(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086823
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20230615BHJP
【FI】
G08G1/16 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067208
(22)【出願日】2023-04-17
(62)【分割の表示】P 2018176678の分割
【原出願日】2018-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】千葉 大将
(72)【発明者】
【氏名】武内 優太
(72)【発明者】
【氏名】河内 洋人
(57)【要約】
【課題】移動体の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助することができる情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、及び記憶媒体を提供する。
【解決手段】注意喚起処理装置110が、記憶部220から、移動体1の運転者が聞き逃しやすい音に関する情報が位置又は領域に対応付けられたデータを取得するデータ取得部111と、移動体1の外部の音を取得する音取得部112と、移動体1の位置を取得する位置取得部113と、移動体1の位置が、上記のデータにおける位置又は領域に存在し、且つ、その位置又は領域に対応付けられた情報に対応した音が外部の音に含まれているか否かを判定する注意喚起判定部114と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部から、移動体の運転者が聞き逃しやすい音に関する情報が位置又は領域に対応付けられたデータを取得する取得部と、
前記移動体の外部の音を取得する音取得部と、
前記移動体の位置を取得する位置取得部と、
前記移動体の位置が前記位置又は領域に存在し、且つ、前記情報に対応した音が前記外部の音に含まれているか否かを判定する判定部と、
前記移動体の内部において、前記外部の音を前記判定部での判定結果に応じた再生態様で再生する再生部と、
を備え、
前記判定部は、前記音取得部で取得された前記外部の音に対して、前記運転者が注意を払うべき音として予め定められた要注意音を抽出する抽出処理を行い、前記外部の音から前記要注意音が抽出され、且つ、前記移動体の位置が前記位置又は領域に存在する場合に、当該位置又は領域に対応付けられている前記情報に対応した音と前記要注意音が一致するか否かを判定する部位であることを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体についての情報処理を行う情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、及び情報処理プログラムを記憶した記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体についての情報処理の一例として、移動体の外部に運転者が視認し難い対象が存在しているか否かを判断する情報処理が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の情報処理では、移動体の外部の画像等に基づいて、視認し難い対象が存在しているか否かの判断が行われる。このような情報処理によれば、判断結果に応じて運転者に各種の通知を行うことで、運転者に適宜に注意を促すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、運転者が移動体の外部の状況を認識するに当たって、聴覚的に外部の状況を認識することも頻繁に行われることである。しかしながら、聴覚的な認識については、現状では運転者個々の聴覚能力や集中力に任されており、移動体の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助する情報処理については未だなされていないのが現状である。
【0005】
したがって、本発明の課題は、移動体の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助することができる情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、及び記憶媒体を提供すること等が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決し目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、記憶部から、移動体の運転者が聞き逃しやすい音に関する情報が位置又は領域に対応付けられたデータを取得する取得部と、前記移動体の外部の音を取得する音取得部と、前記移動体の位置を取得する位置取得部と、前記移動体の位置が前記位置又は領域に存在し、且つ、前記情報に対応した音が前記外部の音に含まれているか否かを判定する判定部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、前述した課題を解決し目的を達成するために、本発明の情報処理方法は、記憶部から、移動体の運転者が聞き逃しやすい音に関する情報が位置又は領域に対応付けられたデータを取得する取得工程と、前記移動体の外部の音を取得する音取得工程と、前記移動体の位置を取得する位置取得工程と、前記移動体の位置が前記位置又は領域に存在し、且つ、前記情報に対応した音が前記外部の音に含まれているか否かを判定する判定工程と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、前述した課題を解決し目的を達成するために、本発明の情報処理プログラムは、上述した本発明の情報処理方法を、コンピュータにより実行させることを特徴とする。
【0009】
また、前述した課題を解決し目的を達成するために、本発明の記憶媒体は、上述した本発明の情報処理プログラムを記憶したことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施例における移動体とサーバとを示す模式図である。
【
図2】
図1に示されている移動体及びサーバそれぞれにおける装置構成を示す模式的なブロック図である。
【
図3】
図2に示されている記憶部に記憶されているデータのデータ構造を示す模式図である。
【
図4】
図3に示されているデータ構造をテーブル形式で示す図である。
【
図5】
図2に示されている注意喚起判定部が判定に用いる情報テーブルを示す模式図である。
【
図6】
図2に示されている情報取得判定部が運転情報の判定に用いる情報テーブルを示す模式図である。
【
図7】
図2に示されているデータ作成部で行われる個別対応情報に対する統計処理を示す模式図である。
【
図8】
図2に示されている注意喚起処理装置で実行される情報処理方法の処理の流れを表すフローチャートである。
【
図9】
図2に示されている情報取得処理装置で実行される情報処理方法の処理の流れを表すフローチャートである。
【
図10】
図2に示されているデータ作成装置で実行されるデータ作成方法の処理の流れを表すフローチャートである。
【
図11】第2実施例における移動体とサーバそれぞれにおける装置構成を示す模式的なブロック図である。
【
図12】
図11に示されている情報取得処理装置で実行される情報処理方法の処理の流れを表すフローチャートである。
【
図13】
図11に示されているデータ作成装置で実行されるデータ作成方法の処理の流れを表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を説明する。本発明の実施形態に係る情報処理装置は、取得部と、音取得部と、位置取得部と、判定部と、を備えている。取得部は、記憶部から、移動体の運転者が聞き逃しやすい音に関する情報が位置又は領域に対応付けられたデータを取得する。音取得部は、移動体の外部の音を取得する。位置取得部は、移動体の位置を取得する。判定部は、移動体の位置が、取得部で取得されたデータにおける位置又は領域に存在し、且つ、取得部で取得されたデータにおける情報に対応した音が外部の音に含まれているか否かを判定する。
【0012】
本実施形態の情報処理装置によれば、記憶部から取得されたデータにおける情報に対応した音、即ち、移動体の運転者が聞き逃しやすい音が、移動体の外部の音に含まれているか否かが判定される。これにより、その判定結果に基づいて、聞き逃しやすい音について運転者に適宜に注意を促す等といった運用を行うことができる。このように、本実施形態の情報処理装置によれば、移動体の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助することができる。
【0013】
ここで、本実施形態の情報処理装置は、移動体の内部において、外部の音を判定部での判定結果に応じた再生態様で再生する再生部、を備えている。
【0014】
本実施形態によれば、外部の音を判定部での判定結果に応じた再生態様で再生することにより、聞き逃しやすい音について運転者が聞き取りやすい態様で注意を促すことができる。
【0015】
また、本実施形態では、判定部において、記憶部から取得されたデータにおける情報に対応した音が含まれていると判定された場合、再生部は、当該音を他の音に対して強調した再生態様で外部の音を再生する。
【0016】
本実施形態によれば、聞き逃しやすい音を強調するという、処理負担の小さい再生態様によって運転者に注意を促すことができる。
【0017】
また、本実施形態の情報処理装置は、判定部において、記憶部から取得されたデータにおける情報に対応した音が含まれていると判定された場合、当該音の存在を運転者に通知する通知部を備えている。
【0018】
本実施形態によれば、上記の通知部での通知により、聞き逃しやすい音について運転者に対し直接的に注意を促すことができる。
【0019】
また、本発明の実施形態に係る情報処理方法は、取得工程と、音取得工程と、位置取得工程と、判定工程と、を備えている。取得工程は、記憶部から、移動体の運転者が聞き逃しやすい音に関する情報が位置又は領域に対応付けられたデータを取得する工程である。音取得工程は、移動体の外部の音を取得する工程である。位置取得工程は、移動体の位置を取得する工程である。判定工程は、移動体の位置が、取得工程で取得されたデータにおける位置又は領域に存在し、且つ、取得工程で取得されたデータにおける情報に対応した音が外部の音に含まれているか否かを判定する工程である。
【0020】
本実施形態の情報処理方法によれば、記憶部から取得されたデータにおける情報に対応した音、即ち、移動体の運転者が聞き逃しやすい音が、移動体の外部の音に含まれているか否かが判定される。これにより、その判定結果に基づいて、聞き逃しやすい音について運転者に適宜に注意を促す等といった運用を行うことができる。このように、本実施形態の情報処理方法によれば、移動体の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助することができる。
【0021】
また、本発明の実施形態に係る情報処理プログラムは、上述した情報処理方法を、コンピュータにより実行させる。
【0022】
本実施形態に係る情報処理プログラムによれば、上述した情報処理方法を、コンピュータにより実行させることで、移動体の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助することができる。
【0023】
また、本発明の実施形態に係る記憶媒体は、上述した情報処理プログラムを記憶したものとなっている。
【0024】
本実施形態の記憶媒体によれば、記憶されている情報処理プログラムにより、上述した情報処理方法をコンピュータで実行させることができる。これにより、移動体の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助することができる。
【実施例0025】
以下、移動体の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助するという課題を解決するための実施例について図を参照して具体的に説明する。まず、第1実施例について説明する。
【0026】
図1は、第1実施例における移動体とサーバとを示す模式図であり、
図2は、
図1に示されている移動体及びサーバそれぞれにおける装置構成を示す模式的なブロック図である。
【0027】
本実施例では、
図1に示されているように、各々が乗用車である複数台の移動体1が、1台のサーバ2に無線接続されている。サーバ2には、運転者が聞き逃しやすい音が頻発する位置や領域を表したデータを記憶する記憶部220が設けられている。また、サーバ2には、記憶部220に記憶させるデータを作成するデータ作成装置210が設けられている。
【0028】
他方、各移動体1には、注意喚起処理装置110と情報取得処理装置120とが設けられている。注意喚起処理装置110は、サーバ2の記憶部220に記憶されているデータを、無線通信を介して取得し、そのデータに基づいて、聞き逃しやすい音について運転者に注意喚起を行う装置である。また、情報取得処理装置120は、サーバ2の記憶部220に記憶させるデータを作成するための情報取得を行う装置である。
【0029】
本実施例では、注意喚起処理装置110及び情報取得処理装置120の構成要素は、その一部を除いて、移動体1に搭載されたナビゲーション装置に構築されている。
【0030】
移動体1の注意喚起処理装置110、情報取得処理装置120、及びサーバ2のデータ作成装置210の各構成要素について説明する前に、まず、記憶部220に記憶されるデータのデータ構造について説明する。
【0031】
図3は、
図2に示されている記憶部に記憶されているデータのデータ構造を示す模式図であり、
図4は、
図3に示されているデータ構造をテーブル形式で示す図である。
【0032】
図3及び
図4に示されているデータ構造221は、次のような統計的対応情報221bを含んだデータ構造となっている。統計的対応情報221bは、道路ネットワーク221a上の位置又は領域と、これらの位置又は領域を不特定多数の移動体1が走行する際に統計的に多くの移動体1の運転者が聞き逃しやすい音に関する情報と、が対応付けられた情報となっている。また、道路ネットワーク221a上の位置とは、道路ネットワーク221aを構成するノード221cや、道路ネットワーク221aを構成する道路リンク221d上のポイント221eのことである。また、道路ネットワーク221a上の領域とは、道路ネットワーク221aを構成する道路リンク221dのことである。また、運転者が聞き逃しやすい音に関する情報とは、その音の発生源のことである。
【0033】
図3及び
図4の例では、5つの統計的対応情報221bが例示されている。第1の統計的対応情報221b-1では、道路リンクL1に、聞き逃しやすい音の発生源として「子供」及び「自転車」が対応付けられている。第2の統計的対応情報221b-2では、道路リンクL2に「自転車」が対応付けられている。第3の統計的対応情報221b-3では、道路リンクL3上のポイントP1に「自転車」が対応付けられている。第4の統計的対応情報221b-4では、ノードN1に「子供」が対応付けられている。第5の統計的対応情報221b-5では、ノードN2に「スケートボード」が対応付けられている。
【0034】
これらの統計的対応情報221bは、次のような場合を意味している。例えばスケートボードや自転車の利用者や子供が存在しがちな学校や公園や路地等と、それらの発する音を騒音に埋もれさせがちな交通量の多い道路や大規模ショッピングモール等と、が近接している場合等を意味している。このような場合に当る位置や領域では、統計的に多くの運転者が、スケートボードの音や、自転車の音や、子供の声を聞き逃しやすい。
【0035】
本実施例では、以上に説明したデータ構造221を有するデータが、サーバ2に設けられた記憶部220に記憶されている。この記憶部220は、サーバ2に設けられた記憶装置としてのハードディスク装置となっている。尚、上記のデータを記憶するものはハードディスク装置に限るものではなく、書込み/読み出しが可能な他の記憶装置であってもよく、あるいは、公知の可搬型記憶媒体であってもよい。可搬型記憶媒体にデータを記憶しておく場合、上記の記憶部220は、可搬型記憶媒体の設置と取外しが可能なリーダ/ライタ装置となる。
【0036】
そして、各移動体1の注意喚起処理装置110では、記憶部220に記憶されたデータに基づいて、運転者に注意喚起が行われる。
【0037】
また、本実施例では、サーバ2のデータ作成装置210において統計的対応情報221bの生成、つまりは、統計的対応情報221bを含んだデータ構造221を有するデータの作成が行われる。
【0038】
そして、各移動体1の情報取得処理装置120では、サーバ2のデータ作成装置210における統計的対応情報221bの生成の源泉となる各種情報の取得が行われる。
【0039】
図2に示されているように、移動体1の注意喚起処理装置110は、データ取得部111、音取得部112、位置取得部113、注意喚起判定部114、対応処理部115、及び第1通信部116を備えている。また、対応処理部115は、再生部115a及び通知部115bを備えている。
【0040】
データ取得部111は、サーバ2の記憶部220から、移動体の運転者が聞き逃しやすい音に関する情報が位置又は領域に対応付けられた、
図3及び
図4に示されているデータ構造221のデータを、第1通信部116を介して取得する。
【0041】
音取得部112は、移動体1の各所に設置されたマイクを有し、これらのマイクを通して移動体1の外部の音を取得する。
【0042】
位置取得部113は、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)等の測位システムを用いて移動体1の位置を取得する。
【0043】
注意喚起判定部114は、まず、位置取得部113で取得された移動体1の位置が、データ取得部111で取得されたデータの統計的対応情報221bにおける位置又は領域に存在するか否かを判定する。更に、注意喚起判定部114は、統計的対応情報221bにおいて、その位置又は領域に対応付けられた、運転者が聞き逃しやすい音が、音取得部112で取得された外部の音に含まれているか否かを判定する。
【0044】
ここで、注意喚起判定部114は、以下に説明する情報テーブルを記憶しており、運転者が聞き逃しやすい音についての判定にその情報テーブルを用いる。
【0045】
図5は、
図2に示されている注意喚起判定部が判定に用いる情報テーブルを示す模式図である。
【0046】
この
図5に示されている情報テーブル114aは、運転者が注意を払うべき音として予め定められた要注意音の名称と、その要注意音の抽出条件と、を互いに対応付けたテーブルである。
図5の例では、要注意音の名称として、「子供の声」、「自転車の音」、及び「スケートボードの音」が挙げられている。そして、各要注意音の抽出条件が、各要注意音に特有の周波数範囲と音のレベル範囲とで規定されている。
【0047】
尚、要注意音は、上述した「子供の声」、「自転車の音」、及び「スケートボードの音」に限るものではなく、適宜に設定し得る。また、抽出条件も、周波数範囲と音のレベル範囲とに限るものではなく、要注意音の抽出の条件足り得るものであれば具体的な条件内容を問うものではない。
【0048】
図2に示されている注意喚起判定部114は、運転者が聞き逃しやすい音についての判定に当り、まず、音取得部112で取得された外部の音に対する周波数解析を行う。そして、その解析結果に基づいて、情報テーブル114aに規定されている抽出条件を満たす要注意音の抽出を行う。そして、外部の音から何等かの要注意音が抽出され、且つ、その抽出された要注意音が、上記の統計的対応情報221bにおける運転者が聞き逃しやすい音と一致するか否かを判断する。両者が一致する場合に、注意喚起判定部114は、外部の音に運転者が聞き逃しやすい音が含まれていると判定する。
【0049】
対応処理部115の再生部115aは、移動体1の内部に設置されたスピーカを有し、そのスピーカを通して、音取得部112が取得した外部の音を再生するものである。このとき、再生部115aは、その外部の音を注意喚起判定部114での判定結果に応じた再生態様で再生する。本実施例では、移動体1の位置が統計的対応情報221bにおける位置又は領域に存在し、且つ、その統計的対応情報221bにおける聞き逃しやすい音が外部の音に含まれていると注意喚起判定部114が判定した場合、再生部115aが次のような再生を行う。即ち、このような場合、再生部115aは、注意喚起判定部114において要注意音として抽出された聞き逃しやすい音を他の音に対して強調した再生態様で外部の音を再生する。
【0050】
再生部115aにおいて実施される、聞き逃しやすい音を他の音に対して強調した再生態様は、ここでは特定しないが、例えば聞き逃しやすい音の音量を増大させて再生する態様や、聞き逃しやすい音にエコーを掛けて再生する態様等が一例として挙げられる。
【0051】
対応処理部115の通知部115bは、移動体1の位置が統計的対応情報221bにおける位置又は領域に存在し、且つ、聞き逃しやすい音が外部の音に含まれていると注意喚起判定部114が判定した場合、聞き逃しやすい音の存在を運転者に通知する。通知部115bによる通知手法は、ここでは特定しないが、例えば音声メッセージで通知したり、メッセージ文やメッセージ画像を表示画面に表示したり、LEDインジケータを点灯させたりする手法等が一例として挙げられる。
【0052】
第1通信部116は、サーバ2との間で無線通信を行う。この第1通信部116による無線通信は、通信される各種情報に、第1通信部116が搭載されている移動体1を識別するための、例えば車体ナンバー等の識別子を付して行われる。
【0053】
次に、
図2に示されている情報取得処理装置120について説明する。本実施例では、情報取得処理装置120は、注意喚起処理装置110が備える音取得部112、位置取得部113、及び第1通信部116を、情報取得処理装置120の構成要素として利用している。情報取得処理装置120は、音取得部112、位置取得部113、及び第1通信部116の他に、運転情報取得部121、情報取得判定部122、認識部123、及び情報出力部124を備えている。
【0054】
運転情報取得部121は、移動体1の挙動及び運転者の挙動の両方に関する運転情報を取得する。移動体1の挙動については、ハンドルやブレーキ等といった運転に係る諸装置の操作情報を取得し、運転者の挙動については、移動体1に搭載されたアイトラッカーで運転者の視線に関する情報を取得している。
【0055】
尚、運転情報の取得は、上述の取得手法に限るものではなく、移動体1の挙動や運転者の挙動に関する情報を取得するものであれば、具体的な手法を問うものではない。また、本実施例とは異なり、移動体1の挙動及び運転者の挙動のうちの一方のみに関する運転情報を取得することとしてもよい。
【0056】
情報取得判定部122は、音取得部112で取得された外部の音及び運転情報取得部121で取得された運転情報に基づいて、外部の音に運転者が聞き逃しやすい音が含まれているか否かを判定する。情報取得判定部122は、まず、音取得部112で取得された外部の音から、上述した要注意音の抽出を試みる。情報取得判定部122は、注意喚起処理装置110の注意喚起判定部114が記憶している情報テーブル114a(
図5)と同様の情報テーブルを記憶しており、この情報テーブルを用いて要注意音の抽出を試みる。そして、何等かの要注意音が抽出された場合に、情報取得判定部122は、運転情報取得部121で危険運転に関する運転情報が取得されたか否かを判定する。この危険運転に関する運転情報の判定には、以下に説明するもう1つの情報テーブルが用いられる。
【0057】
図6は、
図2に示されている情報取得判定部が運転情報の判定に用いる情報テーブルを示す模式図である。
【0058】
この
図6に示されている情報テーブル122aは、各種の危険運転に関する情報としての運転名称と、各危険運転の抽出条件と、を互いに対応付けたテーブルである。
図4の例では、危険運転に係る運転名称として「急ブレーキ」、「よそ見」、及び「機器操作」が挙げられている。「急ブレーキ」の抽出条件としては、ブレーキ装置で急ブレーキに関するブレーキ操作情報が得られたこと等が挙げられる。「よそ見」の抽出条件としては、アイトラッカーでの運転者の視線の検出方向が、移動体1の進行と関係ない方向を向いていること等が挙げられる。「機器操作」の抽出条件としては、ナビゲーション装置やオーディオ装置等の移動体1の搭載機器についての機器操作情報が得られたこと等が挙げられる。
【0059】
尚、危険運転は、上述した「急ブレーキ」、「よそ見」、及び「機器操作」に限るものではなく、適宜に設定し得る。また、抽出条件も、上述した条件に限るものではなく、危険運転の抽出の条件足り得るものであれば具体的な条件内容を問うものではない。
【0060】
図2に示されている情報取得判定部122は、音取得部112で取得された外部の音から要注意音が取得されると、運転情報取得部121で、
図6の情報テーブル122aにおける抽出条件に合致する危険運転に関する運転情報が得られているか否かを判定する。そして、情報取得判定部122は、外部の音から何等かの要注意音が抽出され、且つ、危険運転に関する運転情報が得られていた場合、外部の音に、その要注意音が聞き逃しやすい音として含まれていると判定する。
【0061】
認識部123は、外部の音及び運転情報に基づいて、運転者が聞き逃しやすい音の発生源を認識する。具体的には、認識部123は、外部の音及び運転情報に基づいて情報取得判定部122が外部の音に聞き逃しやすい音として含まれていると判定した要注意音の、例えば「子供」や「自転車」等といった発生源を、聞き逃しやすい音の発生源として認識する。
【0062】
情報出力部124は、情報取得判定部122で外部の音に運転者が聞き逃しやすい音が含まれていると判定されると、次のような個別対応情報を生成する。この個別対応情報は、情報取得判定部122で外部の音に運転者が聞き逃しやすい音が含まれていると判定されたときに位置取得部113で取得された移動体1の位置に運転者が聞き逃しやすい音に関する情報を対応付けた情報である。ここで、本実施例では、聞き逃しやすい音に関する情報として、認識部123で認識された当該音の発生源が採用されている。
【0063】
尚、個別対応情報において、聞き逃しやすい音に関する情報に対応付けられるのは、移動体1の位置に限らず、その位置を含む領域であってもよい。この場合、移動体1の位置を含む領域としては、
図3に示されている道路ネットワーク221aにおいて、GNSSで得られる移動体1の位置が属する道路リンク221d等が挙げられる。また、個別対応情報における聞き逃しやすい音に関する情報も、上記のような発生源に限らず、当該音を表す録音データ等であってもよい。
【0064】
情報出力部124は、このようにして個別対応情報を生成すると、その個別対応情報を、情報収集サーバたるサーバ2に第1通信部116を介して出力する。
【0065】
サーバ2では、複数の移動体1それぞれから送られてくる個別対応情報がデータ作成装置210で受け取られる。データ作成装置210は、情報収集部211、データ作成部212、提供部213、及び第2通信部214、を備えている。
【0066】
情報収集部211は、複数の移動体1から、各移動体1の運転者が聞き逃しやすい音に関する情報に当該音が発生した位置が対応付けられた上述の個別対応情報を収集する。
【0067】
データ作成部212は、情報収集部211で収集された個別対応情報に対して統計処理を行い、統計的に運転者が聞き逃しやすい音に関する情報が位置又は領域に対応付けられた、
図3及び
図4に示されているデータ構造221のデータを作成する。
【0068】
図7は、
図2に示されているデータ作成部で行われる個別対応情報に対する統計処理を示す模式図である。
【0069】
図7には、第1~第11の個別対応情報211a-1,211a-2,・・・211a-11が収集され、統計処理によって、
図3及び
図4にも示されている第1の統計的対応情報221b-1と第3の統計的対応情報221b-3が生成される例が示されている。
【0070】
第1の個別対応情報211a-1は、道路リンクL4上の位置G1に聞き逃しやすい音の発生源として「子供」が対応付けられた情報であり、第2の個別対応情報211a-2は、道路リンクL4上の位置G2に「自転車」が対応付けられた情報である。道路リンクL4上の2つの位置G1,G2は、互いに所定程度以上に離れて分散している。
【0071】
第3の個別対応情報211a-3は、道路リンクL1上の位置G3に「子供」が対応付けられた情報であり、第4の個別対応情報211a-4は、道路リンクL1上の位置G4に「子供」が対応付けられた情報である。第5の個別対応情報211a-5は、道路リンクL1上の位置G5に「自転車」が対応付けられた情報であり、第6の個別対応情報211a-6は、道路リンクL1上の位置G6に「自転車」が対応付けられた情報である。第7の個別対応情報211a-7は、道路リンクL1上の位置G7に「自転車」が対応付けられた情報であり、第8の個別対応情報211a-8は、道路リンクL1上の位置G8に「子供」が対応付けられた情報である。道路リンクL1上の6つの位置G3~G8は、互いに所定程度以上に離れて分散している。
【0072】
第9の個別対応情報211a-9は、道路リンクL3上の位置G9に「自転車」が対応付けられた情報であり、第10の個別対応情報211a-10は、道路リンクL3上の位置G10に「自転車」が対応付けられた情報である。第11の個別対応情報211a-11も、道路リンクL3上の位置G11に「自転車」が対応付けられた情報である。道路リンクL3上の3つの位置G9~G11は、道路リンクL3上のポイントP3近傍の所定範囲内に集中している。
【0073】
本実施例では、個別対応情報211aに対する統計処理において、まず、ノード221c近傍の所定範囲内、道路リンク221d上、道路リンク221d上のポイント221e近傍の所定範囲内、のそれぞれについて個別対応情報211aの個数が集計される。そして、3つ以上の個別対応情報211aが存在する部位に、各個別対応情報211aにおける聞き逃しやすい音の発生源が対応付けられて統計的対応情報221bが生成される。
【0074】
図7の例では、6つの個別対応情報211aが存在する道路リンクL1に「子供」及び「自転車」が対応付けられて、
図3及び
図4にも示されている第1の統計的対応情報221b-1が生成される。また、3つの個別対応情報211aが近傍に集中して存在する道路リンクL3上のポイントP3に「自転車」が対応付けられて第3の統計的対応情報221b-3が生成される。
【0075】
尚、統計処理は、上述したように閾値数以上の個別対応情報211aが存在する部位を求める処理に限るものではなく、運転者が聞き逃しやすい音が統計的に頻発する部位を求める処理であれば、具体的な処理内容を問うものではない。また、閾値数以上の個別対応情報211aが存在する部位を求める処理を採用する場合でも、閾値を上記のように3つに限るものはなく、閾値については任意に設定し得る。
【0076】
図2に示されているデータ作成部212は、情報収集部211での個別対応情報211aの収集数が所定数に達する度に、上述した統計処理を行って統計的対応情報221bの生成を行う。データ作成部212は、生成した統計的対応情報221bを逐次に記憶部220に記憶させる。このようにして記憶部220に統計的対応情報221bを蓄積することで、データ作成部212は、
図3及び
図4に示されているデータ構造221のデータを作成する。
【0077】
また、
図2に示されている提供部213は、データ作成部212が作成したデータを、移動体1の注意喚起処理装置110におけるデータ取得部111の求めに応じて記憶部220から読み出して要請元の移動体1に第2通信部214を介して提供する。
【0078】
尚、本実施例では、データ取得部111の求めに応じて要請元の移動体1にデータを提供する提供部213を例示したが、提供の手法としては、移動体からの求めに応じるのではなく、提供部が、一定の期間毎に移動体へとデータを提供することとしてもよい。この場合、移動体側では、提供されるデータを移動体側の記憶部に保管しておき、適宜に読み出して利用することとなる。
【0079】
また、本実施例では、データの提供先の移動体1が上述した個別対応情報211aの送り元となっている形態を例示したが、データの提供先はこのような移動体に限るものではない。データの提供先は、サーバ2から上記のデータを無線で受け取る機能を有し、このデータを何らかの情報処理に利用する移動体であればどのような移動体であってもよい。
【0080】
図2に示されている第2通信部214は、各移動体1との間で無線通信を行う。また、第2通信部214は、各移動体1に向けて情報を送信する際には、送信先の移動体1を識別するための識別子を情報に付して送信する。
【0081】
次に、
図2に示されている注意喚起処理装置110、情報取得処理装置120、及びデータ作成装置210、のそれぞれで実行される情報処理方法について説明する。まず、注意喚起処理装置110で実行される情報処理方法について説明する。
【0082】
図8は、
図2に示されている注意喚起処理装置で実行される情報処理方法の処理の流れを表すフローチャートである。
【0083】
図8のフローチャートが表す情報処理方法の処理は、移動体1の運転者に聞き逃しやすい音についての注意を促す注意喚起処理であり、移動体1のナビゲーション装置に電源が投入されるとスタートする。処理がスタートすると、データ取得部111によるデータ取得工程が実行される(ステップS111)。データ取得工程(ステップS111)では、まず、データ取得部111が、記憶部220のデータの送信を、第1通信部116を介してサーバ2に対して要請する。この要請を受け、サーバ2の提供部213が記憶部220からデータを読み出し、第2通信部214を介して要請元の移動体1へとデータを送る。そして、データ取得部111が、送られてきたデータを、第1通信部116を介して取得する。
【0084】
次に、音取得部112による音取得工程が実行され(ステップS112)、更に位置取得部113による位置取得工程が実行される(ステップS113)。
【0085】
続いて、注意喚起判定部114が、音取得工程(ステップS112)で取得された外部の音から、
図6に示されている情報テーブル114aに規定されている要注意音の抽出を行う(ステップS114)。要注意音が抽出されなかった場合(ステップS114におけるNo判定)、処理が戻って音取得工程(ステップS112)と位置取得工程(ステップS113)が繰り返される。
【0086】
他方、要注意音が抽出された場合(ステップS114におけるYes判定)、注意喚起判定部114が、位置取得工程(ステップS113)で取得された位置が、データ取得工程(ステップS111)で取得されたデータの統計的対応情報221bにおける位置又は領域に存在しているか否かを判定する(ステップS115)。上述したように、統計的対応情報221bにおける位置又は領域は、運転者が聞き逃しやすい音が統計的に頻発する位置や領域となっている。このため、ステップS115では、位置取得工程(ステップS113)で取得された位置、即ち移動体1の位置が、このような位置や領域に存在するか否かが判定されることとなる。
【0087】
聞き逃しやすい音が統計的に頻発する位置や領域に移動体1の位置が存在する場合(ステップS115におけるYes判定)、注意喚起判定部114は、次の判定を行う。即ち、注意喚起判定部114は、ステップS114で抽出された要注意音が、統計的対応情報221bにおける運転者が聞き逃しやすい音と一致するか否かを判定する(ステップS116)。
【0088】
外部の音から抽出された要注意音が聞き逃しやすい音と一致する場合(ステップS116におけるYes判定)、注意喚起判定部114は外部の音に聞き逃しやすい音が含まれていると判断する。この場合、対応処理部115の再生部115aが、聞き逃しやすい音を他の音に対して強調した再生態様で、外部の音を再生する(ステップS117)。また、対応処理部115の通知部115bが、聞き逃しやすい音の存在を運転者に通知する(ステップS118)。
【0089】
他方、聞き逃しやすい音が統計的に頻発する位置や領域に移動体1の位置が存在しない場合(ステップS115におけるNo判定)は、再生部115aが外部の音をそのまま再生する(ステップS119)。また、外部の音から抽出された要注意音が聞き逃しやすい音と一致しない場合(ステップS116のNo判定)にも、ステップS119において再生部115aが外部の音をそのまま再生する。
【0090】
ステップS118の通知やステップS119の再生が終了すると、処理がステップS112に戻り、以降の処理が繰り返される。
【0091】
図8のフローチャートが表す注意喚起処理は、ナビゲーション装置の電源がオフされるまで実行され続ける。
【0092】
この
図8のフローチャートで表される注意喚起処理の情報処理方法をコンピュータにより実行させる情報処理プログラムが、ナビゲーション装置の記憶媒体や、ナビゲーション装置とは別体の車載コンピュータ装置の記憶媒体に記憶されている。また、この情報処理プログラムを記憶する記憶媒体は、これらの装置の記憶媒体に限らず、公知の可搬記憶媒体や、ネットワークを介してこれらの装置に接続されるサーバに設置された記憶媒体であってもよい。
【0093】
次に、情報取得処理装置120において実行される情報処理方法について説明する。
【0094】
図9は、
図2に示されている情報取得処理装置で実行される情報処理方法の処理の流れを表すフローチャートである。
【0095】
図9のフローチャートが表す情報処理方法の処理は、サーバ2の記憶部220に記憶させるデータを作成するための情報取得を行う情報取得処理である。この情報取得処理は、移動体1のナビゲーション装置に電源が投入されると上述した注意喚起処理と一緒にスタートし、注意喚起処理と並行して実行される。
【0096】
処理がスタートすると、音取得部112による音取得工程が実行され(ステップS121)、更に位置取得部113による位置取得工程が実行される(ステップS122)。本実施例では、
図8に示されている注意喚起処理における音取得工程(ステップS112)と位置取得工程(ステップS113)が、情報取得処理における音取得工程(ステップS121)と位置取得工程(ステップS122)を兼ねている。
【0097】
図9のフローチャートでは、続いて、移動体1の挙動及び運転者の挙動の両方に関する運転情報を取得する運転情報取得工程が運転情報取得部121によって実行される(ステップS123)。運転情報取得工程(ステップS123)では、移動体1の挙動について移動体1における諸装置の操作情報が取得され、運転者の挙動についてアイトラッカーで運転者の視線に関する情報が取得される。
【0098】
次に、音取得工程(ステップS121)で取得された外部の音に要注意音が含まれているか否かが情報取得判定部122によって判定される(ステップS124)。ここでの判定は、
図8のフローチャートのステップS115で用いられる
図5の情報テーブル114aと同様の情報テーブルに基づいて外部の音から要注意音の抽出を行うことで行われる。
【0099】
外部の音に要注意音が含まれていた場合(ステップS124のYes判定)、運転情報取得部121で危険運転に関する運転情報が取得されているか否かが情報取得判定部122によって判定される(ステップS125)。ここでの判定は、
図6に示されている情報テーブル122aが参照され、この情報テーブル122aに規定されている危険運転に関する情報が運転情報取得部121で取得されているか否かが情報取得判定部122によって判定される。
【0100】
危険運転に関する情報が取得されていた場合(ステップS125のYes判定)、次のような情報出力工程が実行される(ステップ126)。情報出力工程(ステップ126)では、まず、認識部123が、ステップ124の処理で抽出された要注意音の発生源を、運転者が聞き逃しやすい音の発生源として認識する。そして、情報出力部124が、その発生源に、位置取得工程(ステップS122)で取得された移動体1の位置を対応付けて上述した個別対応情報211aを生成する。情報出力部124は、その個別対応情報211aをサーバ2へと第1通信部116を介して出力する。
【0101】
この情報出力工程(ステップS126)が終了すると、処理がステップS121に戻って以降の処理が繰り返される。また、外部の音に要注意音が含まれていない場合(ステップS124のNo判定)や、危険運転に関する情報が取得されていない場合(ステップS125のNo判定)も、処理がステップS121に戻って以降の処理が繰り返される。
【0102】
図9のフローチャートが表す情報取得処理も、
図8のフローチャートが表す注意喚起処理とともに、ナビゲーション装置の電源がオフされるまで実行され続ける。
【0103】
この
図9のフローチャートで表される情報取得処理の情報処理方法をコンピュータにより実行させる情報処理プログラムも、ナビゲーション装置の記憶媒体や、ナビゲーション装置とは別体の車載コンピュータ装置の記憶媒体に記憶されている。また、この情報処理プログラムを記憶する記憶媒体は、これらの装置の記憶媒体に限らず、公知の可搬記憶媒体や、ネットワークを介してこれらの装置に接続されるサーバに設置された記憶媒体であってもよい。
【0104】
次に、サーバ2のデータ作成装置210において実行される情報処理方法について説明する。
【0105】
図10は、
図2に示されているデータ作成装置で実行されるデータ作成方法の処理の流れを表すフローチャートである。
【0106】
図10のフローチャートが表すデータ作成方法の処理は、複数の移動体1から個別対応情報211aを収集し、記憶部220に記憶させるデータを作成するデータ作成処理であり、サーバ2に電源が投入されるとスタートする。
【0107】
処理がスタートすると、情報収集部211による情報収集工程が実行される(ステップS211)。情報収集工程(ステップS211)では、情報収集部211によって複数の移動体1からの個別対応情報211aが収集され、その収集数が所定数に達すると次の処理へと移行する。
【0108】
次の処理では、データ作成部212によるデータ作成工程が実行される(ステップS212)。データ作成工程(ステップS212)では、収集された個別対応情報211aに対し、
図7を参照して説明した統計処理が行われ、統計的に運転者が聞き逃しやすい音に関する情報が位置又は領域に対応付けられた統計的対応情報221bが生成される。更に、データ作成工程(ステップS212)では、生成された統計的対応情報221bが逐次に記憶部220に記憶される。このようにして記憶部220に統計的対応情報221bが蓄積されることで、データ作成工程(ステップS212)では、
図3及び
図4に示されているデータ構造221のデータが作成される。
【0109】
データ作成工程(ステップS212)が終了すると、処理がステップS211に戻って以降の処理が繰り返される。
【0110】
本実施例では、
図10のフローチャートが表すデータ作成処理は、サーバの電源がオフされるまで実行され続ける。
【0111】
本実施例では、この
図10のフローチャートで表されるデータ作成方法をコンピュータにより実行させるデータ作成プログラムが、サーバ2に備えられる上記の記憶部220の一部をなす記憶媒体や、この記憶部220とは別体の記憶媒体に記憶されている。また、このデータ作成プログラムを記憶する記憶媒体は、サーバ2に設置された記憶媒体に限らず、公知の可搬記憶媒体や、ネットワークを介してサーバ2に接続される更に別のサーバに設置された記憶媒体であってもよい。
【0112】
以上に説明した第1実施例における各種情報処理装置、各種情報処理方法、各種情報処理プログラム、各種記憶媒体、及び
図3及び
図4のデータ構造221、このデータ構造221を記憶した記憶媒体や記憶装置によれば次のような効果を得ることができる。
【0113】
まず、
図2に示されている注意喚起処理装置110、
図8に示されている注意喚起処理で実行される情報処理方法、情報処理プログラム、及び各種記憶媒体による効果について説明する。
【0114】
本実施例の注意喚起処理装置110及び情報処理方法によれば、記憶部220から取得されたデータの統計的対応情報221bにおける聞き逃しやすい音が、移動体1の外部の音に含まれているか否かが判定される。これにより、その判定結果に基づいて、聞き逃しやすい音について運転者に適宜に注意を促す等といった運用を行うことができる。このように、本実施例によれば、移動体1の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助することができる。
【0115】
ここで、本実施例の注意喚起処理装置110は、移動体1の内部において、外部の音を注意喚起判定部114での判定結果に応じた再生態様で再生する再生部115a、を備えている。これによれば、外部の音を注意喚起判定部114での判定結果に応じた再生態様で再生することにより、聞き逃しやすい音について運転者が聞き取りやすい態様で注意を促すことができる。
【0116】
また、本実施例では、注意喚起判定部114において聞き逃しやすい音が外部の音に含まれていると判定された場合、再生部115aは、当該音を他の音に対して強調した再生態様で外部の音を再生する。これによれば、聞き逃しやすい音を強調するという、処理負担の小さい再生態様によって運転者に注意を促すことができる。
【0117】
また、本実施例の注意喚起処理装置110は、注意喚起判定部114において、記憶部220から取得されたデータにおける情報に対応した音が含まれていると判定された場合、当該音の存在を運転者に通知する通知部115bを備えている。これによれば、聞き逃しやすい音について運転者に対し直接的に注意を促すことができる。
【0118】
また、本実施例の情報処理プログラムによれば、上述した注意喚起処理を、コンピュータにより実行させることで、移動体1の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助することができる。
【0119】
また、本実施例の記憶媒体によれば、記憶されている情報処理プログラムにより、上述した注意喚起処理をコンピュータで実行させることができる。これにより、移動体1の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助することができる。
【0120】
次に、
図2に示されている情報取得処理装置120、
図9に示されている情報取得処理で実行される情報処理方法、情報処理プログラム、及び各種記憶媒体による効果について説明する。
【0121】
本実施例の情報取得処理装置120及び情報処理方法によれば、運転者が聞き逃しやすい音が生じたときの移動体1の位置にその聞き逃しやすい音の発生源を対応付けた個別対応情報211aがサーバ2に出力される。これにより、聞き逃しやすい音について運転者に適宜に注意を促すためのデータをサーバ2で作成する等といった運用に、上記の個別対応情報211aを供することができる。このように、本実施例によれば、移動体1の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助することができる。
【0122】
ここで、本実施例の情報取得処理装置120は、外部の音及び運転情報に基づいて、運転者が聞き逃しやすい音の発生源を認識する認識部123を備えている。そして、運転者が聞き逃しやすい音に関する情報として、認識部123で認識された発生源が採用されて上記の個別対応情報211aが生成される。これによれば、運転者が聞き逃しやすい音に関する情報として、その音の発生源が採用されているので、聞き逃しやすい音の発生源を運転者に告げることできめ細かく注意を促す等というように、運転者の聴覚的な認識を一層効果的に補助することができる。
【0123】
また、本実施例では、情報取得判定部122は、次のようなときに、運転者が注意を払うべき音として予め定められた要注意音が、外部の音に運転者が聞き逃しやすい音として含まれていると判定する。即ち、情報取得判定部122は、音取得部112で取得された外部の音から要注意音が抽出され、且つ、運転情報取得部121で危険運転に関する運転情報が取得されたとき、上記のように判定する。これによれば、予め定められた要注意音と危険運転とを結びつけることで、運転者が聞き逃しやすい音についての判定を高い確度で行うことができる。
【0124】
また、本実施例では、上記の危険運転として、移動体1の挙動としての「急ブレーキ」や、運転者の、要注意音に注意を払っていないこと示す挙動としての「よそ見」や「機器操作」が採用されている。これによれば、運転者が聞き逃しかけて直前で気が付いた要注意音や、完全に聞き逃した要注意音等を、高い確度で、外部の音に含まれる運転者が聞き逃しやすい音として判定することができる。
【0125】
また、本実施例の情報処理プログラムによれば、上述した情報取得処理を、コンピュータにより実行させることで、移動体1の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助することができる。
【0126】
また、本実施例の記憶媒体によれば、記憶されている情報処理プログラムにより、上述した情報取得処理をコンピュータで実行させることができる。これにより、移動体1の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助することができる。
【0127】
次に、
図2に示されているデータ作成装置210、
図10に示されているデータ作成処理で実行されるデータ作成方法、データ作成プログラム、及び各種記憶媒体による効果について説明する。
【0128】
本実施例のデータ作成装置210及びデータ作成方法によれば、統計的に運転者が聞き逃しやすい音、即ち不特定多数の運転者が聞き逃しやすい音の発生源が位置又は領域に対応付けられた統計的対応情報221bが生成される。そして、その統計的対応情報221bが記憶部220に蓄積されることで
図3及び
図4に示されているデータ構造221のデータが作成される。これにより、そのデータに基づいて、聞き逃しやすい音に対応付けられた位置又は領域に移動体1が存在しているときに運転者に適宜に注意を促す等といった運用を行うことができる。このように、本実施例によれば、移動体1の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助するためのデータを作成することができる。
【0129】
ここで、本実施例では、データ作成装置210で作成されるデータが、運転者が聞き逃しやすい音の発生源が道路ネットワーク221aに対応した位置又は領域に関するデータとなっている。これによれば、作成されるデータに基づいて、聞き逃しやすい音について注意を促す位置又は領域として、移動体1が移動する道路ネットワーク221aに対応した位置又は領域を得ることができる。つまり、移動体1の移動にマッチした一層効果的な補助が可能なデータを作成することができる。
【0130】
また、本実施例のデータ作成装置210は、データ作成部212が作成したデータを所定の移動体1に提供する提供部213を備えている。これによれば、作成されたデータが移動体1に提供されるので、移動体1の運転者を一層効果的に補助することができる。
【0131】
また、本実施例のデータ作成プログラムによれば、上述したデータ作成処理を、コンピュータにより実行させることで、移動体1の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助することができる。
【0132】
また、本実施例の記憶媒体によれば、記憶されているデータ作成プログラムにより、上述したデータ作成処理をコンピュータで実行させることができる。これにより、移動体1の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助することができる。
【0133】
次に、
図3及び
図4に示されているデータ構造221、このデータ構造221のデータを記憶した記憶媒体、及び記憶装置による効果について説明する。
【0134】
本実施例のデータ構造221によれば、このデータ構造221のデータを、上述した統計的対応情報221bと特定の移動体1の位置及び外部の音との比較に供することで、次のような運用を行うことができる。即ち、統計的対応情報221bにおいて聞き逃しやすい音の発生源に対応した位置又は領域を、特定の移動体1が走行する際に運転者に適宜に注意を促す等といった運用を行うことができる。このように、本実施例のデータ構造221によれば、移動体1の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助することができる。
【0135】
ここで、本実施例では、統計的対応情報221bにおける位置又は領域が、道路ネットワーク221aに対応したものとなっている。これによれば、構成されるデータに基づいて、聞き逃しやすい音について注意を促す位置又は領域として、移動体1が移動する道路ネットワーク221aに対応した位置又は領域を得ることができる。つまり、移動体1の移動にマッチした一層効果的な補助を行うことができる。
【0136】
また、本実施例では、統計的対応情報221bにおける位置又は領域が、道路ネットワーク221aにおいて道路を構成する道路リンク221d又はノード221cとなっている。これによれば、構成されるデータに基づいて、聞き逃しやすい音について注意を促す位置又は領域として、道路ネットワーク221aにおける詳細な位置又は領域を得ることができる。つまり、移動体1の移動にマッチした詳細な補助を行うことができる。
【0137】
また、本実施例の記憶媒体及び記憶装置によれば、各々に記憶されているデータを、上述した特定の移動体1における注意喚起処理装置110での運用に用いることができる。これにより、移動体1の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助することができる。
【0138】
以上で第1実施例についての説明を終了し、次に、第2実施例について説明する。
【0139】
第2実施例は、移動体の情報取得処理装置ではなくサーバのデータ作成装置で個別対応情報211aの生成を行う点が、上述した第1実施例とは異なっている。以下では、第2実施例について、第1実施例との相違点に注目して説明を行う。他方、移動体の注意喚起装置、その注意喚起装置で実行される注意喚起処理、及び、注意喚起のためのデータのデータ構造、については第1実施例と同一であるので説明を割愛する。
【0140】
図11は、第2実施例における移動体とサーバそれぞれにおける装置構成を示す模式的なブロック図である。尚、この
図11では、
図2に示されている第1実施例における構成要素と同等な構成要素が、
図2と同じ符号が付されて示されており、以下では、それら同等な構成要素の重複説明を省略する。
【0141】
第2実施例において、移動体3に注意喚起処理装置110と共に設けられている情報取得処理装置320は、第1実施例における情報取得処理装置120が備えている情報取得判定部122に相当する構成要素を備えていない。そして、本実施例では、情報取得処理装置320の情報出力部324が、移動体3の外部の音に関する外部音情報、移動体3の挙動及び運転者の挙動の両方に関する運転情報、及び移動体3の位置に関する位置情報、をサーバ4へと出力するものとなっている。この出力は、一定間隔で繰り返し行われる。
【0142】
尚、情報出力部324が出力する運転情報については、本実施例においても、移動体3の挙動及び運転者の挙動のうち少なくとも一方に関する情報であれば、移動体3の挙動及び運転者の挙動のうちの一方のみに関する情報であってもよい。
【0143】
サーバ4のデータ作成装置410では、情報収集部411が、各移動体3から送られてくる外部音情報、運転情報、及び位置情報、を収集する。
【0144】
そして、本実施例では、このサーバ4のデータ作成装置410に、
図7に示されている個別対応情報211aを生成する情報生成部412が設けられている。情報生成部412は、第1実施例では、移動体1の情報取得処理装置120が備えていた情報取得判定部122及び認識部123と同等な情報取得判定部412a及び認識部412bを備えている。更に、情報生成部412は、情報取得判定部412aでの判定結果及び認識部412bでの認識内容に基づいて個別対応情報211aを生成する生成部412cを備えている。
【0145】
本実施例における情報取得判定部412aは、まず、情報収集部411で収集された外部音情報が表す外部の音に要注意音が含まれているか否かを判定する。この判定に、
図5に示されている要注意音の情報テーブル114aと同等な情報テーブルが用いられる。
【0146】
外部の音に要注意音が含まれていた場合、情報取得判定部412aは、情報収集部411において、
図6に示されている情報テーブル122aと同等な情報テーブルで規定されている危険運転に関する運転情報が収集されているか否かが判定される。
【0147】
外部の音に要注意音が含まれており、且つ危険運転に関する運転情報が収集されていた場合、情報取得判定部412aは、外部の音に、その要注意音が、運転者が聞き逃しやすい音として含まれていると判定する。そして、認識部412bが、その要注意音の発生源を、運転者が聞き逃しやすい音の発生源として認識する。
【0148】
生成部412cは、運転者が聞き逃しやすい音に関する情報として認識部412bで認識された発生源を採用し、この発生源に、情報収集部411で外部音情報と一緒に収集された位置情報が表している位置を対応付けて個別対応情報211aを生成する。
【0149】
本実施例では、このようにして、複数の移動体3それぞれから一定間隔で外部音情報、位置情報、運転情報が送られてくる度に、情報生成部412において各移動体3についての個別対応情報211aが繰り返し生成される。
【0150】
そして、第1実施例と同等なデータ作成部212が、情報生成部412での個別対応情報211aの生成数が所定数に達する度に、上述した統計処理を行って統計的対応情報221bの生成を行う。この統計的対応情報221bが記憶部220に蓄積されることで
図3及び
図4に示されているデータ構造221のデータが作成される。
【0151】
次に、情報取得処理装置320において実行される情報処理方法について説明する。
【0152】
図12は、
図11に示されている情報取得処理装置で実行される情報処理方法の処理の流れを表すフローチャートである。
【0153】
図11のフローチャートが表す情報処理方法の処理は、サーバ4の記憶部220に記憶させるデータを作成するための情報取得を行う情報取得処理である。この情報取得処理は、移動体3のナビゲーション装置に電源が投入されるとスタートする。
【0154】
処理がスタートすると、音取得部112による音取得工程が実行され(ステップS311)、位置取得部113による位置取得工程が実行され(ステップS312)、更に運転情報取得部121による運転情報取得工程が実行される(ステップS313)。本実施例におけるこれらの工程は、
図9に示されている第1実施例の音取得工程(ステップS121)、位置取得工程(ステップS122)、及び運転情報取得工程(ステップS123)と同等な工程である。
【0155】
そして、本実施例では、これらの工程に続いて、情報出力部324による情報出力工程が実行される(ステップS314)。情報出力工程(ステップS314)では、音取得工程(ステップS311)で取得された外部の音に関する外部音情報、及び位置取得工程(ステップS312)で取得された位置に関する位置情報がサーバ2に出力される。更に、情報出力工程(ステップS314)では、運転情報取得工程(ステップS313)で取得された運転情報も、上記の外部音情報及び位置情報と一緒にサーバ2に出力される。
【0156】
情報出力工程(ステップS314)の終了後は、処理がステップS311に戻って、以降の処理が繰り返される。
【0157】
図12のフローチャートが表す情報取得処理は、ナビゲーション装置の電源がオフされるまで実行され続ける。
【0158】
この
図12のフローチャートで表される情報取得処理の情報処理方法をコンピュータにより実行させる情報処理プログラムが、ナビゲーション装置の記憶媒体や、ナビゲーション装置とは別体の車載コンピュータ装置の記憶媒体に記憶されている。また、この情報処理プログラムを記憶する記憶媒体は、これらの装置の記憶媒体に限らず、公知の可搬記憶媒体や、ネットワークを介してこれらの装置に接続されるサーバに設置された記憶媒体であってもよい。
【0159】
次に、サーバ4のデータ作成装置410において実行されるデータ作成方法について説明する。
【0160】
図13は、
図11に示されているデータ作成装置で実行されるデータ作成方法の処理の流れを表すフローチャートである。
【0161】
図13のフローチャートが表すデータ作成方法の処理は、複数の移動体3から外部音情報、位置情報、及び運転情報を収集し、記憶部220に記憶させるデータを作成するデータ作成処理であり、サーバ4に電源が投入されるとスタートする。
【0162】
処理がスタートすると、情報収集部411による情報収集工程が実行される(ステップS411)。情報収集工程(ステップS411)では、情報収集部411によって各移動体1からの外部音情報、位置情報、及び運転情報が収集される。
【0163】
次に、情報収集工程(ステップS411)で収集された外部音情報が表す外部の音に要注意音が含まれているか否かが情報取得判定部412aによって判定される(ステップS412)。ここでの判定に
図5に示されている要注意音の情報テーブル114aと同様の情報テーブルが用いられる。
【0164】
外部の音に要注意音が含まれていた場合(ステップS412のYes判定)、情報収集工程(ステップS411)で危険運転に関する運転情報が取得されているか否かが情報取得判定部412aによって判定される(ステップS413)。ここでの判定には、
図6に示されている危険運転の情報テーブル122aと同様の情報テーブルが参照される。
【0165】
危険運転に関する運転情報が取得されていた場合(ステップS413のYes判定)、次のような情報生成工程が実行される(ステップ414)。情報生成工程(ステップ414)では、認識部412bが、ステップ412の処理で抽出された要注意音の発生源を、運転者が聞き逃しやすい音の発生源として認識する。そして、生成部412cが、その発生源に、情報収集工程(ステップS411)で収集された位置情報が表す移動体1の位置を対応付けて個別対応情報211aを生成する。
【0166】
次の処理では、データ作成部212によるデータ作成工程が実行される(ステップS415)。データ作成工程(ステップS415)では、生成された個別対応情報211aに対し、
図7を参照して説明した統計処理が行われ、統計的に運転者が聞き逃しやすい音に関する情報が位置又は領域に対応付けられた統計的対応情報221bが生成される。更に、データ作成工程(ステップS415)では、生成された統計的対応情報221bが逐次に記憶部220に記憶される。このようにしてデータ作成工程(ステップS415)では、
図3及び
図4に示されているデータ構造221のデータが作成される。
【0167】
データ作成工程(ステップS415)が終了すると、処理がステップS411に戻って以降の処理が繰り返される。
【0168】
本実施例では、
図13のフローチャートが表すデータ作成処理は、サーバ4の電源がオフされるまで実行され続ける。
【0169】
本実施例では、この
図13のフローチャートで表されるデータ作成処理をコンピュータにより実行させるデータ作成プログラムが、サーバ4に備えられる上記の記憶部220の一部をなす記憶媒体や、この記憶部220とは別体の記憶媒体に記憶されている。また、このデータ作成プログラムを記憶する記憶媒体は、サーバ4に設置された記憶媒体に限らず、公知の可搬記憶媒体や、ネットワークを介してサーバ4に接続される更に別のサーバに設置された記憶媒体であってもよい。
【0170】
以上に説明した第2実施例において第1実施例との差異を有する、
図11に示されている情報取得処理装置320、
図12に示されている情報取得処理の情報処理方法、情報処理プログラム、及び各種記憶媒体による効果について説明する。
【0171】
本実例の情報取得処理装置320及び情報取得処理の情報処理方法によれば、移動体3の外部の音に関する外部音情報、移動体3の挙動及び運転者の挙動の両方に関する運転情報、及び移動体の位置に関する位置情報がサーバ4に出力される。これにより、聞き逃しやすい音について運転者に適宜に注意を促すためのデータをサーバ4で作成する等といった運用に、上記の各種情報を供することができる。このように、本実施例によれば、移動体3の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助することができる。
【0172】
また、本実施例の情報処理プログラムによれば、上述した情報取得処理の情報処理方法を、コンピュータにより実行させることで、移動体3の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助することができる。
【0173】
また、本実施例の記憶媒体によれば、記憶されている情報処理プログラムにより、上述した情報処理方法をコンピュータで実行させることができる。これにより、移動体3の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助することができる。
【0174】
次に、第2実施例において第1実施例との差異を有する、
図11に示されているデータ作成装置410、
図13に示されているデータ作成処理のデータ作成方法、データ作成プログラム、及び各種記憶媒体による効果について説明する。
【0175】
本実施例のデータ作成装置410及びデータ作成方法によれば、各移動体3の運転者について聞き逃しやすい音に関する情報に当該音が発生した位置又は領域が対応付けられた個別対応情報211aが生成される。そして、その個別対応情報211aに対する統計処理により、統計的に運転者が聞き逃しやすい音、即ち不特定多数の運転者が聞き逃しやすい音に関する情報が位置又は領域に対応付けられた統計的対応情報221bを有するデータが作成される。これにより、そのデータに基づいて、聞き逃しやすい音に対応付けられた位置又は領域に移動体3が存在しているときに運転者に適宜に注意を促す等といった運用を行うことができる。このように、本実施例によれば、移動体3の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助するためのデータを作成することができる。
【0176】
また、本実施例のデータ作成プログラムによれば、上述したデータ作成処理を、コンピュータにより実行させることで、移動体3の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助するためのデータを作成することができる。
【0177】
また、本実施例の記憶媒体によれば、記憶されているデータ作成プログラムにより、上述したデータ作成処理をコンピュータで実行させることができる。これにより、移動体3の外部の状況に対する運転者の聴覚的な認識を効果的に補助するためのデータを作成することができる。
【0178】
尚、本発明は、以上に説明した実施例に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0179】
例えば、上述した第1及び第2実施例では、乗用車としての移動体1,3が例示されている。しかしながら、移動体は、乗用車に限るものではなく、二輪車や、トラックやバス等の大型車両等であってもよく、移動体の具体的な種類を問うものではない。
【0180】
また、上述した第1及び第2実施例では、移動体の情報処理装置の一例として、移動体に搭載されたナビゲーション装置に構築された構成要素を備える注意喚起処理装置110及び情報取得処理装置120,320が例示されている。しかしながら、移動体の情報処理装置は、これらに限るものではなく、ナビゲーション装置とは別体に設けられたコンピュータに制御部が構築されるもの等であってもよい。