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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008681
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】接合基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
H05K1/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112419
(22)【出願日】2021-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳田 聡司
【テーマコード(参考)】
5E338
【Fターム(参考)】
5E338AA01
5E338AA02
5E338AA03
5E338AA18
5E338BB13
5E338BB80
5E338EE60
(57)【要約】
【課題】製造コストを抑え、且つ、熱伝達性能を向上させることができる接合基板を得る。
【解決手段】接合基板10は、貫通穴21を有する配線基板20と、配線基板20の一方側の面に接着層30を介して接合される金属板40と、を備えている。金属板40は、配線基板20の貫通穴21と対向する面に形成された凹部42を有し、金属板40が配線基板20の一方側の面に接合された状態において、接着層30の材料の一部が金属板40の凹部42に入ることにより、接着層30の材料が貫通穴21を通って配線基板20の他方側の面にはみ出さないように構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通穴を有する配線基板と、
前記配線基板の一方側の面に接着層を介して接合される金属板と、を備え、
前記金属板は、前記配線基板の前記貫通穴と対向する面に形成された凹部を有し、
前記金属板が前記配線基板の一方側の面に接合された状態において、前記接着層の材料の一部が前記金属板の前記凹部に入ることにより、前記接着層の材料が前記貫通穴を通って前記配線基板の他方側の面にはみ出さないように構成された接合基板。
【請求項2】
前記凹部の開口面積は、前記配線基板の前記貫通穴の開口面積よりも大きく設定されている請求項1に記載の接合基板。
【請求項3】
前記凹部は、前記金属板の板厚方向に貫通した貫通穴で構成されている請求項1又は2に記載の接合基板。
【請求項4】
前記凹部は、線状の凹溝で構成されており、
前記凹溝の一端が前記金属板の端部に至るように構成された請求項1に記載の接合基板。
【請求項5】
前記凹部は、前記配線基板側の前記貫通穴に対応する位置に形成されている請求項1~4のいずれかに記載の接合基板。
【請求項6】
前記金属板は、規則的に配列された複数の前記凹部を有する請求項1~5のいずれかに記載の接合基板。
【請求項7】
前記接着層の材料は絶縁材料から成り、
前記接着層は絶縁層を構成している請求項1~6のいずれかに記載の接合基板。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接合基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の実装部品が搭載された回路基板に放熱用の接合回路基板を接合した接合基板が開示されている。この接合基板において、回路基板は、実装面に形成された配線パターンと、回路基板を貫通するスルーホールを有しており、実装面上の配線パターンには、はんだによる接合を用いて複数の実装部品が接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-243797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のように、回路実装用の基板に放熱用の基板を接合する場合、積層された基板の間には、基板同士を接合するための接着層が形成される。このような接着層は、熱硬化性の接着剤や、シート状の接着シートによって構成することができる。
【0005】
熱硬化性の接着剤を用いて基板同士を接合する場合、積層された基板と接着剤とをプレス機で加熱及び加圧して一体に接合する。しかしながら、接着剤の一部がスルーホールから基板の表面に飛び出すことを防ぐために、スルーホールを充填剤で塞ぐ等の加工が必要になり、製造コストが増加するという課題がある。
【0006】
一方、シート状の接着シートは、比較的安価に実施でき、スルーホールの内側に接着剤が侵入することを防ぐことができる。しかしながら、通常、接着シートの熱伝導性は接着剤に劣るため、実装部品や配線パターンで生じた熱を放熱用の基板へ伝達する熱伝達性能が低下するという課題がある。
【0007】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであり、製造コストを抑え、且つ、熱伝達性能を向上させることができる接合基板を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様に係る接合基板は、貫通穴を有する配線基板と、前記配線基板の一方側の面に接着層を介して接合される金属板と、を備え、前記金属板は、前記配線基板の前記貫通穴と対向する面に形成された凹部を有し、前記金属板が前記配線基板の一方側の面に接合された状態において、前記接着層の材料の一部が前記金属板の前記凹部に入ることにより、前記接着層の材料が前記貫通穴を通って前記配線基板の他方側の面にはみ出さないように構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る接合基板によれば、接合基板は、接着層を介して接合された配線基板と金属板とを備え、配線基板に実装された実装部品の熱を、金属板に伝達して放熱することができる。金属板は、配線基板の有する貫通穴と対向する面に形成された凹部を有し、金属板が配線基板の一方側の面に接合された状態では、接着層の材料の一部が金属板の凹部に入る構成となっている。従って、接着層の材料として熱伝導性の高い接着剤を使用しても、接着層の材料が貫通穴を通って配線基板の他方側の面にはみ出さないように構成されているため、接合基板の製造コストを抑え、且つ、熱伝達性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る接合基板に実装部品が搭載された状態を示す平面側斜視図である。
図2】第1実施形態に係る接合基板を構成する金属板の平面側斜視図である。
図3】第1実施形態に接合基板の部分断面図である。
図4】第1実施形態に係る金属板の変形例を示す部分平面図である。
図5】第2実施形態に係る接合基板であり、図3に対応する部分断面図である。
図6】第2実施形態に係る金属板の変形例を示す部分平面図である。
図7】第3実施形態に係る接合基板であり、図3に対応する部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の第1実施形態について図1図3を参照して説明する。本実施形態では、説明の便宜上、各図中に適宜示す上下、左右及び前後の矢印で示す方向を、それぞれ接合基板10の上下方向、左右方向、及び前後方向と定義して説明する。
【0012】
図1に示されるように、接合基板10は、絶縁基板の表面や内部に導体の配線が施された配線基板20と、配線基板20の下面(一方側の面)に接着層30を介して接合された金属板40とを有している。
【0013】
配線基板20は、前後方向及び左右方向に所定の幅を有し、上下方向を板厚方向とする矩形板状のプリント配線板である。配線基板20の上面(他方側の面)は、複数の実装部品を搭載する実装領域となっている。具体的に、配線基板20の上面には、銅箔で形成した配線パターン22(導体層)が接合され、配線パターン22の上に複数の実装部品を実装することで各種回路を構成する。配線基板20には、複数の実装部品の一例として、四つの半導体素子24と、一つのコンデンサ26と、四つの電極端子28とが実装されている。四つの半導体素子24は、CPUを備える図示しない制御部の制御により、整流回路の整流素子や、インバータ回路のスイッチング素子等を構成可能である。本実施形態において、上述した複数の実装部品は、はんだ印刷による接合を用いて、配線基板20の上面に実装されている。
【0014】
図3に示すように、配線基板20は、配線基板20の板厚方向に貫通する複数の貫通穴21を有する。これらの貫通穴21のうち、内周面に導体部21Aが成膜(めっき)されたものは、配線基板20の層間の導通、及び実装部品の端子を電気的に接続させるためのスルーホールを構成している。また、内周面に導体部21Aを有しないものは、部品固定用のノンスルーホールを構成している。
【0015】
図2に示すように、金属板40は、前後方向及び左右方向に所定の幅を有し、上下方向を板厚方向とする矩形板状に形成されている。金属板40は、アルミニウムや銅、又はこれらを主成分とする放熱性の高い金属材料で形成されており、配線基板20に実装された実装部品の熱を外部に放熱するための放熱用基板を構成している。
【0016】
本実施形態では、金属板40の上に、接着層30を構成するシート状の接着剤と、配線基板20を積層し、これらをプレス機の金型の内部で加熱及び加圧して接合基板10を成形する(接合工程)。シート状の接着剤は、一例として、エポキシ樹脂を主成分とした熱硬化性の接着剤であり、加熱により溶融することで、接着剤として機能する。また、これらは絶縁材料でもあり、硬化した後は、配線基板20と金属板40との絶縁を確保する絶縁層を構成する。接合工程において、溶融した状態の接着層30には、プレス機による圧力負荷が加わるため、接着層30の材料の一部が押し出されて配線基板20側の貫通穴21に流れ込む。この際、貫通穴21に流れ込む接着剤の量が多いと、貫通穴21を通って配線基板20の上面側に接着剤がはみ出すこととなり、硬化した接着剤により配線基板20の上面に凸部が形成されてしまう。
【0017】
接合基板10は、その後、配線基板20の上面にレジストフィルムを張り付けて加熱し、加圧することにより上面にレジストを形成した後、はんだ印刷による接合で上面の配線パターン22に実装部品(半導体素子24,コンデンサ26,電極端子28等)が接合される。上述の接合工程で配線基板20の上面に凸部が形成された場合、レジスト形成工程において、レジストフィルムの貼り付けが行えなくなるという問題がある。このレジスト成形工程は、レジストフィルムに替えて、液状のレジスト液を配線基板20の上面に塗布することでも行えるが、その場合であっても、はんだ印刷の工程において、平板状のはんだマスクを配線基板20の上面に密着させて載置することが困難になるため、はんだ印刷の工程が行えなくなるという問題が生じる。なお、配線基板20の上面にはみ出した接着剤の量が少量である場合でも、接着剤がはんだの内部に不純物として混入することで、はんだによる機械的な接合強度や、通電時の電力損失の大きさに影響を与える虞がある。
【0018】
そこで、本実施形態の金属板40には、図3に示すように、配線基板20の貫通穴21と対向する上面に複数の凹部42が形成されている。複数の凹部42はそれぞれ、金属板40の板厚方向に貫通する貫通穴で構成されており、配線基板20に接合された状態で、配線基板20側の貫通穴21に対応する位置に配置されている。従って、接合工程において、溶融した接着層30の材料の一部が、金属板40の凹部42にも分散して流れ込み、配線基板20側の貫通穴21を通って配線基板20の上面にはみ出さないように構成されている。
【0019】
また、凹部42は、金属板40を板厚方向に貫通しているため、凹部42の内側において、接着剤により押し出された空気は、滞留することなく放出される。これにより、凹部42の内側に気泡が生じないため、溶融した接着剤が、自重によって自然に凹部42に流れ込む構成となっている。本実施形態では、更に、凹部42の開口面積を配線基板20側の貫通穴21よりも大きく設定することで、凹部42内における流動抵抗を低減させ、流動する接着剤を積極的に凹部42内へ誘導している。
【0020】
(作用並びに効果)
以上、説明したように、本実施形態に係る接合基板10では、接着層30を介して、配線基板20と金属板40とが接合されており、配線基板20に実装された実装部品の熱が、金属板40に伝達され、金属板40を介して外部に放熱される。
【0021】
図3に示すように、金属板40は、配線基板20の有する貫通穴21と対向する面に形成された凹部42を有し、金属板40が配線基板20に接合された状態では、接着層30の材料の一部が金属板40の凹部42に入る構成となっている。従って、接着層30の材料が貫通穴21を通って配線基板20の上面にはみ出さないようにすることができるため、熱プレス機による一度の接合工程で接合基板を成形することができ、接合基板の製造コストを抑えることができる。また、接着層30の材料として、シート状の接着シートと比較して熱伝導性の高い接着剤を採用することができるので、接着層30の熱伝達性能を向上させることができる。
【0022】
また、本実施形態では、金属板40の凹部42の開口面積が、配線基板20の貫通穴21よりも大きく設定されている。これにより、接着層30の材料の流動抵抗は、貫通穴21に流入する場合よりも凹部42に流入する場合の方が小さくなるため、凹部42内へ流動する接着剤の量を増やすことができる。
【0023】
更に、凹部42は、金属板40を板厚方向に貫通した貫通穴で構成されているため、接着層30によって押し出された空気が、凹部42の内側に滞留しない。従って、凹部42の内側では、接着層30の材料の流動が滞留する気泡などによって妨げられることがなく、接着層30の自重によって自然と凹部42の内側へ流れ込む構成となっている。このように、簡単な構成にして、凹部42の内側へ積極的に接着層30の材料を流すことができる。
【0024】
また、本実施形態では、複数の凹部42のそれぞれが、配線基板20側の貫通穴21に対応する位置に形成されているため、配線基板20側の貫通穴21に流入しようとする接着層30の材料を効率良く分散させて、凹部42に誘導することができる。
【0025】
また、本実施形態では、接着層30の材料は絶縁材料から成り、接着層30は、配線基板20と金属板40の絶縁を確保する絶縁層を構成している。従って、接着層30とは別体に絶縁層を形成する構成と比較して、絶縁距離の変更や調整が容易に行えると共に、材料コストを削減することができる。
【0026】
(第1実施形態の変形例)
なお、上記実施形態では、金属板40に形成された複数の凹部42は、配線基板20側の貫通穴21に対応する位置に配置される構成としたが、この場合、配線パターンの異なる他の製品の配線基板には、共通の金属板40を使用することができない。従って、金属板40の汎用性を高めるという観点では、図4に示す変形例に係る金属板50の構成を適用してもよい。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0027】
図4に示すように、金属板50では、格子状に組まれた配列基準線Lに沿って複数の凹部42が規則的に配列されている。複数の凹部42は、配列基準線Lの縦線L1と横線L2とが交差する位置にそれぞれ形成され、互いに所定の間隔を空けて金属板50の上面に均等に配置されている。
【0028】
上記構成の金属板50によれば、複数の凹部42が配列された所定の領域で、成形時に押し出された接着層の材料の一部を複数の凹部42に均一に分散させることができる。従って、種類の異なる製品間で、共通の金属板を用いて接合基板を形成することができるため、汎用性に優れる。
【0029】
以下、図5を参照して、第2実施形態に係る接合基板60について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。この第2実施形態に係る接合基板60では、金属板62に形成される凹部64が、線状の凹溝で構成される点に特徴がある。他の構成については、第1実施形態と同一である。
【0030】
金属板62は、接着層30を介して配線基板20の下面に接合されており、配線基板20側の貫通穴21に対応する位置に、複数の凹部64を有している。図5に示す二つの凹部64A,64Bの断面は、どちらも同様の構成を備える凹部64を示しているが、凹部64Aは、凹部64が延在方向と直交する方向に沿って切断された状態の断面を示しており、凹部64Bは、凹部64が、延在方向に沿って切断された状態の断面を示している。この図に示されるように、凹部64は、一例として、配線基板20側に開口した矩形溝状に形成されており、線状に延在する一端641が、金属板62の端部に至る構成となっている。これにより、金属板62が配線基板20に接合された状態においても、凹部64内の空間は、密閉された閉空間とならずに、金属板62の端部に至る一端641が凹部64の内外を連通させている。
【0031】
(作用並びに効果)
上記構成によれば、凹部64を構成する凹溝の一端641が金属板62の端部に至り、凹部42の内外を連通させている。従って、凹部64の内側に流れ込んだ接着層30の材料により、凹部64から押し出される空気が一端641を経て外部に放出される構成となっている。従って、接着層30によって押し出された空気が、凹部64の内側に滞留しないため、接着層30の材料の流動が妨げられることがなく、接着層30の自重によって自然と凹部64の内側へ流れ込む構成とすることができる。
【0032】
また、凹部64は、線状の凹溝で構成されるため、例えば、配線基板20の配線パターン22に沿って延在させることができる。この場合、一つの凹部64で複数の貫通穴21に対応する構成とすることができ、接着層30の流動を効率的にコントロールすることができる。
【0033】
(第2実施形態の変形例)
なお、上記実施形態では、金属板62に形成された複数の凹部64は、配線基板20側の貫通穴21に対応する位置に配置される構成としたが、この場合、配線パターンの異なる他の製品の配線基板20には、共通の金属板62を使用することができない。従って、金属板62の汎用性を高めるという観点では、図6に示す変形例に係る金属板70の構成を適用してもよい。なお、前述した第2実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0034】
図6に示すように、金属板70では、縦方向に延びる複数の凹部64Aと横方向に延びる複数の凹部64Bが交差して、格子状を成すように規則的に配列されている。格子状を成す複数の凹部64(64A,64B)は、金属板70における所定の領域に形成されてもよく、金属板70の全域に形成してもよい。金属板70の全域に形成する場合には、複数の凹部64の両端が金属板70の端部に至る構成となるため、切削加工や鍛造で、金属板70に凹部64を形成することができる。
【0035】
上記構成の金属板70によれば、凹部64が配列された所定の面積の領域で、成形時に押し出された接着層の材料の一部を均一に分散させることができる。このため、種類の異なる製品間で、共通の金属板を用いて接合基板を形成することができるため、汎用性に優れる。
【0036】
以下、図7を参照して、第3実施形態に係る接合基板80について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。この第3実施形態では、配線基板20の下面(一方側の面)に、貫通穴21の開口を塞ぐシート片82を設ける点に特徴がある。また、シート片82によって貫通穴21に開口を塞ぐ構成としたため、金属板84は、第1実施形態の凹部42に相当する構成を有しない。他の構成については、第1実施形態と同一である。
【0037】
図7に示すように、配線基板20には、複数のシート片82が設けられている。複数のシート片82はそれぞれ、シート状の小片であり、配線基板20に形成された複数の貫通穴21の開口を塞ぐように配置されている。このシート片82は、例えば、絶縁材料から成るシート部材の両面に接着面を設けた接着シートで構成されている。
【0038】
製造工程では、先ず、接着シートの片面の保護フィルムを剥離した状態で、接着シートの表面にシート片82の形状のハーフカットを配線基板20の位置に対応して形成する処理が行われる。次いで、剥離テープ等を用いて、接着シートの片面に残った保護フィルム上にシート片82だけが残るように周囲の接着シートを剥離する。その後、シート片82の上から配線基板20の下面を押し当てる。最後に、残った保護フィルムを剥離することにより、配線基板20の下面に、貫通穴21の開口を塞ぐシート片82が接着された状態になる。配線基板20は、シート片82が接着された状態で、金属板84と接着剤の上に積層され、第1実施形態と同様にプレス機を用いて接合される。
【0039】
(作用並びに効果)
上記構成によれば、配線基板20と接着層30の界面において、配線基板20に形成された貫通穴21の開口がシート片82によって塞がれている。このため、プレス機の圧力により、溶融した接着層30の材料の一部が貫通穴21に流れ込むことをシート片82によって阻止することができ、接着層30の材料が貫通穴21に侵入しない。また、シート片82は、貫通穴21の周辺のみに配置され、配線基板20と金属板40とが、熱伝導性の高い接着層30を介して接合されている。これにより、シート片82による熱伝導性の低下を極力抑えて、所望の熱伝達性能を確保することができる。
【0040】
[補足説明]
上記各実施形態及び各変形例では、配線基板を多層基板として構成したが、本発明は、片面基板や、両面基板にも適用することができる。
【0041】
上記第1実施形態では、金属板40の凹部42を貫通穴で構成したが、本発明はこれに限らず、例えば、金属板40の上面側にのみ開口した有底の穴で凹部を構成してもよい。
【0042】
上記第3実施形態では、一枚のシート片で一つの貫通穴21を塞ぐ構成としたが、複数の貫通穴21が近接して設けられている場合は、一枚のシート片で複数の貫通穴21開口を塞ぐ構成としてもよい。
【符号の説明】
【0043】
10 接合基板
20 配線基板
30 接着層
40 金属板
21 貫通穴
42 凹部
50 金属板
60 接合基板
62 金属板
64 凹部(64A,64B)
70 金属板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7