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特開2023-86958圧縮可能なモータ、埋め込み式構成体、および血液ポンプ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086958
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】圧縮可能なモータ、埋め込み式構成体、および血液ポンプ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/04 20060101AFI20230615BHJP
【FI】
H02K3/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074281
(22)【出願日】2023-04-28
(62)【分割の表示】P 2021030621の分割
【原出願日】2014-10-09
(31)【優先権主張番号】13188380.3
(32)【優先日】2013-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】515170724
【氏名又は名称】エーツェーペー エントヴィッケルングゲゼルシャフト エムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シューマッハ ヨルグ
(57)【要約】
【課題】幅の狭い導管を通して輸送され得るモータを提供する。
【解決手段】モータは、ステータ2と軸線方向4の周りに駆動され得るロータ1とを有し、ステータ2およびロータ1のうちの少なくとも1つ、とりわけステータ2は、電流を供給され得る巻線構成体を有しており、半径方向に圧縮可能および拡張可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向の周りに駆動され得るロータと、
電流が供給され得る巻線構成体を有するステータと、を有し、
前記ステータは、半径方向に圧縮可能および拡張可能である、
ことを特徴とするモータ。
【請求項2】
軸線方向の周りに駆動され得るロータと、
電流が供給され得る巻線構成体を有するステータと、を有し、
前記ロータは、半径方向に圧縮可能および拡張可能である、
ことを特徴とするモータ。
【請求項3】
軸線方向の周りに駆動され得るロータと、
電流が供給され得る巻線構成体を有するステータと、を有し、
前記ステータおよび前記ロータは、半径方向に圧縮可能および拡張可能である、
ことを特徴とするモータ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のモータであって、前記巻線構成体は、少なくとも1つのサブ巻線を有し、前記サブ巻線は可逆的に変形可能である、
ことを特徴とするモータ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のモータであって、前記ロータはポンプロータに、前記ロータと前記ポンプロータが同じ前記軸線方向の周りを一緒に回転するように接続されることを特徴とするモータ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のモータであって、前記ロータと前記ステータは、前記ステータが前記半径方向に圧縮可能である第1の位置と、前記ステータが前記半径方向に拡張された第2の位置との間で、前記軸線方向に相対的に変位可能であることを特徴とするモータ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のモータであって、前記ステータと前記ポンプロータは、前記ステータと前記ポンプロータが前記半径方向に一緒に圧縮可能であるように前記軸線方向に連続して配置されることを特徴とするモータ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のモータであって、前記ポンプロータは、前記ポンプロータが圧縮されると、前記ロータの前記軸線周りに折り畳まれるブレードを含むことを特徴とするモータ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のモータであって、前記ポンプロータは、弾性を有する超弾性プラスチック材料から形成されることを特徴とするモータ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載のモータであって、前記ポンプロータは、前記ステータが圧縮されるとつぶれるように構成されることを特徴とするモータ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載のモータであって、前記ポンプロータは、前記ステータが拡張すると弾性拡張または超弾性拡張するように構成されることを特徴とするモータ。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載のモータであって、前記ロータは、可逆的に相対的に移動可能である複数の磁石部品を有することを特徴とするモータ。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載のモータであって、前記巻線構成体は、可逆的に相対的に変位可能である少なくとも2つのサブ巻線を有し、前記サブ巻線は、任意で一方を他方の上に滑動させてもよいことを特徴とするモータ。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載のモータであって、前記巻線構成体は、弾性材料で型成形された少なくとも1つのサブ巻線を有していることを特徴とするモータ。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載のモータであって、前記巻線構成体は少なくとも2つのサブ巻線を有し、前記少なくとも2つのサブ巻線は、別々のサブ本体部の中に型成形され、相対的に移動可能であることを特徴とするモータ。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載のモータであって、前記巻線構成体は、形状記憶合金から少なくとも部分的に構成されるリードを有していることを特徴とするモータ。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項に記載のモータであって、前記巻線構成体は、相対的に移動可能な複数の部品を有し、前記複数の部品同士の間に画定される曲げ領域および/またはねじれ領域を有していることを特徴とするモータ。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1項に記載のモータであって、前記モータが、さらに接続部品を含み、前記接続部品は、前記モータから離れるように延在しており、前記接続部品によって、前記ロータおよび前記ステータが、相対的に前記軸線方向に変位可能であることを特徴とするモータ。
【請求項19】
中空のカテーテルと、前記中空のカテーテルの中に圧縮されて配置されている請求項1から18のいずれか1項に記載のモータとを有することを特徴とする埋め込み式構成体。
【請求項20】
ポンプであって、特に血液ポンプであって、請求項1から19のいずれか1項に記載のモータを有することを特徴とするポンプ。
【請求項21】
請求項20に記載のポンプであって、前記モータが、さらに接続部品を含み、前記接続部品は、前記モータから離れるように延在しており、前記接続部品によって、前記ロータおよび前記ステータが、相対的に前記軸線方向に変位可能であることを特徴とするポンプ。
【請求項22】
請求項20または21に記載のポンプであって、前記ポンプロータは、流体を搬送するためのブレード構成を有していることを特徴とするポンプ。
【請求項23】
請求項22に記載のポンプであって、前記ブレード構成は、前記ポンプロータが圧縮されると、前記ロータの前記軸線の周りに折り畳まれることを特徴とするポンプ。
【請求項24】
請求項20から23のいずれか1項に記載のポンプであって、前記ポンプロータは、動作状態において、前記ステータの中に少なくとも部分的に位置付けされていることを特徴とするポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械学および電気工学の分野に関し、とりわけ有利には、マイクロメカニクスの分野で使用され得る。なかでも、医用工学における用途が、とりわけ有利である。
【背景技術】
【0002】
導管システムの中へ、または、アクセスするのがとりわけ困難な場所に、アッセンブリを導入するときには、患者の身体の中へアッセンブリを埋め込むときと同様に、問題が起こることが多い。これは、このタイプのアッセンブリが、可能な限り幅の狭い貫通開口部または導管を通してそれらの目標位置まで持っていかれなければならないが、目標位置に到着すると、とりわけ最大寸法によって最大限の効果を提供するべきであるということに起因するものである。
【0003】
医用工学において、この目的のために、対応するアッセンブリが、患者の身体の中へ目標場所まで導入される前に圧縮され、圧縮された状態で挿入され、次いで拡張させられるという手法を採用することが知られている。これは、拡張可能な心臓支援カテーテルポンプの場合で以前からすでに適用されており、また、埋め込み可能なステントの場合でも適用されている。非医療分野では、例として、検査クレードルが、チューブを通して送られ得、それらがより大きい空洞部に到達すると、同様に拡張させられ得、または、適切なツールもしくはセンサーを配備するために使用され得る。
【0004】
医療分野では、これまで、駆動可能な拡張可能なアッセンブリは、埋め込まれるときに、可撓性のシャフトを用いて、身体の外側のモータによって駆動された。心臓支援血液ポンプの場合では、たとえば、ポンプロータは、可撓性のシャフトを用いて、ポートによって身体の外側のモータに接続されており、可撓性のシャフトは、血管の中の中空のカテーテルを通って延在する。たとえば可撓性のシャフトの形態のこのタイプの移送システムに対して非常に高度な要求が出されることがある。その理由は、これらの高い回転速度が、比較的に長い期間にわたって、著しい摩耗なく、通常は最適ではない潤滑条件の下で伝達されなければならないからである。したがって、このタイプの移送システムなしで済ますことができると有利であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/138205号明細書
【特許文献2】米国特許第6018208号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、先行技術の背景に対して、本発明の目的は、モータが幅の狭い導管を通して輸送され得るように、モータを設計することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
その目的は、請求項1による本発明の特徴によって実現される。請求項1は、本発明によるモータに関し、請求項1に従属する請求項2から18は、本発明の有利な実施形態を指定している。請求項19は、埋め込み式構成体に関し、請求項20から24は、本発明によるポンプに関する。
【0008】
本発明によるモータは、ステータと軸線方向の周りに駆動され得るロータとを有しており、目的を実現するために、これらのうちの少なくとも1つ、とりわけステータは、電流を供給され得る巻線構成体を有しており、半径方向に圧縮可能および拡張可能である。
【0009】
本発明の範囲内で「半径方向の圧縮性」の用語は、問題の部品の直径がモータの回転の軸線に関して少なくとも部分的に縮小され得るということを意味するように理解されるべきである。これは、均一な直径縮小のすべての可能性を含むことが可能であり、その場合において、その他の点では形状において変化することなく、単に、円筒形状の本体部の直径が変化する。しかし、また、半径方向の圧縮性は、単に1つの軸線におけるステータおよび/またはロータの直径縮小を意味するように理解され得、それは、たとえば、部品を平坦に押圧することによって、または、部品(ステータおよび/またはロータ)が異なる円形ディスクから構成されている場合には、回転の軸線に対して円形ディスクを傾けることによって、発生させられる。特定の場合では、直径は、回転の軸線に対して垂直な第1の方向に縮小されるが、直径は、第1の方向に対して垂直な方向に一定のままである。
【0010】
電流を供給され得る巻線構成体を有するこのタイプの圧縮可能なステータは、先行技術では知られていない。本発明によれば、とりわけ、巻線構成体自体が、半径方向に圧縮可能であり得る。このタイプの巻線構成体は、導管の中へ導入される前に圧縮され得、それによって、とりわけ、ステータがモータの外径を決定するときには、モータの全体的な直径が縮小される。例として、ステータは、動作状態において、ロータを同軸に取り囲むことが可能である。この場合では、ステータの半径方向の圧縮は、モータの半径方向の圧縮と同等である。また、ステータは、ハウジングによって取り囲まれることも可能であり、たとえば、ハウジングは、弾性であることが可能であり、次いで、ステータとともに圧縮可能および拡張可能である。例として、ハウジングは、弾性フィルムから実質的に構成され得、弾性フィルムは、ステータの上に引き伸ばされる。しかし、モータがハウジングを有していないということも可能である。
【0011】
ステータがロータを同軸に取り囲むときには、ステータの圧縮に関する可能性は、内部に配置されているロータによって、狭い制限を受ける。有利には、たとえば、ロータおよびステータが、第1の位置と第2の位置との間で相互に軸線方向に変位させられ得、第1の位置では、ステータが半径方向に圧縮可能であり、第2の位置では、ステータが半径方向に拡張させられているときに、ステータのさらなる圧縮が可能である。この場合では、ステータの圧縮のために、ロータは、最初にステータから軸線方向に滑動して出され得、次いで、ステータは、たとえば、ロータの外径まで圧縮され得る。次いで、ステータおよびロータは、導管を通して目標位置へ軸線方向に順々に滑動させられ得る。したがって、ロータ自身が圧縮可能でない場合には、ロータの外部寸法を下回ってステータのさらなる圧縮は、提供されないか、または、いくつかの例示的な実施形態では可能でない。
【0012】
ステータおよびロータが目標位置に到着した場合には、ステータは、再び拡張させられ得、または、自動的に拡張することが可能であり、ロータは、ステータの中へ軸線方向に引き込まれ得る。
【0013】
また、ロータがステータの中へ変位させられ、または引き込まれ、この変位移動の間に半径方向に拡張させられるという点において、ステータは、半径方向に拡張させられ得る。この目的のために、ロータは、少なくとも部分的に円錐形状に先細になる様式で形成され得る。
【0014】
本発明のさらに有利な変形例によれば、ロータは、半径方向に圧縮可能である。ロータも半径方向に圧縮可能である場合には、変形例におけるロータは、ステータの中に残ることが可能であり、両方が、一緒に半径方向に圧縮され得、そうでなければ、ステータから外へロータを変位させ、これらの両方を互いに独立して半径方向に圧縮することも考えられる。
【0015】
例として、この目的のために、ロータは、複数の磁石を有することが可能であり、複数の磁石は、磁石部品と称することが可能であり、複数の磁石は、とりわけ軸線方向に、相互に可逆的に移動可能である。例として、ロータは、強磁性のコアを有する永久磁石または電磁石を有することが可能であり、それらは、磁石部品としてそれぞれ指定されることとなる。磁石の個々のセグメントが相互に変位させられ得るように、そのような磁石は、磁石セグメントへとそれぞれ分割され得、半径方向への磁石の寸法の縮小によってロータの直径を縮小させるようになっている。
【0016】
例として、少なくとも1つの磁石は、くさび形状の複数のセグメントから構成され得、くさび形状のセグメントは、一緒に、および、相手から離れるように軸線方向に押され得、また、相手から離れるように押されるときには、半径方向に考えたときに、一緒に押された状態のときよりも、全体として少ないスペースを取る。しかし、また、異なる他の平面における分割も提供され得、ロータの円周方向に、および/または、モータの半径方向に、磁石の個々のセグメントを変位させることも考えられる。また、磁石のセグメントは、磁石部品と称することが可能であり、したがって、「磁石部品」の用語は、磁石のセグメントおよび磁石全体の両方を含む。
【0017】
説明されている磁石の移動または磁石のセグメントの移動は、直径縮小につながり、可逆的であり、ロータのその後の拡張のために簡単な様式で逆にされ得るということが重要である。
【0018】
ステータの最も簡単な可能性のある半径方向の圧縮を可能にするために、巻線構成体は、有利には、たとえば少なくとも1つのサブ巻線を有することが可能であり、少なくとも1つのサブ巻線は、可逆的に変形可能である。例として、このタイプのサブ巻線は、弾性であることが可能であり、たとえば、弾性リードを含有することが可能であり、弾性リードは、サブ巻線の一時的な変形を可能にする。このタイプの変形は、弾性および塑性の両方であることが可能である。
【0019】
また、巻線構成体は、少なくとも2つのサブ巻線を有しており、少なくとも2つのサブ巻線は、相互に可逆的に変位させられ得るということも可能である。たとえば、このタイプのサブ巻線は、型成形されなくてもよく、または、剛体のまたは弾性の型成形材で成形されてもよく、また、ステータの半径方向の圧縮の場合に、板葺き屋根の板のような様式で重ねられ、とりわけステータの円周方向に、一方が他方の上に滑動させられ得る。しかし、ロータがステータから除去されたとすれば、サブ巻線の枢動または回転も考えられる。
【0020】
巻線構成体の改善された変形性に関して、巻線構成体は、たとえば、弾性材料で型成形された少なくとも1つのサブ巻線を有することが可能である。例として、サブ巻線は、エラストマーで、たとえば、シリコーンエラストマーで、または、ゴム材料で型成形され得る。また、巻線構成体のより大きいパーツは、たとえば、巻線構成体全体でも、このタイプの弾性材料で型成形され得る。
【0021】
有効性を増加させるために、弾性マトリックスには、とりわけ外側に、強磁性の充填材が設けられ得る。
【0022】
巻線構成体の個々のパーツがそれぞれ別々に型成形される場合には、たとえば、サブ巻線が、弾性リードを有するときに、および/または、弾性材料で型成形されるときに、弾性変形性は、これにより、変位可能性と組み合わせられることも可能である。
【0023】
例として、巻線構成体は、形状記憶合金から構成されるリードを少なくとも部分的に有することも可能である。この場合では、サブ巻線または巻線構成体全体は、たとえば目標温度の選択的な設定によって、目標場所において、所望の形状およびサイズをとることが可能である。医学用途の場合では、合金は、たとえば、患者の体温が仮定されると巻線構成体が所望の目標形状をとるように、設定され得る。
【0024】
相互に移動可能な複数のサブ巻線から構成される巻線構成体の場合において、繰り返される圧縮および拡張、ならびに、圧縮移動および拡張移動の再現可能な過程を確実にするために、たとえば、巻線構成体が、相互に移動可能な部品同士の間に画定される曲げ領域および/またはねじれ領域を有すると有利である可能性がある。このタイプの曲げ領域および/またはねじれ領域は、たとえば、ストランデッドワイヤーとして形成されたリードの長さ部分を提供することによって、または、とりわけ、細いリード領域によって、軟質のおよび/または可撓性のリードパーツの形態で提供され得る。
【0025】
上記に説明されているタイプのモータの場合では、ある距離からでも、ロータおよびステータを相互に目標位置に変位させることができるようにするために、本発明は、有利には、接続部品を提供し、接続部品は、モータから離れるように延在しており、接続部品によって、ロータおよびステータは、相互に軸線方向に変位させられ得る。接続部品は、たとえばボーデンケーブルなどの様式で、典型的な操作部品として形成され得、接続部品の異なるパーツは、一方では、ステータに接続され、他方ではロータに接続され得る。
【0026】
接続部品によって、ステータおよびロータの相対変位、ならびに、したがって、目標位置でのステータの中へのロータの引き込みが可能であり、ステータは、事前にすでに拡張させられているか、または、ステータの中へロータを引き込むことによって半径方向に拡張させられるかのいずれかである。
【0027】
また、本発明は、中空のカテーテルと、中空のカテーテルの中に圧縮されて配置されているステータおよびロータとを有する埋め込み式構成体に関する。このタイプの埋め込み式構成体の範囲内において、半径方向に圧縮可能なモータは、中空のカテーテルの中へ簡単な形態で引き込まれ得、モータは、通常、圧縮された形態で中空のカテーテルの中に受け入れられる。次いで、中空のカテーテルは、たとえば、ポートによって患者の血管の中へ導入され、これを通して変位させられ、そして、目標位置へ連れて行かれ、たとえば、大動脈弓、心臓弁、または心室の中へ導入され得る。次いで、中空のカテーテルは後退させられ得、モータは、中空のカテーテルから滑動して出され、このプロセスの間にまたはその後に、半径方向に拡張させられる。
【0028】
また、本発明は、上記に説明されているタイプのモータおよび埋め込み式構成体に関し、また、説明されているタイプのモータを位置決めするための方法に関し、ステータおよびロータは、導管を通して目標位置まで変位させられ、少なくともステータは、半径方向に圧縮され、少なくともステータは、その後に半径方向に拡張させられる。
【0029】
方法の有利な実施形態によれば、ステータおよびロータが目標位置へと変位させられると、ステータおよびロータは、相互に軸線方向に変位させられる。
【0030】
また、本発明は、モータを含有するポンプ、とりわけ、血液ポンプに関し、モータは、ステータと軸線方向の周りに駆動され得るロータとを有しており、これらのうちの少なくとも1つ、とりわけステータは、電流を供給され得る巻線構成体を有しており、半径方向に圧縮可能および拡張可能である。ここで、モータおよびポンプは、有利には、互いにしっかりと一体化されている。したがって、とりわけ小さい構造のポンプを作り出すことが可能である。とりわけ、非常に小さい半径方向の直径を有するポンプが、使用の部位へ持っていかれ、次いで、そこで半径方向に拡張させられ、実際のポンプ性能を提供するようになっていると有利である。
【0031】
ここで、実施形態によれば、ロータは、ポンプロータに接続されており、ポンプロータは、流体を搬送するためのブレード構成を有している。例として、ポンプロータは、実際の磁気ロータの上に装着され得、または、これを半径方向に取り囲むことが可能である。しかし、また、たとえば、磁気ロータがポンプロータの中に型成形され/埋め込まれているという点において、これらが別の方式で相互接続されることも可能である。
【0032】
さらなる実施形態によれば、ポンプロータは、動作状態において、ステータの中に少なくとも部分的に位置付けされている。したがって、半径方向に積層された配置が、動作状態において提供され、それは、半径方向外向きから出発して中心に向かって、1ステータ、2.ポンプロータ、3.磁気ロータの通りになっている。ポンプロータおよび磁気的なモータが相互接続されている他の形態では、これは、潜在的に異なることも可能である。
【0033】
有利な実施形態によれば、ポンプロータは、半径方向に圧縮可能であり、とりわけ、ポンプロータは、半径方向に弾性的に圧縮可能である。ここで、変形例によれば、ポンプロータのブレード構成は、主として弾性的に圧縮可能であり、たとえば、ポンプロータのハブを支える。
【0034】
本発明によるポンプの異なる変形例が可能であり、本発明によるモータのすべての変形例が、ポンプ用として使用され得る。
【0035】
本発明は、例示的な実施形態に基づいて、さまざまな図に示され、以降で説明されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】ロータおよびステータを有するモータの縦断面の概略図である。
図2】圧縮された形態になっている図1のモータを示す図であり、ステータとロータが相互に軸線方向に引離されていることを示す図である。
図3】らせん状にされたまたは曲がりくねったコースの形態の長さの蓄えを備える巻線構成体の個々のワイヤーを、巻きが解かれた形態で概略的に示す図である。
図4a】軸線方向に視た概略図における巻線構成体の図であり、左側の図において、らせん状にされたリードの形態に圧縮されており、右側の図において拡張させられていることを示す図である。
図4b】軸線方向に考慮されたときの巻線構成体を示す図であり、左側の図において、曲がりくねった形態のリードに圧縮されており、右側の図において半径方向に拡張させられていることを示す図である。
図5】複数のサブ巻線を有する巻線構成体を3次元図で示す図であり、複数のサブ巻線は、巻きが解かれた状態で、実質的に菱形または台形の設計を有することを示す図である。
図6図5のサブ巻線の個々の巻線のコースを3次元図で概略的に示す図である。
図7】半径方向に拡張した状態で、巻線構成体の周囲部において、互いに独立したサブ巻線の配置を、軸線方向の視点から概略的に示す図である。
図8】半径方向に圧縮された状態になっている図7のサブ巻線の配置を示す図である。
図9】ステータおよびロータを有するモータを通る縦断面を概略的に示す図であり、ロータが、組み立てられて拡張した状態で、カプセル化されていることを示す図である。
図10】軸線方向に引き離されて圧縮された状態になっている図9のモータを示す図である。
図11】軸線方向に連続して配置されているステータおよびロータを示す図であり、ステータが半径方向に圧縮されており、両方が操作手段を有していることを示す図である。
図12】ステータを通る断面を示す図であり、ステータの巻線構成体が、円周方向において4つのサブ巻線へと分割されていることを示す図である。
図13図12のステータの圧縮された状態を示す図であり、サブ巻線は、半径方向の圧力によって、半径方向内向きに機械的に変化させられたことを示す図である。
図14】さらに圧縮された状態になっている図12および図13のステータの概略図である。
図15】2つの磁石を有するロータの概略図を軸線方向に概略的に示す図である。
図16】セグメントへと分割されており、半径方向に圧縮可能である、ロータの磁石の側面図である。
図17】軸線方向に分割可能な巻線構成体を有するステータの説明図である。
図18】拡張した状態になっているステータの説明図であり、ステータは、その中に配置されているロータと、ロータの上に配置されている圧縮可能なポンプロータとを有することを示す図である。
図19】圧縮された状態になっている図18のデバイスの説明図である。
図20】ステータから軸線方向に除去されたポンプロータを有するステータの側面図の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、電気モータのステータ2およびロータ1を縦断面で概略的に図示している。さらなるパーツおよび詳細は、明確化のために省略されている。ステータは、概略的に示された円筒形状の巻線構成体を有しており、巻線構成体は、1つ以上のサブ巻線から構成され得る。ロータ1は、少なくとも1つの永久磁石およびハブを有しており、それは、シャフト3に接続されている。ロータ1の磁極、または、ロータ1の1つの磁石/複数の磁石の磁極は、ステータ2の磁界によって駆動され得る。シャフト3は、通常、滑り軸受またはボール軸受内にて、1つ以上の点において回転可能に据えられている。軸受は、たとえば、ステータ2に、または、ステータもしくはモータ全体のハウジング(図示せず)に固定して接続され得る。図1では、ステータは、同心円状におよび同軸にロータ1を取り囲み、ステータは、ここで図示されている半径方向に拡張した状態において、直径Dを有しているということを見ることが可能である。
【0038】
図2は、図1においてすでに図示されたモータの部品、具体的には、ロータ1とステータ2の巻線構成体とを示しており、ロータおよびステータは、軸線方向4に互いから引き離されている。ステータおよびロータは、この状態では、軸線方向に互いに重なり合ってはいない。ステータは、巻線構成体の半径方向の圧縮によって、概して直径dまで半径方向に圧縮されており、直径dは、ロータ1の外径以下である。
【0039】
したがって、モータの分割可能性、および、ロータに対するステータの変位可能性に起因して、ロータがステータから除去されるとすぐに、ステータは半径方向に圧縮可能であるということが明らかである。
【0040】
これに関係なく、および、加えて、ロータも、半径方向に圧縮可能であってもよい。また、この場合では、ステータおよびロータは、組み立てられた状態で一緒に半径方向に圧縮されてもよく、または、相互に軸線方向に変位させられ得、また、両方が互いに別々に半径方向に圧縮され得る。後者の場合では、両方の部品、すなわち、ステータおよびロータの両方が、おおよそ同じ外径まで圧縮可能であることが、必要ではないが、有用である。
【0041】
図3は、上側領域において、本発明によるモータの巻線構成体の第1のリード5を圧縮された状態で示しており、リードは、らせん状にされた様式で延在している。巻線構成体またはサブ巻線が、らせん状にされた様式で延在するこのリードから形成されている場合には、この巻線構成体またはサブ巻線は、巻線ワイヤー5が拡張されたときには、半径方向に拡張することが可能であり、後で再び半径方向に圧縮され得る。図3の下側領域では、リード6が図示されており、リード6は、圧縮された状態において、曲がりくねった形態を有しており、曲がりくねった形態は、拡張した状態へと移行するときに、拡張させられ得る。
【0042】
図4aでは、圧縮された状態においてらせん状にされたリード5が、左側の図において概略的に図示されており、それは、同様に、圧縮された状態において、円形リングの形態で概略的に図示されており、円形リングの形態は、巻線構成体を象徴している。図4aの右側の図において、ステータの拡張した形態が、軸線方向に視た図で図示されており、巻線リード(単数または複数)は引き伸ばされており、したがって、巻線構成体および/またはサブ巻線は、同様に拡張させられている。図4aの右側の図に示されたステータは、拡大された直径Dを有しており、一方、図4aの左側の図において図示されている圧縮された状態では、それは、縮小された直径dを有している。
【0043】
図4bでは、圧縮されたリード6が、曲がりくねった形態で図示されており、それは、軸線方向に考慮されたときには、円形リング形態で配置されており、それは、ステータの巻線構成体を表している。構成体は、圧縮された外径dを有している。図4bの右側の図において、同じステータが、半径方向に拡張した状態で図示されており、巻線リードは引き伸ばされており、または、少なくとも、圧縮された状態のときよりもさらに拡張させられている。
【0044】
ステータの圧縮された状態と拡張した状態との間の移行は、たとえば、力の印加によって実現され得、そのときには、ステータは、半径方向の外部圧力によって、圧縮された形態へと持っていかれ、外部半径方向の圧縮力が打ち消されると、自発的に、弾性的に再び拡張する。
【0045】
逆に、ステータは、外力の印加なしに縮小された直径を有することも可能であり、また、力の印加によって拡張可能であり得る。
【0046】
さらなる代替例として、巻線構成体が、形状記憶合金として知られるものから作製されたリードを有することも可能であり、形状記憶合金は、たとえば温度変化が起きた場合には、その形状を変化させ、また、規定された温度範囲において、再現可能な形状をそれぞれ有している。そのような形状記憶合金は、たとえば、NiTi(ニッケル-チタン;ニチノール)、NiTiCu(ニッケル-チタン-銅)、CuZn(銅-亜鉛)、CuZnAl(銅-亜鉛-アルミニウム)、CuAlNi(銅-アルミニウム-ニッケル)、FeNiAl(鉄-ニッケル-アルミニウム)、またはFeMnSi(鉄-マンガン-シリコン)であることが可能である。また、このタイプの合金は、超弾性合金と称することが可能である。
【0047】
巻線構成体の説明されている特性に加えて、シリコーンエラストマーまたはゴムなどのような弾性材料でできた巻線構成体全体または個々のサブ巻線の型成形も提供され得、それは、それ自体が弾性的に変形可能である。また、巻線構成体の型成形が存在しないことも可能であり、または、非弾性材料でできた型成形が存在することも可能であり、そのときには、個々のサブ巻線の型成形は別々に行われ、サブ巻線は、それぞれの成形材とともに、相互に移動可能である。そのような構成は、より詳細に下記にさらに議論されることとなる。
【0048】
図5は、実質的に中空円筒形状の巻線構成体を斜視図で示しており、それは、複数のサブ巻線から構成されている。それぞれのサブ巻線は、リードの複数の巻線から構成されており、電圧供給および電流給電のための2つの電気端子を有している。また、巻線構成体は、全体として、端子リードまたは電気端子を有することが可能である。
【0049】
図示されている巻線構成体のそれぞれのサブ巻線は、巻きが解かれた状態で、菱形の基本形状を有している。個々のサブ巻線は、巻線構成体の円周方向に互いに重なり合う。図5の巻線構成体の個々のサブ巻線7、8は、ステータ巻線構成体に電流を供給するための電気端子9、10を有している。
【0050】
図6では、個々のサブ巻線7が、図示されており、巻線リードの個々の巻線に象徴されており、参照記号11によって指定されている。サブ巻線11は、電流を供給するための2つの電気的接続部12、13を有している。図6では、中空のシリンダーが概略的に図示されており、その周囲部にわたって、部分的に円筒形状のサブ巻線が、互いに重なり合う様式で分配されており、相互に円周方向にオフセットされている。
【0051】
図7では、巻線構成体の複数のサブ巻線7、8が、軸線方向の視点から概略的に示されている。個々のサブ巻線7、8は、半径方向において外側の部分7aおよび半径方向において内側の部分7bをそれぞれ有しており、それぞれの半径方向において内側の部分は、次のサブ巻線8が上に重ねられており、より具体的には、次のサブ巻線8の半径方向にいて外側の部分が上に重ねられている。このように、サブ巻線の屋根瓦(板葺き)のような順次積層構成が、ステータの円周方向ラインに沿って提供されている。
【0052】
サブ巻線が相互に移動可能である場合には、これらは、板葺き屋根の板のような様式で互いの上にさらに滑動させられ得、したがって、全体的な構成体の直径、巻線構成体の周囲部が、縮小され得る。そのような圧縮移動の圧縮された状態の例が、図8に示されており、図8では、それぞれの場合において、2つの巻線7、8は、一方が他方の上に滑動させられており、それらが、巻線構成体の円周方向に完全に互いに重なり合うようになっている。相手の上への個々のサブ巻線のこの滑動可能性は、非型成形サブ巻線の場合でも、また、型成形サブ巻線の場合でもともに考えられる。個々のサブ巻線が型成形される場合には、成形材が、それを構成する2つの本体部の相手に対する容易な滑動を可能にすれば有利である。
【0053】
図9は、半径方向に拡張させられたステータ2およびロータ1を有するモータを縦断面で示しており、それは、中空のシリンダーの形態の包囲構成14を有しており、包囲構成14は、ロータの磁石本体部を取り囲み、また、たとえば、軸受15、16を担持している。ロータのシャフト3は、軸受15、16の中にわずかな摩擦で装着されており、軸受15、16は、滑り軸受またはボール軸受として形成され得る。動作の準備ができている拡張させられて組み立てられた状態にある図9によるモータの全体的な構造体の直径は、Dによって特定されている。
【0054】
対照的に、同じ部品(すなわち、包囲構成14の中にカプセル化されたロータ、および、巻線構成体を有するステータ2)を有する同じモータが、圧縮された状態で図10に図示されており、ロータがステータの外側に位置付けされるような程度にまで、ステータ2がロータ1に対して軸線方向に変位させられている。次いで、ステータ2は、ロータの外径まで、ロータ1から独立して半径方向に圧縮可能である。
【0055】
図11は、ロータ1’およびステータ2’を有するモータの設計を示しており、これらは、軸線方向に互いに引き離された圧縮位置で図示されている。ロータ1’は、包囲構成を有しており、2つの軸受によって支持されているロータの磁石構成体が、包囲構成の中で回転することが可能である。ロータの包囲構成は、円錐形状のテーパー付きの部分17、および、ストランド形状の操作部品18への接続部を有しており、操作部品18は、包囲構成または軸受に固定されており、ステータ2’に対するロータの軸線方向相対移動を可能にする。同時に、ステータ2’は、たとえば、チューブまたはホースの形態の第2の操作部品19に接続されており、たとえば、操作部品18が、第2の操作部品19を通してガイドされ得る。操作部品18、19は、モータへの接続部品を一緒に形成しており、操作部品18、19は、互いに対するステータおよびロータの相対移動を行うために、および、たとえば、ロータ1’の包囲構成をステータ2’の巻線構成体の中へ挿入することによって、これらを半径方向に拡張させるために、遠隔の場所から一緒に作動させられ得る。
【0056】
図12は、それぞれ弾性材料で別々に型成形された4つの別々のサブ巻線20、21、22、23から構成される特定の巻線構成体を示している。これらのサブ巻線のそれぞれは、中空のシリンダーの一部として形成されており、サブ巻線は、それらの型成形本体部が全体的な中空のシリンダーを形成する状態で組み立てられ得る。
【0057】
力が巻線構成体の上に外側から半径方向に働かされる場合には、図13に図示されているような配列構成が提供され、図13では、個々の型成形本体部およびサブ巻線が半径方向内向きに曲がっている。サブ巻線の個々の型成形本体部は、たとえば一体ヒンジによって、移動可能に互いに接続され得る。図13に図示されている状態において、巻線構成体は、図12に図示されている形態のときよりも半径方向にかなり小さいスペースをすでに占有している。さらなる半径方向の圧縮によって、個々のサブ巻線は、半径方向内向きにさらに圧縮され、それは、型成形本体部の変形性によって、追加的に可能にさせられる。完全な圧縮によって、図14に図示されている形態が提供される。これは、半径方向内向きに作用する圧縮力の打ち消しによって、図12に図示されている形態へ戻るように自動的に拡張可能であり得、復元力は、たとえば、弾性的に変形させられた型成形本体部によって印加され得、または、巻線リード自身によっても印加され得、または、その両方によって一緒に印加され得る。また、個々のサブ巻線が型成形されていない場合には、巻線リードの対応する変形は、それぞれのサブ巻線の中で可逆的に起こることが可能である。
【0058】
図15は、互いの上に直角に配置されている2つの磁石24、25を軸線方向の説明図で示しており、それは、巻線構成体の磁界の中で駆動され得る。磁石24、25は、ロータのシャフト3に固定して接続されている。
【0059】
図16は、表面26に沿った磁石24の分割を図示しており、それによって、磁石24の2つのセグメント24a、24bが作り出され、2つのセグメント24a、24bは、磁石部品をそれぞれ形成する。実線によって図示されている状態にある磁石24は、直方体の形態を有している。セグメント24aがセグメント24bに対して表面26に沿って軸線方向4に変位させられている配列構成が、点線の様式で示されている。磁石24の拡張が軸線方向に提供され、また、図16の右側の図において特定されているように、直径Dから直径dへの圧縮が半径方向に提供される。示されているロータの構成の結果として、これは、半径方向に圧縮可能であり得、モータは、組み立てられた状態でも、ステータおよびロータの共同の圧縮によって圧縮可能であるようになっているか、または、モータは、単に、軸線方向に引き離された状態にあるステータの半径方向の圧縮によっても圧縮可能であるようになっている。
【0060】
したがって、モータは、その使用の部位へ持っていかれるために圧縮され得る。たとえば、モータは、血液ポンプのための駆動装置として埋め込み可能であり得、また、血管を通して、圧縮された状態で、患者の身体の中を使用の部位まで変位させられ得る。そこで、モータは、たとえば血液ポンプとして拡張させられ得、そして、モータは、拡張した状態において、必要なトルク、または、ポンプを駆動するために必要なパワーを構築することが可能である。
【0061】
図17は、設計変形例を示しており、その設計変形例では、巻線構成体が、複数のサブ巻線27、28へと分割されており、複数のサブ巻線27、28は、円形リングの形態でそれぞれ構築されており、軸線方向に連続して配置されており、中空円筒形状の巻線構成体を形成している。そのような配置において、円形環状のサブ巻線が傾けられている場合には、巻線手段の断面は、したがって楕円形になっているが、しかし、傾けられていない配置に対して、軸線29の方向に直径が圧縮されている。これに対して直角に配置されている軸線30の方向では、直径は同じままである。それにもかかわらず、モータの位置決めにとってより好ましい形態が、傾けられた配置とともに提供され得る。傾きは、モータの位置決めに続く任意のときに逆にされ得る。
【0062】
図18は、すでに本明細書で説明された巻線7、8を有する、図7によるステータから構成されるデバイスを示している。半径方向に圧縮可能であるポンプロータ29が、ロータ1’’と一緒に同じ軸線の周りを回転することができるような方式で、磁気ロータ1’’に接続されており、磁気ロータ1’’は、このステータの中に位置付けされている。例示的な実施形態では、ポンプロータは、弾性材料、好ましくは、超弾性プラスチック材料から形成されており、それは、ポンプロータ29が、ステータの圧縮の場合につぶれること、および、ステータの拡張の場合に出発形態へと再び戻るように弾性的にまたは超弾性的に拡張することを可能にする。
【0063】
図19は、ステータがどのように図8と同様に圧縮するかということを概略的に図示しており、ポンプロータ29も、同様に圧縮された形態をとっている。ここで、ポンプロータのブレードは、ロータの軸線の周りに折り畳まれ、ポンプロータのハブを支えている。
【0064】
また、原理的には、ロータ1’’が、ポンプロータ29とともに、図20に対応する様式でロータから軸線方向に除去され得るように、デバイスは形成され得る。したがって、ポンプロータ29およびステータは、軸線方向に連続して配置されている。この状態において、ステータおよびポンプロータは、一緒に圧縮され得、それは、図19の実施形態と比較して、圧縮された直径のさらなる縮小を可能にする。
【0065】
ポンプロータは、原理的には、非常に異なる方式で形成され得る。図18および図19に示されている弾性または超弾性プラスチック材料から形成される変形例の他に、さまざまな他の変形例が、先行技術、たとえば、米国特許第4,753,221号、米国特許第5,749,855号、米国特許第7,393,181号、米国特許出願公開第2009/0062597A1号、欧州特許公開第2047873A1号、米国特許出願公開第2011/0275884A1号、欧州特許公開第2229965A1号、国際公開2010/149393A1号、欧州特許公開第2299119A1号、欧州特許公開第2338540A1号、欧州特許公開第2338541A1号、欧州特許公開第2363157号、欧州特許公開第2407185A1号、欧州特許公開第2407187A1号、欧州特許公開第2407186A1号から知られている。
【0066】
<付記>
[1]
ステータ(2、2’)と軸線方向(4)の周りに駆動され得るロータ(1、1’)とを有するモータであって、前記ステータ(2、2’)およびロータ(1、1’)のうちの少なくとも1つ、とりわけ前記ステータ(2、2’)は、電流を供給され得る巻線構成体(7、8、20、21、22、23、27、28)を有しており、半径方向に圧縮可能および拡張可能であることを特徴とするモータ。
[2]
上記[1]項に記載のモータであって、前記ロータ(1、1’)およびステータ(2、2’)は、第1の位置と第2の位置との間で相互に前記軸線方向(4)に変位させられ得、前記第1の位置では、前記ステータ(2、2’)が半径方向に圧縮可能であり、前記第2の位置では、前記ステータが半径方向に拡張させられていることを特徴とするモータ。
[3]
上記[1]項または[2]項に記載のモータであって、前記ロータ(1、1’)は、前記半径方向に圧縮可能であることを特徴とするモータ。
[4]
上記[3]項に記載のモータであって、前記ロータ(1、1’)は、複数の磁石部品(24、24a、24b、25)を有しており、前記複数の磁石部品(24、24a、24b、25)は、相互に、とりわけ、前記軸線方向(4)に可逆的に移動可能であることを特徴とするモータ。
[5]
上記[1]項から[4]項のいずれか1項に記載のモータであって、前記巻線構成体(7、8、20、21、22、23、27、28)は、可逆的に変形可能な少なくとも1つのサブ巻線(7、8、20、21、22、23、27、28)を有していることを特徴とするモータ。
[6]
上記[1]項から[5]項のいずれか1項に記載のモータであって、前記巻線構成体(7、8、20、21、22、23、27、28)は、相互に可逆的に変位可能な少なくとも2つのサブ巻線(7、8、20、21、22、23、27、28)を有していることを特徴とするモータ。
[7]
上記[6]項に記載のモータであって、前記サブ巻線は、板葺き屋根の板のような様式で、一方が他方の上に滑動させられ得ることを特徴とするモータ。
[8]
上記[1]項から[7]項のいずれか1項に記載のモータであって、前記巻線構成体(7、8、20、21、22、23、27、28)は、弾性材料で型成形された少なくとも1つのサブ巻線を有していることを特徴とするモータ。
[9]
上記[1]項から[8]項のいずれか1項に記載のモータであって、前記巻線構成体の異なるサブ巻線(7、8、20、21、22、23、27、28)が、別々のサブ本体部の中に型成形されており、それらは、相互に移動可能であることを特徴とするモータ。
[10]
上記[1]項から[9]項のいずれか1項に記載のモータであって、前記巻線構成体(7、8、20、21、22、23、27、28)は、形状記憶合金から少なくとも部分的に構成されるリード(5、6)を有していることを特徴とするモータ。
[11]
上記[1]項から[10]項のいずれか1項に記載のモータであって、前記巻線構成体(7、8、20、21、22、23、27、28)は、相互に移動可能な部品同士の間に画定される曲げ領域および/またはねじれ領域を有していることを特徴とするモータ。
[12]
上記[1]項から[11]項のいずれか1項に記載のモータであって、前記モータが、接続部品(18、19)を含み、前記接続部品(18、19)は、前記モータから離れるように延在しており、前記接続部品(18、19)によって、前記ロータ(1、1’)およびステータ(2、2’)が、相互に前記軸線方向(4)に変位可能であることを特徴とするモータ。
[13]
中空のカテーテルと、前記中空のカテーテルの中に圧縮されて配置されている上記[1から12のいずれか1項に記載のモータとを有することを特徴とする埋め込み式構成体。
[14]
上記[1]項から[12]項のいずれか1項に記載のモータを位置決めするための方法であって、前記ステータ(2、2’)および前記ロータ(1、1’)が、導管を通して目標位置まで変位させられ、少なくとも前記ステータは、半径方向に圧縮されていること、ならびに、少なくとも前記ステータは、その後に半径方向に拡張させられることを特徴とする方法。
[15]
上記[14]項に記載の方法であって、前記ステータ(2、2’)およびロータ(1、1’)が前記目標位置へと変位させられると、前記ステータおよび前記ロータは、相互に軸線方向(4)に変位させられることを特徴とする方法。
[16]
モータを含有するポンプ、とりわけ、血液ポンプであって、前記モータは、ステータ(2、2’)と軸線方向(4)の周りに駆動され得るロータ(1、1’)とを有しており、前記ステータ(2、2’)および前記ロータ(1、1’)のうちの少なくとも1つ、とりわけ前記ステータは、電流を供給され得る巻線構成体(7、8、20、21、22、23、27、28)を有しており、半径方向に圧縮可能および拡張可能であることを特徴とするポンプ。
[17]
上記[16]項に記載のポンプであって、前記ロータは、ポンプロータに接続されており、前記ポンプロータは、流体を搬送するためのブレード構成を有していることを特徴とするポンプ。
[18]
上記[17]項に記載のポンプであって、前記ポンプロータは、動作状態において、前記ステータの中に少なくとも部分的に位置付けされていることを特徴とするポンプ。
[19]
上記[17]項または[18]項に記載のポンプであって、前記ポンプロータは、半径方向に圧縮可能であることを特徴とするポンプ。
[20]
上記[17]項から[19]項のいずれか1項に記載のポンプであって、前記ポンプロータは、半径方向に弾性的に圧縮可能であることを特徴とするポンプ。
[21]
圧縮可能なポンプロータを有するポンプであって、前記ポンプロータは、上記[1]項から[12]項のいずれか1項に記載のモータの中に配置されていることを特徴とするポンプ。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20