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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086769
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】過体重および肥満を治療する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/485 20060101AFI20230615BHJP
   A61K 31/135 20060101ALI20230615BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20230615BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
A61K31/485
A61K31/135
A61P3/04
A61P43/00 121
【審査請求】有
【請求項の数】35
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023061604
(22)【出願日】2023-04-05
(62)【分割の表示】P 2021025247の分割
【原出願日】2013-06-05
(31)【優先権主張番号】61/656,451
(32)【優先日】2012-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505401698
【氏名又は名称】オレキシジェン・セラピューティクス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】プレストン・クラッセン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティン・テイラー
(57)【要約】
【課題】有害な心血管アウトカムのリスクが増大している対象における過体重または肥満の効果的な治療を提供する
【解決手段】本開示は、ナルトレキソン+ブプロピオンを、ウェブをベースおよび/または電話をベースにした包括的体重管理プログラムと好ましくは組み合わせて使用して、好ましくは有害な心血管アウトカムのリスクが増大している対象における過体重および肥満を治療するための組成物、キット、使用、システム、および方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有害な心血管アウトカムのリスクが増大している対象を過体重または肥満について治療する方法であって、
有害な心血管アウトカムのリスクが増大している過体重または肥満の対象を同定する工程、ならびに
前記対象に治療有効量の徐放性ナルトレキソンまたはその薬学上許容される塩および徐放性ブプロピオンまたはその薬学上許容される塩を投与する工程
を含む方法。
【請求項2】
前記過体重または肥満の対象が、
a)前記同定の3カ月前より以前に記録された心筋梗塞の病歴、
冠動脈バイパス移植手術、ステント留置、経皮経管冠動脈形成、またはレーザーアテローム切除を含む冠動脈血管再生の病歴、
頸動脈内膜切除、下肢アテローム硬化性疾患のアテローム切除、腹部大動脈瘤の修復、大腿または膝窩バイパスを含む頸動脈または末梢血管再生の病歴、
段階的運動負荷試験または陽性心臓画像研究での虚血性変化、ECG変化を伴う狭心症、
前記同定前の2年以内の簡単な触診で評価された0.9未満の足関節上腕血圧指数、および
前記同定前の2年以内の冠動脈、頸動脈、または下肢動脈の50%以上の狭窄
からなる群から選択される少なくとも1つのリスク因子を伴う心血管疾患を有すると診断されている、ならびに/または
b)薬物療法で、または薬物療法なしで145/95mmHg未満にコントロールされた高血圧、
薬物療法を必要とする脂質異常症、
前記同定前の12カ月以内に女性で50mg/dL未満、男性で40mg/dL未満と記録された低HDLコレステロール、および
現タバコ喫煙者
からなる群から選択される少なくとも2つのリスク因子を伴う2型糖尿病を有すると診断されている場合、前記対象は、有害な心血管アウトカムのリスクが増大していると同定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象が、2種の配列:徐放性ナルトレキソンまたはその薬学上許容される塩および徐放性ブプロピオンまたはその薬学上許容される塩を含む試験用有効薬剤を1日1回1週間、それに続いてプラセボを1日1回1週間;あるいはプラセボを1週間、それに続いて徐放性ナルトレキソンまたはその薬学上許容される塩および徐放性ブプロピオンまたはその薬学上許容される塩を含む試験用有効薬剤を1週間のうちの一方による治療を受ける、2週間の導入期間をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
対象が、前記同定前の3カ月以内の心筋梗塞;カナダ心臓血管学会の重症度分類によるIII度またはIV度の狭心症;脳卒中を含む脳血管性疾患の臨床病歴;洞性頻脈以外の頻脈性不整脈の病歴;抗高血圧薬での治療にもかかわらず145/95mmHg以上である血圧;前記同定前の3カ月以内の体重不安定;計画された肥満外科手術、心臓手術または冠動脈血管形成;30mL/分未満の予測GFRで定義される重症腎障害;肝不全の臨床病歴または正常上限の3倍を超えると記録されたALTまたはAST;HIVまたは肝炎への既知の感染;オピオイドの長期使用またはオピオイドスクリーニング陽性;ニコチン依存以外の前記同定前の6カ月以内の最近の薬物またはアルコール乱用または依存;熱性痙攣、頭蓋外傷、または対象を痙攣にかかりやすくするその他の状態を含む痙攣の病歴;躁病の病歴、または能動性精神病、むちゃ食い障害ではない活動性過食または神経性食欲不振であるとの最近の診断;自殺企画のリスク;抑うつ症に対する長期治療でも安定でない対象であるが、抑うつ症の新たな開始または症状の急性憎悪を含む急性抑うつ性疾病;鬱血性心不全NYHAクラス3または4を含む平均余命が4年未満と予想される任意の状態;非黒色腫皮膚がんまたは手術的に治療された頸部がんを含まない5年前以内の悪性腫瘍の病歴;その他のブプロピオンまたはナルトレキソン含有製品の最近の使用;ナルトレキソンまたはブプロピオンに対する過敏性または非耐性の病歴;前記同定前の14日以内のモノアミンオキシダーゼ阻害薬の使用;前記同定前の30日以内の任意の治験薬、デバイス、または処置の使用;妊娠または授乳中の女性、または最近、妊娠する努力をしている女性、または1年以内に月経周期を有し、かつ受胎調節の実践に同意しない閉経期前後の女性を含む潜在的出産能力のある女性;ブロードバンドインターネットに常にアクセスする能力がないことからなる群から選択される1つまたは複数の特徴を有さない、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
過体重または肥満の対象を同定する工程、および
前記対象に治療有効量の徐放性ナルトレキソンまたはその薬学上許容される塩および徐放性ブプロピオンまたはその薬学上許容される塩を、ウェブをベースにした体重管理プログラム、電話をベースにした体重管理プログラム、またはこれらの組合せと組み合わせて投与する工程を含む、対象を過体重または肥満について治療する方法。
【請求項6】
同定された対象が、30以上45kg/m2以下のBMIを有し、合併症のない肥満を伴う、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
同定された対象が、27以上45kg/m2以下のBMIを有し、脂質異常症および/またはコントロールされた高血圧を伴う、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
対象が、1型または2型糖尿病診断の病歴;前記同定前の6カ月以内の心筋梗塞;カナダ心臓血管学会の重症度分類によるIII度またはIV度の狭心症;虚血性および出血性脳卒中を含む大型血管皮質脳卒中の臨床病歴;149/95mmHg以上の血圧;前記同定前の4週間以内の脂質低下薬の開始または変更;痙攣、頭蓋外傷、過食、食欲不振、または対象を痙攣にかかりやすくするその他の状態の病歴;前記同定前の3カ月以内の体重不安定;前記同定前の1カ月以内の体重減少を意図した処方薬またはOTC薬の使用、あるいは体重減少プログラムへの参加;肥満に対して計画された手術またはデバイスでの介入;30mL/分/1.73m2未満の予測糸球体濾過速度(GFR)で定義される重症腎障害の最近の病歴;肝不全または正常上限の3倍を超えて最近記録されたアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(ALT)またはアラニンアミノトランスフェラーゼ(AST)の臨床病歴;126mg/dL以上の絶食時グルコースまたは400mg/dL以上の絶食時トリグリセリド;HIVまたは肝炎への既知の感染;オピオイドの長期使用またはオピオイドスクリーニング陽性;前記同定前の6カ月以内の薬物またはアルコール乱用または依存、あるいは尿中薬物スクリーニング陽性;前記同定前の6カ月以内のタバコ製品の規則的使用またはニコチン置換製品の使用;躁病の病歴、または能動性精神病の最近の診断;自殺企画のリスク;抑うつ症に対する長期治療で安定でない対象であるが、抑うつ症の新たな開始または症状の急性憎悪を含む急性抑うつ性疾病;その他のブプロピオンまたはナルトレキソン含有製品の最近の使用;ナルトレキソンまたはブプロピオンに対する過敏性または非耐性の病歴;前記同定前の14日以内の抗痙攣薬、ドーパミン作動薬、テオフィリン、もしくは経口コルチコステロイドの最近の使用、またはモノアミンオキシダーゼ阻害薬の使用;前記同定前の30日以内の任意の治験薬、デバイス、または処置の使用;妊娠または授乳中の女性、最近、妊娠する努力をしている女性、1年以内に月経周期を有し、かつ受胎調節の実践に同意しない閉経期前後の女性を含む潜在的出産能力のある女性;規則的な中強度の運動を実施する能力がないか気が進まないこと;eメールの使用およびCLIプログラムへのアクセスの試験を完了する能力がないことからなる群から選択される1つまたは複数の特徴を有さない、請求項5から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記対象が、少なくとも26週間治療される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記対象に、ウェブをベースにした体重管理プログラム、電話をベースにした体重管理プログラム、またはこれらの組合せを提供することをさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記電話をベースにした体重管理プログラムが、前記対象に対する1または複数回の指導通話を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記電話をベースにした体重管理プログラムが、任意選択で、1つまたは複数のウェブでの指導ツールを含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記ウェブをベースにした、または電話をベースにした体重管理プログラムが、前記対象に、1または複数回の行動、栄養またはフィットネス教育を提供する、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記教育が、訓練された健康またはフィットネス指導員および/または公認栄養士によって実現される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記訓練された健康またはフィットネス指導員および/または公認栄養士が、電話を介してまたは前記対象のためのウェブサイトを介して対象に助言し、秘訣および動機づけのメッセージ;質疑応答を介する指導;ウェブサイトを介する前記対象の質問に対する即時応答のための毎週の診断時間;毎週の教育資料;ビデオ授業;バッジ授与を伴う体重、運動または食事の追跡;目標設定;進捗状況の追跡;および体重管理プログラムに従事するように対象を激励するためのコミュニケーションからなる群から選択される話題の1つまたは複数を提供する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記体重管理プログラムが、各週の新たな行動、栄養および/またはフィットネス教育のテーマ、および2つまたはそれ以上の目標を導入する工程;各週の前記新たなテーマおよび目標に関連する情報コンテンツおよび/またはビデオ授業を提供する工程;ならびに週の1日または複数日に前記訓練された健康またはフィットネス指導員から前記対象への1回または複数回の動機づけのメッセージを提供する工程を含む、請求項10から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記体重管理プログラムが、前記訓練された健康またはフィットネス指導員が前記対象に即時的な質問および返答応答のための予定表を提供することを含む、請求項10から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記体重管理プログラムが、前記対象の体重を毎週記録する工程、前記対象の食物摂取を毎日誌録する工程、および前記対象の活動を毎日誌録する工程から選択される1つまたは複数の活動を含む、請求項10から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記体重管理プログラムが、前記対象が前記対象の食物摂取を記録する工程を含み、前記プログラムが、特定食物および/または食事に関するカロリーのコンピューターデータベースを使用して、前記記録された食物摂取についてのカロリーを追跡することができる、請求項10から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記ウェブをベースにした体重管理プログラムが、前記対象が特定のプログラムの目標を満たした場合に、前記対象にバッジを授与することを含む、請求項10から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記体重管理プログラムが、前記対象に、体重減少の進捗状況のグラフ表示を提供する工程を含む、請求項10から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記対象が、体重管理プログラムの一部として記録される体重減少目標を設定する、請求項10から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記体重管理プログラムが、前記対象に、ストレッチング、ウォーキングまたはその他の軽度の心血管活動の指示を提供する工程を含む、請求項10から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記体重管理プログラムが、ストレッチおよび運動活動の実行法を実演する短いビデオを提供する工程を含む、請求項10から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記体重管理プログラムが、前記対象によって記録された運動および活動記録に基づいて前記対象によって燃焼されたカロリーを追跡する工程を含む、請求項10から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
体重管理プログラムが、少なくとも26、52または78週の期間を有する、請求項10から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
1日当たり32mgの徐放性ナルトレキソンまたはその薬学上許容される塩、および1日当たり360mgの徐放性ブプロピオンまたはその薬学上許容される塩が、前記対象に投与される、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
対象に、前記徐放性ナルトレキソンまたはその薬学上許容される塩、および前記徐放性ブプロピオンまたはその薬学上許容される塩を、8mgの徐放性ナルトレキソンおよび90mgの徐放性ブプロピオンを含む錠剤として投与する、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
ナルトレキソンおよびブプロピオンでの前記治療が、前記対象の有害な心血管アウトカムのリスクを増大させない、請求項1から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
ナルトレキソンおよびブプロピオンでの前記治療が、前記対象の有害な心血管アウトカムのリスクを低減する、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記有害な心血管アウトカムが、心血管疾患死、非致死性心筋梗塞、または非致死性脳卒中である、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
対象が、少なくとも5%、10%または15%の体重減少比率を達成する、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
対象が、体重管理プログラムの一部として対面カウンセリングを受けることはない、請求項1から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
対象が、体重管理プログラムの一部として5回を超える対面カウンセリングの会合を受けることはない、請求項1から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
対象が、体重減少のための集中的行動修正(BMOD)プログラムを受けることはない、請求項1から32のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、仮出願ではなく、容認されるなら参照によりその全体で本明細書に組み込まれる2012年6月6日に出願の米国特許仮出願第61/656451号に基づく優先権を主張する。
【0002】
本開示は、ナルトレキソン+ブプロピオンを、ウェブをベースおよび/または電話をベースにした包括的体重管理プログラムと好ましくは組み合わせて使用する、場合によっては有害な心血管アウトカムのリスクが増大している対象における過体重および肥満を治療するための組成物、キット、使用、システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
肥満は、ボディマスインデックス(BMI)によって定義されている。BMIは、体重(kg)/[身長(m)]2として計算される。米国疾病予防管理センター(CDC)および世界保健機関(WHO)のガイドラインによれば、20歳以上の成人に関してBMIは次のように分類される:18.5未満は低体重、18.5~24.9は正常、25.0~29.9は過体重、30.0以上は肥満と見なされる。(世界保健機関、全身状態:人体計測の利用および解釈、ジュネーブ、スイス:世界保健機関、1995年、WHO技術報告シリーズ)。
【0004】
肥満の有病率は、過去30年間にわたって著しく増加し、男性の32%および女性の36%が肥満と見なされる。これらの個体は、2型糖尿病、冠動脈性疾患、高血圧、脳卒中、脂質異常症、胆嚢疾患、睡眠時無呼吸、特定タイプのがん、および骨関節症をはじめとする肥満に付随する種々の慢性状態に関するリスク、ならびにすべての原因に由来する死亡のリスクが増大している(NHLBI臨床ガイドライン、1998年)。過体重および肥満は、また、すべての原因での死亡の増加と関連している。
【0005】
食事および運動をベースにした行動修正が、体重管理療法の主要部である。しかし、このような介入は、しばしば、有効性に限界があり、かつ個体に厳守させることが困難である。したがって、薬物療法が、食事および運動に対する補助として採用されてきた。オルリスタット、ロルカセリンおよびフェンテルミン/トピラマートが、肥満の長期治療のために現在米国で承認されているわずか3種の薬物である。5~10%の体重減少が、有意な医学的利益につながると判断されている。オルリスタットは好都合な安全性プロフィールを有するが、患者による受け入れを困難にする軟便および便失禁を引き起こすことがある。今は、肥満外科手術(特に、胃緊縛)が、少なくとも1種の肥満関連共存症を有し、BMIが30kg/m2以上の対象に指示される。ほとんどの場合に有効であるが、それは、侵襲性であり、感染、死亡、低血糖症、体重減少の失敗、胃腸症状、栄養欠乏、抑うつ、性および人間関係の問題、ならびに行動提案への非応諾を含む合併症を伴う可能性がある。
【0006】
米国特許第7375111号および7462626号は、体重減少療法のためのナルトレキソンとブプロピオンとの組合せ(NB)を開示している。Waddenらは、体重減少のための集中的行動修正(BMOD)プログラムに対する補助としての、ナルトレキソンとブプロピオンの組合せを開示している(Obesity(2011) 19:110-120)。Waddenらによって発表されたBMODプログラムを、10~20名からなる群の人に実施した。グループ集会を、90分間続け、最初の16週間は週1回、次の12週間は1週おきに1回、その後は月に1回開催した(全部で28回の会合になる)。グループ会合は、典型的には、参加者の摂食および活動記録ならびにその他の課題の回顧に始まる。次いで、グループリーダーは、最初の16週間中では、食餌計画、刺激コントロール、ゆっくりした食餌、問題解決、社会的支援、および高リスク状態への対処を含んだ、体重コントロールに関する新たな話題を紹介した。その後の会合は、体重減少を維持するのに必要な技術を取り扱う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7375111号
【特許文献2】米国特許第7462626号
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0275970号
【特許文献4】米国特許出願公開第2007/0270450号
【特許文献5】米国特許出願公開第2007/0117827号
【特許文献6】米国特許出願公開第2007/0179168号
【特許文献7】米国特許出願公開第2008/0214592号
【特許文献8】米国特許出願公開第2007/0128298号
【特許文献9】米国特許出願公開第2007/0129283号
【特許文献10】米国特許出願第12/751970号
【特許文献11】米国特許出願公開第61/167486号
【特許文献12】米国特許出願公開第61/293844号
【特許文献13】WO 2009/158114
【特許文献14】米国特許出願公開第2008/0113026号
【特許文献15】米国特許出願公開第2007/0281021号
【特許文献16】米国特許出願公開第2008/0110792号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Obesity(2011) 19:110-120
【非特許文献2】「Remington's Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Co.、Easton, PA、第18版、1990
【非特許文献3】Waddenら「A two-year randomized trial of obesity treatment in primary care practice」N Eng J.Med.2011,365(21):1969~1979
【非特許文献4】Tsaiら「A primary care intervention for weight loss:results of a randomized controlled pilot study」Obesity,2010,18(8):1614~1618
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ナルトレキソンとブプロピオンとの組合せは、単独で、または集中的BMODプログラムと組み合わせて、一部の患者集団のための体重管理に関して効果的であることが知られているが、有害な心血管アウトカムのリスクが増大している対象における過体重または肥満の効果的な治療が必要とされている。さらに、患者が現存のBMODプロクラムに比べて応諾するのがより容易であるにもかかわらず、とりわけ有害な心血管アウトカムのリスクが増大した対象において効果的である、ナルトレキソンおよびブプロピオンと組み合わせて使用するための体重管理プログラムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態は、有害な心血管アウトカムのリスクが増大している対象を過体重または肥満について治療する方法であって、有害な心血管アウトカムのリスクが増大している過体重または肥満の対象を同定する工程、ならびに対象に治療有効量の徐放性ナルトレキソンまたはその薬学上許容される塩および徐放性ブプロピオンまたはその薬学上許容される塩を投与する工程を含む方法を含む。一部の実施形態において、過体重または肥満の対象が、a)同定の3カ月前より以前に記録された心筋梗塞の病歴;冠動脈バイパス移植手術、ステント留置、経皮経管冠動脈形成、またはレーザーアテローム切除を含む冠動脈血管再生の病歴;頸動脈内膜切除、下肢アテローム硬化性疾患のアテローム切除、腹部大動脈瘤の修復、大腿または膝窩バイパスを含む頸動脈または末梢血管再生の病歴;段階的運動負荷試験または陽性心臓画像研究での虚血性変化、ECG変化を伴う狭心症;同定前の2年以内の単純な触診で評価された0.9未満の足関節上腕血圧指数;同定前の2年以内の冠動脈、頸動脈、または下肢動脈の50%以上の狭窄からなる群から選択される少なくとも1つのリスク因子を伴う心血管疾患を有すると診断されている、ならびに/またはb)薬物療法で、または薬物療法なしで145/95mmHg未満にコントロールされた高血圧;薬物療法を必要とする脂質異常症;同定前の12カ月以内に女性で50mg/dL未満、男性で40mg/mL未満と記録された低HDLコレステロール;および現タバコ喫煙者からなる群から選択される少なくとも2つのリスク因子を伴う2型糖尿病を有すると診断されている場合、対象は、有害な心血管アウトカムのリスクが増大していると同定される。
【0011】
一部の実施形態において、方法は、さらに、対象が、2種の配列:徐放性ナルトレキソンまたはその薬学上許容される塩および徐放性ブプロピオンまたはその薬学上許容される塩を含む試験用有効薬剤を1日1回1週間、それに続いてプラセボを1日1回1週間;あるいはプラセボを1週間、それに続いて徐放性ナルトレキソンまたはその薬学上許容される塩および徐放性ブプロピオンまたはその薬学上許容される塩を含む試験用有効薬剤を1週間のうちの一方による治療を受ける、2週間の導入期間を含む。
【0012】
一部の実施形態において、対象は、同定前の3カ月以内の心筋梗塞;カナダ心臓血管学会の重症度分類によるIII度またはIV度の狭心症;脳卒中を含む脳血管性疾患の臨床病歴;洞性頻脈以外の頻脈性不整脈の病歴;抗高血圧薬での治療にもかかわらず145/95mmHg以上である血圧;同定前の3カ月以内の体重不安定;計画された肥満外科手術、心臓手術または冠動脈血管形成;30mL/分未満の予測GFRで定義される重症腎障害;肝不全の臨床病歴または正常上限の3倍を超えると記録されたALTまたはAST;HIVまたは肝炎への既知の感染;オピオイドの長期使用またはオピオイドスクリーニング陽性;ニコチン依存以外の同定前の6カ月以内の最近の薬物またはアルコール乱用または依存;熱性痙攣、頭蓋外傷、または対象を痙攣にかかりやすくするその他の状態を含む痙攣の病歴;躁病の病歴、または能動性精神病、むちゃ食い障害ではない活動性過食または神経性食欲不振であるとの最近の診断;自殺企画のリスク;抑うつ症に対する長期治療でも安定でない対象であるが、抑うつ症の新たな開始または症状の急性憎悪を含む急性抑うつ性疾病;鬱血性心不全NYHAクラス3または4を含む平均余命が4年未満と予想される任意の状態;非黒色腫皮膚がんまたは手術的に治療された頸部がんを含まない5年前以内の悪性腫瘍の病歴;その他のブプロピオンまたはナルトレキソン含有製品の最近の使用;ナルトレキソンまたはブプロピオンに対する過敏性または非耐性の病歴;同定前の14日以内のモノアミンオキシダーゼ阻害薬の使用;同定前の30日以内の任意の治験薬、デバイス、または処置の使用;妊娠または授乳中の女性、または最近、妊娠する努力をしている女性、または1年以内に月経周期を有し、かつ受胎調節の実践に同意しない閉経期前後の女性を含む出産の潜在能力のある女性;ブロードバンドインターネットに常にアクセスする能力がないことからなる群から選択される1つまたは複数の特徴を有さない。
【0013】
一部の実施形態において、方法は、対象に、ウェブをベースにした体重管理プログラム、電話をベースにした体重管理プログラム、またはこれらの組合せを提供することをさらに含む。
【0014】
本発明の一実施形態は、過体重または肥満の対象を同定する工程、および該対象に治療有効量の徐放性ナルトレキソンまたはその薬学上許容される塩および徐放性ブプロピオンまたはその薬学上許容される塩を、ウェブをベースにした体重管理プログラム、電話をベースにした体重管理プログラム、またはこれらの組合せと組み合わせて投与する工程を含む、対象を過体重または肥満について治療する方法を含む。
【0015】
一部の実施形態において、同定される対象は、30以上45kg/m2以下のBMIを有し、合併症のない肥満を伴う。一部の実施形態において、同定される対象は、27以上45kg/m2以下のBMIを有し、脂質異常症および/またはコントロールされた高血圧を伴う。一部の実施形態において、対象は、少なくとも26週間治療される。一部の実施形態において、電話をベースにした体重管理プログラムは、対象に対する1回または複数回の指導通話を含む。一部の実施形態において、電話をベースにした体重管理プログラムは、任意選択で、1つまたは複数のウェブでの指導ツールを含む。一部の実施形態において、ウェブをベースまたは電話をベースにした体重管理プログラムは、対象に1回または複数回の行動、栄養またはフィットネス教育を提供する。
【0016】
一部の実施形態において、教育は、訓練された健康またはフィットネス指導員および/または公認栄養士によって実現される。一部の実施形態において、訓練された健康またはフィットネス指導員および/または公認栄養士は、電話を介してまたは対象のためのウェブサイトを介して対象に助言し、秘訣および動機づけのメッセージ;質疑応答を介する指導;ウェブサイトを介する対象の質問に対する即時応答のための毎週の診察時間;毎週の教育資料;ビデオ授業;バッジの授与を伴う体重、運動または食事の追跡;目標設定;進捗状況の追跡;および体重管理プログラムに従事するように対象を激励するためのコミュニケーションからなる群から選択される話題の1つまたは複数を提供する。
【0017】
一部の実施形態において、1日当たり32mgの徐放性ナルトレキソンまたはその薬学上許容される塩、および1日当たり360mgの徐放性ブプロピオンまたはその薬学上許容される塩が、対象に投与される。一部の実施形態において、対象は、徐放性ナルトレキソンまたはその薬学上許容される塩、および徐放性ブプロピオンまたはその薬学上許容される塩を、8mgの徐放性ナルトレキソンおよび90mgの徐放性ブプロピオンを含む錠剤として投与される。
【0018】
一部の実施形態において、ナルトレキソンおよびブプロピオンでの治療は、患者における有害な心血管アウトカムのリスクを増大させない。一部の実施形態において、ナルトレキソンおよびブプロピオンでの治療は、患者における有害な心血管アウトカムのリスクを減少する。一部の実施形態において、有害な心血管アウトカムは、心血管疾患死、非致死性心筋梗塞、または非致死性脳卒中である。一部の実施形態において、対象は、少なくとも5%、少なくとも10%、または少なくとも15%の体重減少率を達成する。一部の実施形態において、体重管理プログラムは、少なくとも52週間または少なくとも78週間開催される。
【0019】
一部の実施形態において、対象は、体重管理プログラムの一部として対面カウンセリングを受けることはない。一部の実施形態において、対象は、体重管理プログラムの一部として5回を超える対面カウンセリングを受けることはない。一部の実施形態において、対象は、体重減少のための集中的行動修正(BMOD)プログラムを受けることはない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示は、ナルトレキソン+ブプロピオンを、ウェブをベースにした体重管理プログラム、電話をベースにした体重管理プログラムおよびこれらの組合せを含む包括的ライフスタイル介入(CLI)プログラムと好ましくは組み合わせて使用して、過体重および肥満を治療するための組成物、キット、使用、システムおよび方法に関する。一部の実施形態において、過体重および肥満に関して治療される対象は、有害な心血管アウトカムのリスクが増大している対象である。好ましい実施形態において、有害な心血管アウトカムのリスクが増大している対象に対する、ウェブをベースおよび/または電話をベースにした包括的体重管理プログラムと組み合わせたナルトレキソン+ブプロピオンでの治療は、ウェブをベースおよび/または電話をベースにした体重管理プログラムの単独での治療と同様に、重大で有害な心血管アウトカムをもたらさない。一部の実施形態において、有害な心血管アウトカムのリスクが増大している対象の、ウェブをベースおよび/または電話をベースにした包括的体重管理プログラムと組み合わせたナルトレキソン+ブプロピオンでの治療は、驚くべきことに、ウェブをベースおよび/または電話をベースにした体重管理プログラムの単独での治療に比べて、重大で有害な心血管アウトカムをもたらすことがより少ない。重大で有害な心血管アウトカムは、心血管疾患死(致死性心筋梗塞および致死性脳卒中を含む)、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、または入院を必要とする非致死性で不安定な狭心症である。
【0021】
一部の実施形態において、本明細書に開示の方法で治療される対象は、有害な心血管アウトカムのリスクが増大している。有害な心血管アウトカムのリスクが増大している対象とは、a)スクリーニングの3カ月前より以前に記録された心筋梗塞の病歴;冠動脈血管再生(すなわち、冠動脈バイパス移植手術、ステント留置、経皮経管冠動脈形成、またはレーザーアテローム切除)の病歴;頸動脈または末梢血管再生(すなわち、頸動脈内膜切除、下肢アテローム硬化性疾患のアテローム切除、腹部大動脈瘤の修復、大腿または膝窩バイパス)の病歴;段階的運動負荷試験(GXT)または陽性心臓画像研究に基づく虚血性変化(安静時ECG)、ECG変化を伴う狭心症;2年前以内の0.9未満の足関節上腕血圧指数(単純な触診で評価して);2年前以内の冠動脈、頸動脈または下肢動脈の50%以上の狭窄の中の少なくとも1つを伴う心血管疾患(心血管疾患の確定診断または高い確度)を有する対象;ならびに/またはb)高血圧(薬物療法で、または薬物療法なしで145/95mmHg未満にコントロールされた);薬物療法を必要とする脂質異常症;12カ月前以内に記録された低HDLコレステロール(女性で50mg/dL未満、男性で40mg/dL未満);現タバコ喫煙者の中の少なくとも2つを伴う2型糖尿病を有する対象を含む。
【0022】
一部のこのような実施形態において、治療される対象は、肥満を合併していない。一部の他の実施形態において、治療される対象は、過体重であり、かつ脂質異常症および/またはコントロールされた高血圧症を有する。一部の実施形態において、本明細書に開示の方法で治療される対象は、有害な心血管アウトカムのリスクが増大していない。
【0023】
一部の実施形態において、ナルトレキソンおよびブプロピオンでの治療は、体重管理プログラムと組み合わされる。一部の実施形態において、体重管理プログラムは、ウェブをベースにしたプログラムである。一部の他の実施形態において、体重管理プログラムは、電話をベースにしたプログラムである。一部の他の実施形態において、体重管理プログラムは、ウェブをベースおよび電話をベースにしたプログラムの双方の組合せである。一部の実施形態において、対象は、体重管理プログラムの一部として15、10、5、4、3、2または1回を超える対面カウンセリング会合を受けることはない。一部の実施形態において、対象は、体重管理プログラムの一部として対面カウンセリング会合を受けることはない。
【0024】
<ウェブをベースにした体重管理プログラム>
好ましくは、ウェブをベースにしたプログラムは、目標設定および追跡ツールを伴う漸進的な栄養およびフィットネスプログラムを提供する。各対象は、プログラムの初めから終わりまでオンラインで彼らに助言する健康およびフィットネスの専門家に割り振られる。さらなる教育ツールは、規則的間隔で提供されるビデオ授業(Table 1(表1))で補足される、ウェブをベースにした毎週の情報、教育および動機づけの方策を包含する。プログラムのコンテンツは、その週の目標を知らせ、動機づけを提供し、かつ継続的参加を激励する毎週のeメール;各週のテーマ(Table 1(表1))をMyWeightMate.com主題ページに配置される詳細な説明およびこれらの目標を達成するための戦略と一緒に並べた毎週の目標(eメールからの);対象が毎週の彼らの目標に達するのを助けるためにユーザーページに掲示される毎週3篇のさらなるコンテンツ(秘訣および教育的情報);参加者のページに掲示されるその週の初めから終わりまでの動機づけのメッセージ;行動(すなわち、プログラム活動への不参加、成功裡の実施記録)に基づいてユーザーに送付される実行を誘導するeメール;参加者が見るようにMyWeightMate.comサイト上に提供され、かつ将来のアクセスのために保管されるビデオ授業;最初の16週間では毎週の、次の12週では隔週の、残りの研究継続期間では毎月の、および3年目および4年目の試練中の各年では4週間に1回の会合を含む2回の更新勧誘からなる。ビデオ授業は、関連性のある話題に焦点を当て、主題の専門家によって開発される。
【0025】
【表1】
【0026】
ウェブをベースにした体重管理プログラムは、訓練された健康およびフィットネス指導員によって実現される行動、栄養およびフィットネス教育を提供する。ウェブサイトは、参加者の個々のウェブページを介して対象に助言する「WeightMate Coach」を提供し、秘訣および動機づけのメッセージ;Q&Aを介する指導;ウェブサイトを介する即時応答のための毎週の診察時間;毎週の教育資料;主題の専門家によって開発されたコンテンツ;毎週のテーマを補足するためのビデオ授業;バッジ授与による体重、運動および食事の追跡;活動の示唆および指導の秘訣;取り組みを激励するためのコミュニケーション;および楽しく直観的である最新のウェブサイトの中の1つまたは複数を提供する。
【0027】
一実施形態では、新たなテーマおよび目標が各月曜に紹介され、その週の2~3つの目標と共に、関連するコンテンツおよび/またはビデオ授業(Table 1(表1))が提供され、動機づけのメッセージがその週の1日または複数日に提供される。任意選択で、さらなる秘訣が、その週の間の1日または複数日に提供される、一部の実施形態において、ビデオ授業は、毎週の教育テーマを補足する。制作されたビデオコンテンツは、対象へのメッセージの品質および均一性を保証し、Q&A機能は、患者が24時間未満の折り返し時間(turnaround)で質問することを可能にする。
【0028】
一部の実施形態において、ウェブをベースにした個々のカウンセリングは、指導員によって提供され、好ましくは、対象は指導員へのアクセスを制限されない。好ましくは、指導員は、対象に、毎週の「診察時間」を含む予定表を即時的Q&A応答のために提供する。プログラムは、毎日の食物および活動の追跡と共に毎週の体重計量を強調する。好ましくは、ウェブサイトは、特定食物および/または食事に関するカロリーのコンピューターデータベースを使用して、各食事のカロリーを追跡し、好みの食物および食事を抑制することができる。所要カロリーおよび食品の好みをベースにした4つの参考メニューが提供される。一部の実施形態において、個々の目標(例えば、7日間の活動記録;7日間の食物記録;3週間の体重記録;最初の15ポンドの体重減少;プログラムへの12週間の参加;プログラムへの26週間の参加;プログラムへの52週間の参加;プログラムへの78週間の参加;5%の体重減少;10%の体重減少;15%の体重減少)を満たした場合に、対象にバッジを授与する。好ましい実施形態において、対象は、プログラムの一部として記録される体重減少目標を定期的に設定する。対象の目標に向かう進捗状況を、対象のウェブページを介して対象に提供することができる。体重減少の目標は、1週間、2週間、1カ月、2カ月、6カ月、1年、またはそれ以上の期間に関する目標でよい。プログラムは、参加する対象に、プログラムの開示時点で特定の体重減少目標を設定する選択肢を提供する。プログラムは、また、体重減少、および毎日または毎週基準での具体的目標の達成に向かう進捗状況を追跡および記録するための選択肢を提供する。任意選択で、体重減少の進捗状況のグラフ表示が、対象のウェブページを介して対象に提供される。定期的な激励メッセージ(例えば、バッジおよび受賞ノート)を提供することができる。好ましくは、行動をベースにしたトレーナーからの自動化メッセージが、動機づけおよび参加を高めるために提供される。
【0029】
一部の実施形態において、ウェブをベースにした体重管理プログラムの運動部分は、5日間の活動、および好ましくは非連続(例えば月曜と金曜)の2日間の休息を奨励する。一部の実施形態において、運動プログラムは、ストレッチング、ウォーキング、およびその他の軽い心臓活動に関する指示を提供する。短いビデオが、ストレッチおよび運動動作に関する教育的実演を提供することができる。ウェブサイトは、運動および活動の記録を介して、対象によって燃焼されたカロリーを追跡することができる。
【0030】
好ましい実施形態において、ウェブをベースにした体重管理プログラムは、対面療法またはグループ集会をまったく含まない。
【0031】
<電話をベースにした体重管理プログラム>
一部の実施形態において、電話をベースにしたプログラムは、1または複数回の通話を介する個人化された指導を含む。一実施形態において、治療を受ける対象への通話は、献身的な指導員によって実施される。別の実施形態において、治療を受ける対象への通話は、公認栄養士によって実施される。一部のこのような実施形態において、電話をベースにしたプログラムは、最初の3~8カ月、好ましくは6カ月の治療にわたる6~15回、好ましくは12回の予定された通話を含む。前記の予定された通話の話題は、認知行動指導および栄養指導(例えば、Table 2 (表2)を参照されたい)を含むことができる。一部のこのような実施形態において、電話をベースにしたプログラムは、次の3~8カ月、好ましくは6カ月の治療にわたる6~15回、好ましくは12回のさらなる通話を含む。
【0032】
一部の実施形態において、電話をベースにしたプログラムは、任意選択で、前記のウェブをベースにしたプログラムを含むウェブでの指導のための統合的なウェブ支援などのオンライン指導ツールを含む。ウェブでの指導は、体重減少および体重減少の維持に必須の実践、進捗状況の追跡および/または仮想的指導を含むことができる。必須の実践の非限定的例としては、健康料理、現実的な目標設定、およびストレスのコントロールなどの話題に関連するE-授業、ビデオ、ポッドキャスト、記事、およびゲームを挙げることができる。進捗状況追跡手段が追跡できる項目の非限定的例としては、体重、栄養摂取、活動、ストレス、バイオメトリクス、指導通話などが挙げられる。仮想的指導の非限定的例としては、プログラムに参加している対象にとって履行すべきリストの作成および更新、eメールの送付などが挙げられる。
【0033】
一部の実施形態において、電話をベースにしたプログラムは、また、無線で活動を監視するための1種または複数の電子デバイスを任意選択で含むことができる。このような電子デバイスの非限定的例が、歩行数、距離、カロリー、および活動時間を追跡するための、USBのアクセス点と一緒に使用される予定のFitLinxx(登録商標)ActiPedである。電子デバイスは、ウェブ支援と無線で同期させることができる。一実施形態において、電話をベースにしたプログラムは、Alere(商標)から入手可能なWeight Talk(登録商標)Programである。
【0034】
ナルトレキソンおよびブプロピオンの治療を受けている対象は、ウェブでの登録および電話での登録の双方を含む種々の方法を介して、電話をベースにしたプログラムに登録することができる。一部の実施形態において、電話をベースにしたプログラムは、また、臨床研究に適任である患者を同定するための、電話をベースにしたプログラムの利点を話し合うための、現実的な予想を設定するための、登録を支援するための、かつ指導員に特定の質問をするための第一線での支援を含む。
【0035】
【表2】
【0036】
好ましい実施形態において、徐放性(SR)のナルトレキソン/徐放性ブプロピオンの組合せ(NB)の単独での、またはウェブをベースおよび/または電話をベースにした体重管理プログラムと一緒にした治療は、過体重および肥満の対象における心血管疾患死、非致死性心筋梗塞、または非致死性脳卒中として定義される重大で有害な心臓事象の発生を、プラセボまたはウェブをベースおよび/または電話をベースにした体重管理プログラムの単独と比較して、増加させないか、より好ましくは低減する。一部の実施形態において、NBの単独での、またはウェブをベースおよび/または電話をベースにした体重管理プログラムと一緒にした治療は、過体重および肥満の対象における心血管疾患死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、入院を必要とする非致死性不安定狭心症の中の1つまたは複数の発生を、プラセボまたはウェブをベースおよび/または電話をベースにした体重管理プログラムの単独と比較して、増加させないか、より好ましくは低減する。一部の実施形態において、NBの単独での、またはウェブをベースおよび/または電話をベースにした体重管理プログラムと一緒にした治療は、すべての原因での死亡の発生;入院を必要とする不安定狭心症の発生;および冠動脈血管再生処置の発生の中の1つまたは複数を、プラセボまたはウェブをベースおよび/または電話をベースにした体重管理プログラムの単独と比較して、増加させないか、より好ましくは低減する。一部の実施形態において、NBの単独での、またはウェブをベースおよび/または電話をベースにした体重管理プログラムと一緒にした治療は、プラセボまたはウェブをベースおよび/または電話をベースにした体重管理プログラムの単独と比較して、体重を減少させるか、収縮期および/または拡張期血圧を改善する。一部の実施形態において、治療される個体は、過体重または肥満であり、有害な心血管アウトカムのリスクが増大している。
【0037】
一部の実施形態において、徐放性(SR)ナルトレキソン/徐放性ブプロピオンの組合せ(NB)の単独での、またはウェブをベースおよび/または電話をベースにした体重管理プログラムと一緒にした治療は、体重のベースラインからのパーセント変化;ベースライン体重の少なくとも5%、10%および15%の体重減少を達成している対象の比率;および体重のベースラインからの絶対値変化の中の1つまたは複数を、通常のケア(研究薬剤なし、かつ最低限のライフスタイル介入プログラム)に比較して、増加させる。一部の実施形態において、NBの単独での、またはウェブをベースおよび/または電話をベースにした体重管理プログラムと一緒にした治療は、心血管のリスク因子(腹囲、絶食時トリグリセリド、絶食時LDLコレステロール、および絶食時HDLコレステロールの中の1つまたは複数);バイタルサイン(収縮期および/または拡張期血圧、心拍数の中の1つまたは複数);グルコース代謝の測定値(絶食時グルコース、絶食時インスリン、およびHOMA-IRの中の1つまたは複数);患者が報告するアウトカムに由来する測定値[摂食行動(例えば、BES)、性機能(例えば、ASEXスケール)、および体重に関連する生活の質(例えば、IWQOL-Lite)の中の1つまたは複数]の中の1つまたは複数を、通常のケア(研究薬剤なし、かつ最低限のライフスタイル介入プログラム)に比較して改善する。一部の実施形態において、上記の増加または改善は、26週目の治療の時点でベースラインに比較して測定され、一部の実施形態において、測定は、52週目または78週目の治療の時点でベースラインに比較して行われる。一部の実施形態において、治療される個体は、合併症のない肥満を有する対象ではBMIが30以上45kg/m2以下の、過体重または肥満であり、かつ脂質異常症および/またはコントロールされた高血圧症を有する対象ではBMIが27以上45kg/m2以下の18~60歳(両端を含む)の女性または男性である。一部の実施形態において、治療される個体は、過体重または肥満であり、かつ有害な心血管アウトカムのリスクが増大している。一部の実施形態において、治療される個体は、過体重または肥満でなく、有害な心血管アウトカムのリスクが増大している。
【0038】
一部の実施形態において、徐放性(SR)のナルトレキソン/徐放性ブプロピオンの組合せ(NB)での、ウェブをベースおよび/電話をベースにした体重管理プログラムと組み合わせた治療は、体重のベースラインからのパーセント変化;ベースライン体重の少なくとも5%、10%および15%の体重減少を達成している対象の比率;および体重のベースライからの絶対値変化の中の1つまたは複数を、体重減少のための対面で実現される集中的行動修正(BMOD)プログラムと一緒にしたNBに比較して、同等以上に増加させる。一部の実施形態において、NBの単独での、またはウェブをベースおよび/または電話をベースにした体重管理プログラムと一緒にした治療は、心血管のリスク因子(腹囲、絶食時トリグリセリド、絶食時LDLコレステロール、および絶食時HDLコレステロールの中の1つまたは複数);バイタルサイン(収縮期および/または拡張期血圧、および心拍数の中に1つまたは複数);グルコース代謝の測定値(絶食時グルコース、絶食時インスリン、およびHOMA-IRの中の1つまたは複数);患者が報告するアウトカムに由来する測定値[摂食行動(例えば、BES)、性機能(例えば、ASEXスケール)、および体重に関連する生活の質(例えば、IWQOL-Light)の中の1つまたは複数]の中の1つまたは複数を、体重減少のために対面で実現される集中的行動修正(BMOD)プログラムと一緒にしたNBに比較して、同等以上に改善する。一部の実施形態において、上記の増加または改善は、26週目の治療の時点でベースラインに比較して測定され、一部の実施形態において、測定は、52週目または78週目の治療の時点でベースラインに比較して行われる。一部の実施形態において、治療される個体は、合併症のない肥満を有する対象ではBMIが30以上45kg/m2以下の、過体重または肥満であり、かつ脂質異常症および/またはコントロールされた高血圧症を有するではBMIが27以上45kg/m2以下の18~60歳(両端を含む)の女性または男性である。一部の実施形態において、治療される個体は、過体重または肥満であり、有害な心血管アウトカムのリスクが増大している。一部の実施形態において、治療される個体は、過体重または肥満ではなく、有害な心血管アウトカムのリスクが増大している。
【0039】
いくつかの実施形態においては、個体は、少なくとも25kg/m2の体格指数(BMI)を有する。いくつかの実施形態においては、個体は、少なくとも30kg/m2の体格指数(BMI)を有する。いくつかの実施形態においては、個体は、少なくとも40kg/m2の体格指数(BMI)を有する。いくつかの実施形態においては、個体は、25kg/m2未満の体格指数(BMI)を有するか、またはナルトレキソンおよびブプロピオンの投与過程の間に25kg/m2未満のBMIを生じる。これらの実施形態においては、健康または美容目的のために、その後の体重増加を軽減するか、または体重減少を促進することによって、BMIをさらに低下させることが有益であり得る。いくつかの実施形態においては、個体は過体重または肥満であると医師によって診断されている。いくつかの実施形態においては、個体は、過体重もしくは肥満であると同定、例えば、自己同定されるか、または過体重もしくは肥満であると診断されたと同定される。一部の実施形態において、個体は、過体重であることに加え、または肥満であることに加え、脂質異常症および/またはコントロールされた高血圧症を患う。
【0040】
いくつかの実施形態においては、体重減少の促進は、基準体重からの変化率によって測定される。これらの実施形態のいくつかにおいては、体重減少の量は、初期体重の0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、15%以上である、約0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、15%以上である、少なくとも0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、15%以上である、少なくとも約0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、15%以上であるか、または前記値の任意の2つによって定義される範囲である。いくつかの実施形態においては、体重減少の促進は、関連する対照によって経験される体重増加の量と比較した体重増加の減少として測定され、体重増加の減少の量は、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、105%、110%、115%、120%以上である、約2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、105%、110%、115%、120%以上である、少なくとも2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、105%、110%、115%、120%以上である、少なくとも約2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、105%、110%、115%、120%以上であるか、または前記値の任意の2つにより定義される範囲である。
【0041】
いくつかの実施形態においては、用量は、患者の体重が6カ月毎に基準体重の約3%の速度で減少するように調整される。しかしながら、患者の体重減少の速度は、患者の特定の必要性に基づいて治療する医師によって調整することができる。
【0042】
いくつかの実施形態においては、体重増加の軽減または体重減少の促進は、個体における満腹感を増加させることにより生じる。いくつかの実施形態においては、体重増加の軽減または体重減少の促進は、個体の食欲を抑制することにより生じる。いくつかの実施形態においては、治療は食事のレジメンおよび/または活動の増加を策定することを含む。
【0043】
いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンまたはブプロピオンもしくはフルオキセチンと組み合わせたナルトレキソンなどの組合せ療法は、体重減少に作用する、心血管危険因子を減少させる、インスリン感受性を増加させる、食品への欲求を低下させる、内臓脂肪症状を治療する、禁煙中の体重増加を軽減するか、もしくは体重減少を促進するか、または大鬱病を有する患者における体重減少療法を提供するのに十分な量にある。そのような治療方法の非限定例は、米国特許第7,375,111号および第7,462,626号;米国特許出願公開第2007/0275970号、第2007/0270450号、第2007/0117827号、第2007/0179168号、第2008/0214592号、第2007/0128298号、第2007/0129283号;米国特許出願第12/751970号、第61/167486号および第61/293844号;ならびにWO 2009/158114に開示されており、それぞれ、その全体が参照により、また、限定されるものではないが、体重減少に作用する、心血管危険因子を減少させる、インスリン感受性を増加させる、食品への欲求を低下させる、内臓脂肪症状を治療する、禁煙中の体重増加を軽減するか、もしくは体重減少を促進するか、および大鬱病を有する患者における体重減少療法を提供する方法を説明する目的などのあらゆる目的で本明細書に組込まれる。いくつかの実施形態においては、心血管危険因子は、以下のもののうちの1または複数を含む:総コレステロールレベル、LDLコレステロールレベル、HDLコレステロールレベル、トリグリセリドレベル、グルコースレベル、およびインスリンレベル。いくつかの実施形態においては、心血管危険因子は以下のもののうちの1または複数を含む:総コレステロールレベル、HDLコレステロールレベル、およびトリグリセリドレベル。
【0044】
いくつかの実施形態においては、本明細書に記載の体重減少治療の有効性の増加は、転帰尺度(outcome measure)の改善を含む。例えば、いくつかの実施形態においては、有効性の増加は、体重減少の量を増加させる。いくつかの実施形態においては、有効性の増加は、限定されるものではないが、吐き気、便秘、嘔吐、眩暈、口渇、頭痛、および不眠症などの有害事象の頻度または重篤度を低下させる。いくつかの実施形態においては、有効性の増加は、限定されるものではないが、胴囲、高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)レベル、トリグリセリドレベル、HDLコレステロールレベルまたはLDL/HDLコレステロールレベルの比などの別の二次評価項目を改善する。当業者であれば認識できる通り、いくつかの環境においては、胴囲、hs-CRPレベル、トリグリセリドレベルおよびLDL/HDLコレステロールレベルの比を低下させ、HDLコレステロールレベルを増加させるのが望ましい。一部の実施形態において、アウトカム測定値の改善は、ベースラインまたは関連する対照に比較して、約、少なくとも、または少なくとも約1、2、3、4、5、7、10、12、15、20、30、40、50、60、70、80、90または100%、あるいはこれらの値の任意の2つによって規定される範囲内にある。
【0045】
いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンまたはナルトレキソンおよびブプロピオンをそれぞれ1日1回投与する。いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンおよびブプロピオンをそれぞれ等用量に分割し、1日2回以上投与する。いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンおよびブプロピオンをそれぞれ同じでない用量に分割し、1日2回以上投与する。いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンおよびブプロピオンを異なる数の用量に分割し、1日あたり異なる回数投与する。1つのそのような実施形態においては、ナルトレキソンまたはブプロピオンの一方の用量を分割するが、他方の用量は分割しない。
【0046】
いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンおよびブプロピオンの一方または両方を、1日1回、2回、3回、4回以上投与する。いずれかまたは両方の化合物を、1日1回未満、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13もしくは14日毎、または1週間もしくは2週間毎に1回、または前記値の任意の2つにより定義される範囲で投与することができる。いくつかの実施形態においては、1日あたりの投与回数は一定である(例えば、1日1回)。他の実施形態においては、投与の回数は可変的である。投与回数は、剤形の有効性、観察される副作用、外部因子(例えば、別の投薬の変化)、または剤形が投与された時間の長さに応じて変化してもよい。
【0047】
いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンの日用量は、約4mg~約50mg、または約4mg~約32mg、または約8mg~約32mg、または約8mg~約16mgの範囲であってよい。いくつかの実施形態においては、日用量は、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約32mg、もしくは約48mgのナルトレキソン、または前記値の任意の2つによって定義される範囲である。特定の用量の選択は、患者の体重に基づいてもよい。特定の用量の選択は、別の同時投与される化合物の同一性、用量、および/または投薬スケジュールに基づいてもよい。しかしながら、いくつかの実施形態においては、これらの範囲の外側の用量を用いる必要があってもよい。いくつかの実施形態においては、日用量は単回経口剤形で投与される。いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンの日用量は同じであり、いくつかの実施形態においては、日用量は異なる。
【0048】
いくつかの実施形態においては、ブプロピオンの日用量は約30mg~約500mg、または約30mg~約360mg、または約90mg~約360mgの範囲であってよい。いくつかの実施形態においては、日用量は、約30mg、約90mg、約180mg、約360mg、もしくは約450mgのブプロピオン、または前記値の任意の2つにより定義される範囲である。特定の用量の選択は、患者の体重に基づいてもよい。特定の用量の選択は、別の同時投与される化合物の同一性、用量および/または投薬スケジュールに基づいてもよい。しかしながら、いくつかの実施形態においては、これらの範囲の外側の用量を用いる必要があってもよい。いくつかの実施形態においては、日用量は単回経口剤形で投与される。いくつかの実施形態においては、ブプロピオンの日用量は同じであり、いくつかの実施形態においては、日用量は異なる。
【0049】
本明細書に記載の組成物を自己投与のために患者に配布、提供するか、または個体に投与することができる。いくつかの実施形態においては、組合せナルトレキソン/ブプロピオン療法は、第3の化合物を含む。
【0050】
いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンおよび/またはブプロピオンは経口剤形として提供または投与される。いくつかの実施形態においては、経口剤形は、丸剤、錠剤、素錠、カプセル剤、カプレット剤、ルースパウダー、液剤、または懸濁剤の形態にある。好ましい実施形態においては、経口剤形は、丸剤、錠剤、またはカプセル剤の形態にある。いくつかの実施形態においては、組合せナルトレキソン/ブプロピオン療法は、単回経口剤形中で提供される。いくつかの実施形態においては、経口剤形は、米国特許出願公開第2008/0113026号に記載の三層錠剤の形態にあり、その全体が参照により、また、限定されるものではないが、三層錠剤、三層錠剤を作製および製剤化する方法、ならびにそれらを投与する方法を説明する目的などのあらゆる目的のために本明細書に組込まれる。
【0051】
いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンおよびブプロピオンの少なくとも一方は、治療の間に変化する頻度で投与される。これらの実施形態のいくつかにおいては、変化する頻度は、時間と共に減少する頻度を含む。例えば、ナルトレキソンおよびブプロピオンの一方または両方を、最初は1日2回以上投与した後、治療におけるその後の時点では1日1回だけ投与してもよい。いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンおよびブプロピオンの少なくとも一方の日用量は、変化する投与頻度にもかかわらず一貫している。例えば、いくつかの実施形態においては、2錠のナルトレキソンおよびブプロピオンの各々を最初に1日2回投与するが、治療におけるその後の時点では4錠のナルトレキソンおよびブプロピオンの各々を1日1回投与する。あるいは、いくつかの実施形態においては、1または2錠のナルトレキソンおよびブプロピオンの各々を治療におけるその後の時点で投与し、その1または2錠は、最初に1日2回投与された2錠のナルトレキソンおよびブプロピオンの各々と等しい総日用量を有する。
【0052】
いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンおよびブプロピオンの一方または両方は、制御放出または持続放出(SR)製剤中で1日1回未満投与され、その用量は患者が本明細書に記載の日用量とほぼ同じである日用量を受けるように選択される。
【0053】
いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンは、単独で、または組合せ治療において、封鎖形態のナルトレキソンではない。例えば、いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンは、非封鎖制御放出製剤にある。いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンは非封鎖持続放出製剤である。好ましい実施形態においては、少なくとも50%のナルトレキソンが投与の24時間以内に放出される。
【0054】
いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンまたはブプロピオンの少なくとも一方は、治療期間を通じて一貫した日用量で投与される。いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンまたはブプロピオンの少なくとも一方は治療期間中に変化する日用量で投与される。これらの実施形態のいくつかにおいては、日用量は時間と共に増加する日用量を含む。これらの実施形態のいくつかにおいては、日用量は時間と共に減少する日用量を含む。
【0055】
いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンおよびブプロピオンは個別に投与される。いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンおよびブプロピオンは、ナルトレキソンおよびブプロピオンを含む単一の医薬組成物中で投与される。いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンまたはブプロピオンの少なくとも一方は、持続放出または制御放出製剤中にある。例えば、持続放出形態のナルトレキソンは、米国特許出願公開第2007/0281021号に記載されており、これはその全体が参照により、また、限定されるものではないが、持続放出形態のナルトレキソンおよびブプロピオン、それらを作製し、好適な剤形に製剤化する方法、ならびにそれらを投与する方法を説明する目的のためなどのあらゆる目的のために参照により本明細書に組込まれる。いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンまたはブプロピオンの少なくとも一方は、生理学的に許容し得る担体、希釈剤、もしくは賦形剤、またはその組合せと共に投与される。ナルトレキソン/ブプロピオン組合せ物、その製剤、およびそれらを投与する方法の非限定例は、米国特許第7,375,111号および第7,462,626号に開示されており、両方ともその全体が参照により、また、限定されるものではないが、ナルトレキソンおよびブプロピオンの組合せ、それらを作製し、好適な剤形に製剤化する方法、ならびにそれらを投与する方法を説明する目的のためなどのあらゆる目的のために本明細書に組込まれる。ナルトレキソンおよびナルトレキソン/ブプロピオン組合せ物の使用または投与に関する本明細書に記載の参照は、限定されるものではないが、個別の投与、単回剤形中での投与、塩および/もしくは代謝物の形態での投与、ならびに/または持続放出形態での投与などの、本明細書で開示または言及される全ての投与様式を含むことが理解される。本出願の化合物の製剤化および投与のための技術は、その全体が参照により本明細書に組込まれる「Remington's Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Co.、Easton, PA、第18版、1990に見出すことができる。
【0056】
いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンはブプロピオンの前に投与される。いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンはブプロピオンの後に投与される。いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンとブプロピオンは同時投与される。本明細書で用いられる「同時投与」は、単回剤形、または同時に、もしくはほぼ同時に投与される別々の剤形での投与を含む。
【0057】
いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンおよびブプロピオンの投与は、1、2、3、4、6、8、10、12、16、20、24、36、48、もしくは52週間、または約1、2、3、4、6、8、10、12、16、20、24、36、48、もしくは52週間、または前記値の任意の2つにより定義される範囲にわたって継続される。いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンおよびブプロピオンの投与は、疾患の症候、障害、または症状の減少が、1、2、3、4、5、6週間以上、または約1、2、3、4、5、6週間以上、または前記値の任意の2つにより定義される範囲にわたって安定化するまで継続される。例えば、いくつかの実施形態においては、組合せナルトレキソン/ブプロピオン療法の投与は、個体における体重増加の軽減または体重減少の促進が1、2、3、4、5、6週間以上、または約1、2、3、4、5、6週間以上、または前記値の任意の2つにより定義される範囲にわたって安定化するまで継続される。いくつかの実施形態においては、ナルトレキソン、またはナルトレキソンおよびブプロピオンの投与は、個体が最早治療を必要としなくなるまで継続される。
【0058】
いくつかの実施形態においては、薬物を「投与すること」は、個体が薬物を自身で取得および摂取することを含む。例えば、いくつかの実施形態においては、個体は薬局から薬物を取得し、本明細書で提供される方法に従って薬物を自己投与する。
【0059】
いくつかの実施形態においては、本発明は、キットに関する。キットは、ナルトレキソン、ブプロピオン、またはナルトレキソンおよびブプロピオンを含む1または複数の単位剤形を含んでもよい。単位剤形は、経口製剤のものであってもよい。例えば、単位剤形は、丸剤、錠剤、またはカプセル剤を含んでもよい。キットは、複数の単位剤形を含んでもよい。いくつかの実施形態においては、単位剤形は容器中にある。いくつかの実施形態においては、剤形は、ナルトレキソンおよびブプロピオンまたはその製薬上許容し得る塩を含む単回経口剤形である。
【0060】
本明細書に開示される方法、組成物およびキットは、情報を含んでもよい。この情報は、医薬品の製造、使用、または販売を規制する政府機関により規定された形態にあってもよく、その通知はヒトまたは動物への投与のための薬剤の形態の政府機関による認可を反映する。そのような情報は、例えば、処方薬に関して米国食品医薬品局により認可されたラベル、または認可された製品挿入物であってもよい。情報は、用量および剤形、投与スケジュールおよび投与経路、有害事象、禁忌、警告および事前注意、薬物相互作用、ならびに特定の集団における使用(例えば、全体が参照により本明細書に組込まれる21 C.F.R.§201.57を参照されたい)に関する必要な情報を含んでもよく、いくつかの実施形態においては、薬物の販売のために薬物上に存在させるか、またはそれと関連させることが必要である。また、適合可能な医薬担体中で製剤化された本発明の持続放出ナルトレキソン製剤を含む剤形を調製し、好適な容器中に入れ、示される症状の治療のために標識することができる。いくつかの実施形態においては、キットは、米国食品医薬品局などの政府機関の認可を要し、その規制を受ける処方薬の販売のためのものである。いくつかの実施形態においては、キットは、例えば、米国における消費者へのキットの販売のための、FDAなどの当局により要求されるラベルまたは製品挿入物を含む。
【0061】
情報は、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約32mg、もしくは約48mgのナルトレキソンまたはその製薬上許容し得る塩の用量で単位剤形を投与するための指示書を含んでもよい。情報は、約30mg、約90mg、約180mg、約360mg、または約450mgのブプロピオンまたはその製薬上許容し得る塩の用量で単位剤形を投与するための指示書を含んでもよい。これらの指示書は、様々な方法で提供することができる。情報は、いつ単位剤形を投与するかに関する指示を含んでもよい。例えば、情報は、別の薬剤または食品の投与と比較していつ単位剤形を投与するかに関する指示を含んでもよい。好ましい実施形態においては、情報は、ナルトレキソン、またはナルトレキソンおよびブプロピオンを、食品、好ましくは食事と共に摂取するように個体に指示する。
【0062】
いくつかの実施形態は、ナルトレキソンまたはその製薬上許容し得る塩を食品と共に摂取すれば、同じ量のナルトレキソンまたはその製薬上許容し得る塩を食品なしで摂取した場合と比較してナルトレキソンまたはその製薬上許容し得る塩のバイオアベイラビリティの増加が得られるという情報、好ましくは印刷情報を含む。いくつかの実施形態は、ブプロピオンまたはその製薬上許容し得る塩を食品と共に摂取すれば、同じ量のブプロピオンまたはその製薬上許容し得る塩を食品なしで摂取した場合と比較してブプロピオンまたはその製薬上許容し得る塩のバイオアベイラビリティの増加が得られるという情報、好ましくは印刷情報を含む。いくつかの実施形態は、ナルトレキソンおよびブプロピオンまたはその製薬上許容し得る塩を食品と共に摂取すれば、同じ量のナルトレキソンおよびブプロピオンまたはその製薬上許容し得る塩を食品なしで摂取した場合と比較してナルトレキソンおよび/もしくはブプロピオンまたはその製薬上許容し得る塩のバイオアベイラビリティの増加が得られるという情報、好ましくは印刷情報を含む。いくつかの実施形態は、ナルトレキソンおよび/もしくはブプロピオンまたはその製薬上許容し得る塩を食品と共に摂取すれば、同じ量のナルトレキソンおよびブプロピオンまたはその製薬上許容し得る塩を食品なしで摂取した場合よりも少ないか、またはあまり重篤ではない薬物関連有害事象が得られるという情報、好ましくは印刷情報を含む。いくつかの実施形態においては、有害事象は胃腸事象である。いくつかの実施形態においては、バイオアベイラビリティ、有害事象、または投与体制に関する指示に関する情報が被験者に提供され、その情報に記載された薬剤を含む剤形が被験者に提供され、その剤形はその情報に従って投与される。いくつかの実施形態においては、被験者は前記薬剤を必要とする患者である。いくつかの実施形態においては、薬剤は本明細書に記載の疾患のための療法として投与される。
【0063】
一部の実施形態において、本明細書に開示の方法、組成物およびキットは、ウェブをベースおよび/または電話をベースにした体重管理プログラムへの登録および/またはアクセスに関する情報を含むことができる。一部の実施形態において、ウェブをベースおよび/または電話をベースにした体重管理プログラムへの登録は、治療薬剤を入手することの必要条件である。一部の実施形態において、ウェブをベースおよび/または電話をベースにした体重管理プログラムへの登録は、治療薬剤または実際の薬剤に関する処方箋を入手した後のみに許される。一部の実施形態において、治療方法は、治療薬剤の受け入れに先立つおよび/または治療薬剤を受け入れる条件としてのウェブをベースおよび/または電話をベースにした体重管理プログラムへの登録を含む。一部の実施形態において、情報は、ウェブをベースおよび/または電話をベースにした体重管理プログラムへの登録および/またはアクセスのための唯一のログインまたは登録用鍵を含む。
【0064】
指示および/または情報は、好適な媒体もしくは基質上の印刷情報(例えば、情報が印刷された紙片)、コンピュータにより読み取り可能な媒体(例えば、情報が記録されたディスク、CDなど)、またはインターネットを介してアクセスすることができるウェブサイトアドレスなどの様々な形態で存在してもよい。印刷情報は、例えば、薬物製品に付随するラベル上で、薬物製品のための容器上で、薬物製品とともに包装されて、もしくは薬物製品とは別に患者に別途与えられる形で提供するか、または患者が無関係に情報を取得することができるような様式で(例えば、ウェブサイト)提供することができる。印刷情報はまた、患者の治療に関与する医療介護人に提供することもできる。いくつかの実施形態においては、情報は人に口頭で提供される。
【0065】
いくつかの実施形態は、商業的販売にとって好適な治療用包装を含む。いくつかの実施形態は、容器を含む。容器は、任意の従来の形状または製薬上許容し得る材料から作られた当業界で公知の形態、例えば、紙もしくは段ボール箱、ガラス製もしくはプラスチック製のビンもしくはジャー、再密閉可能な袋(例えば、異なる容器に入れるための錠剤の「リフィル」を保持するため)、または治療スケジュールに従ってパックから押し出すための個々の用量を含むブリスターパック中にあってもよい。用いられる容器は、含まれる正確な剤形に依存してもよく、例えば、従来の段ボール箱は一般には、液体懸濁液を保持するためには用いられない。単回剤形を市販するために単一の包装中に同時に2つ以上の容器を用いることができることが実現可能である。例えば、錠剤をビンに含有させ、次いで箱の中に含有させることができる。包装およびディスペンサーならびに経口剤形の非限定的例は、米国特許出願公開第2008/0110792号および2008/0113026号中に開示されており、これらの出願公開の双方とも、参照によりその全体で、限定はしないが、ナルトレキソンとブプロピオンとの組合せ、それらの組合せを調製し適切な剤形に製剤化する方法、それらの剤形を包装および分配する方法、ならびにそれらの剤形を投与する方法を説明する目的を含むすべての目的のために本明細書に組み込まれる。
【0066】
情報は、例えば、本明細書に記載の剤形を含有するビンに接着固定されたラベル(例えば、処方ラベルもしくは個別のラベル)上に書く;単位用量パケットを含有する箱の内部などの文書による包装挿入物として容器の内部に含有させる;箱の壁面に印刷するなど容器に直接適用する;または例えば、ヒモ、コードもしくは他の線、飾りひももしくはテザー型デバイスを介してビンの首部に固定された指示カードとして結ぶか、またはテープで固定することにより付着させることにより、容器と関連させることができる。情報は単位用量パックまたはブリスターパックまたはブリスターカード上に直接印刷することができる。
【0067】
用語「ブプロピオン」は一般に、ブプロピオンの遊離塩基、製薬上許容し得るブプロピオン塩(無水物形態、例えば、無水ブプロピオン)、ブプロピオン代謝物(例えば、ヒドロキシブプロピオン、トレオヒドロブプロピオン、およびエリスロヒドロブプロピオン)、ブプロピオン異性体、またはそれらの混合物を指すように本明細書で用いることができる。
【0068】
本明細書において用語「ナルトレキソン」は、ナルトレキソンの遊離塩基、ナルトレキソンの薬学上許容される塩(水和物および無水形態、例えば、ナルトレキソン塩酸塩二水和物および無水のナルトレキソン塩酸塩を含む)、ナルトレキソンの代謝産物、ナルトレキソンの異性体、またはこれらの混合物を指すのに、一般的な方式で使用することができる。
【0069】
本明細書で用いられる用語「製薬上許容し得る塩」とは、それが投与される生物に対して有意な刺激を引き起こさず、化合物の生物活性および特性を無効化しない化合物の製剤を指す。製薬上の塩は日常的な実験によって取得することができる。製薬上許容し得る塩の非限定例としては、塩酸ブプロピオン、塩酸ラダファキシン、塩酸ナルトレキソン、および6-βナルトレキソールヒドロクロリドが挙げられる。
【0070】
本開示を通じて、特定の化合物が名称によって記載される場合(例えば、ブプロピオンまたはナルトレキソン)、本開示の範囲はその名称を付けた化合物の製薬上許容し得る塩、エステル、アミド、または代謝物を包含すると理解される。例えば、本明細書の実施形態のいずれかにおいて、ナルトレキソンの活性代謝物(例えば、6-βナルトレキソール)は、ナルトレキソンと共に、またはその代わりに用いることができる。本明細書の実施形態のいずれかにおいて、S,S-ヒドロキシブプロピオン(すなわち、ラダファキシン)などのブプロピオンの活性代謝物は、ブプロピオンと共に組み合わせて、またはその代わりに用いることができる。
【0071】
本明細書で用いられる用語「持続放出」は、当業者によって理解される通り、その通常の意味を有し、かくして、非限定例として、長時間にわたる剤形からの薬物の制御された放出を含む。例えば、いくつかの実施形態においては、持続放出剤形は、同等の即時放出形態のものよりも遅い放出速度を有するもの、例えば、即時放出剤形の放出速度の80%未満のものである。
【0072】
参照標準として使用するのに適した即放性ナルトレキソン製剤は、REVIA(登録商標)の商標のナルトレキソン塩酸塩またはその等価物として広範に市販されている即放性ナルトレキソン製剤である。参照標準として使用するのに適した即放性ブプロピオン製剤は、WELLBUTRIN(登録商標)の商標またはその等価物として広範に市販されている即放性ブプロピオン製剤である。米国政府は、処方薬を標識することができる様式を規制し、かくして、REVIA(登録商標)ブランドの塩酸ナルトレキソンおよびWELLBUTRIN(登録商標)ブランドのブプロピオンに対する本明細書における参照は、当業者にとっては周知の、固定された、および明確な意味を有する。
【0073】
用語「経口剤形」は、本明細書中で使用する場合、当業者が理解するようなその通常的意味を有し、非限定的例を挙げれば、薬物または薬物群のヒトに投与できる形態の製剤、例えば、丸剤、錠剤、裸錠(core)、カプセル剤、キャプレッツ、散剤(loose powder)、溶液剤、および坐剤がある。
【0074】
用語、体重増加を「軽減する」または体重増加の「軽減」は、本明細書中で使用する場合、例えば、薬物の投与または生活活動の変化に付随する体重増加量の抑制または減少を包含する。一部の実施形態において、体重増加の軽減は、ナルトレキソンまたはブプロピオンの一方のみを投与するか、あるいはどちらも投与しない場合に典型的に経験する体重増加量に対比して測定される。
【0075】
本明細書で用いられる、体重減少の用語「促進」は、治療期間の少なくとも一部について、基準体重と比較して体重減少を引き起こすことを含む。これは、最初はいくらか体重が増加するが、治療過程の間に、治療を開始する前の基準と比較して体重が減少する個体、ならびに治療期間の終わりまでに失われた体重の一部または全部を再獲得する個体を含む。好ましい実施形態においては、治療期間の終わりに、個体は基準と比較して体重が減少している。好ましい実施形態においては、ナルトレキソンおよびブプロピオンを投与された患者における体重増加の軽減または体重減少の促進は、ナルトレキソンまたはブプロピオンのいずれも投与しない場合またはその一方のみを投与する場合よりも多く、より好ましくは、2つの化合物を投与する際の少なくとも付加効果であるか、または付加効果もしくは相乗効果よりも良好である。
【0076】
本明細書に記載のいずれの実施形態においても、治療方法は、スイス型の使用クレームなどの使用クレームを選択肢として内含することができる。例えば、組成物を用いて過体重または肥満を治療する方法は、過体重もしくは肥満の治療のための薬剤の製造における組成物の使用、または過体重もしくは肥満の治療のための組成物の使用を選択的に伴ってもよい。
【0077】
当業者であれば、本発明の精神から逸脱することなく、多くの様々な改変を加えることができることを理解できる。従って、本明細書に開示された本発明の実施形態は例示に過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが明確に理解されるべきである。本明細書に記載の参考文献は全て、本明細書で考察される材料に関して、およびその全体が参照により組込まれる。
【0078】
(実施例)
以下の実施例は、非限定的なものであり、本発明の様々な態様を単に代表するものである。
【0079】
実施例1に、徐放性(SR)のナルトレキソン/徐放性ブプロピオンでの治療は、心血管のリスク因子を有する過体重および肥満の対象において、重要な有害心血管事象(MACE)の発生を増加させないか、減少させることを立証する臨床試験のためのプロトコールを要約する。
【0080】
【表3A】
【0081】
【表3B】
【0082】
【表3C】
【0083】
【表3D】
【0084】
【表3E】
【0085】
【表3F】
【0086】
【表3G】
【0087】
【表3H】
【0088】
【表4A】
【0089】
【表4B】
【0090】
実施例2に、過体重および肥満の対象における、ライフスタイルへの包括的介入(CLI)プログラムと一緒にした徐放性ナルトレキソン/徐放性ブプロピオンの体重および心血管の危険因子に対する有益な効果を、ライフスタイルへの最低限の介入プログラムと比較して立証する臨床研究のためのプロトコールを要約する。
【0091】
【表5A】
【0092】
【表5B】
【0093】
【表5C】
【0094】
【表5D】
【0095】
【表5E】
【0096】
【表5F】
【0097】
【表6A】
【0098】
【表6B】
【0099】
【表7】
【0100】
【表8】
【外国語明細書】