(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086732
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】改善されたT細胞組成物および方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/62 20060101AFI20230615BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230615BHJP
C12N 15/33 20060101ALI20230615BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20230615BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20230615BHJP
C07K 14/005 20060101ALI20230615BHJP
C07K 14/725 20060101ALI20230615BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20230615BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C12N5/10 ZNA
C12N15/33
C12N15/12
C12N15/13
C07K14/005
C07K14/725
C07K16/28
C07K19/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023051350
(22)【出願日】2023-03-28
(62)【分割の表示】P 2019556670の分割
【原出願日】2018-04-18
(31)【優先権主張番号】62/487,215
(32)【優先日】2017-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519089657
【氏名又は名称】アロジーン セラピューティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】チャパーロ リガーズ ハビエル フェルナンド
(72)【発明者】
【氏名】バン ブラーコム トーマス ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ボルダジプール ビジャン アンドレ
(57)【要約】
【課題】本発明は、主要組織適合クラスI分子細胞表面発現を下方制御する組成物および方法、ならびに単離したT細胞(例えば、キメラ抗原受容体T(CAR-T)細胞のような遺伝子改変抗原特異的T細胞)の機能活性を改善するための組成物および方法の使用を提供することを目的とする。
【解決手段】(i)ウイルスタンパク質を含まない単離したT細胞の主要組織適合複合体(MHC)クラスIの細胞表面発現レベルと比較して、MHCクラスIの細胞表面発現レベルを減少させるウイルスタンパク質と、(ii)細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)とを含む、単離したT細胞。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)ウイルスタンパク質を含まない単離したT細胞の主要組織適合複合体(MHC)クラスIの細胞表面発現レベルと比較して、MHCクラスIの細胞表面発現レベルを減少させるウイルスタンパク質と、
(ii)細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)と
を含む、単離したT細胞。
【請求項2】
ウイルスタンパク質が、サイトメガロウイルス(CMV)タンパク質、アデノウイルスタンパク質、ヘルペスウイルスタンパク質、またはヒト免疫不全ウイルスタンパク質である、請求項1に記載の単離したT細胞。
【請求項3】
ウイルスタンパク質が、ICP47、K3、K5、E19、US3、US6.US2、U21、Nef、US10またはU21である、請求項1または2に記載の単離したT細胞。
【請求項4】
ウイルスタンパク質が、CARを含むがウイルスタンパク質を含まない単離したT細胞のCARの細胞表面発現レベルと比較して、CARの細胞表面発現レベルを著しくは減少させない、請求項1から3のいずれか1項に記載の単離したT細胞。
【請求項5】
NK細胞アンタゴニストをさらに含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の単離したT細胞。
【請求項6】
NK細胞アンタゴニストが、抗NK細胞阻害受容体アゴニスト抗体または抗NK細胞活性化受容体アンタゴニスト抗体である、請求項5に記載の単離したT細胞。
【請求項7】
抗NK細胞阻害受容体抗体が、一本鎖可変断片(scFv)を含む、請求項6に記載の単離したT細胞。
【請求項8】
抗NK細胞阻害受容体抗体が、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)、CD94-NKG2A/C/Eヘテロ二量体、2B4(CD244)受容体、またはキラー細胞レクチン様受容体G1(KLRG1)受容体に特異的に結合する、請求項6または7に記載の単離したT細胞。
【請求項9】
KIRが、KIR2DL1、KIR2DL2、KIR2DL3、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR3DL3、KIR2DL5A、KIR2DL5BまたはKIR2DL4である、請求項8に記載の単離したT細胞。
【請求項10】
ウイルスタンパク質を含まないことを除いて単離したT細胞のすべての構成成分を含む第2の単離T細胞のインビボでの残留性と比較して、インビボでの残留性の改善を示す、請求項1から9のいずれか1項に記載の単離したT細胞。
【請求項11】
ウイルスタンパク質を含まないことを除いて単離したT細胞のすべての構成成分を含む第2の単離T細胞により誘発される移植片対宿主疾患(GVHD)応答と比較して、組織不適合レシピエントにおいてGVHD応答をまったく誘発しないか、または誘発が減少する、請求項1から10のいずれか1項に記載の単離したT細胞。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の単離したT細胞のうちの複数を含むCAR-T細胞集団。
【請求項13】
MHCクラスIの細胞表面発現レベルが、ウイルスタンパク質を含まないT細胞上のMHCクラスIの細胞表面発現レベルと比較して、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%減少する、請求項12に記載のCAR-T細胞集団。
【請求項14】
MHCクラスIの細胞表面発現レベルが、フローサイトメトリーにより測定される、請求項13に記載のCAR-T細胞集団。
【請求項15】
単離したT細胞を生成する方法であって、細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含むCARを発現するT細胞を、ウイルスタンパク質が発現されるように改変するステップを含む、方法。
【請求項16】
抗NK細胞アンタゴニストが発現されるようにT細胞を改変するステップをさらに含む、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
ウイルスタンパク質が、細胞内に安定に導入される、請求項14から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
ウイルスタンパク質をコードするポリヌクレオチドが、トランスポゾン/トランスポザーゼ系、ウイルスベースの遺伝子導入系またはエレクトロポレーションによって細胞に導入される、請求項14から17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
キメラ抗原受容体をコードするポリヌクレオチドが、トランスポゾン/トランスポザーゼ系、エレクトロポレーションまたはウイルスベースの遺伝子導入系により細胞に導入される、請求項14から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
ウイルスベースの遺伝子導入系が、組換えレトロウイルスまたはレンチウイルスを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
NK細胞アンタゴニストをコードするポリヌクレオチドが、トランスポゾン/トランスポザーゼ系によって、ウイルスベースの遺伝子導入系によって、またはエレクトロポレーションによって細胞に導入される、請求項16から20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
請求項1から11のいずれか1項に記載の単離したT細胞を含む、障害の治療における使用のための医薬組成物。
【請求項23】
障害が、がん、自己免疫疾患、または感染症である、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
細胞が、複数回提供される、請求項22または23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
細胞が、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7日またはそれ以上の間隔で対象に提供される、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
障害が、ウイルス性疾患、細菌性疾患、がん、炎症性疾患、免疫疾患、または加齢に伴う疾患である、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
請求項1から14のいずれか1項に記載の単離したT細胞を対象に投与するステップを含む、対象において障害を治療するための方法。
【請求項28】
請求項1から14のいずれか1項に記載の単離したT細胞を対象に投与するステップを含む、対象においてGVHDを減少させる方法。
【請求項29】
請求項1から14のいずれか1項に記載の単離したT細胞を対象に投与するステップを含む、対象において残留性を改善する方法。
【請求項30】
請求項1から14のいずれか1項に記載の単離したT細胞を対象に投与するステップを含む、対象において持続的応答時間を延長する方法。
【請求項31】
細胞が、対象に複数回提供される、請求項27から30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
単離したT細胞の投与前に、対象が、治療薬であらかじめ治療されている、請求項27から31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
治療薬が、抗体または化学療法剤である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
NK細胞アンタゴニストを投与するステップをさらに含む、請求項27から33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
NK細胞アンタゴニストが、抗NK細胞阻害受容体抗体である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
抗NK細胞阻害受容体抗体が、抗KIR抗体である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
障害が、ウイルス性疾患、細菌性疾患、がん、炎症性疾患、免疫疾患、または加齢に伴う疾患である、請求項27から36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
がんが、血液悪性腫瘍または固形がんである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
血液悪性腫瘍が、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好酸球性白血病(CEL)、骨髄異形成症候群(MDS)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、または多発性骨髄腫(MM)から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
固形がんが、胆道がん、膀胱がん、骨軟部癌、脳腫瘍、乳がん、子宮頸がん、結腸がん、結腸直腸腺癌、結腸直腸がん、類腱腫、胚性がん、子宮内膜がん、食道がん、胃がん、胃腺癌、多形神経膠芽腫、婦人科腫瘍、頭頸部扁平上皮癌、肝がん、肺がん、悪性黒色腫、骨肉腫、卵巣がん、膵がん、膵管腺癌、原発星細胞腫、原発甲状腺がん、前立腺がん、腎がん、腎細胞癌、横紋筋肉腫、皮膚がん、軟部肉腫、精巣胚細胞腫瘍、尿路上皮がん、子宮肉腫、または子宮がんから選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
1つまたは複数の追加の治療薬を対象に投与するステップをさらに含む、請求項27から40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
追加の治療薬が、抗体または化学療法剤である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
(i)ウイルスタンパク質を含まない単離したT細胞の主要組織適合複合体(MHC)クラスI分子の細胞表面発現レベルと比較して、MHCクラスI分子の細胞表面発現レベルを減少させるウイルスタンパク質と、(ii)キメラ抗原受容体(CAR)とをコードするポリヌクレオチド。
【請求項44】
請求項43に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項45】
ウイルスベクターである、請求項44に記載のベクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年4月19日出願の米国仮特許出願第62/487,215号の優先権を主張し、その全体を参照により本明細書に組み込む。
本発明は、概して、キメラ抗原受容体(CAR)が発現されるように操作した免疫細胞(例えば、T細胞)の使用により疾患を治療することに関する。
【背景技術】
【0002】
キメラ抗原受容体T(CAR-T)細胞は、臨床に入り、非常に有望な結果を実証した(Maus, M. et al., 2014, Blood 123, 2625-35)。対象の大多数は、対象自身のT細胞に由来する自家CAR-T細胞で治療しているが、健常なドナーに由来する同種異系CAR-T細胞は、より商業的に実現性のある容易に入手可能な(off-the-shelf)選択肢を提供し、広範な対象を治療する可能性を有する。
同種異系CAR-T細胞は、健常なドナー由来のT細胞に、腫瘍関連抗原により特異的に活性化されるCARを賦与することにより生成する。ドナー不適合性は、同種異系移植で観察されているように、移植片対宿主(GvH)疾患、または宿主対移植片(HvG)拒絶反応によるCAR-T細胞の排除を生じ得る。対象の免疫系によって同種異系T細胞が拒絶されると、同種異系CAR-T細胞の残留性が制限され、自家CAR-T細胞と比較して有効性が低下する恐れがある(Berger, C. et al., 2015, Cancer Immunol Res 3, 206-16;Kochenderfer, J. et al., 2013, Blood 122, 4129-39)。これは、固形腫瘍のような状況において特に重要となる可能性があり、この場合、CAR-Tの長期残留性が持続的応答に重要となり得る。
したがって、残留性を改善した同種異系CAR-T細胞の必要性がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、主要組織適合クラスI(MHCクラスI)細胞表面発現を下方制御する組成物および方法、ならびに遺伝子改変T細胞(例えば、キメラ抗原受容体T(CAR-T)細胞のような遺伝子改変抗原特異的T細胞)の機能活性を改善するためのこのような組成物および方法の使用を提供する。特には、本発明は、CAR-T細胞の治療有効性を支持するための方法および組成物を提供する。理論に拘束されないが、ウイルスタンパク質が発現すると、MHCクラスI細胞表面発現が減少してT細胞認識が低下し、これによりインビボでの残留性が増加して、結果的にCAR-T細胞の有効性が改善される。
一態様では、本発明は、ウイルスタンパク質を含まない単離したT細胞の主要組織適合複合体(MHC)クラスIの細胞表面発現レベルと比較して、MHCクラスIの細胞表面発現レベルを減少させるウイルスタンパク質、ならびに細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を含む単離したT細胞を提供する。
【0004】
いくつかの実施形態では、ウイルスタンパク質は、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)タンパク質、アデノウイルスタンパク質、ヘルペスウイルスタンパク質、またはヒト免疫不全ウイルスタンパク質であり得る。いくつかの実施形態では、ウイルスタンパク質は、BFP、ICP47、K3、K5、E19、US3、US6、US2、U21、Nef、US10またはU21であり得る。いくつかの実施形態では、ウイルスタンパク質は、K5であり得る。いくつかの実施形態では、単離したT細胞は、いかなる検出可能なMHCクラスI分子もその表面に発現しない。いくつかの実施形態では、本発明の単離したT細胞は、CARおよびMHCクラスI細胞表面発現を下方制御するウイルスタンパク質を発現する。
いくつかの実施形態では、ウイルスタンパク質は、CARを含むがウイルスタンパク質を含まない単離したT細胞のCARの細胞表面発現レベルと比較して、CARの細胞表面発現を著しくは減少させない。
【0005】
いくつかの実施形態では、単離したT細胞は、NK細胞アンタゴニストをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、NK細胞アンタゴニストは、抗NK細胞阻害受容体抗体であり得る。いくつかの実施形態では、抗NK細胞阻害受容体抗体は、一本鎖可変断片(scFv)を含む。いくつかの実施形態では、抗NK細胞阻害受容体抗体は、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)、CD94-NKG2A/C/Eヘテロ二量体、2B4(CD244)受容体、またはキラー細胞レクチン様受容体G1(KLRG1)受容体に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、KIRは、KIR2DL1、KIR2DL2、KIR2DL3、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR3DL3、KIR2DL5A、KIR2DL5BまたはKIR2DL4であり得る。
いくつかの実施形態では、単離したT細胞は、CARを含むがウイルスタンパク質を含まない単離したT細胞のインビボでの残留性と比較して、インビボでの残留性の改善を示す。
いくつかの実施形態では、単離したT細胞は、CARを含むがウイルスタンパク質を含まない単離したT細胞により誘発される移植片対宿主疾患(GVHD)応答と比較して、組織不適合レシピエントにおいてGVHD応答をまったく誘発しないか、または誘発が減少する。いくつかの実施形態では、レシピエントは、ヒトまたはサルである。
【0006】
別の態様では、本発明は、ウイルスタンパク質を含まない単離したT細胞の主要組織適合複合体(MHC)クラスIの細胞表面発現レベルと比較して、MHCクラスIの細胞表面発現レベルを減少させるウイルスタンパク質、ならびに細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を含む複数の単離したT細胞を含む、CAR-T細胞集団を提供する。
いくつかの実施形態では、MHCクラスIの細胞表面発現レベルは、ウイルスタンパク質を含まないT細胞上のMHCクラスIの細胞表面発現レベルと比較して、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%または100%減少する。いくつかの実施形態では、MHCクラスIの細胞表面発現レベルは、フローサイトメトリーにより測定され得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、CARおよび選択されるウイルスタンパク質を含む本発明のT細胞を投与すると、拒絶反応は、ウイルスタンパク質を発現しないT細胞の投与と比較して、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%または100%減少する。いくつかの実施形態では、ウイルスタンパク質は、表1から選択される。
いくつかの実施形態では、CARおよびウイルスタンパク質を含む本発明のT細胞を投与すると、応答の持続時間は、ウイルスタンパク質を発現しないT細胞の投与と比較して、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%または100%増加する。いくつかの実施形態では、ウイルスタンパク質は、表1から選択される。
いくつかの実施形態では、CARおよびウイルスタンパク質を含む本発明のT細胞を投与すると、残留性は、ウイルスタンパク質を発現しないT細胞の投与と比較して、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%または100%改善する。いくつかの実施形態では、ウイルスタンパク質は、表1から選択される。
【0008】
いくつかの実施形態では、CARおよびウイルスタンパク質を含む本発明のT細胞を投与すると、GVHDの発症率は、ウイルスタンパク質を発現しないT細胞の投与と比較して、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%または100%減少する。いくつかの実施形態では、ウイルスタンパク質は、表1から選択される。
別の態様では、本発明は、単離したT細胞を生成する方法であって、細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含むCARを発現するT細胞を、ウイルスタンパク質が発現されるように改変するステップを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、抗NK細胞アンタゴニストが発現されるようにT細胞を改変するステップをさらに含み得る。
いくつかの実施形態では、ウイルスタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、例えば、これに限定されないが、エレクトロポレーションによって細胞に導入され得る。
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体をコードするポリヌクレオチドは、トランスポゾン/トランスポザーゼ系、ウイルスベースの遺伝子導入系またはエレクトロポレーションによって細胞に導入され得る。
いくつかの実施形態では、ウイルスベースの遺伝子導入系は、組換えレトロウイルスまたはレンチウイルスを含む。
いくつかの実施形態では、抗NK細胞アンタゴニストが発現されるようにT細胞を改変するステップは、NK細胞アンタゴニストをコードするポリヌクレオチドを、例えば、これに限定されないが、エレクトロポレーションによって細胞に導入することを含む。
【0009】
別の態様では、本発明は、ウイルスタンパク質を含まない単離したT細胞の主要組織適合複合体(MHC)クラスIの細胞表面発現レベルと比較して、MHCクラスIの細胞表面発現レベルを減少させるウイルスタンパク質、ならびに細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を含む単離したT細胞を含む、障害の治療における使用のための医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、NK細胞アンタゴニストをさらに含む。
いくつかの実施形態では、障害は、がん、自己免疫疾患、または感染症であり得る。いくつかの実施形態では、細胞は、複数回提供され得る。いくつかの実施形態では、細胞は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7日またはそれ以上の間隔で対象に提供され得る。いくつかの実施形態では、障害は、ウイルス性疾患、細菌性疾患、がん、炎症性疾患、免疫疾患、または加齢に伴う疾患であり得る。
【0010】
別の態様では、本発明は、ウイルスタンパク質を含まない単離したT細胞の主要組織適合複合体(MHC)クラスIの細胞表面発現レベルと比較して、MHCクラスIの細胞表面発現レベルを減少させるウイルスタンパク質、ならびに細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を含む単離したT細胞を投与するステップを含む、対象において障害を治療するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、NK細胞アンタゴニストを投与するステップをさらに含む。別の態様では、本発明は、CARおよびウイルスタンパク質を発現するT細胞集団をレシピエント対象に投与するステップを含む、レシピエント対象においてGVHDを減少させる方法を提供する。別の態様では、本発明は、CARおよびウイルスタンパク質を発現するT細胞集団をレシピエント対象に投与するステップを含む、レシピエント対象において残留性を改善した方法を提供する。別の態様では、本発明は、CARおよびウイルスタンパク質を発現するT細胞集団をレシピエント対象に投与するステップを含む、レシピエント対象において持続的応答時間を延長する方法を提供する。いくつかの実施形態では、ウイルスタンパク質は、表1から選択される。
本発明の方法のいくつかの実施形態では、単離したT細胞は、NK細胞アンタゴニストをさらに含むことができる。
本発明の方法のいくつかの実施形態では、NK細胞アンタゴニストは、抗NK細胞阻害受容体抗体であり得る。いくつかの実施形態では、抗NK細胞阻害受容体抗体は、抗KIR抗体であり得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、細胞は、対象に複数回提供され得る。本発明の方法のいくつかの実施形態では、単離したT細胞の投与前に、対象は、治療薬であらかじめ治療されていてもよい。いくつかの実施形態では、治療薬は、抗体または化学療法剤であり得る。いくつかの実施形態では、障害は、ウイルス性疾患、細菌性疾患、がん、炎症性疾患、免疫疾患、または加齢に伴う疾患であり得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、がんは、血液悪性腫瘍または固形がんであり得る。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好酸球性白血病(CEL)、骨髄異形成症候群(MDS)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、または多発性骨髄腫(MM)から選択され得る。いくつかの実施形態では、固形がんは、胆道がん、膀胱がん、骨軟部癌、脳腫瘍、乳がん、子宮頸がん、結腸がん、結腸直腸腺癌、結腸直腸がん、類腱腫、胚性がん、子宮内膜がん、食道がん、胃がん、胃腺癌、多形神経膠芽腫、婦人科腫瘍、頭頸部扁平上皮癌、肝がん、肺がん、悪性黒色腫、骨肉腫、卵巣がん、膵がん、膵管腺癌、原発星細胞腫、原発甲状腺がん、前立腺がん、腎がん、腎細胞癌、横紋筋肉腫、皮膚がん、軟部肉腫、精巣胚細胞腫瘍、尿路上皮がん、子宮肉腫、または子宮がんから選択され得る。
いくつかの実施形態では、方法は、1つまたは複数の追加の治療薬を対象に投与するステップを含むことができる。いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、抗体または化学療法剤であり得る。
【0013】
別の態様では、本発明は、(i)ウイルスタンパク質を含まない単離したT細胞の主要組織適合複合体(MHC)クラスI分子の細胞表面発現レベルと比較して、MHCクラスI分子の細胞表面発現レベルを減少させるウイルスタンパク質と、(ii)キメラ抗原受容体(CAR)とをコードするポリヌクレオチドであって、(i)および(ii)が同時発現する、ポリヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態では、(i)および(ii)のコード配列は、同一のプロモーターに動作可能に結合する。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、(iii)NK細胞アンタゴニストをさらにコードする。
別の態様では、本発明は、(i)ウイルスタンパク質を含まない単離したT細胞の主要組織適合複合体(MHC)クラスI分子の細胞表面発現レベルと比較して、MHCクラスI分子の細胞表面発現レベルを減少させるウイルスタンパク質と、(ii)キメラ抗原受容体(CAR)とをコードするポリヌクレオチドであって、(i)および(ii)が同時発現する、ポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。いくつかの実施形態では、ベクターは、ウイルスベクターであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】ウイルスタンパク質US11を同時発現するCAR+ジャーカット細胞のサイトメトリー分析の結果をまとめるグラフである。Y軸は、CAR発現量を示し、X軸は、MHCクラスI発現量を示す。
【
図1B】ウイルスタンパク質K5を同時発現するCAR+ジャーカット細胞のサイトメトリー分析の結果をまとめるグラフである。Y軸は、CAR発現量を示し、X軸は、MHCクラスI発現量を示す。
【
図2】CARまたはウイルスタンパク質(左の棒グラフ、「-」)を発現しない細胞の、CARおよび指示するウイルスタンパク質(右の棒グラフ、「+」)を発現する細胞と比較したMHCクラスI表面発現レベルをまとめるグラフである。GMFI=幾何平均蛍光強度。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、CAR-T細胞のインビボでの残留性および治療有効性を改善するための方法および組成物を提供する。主要組織適合複合体(MHC)クラスI細胞表面発現を下方制御する組成物および方法を本明細書において提供する。また、CAR-T細胞のような単離したT細胞の機能活性を改善するための、このような組成物および方法の使用を提供する。また、残留性を改善したCAR-T細胞、およびこのようなCAR-T細胞を、障害を治療するために使用する方法を本明細書において提供する。
【0016】
一般的技術
本発明の実践では、他に指示しない限り、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の在来の技術を利用し、これらは当分野の技術の範囲内にある。このような技術は、分子クローニング:A Laboratory Manual, second edition (Sambrook et al., 1989) Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis (M.J. Gait, ed., 1984);Methods in Molecular Biology, Humana Press;細胞生物学:A Laboratory Notebook (J.E. Cellis, ed., 1998) Academic Press;Animal Cell Culture (R.I. Freshney, ed., 1987);Introduction to Cell and Tissue Culture (J.P. Mather and P.E. Roberts, 1998) Plenum Press;細胞および組織培養:Laboratory Procedures (A. Doyle, J.B. Griffiths, and D.G. Newell, eds., 1993-1998) J. Wiley and Sons;Methods in Enzymology (Academic Press, Inc.);Handbook of Experimental Immunology (D.M. Weir and C.C. Blackwell, eds.);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (J.M. Miller and M.P. Calos, eds., 1987);Current Protocols in Molecular Biology (F.M. Ausubel et al., eds., 1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction, (Mullis et al., eds., 1994);Current Protocols in Immunology (J.E. Coligan et al., eds., 1991);Short Protocols in Molecular Biology (Wiley and Sons, 1999);Immunobiology (C.A. Janeway and P. Travers, 1997);Antibodies (P. Finch, 1997);抗体:a practical approach (D. Catty., ed., IRL Press, 1988-1989);モノクローナル抗体:a practical approach (P. Shepherd and C. Dean, eds., Oxford University Press, 2000);抗体の使用:a laboratory manual (E. Harlow and D. Lane (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1999);The Antibodies (M. Zanetti and J.D. Capra, eds., Harwood Academic Publishers, 1995)のような文献において十分に説明される。
【0017】
定義
本明細書において使用する場合、「自家」は、対象を治療するために使用する細胞、細胞株、または細胞集団が、この対象に由来することを意味する。
本明細書において使用する場合、「同種異系」は、対象を治療するために使用する細胞または細胞集団が、この対象に由来せず、ドナーに由来することを意味する。
本明細書において使用する場合、用語「内在性」は、生物、細胞、組織または系に由来するか、またはその内部で産生される任意の物質を指す。
本明細書において使用する場合、用語「外因性」は、生物、細胞、組織または系の外部から導入されるか、またはそれらの外部で産生される任意の物質を指す。
【0018】
本明細書において使用する場合、「免疫細胞」は、自然および/または適応免疫応答の開始および/または実行に機能的に関与する造血系由来の細胞を指す。免疫細胞の例としては、T細胞、例えば、アルファ/ベータT細胞およびガンマ/デルタT細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、マスト細胞、ならびに骨髄球系食細胞が挙げられる。
本明細書において使用する場合、用語「発現」は、プロモーターにより促進される特定のヌクレオチド配列の転写および/または翻訳を指す。
【0019】
本明細書において使用する場合、「発現ベクター」は、発現するヌクレオチド配列に動作可能に結合する発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含むベクターを指す。発現ベクターは、組換えポリヌクレオチドを組み込む、コスミド、プラスミド(例えば、裸の、またはリポソームに含まれる)およびウイルス(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス)を含む、当技術分野において公知のすべてのものを含む。
【0020】
本明細書において使用する場合、「動作可能に結合」は、単一の核酸断片上の核酸配列が会合して、一方の機能が他方によって影響されることを指す。例えば、プロモーターは、そのコード配列の発現に影響することが可能である(すなわち、コード配列がプロモーターの転写制御下にある)場合、コード配列と動作可能に結合する。
本明細書において使用する場合、「発現制御配列」は、核酸の転写を方向づける核酸配列を意味する。発現制御配列は、プロモーター、例えば、構成型もしくは誘導型プロモーター、またはエンハンサーであり得る。発現制御配列は、転写される核酸配列に動作可能に結合する。
【0021】
「プロモーター」および「プロモーター配列」は、互換的に使用され、コード配列または機能性RNAの発現を制御することが可能なDNA配列を指す。一般に、コード配列は、プロモーター配列に対して3’に位置する。種々のプロモーターが、種々の組織もしくは細胞型において、または種々の発生段階において、または種々の環境的もしくは生理的条件に応じて遺伝子の発現を方向づけし得ることが当業者により理解される。
本発明の任意のベクターについては、ベクターは、本明細書に開示のプロモーターを含んでもよい。
「宿主細胞」は、ポリヌクレオチド挿入断片を組み込むためのベクターのレシピエントであり得るか、またはそのレシピエントであった個々の細胞または細胞培養物を含む。宿主細胞は、単一宿主細胞の後代を含み、この後代は、自然、偶発的、または計画的変異のために、元の親細胞と必ずしも完全に同一(形態学またはゲノムDNA相補性において)でなくてもよい。宿主細胞は、本発明のポリヌクレオチドによりインビボでトランスフェクトした細胞を含む。
【0022】
用語「細胞外リガンド結合ドメイン」は、本明細書において使用する場合、リガンドに結合可能なオリゴペプチドまたはポリペプチドを指す。好ましくは、ドメインは、細胞表面分子と相互作用可能となる。例えば、細胞外リガンド結合ドメインは、特定の病状と関連する標的細胞の細胞表面マーカーとして作用するリガンドを認識するように選択され得る。
用語「stalkドメイン」は、膜貫通ドメインを細胞外リガンド結合ドメインに結合させるように機能する、任意のオリゴペプチドまたはポリペプチドを指すために本明細書において使用する。特には、stalkドメインは、細胞外リガンド結合ドメインのさらなる可動性および接触性をもたらすために使用する。
用語「細胞内シグナル伝達ドメイン」は、エフェクターシグナル機能シグナルを形質導入し、細胞が特殊化した機能を実行するように方向づけるタンパク質の部分を指す。
「共刺激分子」は、本明細書において使用する場合、共刺激リガンドと特異的に結合し、これにより細胞による共刺激応答、例えば、これに限定されないが、増殖を媒介する、T細胞上の同族結合パートナーを指す。共刺激分子は、MHCクラスI分子、BTLAおよびTollリガンド受容体を含むが、これらに限定されない。共刺激分子の例としては、CD27、CD28、CD8、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3およびCD83と特異的に結合するリガンド等を含む。
【0023】
「共刺激リガンド」は、T細胞上の同族共刺激シグナル分子を特異的に結合させ、これにより、例えば、TCR/CD3複合体がペプチドを充填したMHC分子と結合することにより生じる一次シグナルに加えて、これらに限定されないが、増殖の活性化、分化等を含むT細胞応答を媒介するシグナルをもたらす、抗原提示細胞上の分子を指す。共刺激リガンドは、CD7、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、PD-L1、PD-L2、4-1BBL、OX40L、誘導性共刺激リガンド(ICOS-L)、細胞間接着分子であるICAM、CD30L、CD40、CD70、CD83、HLA-G、MICA、M1CB、HVEM、リンホトキシンβ受容体、3/TR6、ILT3、ILT4、Tollリガンド受容体を結合させるアゴニストまたは抗体、およびB7-H3と特異的に結合するリガンドを含み得るが、これらに限定されない。共刺激リガンドは、とりわけ、これらに限定されないが、CD27、CD28、4-1BB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原1(LFA-1)、CD2、CD7、LTGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンドのような、T細胞上に存在する共刺激分子と特異的に結合する抗体をも包含する。
【0024】
「抗体」は、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチド等のような標的に、免疫グロブリン分子の可変領域に位置する少なくとも1つの抗原認識部位を介して特異的に結合することが可能な免疫グロブリン分子である。本明細書において使用する場合、この用語は、インタクトなポリクローナルまたはモノクローナル抗体だけでなく、その抗原結合断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2およびFv)、ならびに例えば、これらに限定されないが、一本鎖(scFv)およびドメイン抗体(例えば、サメおよびラクダ抗体を含む)を含む抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の他の任意の改変した構造、ならびに抗体を含む融合タンパク質をも包含する。抗体は、IgG、IgAもしくはIgM(またはそのサブクラス)のような任意のクラスの抗体を含み、抗体は、特定の任意のクラスのものである必要はない。その重鎖の定常領域の抗体アミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは、種々のクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMが存在し、これらのいくつかは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2のようなサブクラス(アイソタイプ)にさらに分けることができる。免疫グロブリンの種々のクラスに対応する重鎖定常領域は、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、およびミューとそれぞれ呼ばれる。免疫グロブリンの種々のクラスのサブユニット構造および3次元構造は、周知である。
【0025】
抗体の「抗原結合断片」または「抗原結合部分」の用語は、本明細書において使用する場合、所与の抗原に特異的に結合する能力を保持するインタクトな抗体の1つまたは複数の断片を指す。抗体の抗原結合機能は、インタクトな抗体の断片により実行することができる。抗体の「抗原結合断片」の用語に包含する結合断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、VHおよびCH1ドメインからなるFd断片、抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFv断片、単一ドメイン抗体(dAb)断片(Ward et al., Nature 341:544-546, 1989)ならびに単離した相補性決定領域(CDR)が挙げられる。
【0026】
標的に「特異的に結合する」抗体、抗体結合体、またはポリペプチドは、当技術分野において十分理解された用語であり、このような特異的結合を判定する方法はまた、当技術分野において周知である。分子は、代替細胞または物質と反応または会合するよりも、より頻繁に、より急速に、より長い持続時間で、および/またはより高い親和性で特定の細胞または物質と反応または会合する場合、「特異的結合」を示すと言われる。抗体は、他の物質に結合するよりも、より高い親和性、アビディティで、より容易に、および/またはより長い持続時間で結合する場合、標的に「特異的に結合する」。本定義を通読することにより、例えば、第1の標的に特異的に結合する抗体(または部分もしくはエピトープ)が、第2の標的に特異的に結合するかどうかは分からないことがまた理解される。したがって、「特異的結合」は、(含み得るとしても)排他的結合を必ずしも条件としない。
【0027】
抗体の「可変領域」は、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域を単独で、または組み合わせて指す。当技術分野において公知のように、重および軽鎖の可変領域は、それぞれ、超可変領域としても知られる3つの相補性決定領域(CDR)により連結する4つのフレームワーク領域(FR)からなる。各鎖のCDRは、他方の鎖のCDRとFRに隣接して結び付いており、抗体の抗原結合部位の形成に寄与している。CDRを判定するための少なくとも2つの技術が存在する:(1)異種間配列多様性に基づいた手法(すなわち、Kabat et al. Sequences of Proteins of Immunological Interest, (5th ed., 1991, National Institutes of Health, Bethesda MD));および(2)抗原-抗体複合体の結晶学的研究に基づいた手法(Al-lazikani et al., 1997, J. Molec. Biol. 273:927-948)。本明細書において使用する場合、CDRは、いずれかの手法または両方の手法の併用により定義されるCDRを指すことができる。
【0028】
可変ドメインの「CDR」は、Kabat、Chothiaの定義、KabatとChothiaの両方の蓄積、AbM、接触、および/または立体構造の定義、または当技術分野において周知のCDR判定の任意の方法に従って同定される可変領域内のアミノ酸残基である。抗体CDRは、Kabatらにより最初に定義された超可変領域として同定することができる。例えば、Kabat et al., 1992, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, NIH, Washington D.C.を参照されたい。CDRの位置はまた、Chothiaらにより最初に定義された構造的ループ構造として同定することができる。例えば、Chothia et al., Nature 342:877-883, 1989を参照されたい。CDR同定のための他の手法としては、KabatとChothiaの譲歩案であり、Oxford Molecular社のAbM抗体モデリングソフトウェア(現在はAccelrys(登録商標)社)を使用して導出する「AbMの定義」、またはMacCallum et al., J. Mol. Biol., 262:732-745, 1996に記載の、観察される抗原接触に基づいたCDRの「接触の定義」が挙げられる。本明細書においてCDRの「立体構造の定義」と呼ぶ別の手法では、CDRの位置は、抗原結合にエンタルピー的に寄与する残基として同定することができる。例えば、Makabe et al., Journal of Biological Chemistry, 283:1156-1166, 2008を参照されたい。さらに他のCDRの境界の定義は、上記の手法のうちの1つに厳密には従わなくてもよいが、KabatのCDRの少なくとも1部分とやはり重複する。ただし、これらは、特定の残基もしくは残基の基またはCDR全体でさえも抗原結合に著しくは影響しないという予測または実験的知見を考慮して、短縮または延長することができる。本明細書において使用する場合、CDRは、手法の併用を含む、当技術分野において公知の任意の手法により定義されるCDRを指し得る。本明細書において使用する方法は、このような手法のいずれかに従って定義されるCDRを利用することができる。複数のCDRを含む所与の任意の実施形態では、CDRは、Kabat、Chothia、延長、AbM、接触、および/または立体構造の定義のいずれかに従って定義することができる。
【0029】
本発明の抗体は、当技術分野において周知の技術、例えば、組換え技術、ファージディスプレイ技術、合成技術、またはこのような技術もしくは当技術分野において容易に知ることができる他の技術の併用により生成することができる(例えば、Jayasena, S.D., Clin. Chem., 45: 1628-50, 1999およびFellouse, F.A., et al, J. MoI. Biol., 373(4):924-40, 2007を参照)。
【0030】
当技術分野において公知のように、「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、本明細書において互換的に使用する場合、任意の長さのヌクレオチドの鎖を指し、DNAおよびRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、改変したヌクレオチドまたは基、および/もしくはその類似体、またはDNAもしくはRNAポリメラーゼにより鎖に組み込むことが可能な任意の基質であり得る。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびその類似体のような改変したヌクレオチドを含むことができる。存在する場合は、ヌクレオチド構造への改変は、鎖の構築の前後に付与することができる。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分により中断され得る。ポリヌクレオチドは、例えば、標識成分との結合による重合後にさらに改変することができる。他の種類の改変としては、例えば、「キャップ」、天然発生ヌクレオチドの1つまたは複数の類似体との置換、ヌクレオチド間の改変、例えば、非荷電の連鎖間(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメート等)、および荷電した連鎖間(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート等)の改変;ペンダント部分を含む改変、例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、トキシン、抗体、シグナルペプチド、ポリ-L-リシン等);干渉物質(例えば、アクリジン、ソラレン等)による改変;キレート剤(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化金属等)を含む改変;アルキル化剤を含む改変;改変した連鎖間(例えば、アルファアノマー核酸等)の改変、ならびにポリヌクレオチドの非改変形態が挙げられる。さらに、通常、糖に存在する任意のヒドロキシ基は、例えば、ホスホン酸基、リン酸基により置換するか、標準的保護基により保護するか、もしくは、活性化して追加のヌクレオチドへの追加の連鎖を作成することができるか、または、固体支持体に結合させることができる。5’および3’末端OHは、リン酸化するか、またはアミンもしくは炭素原子1~20個の有機キャッピング基部分と置換することができる。他のヒドロキシはまた、標準的保護基に誘導体化することができる。ポリヌクレオチドはまた、例えば、2’-O-メチル-、2’-O-アリル、2’-フルオロ-または2’-アジド-リボース、炭素環状糖類似体、アルファ-またはベータ-アノマーの糖、エピマーの糖、例えば、アラビノース、キシロースまたはリキソース、ピラノースの糖、フラノースの糖、セドヘプツロース、非環状類似体および脱塩基ヌクレオシド類似体、例えば、メチルリボシドを含む、一般に当技術分野において公知のリボースまたはデオキシリボースの糖の類似形態を含むことができる。1つまたは複数のホスホジエステルの連鎖は、代替結合基により置換することができる。このような代替結合基は、P(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、COまたはCH2(「ホルムアセタール」)によりリン酸を置換する実施形態であって、各RまたはR’が独立してH、または置換もしくは非置換のアルキル(Cは1~20個)であり、このアルキルが、エーテル(-O-)連鎖、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニルまたはアラルジルを含んでもよい、実施形態を含むが、これらに限定されない。ポリヌクレオチドのすべての連鎖は、同一である必要はない。前述の記載は、RNAおよびDNAを含む、本明細書において言及する、すべてのポリヌクレオチドに適用する。
【0031】
本明細書において使用する場合、「トランスフェクション」は、外因性または異種性RNAまたはDNAが細胞により取り込まれることを指す。細胞は、外因性または異種性RNAまたはDNAが細胞内に導入されている場合、このようなRNAまたはDNAにより「トランスフェクト」されている。細胞は、トランスフェクトしたRNAまたはDNAが表現型の変化をもたらす場合、外因性または異種性RNAまたはDNAにより「形質転換」されている。形質転換するRNAまたはDNAは、細胞のゲノムを構成する染色体DNA内に組み込まれ(共有結合し)得る。
本明細書において使用する場合、「形質転換」は、核酸断片を宿主生物のゲノム内へ導入し、遺伝子的に安定な遺伝を生じさせることを指す。形質転換した核酸断片を含む宿主生物は、「トランスジェニック」または「組換え」または「形質転換」生物と呼ばれる。
【0032】
本明細書において使用する場合、「実質的に純粋」は、少なくとも50%純粋(すなわち、混入物を含まない)、より好ましくは少なくとも90%純粋、より好ましくは少なくとも95%純粋、さらにより好ましくは少なくとも98%純粋、および最も好ましくは少なくとも99%純粋である物質を指す。
【0033】
用語「競合する」は、抗体に関して本明細書において使用する場合、1次抗体、またはその抗原結合断片(もしくは部分)が、二次抗体、またはその抗原結合部分の結合と十分に類似する方法でエピトープに結合し、これにより1次抗体のその同族エピトープとの結合の結果が、二次抗体の非存在下での1次抗体の結合と比較して、二次抗体の存在下で検出可能に減少することを意味する。あるいは、二次抗体のそのエピトープとの結合も、1次抗体の存在下で検出可能に減少する可能性があるが、そうとは限らない。すなわち、二次抗体が、1次抗体のそのそれぞれのエピトープへの結合を阻害することなく、1次抗体は、その二次抗体のそのエピトープへの結合を阻害し得る。しかし、各抗体が、他の抗体のその同族エピトープまたはリガンドとの結合を、同程度または多かれ少なかれ、検出可能に阻害する場合、抗体は、そのそれぞれのエピトープの結合について、互いに「交差競合する」と言われる。競合および交差競合する抗体はともに、本発明により包含する。このような競合または交差競合が生じる機構(例えば、立体障害、立体構造変化、または共通エピトープ、もしくはその部分への結合)にかかわらず、このような競合および/または交差競合する抗体を本明細書において包含し、これらが本明細書に開示の方法に有用であり得ることを、当業者は、本明細書に提供する教示に基づいて理解するであろう。
【0034】
本明細書において使用する場合、「治療」は、有益または所望の臨床結果を得るための手法である。本発明の目的のために、有益または所望の臨床結果は、次:新生もしくは癌性細胞の増殖の減少(もしくは破壊)、新生細胞の転移の阻害、腫瘍サイズの収縮もしくは減少、疾患(例えば、がん)の寛解、疾患(例えば、がん)に起因する症状の減少、疾患(例えば、がん)を患う人のクオリティ・オブ・ライフの上昇、疾患(例えば、がん)を治療するのに必要とされる他の医薬の用量の減少、疾患(例えば、がん)の進行の遅延、疾患(例えば、がん)の治癒、および/または疾患(例えば、がん)を有する対象の生存の延長のうちの1つまたは複数を含むが、これらに限定されない。
「回復」は、治療を施さない場合と比較した、1つまたは複数の症状の減少、または改善を意味する。「回復」はまた、症状の持続時間の短縮または減少を含む。
【0035】
本明細書において使用する場合、薬物、化合物、または医薬組成物の「有効用量」または「有効量」は、1つまたは複数の任意の有益または所望の結果をもたらすのに十分な量である。予防的使用では、有益または所望の結果は、疾患の生化学的、組織学的および/または行動学的症状、疾患発症の間に呈するその合併症および中間病理学的表現型を含む、疾患のリスクの除去もしくは減少、重症度の低下、または発症の遅延を含む。治療的使用では、有益または所望の結果は、種々の疾患もしくは状態のうちの1つもしくは複数の症状(例えば、がん等)の発症率の減少もしくは回復、疾患を治療するのに必要とされる他の医薬の用量の減少、別の医薬の作用の増強、および/または疾患の進行の遅延のような臨床結果を含む。有効用量は、1回または複数回の投与により施すことができる。本発明の目的のために、薬物、化合物、または医薬組成物の有効用量は、予防的または治療的処置を直接的または間接的に達成するのに十分な量である。臨床状況において理解されるように、薬物、化合物、または医薬組成物の有効用量は、別の薬物、化合物、または医薬組成物と併用した場合に達成されるかどうかは分からない。したがって、「有効用量」は、1つまたは複数の治療薬を投与する状況において考えることができ、単一の薬剤は、1つまたは複数の他の薬剤と併用して、所望の結果が達成され得るか、または達成される場合に、有効量与えられると考えることができる。
本明細書において使用する場合、「対象」は、任意の哺乳動物、例えば、ヒト、またはサルである。哺乳動物は、家畜、競技用動物、ペット、霊長類、ウマ、イヌ、ネコ、マウスおよびラットを含むが、これらに限定されない。例示的実施形態では、対象は、ヒトである。例示的実施形態では、対象は、サル、例えば、カニクイザルである。
【0036】
本明細書において使用する場合、「ベクター」は、宿主細胞において1つまたは複数の目的の遺伝子または配列を送達、および好ましくは発現することが可能な構築物を意味する。ベクターの例としては、ウイルスベクター、裸のDNAまたはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミドまたはファージベクター、カチオン性縮合剤と関連するDNAまたはRNA発現ベクター、リポソームに被包されるDNAまたはRNA発現ベクター、および特定の真核細胞、例えば、産生細胞を含むが、これらに限定されない。
【0037】
本明細書において使用する場合、「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容される賦形剤」は、活性成分と混合する場合、成分が生物活性を保持することを可能とし、対象の免疫系に非反応性である任意の物質を含む。例としては、リン酸緩衝生理食塩溶液、水、油/水乳濁液のような乳濁液、および各種の湿潤剤のような任意の標準的医薬担体を含むが、これらに限定されない。エアロゾルまたは非経口投与用の好ましい希釈剤は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)または通常(0.9%)の生理食塩水である。このような担体を含む組成物は、周知の在来の方法により処方する(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th edition, A. Gennaro, ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 1990;およびRemington, The Science and Practice of Pharmacy 21st Ed. Mack Publishing, 2005を参照)。
本明細書において使用する場合、「同種異系反応性」は、胸腺での発生の間に遭遇しなかったMHC複合体をT細胞が認識する能力を指す。同種異系反応性は、宿主対移植片拒絶反応および移植片対宿主疾患として臨床的に現れる。
本明細書において「およそ/約(about)」の値またはパラメータに言及する場合、その値またはパラメータそれ自体を指示する実施形態を含む(および記載する)。例えば、「約X」に言及する記載は、「X」の記載を含む。数値範囲は、その範囲を定義する数値を含む。
本明細書において「含む」という言葉を用いて実施形態を記載する場合はいつでも、「からなる」および/または「から本質的になる」という意味において記載される、別の類似の実施形態もまた提供されることが理解される。
【0038】
本発明の態様または実施形態をマーカッシュ群または代替の他の分類により記載する場合、本発明は、群の各メンバーのそれぞれ、および主群の可能なすべての亜群を除いて、まとめて列挙する群全体だけでなく、群のメンバーのうちの1つまたは複数を欠く主群をも包含する。本発明はまた、主張する発明における、群の任意のメンバーのうちの1つまたは複数を明示的に除外することを想定する。
【0039】
他に定義しない限り、本明細書において使用する、すべての技術的および科学的用語は、本発明の属する技術分野の当業者により一般に理解されるものと同一の意味を有する。矛盾する場合は、定義を含む本明細書により規制する。本明細書および特許請求の範囲を通じて、単語「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」のような変形は、定める整数または整数の群を包含することを意味するが、他の任意の整数または整数の群を除外することを意味しないことが理解される。状況により他に必要としない限り、単数形の用語は、複数を含むものとし、複数形の用語は、単数を含むものとする。
例示的方法および材料を本明細書において記載するが、本明細書に記載のものと類似または等価の方法および材料もまた本発明の実践または試験において使用することができる。材料、方法、および例は、単なる例示であり、限定することは意図しない。
【0040】
改善された単離T細胞
主要組織適合複合体クラス(MHC)I細胞表面発現を下方制御する組成物および方法を本明細書において提供する。単離したT細胞、例えばCAR-T細胞の機能活性を改善するためのこのような組成物および方法の使用をまた提供する。本明細書において提供する方法および組成物は、CAR-T細胞のインビボでの残留性および治療有効性を改善するのに有用である。
本明細書において提供する単離したT細胞は、(i)MHCクラスI細胞表面発現を下方制御するウイルスタンパク質および(ii)キメラ抗原受容体(CAR)を発現する。好適には、本明細書において提供する単離したT細胞は、ウイルスタンパク質を発現しない細胞と比較して、インビボでの残留性の改善を示す。好ましくは、ウイルスタンパク質は、単離したT細胞のCAR細胞表面発現を減少させない。
【0041】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供する単離したT細胞は、(iii)NK細胞活性を阻害するタンパク質をさらに含む。例えば、単離したT細胞は、例えば、抗NK細胞阻害受容体抗体を含む、NK細胞アンタゴニストを発現し得る。いくつかの実施形態では、抗NK細胞阻害受容体抗体は、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)、CD94-NKG2A/C/Eヘテロ二量体、2B4(CD244)受容体、キラー細胞レクチン様受容体G1(KLRG1)受容体、{Tom: Please list any other possibilities}に特異的に結合する。KIRは、例えば、KIR2DL1、KIR2DL2、KIR2DL3、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR3DL3、KIR2DL5A、KIR2DL5BおよびKIR2DL4であり得るが、これらに限定されない。本発明において有用な抗NK細胞阻害受容体抗体は、好ましくは、(a)強力な阻害シグナルを生成する受容体を標的とし、(b)NK細胞において第1に発現し、および/または(c)特異的かつ保存的エピトープを標的とし、このため、広範な対立遺伝子多様性により患者に適用可能である。
【0042】
ウイルスタンパク質は、MHCクラスI分子の細胞表面発現に干渉し得る任意のウイルスタンパク質であり得る。本発明において有用な例示的ウイルスタンパク質としては、BFP、ICP47、K3、K5、E19、U3、US6、US2、US11、Nef、U21、EBNA1、UL49.5、BNLF2a、CPXV203およびUS10を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ウイルスタンパク質は、サイトメガロウイルス(CMV)タンパク質、アデノウイルスタンパク質、ヘルペスウイルスタンパク質、またはヒト免疫不全ウイルスタンパク質であり得る。ウイルスタンパク質がMHCクラスI分子の細胞表面発現を下方制御するかどうかを判定するために、ウイルスタンパク質を発現する細胞において、ウイルスタンパク質を発現しない細胞のレベルと比較して、MHCクラスIの表面発現レベルを定量することができる。MHCクラスIの表面発現レベルを判定するためのアッセイは、当技術分野において公知である。例えば、細胞は、表面MHCクラスI発現をHLA-A、B、Cの抗体により染色して、後続のフローサイトメトリー(FACS)分析を行うことができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、ウイルスタンパク質を発現するT細胞上のMHCクラスIの細胞表面発現レベルは、ウイルスタンパク質を含まないT細胞上のMHCクラスIの細胞表面発現レベルと比較して、少なくとも約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%または100%減少し得る。
いくつかの実施形態では、本発明の単離したT細胞は、表1に列挙するウイルスタンパク質配列、またはウイルス配列を有するウイルス配列を含む(例えば、発現する)。
【0044】
【0045】
いくつかの実施形態では、本発明の単離したT細胞は、ICP47を含む(例えば、発現する)。いくつかの実施形態では、本発明の単離したT細胞は、例えばK3を含む(例えば、発現する)。いくつかの実施形態では、本発明の単離したT細胞は、K5を含む(例えば、発現する)。いくつかの実施形態では、本発明の単離したT細胞は、E19を含む(例えば、発現する)。いくつかの実施形態では、本発明の単離したT細胞は、US3を含む(例えば、発現する)。いくつかの実施形態では、本発明の単離したT細胞は、US6を含む(例えば、発現する)。いくつかの実施形態では、本発明の単離したT細胞は、US2を含む(例えば、発現する)。いくつかの実施形態では、本発明の単離したT細胞は、US11を含む(例えば、発現する)。いくつかの実施形態では、本発明の単離したT細胞は、Nefを含む(例えば、発現する)。いくつかの実施形態では、本発明の単離したT細胞は、U21を含む(例えば、発現する)。いくつかの実施形態では、本発明の単離したT細胞は、US10を含む(例えば、発現する)。いくつかの実施形態では、本発明の単離したT細胞は、EBNA-1を含む(例えば、発現する)。いくつかの実施形態では、本発明の単離したT細胞は、BNLF2aを含む(例えば、発現する)。いくつかの実施形態では、本発明の単離したT細胞は、UL49.5を含む(例えば、発現する)。いくつかの実施形態では、本発明の単離したT細胞は、CPXV203を含む(例えば、発現する)。
【0046】
本発明は、その特性に著しくは影響しない改変、ならびに活性および/または親和性を増強または減少させた変異体を有する機能的に等価なタンパク質を含む、表1に示す本発明の実施形態のタンパク質への改変を包含する。ポリペプチドの改変は、当技術分野において日常的に実践する業務であり、本明細書において詳細に記載する必要はない。改変ポリペプチドの例としては、機能活性を著しくは有害に変化させないか、もしくはそのリガンドに対するポリペプチドの親和性を成熟(増強)させる、アミノ酸残基の保存的置換、アミノ酸の1つもしくは複数の欠失もしくは付加を有するポリペプチド、または化学的類似体の使用が挙げられる。
【0047】
アミノ酸配列の挿入は、1残基から100以上の残基を含むポリペプチドまでの範囲の長さのアミノおよび/またはカルボキシ末端融合、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体またはエピトープタグと融合した抗体が挙げられる。
【0048】
置換変異体は、ウイルスタンパク質に少なくとも1つのアミノ酸残基の除去、およびその場所に異なる残基の挿入を有する。保存的置換は、表2の「保存的置換」の見出しの下に示す。このような置換により生物活性の変化が生じる場合、表2に「例示的置換」と命名する、すなわちアミノ酸クラスに関して以下にさらに記載するような、より実質的な変化を導入することができ、これはスクリーニングした結果である。
【0049】
【0050】
ウイルスタンパク質は、ウイルスタンパク質をコードするポリヌクレオチドを細胞内に導入した後にインサイチュで細胞において合成することができる。あるいは、ウイルスタンパク質は、細胞外で生成し、次いで、細胞内に導入することができる。ポリヌクレオチド構築物を細胞内に導入するための方法は、当技術分野において公知である。いくつかの実施形態では、安定な形質転換方法を使用して、ポリヌクレオチド構築物を細胞のゲノムに組み込むことができる。他の実施形態では、一過性形質転換方法を使用してポリヌクレオチド構築物、および細胞のゲノムに組み込まれないポリヌクレオチド構築物を一過性に発現させることができる。他の実施形態では、ウイルスによる方法を使用することができる。ポリヌクレオチドは、例えば、組換えウイルスベクター(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス)、リポソーム等のような、適した任意の手段により細胞内に導入することができる。一過性形質転換方法は、例えば、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションまたは微粒子銃を含むが、これらに限定されない。ポリヌクレオチドは、例えば、プラスミドベクターまたはウイルスベクターのようなベクターに含まれ得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、本発明の単離したT細胞は、少なくとも1つのウイルスタンパク質および少なくとも1つのCARを含むことができる。いくつかの実施形態では、単離したT細胞は、種々のウイルスタンパク質の少なくとも1つの集団および少なくとも1つのCARを含むことができる。いくつかの実施形態では、単離したT細胞は、少なくとも1つのウイルスタンパク質およびCARの集団を含むことができ、各CARは、種々の細胞外リガンド結合ドメインを含む。
【0052】
本明細書において提供する単離したT細胞のいくつかの実施形態では、CARは、細胞外リガンド結合ドメイン(例えば、一本鎖可変断片(scFv))、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含むことができる。いくつかの実施形態では、細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインは、1つのポリペプチド、すなわち、一本鎖に存在する。多連鎖CARおよびポリペプチドもまた、本明細書において提供する。いくつかの実施形態では、多連鎖CARは、膜貫通ドメインおよび少なくとも1つの細胞外リガンド結合ドメインを含む第1のポリペプチド、ならびに膜貫通ドメインおよび少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメインを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、ポリペプチドは、ともに集合して多連鎖CARを形成する。
【0053】
細胞外リガンド結合ドメインは、目的の標的に特異的に結合する。目的の標的は、例えば、これらに限定されないが、BCMA、EGFRvIII、Flt-3、WT-1、CD20、CD23、CD30、CD38、CD70、CD33、CD133、MHC-WT1、TSPAN10、MHC-PRAME、Liv1、ADAM10、CHRNA2、LeY、NKG2D、CS1、CD44v6、ROR1、CD19、クローディン18.2(クローディン18A2またはクローディン18アイソフォーム2)、DLL3(デルタ様タンパク質3、ショウジョウバエ(Drosophila)デルタ相同体3、デルタ3)、Muc17(ムチン17、Muc3、Muc3)、FAPアルファ(線維芽細胞活性化タンパク質アルファ)、Ly6G6D(リンパ球抗原6複合座タンパク質G6d、c6orf23、G6D、MEGT1、NG25)、RNF43(E3ユビキチン-タンパク質リガーゼRNF43、RINGフィンガータンパク質43)を含む、目的の任意の分子であり得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、細胞外リガンド結合ドメインは、可動性リンカーにより連結される標的抗原特異的モノクローナル抗体の軽鎖可変(VL)領域および重鎖可変(VH)領域を含むscFvを含む。一本鎖可変領域断片は、短鎖結合ペプチドを使用することによって軽および/または重鎖可変領域に結合させることにより生成する(Bird et al., Science 242:423-426, 1988)。結合ペプチドの例は、アミノ酸配列(GGGGS)3(配列番号16)を有するGSリンカーであり、これは一方の可変領域のカルボキシ末端と他方の可変領域のアミノ末端の間の約3.5nmを架橋する。他の配列のリンカーもデザインおよび使用されている(Bird et al., 1988、上記)。一般には、リンカーは、短鎖の可動性ポリペプチドであり、好ましくは、約20個以下のアミノ酸残基からなり得る。次いで、リンカーは、追加の機能、例えば、薬物の付着または固体支持体への付着に応じて改変することができる。一本鎖変異体は、組換えまたは合成により生成することができる。scFvの合成による生成では、自動合成機を使用することができる。scFvの組換えによる生成では、scFvをコードするポリヌクレオチドを含む、適したプラスミドを、酵母、植物、昆虫もしくは哺乳動物細胞のような真核、または大腸菌(E.coli)のような原核の適した宿主細胞に導入することができる。目的のscFvをコードするポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドのライゲーションのような日常的操作により生成することができる。得られたscFvは、当技術分野において公知の標準的タンパク質精製技術を使用して単離することができる。
【0055】
本発明によるCARの細胞内シグナル伝達ドメインは、細胞外リガンド結合ドメインが標的へ結合した後の細胞内シグナル伝達の原因となり、免疫細胞の活性化および免疫応答を生じる。細胞内シグナル伝達ドメインは、CARを発現する免疫細胞の正常エフェクター機能のうちの少なくとも1つを活性化する能力を有する。例えば、T細胞のエフェクター機能は、細胞溶解活性またはサイトカインの分泌を含むヘルパー活性であり得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、CARにおける使用のための細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、これらに限定されないが、T細胞受容体、および協調して作用し抗原受容体の会合後にシグナル伝達を開始させる共受容体の細胞質配列、ならびにこのような配列の任意の誘導体または変異体、および同一の機能を有する任意の合成配列であり得る。細胞内シグナル伝達ドメインは、2つの別個のクラス:抗原依存性1次活性化を開始させるクラス、および抗原非依存性に作用して二次または共刺激シグナルをもたらすクラスの細胞質シグナル伝達配列を含む。1次細胞質シグナル伝達配列は、ITAMの免疫受容体チロシンベース活性化モチーフとして知られるシグナル伝達モチーフを含むことができる。ITAMは、syk/zap70クラスチロシンキナーゼの結合部位として働く多様な受容体の細胞質内テールにおいて見出された、詳細に明らかにされているシグナル伝達モチーフである。本発明において使用するITAMの例としては、TCRζ、FcRγ、FcRβ、FcRε、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79bおよびCD66dに由来するものを非限定的な例として挙げることができる。いくつかの実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζシグナル伝達ドメインを含むことができる。いくつかの実施形態では、本発明のCARの細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激分子のドメインを含む。
いくつかの実施形態では、本発明のCARの細胞内シグナル伝達ドメインは、41BB(GenBank:AAA53133)およびCD28(NP_006130.1)の断片からなる群から選択される共刺激分子の一部を含む。
【0057】
CARは、細胞の表面膜上に発現する。したがって、CARは、膜貫通ドメインを含み得る。本明細書に開示のCARに適した膜貫通ドメインは、(a)細胞、好ましくは免疫細胞、例えば、これらに限定されないが、リンパ球細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞等の表面で発現させ、(b)リガンド結合ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインと相互作用して、あらかじめ定義された標的細胞に対する免疫細胞の細胞応答を方向づける能力を有する。膜貫通ドメインは、天然または合成のソースに由来し得る。膜貫通ドメインは、任意の膜結合または膜貫通タンパク質に由来し得る。非限定的な例として、膜貫通ポリペプチドは、α、β、γまたはδのようなT細胞受容体のサブユニット、CD3複合体を構成するポリペプチド、IL-2受容体p55(a鎖)、p75(β鎖)またはγ鎖、Fc受容体のサブユニット鎖、特にFcγ受容体IIIまたはCDタンパク質であり得る。あるいは、膜貫通ドメインは、合成することができ、ロイシンまたはバリンのような疎水性残基を主に含むことができる。いくつかの実施形態では、この膜貫通ドメインは、ヒトCD8α鎖(例えば、NP_001139345.1)に由来する。膜貫通ドメインは、細胞外リガンド結合ドメインと、この膜貫通ドメインの間にstalkドメインをさらに含むことができる。stalkドメインは、最大300個のアミノ酸、好ましくは10~100個のアミノ酸、最も好ましくは25~50個のアミノ酸を含むことができる。stalk領域は、天然発生分子の全部もしくは一部、例えば、CD8、CD4もしくはCD28の細胞外領域の全部もしくは一部、または抗体定常領域の全部もしくは一部に由来し得る。あるいは、stalkドメインは、天然発生のstalk配列に対応する合成配列であり得るか、または完全に合成のstalk配列であり得る。いくつかの実施形態では、このstalkドメインは、ヒトCD8α鎖(例えば、NP_001139345.1)の一部である。別の特定の実施形態では、この膜貫通ドメインは、ヒトCD8α鎖の一部を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のCARは、BCMAを特異的に結合させる細胞外リガンド結合ドメイン、CD8αヒトstalkおよび膜貫通ドメイン、CD3ζシグナル伝達ドメイン、ならびに4-1BBシグナル伝達ドメインを含み得る。いくつかの実施形態では、CARは、免疫細胞内に導入遺伝子としてプラスミドベクターを介して導入することができる。いくつかの実施形態では、プラスミドベクターはまた、例えば、ベクターを導入した細胞の同定および/または選択をもたらす選択マーカーを含むことができる。
【0058】
CARポリペプチドは、CARポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを細胞内に導入した後にインサイチュで細胞において合成することができる。あるいは、CARポリペプチドは、細胞外で生成し、次いで、細胞内に導入することができる。ポリヌクレオチド構築物を細胞内に導入するための方法は、当技術分野において公知である。いくつかの実施形態では、安定な形質転換方法を使用して、ポリヌクレオチド構築物を細胞のゲノムに組み込むことができる。他の実施形態では、一過性形質転換方法を使用してポリヌクレオチド構築物、および細胞のゲノムに組み込まれないポリヌクレオチド構築物を一過性に発現させることができる。他の実施形態では、ウイルスによる方法を使用することができる。ポリヌクレオチドは、例えば、組換えウイルスベクター(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス)、リポソーム等のような、適した任意の手段により細胞内に導入することができる。一過性形質転換方法は、例えば、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションまたは微粒子銃を含むが、これらに限定されない。ポリヌクレオチドは、ベクター、例えば、プラスミドベクターまたはウイルスベクター等に含まれ得る。
【0059】
本明細書に記載の方法のいずれか1つにより得られる単離したT細胞をまた本明細書において提供する。異種DNAを発現させることが可能な任意の免疫細胞は、目的のウイルスタンパク質およびCARを発現させる目的のために使用することができる。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、T細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、例えば、これに限定されないが、幹細胞に由来し得る。幹細胞は、成体幹細胞、非ヒト胚性幹細胞、より詳細には非ヒト幹細胞、臍帯血幹細胞、前駆細胞、骨髄幹細胞、誘導多能性幹細胞、全能性幹細胞または造血幹細胞であり得る。代表的ヒト細胞は、CD34+細胞である。単離した細胞はまた、樹状細胞、キラー樹状細胞、マスト細胞、NK細胞、B細胞、または炎症性Tリンパ球、細胞傷害性Tリンパ球、制御性Tリンパ球もしくはヘルパーTリンパ球からなる群から選択されるT細胞であり得る。いくつかの実施形態では、細胞は、CD4+Tリンパ球およびCD8+Tリンパ球からなる群に由来し得る。
【0060】
増殖および遺伝子改変前に、細胞のソースは、多様な非限定的方法により対象から得ることができる。細胞は、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位由来の組織、腹水、胸水、脾臓組織、および腫瘍を含む、多くの非限定的ソースから得ることができる。いくつかの実施形態では、利用可能かつ当業者に公知の任意の数のT細胞株を使用することができる。いくつかの実施形態では、細胞は、健常なドナー、がんと診断された対象、または感染症と診断された対象に由来し得る。いくつかの実施形態では、細胞は、種々の表現型特性を呈する細胞の混合集団の一部であり得る。
【0061】
本明細書に記載のいずれかの方法による形質転換したT細胞から得られる、細胞株をまた本明細書において提供する。いくつかの実施形態では、本発明による単離したT細胞は、ウイルスタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本発明による単離したT細胞は、ウイルスタンパク質をコードするポリヌクレオチドおよびCARをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本発明による単離したT細胞は、ウイルスタンパク質をコードするポリヌクレオチド、CARをコードするポリヌクレオチド、およびNK細胞アンタゴニストをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0062】
本発明の単離したT細胞は、例えば、これらに限定されないが、米国特許第6,352,694号、第6,534,055号、第6,905,680号、第6,692,964号、第5,858,358号、第6,887,466号、第6,905,681号、第7,144,575号、第7,067,318号、第7,172,869号、第7,232,566号、第7,175,843号、第5,883,223号、第6,905,874号、第6,797,514号、第6,867,041号、および米国特許出願公開第20060121005号に概して記載される方法を使用して、T細胞の遺伝子改変前または後に活性化および増殖させることができる。T細胞は、インビトロまたはインビボで増殖させることができる。一般には、本発明のT細胞は、例えば、T細胞表面上のCD3TCR複合体および共刺激分子を刺激する薬剤と接触させて、T細胞の活性化シグナルを生成することにより増殖させることができる。例えば、カルシウムイオノフォアA23187、ホルボール12-ミリステート13-アセテート(PMA)、または分裂促進レクチン様フィトヘマグルチニン(PHA)のような化学物質を使用して、T細胞の活性化シグナルを生成することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、T細胞集団は、例えば、抗CD3抗体もしくはその抗原結合断片、または表面上に固定化した抗CD2抗体と接触させることにより、あるいはカルシウムイオノフォアとの併用でプロテインキナーゼC活性化因子(例えば、ブリオスタチン)と接触させることによりインビトロで刺激することができる。T細胞表面上のアクセサリー分子の共刺激では、アクセサリー分子に結合させるリガンドを使用する。例えば、T細胞集団は、T細胞の増殖を刺激するのに適切な条件下で抗CD3抗体および抗CD28抗体と接触させることができる。T細胞培養に適切な条件は、血清(例えば、ウシ胎仔またはヒト血清)、インターロイキン2(IL-2)、インスリン、IFN-γ、IL-4、IL-7、GM-CSF、IL-10、IL-2、IL-15、TGFpおよびTNF、または当業者に公知の細胞の成長のための他の任意の添加物を含む、増殖および生存に必要な因子を含み得る適切な培地(例えば、最小必須培地またはRPMI培地1640またはX-vivo5(Lonza社))を含む。細胞の成長のための他の添加物は、界面活性物質、プラスマネートおよび還元剤、例えば、N-アセチル-システインおよび2-メルカプトエタノール(mercaptoethanoi)を含むが、これらに限定されない。培地は、RPMI1640、A1M-V、DMEM、MEM、a-MEM、F-12、X-Vivo1およびX-Vivo20、オプティマイザを、アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、およびビタミンを加えて、血清を含まずに、あるいは適切な量の血清(もしくは血漿)もしくは規定のセットのホルモン、ならびに/またはT細胞の成長および増殖に十分な量のサイトカインを補足して含むことができる。抗菌薬、例えば、ペニシリンおよびストレプトマイシンは、実験培養物のみに含み、対象に注入する細胞の培養物には含まない。標的細胞は、成長の支持に必要な条件下、例えば、適切な温度(例えば、37℃)および環境空気(例えば、プラス5%CO2の空気)に維持する。様々な刺激時間に曝露されたT細胞は、種々の特性を示し得る。
いくつかの実施形態では、本発明の細胞は、組織または細胞と共培養することにより増殖させることができる。細胞はまた、例えば、対象への細胞の投与後、対象の血液においてインビボで増殖させることができる。
【0064】
別の態様では、本発明は、本発明の細胞のいずれかを含む組成物(例えば、医薬組成物)を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、本明細書に記載のウイルスタンパク質のいずれかをコードするポリヌクレオチド、およびCARをコードするポリヌクレオチドを含む、単離したT細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、NK細胞アンタゴニストをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、NK細胞アンタゴニストは、抗NK細胞阻害受容体抗体である。
発現ベクターおよびポリヌクレオチド組成物の投与を本明細書においてさらに記載する。
別の態様では、本発明は、本明細書に記載のポリヌクレオチドのいずれかを生成する方法を提供する。
このような任意の配列と相補的なポリヌクレオチドをまた、本発明により包含する。ポリヌクレオチドは、一本鎖(コードするか、もしくはアンチセンス)または二本鎖であり得、DNA(ゲノム、cDNAもしくは合成)またはRNA分子であり得る。RNA分子は、イントロンを含みDNA分子に1対1で対応するHnRNA分子、およびイントロンを含まないmRNA分子を含む。追加のコードまたは非コード配列は、本発明のポリヌクレオチド内に存在し得るが、そうである必要はなく、ポリヌクレオチドは、他の分子および/または支持物質に結合し得るが、そうである必要はない。
【0065】
ポリヌクレオチドは、天然配列(すなわち、抗体またはその部分をコードする内在性配列)を含むことができるか、またはこのような配列の変異体を含むことができる。ポリヌクレオチド変異体は、1つまたは複数の置換、付加、欠失および/または挿入を含み、これにより、コードされるポリペプチドの免疫反応性は、天然の免疫反応分子と比較して減少しない。コードされるポリペプチドの免疫反応性に対する作用は、本明細書に記載のように一般に評価することができる。変異体は、天然抗体またはその部分をコードするポリヌクレオチド配列に対して、好ましくは少なくとも約70%の同一性、より好ましくは少なくとも約80%の同一性、さらにより好ましくは少なくとも約90%の同一性、および最も好ましくは少なくとも約95%の同一性を示す。
【0066】
2つの配列のヌクレオチドまたはアミノ酸の配列が、以下に記載のように最大対応関係で整列する場合に同一であるとき、2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列は、「同一」であると言われる。2つの配列間の比較は、典型的に、比較ウインドウにわたって配列を比較して、配列類似性の局所領域を同定および比較することにより行う。「比較ウインドウ」は、本明細書において使用する場合、少なくとも約20個、通常30~約75個、または40~約50個の隣接位置のセグメントを指し、このセグメントにおいて、2つの配列を最適に整列後、配列を同数の隣接位置の対照配列と比較することができる。
【0067】
比較のための配列の最適アライメントは、バイオインフォマティクスソフトウェアであるLasergeneスイートのMegalignプログラム(DNASTAR,Inc.、マディソン、WI)により、デフォルトのパラメータを使用して行うことができる。このプログラムは、次の参照文献に記載のいくつかのアライメントスキームを具体化する:Dayhoff, M.O., 1978, A model of evolutionary change in proteins - Matrices for detecting distant relationships。Dayhoff, M.O. (ed.)によるAtlas of Protein Sequence and Structure, National Biomedical Research Foundation, Washington DC Vol. 5, Suppl. 3, pp. 345-358;Hein J., 1990, Unified Approach to Alignment and Phylogenes pp. 626-645 Methods in Enzymology vol. 183, Academic Press, Inc., San Diego, CA;Higgins, D.G. and Sharp, P.M., 1989, CABIOS 5:151-153;Myers, E.W. and Muller W., 1988, CABIOS 4:11-17;Robinson, E.D., 1971, Comb. Theor. 11:105;Santou, N., Nes, M., 1987, Mol. Biol. Evol. 4:406-425;Sneath, P.H.A. and Sokal, R.R., 1973, Numerical Taxonomy the Principles and Practice of Numerical Taxonomy, Freeman Press, San Francisco, CA;Wilbur, W.J. and Lipman, D.J., 1983, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:726-730。
【0068】
好ましくは、「配列同一性の割合」は、2つの最適に整列させた配列を、少なくとも20個の位置の比較ウインドウにわたって比較することにより決定し、ここで、比較ウインドウのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の部分が、2つの配列の最適アライメントについて、対照配列(付加または欠失を含まない)と比較して、20パーセント以下、通常5~15パーセント、または10~12パーセントの付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。割合は、両方の配列において同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が生じた位置の数を決定して適合した位置の数を得、適合した位置の数を対照配列の位置の総数(すなわち、ウィンドウサイズ)で割り、結果に100を掛けて配列同一性の割合を得ることにより算出される。
【0069】
変異体も、またはあるいは、天然の遺伝子、またはその部分もしくは補体と実質的に相同であり得る。このようなポリヌクレオチド変異体は、中程度にストリンジェントな条件下で、天然抗体(または相補配列)をコードする天然発生DNA配列とハイブリダイズすることが可能である。
【0070】
適した「中程度にストリンジェントな条件」は、5×SSC、0.5%のSDS、1.0mMのEDTA(pH8.0)の溶液中での予洗、50℃~65℃、5×SSC、一晩のハイブリダイゼーション、その後、65℃で20分間、0.1%のSDSを含むそれぞれ2X、0.5Xおよび0.2XのSSCによる2回の洗浄を含む。
【0071】
本明細書において使用する場合、「高度にストリンジェントな条件」または「高ストリンジェント条件」は、(1)洗浄に低イオン強度および高温度、例えば、0.015Mの塩化ナトリウム/0.0015Mのクエン酸ナトリウム/0.1%のドデシル硫酸ナトリウムを50℃で利用すること、(2)ハイブリダイゼーションにおいてホルムアミドのような変性剤を利用すること、例えば、50%(v/v)のホルムアミドを、0.1%のウシ血清アルブミン/0.1%のフィコール/0.1%のポリビニルピロリドン/50mMのリン酸ナトリウム緩衝液とpH6.5で、750mMの塩化ナトリウム、75mMのクエン酸ナトリウムとともに42℃で利用、または(3)50%のホルムアミド、5×SSC(0.75MのNaCl、0.075Mのクエン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%のピロリン酸ナトリウム、5×デンハート液、超音波処理サケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%のSDSおよび10%のデキストラン硫酸を42℃で利用し、42℃で0.2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)および50%のホルムアミド55℃中で洗浄し、その後、EDTAを含む0.1×SSCからなる高ストリンジェントな洗浄を55℃で行うことである。当業者は、プローブ長等のような因子を適応させるために必要に応じて温度、イオン強度等を調整する方法を認識するであろう。
【0072】
遺伝暗号の縮重の結果として、本明細書に記載のポリペプチドをコードする多くのヌクレオチド配列が存在することは、当業者により理解されるであろう。このようなポリヌクレオチドのいくつかは、任意の天然遺伝子のヌクレオチド配列と最小限の相同性を有する。それにもかかわらず、コドンの使用頻度の相違のために変化するポリヌクレオチドを本発明により詳細に検討する。さらに、本明細書において提供するポリヌクレオチド配列を含む遺伝子の対立遺伝子は、本発明の範囲内にある。対立遺伝子は、ヌクレオチドの欠失、付加および/または置換のような1つまたは複数の変異の結果として変化する内在性遺伝子である。得られるmRNAおよびタンパク質は、構造または機能が変化し得るが、そうである必要はない。対立遺伝子は、標準的技術(例えば、ハイブリダイゼーション、増幅および/またはデータベース配列比較)を使用して同定することができる。
本発明のポリヌクレオチドは、化学合成、組換え法、またはPCRを使用して得ることができる。ポリヌクレオチド化学合成の方法は、当技術分野において周知であり、本明細書において詳細に記載する必要はない。当業者は、本明細書において提供する配列および市販のDNA合成機を使用して所望のDNA配列を生成することができる。
【0073】
組換え法を使用したポリヌクレオチドの調製では、所望の配列を含むポリヌクレオチドを適したベクター内に挿入することができ、次いで、ベクターを適した宿主細胞内に導入して、本明細書においてさらに考察するように、複製および増幅することができる。ポリヌクレオチドは、当技術分野において公知の任意の手段により宿主細胞内に挿入することができる。細胞は、直接取込み、エンドサイトーシス、トランスフェクション、F接合またはエレクトロポレーションによって外因性ポリヌクレオチドを導入することにより形質転換する。導入すると、外因性ポリヌクレオチドは、非組込みベクター(例えば、プラスミド)として細胞内に維持するか、宿主細胞ゲノム内に組み込むことができる。このように増幅したポリヌクレオチドは、当技術分野において周知の方法により宿主細胞から単離することができる。例えば、Sambrook et al., 1989を参照されたい。
【0074】
あるいは、PCRにより、DNA配列の複製が可能である。PCR技術は、当技術分野において周知であり、米国特許第4,683,195号、第4,800,159号、第4,754,065号および第4,683,202号ならびにPCR:The Polymerase Chain Reaction, Mullis et al. eds., Birkauswer Press, Boston, 1994に記載されている。
RNAは、適切なベクター内の単離したDNAを使用し、これを適した宿主細胞内に挿入することにより得ることができる。細胞が増殖し、DNAがRNAに転写されると、例えば、Sambrook et al., 1989、上記に記載のような当業者に周知の方法を使用してRNAを単離することができる。
【0075】
適したクローニングベクターは、標準的技術により構築し得るか、または当技術分野において利用可能な多数のクローニングベクターから選択され得る。選択されるクローニングベクターは、使用することを意図する宿主細胞に応じて異なり得るが、有用なクローニングベクターは、一般に、自己複製能力を有し、特定の制限エンドヌクレアーゼに対する単一の標的を有し得、かつ/またはベクターを含むクローンの選択に使用し得るマーカーの遺伝子を保有し得る。適した例としては、プラスミドおよび細菌ウイルス、例えば、pUC18、pUC19、ブルースクリプト(例えば、pBS SK+)およびその誘導体、mp18、mp19、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNAならびにシャトルベクター、例えば、pSA3およびpAT28が挙げられる。これらおよび他の多くのクローニングベクターは、BioRad社、Strategene社、およびInvitrogen社のような商業的供給元より入手可能である。
【0076】
発現ベクターは、一般に、本発明によるポリヌクレオチドを含む複製可能なポリヌクレオチド構築物である。発現ベクターが、エピソームとして、または染色体DNAの不可欠な部分として宿主細胞において複製可能でなければならないことを意味する。適した発現ベクターは、プラスミド;アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルスを含むウイルスベクター;コスミド;およびPCT公開WO87/04462号に開示の発現ベクターを含むが、これらに限定されない。ベクターの構成成分は、一般に、次:シグナル配列、複製起点、1つまたは複数のマーカー遺伝子、適した転写制御因子(例えば、プロモーター、エンハンサーおよびターミネーター)のうちの1つまたは複数を含み得るが、これらに限定されない。発現(すなわち、翻訳)のためには、例えば、リボソーム結合部位、翻訳開始部位、および終止コドンのような、1つまたは複数の翻訳制御因子をも通常必要とする。
【0077】
目的のポリヌクレオチドを含むベクターは、エレクトロポレーション;塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE-デキストラン、または他の物質を利用するトランスフェクション;微粒子銃;リポフェクション;および感染(例えば、ベクターがワクシニアウイルスのような感染病原体である場合)を含む、多数の適切な手段のいずれかにより宿主細胞内に導入することができる。導入ベクターまたはポリヌクレオチドの選択は、宿主細胞の特徴に依存することが多い。
【0078】
本明細書において開示するウイルスタンパク質またはCARをコードするポリヌクレオチドは、発現カセットまたは発現ベクター(例えば、細菌宿主細胞内への導入のためのプラスミド、または昆虫宿主細胞のトランスフェクションのためのバキュロウイルスベクターのようなウイルスベクター、または哺乳動物宿主細胞のトランスフェクションのためのレンチウイルスのようなプラスミドもしくはウイルスベクター)に存在し得る。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドまたはベクターは、例えば、これに限定されないが、2Aペプチドをコードする配列のような、リボソームスキップ配列をコードする核酸配列を含むことができる。ピコルナウイルスのアフトウイルスサブグループにおいて同定された2Aペプチドは、コドンによりコードされる2つのアミノ酸間のペプチド結合を形成せずに、あるコドンから次のコドンへとリボソーム「スキップ」を引き起こす((Donnelly and Elliott 2001;Atkins, Wills et al. 2007;Doronina, Wu et al. 2008)を参照)。「コドン」は、mRNA上(またはDNA分子のセンス鎖上)の3つのヌクレオチドを意味し、これらは、リボソームにより1つのアミノ酸残基に翻訳される。したがって、フレーム内の2Aオリゴペプチド配列によりポリペプチドが分離されている場合、imRNA内の単一の隣接オープンリーディングフレームから2つのポリヌクレオチドを合成することができる。このようなリボソームスキップ機構は、当技術分野において周知であり、単一のメッセンジャーRNAによりコードされるいくつかのタンパク質を発現させるために、いくつかのベクターにより使用されることで知られている。
【0079】
膜貫通ポリペプチドを宿主細胞の分泌経路に方向づけるために、いくつかの実施形態では、分泌シグナル配列(リーダー配列、プレプロ配列またはプレ配列としても知られる)をポリヌクレオチド配列またはベクター配列に設ける。分泌シグナル配列は、膜貫通核酸配列に動作可能に結合する、すなわち、正しいリーディングフレームにおいて2つの配列を連結し、新規合成したポリペプチドを宿主細胞の分泌経路に方向づけるように配置する。分泌シグナル配列は、一般に、目的のポリペプチドをコードする核酸配列に対して5’に配置するが、特定の分泌シグナル配列は、目的の核酸配列の他の場所に配置し得る(例えば、Welch et al.、米国特許第5,037,743号;Holland et al.、米国特許第5,143,830号を参照)。当業者は、遺伝暗号の縮重を考慮しても、このようなポリヌクレオチド分子において、かなりの配列多様性があり得ることを認識するであろう。いくつかの実施形態では、本発明の核酸配列は、哺乳動物細胞における発現のため、好ましくは、ヒト細胞における発現のためにコドン最適化される。コドン最適化は、目的の配列において、所与の種の高発現遺伝子中で一般に稀なコドンが、このような種の高発現遺伝子中で一般に頻出するコドンによって交換され、このようなコドンが、交換されるコドンとしてアミノ酸をコードすることを指す。
【0080】
免疫療法における使用のための免疫細胞を調製する方法を本明細書において提供する。いくつかの実施形態では、方法は、ウイルスタンパク質およびCARを免疫細胞に導入し、細胞を増殖させるステップを含む。いくつかの実施形態では、本発明は、細胞を用意し、MHC細胞表面発現を下方制御するウイルスタンパク質を発現させるステップ、および少なくとも1つのCARを細胞表面で発現させるステップを含む、免疫細胞を操作する方法に関する。いくつかの実施形態では、方法は、ウイルスタンパク質をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチド、およびCARをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドで細胞をトランスフェクトするステップ、ならびに細胞においてポリヌクレオチドを発現させるステップを含む。いくつかの実施形態では、方法は、ウイルスタンパク質をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチド、CARをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチド、およびNK細胞アンタゴニストをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドで細胞をトランスフェクトするステップ、ならびに細胞においてポリヌクレオチドを発現させるステップを含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、ウイルスタンパク質およびCARをコードするポリヌクレオチドは、細胞における安定な発現のための1つまたは複数の発現ベクターに存在する。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、細胞における安定な発現のためのウイルスベクターに存在する。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、例えば、レンチウイルスベクターまたはアデノウイルスベクターであり得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、本発明によるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、mRNAであり、例えば、エレクトロポレーションにより細胞内に直接導入され得る。いくつかの実施形態では、cytoPulse技術を使用し、生細胞を一過性に透過処理して物質を細胞内に送達することができる。パラメータは、条件を決定してトランスフェクション効率を高め、死滅率を最小限とするために改変することができる。
【0083】
T細胞をトランスフェクションする方法をまた本明細書において提供する。いくつかの実施形態では、方法は、T細胞をRNAと接触させるステップと、(a)1センチメートルあたり約2250~3000Vの電圧範囲の電気パルス、(b)0.1msのパルス幅、(c)ステップ(a)と(b)との電気パルス間が約0.2~10msのパルス間隔、(d)約100msのパルス幅、およびステップ(b)の電気パルスとステップ(c)の最初の電気パルスとの間が約100msのパルス間隔による約2250~3000Vの電圧範囲の電気パルス、ならびに(e)約0.2msのパルス幅、および4回の電気パルス間がそれぞれ2msのパルス間隔による約325Vの電圧の4回の電気パルスからなる、迅速パルスシーケンスをT細胞に適用するステップとを含む。いくつかの実施形態では、T細胞をトランスフェクトする方法は、このT細胞をRNAと接触させるステップと、(a)1センチメートルあたり約2250、2300、2350、2400、2450、2500、2550、2400、2450、2500、2600、2700、2800、2900または3000Vの電圧の電気パルス、(b)0.1msのパルス幅、(c)ステップ(a)と(b)との電気パルス間が約0.2、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10msのパルス間隔、(d)100msのパルス幅、およびステップ(b)の電気パルスとステップ(c)の最初の電気パルスとの間が100msのパルス間隔による約2250~2250、2300、2350、2400、2450、2500、2550、2400、2450、2500、2600、2700、2800、2900または3000Vの電圧範囲の1回の電気パルス、ならびに(e)約0.2msのパルス幅、および4回の電気パルス間がそれぞれ約2msのパルス間隔による約325Vの電圧の4回の電気パルスを含む、迅速パルスシーケンスをT細胞に適用するステップとを含む。上記の値の範囲に含まれる任意の値は、本出願により開示される。エレクトロポレーション培地は、当技術分野において公知の適した任意の培地であり得る。いくつかの実施形態では、エレクトロポレーション培地は、約0.01~約1.0ミリジーメンスに及ぶ範囲の伝導率を有する。
【0084】
いくつかの実施形態では、方法は、例えば、これらに限定されないが、TCRの構成成分、免疫抑制剤の標的、HLA遺伝子、および/または免疫チェックポイントタンパク質、例えば、PDCD1またはCTLA-4等を発現する少なくとも1つの遺伝子を不活化させることにより細胞を遺伝子改変するステップをさらに含むことができる。遺伝子を不活化させることにより、目的の遺伝子が機能的なタンパク質の形態で発現しないよう意図する。いくつかの実施形態では、不活化される遺伝子は、例えば、これらに限定されないが、TCRα、TCRβ、CD52、GR、デオキシシチジンキナーゼ(DCK)、PD-1およびCTLA-4からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、方法は、選択的にDNAを切断することにより遺伝子を選択的に不活化することが可能な、低頻度切断エンドヌクレアーゼを細胞内に導入することによって1つまたは複数の遺伝子を不活化するステップを含む。いくつかの実施形態では、低頻度切断エンドヌクレアーゼは、例えば、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEヌクレアーゼ)またはCas9エンドヌクレアーゼであり得る。
【0085】
別の態様では、細胞を遺伝子改変するステップは、免疫抑制剤の標的を発現する少なくとも1つの遺伝子を不活化することによりT細胞を改変すること、および細胞を増殖させ、これが免疫抑制剤の存在下であってもよいことを含むことができる。免疫抑制剤は、作用のいくつかの機構のうちの1つにより免疫機能を抑制する薬剤である。免疫抑制剤は、免疫応答の程度および/または貪食を減少させることができる。免疫抑制剤の非限定的な例としては、カルシニューリン阻害剤、ラパマイシンの標的、インターロイキン2α鎖遮断剤、イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼの阻害剤、ジヒドロ葉酸レダクターゼの阻害剤、コルチコステロイド、および免疫抑制代謝拮抗剤が挙げられる。いくつかの細胞傷害性免疫抑制剤は、DNA合成を阻害することにより作用する。他は、T細胞の活性化により、またはヘルパー細胞の活性化を阻害することにより作用し得る。本発明による方法は、T細胞における免疫抑制剤の標的を不活化することにより、免疫療法のためのT細胞に対する免疫抑制抵抗性を付与することを可能とする。非限定的な例として、免疫抑制剤の標的は、免疫抑制剤の受容体、例えば、これらに限定されないが、CD52、グルココルチコイド受容体(GR)、FKBPファミリー遺伝子メンバー、およびシクロフィリンファミリー遺伝子メンバー等であり得る。
【0086】
治療的方法
上記の方法により得られる単離したT細胞、またはこのような単離したT細胞に由来する細胞株を医薬として使用することができる。いくつかの実施形態では、このような医薬を、例えば、ウイルス性疾患、細菌性疾患、がん、炎症性疾患、免疫疾患、または加齢に伴う疾患のような障害を治療するために使用することができる。いくつかの実施形態では、がんは、胃がん(gastric cancer)、肉腫、リンパ腫、白血病、頭頸部がん、胸腺がん、上皮がん、唾液腺がん、肝がん、胃がん(stomach cancer)、甲状腺がん、肺がん、卵巣がん、乳がん、前立腺がん、食道がん、膵がん、神経膠腫、白血病、多発性骨髄腫、腎細胞癌、膀胱がん、子宮頸がん、絨毛癌、結腸がん、口腔がん、皮膚がん、および黒色腫からなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、対象は、局所進行性もしくは転移性の黒色腫、扁平細胞頭頸部がん(SCHNC)、卵巣癌、肉腫、または再発もしくは難治性の古典的ホジキンリンパ腫(cHL)を有する、あらかじめ治療された成人対象である。
いくつかの実施形態では、本発明による単離したT細胞、または単離したT細胞に由来する細胞株は、それを必要とする対象における障害の治療のための医薬の製造において使用することができる。いくつかの実施形態では、障害は、例えば、がん、自己免疫疾患、または感染症であり得る。
【0087】
対象を治療するための方法をまた本明細書において提供する。いくつかの実施形態では、方法は、本発明の単離したT細胞を、それを必要とする対象に提供するステップを含む。いくつかの実施形態では、方法は、本発明の単離したT細胞を、それを必要とする対象に投与するステップを含む。
いくつかの実施形態では、本発明の単離したT細胞は、インビボでの安定したT細胞発現を起こすことができ、長時間持続することができる。
本発明の治療の方法は、回復、治癒または予防することができる。本発明の方法は、自家免疫療法の一部、または同種異系免疫療法の治療の一部であり得る。本発明は、同種異系免疫療法に特に適する。ドナー由来のT細胞は、標準的プロトコルを使用して非同種異系反応性細胞に形質転換し、必要に応じて増殖させ、これにより1人または幾人かの対象に投与可能なCAR-T細胞を生成することができる。このようなCAR-T細胞療法は、「容易に入手可能な(off the shelf)」治療薬として利用可能となり得る。
【0088】
別の態様では、本発明は、有効量の本明細書に記載の単離したT細胞を対象に投与するステップを含む、腫瘍を有する対象における腫瘍の増殖または進行を阻害する方法を提供する。別の態様では、本発明は、有効量の本明細書に記載の単離したT細胞をそれを必要とする対象に投与するステップを含む、対象におけるがん細胞の転移を阻害または予防する方法を提供する。別の態様では、本発明は、有効量の本明細書に記載の単離したT細胞を対象に投与するステップを含む、腫瘍を有する対象における腫瘍の退縮を誘導する方法を提供する。
いくつかの実施形態では、本発明の単離したT細胞は、対象に非経口的に投与することができる。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。
【0089】
いくつかの実施形態では、方法は、有効量の第2の治療薬を投与するステップをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の治療薬は、例えば、クリゾチニブ、パルボシクリブ、抗CTL4抗体、抗4-1BB抗体、PD-1抗体、またはPD-L1抗体である。
本明細書において提供する単離したT細胞のいずれかの、それを必要とする対象における、がん治療のための、または腫瘍の増殖または進行を阻害するための医薬の製造における使用をまた提供する。
いくつかの実施形態では、MHCクラスIの細胞表面発現レベルは、ウイルスタンパク質を含まないT細胞上のMHCクラスIの細胞表面発現レベルと比較して、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%または100%減少する。いくつかの実施形態では、MHCクラスIの細胞表面発現レベルは、フローサイトメトリーにより測定され得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、CARおよび表1から選択されるウイルスタンパク質を含む本発明のT細胞を投与すると、表1から選択されるウイルスタンパク質を発現しないT細胞の投与と比較して、拒絶反応が少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%または100%減少する。
いくつかの実施形態では、CARおよび表1から選択されるウイルスタンパク質を含む本発明のT細胞を投与すると、表1から選択されるウイルスタンパク質を発現しないT細胞の投与と比較して、応答の持続時間が少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%または100%増加する。
いくつかの実施形態では、CARおよび表1から選択されるウイルスタンパク質を含む本発明のT細胞を投与すると、表1から選択されるウイルスタンパク質を発現しないT細胞の投与と比較して、残留性が少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%または100%改善される。
【0091】
いくつかの実施形態では、CARおよび表1から選択されるウイルスタンパク質を含む本発明のT細胞を投与すると、表1から選択されるウイルスタンパク質を発現しないT細胞の投与と比較して、GVHDの発症率が少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%または100%減少する。
いくつかの実施形態では、治療は、抗体療法、化学療法、サイトカイン療法、樹状細胞療法、遺伝子療法、ホルモン療法、レーザー光療法および放射線療法の群から選択される、がんに対する1つまたは複数の療法と併用することができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、治療は、免疫抑制治療を受けている対象に施すことができる。実際、本発明は、好ましくは、このような免疫抑制剤の受容体をコードする遺伝子を不活化したために少なくとも1つの免疫抑制剤に抵抗性とした、細胞または細胞集団に依存する。この態様では、免疫抑制治療は、対象における本発明によるT細胞の選択および増殖を支持するはずである。本発明による細胞または細胞集団の投与は、エアロゾル吸入、注射、経口摂取、輸注、注入または移植を含む、好適な任意の方法で行うことができる。本明細書に記載の組成物は、対象の皮下、皮内、腫瘍内、リンパ節内、髄内、筋肉内に、静脈内もしくはリンパ内注射により、または腹腔内に投与することができる。一実施形態では、本発明の細胞組成物は、好ましくは、静脈内注射により投与する。
【0093】
いくつかの実施形態では、細胞または細胞集団の投与は、例えば、1kg体重あたり約104~約109個の細胞の投与を含むことができ、このような範囲内のすべての整数値の細胞数を含む。いくつかの実施形態では、細胞または細胞集団の投与は、1kg体重あたり約105~106個の細胞の投与を含むことができ、このような範囲内のすべての整数値の細胞数を含む。細胞または細胞集団は、1回または複数の用量で投与することができる。いくつかの実施形態では、この有効量の細胞は、単回用量として投与することができる。いくつかの実施形態では、この有効量の細胞は、ある期間にわたって複数回の用量として投与することができる。投与のタイミングは、処置する医師の判断に委ねられ、対象の臨床状態次第である。細胞または細胞集団は、血液バンクまたはドナーのような任意のソースから得ることができる。個人の必要性が異なる一方、特定の疾患または状態のための所与の細胞型の有効量の最適範囲の決定は、当業者の技術範囲内にある。有効量は、治療的または予防的利点をもたらす量を意味する。投与する用量は、レシピエントの年齢、健康および体重、併用療法の種類、該当する場合、治療の頻度ならびに所望の作用の性質に依存する。いくつかの実施形態では、有効量の細胞またはこのような細胞を含む組成物は、非経口的に投与する。いくつかの実施形態では、投与は、静脈内投与であり得る。いくつかの実施形態では、投与は、腫瘍内注射により直接行うことができる。
【0094】
本発明のいくつかの実施形態では、細胞は、これらに限定されないが、薬剤による治療、例えば、モノクローナル抗体療法、CCR2アンタゴニスト(例えば、INC-8761)、抗ウイルス療法、シドホビルおよびインターロイキン2、MS対象のためのシタラビン(ARA-Cとしても知られる)もしくはナタリズマブ(nataliziimab)治療、または乾癬対象のためのエファリズマブ(efaliztimab)治療、またはPML対象のための他の治療を含む、任意の数の適切な治療法と併用して(例えば、前、同時または後に)対象に投与する。いくつかの実施形態では、BCMA特異的CAR-T細胞は、次:抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、またはPF-06801591)、抗PD-L1抗体(例えば、アベルマブ、アテゾリズマブ、またはデュルバルマブ)、抗OX40抗体(例えば、PF-04518600)、抗4-1BB抗体(例えば、PF-05082566)、抗MCSF抗体(例えば、PD-0360324)、抗GITR抗体、および/または抗TIGIT抗体のうちの1つまたは複数と併用して対象に投与する。さらなる実施形態では、本発明の単離したT細胞は、化学療法、放射線療法、免疫抑制剤、例えば、シクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノレート、およびFK506、抗体もしくは他の免疫除去剤、例えば、CAMPATH、抗CD3抗体、または他の抗体療法、サイトキシン(cytoxin)、フルダラビン(fludaribine)、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸、ステロイド、FR901228、サイトカイン、および/または照射と併用して使用することができる。このような薬物は、カルシウム依存性ホスファターゼであるカルシニューリンを阻害する(シクロスポリンおよびFK506)か、または増殖因子誘導シグナル伝達に重要であるp70S6キナーゼを阻害する(ラパマイシン)(Henderson, Naya et al. 1991;Liu, Albers et al. 1992;Bierer, Hollander et al. 1993)。さらなる実施形態では、本発明の細胞組成物は、骨髄移植、フルダラビンのような化学療法剤を使用したT細胞除去療法、外照射放射線療法(XRT)、シクロホスファミド、またはOKT3もしくはCAMPATHのような抗体と併用して(例えば、前、同時または後に)対象に投与する。いくつかの実施形態では、本発明の細胞組成物は、CD20と反応する薬剤、例えば、リツキサンのようなB細胞除去療法の後に投与する。例えば、一実施形態では、対象は、高用量の化学療法による標準的治療の後、末梢血幹細胞移植を受ける可能性がある。特定の実施形態では、移植の後、対象は、本発明の増殖免疫細胞の注入を受ける。いくつかの実施形態では、増殖細胞は、手術の前または後に投与する。
【0095】
キット
本発明はまた、本発明の方法における使用のためのキットを提供する。本発明のキットは、本明細書に記載のウイルスタンパク質およびCARをコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドを含む単離したT細胞を含む1つまたは複数の容器、ならびに本明細書に記載の本発明の方法のいずれかによる使用のための説明書を含む。一般には、このような説明書は、上記の治療的処置のための単離したT細胞の投与の説明を含む。
【0096】
本明細書に記載の単離したT細胞の使用に関する説明書は、一般に、目的とする治療の用量、投与スケジュール、および投与経路についての情報を含む。容器は、単位用量、バルク包装(例えば、複数用量包装)またはサブユニット用量であり得る。本発明のキットに封入して提供される説明書は、典型的に、ラベルまたは添付文書(例えば、キットに含まれる紙のシート)上に書かれた説明書であるが、機械可読説明書(例えば、磁気または光学記憶ディスク上に保存された説明書)も許容される。
【0097】
本発明のキットは、適切に包装される。適した包装は、バイアル、ビン、ジャー、柔軟材包装(例えば、密封したマイラー(Mylar)またはプラスチックのバッグ)等を含むが、これらに限定されない。吸入器、鼻腔投与装置(例えば、噴霧器)またはミニポンプ等の注入装置のような、特定の装置と組み合わせた使用のための包装もまた検討される。キットは、無菌アクセスポート(例えば、容器が静注用溶液のバッグまたは皮下注射針により穴を開けることが可能な栓を有するバイアルであり得る)を有し得る。容器はまた、無菌アクセスポート(例えば、容器が静注用溶液のバッグまたは皮下注射針により穴を開けることが可能な栓を有するバイアルであり得る)を有し得る。組成物中の少なくとも1つの活性薬剤は、ウイルスタンパク質およびCARを含む単離したT細胞である。容器には、第2の薬学的に活性な薬剤をさらに含み得る。
キットでは、緩衝液および解釈的情報のような追加の要素を提供してもよい。通常、キットは、容器、および容器上または容器に付随したラベルまたは添付文書を含む。
以下の例は、例示目的のみのために提供し、本発明の範囲を限定することを決して意図しない。実際、本発明の種々の改変は、本明細書に指示し記載するものに加えて、前述の記載により当業者に明らかとなり、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる。
【実施例0098】
(例1)
T細胞上でのMHCクラスI分子細胞表面発現の下方制御
本例では、CARを発現する単離したT細胞上でのMHCクラスIの細胞表面発現を下方制御するウイルスタンパク質の使用を説明する。
【0099】
宿主対移植片(HvG)拒絶反応では、ドナー細胞上のMHCは、宿主T細胞により認識され、これは次いで、MHCを発現しているドナー細胞を除去する。したがって、同種異系CAR-T細胞由来のMHCクラスIの細胞表面発現を減少させてCAR-T細胞残留性を改善し、かつ/またはHvG拒絶反応から回復させることが望ましい。
【0100】
単離したT細胞上でのMHCクラスIの細胞表面発現を下方制御する種々のウイルスタンパク質の能力を判定するために、表3に示すように、種々のCMVタンパク質を同時発現するか、またはしない、抗BCMA CARをコードする構築物により、ジャーカット細胞および1次ヒトT細胞を形質導入した。BFPを陰性対照タンパク質として使用した。発現構築物デザインに基づいて、CAR+細胞のみが、CMVタンパク質を同時発現可能である。
【表3】
機能性MHCクラスI複合体は、形質導入細胞上でHLA A/B/Cに特異的な抗体を使用して検出し、抗BCMA CAR表面発現は、ビオチン化BCMAを使用して検出した。結果を表4および5、ならびに
図1および2にまとめる。
【表4】
【0101】
【0102】
ウイルスタンパク質によるMHCクラスI下方制御が、CAR陽性T細胞において、様々なレベルで観察された。ウイルスタンパク質によるMHCクラスI下方制御は、CARおよびICP47、K3、K5、E19、US3、US6またはUS2を発現するT細胞において観察された(表4および5)。例えば、K5の発現は、CAR+ジャーカット細胞において、結果としてMHCクラスIの細胞表面発現の減少を伴った(
図1、右;表4)。CAR発現の減少は、MHCクラスI細胞表面発現のこの減少とともに観察されなかった(
図1)。対照的に、US11の発現は、CAR+ジャーカット細胞において、MHCクラスIの細胞表面発現を減少させなかった(
図1、左;表4)。いくつかの例では、MHCクラスI下方制御は、CAR表面発現の低下を伴った(データ未提示)。
【0103】
ウイルスタンパク質ICP47、K3、K5、E19、U3、US6およびUS2それぞれのCARとの同時発現は、結果としてMHCクラスI細胞表面発現を様々な程度減少させた(
図2;表4および5)。
図2では、左の棒グラフ(-)は、CARまたはウイルスタンパク質を発現しない細胞を表し、右の棒グラフ(+)は、CARおよび指示するウイルスタンパク質を発現する細胞を表す。発現構築物デザインに基づいて、CAR+細胞のみが、CMVタンパク質を同時発現可能である。
このような結果は、ウイルスタンパク質が、CAR-T細胞表面上でのMHCクラスI提示を減少させることが可能であることを実証する。
【0104】
(例2)
本例では、インビトロおよびインビボの両方におけるCAR-T細胞活性およびT細胞による同種異系反応性に対する同時発現ウイルスタンパク質の作用を説明する。本試験では、種々のCMVタンパク質を同時発現するCAR-T細胞を、インビトロでのT細胞による同種異系反応性アッセイを使用して評価する。MHCクラスI細胞表面発現を測定して、MHCクラスI細胞表面発現と同種異系反応性との相関性を判定する。
同種異系反応性を判定するために、混合リンパ球反応(MLR)アッセイを利用する。アッセイは、2人の対立遺伝子不適合ドナー由来のT細胞をインキュベートし、次いで、増殖およびサイトカイン放出をモニターすることを含む。アッセイでは、不適合のMHC/TCR対を有するドナーは、適合するMHC/TCR対を有するドナーと比較して、増殖およびサイトカイン産生が増加することにより応答する。
【0105】
CAR-T細胞の標的特異的活性についてインビトロでの細胞傷害性アッセイを使用して試験する。このようなアッセイは、CAR-T細胞を種々の割合の標的細胞と混合し、標的細胞の殺傷の程度を、標準的細胞傷害性測定を使用して測定することで構成される。最も大幅な同種異系反応性の減少を示しながらインビトロで著しい溶解活性を維持するCAR-T細胞を、活性および残留性について、NSGマウスモデルを使用して、インビボで試験する。簡潔には、このようなCAR-T細胞を担癌マウスに投与し、改変されていないT細胞を有するマウスおよびウイルスタンパク質を同時発現しないCAR-T細胞を有するマウスにおける腫瘍の増殖と、その腫瘍の増殖とを比較する。T細胞の残留性を末梢血、腫瘍および脾臓において測定する。HvG反応をシミュレートするために、試験は、対立遺伝子不適合ドナー由来のT細胞に付加して、CAR-T細胞の同種異系拒絶反応を誘導することを含む。
【0106】
(例3)
本例では、MHCクラスI細胞表面発現を下方制御するウイルスタンパク質を同時発現するCAR-T細胞のNK細胞によるHvGについての評価を説明する。
対立遺伝子適合MHCクラスI分子を欠く細胞は、NK細胞により非自己として認識され、除去される(宿主対移植片拒絶反応、またはHvG)。MHCクラスI表面発現を下方制御するウイルスタンパク質を同時発現するCAR-T細胞のNK細胞によるHvGの程度を判定するために、インビトロおよびインビボでのアッセイを使用する。
インビトロアッセイ。対立遺伝子非適合ドナー由来のNK細胞を別々に精製する。精製したNK細胞を、HvG反応を誘導する能力について、MLRアッセイを使用して評価する。アッセイは、2人の対立遺伝子不適合ドナー由来のT細胞をインキュベートし、次いで、増殖およびサイトカイン放出をモニターすることを含む。アッセイでは、不適合のMHC/TCR対を有するドナーは、適合するMHC/TCR対を有するドナーと比較して、増殖およびサイトカイン産生が増加することにより応答する。
【0107】
(例4)
本例では、ウイルスタンパク質を発現してMHCクラスI細胞表面発現を減少させるCAR-T細胞の、NK細胞による除去を減弱させる、抗NK細胞阻害受容体抗体の使用を説明する。
KIRおよびレクチン様分子のようなNK細胞阻害受容体を特異的に結合させる抗体を生成し、MHCクラスI阻害シグナル伝達を模倣する能力について試験する。生化学的アッセイおよび上記と同様のインビトロアッセイを使用して、その結合および機構的特性について抗体を評価する。選択された抗NK細胞阻害受容体抗体を一本鎖抗体(scFv)として、ウイルスタンパク質を同時発現するCAR-T細胞表面上に同時発現させ、前述のインビトロアッセイを使用して試験する。NK細胞による殺傷を減少させたCAR-T細胞を、インビボでのCAR-T細胞活性、CAR-T細胞残留性およびHvG拒絶反応について、前述のNSGマウスモデルを使用して評価する。
【0108】
本明細書に開示する教示は、種々の出願、方法、キット、および組成物に関連して記載しているが、本明細書の教示および以下の特許請求の範囲に主張する発明から逸脱することなく、種々の変更および改変がなされ得ることが理解される。前述の例は、開示の教示をより良く説明するために提供し、本明細書に提示する教示の範囲を限定することは意図しない。本教示は、このような例示的実施形態に関して記載しているが、当業者は、このような例示的実施形態の多数の変形および改変が、過度の実験を行うことなく可能であることを容易に理解するであろう。このようなすべての変形および改変は、本教示の範囲内にある。
特許、特許出願、論文、教科書等を含む、本明細書において引用するすべての参照、およびそれらに引用される参照は、既に組み込まれていない範囲において、その全体を参照により本明細書に組み込む。組み込まれる文献および類似の資料の1つまたは複数が、これらに限定されないが、定義する用語、用語の用法、記載する技術等を含む本出願と異なるか、または矛盾する場合には、本出願により規制することとなる。
【0109】
前述の記載および例は、本発明のある特定の実施形態を詳述し、本発明者らが検討した最良の形態を記載する。ただし、前述が、本文においていかに詳細であるように思われようと、本発明は、様々な方法で実践することが可能であり、本発明は、添付の特許請求の範囲および任意のその等価物に従って解釈されるべきであることが理解されよう。
(i)ウイルスタンパク質を含まない単離したT細胞の主要組織適合複合体(MHC)クラスIの細胞表面発現レベルと比較して、MHCクラスIの細胞表面発現レベルを減少させるウイルスタンパク質と、
(ii)細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)と
を含む、単離したT細胞。
前述の記載および例は、本発明のある特定の実施形態を詳述し、本発明者らが検討した最良の形態を記載する。ただし、前述が、本文においていかに詳細であるように思われようと、本発明は、様々な方法で実践することが可能であり、本発明は、添付の特許請求の範囲および任意のその等価物に従って解釈されるべきであることが理解されよう。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕(i)ウイルスタンパク質を含まない単離したT細胞の主要組織適合複合体(MHC)クラスIの細胞表面発現レベルと比較して、MHCクラスIの細胞表面発現レベルを減少させるウイルスタンパク質と、
(ii)細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)と
を含む、単離したT細胞。
〔2〕ウイルスタンパク質が、サイトメガロウイルス(CMV)タンパク質、アデノウイルスタンパク質、ヘルペスウイルスタンパク質、またはヒト免疫不全ウイルスタンパク質である、前記〔1〕に記載の単離したT細胞。
〔3〕ウイルスタンパク質が、ICP47、K3、K5、E19、US3、US6.US2、U21、Nef、US10またはU21である、前記〔1〕または〔2〕に記載の単離したT細胞。
〔4〕ウイルスタンパク質が、CARを含むがウイルスタンパク質を含まない単離したT細胞のCARの細胞表面発現レベルと比較して、CARの細胞表面発現レベルを著しくは減少させない、前記〔1〕から〔3〕のいずれか1項に記載の単離したT細胞。
〔5〕NK細胞アンタゴニストをさらに含む、前記〔1〕から〔4〕のいずれか1項に記載の単離したT細胞。
〔6〕NK細胞アンタゴニストが、抗NK細胞阻害受容体アゴニスト抗体または抗NK細胞活性化受容体アンタゴニスト抗体である、前記〔5〕に記載の単離したT細胞。
〔7〕抗NK細胞阻害受容体抗体が、一本鎖可変断片(scFv)を含む、前記〔6〕に記載の単離したT細胞。
〔8〕抗NK細胞阻害受容体抗体が、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)、CD94-NKG2A/C/Eヘテロ二量体、2B4(CD244)受容体、またはキラー細胞レクチン様受容体G1(KLRG1)受容体に特異的に結合する、前記〔6〕または〔7〕に記載の単離したT細胞。
〔9〕KIRが、KIR2DL1、KIR2DL2、KIR2DL3、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR3DL3、KIR2DL5A、KIR2DL5BまたはKIR2DL4である、前記〔8〕に記載の単離したT細胞。
〔10〕ウイルスタンパク質を含まないことを除いて単離したT細胞のすべての構成成分を含む第2の単離T細胞のインビボでの残留性と比較して、インビボでの残留性の改善を示す、前記〔1〕から〔9〕のいずれか1項に記載の単離したT細胞。
〔11〕ウイルスタンパク質を含まないことを除いて単離したT細胞のすべての構成成分を含む第2の単離T細胞により誘発される移植片対宿主疾患(GVHD)応答と比較して、組織不適合レシピエントにおいてGVHD応答をまったく誘発しないか、または誘発が減少する、前記〔1〕から〔10〕のいずれか1項に記載の単離したT細胞。
〔12〕前記〔1〕から〔11〕のいずれか1項に記載の単離したT細胞のうちの複数を含むCAR-T細胞集団。
〔13〕MHCクラスIの細胞表面発現レベルが、ウイルスタンパク質を含まないT細胞上のMHCクラスIの細胞表面発現レベルと比較して、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%減少する、前記〔12〕に記載のCAR-T細胞集団。
〔14〕MHCクラスIの細胞表面発現レベルが、フローサイトメトリーにより測定される、前記〔13〕に記載のCAR-T細胞集団。
〔15〕単離したT細胞を生成する方法であって、細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含むCARを発現するT細胞を、ウイルスタンパク質が発現されるように改変するステップを含む、方法。
〔16〕抗NK細胞アンタゴニストが発現されるようにT細胞を改変するステップをさらに含む、前記〔14〕または〔15〕に記載の方法。
〔17〕ウイルスタンパク質が、細胞内に安定に導入される、前記〔14〕から〔16〕のいずれか1項に記載の方法。
〔18〕ウイルスタンパク質をコードするポリヌクレオチドが、トランスポゾン/トランスポザーゼ系、ウイルスベースの遺伝子導入系またはエレクトロポレーションによって細胞に導入される、前記〔14〕から〔17〕のいずれか1項に記載の方法。
〔19〕キメラ抗原受容体をコードするポリヌクレオチドが、トランスポゾン/トランスポザーゼ系、エレクトロポレーションまたはウイルスベースの遺伝子導入系により細胞に導入される、前記〔14〕から〔18〕のいずれか1項に記載の方法。
〔20〕ウイルスベースの遺伝子導入系が、組換えレトロウイルスまたはレンチウイルスを含む、前記〔19〕に記載の方法。
〔21〕NK細胞アンタゴニストをコードするポリヌクレオチドが、トランスポゾン/トランスポザーゼ系によって、ウイルスベースの遺伝子導入系によって、またはエレクトロポレーションによって細胞に導入される、前記〔16〕から〔20〕のいずれか1項に記載の方法。
〔22〕前記〔1〕から〔11〕のいずれか1項に記載の単離したT細胞を含む、障害の治療における使用のための医薬組成物。
〔23〕障害が、がん、自己免疫疾患、または感染症である、前記〔22〕に記載の医薬組成物。
〔24〕細胞が、複数回提供される、前記〔22〕または〔23〕に記載の医薬組成物。
〔25〕細胞が、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7日またはそれ以上の間隔で対象に提供される、前記〔24〕に記載の医薬組成物。
〔26〕障害が、ウイルス性疾患、細菌性疾患、がん、炎症性疾患、免疫疾患、または加齢に伴う疾患である、前記〔25〕に記載の医薬組成物。
〔27〕前記〔1〕から〔14〕のいずれか1項に記載の単離したT細胞を対象に投与するステップを含む、対象において障害を治療するための方法。
〔28〕前記〔1〕から〔14〕のいずれか1項に記載の単離したT細胞を対象に投与するステップを含む、対象においてGVHDを減少させる方法。
〔29〕前記〔1〕から〔14〕のいずれか1項に記載の単離したT細胞を対象に投与するステップを含む、対象において残留性を改善する方法。
〔30〕前記〔1〕から〔14〕のいずれか1項に記載の単離したT細胞を対象に投与するステップを含む、対象において持続的応答時間を延長する方法。
〔31〕細胞が、対象に複数回提供される、前記〔27〕から〔30〕のいずれか1項に記載の方法。
〔32〕単離したT細胞の投与前に、対象が、治療薬であらかじめ治療されている、前記〔27〕から〔31〕のいずれか1項に記載の方法。
〔33〕治療薬が、抗体または化学療法剤である、前記〔32〕に記載の方法。
〔34〕NK細胞アンタゴニストを投与するステップをさらに含む、前記〔27〕から〔33〕のいずれか1項に記載の方法。
〔35〕NK細胞アンタゴニストが、抗NK細胞阻害受容体抗体である、前記〔34〕に記載の方法。
〔36〕抗NK細胞阻害受容体抗体が、抗KIR抗体である、前記〔35〕に記載の方法。
〔37〕障害が、ウイルス性疾患、細菌性疾患、がん、炎症性疾患、免疫疾患、または加齢に伴う疾患である、前記〔27〕から〔36〕のいずれか1項に記載の方法。
〔38〕がんが、血液悪性腫瘍または固形がんである、前記〔37〕に記載の方法。
〔39〕血液悪性腫瘍が、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好酸球性白血病(CEL)、骨髄異形成症候群(MDS)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、または多発性骨髄腫(MM)から選択される、前記〔38〕に記載の方法。
〔40〕固形がんが、胆道がん、膀胱がん、骨軟部癌、脳腫瘍、乳がん、子宮頸がん、結腸がん、結腸直腸腺癌、結腸直腸がん、類腱腫、胚性がん、子宮内膜がん、食道がん、胃がん、胃腺癌、多形神経膠芽腫、婦人科腫瘍、頭頸部扁平上皮癌、肝がん、肺がん、悪性黒色腫、骨肉腫、卵巣がん、膵がん、膵管腺癌、原発星細胞腫、原発甲状腺がん、前立腺がん、腎がん、腎細胞癌、横紋筋肉腫、皮膚がん、軟部肉腫、精巣胚細胞腫瘍、尿路上皮がん、子宮肉腫、または子宮がんから選択される、前記〔38〕に記載の方法。
〔41〕1つまたは複数の追加の治療薬を対象に投与するステップをさらに含む、前記〔27〕から〔40〕のいずれか1項に記載の方法。
〔42〕追加の治療薬が、抗体または化学療法剤である、前記〔41〕に記載の方法。
〔43〕(i)ウイルスタンパク質を含まない単離したT細胞の主要組織適合複合体(MHC)クラスI分子の細胞表面発現レベルと比較して、MHCクラスI分子の細胞表面発現レベルを減少させるウイルスタンパク質と、(ii)キメラ抗原受容体(CAR)とをコードするポリヌクレオチド。
〔44〕前記〔43〕に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
〔45〕ウイルスベクターである、前記〔44〕に記載のベクター。