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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086901
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】電動トラック用フレーム
(51)【国際特許分類】
   B62D 21/02 20060101AFI20230615BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20230615BHJP
【FI】
B62D21/02 A
B60K1/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073326
(22)【出願日】2023-04-27
(62)【分割の表示】P 2019102396の分割
【原出願日】2019-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 清
(72)【発明者】
【氏名】小此木 茂
(57)【要約】
【課題】トラック用フレームとしての成立性を担保しつつ、サイドレール間に配置されるバッテリ容量の増大を図ることができる、電動トラック用フレームを提供すること。
【解決手段】電動トラック用フレーム2は、キャブ3を支持する一対のサイドレール2L、2Rが複数のクロスメンバCM1~4により連結され、キャブ3の車両後方において一対のサイドレール2L、2R間に配置されるバッテリ8から供給される電力により駆動する電動トラック1の電動トラック用フレーム2であって、サイドレール2L、2Rから延在しバッテリ8を弾性的に支持する弾性支持部ESを有し、少なくともバッテリ8の上面側には、クロスメンバCM1~4が配置されていないことを特徴とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャブを支持する一対のサイドレールが複数のクロスメンバにより連結され、前記キャブの車両後方において一対の前記サイドレール間に配置されるバッテリから供給される電力により駆動する電動トラックの電動トラック用フレームであって、
前記サイドレールから延在し前記バッテリを弾性的に支持する弾性支持部を有し、
少なくとも前記バッテリの上面側には、前記クロスメンバが配置されていないことを特徴とする、電動トラック用フレーム。
【請求項2】
複数の前記クロスメンバのうち、前記バッテリの車両前方に配置される前記クロスメンバは、前記サイドレールよりも車高方向の幅が小さい扁平形状を有し、一対の前記サイドレール間において車高方向の上方に配置されている、請求項1に記載の電動トラック用フレーム。
【請求項3】
一対の前記サイドレールのそれぞれは、車両長手方向に離間する複数の位置に前記弾性支持部を有する、請求項1又は2に記載の電動トラック用フレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動トラック用フレームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、環境負荷低減の観点に着目し、内燃機関に代えて走行用動力源としてモータを利用する電気自動車、及び当該内燃機関と当該モータとを併用するハイブリッド自動車等の電動車両の開発が進んでいる。特に、これらの電動車両においては、当該モータを駆動するために駆動用のバッテリが搭載され、当該バッテリから当該モータへ電力を供給することにより、車両を走行させるために必要となる動力が得られる。近年、このような電動車両に関し、トラック等の商用車の分野においても、その開発が行われている。例えば、特許文献1には、駆動用のバッテリパックを電動トラックのラダーフレームに保持する保持構造が開示されている。
【0003】
このような電動トラックでは、航続距離を確保するためにハイブリッドトラック等と比較してより大容量のバッテリを搭載する必要がある。そして、電動トラックにおいては、ラダーフレームのサイドレールに対して車幅方向の外側にバッテリを設けるよりも、ラダーフレームのサイドレール間にバッテリを設ける方が、当該バッテリが占める空間を確保しやすく好適である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-113063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のトラックのラダーフレームにおいては、車両に搭載される重量物を支持し且つ車両自体の堅牢性を確保するための強度と、所定量の変形を許容する剛性とを両立させてフレームの成立性を担保できるように、複数のクロスメンバが一対のサイドレールの所定位置に設けられる。しかしながら、電動トラックに対して従来のトラックのラダーフレームを採用した場合には、サイドレール間のバッテリ配置が当該クロスメンバと干渉しない空間に制約され、バッテリの大容量化を十分に図ることができない。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、トラック用フレームとしての成立性を担保しつつ、サイドレール間に配置されるバッテリ容量の増大を図ることができる電動トラック用フレームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
<本発明の第1の態様>
本発明の第1の態様に係る電動トラック用フレームは、キャブを支持する一対のサイドレールが複数のクロスメンバにより連結され、前記キャブの車両後方において前記一対のサイドレール間に配置されるバッテリから供給される電力により駆動する電動トラックの電動トラック用フレームであって、前記サイドレールから延在し前記バッテリを弾性的に支持する弾性支持部を有し、少なくとも前記バッテリの上面側には、前記クロスメンバが配置されていないことを特徴とする。
【0008】
電動トラックは、走行駆動に必要な電力を供給するためのバッテリがサイドレール間において配置される。このため、電動トラック用フレームには、当該バッテリを配置するためのバッテリ領域が確保され、一対のサイドレールのそれぞれにおいて当該バッテリを弾性的に支持するための弾性支持部が設けられている。これにより、電動トラック用フレームは、バッテリが配置された場合には、弾性支持部を介して左右のサイドレールが弾性的に連結されることにより、フレーム自体の剛性を向上させながら、フレームの捩れや横曲げに対する応力低減を期待出来る。
【0009】
また、電動トラック用フレームは、上記のバッテリ領域の少なくとも上面側においてクロスメンバの配置が禁止されていることにより、電動トラックに搭載されるバッテリの配置がクロスメンバの配置と干渉することはなく、バッテリ容量を増加させるためのスペースを確保することができる。従って、本発明の第1の態様に係る電動トラック用フレームによれば、剛性と強度とを両立させるトラック用フレームとしての成立性を担保しつつ、サイドレール間に配置されるバッテリ容量の増大を図ることができる。
【0010】
<本発明の第2の態様>
本発明の第2の態様に係る電動トラック用フレームにおいては、上記した本発明の第1の態様において、複数の前記クロスメンバのうち、前記バッテリの車両前方に配置される前記クロスメンバは、前記サイドレールよりも車高方向の幅が小さい扁平形状を有し、前記一対のサイドレール間において車高方向の上方に配置されてもよい。
【0011】
本発明の第2の態様に係る電動トラック用フレームは、バッテリ領域の車両前方に配置されるクロスメンバがサイドレール間における車高方向の下方にスペースを設ける形状及び配置である。このため、例えば配電部のようにバッテリに付随する機器がバッテリ前方に配置される場合には、当該機器及びクロスメンバが互いに干渉することなくスペースを有効に利用することができるため、より大きなバッテリ領域を確保することができる。
【0012】
<本発明の第3の態様>
本発明の第3の態様に係る電動トラック用フレームによれば、上記した本発明の第1又は2の態様において、前記弾性支持部は、前記サイドレールの車幅方向における外側に設けられてもよい。
【0013】
本発明の第3の態様に係る電動トラック用フレームによれば、サイドレールにバッテリを懸架するための複数の弾性支持部がサイドレールの車幅方向における外側に設けられているため、車幅方向に対するバッテリの占有スペースを最大化することができる。
【0014】
<本発明の第4の態様>
本発明の第4の態様に係る電動トラック用フレームにおいては、上記した本発明の第1乃至3のいずれかの態様において、前記一対のサイドレールのそれぞれは、車両長手方向に離間する複数の位置に前記弾性支持部を有してもよい。
【0015】
本発明の第3の態様に係る電動トラック用フレームによれば、一対のサイドレールのそれぞれにおいて、複数の弾性支持部が少なくとも車両長手方向に離間する複数の位置に設けられることにより、フレームの捩れや横曲げに対する応力低減がより効果的となる。
【0016】
<本発明の第5の態様>
本発明の第5の態様に係る電動トラック用フレームにおいては、上記した本発明の第1乃至4のいずれかの態様において、前記バッテリ領域は、複数の前記クロスメンバのうちの後輪駆動部領域に設けられる前記クロスメンバまで延在してもよい。
【0017】
本発明の第5の態様に係る電動トラック用フレームによれば、例えば電動トラックを駆動させる駆動ユニットが配置される後輪駆動部領域に設けられるクロスメンバの位置までバッテリ領域を延在させることで、バッテリが占有するバッテリ領域を拡張することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係る電動トラック用フレームが搭載された電動トラックの全体構成を概略的に示す上面図である。
図2】電動トラックに搭載されるバッテリの概形を表す斜視図である。
図3】電動トラック用フレームとバッテリとを接続する弾性支持部の構成及び接続形態を示す斜視図である。
図4】バッテリの部分断面と共に示す電動トラック用フレームの側面図である。
図5】本発明に係る電動トラック用フレームを部分的に示す上面図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る電動トラック用フレームの断面図である。
図7】本発明の第3実施形態に係る電動トラック用フレームの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下に説明する内容に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、実施の形態の説明に用いる図面は、いずれも構成部材を模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、または省略などを行っており、構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。
【0020】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る電動トラック用フレーム2が搭載された電動トラック1の全体構成を概略的に示す上面図である。図1に示すように、本実施形態に係る電動トラック1は、電動トラック用フレーム2、キャブ3、荷箱4、車輪機構5、駆動ユニット6、駆動電力供給部7、バッテリ8、及びPDU9を備える。尚、図1では、電動トラック1の上面からキャブ3及び荷箱4を透過するように見た場合の上面図として表している。
【0021】
電動トラック用フレーム2は、一対のサイドレールとしての左サイドレール2L及び右サイドレール2Rと複数のクロスメンバCM1~CM4とを有する。左サイドレール2L及び右サイドレール2Rは、電動トラック1の車両長手方向Xに沿って延在し、互いに車幅方向Yに平行に配置される。複数のクロスメンバCM1~CM4は、それぞれの位置において左サイドレール2Lと右サイドレール2Rとを連結している。すなわち、電動トラック用フレーム2は、いわゆる梯子型フレームを構成している。そして、電動トラック用フレーム2は、キャブ3、荷箱4、駆動ユニット6、駆動電力供給部7、バッテリ8、及び電動トラック1に搭載されるその他の重量物を支持する。
【0022】
キャブ3は、図示しない運転席を含む構造体であり、電動トラック用フレーム2の前部上方において支持されている。一方、荷箱4は、電動トラック1によって搬送される荷物等が積載される構造体であり、電動トラック用フレーム2の後部上方に設けられている。
【0023】
車輪機構5は、本実施形態においては、車両前方に位置する左右の前輪5a、前輪5aの車軸としてのフロントアクスル5b、車両後方に位置し且つ左右に各2つ配置された後輪5c、及び後輪5cの車軸としてのリアアクスル5dから構成される。そして、本実施形態に係る電動トラック1においては、後輪5cが駆動輪として機能するように駆動力が伝達され、電動トラック1が走行することになる。尚、車輪機構5は、図示しないサスペンション機構を介して電動トラック用フレーム2に懸架され、電動トラック1の重量を支持する。
【0024】
駆動ユニット6は、モータ6a、減速機構6b、及び差動機構6cを有する。モータ6aは、後述する駆動電力供給部7から交流電力が供給されることにより、電動トラック1の走行に必要な駆動力を発生させる。減速機構6bは、図示しない複数のギアを含み、モータ6aから入力される回転トルクを減速して差動機構6cに出力する。差動機構6cは、減速機構6bから入力される動力を左右の後輪5cに対して振り分ける。すなわち、駆動ユニット6は、減速機構6b及び差動機構6cを介して、モータ6aの駆動トルクを車両の走行に適した回転速度に減速してリアアクスル5dに駆動力を伝達する。これにより駆動ユニット6は、リアアクスル5dを介して後輪5cを回転させて電動トラック1を走行させることができる。尚、駆動ユニット6は、車両長手方向Xの前方において、クロスメンバCM3に懸架されている。
【0025】
駆動電力供給部7は、いわゆるインバータであり、バッテリ8から供給される直流電力を交流電力に変換してモータ6aへ供給し、電動トラック1に対するアクセル操作に応じてモータ6aの回転速度を制御する。
【0026】
バッテリ8は、主に電動トラック1を走行させるためのエネルギー源としてモータ6aに電力を供給する二次電池である。バッテリ8は、電動トラック1に必要とされる電力を蓄えるために比較的大型で大容量のバッテリモジュールBM(図3~4参照)を内部に複数備える。この他、バッテリ8は、電動トラック1に搭載される図示しない電動補機群に対しても電力を供給することができる。バッテリ8の構成については詳細を後述する。
【0027】
PDU9は、バッテリ8から出力される電力の一部を電動補機群(図示せず)のそれぞれに配電するいわゆる配電部(Power Distribution Unit)である。PDU9は、車幅方向Yにおける左サイドレール2Lと右サイドレール2Rとの間、且つバッテリ8の車両前方に設けられている。
【0028】
ここで、本実施形態における電動トラック用フレーム2は、バッテリ8の車幅方向Yにおける両端をそれぞれ弾性的に支持する複数の弾性支持部ESを有している。複数の弾性支持部ESは、左サイドレール2L及び右サイドレール2Rのそれぞれに対して車幅方向Yの外側にそれぞれ3つ(合計6つ)設けられている。ただし、弾性支持部ESは、バッテリ8の重量及び寸法に応じ、その数量を適宜変更することができる。複数の弾性支持部ESについても、詳細構成を後述する。
【0029】
図2は、電動トラック1に搭載されるバッテリ8の概形を表す斜視図である。本実施形態におけるバッテリ8は、車両長手方向Xに対していずれも同じ長さの略直方体形状である第1バッテリ収容部8aと第2バッテリ収容部8bとが一体となるように形成されている。
【0030】
第1バッテリ収容部8aは、車幅方向Yに対して、上記した左サイドレール2Lと右サイドレール2Rとの間に収まる幅に設定されている。一方、第2バッテリ収容部8bは、車幅方向Yの長さが電動トラック用フレーム2と同等、又は電動トラック用フレーム2よりも広い幅に設定され、車高方向Zの下方から第1バッテリ収容部8aに連結されている。
【0031】
すなわち、バッテリ8は、車両長手方向Xに垂直な平面における断面形状が逆T型となる形状を備えている。そして、バッテリ8は、第1バッテリ収容部8aと第2バッテリ収容部8bとの幅の違いにより生じる段差部分を左サイドレール2L及び右サイドレール2Rがそれぞれ通るように配置される。これにより、バッテリ8は、左サイドレール2Lと右サイドレール2Rとの間、及びその下方のスペースを有効に利用して、バッテリ容量を確保している。
【0032】
また、バッテリ8は、第2バッテリ収容部8bの車幅方向Yの外側面であるバッテリ側面8Sにおいて、弾性支持部ESを接続するための複数の取付領域8cが設けられている。
【0033】
図3は、電動トラック用フレーム2とバッテリ8とを接続する弾性支持部ESの構成及び接続形態を示す斜視図である。より詳しくは、図3は、図1のAで示すように、バッテリ8及び弾性支持部ESの車両長手方向Xに垂直な断面を車両後方から見た場合の断面図である。
【0034】
ここで、バッテリ8は、その大きさに応じた数の複数のバッテリモジュールBMを収容している。尚、バッテリモジュールBMの形状及び配置については種々の変更が可能である。
【0035】
そして、弾性支持部ESは、フレーム側ブラケットES1、弾性連結体ES2、及びバッテリ側ブラケットES3を備える。フレーム側ブラケットES1は、金属製の取り付け部材であり、左サイドレール2L及び右サイドレール2Rの車幅方向Yにおける外側の面に対して、それぞれボルト締結されている。弾性連結体ES2は、車高方向Zの上部においてラバーブッシュを介してフレーム側ブラケットES1に接続され、車高方向Zの下部においてバッテリ側ブラケットES3に接続されている。バッテリ側ブラケットES3は、金属製の取り付け部材であり、バッテリ8の上記した取付領域8cにそれぞれ固定されている。
【0036】
これにより複数の弾性支持部ESは、バッテリ8を電動トラック用フレーム2に弾性的に懸架し、電動トラック1の走行に伴いフレームの捩れや横曲げに伴う応力が発生した場合であっても、その緩衝効果によりバッテリ8へ伝達される当該応力を低減することができる。すなわち、バッテリ8の収容物としてのバッテリモジュールBMが当該応力により損傷する虞を低減することができる。
【0037】
一方、左サイドレール2L及び右サイドレール2Rにとってみても、それぞれに接続される弾性支持部ES及びバッテリ8のハウジングを介して両者が互いに弾性的に連結されることになる。このため、複数の弾性支持部ESは、バッテリ8と共にサイドレール間を連結することにより電動トラック用フレーム2自体の剛性を向上させながら、フレームの捩れや横曲げに対して応力を低減することになり、これらを両立させてフレームの成立性を担保することができる。
【0038】
また、弾性支持部ESは、車幅方向Yにおける左サイドレール2L及び右サイドレール2Rの外側に設けられることにより、バッテリ8の占有スペースを最大化することができる。
【0039】
図4は、バッテリ8の部分断面と共に示す電動トラック用フレーム2の側面図である。より具体的には、図4は、図1のBで示すように、バッテリ8の車幅方向Yに垂直な断面を車両左側から見た場合のバッテリ8、PDU9、及びクロスメンバCM2の相対配置を示す側面図である。
【0040】
バッテリ8は、複数のバッテリモジュールBMを第1バッテリ収容部8a及び第2バッテリ収容部8bのそれぞれにおいて収容している。また、本実施形態におけるPDU9は、バッテリ8における車両長手方向Xの前方に接続されている。そして、複数のバッテリモジュールBMとPDU9とが図示しないハーネスで接続されていることにより、PDU9は、それぞれのバッテリモジュールBMから電力を集約すると共に、電動トラック1に搭載される図示しない電動補機群に配電することができる。
【0041】
ここで、バッテリ8の車両前方に設けられたクロスメンバCM2は、左サイドレール2L及び右サイドレール2Rよりも車高方向Zの幅が小さい扁平形状を有し、サイドレール間において車高方向Zの上方に配置されている。このため、クロスメンバCM2は、サイドレール間の下方にスペースを設けることができ、PDU9との干渉を回避しつつデッドスペースを最小限に抑えることにより、バッテリ8の占有スペースを最大化することができる。
【0042】
尚、バッテリ8のハウジングについては、適宜形状を変更してもよく、例えば複数のバッテリモジュールBMとPDU9との両方を収容する形状としてもよい。
【0043】
図5は、本発明に係る電動トラック用フレーム2を部分的に示す上面図である。図5においては、荷箱4の下方部分における電動トラック用フレーム2について、各種コンポーネントを搭載する前の状態を示している。
【0044】
電動トラック用フレーム2は、一対のサイドレール間において、バッテリ8が配置されるバッテリ領域8dと駆動ユニット6が配置される後輪駆動部領域6dとが車両長手方向Xにおいて前後に並んで設けられる。このとき、駆動ユニット6は、上記したように、その前方部分がクロスメンバCM3に懸架されている。このため、バッテリ領域8dは、後輪駆動部領域6dに設けられるクロスメンバCM3まで延在するように設定することができる。
【0045】
これにより、バッテリ8が占有することができるバッテリ領域8dは、車両長手方向Xにおける後方端部をクロスメンバCM3の直前まで拡張することができる。また、バッテリ領域8dは、車両長手方向Xにおける前方端部を、上記したようにクロスメンバCM3の直後まで拡張することができる。
【0046】
そして、本発明に係る電動トラック用フレーム2は、バッテリ8が配置されるバッテリ領域8dにおいて、クロスメンバCM1~CM4の配置が禁止されている。これにより、バッテリ領域8dは、いずれのクロスメンバとも干渉することなく、その全ての空間をバッテリ容量確保のために利用することができる。
【0047】
さらに、本発明に係る電動トラック用フレーム2は、バッテリ領域8dにおいて、バッテリ8を車幅方向Yの両側からそれぞれ弾性的に支持する複数の弾性支持部ESが設けられている。このため、電動トラック用フレーム2は、バッテリ領域8dにバッテリ8が配置された場合に、上記したように、フレーム自体の剛性を向上させながら、フレームの捩れや横曲げに対する応力を低減することができる。従って、電動トラック用フレーム2は、バッテリ容量確保のためにクロスメンバの配置が禁止される領域を比較的大きく確保した場合であっても、剛性と強度とを両立させるフレームの成立性を担保することができる。ここで、仮にバッテリをフレームでリジッドに支持した場合、フレーム自体の剛性は向上するが、フレームの捩れや横曲げに対して許容値を超える応力が発生する可能性があり、トラックとしてのフレームの成立性は確保できない。加えて、フレームの捩れや横曲げに対する応力がバッテリに直接影響し、バッテリの信頼性も担保することができない。
【0048】
また、複数の弾性支持部ESは、左サイドレール2L及び右サイドレール2Rのそれぞれにおいて、少なくとも車両長手方向Xに離間する複数の位置に設けられることにより、フレームの捩れや横曲げに対する応力低減がより効果的となる。
【0049】
以上のように、本発明に係る電動トラック用フレーム2は、バッテリ8が配置された場合には、バッテリ8のハウジング及び弾性支持部ESを介して左右のサイドレールが弾性的に連結されることにより、フレーム自体の剛性を向上させながら、フレームの捩れや横曲げに対する応力を低減することができる。また、電動トラック用フレーム2は、上記のバッテリ領域8dにおいてクロスメンバの配置が禁止されていることにより、電動トラック1に搭載されるバッテリ8の配置がクロスメンバの配置と干渉することはなく、バッテリ容量を増加させるためのスペースを確保することができる。従って、本発明に係る電動トラック用フレーム2によれば、トラック用フレームとしての成立性を担保しつつ、サイドレール間に配置されるバッテリ容量の増大を図ることができる。
【0050】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態の電動トラック用フレーム2は、上記した第1実施形態の電動トラック用フレーム2における複数の弾性支持部ESの構成及び配置が第1実施形態の構成と異なる。以下、第1実施形態と異なる部分について説明することとし、第1実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0051】
図6は、本発明の第2実施形態に係る電動トラック用フレーム2の断面図である。より具体的には、図6は、図3と同様に、バッテリ8及び弾性支持部ESの車両長手方向Xに垂直な断面を車両後方から見た場合の断面図である。ただし、ここではバッテリモジュールBMを省略している。
【0052】
第2実施形態に係る弾性支持部ESは、フレーム側ブラケットES4及び弾性連結体ES5を備える。フレーム側ブラケットES4は、金属製の取り付け部材であり、左サイドレール2L及び右サイドレール2Rの車幅方向Yにおける内側の面に対して、それぞれボルト締結されている。弾性連結体ES5は、車高方向Zの上部においてラバーブッシュを介してフレーム側ブラケットES4に接続され、車高方向Zの下部においてバッテリ8のハウジングに接続されている。
【0053】
このため、第2実施形態に係る電動トラック用フレーム2によれば、上記した第1実施形態の電動トラック用フレーム2と同様に、剛性と強度とを両立させるフレームの成立性を担保しつつ、一対のサイドレールの車幅方向Zにおける外側の空間を設けることができ、他のコンポーネントの搭載に有効利用することができる。
【0054】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態の電動トラック用フレーム2は、上記した第2実施形態の電動トラック用フレーム2におけるバッテリ8の形状、及び弾性支持部ESの構成が第2実施形態の構成と異なる。以下、第2実施形態と異なる部分について説明することとし、第2実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0055】
図7は、本発明の第3実施形態に係る電動トラック用フレーム2の断面図である。第3実施形態のバッテリ8´は、車両長手方向Xに垂直な断面が長方形の形状を有し、左サイドレール2L及び右サイドレール2Rよりも車幅方向Yに対して内側に配置されている。
【0056】
また、第3実施形態に係る弾性支持部ESは、上記した第2実施形態に係る弾性支持部ESのフレーム側ブラケットES4及び弾性連結体ES5に加え、バッテリ側ブラケットES6を備える。バッテリ側ブラケットES6は、金属製の取り付け部材であり、車高方向Zの上部において弾性連結体ES5に接続され、バッテリ8´の側面に固定されている。
【0057】
このため、第3実施形態に係る電動トラック用フレーム2によれば、バッテリ8´の形状に拘らず、上記した第2実施形態の電動トラック用フレーム2と同様に、剛性と強度とを両立させるフレームの成立性を担保することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 電動トラック
2 電動トラック用フレーム
3 キャブ
8 バッテリ
2L 左サイドレール
2R 右サイドレール
CM1~4 クロスメンバ
ES 弾性支持部
8d バッテリ領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7