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特開2023-8698ブレンドコーヒー作製方法、装置及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008698
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】ブレンドコーヒー作製方法、装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A23F 5/10 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
A23F5/10
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112451
(22)【出願日】2021-07-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】390006600
【氏名又は名称】ユーシーシー上島珈琲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000822
【氏名又は名称】特許業務法人グローバル知財
(72)【発明者】
【氏名】半澤 拓
(72)【発明者】
【氏名】森本 栞
(72)【発明者】
【氏名】岩井 和也
(72)【発明者】
【氏名】福永 泰司
【テーマコード(参考)】
4B027
【Fターム(参考)】
4B027FB21
4B027FB24
4B027FC01
4B027FC02
4B027FQ03
4B027FQ06
4B027FQ19
4B027FQ20
4B027FR20
(57)【要約】
【課題】目標とするコーヒーと同等の風味を持つコーヒーを精度良く配合できるブレンドコーヒー作製方法を提供する。
【解決手段】目標とするコーヒーAの風味と同等の風味を持つブレンドコーヒーBを作製する方法であって、コーヒーAに関する、少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量と、ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆から抽出されたコーヒーの少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量と、個々のコーヒー豆の配合割合とを用いて推定される、味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量とに基づいて、コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、味覚値の類似度、トリゴネリン含有量比、及びカフェイン含有量比を算出して、全て同等性の範囲内か否かを判別してブレンドコーヒーBの配合を決定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標とするコーヒーAの風味と同等の風味を持つブレンドコーヒーBを作製する方法であって、
コーヒーAに関する、少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量と、ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆から抽出されたコーヒーの少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量と、個々のコーヒー豆の配合割合とを用いて推定される、味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量とに基づいて、
コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、味覚値の類似度、トリゴネリン含有量比、及びカフェイン含有量比を算出して、全て同等性の範囲内か否かを判別してブレンドコーヒーBの配合を決定することを特徴とするブレンドコーヒー作製方法。
【請求項2】
前記味覚値の類似度の判別は、コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、酸味、苦味、塩味のそれぞれの味覚値の差分の平均値が、所定値未満であることを特徴とする請求項1に記載のブレンドコーヒー作製方法。
【請求項3】
前記トリゴネリン含有量比の判別は、コーヒーAのトリゴネリン含有量に対するブレンドコーヒーBのトリゴネリン含有量の比が、0.85より大きく、1.15未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載のブレンドコーヒー作製方法。
【請求項4】
前記カフェイン含有量比の判別は、コーヒーAのカフェイン含有量に対するブレンドコーヒーBのカフェイン含有量の比が、0.9より大きく、1.1未満であることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載のブレンドコーヒー作製方法。
【請求項5】
コンピュータが目標とするコーヒーAの風味と同等の風味を持つブレンドコーヒーBを作製する方法であって、
コーヒーAに関する、少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量をデータベースから読み出すステップ、
ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆の種類と配合割合を設定するステップ、
ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆から抽出されたコーヒーの少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量をデータベースから読み出すステップ、
ブレンドコーヒーBに関する、配合後の、味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量を推定するステップ、
コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、味覚値の類似度、トリゴネリン含有量比、及びカフェイン含有量比を算出するステップ、
それぞれの算出した値が、全て同等性の範囲内にあるか否かを判別するステップ、
を備えたことを特徴とするブレンドコーヒー作製方法。
【請求項6】
コーヒーAの風味と同等の風味を持つと判別するステップにおいて、
前記味覚値の類似度に関する判別は、コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、酸味、苦味、塩味のそれぞれの味覚値の差分の平均値が、所定値未満であり、
前記トリゴネリン含有量比に関する判別は、コーヒーAのトリゴネリン含有量に対するブレンドコーヒーBのトリゴネリン含有量の比が、0.85より大きく、1.15未満であり、
前記カフェイン含有量比に関する判別は、コーヒーAのカフェイン含有量に対するブレンドコーヒーBのカフェイン含有量の比が、0.9より大きく、1.1未満である、
ことを特徴とする請求項5に記載のブレンドコーヒー作製方法。
【請求項7】
目標とするコーヒーAの風味と同等の風味を持つブレンドコーヒーBを作製するプログラムであって、
コンピュータに、
コーヒーAに関する、少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量をメモリから読み出すステップ、
ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆の種類と配合割合を設定するステップ、
ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆から抽出されたコーヒーの少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量をメモリから読み出すステップ、
ブレンドコーヒーBに関する、配合後の、味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量を推定するステップ、
コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、味覚値の類似度、トリゴネリン含有量比、及びカフェイン含有量比を算出するステップ、
それぞれの算出した値が、全て同等性の範囲内にあるか否かを判別するステップ、
を実行させるためのブレンドコーヒー作製プログラム。
【請求項8】
コーヒーAの風味と同等の風味を持つと判別するステップにおいて、
前記味覚値の類似度に関する判別は、コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、酸味、苦味、塩味のそれぞれの味覚値の差分の平均値が、所定値未満であり、
前記トリゴネリン含有量比に関する判別は、コーヒーAのトリゴネリン含有量に対するブレンドコーヒーBのトリゴネリン含有量の比が、0.85より大きく、1.15未満であり、
前記カフェイン含有量比に関する判別は、コーヒーAのカフェイン含有量に対するブレンドコーヒーBのカフェイン含有量の比が、0.9より大きく、1.1未満である、
ことを特徴とする請求項7に記載のブレンドコーヒー作製プログラム。
【請求項9】
目標とするコーヒーAの風味と同等の風味を持つブレンドコーヒーBを作製する装置であって、
コーヒーAに関する、少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量と、ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆から抽出されたコーヒーの少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量と、個々のコーヒー豆の配合割合とを用いて推定される、味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量とに基づいて、
コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、味覚値の類似度、トリゴネリン含有量比、及びカフェイン含有量比を算出して、全て同等性の範囲内か否かを判別してブレンドコーヒーBの配合を決定するブレンドコーヒー配合決定手段を備えたことを特徴とするブレンドコーヒー作製装置。
【請求項10】
前記ブレンドコーヒー配合決定手段は、
コーヒーAに関する、少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量と、ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆の種類と配合割合を設定する配合設定手段、
ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆から抽出されたコーヒーの少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量を用いて、ブレンドコーヒーBに関する、配合後の、味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量を推定する含有量推定手段、
コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、味覚値の類似度、トリゴネリン含有量比、及びカフェイン含有量比を算出する類似度・含有量比算出手段、
それぞれの算出した値が、全て同等性の範囲内にあるか否かを判別する同等性判別手段、
を備える請求項9に記載のブレンドコーヒー作製装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目標とするコーヒーと同等の風味を持つコーヒーを配合でき、新たなブレンドや風味の発見を促進する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コーヒーの風味は品種や生産国銘柄、焙煎の度合い、抽出の仕方などによって幅広い。市販のコーヒー製品は様々な風味を生み出すために、複数銘柄のコーヒー原料を混ぜ合わせてブレンドを作成している。このような際の味づくりにおいては、各銘柄のコーヒー原料への深い知識と熟練の経験、テイスティングのスキルが求められる。その上で、このような経験とスキルを持った熟練の職人が、実際にコーヒーをブレンドし、いくつものカップを飲み比べながら、ブレンドコーヒーの味づくりを行っていく。
コーヒー豆は、その産地や品種、焙煎の程度などにより多様な風味を有している。したがって、ある風味を実現するブレンドを発見したとしても、同様の風味を実現するブレンドは、一種類には限られず、多様な配合方法が存在するのが通常である。しかしながら、熟練の職人であっても、それらの配合を全て導き出すことは困難である。
そこで、熟練の職人の経験・能力に依らず、機器分析によってブレンドコーヒーの風味をシミュレーション的に評価し、目標と遜色なく同等の風味を持ったコーヒーのブレンド配合を決定する技術が望まれている。
【0003】
コーヒーのブレンド配合を決定する技術としては、ユーザが所望する複数種のコーヒー豆をブレンドした際の味わいを数値化して提案することができるオリジナルブレンドコーヒーの提案方法が知られている(特許文献1を参照)。これによれば、ユーザの所望する味わいに基づいて、アドバイスを提示することができ、これにより、ユーザは、自身の好みに合ったブレンドの提案を受けられることになる。
しかしながら、特許文献1のオリジナルブレンドコーヒーの提案方法は、ユーザの求める味わいに合わせたコーヒー豆の種類や、焙煎度、配合比率を提案するに過ぎず、特定のコーヒーと同じ風味を持つコーヒーのブレンドを実現するものではない。
また、特許文献1に開示されたオリジナルブレンドコーヒーの提案方法では、味覚センサを用いて計測された酸味・苦味・後味・コクといった味覚値を利用して、味わいの数値化を行っているが、味覚センサにより得られる味覚値だけでは、コーヒーにおいて特に重要視される、香りを反映しておらず、焙煎度合いや品種銘柄の違いにより生まれる風味を完全には再現しきれないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-28820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
目標とするコーヒーと同等の風味を持つコーヒーを正確に配合できる技術が実現できれば、熟練の職人によっても気づかれなかった新たなブレンドや風味の発見につながることになる。そのような発見は、職人の知見をより豊かなものとし、新たな味づくりに生かされることとなる。
かかる状況に鑑みて、本発明は、目標とするコーヒーと同等の風味を持つコーヒーを精度良く配合できるブレンドコーヒー作製方法、装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明のブレンドコーヒー作製方法は、目標とするコーヒーAの風味と同等の風味を持つブレンドコーヒーBを作製する方法であって、コーヒーAに関する、少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量と、ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆から抽出されたコーヒーの少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量と、個々のコーヒー豆の配合割合とを用いて推定される、味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量とに基づいて、コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、味覚値の類似度、トリゴネリン含有量比、及びカフェイン含有量比を算出して、全て同等性の範囲内か否かを判別してブレンドコーヒーBの配合を決定する。
【0007】
従来から、カフェインやトリゴネリンなどの成分が、苦味や酸味といったコーヒーの呈味に影響を与えることは知られていたが、本発明者らは、鋭意検討の結果、苦味や酸味などの味覚値に与える影響だけではなく、カフェインやトリゴネリンなどの成分含有値が、風味の再現において重要なパラメータとなるとの知見を得た。
すなわち、味覚センサから得られるコーヒーの味覚値を考慮するだけではなく、抽出液中のカフェイン、トリゴネリンなどのコーヒーの特徴成分の値を考慮することで、より高精度に、コーヒーブレンドの風味づくりが可能となる。
酸味、苦味、塩味などの味覚値とは、コーヒー豆より抽出されたコーヒー液に関する味覚値のことであり、味認識装置SA402B,TS-5000Z(株式会社インテリジェントセンサーテクノロジー製)などの公知の味覚センサを用いて予め取得する。それぞれのコーヒー液を得るためのコーヒー抽出の方法は、ペーパードリップ法、サイフォン法、などの透過式の抽出方法や、フレンチプレス法などの浸漬式の抽出方法、エスプレッソ法など、いずれの方法でも問題ないが、同様の方法、条件にて統一する必要があり、得られるコーヒー液の可溶性固形(%)を同等とすることがさらに望ましい。また、トリゴネリン含有量やカフェイン含有量については、高速液体クロマトグラフィーにより分析・定量する。
【0008】
目標とするコーヒーAは、必ずしも一種類の豆から抽出されたコーヒーである必要はなく、ブレンドされたコーヒー豆から抽出されたコーヒーであってもよいし、乾燥固形化されたインスタントコーヒー粒(粉末)を湯又は水に溶解して得られた抽出液でもよい。
ブレンドコーヒーBを作製するために配合する個々のコーヒー豆としては、必ずしも一種類の豆である必要はなくブレンドされたコーヒー豆でもよい。また、コーヒー豆から抽出されたコーヒーについても狭義の意味に限られず、例えば、乾燥固形化されたインスタントコーヒー粒(粉末)を湯又は水に溶解して得られた抽出液でもよい。
類似度を比較する味覚値としては、酸味、苦味及び塩味の3つであることが好ましいが、旨味、コク、渋み、甘味などを用いてもよい。
また、同等の風味をより高精度で再現するために、カフェオイルキナ酸(CQA)、フェルロイルキナ酸(FQA)、ジカフェオイルキナ酸(diCQA)などのクロロゲン酸類の成分値を更に用いてもよい。
【0009】
本発明のブレンドコーヒー作製方法において、味覚値の類似度の判別は、コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、酸味、苦味、塩味のそれぞれの味覚値の差分の平均値が、所定値未満であることが好ましい。ここでの所定値とは、株式会社インテリジェントセンサーテクノロジー製の味認識装置SA402B又はTS-5000Zを用いて得られた数値の場合、0.2である。かかる数値範囲とされることにより、より高精度に、同等の風味を持つコーヒーのブレンドが可能となる。
【0010】
本発明のブレンドコーヒー作製方法において、トリゴネリン含有量比の判別は、コーヒーAのトリゴネリン含有量に対するブレンドコーヒーBのトリゴネリン含有量の比が、0.85より大きく、1.15未満であることが好ましい。かかる数値範囲とされることにより、より高精度に、同等の風味を持つコーヒーのブレンドが可能となる。
【0011】
本発明のブレンドコーヒー作製方法において、カフェイン含有量比の判別は、コーヒーAのカフェイン含有量に対するブレンドコーヒーBのカフェイン含有量の比が、0.9より大きく、1.1未満であることが好ましい。かかる数値範囲とされることにより、より高精度に、同等の風味を持つコーヒーのブレンドが可能となる。
【0012】
本発明のブレンドコーヒー作製方法は、コンピュータが目標とするコーヒーAの風味と同等の風味を持つブレンドコーヒーBを作製する方法であって、下記1)~6)の各ステップを備える。
1)コーヒーAに関する、少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量をデータベースから読み出すステップ。
2)ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆の種類と配合割合を設定するステップ。
3)ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆から抽出されたコーヒーの少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量をデータベースから読み出すステップ。
4)ブレンドコーヒーBに関する、配合後の、味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量を推定するステップ。
5)コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、味覚値の類似度、トリゴネリン含有量比、及びカフェイン含有量比を算出するステップ。
6)それぞれの算出した値が、全て同等性の範囲内にあるか否かを判別するステップ。
【0013】
本発明のブレンドコーヒー作製方法は、コーヒーAの風味と同等の風味を持つと判別するステップにおいて、味覚値の類似度に関する判別は、コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、酸味、苦味、塩味のそれぞれの味覚値の差分の平均値が、所定値未満であり、トリゴネリン含有量比に関する判別は、コーヒーAのトリゴネリン含有量に対するブレンドコーヒーBのトリゴネリン含有量の比が、0.85より大きく、1.15未満であり、カフェイン含有量比に関する判別は、コーヒーAのカフェイン含有量に対するブレンドコーヒーBのカフェイン含有量の比が、0.9より大きく、1.1未満であることが好ましい。ここでの所定値とは、株式会社インテリジェントセンサーテクノロジー製の味認識装置SA402B又はTS-5000Zを用いて得られた数値の場合、0.2である。
【0014】
本発明のブレンドコーヒー作製プログラムは、目標とするコーヒーAの風味と同等の風味を持つブレンドコーヒーBを作製するプログラムであって、コンピュータに、下記a)~f)の各ステップを実行させる。
a)コーヒーAに関する、少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量をメモリから読み出すステップ。
b)ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆の種類と配合割合を設定するステップ。
c)ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆から抽出されたコーヒーの少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量をメモリから読み出すステップ。
d)ブレンドコーヒーBに関する、配合後の、味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量を推定するステップ。
e)コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、味覚値の類似度、トリゴネリン含有量比、及びカフェイン含有量比を算出するステップ。
f)それぞれの算出した値が、全て同等性の範囲内にあるか否かを判別するステップ。
【0015】
本発明のブレンドコーヒー作製プログラムは、コーヒーAの風味と同等の風味を持つと判別するステップにおいて、味覚値の類似度に関する判別は、コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、酸味、苦味、塩味のそれぞれの味覚値の差分の平均値が、所定値未満であり、トリゴネリン含有量比に関する判別は、コーヒーAのトリゴネリン含有量に対するブレンドコーヒーBのトリゴネリン含有量の比が、0.85より大きく、1.15未満であり、カフェイン含有量比に関する判別は、コーヒーAのカフェイン含有量に対するブレンドコーヒーBのカフェイン含有量の比が、0.9より大きく、1.1未満であることが好ましい。ここでの所定値とは、株式会社インテリジェントセンサーテクノロジー製の味認識装置SA402B又はTS-5000Zを用いて得られた数値の場合、0.2である。
【0016】
本発明のブレンドコーヒー作製装置は、目標とするコーヒーAの風味と同等の風味を持つブレンドコーヒーBを作製する装置であって、コーヒーAに関する、少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量と、ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆から抽出されたコーヒーの少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量と、個々のコーヒー豆の配合割合とを用いて推定される、味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量とに基づいて、コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、味覚値の類似度、トリゴネリン含有量比、及びカフェイン含有量比を算出して、全て同等性の範囲内か否かを判別してブレンドコーヒーBの配合を決定するブレンドコーヒー配合決定手段を備える。
【0017】
本発明のブレンドコーヒー作製装置において、ブレンドコーヒー配合決定手段は、コーヒーAに関する、少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量と、ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆の種類と配合割合を設定する配合設定手段、ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆から抽出されたコーヒーの少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量を用いて、ブレンドコーヒーBに関する、配合後の、味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量を推定する含有量推定手段、コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、味覚値の類似度、トリゴネリン含有量比、及びカフェイン含有量比を算出する類似度・含有量比算出手段、それぞれの算出した値が、全て同等性の範囲内にあるか否かを判別する同等性判別手段、を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明のブレンドコーヒー作製方法、装置及びプログラムによれば、目標とするコーヒーと同等の風味を持つブレンドコーヒーを精度良く配合できるといった効果がある。また、これにより、新たなブレンドや風味の発見が促進されるといった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】ブレンドコーヒー作製方法の概略イメージ図
図2】ブレンドコーヒー作製方法の概略フロー図
図3】ブレンドコーヒー作製装置の機能ブロック図
図4】ブレンドコーヒー作製装置の構成図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
【0021】
(味覚値の分析について)
複数の銘柄、焙煎度合いのコーヒーを抽出し、市販の味覚センサ(株式会社インテリジェントセンサーテクノロジー製、SA402B)を用いて、抽出した各コーヒーの味覚分析を行った。味覚センサを用いた分析では、各分析バッチでの基準品としてのコーヒーを用いるのが良く、コーヒーの濃度を示すBrix値を1.05、pHを5.70に調整した容器詰めブラックコーヒー抽出液を基準品として測定し、各コーヒーの分析結果は基準品からの差分を取って用いた。
分析に用いたのは18銘柄のコーヒー豆であり、4種類の焙煎度、すなわち、ミディアムロースト(L値=23±0.5)、ハイロースト(L値=20±0.5)、シティロースト(L値=18.0±1.0)、フルシティロースト(L値=15.5±1.0)のコーヒーに対して分析値を測定した。
【0022】
(カフェイン、トリゴネリンの定量について)
抽出液中のカフェイン、トリゴネリンなどのコーヒーの特徴成分は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析し定量した。装置は、株式会社島津製作所製の高速液体クロマトグラフ(Prominence-I LC2030C3D Plus)、検出にはフォトダイオードアレイ検出器を使用した。カラムは、ジーエルサイエンス株式会社製のODS(Octadesylsilane)カラム(Inertsil ODS-3,内径4.0mm×長さ150mm、粒子径5μm)を用いた。
分析条件は次の通りである。サンプル注入量は10μL、流量は1.0mL/min、PDA(Photodiode array)検出器の測定波長は、370nm(カフェイン)、365nm(トリゴネリン)とした。また、カラムオーブン設定温度は35℃、移動相A液は0.05M酢酸水、移動相B液は0.05M酢酸含有アセトニトリルである。濃度勾配条件は、下記表1に示す通りである。
【0023】
【表1】
【0024】
移動相A液、B液の作成には、酢酸(ナカライテスク株式会社製)、アセトニトリル-Plus-(高速液体クロマトグラフィー用、関東化学株式会社製)を用いた。
分析により得られたピークは、カフェイン16.1分、トリゴネリン1.75分であり、それぞれのピーク面積値を読み取り、カフェイン(無水)(ナカライテスク株式会社製)、トリゴネリン塩酸(Sigma-Aldrich社製)を標準物質に用いて各分析サンプルに含まれる成分含有量(mg%)を算出した。
【0025】
(コーヒー液の抽出について)
それぞれのコーヒー液を得るためのコーヒー抽出の方法は、ペーパードリップ法、サイフォン法、などの透過式の抽出方法や、フレンチプレス法などの浸漬式の抽出方法、エスプレッソ法など、いずれの方法でも問題ないが、同様の方法、条件にて統一する必要があり、得られるコーヒー液の可溶性固形(%)を同等とすることがさらに望ましい。ここでは、ペーパードリップ法を用いた。
なお、コーヒーの抽出液は粉砕された焙煎コーヒーより得られるもの以外にも、乾燥固形化されたインスタントコーヒー粒(粉末)を湯又は水に溶解して得られた抽出液を用いても良く、その場合はインスタントコーヒー粒(粉末)に対して、50~100倍の重量の湯に溶かしたコーヒー液を用いるのがより望ましい。
【0026】
各分析値を測定したところ、一般にも知られるように、味覚センサでの分析ではコーヒーは品種、焙煎度によって、特に酸味、苦味、塩味の値が大きく変化しており、カフェイン、トリゴネリンについてもその含有量は原料ごとに違いが確認された。また、カフェインは、アラビカ種よりもロブスタ種の方が多く、焙煎では不変という傾向が確認された。一方、トリゴネリンは、ロブスタ種よりもアラビカ種の方が多く、焙煎により減少するという傾向が確認された。
そして、各原料の分析値にブレンドコーヒー中での配合比率を掛け合わせて合算することで、そのブレンドの推定味覚値、推定カフェイン量、推定トリゴネリン量を算出した。
目的とするコーヒーの持つ味に近いブレンドを作成するためには、これらの推定値を指標として用いて、各推定値が目的とするコーヒーの味覚値及び成分値に近似させることが望ましい。
なお、味覚センサ(株式会社インテリジェントセンサーテクノロジー製)による分析値では各味について、1.0以上の数値差があれば一般的なヒトの味覚にて味の違いとして感じ取れるとされるが、コーヒーの場合においては、複数種類の呈味が品種の違いや焙煎度合いによって複合的に変化するため、一つの呈味のみを指標として品質差の識別閾を設定することは望ましくない。
そこで、算出した複数の味の味覚推定値を用いて、目標となる配合のコーヒーと同等の品質であると判断するための閾値を、以下のような試験の結果に基づいて決定した。
【0027】
(試験1について)
まず、コーヒーの風味品質を総合的に比較するための味覚類似度Xを、下記式1により算出した。
【0028】
【数1】
【0029】
上記式1ではコーヒーにおいて特に重要な要素である、酸味、苦味、塩味の各値の差を平均化している。目標のコーヒー(ターゲット1)に対して、類似度を調整しながら実施例a~gを作成し、それぞれのブレンドと目標コーヒー(ターゲット1)の味覚差異の有無を3点識別試験法によって検証した。下記表2は、試験1の結果を示したものである。なお、以下では原料の焙煎度につき、“ミディアムロースト”を“ミディアム”、“ハイロースト”を“ハイ”、“シティロースト”を“シティ”、“フルシティロースト”を“フルシティ”と呼ぶこととする。
【0030】
【表2】
【0031】
上記表2に示すように、使用した原料は、「ブラジル1(フルシティ)」、「コロンビア(シティ)」、「グァテマラ(ハイ)」、「インドネシア(ミディアム)」、「タンザニア(シティ)」、「ベトナム1(フルシティ)」、「ホンジュラス(シティ)」、「エチオピア(シティ)」、「ホンジュラス(ハイ)」、「ブラジル2(フルシティ)」、「タンザニア(ハイ)」、「ブラジル2(ハイ)」、「コロンビア(ハイ)」及び「ベトナム2(ミディアム)」の計14種類である。
ターゲット1について、味覚センサでの分析値は、酸味が0.46、苦味が0.97、塩味が0.80である。なお、これらの味覚値は、前述の通り、基準品とした容器詰めブラックコーヒー抽出液との差分を求めたものである。また、高速液体クロマトグラフィーにより分析・定量された成分値と配合割合から推定されるコーヒー100ml当たりのトリゴネリン含有量は24.09mg%、カフェイン含有量は72.37mg%である。
【0032】
これに対して、実施例aは、「ブラジル1(フルシティ)」、「グァテマラ(ハイ)」、「インドネシア(ミディアム)」及び「タンザニア(シティ)」をそれぞれ25%配合した。推定される味覚値は、酸味が0.46、苦味が0.96、塩味が0.68、トリゴネリン含有量は25.02mg%、カフェイン含有量は74.24mg%である。
実施例bは、「インドネシア(ミディアム)」、「ホンジュラス(シティ)」、「ホンジュラス(ハイ)」及び「ブラジル2(フルシティ)」をそれぞれ25%配合した。推定される味覚値は、酸味が0.91、苦味が0.78、塩味が0.47、トリゴネリン含有量は24.33mg%、カフェイン含有量は77.56mg%である。
実施例cは、「ブラジル1(フルシティ)」、「インドネシア(ミディアム)」、「ホンジュラス(シティ)」及び「タンザニア(ハイ)」をそれぞれ25%配合した。推定される味覚値は、酸味が0.78、苦味が0.65、塩味が0.65、トリゴネリン含有量は26.19mg%、カフェイン含有量は74.08mg%である。
【0033】
実施例dは、「ブラジル1(フルシティ)」及び「インドネシア(ミディアム)」を25%、「タンザニア(シティ)」を30%、「ホンジュラス(シティ)」を20%配合した。推定される味覚値は、酸味が-0.10、苦味が1.42、塩味が0.41、トリゴネリン含有量は22.17mg%、カフェイン含有量は74.96mg%である。
実施例eは、「ブラジル1(フルシティ)」、「インドネシア(ミディアム)」、「ベトナム1(フルシティ)」、「エチオピア(シティ)」をそれぞれ25%配合した。推定される味覚値は、酸味が-0.28、苦味が1.43、塩味が0.33、トリゴネリン含有量は21.98mg%、カフェイン含有量は77.27mg%である。
実施例fは、「ホンジュラス(シティ)」、「ブラジル2(フルシティ)」、「コロンビア(ハイ)」及び「ベトナム2(ミディアム)」をそれぞれ25%配合した。推定される味覚値は、酸味が1.01、苦味が-0.13、塩味が1.38、トリゴネリン含有量は26.23mg%、カフェイン含有量は70.52mg%である。
また、実施例gは、「ブラジル1(フルシティ)」及び「タンザニア(シティ)」を25%、「ホンジュラス(ハイ)」を20%、「ブラジル2(ハイ)」を30%配合した。推定される味覚値は、酸味が0.68、苦味が0.61、塩味が0.41、トリゴネリン含有量は28.70mg%、カフェイン含有量は62.49mg%である。
【0034】
以上より算出されたターゲット1と実施例aの味覚値の類似度は0.04、トリゴネリン含有量比は1.04、カフェイン含有量比は1.03である。ターゲット1と実施例bの味覚値の類似度は0.06、トリゴネリン含有量比は1.04、カフェイン含有量比は1.01である。ターゲット1と実施例cの味覚値の類似度は0.16、トリゴネリン含有量比は1.09、カフェイン含有量比は1.02である。ターゲット1と実施例dの味覚値の類似度は0.27、トリゴネリン含有量比は0.92、カフェイン含有量比は1.04である。ターゲット1と実施例eの味覚値の類似度は0.33、トリゴネリン含有量比は0.91、カフェイン含有量比は1.07である。ターゲット1と実施例fの味覚値の類似度は0.45、トリゴネリン含有量比は1.09、カフェイン含有量比は0.97である。ターゲット1と実施例gの味覚値の類似度は0.19、トリゴネリン含有量比は1.19、カフェイン含有量比は0.86である。
【0035】
他方、3点識別試験による評価は、コーヒーの研究開発業務に2年以上携わり、基本5味の識別試験、濃度差の識別試験、複数種類のコーヒーを飲用する記述評価などの定期的な官能評価訓練を受けた専門評価者12名により、それぞれ2回ずつ行われた。
各コーヒーは、フレンチプレスコーヒーメーカー(BODUM(登録商標)社『KENYA』)によって、24gの粉砕コーヒー豆に400mlの熱水を注湯し、4分間静置後、湯とコーヒーをペーパーフィルターでのろ過によって液と粉を分け、蓋つきの保温容器に移し、密閉した状態で60℃前後の液温を維持した状態で試験に供した。試験サンプルは容器に3桁の乱数を貼り、飲用順による選択バイアスがかからないようにランダムな配置で試験者に提供した。
【0036】
試験の結果、味覚値の類似度が0.20未満であった実施例a~cでは、専門評価者による3点識別においても風味の違いが有意に識別されず、同等の品質であることが示された。なお、3点識別では、専門評価者12名によりそれぞれ2回ずつ行われる計24回の試験のうち、13回以上の正答数が得られたときに、2項分布の片側確率よりP<0.05となり、被験者が有意にサンプル間の品質差を識別できている。
実施例d~fでは、いずれも類似度で0.20以上の開きがあり、いずれも3点識別試験によって味覚有意差が検出された。これに対して、実施例gでは、味覚類似度が0.20未満であったが、識別試験による有意差が検出された。
【0037】
このように、味覚類似度から導き出せる呈味が同等であっても、選択されるコーヒーの品種の違いによっては風味品質、特に味覚センサで検出できないコーヒーの香気成分組成に差が生じることがあると推察できる。
トリゴネリン、カフェインは上述の通りにコーヒーの品種や焙煎度合いによって含有量が変化する成分である。したがって、ターゲットコーヒーとのトリゴネリン、カフェインの含有量の比が大きく異なるときは、焙煎度合いや品種について著しい差が生じているということであるため、目標とするコーヒーと同等の風味のコーヒーを作るためにはこれらの含有量の差や比率を最小限に抑えてブレンド配合を組む必要があるといえる。
【0038】
試験の結果より、トリゴネリン含有量比は0.85~1.15、カフェイン含有量比は0.90~1.10の範囲を超える場合、味覚類似度が0.20より小さい場合であっても味覚品質の差が生じている。
よって、目標とするコーヒーAの風味と同等の風味を持つブレンドコーヒーBを作る方法で、味覚センサ分析値を用いた推定味覚値より得られる味覚値の類似度X(上記式1)、推定トリゴネリン含有量比Y(下記式3)、及び、推定カフェイン含有量比Z(下記式5)が、下記式2,4,6を満足するように、ブレンドコーヒーの配合を設計することで、目標とする品質のものと遜色のない同等の風味のコーヒーが得られることが判った。
【0039】
(数2)
X<0.2 ・・・(式2)
【0040】
(数3)
Y=トリゴネリン含有量B(mg%)/トリゴネリン含有量A(mg%)・・・(式3)
0.85<Y<1.15 ・・・(式4)
【0041】
(数4)
Z=カフェイン含有量B(mg%)/カフェイン含有量A(mg%) ・・・(式5)
0.90<Z<1.10 ・・・(式6)
【0042】
(試験2について)
次に、試験2では目標の品質となるブレンドを変更した2種類のコーヒー(ターゲット2,ターゲット3)に対して、上記で得られた味覚類似度、トリゴネリン含有量比、カフェイン含有量比に従った実施例h~kを作成し、3点識別試験により味覚有意差の有無を検証した。
下記表3中の実施例h、実施例iはいずれもターゲット2に対しての味覚類似度、トリゴネリン含有量比、カフェイン含有量比を示しており、3点識別試験においてはターゲット2と各ブレンドをサンプルセットとして用いた。また、実施例j、実施例kはいずれもターゲット3に対しての類似度、トリゴネリン含有量比、カフェイン含有量比を示しており、3点識別試験においてはターゲット3と各ブレンドをサンプルセットとして用いた。
【0043】
【表3】
【0044】
上記表3に示すように、使用した原料は、「タンザニア(ミディアム)」、「グァテマラ(シティ)」、「マンデリン(ハイ)」、「ベトナム2(シティ)」、「エチオピア(シティ)」、「ホンジュラス(シティ)」、「ベトナム2(ミディアム)」、「ブラジル1(シティ)」、「ベトナム2(フルシティ)」、「ベトナム1(フルシティ)」、「ブラジル1(フルシティ)」及び「タンザニア(フルシティ)」、の計12種類である。
ターゲット2について、味覚センサでの分析値は、酸味が2.31、苦味が-0.03、塩味が0.67である。なお、これらの味覚値は、前述の通り、基準品とした容器詰めブラックコーヒー抽出液との差分を求めたものである。また、高速液体クロマトグラフィーにより分析・定量された成分値と配合割合から推定されるコーヒー100ml当たりのトリゴネリン含有量は32.59mg%、カフェイン含有量は71.28mg%である。
【0045】
これに対して、実施例hは、「グァテマラ(シティ)」を44%、「マンデリン(ハイ)」を28%、「エチオピア(シティ)」を12%、「ホンジュラス(シティ)」を6%、「ベトナム2(ミディアム)」を10%配合した。推定される味覚値は、酸味が1.90、苦味が0.31、塩味が0.51、トリゴネリン含有量は29.32mg%、カフェイン含有量は66.20mg%である。
実施例iは、「グァテマラ(シティ)」を20%、「マンデリン(ハイ)」を30%、「エチオピア(シティ)」を20%、「ブラジル1(シティ)」を30%配合した。推定される味覚値は、酸味が1.91、苦味が0.32、塩味が0.15、トリゴネリン含有量は31.97mg%、カフェイン含有量は62.12mg%である。
【0046】
また、ターゲット3について、味覚センサでの分析値は、酸味が-0.89、苦味が2.33、塩味が-0.23である。また、高速液体クロマトグラフィーにより分析・定量された成分値と配合割合から推定されるコーヒー100ml当たりのトリゴネリン含有量は17.27mg%、カフェイン含有量は80.81mg%である。
【0047】
これに対して、実施例jは、「ホンジュラス(シティ)」及び「ブラジル1(フルシティ)」をそれぞれ20%、「ブラジル1(シティ)」及び「ベトナム2(フルシティ)」をそれぞれ30%配合した。推定される味覚値は、酸味が-0.96、苦味が2.23、塩味が-0.25、トリゴネリン含有量は17.31mg%、カフェイン含有量は80.01mg%である。
実施例kは、「エチオピア(シティ)」及び「ベトナム2(ミディアム)」をそれぞれ30%、「ベトナム1(フルシティ)」及び「タンザニア(フルシティ)」をそれぞれ20%配合した。推定される味覚値は、酸味が-0.57、苦味が2.08、塩味が0.04、トリゴネリン含有量は20.73mg%、カフェイン含有量は80.38mg%である。
【0048】
以上より算出されたターゲット2と実施例iの味覚値の類似度は0.25、トリゴネリン含有量比は0.98、カフェイン含有量比は0.87である。したがって、推定トリゴネリン含有量比については、上記式4の条件を満たすが、味覚値の類似度及び推定カフェイン含有量比については、上記式2,6の条件を満たさないことが判る。
これに対して、ターゲット2と実施例hの味覚値の類似度は0.19、トリゴネリン含有量比は0.90、カフェイン含有量比は0.93である。したがって、味覚値の類似度、推定トリゴネリン含有量比及び推定カフェイン含有量比の全てについて、上記条件を満たすことが判る。
【0049】
また、ターゲット3と実施例kの味覚値の類似度は0.16、トリゴネリン含有量比は1.20、カフェイン含有量比は0.99である。したがって、味覚値の類似度及び推定カフェイン含有量比については、上記式2,6の条件を満たすが、推定トリゴネリン含有量比については、上記式4の条件を満たさないことが判る。
これに対して、ターゲット3と実施例jの味覚値の類似度は0.04、トリゴネリン含有量比は1.00、カフェイン含有量比は0.99である。したがって、味覚値の類似度、推定トリゴネリン含有量比及び推定カフェイン含有量比の全てについて、上記条件を満たすことが判る。
【0050】
3点識別試験の結果、ターゲット2については、実施例iでは、24回中16回の正答数が得られ、風味の違いが有意に識別されたが、実施例hでは、正答数は24回中11回に留まり、専門評価者による3点識別においても風味の違いが有意に識別されず、同等の品質であることが示された。
また、ターゲット3については、実施例kでは、24回中17回の正答数が得られ、風味の違いが有意に識別されたが、実施例jでは、正答数は24回中7回に留まり、専門評価者による3点識別においても風味の違いが有意に識別されず、同等の品質であることが示された。
【0051】
以上より、実施例h又はjのように、味覚値の類似度、推定トリゴネリン含有量比及び推定カフェイン含有量比の全てについて、上記条件を満たす場合には、専門評価者による試験においても、風味の違いが有意に識別されず、同等の品質と評価されることが判った。これに対して、実施例i又はkのように、味覚値の類似度、推定トリゴネリン含有量比及び推定カフェイン含有量比の少なくとも何れかについて、上記条件が満たされない場合には、風味の違いが有意に識別され、同等の品質とは評価されないことが判った。
【0052】
試験2の結果から、試験1によって得られたX,Y,Zの数値範囲は、ターゲットとなるコーヒーの種類によらないものであることが判った。
また、一般に焙煎の度合いはコーヒーの風味に大きな影響を与えるが、ブレンドの平均焙煎度はターゲット1~3のそれぞれで異なり、ターゲット1=18.7、ターゲット2=20.1、ターゲット3=16.75であった。
したがって、上記式1~6に示すX,Y,Zの数値範囲を基にしたブレンドコーヒー作製方法は同等の品質のブレンドを作るための指標として、広範な品種、焙煎度合いのコーヒーにおいて適用可能と考えられる。
【0053】
(ブレンドコーヒー作製方法について)
次に、コンピュータ(図示せず)が目標とするコーヒーAの風味と同等の風味を持つブレンドコーヒーBを作製する方法について説明する。図1は、ブレンドコーヒー作製方法の概略イメージ図を示している。また、図2は、ブレンドコーヒー作製方法の概略フロー図を示している。
図2に示すように、コンピュータは、コーヒーAに関する、少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量をデータベースから読み出す(ステップS01)。
次に、コンピュータは、ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆の種類と配合割合を設定する(ステップS02)。図1では、配合するコーヒー豆としてコーヒー豆(b,b,b)の3種類を例示しているが、2種類でもよいし、4種類以上でもよい。
【0054】
コンピュータは、ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆から抽出されたコーヒーの少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量をデータベースから読み出す(ステップS03)。
コンピュータは、ブレンドコーヒーBに関する、配合後の、味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量を推定する(ステップS04)。
コンピュータは、コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、味覚値の類似度、トリゴネリン含有量比、及びカフェイン含有量比を算出する(ステップS05)。
コンピュータは、それぞれの算出した値が、全て同等性の範囲内にあるか否かを判別する(ステップS06)。
コンピュータにより算出された値が、全て同等性の範囲内にあると判定されると、コーヒーAの風味と同等の風味を持つブレンドコーヒーBとして配合が決定される。
【0055】
(ブレンドコーヒー作製装置)
ブレンドコーヒー作製装置について説明する。図3は、ブレンドコーヒー作製装置の機能ブロック図を示している。図3に示すように、ブレンドコーヒー作製装置1は、ブレンドコーヒー配合決定手段2及びデータベース3を備える。ブレンドコーヒー配合決定手段2は、配合設定手段21、含有量推定手段22、類似度・含有量比算出手段23及び同等性判別手段24を備える。
配合設定手段21は、コーヒーAに関する、少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量と、ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆の種類と配合割合を設定するものである。コーヒーAについては、例えばコーヒーAの名称や生産地といったコーヒーAの種類を識別する情報を入力して、コーヒーAに関する、酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量等をデータベース3から読み出してもよいし、コーヒーAに関する味覚値やトリゴネリン等の含有量をブレンドコーヒー作製装置1に直接入力してもよい。
【0056】
含有量推定手段22は、ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆から抽出されたコーヒーの少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量を用いて、ブレンドコーヒーBに関する、配合後の、味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量を推定するものである。推定に当たっては、配合する個々のコーヒー豆の名称や生産地といったコーヒー豆の種類を識別する情報を入力して、個々のコーヒー豆に関する、酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量等をデータベース3から読み出してもよいし、個々のコーヒー豆に関する味覚値やトリゴネリン等の含有量をブレンドコーヒー作製装置1に直接入力してもよい。
類似度・含有量比算出手段23は、コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、味覚値の類似度、トリゴネリン含有量比、及びカフェイン含有量比を算出するものである。
同等性判別手段24は、それぞれの算出した値が、全て同等性の範囲内にあるか否かを判別するものである。
【0057】
図4は、ブレンドコーヒー作製装置の構成図を示している。図4に示すように、ブレンドコーヒー作製装置1aは、サーバ4及びクライアント端末(5a~5c)で構成される。サーバ4とクライアント端末(5a~5c)はインターネット6により接続され、データの送受信が可能となっている。
サーバ4は、ブレンドコーヒー配合決定手段2及びデータベース3を備え、クライアント端末(5a~5c)を操作するユーザは、インターネット6を用いてサーバ4にアクセスし、コーヒーA及びブレンドコーヒーBに関する情報を入力することで、ブレンドコーヒーBがコーヒーAの風味と同等の風味を持つか否かについて判別結果を得ることができる。クライアント端末5aはスマートフォン、クライアント端末5bはタブレット端末、クライアント端末5cはノート型PCであるが、これら以外にも様々な端末が利用可能である。このように、ブレンドコーヒー作製装置1aを用いることで、多様な端末を用いて、様々な場所からブレンドコーヒー作製装置を利用することができる。
なお、ここではサーバ4がブレンドコーヒー配合決定手段2及びデータベース3を備える構成を説明したが、かかる構成には限られず、例えば、所定のアプリケーションをクライアント端末(5a~5c)にインストールし、ブレンドコーヒー配合決定手段2を構成する配合設定手段21、含有量推定手段22、類似度・含有量比算出手段23及び同等性判別手段24の何れかをクライアント端末(5a~5c)が備える構成としてもよい。例えば、配合設定手段21を、クライアント端末(5a~5c)に設ける構成でもよい。
また、ブレンドコーヒー作製装置1の構成例としては、インターネット6などのネットワークに接続されずスタンドアローンで作動するものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、目標とするコーヒーと同等の風味を持つブレンドコーヒーを配合するシミュレータに利用可能である。
【符号の説明】
【0059】
1,1a ブレンドコーヒー作製装置
2 ブレンドコーヒー配合決定手段
3 データベース
4 サーバ
5a~5c クライアント端末
6 インターネット
21 配合設定手段
22 含有量推定手段
23 類似度・含有量比算出手段
24 同等性判別手段
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-12-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標とするコーヒーAの風味と同等の風味を持つブレンドコーヒーBを作製する方法であって、
コーヒーAに関する、少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量と、ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆から抽出されたコーヒーの少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量と、個々のコーヒー豆の配合割合とを用いて推定される、味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量とに基づいて、
コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、味覚値の類似度、トリゴネリン含有量比、及びカフェイン含有量比を算出して、全て同等性の範囲内か否かを判別してブレンドコーヒーBの配合を決定することを特徴とするブレンドコーヒー作製方法。
【請求項2】
前記味覚値の類似度の判別は、コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、酸味、苦味、塩味のそれぞれの味覚値の差分の平均値が、所定値未満であることを特徴とする請求項1に記載のブレンドコーヒー作製方法。
【請求項3】
前記トリゴネリン含有量比の判別は、コーヒーAのトリゴネリン含有量に対するブレンドコーヒーBのトリゴネリン含有量の比が、0.85より大きく、1.15未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載のブレンドコーヒー作製方法。
【請求項4】
前記カフェイン含有量比の判別は、コーヒーAのカフェイン含有量に対するブレンドコーヒーBのカフェイン含有量の比が、0.9より大きく、1.1未満であることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載のブレンドコーヒー作製方法。
【請求項5】
コンピュータが目標とするコーヒーAの風味と同等の風味を持つブレンドコーヒーBを作製する方法であって、
コーヒーAに関する、少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量をデータベースから読み出すステップ、
ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆の種類と配合割合を設定するステップ、
ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆から抽出されたコーヒーの少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量をデータベースから読み出すステップ、
ブレンドコーヒーBに関する、配合後の、味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量を推定するステップ、
コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、味覚値の類似度、トリゴネリン含有量比、及びカフェイン含有量比を算出するステップ、
それぞれの算出した値が、全て同等性の範囲内にあるか否かを判別するステップ、
を備えたことを特徴とするブレンドコーヒー作製方法。
【請求項6】
コーヒーAの風味と同等の風味を持つと判別するステップにおいて、
前記味覚値の類似度に関する判別は、コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、酸味、苦味、塩味のそれぞれの味覚値の差分の平均値が、所定値未満であり、
前記トリゴネリン含有量比に関する判別は、コーヒーAのトリゴネリン含有量に対するブレンドコーヒーBのトリゴネリン含有量の比が、0.85より大きく、1.15未満であり、
前記カフェイン含有量比に関する判別は、コーヒーAのカフェイン含有量に対するブレンドコーヒーBのカフェイン含有量の比が、0.9より大きく、1.1未満である、
ことを特徴とする請求項5に記載のブレンドコーヒー作製方法。
【請求項7】
目標とするコーヒーAの風味と同等の風味を持つブレンドコーヒーBを作製するプログラムであって、
コンピュータに、
コーヒーAに関する、少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量をメモリから読み出すステップ、
ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆の種類と配合割合を設定するステップ、
ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆から抽出されたコーヒーの少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量をメモリから読み出すステップ、
ブレンドコーヒーBに関する、配合後の、味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量を推定するステップ、
コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、味覚値の類似度、トリゴネリン含有量比、及びカフェイン含有量比を算出するステップ、
それぞれの算出した値が、全て同等性の範囲内にあるか否かを判別するステップ、
を実行させるためのブレンドコーヒー作製プログラム。
【請求項8】
コーヒーAの風味と同等の風味を持つと判別するステップにおいて、
前記味覚値の類似度に関する判別は、コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、酸味、苦味、塩味のそれぞれの味覚値の差分の平均値が、所定値未満であり、
前記トリゴネリン含有量比に関する判別は、コーヒーAのトリゴネリン含有量に対するブレンドコーヒーBのトリゴネリン含有量の比が、0.85より大きく、1.15未満であり、
前記カフェイン含有量比に関する判別は、コーヒーAのカフェイン含有量に対するブレンドコーヒーBのカフェイン含有量の比が、0.9より大きく、1.1未満である、
ことを特徴とする請求項7に記載のブレンドコーヒー作製プログラム。
【請求項9】
目標とするコーヒーAの風味と同等の風味を持つブレンドコーヒーBを作製する装置であって、
コンピュータと、
請求項7又は8のブレンドコーヒー作製プログラム、
を備えたことを特徴とするブレンドコーヒー作製装置。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標とするコーヒーAの風味と同等の風味を持つブレンドコーヒーBを作製する方法であって、
コーヒーAに関する、少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量と、ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆から抽出されたコーヒーの少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量と、個々のコーヒー豆の配合割合とを用いて推定される、味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量とに基づいて、
コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、味覚値の類似度、トリゴネリン含有量比、及びカフェイン含有量比を算出して、全て同等性の範囲内か否かを判別してブレンドコーヒーBの配合を決定し、
前記味覚値の類似度の判別は、コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、酸味、苦味、塩味のそれぞれの味覚値の差分の平均値が、0.2未満であり、
前記トリゴネリン含有量比の判別は、コーヒーAのトリゴネリン含有量に対するブレンドコーヒーBのトリゴネリン含有量の比が、0.85より大きく、1.15未満であり、
前記カフェイン含有量比の判別は、コーヒーAのカフェイン含有量に対するブレンドコーヒーBのカフェイン含有量の比が、0.9より大きく、1.1未満であることを特徴とするブレンドコーヒー作製方法。
【請求項2】
コンピュータが目標とするコーヒーAの風味と同等の風味を持つブレンドコーヒーBを作製する方法であって、
コーヒーAに関する、少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量をデータベースから読み出すステップ、
ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆の種類と配合割合を設定するステップ、
ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆から抽出されたコーヒーの少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量をデータベースから読み出すステップ、
ブレンドコーヒーBに関する、配合後の、味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量を推定するステップ、
コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、味覚値の類似度、トリゴネリン含有量比、及びカフェイン含有量比を算出するステップ、
それぞれの算出した値が、全て同等性の範囲内にあるか否かを判別するステップ、
を備え
コーヒーAの風味と同等の風味を持つと判別するステップにおいて、
前記味覚値の類似度に関する判別は、コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、酸味、苦味、塩味のそれぞれの味覚値の差分の平均値が、0.2未満であり、
前記トリゴネリン含有量比に関する判別は、コーヒーAのトリゴネリン含有量に対するブレンドコーヒーBのトリゴネリン含有量の比が、0.85より大きく、1.15未満であり、
前記カフェイン含有量比に関する判別は、コーヒーAのカフェイン含有量に対するブレンドコーヒーBのカフェイン含有量の比が、0.9より大きく、1.1未満である、
ことを特徴とするブレンドコーヒー作製方法。
【請求項3】
目標とするコーヒーAの風味と同等の風味を持つブレンドコーヒーBを作製するプログラムであって、
コンピュータに、
コーヒーAに関する、少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量をメモリから読み出すステップ、
ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆の種類と配合割合を設定するステップ、
ブレンドコーヒーBに関する、配合する個々のコーヒー豆から抽出されたコーヒーの少なくとも酸味、苦味、塩味に関する味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量をメモリから読み出すステップ、
ブレンドコーヒーBに関する、配合後の、味覚値、トリゴネリン含有量及びカフェイン含有量を推定するステップ、
コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、味覚値の類似度、トリゴネリン含有量比、及びカフェイン含有量比を算出するステップ、
それぞれの算出した値が、全て同等性の範囲内にあるか否かを判別するステップ、
を実行させるためのプログラムであり、
コーヒーAの風味と同等の風味を持つと判別するステップにおいて、
前記味覚値の類似度に関する判別は、コーヒーAとブレンドコーヒーBにおける、酸味、苦味、塩味のそれぞれの味覚値の差分の平均値が、0.2未満であり、
前記トリゴネリン含有量比に関する判別は、コーヒーAのトリゴネリン含有量に対するブレンドコーヒーBのトリゴネリン含有量の比が、0.85より大きく、1.15未満であり、
前記カフェイン含有量比に関する判別は、コーヒーAのカフェイン含有量に対するブレンドコーヒーBのカフェイン含有量の比が、0.9より大きく、1.1未満である、
ことを特徴とするブレンドコーヒー作製プログラム。
【請求項4】
目標とするコーヒーAの風味と同等の風味を持つブレンドコーヒーBを作製する装置であって、
コンピュータと、
請求項のブレンドコーヒー作製プログラム、
を備えたことを特徴とするブレンドコーヒー作製装置。