一実施形態では、磁気源は、8~12mmの範囲内の(例えば、約10mmに等しい)外径(例えば、Do)、2.0~5.0mmの範囲内の(例えば、約3mmに等しい)内径(例えば、Di)、及び約3.0~約5.0mmの(例えば、約4mmに等しい)高さ(例えば、H)を有するリング磁石である。
【0083】
一実施形態において、センサデバイスは、リング磁石から0.2mm~0.8mmの範囲内の距離(例えば、d5)に位置付けられている半導体基板を備える。
【0084】
本発明の特定の及び好ましい態様は、添付の独立請求項及び従属請求項に記載される。従属特許請求の範囲からの特徴は、単に特許請求の範囲に明示的に記載されるものではなく、必要に応じて独立請求項の特徴及び他の従属請求項の特徴と組み合わせてもよい。本発明のこれらの及び他の態様は、以降説明される実施形態から明らかになり、それらの実施形態を参照することによって解明される。
【図面の簡単な説明】
【0085】
図1】本発明の一実施形態によるジョイスティックアセンブリの例示的な実施例の概略図であり、このアセンブリは、単一のリング磁石、磁気センサデバイス、ハウジング内で可動な強磁性体、及び強磁性体に接続されたジョイスティックを有するハウジングを備え、このアセンブリのジョイスティックは、3自由度を有し(2つの直交する方向における傾斜、及び上下)、ジョイスティックの位置及び向きは、2つの角度及び高さ値によって表すことができる。
図2A】本発明の別の実施形態による、図1のジョイスティックアセンブリの変形例の単純化された概略図であり、これらの実施形態のジョイスティックは、基準軸を中心として傾けることができるが、垂直変位(押し又は解放)は検出されず、強磁性体は、磁気源に面する空洞を有する。
図2B】本発明の別の実施形態による、図1のジョイスティックアセンブリの変形例の単純化された概略図であり、これらの実施形態のジョイスティックは、基準軸を中心として傾けることができるが、垂直変位(押し又は解放)は検出されず、強磁性体は、磁気源に面する空洞を有する。
図2C】本発明の別の実施形態による、図1のジョイスティックアセンブリの変形例の単純化された概略図であり、これらの実施形態のジョイスティックは、基準軸を中心として傾けることができるが、垂直変位(押し又は解放)は検出されず、強磁性体は、磁気源に面する空洞を有する。
図3A図2A図2Cのジョイスティックアセンブリの変形例を示す図であり、強磁性体は、磁石に面する扁平又は平坦な底面を有し、これらの図はまた、底面の中心点の可能な位置も示し、この点は、図3Bの磁石に最も近い位置にある。
図3B図2A図2Cのジョイスティックアセンブリの変形例を示す図であり、強磁性体は、磁石に面する扁平又は平坦な底面を有し、これらの図はまた、底面の中心点の可能な位置も示し、この点は、図3Bの磁石に最も近い位置にある。
図3C図2A図2Cのジョイスティックアセンブリの変形例を示す図であり、強磁性体は、磁石に面する扁平又は平坦な底面を有し、これらの図はまた、底面の中心点の可能な位置も示し、この点は、図3Bの磁石に最も近い位置にある。
図4図1のリング磁石によって生成され得る磁束線の例示的な実施例を、リング磁石の中心軸を含む平面内で、強磁性体の不在下で示す断面図である。
図5】基準方位(Z)に配向された磁場成分Bzが基準軸Zに沿ってどのように変化するかの例示的な実施例を示す図であり、見てとれるように、Bzの値は、磁石からの所定の距離にある点「A」においてゼロである。
図6図6Aは本発明の実施形態において使用され得る、リング磁石に対する磁気センサデバイスの例示的な配置を示す図であり、図6Bはリング磁石の拡大図であり、図6Cは本発明の実施形態において使用され得るような、図4と同様の磁場を生成するための中央開口部を形成するように平行に配向され、配置された複数の棒磁石を示す図である。
図7】本発明の実施形態で使用され得るような、ジョイスティックの向きが磁場成分に基づいて決定される、1つの水平ホールセンサ及び4つの垂直ホールセンサを備えるセンサ構造を示す図である。
図8】ジョイスティックの向きが磁場成分に基づいて決定される、本発明の実施形態で使用され得るような、ディスク形状の積算磁気コンセントレータ(IMC)と、ディスクの周縁近くに配置され、複数の90°の角度間隔で配置された4つの水平ホール素子とを備えるセンサ構造を示す図である。
図9】ジョイスティックの向きが磁場勾配に基づいて決定される、本発明の実施形態で使用され得るような、各センサが積算磁束コンセントレータディスク及びディスクの反対側に配置された2つの水平ホール素子を備える、4つのセンサを有する半導体基板を示す図である。
図10】ジョイスティックの向きが磁場勾配に基づいて決定される、本発明の実施形態で使用され得るような、各センサが水平ホール素子及び1つ又は2つの垂直ホール素子を備える、4つのセンサを有する半導体基板を示す図である。
図11A】本発明の一実施形態による別のジョイスティックアセンブリの例を示す斜視図である。
図11B】本発明の一実施形態による別のジョイスティックアセンブリの例を示す側面図であり、このアセンブリは、図1のアセンブリの変形として、又は図2A図2Cのアセンブリの変形として、又は図3A図3Cのアセンブリの変形として考えることができ、図11A及び図11Bのアセンブリでは、ジョイスティックは、旋回点PPを中心に旋回することができる。
図12】アセンブリが、強磁性キューブと、キューブから延在する強磁性半球とを備える、図11Bのジョイスティックアセンブリの変形例として考えることができる、本発明の別の実施形態を示す図である。
図13】アセンブリが、円筒形スティックと、スティックの端部に取り付けられた強磁性半球とを備える、図12のジョイスティックアセンブリの変形例として考えることができる、本発明の別の実施形態を示す図である。
図14】アセンブリが、円筒形スティックと、スティックの端部に取り付けられた強磁性ボール又は全球とを備える、図13のジョイスティックアセンブリの変形例として考えることができる、本発明の別の実施形態を示す図である。
図15】線分[CP]のランダムな向きを、2つの角度α及びβによって表すことができる方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0086】
図面は、概略に過ぎず、非限定的である。図面では、いくつかの要素のサイズは例示目的のために誇張されており、原寸に比例して描画されていない場合がある。特許請求の範囲内の任意の参照符号は、それらの範囲を限定されるようには解釈されないものとする。異なる図面では、同じ又は同様の参照符号(例えば、同じモジュロ100)が、同じ又は類似の要素を指し得る。
【0087】
本発明は、特定の実施形態に関して、及び特定の図面を参照して説明されるが、本発明はそれに限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0088】
本明細書及び特許請求の範囲における第1、第2及び同様の用語は、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも、時間的、空間的、順位的、又は任意の他の方法のいずれかの様式で順序を説明するために使用されるわけではない。このように使用される用語は適切な状況下で交換可能であり、本明細書に記載される本発明の実施形態が、本明細書に記載又は図示される以外の順序で動作可能であることを理解されたい。
【0089】
本明細書及び特許請求の範囲における上部、下部などの用語は、説明のために使用され、必ずしも相対位置を説明するために使用されるわけではない。このように使用される用語は適切な状況下で交換可能であり、本明細書に記載される本発明の実施形態が、本明細書に記載又は図示される以外の向きで動作可能であることを理解されたい。
【0090】
特許請求の範囲内で使用される「備える」という用語は、その後列挙される手段に限定されるものと解釈されるべきではなく、他の要素又はステップを除外しないことに留意されたい。したがって、その用語は、参照されているような、述べられている特徴、整数値、ステップ又は構成要素が存在していることを指定しているものとして解釈されるべきであるが、1つ以上の他の特徴、整数値、ステップ若しくは構成要素又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。したがって、「手段AとBとを備えるデバイス」という表現の範囲は、構成要素A及びBのみからなるデバイスに限定されるべきではない。これは、本発明に関して、デバイスの関連する構成要素がA及びBのみであることを意味する。
【0091】
本明細書全体を通して「1つの実施形態」又は「一実施形態」というのは、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたる様々な箇所における「1つの実施形態では」又は「一実施形態では」という句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指しているわけではないが、指している場合もある。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、本開示から当業者に明らかであるように、1つ以上の実施形態において任意の好適な様式で組み合わせることができる。
【0092】
同様に、本発明の例示的な実施形態の説明において、本発明の様々な特徴が、様々な本発明の態様のうちの1つ以上の理解を助ける本開示の簡素化の目的で、単一の実施形態、図面、又はその説明においてともにグループ化されていることがあることは理解されたい。しかしながら、この開示方法は、特許請求されている本発明が、各請求項に明示的に記載されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、添付の特許請求の範囲が反映するように、本発明の態様は、単一の上記の開示されている実施形態の全ての特徴未満に存する。したがって、本明細書に添付の特許請求の範囲は、本明細書において詳細な説明に明示的に組み込まれ、各特許請求項は、本発明の別個の実施形態として独立している。
【0093】
更に、本明細書に記載のいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれるいくつかの他の特徴を含み、ただし他の特徴は含まないが、異なる実施形態の特徴の組み合わせが、当業者によって理解されるように、本発明の範囲内であり、異なる実施形態を形成することが意図される。例えば、添付の特許請求の範囲では、特許請求される実施形態のいずれかを任意の組み合わせで使用することができる。
【0094】
本明細書に提供される説明では、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、本発明の実施形態は、これらの特定の詳細なしに実施され得ることが理解される。他の例では、周知の方法、構造、及び技法は、この説明の理解を曖昧にしないために詳細には示されていない。
【0095】
本明細書では、別途明確に言及されない限り、「磁気センサデバイス」又は「センサデバイス」という用語は、好ましくは半導体基板に集積された少なくとも1つの「磁気センサ」又は少なくとも1つの「磁気センサ素子」を含むデバイスを指す。センサデバイスは、「チップ」とも呼ばれるパッケージに含まれてもよいが、それは絶対に必要ではない。
【0096】
本書において、「センサ素子」又は「磁気センサ素子」又は「磁気センサ」という用語は、例えば、磁気抵抗(MR)素子、GMR素子、XMR素子、水平ホールプレート、垂直ホールプレート、少なくとも1つ(ただし好ましくは4つ)の磁気抵抗素子を包含するホイートストンブリッジなど、又はこれらの組み合わせなどの、磁気量を測定することができる構成要素又は構成要素群、又はサブ回路、又は構造を指すことができる。
【0097】
本発明のある特定の実施形態では、「磁気センサ」又は「磁気センサ構造」という用語は、積算磁束コンセントレータとしても知られる1つ以上の積算磁気コンセントレータ(IMC)と、を備える構成を指してもよく、例えば、IMCの周縁近くに配置された1つ以上の水平ホール素子と、例えば、ディスク形状のIMCが、互いに180°離間された2つの水平ホール素子を有し、又は互いに90°離間された4つの水平ホール素子を有する。
【0098】
本明細書では、「磁場ベクトルの面内成分」及び「センサ平面内の磁場ベクトルの投影」という表現は同じ意味である。センサデバイスが半導体基板であるか又は半導体基板を含む場合、これはまた、「半導体平面に平行な磁場成分」をも意味する。これらの成分は、Bx、Byとラベル付けされ得る。
【0099】
本明細書において、「ベクトルの平面外成分」及び「ベクトルのZ成分」及び「センサ平面と直角をなす軸上のベクトルの投影」という表現は、同じ意味である。この成分は、Bzとラベル付けされ得る。
【0100】
本発明の実施形態は、典型的には、センサデバイスに対して固定され、X軸及びY軸が基板に対して平行であり、Z軸が基板と直角をなす3つの軸X、Y、Zを有する直交座標系を使用して説明される。
【0101】
本書では、「空間導関数」若しくは「導関数」又は「空間勾配」若しくは「勾配」という表現が同義語として使用される。本発明の文脈では、勾配は、典型的には、特定の方向に沿って離間した2つの位置で測定された2つの値の差として決定される。理論的には、勾配は、典型的には、2つの値の間の差を、センサ位置間の距離で除算した値として計算されるが、実際には、いずれにしても測定信号がスケーリングされる必要があるため、上記距離による除算は、しばしば省略される。
【0102】
本出願では、水平ホールプレートは、典型的には、H1、H2などによって参照され、これらの水平ホールプレートからの信号は、典型的には、h1、h2などによって参照され、垂直ホールプレートは、典型的には、V1、V2などによって参照され、これらの垂直ホールプレートからの信号は、典型的には、v1、v2などによって参照される。
【0103】
本発明の文脈において、式arctan(x/y)、atan2(x,y)、arccot(y/x)は等価であると考えられる。
【0104】
既知のジョイスティックアセンブリ(例えば、米国特許出願公開第2019/179357(A1)号に記載されているジョイスティックアセンブリ)は、2つの磁石と、これらの磁石の間に位置するセンサデバイスとを含み得る。他のジョイスティックアセンブリ、例えば、特許文献2に記載されるジョイスティックアセンブリは、センサデバイスに対して可動な単一の磁石を含む。
【0105】
本発明は、「スティック」として更に参照される、レバー又はハンドル又はスティック、例えば、ジョイスティック又はサムスティックの向きを測定するためのセンサアセンブリに関し、スティックは、基準方位に対して(例えば、手動で)傾けるか、又は基準方位から離れて旋回することができる。解放されると、スティックは自動的に基準方位に戻って配向される。いくつかの実施形態では、更に、スティックを押圧する(すなわち、押し下げる)ことができ、解放されると、スティックは自動的に(上方に)押し戻される。
【0106】
下記に記載されるセンサアセンブリにおいて、センサデバイスは、磁気源に対して静止位置を有する。ジョイスティックの位置及び/又は向きは、ジョイスティックに含まれるか又はジョイスティックに接続される可動強磁性体によって影響される磁場の特性を測定することによって決定され得る。
【0107】
図面を参照する。
【0108】
図1は、磁場を生成するための磁気源101を備えるセンサアセンブリ100を示す。図1の例では、磁気源は、「基準方位」を規定する、本明細書においては「基準軸」112としても参照される中心軸112を有する円筒形の貫通開口部を有する単一の軸方向磁化リング磁石101である。
【0109】
センサアセンブリ100は、レバー又はスティック102であって、レバー又はスティック102が基準方位(本明細書では「中立方位」又は「中立位置」としても参照される)を中心として(例えば、手動で)傾けることができるように、ハウジング又はホルダ構造に可動に取り付けられる、レバー又はスティック102(例えば、ジョイスティック又はサムスティック)を更に備える。以下では、説明を単純にするために、このレバー又はハンドル又はスティック102を更に「ジョイスティック」として参照する。
【0110】
センサアセンブリ100は、センサ信号を提供するように構成されている複数の磁気センサを有する半導体基板を備える磁気センサデバイス130を更に備える。センサデバイス130は、これらのセンサ信号、又はセンサ信号から導出される信号(例えば、デジタル化及び/又はスケーリング後のもの)を出力するように構成されてもよい。センサデバイスは、例えば、図1に示すような2つの角度値(φ、ψ)の形態で、又は図15に示すような2つの角度値(α、β)の形態で、ジョイスティックの向きを決定するように構成されている処理回路を更に備えてもよく、これらの角度値を出力するように構成されてもよい。任意選択的に、センサデバイスは、例えばブール値又は2進値の形態で、レバーが押されているか否か(すなわち解放されているか)を判定するように更に構成されてもよい。
【0111】
センサアセンブリ100は、ジョイスティックに固定的に接続された強磁性体105を更に備える。図1の例では、強磁性体105はナットの形状を有するが、それは絶対に必要ではなく、ドーナツ形状、円筒形状、トロイダル形状、ディスク形状などの他の形状も使用することができる。強磁性体105の目的は、ジョイスティックが移動(例えば、旋回及び/又は押圧)されたときに磁気源101によって生成される磁場の磁束線を曲げることである。
【0112】
センサデバイス130は、磁気源101と強磁性体105との間に位置付けられる。センサデバイス130は、好ましくは、半導体基板が、図4及び図5で更に論述されるように、強磁性体105の不在下で、基準軸Z上の磁場が実質的にゼロに等しい磁気源から所定の距離d5(図4及び図5を参照)に位置するように、磁気源101に対して配置される。又は言い換えれば、磁気センサデバイス130は、好ましくは、センサ素子の中心位置が、磁石101の中心軸112上に実質的に位置し、軸方向磁場成分Bzがゼロに等しい軸方向位置ZAに位置し、又はこの位置の近く、例えば、位置ZAからいずれかの方向に最大1.0mm逸脱するか、若しくは位置ZAから最大0.5mm逸脱して位置するように、位置付けられる。これは、本発明が機能するために絶対的に必要ではないが、スティックの角度方位を決定するための数式は、より単純であってもよく、及び/又は、式は、所与の範囲にわたって改善された正確度を提供してもよく、及び/又は当該範囲にわたって改善された線形性を提供してもよい。
【0113】
本発明の重要な態様によれば、強磁性体105を有するレバー又はスティック102は、スティック102が、例えばZ軸に平行である、磁気源によって画定される「基準方位」に配向されるときに磁場のポテンシャルエネルギーが最小となり、スティック102が基準方位112から離れて傾けられるときに増大するように取り付けられる。図1の実施形態では、ポテンシャルエネルギー厳密化は、傾斜角φ又ψが増大するにつれて厳密に単調に増大する。
【0114】
強磁性体105は、ハウジング又はホルダ構造の突起106の少なくとも一部分を受容するための空洞107を有し得る。存在する場合、空洞及び突起は、スティックがハウジング又は保持構造内の中心位置を維持するのを助けることができるが、これは、更に図示されるように、本発明が機能するために絶対的に必要とされない(例えば、図3B図11B図12図13を参照されたい)。
【0115】
本発明のいくつかの実施形態では、ジョイスティック102は、2つの直交方向に傾けることができ、センサデバイス130は、例えば、図7図10に記載されるように、磁場の測定に基づいて、スティックの向き(例えば、角度φ、ψによって示される)を決定する(例えば、計算する)ように構成される。
【0116】
図1の実施形態では、センサデバイス130は更に、スティック102が押圧されているか否か(すなわち、磁石に向かって押されているか否か)を判定することができるが、それは全ての実施形態において必要ではない。
【0117】
図1に示されるジョイスティックアセンブリ100では、ジョイスティック102は、基準軸112を中心として傾けることができるが、例えば基準方位にあるときに押圧することもできる。この目的のために、ハウジングは、互いに対して可動な2つのハウジング部分121、122を備えることができる。図1の例示的な実施例では、ハウジングは、第1のハウジング部分121と、Z方向(基準方位に平行)において第1のハウジング部分121に対して可動である第2のハウジング部分122とを備える。そのような動きは、例えば、第1のハウジング部分121に複数のガイドピン120(そのうちの2つが図1に見える)を提供することによって、及び、第2のハウジング部分122にこれらのガイドピンがスライドすることができる複数の開口部を提供することによって、又はその逆によって、任意の既知の方法で確立又は促進することができる。
【0118】
ハウジングは、第2のハウジング部分122を第1のハウジング部分121から押し離すように構成されているばね、例えば、膜ばね123又は円板ばね、又は螺旋ばねを更に備えてもよい。スティック102がその中立位置にあり(すなわち、基準方位に配向され)、手動で押圧されると、ばね123が圧縮され、強磁性体105が磁気源101に向かってより近くに移動される。センサデバイス130は、センサ信号を分析することによって、例えば、磁場成分Bx、By、Bzの平方和を計算し、この和を所定の閾値T1と比較し、和が所定の閾値T1よりも小さいか又は大きいかに応じて、スティックが押圧されているか否かを判定することによって、スティックが押圧されていることを検出することができる。しかし、例えば、実施態様に応じて、基準方位112に配向された磁場成分Bzの値が、正の値又は負の値であり得る所定の閾値T2よりも小さいか、又は大きいかを試験することによって、他の式も使用されてもよい。
【0119】
スティックの向きを決定し、2つの磁石を必要とせずに(コスト上の利点)「復元力」又は「押し戻し」力を提供することができることが、図1のセンサアセンブリ100の利点である。
【0120】
磁石101は、基準方位に対して1つの方向(例えば、正のZ軸の方向)のみにおいて磁化されることに留意されたい。例えば、磁気源は、その上部に北極を有してもよく、その下部に南極を有してもよい(又はその逆であってもよい)。しかしながら、スティック102は、強磁性体105上の磁気源101によって及ぼされる磁力によって、軸112に平行なその「基準方位」に自動的に引き戻される。
【0121】
レバー又はスティックは、任意の既知の方法で、例えば、本出願の時点でインターネット上で一般に入手可能であるML90378 Triaxis(登録商標)位置プロセッサ、改訂001、2018年11月28日に関するデータシートの6/66ページの図2に示されるように取り付けられてもよく、これは、「ボール及びソケットジョイスティック」構成(図の左側)を示し、いわゆる「ジンバルジョイスティック」構成(図の右側に)を示すが、他の取り付け技術も使用されてもよい。図1において、強磁性部分は、ハウジングの表面部分124によって載置又は支持される。この原理は、図2A図3Cに更に例示される。
【0122】
これらは本発明の主要な原理であり、これらの原理を使用した多くの異なる実施態様が可能であり、それらのいくつかは下記により詳細に説明される。
【0123】
図2A図2Cは、図1のセンサアセンブリ100の変形例として考えることができるセンサアセンブリ200の単純化された概略図である。センサアセンブリ200では、ジョイスティック202は、基準軸212を中心として(例えば、手動で)傾けることができるが、Z軸に沿って上下に動かすことはできず、したがって、ハウジング224は、互いに相対的に可動な2つのハウジング部分を備える必要はない。図2では、ハウジングの小さい部分のみが示されている。ハウジング部分224は強磁性ではなく、例えばプラスチック又はアルミニウムを含んでもよい。
【0124】
図2A図2Cの主な目的は、磁石201と強磁性体205との間にかかる引力が、スティック202を基準方位に戻そうとする力成分Fを有することを示すことである。事実、
図2Aでは、強磁性体205は、図2Aの左側のハウジング部分上に載置されるため、引力Fは、スティック202を基準軸212に向かって時計回り方向に回転させようとし、
図2Bでは、強磁性体は図2Bの左側及び右側の両方でハウジング部分222上に載置されるため、引力Fは基準方位212に平行なスティック202の方位を維持しようとし、
図2Cは、強磁性体205は、図2Cの右側のハウジング部分222上に載置されるため、引力Fは、スティック202を基準軸212に向かって反時計回り方向に回転させようとする。
【0125】
強磁性体205が磁石201に最も近いとき、すなわち図2Bにおいて、磁石201と強磁性体205の基準点AA(黒丸で示される)との間の距離d2が図2Bにおいて最小であるため、この磁気システムのポテンシャルエネルギーが最小であることが理解され得る。
【0126】
ジョイスティックアセンブリ200の強磁性体205が空洞207を有するにもかかわらず、ジョイスティックアセンブリ200のハウジング224は突起を有しない。空洞207は、ジョイスティックを中立位置から外方に傾けるときに突然の変位を回避するのに役立ち得る。
【0127】
図3A図3Cは、図2A図2Cのジョイスティックアセンブリ200の変形例として考えることができるジョイスティックアセンブリ300を示す。主な差は、強磁性体305が、磁石301に面し、空洞を有せず、突起を有しない扁平又は平坦な底面を有することである。
【0128】
これらの図はまた、ジョイスティック302が傾くときの、底面の中心に位置する点BBの可能な動きを示す。図3Bに示されるように、この位置は、最低ポテンシャルエネルギーに対応する、円錐形又は円錐状形状の底部にある。図3Aでは、点BBは、(図3Bの位置と比較して)磁石によって及ぼされる引力に対して「離れて動く」ため、円錐上のこの位置は、より高いポテンシャルエネルギーに対応する。また、非常に小さい角度φ及び/又はψについては、点BBの(円錐の先端での)動きが垂直方向上向きであり、これは、引き戻し力が非常に小さい傾斜角についてすでに存在することを示すことが理解され得る。
【0129】
ジョイスティック及び強磁性体は、例示の目的のために、すなわち、強磁性体305が底部部分324と接触する点「pp1」にあることをよりよく示すために図3A及び図3Cにおいてわずかに上方に変位して示されており、点BBは、(例えば)傾斜角φが、0°(図3Bの中立位置)から反時計回りに約15°(図3A)まで変化するときの円弧を表すことに留意されたい。同様に、図3Cにおいて、強磁性体305は底部部分324と接触する点「pp2」にあり、点BBは、傾斜角φが、0°(図3Bの中立位置)から反時計回りに約15°(図3C)まで変化するときの円弧を表す。当業者は、点BBが、傾斜角φ及びψに応じて、「円錐」内の任意の位置を取ってもよく、これらの位置のいずれかにおいて、スティックに磁力が加わって、スティックを「デフォルト位置」に引き戻す、すなわち、点BBを「円錐」の先端に向かって動かす(図3B)ことを理解するであろう。
【0130】
図4は、軸方向磁化リング磁石によって生成され得る磁束線の例示的な実施例を、リング磁石の中心軸Zを含む平面内で、任意の強磁性体の不在下で断面において示す。図4のリング磁石は、矩形断面を有するが、それは絶対に必要ではなく、例えば、縁部が丸みを帯びた矩形断面も機能する。
【0131】
図4の主な目的は、磁石によって生成される磁場が、磁石から所定の距離d5にある、中心軸Zに沿った所定の位置「zA」において、実質的にゼロに等しいことを示すことである。この所定の距離d5は、磁石の寸法(内径、外径、高さ)に依存するが、当業者にそのような位置が存在することが伝えられると、この位置は、シミュレーションによって、及び/又は、所与の寸法を有するリング磁石に関する単純な実験を行うことによって容易に見つけることができる。
【0132】
上述のように、本発明の好ましい実施形態では、センサデバイス(図4には示されない)は、好ましくは、センサデバイスのセンサ素子がこの所定の距離に位置するように、磁石から一定の距離に配置される。しかしながら、センサ素子がこの位置に正確に配置されていない場合でも、本発明は依然として機能することが指摘される。センサ素子がそれに近接し、例えば点zAから最大1.0mmの距離、又は最大0.5mmの距離にあれば十分であることが見出された。
【0133】
図5は、基準方位Zに配向された磁場成分Bzが、典型的には、軸方向磁化2極リング磁石の基準軸Zに沿って変化する方法の例示的な実施例を示す。これは定性的なグラフである。見てとれるように、z座標が、図4の点「zA」に対応するzAに等しいとき、Bzの値はゼロである。Z軸に沿った全ての点においてBy=0かつBx=0であるため、これは、磁石によって生成される磁場の大きさ|B|が、位置zAにおいてゼロであることを意味する。
【0134】
強磁性体(図4には示されていない)が磁気源付近に運ばれると、図4の力線が乱れる。本発明の原理によれば、強磁性体の位置、ひいてはスティックの向きは、センサ位置における「擾乱磁場」の特性を測定することによって決定することができる。
【0135】
図6Aは、磁石601に対する磁気センサデバイス630の例示的な配置を示す。この例では、センサデバイスは、リング磁石601の上部に直接取り付けられたパッケージ化半導体デバイスである。センサデバイス630は、好ましくは、Z軸上に、かつ、上記の位置zAに、又は強磁性体の不在下で磁石601によって生成される磁場|B|がゼロである位置から最大1.0mm又は最大0.5mmの距離に実質的に位置する「活性面」を有する半導体基板を備える。
【0136】
図6Bは、磁気源601が、外径Do、及び内径Di、及び高さHを有する単一のリング磁石であってもよいことを示している。外径Doは、8~12mmの範囲内の値、例えば、約10mmに等しい値であってもよい。内径Diは、2.0~5.0mmの範囲内の値、例えば、約3mmに等しい値であってもよい。高さHは、約3.0~約5.0mmの値、例えば、約4mmに等しい値であってもよい。Do=約10mm、Di=約3mm、H=約4mmのリング磁石のd5の値は、約0.2mm~約0.6mmの範囲内の値、例えば、約0.4mmに等しい値であってもよい。上述のように、磁石によって生成される磁場がゼロであるZ軸に沿った位置が存在することが当業者に伝えられると、当業者は、他の寸法を有する磁石についてこの位置を容易に見つけることができる。
【0137】
しかし、本発明は、リング磁石を備えるアセンブリに限定されず、図4のものと同様に見える(すなわち、ある軸を中心として円形対称であり、磁石又は磁気構造から所定の距離においてゼロである)力線を伴う2極磁場を生成する同じ効果を、例えば、図6Cに示すように、複数の棒磁石を含む磁気構造640によって得ることもできる。棒磁石は、平行に配向され、同じ方向(この例では上向き)を向いており、図4のものと同様の力線を伴う磁場を生成するための中心開口部を形成するように配置されている。これらの棒磁石によって生じる磁場は、100%円形対称ではないが、100%円形対称性は絶対に必要ではない。この例から、円筒状の切り欠きを有する立方体磁石、又はプリズム形状の磁石(例えば六角形、八角形などの多角形の断面を有する)及び中央の切り欠き(円形、正方形、六角形など)を有する立方体磁石もまた、機能することが理解され得る。
【0138】
図7は、本明細書に記載されるセンサアセンブリのセンサデバイス130、230、330、630、1130、1230、1330、1430に使用され得る磁気センサ構造を示す。この磁気センサ構造は、3D磁気ピクセルとして参照することができる。このセンサ構造は、1つの水平ホール素子H1と、4つの垂直ホールセンサV1~V4とを備え、これらの全ては、好ましくは、半導体基板内に集積される。この磁気センサ構造750は、3つの直交する磁場成分、すなわち、半導体基板に対して平行であるBx及びBy、並びに、半導体基板と直角をなすBzを測定することが可能である。水平ホール素子H1は、Bzに比例する信号h1を提供する。ホール素子から得られる信号はいずれにしてもスケーリングする必要があるため、スケーリング係数が方程式から省略されている場合、これは、Bz=h1として表すことができる。
【0139】
X方向に配向された感度が最も高い軸を有する垂直ホール素子V1及びV3から得られる信号v1及びv3を加算又は平均化し、Bxの値を得ることができる。ここでも、スケーリング係数が省略されている場合、Bx=(v1+v3)とすることができる。信号v1及びv3の和は、垂直ホール素子がわずかに変位している(ただし、典型的には約25~45μmのみである)にもかかわらず、水平ホール素子H1の位置における磁場の信号Bxに対応する。事実、Bx=v1(この場合、V3は省略され得る)、又はBx=v3(この場合、V1は省略され得る)とすることもできるが、和(v1+v3)はH1と同じ位置における値Bxをより良く示している。
【0140】
同様に、Y方向に配向された感度が最も高い軸を有する垂直ホール素子V2及びV4から得られる信号v2及びv4を加算又は平均して、Byの値を得ることができる。スケーリング係数が省略されている場合、By=(v2+v4)とすることができる。事実、By=v2(この場合、V4は省略され得る)、又はBy=v4(この場合、V2は省略され得る)とすることもできるが、和(v2+v4)はH1と同じ位置における値Byをより良く示し、改善された信号対雑音比(SNR)を有する。
【0141】
したがって、図7の変形例(図示せず)では、構造はH1、V1及びV2のみを有し、センサ素子V3及びV4は省略される。このような構造はまた、H1の位置において実質的に3つの直交磁場成分Bx、By、Bzを測定することができ、改善された信号対雑音比(SNR)を有する。
【0142】
水平ホール素子は、典型的には、約15μm×15μm~約25μm×25μmの面積、例えば、約20μm×20μmに等しい面積を有する。垂直ホール素子は、水平ホール素子H1に近接して配置される。図7の構造全体は、好ましくは、60μm×60μmよりも小さい。
【0143】
スティックの向きは、3Dピクセルによって測定される磁場の値Bx、By、Bzから導出され得る。例えば、角度α及びβ(図15に定義されるような)は、これらの値のうちの2つ以上の比から、例えば、比の逆正接として導出され得る。
【0144】
図7のセンサ構造700が、スティックがZ方向にも可動であるセンサアセンブリ、例えば、図1のセンサアセンブリに使用される場合、センサデバイス130は、3つの磁場成分Bx、By、Byの平方和を計算し、この平方和を所定の閾値と比較することによって、スティックが押圧されているか(否か)を判定することができる。平方和が閾値よりも大きい場合、これは、スティックが押圧されていることを意味する。平方和が所定の閾値より小さい場合、これは、スティックが解放されていることを意味し、又は、逆であってもよい。事実、図4及び図5に戻って参照すると、「押圧状態」と「解放状態」とにおいて平方和が明らかに異なることを確認するために、センサデバイスがZ軸上の、Bzの値がわずかに正である位置にあることを確認するのではなく、解放状態におけるBzの値がゼロ又はわずかに負であることを確認することが好ましい場合がある。これは、「押圧状態」と「解放状態」とを明確に区別するのに役立つ場合がある。所定の閾値は、例えば、設計中、又は較正手順中に決定されてもよく、ハードコーディングされてもよく、又はセンサデバイスの不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ又はeeprom)内に書き込まれてもよい。
【0145】
スティックが中立位置に配向されたとき、すなわち、Bx=0かつBy=0のときにのみ押圧され得る実施形態において、センサデバイスは、Bzの値を所定の閾値と単純に比較することができ、Bzの値が閾値よりも大きい場合、スティックが押圧されたと判断し、Bzの値が閾値よりも低い場合、スティックが解放されたと判断し、又はその逆であってもよい。
【0146】
図8は、本明細書に記載されるセンサアセンブリのセンサデバイス130、230、330、630、1130、1230、1330、1430に使用され得る別の磁気センサ構造850を示す。この構造850はまた、3D磁気ピクセルとして参照することもでき、同じ機能を提供する、図7の構造750の変形例として考えることができる。図8のセンサ構造850は、円板形状の積算磁気コンセントレータ(IMC)と、ディスクの周縁近くに配置され、複数の90°の角度間隔で配置された4つの水平ホール素子H1~H4とを備える。スケーリング係数が(上述のように)式から省略されている場合、Bxの値は(h2-h1)として計算することができ、Byの値は(h4-h3)として計算することができ、Bzの値は(h1+h2)又は(h3+h4)又は(h1+h2+h3+h4)として計算することができる。後者の値は、改善された信号対雑音比(SNR)を有する。スティックの向きは、例えば、図15に示される式を使用して、好ましくはこれらの値のうちの2つ以上の比の関数として、例えば、比の逆正接関数として計算される、3Dピクセルによって測定される磁場の値Bx、By、Bzから導出することができる。スティックが中立位置に配向されたとき、すなわち、Bx=0かつBy=0のときにのみ押圧され得る実施形態において、センサデバイスは、Bzの値を所定の閾値と単純に比較することができ、Bzの値が閾値よりも大きい場合、スティックが押圧されたと判断し、Bzの値が閾値よりも低い場合、スティックが解放されたと判断し、又はその逆であってもよい。
【0147】
図7及び図8は、1つ以上の磁場成分に基づいてスティックの向き、及び任意選択的に、スティックの軸方向位置(すなわち、スティックが押圧されているか又は解放されているか)を決定するために使用することができるセンサ構造750、850の2つの例を示すが、本発明はこれに限定されず、次に説明するように、磁場勾配に基づいて上記向きを決定することも可能である。
【0148】
図9は、本明細書に記載されるセンサアセンブリのセンサデバイス130、230、330、630、1130、1230、1330、1430に使用され得る別の磁気センサ構造950を示す。このセンサ構造950は、好ましくは、半導体基板内に集積され、4つのセンサS1~S4を備え、各センサは、2D磁気ピクセルであり、統合磁気コンセントレータ(IMC)ディスクと、上記ディスクの対向する両側に配置され、構造の中心を通過するX軸又はY軸のいずれかに位置する2つの水平ホール素子とを備える。
【0149】
センサS1は、Bx1及びBz1を計算するための2つの信号h1及びh2を提供する。
【0150】
センサS2は、Bx2及びBz2を計算するための2つの信号h3及びh4を提供する。
【0151】
センサS3は、By3及びBz3を計算するための2つの信号h5及びh6を提供する。
【0152】
センサS4は、By4及びBz4を計算するための2つの信号h7及びh8を提供する。
【0153】
信号Bx1、Bz1、Bx2、Bz2から、2つの磁場勾配を決定することができる、すなわち、以下のとおりである。
gr1=(dBx/dx)=Bx2-Bx1=(h4-h3)-(h2-h1)
gr2=(dBz/dx)=Bz2-Bz1=(h4+h3)-(h2+h1)
【0154】
信号By3、Bz3、By4、Bz4から、2つの磁場勾配を決定することができる、すなわち、以下のとおりである。
gr3=(dBy/dy)=By4-By3=(h8-h7)-(h6-h5)
gr4=(dBz/dy)=Bz4-Bz3=(h8+h7)-(h6+h5)
【0155】
ジョイスティックの向きは、例えば、例として以下の式のセットを使用して、これらの勾配の関数として決定されてもよい。
【数1】
式中、K1及びK2は、設計、シミュレーション、又は較正によって決定され得る所定の定数であり、この値は、ハードコーディングされてもよく、又は、センサデバイスの不揮発性メモリ(例えば、フラッシュ又はeeprom)に記憶されてもよい。或いは、ジョイスティックの向きは、以下の式のセットを使用して決定されてもよい。
【数2】
式中、K1、K2、K3及びK4は、設計、シミュレーション、又は較正によって決定され得る所定の定数であり、この値は、ハードコーディングされてもよく、又は、センサデバイスの不揮発性メモリに記憶されてもよい。
【0156】
結果として生じる角度値は、外乱場とはほとんど無関係であるため、(磁場成分とは対照的に)磁場勾配によってスティックの向きを決定することが有利である。
【0157】
任意選択的に、このように計算されたα及びβの値は、例えば、複数の基準点を含むルックアップテーブルを使用し、これらの基準点間を補間(例えば、線形補間)することによって、例えば、線形性を改善するために、当該技術分野において既知であるように、後処理ユニットにおいて更に処理される。
【0158】
図10は、本明細書に記載されるセンサアセンブリのセンサデバイス130、230、330、630、1130、1230、1330、1430に使用され得る別の磁気センサ構造1050を示す。このセンサ構造1050は、同じ機能を提供する、図9の構造950の変形例として考えることができる。図10のセンサ構造は、4つのセンサS1~S4を備え、各センサは、2D磁気ピクセルであり、水平ホール素子及び水平ホール素子に隣接して位置する1つの垂直ホール素子、又は、1つの水平ホール素子及び水平ホール素子の対向する両側に位置する2つの垂直ホール素子を含む。ここでも、センサS1は(Bx1、Bz1)を測定することができ、センサS2は(Bx2、Bz2)を測定することができ、センサS3は(By3、Bz3)を測定することができ、センサS4は(By4、Bz4)を測定することができる。これらの8つの磁場値から、図10に示される式を使用して、gr1、gr2、gr3、gr4の4つの勾配値を導出することができる。そして、これら4つの勾配値から、好ましくは勾配値の比の関数として、例えば磁場勾配の比の逆正接関数として、2つの角度値を計算することができる。
【0159】
したがって、図10の変形例では、各センサS1~S4は2つの垂直ホール素子を含み、これらの垂直ホール素子からの信号が合計又は平均化される。例えば、値Bx1は、(v1+v1’)として計算することができ、Bx2=(v2+v2’)、By3=(v3+v3’)、及びBz4=(v4+v4’)として計算することができる。これらの値から、以下の式を使用して、4つの勾配を決定することができる。
gr1=(dBx/dx)=Bx2-Bx1=(v2+v2’)-(v1+v1’)
gr2=(dBz/dx)=Bz2-Bz1=(h2-h1)
gr3=(dBx/dy)=Bx4-Bx3=(v4+v4’)-(v3+v3’)
gr4=(dBz/dy)=Bz4-Bz3=(h4-h3)
これらの4つの勾配から、例えば、図10に示されるのと同じ式を使用して、2つの角度α及びβを計算することができる。
【0160】
明示的には示されていない変形例では、センサデバイスは、中心位置に位置する図7又は図8に示されるような3D磁気ピクセルを有し、更に、図9又は図10に示されるような4つの2D磁気ピクセルS1~S4を有する。これにより、2つの独立した方法でスティックの角度位置を計算することができ、したがって、エラー検出機能を提供する。また、これにより、スティックが押圧されているか(否か)を検出することができ、外乱場に対して非常に感度の低い方法で角度を決定することができる。また、2Dピクセルの各々が、1つのみではなく2つの垂直ホール素子を有する場合、センサ信号の信号対雑音比(SNR)を改善することによって、正確度を更に向上させることができる。
【0161】
図11A及び図11Bは、別のジョイスティックアセンブリ1100の例を、それぞれ斜視図及び側面図において示す。このアセンブリ1100は、図1のアセンブリ100の変形として、又は図2A図2Cのアセンブリ200の変形として考えることができる。
【0162】
図11Aのアセンブリ1100と図1のアセンブリ100との間の主な差は、(i)アセンブリ1100において、ジョイスティック1102は、スティックの一部分がハウジングと接触するのではなく、(静止した)旋回点PPを中心として旋回することができ、(ii)強磁性体1105は、スティックに接続され、その下側に(磁石1101に面して)延在する、丸みを帯びていてもよく又は半球状であってもよい、強磁性突起を有することである。突起は、図11の例では円筒体であるより大きい強磁性体と一体的に形成されてもよいが、本発明は、円筒体が非強磁性である場合、例えばプラスチック又はアルミニウム製である場合にも機能する。この場合、丸みを帯びた物体又は半球形の物体1108は、実際には強磁性体である。これは、例えば、接着剤を使用する、又はねじ山を使用するなど、任意の既知の方法でスティック及び/又は非強磁性体に接続されてもよい。
【0163】
図11にも例示されるが、図の数を制限するために別個に示されない変形例では、円筒体1105(強磁性又は非強磁性であってもよい)は、円筒体とは別個の強磁性ボール1108を収容するための空洞1107を有し、ハウジングは、ボールが半導体デバイスに接触することを防止するための支持曲面1109を更に備える。ボールは、曲面1109上を転がるように配置されてもよい。
【0164】
図11にも例示されるが、図の数を制限するために別個に示されない変形例では、円筒体1105(強磁性又は非強磁性であってもよい)は、強磁性ボール1108を収容するための空洞1107を有するが、ボール1108は円筒体に接着される。この場合、支持曲面1109は必要とされない。
【0165】
図1図3Cについて上述される他の大部分又は全てもまた、ここで適用可能である。例えば、磁気源1101は、リング磁石(例えば、軸方向磁化2極リング磁石)、又は複数の棒磁石を含む構造(例えば、図6Cに示される)であってもよい。磁気源は、「基準軸」Zとしても参照される「基準方位」1012を規定し、センサデバイス1130は、磁気源1101と強磁性体1108との間に位置付けられ、強磁性体1108が基準軸上に位置する場合、かつ/又は、スティック1102が基準方位に配向されている場合、磁気システムのポテンシャルエネルギーは最小である。スティック1102がこの中立位置から離れるように手動で傾けられる場合、磁気源1101は、それを基準軸に向かって戻そうとする強磁性体1108に力を及ぼす。
【0166】
センサデバイス1130は、例えば、図7図10に記載されるような、1つ以上の磁場成分及び/又は磁場勾配を測定することが可能な複数のセンサを有し、それらからスティック1102の向きを計算することができる。センサデバイスは、測定値又はそこから導出される値、例えば勾配、又は平方和、又は比、又は比の関数を出力するために設けられてもよい。センサデバイスは、例えば、図15に示される意味を有するα及びβ、又は図1に示される意味を有するφ及びψなどの、1つ又は2つの角度を決定、例えば計算するように構成されている処理回路を備えてもよい。
【0167】
更に、スティック1102が垂直方向に可動である場合、例えば、アセンブリが、磁石1101に対して静止している第1のハウジング部分と、磁石1101に対して可動な第2のハウジング部分とを有するハウジング(図11Aには示されていない)を備えるとき、スティック(例えば、ジョイスティック又はサムスティック)が押圧されているか否かを判定することも可能である。そのようなハウジングは、例えば図1と同様に、膜ばね及び複数のガイドペンを更に備えてもよい。ハウジングは、スティックが旋回することを可能にするための「ボール及びソケット」ジョイントを更に備えてもよい。
【0168】
図12は、図11Bのジョイスティックアセンブリ1100の変形例として考えることができる別のジョイスティックアセンブリ1200を示しており、それらの間の主な差は、アセンブリ1200が、強磁性又は非強磁性キューブ1220と、キューブから延在する、又はキューブに取り付けられた(例えば、接着又はねじ山を使用して)、又はキューブと一体的に形成された強磁性ボール1205又は半球又は丸みを帯びた物体とを備えることである。後者の場合、キューブ1205及びボール1205又は球又は部分球(例えば、半球)又は丸みを帯びた物体は、強磁性材料を含む。図12に示す例では、キューブは、ボール又は部分球の直径よりも大きい対角線を有する断面(Z軸と直角をなす平面内)を有するが、それは絶対的に必要ではない。
【0169】
図12の変形例(図示せず)では、(Z軸と直角をなす平面内の)断面内の立方体1220の対角線は、ボール1205の直径よりも小さい。
【0170】
図12の更に別の変形例では、強磁性又は非強磁性体1220は、スティック1202よりも大きい又は小さい直径を有するシリンダである。
【0171】
図13は、図12のジョイスティックアセンブリ1200の別の変形例として考えることができる別のジョイスティックアセンブリ1300を示し、このアセンブリは、円筒形スティックと、スティックの端部に取り付けられている半球の形態の強磁性体とを備えるが、キューブを有しない。図13の実施形態では、スティック1302の直径に実質的に等しい直径としての半球。
【0172】
図14は、図13の変形例であるジョイスティックアセンブリ1400を示し、強磁性体1405が、例えば、接着剤又はねじ山などを使用してスティックに直接接続されるボールであるか、又は全体的に球形の形状を有する。ボールの直径は、円筒形スティック1402の断面直径よりも大きく、例えば少なくとも20%大きい。スティック1402は、強磁性材料を含んでもよいが、好ましくはプラスチック材料から作成される。
【0173】
図15は、基準点「C」から始まり、仮想球上の点「P」において終端する一定長のベクトル[CP]の向きを規定する方法を示す。ベクトル[CP]は示されていないが、ベクトル[CP]の平面XZへの第1の直交投影[CA]が示されており、ベクトル[CP]の平面YZへの第2の直交投影[CB]が示されている。点C及びPを通過する軸Aの向きは、正X軸とベクトル[CA]との間の第1の角度α、及び正Y軸とベクトル[CB]との間の第2の角度βによって規定することもできる。一例として、磁石軸が「中立位置」としても参照される、平面XYと直角をなして(すなわち、半導体基板と直角をなして)配向されている場合、α=90°かつβ=90°である。これは、上述したφ=0°かつψ=0°である向きに対応する。
以下の式が適用される。
Bx=B*cos(α)*sin(β) [1]
By=B*cos(β)*sin(α) [2]
Bz=B*sin(β)*sin(α) [3]
[3]及び[1]の除算により、以下が得られる。
(Bz/Bx)=tan(α) [4]
(Bz/By)=tan(β) [5]
式中、BxはX方向に配向された磁場成分であり、ByはY方向に配向された磁場成分であり、BzはZ方向に配向された磁場成分であり、Bは磁場ベクトルの大きさである。
【0174】
好ましい実施形態では、角度α及びβは、90°±30°の範囲内、又は90°±40°の範囲内、又は90°±50°の範囲内、又は90°±60°の範囲内の値である。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2022-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
一実施形態において、磁気源は、軸方向に配向された貫通開口部を有する軸方向磁化磁石である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
強磁性体が基準位置に対して一定の角度にわたって傾いているとき、強磁性体は、1つの位置においてリング状表面に接触するが、別の位置ではリング状表面に接触しない。この位置では、ポテンシャルエネルギーは最小ではない。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
一実施形態では、押し下げストロークは、0.2~2.0mmの範囲内、又は0.2~1.0mmの範囲内の値である
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0144
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0144】
図7のセンサ構造700が、スティックがZ方向にも可動であるセンサアセンブリ、例えば、図1のセンサアセンブリに使用される場合、センサデバイス130は、3つの磁場成分Bx、By、Bの平方和を計算し、この平方和を所定の閾値と比較することによって、スティックが押圧されているか(否か)を判定することができる。平方和が閾値よりも大きい場合、これは、スティックが押圧されていることを意味する。平方和が所定の閾値より小さい場合、これは、スティックが解放されていることを意味し、又は、逆であってもよい。事実、図4及び図5に戻って参照すると、「押圧状態」と「解放状態」とにおいて平方和が明らかに異なることを確認するために、センサデバイスがZ軸上の、Bzの値がわずかに正である位置にあることを確認するのではなく、解放状態におけるBzの値がゼロ又はわずかに負であることを確認することが好ましい場合がある。これは、「押圧状態」と「解放状態」とを明確に区別するのに役立つ場合がある。所定の閾値は、例えば、設計中、又は較正手順中に決定されてもよく、ハードコーディングされてもよく、又はセンサデバイスの不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ又はeeprom)内に書き込まれてもよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0171
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0171】
図13は、図12のジョイスティックアセンブリ1200の別の変形例として考えることができる別のジョイスティックアセンブリ1300を示し、このアセンブリは、円筒形スティックと、スティックの端部に取り付けられている半球の形態の強磁性体とを備えるが、キューブを有しない。図13の実施形態では、半球は、スティック1302の直径に実質的に等しい直径を有する
【外国語明細書】