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特開2023-86695傾斜を可変的に調整するための手段を有する可動部材を備える時計ムーブメント
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086695
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】傾斜を可変的に調整するための手段を有する可動部材を備える時計ムーブメント
(51)【国際特許分類】
   G04B 17/28 20060101AFI20230615BHJP
   G04B 17/00 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
G04B17/28
G04B17/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022194777
(22)【出願日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】21213626.1
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】594082512
【氏名又は名称】ブランパン・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】アントニー・メンブレ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】傾斜を可変的に調整するための手段を有する可動部材を備える時計ムーブメントを提供する。
【解決手段】地板は、少なくとも部分的に可動な部材を支持するように構成され、部材は少なくとも部分的に第2の面に沿って延在し、部材は、部材を作動可能な起動歯部を含む。ムーブメントは、地板に対する部材の傾斜を可変的に調整するための可変調整手段30を備え、それによって第2の面は、地板の第1の面と変数値の角度を形成し、可変調整手段30は、地板上に配置される伝え車または第1の伝え車31を含み、伝え車または第1の伝え車31は、部材の起動歯部と協働し、伝え車または第1の伝え車31は、駆動手段によって地板に対して回転可能であり、伝え車または第1の伝え車31は凹形の周辺面を有し、凹形の周辺面は、地板に対する部材の配向に関わらず、部材が作動するように、部材の歯部とかみ合うために実質的に球形の歯部32を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に第1の面に延在する地板(33)を備える時計ムーブメントであって、前記地板(33)は前記ムーブメントの別の部分、少なくとも部分的に可動な部材を支持するように構成され、前記部材は少なくとも部分的に第2の面に沿って延在し、前記ムーブメントは、輪列(98)を有する駆動手段を含み、前記部材は、前記部材を作動可能な起動歯部を含む時計ムーブメントであって、前記ムーブメントは、前記地板(33)に対する前記部材の傾斜を可変的に調整するための可変調整手段(30、40、130)を備え、それによって前記第2の面は、前記地板(33)の前記第1の面と変数値の角度を形成し、前記可変調整手段(30、40、130)は、伝え車(80、131)または第1の伝え車(31)を含み、前記伝え車(80、131)または第1の伝え車(31)は前記地板上(33)に配置され、前記部材の前記起動歯部と協働し、前記伝え車(80、131)または第1の伝え車(31)は、前記駆動手段によって前記地板(33)に対して回転可能であり、前記伝え車(80、131)または第1の伝え車(31)は凹形の周辺面を有し、前記凹形の周辺面は、前記部材の前記歯部とかみ合うために実質的に球形の歯部(32、81、181)を有し、それによって、前記地板(33)に対する前記部材の配向に関わらず、前記部材を作動させることを特徴とする、時計ムーブメント。
【請求項2】
請求項1に記載の時計ムーブメントであって、前記伝え車(80、131)または第1の伝え車(31)は二重の歯切り歯を含み、前記二重の歯切り歯は凹形の球形歯切りと、直線状の歯切りとの組み合わせであることを特徴とする、時計ムーブメント。
【請求項3】
請求項1に記載のムーブメントであって、前記部材(1、10、100)の傾斜を可変的に調整するための前記可変調整手段(30、40、130)は、キャリッジ(2、55、102)を備え、前記キャリッジ(2、55、102)内には、前記部材(1、10、100)が配置されることを特徴とする、ムーブメント。
【請求項4】
請求項3に記載のムーブメントであって、前記キャリッジ(55)は外部歯部(77)を備え、前記外部歯部(77)は前記部材を起動するための歯部として機能し、前記外部歯部(77)は、前記調速部材(10)の傾斜に関わらず、前記第1の伝え車(80)と係合するように配置され、前記第1の伝え車(80)は、前記キャリッジ(55)の回転を作動させることを特徴とする、ムーブメント。
【請求項5】
請求項1に記載のムーブメントであって、前記可変調整手段(30、130)は、前記部材上に配置される放射状の歯車(29、129)を含み、前記放射状の歯車(29、129)は周辺歯部(34、182)を有し、前記周辺歯部(34、182)は前記部材を起動するための歯部として機能し、前記第1の伝え車(31、131)の前記凹形の周辺面の前記実質的に球形の歯部(32、181)は、前記部材(1、100)の傾斜に関わらず、前記放射状の歯車(29、129)と係合することを特徴とする、ムーブメント。
【請求項6】
請求項5に記載のムーブメントであって、前記伝え車(131)または第1の伝え車(31)の前記歯部(32、181)と協働するために、前記周辺歯部(34、182)は傾斜することを特徴とする、ムーブメント。
【請求項7】
請求項1に記載のムーブメントであって、前記駆動手段は、前記伝え車(80、131)または第1の伝え車(31)の歯車輪(20)を含み、前記歯車輪(20)は、前記伝え車(80、131)または第1の伝え車(31)の直線状の歯領域(23、131)と協働することを特徴とする、ムーブメント。
【請求項8】
請求項1に記載のムーブメントであって、前記可変調整手段は、前記地板(33)上に配置される第2の伝え車(35)を備え、前記第2の伝え車(35)は、前記駆動手段によって前記地板(33)に対して回転可能であり、前記第2の伝え車(35)は、実質的に球形の歯部(37)を有する凹形の周辺面を有し、前記キャリッジ(2)は外部歯部(36)を備え、前記外部歯部(36)は、前記部材の傾斜に関わらず、前記第2の伝え車(35)と係合するように配置され、前記第2の伝え車(35)は前記キャリッジ(2)の回転を抑えることを特徴とする、ムーブメント。
【請求項9】
請求項8に記載のムーブメントであって、前記第2の伝え車(35)は、凹形の球形歯切りと直線状の歯切りとを組み合わせた二重の歯切り歯を備えることを特徴とする、ムーブメント。
【請求項10】
請求項8に記載のムーブメントであって、前記駆動手段は、内部歯部(24)を有するクラウン(38)を含み、前記内部歯部(24)は、前記第2の伝え車(35)とかみ合うように、前記部材の周りに配置されることを特徴とする、ムーブメント。
【請求項11】
請求項8に記載の時計ムーブメントであって、前記2つの伝え車(31、35)は前記駆動手段によって同時に作動されることを特徴とする、時計ムーブメント。
【請求項12】
請求項1に記載の時計ムーブメントであって、前記地板(33)に対する前記部材の前記傾斜角度は、0°から90°、好ましくは0°から45°、またはまさに0°から30°の範囲にあることを特徴とする、時計ムーブメント。
【請求項13】
請求項1に記載の時計ムーブメントであって、前記部材の傾斜を可変的に調整するための前記可変調整手段(30、40、130)は、傾斜ブリッジ(7、57、107)を備え、前記傾斜ブリッジ(7、57、107)上に前記部材が取り付けられ、前記傾斜ブリッジ(7、57、107)は前記地板(33)に対して傾斜することを特徴とする、時計ムーブメント。
【請求項14】
請求項13に記載の時計ムーブメントであって、前記傾斜ブリッジ(7、57、107)の傾斜を作動させるための手段を備えることを特徴とする、時計ムーブメント。
【請求項15】
請求項1に記載のムーブメントであって、前記部材は調速部材(1、10、100)であって、前記調速部材(1、10、100)は、慣性質量(3、56、103)と、ガイドと、前記慣性質量(3、56、103)を第2の面で振動させるように構成される前記慣性質量(3、56、103)のための弾性復帰要素(4、68、104)と、さらに前記慣性質量(3、56、103)と協働する脱進機機構(25、69、125)とを有し、前記調速部材(1、10、100)は前記地板上に配置されることを特徴とする、ムーブメント。
【請求項16】
請求項1に記載の時計ムーブメントを含む計時器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動部材を備える時計ムーブメントの分野に関し、より具体的には、傾斜を可変的に調整するための手段を有する可動部材を備える時計ムーブメントの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のほとんどの機械式ウォッチは、少なくとも部分的に可動な部材を備えている。これらの部材は、針を有する表示装置、可動からくり、月相、または可動装飾要素などであり、ムーブメントの駆動手段によって起動され得る。
【0003】
より具体的には、調速部材が存在し、スプラングテンプと、スイスレバー脱進機機構とを備える。スプラングテンプは、ウォッチの時間基準を制定する。スプラングテンプはまた、共振器とも呼ばれる。
【0004】
脱進機には、
-共振器の往復運動を維持することと、
-これらの往復運動を数えることという2つの主な機能がある。
【0005】
機械式共振器を構成するためには、慣性質量、ガイドおよび弾性復帰要素が必要である。従来から、ヒゲゼンマイは、たとえばテンプからなる慣性質量の弾性復帰要素として機能する。このテンプは、ルビーのすべり軸受内で回転するホゾによって回転しながら誘導される。
【0006】
調速部材の動きに対して好ましくない重力の影響を低減するために、トゥールビヨンまたはカルーセルタイプの複雑機構が存在する。トゥールビヨンまたはカルーセルタイプの複雑機構によって、調速部材は軸の周りを回転する。これらの複雑機構はまた、計時器を非常に魅力的にする特定の美的魅力を有する。
【0007】
美的理由から、具体的にはユーザが見やすいように、所定の調速部材は地板上で傾斜している。あるモデルでは、調速部材は複数の軸に沿って傾斜しているものさえある。
【0008】
ただし、一般に、調速部材の構築中、および調速部材をムーブメント上に組み立て中に、傾斜は画定され、使用中に傾斜を修正することはできない。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、前述の欠点を克服することであり、少なくとも部分的に可動な部材を備える時計ムーブメントを提供することを意図する。可動部材は、調整可能な傾斜角度で傾斜可能である。
【0010】
そのため、本発明は、第1の面に実質的に延在する地板を備える、時計ムーブメントに関する。地板はムーブメントの他の部分、たとえば少なくとも部分的に可動な部材を支持するように構成される。部材は少なくとも部分的に第2の面に沿って延在する。ムーブメントは、輪列を有する駆動手段を含む。上記部材は、部材を作動可能な起動歯部を含む。
【0011】
本ムーブメントは、地板に対する部材の傾斜を可変的に調整するための手段を備え、それによって、第2の面は地板の第1の面と変数値の角度を形成するという点で注目に値する。可変調整手段は、地板上に配置される伝え車または第1の伝え車を含む。伝え車または第1の伝え車は部材の起動歯部と協働する。伝え車または第1の伝え車は、駆動手段によって地板に対して回転可能である。伝え車または第1の伝え車は凹形の周辺面を有する。凹形の周辺面は、部材の歯部とかみ合うために実質的に球形の歯部を有し、それによって、地板に対する部材の配向に関わらず、部材を作動させる。
【0012】
このように、可動部材が伝え車によって作動可能な一方、部材は地板に対して好ましい位置に傾斜可能である。伝え車は、地板に対する部材の傾斜に関わらず、部材の歯部とかみ合う。より具体的には、伝え車の凹形の周辺面によって、地板に対する可動部材のすべての配向に対して、伝え車は確実に、部材の歯部と最適にかみ合ったままである。具体的には、駆動手段から提供される駆動力は、可動部材を作動させるために伝え車によって伝達される。
【0013】
本発明によって、部材は、規定の位置またはムーブメント内にもはや固定されない。計時器の配向によっては、部材は好ましい位置で傾斜可能であり、具体的にはより良く見えるように傾斜可能である。
【0014】
本発明の特定の実施形態によれば、伝え車または第1の伝え車は、凹形の球形歯切りと、直線状の歯切りとの組み合わせである二重の歯切り歯を有する。
【0015】
本発明の特定の実施形態によれば、部材の傾斜を可変的に調整するための手段は、キャリッジを備える。キャリッジ内部に部材が配置される。
【0016】
本発明の特定の実施形態によれば、キャリッジは、部材を起動するための歯部として機能する外部歯部を備える。外部歯部は、調速部材の傾斜に関わらず、第1の伝え車と係合するように配置され、第1の伝え車は、キャリッジの回転を作動させる。
【0017】
本発明の特定の実施形態によれば、可変調整手段は、部材上に配置される放射状の歯車を含む。放射状の歯車は、部材を起動するための歯部として機能する周辺歯部を有する。第1の伝え車の周辺面の実質的に凹形で球形の歯部は、部材の傾斜に関わらず、放射状の歯車と係合する。
【0018】
本発明の特定の実施形態によれば、周辺歯部は、伝え車または第1の伝え車の歯部と協働するために傾斜する。
【0019】
本発明の特定の実施形態によれば、駆動手段は、伝え車または第1の伝え車の歯車輪を含む。歯車輪は、伝え車または第1の伝え車の直線状の歯領域と協働する。
【0020】
本発明の特定の実施形態によれば、可変調整手段は、地板上に配置される第2の伝え車を備える。第2の伝え車は、駆動手段によって地板に対して回転可能である。第2の伝え車は、実質的に球形の歯部を有する凹形の周辺面を有する。キャリッジは外部歯部を備える。外部歯部は、部材の傾斜に関わらず、第2の伝え車と係合するように配置される。第2の伝え車は、キャリッジの回転を作動させる。
【0021】
本発明の特定の実施形態によれば、第2の伝え車は、凹形の球形歯切りと直線状の歯切りとを組み合わせた二重の歯切り歯を備える。
【0022】
本発明の特定の実施形態によれば、駆動手段は、第2の伝え車とかみ合うように、部材の周りに配置され、内部歯部を有するクラウンを含む。
【0023】
本発明の特定の実施形態によれば、2つの伝え車は、駆動手段によって同時に作動される。
【0024】
本発明の特定の実施形態によれば、地板に対する部材の傾斜角度は、0°から90°、好ましくは0°から45°、または0°から30°の範囲にある。
【0025】
本発明の特定の実施形態によれば、部材の傾斜を可変的に調整するための手段は、傾斜ブリッジを備える。傾斜ブリッジ上に部材が取り付けられる。傾斜ブリッジは、地板に対して傾斜する。
【0026】
本発明の特定の実施形態によれば、ムーブメントは、傾斜ブリッジの傾斜を作動させるための手段を備える。
【0027】
本発明の特定の実施形態によれば、部材は調速部材である。調速部材は、慣性質量と、ガイドと、慣性質量を第2の面で振動させるように構成される慣性質量のための弾性復帰要素と、さらに慣性質量と協働する脱進機機構とを有する。調速部材は地板上に配置される。
【0028】
本発明はさらに、このような時計ムーブメントを含む計時器に関する。
【0029】
本発明の目的、有利点および特徴は、添付図を参照して示される複数の実施形態を読むことで明らかになるであろう。これらの実施形態は例示目的でのみ提示され、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】地板の第1の面と平行な位置にある、本発明によるカルーセルの斜視図を図式的に示す。
図2】地板の第1の面に対して傾斜した位置にある、本発明によるカルーセルの側面図を図式的に示す。
図3】カルーセルが地板の第1の面と平行な位置にあるときのカルーセルの断面図を、第1および第2の伝え車を貫通する面に沿って図式的に示す。
図4】カルーセルが地板の第1の面と平行な位置にあるときのカルーセルの断面図を、脱進機機構および第1の伝え車を貫通する面に沿って図式的に示す。
図5】本発明によるカルーセルの伝え車の切断部の側面断面図を図式的に示す。
図6】地板の第1の面と平行な位置において、本発明によるカルーセルの斜視図を図式的に示す。
図7】地板の第1の面と平行な位置において、本発明によるカルーセルの底面図を図式的に示す。
図8】地板の第1の面と平行な位置において、本発明によるカルーセルの上面図を図式的に示す。
図9】地板の第1の面と平行な位置において、カルーセルの伝え車と本発明によるクラウンとのかみ合いの斜視図を図式的に示す。
図10】地板の第1の面に対して傾斜した位置において、本発明によるカルーセルを有する計時器地板の斜視図を図式的に示す。
図11】地板の第1の面と平行な位置において、カルーセルの第1の伝え車と本発明による輪列とのかみ合いの側面図を図式的に示す。
図12】本発明によるカルーセルの傾斜ブリッジの斜視図を図式的に示す。
図13】ブリッジを貫通する軸に沿って、カルーセルの側面断面図を図式的に示す。
図14】地板の第1の面と平行な位置において、本発明によるトゥールビヨンの斜視図を図式的に示す。
図15】地板の第1の面に対して傾斜した位置において、本発明によるトゥールビヨンの側面図を図式的に示す。
図16】地板の第1の面と平行な位置において、本発明によるトゥールビヨンの断面図を図式的に示す。
図17】トゥールビヨンが地板の第1の面と平行な位置にあるとき、トゥールビヨンのリングと本発明による伝え車とのかみ合いの側面図を図式的に示す。
図18】地板の第1の面と平行な位置において、本発明によるトゥールビヨンの上面図を図式的に示す。
図19】地板の第1の面に対して傾斜した位置において、本発明によるトゥールビヨンの斜視図を図式的に示す。
図20】地板の第1の面と平行な位置において、本発明によるトゥールビヨンの底面図を図式的に示す。
図21】地板の第1の面に対して傾斜した位置において、本発明によるトゥールビヨンを有する計時器の斜視図を図式的に示す。
図22】本発明によるトゥールビヨンの傾斜ブリッジの斜視図を図式的に示す。
図23】地板の第1の面と平行な位置において、本発明による調速部材の断面図を図式的に示す。
図24】地板の第1の面と平行な位置において、本発明による調速部材の斜視図を図式的に示す。
図25】地板の第1の面に対して傾斜した位置において、本発明による調速部材の斜視図を図式的に示す。
図26】地板の第1の面に対して傾斜した位置において、本発明による調速部材の側面図を図式的に示す。
図27】地板の第1の面と平行な位置において、本発明による調速部材の底面図を図式的に示す。
図28】地板の第1の面と平行な位置において、本発明による調速部材の上面図を図式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、第1の面に実質的に延在する地板を備える時計ムーブメントに関する。地板はムーブメントの一部を支持するように構成される。ムーブメントは、香箱と、歯車装置と、少なくとも部分的に可動な部材を備える駆動手段を含む。
【0032】
図に示す実施形態において、少なくとも部分的に可動な部材は、調速部材である。調速部材は、慣性質量と、ガイドと、実質的に第2の面で振動するように構成される慣性質量のための弾性復帰要素と、さらに慣性質量と協働する脱進機機構とを有する。
【0033】
さらに、これらの実施形態において、部材の起動歯部は、キャリッジの外部歯部または調速部材の放射状の歯車の周辺歯部のいずれかによって画定される。
【0034】
以下の説明では、駆動手段は、調速部材の動作に必要なエネルギーを提供し伝達するための部分を指す。調整手段は、エネルギーの伝達を可能としながら、調速部材を傾斜させ、駆動するための要素を指す。作動手段は、たとえばユーザが調速部材の傾斜を修正するために配置される部分を指す。
【0035】
図1から図13は、カルーセルタイプ1の調速部材を具体的に示す。本発明は、同業者には既知のカルーセルの固有の特徴および動作に特に関連するものではない。
【0036】
カルーセル1はカルーセルキャリッジ2を含む。カルーセルキャリッジ2内には、慣性質量3を有する機械式共振器と、ガイドと、弾性復帰要素4と、さらにスイスレバー脱進機機構5とが配置される。カルーセルキャリッジ2は、玉軸受6によって回転軸の周りを回転するように取り付けられる。玉軸受6は、カルーセルキャリッジ2と、カルーセルキャリッジ2が取り付けられる傾斜ブリッジ7との間に配置される。
【0037】
カルーセルキャリッジ2は、上部支持8と、下部支持9とを備え、上部支持8と下部支持9は、ポスト12に挿入されたねじ11によって組み立てられる。ポスト12は3つある。機械式共振器は慣性質量と、ガイドと、弾性復帰要素と、さらに脱進機機構とを有し、上部支持8と下部支持9との間に懸架される。非限定的な代替実施形態によれば、上部支持8は円形歯車であり、本事例では中心ハブ15に接続する3つのブランチ13を有する。下部支持9は、本事例では、中心接合部から延在する3つのアーム14を備える。アーム14は、3つの偏向ポスト12を中心接合部に接続する。3つのポスト12はカルーセルキャリッジ2の周辺部に角度をつけて配置され、それによって、円形歯車は各アーム14に接続する。
【0038】
慣性質量3は環状のテンプであり、カルーセルキャリッジ2の中央に配置される第1の軸方向のシャフト16上に配置される。第1の軸方向のシャフト16は実質的に慣性質量の第2の面に垂直である。
【0039】
テンプはカルーセルキャリッジ2の上部に配置されるため、外側から可視である。図3および図4に示すように、テンプは、カルーセルキャリッジ2内において、所定の振動数で第1の軸方向のシャフト16の周りを回転振動して動くように構成される。
【0040】
機械式共振器を作動させるために、第2の軸方向のシャフト17は、実質的に第1の軸方向のシャフト16と同一線上にあり、第1の軸方向のシャフト16の下部に配置される。第2の軸方向のシャフト17は、カルーセルキャリッジ2および傾斜ブリッジ7の下部に部分的に延在する。第1の軸カナ18は、第2の軸方向のシャフト17の中心で第2の軸方向のシャフト17と一体化され、テンプと同軸であり、カルーセルキャリッジ2の下部に配置される。
【0041】
中間車19は、カルーセルキャリッジ2において、テンプ下部で第2の軸方向のシャフト17と一体化される。中間車19は、第3の半径方向のシャフト22上に配置されるガンギカナ21とかみ合う。第3の半径方向のシャフト22は、実質的に軸方向のシャフト16、17と平行である。第3の半径方向のシャフト22はカルーセルキャリッジ2内に配置される。第3の半径方向のシャフト22はまた、ガンギカナ21上に配置されるガンギ車25を保持する。ガンギ車25はスイスレバー26と協働する。スイスレバー26は、第1の軸方向のシャフト16とガンギ車25の周辺部との間に垂直に配置される。レバー26は、第1の端部に分岐点を有する細長い本体を備える。分岐点は、テンプの動きと関連する第1の軸方向のシャフト16のピンと協働するように構成される。レバー26の第2の端部は、ガンギ車25と協働するように配置される2つのパレットを含む。2つのパレットは、交互にガンギ車25の回転を阻止し、それによって、ガンギ車を段階的に回転させる。レバー26は、第4の半径方向のシャフト27によって保持される。第4の半径方向のシャフト27は、カルーセルキャリッジ2内において、第1の軸方向のシャフト16と第3の半径方向のシャフト22との間に配置される。
【0042】
傾斜ブリッジ7は、調速部材と、傾斜ブリッジ7を貫通する第2の軸方向のシャフト17とを保持する。第1の軸カナ18は傾斜ブリッジ7の下部に配置される。
【0043】
第1の軸カナ18を回転させると、ガンギ車25、レバー26およびテンプの動きが、中間車19およびガンギカナ21を介して作動し、それによって第3の半径方向のシャフト22が回転する。
【0044】
カルーセル1はさらに、放射状の歯車29を備える。放射状の歯車29はカルーセルキャリッジ2の下部に配置され、第1の軸カナ18とかみ合う。放射状の歯車29は、カルーセルキャリッジ2の下部に配置される第5の半径方向のシャフト28によって保持される。放射状の歯車29の作動によって、第1の軸カナ18は回転する。
【0045】
時計ムーブメントは、可変調整手段30を備える。可変調整手段30は地板に対する調速部材の傾斜を可変的に調整し、それによって、図1および図2で示すように、慣性質量の第2の面は、地板の第1の面と変数値の角度を形成する。
【0046】
このように、カルーセル1は、慣性質量の第2の面が地板の第1の面に実質的に平行となる位置と、慣性質量の第2の面が地板の第1の面と角度を形成する斜めの位置との間で変位可能である。
【0047】
傾斜角度は、可変傾斜調整手段30を用いて選択可能である。好ましくは、可変調整手段30は、地板に対する調速部材の傾斜角度を45°から0°の範囲に修正する。したがって、0°のときは、調速部材のテンプは好ましくは地板の第1の面に平行である。一方、45°のときは、調速部材は地板の第1の面に対して斜めとなる。可変調整手段30によって、角度は2つの極値の間で任意の値となり得る。図1において、最小角度は実質的に0°であり、図2において、最大角度は30°である。本実施形態では、最大角度は30°である。
【0048】
本発明によれば、調整可能な傾斜を得るために、可変調整手段30は、地板上に配置される第1の伝え車31を含む。第1の伝え車31は、駆動手段によって、地板に対して回転して移動可能である。第1の伝え車31は地板に対して傾斜している。第1の伝え車31は、実質的に球形の歯部32を備える。歯部32は、脱進機機構およびテンプを作動させるために、調速部材の放射状の歯車29とかみ合うように構成される。
【0049】
第1の伝え車31は、長手方向対称軸を中心として対称な凹形の円筒形を有する砂時計形である。第1の伝え車31の周辺面は内側に湾曲している。したがって、伝え車の中心の直径および外周は、第1の伝え車31の端部の公称直径および外周より小さい。好ましくは、第1の伝え車31の両端部の公称周囲および直径は、それぞれ同一である。第1の伝え車31の長さは、好ましくは第1の伝え車31の公称直径よりも長い。
【0050】
凹形の周辺面によって、放射状の歯車29は、カルーセル1の傾斜に関わらず、第1の伝え車31と係合することができる。このように、実質的に球形の歯部32は凹形である。面の湾曲は、放射状の歯車29の半径および傾斜と協働するように選択される。このように、カルーセルの傾斜に関わらず、第1の伝え車31は放射状の歯車29とかみ合う。各歯は第1の伝え車31の内部に向かって湾曲し、湾曲の半径は同一である。このような凹形の球形歯切りによって、放射状の歯車29と第1の伝え車31との配向に関わらず、第1の伝え車31と放射状の歯車29との密着が高まる。
【0051】
第1の伝え車31はさらに、直線状の歯切りを備える。したがって、第1の伝え車31は二重の歯切りを有する。二重の歯切りは、凹形の球形歯切りと、直線状の歯切りとの組み合わせである。直線状の歯切りとは、歯の高さ全体にわたって、歯が同一の輪郭を有することを意味する。二重の歯切りは、第1の伝え車31の内部に向かって湾曲する歯を得るために、第1の凹形の球形歯切りを作ることによって得られる。結果として得られる歯は、歯の高さに対して可変な輪郭を有し、歯は端部で厚くなる。次に、端部で実質的に同一な輪郭を有する歯を得るために、具体的には歯の厚い端部で、第2の直線状の歯切りが作られる。
【0052】
このように、第1の伝え車31は、歯が直線状となる領域23を備える。領域23は、第1の伝え車31の全周の周りで、実質的に球形の歯部32の上部に配置される。この領域23によって、歯車輪20との密着が高まる。
【0053】
歯車輪20は傾斜した歯部83を備え、それによって、第1の伝え車31の領域23と協働する。第1の伝え車31は、歯車輪20の軸に対して傾斜している。
【0054】
その結果、歯車輪20は、その面を変えないため、歯車輪20の傾斜した歯切り83は、それ自体傾斜した第1の伝え車31の領域23と効率的に協働する。
【0055】
放射状の歯車29は、第1の伝え車31の領域23の直線状の歯と協働するように構成される周辺歯部を有する。第1の伝え車31とのかみ合いを改善するために、放射状の歯車29は、放射状の歯車29の面に対して傾斜している周辺歯部34を備える。放射状の歯車29の直径および外周は、上部よりも底面で小さい。直径および外周は、底面から上部に向かって広くなる。
【0056】
放射状の歯車29は、最小傾斜の位置と最大傾斜の位置との間で傾斜可能である。最小傾斜の位置では、放射状の歯車29の周辺歯部34は、第1の伝え車31の実質的に球形の歯部32と、第1の伝え車31の下端部でかみ合う。一方最大傾斜の位置では、放射状の歯車29の周辺歯部34は、第1の伝え車31の実質的に球形の歯部32と第1の伝え車31の上端部でかみ合う。
【0057】
カルーセル1では、可変調整手段30は、地板上に配置される第2の伝え車35を含む。第2の伝え車35は、地板に対して回転可能である。第2の伝え車35は、調速部材のカルーセルキャリッジ2をカルーセルキャリッジ2の外部歯部36を介して抑えるように構成される。外部歯部36は上部支持8の周辺部上に配置され、歯はカルーセルキャリッジ2から遠ざかるように半径方向に延在する。このように、第2の伝え車35は、カルーセルキャリッジ2の回転運動を抑える。それによって、カルーセルキャリッジ2は規定の速度で回転軸の周りを回転し、速く回りすぎることを防ぐ。第2の伝え車35が回転軸の周りを回転する運動自体は、ムーブメントの駆動手段によって抑えられる。
【0058】
第2の伝え車35は、好ましくは第1の伝え車31と類似しているか、または同一である。それによって第2の伝え車35はさらに、実質的に球形の歯部37と、直線状の歯切り歯70を備える。直線状の歯切り歯70は、実質的に球形の歯部37の下部に配置される。
【0059】
図5において、第1の伝え車31または第2の伝え車35は、2つの異なる方法で歯切りされている。無加工の伝え車を元として、第1の歯切りは実質的に球形の歯部32、37を製造するように行われる。第2の直線状の歯切りは、右側に示すように、最終的な伝え車31、35を得るために行われる。直線状の歯切りによって、直線状の歯切り領域の高さ全体にわたって、同じ輪郭の歯が得られる。直線状の歯切りはこのように、直線状の歯を有する領域23、70を形成する。
【0060】
2つの伝え車31、35は、カルーセルキャリッジ2の両側に配置される。第1の伝え車31は地板上で傾斜するが、第2の伝え車35は実質的に地板に垂直である。第2の伝え車35は、第1の伝え車31より上部に配置される。より具体的には、第2の伝え車35は、カルーセルキャリッジ2の上部に配置される上部支持8の歯車と協働する。一方第1の伝え車31は、カルーセルキャリッジ2の下部に配置される放射状の歯車29と協働する。
【0061】
直立の位置において、上部支持8は第2の伝え車35の頂部とかみ合うが、放射状の歯車29は第1の伝え車31の底部とかみ合う。傾斜した位置において、上部支持8は第2の伝え車35の底部とかみ合うが、放射状の歯車29は第1の伝え車31の頂部とかみ合う。
【0062】
カルーセル1において、2つの伝え車31、35は同時に回転する。第1の伝え車31は、図6から図9に示すように、駆動手段によって輪列98を介して回転する。一方第2の伝え車35は、カルーセルキャリッジ2の運動によって駆動され、駆動手段によって抑えられる。
【0063】
そのため、駆動手段は、図6から図9に示すように、内部歯部24を有するクラウン38を含む。クラウン38はカルーセルキャリッジ2の周りに配置される。それによって、クラウン38は、第2の伝え車35が回転するとき、第2の伝え車35を抑えることが可能となり、カルーセルキャリッジ2の周りを回転する。したがって、第2の伝え車35を抑えることによって、クラウン38はカルーセルキャリッジ2の運動を制御することができ、また、脱進機およびテンプの動きを作動させることができる。クラウン38は、第2の伝え車35の直線状の歯切り歯70とかみ合う。クラウンはさらに、輪列98の歯車93とかみ合うように構成される外部歯部92を備える。
【0064】
駆動手段は、図11に示す第1の伝え車31の歯車輪20を含む。歯車輪20はさらに、輪列98によって起動される。
【0065】
さらに、調速部材の傾斜を可変的に調整するための可変調整手段30は、傾斜ブリッジ7を備える。傾斜ブリッジ7の上にはカルーセルキャリッジ2が取り付けられ、玉軸受6はカルーセルキャリッジ2と、傾斜ブリッジ7との間に配置される。ブリッジは傾斜可能であり、それによって、調速部材も傾斜可能となる。傾斜ブリッジ7は、カルーセルキャリッジ2の下部であって、第1の軸カナ18および放射状の歯車29上に配置される。傾斜ブリッジ7は、カルーセルキャリッジ2を貫通する回転軸Dの周りを回転するように取り付けられる。回転軸Dは傾斜ブリッジ7に平行であり、好ましくは地板の面に平行である。傾斜ブリッジ7は、カルーセルキャリッジ2の両側に対称的に配置される2つの外部ホゾ42、43を含む。各ホゾ42、43は、傾斜ブリッジ7の端部に配置されるポストから延在する。
【0066】
ホゾ42、43はそれぞれ、地板の軸受39、41と協働する。ホゾ42、43は、傾斜ブリッジ7の回転軸Dに沿って配置される。各軸受39、41は、ホゾ42、43を挿入するための穴を備える。2つのホゾ42、43は、各軸受39、41内部で回転可能である。したがって、傾斜ブリッジ7は、ホゾ42、43および軸受39、41によって、回転軸Dの周りを回転可能である。
【0067】
可変調整手段30は、傾斜ブリッジ7と一体化されるように取り付けられた歯車44を含む。歯車44を作動させることによって、傾斜ブリッジ7は傾斜する。歯車44は、ホゾ42、43のうち1つの周りに配置される傾斜歯部45を備える。傾斜歯部45は、傾斜ブリッジ7の回転軸Dに平行に延在する。傾斜歯部45は、作動手段と協働する。作動手段は歯車44とかみ合い、それによって、傾斜ブリッジ7は回転軸Dの周りを回転する。
【0068】
図6から図8は、傾斜作動手段を示す。傾斜作動手段は、ロッド46と、輪列47とを含む。ロッド46は、たとえば図示しないクラウンによって起動される。ロッド46は、カナ48を有する。カナ48は周辺歯部49を備える。周辺歯部49は、輪列47を作動させる伝え車51とかみ合う。輪列47は一連の歯車とカナとを備え、伝え車51によって作動され、ロッド46から受ける回転力を傾斜ブリッジ7に伝達する。輪列の最後の歯車52は、傾斜ブリッジ7と一体化されるように取り付けられる歯車44の歯部45とかみ合う。このように、ロッド46をその軸の周りで回転させることによって、輪列は歯車44まで作動され、それによって傾斜ブリッジ7は選択された角度で傾斜する。
【0069】
作動手段の別の実施形態、たとえばジャンプにおける位置取りも考慮可能である。
【0070】
図10は、カルーセルおよび作動手段を有する地板33を示す。ロッド46は地板の外側に延在し、それによって調速部材の傾斜が作動され、修正可能となる。地板33は、調速部材が配置される凹部を備える。
【0071】
図11は、第1の伝え車31と、放射状の歯車29とを備えるアセンブリを示す。放射状の歯車29と伝え車31は、放射状の歯車29が傾斜可能でありながら、伝え車と歯車とのかみ合いが同量であり続けるように協働する。これは、最小傾斜と最大傾斜との間の画定された動作範囲内では、歯車の傾斜に関わらず、回転運動を互いに伝達する能力は同じであることを意味する。
【0072】
図12および図13において、傾斜ブリッジ7は、長手方向のメインプラットフォーム53を備える。長手方向のメインプラットフォーム53の端部には、ホゾ42、43のポストが配置される。プラットフォーム53は、第2の軸方向のシャフト17が通れるような中心穴を備える。メインプラットフォームは、第5の半径方向のシャフト28を受容するための偏向軸受95を備える。
【0073】
傾斜ブリッジ7は、メインプラットフォーム53の下部に配置される二次プラットフォーム54を備える。二次プラットフォーム54は、第2の軸方向のシャフト17を受容するように配置される第1の軸受50を備える。第1の軸受50は、メインプラットフォーム53の中心穴と一致して配置される。二次プラットフォーム54は、第5の半径方向のシャフト28を受容するための第2の偏向軸受94を備える。第2の軸受94は、メインプラットフォーム53の偏向軸受と一致して配置される。したがって、第5の半径方向のシャフト28は、メインプラットフォーム53と二次プラットフォーム54との間に保持される。
【0074】
玉軸受は中心穴に嵌合し、メインプラットフォーム53と二次プラットフォーム54との間に配置される凹部に保持される。
【0075】
図14から図22に示す本発明の第2の実施形態では、調速部材はトゥールビヨン10である。本発明は、当業者には既知のトゥールビヨンの固有の特徴および動作に特に関連するものではない。
【0076】
トゥールビヨン10は可動キャリッジ55を含む。可動キャリッジ55の内部には、慣性質量56と、ガイドと、弾性復帰要素68と、脱進機機構69とが配置される。
【0077】
トゥールビヨンキャリッジ55は、玉軸受60によって回転軸の周りを回転するように取り付けられる。玉軸受60は、トゥールビヨンキャリッジ55と傾斜ブリッジ57との間に配置される。トゥールビヨンキャリッジ55は傾斜ブリッジ57上に取り付けられる。
【0078】
トゥールビヨンキャリッジ55は、上部支持58と、下部支持59とを備える。上部支持58と、下部支持59はねじによって組み立てられ、ねじは2つあるポスト61に挿入される。慣性質量56、ガイドおよび弾性復帰要素を有する機械式共振器は、脱進機機構と共に上部支持58と下部支持59との間に懸架される。上部支持58および下部支持59はそれぞれ、交差65で交差する2つのブランチ63、64で十字のように形成される。2つの支持58、59は上下に互いに平行に配置される。2つのポスト61、62は、2つの支持58、59を互いに接続する。各ポスト61、62は、1つの支持58のブランチ63の一端を、別の支持58、59の対応するブランチの端部に接続する。別のブランチの2つの端部はそれぞれトゥールビヨンのシャフトの軸受を支持し、一端で慣性質量のシャフトを支持し、他端でガンギ車のシャフトを支持する。ポスト61、62は、ねじ66によって2つの支持58、59に組み立てられる。
【0079】
図16において、慣性質量56は、第1の半径方向のシャフト67上に配置される環状のテンプである。第1の半径方向のシャフト67は、トゥールビヨンキャリッジ55の回転シャフトに平行に半径方向に配置される。テンプは偏心しており、トゥールビヨンキャリッジ55の中間に配置される。テンプは、トゥールビヨンキャリッジ55内で、第1の半径方向のシャフト67の周りの回転振動運動を所定の振動数で実施するように構成される。
【0080】
第2の半径方向のシャフト72はトゥールビヨンキャリッジ55内に配置される。第2の半径方向のシャフト72はガンギ車73を保持する。ガンギ車73は、同様に第2の半径方向のシャフト72によって保持されるガンギカナ74上に配置される。第2の半径方向のシャフト72は、トゥールビヨンキャリッジ55の回転軸および第1の半径方向のシャフト67に平行である。ガンギカナ74は、偏心位置においてトゥールビヨンキャリッジ55の下部に突出する。
【0081】
ガンギ車73はトゥールビヨンキャリッジ55の上部に配置され、それによって外側から可視である。ガンギ車73はスイスレバー75と協働する。スイスレバー75は、第1の半径方向のシャフト67と、ガンギ車73の周辺部との間に垂直に配置される。レバー75は、第1の端部に分岐点を有する細長い本体を備える。分岐点は、第1の半径方向のシャフト67のピンと協働するように構成され、ピンはテンプの動きに連結する。レバーの第2の端部は、ガンギ車73と協働するように配置される2つのパレットを含む。2つのパレットは、交互にガンギ車73の回転を阻止して、ガンギ車が段階的に回転するようにする。レバー75は、第3の半径方向のシャフト76によって保持される。第3の半径方向のシャフト76は、トゥールビヨンキャリッジ55内で、第1の半径方向のシャフト67と第2の半径方向のシャフト72との間に配置される。
【0082】
四番車71は、トゥールビヨンキャリッジ55の下部に、傾斜ブリッジ57とトゥールビヨンキャリッジ55との間に軸方向に配置される。この四番車71は、トゥールビヨンキャリッジ55と共には回転せず、傾斜ブリッジ57と一体化される。四番車71は、第2の半径方向のシャフト72上に配置されるガンギカナ74とかみ合う。四番車71は傾斜ブリッジ57と共に、地板に対して移動可能である。
【0083】
したがって、トゥールビヨンキャリッジ55がその回転軸の周りを回転することによって、ガンギカナ74は四番車71によって回転される。それによって、ガンギ車73、レバー75およびテンプの動きは作動される。
【0084】
本発明によれば、時計ムーブメントは、トゥールビヨン10の傾斜を地板に対して可変的に調整するための、可変調整手段40を備える。それによって、図14におよび図15に示すように、慣性質量の第2の面は、地板の第1の面に対して変数値の角度を形成する。したがって、トゥールビヨン10は、直立した位置と斜めの位置の間で変位可能である。直立した位置では、慣性質量の第2の面は実質的に地板の第1の面と平行であり、斜めの位置では、慣性質量の第2の面は、地板の第1の面と角度を形成する。
【0085】
傾斜角度は、可変傾斜調整手段40によって修正可能である。可変調整手段40によって、地板に対する調速部材の傾斜角度を0°から90°の範囲で修正することができる。したがって、0°では、調速部材のテンプは地板の第1の面に平行であり、一方90°では、調速部材は実質的に地板に垂直である。好ましくは、範囲は0°から45°の範囲であり、調速部材は地板の第1の面に対して斜めである。可変調整手段40によって、角度は2つの極値の間で任意の値を取ることができる。
【0086】
図14では、最小角度は実質的に0°であるが、図15では、最大角度は30°である。本実施形態では、最大角度は30°である。
【0087】
可変調整手段40は、地板上に配置される伝え車80を含む。伝え車80は、駆動手段によって地板に対して回転可能である。伝え車80は、実質的に球形の歯部81を備える。実質的に球形の歯部81は、トゥールビヨンキャリッジ55とかみ合い、トゥールビヨンキャリッジ55を作動させるように構成される。
【0088】
トゥールビヨンキャリッジ55は、下部支持59上に配置される周辺歯部77を備える。下部支持59は、周辺歯部77を保持する外部リング82を備える。したがって、外部リング82と係合することによって、トゥールビヨンキャリッジ55はその軸の周りを回転する。
【0089】
伝え車80は、カルーセルにおいて記載される伝え車と類似しているか、または同一である。伝え車80は円筒形であり、その周辺面上の歯部81は凹形である。それによって、トゥールビヨン10の傾斜に関わらず、外部リング82の周辺歯部77は伝え車80と係合することができる。
【0090】
たとえば、伝え車80の歯部81は二重の歯切り歯を有する。二重の歯切り歯は、凹形の球形歯切りと、直線状の歯切りとの組み合わせである。凹形の球形歯切りによって、伝え車80に対するトゥールビヨンキャリッジ55の配向に関わらず、トゥールビヨンキャリッジ55との密着が高まる。直線状の歯切りとは、直線状の歯切り領域にわたって伝え車の歯の幅が実質的に等しいことを意味する。このように、伝え車80は、直線状の歯を有する領域90を備え、歯車輪と協働することができる。
【0091】
さらに、外部リング82の周辺歯部77は、好ましくは外部リング82の面に対して傾斜することによって、伝え車80と協働する。
【0092】
第1の実施形態のカルーセルとは異なり、可変調整手段40は単一の伝え車80を備える。単一の伝え車80は、トゥールビヨン10のトゥールビヨンキャリッジ55のみを駆動して脱進機機構を作動させる。ガンギカナ74は、トゥールビヨンキャリッジ55の動きと、固定される歯車71の圧力によって作動される。つまり、脱進機機構は、駆動手段に対して、トゥールビヨンキャリッジ55と直列に配置される。
【0093】
カルーセルと類似する装置を用いて、伝え車80を駆動する。たとえば、可変調整手段40は、輪列によって作動される第1の伝え車の歯車輪を含む。代替的に、第2のカルーセルの伝え車を作動させるものと類似するクラウンを用いて、トゥールビヨンの伝え車を作動し得る。
【0094】
図21は、ケース86と、ダイヤル85とを有する計時器84を示す。ダイヤル85上では針が動く。計時器はトゥールビヨン10のための凹部を備える。ダイヤル85には、傾斜するトゥールビヨン10が見えるように穴が開けられる。
【0095】
トゥールビヨン10の傾斜を可変的に調整するための可変調整手段40は、傾斜ブリッジ57(図22に示す)を備える。傾斜ブリッジ57上にトゥールビヨンキャリッジ55が取り付けられる。玉軸受60は、トゥールビヨンキャリッジ55と傾斜ブリッジ57との間に取り付けられる。傾斜ブリッジ57は、トゥールビヨン10の傾斜を選択するために傾斜可能である。傾斜ブリッジ57はキャリッジの下部に配置される。固定される四番車71は傾斜ブリッジ57とトゥールビヨンキャリッジ55との間に配置される。
【0096】
傾斜ブリッジ57は、トゥールビヨンキャリッジ55を貫通する回転軸Dの周りを回転可能であるように取り付けられる。軸は傾斜ブリッジ57に平行であり、好ましくは地板の第1の面に平行である。傾斜ブリッジ57は長手方向のメインプラットフォーム96を備える。メインプラットフォーム96は中心穴89と、プラットフォーム96の端部にポストを有する。各ポストは、外部ホゾ87、88を備える。外部ホゾ87、88は、トゥールビヨンキャリッジ55の両側に回転軸Dに沿って配置され、地板の軸受(不図示)と協働する。玉軸受60は中心穴89、または好ましくは四番車71に嵌合する。
【0097】
他の特徴は、カルーセルのブリッジの特徴と同一であってもよい。可変調整手段40は、たとえば、歯車91を含む。歯車91は、傾斜ブリッジ57と一体化するように取り付けられる。歯車91は傾斜歯部を有する。傾斜する歯車91の作動によって傾斜ブリッジ57は傾斜する。
【0098】
傾斜作動手段は、歯車が傾斜ブリッジと一体化されるように取り付けられるということに関し、カルーセルの実施形態で記載した手段と同一である。
【0099】
図23から図28に示す本発明の第3の実施形態では、調速部材は従来の調速部材100であり、必要に応じて傾斜可能である。本発明は、当業者には既知の従来の調速部材の固有の特徴および動作に特に関連しない。
【0100】
従来の調速部材100は、慣性質量103と、ガイドと、弾性復帰要素と、脱進機機構とを含む。
【0101】
図23から図28において、従来の調速部材100は、従来の調速部材キャリッジ102を含む。従来の調速部材キャリッジ102内部には、慣性質量103を有する機械式共振器と、ガイドと、弾性復帰要素104と、さらにスイスレバー126と、脱進機機構105とが配置される。従来の調速部材キャリッジ102は、傾斜ブリッジ107と一体化されるように取り付けられる。
【0102】
従来の調速部材キャリッジ102は、上部支持108と、下部支持109とを備える。上部支持108と下部支持109は、3個あるポスト112に挿入されたねじ111によって組み立てられる。機械式共振器は、慣性質量103と、ガイドと、弾性復帰要素と、さらに脱進機機構とを有し、上部支持108と下部支持109との間に懸架される。上部支持108は円形のリングであり、中心ハブに接続する3つのブランチ113を有する。下部支持109は、中心接合部から延在する3つのアーム114を備える。アーム114は、3つの偏向ポスト112を中心接合部に接続する。3つのポスト112は、従来の調速部材キャリッジ102の周辺部に角度をつけて配置され、それによって歯車を各アーム114に接続する。
【0103】
図23において、慣性質量103は環状のテンプであり、従来の調速部材キャリッジ102の中央に配置される第1の軸方向のシャフト116上に配置される。テンプは従来の調速部材キャリッジ102の上部に配置されるため、外側から可視である。テンプは、従来の調速部材キャリッジ102内において、所定の振動数で第1の軸方向のシャフト116の周りを回転振動して動くように構成される。
【0104】
機械式共振器を作動させるために、第2の軸方向のシャフト117は、実質的に第1の軸方向のシャフト116と同一線上にあり、第1の軸方向のシャフト116の下部に配置される。第2の軸方向のシャフト117は、従来の調速部材キャリッジ102および傾斜ブリッジ107の下部に部分的に延在する。第1の軸カナ118は、第2の軸方向のシャフト117の中心で第2の軸方向のシャフト117と一体化され、テンプと同軸であり、従来の調速部材キャリッジ102の下部に配置される。
【0105】
中間車119は、従来の調速部材キャリッジ102において、第2の軸方向のシャフト117とテンプ下部で一体化される。中間車119は、ガンギカナ121とかみ合う。ガンギカナ121は、第3の半径方向のシャフト122上に配置される。第3の半径方向のシャフト122は、実質的に軸方向のシャフト116、117に平行である。第3の半径方向のシャフト122は従来の調速部材キャリッジ102内に配置される。第3の半径方向のシャフト122はまた、ガンギカナ121上に配置されるガンギ車125を保持する。ガンギ車125は、第1の軸方向のシャフト116とガンギ車125の周辺部との間に垂直に配置されるスイスレバー126と協働する。レバー126は、第1の端部に分岐点を有する細長い本体を備える。分岐点は、テンプの動きと関連する第1の軸方向のシャフト116のピンと協働するように構成される。レバー126の第2の端部は、ガンギ車125と協働するように配置される2つのパレットを含む。2つのパレットは、交互にガンギ車125の回転を阻止し、それによって、ガンギ車を段階的に回転させる。レバー126は、従来の調速部材キャリッジ102において、第1の軸方向のシャフト116と第3の半径方向のシャフト122との間に配置される第4の半径方向のシャフト127によって保持される。
【0106】
第1の軸カナ118の回転により、ガンギ車125と、レバー126と、テンプの動きとを、中間車119およびガンギカナ121を介して作動させる。中間車119およびガンギカナ121は、第3の半径方向のシャフト122を回転させる。
【0107】
従来の調速部材100はさらに、放射状の歯車129を備える。放射状の歯車129は、従来の調速部材キャリッジ102の下部に配置され、第1の軸カナ118とかみ合う。放射状の歯車129は、従来の調速部材キャリッジ102の下部に配置される第5の半径方向のシャフト128によって保持される。放射状の歯車129の作動によって、第1の軸カナ118は回転する。
【0108】
本発明によれば、時計ムーブメントは、可変調整手段130を備える。可変調整手段130は、地板に対する調速部材100の傾斜を可変的に調整し、それによって、回転シャフトおよび慣性質量の第2の面は、地板の第1の面と可変傾斜角度を形成する。したがって、調速部材100は、可変傾斜角度を得るために傾斜可能であり、角度は、可変調整手段130を用いて選択可能である。
【0109】
好ましくは、可変調整手段130は、地板に対する調速部材の傾斜角度を45°から0°の範囲に修正する。したがって、0°のときは、調速部材のテンプは地板の第1の面に平行である。一方45°のときは、調速部材は地板の第1の面に対して斜めとなる。可変調整手段130によって、角度は2つの極値の間で任意の値となり得る。
【0110】
図24において、最小角度は実質的に0°であり、図25において、最大角度は30°である。本実施形態では、最大角度は30°である。
【0111】
調整可能な傾斜を得るために、可変調整手段130は、地板上に配置される伝え車131を含む。伝え車131は、駆動手段によって地板に対して回転して移動可能である。伝え車131は、実質的に球形の歯部181を備え、歯部181は、調速部材100を作動させるために、調速部材100の放射状の歯車129とかみ合うように構成される。
【0112】
伝え車131は、カルーセルの第1の伝え車と類似しているか、または同一である。第1の伝え車は円筒形であり、その周辺面の歯部181は球形である。それによって、従来の調速部材の傾斜に関わらず、放射状の歯車129は伝え車131と係合することができる。このような歯部181は、放射状の歯車129と第1の伝え車131との配向に関わらず、放射状の歯車129との密着を促進する。
【0113】
伝え車131はさらに、凹形の球形歯切りと、直線状の歯切りとの組み合わせである二重の歯切り歯を含む。直線状の歯切りとは、直線状の歯切り領域の高さ全体にわたって、伝え車131の歯が実質的に同一の幅を有することを意味する。
【0114】
したがって、伝え車131は、歯車輪と協働可能な直線状の歯を有する領域180を備える。領域180は凹形の周辺面上に配置される。
【0115】
さらに、放射状の歯車129は、好ましくは、周辺歯部182を備える。周辺歯部182は、伝え車131の直線状の歯切り歯180と協働するために、放射状の歯車129の面に対して傾斜する。
【0116】
可変調整手段130は、脱進機機構のみを駆動する単一の伝え車131を備える。傾斜作動手段は、カルーセルおよびトゥールビヨンの実施形態において記載したものと同一である。
【0117】
伝え車131は、輪列98を介して駆動手段によって起動される。そのため、駆動手段は、カルーセルの第1の伝え車と同様に、直線状の歯180を介して伝え車131を直接作動させる歯車輪を含む。代替的に、駆動手段は、従来の調速部材キャリッジ102の周りに配置され、内部に歯を有するクラウンを含むことができる。それによって、クラウンが従来の調速部材キャリッジ102の周りを回転するとき、第2のカルーセルの伝え車と同様に、伝え車131を作動させることができる。
【0118】
したがって、伝え車131を回転させることによって、クラウンまたは歯車輪から、調速部材100の従来の調速部材キャリッジ102において、テンプの動きおよび脱進機の動きが生じる。従来の調速部材100の本実施形態では、従来の調速部材キャリッジ102は、傾斜ブリッジ107と関連して移動しない。
【0119】
調速部材100の傾斜を可変的に調整するための可変調整手段130は、傾斜ブリッジ107を備える。傾斜ブリッジ107上には、従来の調速部材キャリッジ102が取り付けられる。傾斜ブリッジ107は、調速部材の傾斜100を選択するために、傾斜可能である。傾斜ブリッジ107は、従来の調速部材キャリッジ102の下部に配置される。
【0120】
傾斜ブリッジ107は、第1の実施形態のカルーセルのブリッジと類似または同一である。
【0121】
傾斜ブリッジ107は、従来の調速部材100を貫通する回転軸Dの周りを回転可能であるように取り付けられる。回転軸Dは傾斜ブリッジ107に平行である。傾斜ブリッジ107は、長手方向のメインプラットフォーム97を備える。プラットフォーム97の端部には中心穴とポストがある。各ポストは、外部ホゾ187、188を備える。外部ホゾ187、188は、従来の調速部材キャリッジ102の両側に回転軸Dに沿って配置され、2つの地板の軸受と協働する。
【0122】
その他の特徴は、カルーセル1のブリッジの特徴と同一であり、傾斜ブリッジ107はさらに、二次プラットフォーム99を含む。作動手段は、傾斜ブリッジ107と一体化されるように取り付けられる歯車185を含む。歯車185を作動させることによって、傾斜ブリッジ107は傾斜する。
【0123】
作動手段は、傾斜ブリッジ107と一体化されるように取り付けられる歯車185を含む。歯車185を作動させることによって、傾斜ブリッジ107は傾斜する。歯車185は、ホゾ187、188のうち1つの周りに配置される傾斜歯部145を備える。傾斜歯部145は、回転軸Dに平行に延在する。傾斜歯部145は作動手段と協働する。作動手段が歯車185とかみ合うことによって、傾斜ブリッジ107は回転軸Dの周りを回転する。
【0124】
傾斜作動手段は、カルーセル1およびトゥールビヨン10の実施形態で記載する手段と同一である。
【0125】
いうまでもなく、本発明は、図を参照して記載する調速部材の実施形態に限定されず、本発明の範囲から逸脱せずに代替も考慮可能である。具体的には、少なくとも部分的に可動な部材とは、たとえば、ダイヤモンド、地球の自転、または昼/夜表示などのからくり、または可動装飾部品であってもよく、好みによって傾斜してもよい。少なくとも部分的に可動な部材は、月相、日付、巻き上げ残量表示、またはクロノメータのミニッツカウンター、または隠し表示の穴でさえあってもよく、またはGMTタイプの表示であってもよい。部材はまた、小さな秒表示であってもよく、たとえば宝石からなっていてもよく、部材の傾斜を調整するための手段によって、異なる角度から見ることが可能である。
【符号の説明】
【0126】
1 カルーセル
2 キャリッジ
3 慣性質量
4 弾性復帰要素
5 スイスレバー脱進機機構
6 玉軸受
7 傾斜ブリッジ
8 上部支持
9 下部支持
10 トゥールビヨン
11 ねじ
12 ポスト
13 ブランチ
14 アーム
15 中心ハブ
16 シャフト
17 シャフト
18 第1の軸カナ
19 中間車
20 歯車輪
21 ガンギカナ
22 シャフト
23 領域
24 内部歯部
25 ガンギ車
26 レバー
27 シャフト
28 シャフト
29 歯車
30 可変調整手段
31 第1の伝え車
32 歯部
33 地板
34 周辺歯部
35 第2の車
36 外部歯部
37 歯部
38 クラウン
39 軸受
40 可変調整手段
41 軸受
42 ホゾ
43 ホゾ
44 歯車
45 歯部
46 ロッド
47 輪列
48 カナ
49 周辺歯部
50 第1の軸受
51 伝え車
52 歯車
53 メインプラットフォーム
54 二次プラットフォーム
55 トゥールビヨンキャリッジ
56 慣性質量
57 傾斜ブリッジ
58 上部支持
59 下部支持
60 玉軸受
61 ポスト
62 ポスト
63 ブランチ
64 ブランチ
65 交差
66 ねじ
67 シャフト
68 弾性復帰要素
69 脱進機機構
70 歯切り歯
71 四番車
72 シャフト
73 ガンギ車
74 ガンギカナ
75 レバー
76 シャフト
77 周辺歯部
80 第1の伝え車
81 歯部
82 外部リング
83 歯切り
84 計時器
85 ダイヤル
86 ケース
87 外部ホゾ
88 外部ホゾ
89 中心穴
90 領域
91 歯車
92 外部歯部
93 歯車
94 第2の軸受
95 偏向軸受
96 メインプラットフォーム
97 メインプラットフォーム
98 輪列
99 二次プラットフォーム
100 調速部材
102 調速部材キャリッジ
103 慣性質量
104 弾性復帰要素
105 スイスレバー126脱進機機構
107 傾斜ブリッジ
108 上部支持
109 下部支持
111 ねじ
112 ポスト
113 ブランチ
114 アーム
116 シャフト
117 シャフト
118 第1の軸カナ
119 中間車
121 ガンギカナ
122 シャフト
125 ガンギ車
126 スイスレバー
127 シャフト
128 シャフト
129 歯車
130 可変調整手段
131 車
145 傾斜歯部
180 歯切り歯
181 歯部
182 周辺歯部
185 歯車
187 ホゾ
188 ホゾ
回転軸
回転軸
回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
【外国語明細書】