(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086765
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】発泡体クッションを備えた患者インターフェース
(51)【国際特許分類】
A61M 16/06 20060101AFI20230615BHJP
【FI】
A61M16/06 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023060822
(22)【出願日】2023-04-04
(62)【分割の表示】P 2022537761の分割
【原出願日】2019-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】521509985
【氏名又は名称】レスメド・アジア・ピーティーイー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロビン・ユウ
(72)【発明者】
【氏名】リク・ツェ・シート
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ジェームズ・ベイト
(72)【発明者】
【氏名】カム・マン・ロー
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、発泡体クッションを備えた患者インターフェースを提供することにある。
【解決手段】患者インターフェースは、陽圧の呼吸ガスの流れを患者の気道の入口へ送達するように構成される。患者インターフェースは、陽圧の呼吸ガスの流れを受容するように構成されたプレナムチャンバの少なくとも一部を形成するエラストマー支持壁を含む。患者インターフェースは、エラストマー支持壁の端部において位置決めされかつ支持壁からラジアル方向に内方に延びるエラストマー支持フランジも含む。支持フランジは、支持フランジの残り部分よりもラジアル方向に内方方向にさらに延びる支持フランジの中央上方領域においてフラップ部を有する。加えて、発泡体クッションは、支持フランジ上に取り付けられる。発泡体クッションは、患者の顔とシールを形成するように構成され、支持フランジの外面と接触する取付面を含む。
【選択図】
図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽圧の呼吸ガスの流れを少なくとも患者の鼻孔の入口を含む前記患者の気道の入口へ送達するように構成された患者インターフェースであって、前記患者インターフェースは、睡眠時呼吸障害の改善のために、前記患者の睡眠時に使用時において前記患者の呼吸サイクル全体において周囲圧力を超える約4cmH2O~約30cmH2Oの範囲内において治療圧力を維持するように構成され、前記患者インターフェースは、
前記陽圧の呼吸ガスの流れを受容するように構成されたプレナムチャンバの少なくとも一部を形成するエラストマー支持壁;
前記エラストマー支持壁の端部において位置決めされかつ前記エラストマー支持壁からラジアル方向に内方に延びるエラストマー支持フランジであって、前記エラストマー支持フランジは、前記エラストマー支持フランジの残り部分よりも前記ラジアル方向に内方方向にさらに延びる前記エラストマー支持フランジの中央上方領域においてフラップ部を含む、エラストマー支持フランジ;および
前記エラストマー支持フランジ上に取り付けられた発泡体クッションであって、前記発泡体クッションは、前記患者の顔とシールを形成するように構成され、前記エラストマー支持フランジの外面と接触する取付面を含む、発泡体クッション、
を含む、患者インターフェース。
【請求項2】
前記発泡体クッションは、前記エラストマー支持フランジの外面と接触する取付面を有し、前記発泡体クッションの取付面は、前記フラップ部に対応する場所において最も幅広となる、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項3】
前記フラップ部における前記エラストマー支持フランジの外面は、正の曲率を有する、請求項1または2に記載の患者インターフェース。
【請求項4】
前記エラストマー支持フランジの中央下方領域は、正の曲率を有する、請求項3に記載の患者インターフェース。
【請求項5】
前記フラップ部内の前記エラストマー支持フランジの曲率は、前記中央下方領域内における前記エラストマー支持フランジの曲率よりも大きい、請求項4に記載の患者インターフェース。
【請求項6】
前記エラストマー支持フランジの中央下方領域は、前記エラストマー支持フランジの第1の一対の負の曲率領域間に設けられる、請求項1~5のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項7】
前記フラップ部は、前記エラストマー支持フランジの第2の一対の負の曲率領域間に設けられる、請求項1~6のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項8】
前記エラストマー支持フランジは、前記エラストマー支持フランジの外面の曲率が正から負または負から正へ移行する8つの移行領域を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項9】
前記発泡体クッションは、使用時において前記患者の顔と接触するように構成された密閉面を含み、前記発泡体クッションの密閉面は、前記エラストマー支持フランジの外面が正の曲率を有する場所において正の曲率を有し、前記発泡体クッションの密閉面は、前記エラストマー支持フランジの外面が負の曲率を有する場所において負の曲率を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項10】
前記フラップ部内の前記エラストマー支持フランジの外面は、サドル状を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項11】
中央下方領域内の前記エラストマー支持フランジの外面は、サドル状を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項12】
前記フラップ部内の前記エラストマー支持フランジの外面は、第1の一対のドーム領域間に設けられる、請求項1~11のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項13】
中央下方領域内の前記エラストマー支持フランジの外面は、第2の一対のドーム領域間に設けられる、請求項1~12のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項14】
前記発泡体クッションは、前記エラストマー支持フランジにオーバーハングする、請求項1~13のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項15】
前記陽圧の呼吸ガスの流れを受容するように構成された入口開口部を備えたシェルをさらに含み、前記エラストマー支持壁は、前記シェルに取り付けられる、請求項1~14のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項16】
前記シェルと、前記エラストマー支持壁と、前記発泡体クッションとを前記患者の頭部上において支持するように構成された位置決めおよび安定化構造をさらに含み、前記位置決めおよび安定化構造は、前記シェルへ取り外し可能に取り付け可能である、請求項15に記載の患者インターフェース。
【請求項17】
前記位置決めおよび安定化構造は、シュラウドおよび複数のヘッドギアストラップを含む、請求項16に記載の患者インターフェース。
【請求項18】
前記シュラウドは、前記入口開口部において前記シェルへ取り外し可能に取り付け可能である、請求項17に記載の患者インターフェース。
【請求項19】
前記シュラウドおよび前記シェルへ接続可能な空気送達管をさらに含む、請求項18に記載の患者インターフェース。
【請求項20】
陽圧の呼吸ガスの流れを少なくとも患者の鼻孔の入口を含む前記患者の気道の入口へ送達するように構成された患者インターフェースであって、前記患者インターフェースは、睡眠時呼吸障害の改善のために、前記患者の睡眠時に使用時において前記患者の呼吸サイクル全体において周囲圧力を超える約4cmH2O~約30cmH2Oの範囲内において治療圧力を維持するように構成され、前記患者インターフェースは、
前記陽圧の呼吸ガスの流れを受容するように構成されたプレナムチャンバの少なくとも一部を形成するエラストマー支持壁;
前記エラストマー支持壁の端部において位置決めされかつ前記エラストマー支持壁からラジアル方向に内方に延びるエラストマー支持フランジ;および
前記エラストマー支持フランジ上に取り付けられた発泡体クッションであって、前記発泡体クッションは、前記患者の顔とシールを形成するように構成される、発泡体クッション、
を含み、前記エラストマー支持フランジのエラストマー壁厚さは、前記エラストマー支持フランジの中央上方領域から前記エラストマー支持フランジの中央下方領域にかけて変化する、患者インターフェース。
【請求項21】
前記エラストマー支持フランジのエラストマー壁厚さは、前記中央上方領域と前記中央下方領域との間の中間領域においてよりも前記中央上方領域および前記中央下方領域においてより肉薄となる、請求項20に記載の患者インターフェース。
【請求項22】
前記エラストマー支持フランジのエラストマー壁厚さは、前記中央下方領域においてよりも前記中央上方領域においてより肉薄となる、請求項20または21に記載の患者インターフェース。
【請求項23】
前記エラストマー支持壁のエラストマー壁厚さは、前記エラストマー支持壁の中央上方領域から前記エラストマー支持壁の中央下方領域にかけて変化する、請求項20~22のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項24】
前記エラストマー支持壁のエラストマー壁厚さは、前記中央上方領域と前記中央下方領域との間の中間領域においてよりも前記エラストマー支持壁の中央上方領域および前記エラストマー支持壁の中央下方領域においてより肉薄となる、請求項23に記載の患者インターフェース。
【請求項25】
前記エラストマー支持壁のエラストマー壁厚さは、前記中央下方領域においてよりも前記中央上方領域においてより肉薄となる、請求項23または24に記載の患者インターフェース。
【請求項26】
前記エラストマー支持壁の中央上方領域は、上ガセットを含み、前記エラストマー支持壁の中央下方領域は、下ガセットを含む、請求項20~25のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項27】
前記下ガセットは、前記上ガセットよりも圧壊可能である、請求項26に記載の患者インターフェース。
【請求項28】
前記発泡体クッションの厚さは、前記発泡体クッション全体において一貫している、請求項20~27のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項29】
前記患者インターフェースの下方領域において一対の圧縮可能リブをさらに含み、前記圧縮可能リブはそれぞれ、前記エラストマー支持壁および前記エラストマー支持フランジへ取り付けられ、前記プレナムチャンバ内の陽圧に起因して前記エラストマー支持フランジの少なくとも一部が撓む事態を防止するように構成される、請求項20~28のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項30】
前記エラストマー支持フランジは、前記エラストマー支持フランジの残り部分よりも前記ラジアル方向に内方方向にさらに延びる前記エラストマー支持フランジの中央上方領域においてフラップ部を含み、前記フラップ部は、前記プレナムチャンバ内の陽圧に起因して前記エラストマー支持フランジの少なくとも一部が撓む事態を防止するように構成される、請求項20~29のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項31】
前記発泡体クッションは、前記エラストマー支持フランジにオーバーハングする、請求項20~30のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項32】
前記発泡体クッションは、前記エラストマー支持フランジへ取り付けられるように構成された取付面を含み、前記患者の顔と接触してシールを形成するように構成された密閉面を含み、前記発泡体クッションは、二等分面の周囲において屈曲され、前記二等分面は、前記発泡体クッションを二等分させ、前記発泡体クッションの中央上方領域および中央下方領域を通じて延び、前記取付面および前記密閉面は、前記発泡体クッションの残りの部分においてよりも前記二等分面においてより幅広となる、請求項20~31のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項33】
前記発泡体クッションは、前記取付面から前記密閉面へ延びる周面を含み、前記周面は、前記中央下方領域において凹状にされる、請求項32に記載の患者インターフェース。
【請求項34】
前記陽圧の呼吸ガスの流れを受容するように構成された入口開口部を備えたシェルをさらに含み、前記エラストマー支持壁は、前記シェルに取り付けられる、請求項20~33のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項35】
前記シェルと、前記エラストマー支持壁と、前記発泡体クッションとを前記患者の頭部上において支持するように構成された位置決めおよび安定化構造をさらに含み、前記位置決めおよび安定化構造は、請求項34に記載の患者インターフェース。
【請求項36】
前記位置決めおよび安定化構造は、シュラウドおよび複数のヘッドギアストラップを含む、請求項35に記載の患者インターフェース。
【請求項37】
前記シュラウドは、前記入口開口部において前記シェルへ取り外し可能に取り付け可能である、請求項36に記載の患者インターフェース。
【請求項38】
前記シュラウドおよび前記シェルへ接続可能な空気送達管をさらに含む、請求項37に記載の患者インターフェース。
【請求項39】
陽圧の呼吸ガスの流れを少なくとも患者の鼻孔の入口を含む前記患者の気道の入口へ送達するように構成された患者インターフェースであって、
前記患者インターフェースは、睡眠時呼吸障害の改善のために、前記患者の睡眠時に使用時において前記患者の呼吸サイクル全体において周囲圧力を超える約4cmH2O~約30cmH2Oの範囲内において治療圧力を維持するように構成され、
前記患者インターフェースは、
前記陽圧の呼吸ガスの流れを受容するように構成された入口開口部を備えたシェル;
前記シェルへ取り付けられたエラストマー支持壁であって、前記シェルおよび前記エラストマー支持壁は、前記陽圧の呼吸ガスの流れを受容するように構成されたプレナムチャンバの少なくとも一部を協働して形成する、エラストマー支持壁;
前記エラストマー支持壁の端部において位置決めされかつ前記エラストマー支持壁からラジアル方向に内方に延びるエラストマー支持フランジ;および
前記エラストマー支持フランジ上に取り付けられた発泡体クッションであって、前記発泡体クッションは、前記患者の顔とシールを形成するように構成される、発泡体クッション、
を含み、
前記エラストマー支持壁および前記発泡体クッションは、前記患者インターフェースが前記患者の顔上に取り付けられた際に、前記入口開口部の中央長手方向軸のうち前記患者インターフェースの外側の一部が下方向に延びるように構成される、前記患者インターフェース。
【請求項40】
前記エラストマー支持壁は、前記エラストマー支持壁の横方向側を通じて延びる横方向軸の周囲において枢動するように構成される、請求項39に記載の患者インターフェース。
【請求項41】
前記エラストマー支持壁の構成は、前記エラストマー支持壁が中立位置から枢動するときに、前記シェルの入口開口部が回転して前記入口開口部の中央長手方向軸のうち前記患者インターフェースの外側の部分が前記下方向に回転するように構成される、請求項40に記載の患者インターフェース。
【請求項42】
前記エラストマー支持壁の下部は、下ガセットを含み、前記下ガセットは、前記下ガセットの圧壊時において前記エラストマー支持壁が前記横方向軸の周囲において撓むように構成される、請求項41に記載の患者インターフェース。
【請求項43】
前記エラストマー支持壁の上部は、上ガセットを含む、請求項39~42のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項44】
前記シェルと、前記エラストマー支持壁と、前記発泡体クッションとを前記患者の頭部上において支持するように構成された位置決めおよび安定化構造をさらに含み、前記位置決めおよび安定化構造は、前記シェルへ取り外し可能に取り付け可能である、請求項39~43のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項45】
前記位置決めおよび安定化構造は、シュラウドおよび複数のヘッドギアストラップを含む、請求項44に記載の患者インターフェース。
【請求項46】
前記シュラウドは、前記入口開口部において前記シェルへ取り外し可能に取り付け可能である、請求項45に記載の患者インターフェース。
【請求項47】
前記シュラウドおよび前記シェルへ接続可能な空気送達管をさらに含む、請求項46に記載の患者インターフェース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1 技術の背景
1.1 技術の分野
本技術は、呼吸関連障害のスクリーニング、診断、監視、治療、予防および改善のうち1つ以上に関する。本技術はまた、医療デバイスまたは装置と、その使用とに関する。
【背景技術】
【0002】
1.2 関連技術の説明
1.2.1 ヒトの呼吸器系およびその障害
身体の呼吸器系は、ガス交換を促進させる。鼻および口は、患者の気道への入口を形成する。
【0003】
これらの気道は、一連の枝管を含み、これらの管は、肺の奥深くに進むほど狭く、短くかつ多数になる。肺の主要な機能はガス交換であり、吸息された空気酸素を静脈血中へ取り入れさせ、二酸化炭素を退出させる。気管は、右および左の主気管支に分かれ、これらの主気管支はさらに分かれて、最終的に終末細気管支となる。気管支は、誘導気道を構成するものであり、ガス交換には関与しない。気道がさらに分割されると呼吸細気管支となり、最終的には肺胞となる。肺の胞状の領域においてガス交換が行われ、この領域を呼吸ゾーンと呼ぶ。以下を参照されたい:「Respiratory Physiology」, by John B. West, Lippincott Williams & Wilkins, 9th edition published 2012。
【0004】
一定範囲の呼吸障害が存在している。特定の障害は、特定の発症(例えば、無呼吸、呼吸低下および過呼吸)によって特徴付けられ得る。
【0005】
呼吸障害の例には、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、チェーン・ストークス呼吸(CSR)、呼吸不全、肥満過換気症候群(OHS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経筋疾患(NMD)および胸壁障害が含まれる。
【0006】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠時呼吸障害(SDB)の1つの形態であり、睡眠時の上通気道の閉鎖または閉塞などの発症によって特徴付けられる。これは異常に小さい上気道と、舌の領域の筋緊張の通常の喪失、睡眠時の軟口蓋および後口咽頭壁の正常損失の組み合わせの結果である。このような状態に起因して、罹患患者の呼吸停止が典型的には30~120秒にわたり、ときには一晩に200~300回も呼吸が停止する。その結果、日中の眠気が過度になり、心血管疾患および脳損傷の原因になり得る。この症候群は一般的な障害であり、特に中年の過体重の男性に多いが、患者に自覚症状は無い。特許文献1(Sullivan)を参照されたい。
【0007】
チェーン・ストークス呼吸(CSR)は、別の形態の睡眠時呼吸障害である。CSRは、患者の呼吸調節器の障害であり、CSRサイクルとして知られる換気の漸増および漸減が交互に周期的に続く。CSRは、動脈血の脱酸素および再曝気の繰り返しによって特徴付けられる。反復低酸素症のため、CSRは有害であり得る。患者によっては、CSRは、重症不眠、交感神経活動の増加、および後負荷の増加の原因となる、反復性睡眠覚醒を随伴する。特許文献2(Berthon-Jones)を参照されたい。
【0008】
呼吸不全とは、呼吸障害の総称であり、患者の需要を満たすための充分な酸素吸気または充分なCO2呼息を肺が行うことができていないことを指す。呼吸不全は、以下の障害のうちいくつかまたは全てを包含し得る。
【0009】
呼吸不全(一種の呼吸不全)の患者は、運動時に異常な息切れを経験することがある。
【0010】
肥満過換気症候群(OHS)は、低換気の原因が他に明確に無い状態における、重症肥満および覚醒時慢性高炭酸ガス血症の組み合わせとして定義される。症状には、呼吸困難、起床時の頭痛と過剰な日中の眠気が含まれる。
【0011】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、特定の共通する特性を有する下気道疾患のグループのうちのいずれも包含する。これには空気の動きに対する抵抗の増加、呼吸の呼気相の延長および肺における正常な弾性の減少が含まれる。COPDの例として、気腫および慢性気管支炎がある。COPDの原因としては、慢性喫煙(第一危険因子)、職業被ばく、空気汚染および遺伝因子がある。症状を挙げると、労作時の呼吸困難、慢性咳および痰生成がある。
【0012】
神経筋疾患(NMD)は、内在筋病理を直接介してまたは神経病理を間接的に介して筋肉機能を損なう多数の疾病および病気を包含する広範な用語である。NMD患者の中には、進行性の筋肉障害によって特徴付けられる者もあり、結果的に歩行不可能、車椅子への束縛、嚥下困難、呼吸筋力低下に繋がり、最終的には呼吸不全による死亡に繋がる。神経筋障害は、急速進行性および緩徐進行性に分けることができる:(i)急速進行性障害の特徴:数か月にわたって悪化し、数年以内に死に至る筋肉障害(例えば、筋萎縮性側索硬化症(ALS)および10代のデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)など)を特徴とする。(ii)変性または緩徐進行性障害:数年にわたって悪化するものの、予命の短縮は軽度にとどまる筋肉障害(例えば、肢帯型、顔面肩甲上腕型、および筋緊張型筋ジストロフィー)を特徴とする。NMDにおける呼吸不全症状を以下に挙げる:全身衰弱の増加、嚥下障害、労作時および安静時の呼吸困難、疲労、眠気、起床時の頭痛、および集中および気分の変化の困難。
【0013】
胸壁障害は、胸郭変形の1つのグループであり、呼吸筋肉と胸郭との間の連結の無効性の原因となる。これらの障害は、拘束性障害によって主に特徴付けられ、長期の炭酸過剰性呼吸不全の可能性を共有する。脊柱側弯症および/または脊柱後側弯症は、重篤な呼吸不全を発症することがある。呼吸不全の症状を以下に挙げる:労作時の呼吸困難、末梢浮腫、起座呼吸、反復性胸部感染症、起床時の頭痛、疲労、睡眠の質の低下、および食欲不振。
【0014】
このような状態を治療または改善するために、一定範囲の治療が用いられている。さらに、その他の点では健常人も、呼吸障害の予防治療を有利に利用することができる。しかし、これらにおいては、複数の欠陥がある。
1.2.2 治療
【0015】
多様な呼吸治療(例えば、持続的気道陽圧(CPAP)治療、非侵襲的換気(NIV)、侵襲的換気(IV)、および高流量治療(HFT))が上記の呼吸障害の1つ以上の治療のために用いられている。
1.2.2.1 呼吸圧力治療
【0016】
呼吸圧力治療とは、(例えば、タンクベンチレータや陽陰圧体外式人工呼吸器(cuirass)などの陰圧治療とは異なり、)患者の呼吸サイクル全体にかけて雰囲気に対して通常陽圧である制御された目標圧力において気道の入口へ空気を供給することの適用である。
【0017】
持続的気道陽圧(CPAP)治療が、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療において用いられている。その作用メカニズムとしては、例えば軟口蓋および舌を押して後口咽頭壁へ前進または後退させることにより、持続的気道陽圧が空気圧スプリントとして機能し、これにより上気道の閉鎖を防止し得る。CPAP治療によるOSAの治療は自発的なものであり得るため、このような患者が治療の提供に用いられるデバイスについて以下のうち1つ以上に気づいた場合、患者が治療を遵守しないことを選択する可能性がある:不快、使用困難、高価、美観的な魅力の無さ。
【0018】
非侵襲的換気(NIV)は、換気補助を上気道を通じて患者へ提供して、呼吸機能の一部または全体を行うことにより患者の呼吸の補助および/または身体中の適切な酸素レベルの維持を提供する。換気補助が、非侵襲的患者インターフェースを介して提供される。NIVは、OHS、COPD、NMD、および胸壁障害などの形態のCSRおよび呼吸不全の治療に用いられている。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0019】
侵襲的換気(IV)は、自身で有効に呼吸することができなくなった患者に対して換気補助を提供し、気管切開管を用いて提供され得る。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
1.2.2.2 流れ治療
【0020】
全ての呼吸治療において、規定の治療圧力の送達が意図されているわけではない。いくつかの呼吸治療においては、(恐らくは正のベースライン圧力上に重畳された)吸気流量プロファイルの送達を目標継続期間にわたって行うことによる規定呼吸量の送達が、企図されている。他の場合において、患者の気道へのインターフェースが「開放」(シール解除)されており、調整ガスまたは高濃度ガスの流れによる呼吸治療は、患者自身の自発呼吸の補助としてのみ用いられ得る。一例において、高流量治療(HFT)とは、連続的な、加熱された、加湿された空気流れを密閉されていないかまたは開口した患者インターフェースを通じて、呼吸サイクル全体にかけてほぼ一定に保持される「治療流量」で提供することである。治療流量は、患者のピーク吸気流量を超えるようにノミナル設定されている。HFTは、OSA、CSR、呼吸不全、COPDおよび他の呼吸障害の治療のために用いられている。1つの作用メカニズムとして、患者の解剖学的死腔から呼気されたCO2のフラッシングまたは押し流しが可能になるため、高流量の空気を気道入口へ提供すると、換気効率が向上する。そのため、HFTは、死腔治療(DST)と呼ばれる場合がある。他の恩恵を挙げると、(恐らくは分泌制御の恩恵による)暖かさおよび加湿の向上や、気道圧力の緩やかな上昇の可能性がある。一定の流量の代替例として、治療流量は、呼吸サイクルにわたって変動するプロファイルに追随し得る。
【0021】
別の形態の流れ治療として、長期酸素治療(LTOT)または酸素補充治療がある。医師は、酸素富化ガスの連続流れを指定酸素濃度(周囲空気中の酸素分率が21%~100%)において指定流量(例えば、1リットル/分(LPM)、2LPM、3LPM)において患者の気道へ送達する旨を処方し得る。
1.2.2.3 補充酸素
【0022】
特定の患者の場合、補充酸素を加圧空気流れへ付加することにより、酸素治療と呼吸圧力治療またはHFTとの組み合わせが得られ得る。呼吸圧力治療へ酸素を付加した場合、これは、補充酸素を用いたRPTと呼ばれる。HFTへ酸素を付加した場合、その結果得られる治療は、補充酸素を用いたHFTと呼ばれる。
1.2.3 呼吸治療システム
【0023】
これら呼吸治療は、呼吸治療システムまたはデバイスによって提供され得る。このようなシステムおよびデバイスは、疾患を治療することなくスクリーニング、診断、または監視するためにも、用いられ得る。
【0024】
呼吸治療システムは、呼吸圧力治療デバイス(RPTデバイス)、空気回路、加湿器、患者インターフェース、酸素源、およびデータ管理を含み得る。
1.2.3.1 患者インターフェース
【0025】
患者インターフェースは、例えば気道入口への空気流れを提供することにより呼吸装具へのインターフェースを装着者へ提供するために、用いられ得る。空気流れは、鼻および/または口へのマスク、口への管、または患者気管への気管切開管を介して提供され得る。適用される治療に応じて、患者インターフェースは、例えば患者の顔の領域とのシールを形成し得、これにより、治療実行のための周囲圧力と共に充分な分散の圧力において(例えば、例えば周囲圧力に対して約10cmH2Oの陽圧において)ガス送達を促進する。酸素送達などの他の治療形態において、患者インターフェースは、約10cmH2Oの陽圧において気道へのガス供給の送達を促進するのに充分なシールを含まない場合がある。鼻HFTなどの流れ治療の場合、患者インターフェースは、鼻孔への送気を行い(かつ完全なシールを明確に回避する)ように、構成される。このような患者インターフェースの一例として、鼻カニューレがある。
【0026】
特定の他のマスクシステムは、本分野において機能的に不適切であり得る。例えば、純然たる装飾目的のマスクの場合、適切な圧力を維持することができない場合がある。水中水泳またはダイビングに用いられるマスクシステムは、外部からのより高い圧力からの水侵入から保護することと、周囲よりも高い圧力において内部の空気を維持しないこととを行うように、構成され得る。
【0027】
特定のマスクは、本技術において臨床的に好ましく無い場合があり得る(例えば、マスクが鼻を介して気流を遮断し、口を介した気流のみを通過させる場合)。
【0028】
特定のマスクにおいて、患者がマスク構造の一部を口に挿入し、唇を介してシールを生成および維持しなければならない場合、本技術において不快であるかまたは非実際的である場合がある。
【0029】
特定のマスクは、睡眠時(例えば、横向きにベッドに寝て枕の上に頭を置いた状態で睡眠する場合)における使用においては非実際的である場合がある。
【0030】
患者インターフェースの設計においては、複数の課題がある。顔は、複雑な三次元形状を有する。鼻および頭のサイズおよび形状は、個人によって大きく異なる。頭部には骨、軟骨および軟組織が含まれるため、顔の異なる領域は、機械的力に対して異なる反応を示す。すなわち、顎部または下顎骨は、頭蓋骨の他の骨に相対して動き得る。頭部全体は、呼吸治療期間を通じて動き得る。
【0031】
これらの課題に起因して、いくつかのマスクの場合、特に装着時間が長い場合または患者がシステムに不慣れである場合、押しつけがましい、美観的に望ましくない、コストが高い、フィット感が悪い、使用が困難、および不快感があるなどの理由のうち1つ以上がある。誤ったサイズのマスクが用いられた場合、コンプライアンスの低下、快適性の低下および患者予後の低下に繋がり得る。飛行士専用のマスク、個人用保護装具(例えば、フィルターマスク)、SCUBAマスクの一部として設計されたマスク、または麻酔投与用マスクは、その元々の用途には耐えられるものの、このようなマスクの場合、長時間(例えば、数時間)にわたって装着するには望ましくないほど不快な場合がある。このような不快感に起因して、治療に対する患者のコンプライアンスが低下する可能性がある。これは、マスクを睡眠時に装着する必要がある場合、特に当てはまる。
【0032】
CPAP治療は、患者が治療を承諾している場合、特定の呼吸障害の治療においては極めて効果的である。マスクが不快である場合または使用が難しい場合、患者は、治療を承諾しない場合がある。患者はマスクを定期的に洗浄するよう推奨されることが多いため、マスクの清浄が難しい(例えば、組立または分解が困難である場合)、患者は、マスクを清浄することができず、患者のコンプライアンスに影響が出る場合がある。
【0033】
他の用途(例えば、飛行士)用のマスクの場合、睡眠時呼吸障害の治療の使用には不適である場合があるため、睡眠時呼吸障害の治療の使用のために設計されたマスクは、他の用途に適している場合がある。
【0034】
これらの理由のめ、睡眠時のCPAP送達のための患者インターフェースは、明瞭な分野を形成する。
1.2.3.1.1 シール形成構造
【0035】
患者インターフェースは、シール形成構造を含み得る。患者インターフェースは、患者の顔と直接接触するため、シール形成構造の形状および構成は、患者インターフェースの有効性および快適性に直接影響を持ち得る。
【0036】
患者インターフェースは、使用時にシール形成構造を顔と係合させる場所の設計意図に従って、部分的に特徴付けられ得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、左鼻孔の周囲にシールを形成するための第1のサブ部分と、右鼻孔の周囲にシールを形成するための第2のサブ部分とを含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時において双方の鼻孔を包囲する単一の要素を含み得る。このような単一の要素は、例えば顔の上唇領域および鼻梁領域上に載置されるように、設計され得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時に例えば顔の下唇領域上にシールを形成することにより口領域を包囲する要素を含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時に双方の鼻孔および口領域を包囲する単一の要素を含み得る。これらの異なる種類の患者インターフェースは、その製造業者によって鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻枕、鼻パフおよび口鼻マスクなどの多様な名称によって公知であり得る。
【0037】
患者の顔の一領域において有効であり得るシール形成構造は、例えば患者の顔の異なる形状、構造、変化性および感受性領域に起因して、別の領域において不適切であり得る。例えば、患者の前額上に載置される水泳用ゴーグルのシールは、患者の鼻上における使用には不適切である場合がある。
【0038】
特定のシール形成構造は、広範囲の異なる顔形状およびサイズに対して1つの設計が適合し、快適でありかつ有効になるように、大量製造用に設計され得る。シールを形成するためには、患者の顔の形状と、大量製造された患者インターフェースのシール形成構造との間の不整合がある範囲まで、一方または双方を適合させる必要がある。
【0039】
1つの種類のシール形成構造は、患者インターフェースの周囲を包囲して延び、シール形成構造が患者の顔に対向して係合している状態で力が患者インターフェースへ付加された際、患者の顔を密閉することを意図する。このシール形成構造は、空気または流体充填クッションを含み得るか、または、ゴムなどのエラストマーによって構成された弾力性のあるシール要素の成形されたかまたは形成された表面を含み得る。この種のシール形成構造により、フィット感が不適切である場合、シール形成構造と顔との間に隙間が発生し、シールを達成するには、患者インターフェースを顔に押しつけるためにさらなる力が必要になる。
【0040】
別の種類のシール形成構造は、陽圧がマスク内に付加された際に患者の顔に対して自己気密作用を提供するように、マスクの周辺の周囲に配置された薄材のフラップシールを使用する。先述の種類のシール形成部分と同様に、顔とマスクとの間の整合が良くない場合、シールを達成するために必要なさらなる力が必要になり得るか、またはマスクから漏洩が発生し得る。さらに、シール形成構造の形状が患者の形状と整合しない場合、使用時においてそれに折り目または座屈が発生し、漏洩の原因になる。
【0041】
別の種類のシール形成構造は、例えば鼻孔中へ挿入される摩擦嵌め要素を含み得るが、これを不快であると感じる患者も存在する。
【0042】
別の形態のシール形成構造は、シールを達成するために接着部を用い得る。患者の中には、常に接着部を自身の顔に貼り付けるかまたは取り外すことが不便であると感じる患者もいる。
【0043】
一定範囲の患者インターフェースシール形成構造の技術について、(ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願:特許文献3;特許文献4;特許文献5に開示がある。
【0044】
鼻枕の一形態が、Puritan Bennettによって製造されたAdam回路において見受けられる。別の鼻枕または鼻パフが、Puritan-Bennett Corporationへ譲渡された特許文献6(Trimbleら)の主題になっている。
【0045】
ResMed Limitedは、鼻枕を用いた以下の製品を製造している:SWIFT(登録商標)鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)II鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)LT鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)FX鼻枕マスクおよびMIRAGELIBERTY(商標)フルフェイスマスク。ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願において、鼻枕マスクの例についての記載がある:特許文献7(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)鼻枕の様相を記載)、特許文献8(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)LT鼻枕の様相を記載);特許文献9および特許文献10(特に、ResMed LimitedのMIRAGE LIBERTY(商標)フルフェイスマスクの様相を記載);特許文献11(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)FX鼻枕の様相を記載)。
1.2.3.1.2 位置決めおよび安定化
【0046】
陽圧空気治療に用いられる患者インターフェースのシール形成構造は、シールを妨害する空気圧力の対応する力を受ける。そのため、シール形成構造を位置決めすることと、顔の適切な部分に対して密閉を維持することとを行うために、多様な技術が用いられている。
【0047】
1つの技術において、接着部が用いられる。例えば、特許文献12を参照されたい。しかし、接着部を用いた場合、不快感がある場合がある。
【0048】
別の技術において、1つ以上のストラップおよび/または安定化ハーネスが用いられる。多数のこのようなハーネスの場合、フィット感が悪い、かさばる、不快および扱いにくいなどの点のうち1つ以上が当てはまる。
1.2.3.2 呼吸圧力治療(RPT)デバイス
【0049】
呼吸圧力治療(RPT)デバイスは、例えばデバイスを作動させて気道へのインターフェースへの空気送達流れを生成することにより、上記した複数の治療のうち1つ以上の送達に個別的に、またはシステムの一部として用いられ得る。空気流れは、(呼吸圧力治療のために)圧力制御され得るかまたは(HFTなどの流れ治療のために)流れ制御され得る。そのため、RPTデバイスは、流れ治療デバイスとしても機能し得る。RPTデバイスの例を挙げると、CPAPデバイスおよび人工呼吸器がある。
【0050】
空気圧力生成器は、広範な用途(例えば、工業規模換気システム)において公知である。しかし、医療用途のための空気圧力生成器は、より一般的な空気圧力生成器(例えば、医療デバイスの信頼性要件、サイズ要件および重量要件)では満足できない特定の要件を有する。加えて、医療治療向けに設計されたデバイスであっても、以下のうち1つ以上に関連して欠陥を免れない場合がある:快適性、ノイズ、使いやすさ、有効性、サイズ、重量、製造可能性、コストおよび信頼性。
【0051】
特定のRPTデバイスの特殊な要件の一例として、音響ノイズがある。
【0052】
従来のRPTデバイスのノイズ出力レベルの表(試料1個のみをISO3744に指定の試験方法を用いてCPAPモードにおいて10cmH2Oにて測定)。
【0053】
【0054】
睡眠時呼吸障害の治療に用いられる1つの公知のRPTデバイスとして、S9睡眠治療システム(製造元:ResMed Limited)がある。RPTデバイスの別の例として、人工呼吸器がある。人工呼吸器(例えば、成人および小児用人工呼吸器のResMed Stellar(商標)シリーズ)の場合、複数の状態(例を非限定的に挙げると、NMD、OHSおよびCOPD)の治療のための一定範囲のための患者のための侵襲的および非侵襲的な非依存的換気のための補助を提供し得る。
【0055】
ResMed Elisee(商標)150人工呼吸器およびResMedVSIII(商標)人工呼吸器は、複数の状態の治療のための成人患者または小児用患者に適した侵襲的および非侵襲的な依存的換気の補助を提供し得る。これらの人工呼吸器により、単一または二重の肢回路を用いた容積換気モードおよび気圧通気モードが得られる。RPTデバイスは典型的には、圧力生成器(例えば、電動送風機または圧縮ガスリザーバ)を含み、患者の気道へ空気流れを供給するように構成される。場合によっては、空気流れは、患者の気道へ陽圧で供給され得る。RPTデバイスの出口は、空気回路を介して上記したような患者インターフェースへ接続される。
【0056】
デバイスの設計者には、無数の選択肢が提示され得る。設計基準同士が対立することが多くあるため、特定の設計選択肢が慣例からほど遠くなるかあるいは避けられないことがある。さらに、特定の態様の快適性および有効性は、1つ以上のパラメータの些細な変更から大きく影響を受ける可能性もある。
1.2.3.3 空気回路
【0057】
空気回路は、使用時において空気流れが呼吸治療システムの2つの構成要素(例えば、RPTデバイスおよび患者インターフェース)間に移動するように、構築および配置された導管またはチューブである。いくつかの場合において、吸息および呼息のための空気回路の別個の肢があり得る。他の場合において、吸息と呼息との両方のために単一の肢空気回路が用いられる。
1.2.3.4 加湿器
【0058】
空気流れの送達を加湿無しで行った場合、気道の乾燥に繋がり得る。加湿器をRPTデバイスおよび患者インターフェースと共に用いた場合、加湿ガスが生成されるため、鼻粘膜の乾燥が最小化され、患者気道の快適性が増加する。加えて、より冷涼な気候においては、概して患者インターフェースの周囲の顔領域へ温風を付加すると、冷風の場合よりも快適性が高まる。そのため、加湿器は、空気流れを加熱する能力だけでなく、空気流れを加湿する能力を持つことが多い。
【0059】
一定範囲の人工的加湿デバイスおよびシステムが公知であるが、医療加湿器の特殊な要件を満たせていない。
【0060】
医療加湿器は、典型的には患者が(例えば病院において)睡眠時または安静時にあるときに、必要な場合に周囲空気に相対して空気流れの湿度および/または温度を増加させるように、用いられる。枕元に置かれる医療加湿器は、小型である場合がある。医療加湿器は、患者へ送達される空気流れの加湿および/または加熱のみを行うように構成され得、患者の周囲の加湿および/または加熱は行わない。例えば、部屋ベースのシステム(例えば、サウナ、エアコン、または蒸発冷却器)は、呼吸により患者体内に取り込まれる空気も加湿し得るものの、これらのシステムの場合、部屋全体も加湿および/または加熱するため、占有者にとって不快感であり得る。さらに、医療加湿器の場合、工業用加湿器よりも安全面での制約がより厳しい場合もある。
【0061】
多数の医療加湿器が公知であるものの、このような医療加湿器の場合、1つ以上の欠陥を被り得る。すなわち、このような医療加湿器の場合、加湿が不適切なものもあれば、患者にとって使用が困難または不便であるものもある。
【0062】
1.2.3.5 通気技術
【0063】
いくつかの形態の治療システムは、呼息された二酸化炭素を押し出すための通気部を含み得る。この通気部により、患者インターフェースの内部空間(例えば、プレナムチャンバ)から患者インターフェースの外部(例えば、周囲)へのガス流れが可能になり得る。
【0064】
この通気部は、オリフィスを含み得、マスク使用時において、ガスがオリフィスを通じて流れ得る。多数のこのような通気部の場合、音がうるさい。他の場合、使用時において閉塞し得るため、押し出しが不十分になる。いくつかの通気部の場合、例えば音または気流集中に起因して、患者1000と同床者1100の睡眠を妨げる場合がある。
【0065】
ResMed Limitedは、複数の向上したマスク通気技術を開発している。下記を参照されたい:特許文献13;特許文献14;特許文献15;特許文献16;特許文献17。
【0066】
従来のマスクのノイズの表(ISO17510-2:2007、1mにおける10cmH2O圧力)
【0067】
【0068】
(*試料1個のみをISO3744に指定の試験方法を用いてCPAPモードにおいて10cmH2Oにて測定)
【0069】
多様な対象の音圧値を以下に羅列する
【0070】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】
【特許文献1】米国特許第4944310号明細書
【特許文献2】米国特許第6532959号明細書
【特許文献3】国際公開第1998/004310号
【特許文献4】国際公開第2006/074513号
【特許文献5】国際公開第2010/135785号
【特許文献6】米国特許第4782832号明細書
【特許文献7】国際公開第2004/073778号
【特許文献8】米国特許出願第2009/0044808号明細書
【特許文献9】国際特許出願WO2005/063328号
【特許文献10】国際公開第2006/130903号
【特許文献11】国際公開第2009/052560号
【特許文献12】米国特許出願公開第2010/0000534号明細書
【特許文献13】国際特許出願公開第1998/034665号
【特許文献14】国際特許出願公開第2000/078381号
【特許文献15】米国特許第6581594号明細書
【特許文献16】米国特許出願公開第2009/0050156号明細書
【特許文献17】米国特許出願公開第2009/0044808号明細書
【発明の概要】
【0072】
2 技術の簡単な説明
本技術は、呼吸障害のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防において用いられる医療機器の提供に関連し、これらの医療デバイスは、向上した快適性、コスト、有効性、使い易さおよび製造可能性のうち1つ以上を有する。
【0073】
本技術の第1の態様は、呼吸障害のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防に用いられる装置に関連する。
【0074】
本技術の別の態様は、呼吸障害のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防において用いられる方法に関連する。
【0075】
本技術の特定の形態の一態様は、呼吸治療についての患者のコンプライアンスを向上させる方法および/または装置を提供することである。
【0076】
本技術の一形態の別の態様は、プレナムチャンバ、シール形成構造、および位置決めおよび安定化構造を含み得る患者インターフェースに関する。患者インターフェースは、通気構造をさらに含み得る。患者インターフェースは、患者の口を露出させたママにするようにさらに構成され得、あるいは、シール形成構造が患者の鼻と口の周囲を密閉するように構成される場合には、患者インターフェースは、プレナムチャンバ入口ポートを通じた加圧空気流れが無い場合に患者が自身の口を通じて周囲から呼吸することを可能にするようにさらに構成され得る。
【0077】
本技術の一形態の別の態様は、以下を含む患者インターフェースに関する:周囲空気圧力を超える少なくとも4cmH2Oの治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバであって、上記プレナムチャンバは、患者による呼吸のために空気流れを治療圧力において受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバ;患者の顔のうち患者の気道への入口を包囲する領域を密閉するように構築および配置されたシール形成構造であって、上記シール形成構造は、その内部に穴を有することにより、空気流れが上記治療圧力において少なくとも患者の鼻孔への入口へ送達され、シール形成構造は、使用時においてプレナムチャンバ内の上記治療圧力を患者の呼吸サイクル全体において維持するように構築および配置される、シール形成構造;シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置において保持するように構成された位置決めおよび安定化構造であって、位置決めおよび安定化構造はタイを含み、タイは、使用時において少なくとも一部が患者の頭部のうち患者の頭部の上耳底点の上方の領域上に載置されるように構築および配置される、位置決めおよび安定化構造;および、患者によって呼息された連続するガス流れがプレナムチャンバの内部から周囲へ移動することを可能にするように構成された通気構造であって、上記通気構造は、使用時においてプレナムチャンバ内の治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造。患者インターフェースは、患者の口を露出させた状態にするように構成されるか、あるいは、シール形成構造が患者の鼻および口の周囲を密閉するように構成された場合、患者インターフェースは、加圧空気の流れが無い場合に患者がプレナムチャンバ入口ポートを通じて周囲から呼吸することを可能にするように構成される。
【0078】
本技術の一形態の別の態様は、以下を含み得る患者インターフェースに関する:エラストマー支持壁、エラストマー支持壁の端部におけるエラストマーフランジ、およびエラストマー支持フランジ上に取り付けられた発泡体クッション。
【0079】
本技術の別の態様は、陽圧の呼吸ガスの流れを少なくとも患者の鼻孔の入口を含む患者の気道の入口へ送達するように構成された患者インターフェースに関し得る。患者インターフェースは、睡眠時呼吸障害の改善のために、患者の睡眠時に使用時において患者の呼吸サイクル全体において周囲圧力を超える約4cmH2O~約30cmH2Oの範囲内において治療圧力を維持するように構成される。患者インターフェースは、陽圧の呼吸ガスの流れを受容するように構成されたプレナムチャンバの少なくとも一部を形成するエラストマー支持壁を含み得る。患者インターフェースは、エラストマー支持壁の端部において位置決めされかつ支持壁からラジアル方向に内方に延びるエラストマー支持フランジであって、支持フランジは、支持フランジの残り部分よりもラジアル方向に内方方向にさらに延びる支持フランジの中央上方領域においてフラップ部を含む、エラストマー支持フランジも含み得る。発泡体クッションは、支持フランジ上に取り付けられ得、発泡体クッションは、患者の顔とシールを形成するように構成され、支持フランジの外面と接触する取付面を含む。
【0080】
前述の段落の態様のいずれかのさらなる例において:(a)発泡体クッションは、支持フランジの外面と接触する取付面を有し得、発泡体クッションの取付面は、フラップ部に対応する場所において最も幅広となり、(b)フラップ部における支持フランジの外面は、正の曲率を有し得、(c)支持フランジの中央下方領域は、正の曲率を有し得、(d)フラップ部内の支持フランジの曲率は、中央下方領域内における支持フランジの曲率よりも大きくされ得、(e)支持フランジの中央下方領域は、支持フランジの第1の一対の負の曲率領域間に設けられ得、(f)フラップ部は、支持フランジの第2の一対の負の曲率領域間に設けられ得、(g)支持フランジは、支持フランジの外面の曲率が正から負または負から正ヘ移行する8つの移行領域を含み得、(h)発泡体クッションは、使用時において患者の顔と接触するように構成された密閉面を含み得、(i)発泡体クッションの密閉面は、支持フランジの外面が正の曲率を有する場所において正の曲率を有し得、(j)発泡体クッションの密閉面は、支持フランジの外面が負の曲率を有する場所において負の曲率を有し得、(k)フラップ部内の支持フランジの外面は、サドル状を有し得、(l)中央下方領域内の支持フランジの外面は、サドル状を有し得、(m)フラップ部内の支持フランジの外面は、第1の一対のドーム領域間に設けられ得、(n)中央下方領域内の支持フランジの外面は、第2の一対のドーム領域間に設けられ得、(o)発泡体クッションは、支持フランジにオーバーハングし得、(p)患者インターフェースは、陽圧の呼吸ガスの流れを受容するように構成された入口開口部を備えたシェルをさらに含み得、(q)支持壁は、シェルへ取り付けられ得、(r)患者インターフェースは、シェルと、支持壁と、発泡体クッションとを患者の頭部上において支持するように構成された位置決めおよび安定化構造をさらに含み得、(s)位置決めおよび安定化構造は、シェルへ取り外し可能に取り付け可能であり得、(t)位置決めおよび安定化構造は、シュラウドおよび複数のヘッドギアストラップを含み得、(u)シュラウドは、入口開口部においてシェルへ取り外し可能に取り付け可能であり得、かつ/または、(v)患者インターフェースは、シュラウドおよびシェルへ接続可能な空気送達管をさらに含み得る。
【0081】
本技術の別の態様は、陽圧の呼吸ガスの流れを少なくとも患者の鼻孔の入口を含む患者の気道の入口へ送達するように構成された患者インターフェースに関し得る。患者インターフェースは、睡眠時呼吸障害の改善のために、患者の睡眠時に使用時において患者の呼吸サイクル全体において周囲圧力を超える約4cmH2O~約30cmH2Oの範囲内において治療圧力を維持するように構成される。患者インターフェースは、陽圧の呼吸ガスの流れを受容するように構成されたプレナムチャンバの少なくとも一部を形成するエラストマー支持壁を含み得る。患者インターフェースは、エラストマー支持壁の端部において位置決めされかつ支持壁からラジアル方向に内方に延びるエラストマー支持フランジも含み得る。発泡体クッションが、支持フランジ上に取り付けられ得、発泡体クッションは、患者の顔とシールを形成するように構成される。支持フランジのエラストマー壁厚さは、支持フランジの中央上方領域から支持フランジの中央下方領域にかけて変化し得る。
【0082】
前述の段落の態様のいずれかのさらなる例において:(a)支持フランジのエラストマー壁厚さは、中央上方領域と中央下方領域との間の中間領域においてよりも中央上方領域および中央下方領域においてより肉薄であり得、(b)支持フランジのエラストマー壁厚さは、中央下方領域においてよりも中央上方領域においてより肉薄であり得、(c)支持壁のエラストマー壁厚さは、支持壁の中央上方領域から支持壁の中央下方領域にかけて変化し得、(d)支持壁のエラストマー壁厚さは、中央上方領域と中央下方領域との間の中間領域においてよりも支持壁の中央上方領域および支持壁の中央下方領域においてより肉薄にされ得、(e)支持壁のエラストマー壁厚さは、中央下方領域においてよりも中央上方領域においてより肉薄にされ得、(f)支持壁の中央上方領域は、上ガセットを含み得、(g)支持壁の中央下方領域は、下ガセットを含み得、(g)下ガセットは、上ガセットよりも圧壊可能であり得、(h)発泡体クッションの厚さは、発泡体クッション全体において一貫し得、(i)患者インターフェースは、患者インターフェースの下方領域において一対の圧縮可能リブをさらに含み得、(j)圧縮可能リブはそれぞれ、支持壁および支持フランジへ取り付けられ得、プレナムチャンバ内の陽圧に起因して支持フランジの少なくとも一部が撓む事態を防止するように構成され得、(k)支持フランジは、支持フランジの残り部分よりもラジアル方向に内方方向にさらに延びる支持フランジの中央上方領域においてフラップ部を含み得、(l)フラップ部は、プレナムチャンバ内の陽圧に起因して支持フランジの少なくとも一部が撓む事態を防止するように構成され得、(m)発泡体クッションは、支持フランジにオーバーハングし得、(n)患者インターフェースは、陽圧の呼吸ガスの流れを受容するように構成された入口開口部を備えたシェルをさらに含み得、(o)支持壁は、シェルへ取り付けられ得、(p)患者インターフェースは、シェルと、支持壁と、発泡体クッションとを患者の頭部上において支持するように構成された位置決めおよび安定化構造をさらに含み得、(q)位置決めおよび安定化構造は、シェルへ取り外し可能に取り付け可能であり得、(r)位置決めおよび安定化構造は、シュラウドおよび複数のヘッドギアストラップを含み得、(s)シュラウドは、入口開口部においてシェルへ取り外し可能に取り付け可能であり得、(t)患者インターフェースは、シュラウドおよびシェルへ接続可能な空気送達管をさらに含み得る。
【0083】
本技術の別の態様は、患者インターフェースに関する。この患者インターフェースは、以下を含み得る:呼吸ガスの流れを受容するように構成された入口開口部を備えたシェル、シェル上に取り付けられた支持壁、支持壁の端部に位置決めされた支持フランジ、および支持フランジ上に取り付けられた発泡体クッション。
【0084】
本技術の別の態様は、陽圧の呼吸ガスの流れを少なくとも患者の鼻孔の入口を含む患者の気道の入口へ送達するように構成された患者インターフェースに関し得る。患者インターフェースは、睡眠時呼吸障害の改善のために、患者の睡眠時に使用時において患者の呼吸サイクル全体において周囲圧力を超える約4cmH2O~約30cmH2Oの範囲内において治療圧力を維持するように構成される。患者インターフェースは、陽圧の呼吸ガスの流れを受容するように構成された入口開口部を備えたシェルを含み得る。患者インターフェースは、シェルへ取り付けられたエラストマー支持壁も含み得る。シェルおよびエラストマー支持壁は、陽圧の呼吸ガスの流れを受容するように構成されたプレナムチャンバの少なくとも一部を協働して形成し得る。エラストマー支持フランジは、エラストマー支持壁の端部に位置決めされ得、支持壁からラジアル方向に内方に延び得る。発泡体クッションは、支持フランジ上に取り付けられ得る。発泡体クッションは、患者の顔とシールを形成するように構成され得る。エラストマー支持壁および発泡体クッションは、患者インターフェースが患者の顔上に取り付けられた際に、入口開口部の中央長手方向軸のうち患者インターフェースの外側の一部が少なくとも部分的に下方向に延びるように構成され得る。
【0085】
前述の段落の態様のいずれかのさらなる例において:(a)支持壁は、支持壁の横方向側を通じて延びる横方向軸の周囲において枢動するように構成され得、(b)支持壁の構成は、支持壁が中立位置から枢動するときに、シェルの入口開口部が回転して入口開口部の中央長手方向軸のうち患者インターフェースの外側の部分が下方向に回転するように構成され得、(c)支持壁の下部は、下ガセットを含み得、(d)下ガセットは、下ガセットの圧壊時において支持壁が横方向軸の周囲において枢動するように構成され得、(e)支持壁の上部は、上ガセットを含み得、(f)患者インターフェースは、シェルと、支持壁と、発泡体クッションとを患者の頭部上において支持するように構成された位置決めおよび安定化構造をさらに含み得、(g)位置決めおよび安定化構造は、シェルへ取り外し可能に取り付け可能であり得、(h)位置決めおよび安定化構造は、シュラウドおよび複数のヘッドギアストラップを含み得、(i)シュラウドは、入口開口部においてシェルへ取り外し可能に取り付け可能であり得、かつ/または、(j)患者インターフェースは、シュラウドおよびシェルへ接続可能な空気送達管をさらに含み得る。
【0086】
本技術の別の態様は、陽圧の呼吸ガスの流れを少なくとも患者の鼻孔の入口を含む患者の気道の入口へ送達するように構成された患者インターフェースに関し得る。患者インターフェースは、睡眠時呼吸障害の改善のために、患者の睡眠時に使用時において患者の呼吸サイクル全体において周囲圧力を超える約4cmH2O~約30cmH2Oの範囲内において治療圧力を維持するように構成される。患者インターフェースは、陽圧の呼吸ガスの流れを受容するように構成されたプレナムチャンバの少なくとも一部を形成するエラストマー支持壁を含み得る。患者インターフェースは、エラストマー支持壁の端部において位置決めされかつ支持壁からラジアル方向に内方に延びるエラストマー支持フランジをさらに含み得る。発泡体クッションが、支持フランジ上に取り付けられ得る。発泡体クッションは、支持フランジへ取り付けられるように構成された取付面を含み得、患者の顔と接触してシールを形成するように構成された密閉面を含み得る。発泡体クッションは、二等分面の周囲において屈曲し得る。この二等分面は、発泡体クッションを二等分させ、発泡体クッションの中央上方領域および中央下方領域を通じて延びる。取付面および密閉面は、発泡体クッションの残りの部分においてよりも二等分面においてより幅広であり得る。
【0087】
前述の段落の態様のいずれかのさらなる例において:(a)発泡体クッションは、取付面から密閉面へ延びる周面を含み得、(b)周面は、中央下方領域において凹状であり得、(c)取付面および密閉面は、発泡体クッション全体にわたって同一幅を有し得、(d)発泡体クッションは、発泡体クッション全体にわたって支持フランジに同量だけオーバーハングし得、(e)患者インターフェースは、陽圧の呼吸ガスの流れを受容するように構成された入口開口部を備えたシェルを含み得、(f)支持壁は、シェルへ取り付けられ得、(g)患者インターフェースは、シェルと、支持壁と、発泡体クッションとを患者の頭部上において支持するように構成された位置決めおよび安定化構造をさらに含み得、(h)位置決めおよび安定化構造は、シェルへ取り外し可能に取り付け可能であり得、(i)位置決めおよび安定化構造は、シュラウドおよび複数のヘッドギアストラップを含み得、(j)シュラウドは、入口開口部においてシェルへ取り外し可能に取り付け可能であり得、かつ/または、(k)患者インターフェースは、シュラウドおよびシェルへ接続可能な空気送達管をさらに含み得る。
【0088】
本技術の一形態の別の態様は、意図される装着者の形状に対して相補的である周辺形状と共に成形または他の場合に構築された患者インターフェースである。
【0089】
本技術の一形態の一態様は、装置の製造方法である。
【0090】
本技術の特定の形態の一態様は、例えば医療トレーニングを受けたことの無い人、あまり器用ではない人や洞察力の欠いた人、またはこの種の医療デバイスの使用経験が限られた人にとって使い易い医療デバイスである。
【0091】
本技術の一形態の一態様は、人間が(例えば、自宅周囲において)持ち運び可能な、携帯用RPTデバイスである。
【0092】
本技術の一形態の一態様は、患者の家庭において例えば石けん水などによって洗浄することが可能な患者インターフェースであり、特殊な清浄器具は不要である。本技術の一形態の一態様は、患者の家庭において例えば石けん水などによって洗浄することが可能な加湿器タンクであり、特殊な清浄器具は不要である。
【0093】
記載される方法、システム、デバイスおよび装置により、プロセッサにおける機能(例えば、特定目的用コンピュータのプロセッサ、呼吸モニターおよび/または呼吸治療装置の機能)の向上が可能となるように具現され得る。さらに、記載の方法、システム、デバイスおよび装置により、呼吸器疾病(例えば、睡眠時呼吸障害)の自動管理、監視および/または治療の技術分野における向上が可能になる。
【0094】
もちろん、上記態様の一部は、本技術の下位態様を形成し得る。また、下位態様および/または態様のうち多様な1つを多様に組み合わせることができ、本技術のさらなる態様または下位態様も構成し得る。
【0095】
本技術の他の特徴は、以下の詳細な説明、要約、図面および特許請求の範囲中に含まれる情報に鑑みれば明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
3 図面の簡単な説明
本技術を、添付図面中に非限定的に一例として例示する。図面中、類似の参照符号は、以下の類似の要素を含む。
3.1 呼吸治療システム
【
図1】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻マスクの形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。
【
図2】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを含む。患者インターフェース3000は、フルフェイスマスクをとり、陽圧の空気供給をRPTデバイス4000から受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。患者は、側臥位睡眠位置において睡眠している。3.2 呼吸器系および顔の解剖学的構造
【
図3】鼻および口腔、喉頭、声帯ひだ、食道、気管、気管支、肺、肺胞嚢、心臓および横隔膜を含むヒトの呼吸器系の概要を示す。
【
図4】鼻腔、鼻骨、外側鼻軟骨、大鼻翼軟骨、鼻穴、上唇、下唇、喉頭、硬口蓋、軟口蓋、中咽頭、舌、喉頭蓋、声帯ひだ、食道および気管を含むヒトの上気道の図である。
【
図5】上唇、上唇紅、下唇紅、下唇、口の幅、内眼角、鼻翼、鼻唇溝および口角点を含む表面解剖学的構造のいくつかの特徴を含む顔の正面図である。上側、下側、ラジアル方向に内方およびラジアル方向に外方の方向も記載される。
【
図6】眉間、セリオン、鼻尖点、鼻下点、上唇、下唇、スプラメントン、鼻堤、鼻翼頂上点、上耳底点および下耳底点を含む表面解剖学的構造のいくつかの特徴を含む頭部の側面図である。上側および下側と、前方および後方との方向も記載される。
【
図7】頭部のさらなる側面図である。フランクフォート水平および鼻唇角の大まかな場所が記載されている。冠状面も記載される。
【
図8】鼻唇溝、下唇、上唇紅、鼻孔、鼻下点、鼻柱、鼻尖点、鼻孔の主軸および正中矢状面を含むいくつかの特徴を含む鼻の底面図である。
【
図10】側鼻軟骨、鼻中隔軟骨、大鼻翼軟骨、小鼻翼軟骨、鼻種子軟骨、鼻骨、表皮、脂肪組織、上顎骨の前頭突起および線維性脂肪組織を含む鼻の皮下構造を示す。
【
図11】正中矢状面からおよそ数ミリメートルの位置における鼻の中間切開を示し、特に鼻中隔軟骨および大鼻翼軟骨の内側脚を示す。
【
図12】前頭骨、鼻骨および頬骨を含む頭蓋骨の骨正面図である。鼻甲介が上顎骨および下顎骨と共に図示されている。
【
図13】頭蓋骨を頭部表面の外形およびいくつかの筋肉と共に示す側面図である。以下の骨が図示されている:前頭骨、蝶形骨、鼻骨、頬骨、上顎骨、下顎骨、頭頂骨、側頭骨および後頭骨。オトガイ隆起が図示されている。以下の筋肉が図示されている:顎二腹筋、咬筋、胸鎖乳突筋および僧帽筋。
【
図14】鼻の前方側面図を示す。3.3 患者インターフェース
【
図15】本技術の1つの形態による鼻マスクの形態の患者インターフェースを示す。
【
図16】例示的患者インターフェースの斜視図である。
【
図17】例示的患者インターフェースの別の斜視図である。
【
図18】例示的患者インターフェースの分解図を示す。
【
図19】例示的な発泡体クッションの側面図である。
【
図20】例示的患者インターフェースの背面図である。
【
図21】例示的な発泡体クッションが取り付けられた状態にある様子の背面図である。
【
図22】例示的な発泡体クッションが取り付けられていない状態にある様子の別の背面図である。
【
図23】例示的患者インターフェースの別の側面図である。
【
図24】例示的な患者インターフェースが患者の顔上に取り付けられている様子の側面図である。
【
図24A】患者の顔無しの
図24の患者インターフェースの側面図である。
【
図24B】患者インターフェースが枢動された際の
図24の患者インターフェースの側面図である。
【
図25】例示的なフレームアセンブリの斜視図である。
【
図26】例示的な位置決めおよび安定化システムを示す。3.3.1 表面形状および基準ポイント
【
図27】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、正の符号と、
図28に示す曲率の大きさと比較して比較的大きな大きさとを有する。
【
図28】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、正の符号と、
図27に示す曲率の大きさと比較して比較的小さな大きさとを有する。
【
図29】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率の値はゼロである。
【
図30】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、負の符号と、
図31に示す曲率の大きさと比較して比較的小さな大きさとを有する。
【
図31】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、負の符号と、
図30に示す曲率の大きさと比較して比較的大きな大きさとを有する。
【
図32】2つの枕を含むマスク用クッションを示す。クッションの外面が図示される。表面の縁部が図示される。ドーム領域およびサドル領域が図示される。
【
図33】マスク用クッションを示す。クッションの外面が図示される。表面の縁部が図示される。点Aと点Bとの間の表面上の経路が図示される。AとBとの間の直線距離が図示される。2つのサドル領域およびドーム領域が図示される。
【
図34】構造の表面を示し、この表面中には一次元穴が開いている。図示の平面曲線は、一次元穴の境界を形成する。
【
図35】
図34の構造を通じた断面図である。図示の表面は、
図34の構造中の二次元穴を境界付ける。
【
図36】二次元穴および一次元穴を含む
図34の構造の斜視図である。また、
図34の構造中の二次元穴を境界付ける表面が図示される。
【
図37】クッションとしての可膨張性ブラダーを有するマスクを示す。
【
図38】
図37のマスクの断面図であり、ブラダーの内面を示す。内面により、マスク中の二次元穴が境界付けられる。
【
図39】
図37のマスクを通じたさらなる断面を示す。内面も図示される。
【
図45】マスクの異なる領域内の密閉膜の縁部によって規定された空間曲線のねじれのサインを含むマスクの図である。
【
図46】矢状面および中央接触面を示す、患者インターフェース3000の図である。
【
図47】
図46のプレナムチャンバの後方の図である。図中の方向は、中央接触面に対して垂直である。
図47中、矢状面により、患者インターフェース3000が左手側および右手側に二等分される。
【
図48】
図47の患者インターフェースを通じた断面図であり、この断面は、
図47に示す矢状面においてとられる。「中央接触」面が図示される。中央接触面は、矢状面に対して垂直である。中央接触面の方位は、腱3210の方位に対応する。この腱は、矢状面上に載置され、矢状面上の2点(すなわち、上点3220および下点3230)において患者インターフェースのクッションのみと接触する。この領域におけるクッションのジオメトリに応じて、中央接触面は、上点および下点双方に接し得る。
【
図49】
図46の患者インターフェース3000が顔面上の使用位置にある状態を示す。患者インターフェース3000の矢状面は、患者インターフェースが使用位置にあるとき、顔の正中矢状面と概して一致する。中央接触面は、患者インターフェースが使用位置にあるとき、「顔の面」に概して対応する。
図49において、患者インターフェース3000は鼻マスクのものであり、上点3220はほぼセリオン上に載置され、下点3230は上唇上に載置される。3.4 RPTデバイス
【
図50】本技術の一形態によるRPTデバイスを示す。
【
図51】本技術の一形態によるRPTデバイスの空気圧経路の模式図である。上流および下流の方向が、送風機および患者インターフェースに対して示される。任意の特定の瞬間における実際の流れ方向に関係無く、送風機は患者インターフェースの上流にあるものとして規定され、患者インターフェースは送風機の下流にあるものとして規定される。送風機と患者インターフェースとの間の空気圧経路内に配置されたアイテムは、送風機の下流および患者インターフェースの上流にある。
【
図52】本技術の一態様に従ったRPTデバイスの電気部品の概略図である。
【
図53】本技術の1つの形態によるRPTデバイス中において実行されるアルゴリズムの概略図である。3.5 加湿器
【
図54】本技術の一形態による加湿器の等角図である。
【
図55】本技術の一形態による加湿器の等角図であり、加湿器リザーバ5110を加湿器リザーバドック5130から除去した様子を示す。
【
図56】本技術の一形態による加湿器の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0097】
4 本技術の例の詳細な説明
本技術についてさらに詳細に説明する前に、本技術は、本明細書中に記載される異なり得る特定の例に限定されるのではないことが理解されるべきである。本開示中に用いられる用語は、本明細書中に記載される特定の例を説明する目的のためのものであり、限定的なものではないことも理解されるべきである。
【0098】
以下の記載は、1つ以上の共通の特性および/または特徴を共有し得る多様な例に関連して提供される。任意の1つの例の1つ以上の特徴は、別の例または他の例の1つ以上の特徴と組み合わせることが可能であることが理解されるべきである。加えて、これらの例のうちのいずれかにおける任意の単一の特徴または特徴の組み合わせは、さらなる例を構成し得る。
4.1 治療
【0099】
一形態において、本技術は、呼吸障害の治療方法を含む。本方法は、患者1000の気道の入口へ陽圧を付加することを含む。
【0100】
本技術の特定の例において、陽圧における空気供給が鼻孔の片方または双方を介して患者の鼻通路へ提供される。
【0101】
本技術の特定の例において、口呼吸が制限されるか、限定されるかまたは妨げられる。
4.2 呼吸治療システム
【0102】
一形態において、本技術は、呼吸障害の治療のための呼吸治療システムを含む。呼吸治療システムは、空気流れを空気回路4170および患者インターフェース3000または3800を介して患者1000へ供給するRPTデバイス4000を含み得る。
4.3 患者インターフェース
【0103】
本技術の一態様による非侵襲的患者インターフェース3000は、以下の機能様態を含み得る:シール形成構造3100、シェルまたはシャーシ3200、フレームアセンブリ3300、位置決めおよび安定化構造3400、通気部3500、および空気回路4170への接続のための一形態の接続ポート3210。いくつかの形態において、機能様態が、1つ以上の物理的構成要素によって提供され得る。いくつかの形態において、1つの物理的構成要素は、1つ以上の機能様態を提供し得る。使用時において、シール形成構造3100は、患者1000の気道への入口(複数可)において陽圧を維持するように、患者の気道ヘの入口(単数または複数)を包囲するように配置され得る。よって、密閉された患者インターフェース3000は、陽圧治療の送達に適している可能性がある。
【0104】
患者インターフェースが最低レベルの陽圧を快適に気道へ送達できない場合、患者インターフェースは呼吸圧力治療に不適切であり得る。
【0105】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも6cmH2Oの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置され得る。
【0106】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも10cmH2Oの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置され得る。
【0107】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも20cmH2Oの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置され得る。
4.3.1 シール形成構造
【0108】
本技術の一形態において、シール形成構造3100は、目標シール形成領域を提供し得、クッション機能をさらに提供し得る。目標シール形成領域は、シール形成構造3100において密閉が発生する領域であり得る。密閉が実際に発生する領域(すなわち、実際の密閉面)は、一定範囲の要素(例えば、顔面上の患者インターフェースの配置位置、位置決めおよび安定化構造における張力、および患者の顔の形状)に応じて、所与の治療セッションにおいて患者によって日々変化し得る。
【0109】
一形態において、目標シール形成領域が、シール形成構造3100の外面上に配置され得る。
【0110】
本技術の特定の形態において、シール形成構造3100は、生体適合性材料(例えば、シリコーンゴム)から(少なくとも部分的に)構成され得る。
【0111】
本技術によるシール形成構造3100は、柔らかく、可撓性でありかつ弾力性のある材料(例えば、シリコーン)から構成され得る。
【0112】
本技術の特定の形態において、1つよりも多くのシール形成構造3100を含むシステムが提供される。各シール形成構造3100は、異なるサイズおよび/または形状範囲に対応するように構成される。例えば、システムは、小さなサイズの頭ではなく大きなサイズの頭に適したシール形成構造3100の一形態および大きなサイズの頭ではなく小さなサイズの頭に適した別のものを含み得る。
4.3.1.1 密閉機構
【0113】
一形態において、シール形成構造は、圧縮密閉部またはガスケット密閉部を含み得る。使用時において、圧縮密閉部またはガスケット密閉部は、例えば位置決めおよび安定化構造における弾性張力に起因して圧縮状態となるように、構築および配置される。
【0114】
本技術の特定の形態において、シール形成構造は、圧力アシスト密閉フランジ、圧縮密閉部、ガスケット密閉部、張力部、および粘着面または接着面を有する部分のうち1つ以上を含み得る。
4.3.1.2 鼻梁または鼻堤領域
【0115】
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、使用時に患者の顔の鼻梁領域上にまたは鼻堤領域上にシールを形成するシール形成構造を含み得る。
【0116】
一形態において、シール形成構造は、使用時において患者の顔の鼻梁領域上または鼻堤領域上にシールを形成するように構築されたサドル状領域を含み得る。
4.3.1.3 上唇領域
【0117】
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、患者の顔の上唇領域(すなわち、上唇)上に使用時にシールを形成するシール形成構造を含み得る。
【0118】
一形態において、シール形成構造は、使用時において患者の顔の上唇領域上にシールを形成するように構築されたサドル状領域を含み得る。
4.3.1.4 顎領域
【0119】
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、使用時に患者の顔の顎領域上にシールを形成するシール形成構造を含み得る。
【0120】
一形態において、シール形成構造は、使用時において患者の顔の顎領域上にシールを形成するように構築されたサドル状領域を含み得る。
4.3.1.5 発泡体クッションおよびアンダークッション
【0121】
図16~
図24Bに示すように、シール形成構造3100に含まれ得る発泡体クッション3105は、アンダークッション3110上に取り付けられ、アンダークッション3110は、シェルまたはシャーシ3200上に取り付けられ得る。シール形成構造3100が患者の顔へ取り付けられると、発泡体クッション3105は、患者の顔と密閉係合し得る。アンダークッション3110により、発泡体クッション3105の支持が得られ得、患者の顔とのシール形成が支援され得る。シェルまたはシャーシ3200により、シール形成構造3100の形状の維持のためのリジッド支持が得られ得る。シェルまたはシャーシ3200により、フレームアセンブリ3300の保持のためのインターフェースも得られ得る。
【0122】
発泡体クッション3105は、軟質の記憶発泡体であり得る。例えば、発泡体クッション3105は、ポリエーテルおよび/またはポリウレタン材料製であり得る。加えて、発泡体クッション3105は、患者の皮膚に対して圧縮シールを維持するように構成され得る。
【0123】
図22に示す発泡体クッション3105は、アンダークッション3110へ取り付けおよび/または固定の前の状態である。図示のように、発泡体クッション3105は、患者の顔と密閉係合するように構成された密閉面3115を有し得る。取付面3120は、密閉面3115に対向し得、アンダークッション3110の対応する面と係合し得る。発泡体クッション3105が取り付けられていない状態にある場合、密閉面3115および取付面3120は、実質的に平面状であり得る。発泡体クッション3105を実質的に平面状の構成要素として製造すると、製造プロセスがより簡単かつ容易になり得る。加えて、発泡体クッション3105の厚さは、発泡体クッション3105全体において実質的に一貫し得るため、密閉面3115と取付面3120との間の距離が、発泡体クッション3105全体において実質的に同一になり得る。発泡体クッション3105を一貫した厚さにすることにより、発泡体クッション3105の製造プロセスの簡略化に繋がり得、発泡体クッション3105の製造の容易化およびコスト効果の向上に繋がり得る。このような一貫した厚さにより、発泡体クッション3105のアンダークッション3110への組み付けも容易になり得る。
【0124】
穴3125は、発泡体クッション3105の中央領域を通じて形成され得、内面3126によって境界付けられ得るため、発泡体クッション3105を通じてガス流路が形成される。同時に、発泡体クッション3105の周囲は、周面3127によって形成され得る。加えて、密閉面3115は、穴3125の一端において第1のリム3130において内面3126と出会い得、取付面3120は、穴3125の他端において第2のリム3135において内面3126と出会い得る。密閉面3115および取付面3120の幅(すなわち、発泡体クッション3105の穴3125および周面3127のリム間の距離)は、変化し得る。
【0125】
例えば、
図22から分かるように、密閉面3115および取付面3120の幅は、発泡体クッション3105の他の領域においてよりも発泡体クッション3105の中央上方領域(または鼻梁領域)3140および発泡体クッション3105の中央下方領域(または上唇領域)3142においてより大きくなり得る。中央上方領域3140は、患者の鼻梁と係合するように構成され得、中央下方領域3142は、患者の上唇領域(上唇)および/または患者の鼻柱と係合するように構成され得る。
【0126】
幅の増加(幅広領域3145および3150)により、穴3125内に窪みが形成され得、これにより、穴3125が中央上方領域3140および中央下方領域3142においてより幅狭になる。加えて、発泡体クッション3105の周面3127は、中央下方領域3142において内方に転回し得、これにより、凹状(または正の曲率)の部分が周面3127に形成される。周面3127を内方に転回させることにより、窪みが発泡体クッション3105内に生成され得、これにより、患者の上唇領域における快適性向上が支援され得る。周面3127の残りの部分は、凸状であり得る(かまたは負の曲率を有し得る)。同時に、中央上方領域3140および中央下方領域3142における内面3126は、凸状であり得る(かまたは負の曲率を有し得る)一方、内面3126の残りの部分は、凹状であり得る(かまたは正の曲率を有し得る)。
【0127】
図22から分かるように、中央下方場所における周囲における窪みに起因してかつ中央上方領域3140および中央下方領域3142における取付面3115および密閉面3120のより幅広の部分に起因して、穴3125の形状は、発泡体クッション3105の周囲の形状と異なり得る。
【0128】
発泡体クッション3105の形状は、ユーザの顔における微差および/または波状起伏に適合し得る。加えて、(
図21に示すように)アンダークッション3110に取り付けられると、発泡体クッション3105は、二等分面3155に沿って折り畳まれ得るかまたは屈曲され得る。二等分面3155は、発泡体クッション3105を二等分させ、中央上方領域3140および中央下方領域3142を通じて延びる。アンダークッション3110へ取り付けられると、発泡体クッション3105の中央上方領域3140は、所定位置に設けられて、患者の鼻梁と係合し得る。加えて、発泡体クッション3105の中央下方領域3142は、患者の上唇領域(上唇)および/または鼻柱と係合する所定位置に設けられ得る。よって、発泡体クッション3105は、拡大密閉領域を幅広領域3145および3150において(すなわち、患者の鼻梁および上唇領域(または上唇)において)有し得る。残りの領域における発泡体クッション3105の密閉領域(すなわち、発泡体クッション3105のうち患者の顔と接触して患者の顔に対してシールを形成する部分)は、幅広領域3145および3150においてよりも小さくされ得る。
【0129】
幅広領域3145および3150において密閉領域を増大させることにより、ユーザの鼻梁および上唇領域(または上唇)と係合する表面積の追加に繋がり得る。加えて、発泡体クッション3105の中央上方領域3140における表面積の追加(すなわち、患者の鼻梁と係合するように構成された部分)により、動的な状況(例えば、シール形成構造3100がユーザの鼻に相対して移動した場合)における患者の鼻とのシールを維持するための十分な表面積の提供により、発泡体クッション3105と患者の鼻梁および患者の鼻の上側との間のシールが向上し得る。また、中央下方領域3142における表面積の追加により、隆起部が形成され得る。この隆起部により、(シール形成構造3100が患者の鼻に相対して移動した際(例えば、マスクの乗り上げ)において)発泡体クッション3105に起因して患者の鼻穴が閉塞される事態が防止され得る。詳細には、発泡体クッション3105の下部の残り部分が患者の鼻穴開口部に到達し得る前に隆起部が患者の鼻柱と係合し得、これにより、発泡体クッション3105の下部の残り部分が患者の鼻穴開口部に到達して鼻穴開口部を閉塞させる事態が防止される。隆起部が無い場合、患者インターフェースの乗り上げ時において発泡体クッション3105の下部が患者の鼻穴開口部へ到達するのを遮蔽するものが無くなる。
【0130】
アンダークッション3110上に取り付けられた場合、発泡体クッション3105の形状が変形し得、これにより、中央下方領域3142における(患者の鼻柱および/または上唇と密閉係合するように構成され得る)密閉面3115の曲率は、二等分面3155にわたって正になり得る。中央下方領域3142は、サドル領域でもあり得ることが企図される。中央下方領域3142の側部には、患者の鼻の下角部と係合するように構成された一対の下角部領域3156が設けられ得る。一対の下角部領域3156における密閉面3115は、負の曲率を有し得る。加えて、一対の下角部領域3156はそれぞれ、ドーム形状にされ得ることが企図される。
【0131】
(患者の鼻梁と密閉係合するように形成され得る)中央上方領域3140における密閉面3115は、二等分面3155に沿って折り畳まれ得る。あるいは、中央上方領域3140における密閉面3115は、正の曲率を二等分面3155にわたって有し得る。中央上方領域3140は、サドル状であり得ることが企図される。中央上方領域3140における正の曲率は、中央下方領域3142における正の曲率よりも大きくされ得ることがさらに企図される。加えて、中央上方領域3140の側部には、一対の上側領域3157が設けられ、患者の鼻の上側と係合するように構成される。上側領域3157における密閉面3115は、負の曲率を有し得る。加えて、一対の上側領域3157はそれぞれ、ドーム形状にされ得ることが企図される。
【0132】
左上側領域3157および左下角部領域3156は、正の曲率の中間領域3158によって相互に分離され得る。同様に、右上側領域3157および右下角部領域3156は、正の曲率の中間領域3159によって相互に分離され得る。双方の中間領域3158および3159の正の曲率は、中間領域3158から中間領域3159へ延びる横方向軸3161にわたり得る。加えて、双方の中間領域3158および中間領域3159は、サドル状であり得る。
【0133】
上記したように、発泡体クッション3105の密閉面3115は、4つのドーム形状領域、4つのサドル状領域(または(中央上方領域3140がサドル状ではない場合は)3つのサドル状領域)と、ドーム領域とサドル領域との間に8つの移行領域とを有し得る。これら8つの移行領域において、密閉面3115の形状がサドルからドームへ移行するかまたはその逆に移行する。
【0134】
アンダークッション3110は、単一壁構造の半透明のシリコンゴムによって構成され得る。アンダークッション壁のエラストマー壁厚さは、異なるセクションにおいて変更され得るため、より広いフィット範囲に対応することと、アンダークッション3110から発生したバネ力を発泡体クッション3105の圧縮を最大化させるように微調整することとが保証される。アンダークッション3110そのものは、患者の顔とのシールを生成することはできない(すなわち、シールは、発泡体クッション3105と患者の顔との間において生成され得る)。その代わりに、アンダークッション3110により、さらなる屈折性が得られえ、シール形成構造3100が患者の顔に沿って動的に移動することが(発泡体クッション3105に対する圧縮損失を最小にしつつ)可能になり得る。患者の顔の高感度領域(特に、患者の鼻梁領域および/または患者の上唇領域)においてアンダークッション3110を意図的に肉薄にすると、快適性が最適化され得る。
【0135】
アンダークッション3110に含まれ得る支持壁3160は、シャーシ3200から発泡体クッション3105へ延び、発泡体クッション3105へ構造的支持を提供する。支持壁3160は、支持フランジ3165において終結し得る。支持フランジ3165は、支持壁3160からカンチレバー支持され得る。加えて、支持フランジ3165は、支持壁3160からラジアル方向に内方において患者インターフェース3000内の空気流路の中央へと延び得る。支持フランジ3165は、外面3162を有し得る。外面3162に対し、発泡体シール3105の取付面3120が固定され得る。取付面3120の支持フランジ3165への固定は、接合または接着剤によって行われ得る。上記接着剤は、液体シリコーンゴムであり得る。
【0136】
支持壁3160は、患者の鼻梁に対応する支持壁3160の上方領域において上ガセット3170を含み得る。上ガセット3170は、二等分面3155に跨がり得る。加えて、中央上方領域(または頂点または鼻梁領域)3140における支持壁3160の厚さは、支持壁3160の他の領域内の厚さよりも肉薄であり得る。加えて、中央上方領域(または頂点または鼻梁領域)3140における支持壁3160の厚さは、上ガセット3170から支持フランジ3165にかけて低減し得る。例えば、上ガセット3170(または少なくともガセット3170の窪み部)における支持壁3160の厚さは、0.70~0.75mm(例えば、0.72mm)であり得る一方、支持壁3160のうち上ガセット3170と支持フランジ3165との間の部分の厚さは、0.40~0.45mm(例えば、0.42mm)であり得る。
【0137】
上ガセット3170およびより肉薄のエラストマー壁により、シール形成構造3100の鼻梁部の屈折性を高めることが(発泡体クッション3105の圧縮増加無しに)可能になり得る。このような屈折性の増加により、快適性向上に繋がり得、患者の鼻梁にわたる圧力低下に繋がり得、患者の顔上の赤色痕の低減に繋がり得る。
【0138】
支持壁3160は、一対の肉厚領域3175を上ガセット3170の側面に含み得る。肉厚領域3175により、患者の鼻翼/顔接合部における適切なシールのための安定した支持が得られ得る。肉厚領域3175は、支持壁3160の最も肉厚の部分であり得る。例えば、肉厚領域3175の厚さは、1.80~1.90mm(例えば、1.85mm)であり得る。肉厚領域3175は、支持フランジ3165までずっと延びない場合がある。あるいは、肉厚領域3175は、支持フランジ3165までずっと延びない場合がある。肉厚領域3175により、漏洩および不快感が最も発生し易い場所におけるシール安定性が増大し得る。
【0139】
下ガセット3180は、シール形成構造3100の中央下方領域3142において上ガセット3170の反対側に配置され得る。下ガセット3180は、二等分面3155に跨がり得る。下ガセット3180および中央下方領域(軟性の上唇領域)3142における支持壁3160のエラストマー壁厚さは、(上ガセット3170および中央上方領域3140における支持壁3160の部分を除いて)支持壁3160の残り部分におけるエラストマー壁厚さよりも肉薄にされ得る。例えば、中央下部3142および下ガセット3180における支持壁のエラストマー壁厚さ3160は、0.55mm~0.85mmの範囲内であり得る。支持壁3160の最下部(例えば、下ガセット3180の中央部)は、厚さ0.55mmであり得、最下部に跨がる支持壁3160の部分(例えば、下ガセット3180の横方向部)は、厚さ0.85mmであり得ることが企図される。
【0140】
支持壁3160の残り部分は、1.50~1.70mm(例えば、1.60mm)であり得る。上ガセット3170および下ガセット3180の配置は、下ガセット3180の圧壊により、上ガセット3170と下ガセット3180との間のシール形成構造3100を通じて延びる軸3185の周囲においてシール形成構造3100が枢動し得るような配置にされ得る。いくつかの構成において、軸3185および横方向軸3161は、同一の軸であり得ることが企図される。他の構成において、これらの軸は、相互に平行であり得る。肉厚領域3175により、枢動点が支持壁3160上に形成され得、この枢動点の周囲において、シール形成構造3100が枢動し得ることがさらに企図される。あるいは、支持壁3160上の枢動点は、肉厚領域3175と下ガセット3180との間(すなわち、肉厚領域3175の外側)に設けられ得る。
【0141】
下ガセット3185の1つ以上の窪みの深さは、一貫してもよいし、あるいは変化してもよいことが企図される。例えば、1つ以上の窪みの深さは、下ガセット3185の横方向側に近づくにつれて増加し得るため、下ガセット3185の中央領域における1つ以上の窪みは、横方向領域においてよりも浅くなり得る。あるいは、1つ以上の窪みは、中央領域において最も深くされ得、横方向領域に近づくにつれて浅くなり得る。
【0142】
加えて、複数の窪みがある場合、窪みの深さは異なり得る。例えば、1つ以上の窪みの深さは一貫し得る一方、1つ以上の窪みの厚さは、上記段落において記載のように変化し得る。上記したように、上ガセット3170の1つ以上の窪みの深さは、変化してもよいし、あるいは一貫してもよいことも理解されるべきである。
【0143】
支持フランジ3165は、発泡体クッション3105が取り付けられ得る表面(すなわち、外面3162)を有し得る。支持壁3160と支持フランジ3165との間の角度αは、90度以下であり得ることが企図される。加えて、支持フランジ3165は、シール形成構造3100の周囲からシール形成構造3100の内部に(すなわち、周囲から内方に)延び得る。加えて、支持フランジ3165は可撓性であり得るため、支持フランジ3165と支持壁3160との間の角度αを発泡体クッション3105上に作用する力の量(およびよって支持フランジ3165上に作用する力の量)に応じて変化させることが可能になり得る。中立状態において(すなわち、シール形成構造3100上に作用する力が無い場合)、角度αは、支持フランジ3165の異なる領域において変化し得る。このような異なる角度αにより、発泡体クッション3105が患者の顔の輪郭に追随することが可能になり得る。
【0144】
支持フランジ3165は、支持壁3160と同一材料により構成され得る。加えて、支持フランジ3165は、支持壁3160と一体形成され得る。支持フランジ3165は、単にシール形成構造3100の内部へとラジアル方向に内方に屈曲された支持壁3160の延長部であり得ることが企図される。あるいは、支持フランジ3165を支持壁3160と別個に形成し、支持壁3160へ組み付けてもよい。この構成において、支持フランジ3165の支持壁3160への固定は、機械的締結具、接着剤または接合によって行われ得る。
【0145】
支持フランジ3165は可撓性であるため、支持フランジ3165は、患者インターフェース3000内の呼吸ガスの圧力に起因して撓み得る。支持フランジ3165がこのように撓んだ場合、支持フランジ3165と支持壁3160との間の角度αが所定の閾値を超え、「破裂」と呼ばれる望ましくない状態が発生する。「破裂」の発生により、発泡体クッション3105の密閉能力の妥協に繋がり得る。閾値は、90度超であり得る。いくつかの場合において、閾値は、90度未満であり得る。閾値角度は、発泡体クッション3105のシール形成能力を妥協させ得る任意の角度でよいことが企図される。あるいは、閾値角度は、シール形成構造3100が中立状態にあるとき(すなわち、支持フランジ3165上に作用する力が無い場合)に支持フランジ3165と支持壁3160との間に存在する角度αであり得る。
【0146】
「破裂」を防止するためには、シール形成構造3100は、防止構成要素を含み得る。例えば、シール形成構造3100は、支持フランジ3165および支持壁3160へ接続された1つ以上のリブ3190を含み得る。これらのリブ3190により、支持フランジ3165のうちリブに取り付けられた部分が外方に撓んで角度αが増大する事態が防止され得る。これらのリブ3190により、リブ3190に隣接する領域において支持フランジ3165が外方に撓む量も低減され得る。リブ3190は可撓性および/または圧縮可能であり得るため、発泡体クッション3105が圧縮力を受けたときに支持フランジ3165が支持壁3160に相対して移動することが可能になることが企図される。例えば、リブ3190により、支持フランジ3165が移動して、支持壁3160と支持フランジ3165との間の角度αを低減させることが可能になり得る。
【0147】
図20に示すように、一対のリブ3190は、下ガセット3180に隣接して位置決めされ得る(この一対の第2のリブ3190は、発泡体クッション3105によって被覆される)。各リブ3190の厚さは、0.60~0.80mm(例えば、0.70mm)であり得ることが企図される。加えて、リブ3190の側部には、二等分面3155が発泡体クッション3105の下方領域内に設けられ得る。
【0148】
図20および
図23から分かるように、支持フランジ3165は、支持壁3160から一定の距離だけ延び得る。支持フランジ3165が支持壁3160から延びる距離は、支持フランジ3165の幅である。支持フランジ3165の幅により、発泡体クッション3105の取付面3120の取り付け先となり得るプラットフォームまたは表面が得られ得る。
図23から分かるように、支持フランジ3165の幅は、発泡体クッション3105の取付面3120の幅未満であり得る。よって、取付面3120の一部は、支持フランジ3165にオーバーハングし得る。発泡体クッション3105が支持フランジ3165にオーバーハングするようにすることにより、発泡体クッション3105の回転が促進され得、「破裂」に耐えることが可能になる。しかし、回転が内方になりすぎると、アンダークッション3110との接触に起因して不快感が発生し得、患者の顔上への負荷も増加し得る。そのため、不快感の発生し易い領域(例えば、鼻梁領域および上唇領域(または上唇))におけるオーバーハングが比較的低減され得る。
【0149】
シール形成構造3100の「破裂」を防止するように構成された別の構成要素は、支持フランジ3165の延長領域(またはフラップ部)3195であり得る。延長領域3195は、シール形成構造3100の中央上方領域に配置され得る(すなわち、患者の鼻梁と係合するように構成されたシール形成構造3100の部分)であり得、内部において支持フランジ3165の幅が最大となる支持フランジ3165の領域であり得る。延長領域3195は、フラップの形態をとり得、支持フランジ3165の隣接部分の幅を超えて延びる。
【0150】
加えて、延長領域3195は、シール形成構造3100の中央上方領域3140および中央下方領域3142を通じてシール形成構造3100を二等分させる二等分面3155に跨がり得る。延長領域3195は、正の曲率(すなわち、凹状形状)を二等分面3155にわたって有し得る。加えて、延長領域3195の外面3162は、サドル状を有し得ることが企図される。延長領域3195の幅増加および曲線状面により、プレナムチャンバ内の圧力に起因する延長領域3195の曲率の反転(すなわち、外面3162の正の曲率が負の曲率に変化すること)に耐えることにより、「破裂」に対する耐性が支援され得る。よって、延長領域3195により、シール形成構造3100の上方領域内のリブの必要性が排除され得る。
図23から分かるように、延長領域3195の幅増加により、発泡体クッション3105の中央上方領域3140のオーバーハングは、発泡体クッション3105の中央下方領域3142のオーバーハング未満になり得る。あるいは、幅広領域3145の幅増加により、発泡体クッション3105の支持フランジ3165にわたるオーバーハングが、シール形成構造3100全体において一貫し得る。
【0151】
支持フランジ3165の延長領域3195は、発泡体クッション3105の中央上方領域3140に対応し得る。加えて、上側領域3157は、支持フランジ3165の延長領域3195の横方向側と重複し得る。あるいは、上側領域3157は、支持フランジ3165の延長領域3195に隣接し得る。
【0152】
支持フランジ3165のエラストマー壁厚さは、異なる領域において異なり得ることが企図される。例えば、支持フランジ3165のエラストマー壁厚さは、支持フランジ3165の他の領域においてよりも中央上方領域3140および中央下方領域3142においてより肉薄になり得る。支持フランジ3165のエラストマー壁をより肉薄にすることにより、圧力に対する感度がより高い領域において発泡体クッションの屈折性をより高くすることが可能になり得る。加えて、リブ3190をシール形成構造3100の下方領域内に設けることおよび延長領域3195を中央上方領域3140内に設けることにより、これらの領域内において支持フランジ3165をより肉薄にすることが、「破裂」に対する耐性の妥協無く可能になり得る。
【0153】
支持フランジ3165のエラストマー壁厚さは、支持壁3160に近づくにつれて増加し得ることがさらに企図される。例えば、支持壁3160から最も遠位にある支持フランジ3165の端部(すなわち、カンチレバー端部)は、支持壁3160へ取り付けられた支持フランジ3165の端部よりも肉薄であり得る。支持フランジ3165のエラストマー壁厚さは、急激な「段階」的に変化してもよいし、あるいは徐々にテーパ状に変化してもよい。加えて、支持フランジ3165は、支持フランジ3165特定の領域(中央下方領域3145)においてテーパ状に変化または「段階的」に変化し得、他の領域(例えば、中間領域)において一貫したエラストマー壁厚さを有し得る。あるいは、支持フランジの全ての領域のエラストマー壁厚さを一貫させてもよい。支持フランジ3165が支持壁3160へ接続されている箇所において支持フランジ3165を肉厚にすることにより、支持フランジ3165が補強され得るかまたは支持フランジ3165の撓みまたは「破裂」に対する耐性が高められ得る。
【0154】
支持フランジ3165の外面3162の曲率は、発泡体クッション3105の密閉面3115の曲率に対応し得る。例えば、上記したように、延長領域3195における外面3162は、(中央上方領域3140における密閉面3115の曲率と同様に)二等分面3155に跨がる正の曲率(凹状形状)を有し得る。加えて、延長領域3195は、サドル状であり得ることが企図される。
【0155】
中央下方領域3142における外面3162は、(中央下方領域3142における密閉面3115の曲率と同様に)二等分面3155に跨がる正の曲率(凹状形状)を有し得る。加えて、支持フランジ3165の中央下方領域3142は、サドル状にされ得ることが企図される。
【0156】
支持フランジ3165の中央下方領域3142の側部には、一対の下角部領域3196が発泡体クッション3105の下角部領域3156に対応する場所に設けられ得る。下角部領域3196における外面3162は、負の曲率(凸状形状)を有し得る。加えて、下角部領域3196は、ドーム形状にされ得ることが企図される。
【0157】
延長領域3195における外面3162の正の曲率は、中央下方領域3142における外面3162の正の曲率よりも高くされ得ることがさらに企図される。加えて、延長領域3195の側部には、一対の上側領域3197が発泡体クッション3105の上側領域3157に対応する場所に設けられ得る。上側領域3197における外面3162は、負の曲率(凸状形状)を有し得る。加えて、上側領域3197は、ドーム形状であり得ることが企図される。
【0158】
左上側領域3197および左下角部領域3196は、正の曲率の中間領域3198によって相互に分離され得る。同様に、右上側領域3197および右下角部領域3196は、正の曲率の中間領域3199によって相互に分離され得る。中間領域3198および3199双方の正の曲率は、横方向軸3161にわたって設けられ得る。加えて、中間領域3198および中間領域3199双方は、サドル状にされ得る。
【0159】
上記したように、支持フランジ3165の外面3162は、4つのドーム形状領域と、4つのサドル状領域と、8つの移行領域とを有し得る。これら8つの移行領域は、ドーム領域とサドル領域との間に設けられ、外面3162のサドル状からドーム形状への形状移行またはその逆の形状移行が行われる。
【0160】
4.3.2 シェルまたはシャーシ
【0161】
シェルまたはシャーシ3200は、使用時にシールが形成される領域において平均的な人の顔の表面外形に対して相補的である形状の周囲を有する。顔との実際の接触は、シール形成構造3100によって提供され得る。シール形成構造3100は、使用時においてシェルまたはシャーシ3200の縁部全体の周囲に延び得る。
【0162】
シェルまたはシャーシ3200のアンダークッション3110への接続は、恒久的に(例えば、同時成型、オーバーモールド)行ってもよいし、あるいは取り外し可能に(例えば、機械的インターロック)行ってもよい。アンダークッション3110は、比較的可撓性のまたは曲げやすい材料(例えば、シリコーン)によって構築され得、シェルまたはシャーシ3200は、比較的剛性の材料(例えば、ポリカーボネート)によって構築され得ることが企図される。シェルまたはシャーシ3200およびアンダークッション3110は、協働してプレナムチャンバ3205を形成し得る。代替的に、シェルまたはシャーシ3200およびアンダークッション3110は、単一の同種の材料ピースから形成され得る。
【0163】
シェルまたはシャーシ3200は、使用時において患者の眼を被覆しない。換言すると、眼は、シェルまたはシャーシ3200によって規定される加圧空間外にあり得る。このような形態の場合、押しつけがさが低減しかつ/またはより着用者の快適性が増すことが多いため、治療コンプライアンスが向上し得る。
【0164】
シェルまたはシャーシ3200は、透明材料(例えば、透明ポリカーボネート)から構築され得る。透明材料の利用により、患者インターフェースの押しつけがましさが低減され得、治療へのコンプライアンスの向上が補助され得る。透明材料の利用により、臨床医が患者インターフェースの配置様態および機能を確認することが補助され得る。
【0165】
あるいは、シェルまたはシャーシ3200を半透明材料から構築してもよい。半透明材料を用いることにより、患者インターフェースの押しつけがましさを低減することができ、治療へのコンプライアンスの向上を補助することができる。
【0166】
シェルまたはシャーシ3200に含まれ得る開口部3211により、呼吸可能なガスがプレナムチャンバ3205へ送達され得る。開口部3211は、環状フランジ3215によって境界付けられ得る。環状フランジ3215は、フレームアセンブリ3300へ接続されるように適合され得、空気回路4170とインターフェース(例えば、シール)をとるように適合され得る。
【0167】
シェルまたはシャーシ3200は、空気回路4170とのシールを提供する可撓性密閉膜またはリップシール3225を提供し得る。リップシール3225は、開口部3211のリムへ取り付けられ得、開口部3211内へラジアル方向に内方に延びる自由端を含み得る。空気回路4170の端部は、リップシール3225と密閉係合して、空気流路のためのシールを形成するように構造および配置され得る。空気回路4170とシェルまたはシャーシ3200との間の密閉機構は、保持特徴部と別個に設けられ得、保持特徴部により、空気回路4170がシェルまたはシャーシ3200あるいはフレームアセンブリ3300へ連結されることが企図される。
【0168】
シェルまたはシャーシ3200は、加圧ガスの患者の気道の入口への送達のためにプレナムチャンバ3205を形成し得る。シェルまたはシャーシは、剛性構造であり、患者の顔に対する密閉のための力をシール形成構造3100上へ方向付ける。位置決めおよび安定化構造3400のヘッドギアストラップの締結から発生する張力により、力が提供され得る。これらの力は、一対の上側ヘッドギアストラップおよび下側ヘッドギアストラップから、フレームアセンブリ3300の対応する上側アームおよび下側アームへ移動され得る。
【0169】
シェルまたはシャーシ3200内の開口部3211は、開口部3211が(ユーザによる着用時において)下方を向くように、発泡体クッション3105に相対して方向付けられ得る。
図24および
図24Bに示すように、開口部3211の中央長手方向軸3212は、中央長手方向軸3212のうち患者インターフェース3000の外側の一部が下方向に延びるように、方向付けられ得る。理解されるように、中央長手方向軸3212は、ユーザのフランクフォート水平面3213に対して角度βを形成し得る。角度βは、10~50度(例えば、20~30度)であり得ることが企図される。CO
2の洗い流しの向上のために、開口部3211を下方方向に方向付けることにより、開口部3211が患者の鼻穴に相対してより良好に方向付けられ得る。
【0170】
上記したように、支持壁3160は、下ガセット3180を含み得る。下ガセット3180は、上ガセット3170よりも屈折性が高く(すなわち、上ガセット3170よりも容易に圧壊する)ように構成され得るため、支持壁3160は、横方向軸3185の周囲に屈曲される。このような支持壁3160の屈曲に起因して、開口部3211の方向付けが移行して、下ガセット3180の圧縮時において角度βが増加する。加えて、開口部3211の中央長手方向軸3212のうち患者インターフェース3000の外側の部分は、下方向に回転し得る。
【0171】
下ガセット3180の圧壊に起因する支持壁3160の屈曲は、患者インターフェース3000が位置決めおよび安定化構造3400により患者の顔へ固定される際に発生し得る。詳細には、位置決めおよび安定化構造3400からの張力に起因して、シール形成構造3100は、患者の顔の外形に対して押圧され得る。患者の顔の外形に対して押圧された際、下ガセット3180は、圧縮力を受け得、少なくとも部分的に圧壊し得、これにより、シール形成構造3100は中立位置(すなわち、下ガセット3180が圧縮力を受けない位置)から移行する(または枢動する)。シール形成構造3100の枢動に起因して、中央長手方向軸3212のうち患者インターフェース3000の外側の一部分が下方向に近づく方向に回転し得、患者のフランクフォート水平面に対して角度βが増加し得る。
4.3.3 フレームアセンブリ
【0172】
フレームアセンブリ3300は、シュラウド(またはアンカー壁)3305と、シュラウド3305へ取り付けられたヘッドギアコネクタ3310とを含み得、これにより、4点接続を位置決めおよび安定化構造3400へ提供する。シュラウド3305(例えば、ポリカーボネートなどの比較的硬質のプラスチック材料によって構築されたもの)は、空気回路4170と係合するような構造にされた環状縁部を備えた開口部3315を含み得る。シュラウド3305の後部側または後側に含まれ得る複数のロッキングタブまたはバネアーム3320(例えば、2個、3個、4個、5個またはそれ以上のタブまたはバネアーム)は、開口部3315の周囲に間隔を開けて配置され、シェルまたはシャーシ3200との機械的インターロック(例えば、スナップフィット接続)を提供する構造にされる。
【0173】
ヘッドギアコネクタ3310は、シュラウド3305へ接続されたシュラウド接続部3325と、安定化構造3400の各上側ヘッドギアストラップへ接続するような構造にされた一対の(すなわち、右および左の)上側ヘッドギアコネクタアーム3330と、安定化構造3400の各下側ヘッドギアストラップへ接続するような構造にされた一対の(すなわち、右および左の)下側ヘッドギアコネクタアーム3335と、上側アームおよび下側アーム3330、3335をシュラウド接続部3325と相互接続させるための中間部分3340とを含み得る。
【0174】
各上側ヘッドギアコネクタアーム3330は、上側ヘッドギア接続点を含み得る。この上側ヘッドギア接続点は、安定化構造3400の各上側ヘッドギアストラップを受容するような構造にされたスロット3345の形態をとる。下側ヘッドギアコネクタアーム3335のそれぞれは、安定化構造3400の各下側ヘッドギアストラップに付随する磁石に位置し接続するような構造にされた磁気コネクタ3350の形態をとった下側ヘッドギア接続点を含み得る。しかし、上側および下側ヘッドギアコネクタアーム3330、3335は、ヘッドギアのヘッドギアストラップへ他の適切な方法で接続してもよいことが理解されるべきである。
【0175】
上側ヘッドギアコネクタアーム3330および下側ヘッドギアコネクタアーム3335は、剛性化または補剛され得るため、(顔プロファイルに適合しかつ上側ヘッドギア接続点を適切な場所に位置決めするような構造にされた)事前形成された3D形状(フロッピーではない形状)を維持し得る。上側ヘッドギアコネクタアーム3330および下側ヘッドギアコネクタアーム3335はそれぞれ、自身の剛性または剛度(詳細には、方向付け)に起因して、自身の事前形成された形状を維持し得る。上側ヘッドギアコネクタアーム3330および下側ヘッドギアコネクタアーム3335は、顔の多様な幅に適合するように、顔内への屈曲および顔から離隔方向の屈曲に対して低耐性(より低剛度または低剛性)となるような構造にされ得る。上側ヘッドギアコネクタアーム3330および下側ヘッドギアコネクタアーム3335は、剛性化され得るため、ヘッドギアストラップから付加される張力下において実質的に変形せず、これにより、ヘッドギアストラップとシャーシ3200との間の中間部として機能して、ヘッドギアストラップからの張力をシール形成構造3100上に付加される圧縮力へと変換させて、顔上にシールおよび安定性を提供する。上側ヘッドギアコネクタアーム3330および下側ヘッドギアコネクタアーム3335は、適切な力ベクトルをシェルまたはシャーシ3200を介してシール形成構造3100上に付加するような形状にもされ得、これにより、安定かつ快適なシールがもたらされる。例において、シール形成構造3100は、適切な圧縮力下において患者の顔内に引き込まれ得、(顔内に直接引き込まれる)フランクフォート水平面3213とも一致し得る。
【0176】
上側ヘッドギアコネクタアーム3330および下側ヘッドギアコネクタアーム3335も剛性化され得るため、ねじり剛性により、捻り下における変形に対する耐性が得られ得る。上側ヘッドギアコネクタアーム3330および下側ヘッドギアコネクタアーム3335は、顔に沿った垂直方向の上下方向における屈曲変形に対しても耐性を有し得る(例えば、耳に相対する正しい高さのままにとどまる)。しかし、上側ヘッドギアコネクタアーム3330および下側ヘッドギアコネクタアーム3335は、所定のレベルの変形の提供により屈曲を可能にする(顔へ近接方向/離隔方向における屈曲を可能にする)ような構造にもされ得るため、異なる顔幅に合わせた調節が可能になる。加えて、上側ヘッドギアコネクタアーム3330および下側ヘッドギアコネクタアーム3335は、この方向付けにおいて弾力性/弾性であり得るため、上側ヘッドギアコネクタアーム3330および下側ヘッドギアコネクタアーム3335が元々の位置に戻ることが可能になる。この特徴部により、ヘッドギアストラップの締め付け時においてフレームアセンブリから顔上に付加される負荷/力の最小化を(可撓性によるこれらの張力のうち一部の吸収)によって可能にすることにより、不快感も防止され得る。場所によっては、上側ヘッドギアコネクタアーム3330および下側ヘッドギアコネクタアーム3335により、顔との接触を回避するための剛性/剛度も得られ得、ここで、上側ヘッドギアコネクタアーム3330および下側ヘッドギアコネクタアーム3335は、ヘッドギア張力から顔内への屈曲変形または圧縮に耐える支柱として機能し得る。逆に、他の場所において、上側ヘッドギアコネクタアーム3330および下側ヘッドギアコネクタアーム3335の可撓性により、(例えば、患者が横臥状態で睡眠しているときの)側面荷重からの張力または圧縮下において上側ヘッドギアコネクタアーム3330および下側ヘッドギアコネクタアーム3335が圧壊することが可能になり得、これにより、側面荷重が患者インターフェース上に付与される。上側ヘッドギアコネクタアーム3330および下側ヘッドギアコネクタアーム3335は、側面荷重から付加される圧縮力を吸収し得、シール形成構造3100が押し退けられる事態を防止し得る。この可撓性により、患者の顔への適合向上にも繋がり得、これにより、快適性が増加し得、側面荷重からのシール不安定性も防止され得る。
【0177】
下側ヘッドギアコネクタアーム3335は、任意選択的に上側ヘッドギアコネクタアーム3330よりも比較的可撓性にされ得る。例えば、下側ヘッドギアコネクタアーム3335は、より低いねじれ耐性を有し得、これにより、安定化構造3400の下側ヘッドギアストラップと共にねじられ得ることが企図される。この可撓性により、下側ヘッドギアコネクタアーム3335が下側ヘッドギアストラップと共にねじれおよび回転することが可能になり得これにより、これらの力下における保持特徴部の接続解除が防止され得る(すなわち、下側ヘッドギアコネクタアーム3335の下側ヘッドギアストラップとの接続が維持される)。
【0178】
ヘッドギアコネクタ3310アセンブリの各中間部分3340は、多様な顔プロファイルに適合する(例えば、多様な顔の幅に対応する)可撓性部分3355を含み得る。可撓性部分3355は、(前側および/または後側に)窪みを含むため、ヒンジセクションがシェルまたはシャーシ3200に隣接して形成されることが企図される。
【0179】
ヘッドギアコネクタ3310は、多層構成(例えば、所望の可撓性を提供するための異なる材料の層)を含み得る。ヘッドギアコネクタは、安定化構造3400のヘッドギアストラップよりも高剛性であり得ることが企図される。
【0180】
シュラウド3305の内面(または後面)は、シェルまたはシャーシ3200の外面と係合し得る。シェルまたはシャーシ3200は、別個の保持特徴部を含んでもよいし、あるいは、フレームアセンブリ3300の内面へ取り外し可能に連結するための構造にしてもよい。患者インターフェース3000は、単一サイズのフレームアセンブリがシュラウドサイズまたはシャーシサイズ(例えば、小型~大型)への接続が可能である点において、モジュール型であり得る。よって、シェルまたはシャーシ3200は、フレームアセンブリ3300へも取り外し可能に連結され得、これにより、フレームアセンブリ3300は、各シェルサイズまたはシャーシサイズに対応する所定の構成へ接続され得る。例えば、より小型のシェルまたはシャーシ3200の全体的高さは、中型~大型のクッションアセンブリに相対して相対的に低くされ得る。そのため、クッションアセンブリに相対する位置にフレームアセンブリ3300を接続させることにより、上側ヘッドギアストラップが耳を回避する取付点を提供しつつ、上側ヘッドギア取付点3345が正しい位置(目と耳の間)に位置決めされる。すなわち、フレームアセンブリ3300は、中型または大型のサイズのシェルまたはシャーシと比較して、シェルまたはシャーシ3200上のより高い位置において接続し得る。例において、中型のサイズおよび/または大型のサイズは、この要求を有さない場合があり、フレームアセンブリ3300が実質的に同じ位置に位置決めされるように接続し得る。
4.3.4 位置決めおよび安定化構造
【0181】
本技術の患者インターフェース3000のシール形成構造3100は、使用時において位置決めおよび安定化構造3400によって密閉位置において保持され得る。
【0182】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3400により、顔から浮き上がるためのプレナムチャンバ中の陽圧の効果に打ち勝つのに少なくとも充分な保持力が得られ得る。
【0183】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3400により、患者インターフェース3000上への引力に打ち勝つだけの保持力が得られ得る。
【0184】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3400により、患者インターフェース3000上への破壊的作用の可能性(例えば、管引き摺りまたは患者インターフェースとの不慮の干渉に起因するもの)を解消するための安全マージンとして保持力が得られ得る。
【0185】
本技術の一形態において、患者が睡眠時に装着されるように構成された位置決めおよび安定化構造3400が提供され得る。一例において、位置決めおよび安定化構造3400は、装置の感知される嵩または実際の嵩を低減するように、目立たないプロファイルまたは断面厚さを有し得る。一例において、位置決めおよび安定化構造3400は、矩形の断面を有する少なくとも1つのストラップを含み得る。一例において、位置決めおよび安定化構造3400は、少なくとも1つの平坦ストラップを含み得る。
【0186】
本技術の一形態において、患者が患者の頭部の後部領域を枕に載せた状態で仰臥位睡眠位置において寝る際の妨げとなるような過度に大きいまたは嵩張るサイズにならないように構成された位置決めおよび安定化構造3400が提供され得る。
【0187】
本技術の一形態において、患者が患者の頭部の側部領域を枕に載せた状態で側臥位睡眠位置において寝る際の妨げとなるような過度に大きいまたは嵩張るサイズにならないように構成された位置決めおよび安定化構造3400が提供され得る。
【0188】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造3400は、位置決めおよび安定化構造3400の前方部分と位置決めおよび安定化構造3400の後方部分との間に配置された結合解除部分を備え得る。この結合解除部分は、圧縮に耐えず、例えば可撓性またはぺらぺらのストラップであり得る。結合解除部分は、患者が頭を枕に載せて横たわったときに結合解除部分の存在により後方部分への力が位置決めおよび安定化構造3400に沿って伝達されてシールが妨害される事態を防止できるように、構築および配置され得る。
【0189】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造3400は、布地患者接触層、発泡体内側層および布地外側層の積層物から構成されたストラップを含み得る。一形態において、発泡体は、湿気(例えば、汗)がストラップを通過できるような多孔性であり得る。一形態において、布地外側層は、フック材料部分と係合するループ材料を含み得る。
【0190】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3400は、伸張可能である(例えば、弾力性と共に伸張可能である)ストラップを含み得る。例えば、ストラップは、使用時にはピンと張った状態にされて、シール形成構造を患者の顔の一部と密着させる力を方向付けるように、構成され得る。一例において、ストラップは、タイとして構成され得る。
【0191】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は第1のタイを含み得、第1のタイは、使用時においてその下縁部の少なくとも一部が上を通過して患者の頭の上耳底点へ移動し、後頭骨を被覆することなく頭頂骨の一部を被覆するように、構築および配置される。
【0192】
鼻専用マスクまたはフルフェイスマスクに適した本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は、第2のタイを含み得る。第2のタイは、使用時においてその上縁部の少なくとも一部が患者の頭部の下側の下耳底点の下側を通過し、患者の頭部の後頭骨を被覆するかまたは患者の頭部の後頭骨の下側に載置されるように、構築および配置される。
【0193】
鼻専用マスクまたはフルフェイスマスクに適した本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は、第1のタイおよび第2のタイが相違に離隔方向に移動する傾向を低減させるように第1のタイおよび第2のタイを相互接続させるように構築および配置された第3のタイを含み得る。
【0194】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3400は、屈曲可能であり例えば非剛性であるストラップを含み得る。本態様の利点として、患者が睡眠時に体を横たえたときにストラップがより快適になっている点があり得る。
【0195】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3400は、内部を水蒸気が通過できるように呼吸可能なように構成されたストラップを含み得る。
【0196】
本技術の特定の形態において、1つよりも多くの位置決めおよび安定化構造3400を含むシステムが提供される。各位置決めおよび安定化構造は、異なるサイズおよび/または形状範囲に対応するための保持力を提供するように構成される。例えば、システムは、小さなサイズの頭ではなく大きなサイズの頭に適しかつ大きなサイズの頭ではなく小さなサイズの別の頭に適した位置決めおよび安定化構造3400の一形態を含み得る。
【0197】
図示の例において、本技術の患者インターフェース3000のシール形成構造3100は、使用時において安定化構造(ヘッドギア)3400によって密閉位置において保持され得る。ヘッドギア3400は患者の頭部の頭頂部を封入する円形の頭頂部ストラップ3430へ接続された上サイドストラップ3410および一対の下サイドストラップ3420を含み得る。例えばヘッドギアクリップを介して、上サイドストラップ3410はフレームアセンブリ3300の上側ヘッドギアコネクタアーム3330に接続し得、下サイドストラップ3420はフレームアセンブリ3300の下側ヘッドギアコネクタアーム3335へ接続し得る。サイドストラップ3410および3420は、接続および/または調節を促進するために、調節可能なフックアンドループ(ベルクロ(登録商標))接続機構(例えば、ベルクロ(登録商標)のようなフックタブ)を含み得る。あるいは、下サイドストラップ3420は、フレームアセンブリ3300の下側ヘッドギアコネクタアーム3335上の対応する磁気コネクタに対応する磁気コネクタを含み得る。
4.3.5 通気部
【0198】
一形態において、患者インターフェース3000は、呼息されたガス(例えば、二酸化炭素)の押し出しを可能にするように構成および配置された通気部3500を含み得る。
【0199】
特定の形態において、通気部3500は、プレナムチャンバ内の圧力が周囲に対して正であるときにプレナムチャンバの内部から周囲への連続的通気流れを可能にするように構成され得る。通気部3500は、使用時においてプレナムチャンバ内の治療圧力を維持しつつ、通気流量の大きさが呼息されたCO2の患者による再呼吸を低減できるだけの充分な大きさになるように、構成され得る。
【0200】
本技術による一形態の通気部3500は、複数の穴(例えば、約20個~約80個の穴または約40個~約60個の穴または約45個~約55個の穴)を含み得る。
【0201】
通気部3500は、シェルまたはシャーシ3200内に配置され得る。あるいは、通気部3500は、結合解除構造(例えば、スイベル)内に配置され得る。
4.4 RPTデバイス
【0202】
本技術の一態様によるRPTデバイス4000は、機械、空気圧式、および/または電気部品を含み、1つ以上のアルゴリズム4300(例えば全体的にせよ部分的にせよ本明細書に記載の方法のうちいずれか)を実行するように構成される。RPTデバイス4000は、例えば本文書中のいずれかに記載の呼吸器疾病のうち1つ以上の治療のために患者の気道へ送達される空気流れを生成するように構成され得る。
【0203】
RPTデバイスは、外部ハウジング4010を持ち得る。外部ハウジング4010は、上部4012および下部4014の2つの部分によって形成される。さらに、外部ハウジング4010は、1つ以上のパネル(単数または複数)4015を含み得る。RPTデバイス4000は、RPTデバイス4000の1つ以上の内部構成要素を支持するシャーシ4016を含む。RPTデバイス4000は、ハンドル4018を含み得る。
【0204】
空気圧RPTデバイス4000の空気圧経路は、1つ以上の空気経路アイテム(例えば、入口空気フィルタ4112、入口マフラー4122、空気を陽圧で供給することが可能な圧力生成器4140(例えば、送風機4142)、出口マフラー4124)ならびに1つ以上の変換器4270(例えば、圧力センサ4272および流量センサ4274)を含み得る。
【0205】
空気経路アイテムのうち1つ以上は、空気圧ブロック4020と呼ばれる取り外し可能な一体構造内に配置され得る。空気圧ブロック4020は、外部ハウジング4010内に配置され得る。一形態において、空気圧ブロック4020は、シャーシ4016によって支持されるかまたはシャーシ4016の一部として形成される。
【0206】
RPTデバイス4000は、電気電源4210、1つ以上の入力デバイス4220、中央コントローラ4230、治療デバイスコントローラ4240、圧力生成器4140、1つ以上の保護回路4250、メモリ4260、変換器4270、データ通信インターフェース4280、および1つ以上の出力デバイス4290を有することができる。電気部品4200は、シングルプリント回路基板アセンブリ(PCBA)4202上に取り付けられ得る。一代替形態において、RPTデバイス4000は、1つよりも多くのPCBA4202を含み得る。
4.4.1 RPTデバイス機械および空気圧式構成要素
【0207】
RPTデバイスは、以下の構成要素のうち1つ以上を一体ユニット中に含み得る。一代替形態において、以下の構成要素のうち1つ以上が、それぞれの別個のユニットとして配置され得る。
4.4.1.1 空気フィルタ(単数または複数)
【0208】
本技術の一形態によるRPTデバイスは、空気フィルタ4110または複数の空気フィルタ4110を含み得る。
【0209】
一形態において、入口空気フィルタ4112は、圧力生成器4140の空気圧経路上流の始まり部に配置される。
【0210】
一形態において、出口空気フィルタ4114(例えば抗菌ファクタ)は、空気圧ブロック4020の出口と、患者インターフェース3000または3800との間に配置される。
4.4.1.2 マフラー(単数または複数)
【0211】
本技術の一形態によるRPTデバイスは、マフラー4120または複数のマフラー4120を含み得る。
【0212】
本技術の一形態において、入口マフラー4122は、空気圧経路内において圧力生成器4140の上流に配置される。
【0213】
本技術の一形態において、出口マフラー4124は、空気圧経路内において圧力生成器4140と患者インターフェース3000または3800との間に配置される。
4.4.1.3 圧力生成器
【0214】
本技術の一形態において、空気の流れまたは供給を陽圧において生成する圧力生成器4140は、制御可能な送風機4142である。例えば、送風機4142は、1つ以上のインペラを備えたブラシレスDCモータ4144を含み得る。インペラが、ボリュート内へ配置され得る。送風機は、呼吸圧力治療を施しているときに、空気供給の送達を例えば約120リットル/分までの速度で、約4cmH2O~約20cmH2Oの範囲の陽圧で、または他の形態において約30cmH2Oまで行うことができる。送風機については、以下の特許または特許出願のうちいずれか1つに記載があり得る。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する:米国特許第7,866,944号、米国特許第8,638,014号、米国特許第8,636,479号およびPCT特許出願公開WO2013/020167。
【0215】
圧力生成器4140は、治療デバイスコントローラ4240の制御下にある。
【0216】
他の形態において、圧力生成器4140は、ピストン駆動ポンプ、高圧源(例えば、圧縮空気リザーバ)へ接続された圧力調節器、またはベローズであり得る。
4.4.1.4 変換器(単数または複数)
【0217】
変換器は、RPTデバイスの内部に設けてもよいし、あるいはRPTデバイスの外部に設けてもよい。外部変換器は、例えば空気回路上に配置してもよいし、あるいは空気回路の一部を形成してもよい(例えば、患者インターフェース)。外部変換器は、非接触センサの形態をとり得る(例えば、データRPTデバイスを送るかまたは移動させるドップラーレーダー移動センサ)。
【0218】
本技術の一形態において、1つ以上の変換器4270が、圧力生成器4140の上流および/または下流に配置され得る。1つ以上の変換器4270は、空気流れの特性を示す信号(例えば、空気圧経路中の当該ポイントにおける流量、圧力または温度)を生成するように、構築および配置され得る。
【0219】
本技術の一形態において、1つ以上の変換器4270は、患者インターフェース3000または3800の近隣に配置され得る。
【0220】
一形態において、変換器4270からの信号が、(例えば、ローパス、ハイパスまたはバンドパスフィルタリングによって)フィルタリングされ得る。
4.4.1.4.1 流量センサ
【0221】
本技術による流量センサ4274は、差圧変換器(例えば、SENSIRIONからのSDP600シリーズ差圧変換器)に基づき得る。
【0222】
一形態においては、流量センサ4274によって生成され、流量を表す信号が、中央コントローラ4230によって受信される。
4.4.1.4.2 圧力センサ
【0223】
本技術による圧力センサ4272は、空気圧経路と流体連通して配置され得る。適切な圧力センサの一例として、HONEYWELL ASDXシリーズからの変換器がある。別の適切な圧力センサとして、GENERAL ELECTRICからのNPAシリーズからの変換器がある。
【0224】
1つの形態において、圧力センサ4272によって生成された信号は、中央コントローラ4230によって受信される。
4.4.1.4.3 モータ速度変換器
【0225】
本技術の一形態において、モータ4144および/または送風機4142の回転速度を決定するために、モータ速度変換器4276が用いられ得る。モータ速度変換器4276からのモータ速度信号は、治療デバイスコントローラ4240へ提供され得る。モータ速度変換器4276は、例えば速度センサであり得る(例えば、ホール効果センサ)。
4.4.1.5 アンチスピルバック弁
【0226】
本技術の一形態において、アンチスピルバック弁4160が、加湿器5000と、空気圧ブロック4020との間に配置され得る。アンチスピルバック弁は、水が加湿器5000から上流に(例えば、モータ4144へ)流れる危険性を低減させるように、構築および配置される。
4.4.2 RPTデバイス電気部品4.4.2.1 電源
【0227】
電源4210は、RPTデバイス4000の外部ハウジング4010の内部または外部に配置され得る。
【0228】
本技術の一形態において、電源4210は、RPTデバイス4000にのみ電力を供給する。本技術の別の形態において、電源4210から、電力がRPTデバイス4000および加湿器5000双方へ提供される。
4.4.2.2 入力デバイス
【0229】
本技術の一形態において、RPTデバイス4000は、人間がデバイスと相互作用を可能にするためのボタン、スイッチまたはダイヤルの形態をとる1つ以上の入力デバイス4220を含む。ボタン、スイッチまたはダイヤルは、タッチスクリーンを介してアクセスすることが可能な物理的デバイスまたはソフトウェアデバイスであり得る。ボタン、スイッチまたはダイヤルは、一形態において外部ハウジング4010に物理的に接続させてもよいし、あるいは、別の形態において中央コントローラ4230と電気接続された受信器と無線通信してもよい。
【0230】
一形態において、入力デバイス4220は、人間が値および/またはメニュー選択肢を選択することを可能にするように、構築および配置され得る。
4.4.2.3 中央コントローラ
【0231】
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、RPTデバイス4000の制御に適した1つまたは複数のプロセッサである。
【0232】
適切なプロセッサは、ARM HoldingsからのARM(商標)Cortex(商標)-Mプロセッサに基づいたプロセッサであるx86INTELプロセッサを含み得る(例えば、ST MICROELECTRONICからのSTM32シリーズのマイクロコントローラ)。本技術の特定の代替形態において、32ビットRISC CPU(例えば、ST MICROELECTRONICSからのSTR9シリーズマイクロコントローラ)または16ビットRISC CPU(例えば、TEXAS INSTRUMENTSによって製造されたマイクロコントローラのMSP430ファミリーからのプロセッサ)も適切であり得る。
【0233】
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、専用電子回路である。
【0234】
一形態において、中央コントローラ4230は、特定用途向け集積回路である。別の形態において、中央コントローラ4230は、個別電子構成要素を含む。
【0235】
中央コントローラ4230は、1つ以上の変換器4270、1つ以上の入力デバイス4220および加湿器5000から入力信号(単数または複数)を受信するように、構成され得る。
【0236】
中央コントローラ4230は、出力信号(単数または複数)を出力デバイス4290、治療デバイスコントローラ4240、データ通信インターフェース4280および加湿器5000のうち1つ以上へ提供するように、構成され得る。
【0237】
本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、本明細書中に記載の1つ以上の方法(例えば、非一時的コンピュータ可読記憶媒体(例えば、メモリ4260)のような中に格納されたコンピュータプログラムとして表現された1つ以上のアルゴリズム4300)を具現するように構成される。本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、RPTデバイス4000と一体化され得る。しかし、本技術のいくつかの形態において、いくつかの方法が、遠隔配置されたデバイスによって行われ得る。例えば、遠隔配置されたデバイスは、記録されたデータ(例えば、本明細書中に記載のセンサのうちいずれかからのもの)の分析により、人工呼吸器の制御設定を決定し得るか、または、呼吸関連イベントを検出し得る。
4.4.2.4 時計
【0238】
RPTデバイス4000は、中央コントローラ4230へ接続された時計4232を含み得る。
4.4.2.5 治療デバイスコントローラ
【0239】
本技術の一形態において、治療デバイスコントローラ4240は治療制御モジュール4330であり、中央コントローラ4230によって実行されるアルゴリズム4300の一部を形成する。
【0240】
本技術の一形態において、治療デバイスコントローラ4240は、専用モータ制御集積回路である。例えば、一形態において、ONSEMIによって製造されたMC33035ブラシレスDCモータコントローラが用いられる。
4.4.2.6 保護回路
【0241】
本技術による1つ以上の保護回路4250は、電気保護回路、温度および/または圧力安全回路を含み得る。
4.4.2.7 メモリ
【0242】
本技術の一形態によれば、RPTデバイス4000は、メモリ4260(例えば、不揮発性メモリ)を含む。いくつかの形態において、メモリ4260は、電池式スタティックRAMを含み得る。いくつかの形態において、メモリ4260は、揮発性RAMを含み得る。
【0243】
メモリ4260は、PCBA4202上に配置され得る。メモリ4260は、EEPROMまたはNANDフラッシュの形態をとり得る。
【0244】
追加的にまたは代替的に、RPTデバイス4000は、取り外し可能なメモリ4260(例えば、セキュアデジタル(SD)規格に従って作製されたメモリカード)を含む。
【0245】
本技術の一形態において、メモリ4260は、非一時的コンピュータ可読記憶媒体として機能する。この記録媒体上に、本明細書中に記載の1つ以上の方法を表現するコンピュータプログラム命令(例えば、1つ以上のアルゴリズム4300)が記録される。
4.4.2.8 データ通信システム
【0246】
本技術の一形態において、データ通信インターフェース4280が設けられ、中央コントローラ4230へ接続される。データ通信インターフェース4280は、遠隔外部通信ネットワーク4282および/またはローカル外部通信ネットワーク4284へ接続可能であり得る。遠隔外部通信ネットワーク4282は、遠隔外部デバイス4286へ接続可能であり得る。ローカル外部通信ネットワーク4284は、ローカル外部デバイス4288へ接続可能であり得る。
【0247】
一形態において、データ通信インターフェース4280は、中央コントローラ4230の一部である。別の形態において、データ通信インターフェース4280は、中央コントローラ4230と別個であり、集積回路またはプロセッサを含み得る。
【0248】
一形態において、遠隔外部通信ネットワーク4282はインターネットである。データ通信インターフェース4280は、インターネットへ接続するために、(例えば、イーサネットまたは光ファイバーを介して)有線通信を用い得るかまたは無線プロトコル(例えば、CDMA、GSM、LTE)を用い得る。
【0249】
一形態において、ローカル外部通信ネットワーク4284は、1つ以上の通信規格(例えば、ブルートゥース(登録商標)またはコンシューマー赤外線プロトコル)を用いる。
【0250】
一形態において、遠隔外部デバイス4286は、1つ以上のコンピュータ(例えば、ネットワーク化コンピュータのクラスタ)である。一形態において、遠隔外部デバイス4286は、物理的コンピュータではなく仮想コンピュータであり得る。いずれの場合も、このような遠隔外部デバイス4286は、適切に権限を付与された人間(例えば、臨床医)からのアクセスが可能であり得る。
【0251】
ローカル外部デバイス4288は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、タブレットまたはリモートコントロールであり得る。
4.4.2.9 任意選択のディスプレイ、警報を含む出力デバイス
【0252】
本技術による出力デバイス4290は、視覚、音声および触覚ユニットのうち1つ以上の形態をとり得る。視覚ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)または発光ダイオード(LED)ディスプレイであり得る。
4.4.2.9.1 ディスプレイドライバ
【0253】
ディスプレイドライバ4292は、ディスプレイ4294上へ表示されるべき文字、記号または画像を入力として受信し、ディスプレイ4294にこれらの文字、記号または画像を表示させるコマンドへ変換する。
4.4.2.9.2 ディスプレイ
【0254】
ディスプレイ4294は、ディスプレイドライバ4292から受信されたコマンドに応答して、文字、記号または画像を視覚的に表示するように構成される。例えば、ディスプレイ4294は8セグメントディスプレイであり得、その場合、ディスプレイドライバ4292は、各文字または記号(例えば、数字「0」)を、特定の文字または記号を表示するために各8個のセグメントを活性化させるべきかを示す8個の論理信号へ変換する。
4.5 空気回路
【0255】
本技術の一態様による空気回路4170は、使用時において空気流れが2つの構成要素(例えば、RPTデバイス4000および患者インターフェース3000または3800)間に移動するように、構築および配置された導管またはチューブである。
【0256】
詳細には、空気回路4170は、空気圧ブロック4020の出口および患者インターフェースと流体接続し得る。空気回路は、空気送達管と呼ばれ得る。いくつかの場合において、吸息および呼息のための回路の別個の肢があり得る。他の場合において、単一の肢が用いられる。
【0257】
いくつかの形態において、空気回路4170は、(例えば空気温度の維持または上昇のために)空気回路中の空気を加熱するように構成された1つ以上の加熱要素を含み得る。加熱要素は、加熱ワイヤ回路の形態をとり得、1つ以上の変換器(例えば、温度センサ)を含み得る。一形態において、加熱ワイヤ回路は、空気回路4170の軸周囲にらせん状に巻かれ得る。加熱要素は、コントローラ(例えば、中央コントローラ4230)と連通し得る。加熱ワイヤ回路を含む空気回路4170の一例について、米国特許出願第8,733,349号に記載がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
4.5.1 補充用ガス送達
【0258】
本技術の一形態において、補充用ガス、例えば、酸素4180が、空気圧経路における1つ以上のポイント(例えば、空気圧ブロック4020の上流)、空気回路4170および/または患者インターフェース3000または3800へ送達され得る。
4.6 加湿器
4.6.1 加湿器の概要
【0259】
本技術の一形態において、患者へ送達されるべき空気またはガスの絶対湿度を周囲空気に相対して変化させるための加湿器5000が提供される(例えば、
図54に示すようなもの)。典型的には、加湿器5000は、患者の気道へ送達される前に空気流れの(周囲空気に相対する)絶対湿度を増加させかつ温度を増加させるために、用いられる。
【0260】
加湿器5000は、加湿器リザーバ5110と、空気流れを受容する加湿器入口5002と、加湿された空気流れを送達するための加湿器出口5004とを含み得る。
図54および
図55に示すようないくつかの形態において、加湿器リザーバ5110の入口および出口はそれぞれ、加湿器入口5002および加湿器出口5004であり得る。加湿器5000は、加湿器ベース5006をさらに含み得る。加湿器ベース5006は、加湿器リザーバ5110を受容するように適合され得、加熱要素5240を含み得る。
4.6.2 加湿器構成要素
4.6.2.1 水リザーバ
【0261】
1つの配置構成によれば、加湿器5000は、空気流れの加湿のために蒸発させるべき一定量の液体(例えば、水)を収容または保持するように構成された水リザーバ5110を含み得る。水リザーバ5110は、少なくとも呼吸治療セッションの継続期間(例えば、一晩の睡眠)にわたって適切な加湿を提供するための所定の最大量の水を収容するように、構成され得る。典型的には、リザーバ5110は、数百ミリリットルの水(例えば、300ミリリットル(ml)、325ml、350mlまたは400ml)を収容するように、構成される。他の形態において、加湿器5000は、外部水源(例えば、建物の水供給システム)から水供給を受容するように、構成され得る。
【0262】
一態様によれば、水リザーバ5110は、空気流れがRPTデバイス4000を通過する際にRPTデバイス4000からの空気流れを加湿するように、構成される。一形態において、水リザーバ5110は、空気流れがリザーバ5110中の一定量の水と接触しつつ、空気流れのリザーバ5110中の蛇行経路の移動を促進するように、構成され得る。
【0263】
一形態によれば、リザーバ5110は、例えば
図54および
図55に示すように横方向において加湿器5000から取り外し可能であり得る。
【0264】
リザーバ5110は、例えばリザーバ5110がその通常の動作方向(例えば、任意のアパチャを通じておよび/またはそのサブ構成要素間に)から変位および/または回転した時にリザーバ5110からの液体放出を抑制するようにも構成され得る。加湿器5000によって加湿すべき空気流れは加圧されていることが多いため、リザーバ5110は、漏洩および/または流れインピーダンスを通じた空気圧の損失を防止するようにも、構成され得る。
4.6.2.2 伝導性部分
【0265】
1つの配置によれば、リザーバ5110は、加熱要素5240からリザーバ5110中の一定量の液体への効率的な熱伝達を可能にするように構成された伝導性部分5120を含む。一形態において、伝導性部分5120はプレートとして配置され得るが、他の形状も適切であり得る。伝導性部分5120の全体または一部は、アルミニウムなどの熱伝導性材料(例えば、厚さおよそ2mm(例えば、1mm、1.5mm、2.5mmまたは3mm))、別の熱伝導金属また何らかのプラスチックによって構成され得る。いくつかの場合において、適切な熱伝導性が、適切なジオメトリのより低伝導性の材料により、達成され得る。
4.6.2.3 加湿器リザーバドック
【0266】
一形態において、加湿器5000は、加湿器リザーバ5110を受容するように構成された(
図55に示すような)加湿器リザーバドック5130を含み得る。いくつかの配置において、加湿器リザーバドック5130は、ロック機能を含み得る(例えば、リザーバ5110を加湿器リザーバドック5130内に保持するように構成されたロックレバー5135)。
4.6.2.4 水位インジケータ
【0267】
加湿器リザーバ5110は、
図54~
図55に示すような水位インジケータ5150を含み得る。いくつかの形態において、水位インジケータ5150は、加湿器リザーバ5110中の水の量についての1つ以上の兆候を患者1000または介護者などのユーザへ提供し得る。水位インジケータ5150から提供されるこれら1つ以上の兆候は、最大の所定量の水、その任意の一部の通知を含み得る(例えば、25%、50%または75%または量(例えば、200ml、300mlまたは400ml))。
4.6.2.5 加湿器変換器(単数または複数)
【0268】
加湿器5000は、上記した変換器4270の代わりにまたは上記した変換器4270に加えて1つ以上の加湿器変換器(センサ)5210を含み得る。加湿器変換器5210は、
図56に示すような空気圧力センサセンサ5212、空気流量変換器5214、温度センサ5216または湿度センサ5218のうち1つ以上を含み得る。加湿器変換器5210は、1つ以上の出力信号を生成し得る。これらの出力信号は、コントローラ(例えば、中央コントローラ4230および/または加湿器コントローラ5250)へ通信され得る。いくつかの形態において、加湿器変換器は、出力信号をコントローラへ通信しつつ、加湿器5000の外部に(例えば、空気回路4170内に)配置され得る。
4.6.2.5.1 圧力変換器
【0269】
1つ以上の圧力変換器5212が、RPTデバイス4000内に設けられた圧力センサ4272に加えてまたはRPTデバイス内に設けられた圧力センサ4272の代わりに加湿器5000へ設けられ得る。
4.6.2.5.2 流量変換器
【0270】
RPTデバイス4000内に設けられた流量センサ4274に加えてまたはRPTデバイス内に設けられた流量センサ4274の代わりに、1つ以上の流量変換器5214が加湿器5000へ設けられ得る。
4.6.2.5.3 温度変換器
【0271】
加湿器5000は、1つ以上の温度変換器5216を含み得る。1つ以上の温度変換器5216は、1つ以上の温度(例えば、加熱要素5240の温度および/または加湿器出口5004の空気流れ下流の温度)を測定するように構成され得る。いくつかの形態において、加湿器5000は、周囲空気の温度を検出する温度センサ5216をさらに含み得る。
4.6.2.5.4 湿度変換器
【0272】
一形態において、加湿器5000は、周囲空気などのガスの湿度を検出する1つ以上の湿度センサ5218を含み得る。いくつかの形態において、湿度センサ5218は、加湿器5000から送達されるガスの湿度を測定するように、加湿器出口5004に向かって配置され得る。湿度センサは、絶対湿度センサであってもよいし、あるいは相対湿度センサであってもよい。
4.6.2.6 加熱要素
【0273】
いくつかの場合において、加熱要素5240は、加湿器リザーバ5110中の水量および/または空気流れへの水量のうち1つ以上へ熱入力を提供する加湿器5000へ設けられ得る。加熱要素5240は、電気抵抗加熱トラックなどの熱生成構成要素を含み得る。加熱要素5240の1つの適切な例として、例えばPCT特許出願公開第WO2012/171072号に記載の層状加熱要素がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0274】
いくつかの形態において、加熱要素5240は、加湿器ベース5006中へ設けられ得る。加湿器ベース5006において、
図55に示すように主に伝導により熱が加湿器リザーバ5110へ送られ得る。
4.6.2.7 加湿器コントローラ
【0275】
本技術の1つの配置によれば、加湿器5000は、
図56に示すような加湿器コントローラ5250を含み得る。一形態において、加湿器コントローラ5250は、中央コントローラ4230の一部であり得る。別の形態において、加湿器コントローラ5250は、中央コントローラ4230と通信し得る別個のコントローラであり得る。
【0276】
一形態において、加湿器コントローラ5250は、特性(例えば、温度、湿度、圧力および/または流量)の測定を入力として受信し得る(例えばリザーバ5110中および/または加湿器5000中の空気流れ、水の測定)。加湿器コントローラ5250は、加湿器アルゴリズムの実行または実施ならびに/あるいは1つ以上の出力信号の送達を行うようにも、構成され得る。
【0277】
図56に示すように、加湿器コントローラ5250は、1つ以上のコントローラを含み得る(例えば、中央加湿器コントローラ5251、加熱空気回路4171の温度を制御するように構成された加熱空気回路コントローラ5254および/または加熱要素5240の温度を制御するように構成された加熱要素コントローラ5252)。
4.7 用語集
【0278】
本技術の開示目的のため、本技術の特定の形態において、以下の定義のうち1つ以上が適用され得る。本技術の他の形態において、別の定義も適用され得る。
4.7.1 一般
【0279】
空気:本技術の特定の形態において、空気は大気を意味し得、本技術の他の形態において、空気は、他の呼吸可能なガスの組み合わせ(例えば、酸素を豊富に含む大気)を意味し得る。
【0280】
周囲:本技術の特定の形態において、「周囲」という用語は、(i)治療システムまたは患者の外部、および(ii)治療システムまたは患者を直接包囲するものを意味するものとしてとられるべきである。
【0281】
例えば、加湿器に対する周囲湿度とは、加湿器を直接包囲する空気の湿度であり得る(例えば、患者が睡眠をとっている部屋の内部の湿度)。このような周囲湿度は、患者が睡眠をとっている部屋の外側の湿度と異なる場合がある。
【0282】
別の例において、周囲圧力は、身体の直接周囲または外部の圧力であり得る。
【0283】
特定の形態において、周囲(例えば、音響)ノイズは、例えばRPTデバイスから発生するかまたはマスクまたは患者インターフェースから発生するノイズ以外の、患者の居る部屋の中の背景ノイズレベルとみなすことができる。周囲ノイズは、部屋の外の発生源から発生し得る。
【0284】
自動的な気道陽圧(APAP)治療:SDB発症の兆候の存在または不在に応じて、例えば、呼吸間に最小限界と最大限界との間で治療圧力を自動的に調節することが可能なCPAP治療。
【0285】
持続的気道陽圧(CPAP)治療:治療圧力が患者の呼吸サイクルを通じてほぼ一定である呼吸圧力治療。いくつかの形態において、気道への入口における圧力は、呼息時において若干上昇し、吸息時において若干低下する。いくつかの形態において、圧力は、患者の異なる呼吸サイクル間において変動する(例えば、部分的な上気道閉塞の兆候の検出に応答して増加され、部分的な上気道閉塞の通知の不在時において低減される)。
【0286】
流量:単位時間あたりに送出される空気の瞬時の量(または質量)。流量とは、瞬間の量を指し得る。場合によっては、流量について言及した場合、スカラー量(すなわち、大きさのみを有する量)を指す。他の場合において、流量について言及した場合、ベクトル量(すなわち、大きさおよび方向両方を持つ量)を指す。流量には、符号Qが付与され得る。「流量」を簡略的に「流れ」もしくは「気流」と呼ぶ場合もある。
【0287】
患者の呼吸の例において、流量は、患者の呼吸サイクルの吸気部分に対してノミナルに陽圧であり得るため、患者の呼吸サイクルの呼気部分に対して負であり得る。デバイス流量Qdは、RPTデバイスから退出する空気の流量である。合計流量Qtは、空気回路を介して患者インターフェースへと到達する空気および任意の補充用ガスの流量である。通気流量Qvは、呼息されたガスの流出を可能にするために通気部から退出する空気の流量である。漏洩流量Qlは、患者インターフェースシステムまたは他の場所からの漏洩の流量である。呼吸流量Qrは、患者の呼吸器系中に受容される空気の流量である。
【0288】
流れ治療:患者の呼吸サイクル全体にかけて通常陽圧である治療流量と称される制御された流量において気道への入口に空気流れを送達することを含む、呼吸治療。
【0289】
加湿器:「加湿器」という単語は、患者の医療呼吸器疾病を改善するために治療上有益な量の水(H2O)蒸気を空気流れへ提供することが可能な物理的構造を備えて構築、配置または構成された加湿装置を意味するものとして解釈される。
【0290】
漏洩:「漏洩」という用語は、意図しない空気流れとしてとられる。一例において、漏洩は、マスクと患者の顔との間のシールが不完全であることに起因して発生し得る。別の例において、漏洩は、周囲に対するスイベルエルボーにおいて発生し得る。
【0291】
ノイズ伝導(音響):本文書において、伝導ノイズとは、空気圧経路(例えば、空気回路および患者インターフェースおよびその内部の空気)によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、伝導ノイズは、空気回路の端部における音圧レベルを測定することにより、定量化され得る。
【0292】
ノイズ放射(音響):本文書において、放射ノイズとは、周囲空気によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、放射ノイズは、当該対象の音響パワー/圧力レベルをISO3744に従って測定することにより、定量化され得る。
【0293】
ノイズ、通気(音響):本文書において、通気ノイズとは、任意の通気(例えば、患者インターフェース中の通気穴)を通じた空気流れにより生成されるノイズを指す。
【0294】
患者:呼吸器疾病に罹患しているかまたはしていない人。
【0295】
圧力:単位面積あたりの力。圧力は、多様な単位で表現され得る(例えば、cmH2O、g-f/cm2、及びヘクトパスカル)。1cmH2Oは、1g-f/cm2に等しく、およそ0.98ヘクトパスカル(1ヘクトパスカル=100Pa=100N/m2=1ミリバール~0.001atm)である。本明細書において、他に明記無き限り、圧力はcmH2Oの単位で付与される。
【0296】
患者インターフェース中の圧力には記号Pmが付与され、現時点においてインターフェース圧力Pmが達成すべき目標値を表す治療圧力には記号Ptが付与される。
【0297】
呼吸圧力治療(RPT):雰囲気に対して典型的には陽圧である治療圧力における空気供給の気道入口への付加。
【0298】
人工呼吸器:患者が呼吸動作の一部または全てを行い際に圧力補助を提供する機械的デバイス。
4.7.1.1 材料
【0299】
シリコーンまたはシリコーンエラストマー:合成ゴム。本明細書において、シリコーンについて言及される場合、液体シリコーンゴム(LSR)または圧縮成形シリコーンゴム(CMSR)を指す。市販のLSRの一形態として、Dow Corningによって製造されるSILASTIC(この商標下において販売される製品群に含まれる)がある。別のLSR製造業者として、Wackerがある。他に逆の明記無き限り、例示的形態のLSRのASTMD2240-15e1によって測定した場合のショアA(またはタイプA)押込み硬さは、約35~約45である。
【0300】
ポリカーボネート:ビスフェノールAカーボネートの熱可塑性ポリマーである。
4.7.1.2 機械的特性
【0301】
弾性:弾性変形時にエネルギーを吸収することおよび除荷時にエネルギーを解放することが可能な材料の能力。
【0302】
弾性のある:除荷時に実質的に全てのエネルギーを解放する。例えば特定のシリコーンおよび熱可塑性エラストマーを含む。
【0303】
硬度:材料自体の変形に抵抗する能力(例えば、ヤング係数または規格化されたサンプルサイズ上において測定された押込硬さスケールによって記述されたもの)。
● 「軟性」材料は、シリコーンまたは熱可塑性エラストマー(TPE)を含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得る。
● 「硬質」材料は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、鋼またはアルミニウムを含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得ない。
【0304】
構造または構成要素の剛度(または剛性):構造または構成要素が負荷を受けたときに変形に抵抗する能力。負荷は、力またはモーメントであり得る(例えば、圧縮、伸張、屈曲またはねじれ)。構造または構成要素は、異なる方向において異なる抵抗を提供し得る。剛性の反義語は、可撓性である。
【0305】
フロッピー構造または構成要素:自重を支持させられた際に比較的短期間(例えば、1秒)以内に形状を変化させる(例えば、屈曲する)構造または構成要素。
【0306】
剛性の構造または構成要素:使用時において典型的に遭遇する負荷を受けた際に実質的に形状変化の無い構造または構成要素。このような用途の例として、患者インターフェースを例えばおよそ20~30cmH2Oの圧力の負荷において患者の気道入口に対して密閉した様態でセットアップおよび維持することがあり得る。
【0307】
一例として、I形ばりは、第2の直交方向と比較した第1の方向において、異なる曲げ剛性(曲げ負荷に対する抵抗)を含み得る。別の例において、構造または構成要素は、第1の方向においてはフロッピーであり得、第2の方向においては剛性であり得る。
4.7.2 呼吸サイクル
【0308】
無呼吸:いくつかの定義によれば、無呼吸とは、所定の閾値を下回った流れが例えば10秒間の継続期間にわたって継続した場合に発生したと言われる。閉塞性無呼吸とは、患者の労作にもかかわらず、何らかの気道閉塞により空気流れが許されないときに発生すると言われる。中枢性無呼吸とは、気道が開通しているにも関わらず呼吸努力の低下または呼吸努力の不在に起因して無呼吸が検出された状態を指すと言われる。混合型無呼吸とは、呼吸努力の低下または不在が気道閉塞と同時発生した状態を指すと言われる。
【0309】
呼吸速度:患者の自発呼吸速度であり、通常は毎分あたりの呼吸回数で測定される。
【0310】
デューティサイクル:吸息時間Tiの合計呼吸時間Ttotに対する比。
【0311】
労作(呼吸):呼吸努力は、呼吸しようとしている人の自発呼吸によって行われる動きを指すと言われる。
【0312】
呼吸サイクルの呼気部分:呼気流れの開始から吸気流れの開始までの期間。
【0313】
流れ制限:流れ制限は、患者による労作の増大が流量の対応する増大を引き起こさない患者の呼吸における状況であると解釈される。呼吸サイクルの吸気部分において流れ制限が発生した場合、当該流れ制限は吸気流れ制限と称することができる。呼吸サイクルの呼気部分において流れ制限が発生した場合、当該流れ制限は呼気流れ制限と称することができる。
【0314】
流れ制限吸気の波形の種類:(i)平坦化:上昇の後に比較的平坦な部分が続いた後、下降が発生すること。(ii)M字型:立ち上がり部分において1つおよび立ち下がり部分において1つの2つの局所的ピークを持ち、これら2つのピークの間に比較的平坦な部分がある。(iii)椅子状:単一の局所的ピークを持ち、このピークが立ち上がり部分に発生した後、比較的平坦な部分が続く。(iv)逆椅子状:比較的平坦な部分の後に単一の局所的ピークが続き、このピークが立ち下がり部分に発生する。
【0315】
呼吸低下:一部の定義によれば、呼吸低下は、流れの中断ではなく、流れの低下を意味する。一形態において、閾値速度を下回った流れ低下が継続期間にわたって続いた場合、呼吸低下が発生したと言われる。呼吸努力の低下に起因して呼吸低下が検出された場合、中枢性呼吸低下が発生したと言われる。成人の一形態において以下のうちいずれかが発生した場合、呼吸低下と見なされ得る。(i)患者呼吸の30%の低下が少なくとも10秒+関連する4%の脱飽和、または、(ii)患者呼吸の(50%未満の)低下が少なくとも10秒間継続し、関連して脱飽和が少なくとも3%であるかまたは覚醒が発生する。
【0316】
過呼吸:流れが通常の流量よりも高いレベルまで増加すること。
【0317】
呼吸サイクルの吸気部分:吸気流れの開始から呼気流れの開始までの期間が、呼吸サイクルの吸気部分としてとられる。
【0318】
開通性(気道):気道が開いている度合いまたは気道が開いている範囲。気道開通性とは、開口である。気道開通性の定量化は、例えば、開通性を示す値(1)と、閉鎖(閉塞)を示す値(0)で行われ得る。
【0319】
呼吸終末陽圧(PEEP):肺中の雰囲気を越える圧力であり、呼気終了時に存在する。
【0320】
ピーク流量(Qpeak):呼吸流れ波形の吸気部分における流量最大値。
【0321】
呼吸流量、空気流量、患者の空気流量、呼吸気空気流量(Qr):これらの用語は、RPTデバイスの呼吸空気流量の推定を指すものとして理解され得、通常リットル/分で表される患者の実際の呼吸流量である「真の呼吸流量」または「真の呼吸流量」と対照的に用いられる。
【0322】
一回換気量(Vt):余分な努力をせずに通常の呼吸時に吸息されたかまたは呼息された空気の量である。原則的に、吸気量Vi(吸息された空気の量)は、呼気量Ve(呼息された空気の量)に等しいため、単一の一回換気量Vtは、いずれかの量に等しいものとして規定され得る。実際には、一回換気量Vtは、何らかの組み合わせ(例えば、吸気量Viと呼気量Veの平均)として推定される。
【0323】
(吸息)時間(Ti):呼吸流量波形の吸気部分の継続期間。
【0324】
(呼息)時間(Te):呼吸流量波形の呼気部分の継続期間。
【0325】
(合計)時間(Ttot):呼吸流量波形の一つの吸気部分の開始と呼吸流量波形の次の吸気部分の開始との間の合計継続期間。
【0326】
典型的な最近の換気:所定の時間スケールにわたる換気Ventの直近値が密集する傾向となる換気値(すなわち、換気の直近値の中央の傾向の度合い)。
【0327】
上気道閉塞(UAO):部分的な上気道閉塞および合計上気道閉塞両方を含む。上気道上の圧力差の増加(スターリングレジスタ挙動)と共に流量がわずかに増加するかまたは低下し得る流れ制限の状態と関連し得る。
【0328】
換気(Vent):患者の呼吸器系によって行われるガス交換率の測定。換気の測定は、単位時間あたりの吸気および呼気流れのうち片方または双方を含み得る。1分あたりの体積として表される場合、この量は、「分換気」と呼ばれることが多い。分換気は、単に体積として付与されることもあり、1分あたりの体積として理解される。
4.7.3 換気
【0329】
適応サーボ人工呼吸器(ASV):一定の目標換気を持つのではなく変更が可能なサーボ人工呼吸器。変更可能な目標換気は、患者の何らかの特性(例えば、患者の呼吸特性)から学習され得る。
【0330】
バックアップレート:人工呼吸器のパラメータであり、(自発呼吸努力によってトリガされない場合に)人工呼吸器から患者へ送達される最小呼吸速度(典型的には、1分あたりの呼吸数)を確立させる。
【0331】
サイクル:人工呼吸器の吸気フェーズの終了。自発呼吸をしている患者へ人工呼吸器から呼吸を送達する場合、呼吸サイクルの吸気部分の終了時において、当該人工呼吸器は、呼吸送達を停止するようサイクルされると言われる。
【0332】
呼気の気道陽圧(EPAP):人工呼吸器が所与の時期に達成しようとする所望のインターフェース圧力の生成のために、呼吸内において変化する圧力が付加されるベース圧力。
【0333】
終了時呼気圧力(EEP):呼吸の呼気部分の終了時において人工呼吸器が達成しようとする所望のインターフェース圧力。圧力波形テンプレートΠ(Φ)が呼気終了時にゼロの値である(すなわち、Φ=1のときにΠ(Φ)=0である場合)、EEPはEPAPに等しい。
【0334】
吸気の気道陽圧(IPAP):呼吸の吸気部分時に人工呼吸器が達成しようとする最大の所望のインターフェース圧力。
【0335】
圧力補助:人工呼吸器吸気時における当該人工呼吸器呼気時における圧力増加を示す数であり、吸気時の最大値と、ベース圧力との間の圧力差を主に意味する(例えば、PS=IPAP-EPAP)。いくつかの文脈において、圧力補助とは、(人工呼吸器が実際に達成する差ではなく)人工呼吸器が達成しようとする差を意味する。
【0336】
サーボ人工呼吸器:患者換気を有しかつ目標換気を有する人工呼吸器であり、患者換気を目標換気に近づけるために圧力補助レベルを調節する。
【0337】
自発/タイミング(S/T):自発呼吸している患者の呼吸の開始を検出しようとする、人工呼吸器または他のデバイスのモード。しかし、デバイスが所定期間の間に呼吸を検出できない場合、デバイスは、呼吸送達を自動的に開始する。
【0338】
スイング:圧力補助に相当する用語。
【0339】
トリガ:人工呼吸器が自発呼吸する患者へ空気の呼吸を送達する場合、患者自身が呼吸サイクルの呼吸部分を開始したとき、当該人工呼吸器が呼吸送達を行うようトリガされたと言う。
4.7.4 解剖学的構造
4.7.4.1 顔の解剖学的構造
【0340】
翼(Ala):外部の外壁または各鼻穴の「翼」(複数形:alar)
【0341】
鼻翼角度:
【0342】
Alare:鼻翼上の最外側の点。
【0343】
翼曲率(または鼻翼頂上)点:各翼の曲線状基準線における最後方点であり、翼および頬の結合によって形成される折り目において見受けられる。
【0344】
耳介:耳の視認できる部分全体。
【0345】
(鼻)骨格:鼻の骨格は、鼻骨、上顎骨の前頭突起および前頭骨の鼻部分を含む。
【0346】
(鼻)軟骨格:鼻の軟骨格は、中隔軟骨、外側軟骨、大軟骨および小軟骨を含む。
【0347】
鼻柱:鼻孔を分離する皮膚片であり、鼻尖点から上唇へ延びる。
【0348】
鼻柱角度:鼻穴の中点を通じて引かれる線と、鼻下点と交差しつつフランクフォート水平に対して垂直に引かれる線との間の角度。
【0349】
フランクフォート水平面:眼窩縁の最下側点から左耳点へ延びる線。耳点は、ノッチ上側から耳介の耳珠への最も深い点である。
【0350】
眉間:軟組織中に配置され、前額部の正中矢状面において最も顕著な点。
【0351】
外側鼻軟骨:軟骨の概して三角形の板。その上側周縁は鼻骨および上顎骨の前頭突起へ取り付けられ、その下側周縁は大鼻翼軟骨へ接続される。
【0352】
唇、下側(下唇:labrale inferius):
【0353】
唇、上側(上唇:labrale superius):
【0354】
大鼻翼軟骨:軟骨の板であり、外側鼻軟骨の下側に配置される。これは、鼻孔の前方部分の周囲において曲線状になる。その後方端は、3つまたは4つの翼の小軟骨を含む強靱な線維膜により、上顎骨の前頭突起へ接続される。
【0355】
鼻孔(鼻穴):概して楕円体の翼穴であり、鼻腔への入口を形成する。鼻孔(nares)の単数形は鼻孔(naris)(鼻穴)である。これらの鼻孔は、鼻中隔によって分離される。
【0356】
鼻唇溝または鼻唇折り目:皮膚の折り目または溝であり、鼻の各側から口の角部へ延びて、頬を上唇から分離させる。
【0357】
鼻唇角:鼻柱と上唇との間の角度であり、鼻下点と交差する。
【0358】
下耳底点:耳介の顔の皮膚への取り付けの最低点。
【0359】
上耳底点:耳介の顔の皮膚への取り付けの最高点。
【0360】
鼻尖点:鼻の最も突出した点または先端であり、頭部の部分の残り部分の側面図中に確認され得る。
【0361】
人中:鼻中隔の下側境界から上唇領域中の唇の上部へ延びる正中線溝。
【0362】
ポゴニオン:軟組織上に配置された、顎の最前方中点。
【0363】
(鼻)堤:鼻堤は、鼻の正中線隆起であり、セリオンから鼻尖点へ延びる。
【0364】
矢状面:前方(前)から後方(後)へ続く垂直面である。正中矢状面は、右半分および左半分に分割する矢状面である。
【0365】
セリオン:軟組織上に配置された、前頭鼻骨縫合の領域上の最も凹状の点である。
【0366】
中隔軟骨(鼻):鼻中隔軟骨は、隔膜の一部であり、鼻腔の前部分を分割する。
【0367】
鼻翼最下点:翼ベースの下側周縁における点であり、翼ベースは上(上)唇の皮膚と接合する。
【0368】
鼻下点:軟組織上に配置され、鼻柱が正中矢状面における上唇と合体する点。
【0369】
スプラメントン:下唇中点と軟組織ポゴニオンとの間の下唇の正中線中の最も凹状の点。
4.7.4.2 頭蓋骨の解剖学的構造
【0370】
前頭骨:前頭骨は、前額部として知られる領域に対応する大型垂直部分である前頭鱗を含む。
【0371】
下顎骨:下顎骨は、下側顎部を形成する。オトガイ隆起は、顎部の骨隆起であり、顎を形成する。
【0372】
上顎骨:上顎骨は、上側顎部を形成し、下顎骨の下側および眼窩の下側に配置される。上顎骨の前頭突起は、鼻の側部によって上方に突出し、その外側境界の部分を形成する。
【0373】
鼻骨:鼻骨は、2つの小さな長方形骨であり、個人によってサイズおよび形態が異なる。鼻骨は、顔の中間部分および上部分に並んで配置され、その接合により鼻の「鼻梁」を形成する。
【0374】
鼻根点:前頭骨および2本の鼻骨の交差であり、眼と鼻の梁の上側との間に直接設けられた凹領域である。
【0375】
後頭骨:後頭骨は、頭蓋の裏および下側部分に配置される。これは、楕円穴である大後頭孔を含み、この穴を通じて、頭蓋内腔が椎管と連通する。大後頭孔の後側の曲面板は、後頭鱗である。
【0376】
眼窩:頭蓋骨中の骨空洞であり、眼球を含む。
【0377】
頭頂骨:頭頂骨は、相互に接合されると頭蓋の頂部および側部を形成する骨である。
【0378】
側頭骨:側頭骨は、頭蓋骨のベースおよび側部上に配置され、こめかみとして知られる顔の部分を支持する。
【0379】
頬骨:顔に含まれる2つの頬骨は、顔の上側部分および外側部分中に配置され、頬の隆起を形成する。
4.7.4.3 呼吸器系の解剖学的構造
【0380】
横隔膜:シート状の筋肉であり、胸郭底部上に延びる。横隔膜は、心臓、肺および肋骨を含む胸腔を腹腔から分離させる。横隔膜が収縮すると、胸腔の容量が増加し、肺中に空気が引き込まれる。
【0381】
喉頭:声帯ひだを収容する喉頭または発声器であり、咽頭の下部(下咽頭)を気管へ接続させる。
【0382】
肺:ヒトにおける呼吸臓器。肺の伝導性ゾーンは、気管、気管支、気管支、および終末細気管支を含む。呼吸ゾーンは、呼吸細気管支、肺胞管および肺胞を含む。
【0383】
鼻腔:鼻腔(または鼻窩)は、顔の中央の鼻の上方および後方の空気が充填された大きな空間である。鼻腔は、鼻中隔と呼ばれる垂直フィンによって2つに分割される。鼻腔の側部には、鼻甲介(nasal conchae)(単数形「concha」)または鼻介骨と呼ばれる3つの水平伸長物がある。鼻腔の前方には鼻があり、後方は後鼻孔を介して鼻咽頭内に繋がる。
【0384】
咽頭:鼻腔の直接下側(下方)に配置されかつ食道および喉頭の上方に配置された咽喉の部分。咽頭は、従来から以下の3つのセクションへ区分される:鼻咽頭(上咽頭)(咽頭の鼻部分)、中咽頭(中咽頭部)(咽頭の口部分)、および咽喉(下咽頭)。
4.7.5 患者インターフェース
【0385】
窒息防止弁(AAV):マスクシステムの構成要素またはサブアセンブリであり、フェールセーフ様態での雰囲気中への開口により、患者による過度のCO2の再呼吸の危険性を低減させる。
【0386】
エルボー:エルボーは、内部を移動する空気流れの軸を方向付けて、角度を通じて方向を変化させる構造の例である。一形態において、角度はおよそ90度であり得る。別の形態において、角度は、90度超過または未満であり得る。エルボーは、ほぼ円形の断面を持ち得る。別の形態において、エルボーは、楕円または矩形の断面を持ち得る。特定の形態において、エルボーは、噛み合い構成要素に対して例えば約360度で回転可能であり得る。特定の形態において、エルボーは、噛み合い構成要素から例えばスナップ接続を介して取り外すことが可能であり得る。特定の形態において、エルボーは、製造時にワンタイムスナップを介して噛み合い構成要素へ組み付けることが可能である一方、患者が取り外すことはできない。
【0387】
フレーム:フレームは、ヘッドギアを接続する2つ以上の点間の引張荷重を支持するマスク構造を意味するものとしてとられる。マスクフレームは、マスク中の非気密負荷支持構造であり得る。しかし、いくつかの形態のマスクフレームは、気密であってもよい。
【0388】
機能的死空間:プレナムチャンバのうち、CO2が(洗い流されること無く)収集可能な部分。
【0389】
ヘッドギア:ヘッドギアは、頭部上において使用されるように設計された、一形態の位置決めおよび安定化構造を意味するものとしてとられる。例えば、ヘッドギアは、患者インターフェースを呼吸治療の送達のために患者の顔上の所定位置に配置および保持するように構成された1つ以上の支柱、タイおよび補剛材の集合を含み得る。いくつかのタイは、柔らかい可撓性の弾性材料(例えば、発泡体および布地の層状複合材)によって形成される。
【0390】
膜:膜は、典型的には肉薄の要素を意味するものとしてとられ、好適には屈曲に対して実質的に抵抗せずかつ伸縮に対しては抵抗する。
【0391】
プレナムチャンバ:マスクプレナムチャンバは、空間の容積を少なくとも部分的に封入する壁を有する患者インターフェースの一部を意味するものとしてとられ、容積中の空気は、加圧されて使用時において雰囲気圧力を超える。シェルは、マスクプレナムチャンバの壁の一部を形成し得る。
【0392】
シール:名詞(「シール」)として用いられる場合は構造を指し得、動詞(「密閉(する)」)として用いられる場合はその効果を指し得る。2つの要素は、別個の「シール」要素自体を必要とすることなく両者間において「シール」するかまたは「密閉」効果を得るように、構築および/または配置され得る。
【0393】
シェル:シェルは、屈曲、引っ張りおよび圧縮剛性を有する曲線状の比較的肉薄構造を意味するものとしてとられる。例えば、マスクの曲線状構造壁は、シェルであり得る。いくつかの形態において、シェルはファセットされ得る。いくつかの形態において、シェルは気密であり得る。いくつかの形態において、シェルは気密でない場合もある。
【0394】
補剛材:補剛材は、別の構成要素の剛軟度を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造構成要素を意味するものとしてとられる。
【0395】
支柱:支柱は、別の構成要素の圧縮抵抗を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造構成要素を意味するものとしてとられる。
【0396】
スイベル(名詞):構成要素のサブアセンブリであり、共通軸の周囲において好適には独立して好適には低トルク下において回転するように構成される。一形態において、スイベルは、少なくとも360度の角度で回転するように構成され得る。別の形態において、スイベルは、360度未満の角度で回転するように構成され得る。空気送達導管の文脈において用いられる場合、構成要素のサブアセンブリは好適には、一対組み合わせの円筒導管を含む。使用時において、スイベルからの空気流れの漏れはほとんど無い。
【0397】
タイ(名詞):張力に抵抗するように設計された構造。
【0398】
通気部:(名詞):マスクまたは導管の内部の周囲空気への空気流れを可能にする構造であり、呼息されたガスの臨床的に有効な洗い流しを可能にする。例えば、臨床的に有効な洗い流しにおいては、約10リットル/分~約100リットル/分の流量がマスク設計および治療圧力に応じて用いられ得る。
4.7.6 構造の形状
【0399】
本技術による製品は、1つ以上の三次元機械構造(例えば、マスククッションまたはインペラ)を含み得る。三次元構造は、二次元表面によって境界付けられ得る。これらの表面は、関連付けられた表面の方向、場所、機能または他の何らかの特性を記述するためのラベルを用いて区別され得る。例えば、構造は、前表面、後表面、内面および外面のうち1つ以上を含み得る。別の例において、シール形成構造は、顔接触(例えば、外側の)表面と、別個の非顔接触(例えば、下側または内側の)表面を含み得る。別の例において、構造は、第1の表面および第2の表面を含み得る。
【0400】
三次元構造の形状および表面の説明を容易にするために、構造の表面を通じた点pにおける断面について先ず検討する。
図27~
図31を参照されたい。
図27~
図31は、表面上における点pにおける断面例と、その結果得られる平面曲線の例とを示す。
図27~
図31は、pにおける外向き法線ベクトルも示す。pにおける外向き法線ベクトルは、表面から離隔方向に延びる。いくつかの例において、架空の小さな人が表面上に直立している観点から、この表面について説明する。
4.7.6.1 一次元における曲率
【0401】
pにおける平面曲線の曲率は、符号(例えば、正、負)および大きさ(例えば、pにおいて曲線に接する円形の1/半径)を持つものとして記述され得る。
【0402】
正の曲率:pにおける曲線が外向き法線に向かって曲がる場合、その点における曲率は、正の値を持つものとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、上り坂を歩行する必要がある)。
図27(
図28と比較して比較的大きな正の曲率)および
図28(
図3Bと比較して比較的小さな正の曲率)を参照されたい。このような曲線を、凹状と呼ぶことが多い。
【0403】
ゼロ曲率:pにおける曲線が直線である場合、曲率はゼロとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、上向きでも下向きでもない水平面を歩行することができる)。
図29を参照されたい。
【0404】
負の曲率:pにおける曲線が外向き法線から離隔方向に曲がる場合、その点およびその方向における曲率は、負の値を持つものとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、下り坂を歩行する必要がある)。
図30(
図31と比較して比較的小さな負の曲率)および
図31(
図30と比較して比較的大きな負の曲率)を参照されたい。このような曲線は、凸状と呼ばれることが多い。
4.7.6.2 二次元表面の曲率
【0405】
本技術による二次元表面上の所与の点における形状の記述は、複数の垂直断面を含み得る。複数の断面は、外向き法線(「法平面」)を含む面において表面を切断し得、各断面は、異なる方向においてとられ得る。各断面の結果、対応する曲率を有する平面曲線が得られる。その点における異なる曲率は、同一符号または異なる符号を持ち得る。その点における曲率はそれぞれ、(例えば、比較的小さな)大きさを有する。
図27~
図31中の平面曲線は、特定の点におけるこのような複数の断面の例であり得る。
【0406】
主要な曲率および方向:曲線の曲率が最大値および最小値をとる法平面の方向を主要な方向と呼ぶ。
図27~
図31の例において、最大曲率は
図27において発生し、最小は
図31において発生するため、
図27および
図31は、主要な方向における断面である。pにおける主要な曲率は、主要な方向における曲率である。
【0407】
表面の領域:表面上の接続された点の集合。領域内のこの1組の点は、類似の特性(例えば、曲率または符号)を持ち得る。
【0408】
サドル領域:(上り坂または下り坂を歩行し得る架空の人が向く方向に応じて)各点において主要な曲率が反対の符号(すなわち、片方が正の符号および他方が負の符号)を有する領域。
【0409】
ドーム領域:各点において主要な曲率が同一符号(双方とも正(「凹状ドーム」)または双方とも負(「凸状ドーム」))を持つ領域。
【0410】
円筒型の領域:1つの主要な曲率がゼロ(または例えば製造交差内のゼロ)をとり、他方の主要な曲率が非ゼロである領域。
【0411】
平面領域:主要な曲率双方がゼロであるか(または例えば製造交差内のゼロである)表面の領域。
【0412】
表面の縁部:表面または領域の境界または限界。
【0413】
経路:本技術の特定の形態において、「経路」は、数学的-トポロジー的意味合いにおける経路(例えば、表面上におけるf(0)からf(1)への連続空間曲線)を意味するものとしてとられる。本技術の特定の形態において、「経路」は、例えば表面上の1組の点を含むルートまたはコースとして記述され得る。(架空の人の経路は、表面上において歩行する場所であり、庭の経路に類似する)。
【0414】
経路長さ:本技術の特定の形態において、「経路長さ」とは、表面に沿ったf(0)からf(1)への距離(すなわち、表面上の経路に沿った距離)を指すものとしてとられる。表面上の2つの点間において1つよりも多くの経路があり得、このような経路は、異なる経路長さを持ち得る。(架空の人の経路長さは、表面上を経路に沿って歩行する距離である)。
【0415】
直線距離:直線距離は、表面上の2つの点間の距離であるが、表面は考慮しない。平面領域上において、表面上の2つの点間の直線距離と同一の経路長さを有する表縁上の距離がある。非平面表面上において、2つの点間の直線距離と同一の経路長さを有する経路は存在し得ない。(架空の人にとって、直線距離は、「カラスが飛ぶ」距離に対応する)。
4.7.6.3 空間曲線
【0416】
空間曲線:平面曲線と異なり、空間曲線は、任意の特定の平面内に必ずしも存在しない。空間曲線は閉鎖され得る。すなわち、終点を有さない。空間曲線は、三次元空間の一次元ピースとみなされ得る。DNA螺旋の鎖上を歩行している架空の人物は、空間曲線に沿って歩行する。典型的なヒトの左耳は、左手螺旋を含む(
図42を参照)。典型的なヒトの右耳は、右手螺旋を含む(
図43を参照)。
図44は、右手螺旋を示す。構造の縁部(例えば、膜またはインペラの縁部)は、空間曲線をたどり得る。一般的に、空間曲線は、空間曲線上の各点における曲率およびねじれによって記述され得る。ねじれとは、平面から発生する曲線の様態の尺度である。ねじれは、符号および大きさを有する。空間曲線上の点におけるねじれは、当該点における接線ベクトル、法線ベクトルおよび従法線ベクトルに対して特徴付けられ得る。
【0417】
接線単位ベクトル(または単位接線ベクトル):曲線上の各点について、当該点におけるベクトルは、当該点からの方向および大きさを指定する。接線単位ベクトルとは、当該点における曲線と同じ方向を向く単位ベクトルである。架空の人物が曲線に沿って飛行しており、特定の点において自身の車両から落ちた場合、接線ベクトルの方向は、その人物が移動しているはずの方向である。
【0418】
単位法線ベクトル:架空の人物が曲線に沿って移動している場合、この接線ベクトルそのものが変化する。接線ベクトルが変化している方向と同じ方向を向く単位ベクトルは、単位主法線ベクトルと呼ばれる。これは、接線ベクトルに対して垂直である。
【0419】
従法線単位ベクトル:従法線単位ベクトルは、接線ベクトルおよび主法線ベクトル双方に対して垂直である。その方向は、右手の法則(例えば
図41を参照)または表すあるいは左手の法則(
図40)によって決定され得る。
【0420】
接触平面:単位接線ベクトルおよび単位主法線ベクトルを含む平面。
図40および
図41を参照されたい。
【0421】
空間曲線のねじれ:空間曲線の点におけるねじれとは、当該点における従法線単位ベクトルの変化速度の大きさである。これは、曲線の接触平面からの逸脱の程度を測定する。平面内にある空間曲線のねじれはゼロである。空間曲線の接触平面からの逸脱が比較的少量である場合、その空間曲線のねじれの大きさは比較的小さい(例えば、緩やかに傾斜する螺旋状経路)。空間曲線の接触平面からの逸脱が比較的大量である場合、その空間曲線のねじれの大きさは比較的大きい(例えば、急勾配に傾斜する螺旋状経路)。
図44を参照して、T2>T1であるため、
図44の螺旋の最上部コイルの近隣のねじれの大きさは、
図44の螺旋の最下部コイルのねじれの大きさよりも大きい。
【0422】
図41の右手の法則を参照して、右手従法線の方向に向かって曲がる空間曲線は、右手方向に正のねじれとしてみなされ得る(例えば、
図44に示すような右手螺旋)。右手従法線方向から離隔方向を向く空間曲線は、右手の負のねじれを持つものとしてみなされ得る(例えば、左手螺旋)。
【0423】
同様に、左手の法則(
図41を参照)を参照して、左手従法線方向を向く空間曲線は、左手の正のねじれ(例えば、左手螺旋)を持つものとしてみなされ得る。よって、左手の正の方向は、右手の負の方向に相当する。
図45を参照されたい。
4.7.6.4 穴
【0424】
表面は、一次元穴を持ち得る(例えば、平面曲線または空間曲線によって境界付けられた穴)。穴を含む肉薄構造(例えば、膜)の場合、この構造は、一次元穴を有するものとして記述され得る。例えば、
図34に示す構造の表面中の一次元穴が平面曲線によって境界付けられる様子を参照されたい。
【0425】
構造は、二次元穴(例えば、表面によって境界付けられた穴)を持ち得る。例えば、可膨張性タイヤは、タイヤ内面によって境界付けられた二次元穴を有する。別の例において、空気またはゲルのための空洞を備えたブラダーは、二次元穴を持ち得る。例えば、
図37のクッションと、その内部を通じた
図38および
図39中の例示的断面図とを参照されたい。内面により二次元穴が境界付けられている様子が図示されている。さらに別の例において、導管は、(例えばその入口またはその出口において)一次元穴を含み得、導管の内面によって境界付けられた二次元穴を含み得る。
図36に示す構造を通じておりかつ図示のように表面によって境界付けられた二次元穴も参照されたい。
4.8 他の注意事項
【0426】
本特許文書の開示の一部は、著作権保護が与えられる内容を含む。著作権所有者は、何者かが本特許文書または本特許開示をファックスにより再生しても、特許庁の特許ファイルまたは記録に記載されるものであれば目的のものであれば異論は無いが、その他の目的については全ての著作権を保持する。
【0427】
他に文脈から明確に分かる場合および一定の範囲の値が提供されていない限り、下限の単位の1/10、当該範囲の上限と下限の間、および記載の範囲の他の任意の記載の値または介入値に対する各介入値は本技術に包含されることが理解される。介入範囲中に独立的に含まれるこれらの介入範囲の上限および下限が記載の範囲における制限を特に超えた場合も、本技術に包含される。記載の範囲がこれらの制限のうち1つまたは双方を含む場合、これらの記載の制限のいずれかまたは双方を超える範囲も、本技術に包含される。
【0428】
さらに、本明細書中に値(単数または複数)が本技術の一部として具現される場合、他に明記無き限り、このような値が近似され得、実際的な技術的実行が許容または要求する範囲まで任意の適切な有効桁までこのような値を用いることが可能であると理解される。
【0429】
他に明記しない限り、本明細書中の全ての技術用語および科学用語は、本技術が属する分野の当業者が一般的に理解するような意味と同じ意味を持つ。本明細書中に記載の方法および材料に類似するかまたは等しい任意の方法および材料を本技術の実践または試験において用いることが可能であるが、限られた数の例示的な方法および材料が本明細書中に記載される。
【0430】
特定の材料が構成要素の構築に好適に用いられるものとして記載されているが、特性が類似する明白な代替的材料が代替物として用いられる。さらに、それとは反対に記載無き限り、本明細書中に記載される任意および全ての構成要素は、製造可能なものとして理解されるため、集合的にまたは別個に製造され得る。
【0431】
本明細書中及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形である「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されない限り、その複数の均等物を含む点に留意されたい。
【0432】
本明細書中に記載される公開文献は全て、これらの公開文献の対象である方法および/または材料の開示および記載、参考のために援用される。本明細書中に記載の公開文献は、本出願の出願日前のその開示内容のみのために提供するものである。本明細書中のいずれの内容も、本技術が先行特許のためにこのような公開文献に先行していないと認めるものと解釈されるべきではない。さらに、記載の公開文献の日付は、実際の公開文献の日付と異なる場合があり、個別に確認が必要であり得る。
【0433】
「含む(comprises)」および「含む(comprising)」という用語は、要素、構成要素またはステップを非排他的な意味合いで指すものとして解釈されるべきであり、記載の要素、構成要素またはステップが明記されていない他の要素、構成要素またはステップと共に存在、利用または結合され得ることを示す。
【0434】
詳細な説明において用いられる見出しは、読者の便宜のためのものであり、本開示または特許請求の範囲全体において見受けられる内容を制限するために用いられるべきではない。これらの見出しは、特許請求の範囲または特許請求の範囲の制限の範囲の解釈において用いられるべきではない。
【0435】
本明細書中の技術について、特定の例を参照して述べてきたが、これらの例は本技術の原理および用途を例示したものに過ぎないことが理解されるべきである。いくつかの場合において、用語および記号は、本技術の実施に不要な特定の詳細を示し得る。例えば、「第1の」および「第2の」という用語が用いられるが、他に明記無き限り、これらの用語は任意の順序を示すことを意図しておらず、別個の要素を区別するために用いられる。さらに、本方法におけるプロセスステップについての記載または例示を順序付けて述べる場合があるが、このような順序は不要である。当業者であれば、このような順序が変更可能でありかつ/またはその態様を同時にまたはさらに同期的に行うことが可能であることを認識する。
【0436】
よって、本技術の意図および範囲から逸脱することなく、例示的な例において多数の変更例が可能であり、また、他の配置構成が考案され得ることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0437】
4.9 参照符号のリスト
1000 患者
1100 同床者
3000 患者インターフェース
3100 シール形成構造
3105 発泡体クッション
3110 アンダークッション
3115 密閉面
3120 取付面
3125 穴
3126 内面
3127 周面
3130 第1のリム
3135 第2のリム
3140 中央上方領域
3142 中央下方領域
3145 幅広領域
3150 幅広領域
3155 二等分面
3156 下角部領域
3157 上側領域
3158 中間領域
3160 支持壁
3161 横方向軸
3162 外面
3165 支持フランジ
3170 上ガセット
3175 肉厚領域
3180 下ガセット
3185 横方向軸
3190 リブ
3195 延長領域
3196 下角部領域
3197 上側領域
3198 中間領域
3199 中間領域
3200 シャーシ
3205 プレナムチャンバ
3210 腱
3211 開口部
3212 軸
3213 フランクフォート水平面
3215 環状フランジ
3220 上点
3225 リップシール
3230 下点
3300 フレームアセンブリ
3305 シュラウド
3310 ヘッドギアコネクタ
3315 開口部
3320 バネアーム
3325 シュラウド接続部分
3330 上側ヘッドギアコネクタアーム
3335 下側ヘッドギアコネクタアーム
3340 中間部分
3345 上側ヘッドギア取付点
3350 磁気コネクタ
3355 可撓性部分
3400 安定化構造
3410 上サイドストラップ
3420 下サイドストラップ
3430 円形の頭頂部ストラップ
3500 通気部
3744 ISO
4000 RPTデバイス
4010 外部ハウジング
4012 上部
4014 部分
4015 パネル
4016 シャーシ
4018 ハンドル
4020 空気圧ブロック
4110 空気フィルタ
4112 入口空気フィルタ
4114 出口空気フィルタ
4120 マフラー
4122 入口マフラー
4124 出口マフラー
4140 圧力生成器
4142 送風機
4144 モータ
4160 アンチスピルバック弁
4170 空気回路
4200 電気部品
4202 PCBA
4210 電源
4220 入力デバイス
4230 中央コントローラ
4232 時計
4240 治療デバイスコントローラ
4250 保護回路
4260 メモリ
4270 変換器
4272 圧力センサ
4274 流量センサ
4276 モータ速度変換器
4280 データ通信インターフェース
4282 遠隔外部通信ネットワーク
4284 ローカル外部通信ネットワーク
4286 遠隔外部デバイス
4288 ローカル外部デバイス
4290 出力デバイス
4292 ディスプレイドライバ
4294 ディスプレイ
4300 アルゴリズム
4330 治療制御モジュール
5000 加湿器
5002 加湿器入口
5004 加湿器出口
5006 加湿器ベース
5110 リザーバ
5120 伝導性部分
5130 加湿器リザーバドック
5135 ロックレバー
5150 水位インジケータ
5210 加湿器変換器
5212 圧力変換器
5214 流量変換器
5216 温度センサ
5218 湿度センサ
5240 加熱要素
5250 加湿器コントローラ
5251 中央加湿器コントローラ
5252 加熱要素コントローラ
5254 空気回路コントローラ
【手続補正書】
【提出日】2023-05-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽圧の呼吸ガスの流れを少なくとも患者の鼻孔の入口を含む前記患者の気道の入口へ送達するように構成された患者インターフェースであって、
前記患者インターフェースは、睡眠時呼吸障害の改善のために、前記患者の睡眠時に使用時において前記患者の呼吸サイクル全体において周囲圧力を超える約4cmH2O~約30cmH2Oの範囲内において治療圧力を維持するように構成され、
前記患者インターフェースは、
前記陽圧の呼吸ガスの流れを受容するように構成された入口開口部を備えたシェル;
前記シェルへ取り付けられたエラストマー支持壁であって、前記シェルおよび前記エラストマー支持壁は、前記陽圧の呼吸ガスの流れを受容するように構成されたプレナムチャンバの少なくとも一部を協働して形成する、エラストマー支持壁;
前記エラストマー支持壁の端部において位置決めされかつ前記エラストマー支持壁からラジアル方向に内方に延びるエラストマー支持フランジ;および
前記エラストマー支持フランジ上に取り付けられた発泡体クッションであって、前記発泡体クッションは、前記患者の顔とシールを形成するように構成される、発泡体クッション、
を含み、
前記入口開口部は中央長手方向軸を有しており、前記中央長手方向軸は患者の鼻を受けるように構成された前方開口部を通って延びており、
前記エラストマー支持壁および前記発泡体クッションは、前記患者インターフェースが前記患者の顔上に取り付けられた際に、前記患者インターフェースの前側から外側に延びる中央長手方向軸の一部が下方向に延びるように構成される、前記患者インターフェース。
【請求項2】
前記エラストマー支持壁は、前記エラストマー支持壁の横方向側を通じて延びる横方向軸の周囲において枢動するように構成される、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項3】
前記エラストマー支持壁の構成は、前記エラストマー支持壁が中立位置から枢動するときに、前記シェルの入口開口部が回転して前記入口開口部の中央長手方向軸のうち前記患者インターフェースの外側の部分が前記下方向に回転するように構成される、請求項2に記載の患者インターフェース。
【請求項4】
前記エラストマー支持壁の下部は、下ガセットを含み、前記下ガセットは、前記下ガセットの圧壊時において前記エラストマー支持壁が前記横方向軸の周囲において撓むように構成される、請求項3に記載の患者インターフェース。
【請求項5】
前記エラストマー支持壁の上部は、上ガセットを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項6】
前記シェルと、前記エラストマー支持壁と、前記発泡体クッションとを前記患者の頭部上において支持するように構成された位置決めおよび安定化構造をさらに含み、前記位置決めおよび安定化構造は、前記シェルへ取り外し可能に取り付け可能である、請求項1~5のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項7】
前記位置決めおよび安定化構造は、シュラウドおよび複数のヘッドギアストラップを含む、請求項6に記載の患者インターフェース。
【請求項8】
前記シュラウドは、前記入口開口部において前記シェルへ取り外し可能に取り付け可能である、請求項7に記載の患者インターフェース。
【請求項9】
前記シュラウドおよび前記シェルへ接続可能な空気送達管をさらに含む、請求項8に記載の患者インターフェース。
【外国語明細書】