(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086943
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】薬品払出装置
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20230615BHJP
【FI】
A61J3/00 310E
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074042
(22)【出願日】2023-04-28
(62)【分割の表示】P 2022040255の分割
【原出願日】2016-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2015086296
(32)【優先日】2015-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】北村 光一
(72)【発明者】
【氏名】粕屋 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】▲杉▼本 知大
(57)【要約】
【課題】散薬分包作業を高速化することが可能な薬品払出装置を提供する。
【解決手段】複数の容器載置装置が分配ユニットの近傍に設置された薬品払出装置において、複数の容器載置装置に異なる種類の散薬が収容された散薬収容容器を載置して異なる種類の散薬を分配ユニットに投入する動作を実施可能とする。そして、この動作を実施する際には、載置すべき散薬収容容器の全てが容器載置装置に設置されるまで待つことなく、散薬収容容器が設置された容器載置装置の振動台部の振動を開始させる。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の散薬収容容器と、容器移動手段と、散薬を分配する散薬分配装置と、複数の容器載置装置とを有し、
容器移動手段で複数の散薬収容容器を移動させて複数の容器載置装置に載置し、複数の散薬収容容器から散薬を排出することが可能であり、
全ての容器載置装置に散薬収容容器を設置し、全ての容器載置装置に散薬収容容器が設置された後、全ての容器載置装置に設置された散薬収容容器の内のいずれかの散薬収容容器からの所定量の散薬が排出し終えた場合には、排出し終えた散薬収容容器を取り外して容器載置装置を空け、別途の散薬収容容器を容器移動手段で移動させて空いた容器載置装置に別途の散薬収容容器を設置することが可能であることを特徴とする薬品払出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬品払出装置に関するものであり、特に散薬を分配する薬品払出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大病院や、大規模の薬局では、散薬分包機能を備えた薬品払出装置が導入されている。この薬品払出装置は、処方情報に基づいて散薬を一服用分ずつ個別に包装することが可能であり、従来行われた散薬分包作業の大半を自動化することができる。
【0003】
このような薬品払出装置として、例えば、特許文献1に開示されたものがある。
特許文献1に開示された薬品払出装置は、散薬を一服用分ずつ個別に包装する散薬分包装置である。
【0004】
具体的に説明すると、この散薬分包装置では、散薬を一服用分ずつ個別に包装する分包動作の実施前に、分包動作で使用する散薬を投入ホッパに投入する必要がある。
ここで、投入ホッパには、分包動作で必要な量だけ散薬が投入されるが、この必要量の量り出しは、薬剤師等の装置の使用者が手作業で実施する。すなわち、使用者が薬棚から処方された散薬が入った薬瓶を取り出し、天秤等の秤を使用して必要量を量り出し、投入ホッパに投入する。
【0005】
投入ホッパに散薬が投入されると同時に、トラフを振動させ、分配皿(分配ユニット)を回転させる。
このことにより、投入ホッパに投入された散薬は、投入ホッパの下端開口から、トラフに落ちる。そして、トラフ上を先端側に向かって移動する内に、薬剤の流れが層流状態となる。すなわち、流れに対して直交する方向の断面における薬剤の分布が一定となり、かつ単位時間当たりに薬剤が進行する距離も一定となる。
【0006】
このことから、散薬は均一に分散され、また一定の速度でゆっくりと先端側に向かって移動する。そして、先頭を移動する散薬が、トラフの先端から分配皿に落下する。また後に続く散薬は、時間あたり一定の量だけ分配皿に落下していく。
ここで、上記したように、分配皿は所定の速度で回転している。そのため、トラフから分配皿に落下する散薬は、分配皿で均等に分散することとなる。つまり、散薬が少しずつ分配皿に落下し、かつ分配皿が一定速度で回転することから、散薬が分配皿の上で均等に分散された状態となる。
【0007】
分配皿に対する散薬の落下が終了すると、一旦、分配皿の回転を停止する。そして、掻出装置を分配皿の上面に接触させ、分配皿を分割数に応じた角度だけ回転させる。例えば、3つに分包する場合、120度(360度の3分の1)だけ分配皿を回転させる。この動作により、掻出装置の周辺に一包分の散薬を集めた状態とし、集めた一包分の散薬を掻出装置で包装用ホッパに投入する。そして、包装用ホッパから落下した散薬が包装装置で包装され、分包動作が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示された散薬分包装置には、散薬分包作業をより高速化するという観点から、改良の余地があった。
【0010】
そこで本発明は、散薬分包作業を高速化することが可能な薬品払出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために開発された本発明の一つの態様は、複数の散薬収容容器と、容器移動手段と、散薬を分配する散薬分配装置と、複数の容器載置装置とを有し、容器移動手段で複数の散薬収容容器を移動させて複数の容器載置装置に載置し、複数の散薬収容容器から散薬を排出することが可能であり、全ての容器載置装置に散薬収容容器を設置し、全ての容器載置装置に散薬収容容器が設置された後、全ての容器載置装置に設置された散薬収容容器の内のいずれかの散薬収容容器からの所定量の散薬が排出し終えた場合には、排出し終えた散薬収容容器を取り外して容器載置装置を空け、別途の散薬収容容器を容器移動手段で移動させて空いた容器載置装置に別途の散薬収容容器を設置することが可能である薬品払出装置である。
好ましい態様は、全ての容器載置装置の数を超える種類の散薬を投入する動作を実施する際には、全ての容器載置装置に設置された散薬収容容器の内のいずれかの散薬収容容器から所定量の散薬を排出し終えた場合には、散薬を排出し終えた散薬収容容器を容器載置装置から取り外し、別途の散薬収容容器を容器移動装置で移動させ、散薬を排出し終えた散薬収容容器が載置されていた容器載置装置に別途の散薬収容容器を載置する動作を含む薬品払出装置である。
さらに好ましい態様は、容器載置装置に設置される散薬収容容器から所定量の散薬が排出し終えるのに要する時間を想定し、排出するのに要する時間の長短を勘案して散薬収容容器を容器載置装置に載置する順番を変更する順番決定機能を有する薬品払出装置である。
さらに好ましい態様は、容器移動手段によることなく使用者が手動で散薬収容容器を容器載置装置に載置及び取り外しが可能なように形成されており、全ての容器載置装置に載置されている散薬収容容器からの散薬の排出が終了したにも係わらず、使用者の手で載置した散薬収容容器が容器載置装置に載置されたままである場合に、その旨に関する情報を報知する報知動作が実施される薬品払出装置である。
さらに好ましい態様は、薬品払出装置は、2以上の分配皿をさらに有し、複数の容器載置装置が2以上の分配皿の近傍に設置され、複数の容器載置装置に異なる種類の散薬が収容された散薬収容容器を載置して異なる種類の散薬を2以上の分配皿のいずれかの分配皿に投入する混合処方動作が可能である薬品払出装置である。
さらに好ましい態様は、分配皿を清掃する清掃装置をさらに有し、清掃装置で分配皿を清掃する時期として下記(1)から(5)の条件:
(1)一つの処方による散薬の分配が終了したとき、
(2)新たに一つの処方による散薬の分配を開始せんとするとき、
(3)特定の散薬を含む処方による散薬の分配が終了したとき、
(4)容器移動手段によることなく使用者の手で散薬収容容器を容器載置装置に設置し、散薬の分配が終了したとき、
(5)容器移動手段によることなく使用者の手で散薬収容容器を容器載置装置に設置し、散薬の分配が終了し、さらに新たに一つの処方による散薬の分配を開始せんとするとき、
のいずれか一つ又は複数を選択可能であることを薬品払出装置である。
上記課題を解決するための本発明の別の態様は、筐体と、筐体に、複数の散薬収容容器と、容器移動手段と、散薬を分配する散薬分配装置と、複数の容器載置装置と、分配皿とが内蔵された薬品払出装置であって、容器移動手段で複数の散薬収容容器を移動させて複数の散薬収容容器に載置し、複数の散薬収容容器から散薬を排出することが可能であり、筐体には扉部があって、扉部により筐体の内部の散薬収容容器を出し入れすることが可能であり、容器移動手段によることなく使用者の手で散薬収容容器を容器載置装置に設置することも可能であり、複数の容器載置装置に、異なる種類の薬剤が収容された複数の散薬収容容器を載置して、異なる種類の散薬を分配皿に投入する処方動作が可能であり、容器移動手段による容器載置装置への散薬収容容器の設置と、使用者の手による容器載置装置への散薬収容容器の設置の双方を行う必要がある場合には、いずれを先に行うかを選択可能である薬品払出装置である。
上記課題を解決するための本発明の別の態様は、複数の散薬収容容器と、容器移動手段と、複数の容器載置装置と、分配皿とを有し、容器移動手段で複数の散薬収容容器を移動させて散薬収容容器を複数の容器載置装置に載置する自動載置方法と、容器移動手段によることなく使用者の手で複数の散薬収容容器を複数の容器載置装置に設置する手動載置方法が可能であり、分配皿は、2以上有し、複数の容器載置装置は、2以上の分配皿の近傍に設置され、複数の容器載置装置に異なる種類の散薬が収容され散薬収容容器を載置して異なる種類の散薬を分配皿に投入する混合処方動作が可能であり、特定の分配皿の近傍にある容器載置装置には全て自動載置方法によって散薬収容容器を載置し、他の特定の分配皿の近傍にある容器載置装置には全て手動載置方法によって散薬収容容器を載置する分離配置法と、一つの分配皿の近傍にある容器載置装置に対して自動載置方法と手動載置方法によって散薬収容容器を載置する方法とを選択可能である薬品払出装置である。
上記課題を解決するための本発明の別の態様は、散薬収容容器から所定量の散薬を排出させ、これを所定の数に分割し、さらに個別に包装して排出する薬品払出装置であって、前記散薬収容容器から排出された散薬を配分する分配ユニットと、当該分配ユニットに投入された散薬を掻き出すための掻出装置と、前記散薬収容容器が載置されると共に前記散薬収容容器に作用して前記散薬収容容器から散薬を排出させる容器載置装置とを備え、前記容器載置装置は振動台部を有しており、当該振動台部が振動することで前記容器載置装置に載置した前記散薬収容容器に振動を伝搬可能となっており、複数の前記容器載置装置が前記分配ユニットの近傍に設置され、複数の前記容器載置装置に異なる種類の散薬が収容された前記散薬収容容器を載置して異なる種類の散薬を前記分配ユニットに投入する動作が可能であり、当該動作を実施する際には、載置すべき前記散薬収容容器の全てが前記容器載置装置に設置されるまで待つことなく、前記散薬収容容器が設置された前記容器載置装置の前記振動台部が振動を開始することを特徴とする薬品払出装置である。
なお、ここでいう「散薬」とは、錠剤等の固形の薬剤をすり潰す等により粉末状にした薬剤を含むものとする。
【0012】
本様相の薬品払出装置は、載置すべき散薬収容容器の全てが容器載置装置に設置されるまで待つことなく、散薬収容容器が設置された容器載置装置の振動台部が振動を開始する。このため、複数の散薬収容容器を異なる容器載置装置に載置していくとき、載置の終わった散薬収容容器から分配ユニットへの散薬の供給を実施できる。言い換えると、先行して載置した散薬収容容器からの散薬の供給動作を、後から載置する散薬収容容器の容器載置装置への載置動作と並行して実施できる。このため、散薬収容容器の全てが容器載置装置に設置されてから散薬の供給動作を開始するような構成と比べ、散薬分包作業を高速化できる。このことから、散薬分包作業の効率化を図ることができる。
【0013】
本様相は、1の前記散薬収容容器から所定量の散薬が排出し終えるのに要する排出時間に関する情報に基づき、複数の前記散薬収容容器にそれぞれ収容された散薬を排出時間の長短を基準として序列化することが可能であり、前記序列化の結果に基づいて前記散薬収容容器を前記容器載置装置に設置する順番を決定するカセット配置順決定動作を実施可能であることが好ましい。
【0014】
この好ましい様相によると、例えば、排出時間を長く必要とする薬品を収容した散薬収容容器から順に容器載置装置に載置していき、先行して容器載置装置に載置した散薬収容容器から順に散薬の排出を開始するといった動作が可能となる。すなわち、排出時間を長く必要とする薬品を先行して排出させることで、複数の薬品を排出する動作全体での排出時間を短縮できる。
【0015】
また、この好ましい様相では、排出時間が短くて済む薬品を収容した散薬収容容器から順に容器載置装置に載置することも可能となっている。
ここで、多数の薬品を分配ユニットに排出する必要がある場合、先行して容器載置装置に載置した散薬収容容器からの薬品の排出が終わったとき、この散薬収容容器を容器載置装置の上から移動させ、新たな散薬収容容器を移動させた散薬収容容器が載置されていた容器載置装置の上に載置し、新たな散薬収容容器から薬品を排出する動作を実施することとなる。この場合、排出時間が短くて済む薬品を収容した散薬収容容器を先行して容器載置装置に載置させることで、薬品の排出動作が開始されてから散薬収容容器の交換動作を実施するまでの時間を短縮することができる。すなわち、散薬収容容器の交換動作を実施するような場合、排出時間が短い順に散薬収容容器を載置していくことで、複数の薬品を排出する動作全体での排出時間を短縮できる。
【0016】
本様相は、対象となる2以上の散薬について、散薬の前記散薬収容容器からの排出容易性、前記散薬収容容器に収容されている散薬の収容量、散薬の比重、包装に使用される散薬の使用量からなる各要素を要素ごとに比較する比較演算動作を実施するものであり、前記比較演算動作では、比較対象となる散薬間での排出時間の長短が判別されるまで、優先度の高い要素から順に比較していく動作が実施されるものであって、前記比較演算動作の結果に基づいて前記序列化が実施されることが好ましい。
【0017】
本様相は、使用者が手動で前記散薬収容容器を前記容器載置装置に載置及び取り外しが可能なように形成されており、全ての前記容器載置装置に載置されている前記散薬収容容器からの散薬の排出が終了したにも係わらず、使用者の手で載置した前記散薬収容容器が前記容器載置装置に載置されたままである場合に、その旨に関する情報を報知する報知動作が実施されることが好ましい。
【0018】
この好ましい様相によると、使用者による散薬収容容器の回収忘れを抑制可能であり、誤って散薬収容容器が薬品払出装置の内部に放置されてしまうことを防止できる。
ここで、散薬収容容器が薬品払出装置の内部に放置されてしまうと、後に実施する分包動作(散薬分包作業)の邪魔になってしまう場合がある。しかしながら、この好ましい様相によると、散薬収容容器が薬品払出装置の内部に放置されてしまうことが防止できるので、後に実施する分包動作を円滑に実施できる。
【0019】
本様相は、複数の前記散薬収容容器にそれぞれ収容された散薬が前記散薬収容容器からの排出容易性に基づいて区分され、当該区分に対応する基準値が割り当てられており、前記散薬収容容器を前記容器載置装置に載置して前記振動台部を振動させ、所定量の散薬を排出させる際、前記散薬収容容器に収容した散薬の前記基準値に応じた振動パターンで前記振動台部が振動するものであって、排出初期の振動パターンとその後の振動パターンとが異なるものであり、排出初期には、実際に前記散薬収容容器に収容されている散薬に対応する前記基準値よりも排出容易性の低い散薬に対応する前記基準値に応じた振動パターンで前記振動台部が振動するものであり、その後、実際に前記散薬収容容器に収容されている散薬に対応する前記基準値に応じた振動パターンで前記振動台部が振動することが好ましい。
【0020】
この好ましい様相によると、散薬収容容器に収容された薬品の量が少ない場合等において、薬品の排出速度を向上させることができる。
具体的に説明すると、散薬収容容器の奥まった位置に少量の薬品が溜まっている場合、薬品は散薬収容容器の排出口まで移動した後、外部に排出されることとなる。そのため、散薬収容容器に多くの薬品が収容されており、奥まった位置から排出口の近くまで薬品が充填されているような場合に比べ、薬品の排出動作を開始してから実際に薬品が排出されるまでの時間が多く必要となってしまう。
そこで、この好ましい様相では、排出初期において、より排出容易性の低い薬品に対応する振動を実施している。すなわち、より排出され難い薬品に対応する排出動作を実施することで、散薬収容容器の奥まった位置から排出口までの移動を早めることが可能となっている。このことにより、薬品の排出時間を短縮することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、散薬分包作業の高速化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係る薬品払出装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1の本体装置の筐体を透過して示す斜視図である。
【
図3】
図1の本体装置を別角度から見た様子を示す斜視図であり、扉部が開いた状態を示す。
【
図4】
図2で示される容器移動装置を示す斜視図である。
【
図5】
図4で示されるアーム部の先端側部分を示す斜視図であり、(a)は容器保持部の吸着面が水平となる姿勢を示し、(b)は容器保持部の吸着面が直立する姿勢を示す。
【
図6】
図4で示されるアーム部の先端側部分で自動式薬品容器を容器保持台から移動させる様子を示す説明図であり、アーム部の先端側部分を自動式薬品容器の上方に離れた位置に配して蓋部材を閉塞させる様子を示す。
【
図7】
図2の薬品分割領域を拡大して示す斜視図である。
【
図8】
図7の掻出装置の具体的な構造を示す斜視図である。
【
図9】
図1の薬品払出装置で採用する自動式薬品容器を示す斜視図であり、容器保持台に載置された状態を示す。
【
図10】
図9で示す自動式薬品容器の断面図であり、(a)は蓋部材が開いた状態を示し、(b)は蓋部材が閉じた状態を示す。
【
図11】
図1の薬品払出装置で採用する手動式薬品容器を示す斜視図である。
【
図12】
図11で示される手動式薬品容器の貯留空間形成部材を示す分解斜視図である。
【
図13】
図11で示される手動式薬品容器の断面図であり、蓋部を省略して示す。
【
図14】
図11で示される手動式薬品容器の底部形成部材を示す分解斜視図である。
【
図15】貯留空間形成部材を底部形成部材に取り付ける様子を示す説明図であり、蓋部を省略して示す。
【
図16】
図11で示される手動式薬品容器を仮置台に載置する様子を示す説明図であり、手動式薬品容器を透過させると共に蓋部を省略して示す。
【
図17】
図1の薬品払出装置で実施可能な完全自動分包動作の実施手順の概要を示すフローチャートである。
【
図18】
図6に続いてアーム部の先端側部分で自動式薬品容器を容器保持台から移動させる様子を示す説明図であり、(a)はアーム部の先端側部分を自動式薬品容器から一旦離間させる様子を示し、(b)はアーム部の先端側部分を自動式薬品容器に接触させて蓋部材を閉塞させる様子を示す。
【
図19】
図1の薬品払出装置において、一包分の散薬を掻寄板の近傍に掻き寄せた後に分配ユニットの外部に掻き出す動作を示す説明図であり、(a)~(c)の順で散薬の掻き出しが実施される。
【
図20】
図2の薬品分割領域において、1つの処方に対応する分包動作を2つの分配ユニットを使用して実施する様子を示す説明図である。
【
図21】
図2の薬品分割領域において、1つの処方に対応する分包動作を1つの分配ユニットを使用して実施する様子を示す説明図であり、(a)は3つの薬品容器を容器載置装置に載置された状態を示し、(b)は薬品の排出が完了した薬品容器を容器載置装置の上から移動させる様子を示し、(c)は薬品の排出が完了した薬品容器が載置されていた容器載置装置に対し新たな薬品容器を載置させる様子を示す。
【
図22】本実施形態の散薬カセット選択画面を示す図である。
【
図23】
図22の散薬カセット選択画面において文字入力部に入力が行われた状態を示す図である。
【
図24】本実施形態の散薬カセット分包量設定画面を示す図であり、(a)は均等表示状態を示し、(b)は不均等表示状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付した図面を参照しつつ本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した例であり、本発明がこれらの例に限定されるものではない。
【0024】
本実施形態の散薬分包装置1(薬品払出装置)は、
図1で示されるように、本体装置2と、操作表示部3、制御部(図示しない)、手動式薬品容器5、薬品秤量装置6、ジャーナルプリンタ7、バーコードリーダー8、仮置台9を備えた構造となっている。
この散薬分包装置1は、操作表示部3を操作することにより、薬品容器(散薬収容容器であり、後述する自動式薬品容器4又は上記した手動式薬品容器5)に収容された散薬を自動的に取り出して計量し、所定数に分割して分包する装置である。
【0025】
本体装置2は、筐体10に各種機器が内蔵されて形成されており、具体的には、
図2で示されるように、筐体10の内部に薬品容器配置領域12、薬品分割領域13、薬品包装領域14がそれぞれ設けられている。この筐体10の内部には、除湿装置(図示しない)と温度調節器(図示しない)が設けられており、内部の温度と湿度を一定範囲に維持することが可能となっている。
【0026】
筐体10のうちで薬品容器配置領域12の外側壁面を形成する部分には、
図1、
図3で示されるように、扉部16が設けられている。
扉部16は、自動式薬品容器4を筐体10に出し入れするための部分であり、その内側に自動式薬品容器4を仮置きするための容器仮置部18が設けられている。この扉部16及び容器仮置部18は、筐体10の内部に薬品容器を導入する際の導入部として機能すると共に、筐体10の内部から薬品容器を取り出す際の取出部としても機能する。
【0027】
容器仮置部18は、自動式薬品容器4を機械的な係合によって保持可能な部分であり、自動式薬品容器4を載置することで、自動式薬品容器4と容器仮置部18が係合状態となる。反対に、自動式薬品容器4と容器仮置部18が係合状態であるとき、自動式薬品容器4を持ち上げることにより、これらが係合解除状態となる。すなわち、自動式薬品容器4を容器仮置部18から離脱させることが可能となる。
【0028】
この容器仮置部18には、自動式薬品容器4から情報を読み取るための情報読取手段と、自動式薬品容器4の重量を測定するための重量測定手段とが設けられている。
【0029】
薬品容器配置領域12には、
図2で示されるように、自動式薬品容器4を保持する容器保管部23が設けられている。なお、
図2では一部の自動式薬品容器4にのみ符号を付し、他の自動式薬品容器4への符号を省略している。
容器保管部23は、直立した姿勢で設置されるドラム部材25を備えており、このドラム部材25が縦方向に延びる回転軸を中心として回転可能となっている。つまり、縦型のドラム部材25がモータ等を動力原として水平方向に回転可能な状態となっている。
【0030】
このドラム部材25の外周面には、複数の容器設置部が設けられており、この容器設置部に自動式薬品容器4が保持された状態となっている。
それぞれの容器設置部は、機械的な係合によって自動式薬品容器4を保持するものであり、自動式薬品容器4を押し込むことで、自動式薬品容器4と容器設置部が係合状態となる。反対に、自動式薬品容器4と容器設置部が係合状態であるとき、自動式薬品容器4を外側に引っ張ることにより、これらが係合解除状態となる。
【0031】
本実施形態では、
図2で示されるように、ドラム部材25が縦方向で3分割されており、分割されたそれぞれの領域に複数の容器設置部が形成されている。言い換えると、11個の容器設置部からなる群が3段に亘って設けられている。すなわち、容器保管部23は、全体で33個の自動式薬品容器4を保持可能となっている。
【0032】
この容器設置部は、外側に向かって突出する突出部材を備えた構造となっており、自動式薬品容器4が正規の姿勢で取り付けられると、この突出部材が没入する構造となっている。
【0033】
また、ドラム部材25の内部と外側には、それぞれ光センサーが設けられており、容器設置部の突出部材が突出しているか否かを検知可能となっている。
【0034】
なお、薬品容器配置領域12には、ドラム部材25の近傍に情報読取手段(図示しない)が設けられている。このため、ドラム部材25に保持されたそれぞれ自動式薬品容器4から情報の取得が可能となっている。より詳細には、それぞれの自動式薬品容器4に取り付けられた容器側情報記憶手段(詳しくは後述する)から情報の取得が可能となっている。
【0035】
薬品容器配置領域12から薬品分割領域13に至る領域には、容器移動ユニット28が設けられている。容器移動ユニット28は、アーム部30と昇降機構31を備えた構造となっており、昇降機構31によってアーム部30が鉛直方向に移動可能となっている。
また、アーム部30の先端部分には磁石が設けられており、自動式薬品容器4に一体に取り付けられた鉄板を吸着することで、自動式薬品容器4を保持可能となっている。
【0036】
アーム部30は、
図4で示されるように、昇降機構31の昇降台50に取り付けられた基幹アーム部材51と、基幹アーム部材51の先端側に取り付けられた中間アーム部材52と、中間アーム部材52の先端側に取り付けられたハンド部53を備えた構造となっている。
【0037】
基幹アーム部材51は、図示しない垂直軸を介して昇降台50に取り付けられており、昇降台50を中心として水平方向に回動可能となっている。
中間アーム部材52もまた、図示しない垂直軸を介して基幹アーム部材51の先端に取り付けられており、基幹アーム部材51の先端を中心として水平方向に回動可能となっている。
【0038】
ハンド部53は、大別して基幹部54と容器保持部55から構成されており、これらが取付金具56を介して一体に取り付けられている。
基幹部54は、図示しない垂直軸を介して中間アーム部材52の先端に取り付けられており、中間アーム部材52の先端を中心として水平方向に回動可能となっている。
【0039】
容器保持部55は、
図5で示されるように、水平方向に寝かした姿勢の取付金具56に対し、水平軸を介して回動自在に取り付けられている。そのため、容器保持部55は、平行姿勢(
図5(a)参照)をとることも垂直姿勢(
図5(b)参照)をとることも可能となっている。
【0040】
この容器保持部55は、薬品容器を吸着するための電磁石(図示しない)と、開閉部材57(
図6参照)を備えた構成となっている。
具体的には、容器保持部55のうち、薬品容器の吸着時に薬品容器に押し当てられる面(
図6の下面)に開口58が設けられており、この開口58の奥側に開閉部材57が設けられている。開閉部材57は、側面視した形状が略「L」字状となるように連続する2つの当接板によって構成された、略「L」字板状の部材である。この開閉部材57は、2つの当接板の付け根部分を中心として揺動自在に取り付けられている。
なお、この開閉部材57は、図示しないソレノイドやモータ等の動力によって揺動させることが可能となっている。
【0041】
このため、容器保持部55で自動式薬品容器4を吸着するとき(詳しくは後述する)、
図6で示されるように、蓋部材61の外側に突出している部分を開口58に挿入させ、この外側に突出している部分を開閉部材57の2つの当接板の間に位置させることができる。そして、この状態で開閉部材57を揺動させることにより、蓋部材61を開閉することが可能となっている。
【0042】
薬品分割領域13では、正面ドア34(
図1参照)の後方側に位置する空間内に、
図7で示されるように、分配ユニット35と、容器保持台36(容器載置装置)と、掻出装置37と、清掃装置38と、薬品導入口39と、カメラ部材40が設けられている。
より具体的に説明すると、薬品分割領域13では、並列する2つの分配ユニット35がそれぞれ埋没状態で設置されている。
【0043】
それぞれの分配ユニット35の周辺には、容器保持台36と、掻出装置37と、清掃装置38が設けられている。そして、1つの分配ユニット35に、3つの容器保持台36と、1つの掻出装置37と、1つの清掃装置38が対応付けられている。
【0044】
また、分配ユニット35の周辺であり、2つの分配ユニット35の間には、薬品包装領域14に一包分ずつ散薬を供給するための薬品導入口39が設けられており、この薬品導入口39と隣接する位置に仕切板装置41が設けられている。
仕切板装置41は、箱状の本体部と、この本体部に対して出没可能に取り付けられた立板部とを備えている。そして、立板部の大部分が本体部から外部に突出した突出状態と、立板部が本体内に収納された収納状態とを切替え可能となっている。
【0045】
ここで、各分包動作(詳しくは後述する)において、一方の分配ユニット35で配分した散薬を掻出装置37ですくい上げ、薬品導入口39に投入するとき、投入する散薬の種類によっては、散薬が必要以上に遠くまで飛んでしまうことが考えられる。すなわち、散薬が他方側の分配ユニット35まで飛んで行ってしまうことが考えられる。
そこで、本実施形態の散薬分包装置1では、仕切板装置41を突出状態とすることで、散薬が他方側の分配ユニット35まで飛んで行くことを防止している。すなわち、仕切板装置41の立板部を遮断壁のように機能させ、散薬が他方側の分配ユニット35まで飛んで行くことを防止している。
【0046】
分配ユニット35は、円環状に連続する薬品投入溝が設けられており、図示しない回転機構によって、回転可能な状態となっている。
【0047】
容器保持台36は、振動台部と、重量測定手段とを備えた構造となっている。
【0048】
振動台部には、薬品容器(自動式薬品容器4又は手動式薬品容器5)を保持するための容器保持手段が設けられている。なお、本実施形態では、容器保持手段として磁石(電磁石)を採用している。
【0049】
重量測定手段は、薬品容器の重量を直接又は間接的に測定するものである。
【0050】
このことから、容器保持台36に薬品容器を載置することで、薬品容器を振動させ、薬品容器に収容された散薬を分配ユニット35に排出することが可能となる。そして、この散薬の排出に伴う薬品容器の重量変化を重量測定手段によって検知可能となっている。
【0051】
掻出装置37は、具体的には、
図8で示されるように、円盤状のターンテーブル170の上面にアーム部材171が固定されており、アーム部材171がターンテーブル170の外側に向かって突出している。このことから、ターンテーブル170を回動させることで掻出装置37の略全体を旋回させることが可能となっている。
また、アーム部材171の先端側には、掻寄板172と、仕切板173と、掻出板174とが取り付けられている。
【0052】
掻寄板172は、薄板で作られた小型円盤状の部材であり、その厚さ方向がアーム部材171の突出方向と垂直となるように取付けられている。言い換えると、掻寄板172は、アーム部材171の側面のうち突出方向と垂直となる面に固定され、直立した姿勢をとっている。
また、掻寄板172の周縁部分には、分配ユニット35の上面と密着するようにゴム又は樹脂の円周部シール材175が設けられている。
【0053】
仕切板173は、掻寄板172と平行になるように配された薄板状の部材であり、扇型に近い形状をしている。すなわち、仕切板173は、中心角が30度程度の円弧と、直線の2辺によって形付けられた略三角形の板となっている。
【0054】
掻出板174は、掻寄板172と、仕切板173の中心角を成す直線状の一辺とに接触しており、これらの双方と直交するように配された板状の部材となっている。言い換えると、掻寄板172の円形面から外側に突出するように形成されている。
この掻出板174の端辺にもまた、分配ユニット35の上面と密着するようにゴム又は樹脂の掻出用シール材176が設けられている。
【0055】
カメラ部材40は、
図7で示されるように、容器保持台36の周囲を撮影可能な位置に設置されており、容器保持台36に載置された薬品容器の薬品排出部67,315(詳しくは後述する)の周辺を撮影する撮像装置として機能するものである。このカメラ部材40には、例えば、CCDカメラ等のデジタル撮像器が好適に採用可能となっている。
本実施形態では、片側の分配ユニット35に隣接する容器保持台36の周辺を撮像するカメラ部材40と、他方側の分配ユニット35に隣接する容器保持台36の周辺を撮像するカメラ部材40が別途設けられており、それぞれ撮像動作を別途実行可能となっている。
【0056】
薬品包装領域14には、公知の薬品包装装置と、印字手段とが設けられている。
薬品包装装置は、薬品を一包分ずつ包装するための機械であり、シート供給装置と、シール装置によって形成されている。すなわち、シート供給装置から供給されたシートを袋状に形成して分包袋を作成すると共に、作成した分包袋で薬品分割領域13から供給された散薬シール装置によって一服用分ずつシールし包装する動作が可能となっている。
印字手段は、分包袋に対して所定の情報を印字するための機械である。
【0057】
自動式薬品容器4は、
図9で示されるように、外形が略直方体状の容器であり、内部に収容した散薬又は粉末状の薬品を外部に排出するための薬品排出部67が設けられている。この薬品排出部67は、開口状の部分であり、内外を連通している。なお、この薬品排出部67は、周辺の部材を取り外すことでより大きく開口し、薬品を導入するための薬品投入部として機能する部分でもある。
また、この自動式薬品容器4には、異なる二面にそれぞれ鉄板が取り付けられている。一方の面に設けられた鉄板(上面側鉄板部材63)は、アーム部30で自動式薬品容器4を保持する際、アーム部30の磁石に吸着させるための部分である。また、他方の面に設けられた鉄板(下面側鉄板部材62)は、後述する容器保持台36に設置するとき、容器保持台36の磁石に吸着させるための部分である。
加えて、この自動式薬品容器4にはRFIDタグが設けられており、収納された薬品に関する情報を記憶可能となっている。すなわち、このRFIDタグが容器側情報記憶手段として機能する。
【0058】
さらに具体的に説明すると、この自動式薬品容器4は、容器本体60と、蓋部材61と、下面側鉄板部材62と、上面側鉄板部材63を備えた構造となっている。より詳細には、容器本体60の短手方向(
図9の高さ方向)で対向する2面の一方に、2つの上面側鉄板部材63が一体に固定されており、他方に下面側鉄板部材62が一体に固定されている。なお、以下の説明において、自動式薬品容器4の上下方向を説明する際には、
図9の姿勢を基準として説明する。
【0059】
容器本体60は、直方体状の容器であり、その内部は、
図10で示されるように、大別して散薬を収納するための散薬収納部65と、乾燥剤収納部66に区画されている。また、容器本体60の長手方向の片側端部には薬品排出部67が設けられている。この薬品排出部67は周辺の部材を取り外すことでより大きく開口し、容器本体60の内部に薬品を導入するための薬品投入部として機能する。この薬品排出部67には、下端近傍となる位置に、容器本体60の内外を連通する薬品排出口68が設けられている。
【0060】
蓋部材61は、立板状の可動蓋部70と、共に可動蓋部70の内側面から内側に突出する係合片部71とパッド部72を備えた構造となっている。なお、係合片部71は、可動蓋部70の内側面のうちで高さ方向の中心よりやや上側となる部分から内側に突出しており、パッド部72は、下端付近から内側に突出している。
この蓋部材61は、可動蓋部70が容器本体60の薬品排出口68が位置する端部を覆うように、容器本体60に一体に取り付けられている。そして、容器本体60に取り付けられた状態で、係合片部71の一部を中心に揺動可能な状態となっている。
【0061】
このため、
図10(a)で示される状態から、可動蓋部70の上側を容器本体60の長手方向外側に向かって押圧することにより、可動蓋部70の下端側が容器本体60に近接する。そして、可動蓋部70の下端側に位置するパッド部72が薬品排出口68を閉塞することで、蓋が閉じた状態となる(
図10(b)参照)。
反対に、この蓋が閉じた状態から、可動蓋部70の上側を容器本体60の長手方向内側に向かって押圧することにより、可動蓋部70の下端側が容器本体60の長手方向における外側に移動する。そして、可動蓋部70の下端側に位置するパッド部72が薬品排出口68から離れることで、薬品排出口68が開放され、蓋が開いた状態となる(
図10(a)参照)。
【0062】
操作表示部3は、所謂タッチパネルであり、液晶パネル等の表示装置と、タッチパッド等の位置入力装置を組み合わせて形成されたものである。
本実施形態の散薬分包装置1は、この操作表示部3に各種画面を表示し、指やタッチペン等の誘電体(以下、単に指等とも称す)で所定の部分に触れる操作を行うことで、後述する各種動作を実行可能となっている。
【0063】
制御部は、CPU、ROM、RAM(EEPROM)、データ記憶部を備えている。
CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。ROMは、BIOS等のプログラムが予め記憶された不揮発性メモリであり、RAMは、各種プログラムの展開及びデータの一時記憶に用いられる揮発性メモリ又は不揮発性メモリとなっている。
【0064】
データ記憶部は、各種プログラムやデータが記憶されたHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置である。より詳細には、各種データベースが記憶されており、「患者名」や「常用量」等の薬品に関する各種情報が関連付けられて記憶される
【0065】
手動式薬品容器5は、
図11で示されるように、薬剤投入口開放型の容器であり、貯留空間形成部材301と底部形成部材302によって構成されている。
【0066】
貯留空間形成部材301は、
図12で示されるように、四方の側面が側面壁304によって完全に覆われ、上下の面が開口する本体部303を有している。すなわち、本体部303は、平面視が長方形であって、上部に開口305を有し、この開口305から薬剤を投入することが可能となっている。
【0067】
また、本体部303の底部分にも、
図13で示されるように、開口306が設けられている。この下部側の開口306は、上部側の開口305よりも開口面積が小さくなっている。これら2つの開口305,306は離間対向しており、それぞれ側面壁304で囲まれた空間と外部を連通する開口となっている。
【0068】
本体部303の側面には、RFIDタグが設けられており、投入する薬品に関する情報や、手動式薬品容器5のID(複数の薬品容器から特定の薬品容器を特定するための識別子)を記憶可能となっている。すなわち、このRFIDタグが容器側情報記憶手段として機能する。
【0069】
図12で示されるように、本体部303の一対の側面には、ガイド片309が設けられている。ガイド片309は、本体部303の長辺側の側面壁304と一体に形成されており、側面壁304から水平(容器保持台36に載置された姿勢を基準とする)に突出している。またガイド片309は、側面壁304の長辺に沿って延びている。そして一方の端部にストッパ307が形成されている。ストッパ307は、ガイド片309の末端部分にあって、断面積が大きく作られた部位である。
【0070】
また、貯留空間形成部材301は、本体部303の上部に装着可能な蓋部308を有しており、蓋部308を装着することで上側に位置する開口305を閉塞可能な構造としている。
【0071】
底部形成部材302は、フェライト等の磁性体成分を含む鋼板を加工して形成される部材であり、
図13、
図14で示されるように、底部310を中心としてその両側が上方に折り曲げられ、傾斜壁311が形成されている。
【0072】
ここで、
図14で示されるように、底部形成部材302の長手方向における一端側には、縦壁状の部分が形成されておらず、側方が開放された状態なっている。そして、この側方が開放された部分が薬品排出部315を構成している。対して、底部形成部材302の長手方向における他端側には、縦壁316が設けられており、側方が閉塞された状態となっている。
【0073】
また、底部形成部材302の底部310であって薬品排出部315の近傍には、突起325が複数設けられている。
【0074】
そして、底部形成部材302の全長は、
図11等で示されるように、貯留空間形成部材301の全長よりも長くなっている。
【0075】
底部形成部材302の傾斜壁311の外周部には、ガイド受け部材313が設けられている。
【0076】
ガイド受け部材313は、
図14で示されるように、受け部形成部材317と、弾性部材320によって構成されている。
【0077】
ガイド受け部材313は、略直方体の箱型形状となっている。ガイド受け部材313の天面部分には、覆い部318があり、箱型部分の天面と覆い部318との間に、上記したガイド片309が係合するスリット部319が形成されている。なお、スリット部319は、薬品排出部315側が開放され、縦壁316側は閉塞された状態となっている。
【0078】
ガイド受け部材313の内部には、天井部から垂下するピン324が2本設けられている。
【0079】
弾性部材320は、底部形成部材302の傾斜壁311に設けられ、外側に棚状に張り出した支持台321に取り付けられている。すなわち、傾斜壁311の外周部に支持台32が設けられ、この支持台に2つの弾性部材320が立設された状態となっている。
弾性部材320は具体的にはバネである。弾性部材320の上部には受け部材322が設けられており、この受け部材322には凹部323が形成されている。
【0080】
受け部形成部材317は、弾性部材320を覆うように取付けられる部材であり、内部のピン324が弾性部材320の凹部323と係合可能となっている。
【0081】
そして、貯留空間形成部材301は、ガイド受け部材313を介して底部形成部材302に一体に取り付け可能となっている。すなわち、
図15で示されるように、ガイド受け部材313のスリット部319に、貯留空間形成部材301のガイド片309を係合させ、両者を一体化することで、手動式薬品容器5が形成される構造となっている。
【0082】
ここで、ガイド受け部材313は、上記したように弾性部材320を有しているので、貯留空間形成部材301と底部形成部材302は、間に弾性部材320が介在された状態で一体化されることとなる。
また、上記したように、スリット部319の薬品排出部315側が開放され、縦壁316側は閉塞されているから、貯留空間形成部材301を底部形成部材302の長手方向に沿って薬品排出部315側に移動させることにより、貯留空間形成部材301を底部形成部材302から取り外すことができる。
【0083】
ところで、
図13で示されるように、貯留空間形成部材301の下部側の開口306は、底部形成部材302の底部310とは接しておらず、両者の間には隙間がある。
【0084】
ここで、この手動式薬品容器5は、上記した手動式薬品容器5と同様に使用することができる。
すなわち、貯留空間形成部材301内に薬剤を投入し、手動で手動式薬品容器5を筐体10の内部に搬入し、所望の容器保持台36に設置する。そして、容器保持台36の振動台部を振動させて、薬品を薬品排出部315から排出する。
【0085】
このとき、手動式薬品容器5は、貯留空間形成部材301と底部形成部材302が弾性部材320を介して一体化しているので、底部形成部材302は振動して薬剤を移動させるが、貯留空間形成部材301の振動量は底部形成部材302に比べて小さくなる。このように、貯留空間形成部材301と底部形成部材302の振動量を異なるものとすることで、貯留空間形成部材301に投入した薬剤(薬品)を開口306から底部形成部材302に円滑に移動させることが可能となり、薬剤の排出を円滑に実施可能となる。
【0086】
ここで、この手動式薬品容器5を使用する際、薬品秤量装置6で薬品を秤量し、秤量した薬品を手動式薬品容器5に充填し、手動式薬品容器5を筐体10の内部に搬入する場合がある。このような場合、手動式薬品容器5を机上に置き、貯留空間形成部材301に計量した薬剤を投入することとなる。
しかしながら、この手動式薬品容器5は、底側部分が底部形成部材302によって形成されているが、底部形成部材302の断面形状は「コ」の字状であって、机上表面と接する部分の面積は小さい。このことから、手動式薬品容器5を机上に直接置いた際に姿勢が安定せず、手動式薬品容器5がひっくり返ってしまう懸念がある。
【0087】
そこで、手動式薬品容器5を実際に使用する際には、
図16で示されるように、仮置台9と共に使用している。
【0088】
仮置台9は、手動式薬品容器5の底部形成部材302の底面が合致する設置溝341を有する台状の部材となっている。
設置溝341は、一方側が開放部345であり、他方側には縦壁部342が設けられている。この設置溝341は、その底部分が傾斜しており、開放部345側が縦壁部342側に比べて高くなっている。この底部分の傾斜角度は、3度から10度程度であり、本実施形態では5度となっている。
【0089】
また、この仮置台9には、RFIDタグ等から情報を読み取る情報読取装置(情報読取手段)が設けられている。そのため、手動式薬品容器5を仮置台9に載置したとき、手動式薬品容器5のRFIDタグ等から情報を読み取る情報読取動作を実施可能となっている。
【0090】
このような仮置台9の上に手動式薬品容器5を置くことで、手動式薬品容器5の姿勢を安定させた状態で薬品を投入が可能となる。
より具体的に説明すると、手動式薬品容器5の底部形成部材302の傾斜壁311を仮置台9の設置溝341の傾斜面に合致させ、底部形成部材302の縦壁316を仮置台9の縦壁部342に当接させた姿勢で手動式薬品容器5を仮置台9の上に置いた状態とする。このことにより、底部形成部材302が傾斜姿勢となり、薬品排出部315が上方向に向いた状態で手動式薬品容器5の姿勢が安定する。このように薬品排出部315を上方に位置させることで、薬品排出部315からの薬品の零れ落ちを防止できる。
【0091】
薬品秤量装置6は、天秤台と、RFIDリーダライタを備えている。また、仮置台9から送信されたデータ(信号)を受信可能となるように、薬品秤量装置6は、仮置台9と構内通信網(LAN)等の通信網を介して互いにデータ(信号)を送受信可能な状態に接続されている。
そして、この薬品秤量装置6は、薬品容器を仮置台9に載置した状態で、薬品容器に設けられたRFIDタグに対して情報の読み込み及び書き込みが実施可能となっている。すなわち、薬品秤量装置6が仮置台9と連動することで、薬品容器の容器側情報記憶手段に対して情報の読み取り及び書き込みが可能となる。言い換えると、薬品秤量装置6及び仮置台9からなる機器は、情報読込手段及び情報書込手段を備えた構造となっている。
【0092】
ジャーナルプリンタ7は、分包動作の履歴や処方の記録といった、各種情報を紙等の媒体に印字して出力するための装置である。
【0093】
バーコードリーダー8は、薬品の元箱や薬瓶等に記されているバーコードを読み取り可能なものである。
【0094】
本体装置2に内蔵されたセンサー、カメラ部材等の各種機器、薬品秤量装置6、ジャーナルプリンタ7、バーコードリーダー8は、上記した制御部との間で各種情報を送受信可能な状態となっている。すなわち、これらはLAN等の通信ネットワークで接続された状態となっており、信号の送受信が可能な状態となっている。
【0095】
続いて、本実施形態の散薬分包装置1の実施可能な分包動作について説明する。
本実施形態の散薬分包装置1は、入力された処方に関する情報に基づいて散薬を一服用分ずつ分包する分包動作を実施可能となっている。
【0096】
まず分包動作に先立って、清掃動作(詳しくは後述する)を実施する時期を設定する設定動作を実施しておく。
【0097】
具体的に説明すると、本実施形態の散薬分包装置1では、制御部のデータ記憶部に薬品に関する情報を記憶するデータベースが記憶されており、医師から処方される可能性のある薬品が薬品容器への収納、未収納に関わらず登録対象となっている。
そして、薬品コード、薬品名、単位コード、刻印、棚ナンバー(収納されている棚の管理番号)、管理フラグ(取扱いに特別な管理が必要か否か)、薬品名(略称)、清掃動作の対象か否か、安定係数、比重、振動係数、イメージ画像等の情報を登録可能となっている。
【0098】
すなわち、使用者が所定の操作を実施することで上記した各項目の入力が可能となっている。
ここで、上記した項目のうち「清掃動作の対象か否か」の項目を入力する際には、まず清掃動作が必要であるか否かを選択して設定可能となっている。そして、「清掃動作が必要である」と設定された場合には、「手撒きカセットの使用後のみ」という設定と「配分前にも毎回清掃」という設定からいずれかを選択可能となっている。
【0099】
「手撒きカセットの使用後のみ」とは、この薬品を使用する分包動作が実施されるとき、分包動作の開始前には清掃動作を実施せず、分包動作の終了後に清掃動作を実施する設定である。
「配分前にも毎回清掃」とは、この薬品を使用する分包動作が実施されるとき、分包動作の開始前に清掃動作を実施し、且つ、分包動作の終了後にも清掃動作を実施する設定である。
【0100】
本実施形態の散薬分包装置1は、この設定された薬品の情報に基づいて清掃動作が必要か否かを自動的に判別し、必要な場合には設定された時期に自動的に清掃動作を実施する構成となっている。
なお、本実施形態の散薬分包装置1では、初期状態(出荷時の状態)において、データベースに登録された全ての薬品が「手撒きカセットの使用後のみ」の設定がされた状態となっている。すなわち、分包動作前の清掃動作を実施せず、分包動作前の清掃動作を実施する薬品として設定されている。したがって、設定を変更せずに散薬分包装置1を運用すると、分包動作を実施した後に必ず分配ユニット35の清掃動作が実施される設定となっている。
【0101】
このように、予めに清掃動作に関する設定がなされた状態で、操作表示部3で所定の操作が実施し、処方に関する情報を散薬分包装置1に入力する。
なお、処方に関する情報は、操作表示部3で直接入力する必要はなく、外部のPCや制御装置と散薬分包装置1を構内通信網(LAN)等の通信網を介して互いにデータ(信号)を送受信可能な状態とし、外部の機器から処方に関する情報(データ)を散薬分包装置1に送信してもよい。
【0102】
処方に関する情報が入力されると、散薬分包装置1は、その処方で使用する薬品を特定する。そして、使用する薬品が収容された薬品容器(自動式薬品容器4又は手動式薬品容器5)を選択するカセット選択動作が実施可能となる。
【0103】
具体的に説明すると、散薬分包装置1が実施する分包動作では、処方に関する情報に基づいて薬品を一服用分ずつ包装している。つまり、その処方で提供される薬品が1つである場合、その薬品を一服用分ずつ包装する動作を実施する。対して、その処方で提供される薬品が複数である場合、複数の薬品を混合した後、一服用分ずつ包装する動作を実施する。
このカセット選択動作では、分包動作で使用するそれぞれの薬品毎に散薬分包装置1に内蔵された自動式薬品容器4を使用するか、外部の管理棚に収納された自動式薬品容器4を使用するか、薬剤師が予め秤量した散薬を導入した手動式薬品容器5を使用するかを選択可能となっている。
【0104】
より具体的に説明すると、カセット選択動作が開始されると、散薬分包装置1は、入力された情報とデータ記憶部に記憶された情報(又はセンサによって取得した情報)を比較し、処方された薬品が自動式薬品容器4に収容されているか否かを自動的に判別する。
この判別の結果、自動式薬品容器4に収納された薬品である場合には、自動的に自動式薬品容器4が選択され、そうでない場合には、自動的に手動式薬品容器5が選択された状態となる。
そして、この状態から使用者が操作表示部3を操作することにより、それぞれの薬品にどの薬品容器を使用するかを選択可能となっている。
【0105】
なお、容器保管部23が保持している自動式薬品容器4が選択された場合には、選択した自動式薬品容器4が容器保管部23に現在保持されているか否かを判別する保持判別動作が実施される。そして、この判別動作の結果、カセット選択動作で選択された自動式薬品容器4が容器保管部23に保持されていなかった場合には、その旨を報知する報知動作が実施される。この場合、散薬分包装置1に新たな自動式薬品容器4を容器保管部23に保持させる動作を実施させることで、必要な薬品が収容された自動式薬品容器4が容器保管部23に保持された状態となる。
【0106】
カセット選択動作が終了すると、カセット選択動作での入力結果に応じた分包動作が実施される。
すなわち、分包動作で使用する全ての薬品で容器保管部23に保持された自動式薬品容器4を使用する場合には、完全自動分包動作が実施されることとなる。また、全て薬品で自動式薬品容器4を使用し、且つ、1以上の薬品で外部の管理棚に収納された自動式薬品容器4で使用する場合には、準自動分包動作が実施されることとなる。
対して、分包動作で使用する全ての薬品で手動式薬品容器5を使用する場合には、手動分包動作が実施されることとなる。さらに、複数の薬剤を混合して分包する場合であり、且つ、少なくとも1の薬品で自動式薬品容器4を使用し、他の少なくとも1の薬品で手動式薬品容器5を使用する場合には、半自動分包動作が実施されることとなる。
これらの各動作について、以下で詳細に説明する。
[完全自動分包動作]
【0107】
図17で示されるように、まず、使用する薬品のうちで1以上の薬品において、分包動作の事前に清掃動作を実施するように設定されている場合(STEP1でYes)、清掃動作が実施される(STEP2)。
【0108】
清掃動作とは、具体的には、清掃装置38の先端側部分を降下させ、分配ユニット35に近接した状態とする。そして、分配ユニット35を所定の速度で回転させる動作を実施する。
ここで、清掃装置38には、残薬を吸引する吸引装置が設けられている。そして、先端側部分に回転可能なブラシ状の部分と、吸引装置の吸入口が形成されている。
つまり、清掃動作は、分配ユニット35に接触したブラシ状の部分が残薬を掻きだし、上方に舞い上がった残薬を吸引装置で吸引する動作となっている。
【0109】
続いて、分包対象となる散薬が全て容器保管部23に現在保持されている自動式薬品容器4に収納されていることが確認する確認動作が実施される(STEP3)。そして、分包対象となる散薬が全て容器保管部23の自動式薬品容器4に収納されていることが確認されると(STEP4でYes)、容器保管部23から選択された自動式薬品容器4を取り出すカセット取出動作が開始される(STEP5)。
【0110】
ここで、1つの薬品のみを使用する場合(STEP6でYes)には、カセット取出動作で1つの自動式薬品容器4が取り出されることとなる。
すなわち、散薬分包装置1は、ドラム部材25を回転させ、取り出し対象となる自動式薬品容器4と容器移動ユニット28を近接させる。そして、容器移動ユニット28の一部であるアーム部30に自動式薬品容器4を保持させる。換言すると、アーム部30の先端側に設けられた磁石によって、自動式薬品容器4に一体に取り付けられた鉄板を吸着させる。
そして、アーム部30が容器保管部23から自動式薬品容器4を取り出し、自動式薬品容器4を容器保持台36まで移動させ、自動式薬品容器4を容器保持台36に載置する(STEP7)。
【0111】
本実施形態では、容器保持台36の近傍に情報読取手段が設けられており、容器保持台36に載置させた自動式薬品容器4のRFIDタグから記憶されている情報を読み取る情報読取動作が可能となっている。
この情報読取動作により、自動式薬品容器4に収容されている薬剤(散薬)の種類が確認される。すなわち、使用する薬剤が収容された自動式薬品容器4が正しく選択され、運搬されたかを確認する確認動作が実施される。
【0112】
確認動作の結果、使用する薬剤が収容された自動式薬品容器4が容器保持台36に載置されていることが確認されると、容器保持台36の振動台部が振動動作を開始し、自動式薬品容器4が振動し、自動式薬品容器4に収容された散薬がゆっくりと分配ユニット35に落下する。すなわち、自動式薬品容器4の内部から分配ユニット35に散薬が供給(排出)されていく(STEP7)。
【0113】
ここで、薬品(散薬)は、種類によって粒子径や吸湿性がそれぞれ異なるため、容器保持台36を振動させた際、薬品容器内の薬品の挙動は、薬品の種類によって異なるものとなる。さらに、振動を受けたときに整流化して流れ易い薬品と、整流化し難い薬品がある。そして、一振動で移動する量は、薬品の種類によって異なる。
これらのことから、薬品の排出初期は排出量が安定しないという問題がある。そこで、本実施形態の散薬分包装置1では、後述する振動制御動作を実施することにより、排出量を安定させ、且つ、排出速度の向上を図っている。
【0114】
また、自動式薬品容器4から分配ユニット35への散薬の供給動作(排出動作)に伴って、分配ユニット35を回転させるフィーダ回転動作を実施する。
【0115】
ここで、振動台部による振動動作の開始前及び実施中には、容器保持台36の重量測定手段が検知した値に基づいて、載置された自動式薬品容器4の重量を測定する重量測定動作が実施されている。
すなわち、自動式薬品容器4から分配ユニット35に散薬が供給(排出)されている間、自動式薬品容器4の重量が常時検知されており、散薬の供給量(排出量であり、分配ユニット35の上に落下した量)が所定量となったことを条件として、振動台部の振動動作を停止させる構成となっている。
なお、振動動作の開始前に取得した自動式薬品容器4の重量は原重量として記憶され、振動動作の実施中に取得される現在の重量は現重量として記憶される構成となっている。
【0116】
そして、振動動作を実施している間、自動式薬品容器4の重量を常時検知することにより、散薬が滞りなく分配ユニット35に供給されているか否かを確認する。言い換えると、自動式薬品容器4の排出口で散薬が詰まったりすることなく、正しく供給されているか否かが確認される。
すなわち、本実施形態の散薬分包装置1は、振動動作の実施中に自動式薬品容器4の現重量を取得し続け、取得した現重量を開始前に取得した原重量と比較することで、散薬の供給量(原重量から現重量を減算した値)を常時算出し続けている。
そして、散薬の供給量が規定量となったことを条件として振動動作を停止している。言い換えると、自動式薬品容器4の現重量が振動動作の開始前に取得した原重量に対して規定量だけ少なくなったことを条件として、振動動作を停止している。
【0117】
そして、分配ユニット35に規定量の散薬が供給され、振動動作が停止されると、アーム部30によって自動式薬品容器4が容器保管部23に戻される。このとき、分配ユニット35に薬剤の供給が完了した際の自動式薬品容器4の重量を容器保持台36の重量測定手段で測定し、測定した重量をRFIDに記憶させる情報書込動作が実施され、その後、自動式薬品容器4が容器保管部23に戻される。
すなわち、アーム部30が自動式薬品容器4を容器保持台36から容器保管部23に移動させる。また、その一方で分配ユニット35では、振動動作が停止した後、分配ユニット35の回転を停止する。
【0118】
この自動式薬品容器4の容器保持台36から容器保管部23への移動について具体的に説明すると、まず、
図6で示されるように、アーム部30の容器保持部55を自動式薬品容器4に近接させ、容器保持部55の吸着面(
図6における下面)と自動式薬品容器4の上面側鉄板部材63が取り付けられた面(
図6における上面)とを離間対向させる。
【0119】
言い換えると、容器保持部55の吸着面を自動式薬品容器4の上面と所定距離L(1mm乃至3mmであり本実施形態では1.5mm)だけ離れた位置に配置する。
そして、この状態で開閉部材57を揺動させることにより、蓋部材61を閉じた状態とする(仮閉塞動作)。この時、容器保持部55の電磁石を無励磁状態として吸着力を無くすことで、1mmまで近づけてもカセットが自然と吸着されたり、吸着しようとする力で揺れ動いたりすることも無い。
【0120】
続いて、
図18(a)で示されるように、容器保持部55を上昇させ、自動式薬品容器4から離間させた状態とする。このことにより、開閉部材57の2つの当接板の間に位置していた蓋部材61の上端部分が、開閉部材57の下方側に位置した状態となる。言い換えると、開閉部材57と蓋部材61の係合が解除され、開閉部材57を揺動させても蓋部材61と接触しない状態となる。
【0121】
この状態から、再び容器保持部55を自動式薬品容器4に近接させ、容器保持部55の吸着面(
図18における下面)と自動式薬品容器4の上面側鉄板部材63が取り付けられた面(
図18における上面)とを密着させた状態とする。そして、容器保持部55の電磁石(図示しない)に磁力を発現させ、容器保持部55に自動式薬品容器4を吸着させる。そして、開閉部材57を再度揺動させ、蓋部材61を閉塞させる動作を実施する(本閉塞動作)。この蓋部材61を閉塞させる動作により、蓋部材61がしっかりとしまった状態となる。そして、この状態でアーム部30を動作させ、容器保持部55と共に自動式薬品容器4を移動させる。
【0122】
このように、本実施形態では、容器保持部55に自動式薬品容器4を吸着させる前に、容器保持部55と自動式薬品容器4を離間させた状態で、自動式薬品容器4の蓋部材61を閉塞する動作を実施し、蓋部材61を仮閉めした状態とする。このことにより、容器保持部55を自動式薬品容器4に吸着させる際の衝撃で、自動式薬品容器4から散薬がこぼれ落ちてしまうことを防止することが可能となっている。
【0123】
そして、分配ユニット35に供給された散薬を一服用分ずつ薬品導入口39に投入する薬品分割動作を実施し、一服用分ずつ分包する動作を実施する(STEP9)。
【0124】
具体的に説明すると、上記したように、薬品容器から分配ユニット35に散薬が排出され、分配ユニット35が回転することで、分配ユニット35の上面全体に散薬が満遍なく広がった状態となる。そして、薬品容器から分配ユニット35への排出が停止した後、分配ユニット35の回転が停止し、薬品分割動作が開始される。
【0125】
薬品分割動作では、まず、
図19(a)で示されるように、アーム部材171が下方側へ回動し、掻寄板172の周縁部分が分配ユニット35の上面と接触した状態となる(
図9(b)参照)。言い換えると、掻寄板172の下方側の部分が分配ユニット35の窪んだ部分に入り込んだ状態となる。
【0126】
この状態で、分配ユニット35を散薬の分割数に応じた角度だけ回転させ、分配ユニット35の上に広がった散薬の一部を掻寄板172の周辺に寄せ集めた状態とする(
図19(c)参照)。そして、掻寄板172を回転させることにより、寄せ集めた散薬を薬品導入口39に投入する。このような動作を繰り返すことにより、分配ユニット35に供給された薬剤を一服用分ずつ薬品導入口39に投入する薬品分割動作が実施される。
【0127】
そして、薬品導入口39に投入された一服用分の薬剤は、薬品包装領域14に至り、薬剤包装装置に供給される。そして、薬剤包装装置で一服用分ずつ分包されていく。
【0128】
この一連の動作が終了し、分配ユニット35に供給された薬剤が全て薬剤包装装置に供給され、分包が完了することで、完全自動分包動作が完了する。なお、分包動作の実施後に清掃動作を実施するように設定されている場合には、完全自動分包動作の完了後に清掃動作が実施される。
【0129】
また、複数の散薬を混合して分包する場合(STEP6でNo)は、上記した自動式薬品容器4を容器保持台36に載置させる動作を繰り返し、複数の自動式薬品容器4をそれぞれ別の容器保持台36に載置させることとなる。そして、それぞれの容器保持台36で振動動作を実施することにより、分配ユニット35に複数種類の散薬が供給されることとなり、分配ユニット35の回転動作に伴って複数種類の散薬が混合されることとなる。
【0130】
具体的に説明すると、複数の散薬を混合して分包する場合、最初に実施する分包動作の対象となる処方で提供される薬品が4種以上であるか否かを判別する。さらに、最初に実施する分包動作の対象となる処方に関する情報に続いて、他の分包動作の対象となる処方に関する情報が入力されているか(又は送信されているか)否かを判別する。言い換えると、連続して異なる処方を対象とした分包動作を実施するか否かを判別する。
そして、これらの判別動作の結果に基づいて、分包動作で使用する分配ユニット35を決定する使用ユニット決定動作を実施する(STEP10)。この使用ユニット決定動作では、2つの分配ユニット35を使用して分包動作を実施するのか、いずれか1方の分配ユニット35を使用して分包動作を実施するのかを決定する。
【0131】
具体的には、薬品が3種以下である場合、すなわち、薬品の種類の数が1つの分配ユニット35対応付けられた容器保持台36の数(本実施形態では3つ)以下である場合、1方の分配ユニット35を使用して分包動作を実施する。
対して、薬品が4種以上である場合、すなわち、薬品の種類の数が1つの分配ユニット35対応付けられた容器保持台36の数より大きい場合であり、且つ、連続して異なる処方を対象とした分包動作を実施しない場合には、2つの分配ユニット35を使用して分包動作を実施する(
図20参照)。
また、薬品が4種以上である場合であり、且つ、連続して異なる処方を対象とした分包動作を実施する場合には、いずれか1方の分配ユニット35を使用して分包動作を実施する(
図21参照)。
【0132】
すなわち、薬品が4種以上である場合、2つの分配ユニット35を使用することで、4以上(例えば4つ)の自動式薬品容器4を同時に容器保持台36に設置可能となる(
図20参照)。このことにより、薬品の排出が完了した自動式薬品容器4aを新たな自動式薬品容器4bと交換するといった動作(
図21(b),
図21(c)参照)を必要とせずに、全ての自動式薬品容器4を容器保持台36の上に設置させることができるので、分包動作が完了するまでの時間を短縮できる。
【0133】
しかしながら、連続して分包動作を実施する場合には、初めに実施する分包動作で2つの分配ユニット35を使用してしまうと、続いて実施する異なる処方の分包動作を開始するためには、初めに実施する分包動作が完了するまで待機する必要が生じる。このため、初めに実施する分包動作が完了するまでの時間を僅かに短縮できても、短縮した時間より長い待機時間が生じてしまうことで、2つの分包動作を実施するために必要な時間が大きく延びてしまう可能性がある。つまり、2つの分包動作を実施するための時間がより長くなってしまう可能性がある。
【0134】
そこで、薬品が4種以上であり、連続して異なる処方の分包動作を実施する場合には、あえて1方の分配ユニット35をのみを使用して初めに実施する分包動作を実施している。このことにより、続いて実施する分包動作を待機することなく実施できるので、2つの分包動作が完全に完了するまでに必要な時間を短縮できる。
【0135】
続いて、本実施形態の散薬分包装置1は、薬品容器を置く順番を決定するカセット配置順決定動作を実施する(STEP11)。
【0136】
具体的に説明すると、薬品容器に収容されている薬品には、薬品の種類ごとに、粒径や薬品容器内での移動容易性(流れ易さであり、後述する流れ係数)が異なっており、同じように薬品容器を振動させても、収容される薬品によって振動の開始から薬品が排出されるまでの時間や、薬品の排出が完了するまでの時間が異なることとなる。
また、薬品容器内の収容量(以下、単に在庫量とも称す)によっても薬品が排出されるまでの時間が異なることとなる。例えば、薬品容器の最大容量と同量の薬品を収容している場合は、薬品容器の排出口の傍まで薬品が充填されているので、振動が開始されたとき、比較的速く薬品の排出が開始されることとなる。これに対し、薬品容器内に少量の薬品しか収容されておらず、それが排出口から遠い位置に溜まっている場合、振動が開始されてから薬品の排出が開始されるまで、比較的長い時間が掛かってしまうこととなる。
【0137】
さらに、同種同量の薬品を収容している場合であっても、当然のことながら、分包動作の使用量によって薬品の排出が完了するまでの時間が異なることとなる。例えば、10g排出する場合、1g排出する場合と比べて薬品の排出が完了するまでに必要な時間が長くなる。
【0138】
そこで、本実施形態の散薬分包装置1では、処方で提供される各薬品の排出時間の長短を判別可能となっている。
具体的に説明すると、2以上の薬品の排出容易性(後述する流れ係数)、在庫量、薬品の比重、分包動作での使用量を順に比較していくことで、2以上の薬品を排出時間の長い順(又は短い順)に序列化可能となっている。
【0139】
例えば、A薬品が収容された薬品容器と、B薬品が収容された薬品容器の排出時間のいずれが長いかを判別するとき、まず、A薬品の排出容易性(後述する流れ係数)と、B薬品の排出容易性を比較する。このとき、いずれか一方が他方に比べて排出容易性が低い場合(流れ難い場合)、排出容易性が低い薬品の排出時間がもう一方の薬品の排出時間よりも長いものと判別される。
反対に、A薬品の排出容易性とB薬品の排出容易性が同等である場合、A薬品の在庫量とB薬品の在庫量を比較する。このとき、いずれか一方が他方に比べて在庫量が少ない場合、在庫量の少ない薬品の排出時間がもう一方の薬品の排出時間よりも長いものと判別される。
【0140】
また、A薬品とB薬品の排出容易性が同様であって、在庫量も同量である場合には、薬品の比重を比較する。このとき、いずれか一方が他方に比べて比重が低い場合、比重の低い薬品の排出時間がもう一方の薬品の排出時間よりも長いものと判別される。
さらに、A薬品とB薬品の排出容易性が同様であって、在庫量も同量であり、比重も同程度である場合、分包動作での使用量を比較する。このとき、いずれか一方が他方に比べて分包動作での使用量が多い場合、分包動作での使用量が多い薬品の排出時間がもう一方の薬品の排出時間よりも長いものと判別される。
【0141】
このように、本実施形態の散薬分包装置1では、重み付けがされた各要素(薬品の排出容易性、在庫量、薬品の比重、分包動作での使用量)を重要な順に比較していくことで、処方で提供される各薬品間の排出時間の比較結果を取得可能となっている。このような比較演算を実施することで、各薬品を排出時間の長短に応じて序列化可能となっている。言い換えると、本実施形態の散薬分包装置1では、処方で提供される薬品の排出時間の比較演算、及びそれに基づく排出時間に応じた序列化を自動で実施可能となっている。
【0142】
そして、使用ユニット決定動作の結果と、各薬品の排出時間の比較演算の結果に基づいて、薬品容器の設置順を決定する。
具体的には、使用ユニット決定動作の結果、2つの分配ユニット35を使用して分包動作を実施する場合には、収容された薬品の排出時間の長い順に薬品容器を容器保持台36に設置するように決定する。すなわち、最も排出時間が長くなる薬品(最も排出時間が長くなることが予測される薬品)を収容した薬品容器を最初に設置するものとし、2番目に排出時間が長くなる薬品(2番目に排出時間が長くなることが予測される薬品)を収容した薬品容器を2番目に設置するものとする。3番目以降も同様に決定していき、最後に最も排出時間が短くなる薬品(最も排出時間が短くなることが予測される薬品)を収容した薬品容器を設置するものとする。
【0143】
対して、1方の分配ユニット35を使用して分包動作を実施する場合には、収容された薬品の排出時間の短い順に薬品容器を容器保持台36に設置するように決定する。すなわち、最も排出時間が短くなる薬品(最も排出時間が短くなることが予測される薬品)を収容した薬品容器を最初に設置するものとし、2番目に排出時間が短くなる薬品(2番目に排出時間が短くなることが予測される薬品)を収容した薬品容器を2番目に設置するものとする。3番目以降も同様に決定していき、最後に最も排出時間が長くなる薬品(最も排出時間が短くなることが予測される薬品)を収容した薬品容器を設置する。
【0144】
なお、上記したカセット配置順決定動作では、薬品の排出容易性、在庫量、薬品の比重、分包動作での使用量を順に比較することで、排出時間を比較する比較演算を実施し、それに基づいて薬品容器を置く順番を決定する例を示した。しかしながら、カセット配置順決定動作はこれに限るものではない。
例えば、薬品の種類数が多く、且つ、大半の薬品の処方量(分包動作での使用量)が少ない場合には、薬品の排出が完了した自動式薬品容器4aを新たな自動式薬品容器4bと交換する交換動作を頻繁に実施する必要がある。このため、分包動作での使用量が少ない薬品を収容した薬品容器を先だって載置させ、排出が終わったものから適宜交換していく動作を実施することが分包動作全体の速度向上を図る上で望ましい。そこで、このような場合には、分包動作での使用量が少ない薬品を収容した薬品容器を優先的に載置するように序列化してもよい。言い換えると、最初に「薬品の排出容易性」を比較する演算ではなく、「分包動作での使用量」を比較する演算を実施してもよい。
薬品容器を置く順番を決定するための各薬品の序列化は、適宜、処方数等も加味して総合的に判断して序列することが好ましい。言い換えると、各要素を比較演算する順番や、各要素そのものは適宜変更可能となっている。
【0145】
続いて、決定した薬品容器の設置順に従って、1つ目に設置する自動式薬品容器4を1方の分配ユニット35に対応する容器保持台36に載置する(STEP12)。そして、容器保持台36の振動台部が振動動作を開始し、自動式薬品容器4が振動することで、自動式薬品容器4に収容された散薬がゆっくりと分配ユニット35に落下する。
【0146】
さらに、2つ目以降に設置する自動式薬品容器4を容器保持台36に順次載置していく(SETP13)。そして、自動式薬品容器4が載置された容器保持台36が振動動作を開始し、それぞれの自動式薬品容器4が容器保持台36の上で振動することで、それぞれの自動式薬品容器4に収容された散薬がゆっくりと分配ユニット35に落下する。
【0147】
ここで、本実施形態の散薬分包装置1では、使用する全ての自動式薬品容器4が容器保持台36に載置されるより前に、自動式薬品容器4が載置された容器保持台36の振動動作を開始している。すなわち、全ての自動式薬品容器4をそれぞれ異なる容器保持台36に載置させた後、全ての容器保持台36が一斉に振動動作を開始するのではなく、1つ目の自動式薬品容器4を容器保持台36に載置させたとき、この容器保持台36のみが振動動作を開始する。
【0148】
したがって、2つ目の自動式薬品容器4を他の容器保持台36に載置させる動作を実施するとき、並行して1つ目の自動式薬品容器4を載置した容器保持台36が振動動作を実施することとなる。このようにすることで、上記した全ての容器保持台36が一斉に振動動作を開始するような構成と比べ、分包動作の高速化を図ることができる。
【0149】
そして、全ての薬品(散薬)の分配ユニット35への供給が完了すると、分配ユニット35に供給された散薬を一服用分ずつ薬品導入口39に投入する薬品分割動作を実施し、一服用分ずつ分包する動作を実施する(STEP9)。この動作は上記と同様であるので詳細な説明を省略する。
この一連の動作が終了し、分配ユニット35に供給された薬剤が全て薬剤包装装置に供給され、分包が完了することで、完全自動分包動作が完了する。なお、分包動作の実施後に清掃動作を実施するように設定されている場合には、完全自動分包動作の完了後に清掃動作が実施される。
[振動制御動作]
【0150】
ここで、上記した振動制御動作について詳細に説明する。
上記したように、薬品の排出初期は排出量が安定しないという問題や、薬品の種類によって薬品容器内での挙動が異なるということから、容器保持台36の振動台部の振動パターンを薬種や排出時期、総排出量に応じて変更することができる構成が推奨される。
【0151】
そこで、本実施形態の散薬分包装置1では、容器保持台36の振動台部の単位時間当たりの振動数(周波数)や、振幅の大きさを変更可能な構成とし、薬種や排出時期、総排出量に応じて、周波数や振幅の大きさを変える動作が可能となっている。
【0152】
より詳細に説明すると、本実施形態の容器保持台36における振動台部は、予め設定した設定値に応じて振動の大小が可変可能な構造となっている(振動の周波数と振幅が可変可能な構造となっている)。そして、各薬品を排出させる際に振動台部を動作させるときの目標とする設定値(以下、振動値とも称す)に応じて、「流れ係数1」から「流れ係数9」までの9段階に区分された「流れ係数」が割り当てられている。
【0153】
この「流れ係数」について具体的に説明すると、この「流れ係数」は、出荷される散薬分包装置1ごとに設定される値であり、散薬分包装置1を実際に使用して薬品の排出容易性を予め実験した上で割り当てられる値となっている。具体的には、まず、基準となる薬品(例えば、酸化マグネシウム)を使用し、所定量を所定時間で払い出すための振動値を取得して「流れ係数1」に区分する。そして、それぞれの薬品毎に、基準となる薬品と同量を同時間で払い出すための振動値を取得し、その振動値に応じて「流れ係数」を割り当てる。なお、流れ係数の数値が大きくなるほど、振動台部の振動が大きくなるように対応付けられている。
つまり、「流れ係数」は、それぞれの薬品を基準となる薬品と同様に排出させるために目標とする振動の設定値であり、且つ、「流れ係数」の数値が大きくなるほど流れ難い薬品となることから、薬品の排出容易性を示す値でもある。
【0154】
また、薬品の総排出量によって、排出量レベルを複数段階に分けている。例えば、排出量を20グラムごとに区分し、「排出量20、排出量40、排出量60」というように称することとしている。
さらに、振動の周波数と振幅に応じて、振動レベルを複数段階に分けている。これを「振動レベル1、振動レベル2」というように称し、例えば、振動レベル1(最小振動)から振動レベル20(最大振動)まで変化できるものとする
【0155】
そして「流れ係数」と「排出量」によって適切な振動レベルを選択する。また振動レベルは、排出初期における振動レベルと、安定期における振動レベルを区別するものとする例えば、「流れ係数1」というような排出され易い薬品であり、且つ「排出量20」のように総排出量が少ない場合には、振動レベル3というようなゆっくりとした振動で振動を開始し、一定の薬品の減少量を検知すると(一定の秤量値に達すると)、振動レベル10という様に強めの振動に切り換える。あるいは、振動レベル10という様に強めの振動を中心として、単位時間あたりの排出量hが一定となる様に、振動台部の振動強度をフィードバック制御する方式に切り換える。
【0156】
また「流れ係数3」というような排出され難い薬品であり、且つ、排出量80のように総排出量が多い場合には、振動レベル11のような強めの振動で振動を開始し、一定の薬品の減少量を検知すると(一定の秤量値に達すると)、振動レベル15というさらに強い振動に切り換える。あるいは、振動レベル15というような強めの振動を中心として、単位時間あたりの排出量hが一定となる様にフィードバック制御する。
【0157】
また、薬品容器内に貯留された薬品の量が少ない場合には、薬品が先端の薬品排出部67,315に到達するまでの間、振動レベルを強めにすることが望ましい。
すなわち、薬品容器内に貯留された薬品の量が少ない場合、薬品排出部67,315から遠い位置である奥側に薬品が貯留されている場合ある。この場合、奥に偏在する薬品が薬品排出部67,315に到達するのに時間がかかってしまう。
【0158】
本実施形態では、この対策として、薬品が薬品排出部67,315に到達するまでの間、振動レベルを強めにする構成が採用されている。また薬品容器の重量を監視することによって薬剤が薬品排出部67,315に到達したか否かを判定する。
より具体的には、振動を開始する初期においては、前記した流れ係数等によって決定された初期値よりも強い振動で振動台部を振動させる。そして、薬品容器の重量を監視し、僅かでも薬品容器の重量が減少したことが検知された場合は、薬品が薬品排出部67,5aに到達したと判定する。その後振動を弱めて、前記した流れ係数等によって決定された初期値で振動台部を振動させる。さらに一定の時間が経過すると、振動台部の振動を強めの振動に切り換える。
【0159】
さらに具体的には、本実施形態の散薬分包装置1では、薬品容器から分配ユニット35に薬品の排出を実施するとき、以下の動作を実施している。
すなわち、容器保持台36の振動台部が振動を開始してから極めて少量となる所定量(本実施形態では0.3g)を排出するまでの間、本来の流れ係数よりも高めの流れ係数を基準とした振動レベルで振動させる。すなわち、本来の流れ係数よりも高めとなる「仮の流れ係数」に基づき、本来よりも強い振動で振動台部を振動させる。
その後、所定量(本実施形態では0.8g)を排出するまでの間、本来の流れ係数を基準とした振動レベルで振動台部を振動させる。なお、この所定量(本実施形態では0.8g)は、開始直後の振動レベルで排出する量(本実施形態では0.3g)よりも多くなっている。
さらにその後、単位時間あたりの排出量hが一定となる様にフィードバック制御しつつ振動台部を振動させていく。
[準自動分包動作]
【0160】
準自動分包動作は、1以上の薬品につき、外部の管理棚に保管されている自動式薬品容器4から分配ユニット35に薬剤を供給するという点で、完全自動分包動作と異なっている。上記した完全自動分包動作と同じ動作については、詳細な説明を省略する。また、この準自動分包動作においても、分包動作の実施前及び/又は実施後に清掃動作を実施するように設定されている場合には、設定に応じて清掃動作が実施される。
【0161】
まず、扉部16を開放させ、手作業で外部の管理棚から取り出した自動式薬品容器4を扉部16の裏側に位置する容器仮置部18に載置し、扉部16を閉じた状態とする。
このとき、自動式薬品容器4のRFIDタグに記憶された情報を読み取る情報読取動作が実施され、使用者が容器仮置部に載置した自動式薬品容器4が正しいものであるのか否かを確認する確認動作が実施される。すなわち、処方データに含まれる処方において提供される薬剤の種類(分包対象となる薬剤の種類)と、容器仮置部に載置された自動式薬品容器4に収納される薬剤の種類とが合致するか否かが判別される。
また、容器仮置部に載置された自動式薬品容器4の重量を測定する重量測定動作が実施され、測定された重量をRFIDタグに記憶させる情報書込動作が実施される。
なお、上記した情報読取動作、確認動作、情報書込動作は、扉部16が閉じられる前に動作を開始してもよく、扉部16が閉じられてから動作を開始してもよい。
【0162】
続いて、アーム部30が自動式薬品容器4を容器仮置部から容器保持台36まで移動させ、自動式薬品容器4が容器保持台36に載置された状態となる。
【0163】
複数の薬品を混合して分包する場合には、必要に応じて、扉部16から自動式薬品容器4を導入して外部の自動式薬品容器4を容器保持台36に載置させる上記の動作を繰り返す。また、自動式薬品容器4を容器保管部23から移動させて容器保持台36に載置させる動作、すなわち、上記した完全自動分包動作と同様の自動式薬品容器4の運搬動作が必要に応じて実施される。この動作もまた、必要に応じて繰り返し実施される。
【0164】
この状態から、上記した完全自動分包動作と同様に、分配ユニット35に薬剤を供給し、一服用分ずつ薬剤包装装置に供給していく。また、薬剤包装装置では、供給された散薬を一服用分ずつ分包していく。このことにより、分配ユニット35に供給された薬剤が所定数に分包される。
そして、分配ユニット35への薬剤の供給動作が終了すると、アーム部30によって自動式薬品容器4を容器仮置部に戻す動作を実施し、扉部16を開いた状態に移行させて、自動式薬品容器4を手動で取り出す。このことにより、準自動分包動作が完了する。
[手動分包動作]
【0165】
続いて、手動分包動作について説明する。なお、上記した各種分包動作と同じ動作については、詳細な説明を省略する。また、この手動分包動作においても、分包動作の実施前及び/又は実施後に清掃動作を実施するように設定されている場合には、設定に応じて清掃動作が実施される。
【0166】
手動分包動作では、まず操作表示部3で所定の操作を実施することにより、正面ドア34を上方に向かってスライドさせ、薬品分割領域13の前方を開放した状態とする。
正面ドア34が上昇すると、作業者が予め薬剤を充填した手動式薬品容器5を手動で容器保持台36に載置する。
なお、手動式薬品容器5を容器保持台36に設置可能な状態とするとき、必ずしもこのように正面ドア34の全体を上昇させる必要はない。例えば、正面ドア34の幅方向(左右方向)で離れた位置に開閉可能に形成された小窓部を設け、小窓部を開いた状態とすることで、手動式薬品容器5を容器保持台36に設置可能な状態としてもよい。つまり、1つの分配ユニット35に対応付けられた3つの容器保持台36のいずれかに手動式薬品容器5を載置するために使用する1つの小窓部を左右方向に離れた位置にそれぞれ形成し、2つの小窓部のいずれかを介して手動式薬品容器5を筐体10の内部まで移動させる構成であってもよい。
【0167】
手動式薬品容器5が容器保持台36に設置されると、手動式薬品容器5のRFIDタグに記憶された情報を読み取る情報読取動作が実施され、使用する手動式薬品容器5が容器保持台36に正しく載置されているか否かを確認する確認動作が実施される。
この確認動作において、手動式薬品容器5が容器保持台36に正しく載置されていることが確認されると、正面ドア34が回動可能な状態となるので、正面ドア34を開いた状態から閉まった状態へと移行させる。
【0168】
そして、容器保持台36の振動台部が振動動作を開始し、手動式薬品容器5から分配ユニット35に薬剤が供給される。このとき、上記した完全自動分包動作や準自動分包動作と同じく、分配ユニット35を回転させるフィーダ回転動作、薬剤を一服用分ずつに分割する薬剤分割動作等が実行され、薬剤が一服用分ずつ薬剤包装装置に供給されることとなる。
【0169】
なお、手動分包動作が完了すると、操作表示部3に「手撒きカセットを取ってください」というメッセージが表示された状態となる。この状態で、所定の操作を実施し、再び正面ドア34を上昇させた状態とする。使用者は、手動式薬品容器5を取り出した後、操作表示部3を操作して正面ドア34を下降させ、正面ドア34を閉めた状態とする。
【0170】
ところで、この手動分包動作では、上記した完全自動分包動作とは異なり、薬剤の供給量を測定する動作を実施せず、手動式薬品容器5に収容された薬剤を全て分配ユニット35に供給する。すなわち、使用者が予め手動で秤量を実施し、手動式薬品容器5に規定量(最終的に供給する量)だけ薬剤を充填しておく必要がある。
[半自動分包動作]
【0171】
続いて、半自動分包動作について説明する。なお、上記した各種分包動作と同じ動作については、詳細な説明を省略する。また、この半自動分包動作においても、分包動作の実施前及び/又は実施後に清掃動作を実施するように設定されている場合には、設定に応じて清掃動作が実施される。
【0172】
半自動分包動作の実施に先立って、自動式薬品容器4と手動式薬品容器5の設置手順を設定する手順設定動作を予め実施しておく。
【0173】
この手順設定動作では、自動式薬品容器4を容器保持台36に載置する動作が実施された後に手動式薬品容器5を容器保持台36に載置可能となる設定と、使用者が手動式薬品容器5を容器保持台36に載置した後に自動式薬品容器4を容器保持台36に載置する動作が実施される設定とを、使用者が選択することが可能となっている。
【0174】
前者の設定がされていた場合、まず、アーム部30が自動式薬品容器4を容器保持台36まで移動させ、自動式薬品容器4を容器保持台36に載置する動作が実施される。そして、アーム部30が所定の位置に退避したことが確認されると、正面ドア34のロックが解除され、正面ドア34を上方に向かって回動させることが可能となる(又は小窓部が開状態へ移行可能となる)。この状態で、上記した手動分包動作と同様に、操作表示部3で所定の操作を実施し、正面ドア34を上方に向かって回動させ(又は小窓部を開状態へ移行させ)、薬品分割領域13の前方(又は小窓部)を開放した状態とする。そして、作業者が予め薬剤を充填した手動式薬品容器5を所定数だけ手動で容器保持台36に設置する。
【0175】
これ対し、後者の設定がされていた場合、まず操作表示部3で所定の操作を実施し、正面ドア34を上方に向かって回動させ(又は小窓部を開状態へ移行させ)、薬品分割領域13の前方(又は小窓部)を開放した状態とする。すなわち、手動分包動作と同様の手順で薬品分割領域13の前方を開放した状態とする。そして、作業者が予め薬剤を充填した手動式薬品容器5を所定数だけ手動で容器保持台36に設置する。その後、正面ドア34を閉じた状態へと移行する(又は小窓部を閉状態へ移行させる)。そして、この状態でアーム部30が自動式薬品容器4を容器保持台36まで移動させ、自動式薬品容器4を容器保持台36に載置する動作が実施される。
【0176】
なお、アーム部30による自動式薬品容器4の容器保持台36への載置動作について付言すると、容器保管部23に現在保持されている自動式薬品容器4を容器保持台36に載置させる場合には、上記した完全自動分包動作と同様に、アーム部30が容器保管部23から自動式薬品容器4を容器保持台36まで移動させ、自動式薬品容器4を容器保持台36に載置した状態とする。
また、外部の管理棚に収容されている自動式薬品容器4を容器保持台36に載置させる場合には、上記した準自動分包動作と同様に、使用者が扉部16の裏側に位置する容器仮置部18に自動式薬品容器4を載置する。そして、扉部16を閉じることで、アーム部30が容器仮置部から自動式薬品容器4を容器保持台36まで移動させ、自動式薬品容器4を容器保持台36に載置した状態とする。
【0177】
したがって、半自動分包動作が実施される場合、少なくとも1つの容器保持台36に手動式薬品容器5が載置され、他の容器保持台36には、容器保管部23又は容器仮置部から運ばれてきた自動式薬品容器4が載置された状態となる。
【0178】
ここで、本実施形態の半自動分包動作では、容器保管部23から運ばれてきた自動式薬品容器4と、容器仮置部から運ばれてきた自動式薬品容器4の双方を使用してもよい。例えば、半自動分包動作は、1つの分配ユニット35に関連付けられた3つの容器保持台36のうち、1つの容器保持台36に手動式薬品容器5を載置し、他の1つに容器保管部23から運ばれてきた自動式薬品容器4を載置し、残りの1つに容器仮置部から運ばれてきた自動式薬品容器4を載置する動作であってもよい。
【0179】
ところで、本実施形態の散薬分包装置1では、予め使用者が実施した設定動作に応じて2つの分配ユニット35を使用して分包動作を実施するのか、いずれか1方の分配ユニット35を使用して分包動作を実施するのかが決定され、それに応じて使用する薬品容器を載置する容器保持台36が決定される構成となっている。
【0180】
例えば、2つの自動式薬品容器4と1つの手動式薬品容器5を使用して分包動作を実施する場合、ドラム部材25に近い位置に配された分配ユニット35に対応付けられた容器保持台36に自動式薬品容器4を載置し、もう一方のドラム部材25から離れた位置に配された分配ユニット35に対応付けられた容器保持台36に手動式薬品容器5を載置して分包動作を実施する設定を採用してもよい。つまり、一方の分配ユニット35を自動式薬品容器4から排出される薬品の供給に使用し、他方の分配ユニット35を手動式薬品容器5から排出される薬品の供給に使用する設定を採用してもよい。
なお、この場合、容器保持台36にLED装置を設け、光源を点灯させることで、複数ある容器保持台36のうちのどの容器保持台36に手動式薬品容器5を載置させるかを案内(報知)してもよい。
【0181】
その一方で、いずれか一方の分配ユニット35に対応付けられた容器保持台36に2つの自動式薬品容器4と1つの手動式薬品容器5を載置する設定を採用してもよい。この設定が採用された場合、使用者の手で手動式薬品容器5を容器保持台36に載置する動作が完了しない限り、自動式薬品容器4を容器保持台36に載置する動作を実行しないようにしてもよい。このようにすることで、安全性の向上を図ることができる。
つまり、使用者が上記した2つの異なる設定からいずれか一方を選択して採用することが可能となっている。
【0182】
このように、使用する薬品が3種類以下の場合、予め実施された設定動作に応じて、2つの分配ユニット35を使用して分包動作を実施するのか、いずれか1方の分配ユニット35を使用して分包動作を実施するのかが決定される。そして、それに伴ってそれぞれの薬品容器を載置する容器保持台36が決定されることとなる。
【0183】
そして、薬品容器が容器保持台36に載置されると、自動式薬品容器4及び手動式薬品容器5が容器保持台36に正しく載置されていることが確認される確認動作が実施される。すなわち、上記した各動作(完全自動分包動作、準自動分包動作、手動分包動作)と同様に、容器保持台36では、処方データに含まれる処方において提供される薬剤の種類(分包対象となる薬剤の種類)と、容器保持台36に載置された自動式薬品容器4や手動式薬品容器5に収納される薬剤の種類とが合致するか否かが判別される。
【0184】
自動式薬品容器4及び手動式薬品容器5が容器保持台36に正しく載置されていることが確認されると、容器保持台36の振動台部が振動動作を開始し、自動式薬品容器4及び手動式薬品容器5から分配ユニット35に薬剤が供給される。このとき、上記した各動作と同じく、分配ユニット35を回転させるフィーダ回転動作、薬剤を一服用分ずつに分割する薬剤分割動作等が実行され、薬剤が一服用分ずつ薬剤包装装置に供給されることとなる。
【0185】
ところで、上記した手動分包動作や半自動分包動作のように手動式薬品容器5を使用する分包動作では、使用者が正面ドア34を上方に向かって回動させ(又は小窓部を開状態へ移行させ)、手動式薬品容器5を手動で容器保持台36に載置し、正面ドア34を閉じた状態にして(又は小窓部を閉状態へ移行させて)分包動作を実施する。そして、分包動作の終了後、再び正面ドア34を上方に向かって回動させ(又は小窓部を開状態へ移行させ)、薬品分割領域13の前方を開放した状態とし、手動式薬品容器5を手動で取り出すこととなる。
【0186】
ここで、使用者が分包動作の実施後に、散薬分包装置1の内部から手動式薬品容器5を取り出すことを忘れてしまうおそれがある。特に、正面ドア34の全体を回動させず、小さな小窓部を開閉することで手動式薬品容器5を出し入れする場合、大掛かりな動作をしないことから、取り忘れが多くなってしまうことが考えられる。そして、使用者が手動式薬品容器5を取り忘れると、手動式薬品容器5が所定の容器保持台36に載置されたままの状態となってしまう。このとき、続いて実施される分包動作でこの所定の容器保持台36を使用しない場合は問題ないが、この所定の容器保持台36を使用する場合には、取り忘れた手動式薬品容器5が分包動作の邪魔になってしまう。
【0187】
そこで本実施形態の散薬分包装置1では、使用者に取り忘れた手動式薬品容器5を回収するように促す回収報知動作を実施可能となっている。この回収報知動作について詳細に説明する。
【0188】
本実施形態の散薬分包装置1で手動分包動作又は半自動分包動作が実施された際、当該分包動作の終了時から次の分包動作が開始されるまでの間に、当該分包動作で使用された手動式薬品容器5が容器保持台36の上に載置されたままとなっていることが検知されたことを条件として、回収報知動作を実施する。
この回収報知動作は、操作表示部3に手動式薬品容器5の回収を促すメッセージや、手動式薬品容器5が載置されたままであることを知らせるメッセージ等を表示させる動作であってもよく、これらのメッセージを音声で報知する動作であってもよい。すなわち、操作表示部3や別途設けたスピーカー装置等に音声を発生させる動作によって、手動式薬品容器5が容器保持台36の上に載置されたままであることを使用者に報知してもよい。
【0189】
ここで、この回収報知動作は、先だって実施された分包動作(手動分包動作又は半自動分包動作)の終了後にすぐに実施してもよく、所定時間が経過した後に実施してもよい。
つまり、分包動作(手動分包動作又は半自動分包動作)の実施後、必ず回収報知動作を実施してもよい。例えば、半自動分包動作の終了後に、無条件で回収報知動作を実施した後、使用者が手動式薬品容器5を散薬分包装置1の内部から取り出したことが確認されたことを条件として、自動式薬品容器4を容器保持台36の上から移動させる動作を実施させる構成としてもよい。
反対に、半自動分包動作の終了後に、自動式薬品容器4を容器保持台36の上から移動させる動作を実施し、この動作が完了したこと条件として回収報知動作を実施し、使用者に手動式薬品容器5の回収を促す構成であってもよい。
【0190】
この回収報知動作は、続いて実施される分包動作の実施中に手動式薬品容器5が容器保持台36の上に載置されたままとなっていることが検知されたことを条件として、実施されるものであってもよい。
例えば、先だって手動分包動作又は半自動分包動作を実施した後に分包動作を実施する場合、続いて実施する分包動作でアーム部30を動作させる直前に、先だって実施した分包動作で使用した手動式薬品容器5が容器保持台36の上に載置されているか否かを判別する判別動作を実施してもよい。そして、この判別動作で手動式薬品容器5が容器保持台36の上に載置されていることが確認された場合、回収報知動作を実施してもよい。この場合、一時的にアーム部30によって自動式薬品容器4を移動させる動作を中断し、回収報知動作を実施してもよい。
【0191】
また、回収報知動作が実施された際、対象となる手動式薬品容器5が容器保持台36の上から移動されるまで次の分包動作を実施しない構成としてもよい。
反対に、回収報知動作が実施された際、一定時間が経過するまでに対象となる手動式薬品容器5が容器保持台36の上から移動されなかった場合、回収報知動作を中止(又は一時的に中止)して、続いて実施される分包動作を実施してもよい。この場合、続いて実施される分包動作は、先の分包動作で使用された手動式薬品容器5が載置されている容器保持台36を使用せずに実施する分包動作となる。言い換えると、先だって使用した手動式薬品容器5が載置された容器保持台36とは異なる容器保持台36のみを使用する分包動作となる。
【0192】
上記したように、本実施形態の散薬分包装置1(薬品払出装置)は、容器移動手段(容器移動ユニット)と、散薬を分配する散薬分配装置(薬品分割領域)と、容器載置装置を有し、散薬分配装置は、動力によって回転する分配皿(分配ユニット)と、当該分配皿から薬剤を排出する薬剤掻出装置を備え、容器載置装置は薬剤容器(薬品容器)を載置するものであって、振動台(振動台部)と、振動台を振動させる加振手段と、振動台に薬剤容器を一時的に固定する容器保持手段と、薬剤容器の重量を直接的または間接的に測定する重量測定手段とを有し、容器移動手段で薬剤容器を他の場所から移動させて薬剤容器を振動台に載置し、容器保持手段で薬剤容器を振動台に固定し、振動台を振動させて薬剤排出部から薬剤を排出し、重量測定手段によって薬剤の排出量を検知することが可能であり、分配皿を回転させた状態で薬剤容器から薬剤を排出して分配皿に薬剤を投入する薬剤払出し装置において、複数の容器載置装置が分配皿の近傍に設置され、複数の容器載置装置に異なる種類の薬剤が収容された薬剤容器を載置して異なる種類の薬剤を分配皿に投入する混合処方動作が可能であり、混合処方動作を実施する際には、載置すべき薬剤容器の全てが容器載置装置に設置されるのを待つことなく、薬剤容器が設置された容器載置装置の振動台の振動を開始することが可能であることを特徴とする薬剤払出装置である。
【0193】
また、容器移動手段と、散薬を分配する散薬分配装置と、容器載置装置を有し、散薬分配装置は、動力によって回転する分配皿と、当該分配皿から薬剤を排出する薬剤掻出装置を備え、容器載置装置は薬剤容器を載置するものであって、振動台と、振動台を振動させる加振手段と、振動台に薬剤容器を一時的に固定する容器保持手段と、薬剤容器の重量を直接的または間接的に測定する重量測定手段とを有し、容器移動手段で薬剤容器を他の場所から移動させて薬剤容器を振動台に載置し、容器保持手段で薬剤容器を振動台に固定し、振動台を振動させて薬剤排出部から薬剤を排出し、重量測定手段によって薬剤の排出量を検知することが可能であり、分配皿を回転させた状態で薬剤容器から薬剤を排出して分配皿に薬剤を投入する薬剤払出装置において、複数の容器載置装置が分配皿の近傍に設置され、複数の容器載置装置に異なる種類の薬剤が収容された薬剤容器を載置して異なる種類の薬剤を分配皿に投入する混合処方動作が可能であり、分配皿の近傍に設置された容器載置装置の数を超える種類の薬剤を分配皿に投入する混合処方動作が可能であり、全ての容器載置装置に薬剤容器が設置された状態の後、いずれかの薬剤容器からの所定量の薬剤が排出し終えた場合には、排出し終えた薬剤容器を取り外して容器載置装置を空け、別途の薬剤容器を容器移動手段で移動させて空いた容器載置装置に前記別途の薬剤容器を設置することが可能であることを特徴とする薬剤払出装置でもある。
【0194】
つまり、散薬収容容器から所定量の散薬を取り出し、これを所定の数に分割し、さらに個別に包装して排出する薬品払出装置であって、前記散薬収容容器から排出された散薬を配分する分配ユニットと、当該分配ユニットに投入された散薬を掻き出すための掻出装置と、前記散薬収容容器が載置されると共に前記散薬収容容器に作用して前記散薬収容容器から散薬を排出させる容器載置装置とを備え、前記容器載置装置は振動台部を有しており、当該振動台部が振動することで前記容器載置装置に載置した前記散薬収容容器に振動を伝搬可能となっており、前記散薬収容容器を移動させるための容器移動装置がさらに設けられ、前記分配皿に1又は複数の前記容器載置装置が対応付けられており、1の前記分配皿に対応付けられた前記容器載置装置の数を超える種類の散薬を1の前記分配皿に投入する動作が可能であり、当該動作を実施する際には、全ての前記容器載置装置に前記散薬収容容器が設置された状態とした後、いずれかの前記散薬収容容器から所定量の散薬を排出し終えた場合には、散薬を排出し終えた前記散薬収容容器を前記容器載置装置から取り外し、別途の前記散薬収容容器を前記容器移動装置で移動させ、散薬を排出し終えた前記散薬収容容器が載置されていた前記容器載置装置に別途の前記散薬収容容器を載置することが可能であることを特徴とする薬品払出装置である。
【0195】
また、本実施形態の散薬分包装置1は、一つの薬剤容器から所定量の薬剤が排出し終えるのに要する概ねの時間を想定し、排出するのに要する時間の長短を勘案して薬剤容器を容器載置装置に載置する順番を変更する順番決定機能を有している。
【0196】
加えて、本実施形態の散薬分包装置1(薬品払出装置)は、容器移動手段と、散薬を分配する散薬分配装置と、容器載置装置を有し、散薬分配装置は、動力によって回転する分配皿と、当該分配皿から薬剤を排出する薬剤掻出装置を備え、容器載置装置は薬剤容器を載置するものであって、振動台と、振動台を振動させる加振手段と、振動台に薬剤容器を一時的に固定する容器保持手段とを有し、容器移動手段で薬剤容器を他の場所から移動させて薬剤容器を振動台に載置し、容器保持手段で薬剤容器を振動台に固定し、振動台を振動させて薬剤排出部から薬剤を排出し、重量測定手段によって薬剤の排出量を検知することが可能であり、分配皿を回転させた状態で薬剤容器から薬剤を排出して分配皿に薬剤を投入する薬剤払出し装置において、容器移動手段によることなく使用者の手で薬剤容器を容器載置装置に設置することが可能であり、各容器載置手段に設置された全ての薬剤容器からの薬剤排出が終了したにも係わらず使用者の手で設置した薬剤容器が容器載置装置に残っている場合には、所定の報知が行われることを特徴とする薬剤払出し装置でもある。
【0197】
また、本実施形態の散薬分包装置1(薬品払出装置)は、分配皿を2以上有し、複数の容器載置装置が分配皿の近傍に設置され、複数の容器載置装置に異なる種類の薬剤が収容された薬剤容器を載置して異なる種類の薬剤を分配皿に投入する混合処方動作が可能であり、分配皿の近傍に設置された容器載置装置の数を超える種類の薬剤を分配皿に投入する混合処方動作が可能であり、全ての容器載置装置に薬剤容器が設置された状態の後、いずれかの薬剤容器からの所定量の薬剤が排出し終えた場合には、排出し終えた薬剤容器を取り外して容器載置装置を空け、別途の薬剤容器を容器移動手段で移動させて空いた容器載置装置に前記別途の薬剤容器を設置することが可能であることを特徴とする薬剤払出装置でもある。
【0198】
同様に、分配皿を清掃する清掃装置を有し、清掃装置で分配皿を清掃する時期として次のいずれか一つ又は複数を選択可能であることを特徴とする薬剤払出装置でもある。
(1)一つの処方による薬剤の分配が終了したとき。
(2)新たに一つの処方による薬剤の分配を開始せんとするとき。
(3)特定の薬剤を含む処方による薬剤の分配が終了したとき。
(4)容器移動手段によることなく使用者の手で薬剤容器を容器載置装置に設置し、薬剤の分配が終了したとき。
(5)容器移動手段によることなく使用者の手で薬剤容器を容器載置装置に設置し、薬剤の分配が終了し、さらに新たに一つの処方による薬剤の分配を開始せんとするとき。
【0199】
同様に、筐体を有し、当該筐体に容器移動手段と、散薬を分配する散薬分配装置と、容器載置装置が内蔵され、容器移動手段で薬剤容器を他の場所から移動させて薬剤容器を振動台に載置し、容器保持手段で薬剤容器を振動台に固定し、振動台を振動させて薬剤排出部から薬剤を排出し、薬剤容器から薬剤を排出して分配皿に薬剤を投入することが可能であり、前記筐体には扉部があって内部に薬剤容器を出し入れすることが可能であり、容器移動手段によることなく使用者の手で薬剤容器を容器載置装置に設置することも可能であり、複数の容器載置装置が分配皿の近傍に設置され、複数の容器載置装置に異なる種類の薬剤が収容された薬剤容器を載置して異なる種類の薬剤を分配皿に投入する混合処方動作が可能であり、混合処方動作を実施する場合であって、容器移動手段による薬剤容器の設置と、使用者の手による設置の双方を行う必要がある場合には、いずれを先に行うかを選択可能である薬剤払出装置でもある。
【0200】
同様に、容器移動手段で薬剤容器を他の場所から移動させて薬剤容器を振動台に載置する自動載置方法と、容器移動手段によることなく使用者の手で薬剤容器を容器載置装置に設置する手動載置方法が可能であり、分配皿を2以上有し、複数の容器載置装置が分配皿の近傍に設置され、複数の容器載置装置に異なる種類の薬剤が収容された薬剤容器を載置して異なる種類の薬剤を分配皿に投入する混合処方動作が可能であり、特定の分配皿の近傍にある容器載置装置には全て自動載置方法によって薬剤容器を載置し、他の特定の分配皿の近傍にある容器載置装置には全て手動載置方法によって薬剤容器を載置する分離配置法と、一つの分配皿の近傍にある容器載置装置に対して自動載置方法と手動載置方法によって薬剤容器を載置する混合配置法とを選択可能である薬剤払出装置でもある。
【0201】
ところで、上記したように、各種分包動作では、掻出装置37の掻寄板172を回転させ、掻寄板172と一体に固定された掻出板174によって寄せ集めた散薬を薬品導入口39に投入している(
図19等参照)。このとき、掻寄板172の周縁部分と密着する円周部シール材175(
図8参照)や、掻出板174の端辺に密着する掻出用シール材176(
図8参照)に散薬が付着してしまう可能性がある。つまり、掻出装置37のうちで散薬と接触する部分であり、ゴム(又は樹脂)で形成された部分に対し、静電気等によって散薬が付着してしまう可能性がある。
【0202】
そして、このゴム(又は樹脂)で形成された部分に散薬が付着してしまうと、付着してしまった散薬が薬品導入口39に投入されないこととなる。つまり、一包あたりの散薬の量が予定より少なくなってしまうという不具合の発生が考えられる。
【0203】
そこで、このような不具合の発生を防止するため、上記した掻出装置37に替わって、振動モータ等の加振機構を設けた掻出装置を採用してもよい。言い換えると、上記した掻出装置37は、加振機構をさらに備えた構成であっても構わない。このような構成によると、加振機構を稼動させることでアーム部材171を振動させ、アーム部材171の先端側に位置するゴム(又は樹脂)で形成された部分にこの振動を伝達させる動作が可能となる。つまり、ゴム(又は樹脂)で形成された部分を振動させることにより、付着した散薬を払い落す付着解消動作が実施可能となる。
【0204】
このことから、例えば、上記した掻寄板172を回転させることで散薬を薬品導入口39に投入する動作(以下、掻出動作とも称す)に替わって、通常の掻出動作を実施した後、付着解消動作を実施し、さらにもう一度掻出動作を実施する一連の動作を実施してもよい。このような一連の動作によると、先行して実施される通常の掻出動作によって付着した散薬を付着解消動作によって分配ユニット35の上に落下させた後、付着解消動作で落下させた散薬を続いて実施される掻出動作によって薬品導入口39に投入することが可能となる。
なお、この付着解消動作は、掻寄板172を分配ユニット35に接触させた状態で実施してもよいが、掻寄板172を分配ユニット35から上方に離れた位置に配した状態で実施することがより好ましい。
【0205】
また、本実施形態の散薬分包装置1では、上記したように、薬品容器が容器保持台36に載置されている状態で、容器保持台36の振動台部に振動動作を実施させることで、薬品容器から分配ユニット35に散薬を供給する動作を実施している。そして、上記したように、排出する散薬の薬種や排出時期、総排出量に応じてこの振動台部の振動パターンを変更する振動制御動作を実施可能となっている。
しかしながら、本実施形態の振動制御動作は、上記したものに限るものではなく、散薬分包装置1の内部空間(筐体10の内部空間)における温度や湿度に応じて振動パターンを変更する動作であってもよい。そして、散薬分包装置1の内部空間の温度や湿度に応じて振動パターンを変更する場合には、排出された塊状の散薬を粉状にするための粉状化動作(詳しくは後述する)を実施してもよい。
【0206】
詳細に説明すると、例えば、筐体10の内部の湿度が高くなってしまった場合、容器保管部23に保持された自動式薬品容器4の内部で散薬が塊状になってしまうことが考えられる。そして、この場合、自動式薬品容器4を容器保持台36に載置させた状態で振動台部が振動動作を実施しても、自動式薬品容器4の内部から散薬が排出されない不具合が発生する可能性がある。つまり、自動式薬品容器4の内部で薬品排出口68の付近まで到達した塊状の散薬が、薬品排出口68等に引っ掛かってしまい、薬品排出口68から外部に排出されない可能性がある。
また、自動式薬品容器4の内部で散薬が塊状になり、この散薬の塊が比較的小さい場合には、薬品排出口68から塊状となった散薬が分配ユニット35に落下することが考えられる。この場合、上記のように分配ユニット35を回転させたとしても、散薬が分配ユニット35の上面に満遍なく広がった状態にできないという不具合が発生する可能性がある。
【0207】
そこで、このような不具合を防止するため、本実施形態の散薬分包装置1では、筐体10の内部空間における温度や湿度に応じて振動パターンを変更する振動制御動作が実施可能となっている。すなわち、内部空間の温度及び湿度の少なくとも一方が所定の基準値以上である(又は所定の基準値より小さい)ことを条件として、振動パターンを変更する振動制御動作を実施可能となっている。
【0208】
このことから、例えば、上記した薬品容器に取り付けたRFIDタグを、温湿度センサ付きのRFIDタグとして温度や湿度を検出可能な構成とし、検出された温度及び湿度の少なくとも一方が所定の基準値以上である(又は所定の基準値より小さい)ことを条件として、振動パターンを変更する振動制御動作を実施してもよい。このことにより、例えば湿度が基準値以上であり、散薬が塊状になり易い条件下では、本来の振動レベルよりも振動レベルを高くして振動台部を振動させることができる。このことにより、強い振動によって薬品容器の内部の塊状の散薬を粉状化させ、円滑に排出させることが可能となる。
なお、上記した基準値は、予め行った実験により決定される値であり、薬種毎に割り当てられる値であって、それぞれの薬種において塊状となる蓋然性が高い温度又は湿度の値となる。
【0209】
この温度や湿度を基準とした振動パターン(振動レベル)の変更は、本来の振動レベルからの変更であってもよく、上記した散薬の薬種、排出時期、総排出量に基づいて振動レベルを変更した状態から、さらに振動レベルを変更するものであってもよい。
また、散薬が塊状になり易い条件下で本来の振動レベルよりも振動レベルを高くさせる動作に限らず、常に本来の振動レベルよりも振動レベルを高くした上で、散薬が塊状になり難い条件下においてのみ、振動レベルを低くする動作であってもよい。
さらに、上記では、所定の基準値以上である(又は所定の基準値より小さい)ことを条件としたが、当然のことながら、所定の基準値より大きい(又は所定の基準値以下である)ことを条件としてもよい。
【0210】
さらに、本実施形態の散薬分包装置1は、掻出装置37による粉状化動作を実施可能となっている。この粉状化動作は、分配ユニット35に落下した塊状の散薬に掻出装置37を接触させ、塊状の散薬を粉状にする動作である。なお、この動作は、塊状の散薬が落下したことを条件として実施してもよい。このとき、塊状の散薬が落下したかどうかを判別するための判別動作としては、上記したカメラ部材40によって撮像された画像を使用する判別動作であってもよい。すなわち、散薬分包装置1に画像処理システムをさらに設け、この画像処理システムで撮像された画像を解析する動作を実施してもよい。また、上記した重量測定動作において急激な重量変化が検知されたときに塊状の散薬が落下したものと判別してもよい。
具体的に説明すると、この粉状化動作は、薬品容器を容器保持台36に載置し、振動台部に振動動作を実施させた後に実施される動作となっている。言い換えると、散薬を薬品容器から分配ユニット35の上に落下させた後に実施される動作となっている。
【0211】
この粉状化動作では、掻出装置37のアーム部材171を下方側へ回動させ、掻寄板172の周縁部分を分配ユニット35上の散薬に接触させる動作と、掻出装置37のアーム部材171を上方側へ回動させ、分配ユニット35上の散薬から離間させる動作とを複数回ずつ繰り返し実施する(又はそれぞれ1回ずつ実施する)動作となっている。すなわち、掻寄板172を上方から散薬の塊に接触させることで、散薬の塊を破砕する動作となっている。
なお、この動作は、分配ユニット35を回転させつつ実施してもよい。さらに詳細には、粉状化動作を実施するときの分配ユニット35の回転速度は、散薬を上面全体に広げる場合と同じ速度であってもよく、これより早い速度であってもよく、これより遅い速度であってもよい。しかしながら、散薬の塊をより確実に破砕するという観点から、散薬を上面全体に広げる場合よりも遅い速度とすることが好ましい。すなわち、分配ユニット35を非常にゆっくりと回転させつつ、掻出装置37による粉状化動作を実施することが好ましい。
【0212】
ところで、この粉状化動作を実施する場合、分配ユニット35の上面に満遍なく広がるように均一に撒かれた薬品の均一性を損なう可能性が考えられる。
そこで、上記した粉状化動作を実施する場合、画像処理システム等で実行前の画像と実行後の画像とを比較して解析する動作を実施し、一定の基準のもとで均一性に影響がないと判断した場合には、そのまま粉状化動作と分包動作からなる一連の動作を継続させ、均一性に影響があると判断した場合には、その分配ユニット35全体の薬品を分包せずに回収する動作を実施してもよい。また、均一性に影響があると判断した場合には、この分包せずに回収する動作に替わって、均一性に影響する部分の分割包(均一性に影響する部分のみの分割包)は患者に投薬しない旨の印刷を分包袋に施す動作や、均一性に影響する部分とその前後の分割包は患者に投薬しない旨の印刷を分包袋に施す動作を実施してもよい。
加えて、画像処理システムにより画像処理等により、分配ユニット35の上に塊状の散薬があると判断した場合には、敢えて粉状化動作(塊を粉砕する動作)を実行せず塊状の散薬部分のみ、或いはその前後の分割包は患者に投薬しない旨の印刷を分包袋に施してもよい。
【0213】
さらに具体的には、分配ユニット35の回転動作を間欠動作としてもよい。すなわち、分配ユニット35をやや回転させた後に停止して粉状化動作を実施し、さらにその後に、分配ユニット35を再びやや回転させてもよい。つまり、分配ユニット35の回転、分配ユニット35の回転停止、粉状化動作の実施、分配ユニット35の回転・・・といった具合にこれらの動作を順に実施してもよい。
【0214】
加えて、粉状化動作では、掻出装置37のアーム部材171を下方側へ回動させ、掻寄板172の周縁部分を分配ユニット35の上の散薬に接触させた後、この掻寄板172の周縁部分を分配ユニット35の周方向に移動させ、その後に掻出装置37のアーム部材171を上方側へ回動させる動作を実施してもよい。なお、この動作は、分配ユニット35の回転を一時的に停止した状態で実施することが好ましい。
さらに、この掻寄板172の周縁部分を分配ユニット35の周方向に移動させる動作では、掻寄板172の周縁部分を分配ユニット35の周方向における一方側に移動させた後、周方向の他方側に移動させる動作を実施してもよい。つまり、掻寄板172の周縁部分を、平面視したときに時計回り(又は反時計回り)となる方向に移動させた後、平面視したときに反時計回り(又は時計回り)となる方向に移動させてもよい。
このような動作を実施すると、掻寄板172が、分配ユニット35の上の散薬をすり潰すこととなるため、散薬をより確実に粉状化することが可能となり、粉状化動作(塊状の散薬部分のみを破壊する動作)により分配ユニット35全体の均一性が損なわれることがなくなる。
【0215】
ところで、本実施形態の散薬分包装置1は、上記したように、使用する薬品が収容された薬品容器を選択するカセット選択動作を実施可能となっている。そして、このカセット選択動作において自動式薬品容器4を使用することを選択した場合には、選択した自動式薬品容器4に内蔵された薬品の分包量を、散薬分包装置1の使用者が入力により設定(変更)させることが可能となっている。つまり、入力により分包量を変更する分包量設定動作が可能となっている。
このカセット選択動作と、分包量設定動作につき、以下で具体的に説明する。
【0216】
散薬分包装置1のカセット選択動作では、散薬カセット選択画面(
図22参照)が操作表示部3に表示された状態となる。使用者は、操作表示部3に対して手動で入力を実施することにより、薬品容器の選択が可能となっている。
なお、この散薬カセット選択画面には、容器保管部23が保持している自動式薬品容器4に収容された薬品がリスト表示された状態と、外部の管理棚に保管されている自動式薬品容器4に収容された薬品がリスト表示された状態とを切替え可能となっている。そして、リスト表示された各薬品の表示領域を押下することにより、分包動作で使用する薬品が収納された自動式薬品容器4を選択可能となっている。
【0217】
付言すると、この散薬カセット選択画面(
図22参照)には、薬品表示部360と、表示切替ボタン361と、文字入力部362とが設けられている。
【0218】
薬品表示部360は、表示切替ボタン361の操作及び/又は文字入力部362での入力結果に基づいて、条件を満たす薬品名をリスト表示するための部分である。リスト表示された薬品名のうち、麻薬、治験薬、毒薬、劇薬、向精神薬等の取扱いに注意が必要な薬品には、その旨を示すメッセージの強調表示を実施する。
すなわち、
図22のA部分のように、各薬品名を表示している略横長長方形状の表示領域のうち、右下部分の一部に斜め方向に延びる帯状の領域を設け、当該領域の背景色を周囲とは異なる色としてメッセージを記載する。このことにより、使用者は、取扱いに注意が必要な薬品を一目で特定することができる。
【0219】
この薬品表示部360は、表示対象となる薬品を五十音順に表示する部分であり、優先順位の高い順に、最も上部に位置する第一段目の左側から右側へ向かって並列表示され、続いて、上から数えて2つ目の列である第二段目の左側から右側向かって並列表示されるといった具合に、左上から順に並列表示された状態となっている。つまり、同一の段に属する薬品であれば左側に位置する程、異なる段に属する薬品であれば上側に位置する程、優先順位の高いものとなっている。
【0220】
表示切替ボタン361は、薬品表示部360に表示される薬品を切替えるためのボタンである。この表示切替ボタン361は、押下する毎に、容器保管部23が保持している自動式薬品容器4に収納された薬品を表示する状態と、外部の管理棚に保管されている自動式薬品容器4に収納された薬品を表示する状態とを切り替える。
なお、この表示切替ボタン361は、容器保管部23に保持された薬品が表示されている場合は、「管理棚外を表示」(
図22参照)と表示され、外部の管理棚に保管された薬品が表示されている状態では「管理棚内を表示」と表示される。そして、表示切替ボタン361が押下され、薬品表示部360の表示が切り替わると、表示切替ボタン361に表示された文言もまた切り替わる構成となっている。
つまり、表示切替ボタン361には、現在表示されている薬品の保管場所を示す情報ではなく、押下した後に表示の対象となる薬品の保管場所を示す情報が表示されるようになっている。
【0221】
文字入力部362は、薬品を特定するキーワードとして使用する文字列等を入力するための部分である。この文字入力部362に文字列等を入力すると、薬品名が入力された文字列等から始まる薬品だけが薬品表示部360に表示される。
つまり、この文字入力部362は、リストに表示する表示対象を絞り込むためのキーワードを入力するための部分となっている。したがって、
図23で示されるように、文字入力部362に「ア」という文字を入力した場合、薬品名の最初の文字が「ア」となる薬品のみ表示される。
【0222】
この文字入力部362は、1文字入力する毎に薬品表示部360の表示内容を変更する構成となっている。つまり、仮に文字入力部362に対して「アイウ」という文字列を入力するとき、まず「ア」という文字の入力後に、薬品名の最初の文字が「ア」となる薬品のみ表示された状態となる。そして、「ア」に続いて「イ」が入力され、文字入力部362に入力された文字列「アイ」となったとき、薬品名の最初の文字が「ア」であり、二文字目が「イ」である薬品のみが表示された状態となる。つまり、薬品名を仮名読みしたときの文字列が「アイ」から始まる薬品のみが表示される。このように、文字入力部362に文字列を入力していくと、一文字入力する毎にリストの表示が切り替わっていく構造となっている。
【0223】
散薬カセット選択画面(
図22、
図23参照)の薬品表示部360に表示された薬品名を表示する表示領域が押下されると、この表示領域に対応する薬品(表示領域に表示された薬品名に対応する薬品)が選択され、散薬カセット分包量設定画面(
図24参照)が操作表示部3に表示された状態となる。
【0224】
散薬カセット分包量設定画面(
図24参照)は、一包分当たりの薬品の量(一回当たりの服用量であり、以下、一回量とも称す)を指定するための入力が可能な画面となっている。この散薬カセット分包量設定画面(
図24参照)は、薬品名表示部370,容量入力部371、比率切替ボタン部372、一回量入力表示部373、均等/不均等切替ボタン部374、用法表示部375、決定ボタン部376、キャンセルボタン部377が表示される画面となっている。
そして、均等/不均等切替ボタン部374を押下する毎に、均等表示状態(
図24(a)参照)と、不均等表示状態(
図24(b)参照)を切替え可能となっている。また、均等表示状態では、全選択ボタン部378が表示され、不均等表示状態では、全選択ボタン部378に替わってクリアボタン部379が表示されるものとなっている。
【0225】
薬品名表示部370は、散薬カセット分包量設定画面の表示前に散薬カセット選択画面で選択された薬品の薬品名を表示するための領域となっている。
【0226】
容量入力部371は、分包動作で使用する薬品の総量を入力するための入力部(図中の略四角形状の部分)を備えた部分であり、一回量の合計値となる値を入力する部分となっている。例えば、分配ユニット35に供給した薬品を3包に分包する場合、その3包の合計値が入力されることとなる。
なお、この容量入力部371に入力がされると、一回量の合計値が自動的に算出され、入力値と比較される。そして、比較の結果、入力値と一回量の合計値が異なっており、その際に「実数で配分」する状態(詳しくは後述する)となっていた場合には、「比率で配分」する状態(詳しくは後述する)に自動的に切り替える動作を実施する。
【0227】
比率切替ボタン部372は、「実数で配分」する状態と、「比率で配分」する状態との間で切り替えを行う際に使用可能であり、この領域が押下される毎に、これらの状態を切替え可能となっている。
なお、「実数で配分」する状態とは、一回量入力表示部373(詳しくは後述する)の各入力部に入力した値の合計値を容量入力部371の入力値とする状態であり、一包分毎に薬品の量が異なるように分包するための入力が実施可能となっている。この状態では、一回量入力表示部373の各入力部(詳しくは後述する)に値が入力されたとき、この各入力部の合計値(一回量の合計値)を算出し、算出した値を容量入力部371の入力値とする動作を自動的に実施する。なお、画面起動時には、この「実数で配分」する状態となっている。
対して、「比率で配分」する状態とは、容量入力部371の入力値を包数で割った値を一包分の薬品の量とし、一包分毎の薬品の量が同一となるように分包するための入力が実施される状態である。この状態では、容量入力部371の入力値に基づいて一包分の薬品の量が自動的に決定される。
【0228】
より具体的に説明すると、容量入力部371と、一回量入力表示部373のいずれにも入力がされていないときには、「実数で配分」する状態となる。この状態では、比率切替ボタン部372を押下する毎に「実数で配分」する状態と「比率で配分」する状態が切り替わる。
そして、容量入力部371に値が入力され、一回量入力表示部373のいずれの入力部にも値の入力がされていないときには、「実数で配分」する状態に自動で切り替わる。
さらに、容量入力部371と、一回量入力表示部373の少なくとも1つの入力部に入力があった際には、容量入力部371の入力部に入力された値と、一回量入力表示部373の各入力部に入力された値の合計値とを比較する処理を実施する。そして、比較の結果、これらが同一の値である場合には「実数で配分」する状態に自動で切り替わる。対して、これらが異なる値であれば、「比率で配分」する状態に自動で切り替わる。
そして、容量入力部371に値の入力が行われた場合、一回量入力表示部373に値の入力に行われた場合、比率切替ボタン部372の領域が押下された場合からなる条件群のうちの少なくとも1つの条件が満たされたとき、容量入力部371と一回量入力表示部373の入力状態を判別する判別動作を実施し、判別動作の結果に応じて上記のように状態を自動で切替える動作を実施する。
【0229】
一回量入力表示部373は、均等表示状態(
図24(a)参照)においては、分包動作における包数を示す情報を表示する。対して、不均等表示状態(
図24(b)参照)においては、一包毎の薬品の量を入力する部分として機能する。
具体的に説明すると、均等表示状態(
図24(a)参照)では、予め規定された最大数(本実施形態では8つ)の長方形状の入力部が表示されており、そのうち、分包動作で包装する包数(
図24では3つ)だけ他とは異なる色で塗り潰されて表示される。つまり、この他とは異なる色で塗り潰された入力部は、分包動作の一包分の包装に対応している。そして、この他とは異なる色で塗り潰された入力部は、押下する毎に、選択状態と選択解除状態を切替えることが可能となっている。
以上のことから、均等表示状態(
図24(a)参照)では、全ての入力部は、それぞれ所定の色で塗り潰された状態となっており、値の入力が不可能な状態となっている。
【0230】
これに対して、不均等表示状態(
図24(b)参照)では、規定された最大数(本実施形態では8つ)の長方形状の入力部が表示されており、そのうち、分包動作で包装する包数(
図24では3つ)と同数の入力部が、値の入力が可能な状態となっている。このとき、値の入力が可能な入力部は、並列方向における一端側(
図24では左端側)に寄せられた状態で表示されている。つまり、最も並列方向における一端側に位置する入力部、この一端側から数えて2番目となる入力部・・・、といった具合に、一端側からX番目(Xは分包動作で包装する包数)までの入力部が値の入力が可能な状態となっている。
なお、不均等表示状態において、各入力部に入力した値が全て同一の値であった場合には、自動的に均等表示状態(
図24(a)参照)に切替える動作を実施する。
【0231】
均等/不均等切替ボタン部374は、上記したように、均等表示状態(
図24(a)参照)と、不均等表示状態(
図24(b)参照)の切り替えを行う際に使用可能となっている。すなわち、この均等/不均等切替ボタン部374を押下する毎に均等表示状態(
図24(a)参照)と、不均等表示状態(
図24(b)参照)が切り替わるものとなっている。
なお、画面起動時には、均等表示状態(
図24(a)参照)となっている。
【0232】
この均等/不均等切替ボタン部374においても、均等表示状態(
図24(a)参照)であるときには、「不均等」と表示され、不均等表示状態(
図24(b)参照)であるときには、「均等」と表示される。そして、これらの状態が切り替わると、均等/不均等切替ボタン部374に表示された文言もまた、切り替わる構成となっている。
つまり、均等/不均等切替ボタン部374には、現在の状態を示す情報ではなく、現在の状態から切り替わった後の状態を示す情報が表示される。
【0233】
用法表示部375は、薬品名表示部370に表示された薬品(散薬カセット選択画面で選択された薬品)の服用方法に関する情報を表示するための部分となっている。この服用方法に関する情報は、カセット選択動作の実行以前に取得した処方に関する情報に基づいて作成(又はデータベースから取得)される情報となっている。
【0234】
決定ボタン部376は、押下することで、容量入力部371、一回量入力表示部373に入力した値を散薬カセット選択画面で選択した薬品に反映し、散薬カセット分包量設定画面の表示を終了する処理を実行する部分となっている。
【0235】
より具体的に説明すると、決定ボタン部376が押下されると、容量入力部371に値が入力されたか否かを判別する第1入力判別動作が実施される。
そして、第1入力判別動作の結果、容量入力部371に値が入力されていた場合には、容量入力部371に入力された値と、必要に応じて一回量入力表示部373で入力された値を散薬カセット選択画面で選択した薬品に反映し、散薬カセット分包量設定画面の表示を終了する。
【0236】
対して、容量入力部371に値が入力されていない場合には、一回量入力表示部373で値が入力されたか否かを判別する第2入力判別動作が実施される。
第2入力判別動作の結果、一回量入力表示部373の少なくとも1つの入力部に値が入力されていた場合には、一回量入力表示部373への入力値が、容量入力部371への入力値(用量であり、この場合は未入力値)に一致しない旨を報知するメッセージを表示する。
このとき、入力した一回量を容量入力部371への入力値に反映させるか否かを選択させる画面を表示する。そして、この画面で使用者が反映させることを選択した場合には、入力した1回量の合計値を容量入力部371への入力値とし、容量入力部371の入力値と、一回量入力表示部373で入力された値を散薬カセット選択画面で選択した薬品に反映して、散薬カセット分包量設定画面の表示を終了する。
また、使用者が一日量に反映させないことを選択した場合には、散薬カセット分包量設定画面での入力値を散薬カセット選択画面で選択した薬品に反映せず、散薬カセット分包量設定画面の表示を終了する。
なお、一回量入力表示部373への入力値と容量入力部371への入力値が一致しない旨を報知するメッセージを表示する画面と、入力した一回量を用量に反映させるか否かを選択させる画面は、同一の画面であってもよく、異なる画面を連続して表示してもよい。
【0237】
また、第2入力判別動作の結果、一回量入力表示部373のいずれの入力部にも値が入力されていない場合には、散薬カセット分包量設定画面での入力値を散薬カセット選択画面で選択した薬品に反映せず、散薬カセット分包量設定画面の表示を終了する。
【0238】
キャンセルボタン部377は、押下することで、容量入力部371、一回量入力表示部373に入力した値等の散薬カセット分包量設定画面での入力値を散薬カセット選択画面で選択した薬品に反映せず、散薬カセット分包量設定画面の表示を終了する処理を実行する部分となっている。
【0239】
全選択ボタン部378は、均等表示状態(
図24(a)参照)で押下することにより、一回量入力表示部373における一包分の包装に対応した入力部を全て選択状態とする部分である。
なお、この全選択ボタン部378は、一包分の包装に対応した入力部が全て選択状態となっていない場合には、「全選択」と表示され、全て選択状態となっている場合には、「全解除」と表示される。そして、「全解除」と表示されている場合に限り、押下することで、一回量入力表示部373における一包分の包装に対応した入力部を全て選択解除状態とする。
【0240】
クリアボタン部379は、散薬カセット分包量設定画面において、容量入力部371への入力値、一回量入力表示部373への入力値、「実数で配分」する状態と「比率で配分」する状態のいずれかとなる状態の選択等を、画面起動時の状態に戻すためのボタンである。
【0241】
以上のことから、散薬カセット分包量設定画面では、一包分毎の薬品の量が均等になるように分包する設定と、一包分毎の薬品の量が不均等になるように分包する設定を実施できる。
例えば、一包分毎の薬品の量が均等になるように分包する設定を実施する場合には、均等表示状態(
図24(a)参照)において、容量入力部371に用量(分包動作で使用する薬品の量)を入力する。この場合、一包分毎の薬品の量が同一となるように、各包の薬品の量が自動的に算出されることとなる。したがって、容量入力部371に用量を入力し、決定ボタン部376を押下することで、設定が完了する。
対して、一包分毎の薬品の量が不均等になるように分包する設定を実施する場合には、不均等表示状態(
図24(b)参照)において、「実数で配分」する状態とし、容量入力部371に用量を入力すると共に、一回量入力表示部373の各入力部にそれぞれ一包分の薬品の量を入力する。言い換えると、一包毎に薬品の量を入力していく。さらに、この入力の際、容量入力部371の入力値と、一回量入力表示部373の各入力部に入力した値の合計値とが等しい値となるように入力する。そして、入力が完了した状態で決定ボタン部376を押下することで、設定が完了する。
【0242】
また、上記したように、本実施径の散薬分包装置1は、「実数で配分」する状態で容量入力部371の入力値と一回量の合計値が異なった場合に「比率で配分」する状態に自動的に切り替える動作と、容量入力部371と一回量入力表示部373の入力部への入力状況に応じて「実数で配分」する状態と「比率で配分」とを自動的に切り替える動作と、一回量入力表示部373への入力値が容量入力部371への入力値と一致しない場合にその旨を報知する動作と、入力した一回量を容量入力部371への入力値に反映させることを促す動作と、をそれぞれ実施可能となっている。このことから、使用者の入力ミスに起因する誤った設定の実施を防止することができる。
【0243】
さらに、本実施形態の散薬分包装置1は、これまで詳述してきた通り、自動式薬品容器4が容器保持台36に載置され、前記容器保持台36は振動台部を有しており、当該振動台部が振動することで前記容器保持台36に載置した前記自動式薬品容器4に振動を伝搬し、前記自動式薬品容器4に作用して前記自動式薬品容器4から散薬を排出させる構造となっているが、装置本体の周囲環境に基づく予期せぬ振動等の影響を受けることも考慮する必要がある。
より具体的には、散薬分包装置1が自動式薬品容器4から分配ユニット35への配分中(散薬の供給中)において、近隣で発生した振動等(例えば、人が散薬分包装置1を設置した室内の壁にぶつかって発生する振動等)により、散薬分包装置1全体が揺れを検知し、容器保持台36の重量測定手段がその揺れを重量として誤検知することがあり、そのため散薬の配分を予定していた配分時間よりも早めに終了させてしまう場合がある。
【0244】
これに対応するため、散薬分包装置1は処方情報に基づいて分配ユニット35に自動式薬品容器4から散薬の配分を完了した後、前記容器保持台36の重量測定手段によって、自動式薬品容器4から所定の散薬が分配ユニット35に排出されたかどうかを確認するために重量確認を行う。この時、周囲の振動等の影響を受けない一定時間の安定時間を設けて重量確認の計測を実行することがよい(予め定められた所定時間の経過後に重力確認の計測動作を実施することが好ましい)。この重量確認によって処方量通りに排出されていないことが判明した場合にはワーニングを発し、作業者に対して異常終了のため回収を実行するか、或いはまた、そのまま分包動作を継続するか否かの選択を促す画面を表示させることが考えられる。
つまり、重力確認の計測動作を実施した結果、処方量通りに排出されていないと判別された場合には、作業者にその旨を報知する報知動作を実施してもよい。そして、この報知動作は、音声による報知動作や、操作表示部3へ画像を表示する動作であってもよい。さらに、この報知動作の一環として、作業者に対し、分配ユニット35の上の薬品の回収を実行して異常終了するか、そのまま分包動作を継続するかの選択を促すための画面を操作表示部3に表示する動作を実施してもよい。
【0245】
また、別の例として、前記重量測定手段による重量確認によって薬品が処方量通りに排出されていないことが判明した場合には、実際に排出した量と処方に基づく排出量との差分を計算し、不足分として算出した量を追加排出するという手段が考えられる。
これにより、周囲環境による装置本体に対する予期せぬ振動によって散薬の配分に誤差が生じたとしても、作業者に対して注意喚起をしたり、自動で不足分を追加したりすることが可能となるので、より精度の高い散薬の配分が可能となり、分包動作を停止することなく継続して実施することが可能となる。
【0246】
具体的に説明すると、薬品が処方量通りに排出されていないことが判明した場合、処方量通りの分包ができないので、通常であれば、停止して再度初めから分包動作を実施する必要がある。しかしながら、上記した手段を採用することで、再度初めから分包動作を実施する必要がなく、すでに実施した薬品の排出動作に続いて不足分の追加排出動作を実施し、上記した薬品分割動作以降の動作を継続して実施することができる。なお、薬品の排出動作に続いて不足分の排出動作を実施することから、薬品の排出動作に伴って実施される分配ユニット35を回転させるフィーダ回転動作もまた、中断せずに実施することができる。
つまり、最初に実行した排出動作で薬品が処方量通りに排出されていない場合においても、排出動作が正常に行われた場合(処方量通りに排出された場合)と同様に、一連の動作を停止することなく実施することが可能であり、処方量通りの分包が可能となる。
【符号の説明】
【0247】
1 散薬分包装置(薬品払出装置)
4 自動式薬品容器(散薬収容容器)
5 手動式薬品容器(散薬収容容器)
35 分配ユニット
37 掻出装置
36 容器保持台(容器載置装置)
【手続補正書】
【提出日】2023-05-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体を有する本体装置と、自動式薬品容器を保持する容器保管部と、手動式薬品容器と、容器載置装置と、制御部とを有する薬品払出装置であって、
容器保管部と容器載置装置とは筐体内に配置され、
手動式薬品容器は手動で筐体内に搬入され、筐体内の容器載置装置に載置されるものであって、
制御部により、自動式薬品容器を容器載置装置に載置する動作が実施された後に手動式薬品容器を容器載置装置に載置する動作が行われる薬品払出装置。
【請求項2】
筐体を有する本体装置と、自動式薬品容器を保持する容器保管部と、手動式薬品容器と、容器載置装置と、制御部とを有する薬品払出装置であって、
容器保管部と容器載置装置とは筐体内に配置され、
手動式薬品容器は手動で筐体内に搬入され、筐体内の容器載置装置に載置されるものであって、
制御部により、手動式薬品容器を容器載置装置に載置する動作が実施された後に自動式薬品容器を容器載置装置に載置する動作が行われる薬品払出装置。
【請求項3】
制御部は、自動式薬品容器を容器載置装置に載置する動作が実施された後に手動式薬品容器を容器載置装置に載置する動作、または、手動式薬品容器を容器載置装置に載置する動作が実施された後に自動式薬品容器を容器載置装置に載置する動作を行うものであり、
使用者の選択によって、制御部は、自動式薬品容器を容器載置装置に載置する動作が実施された後に手動式薬品容器を容器載置装置に載置する動作、または、手動式薬品容器を容器載置装置に載置する動作が実施された後に自動式薬品容器を容器載置装置に載置する動作のいずれか一方を選択する請求項1又は2に記載の薬品払出装置。
【請求項4】
アーム部を備えた容器移動ユニットをさらに有し、
アーム部により自動式薬品容器を容器載置装置に載置する動作が実施された後、アーム部が所定の位置に退避したことが確認されると、使用者が手動式薬品容器を容器載置装置に設置することが可能となる請求項1に記載の薬品払出装置。
【請求項5】
外部の管理棚に収容されている自動式薬品容器をさらに有し、
使用者により本体装置の容器仮置き部に前記自動式薬品容器が載置されると、容器移動ユニットのアーム部が前記自動式薬品容器を容器載置装置まで移動させ容器載置装置に載置する動作を含む請求項1又は2に記載の薬品払出装置。
【請求項6】
分配ユニットをさらに有し、
容器載置装置は3つであり、当該3つの容器載置装置は分配ユニットに関連づけられており、
筐体には、容器仮置部が設けられ、
3つの容器載置装置のうち1つの容器載置装置には手動式薬品容器が載置され、残りの2つのうちの1つの容器載置装置には容器保管部から運ばれてきた自動式薬品容器が載置され、残りの1つの容器載置装置には容器仮置部から運ばれてきた自動式薬品容器が載置される動作を含む請求項1又は2に記載の薬品払出装置。
【請求項7】
制御部により、自動式薬品容器及び手動式薬品容器が容器載置装置に載置されると、処方データに含まれる処方において提供される薬剤の種類と、容器載置装置に載置された自動式薬品容器及び手動式薬品容器に収納される薬剤の種類とが合致するか否かが判別され、自動式薬品容器及び手動式薬品容器が容器載置装置に正しく載置されていることが確認される動作を含む請求項1又は2に記載の薬品払出装置。
【請求項8】
使用者に取り忘れた手動式薬品容器を回収するように促す回収報知動作を含む請求項1又は2に記載の薬品払出装置。
【請求項9】
回収報知動作は、分包動作の終了時から次の分包動作が開始されるまでの間に、当該分包動作で使用された手動式薬品容器が容器載置装置の上に載置されたままとなっていることが検知されたことを条件として、実施される請求項8に記載の薬品払出装置。
【請求項10】
回収報知動作が実施された際、一定時間が経過するまでに手動式薬品容器が容器載置装置の上から移動されなかった場合、回収報知動作を中止又は一時的に中止し、その後分包動作を実施する動作を含む請求項8又は9に記載の薬品払出装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
上記の課題を解決するために開発された本発明の一つの態様は、筐体を有する本体装置と、自動式薬品容器を保持する容器保管部と、手動式薬品容器と、容器載置装置と、制御部とを有する薬品払出装置であって、容器保管部と容器載置装置とは筐体内に配置され、
手動式薬品容器は手動で筐体内に搬入され、筐体内の容器載置装置に載置されるものであって、制御部により、自動式薬品容器を容器載置装置に載置する動作が実施された後に手動式薬品容器を容器載置装置に載置する動作が行われる薬品払出装置である。
上記の課題を解決するために開発された本発明の別の態様は、筐体を有する本体装置と、自動式薬品容器を保持する容器保管部と、手動式薬品容器と、容器載置装置と、制御部とを有する薬品払出装置であって、容器保管部と容器載置装置とは筐体内に配置され、手動式薬品容器は手動で筐体内に搬入され、筐体内の容器載置装置に載置されるものであって、制御部により、手動式薬品容器を容器載置装置に載置する動作が実施された後に自動式薬品容器を容器載置装置に載置する動作が行われる薬品払出装置である。
好ましい態様は、制御部は、自動式薬品容器を容器載置装置に載置する動作が実施された後に手動式薬品容器を容器載置装置に載置する動作、または、手動式薬品容器を容器載置装置に載置する動作が実施された後に自動式薬品容器を容器載置装置に載置する動作を行うものであり、使用者の選択によって、制御部は、自動式薬品容器を容器載置装置に載置する動作が実施された後に手動式薬品容器を容器載置装置に載置する動作、または、手動式薬品容器を容器載置装置に載置する動作が実施された後に自動式薬品容器を容器載置装置に載置する動作のいずれか一方を選択する薬品払出装置である。
さらに好ましい態様は、アーム部を備えた容器移動ユニットをさらに有し、アーム部により自動式薬品容器を容器載置装置に載置する動作が実施された後、アーム部が所定の位置に退避したことが確認されると、使用者が手動式薬品容器を容器載置装置に設置することが可能となる薬品払出装置である。
さらに好ましい態様は、外部の管理棚に収容されている自動式薬品容器をさらに有し、使用者により本体装置の容器仮置き部に前記自動式薬品容器が載置されると、容器移動ユニットのアーム部が前記自動式薬品容器を容器載置装置まで移動させ容器載置装置に載置する動作を含む薬品払出装置である。
さらに好ましい態様は、分配ユニットをさらに有し、容器載置装置は3つであり、当該3つの容器載置装置は分配ユニットに関連づけられており、筐体には、容器仮置部が設けられ、3つの容器載置装置のうち1つの容器載置装置には手動式薬品容器が載置され、残りの2つのうちの1つの容器載置装置には容器保管部から運ばれてきた自動式薬品容器が載置され、残りの1つの容器載置装置には容器仮置部から運ばれてきた自動式薬品容器が載置される動作を含む薬品払出装置である。
さらに好ましい態様は、制御部により、自動式薬品容器及び手動式薬品容器が容器載置装置に載置されると、処方データに含まれる処方において提供される薬剤の種類と、容器載置装置に載置された自動式薬品容器及び手動式薬品容器に収納される薬剤の種類とが合致するか否かが判別され、自動式薬品容器及び手動式薬品容器が容器載置装置に正しく載置されていることが確認される動作を含む薬品払出装置である。
さらに好ましい態様は、使用者に取り忘れた手動式薬品容器を回収するように促す回収報知動作を含む薬品払出装置である。
さらに好ましい態様は、回収報知動作は、分包動作の終了時から次の分包動作が開始されるまでの間に、当該分包動作で使用された手動式薬品容器が容器載置装置の上に載置されたままとなっていることが検知されたことを条件として、実施される薬品払出装置である。
さらに好ましい態様は、回収報知動作が実施された際、一定時間が経過するまでに手動式薬品容器が容器載置装置の上から移動されなかった場合、回収報知動作を中止又は一時的に中止し、その後分包動作を実施する動作を含む薬品払出装置である。
上記の課題を解決するために開発された本発明の別の態様は、複数の散薬収容容器と、容器移動手段と、散薬を分配する散薬分配装置と、複数の容器載置装置とを有し、容器移動手段で複数の散薬収容容器を移動させて複数の容器載置装置に載置し、複数の散薬収容容器から散薬を排出することが可能であり、全ての容器載置装置に散薬収容容器を設置し、全ての容器載置装置に散薬収容容器が設置された後、全ての容器載置装置に設置された散薬収容容器の内のいずれかの散薬収容容器からの所定量の散薬が排出し終えた場合には、排出し終えた散薬収容容器を取り外して容器載置装置を空け、別途の散薬収容容器を容器移動手段で移動させて空いた容器載置装置に別途の散薬収容容器を設置することが可能である薬品払出装置である。
好ましい態様は、全ての容器載置装置の数を超える種類の散薬を投入する動作を実施する際には、全ての容器載置装置に設置された散薬収容容器の内のいずれかの散薬収容容器から所定量の散薬を排出し終えた場合には、散薬を排出し終えた散薬収容容器を容器載置装置から取り外し、別途の散薬収容容器を容器移動装置で移動させ、散薬を排出し終えた散薬収容容器が載置されていた容器載置装置に別途の散薬収容容器を載置する動作を含む薬品払出装置である。
さらに好ましい態様は、容器載置装置に設置される散薬収容容器から所定量の散薬が排出し終えるのに要する時間を想定し、排出するのに要する時間の長短を勘案して散薬収容容器を容器載置装置に載置する順番を変更する順番決定機能を有する薬品払出装置である。
さらに好ましい態様は、容器移動手段によることなく使用者が手動で散薬収容容器を容器載置装置に載置及び取り外しが可能なように形成されており、全ての容器載置装置に載置されている散薬収容容器からの散薬の排出が終了したにも係わらず、使用者の手で載置した散薬収容容器が容器載置装置に載置されたままである場合に、その旨に関する情報を報知する報知動作が実施される薬品払出装置である。
さらに好ましい態様は、薬品払出装置は、2以上の分配皿をさらに有し、複数の容器載置装置が2以上の分配皿の近傍に設置され、複数の容器載置装置に異なる種類の散薬が収容された散薬収容容器を載置して異なる種類の散薬を2以上の分配皿のいずれかの分配皿に投入する混合処方動作が可能である薬品払出装置である。
さらに好ましい態様は、分配皿を清掃する清掃装置をさらに有し、清掃装置で分配皿を清掃する時期として下記(1)から(5)の条件:
(1)一つの処方による散薬の分配が終了したとき、
(2)新たに一つの処方による散薬の分配を開始せんとするとき、
(3)特定の散薬を含む処方による散薬の分配が終了したとき、
(4)容器移動手段によることなく使用者の手で散薬収容容器を容器載置装置に設置し、散薬の分配が終了したとき、
(5)容器移動手段によることなく使用者の手で散薬収容容器を容器載置装置に設置し、散薬の分配が終了し、さらに新たに一つの処方による散薬の分配を開始せんとするとき、
のいずれか一つ又は複数を選択可能であることを薬品払出装置である。
上記課題を解決するための本発明の別の態様は、筐体と、筐体に、複数の散薬収容容器と、容器移動手段と、散薬を分配する散薬分配装置と、複数の容器載置装置と、分配皿とが内蔵された薬品払出装置であって、容器移動手段で複数の散薬収容容器を移動させて複数の散薬収容容器に載置し、複数の散薬収容容器から散薬を排出することが可能であり、筐体には扉部があって、扉部により筐体の内部の散薬収容容器を出し入れすることが可能であり、容器移動手段によることなく使用者の手で散薬収容容器を容器載置装置に設置することも可能であり、複数の容器載置装置に、異なる種類の薬剤が収容された複数の散薬収容容器を載置して、異なる種類の散薬を分配皿に投入する処方動作が可能であり、容器移動手段による容器載置装置への散薬収容容器の設置と、使用者の手による容器載置装置への散薬収容容器の設置の双方を行う必要がある場合には、いずれを先に行うかを選択可能である薬品払出装置である。
上記課題を解決するための本発明の別の態様は、複数の散薬収容容器と、容器移動手段と、複数の容器載置装置と、分配皿とを有し、容器移動手段で複数の散薬収容容器を移動させて散薬収容容器を複数の容器載置装置に載置する自動載置方法と、容器移動手段によることなく使用者の手で複数の散薬収容容器を複数の容器載置装置に設置する手動載置方法が可能であり、分配皿は、2以上有し、複数の容器載置装置は、2以上の分配皿の近傍に設置され、複数の容器載置装置に異なる種類の散薬が収容され散薬収容容器を載置して異なる種類の散薬を分配皿に投入する混合処方動作が可能であり、特定の分配皿の近傍にある容器載置装置には全て自動載置方法によって散薬収容容器を載置し、他の特定の分配皿の近傍にある容器載置装置には全て手動載置方法によって散薬収容容器を載置する分離配置法と、一つの分配皿の近傍にある容器載置装置に対して自動載置方法と手動載置方法によって散薬収容容器を載置する方法とを選択可能である薬品払出装置である。
上記課題を解決するための本発明の別の態様は、散薬収容容器から所定量の散薬を排出させ、これを所定の数に分割し、さらに個別に包装して排出する薬品払出装置であって、前記散薬収容容器から排出された散薬を配分する分配ユニットと、当該分配ユニットに投入された散薬を掻き出すための掻出装置と、前記散薬収容容器が載置されると共に前記散薬収容容器に作用して前記散薬収容容器から散薬を排出させる容器載置装置とを備え、前記容器載置装置は振動台部を有しており、当該振動台部が振動することで前記容器載置装置に載置した前記散薬収容容器に振動を伝搬可能となっており、複数の前記容器載置装置が前記分配ユニットの近傍に設置され、複数の前記容器載置装置に異なる種類の散薬が収容された前記散薬収容容器を載置して異なる種類の散薬を前記分配ユニットに投入する動作が可能であり、当該動作を実施する際には、載置すべき前記散薬収容容器の全てが前記容器載置装置に設置されるまで待つことなく、前記散薬収容容器が設置された前記容器載置装置の前記振動台部が振動を開始することを特徴とする薬品払出装置である。
なお、ここでいう「散薬」とは、錠剤等の固形の薬剤をすり潰す等により粉末状にした薬剤を含むものとする。