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特開2023-86733駐車支援装置、車両、駐車支援方法および駐車支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086733
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】駐車支援装置、車両、駐車支援方法および駐車支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/06 20060101AFI20230615BHJP
   B60W 30/08 20120101ALI20230615BHJP
   B60W 30/095 20120101ALI20230615BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
B60W30/06
B60W30/08
B60W30/095
G08G1/16 C
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051443
(22)【出願日】2023-03-28
(62)【分割の表示】P 2019055269の分割
【原出願日】2019-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138771
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 将明
(72)【発明者】
【氏名】浜田 大樹
(57)【要約】
【課題】狭小空間であっても、自動駐車を完了させることのできる駐車支援装置を提供する。
【解決手段】駐車支援装置が制御部と駐車経路算出部とを備え、前記駐車経路算出部は駐車経路を算出し、前記制御部は、入力された障害物情報と、前記駐車経路算出部が算出した駐車経路情報と、に基づき停止判定距離を変更し、前記停止判定距離は、車両からの所定距離であり、前記所定距離内に障害物を検知した場合に前記車両を停止させると判定するための距離である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車支援装置であって、
制御部と、駐車経路算出部とを備え、
前記駐車経路算出部は駐車経路を算出し、
前記制御部は、入力された障害物情報と、前記駐車経路算出部が算出した駐車経路情報と、に基づき停止判定距離を変更し、
前記停止判定距離は、車両からの所定距離であり、前記所定距離内に障害物を検知した場合に前記車両を停止させると判定するための距離である、
駐車支援装置。
【請求項2】
前記停止判定距離の変更は、前記停止判定距離を小さくする変更である、
請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記障害物情報に含まれる障害物と、前記駐車経路情報に示される駐車経路と、の間の距離に基づき前記停止判定距離を変更する、
請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記距離が所定の閾値を下回る場合に、前記停止判定距離を変更する、
請求項3に記載の駐車支援装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記障害物と、前記駐車経路と、の間の最短距離が所定の閾値を下回る場合に、前記停止判定距離を変更する、
請求項3に記載の駐車支援装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記障害物と、前記駐車経路と、の間の距離を前記駐車経路に含まれる経路点ごとに算出し、所定の閾値を下回る経路点がある場合に、前記停止判定距離を変更する、
請求項3に記載の駐車支援装置。
【請求項7】
前記停止判定距離の変更は、前記駐車経路から前記障害物情報に含まれる障害物へと向かう方向について行われる、
請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記停止判定距離の変更の際に、目標速度、最高速度、加速度、減速度、PIDゲイン、自動ブレーキの停止目標距離、自動ブレーキのTTC設定時間のうちの、いずれか1つ以上を更に変更する、
請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項9】
車両であって、
制御部と駐車経路算出部とを備えた駐車支援装置と、
障害物を検出する検出部を備え、
前記駐車経路算出部は駐車経路を算出し、
前記検出部は、障害物を検出し、当該障害物に係る障害物情報を前記駐車支援装置へと入力し、
前記制御部は、入力された障害物情報と、前記駐車経路算出部が算出した駐車経路情報と、に基づき停止判定距離を変更し、
前記停止判定距離は、前記車両からの所定距離であり、前記所定距離内に障害物を検知した場合に前記車両を停止させると判定するための距離である、
車両。
【請求項10】
前記停止判定距離の変更は、前記停止判定距離を小さくする変更である、
請求項9に記載の車両。
【請求項11】
前記制御部は、前記障害物情報に含まれる障害物と、前記駐車経路情報に示される駐車経路と、の間の距離に基づき前記停止判定距離を変更する、
請求項9に記載の車両。
【請求項12】
前記制御部は、前記距離が所定の閾値を下回る場合に、前記停止判定距離を変更する、
請求項11に記載の車両。
【請求項13】
前記制御部は、前記障害物と、前記駐車経路と、の間の最短距離が所定の閾値を下回る場合に、前記停止判定距離を変更する、
請求項11に記載の車両。
【請求項14】
前記制御部は、前記障害物と、前記駐車経路と、の間の距離を前記駐車経路に含まれる経路点ごとに算出し、所定の閾値を下回る経路点がある場合に、前記停止判定距離を変更する、
請求項11に記載の車両。
【請求項15】
前記停止判定距離の変更は、前記駐車経路から前記障害物情報に含まれる障害物へと向かう方向について行われる、
請求項9に記載の車両。
【請求項16】
前記制御部は、前記停止判定距離の変更の際に、目標速度、最高速度、加速度、減速度、PIDゲイン、自動ブレーキの停止目標距離、自動ブレーキのTTC設定時間のうちの、いずれか1つ以上を更に変更する、
請求項9に記載の車両。
【請求項17】
制御部と駐車経路算出部を備える装置による駐車支援方法であって、
前記駐車経路算出部が駐車経路を算出するステップと、
前記制御部が、入力された障害物情報と、前記駐車経路算出部が算出した駐車経路情報と、に基づき停止判定距離を変更するステップと、
を有し、
前記停止判定距離は、車両からの所定距離であり、前記所定距離内に障害物を検知した場合に前記車両を停止させると判定するための距離である、
駐車支援方法。
【請求項18】
駐車支援プログラムであって、
制御部と駐車経路算出部を備える装置に、
前記駐車経路算出部が駐車経路を算出するステップと、
前記制御部が、入力された障害物情報と、前記駐車経路算出部が算出した駐車経路情報と、に基づき停止判定距離を変更するステップと、
を実行させ、
前記停止判定距離は、車両からの所定距離であり、前記所定距離内に障害物を検知した場合に前記車両を停止させると判定するための距離である、
駐車支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駐車支援装置に関する。
【0002】
本開示は、駐車支援装置を備えた車両や、駐車支援方法および駐車支援プログラムにも関する。
【背景技術】
【0003】
特許文献1には、自動走行装置と自動制動装置とを備えた車両において、両装置の調和を図って車両の制御を適切に行うことを可能とする車両制御装置を提供すべく、車両制御装置が、車両を自動走行させる自動走行装置と、障害物を検出した場合に車両を自動制動する自動制動装置とを備える車両を制御する車両制御装置において、前記障害物を検出した場合に、前記自動走行装置による走行出力を通常出力よりも低減させる走行出力設定手段を備えることが記載されている。
【0004】
特許文献2には、車両が駐車をする際に、適切な自動ブレーキを実行できる技術を提供すべく、本開示のある態様の駐車支援装置は、自車両の周辺の対象物を検知する複数の対象物検知センサと、駐車領域を検出する駐車領域検出部と、複数の対象物検知センサによる第1検出範囲に対象物が位置することを検知された場合に自車両の制動の実行を決定するブレーキ実行決定部と、を備え、自車両を駐車領域に駐車させる際に、ブレーキ実行決定部は、対象物検知センサが第1検出範囲より拡大した第2検出範囲に対象物が位置することを検知すれば、自車両の制動の実行を決定し、第2検出範囲は、自車両の車幅より車幅方向外側に拡大されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-143337号公報
【特許文献2】特開2017-214011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自動駐車機能を有する車両が既に存在する。この自動駐車機能には、車両の運転者がハンドル操作やアクセル操作を行わずとも、車両の後退、カーブ等を、車両側が自動で行うものがある。また、操舵は自動で行われ、駆動は運転者が行うような駐車支援(パーキングアシスト)等も、上記の自動駐車に含まれ得る。
【0007】
自動駐車時の安全性の観点から、前記自動駐車機能には、障害物停止機能が付加されていることがある。障害物停止機能は、例えば、車両から所定の距離を停止判定距離パラメータとして車両が有しており、この所定の距離以内に障害物が存在することを検知した場合は、自動ブレーキが働いて、車両を自動的に停止させるものである。この障害物停止機能を有することにより、自動駐車における安全が保証される。
【0008】
ところで、駐車場等において、車両から隣接車両等の障害物までの距離が、上述の所定の距離を下回る場合がある。以下、このような駐車場等の空間を、狭小空間と表記する。
【0009】
上記障害物停止機能を備えた車両の場合、前記狭小空間へと自動駐車を行おうとしても、隣接する車両や、近傍に存在する壁面等にセンサが反応して自動ブレーキが働き、駐車が完了する前に、車両が止まることがある。すなわち、自動駐車を完了することができない。
【0010】
本開示は上述のような問題点に鑑みてなされたものであり、前記狭小空間であっても、駐車を完了させることのできる駐車支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
駐車支援装置が制御部と、駐車経路算出部とを備え、前記駐車経路算出部は駐車経路を算出し、前記制御部は、入力された障害物情報と、前記駐車経路算出部が算出した駐車経路情報と、に基づき停止判定距離を変更し、前記停止判定距離は、車両からの所定距離であり、前記所定距離内に障害物を検知した場合に前記車両を停止させると判定するための距離である。前記構成により、従来であれば自動ブレーキが働いて自動駐車を完了できなかったような狭小空間に対しても、自動駐車を完了させることができる。
【発明の効果】
【0012】
狭小空間であっても、自動駐車を完了させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】従来の自動駐車を示す概念図であり、(a)は通常空間への自動駐車、(b)は狭小空間への自動駐車を示す
図2】本開示に係る駐車支援装置1を備えた車両による自動駐車を示す概念図
図3図3は、本開示に係る駐車支援装置1の実施例を備えた車両を示す構成図
図4】本開示に係る駐車支援装置1を備えた車両で行われる、自動駐車処理の一例を示すフロー図
図5】駐車経路と周辺障害物との間の距離d、および閾値εの説明図
図6】自動駐車パラメータの変更例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0015】
図1は、従来の自動駐車を示す概念図であり、(a)は通常空間への自動駐車、(b)は狭小空間への自動駐車を示す。
【0016】
図1(a)に示された駐車場PWには、5つの駐車空間P1~P5が並んで配置されている。車両100が後退し、自動駐車を行おうとしている。車両100は、障害物停止機能を備えている。車両100の周囲に示した領域A1は、上述の停止判定距離に相当する領域であり、この領域A1内に障害物が存在する場合、自動ブレーキが働き、車両100は停車する。
【0017】
駐車空間P1、P2、P5に、3台の他の車両が存在する。これら3台の車両は、状況によっては車両100にとっての障害物OBJ1~OBJ3となり得る。なお、車両100にとっての障害物は、他の車両に限られない。例えば隣接する建物のフェンスや壁等も、障害物となり得る。
【0018】
図1(a)の状況においては、駐車空間P1~P5のそれぞれは、空間のサイズが幅方向に大きい。その為、車両100の前記停止判定距離内には障害物は存在しない。したがって、車両100の自動ブレーキは働かず、車両100は自動駐車を完了することができる。
【0019】
一方、図1(b)の狭小空間の場合は、上記とは事情が異なる。
【0020】
図1(b)に示した駐車場PNは、5つの駐車空間P1~P5が存在する点、車両100が自動駐車を行おうとしている点、他の車両が存在する点につき、駐車場PWと同様である。
【0021】
しかし、図1(b)に示した駐車場PNは、駐車空間P1~P5の幅が狭い。すなわち、駐車空間P1~P5がそれぞれ、狭小空間となっている。
【0022】
すると、車両100の前記停止判定距離内に、他の車両である障害物OBJ2およびOBJ3が入る為、車両100は自動ブレーキを働かせ、その場で停止する。すなわち、駐車空間P3への自動駐車が完了しない。
【0023】
次に、本開示の駐車支援装置による自動駐車の場合について説明する。
【0024】
図2は、本開示に係る駐車支援装置1を備えた車両による自動駐車を示す概念図である。
【0025】
図示しているように、本開示に係る駐車支援装置1(後述)を用いれば、停止判定距離を小さくすることができる。結果、図1(b)に示した領域A1は、より狭い領域A2となる。そのため、狭小空間であっても、周囲の障害物(この例ではOBJ2およびOBJ3)に衝突せずに、安全に自動駐車を完了させることができる。以下、これを実現するための構成について詳述する。
【0026】
図3は、本開示に係る駐車支援装置1の実施例を備えた車両を示す構成図である。車両100は、本開示の駐車支援装置1を備える。また、車両100は、検出装置2、走行制御装置3、HMI(Human Machine Interface)4等を備える。なお、車両100は、これら以外の構成要素を備えていてもよい。
【0027】
駐車支援装置1は、制御部11と、駐車経路算出部12を備える。駐車支援装置1は、当該駐車支援装置1の動作の実行に必要なソフトウェアプログラムや各種パラメータを格納するメモリを備えてよい。また、駐車支援装置1は、通信インタフェース等の、他の構成要素を備えてもよい。駐車支援装置1は、検出装置2、走行制御装置3、HMI4等と相互に接続されており、これらの構成要素との間で情報や指令の送受を行う。
【0028】
なお、制御部11は、上記メモリ等に、自動駐車パラメータを保持していてよい。自動駐車パラメータには、前述の停止判定距離の値が含まれる。その他、自動駐車パラメータは、車両100の目標速度、加速度、減速度、PIDゲイン、自動ブレーキの停止目標距離、自動ブレーキのTTC設定時間等をさらに含んでいてもよい。自動駐車パラメータは、これら以外のパラメータを含んでいてもよい。
【0029】
制御部11は、車両100の自動駐車を制御する。駐車支援装置1は、例えば単一または複数のECU(Electronic Control Unit)を用いて構成されてよい。
【0030】
検出装置2は、車両100に対する障害物を検出する装置である。検出装置2は、車両100に取り付けられたリアカメラや、ソナー、レーダ、LIDAR(Light Detection and Ranging)等であってよい。ただし、これらに限定されない。検出装置2は、車両100の外側にある障害物を検出することができる。検出装置2は、車両100の外側にある障害物を検出すると、駐車支援装置1に、障害物情報を送信する。この障害物情報には、検出した障害物の位置情報や、車両100から障害物までの距離情報等が含まれていてよい。なお、障害物情報はこれら以外の情報を含んでいてよい。
【0031】
走行制御装置3は、車両100のアクセル、ブレーキ、ハンドル等を制御する装置である。この走行制御装置3の制御により、自動駐車に係る車両100の移動が行われる。
【0032】
HMI4は、車両100の乗員に対して情報を提示し、また、乗員からの情報入力を受け付ける機器であり、典型的には、車両100のフロントパネルに備え付けられた、タッチパネル式モニタである。ただしこれには限定されない。
【0033】
以上のような構成要素を備えた車両100は、検出装置2によって障害物を検出し、駐車支援装置1が備える制御部11による制御の下、自動駐車を行うことができる。この自動駐車は、乗員からのHMI4を介した指示に基づいて行われてよい。
【0034】
図4は、本開示に係る駐車支援装置1を備えた車両100で行われる、自動駐車処理の一例を示すフロー図である。なお、この例においては、自動駐車中に自動駐車パラメータを動的に変更する。
【0035】
ステップS01において、制御部11が、駐車目標位置までの経路を示す情報(駐車経路情報)を更新する。なお、この駐車経路は、車両100の運転者等が、前述のHMI4によって入力した指示に基づき、駐車経路算出部12が算出したものであってよい。
【0036】
なお、車両100は後退動作時には移動するため、移動中に何らかの状況の変化が生じることもある。例えば、隣接する車両の扉が突然開けられる等の事態が考えられる。そこで、この例においては、自動駐車処理を開始した後も、駐車経路を動的に更新しながら、駐車目標位置まで車両100を移動させる方式について説明する。当初定めた駐車経路を更新しないタイプの自動駐車処理を行う場合は、当該ステップS01を省略してもよい。
【0037】
ステップS02において、制御部11が、車両100の周辺にある障害物(以下、周辺障害物)を検出する。制御部11によるこの検出は、例えば以下のような処理によって可能である。
【0038】
まず、上述のように、検出装置2が周辺障害物を検出することができる。この検出範囲は、適宜設定可能である。
【0039】
そして、検出装置2が周辺障害物を検出した場合、検出装置2は駐車支援装置1に前述の障害物情報を送信する。よって、この障害物情報を駐車支援装置1が受信した場合に、ステップS02おいて、制御部11が、周辺障害物を検出したとすることができる。
【0040】
ステップS03において、制御部11は、自動駐車パラメータを選択する。この自動駐車パラメータ選択処理は、ステップS31~S35を有する。このステップS31~S35については後述する。
【0041】
ステップS04において、走行制御装置3が、制御部11による制御の下、自動駐車パラメータの現在の値に基づいて車両制御を実施する。具体的には、ハンドルとアクセルの自動操作や、車両100の切り返し動作等が行われる。パーキングアシストの場合は、ハンドルの自動操作が行われる。
【0042】
ステップS05において、制御部11が、駐車経路のゴール位置に到達したか否かを判断する。ゴール位置に到達している場合(Yesの場合)は自動駐車処理が終了となる。ゴール位置に到達していない場合(Noの場合)は、ステップS01へと遷移する。
【0043】
次に、前述の自動駐車パラメータ選択処理(ステップS03)に含まれる、ステップS31~S34について説明する。この説明は、図5も併せて参照して行う。
【0044】
ステップS31において、制御部11が、周辺障害物を検出したか否かを判断する。検出した場合(Yesの場合)はステップS32へ分岐し、検出しなかった場合(Noの場合)はステップS35へと分岐する。
【0045】
ステップS32において、制御部11が、駐車経路と周辺障害物との間の距離Dを計算する。前記距離Dの計算方法の一例を示しているのが、図5(a)である。なお、説明の重点箇所を明確にするため、図5においては、図1図2と同様のものについて、参照符号を一部省略している。
【0046】
駐車経路情報に基づき、制御部11は、図5に示したような、経路点Rの集合を仮想的に生成することができる。この経路点Rは、駐車完了地点であるゴール位置Gまで延びていてよい。なお、仮想的に生成した経路点Rの位置は、制御部11にとって既知の値となる。
【0047】
制御部11は、先のステップS02で検出した周辺障害物について、各経路点Rと前記周辺障害物との間の距離dをそれぞれ計算する。この計算は、既知の経路点Rと、車両100と障害物との間の相対位置から算出した障害物の絶対位置との、二点間距離計算となる。
【0048】
そして、それぞれ計算された距離dのうち最小の値が、駐車経路と周辺障害物との間の距離Dとなる。
【0049】
次に、ステップS33において、制御部11が、前記距離Dが所定の閾値εを下回るか否かを判断する。前記距離Dが所定の閾値εを下回る場合(Yesの場合)は、ステップS34へ分岐し、下回らない場合(Noの場合)は、ステップS35に分岐する。
【0050】
なお、ステップS33の上記の分岐条件を、距離Dではなく距離dに基づいて表現すると、距離dが所定の閾値εを下回るような経路点Rがある場合には、ステップS34へと分岐し、そのような経路点Rがない場合には、ステップS35へと分岐することになる。
【0051】
ステップS34は、前記距離Dが所定の閾値εを下回る場合に行われる処理である。この時、制御部11は、狭小空間用の自動駐車パラメータを選択する。例えば、自動駐車パラメータに含まれる停止判定距離パラメータを、より小さな値へと変更する。
【0052】
一方、ステップS35は、前記距離Dが所定の閾値εを下回らない場合に行われる処理である。この場合は、このまま車両100が後退しても支障が無い状況なので、通常の自動駐車パラメータを選択する。例えば、自動駐車パラメータに含まれる停止判定距離パラメータは、現行の値のまま変更しない。
【0053】
なお、所定の閾値εと、狭小空間用(ステップS34)の停止判定距離と、通常(ステップS35)の停止判定距離との大小関係は、例えば以下のとおりである。
狭小空間用の停止判定距離 < 通常の停止判定距離 ≦ 所定の閾値ε
【0054】
以上のようにして、狭小空間用の自動駐車パラメータ(ステップS34)、または通常の自動駐車パラメータ(ステップS35)を選択する。そして、処理は後続のステップS04へと遷移する。
【0055】
すると、駐車空間が上述の狭小空間であっても、狭小空間用の自動駐車パラメータに基づいて、自動駐車を続行することができる。
【0056】
なお、狭小空間への自動駐車であると判断された場合(ステップS33でYesの場合)、変更可能な自動駐車パラメータは、上述の停止判定距離パラメータには限られない。前述のように、その他の自動駐車パラメータとして、車両100の目標速度、最高速度(上限速度)、加速度、減速度、PIDゲイン、自動ブレーキの停止目標距離、自動ブレーキのTTC設定時間等がある。ステップS34において、制御部11は、これらのパラメータを追加で変更してもよい。
【0057】
例えば、ステップS34において、車両100の目標速度を1km/hまで下げることができる。狭小空間への駐車であるから、車両100の速度を落とし、慎重に自動駐車を行う。
【0058】
また、ステップS34において、停止判定距離パラメータを、車両100の周囲に対して一律に減らさなくともよい。例えば自動駐車パラメータの変更例を示す図6に示したように、検出装置2で検出した障害物は、自動駐車を行っている車両100の左右いずれか片側にのみ存在することがある。駐車経路に対して障害物が存在する方向は、駐車経路算出部12が算出した駐車経路と、検出装置2から制御部11に送信される前記障害物情報とに基づいて、特定することができる。
【0059】
このような場合、ステップS34において、駐車経路から障害物情報に含まれる障害物へと向かう方向について、停止判定距離パラメータの値を変更してもよい。例えば、図1に示した領域A1を、図6に示した領域A3や領域A4へと狭めてよい。
【0060】
以上のように、駐車支援装置が制御部と、駐車経路算出部とを備え、前記駐車経路算出部は駐車経路を算出し、前記制御部は、入力された障害物情報と、前記駐車経路算出部が算出した駐車経路情報と、に基づき自動駐車パラメータに含まれる停止判定距離パラメータを変更してよい。また、前記制御部は、前記障害物情報に含まれる障害物と、前記駐車経路情報に示される駐車経路と、の間の距離に基づき自動駐車パラメータに含まれる停止判定距離パラメータを変更してよい。前記構成により、狭小空間であっても、駐車支援装置を備えた車両が自動駐車を完了させることができる。
【0061】
上記構成において、前記制御部は、前記距離が所定の閾値を下回る場合に、自動駐車パラメータに含まれる停止判定距離パラメータを変更してよい。また、前記制御部は、前記障害物と、前記駐車経路と、の間の最短距離が所定の閾値を下回る場合に、自動駐車パラメータに含まれる停止判定距離パラメータを変更してよい。また、前記制御部は、前記障害物と、前記駐車経路と、の間の距離を前記駐車経路に含まれる経路点ごとに算出し、所定の閾値を下回る経路点がある場合に、自動駐車パラメータに含まれる停止判定距離パラメータを変更してもよい。前記構成により、障害物が近い場所にある場合に停止判定距離パラメータを変更することで、狭小空間であっても、駐車支援装置を備えた車両が自動駐車を完了させることができる。
【0062】
上記構成において、前記停止判定距離パラメータの変更は、前記駐車経路から前記障害物情報に含まれる障害物へと向かう方向について行われてよい。前記構成により、停止判定距離パラメータのうち、障害物を発見した側だけを縮めて、安全に自動駐車を行うことができる。
【0063】
上記構成において、前記制御部は、前記停止判定距離パラメータの変更の際に、自動駐車パラメータに含まれる目標速度、加速度、減速度、PIDゲイン、自動ブレーキの停止目標距離、自動ブレーキのTTC設定時間のうちの、いずれか1つ以上を更に変更してよい。前記構成により、狭小空間と判断された時には、停止判定距離だけでなく、他の種々の自動駐車パラメータを変更し、より安全に自動駐車を完了させることができる。
【0064】
また、制御部と駐車経路算出部とを備えた駐車支援装置と、障害物を検出する検出部を備えた車両において、前記駐車支援装置の前記駐車経路算出部は駐車経路を算出し、前記検出部は、障害物を検出し、当該障害物に係る障害物情報を前記駐車支援装置へと入力し、前記制御部は、入力された障害物情報と、前記駐車経路算出部が算出した駐車経路情報と、に基づき自動駐車パラメータに含まれる停止判定距離パラメータを変更してよい。また、前記制御部は、前記障害物情報に含まれる障害物と、前記駐車経路情報に示される駐車経路と、の間の距離に基づき自動駐車パラメータに含まれる停止判定距離パラメータを変更してよい。前記構成により、狭小空間であっても、車両が自動駐車を完了させることができる。
【0065】
上記構成において、前記制御部は、前記距離が所定の閾値を下回る場合に、自動駐車パラメータに含まれる停止判定距離パラメータを変更してよい。また、前記制御部は、前記障害物と、前記駐車経路と、の間の最短距離が所定の閾値を下回る場合に、自動駐車パラメータに含まれる停止判定距離パラメータを変更してよい。また、前記制御部は、前記障害物と、前記駐車経路と、の間の距離を前記駐車経路に含まれる経路点ごとに算出し、所定の閾値を下回る経路点がある場合に、自動駐車パラメータに含まれる停止判定距離パラメータを変更してもよい。前記構成により、障害物が近い場所にある場合に停止判定距離パラメータを変更することで、狭小空間であっても、車両が自動駐車を完了させることができる。
【0066】
上記構成において、前記停止判定距離パラメータの変更は、前記駐車経路から前記障害物情報に含まれる障害物へと向かう方向について行われてよい。前記構成により、停止判定距離パラメータのうち、障害物を発見した側だけを縮めて、安全に自動駐車を行うことができる。
【0067】
上記構成において、前記制御部は、前記停止判定距離パラメータの変更の際に、自動駐車パラメータに含まれる目標速度、加速度、減速度、PIDゲイン、自動ブレーキの停止目標距離、自動ブレーキのTTC設定時間のうちの、いずれか1つ以上を更に変更してよい。前記構成により、前記構成により、狭小空間と判断された時には、停止判定距離だけでなく、他の種々の自動駐車パラメータを変更し、より安全に自動駐車を完了させることができる。
【0068】
また、制御部と駐車経路算出部を備える装置による駐車支援方法が、前記駐車経路算出部が駐車経路を算出するステップと、前記制御部が、入力された障害物情報と、前記駐車経路算出部が算出した駐車経路情報と、に基づき自動駐車パラメータに含まれる停止判定距離パラメータを変更するステップと、を有してよい。前記構成により、狭小空間であっても、前記駐車支援方法を用いた車両が自動駐車を完了させることができる。
【0069】
また、駐車支援プログラムが、制御部と、駐車経路算出部を備える装置に、前記駐車経路算出部が駐車経路を算出するステップと、前記制御部が、入力された障害物情報と、前記駐車経路算出部が算出した駐車経路情報と、に基づき自動駐車パラメータに含まれる停止判定距離パラメータを変更するステップと、を実行させてよい。前記構成により、狭小空間であっても、前記プログラムを実装した車両が自動駐車を完了させることができる。
【0070】
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。例えば、本開示は、運転者が車両から降り、その後の駐車を車両に任せるような、バレーパーキングにも適用できる。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 駐車支援装置
2 検出装置
3 走行制御装置
11 制御部
12 駐車経路算出部
100 車両
A1~A3 領域
G ゴール位置
OBJ1~OBJ3 障害物
P1~P5 駐車空間
PW、PN 駐車場
R 経路点
図1
図2
図3
図4
図5
図6