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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086980
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 19/00 20060101AFI20230615BHJP
【FI】
B60C19/00 B
B60C19/00 J
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074993
(22)【出願日】2023-04-28
(62)【分割の表示】P 2019113995の分割
【原出願日】2019-06-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】大田 和貴
(57)【要約】
【課題】タイヤ変形時の電子部品の動きを効果的に抑制し、電子部品を好適に保護することが可能なタイヤを提供すること。
【解決手段】タイヤを構成する複数のタイヤ構成部材と、電子部品としてのRFIDタグ40と、を備えるタイヤであって、複数のタイヤ構成部材は、ゴム部材と、繊維部材を含み、少なくとも1つの繊維部材を含む少なくとも3つタイヤ構成部材の交わる位置に、電子部品としてのRFIDタグ40が配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤを構成する複数のタイヤ構成部材と、電子部品と、を備え、
前記複数のタイヤ構成部材は、ゴム部材と、繊維部材を含み、
前記繊維部材は、カーカスプライを含み、前記ゴム部材は、前記カーカスプライのタイヤ外表面側に配置されるビードフィラーと、前記カーカスプライおよび前記ビードフィラーのタイヤ外表面側に配置されているパッド部材と、を含み、
前記カーカスプライと、前記ビードフィラーと、前記パッド部材の交わる位置に、前記電子部品が配置されている、タイヤ。
【請求項2】
前記1つの繊維部材を含む前記3つタイヤ構成部材はそれぞれ、円環状に形成された円環状部材である、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記電子部品は、少なくとも一部が被覆ゴムシートに被覆されており、前記電子部品を被覆した被覆ゴムシートが、少なくとも1つの繊維部材を含む少なくとも3つのタイヤ構成部材の交わる位置に配置されている、請求項1または2に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記3つのタイヤ構成部材は、繊維部材により構成される第1タイヤ構成部材としての前記カーカスプライと、前記第1タイヤ構成部材上の一部を覆うように配置された、タイヤ幅方向断面視における端部が先細り形状のゴム部材により構成される第2タイヤ構成部材としての前記ビードフィラーと、少なくとも前記繊維部材と前記ゴム部材の境界部を覆う第3タイヤ構成部材としての前記パッド部材と、を備え、
前記被覆ゴムシートは、前記第1タイヤ構成部材と前記第2タイヤ構成部材の境界部において、前記第1タイヤ構成部材と前記第2タイヤ構成部材を跨ぐように配置され、かつ前記第3タイヤ構成部材に覆われている、請求項3に記載のタイヤ。
【請求項5】
請求項4に記載のタイヤを製造する製造方法であって、
前記被覆ゴムシートを、第1タイヤ構成部材としての前記カーカスプライと第2タイヤ構成部材としての前記ビードフィラーの境界部において、前記第1タイヤ構成部材と前記第2タイヤ構成部材を跨ぐように貼り付ける工程と、
前記第3タイヤ構成部材としての前記パッド部材を、前記第1タイヤ構成部材と前記第2タイヤ構成部材の境界部に貼り付けられた前記被覆ゴムシートを覆うように貼り付ける工程と、を含むタイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品が埋設されたタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴム構造体内にRFID等の電子部品を埋設したタイヤが知られている。このようなタイヤは、タイヤに埋設されたRFIDタグと、外部機器としてのリーダとが通信を行うことにより、タイヤの製造管理、使用履歴管理等を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-37236号公報
【特許文献2】特開2016-49920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に示される技術においては、RFタグが、スティフナーとサイドゴムの間に配置されており、RFタグが、カーカスプライのような繊維部材と接触していない。よって、タイヤ変形時にRFタグが大きく動き、RFタグの保護が困難となるおそれがある。
また、特許文献2に示される技術においては、RFタグが、繊維層からなるカーカスプライとコード補強層との間に挟み込まれている構成が示されている。このように、RFタグが2つの繊維層によって完全に挟み込まれてしまう場合、この挟み込む工程の中で、繊維層とRFタグの間で応力が生じ、繊維層およびRFタグが、このときの応力の影響を受けてしまう可能性がある。また、RFタグを単に2つのゴム部材の間に挟むようにして配置する場合は、その配置位置の基準を設定することが難しく、電気部品の配置位置がばらつく可能性がある。その結果、電気部品が、好ましくない位置に配置され、その機能を保てなくなる可能性等もある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、タイヤ変形時の電子部品の動きを効果的に抑制し、電子部品を好適に保護することが可能なタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明のタイヤ(例えば、タイヤ1)は、タイヤを構成する複数のタイヤ構成部材と、電子部品(例えば、RFIDタグ40)と、を備え、前記複数のタイヤ構成部材は、ゴム部材と、繊維部材を含み、少なくとも1つの前記繊維部材を含む少なくとも3つタイヤ構成部材の交わる位置に、前記電子部品が配置されている。
【0007】
(2)(1)のタイヤにおいて、前記1つの繊維部材を含む前記3つタイヤ構成部材はそれぞれ、円環状に形成された円環状部材であってもよい。
【0008】
(3)(1)または(2)のタイヤにおいて、前記電子部品は、少なくとも2つの前記繊維部材を含む少なくとも3つのタイヤ構成部材の交わる位置に、前記電子部品が配置されていてもよい。
【0009】
(4)(3)のタイヤにおいて、前記繊維部材は、カーカスプライ(例えば、カーカスプライ23)と、前記カーカスプライのタイヤ径方向外側に配置されるスチールベルト(例えば、スチールベルト26)を含み、前記ゴム部材は、タイヤ幅方向外側部において前記カーカスプライと前記スチールベルトの間に配置されるショルダーパッド(例えば、ショルダーパッド38)を含み、前記カーカスプライと、前記スチールベルトと、前記ショルダーパッドの交わる位置に、前記電子部品が配置されていてもよい。
【0010】
(5)(1)~(4)のタイヤにおいて、前記電子部品は、少なくとも一部が被覆ゴムシート(例えば、被覆ゴムシート431、432)に被覆されており、前記電子部品を被覆した被覆ゴムシートが、少なくとも1つの繊維部材を含む少なくとも3つのタイヤ構成部材の交わる位置に配置されていてもよい。
【0011】
(6)(5)のタイヤにおいて、前記3つのタイヤ構成部材は、繊維部材により構成される第1タイヤ構成部材と、前記第1タイヤ構成部材上の一部を覆うように配置された、タイヤ幅方向断面視における端部が先細り形状のゴム部材により構成される第2タイヤ構成部材と、少なくとも前記繊維部材と前記ゴム部材の境界部を覆う第3タイヤ構成部材と、を備え、前記被覆ゴムシートは、前記第1タイヤ構成部材と前記第2タイヤ構成部材の境界部において、前記第1タイヤ構成部材と前記第2タイヤ構成部材を跨ぐように配置され、かつ前記第3タイヤ構成部材に覆われていてもよい。
【0012】
(7)(6)のタイヤを製造する製造方法は、前記被覆ゴムシートを、第1タイヤ構成部材と第2タイヤ構成部材の境界部において、第1タイヤ構成部材と第2タイヤ構成部材を跨ぐように貼り付ける工程と、前記第3タイヤ構成部材を、前記第1タイヤ構成部材と前記第2タイヤ構成部材の境界部に貼り付けられた前記被覆ゴムシートを覆うように貼り付ける工程と、を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、タイヤ変形時の電子部品の動きを効果的に抑制し、電子部品を好適に保護することが可能なタイヤを提供するこができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態に係るタイヤのタイヤ幅方向の半断面を示す図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るタイヤの部分拡大断面図である。
図3A】本発明の第1実施形態に係るタイヤにおける、保護部材によって保護された、RFIDタグを示す図である。
図3B図3Aのb-b断面を示す図である。
図3C図3Aのc-c断面を示す図である。
図4】本発明の第2実施形態に係るタイヤの部分拡大断面図である。
図5A】本発明の第2実施形態に係るタイヤの製造工程中における保護部材の周辺部を、タイヤ幅方向外側から見たときの図である。
図5B】本発明の第2実施形態に係るタイヤの製造工程の変形例における保護部材の周辺部を、タイヤ幅方向外側から見たときの図である。
図5C】本発明の第2実施形態に係るタイヤにおける、保護部材の変形例としての円環状のゴムシートを示す図である。
図6】本発明の第2実施形態の変形例に係るタイヤの部分拡大断面図である。
図7】本発明の第3実施形態に係るタイヤの部分拡大断面図である。
図8】本発明の第4実施形態に係るタイヤの部分拡大断面図である。
図9】本発明の第5実施形態に係るタイヤの部分拡大断面図である。
図10】本発明の第6実施形態に係るタイヤの部分拡大断面図である。
図11】スプリングアンテナ内にゴムを充填しない場合における、RFIDタグをゴムシートで挟み込む前の断面を示す図である。
図12】スプリングアンテナ内にゴムを充填しない場合における、RFIDタグをゴムシートで挟み込んだ後の断面を示す図である。
図13】スプリングアンテナ内にゴムを充填しない場合における、RFIDタグをゴムシートで挟み込んだ後の断面を示す図である。
図14】本発明の第7実施形態に係るタイヤにおける、スプリングアンテナ内にゴムを充填する前のRFIDタグを示す図である。
図15】本発明の第7実施形態に係るタイヤにおける、スプリングアンテナ内にゴムを充填した後のRFIDタグを示す図である。
図16】本発明の第7実施形態に係るタイヤにおける、ゴムシートで挟み込まれる前のRFIDタグを示す図である。
図17】本発明の第7実施形態に係るタイヤにおける、ゴムシートで挟み込まれたRFIDタグを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係るタイヤ1のタイヤ幅方向の半断面を示す図である。タイヤの基本的な構造は、タイヤ幅方向の断面において左右対称となっているため、ここでは、右半分の断面図を示す。図中、符号S1は、タイヤ赤道面である。タイヤ赤道面S1は、タイヤ回転軸に直交する面で、かつタイヤ幅方向中心に位置する面である。
ここで、タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸に平行な方向であり、図1の断面図における紙面左右方向である。図1においては、タイヤ幅方向Xとして図示されている。
そして、タイヤ幅方向内側とは、タイヤ赤道面S1に近づく方向であり、図1においては、紙面左側である。タイヤ幅方向外側とは、タイヤ赤道面S1から離れる方向であり、図1においては、紙面右側である。
また、タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸に垂直な方向であり、図1における紙面上下方向である。図1においては、タイヤ径方向Yとして図示されている。
そして、タイヤ径方向外側とは、タイヤ回転軸から離れる方向であり、図1においては、紙面上側である。タイヤ径方向内側とは、タイヤ回転軸に近づく方向であり、図1においては、紙面下側である。
図2、4、6~10についても同様である。
【0016】
タイヤ1は、例えばトラック、バス用のタイヤであり、タイヤ幅方向両側に設けられた一対のビード11と、路面との接地面を形成するトレッド12と、一対のビード11とトレッド12との間を延びる一対のサイドウォール13とを備える。
【0017】
ビード11は、ゴムが被覆された金属製のビードワイヤを複数回巻いて形成した環状のビードコア21と、ビードコア21のタイヤ径方向外側に延出している、先細り形状のビードフィラー22とを備える。ビードフィラー22は、ビードコア21の外周を覆う第1ビードフィラー221と、第1ビードフィラー221のタイヤ径方向外側に配置されている第2ビードフィラー222とにより構成されている。第2ビードフィラー222は、後述するインナーライナー29、サイドウォールゴム30よりも高いモジュラスのゴムにより構成されている。そして、第1ビードフィラー221は、第2ビードフィラー222よりもさらに高いモジュラスのゴムにより構成されている。なお、第1ビードフィラー221は、少なくともその一部がビードコア21のタイヤ径方向外側に配置されていれば、ビードコア21の外周を覆っていない態様であってもよい。また、ビードフィラー22は、一つの種類のゴムから形成されていてもよい。すなわち、第1ビードフィラー221と第2ビードフィラー222とに分かれていなくてもよい。
ビードコア21は、空気が充填されたタイヤを、図示しないホイールのリムに固定する役目を果たす部材である。ビードフィラー22は、ビード周辺部の剛性を高め、高い操縦性および安定性を確保するために設けられている部材である。
【0018】
タイヤ1の内部には、タイヤの骨格となるプライを構成するカーカスプライ23が埋設されている。カーカスプライ23は、一方のビードコアから他方のビードコアに延びている。すなわち、一対のビードコア21間を、一対のサイドウォール13およびトレッド12を通過する態様で、タイヤ1内に埋設されている。
図1に示されるように、カーカスプライ23は、一方のビードコアから他方のビードコアに延び、トレッド12とビード11との間を延在するプライ本体24と、ビードコア21の周りで折り返されているプライ折り返し部25とを備える。ここで、プライ折り返し部25の折り返し端25Aは、ビードフィラー22のタイヤ径方向外側端22Aよりもタイヤ径方向内側に位置している。
カーカスプライ23は、タイヤ幅方向に延びる複数のプライコードにより構成されている。また、複数のプライコードは、タイヤ周方向に並んで配列されている。
このプライコードは、金属製のスチールコード、あるいはポリエステルやポリアミド等の絶縁性の有機繊維コード等により構成されており、ゴムにより被覆されている。
【0019】
トレッド12において、カーカスプライ23のタイヤ径方向外側には、複数層のスチールベルト26が設けられている。スチールベルト26は、ゴムで被覆された複数のスチールコードにより構成されている。スチールベルト26を設けることにより、タイヤの剛性が確保され、トレッド12と路面の接地状態が良くなる。本実施形態においては、4層のスチールベルト26が設けられているが、積層されるスチールベルト26の枚数はこれに限らない。
【0020】
スチールベルト26のタイヤ径方向外側には、トレッドゴム28が設けられている。トレッドゴム28の外表面には、図示しないトレッドパターンが設けられており、この外表面が、路面と接触する接地面となる。
【0021】
トレッド12のタイヤ幅方向外側付近において、すなわち、スチールベルト26およびトレッドゴム28のタイヤ幅方向の端部領域において、カーカスプライ23と、スチールベルト26およびトレッドゴム28の間の領域には、パッドとしてのショルダーパッド38が設けられている。このショルダーパッド38は、サイドウォール13のタイヤ径方向外側領域まで延出しており、その一部は、後述のサイドウォールゴム30との間で界面を形成している。すなわち、サイドウォール13のタイヤ径方向外側領域において、サイドウォールゴム30のタイヤ幅方向内側に、ショルダーパッド38の一部が存在している。
換言すれば、ショルダーパッド38の延出部において、タイヤの内腔側からタイヤの外表面側に向かって、カーカスプライ23の上に、ショルダーパッド38の延出部と、サイドウォールゴム30とが順に積層されている。すなわち、カーカスプライ23の一部において、ショルダーパッド38と、サイドウォールゴム30とが積層されている。
ショルダーパッド38はクッション性を有するゴム部材からなり、カーカスプライ23とスチールベルト26との間において、クッション機能を発揮する。また、ショルダーパッド38は低発熱性の特性を有するゴムからなるため、サイドウォール13まで延出させることにより、効果的に発熱を抑制することができる。
このように、ショルダーパッド38は、カーカスプライ23のタイヤ外表面側であって、かつ、トレッドゴム28およびサイドウォールゴム30のタイヤ内腔側に配置されている。
【0022】
ビード11、サイドウォール13、トレッド12において、カーカスプライ23のタイヤ内腔側には、タイヤ1の内壁面を構成するゴム層としてのインナーライナー29が設けられている。インナーライナー29は、耐空気透過性ゴムにより構成されており、タイヤ内腔内の空気が外部に漏れるのを防ぐ。
【0023】
サイドウォール13において、カーカスプライ23のタイヤ幅方向外側には、タイヤ1の外壁面を構成するサイドウォールゴム30が設けられている。このサイドウォールゴム30は、タイヤがクッション作用をする際に最もたわむ部分であり、通常、耐疲労性を有する柔軟なゴムが採用される。
【0024】
ビード11のビードコア21周りに設けられたカーカスプライ23のタイヤ径方向内側には、カーカスプライ23の少なくとも一部を覆うように補強プライとしてのスチールチェーハー31が設けられている。スチールチェーハー31は、カーカスプライ23のプライ折り返し部25のタイヤ幅方向外側にも延在しており、そのスチールチェーハー31の端部31Aは、カーカスプライ23の折り返し端25Aよりもタイヤ径方向内側に位置している。
このスチールチェーハー31は、金属製のスチールコードにより構成された金属補強層であり、ゴムにより被覆されている。
【0025】
スチールチェーハー31のタイヤ径方向内側には、リムストリップゴム32が設けられている。このリムストリップゴム32は、タイヤの外表面に沿って配置されており、サイドウォールゴム30と連接している。このリムストリップゴム32とサイドウォールゴム30は、タイヤの外表面を構成しているゴム部材である。
【0026】
そして、スチールチェーハー31の端部31Aのタイヤ径方向外側であって、カーカスプライ23の折り返し部25およびビードフィラー22のタイヤ幅方向外側には、第1のパッド35が設けられている。この第1のパッド35は、少なくともカーカスプライ23の折り返し端25Aのタイヤ幅方向外側に設けられている。第1のパッド35のタイヤ径方向外側は、タイヤ径方向外側に向かうほど、先細りとなるように形成されている。
【0027】
さらに、第1のパッド35のタイヤ幅方向外側を覆うように、第2のパッド36が設けられている。より詳細には、スチールチェーハー31の一部、第1のパッド35、第2ビードフィラー222の一部、カーカスプライ23のプライ本体24の一部のタイヤ幅方向外側を覆うように、第2のパッド36が設けられている。
そして、第2のパッド36のタイヤ径方向外側領域におけるタイヤ幅方向外側には、サイドウォールゴム30が配置されており、第2のパッド36のタイヤ径方向内側領域におけるタイヤ幅方向外側には、リムストリップゴム32が配置されている。
換言すると、第2のパッド36は、第1のパッド35等と、タイヤの外表面を構成する部材であるリムストリップゴム32およびサイドウォールゴム30との間に設けられている。
【0028】
第1のパッド35および第2のパッド36は、パッド部材34を構成し、このパッド部材34は、ビードフィラー22のタイヤ径方向外側部分(第2ビードフィラー222)のモジュラスよりも高いモジュラスのゴムにより構成されている。
より詳細には、第2のパッド36は、第2ビードフィラー222よりも高いモジュラスのゴムにより構成されており、第1のパッド35は、第2のパッド36よりもさらに高いモジュラスのゴムにより構成されている。第1のパッド35、第2のパッド36は、カーカスプライ23の折り返し端25Aおよびスチールチェーハー31の端部31Aにおける局所的な剛性の変化点に起因する急激な歪みを緩和する機能を有する。
【0029】
ビードフィラー22とパッド部材34との間には、カーカスプライ23の折り返し端25A付近において、補強ゴムシートとしてのゴムシート37が配置されている。ゴムシート37は、カーカスプライ23の折り返し端25Aをタイヤ幅方向内側から覆うように配置されている。
ゴムシート37は、第2ビードフィラー222よりも高いモジュラスのゴムにより構成されている。より好ましくは、第1のパッド35と略等しいモジュラスのゴムにより構成されている。
【0030】
一般に、カーカスプライ23の折り返し端25Aは、応力が集中しやすい。しかしながら、上述の補強ゴムシートとしてのゴムシート37を設けることにより、応力の集中を効果的に抑えることが可能となる。
なお、本実施形態においては、パッド部材34が、第1のパッド35と第2のパッド36とにより構成されているが、パッド部材34は、一つの部材により構成されていてもよい。但し、上述のように、パッド部材34を、第1のパッド35と第2のパッド36とにより構成し、さらにゴムシート37を配置する構成を採用することにより、より効果的に応力の集中を抑えることができる。
【0031】
なお、本実施形態においては、ゴムシート37のタイヤ径方向外側端37Aの位置は、ビードフィラー22のタイヤ径方向外側端22Aよりもタイヤ径方向内側に位置している。但し、ゴムシート37のタイヤ径方向外側端37Aの位置を、ビードフィラー22のタイヤ径方向外側端22Aの位置と略一致させてもよい。
なお、ゴムシート37は、図1に示されるように、カーカスプライ23の折り返し端25Aを、タイヤ幅方向内側から覆うように配置する態様を採用することが好ましいが、カーカスプライ23の折り返し端25Aを、タイヤ幅方向外側から覆う構成を採用してもよい。この場合であっても、応力の集中を緩和することができる。
【0032】
本実施形態のタイヤ1には、電子部品としての、RFIDタグ40が埋設されている。
RFIDタグ40は、RFIDチップと、外部機器と通信を行うためのアンテナとを備えた、パッシブ型のトランスポンダであり、外部機器としての図示しないリーダとの間で無線通信を行う。アンテナとしては、コイル状のスプリングアンテナ、板状のアンテナ、棒状の各種のアンテナが用いられる。例えば、フレキシブル基板に対して所定のパターンをプリントすることによって形成したアンテナであってもよい。アンテナは、使用する周波数帯域等に応じて、最適化されたアンテナ長さに設定されている。RFIDチップ内の記憶部には、製造番号、部品番号等の識別情報が格納されている。
【0033】
図2は、図1のタイヤ1における、RFIDタグ40の埋設部周辺を示す拡大断面図である。
RFIDタグ40(後述の保護部材43によって少なくとも一部が覆われた状態を含む)は、タイヤ1を構成する少なくとも3つのタイヤ構成部材の交わる位置に配置されている。具体的には、複数のタイヤ構成部材は、ゴム部材と、繊維部材を含んでおり、RFIDタグ40は、少なくとも1つの繊維部材を含む少なくとも3つのタイヤ構成部材の交わる位置に配置されている。より詳細には、RFIDタグ40は、少なくとも1つの繊維部材と、少なくとも1つのゴム部材を含む、少なくとも3つのゴム部材の交わる位置に配置されている。ここで、タイヤ1を構成する繊維部材には、ゴムにより被覆されている繊維部材を含み、例えば、カーカスプライ23、スチールベルト26、スチールチェーハー31等が含まれる。
本実施形態のタイヤ1は、繊維部材としてのカーカスプライ23と、カーカスプライ23のタイヤ径方向外側に配置される繊維部材としてのスチールベルト26と、タイヤ幅方向外側領域においてカーカスプライ23とスチールベルト26の間に配置されているゴム部材としてのショルダーパッド38と、を備えており、RFIDタグ40は、カーカスプライ23と、スチールベルト26と、ショルダーパッド38の交わる位置に配置されている。すなわち、本実施形態においては、RFIDタグ40は、2つの繊維部材を含む3つのタイヤ構成部材の交わる位置に配置されている。
【0034】
より好ましくは、RFIDタグ40は後述する被覆ゴムシートからなる保護部材43によって一体的に被覆されており、この保護部材43が、2つの繊維部材を含む3つのタイヤ構成部材の交わる位置に配置される。具体的には、この保護部材43が、カーカスプライ23とスチールベルト26に挟まれつつ、タイヤ幅方向外側においては、ショルダーパッド38と接触している。
【0035】
ここで、カーカスプライ23と、スチールベルト26と、ショルダーパッド38はそれぞれ、円環状のタイヤ1を構成する円環状のタイヤ構成部材である。そして、RFIDタグ40を保持する保護部材43は、カーカスプライ23と、スチールベルト26と、ショルダーパッド38と接触するように配置されている。
【0036】
RFIDタグ40をこのような位置に配置すれば、RFIDタグ40が、カーカスプライ23と、スチールベルト26と、ショルダーパッド38によって囲まれるため、タイヤ変形時のRFIDタグ40の動きを効果的に抑制し、RFIDタグ40を好適に保護することができる。また、本実施形態においては、RFIDタグ40がカーカスプライ23とスチールベルト26に挟まれつつ、タイヤ幅方向外側においては、ショルダーパッド38と接触しているため、2つの繊維部材によりRFIDタグを強固に保護しつつ、発生した応力は、接触しているゴム部材であるショルダーパッド38の存在により緩和することが可能となる。
【0037】
また、3つの部材の交わる位置をRFIDタグ40の配置位置の基準とすることで、RFIDタグ40の配置位置のばらつきが低減する。これにより、RFIDタグ40が好ましくない位置に間違って配置される可能性も減少し、RFIDタグ40の機能を適切に保つことができる。
【0038】
また、このような位置であれば、RFIDタグ40を、スチールベルト26の端部26Aからタイヤ幅方向内側に極力離れた位置に配置することができるため、スチールベルト26の端部26Aの周辺において発生する応力の影響を受けにくい。
【0039】
なお、ショルダーパッド38は、クッション性を有する。よって、この部分にRFIDタグ40を配置すれば、RFIDタグ40の周辺に生じる歪を吸収することができる。
また、ショルダーパッドは低発熱性である。よって、このような位置に設けられたRFIDタグ40は、使用時におけるゴムの発熱による影響を受けにくい。
これらの点を考慮しても、カーカスプライ23と、スチールベルト26と、ショルダーパッド38の交わる位置は、RFIDタグ40の埋設位置として好適である。
【0040】
さらに、RFIDタグ40がカーカスプライ23と、スチールベルト26と、ショルダーパッド38の交わる位置に配置されていれば、リトレッドを行う場合においても、RFIDタグ40が除去されることがない。すなわち、リトレッドにおいて除去される部分はトレッドゴム28のうち、少なくともスチールベルト26よりもタイヤ径方向外側であるため、RFIDタグ40をカーカスプライ23と、スチールベルト26と、ショルダーパッド38の交わる位置に配置しておけば、RFIDタグ40が除去されることはなく、継続して使用可能である。この点でも、カーカスプライ23と、スチールベルト26と、ショルダーパッド38の交わる位置は、RFIDタグ40の埋設位置として好適である。
【0041】
なお、ショルダーパッド38のモジュラスを基準とすると、サイドウォールゴム30は、ショルダーパッド38の0.4~0.7倍のモジュラスとすることが好ましい。また、トレッドゴム28は、ショルダーパッド38の0.4~0.9倍のモジュラスとすることが好ましい。
このようなモジュラスとすることで、タイヤとしての柔軟性と剛性のバランスを保つことができる。
なお、モジュラスは、JIS K6251:2010の「3.7 所定伸び引張り応力(stress at a given elongation),S」に準拠して測定された、23℃の雰囲気下における100%伸長モジュラス(M100)を指す。
【0042】
ここで、RFIDタグ40は、保護部材43を構成する被覆ゴムシート431、432によって被覆されている。
この点について、図3A~3Cを参照しながら説明する。
【0043】
図3Aは、ゴムシートにより構成される保護部材43によって被覆された、RFIDタグ40を示す図である。図3Aでは、RFIDタグ40は後述する被覆ゴムシート431に覆われて隠れている。図3B図3Aのb-b断面図、図3C図3Aのc-c断面図である。
【0044】
RFIDタグ40は、RFIDチップ41と、外部機器と通信を行うためのアンテナ42とを備えている。アンテナ42としては、コイル状のスプリングアンテナ、板状のアンテナ、棒状の各種のアンテナが用いられる。例えば、フレキシブル基板に対して所定のパターンをプリントすることによって形成したアンテナであってもよい。通信性をおよび柔軟性を考慮すると、コイル状のスプリングアンテナが最も好ましい。アンテナは、使用する周波数帯域等に応じて、最適化されたアンテナ長さに設定されている。
【0045】
保護部材43は、RFIDタグ40を挟み込んで保護する2枚の被覆ゴムシート431、432により構成されている。
【0046】
保護部材43は、例えば所定のモジュラスのゴムにより構成されている。
ここで、モジュラスは、JIS K6251:2010の「3.7 所定伸び引張り応力(stress at a given elongation),S」に準拠して測定された、23℃の雰囲気下における100%伸長モジュラス(M100)を指す。
【0047】
保護部材43に採用するゴムとしては、少なくともサイドウォールゴム30よりもモジュラスが高いゴムを用いる。例えば、サイドウォールゴム30よりもモジュラスが高く、かつショルダーパッド38よりもモジュラスが低いゴムを用いる。
【0048】
例えば、保護部材43に用いられるゴムとしては、サイドウォールゴム30のモジュラスを基準として、その1.1倍~1.8倍のモジュラスのゴムを用いることがより好ましい。このとき、ショルダーパッド38のゴムとしては、サイドウォールゴムの1.6~3倍のモジュラスのゴム、例えば2倍程度のモジュラスのゴムを用いてもよい。
なお、RFIDタグ40の保護の強化を重視すれば、保護部材43に用いられるゴムとして、ショルダーパッド38よりも高いモジュラスのゴムを採用してもよい。
【0049】
また、保護部材43を、短繊維フィラー混合ゴムにより構成してもよい。短繊維フィラーとしては、例えば、アラミド短繊維やセルロース短繊維といった有機短繊維、アルミナ短繊維等のセラミックス短繊維やガラス短繊維といった無機短繊維のような、絶縁性の短繊維を用いることができる。ゴムにこのような短繊維フィラーを混合することにより、ゴムの強度を高めることができる。
また、保護部材43として、加硫後の状態のゴムシートを用いてもよい。加硫後の状態のゴムシートは、生ゴムのように塑性変形しないため、RFIDタグ40を適切に保護することができる。但し、製造工程時における貼り付け作業性や、加硫時における他のゴム部材との一体化によるゴム構造体の安定化を考慮すれば、保護部材43として、加硫前の状態の所定の厚みのゴムシートを用いることがより好ましい。
【0050】
また、保護部材43として、ポリエステル繊維やポリアミド繊維等による有機繊維層を設けてもよい。2枚の被覆ゴムシート431、432に、有機繊維層を埋設することも可能である。
【0051】
次に、タイヤ1の製造工程について説明する。
保護部材43により被覆されたRFIDタグ40は、タイヤの製造工程において、加硫工程の前に取り付けられている。
本実施形態におけるタイヤ1の製造工程においては、RFIDタグ40を被覆している保護部材43を、カーカスプライ23に貼り付ける。
【0052】
その後、ショルダーパッド38を、カーカスプライ23に貼り付ける。このとき、RFIDタグ40を被覆している保護部材43の位置と、ショルダーパッド38のタイヤ幅方向内側端38Aの位置がほぼ一致するように、保護部材43とショルダーパッド38の貼り付け位置は位置決めされている。ここで、ショルダーパッド38のタイヤ幅方向内側端38A付近における、保護部材43と重なる位置は、部分的に除去してもよい。
なお、カーカスプライ23にショルダーパッド38を貼り付けた後、RFIDタグ40を、タイヤ幅方向断面視(図1図2参照)における端部が先細り形状のショルダーパッド38のタイヤ幅方向内側端38Aを押え付けるように貼り付けてもよい。このとき、RFIDタグ40を被覆している保護部材を、カーカスプライ23とショルダーパッド38の境界部に、カーカスプライ23とショルダーパッド38を跨ぐように貼り付けてもよい。
【0053】
さらにその後、カーカスプライ23、ショルダーパッド38のタイヤ径方向外側を覆うようにスチールベルト26が貼り付けられる。これにより、保護部材43に被覆されたRFIDタグ40は、2つの繊維部材を含む3つのタイヤ構成部材、具体的には、カーカスプライ23と、スチールベルト26と、ショルダーパッド38の交わる位置に配置される。
【0054】
このとき、カーカスプライ23の被覆ゴムと、スチールベルト26の被覆ゴムと、ショルダーパッド38は加硫前の生ゴムの状態であるため、その粘着性を利用して、保護部材43により被覆された保護部材43と、これらの部材とを貼り付けてもよい。あるいは、粘着性が低い場合などにおいては、接着剤等を用いて貼り付けてもよい。
【0055】
このようにしてタイヤを構成する各ゴム部材等が組み付けられ、生タイヤが形成される。
その後、RFIDタグ40を含む各構成部材が組み付けられた生タイヤを、加硫工程において加硫し、タイヤを製造する。
【0056】
このように、本実施形態においては、タイヤ製造時において、生ゴム状態のカーカスプライ23の被覆ゴム等に保護部材43により被覆されたRFIDタグ40を貼り付けることができるため、タイヤの製造工程におけるRFIDタグ40の組み付け作業が容易である。特に、カーカスプライ23はある程度の剛性を有しているため、保護部材43により被覆されたRFIDタグ40の取り付け作業が容易である。
【0057】
また、保護部材43を、2枚の被覆ゴムシート431、432によって構成すれば、保護部材43を含むRFIDタグ40を薄く形成できるので、タイヤ1に埋設する上で好適である。また、加硫前のタイヤ1の構成部材にRFIDタグ40を組み付けるときにおいて、被覆ゴムシートによって被覆されたRFIDタグ40は、非常に簡便に装着することができる。
例えば、加硫前の複数のゴム部材の境界部といった部材の所望の位置に、被覆ゴムシート431、432によって被覆されたRFIDタグ40を、生ゴムの粘着性を利用して適切に貼り付けることができる。また、被覆ゴムシート431、432も加硫前の生ゴムとすることにより、被覆ゴムシート自身の粘着性も用いて、より簡便に貼り付けることができる。
【0058】
ただし、保護部材43は、2枚の被覆ゴムシートによって構成される態様に限らず、種々の態様を採用することができる。例えば、保護部材を構成する被覆ゴムシートは、RFIDタグ40の少なくとも一部を覆っていれば、製造工程における作業性の向上や応力緩和などの効果が得られる。よって、RFIDタグ40の片面のみを、保護部材としての1枚の被覆ゴムシート431により覆う構成を採用してもよい。
また、例えば、RFIDタグ40の全周に亘って1枚のゴムシートを巻き付ける構成や、RFIDタグ40の全周に亘って、粘度の高いポッティング剤の態様の保護部材を付着させた構成であってもよい。このような被覆ゴムによる構成であっても、RFIDタグ40を適切に保護することができる。
【0059】
なお、保護部材43に被覆されたRFIDタグ40は、アンテナが伸びる方向、すなわち長手方向が、例えばタイヤ1の周方向に対して接線の方向、すなわち図1~2の断面図において紙面に直交する方向となるように、タイヤ1に埋設されている。また、被覆ゴムシート431、432は、タイヤ径方向に並ぶような態様で、タイヤ1に埋設される。すなわち、製造工程において、被覆ゴムシート431、432のいずれか一方の一面が、加硫前のタイヤ1の構成部材、例えばカーカスプライ23に貼り付けられる。そして、保護部材43に覆われているRFIDタグ40は、カーカスプライ23とスチールベルト26との間に配置される。
このような態様とすることで、タイヤ1が変形したときにおいても、RFIDタグ40に応力がかかりにくい。また、製造工程において、保護部材43に被覆されたRFIDタグ40を取り付ける作業が簡便となる。
【0060】
なお、RFIDタグ40は、上述のような保護部材43により被覆された状態で、カーカスプライ23と、スチールベルト26と、ショルダーパッド38の交わる位置に配置することが好ましいが、保護部材43により被覆することなく、直接カーカスプライ23と、スチールベルト26と、ショルダーパッド38の交わる位置に配置してもよい。
無被覆のRFIDタグ40を直接カーカスプライ23と、スチールベルト26と、ショルダーパッド38の交わる位置に配置すれば、RFIDタグ40が配置される部分のゴム部材の厚みの変動が低減し、タイヤのユニフォミティが向上する。また、このような位置にRFIDタグ40を埋設する作業において、埋設する物体の体積が小さい分、空気の除去も容易となる。また、RFIDタグ40を保護部材で覆う工程が無くなることにより、作業時間が短縮する。
【0061】
なお、本実施形態においては、電子部品として、RFIDタグ40がタイヤに埋設されているが、タイヤに埋設される電子部品は、RFIDタグに限らない。例えば、無線通信を行うセンサ等の各種の電子部品であってもよい。また、電子部品は、電気信号の送受信等、電気的な情報を扱うことから、近傍に金属部品が存在することにより性能が低下する可能性がある。また、電子部品は、過度な応力がかかることにより、破損する可能性がある。よって、種々の電子部品をタイヤに埋設する場合においても、本発明の効果を得ることができる。例えば電子部品は、圧電素子や、歪センサであってもよい。
【0062】
本実施形態のタイヤ1によれば、以下の効果を奏する。
【0063】
(1)本実施形態に係るタイヤ1は、タイヤを構成する複数のタイヤ構成部材と、電子部品としてのRFIDタグ40と、を備え、複数のタイヤ構成部材は、ゴム部材と、繊維部材を含み、少なくとも1つの繊維部材を含む少なくとも3つタイヤ構成部材の交わる位置に、RFIDタグ40が配置されている。
これにより、タイヤ変形時のRFIDタグ40の動きを効果的に抑制し、RFIDタグ40を好適に保護することができる。また、3つの部材の交わる位置をRFIDタグ40の配置位置の基準とすることで、RFIDタグ40の配置位置のばらつきが低減する。これにより、RFIDタグ40が好ましくない位置に間違って配置される可能性も減少し、RFIDタグ40の機能を適切に保つことができる。
【0064】
(2)本実施形態に係るタイヤ1の1つの繊維部材を含む3つタイヤ構成部材はそれぞれ、円環状に形成された円環状部材である。
このように、3つのタイヤ構成部材が、円環状のタイヤ1を構成する円環状部材であっても、上述の効果を得ることができる。
【0065】
(3)本実施形態に係るタイヤ1のRFIDタグ40は、少なくとも2つの繊維部材を含む少なくとも3つのタイヤ構成部材の交わる位置に、RFIDタグ40が配置されている。
これにより、2つの繊維部材によりRFIDタグを強固に保護することが可能となる。
【0066】
(4)本実施形態に係るタイヤ1の繊維部材は、カーカスプライ23と、カーカスプライ23のタイヤ径方向外側に配置されるスチールベルト26を含み、ゴム部材は、タイヤ幅方向外側部においてカーカスプライ23とスチールベルト26の間に配置されるショルダーパッド38を含み、カーカスプライ23と、スチールベルト26と、ショルダーパッド38の交わる位置に、RFIDタグ40が配置されている。
このような構成であれば、カーカスプライ23、スチールベルト26といった2つの繊維部材によりRFIDタグ40を強固に保護しつつ、発生した応力は、ゴム部材であるショルダーパッド38の存在により緩和することが可能となる。
【0067】
(5)本実施形態に係るタイヤ1のRFIDタグ40は、少なくとも一部が被覆ゴムシート431、432に被覆されており、RFIDタグ40を被覆した被覆ゴムシート431、432が、少なくとも1つの繊維部材を含む少なくとも3つのタイヤ構成部材の交わる位置に配置されている。
これにより、加硫前のタイヤ1の構成部材に、RFIDタグ40を簡便に装着することができる。
【0068】
(6)本実施形態に係るタイヤ1のRFIDタグ40は、少なくとも1つの繊維部材と、少なくとも1つのゴム部材を含む少なくとも3つのタイヤ構成部材の交わる位置に、RFIDタグ40が配置されている。
これにより、繊維部材によりRFIDタグ40を強固に保護しつつ、発生した応力は、ゴム部材の存在により緩和することが可能となる。
【0069】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係るタイヤについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、また詳細な説明を省略する。
【0070】
図4は、本実施形態のタイヤ1における、RFIDタグ40の埋設部周辺を示す拡大断面図である。
図4に示されるように、RFIDタグ40(保護部材43によって少なくとも一部が覆われた状態を含む)は、1つの繊維部材を含む3つのタイヤ構成部材の交わる位置に配置されている。より具体的には、本実施形態のタイヤ1は、繊維部材としてのカーカスプライ23と、カーカスプライ23のタイヤ外表面側に配置されるゴム部材としてのショルダーパッド38と、カーカスプライ23およびショルダーパッド38のタイヤ外表面側に配置されているゴム部材としてのサイドウォールゴム30と、を備えており、RFIDタグ40は、カーカスプライ23と、ショルダーパッド38と、サイドウォールゴム30の交わる位置に配置されている。
【0071】
そして、本実施形態においても、より好ましくは、RFIDタグ40は被覆ゴムシートからなる保護部材43によって被覆されており、この保護部材43が、1つの繊維部材を含む3つのタイヤ構成部材の交わる位置に配置される。具体的には、この保護部材43は、カーカスプライ23とショルダーパッド38の境界部において、カーカスプライ23とショルダーパッド38の境界部を跨ぐように配置されている。すなわち、この保護部材43は、タイヤ幅方向断面視(図4参照)における端部が先細り形状のショルダーパッド38のタイヤ径方向内側端38Bを押え付けるように貼り付けられている。そして、この保護部材43は、サイドウォールゴム30によってタイヤ外表面側が覆われている。
【0072】
ここで、カーカスプライ23と、ショルダーパッド38と、サイドウォールゴム30はそれぞれ、円環状のタイヤ1を構成する円環状のタイヤ構成部材である。そして、RFIDタグ40を保持する保護部材43は、カーカスプライ23と、ショルダーパッド38と、サイドウォールゴム30と面接触するように配置されている。
【0073】
RFIDタグ40をこのような位置に配置しても、RFIDタグ40が、カーカスプライ23と、ショルダーパッド38と、サイドウォールゴム30によって囲まれるため、タイヤ変形時のRFIDタグ40の動きを効果的に抑制し、RFIDタグ40を好適に保護することができる。また、本実施形態においては、RFIDタグ40がカーカスプライ23に保持されつつ、ショルダーパッド38、サイドウォールゴム30と接触しているため、繊維部材によりRFIDタグ40の動きを効果的に抑制しつつ、発生した応力は、接触しているゴム部材であるショルダーパッド38、サイドウォールゴム30の存在により緩和することが可能となる。そして、複数のタイヤ構成部材の境界部、本実施形態においては、カーカスプライ23とショルダーパッド38の境界部BをRFIDタグ40の配置位置の基準とすることで、RFIDタグ40の配置位置のばらつきが低減する。これにより、RFIDタグ40が応力や歪等の面から好ましくない位置に間違って配置される可能性も減少し、RFIDタグ40の機能を適切に保つことができる。
【0074】
また、RFIDタグ40をショルダ部、すなわちサイドウォールのタイヤ径方向外側付近に配置することで、RFIDタグ40を、通信に対して悪影響をおよぼす可能性のある、金属製のビードコア21から十分離れた位置に配置することができる。ここで、ビードコア21は、金属製のビードワイヤを積層巻回して環状に形成されていることから、通信に対して悪影響をおよぼす可能性が特に高い金属部材である。
また、通信品質を考慮すれば、RFIDタグ40は、できるだけタイヤ1の外表面に近い部分に配置することが好ましい。仮に、RFIDタグ40をカーカスプライ23の内腔側に配置すると、タイヤ1の外表面からの離れるため、通信品質が落ちる。さらに、カーカスプライ23が金属である場合、RFIDタグ40をカーカスプライ23の内腔側に配置すると、通信品質は顕著に低下する。
これらの点を考慮すると、カーカスプライ23と、ショルダーパッド38と、サイドウォールゴム30の交わる位置は、RFIDタグ40の埋設位置として好適である。
【0075】
また、タイヤの製造工程中にRFIDタグ40を埋め込むことを考慮すれば、タイヤを構成する3つのタイヤ構成部材の交わる位置にRFIDタグ40を配置することが好ましい。例えば、巻回されるリボン状のゴム部材の積層間にRFIDタグ40を挟み込む場合、RFIDタグ40をリボン状のゴム部材に貼り付けるタイミングなどが煩雑となる。また、RFIDタグ40を単に2つのゴム部材の間に挟むようにして配置する場合は、その配置位置の基準を設定することが難しく、電気部品の配置位置がばらつく可能性がある。その一方、本実施形態のように、3つのタイヤ構成部材の交わる位置に配置するのであれば、タイヤの成型工程において、精度よくRFIDタグ40を、繊維部材により構成される第1タイヤ構成部材(本実施形態においては、カーカスプライ23)とゴム部材により構成される第2タイヤ構成部材(本実施形態においては、ショルダーパッド38)の境界部に貼り付けた上で、第3タイヤ構成部材(本実施形態においては、サイドウォールゴム30)をそれに重ね合わせて、RFIDタグ40を挟み込む事ができる。
これらの点を考慮しても、カーカスプライ23と、ショルダーパッド38と、サイドウォールゴム30の交わる位置は、RFIDタグ40の埋設位置として好適である。
【0076】
なお、ショルダーパッド38は、クッション性を有する。よって、この部分にRFIDタグ40を配置すれば、RFIDタグ40の周辺に生じる歪を吸収することができる。
また、ショルダーパッドは低発熱性である。よって、このような位置に設けられたRFIDタグ40は、使用時におけるゴムの発熱による影響を受けにくい。
これらの点を考慮しても、カーカスプライ23と、ショルダーパッド38と、サイドウォールゴム30の交わる位置は、RFIDタグ40の埋設位置として好適である。
【0077】
さらに、RFIDタグ40がカーカスプライ23と、ショルダーパッド38と、サイドウォールゴム30の交わる位置に配置されていれば、リトレッドを行う場合においても、RFIDタグ40が除去されることがない。すなわち、リトレッドにおいて除去される部分はトレッドゴム28のうち、少なくともスチールベルト26よりもタイヤ径方向外側であるため、RFIDタグ40をカーカスプライ23と、ショルダーパッド38と、サイドウォールゴム30の交わる位置に配置しておけば、RFIDタグ40が除去されることはなく、継続して使用可能である。この点でも、カーカスプライ23と、ショルダーパッド38と、サイドウォールゴム30の交わる位置は、RFIDタグ40の埋設位置として好適である。
【0078】
次に、タイヤ1の製造工程について説明する。
図5Aは、製造工程中における保護部材43の周辺部を、タイヤ幅方向外側から見たときの図であり、カーカスプライ23とショルダーパッド38の境界部Bに、RFIDタグ40を被覆している保護部材43を貼り付けたときの図である。
【0079】
保護部材43により被覆されたRFIDタグ40は、タイヤの製造工程において、加硫工程の前に取り付けられている。
図5Aに示すように、本実施形態におけるタイヤ1の製造工程においては、RFIDタグ40を被覆している保護部材43を、カーカスプライ23とショルダーパッド38の境界部Bにおいて、カーカスプライ23とショルダーパッド38を跨ぐように貼り付ける。すなわち、タイヤ幅方向断面視(図4参照)における端部が先細り形状のショルダーパッド38のタイヤ径方向内側端38Bを押え付けるように、この保護部材43を貼り付ける。保護部材43をこのような位置に貼り付けることにより、タイヤ構成部材間の接合、具体的には、カーカスプライ23とショルダーパッド38の接合を部分的に補助することができる。
【0080】
また、複数のゴム部材間の境界部、本実施形態においては、カーカスプライ23とショルダーパッド38の境界部BをRFIDタグ40の配置位置の基準とすることで、RFIDタグ40の配置位置のばらつきが低減する。これにより、RFIDタグ40が応力や歪等の面から好ましくない位置に間違って配置される可能性も減少し、RFIDタグ40の機能を適切に保つことができる。
【0081】
その後、図5Aにおいては不図示のサイドウォールゴム30(図4参照)を、カーカスプライ23とショルダーパッド38の境界部Bに貼り付けられた保護部材43を覆うように貼り付ける。これにより、保護部材43に被覆されたRFIDタグ40は、タイヤ1を構成する少なくとも3つのタイヤ構成部材の交わる位置、本実施形態においては、カーカスプライ23と、ショルダーパッド38と、サイドウォールゴム30の交わる位置に配置される。
【0082】
このとき、カーカスプライ23の被覆ゴムと、ショルダーパッド38と、サイドウォールゴム30は加硫前の生ゴムの状態であるため、その粘着性を利用して、保護部材43により被覆された保護部材43をこれらの部材に貼り付けてもよい。あるいは、粘着性が低い場合などにおいては、接着剤等を用いて貼り付けてもよい。
【0083】
このようにしてタイヤを構成する各ゴム部材等が組み付けられ、生タイヤが形成される。
その後、RFIDタグ40を含む各構成部材が組み付けられた生タイヤを、加硫工程において加硫し、タイヤを製造する。
【0084】
このように、本実施形態においては、タイヤ製造時において、生ゴム状態のカーカスプライ23の被覆ゴムおよびショルダーパッド38に、保護部材43により被覆されたRFIDタグ40を貼り付けることができるため、タイヤの製造工程におけるRFIDタグ40の組み付け作業が容易である。特に、カーカスプライ23はある程度の剛性を有しているため、保護部材43により被覆されたRFIDタグ40の取り付け作業が容易である。
【0085】
なお、タイヤ1の製造工程の変形例として、以下のような製造工程を採用してもよい。
すなわち、サイドウォールゴム30側に、RFIDタグ40が被覆している保護部材43を貼り付け、その後、保護部材43が貼り付けられているサイドウォールゴム30を、カーカスプライ23およびショルダーパッド38に貼り付ける。ここで、サイドウォールゴム30をカーカスプライ23およびショルダーパッド38に貼り付けたときに、保護部材43がカーカスプライ23とショルダーパッド38の境界部Bに配置されるように、保護部材43をサイドウォールゴム30に貼り付けておく。
このような工程を採用した場合であっても、保護部材43により被覆されたRFIDタグ40は、タイヤ1を構成する少なくとも3つのタイヤ構成部材の交わる位置、すなわち、カーカスプライ23と、ショルダーパッド38と、サイドウォールゴム30の交わる位置に配置される。よって、タイヤ変形時のRFIDタグ40の動きを効果的に抑制し、RFIDタグ40を好適に保護することができる。
【0086】
なお、保護部材43に被覆されたRFIDタグ40は、アンテナが伸びる方向、すなわち長手方向が、例えばタイヤ1の周方向に対して接線の方向、すなわち図4の断面図において紙面に直交する方向となるように、タイヤ1に埋設されている。
ここで、RFIDタグ40の取り付け工程においては、複数のゴム部材の境界部、本実施形態においては、図5Aに示される、カーカスプライ23とショルダーパッド38の境界部Bの円周形状(ショルダーパッド38のタイヤ径方向内側端38Bの内周形状)を基準とすることにより、保護部材43に被覆されたRFIDタグ40を上述の方向に簡単に配置することができる。すなわち、図5Aに示されるように、境界部Bの円周形状を基準として、RFIDタグ40を被覆した被覆ゴムシート431、432の長手方向を、境界部Bの円周形状の接線方向と略一致するように貼り付けてもよい。
【0087】
図5Bは、製造工程の変形例を示す図であり、カーカスプライ23とショルダーパッド38の境界部Bの円周形状に沿うように、RFIDタグ40を被覆した被覆ゴムシート431、432を曲げながら貼り付けた場合を示す図である。このとき、生ゴムによって形成された被覆ゴムシート431、432は、境界部Bの円周方向に沿うように変形させながら貼り付けることも可能である。RFIDタグ40のアンテナとして、柔軟なコイル状のスプリングアンテナなどを用いて、被覆ゴムシート431、432の変形に追従して、アンテナも変形するような態様としてもよい。
これらの方法により、特別な目印を付与することもなく、保護部材43に被覆されたRFIDタグ40を上述の方向に簡単かつ正確に配置することができる。
【0088】
図5Cは、保護部材の変形例としての、円環状のゴムシート50を示す図である。例えば、2枚の円環状の被覆ゴムシートにより、RFIDタグ40を挟み込み、保護部材を構成する。この場合は、カーカスプライ23とショルダーパッド38の境界部Bの全周を、円環状のゴムシート50によって覆う態様とすることが好ましい。これにより、ゴム部材間の接合、具体的には、カーカスプライ23とショルダーパッド38の接合を全体的に補助することができる。
【0089】
図6に、本実施形態のタイヤ1の変形例を示す。
図6に示す第1変形例においては、RFIDタグ40を被覆している保護部材43は、カーカスプライ23と、第2のパッド36と、サイドウォールゴム30の交わる位置に配置されている。そして、本変形例においては、RFIDタグ40を被覆している保護部材43が、カーカスプライ23と第2のパッド36の境界部において、カーカスプライ23と第2のパッド36を跨ぐように配置されている。すなわち、タイヤ幅方向断面視(図6)における端部が先細り形状の第2のパッド36のタイヤ径方向外側端36Aをタイヤ外表面側から押え付けるように、保護部材43が貼り付けられている。そして、保護部材43は、サイドウォールゴム30によってタイヤ外表面側が覆われている。
RFIDタグ40をこのような位置に配置しても、RFIDタグ40が複数のタイヤ構成部材、具体的には、カーカスプライ23、第2のパッド36、サイドウォールゴム30によって囲まれるため、タイヤ変形時のRFIDタグ40の動きを効果的に抑制し、RFIDタグ40を好適に保護することができる。そして、複数のタイヤ構成部材の境界部、本変形例においては、カーカスプライ23と第2のパッド36の境界部をRFIDタグ40の配置位置の基準とすることで、RFIDタグ40の配置位置のばらつきが低減する。これにより、RFIDタグ40が応力や歪等の面から好ましくない位置に間違って配置される可能性も減少し、RFIDタグ40の機能を適切に保つことができる。
【0090】
本実施形態のタイヤ1によれば、上記(1)~(2)、(5)に加えて以下の効果を奏する。
【0091】
(7)本実施形態に係るタイヤ1の3つのタイヤ構成部材は、繊維部材により構成される第1タイヤ構成部材としてのカーカスプライ23と、第1タイヤ構成部材上の一部を覆うように配置された、タイヤ幅方向断面視における端部が先細り形状のゴム部材により構成される第2タイヤ構成部材としてのショルダーパッド38または第2のパッド36と、少なくとも繊維部材とゴム部材の境界部を覆う第3タイヤ構成部材としてのサイドウォールゴム30と、を備え、被覆ゴムシートは、第1タイヤ構成部材と第2タイヤ構成部材の境界部において、第1タイヤ構成部材と第2タイヤ構成部材を跨ぐように配置され、かつ第3タイヤ構成部材に覆われている。
これにより、第1タイヤ構成部材と第2タイヤ構成部材の接合、本実施形態においては、第1タイヤ構成部材としてのカーカスプライ23と第2タイヤ構成部材としてのショルダーパッド38または第2のパッド36の接合を補助することができる。
【0092】
(8)本実施形態に係るタイヤ1を製造する製造方法は、被覆ゴムシート431、432を、第1タイヤ構成部材と第2タイヤ構成部材の境界部において、第1タイヤ構成部材と第2タイヤ構成部材を跨ぐように貼り付ける工程と、第3タイヤ構成部材を、第1タイヤ構成部材と第2タイヤ構成部材の境界部に貼り付けられた被覆ゴムシート431、432を覆うように貼り付ける工程と、を含む。
これにより、第1タイヤ構成部材と第2タイヤ構成部材の接合、本実施形態においては、第1タイヤ構成部材としてのカーカスプライ23と第2タイヤ構成部材としてのショルダーパッド38または第2のパッド36の接合を補助することができる。
【0093】
(9)本実施形態に係るタイヤ1のRFIDタグ40は、1つの繊維部材と、2つのゴム部材を含む少なくとも3つのタイヤ構成部材の交わる位置に、RFIDタグ40が配置されている。
これにより、繊維部材によりRFIDタグ40の動き効果的に抑制しつつ、発生した応力は、2つのゴム部材の存在により緩和することが可能となる。
【0094】
(10)本実施形態に係るタイヤ1は、繊維部材としてのカーカスプライ23と、ゴム部材としてのショルダーパッド38と、ゴム部材としてのサイドウォールゴム30の交わる位置に、RFIDタグ40が配置されている。
これにより、繊維部材によりRFIDタグ40の動き効果的に抑制しつつ、発生した応力は、接触しているゴム部材であるショルダーパッド38、サイドウォールゴム30の存在により緩和することが可能となる。そして、カーカスプライ23とショルダーパッド38の境界部BをRFIDタグ40の配置位置の基準とすることで、RFIDタグ40の配置位置のばらつきが低減する。
【0095】
(11)本実施形態に係るタイヤ1は、繊維部材としてのカーカスプライ23と、ゴム部材としての第2のパッド36と、ゴム部材としてのサイドウォールゴム30の交わる位置に、RFIDタグ40が配置されている。
これにより、繊維部材によりRFIDタグ40の動き効果的に抑制しつつ、発生した応力は、ゴム部材である第2のパッド36、サイドウォールゴム30の存在により緩和することが可能となる。そして、カーカスプライ23と第2のパッド36の境界部BをRFIDタグ40の配置位置の基準とすることで、RFIDタグ40の配置位置のばらつきが低減する。
【0096】
(12)本実施形態に係るタイヤ1は、RFIDタグ40が、円環状のゴムシート50により被覆されており、円環状の第1タイヤ構成部材と円環状の第2タイヤ構成部材の境界部を、全周に亘って円環状のゴムシート50が覆う。
これにより、第1タイヤ構成部材と第2タイヤ構成部材の間の接合を全体的に補助することができる。例えば、第1タイヤ構成部材としてのカーカスプライ23と第2タイヤ構成部材としてのショルダーパッド38または第2のパッド36の接合を全体的に補助することができる。
【0097】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係るタイヤについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、第1~第2実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、また詳細な説明を省略する。
【0098】
図7は、本実施形態のタイヤ1における、RFIDタグ40の埋設部周辺を示す拡大断面図である。
図7に示されるように、RFIDタグ40(保護部材43によって少なくとも一部が覆われた状態を含む)は、1つの繊維部材を含む3つのタイヤ構成部材の交わる位置に配置されている。例えば、本実施形態のタイヤ1は、繊維部材としてのカーカスプライ23と、カーカスプライ23のタイヤ外表面側に配置されるゴム部材としての第2ビードフィラー222と、カーカスプライ23および第2ビードフィラー222のタイヤ外表面側に配置されているゴム部材としての第2のパッド36と、を備えており、RFIDタグ40は、カーカスプライ23と、第2ビードフィラー222と、第2のパッド36の交わる位置に配置されている。
【0099】
そして、本実施形態においても、より好ましくは、RFIDタグ40は被覆ゴムシートからなる保護部材43によって被覆されており、この保護部材43が、1つの繊維部材を含む3つのタイヤ構成部材の交わる位置に配置される。具体的には、この保護部材43は、カーカスプライ23と第2ビードフィラー222の境界部において、カーカスプライ23と第2ビードフィラー222の境界部を跨ぐように配置されている。すなわち、この保護部材43は、タイヤ幅方向断面視(図7参照)における端部が先細り形状の第2ビードフィラー222のタイヤ径方向外側端22Aを押え付けるように貼り付けられている。そして、この保護部材43は、第2のパッド36によってタイヤ外表面側が覆われている。
【0100】
ここで、カーカスプライ23と、第2ビードフィラー222と、第2のパッド36はそれぞれ、円環状のタイヤ1を構成する円環状のタイヤ構成部材である。そして、RFIDタグ40を保持する保護部材43は、カーカスプライ23と、第2ビードフィラー222と、第2のパッド36と面接触するように配置されている。
【0101】
RFIDタグ40をこのような位置に配置しても、RFIDタグ40が、カーカスプライ23と、第2ビードフィラー222と、第2のパッド36によって囲まれるため、タイヤ変形時のRFIDタグ40の動きを効果的に抑制し、RFIDタグ40を好適に保護することができる。また、本実施形態においては、RFIDタグ40がカーカスプライ23に保持されつつ、第2ビードフィラー222、第2のパッド36と接触しているため、繊維部材によりRFIDタグ40の動き効果的に抑制しつつ、発生した応力は、接触しているゴム部材である第2ビードフィラー222、第2のパッド36の存在により緩和することが可能となる。そして、複数のタイヤ構成部材の境界部、本実施形態においては、カーカスプライ23と第2ビードフィラー222の境界部をRFIDタグ40の配置位置の基準とすることで、RFIDタグ40の配置位置のばらつきが低減する。これにより、RFIDタグ40が好ましくない位置に間違って配置される可能性も減少し、RFIDタグ40の機能を適切に保つことができる。
【0102】
なお、第2のパッド36のモジュラスを基準とすると、サイドウォールゴム30は、第2のパッド36の0.4~0.6倍のモジュラスとすることが好ましい。また、第1のパッド35は、第2のパッド36の1.1倍~1.2倍のモジュラスとすることが好ましい。また、第2ビードフィラー222は第2のパッドの0.7~0.8倍のモジュラスとすることが好ましい。そして、リムストリップゴム32は、第2のパッド36のモジュラスを基準とすると、第2のパッド36の0.8~1倍のモジュラスとすることが好ましい。そして、ゴムシート37は、第2のパッド36の1.1倍~1.2倍のモジュラスとすることが好ましい。すなわち、ゴムシート37のモジュラスは、パッド部材34のうち、少なくともカーカスプライ23の折り返し端25Aを覆う部分(第1のパッド35)のモジュラスと略等しいモジュラスとすることが好ましい。このようなモジュラスとすることで、タイヤとしての柔軟性とビード11付近の剛性のバランスを保つことができる。
なお、モジュラスは、JIS K6251:2010の「3.7 所定伸び引張り応力(stress at a given elongation),S」に準拠して測定された、23℃の雰囲気下における100%伸長モジュラス(M100)を指す。
【0103】
なお、RFIDタグ40を、図7の点線に示すように、リムストリップゴム32のタイヤ幅方向内側の端部32Bの位置、すなわち、カーカスプライ23と、リムストリップゴム32と、インナーライナー29の交わる位置に配置してもよい。この場合においても、RFIDタグ40が、1つの繊維部材を含む3つのタイヤ構成部材の交わる位置に配置されることとなる。よって、RFIDタグ40を好適に保護する、RFIDタグ40の配置位置のばらつきを低減するといった上述の効果を得ることができる。
【0104】
なお、RFIDタグ40を、図7の点線に示すように、第2のパッド36のタイヤ径方向内側端36Bの位置、すなわち、カーカスプライ23と、第2のパッド36と、リムストリップゴム32の交わる位置に配置してもよい。この場合においても、RFIDタグ40が、1つの繊維部材を含む3つのタイヤ構成部材の交わる位置に配置されることとなる。よって、RFIDタグ40を好適に保護する、RFIDタグ40の配置位置のばらつきを低減するといった上述の効果を得ることができる。
【0105】
本実施形態のタイヤ1によれば、上記(1)~(2)、(5)、(7)~(9)、(12)に加えて以下の効果を奏する。
【0106】
(13)本実施形態に係るタイヤ1は、RFIDタグ40が、繊維部材としてのカーカスプライ23と、ゴム部材としての第2ビードフィラー222と、ゴム部材としての第2のパッド36の交わる位置に配置されている。
これにより、繊維部材によりRFIDタグ40の動き効果的に抑制しつつ、発生した応力は、ゴム部材により緩和することが可能となる。また、RFIDタグ40の配置位置のばらつきが低減する等の効果も得られる。
【0107】
(14)本実施形態に係るタイヤ1は、RFIDタグ40が、繊維部材としてのカーカスプライ23と、ゴム部材としてのリムストリップゴム32と、ゴム部材としてのインナーライナー29の交わる位置に配置されている。
これにより、繊維部材によりRFIDタグ40の動き効果的に抑制しつつ、発生した応力は、ゴム部材により緩和することが可能となる。また、RFIDタグ40の配置位置のばらつきが低減する等の効果も得られる。
【0108】
(15)本実施形態に係るタイヤ1は、RFIDタグ40が、繊維部材としてのカーカスプライ23と、ゴム部材としての第2のパッド36と、ゴム部材としてのリムストリップゴム32の交わる位置に配置されている。
これにより、繊維部材によりRFIDタグ40の動き効果的に抑制しつつ、発生した応力は、ゴム部材により緩和することが可能となる。また、RFIDタグ40の配置位置のばらつきが低減する等の効果も得られる。
【0109】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態に係るタイヤについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、第1~第3実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、また詳細な説明を省略する。
【0110】
図8は、本実施形態のタイヤ1における、RFIDタグ40の埋設部周辺を示す拡大断面図である。
図8に示されるように、RFIDタグ40(保護部材43によって少なくとも一部が覆われた状態を含む)は、2つの繊維部材を含む3つのタイヤ構成部材の交わる位置に配置されている。例えば、本実施形態のタイヤ1は、繊維部材としてのカーカスプライ23と、繊維部材としてのスチールチェーハー31と、ゴム部材としてのインナーライナー29と、を備えており、RFIDタグ40は、スチールチェーハー31のタイヤ幅方向内側の端部31Bと接触するような態様で、カーカスプライ23と、スチールチェーハー31と、インナーライナー29の交わる位置に配置されている。
【0111】
そして、本実施形態においても、より好ましくは、RFIDタグ40は被覆ゴムシートからなる保護部材43によって被覆されており、この保護部材43が、2つの繊維部材を含む3つのタイヤ構成部材の交わる位置に配置される。
【0112】
ここで、カーカスプライ23と、スチールチェーハー31と、インナーライナー29はそれぞれ、円環状のタイヤ1を構成する円環状のタイヤ構成部材である。そして、RFIDタグ40を保持する保護部材43は、カーカスプライ23と、スチールチェーハー31と、インナーライナー29と接触するように配置されている。
【0113】
RFIDタグ40をこのような位置に配置しても、RFIDタグ40が、2つの繊維部材を含む3つのタイヤ構成部材によって囲まれるため、タイヤ変形時のRFIDタグ40の動きを効果的に抑制し、RFIDタグ40を好適に保護することができる。そして、複数のタイヤ構成部材の境界部をRFIDタグ40の配置位置の基準とすることで、RFIDタグ40の配置位置のばらつきが低減する。これにより、RFIDタグ40が好ましくない位置に間違って配置される可能性も減少し、RFIDタグ40の機能を適切に保つことができる。
【0114】
なお、図8の点線に示すように、RFIDタグ40を、スチールチェーハー31のタイヤ幅方向外側の端部31Aに接触するような態様で、カーカスプライ23と、スチールチェーハー31と、第1のパッド35の交わる位置に配置してもよい。この場合においても、RFIDタグ40が、2つの繊維部材を含む3つのタイヤ構成部材の交わる位置に配置されることとなる。よって、RFIDタグ40を好適に保護する、RFIDタグ40の配置位置のばらつきを低減するといった上述の効果を得ることができる。
【0115】
本実施形態のタイヤ1によれば、上記(1)~(3)、(5)~(6)、(12)に加えて以下の効果を奏する。
【0116】
(16)本実施形態に係るタイヤ1は、RFIDタグ40が、繊維部材としてのカーカスプライ23と、繊維部材としてのスチールチェーハー31と、ゴム部材としてのインナーライナー29の交わる位置に配置されている。
これにより、繊維部材によりRFIDタグ40の動き効果的に抑制しつつ、発生した応力は、ゴム部材により緩和することが可能となる。また、RFIDタグ40の配置位置のばらつきが低減する等の効果も得られる。
【0117】
(17)本実施形態に係るタイヤ1は、RFIDタグ40が、繊維部材としてのカーカスプライ23と、繊維部材としてのスチールチェーハー31と、ゴム部材としての第1のパッド35の交わる位置に配置されている。
これにより、繊維部材によりRFIDタグ40の動き効果的に抑制しつつ、発生した応力は、ゴム部材により緩和することが可能となる。また、RFIDタグ40の配置位置のばらつきが低減する等の効果も得られる。
【0118】
<第5実施形態>
次に、第5実施形態に係るタイヤについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、第1~第3実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、また詳細な説明を省略する。
【0119】
図9は、本実施形態のタイヤ1における、RFIDタグ40の埋設部周辺を示す拡大断面図である。
図9に示されるように、RFIDタグ40(保護部材43によって少なくとも一部が覆われた状態を含む)は、1つの繊維部材を含む3つのタイヤ構成部材の交わる位置に配置されている。より具体的には、本実施形態のタイヤ1は、繊維部材としてのカーカスプライ23と、ゴム部材としてのゴムシート37と、ゴム部材としての第2ビードフィラー222と、を備えており、RFIDタグ40は、ゴムシート37のタイヤ径方向内側端37Bと接触するような態様で、カーカスプライ23と、ゴムシート37と、第2ビードフィラー222の交わる位置に配置されている。
【0120】
そして、本実施形態においても、より好ましくは、RFIDタグ40は被覆ゴムシートからなる保護部材43によって被覆されており、この保護部材43が、1つの繊維部材を含む3つのタイヤ構成部材の交わる位置に配置される。
【0121】
ここで、カーカスプライ23と、ゴムシート37と、第2ビードフィラー222はそれぞれ、円環状のタイヤ1を構成する円環状のタイヤ構成部材である。そして、RFIDタグ40を保持する保護部材43は、カーカスプライ23と、ゴムシート37と、第2ビードフィラー222と接触するように配置されている。
【0122】
RFIDタグ40をこのような位置に配置しても、RFIDタグ40が、1つの繊維部材を含む3つのタイヤ構成部材によって囲まれるため、タイヤ変形時のRFIDタグ40の動きを効果的に抑制し、RFIDタグ40を好適に保護することができる。そして、複数のタイヤ構成部材の境界部をRFIDタグ40の配置位置の基準とすることで、RFIDタグ40の配置位置のばらつきが低減する。これにより、RFIDタグ40が好ましくない位置に間違って配置される可能性も減少し、RFIDタグ40の機能を適切に保つことができる。
【0123】
なお、図9の点線に示すように、RFIDタグ40を、第1のパッド35のタイヤ径方向内側端35Bと接触するような態様で、スチールチェーハー31と、第1のパッド35と、第2のパッド36の交わる位置に配置してもよい。この場合においても、RFIDタグ40が、1つの繊維部材を含む3つのタイヤ構成部材の交わる位置に配置されることとなる。よって、RFIDタグ40を好適に保護する、RFIDタグ40の配置位置のばらつきを低減するといった上述の効果を得ることができる。
【0124】
本実施形態のタイヤ1によれば、上記(1)~(2)、(5)、(9)、(12)に加えて以下の効果を奏する。
【0125】
(18)本実施形態に係るタイヤ1は、RFIDタグ40が、繊維部材としてのカーカスプライ23と、ゴム部材としてのゴムシート37と、ゴム部材としての第2ビードフィラー222の交わる位置に配置されている。
これにより、繊維部材によりRFIDタグ40の動き効果的に抑制しつつ、発生した応力は、ゴム部材により緩和することが可能となる。また、RFIDタグ40の配置位置のばらつきが低減する等の効果も得られる。
(19)本実施形態に係るタイヤ1は、RFIDタグ40が、繊維部材としてのスチールチェーハー31と、ゴム部材としての第1のパッド35と、ゴム部材としての第2のパッド36の交わる位置に配置されている。
これにより、繊維部材によりRFIDタグ40の動き効果的に抑制しつつ、発生した応力は、ゴム部材により緩和することが可能となる。また、RFIDタグ40の配置位置のばらつきが低減する等の効果も得られる。
【0126】
<第6実施形態>
次に、第6実施形態に係るタイヤについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、第1~第3実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、また詳細な説明を省略する。
【0127】
図10は、本実施形態のタイヤ1における、RFIDタグ40の埋設部周辺を示す拡大断面図である。
図10に示されるように、RFIDタグ40(保護部材43によって少なくとも一部が覆われた状態を含む)は、1つの繊維部材を含む3つのタイヤ構成部材の交わる位置に配置されている。より具体的には、本実施形態のタイヤ1は、繊維部材としてのカーカスプライ23と、ゴム部材としての第2ビードフィラー222と、ゴム部材としての第1ビードフィラー221と、を備えており、RFIDタグ40は、カーカスプライ23と、第2ビードフィラー222と、第1ビードフィラー221の交わる位置であって、タイヤ幅方向内側の位置22Bに配置されている。
【0128】
そして、本実施形態においても、より好ましくは、RFIDタグ40は被覆ゴムシートからなる保護部材43によって被覆されており、この保護部材43が、1つの繊維部材を含む3つのタイヤ構成部材の交わる位置に配置される。
【0129】
ここで、カーカスプライ23と、第2ビードフィラー222と、第1ビードフィラー221はそれぞれ、円環状のタイヤ1を構成する円環状のタイヤ構成部材である。そして、RFIDタグ40を保持する保護部材43は、カーカスプライ23と、第2ビードフィラー222と、第1ビードフィラー221と接触するように配置されている。
【0130】
RFIDタグ40をこのような位置に配置しても、RFIDタグ40が、1つの繊維部材を含む3つのタイヤ構成部材によって囲まれるため、タイヤ変形時のRFIDタグ40の動きを効果的に抑制し、RFIDタグ40を好適に保護することができる。そして、複数のタイヤ構成部材の境界部をRFIDタグ40の配置位置の基準とすることで、RFIDタグ40の配置位置のばらつきが低減する。これにより、RFIDタグ40が好ましくない位置に間違って配置される可能性も減少し、RFIDタグ40の機能を適切に保つことができる。
なお、図10の点線に示すように、RFIDタグ40を、カーカスプライ23と、第2ビードフィラー222と、第1ビードフィラー221の交わる位置であって、タイヤ幅方向外側の位置22Cに配置してもよい。この場合においても、RFIDタグ40が、1つの繊維部材を含む3つのタイヤ構成部材の交わる位置に配置されることとなる。よって、RFIDタグ40を好適に保護する、RFIDタグ40の配置位置のばらつきを低減するといった上述の効果を得ることができる。
【0131】
本実施形態のタイヤ1によれば、上記(1)~(2)、(5)、(7)~(9)、(12)に加えて以下の効果を奏する。
【0132】
(20)本実施形態に係るタイヤ1は、RFIDタグ40が、繊維部材としてのカーカスプライ23と、ゴム部材としての第2ビードフィラー222と、ゴム部材としての第1ビードフィラー221の交わる位置に配置されている。
これにより、繊維部材によりRFIDタグ40の動き効果的に抑制しつつ、発生した応力は、ゴム部材により緩和することが可能となる。また、RFIDタグ40の配置位置のばらつきが低減する等の効果も得られる。
【0133】
<第7実施形態>
次に、第7実施形態に係るタイヤについて、図11~17を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、第1~第3実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、また詳細な説明を省略する。
本実施形態は、RFIDタグ40のアンテナが、コイル状のスプリングアンテナである場合に特に好適な実施形態である。
【0134】
本実施形態のRFIDタグ40は、アンテナとして、通信性および柔軟性の高いコイル状のスプリングアンテナ421が用いられている。スプリングアンテナ421は、使用する周波数帯域等に応じて、最適化されたアンテナ長さに設定されている。
【0135】
本実施形態においては、保護部材43を構成する2枚の被覆ゴムシート431、432でRFIDタグ40を挟み込む前に、スプリングアンテナ421内にゴムを配置する。より好ましくは、空気がなるべく残らないように、スプリングアンテナ内にゴムを充填する。図11~17を用いて、その工程およびその工程を採用する理由を説明する。
【0136】
まず、図11図13を用いて、参考例として、スプリングアンテナ421内にゴムを充填しない場合における、RFIDタグ40周辺の状態について説明する。図11は、RFIDタグ40を被覆ゴムシート431、432で挟み込む前の、スプリングアンテナ421、被覆ゴムシート431、432の断面を示す図である。図12は、RFIDタグ40を被覆ゴムシート431、432で挟み込んだ後の、スプリングアンテナ421、被覆ゴムシート431、432の断面を示す図である。
【0137】
図12に示されるように、この参考例においては、スプリングアンテナ421内に予めゴムが充填されていないため、被覆ゴムシート431、432で挟み込んだ後において、スプリングアンテナ421内に空気45がある程度残ってしまう場合がある。このように空気が残ってしまうと、被覆ゴムシート431、432とスプリングアンテナ421との一体性が不十分となり、タイヤが変形したときに、ゴムの動きにスプリングアンテナ421が追従せず、スプリングアンテナ421を有するRFIDタグ40が破損するおそれがある。
【0138】
なお、ここでは被覆ゴムシート431、432として、加硫前の生ゴムを使用している。よって、被覆ゴムシート431、432を両側から押しつけることにより、図12に示されるように、スプリングアンテナ内に被覆ゴムシート431、432がある程度はめり込んでいる。しかしながら、スプリングアンテナ内が完全に埋まるまで被覆ゴムシート431、432をめり込ませるためには、非常に多くの時間と手間がかかる。
【0139】
そして、仮に時間をかけてスプリングアンテナ内が埋まるまでゴムシートをめり込ませた場合であっても、図13に示されるように、スプリングアンテナ421の外周部と、被覆ゴムシート431、432の外表面との距離Lが非常に短くなる。また、その距離Lを安定させることは困難であり、局所的に薄い部分が発生し得る。よって、被覆ゴムシート431、432によるRFIDタグ40の保護が不十分となり、加硫時において、被覆ゴムシート431、432が破損する可能性がある。
【0140】
そこで、本実施形態においては、図14~17に示されるように、被覆ゴムシート431、432でRFIDタグ40を挟み込む前に、スプリングアンテナ421内にゴムを配置する。より好ましくは、空気がなるべく残らないように、スプリングアンテナ内にゴムを充填する。なお、図14~17の右側に示す図は、スプリングアンテナ421およびその周囲の横断面を示す図である。
【0141】
図14は、スプリングアンテナ421内にゴム46を充填する前の状態を示す図、図15は、スプリングアンテナ421内にゴム46を充填した後の状態を示す図である。
ゴム46は、スプリングアンテナ421の外周面と略同じ外径となるように埋め込まれる。そして、スプリングアンテナ421の外周面からゴム46がはみ出ている場合には、その部分を拭き取って除去することが好ましい。すなわち、ゴム46の外周面は、スプリングアンテナ421の外周面と略同一面となるように成形されることが好ましい。
なお、スプリングアンテナ421内にゴム46を充填すると共に、スプリングアンテナ421の外周をゴム46で薄く包み込んでもよい。一方、スプリングアンテナ421をゴム46によって厚く包み込んでしまうと、スプリングアンテナ421の柔軟性が損なわれる上に、RFIDタグ40を挟み込んだ後の被覆ゴムシート431、432により形成される幅方向の寸法が大きくなってしまうため、好ましくない。
なお、スプリングアンテナ421の内周面と略同じ外径となるように、ゴム46を埋め込んでもよい。ゴム46の外周部は、スプリングアンテナ421の内周面~外周面の範囲内に位置していることが望ましい。
【0142】
ここで、スプリングアンテナ421の柔軟性を確保するために、ゴム46としては、柔軟性を有するゴムを用いる。但し、作業性等を考慮して、ゴム46として、被覆ゴムシート431、432よりも高いモジュラスのゴムを用いることが好ましい。
なお、スプリングアンテナ421内に配置するゴム46としては、好ましくは未加硫のゴムを用いる。ゴム46、被覆ゴムシート431、432を未加硫のゴムとし、同時に加硫することにより、ゴム46、被覆ゴムシート431、432、スプリングアンテナ421の一体性が高まる。また、ゴム46、被覆ゴムシート431、432は、同種のゴムとすることがより好ましい。
なお、スプリングアンテナ421の柔軟性を重視して、ゴム46として、被覆ゴムシート431、432よりも低いモジュラスのゴムを用いてもよい。また、略同一のモジュラスのゴム、同じ材質のゴムを用いてもよい。
なお、スプリングアンテナ421内に配置するゴム46として、加硫後のゴムを用いてもよい。また、ゴム系接着剤、ゴム系充填剤などを用いることも可能である。柔軟性を確保しつつ、スプリングアンテナ421内に空気をなるべく残らないようにすることを考慮して、各種のゴム系材料を採用することができる。
ゴム46の配置作業としては、各種の方法が採用可能であるが、例えば、注射器を用いてスプリングアンテナ421内にゴムを注入することも可能である。この場合、注射器を用いて、設定された適切な量のゴム46を充填してもよい。また、ゴム46を多めに充填後、スプリングアンテナ421の外周からはみ出た部分を拭き取ってもよい。
【0143】
図16は、スプリングアンテナ421にゴム46が充填されたRFIDタグ40を、被覆ゴムシート431、432で挟み込む前の状態を示す図、図17は、被覆ゴムシート431、432で挟み込んだ後の状態を示す図である。
【0144】
図17に示されるように、本実施形態によれば、スプリングアンテナ421内に予めゴム46が充填されていたため、被覆ゴムシート431、432の間に空気溜まりが存在していない。よって、空気溜まりを気にしなくてもよいため、被覆ゴムシート431、432でRFIDタグ40を挟み込む工程も簡便となる。
また、スプリングアンテナ421内にゴム46が配置されていることにより、スプリングアンテナ421、ゴム46、被覆ゴムシート431、432の一体性が高まり、タイヤが変形したときに、ゴムの動きにスプリングアンテナ421が追従する。よって、スプリングアンテナ421を有するRFIDタグ40の耐久性も向上する。
【0145】
また、本実施形態によれば、スプリングアンテナ421の外周部と、被覆ゴムシート431、432の外表面との距離Lが安定する。すなわち、この距離Lとして、被覆ゴムシート431、432の肉厚に近い距離が概ね確保される。よって、RFIDタグ40は、被覆ゴムシート431、432によって十分保護される。
本実施形態において被覆ゴムシート431、432で挟み込まれたRFIDタグ40は、タイヤ構成部材間に配設され、その後生タイヤは加硫される。
【0146】
なお、本実施形態においては、スプリングアンテナ421内に予めゴム46が充填されたRFIDタグ40が、被覆ゴムシート431、432に被覆された上で、タイヤ構成部材間に配置されている。
しかしながら、スプリングアンテナ421内に予めゴム46が充填されたRFIDタグ40を、被覆ゴムシート431、432で被覆することなく、タイヤ構成部材間に配置してもよい。
このように、無被覆のRFIDタグ40を直接タイヤ構成部材間に配置することにより、RFIDタグ40を挟み込まれる部分のゴム部材の厚みの変動が低減し、タイヤ1のユニフォミティが向上する。また、スプリングアンテナ421内に予めゴム46が充填されているため、ゴムシート37がスプリングアンテナ内に過度にめり込むようなこともない。
【0147】
本実施形態に係るタイヤによれば、上記(1)~(20)に加えて以下の効果を奏する。
【0148】
(21)本実施形態においては、通信機能を有する電子部品としてのRFIDタグ40がスプリングアンテナ421を有し、タイヤ構成部材にRFIDタグ40を貼り付ける工程の前に、スプリングアンテナ421内にゴム46を配置する工程を備える。
これにより、RFIDタグ40のスプリングアンテナ421をゴム部材間に挟み込む工程の際に、空気溜まりを気にしなくてもよくなるため、組み立て性が良好となる。
(22)本実施形態においては、通信機能を有する電子部品としてのRFIDタグ40のスプリングアンテナ421内にゴム46を配置する工程と、ゴム46が配置されたスプリングアンテナ421を有するRFIDタグ40を、被覆ゴムシート431、432で挟み込む工程と、被覆ゴムシート431、432で挟み込まれたRFIDタグ40を、タイヤ構成部材間に配設する配設工程と、を備える。
これにより、スプリングアンテナ421内に空気45が残ってしまうことがない。また、空気溜まりを気にしなくてもよいため、被覆ゴムシート431、432でRFIDタグ40を挟み込む作業も簡便となる。
また、スプリングアンテナ421の外周部と、被覆ゴムシート431、432の外表面との距離Lが安定するため、RFIDタグ40は、被覆ゴムシート431、432によって十分保護される。
【0149】
(23)本実施形態においては、通信機能を有する電子部品としてのRFIDタグ40のスプリングアンテナ421内にゴム46を配置する工程と、タイヤ構成部材間に無被覆のRFIDタグ40を挟み込むように、ビードフィラー22にゴムシート37を貼り付ける工程と、を含む。
このように、無被覆の電子部品を直接タイヤ構成部材間に挟み込むことにより、RFIDタグ40を挟み込まれる部分のゴム部材の厚みの変動が低減し、タイヤ1のユニフォミティが向上する。また、スプリングアンテナ421内に予めゴム46が充填されているため、ゴムシート37がスプリングアンテナ内に過度にめり込むようなこともない。
【0150】
なお、本発明のタイヤは、乗用車、ライトトラック、トラック、バス等の各種タイヤとして採用することができるが、特にトラック、バス等のタイヤとして好適である。
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲で変形、改良などを行っても、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0151】
1…タイヤ
11…ビード
12…トレッド
13…サイドウォール
21…ビードコア
22…ビードフィラー
22A…タイヤ径方向外側端
221…第1ビードフィラー
222…第2ビードフィラー
23…カーカスプライ
24…プライ本体
25…プライ折り返し部
26…スチールベルト
28…トレッドゴム
28B…タイヤ径方向内側端
29…インナーライナー
30…サイドウォールゴム
31…スチールチェーハー
32…リムストリップゴム
32B…端部
34…パッド部材
35…第1のパッド
36…第2のパッド
36A…タイヤ径方向外側端
36B…タイヤ径方向内側端
37…ゴムシート
38…ショルダーパッド
38A…タイヤ幅方向内側端
38B…タイヤ径方向内側端
40…RFIDタグ
41…RFIDチップ
42…アンテナ
421…スプリングアンテナ
43…保護部材
431、432…ゴムシート
46…ゴム
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図6
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