(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086998
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】笠木用換気装置
(51)【国際特許分類】
E04B 1/70 20060101AFI20230615BHJP
E04D 13/15 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
E04B1/70 D
E04D13/15 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075568
(22)【出願日】2023-05-01
(62)【分割の表示】P 2020201531の分割
【原出願日】2020-12-04
(71)【出願人】
【識別番号】595133736
【氏名又は名称】株式会社トーコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】小栗 和彦
(72)【発明者】
【氏名】森村 匡弘
(72)【発明者】
【氏名】飯田 祥希
(57)【要約】
【課題】換気孔から流入する雨水を換気部材後面板に至ることを防止できる笠木用換気装置を提供すること。
【解決手段】換気部材20xは、気密部材10の上面に配置される換気部材底面板21と、換気部材底面板21の前端から立ち上げた換気部材前面板22と、換気部材前面板22の上端から後方に延出させた換気部材天面板23と、換気部材天面板23の後端から垂下させた換気部材後面板24と、換気部材底面板21の後端側から立ち上げた内部防水壁25とからなり、換気部材前面板22には、換気孔27が形成され、換気部材底面板21と換気部材天面板23との間で、換気部材前面板22と換気部材後面板24との間に換気通路Aが形成され、内部防水壁25を、換気通路Aに配置し、内部防水壁25の上端を内部防水壁25の下端よりも換気部材前面板22に近接させ、内部防水壁25の上端を、換気孔27よりも高い位置としたことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物の外壁材と、前記外壁材の上方を覆う笠木との間に配置される笠木用換気装置であって、
前記外壁材の上端を覆う気密部材と、
前記気密部材の上方に配置される換気部材と
を備え、
前記換気部材は、
前記気密部材の上面に配置される換気部材底面板と、
前記換気部材底面板の前端から立ち上げた換気部材前面板と、
前記換気部材前面板の上端から後方に延出させた換気部材天面板と、
前記換気部材天面板の後端から垂下させた換気部材後面板と、
前記換気部材底面板の後端側から立ち上げた内部防水壁と
からなり、
前記換気部材前面板には、換気孔が形成され、
前記換気部材底面板と前記換気部材天面板との間で、前記換気部材前面板と前記換気部材後面板との間に換気通路が形成され、
前記内部防水壁を、前記換気通路に配置し、
前記内部防水壁の上端を前記内部防水壁の下端よりも前記換気部材前面板に近接させ、
前記内部防水壁の前記上端を、前記換気孔よりも高い位置とした
ことを特徴とする笠木用換気装置。
【請求項2】
前記換気部材底面板の前記後端には、前記換気部材底面板の前記後端から立ち上げた底面立上板を形成し、
前記内部防水壁の前記上端を前記換気部材前面板の上部に当接させ、前記内部防水壁の前記下端を前記底面立上板の下部に当接させることで、前記内部防水壁を前記換気通路に配置し、
前記内部防水壁には通路孔を形成した
ことを特徴とする請求項1に記載の笠木用換気装置。
【請求項3】
前記換気部材後面板を、前記外壁材よりも前記建造物側に配置される外壁下地材に留め付ける
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の笠木用換気装置。
【請求項4】
前記気密部材を見切縁とし、
前記見切縁は、
前記外壁材の前記上端を覆う見切縁上面板と、
前記見切縁上面板の前端から垂下させた見切縁前面板と、
前記見切縁上面板の後端から垂下させた見切縁後面板と
からなり、
前記見切縁上面板と前記換気部材底面板との間に配置される第1防水パッキンと、
前記見切縁後面板の前面と前記外壁材との間に配置される第2防水パッキンと
を備えた
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の笠木用換気装置。
【請求項5】
前記見切縁上面板の奥行寸法を前記外壁材の厚さよりも大きくして、前記見切縁前面板と前記外壁材との間に水切空間を形成する
ことを特徴とする請求項4に記載の笠木用換気装置。
【請求項6】
前記見切縁前面板と垂下部材との間には、気密部材側通気路が形成され、
前記換気部材前面板と前記垂下部材との間には、換気部材側通気路が形成される
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の笠木用換気装置。
【請求項7】
前記換気部材側通気路と前記気密部材側通気路との通気路奥行き寸法を異ならせた
ことを特徴とする請求項6に記載の笠木用換気装置。
【請求項8】
前記換気部材前面板は前記外壁材より前方に位置し、
前記換気部材後面板は前記外壁材より後方に位置する
ことを特徴とする請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の笠木用換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、 建造物の外壁材と外壁材の上方を覆う笠木との間に配置される笠木用換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、建造物の外壁材と外壁材の上方を覆う笠木との間に配置される笠木用換気装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、各々が凹凸断面形状を有する合成樹脂シートを複数積層した状態で熱融着によって相互に接続して一体化され、一方側面から他方側面へ貫通する通気孔が多数形成された換気部材によって、通気性能と防水性能を確保している。
【0005】
本発明は、このような換気部材を用いることなく、換気孔から流入する雨水を換気部材後面板に至ることを防止できる笠木用換気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の笠木用換気装置は、建造物の外壁材84と、前記外壁材84の上方を覆う笠木85との間に配置される笠木用換気装置であって、前記外壁材84の上端を覆う気密部材10と、前記気密部材10の上方に配置される換気部材20、20xとを備え、前記換気部材20、20xは、前記気密部材10の上面に配置される換気部材底面板21と、前記換気部材底面板21の前端から立ち上げた換気部材前面板22と、前記換気部材前面板22の上端から後方に延出させた換気部材天面板23と、前記換気部材天面板23の後端から垂下させた換気部材後面板24と、前記換気部材底面板21の後端側から立ち上げた内部防水壁25とからなり、前記換気部材前面板22には、換気孔27が形成され、前記換気部材底面板21と前記換気部材天面板23との間で、前記換気部材前面板22と前記換気部材後面板24との間に換気通路Aが形成され、前記内部防水壁25を、前記換気通路Aに配置し、前記内部防水壁25の上端を前記内部防水壁25の下端よりも前記換気部材前面板22に近接させ、前記内部防水壁25の前記上端を、前記換気孔27よりも高い位置としたことを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の笠木用換気装置において、前記換気部材底面板21の前記後端には、前記換気部材底面板21の前記後端から立ち上げた底面立上板21xを形成し、前記内部防水壁25の前記上端を前記換気部材前面板22の上部に当接させ、前記内部防水壁25の前記下端を前記底面立上板21xの下部に当接させることで、前記内部防水壁25を前記換気通路Aに配置し、前記内部防水壁25には通路孔25zを形成したことを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の笠木用換気装置において、前記換気部材後面板24を、前記外壁材84よりも前記建造物側に配置される外壁下地材81に留め付けることを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の笠木用換気装置において、前記気密部材10を見切縁10Aとし、前記見切縁10Aは、前記外壁材84の前記上端を覆う見切縁上面板11と、前記見切縁上面板11の前端から垂下させた見切縁前面板12と、前記見切縁上面板11の後端から垂下させた見切縁後面板13とからなり、前記見切縁上面板11と前記換気部材底面板21との間に配置される第1防水パッキン31と、前記見切縁後面板13の前面と前記外壁材84との間に配置される第2防水パッキン32とを備えたことを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項4に記載の笠木用換気装置において、前記見切縁上面板11の奥行寸法L1を前記外壁材84の厚さL2よりも大きくして、前記見切縁前面板12と前記外壁材84との間に水切空間Bを形成することを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項4又は請求項5に記載の笠木用換気装置において、前記見切縁前面板12と垂下部材85bとの間には、気密部材側通気路Cが形成され、前記換気部材前面板22と前記垂下部材85bとの間には、換気部材側通気路Dが形成されることを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項6に記載の笠木用換気装置において、前記換気部材側通気路Dと前記気密部材側通気路Cとの通気路奥行寸法を異ならせたことを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の笠木用換気装置において、前記換気部材前面板22は前記外壁材84より前方に位置し、前記換気部材後面板24は前記外壁材84より後方に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の笠木用換気装置によれば、内部防水壁の上端を内部防水壁の下端よりも換気部材前面板に近接させ、内部防水壁の上端を、換気孔よりも高い位置とすることで、換気孔から流入する雨水を換気部材後面板に至ることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施例による笠木用換気装置の断面図、斜視図、及び同笠木用換気装置を建造物の屋上やベランダの外壁として用いられるパラペットに設置した状態を示す断面図
【
図3】本実施例による笠木用換気装置の施工の一部を示す説明図
【
図4】本発明の他の実施例による笠木用換気装置の断面図、斜視図、及び同笠木用換気装置を建造物の屋上やベランダの外壁として用いられるパラペットに設置した状態を示す断面図
【
図5】本発明の更に他の実施例による笠木用換気装置を建造物の屋上やベランダの外壁として用いられるパラペットに設置した状態を示す断面図
【
図6】本発明の笠木用換気装置に用いる換気部材の他の実施例による組図、及び分離図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による笠木用換気装置は、外壁材の上端を覆う気密部材と、
気密部材の上方に配置される換気部材とを備え、換気部材は、気密部材の上面に配置される換気部材底面板と、換気部材底面板の前端から立ち上げた換気部材前面板と、換気部材前面板の上端から後方に延出させた換気部材天面板と、換気部材天面板の後端から垂下させた換気部材後面板と、換気部材底面板の後端側から立ち上げた内部防水壁とからなり、換気部材前面板には、換気孔が形成され、換気部材底面板と換気部材天面板との間で、換気部材前面板と換気部材後面板との間に換気通路が形成され、内部防水壁を、換気通路に配置し、内部防水壁の上端を内部防水壁の下端よりも換気部材前面板に近接させ、内部防水壁の上端を、換気孔よりも高い位置としたものである。本実施の形態によれば、換気孔から流入する雨水を換気部材後面板に至ることを防止できる。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による笠木用換気装置において、換気部材底面板の後端には、換気部材底面板の後端から立ち上げた底面立上板を形成し、内部防水壁の上端を換気部材前面板の上部に当接させ、内部防水壁の下端を底面立上板の下部に当接させることで、内部防水壁を換気通路に配置し、内部防水壁には通路孔を形成したものである。本実施の形態によれば、内部防水壁を別部材とすることができ、換気通路内に内部防水壁を位置決めしやすい。
【0011】
本発明の第3の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態による笠木用換気装置において、換気部材後面板を、外壁材よりも建造物側に配置される外壁下地材に留め付けるものである。本実施の形態によれば、換気部材後面板を強固に取り付けることができるとともに、通気胴縁を外壁下地材に取り付ける際に、換気部材を通気胴縁で外壁下地材に挟み込むことができる。
【0012】
本発明の第4の実施の形態は、第1から第3のいずれかの実施の形態による笠木用換気装置において、気密部材を見切縁とし、見切縁は、外壁材の上端を覆う見切縁上面板と、見切縁上面板の前端から垂下させた見切縁前面板と、見切縁上面板の後端から垂下させた見切縁後面板とからなり、見切縁上面板と換気部材底面板との間に配置される第1防水パッキンと、見切縁後面板の前面と外壁材との間に配置される第2防水パッキンとを備えたものである。本実施の形態によれば、第1防水パッキンにより見切縁上面板と換気部材底面板との間の防水を行い、第2防水パッキンにより見切縁後面板の前面と外壁材との間の防水を行うため、外壁材の上端と換気部材との間での防水性能を確保できる。
【0013】
本発明の第5の実施の形態は、第4の実施の形態による笠木用換気装置において、見切縁上面板の奥行寸法を外壁材の厚さよりも大きくして、見切縁前面板と外壁材との間に水切空間を形成するものである。本実施の形態によれば、外壁材に沿って上昇する雨水は、水切空間に導かれ、見切縁前面板に沿って落下するために、換気部材前面板には導かれず、換気孔から換気通路に流入しないので防水性能に優れる。
【0014】
本発明の第6の実施の形態は、第4又は第5の実施の形態による笠木用換気装置において、見切縁前面板と垂下部材との間には、気密部材側通気路が形成され、換気部材前面板と垂下部材との間には、換気部材側通気路が形成されるものである。本実施の形態によれば、雨水は、気密部材側通気路及び換気部材側通気路を上昇しなければ換気孔に至らないため、換気通路に流入しにくく、更に防水性に優れる。
【0015】
本発明の第7の実施の形態は、第6の実施の形態による笠木用換気装置において、換気部材側通気路と気密部材側通気路との通気路奥行寸法を異ならせたものである。本実施の形態によれば、換気部材側通気路と気密部材側通気路との通気路奥行寸法を異ならせることで、雨水の流速が変化するため乱流が発生し、雨水は換気通路に流入しにくい。
【0016】
本発明の第8の実施の形態は、第4から第7のいずれかの実施の形態による笠木用換気装置において、換気部材前面板は外壁材より前方に位置し、換気部材後面板は外壁材より後方に位置するものである。本実施の形態によれば、換気通路の奥行寸法を大きくできることで、換気通路に流入した雨水を換気通路に留めることができ、屋内に雨水が浸入することはない。
【実施例0017】
以下本発明の一実施例による笠木用換気装置について説明する。
図1は本発明の一実施例による笠木用換気装置の断面図、斜視図、及び同笠木用換気装置を建造物の屋上やベランダの外壁として用いられるパラペットに設置した状態を示す断面図である。
図1(a)は同笠木用換気装置の断面図、
図1(b)は同笠木用換気装置の斜視図、
図1(c)は同笠木用換気装置を建造物の屋上やベランダの外壁として用いられるパラペットに設置した状態を示す断面図を示している。
【0018】
図1(c)に示す建造物のパラペット80は、外壁下地材81の上部に配置される上枠材82と、外壁下地材81の外面に配置される通気胴縁83と、通気胴縁83の外面に配置される外壁材84と、上枠材82及び外壁材84の上方を覆う笠木85とを有している。
笠木85は、上枠材82及び外壁材84の上部を覆う天面部85aと、天面部85aから垂下して外壁材84の側方に配置される垂下部材85bとを有している。
本実施例による笠木用換気装置は、建造物の外壁材84の上方で、外壁材84より外方に配置される垂下部材85bより内方に配置される。
【0019】
本実施例による笠木用換気装置は、外壁材84の上端を覆う気密部材10と、気密部材10の上方に配置される換気部材20とを備えている。本実施例における気密部材10は、見切縁10Aで構成されている。
見切縁10Aは、外壁材84の上端を覆う見切縁上面板11と、見切縁上面板11の前端から垂下させた見切縁前面板12と、見切縁上面板11の後端から垂下させた見切縁後面板13とからなる。見切縁後面板13の鉛直方向長さは、見切縁前面板12の鉛直方向長さより長く、見切縁前面板12の鉛直方向長さの1.5倍から3倍の長さが好ましい。見切縁前面板12の下部には後方側に折り曲げられて折返し部12aを形成し、見切縁後面板13の下部には前方側に折り曲げられて折返し部13aを形成している。
【0020】
換気部材20は、気密部材10の上面となる見切縁上面板11の上面に対向して配置される換気部材底面板21と、換気部材底面板21の前端から立ち上げた換気部材前面板22と、換気部材前面板22の上端から後方に延出させた換気部材天面板23と、換気部材天面板23の後端から垂下させた換気部材後面板24と、換気部材底面板21の後端から立ち上げた内部防水壁25とからなる。
換気部材前面板22には、換気孔27が形成されている。換気孔27は、高さ方向が幅方向より短い長孔であり、幅方向に複数形成されている。
換気部材底面板21より上方であって換気部材天面板23より下方で、換気部材前面板22の後方であって換気部材後面板24の前方に換気通路Aが形成される。
内部防水壁25は、換気通路Aに設けている。
内部防水壁25の上端は、内部防水壁25の下端よりも換気部材前面板22に近接させ、内部防水壁25の上端は、換気孔27よりも高い位置としている。
【0021】
第1防水パッキン31は、見切縁上面板11の上面に配置され、第2防水パッキン32は、見切縁後面板13の前面に配置される。
第1防水パッキン31及び第2防水パッキン32は、発泡性のゴム又は樹脂素材であり、防水性能と耐久性能が高いEPDMゴムや熱可塑性エラストマーが好ましい。
第1防水パッキン31及び第2防水パッキン32は、見切縁10Aの幅方向長さと同じ長さで帯状に成形されており、粘着剤によって見切縁10Aに固定される。
第1防水パッキン31は、見切縁上面板11の奥行方向の中央部に配置することが好ましい。
第2防水パッキン32は、見切縁前面板12の下端以下の位置に配置することが好ましい。
第1防水パッキン31は、
図1(c)に示す施工時には、見切縁上面板11と換気部材底面板21との間で圧縮されて施工される。
また、第2防水パッキン32は、
図1(c)に示す施工時には、見切縁後面板13の前面と外壁材84との間で圧縮されて施工される。
【0022】
図2は
図1(c)の要部拡大断面図である。
本実施例による笠木用換気装置は、見切縁上面板11の奥行寸法L1を外壁材84の厚さL2よりも大きくすることで、見切縁前面板12と外壁材84との間に水切空間Bを形成している。
また、本実施例による笠木用換気装置は、見切縁上面板11の前端は、換気部材底面板21の前端より前方に突出させている。そして、見切縁前面板12と垂下部材85bとの間には、気密部材側通気路Cが形成され、換気部材前面板22と垂下部材85bとの間には、換気部材側通気路Dが形成される。
従って、換気部材側通気路Dは、気密部材側通気路Cよりも、通気路奥行き寸法が大きく、換気部材側通気路Dと気密部材側通気路Cとの通気路奥行き寸法を異ならせている。
【0023】
本実施例によれば、内部防水壁25の上端を内部防水壁25の下端よりも換気部材前面板22に近接させ、内部防水壁25の上端を、換気孔27よりも高い位置とすることで、換気孔27から流入する雨水を換気部材後面板24に至ることを防止できる。
また、本実施例によれば、第1防水パッキン31により見切縁上面板11と換気部材底面板21との間の防水を行い、第2防水パッキン32により見切縁後面板13の前面と外壁材84との間の防水を行うため、外壁材84の上端と換気部材20との間での防水性能を確保でき、外壁材84に沿って上昇する雨水は、水切空間Bに導かれ、見切縁前面板12に沿って落下するために、換気部材前面板22には導かれず、換気孔27から換気通路Aに流入しないので防水性能に優れる。
【0024】
また、本実施例によれば、雨水は、気密部材側通気路C及び換気部材側通気路Dを上昇しなければ換気孔27に至らないため、換気通路Aに流入しにくく、更に防水性に優れる。
また、本実施例によれば、換気部材側通気路Dと気密部材側通気路Cとの通気路奥行き寸法を異ならせることで、雨水の流速が変化するため乱流が発生し、雨水は換気通路Aに流入しにくい。
【0025】
本実施例による笠木用換気装置は、換気部材前面板22は外壁材84より前方に位置させ、換気部材後面板24は外壁材84より後方に位置させている。
従って、換気通路Aの奥行寸法を大きくでき、換気通路Aに流入した雨水を換気通路Aに留めることができ、屋内に雨水が浸入することはない。
【0026】
また、本実施例による笠木用換気装置は、内部防水壁25の上端を内部防水壁25の下端よりも換気部材前面板22に近接させており、換気孔27から流入する雨水を換気部材後面板24に至ることを防止できる。
なお、本実施例による笠木用換気装置では、通気胴縁83を上昇した空気は、換気通路Aを通過して換気孔27から排出される。
【0027】
図3は本実施例による笠木用換気装置の施工の一部を示す説明図である。
図3(a)に示すように、外壁下地材81に透湿防水シート51を貼る。
そして、
図3(b)に示すように、透湿防水シート51を貼った外壁下地材81に換気部材20を、留め具52によって留め付ける。
換気部材20を外壁下地材81に留め付けた後に、
図3(c)に示すように、通気胴縁83を、換気部材20の上から外壁下地材81に留め付ける。
このように、換気部材後面板24を、外壁材84よりも建造物側に配置される外壁下地材81に留め付けることで、換気部材後面板24を強固に取り付けることができるとともに、通気胴縁83を外壁下地材81に取り付ける際に、換気部材20を通気胴縁83で外壁下地材81に挟み込むことができる。
【0028】
図4は本発明の他の実施例による笠木用換気装置を示し、
図4(a)は同笠木用換気装置の断面図、
図4(b)は同笠木用換気装置の斜視図、
図4(c)は同笠木用換気装置を建造物の屋上やベランダの外壁として用いられるパラペットに設置した状態を示す断面図を示している。なお、上記実施例と同一の機能部材には同一符号を付して説明を省略する。
本実施例による笠木用換気装置は、気密部材10Bを、バックアップ材10Ba及びシーリング材10Bbによって形成している他は、上記実施例と同一である。
【0029】
本実施例によれば、内部防水壁25の上端を内部防水壁25の下端よりも換気部材前面板22に近接させ、内部防水壁25の上端を、換気孔27よりも高い位置とすることで、換気孔27から流入する雨水を換気部材後面板24に至ることを防止できる。
また、本実施例によれば、雨水は、気密部材側通気路C及び換気部材側通気路Dを上昇しなければ換気孔27に至らないため、換気通路Aに流入しにくく、更に防水性に優れる。
また、本実施例によれば、換気部材側通気路Dと気密部材側通気路Cとの通気路奥行き寸法を異ならせることで、雨水の流速が変化するため乱流が発生し、雨水は換気通路Aに流入しにくい。
【0030】
本実施例による笠木用換気装置は、換気部材前面板22は外壁材84より前方に位置させ、換気部材後面板24は外壁材84より後方に位置させている。
従って、換気通路Aの奥行寸法を大きくでき、換気通路Aに流入した雨水を換気通路Aに留めることができ、屋内に雨水が浸入することはない。
【0031】
また、本実施例による笠木用換気装置は、内部防水壁25の上端を内部防水壁25の下端よりも換気部材前面板22に近接させており、換気孔27から流入する雨水を換気部材後面板24に至ることを防止できる。
なお、本実施例による笠木用換気装置では、通気胴縁83を上昇した空気は、換気通路Aを通過して換気孔27から排出される。
【0032】
図5は本発明の更に他の実施例による笠木用換気装置を建造物の屋上やベランダの外壁として用いられるパラペットに設置した状態を示す断面図を示している。なお、
図1及び
図2に示す実施例と同一の機能部材には同一符号を付して説明を省略する。
本実施例による笠木用換気装置は、
図2に示すような水切空間Bを形成していない他は、上記実施例と同一である。
すなわち、本実施例では、見切縁前面板12は外壁材84に当接させている。
【0033】
本実施例によれば、内部防水壁25の上端を内部防水壁25の下端よりも換気部材前面板22に近接させ、内部防水壁25の上端を、換気孔27よりも高い位置とすることで、換気孔27から流入する雨水を換気部材後面板24に至ることを防止できる。
また、本実施例によれば、第1防水パッキン31により見切縁上面板11と換気部材底面板21との間の防水を行い、第2防水パッキン32により見切縁後面板13の前面と外壁材84との間の防水を行うため、外壁材84の上端と換気部材20との間での防水性能を確保できる。
【0034】
また、本実施例によれば、雨水は、気密部材側通気路C及び換気部材側通気路Dを上昇しなければ換気孔27に至らないため、換気通路Aに流入しにくく、更に防水性に優れる。
また、本実施例によれば、換気部材側通気路Dと気密部材側通気路Cとの通気路奥行き寸法を異ならせることで、雨水の流速が変化するため乱流が発生し、雨水は換気通路Aに流入しにくい。
【0035】
本実施例による笠木用換気装置は、換気部材前面板22は外壁材84より前方に位置させ、換気部材後面板24は外壁材84より後方に位置させている。
従って、換気通路Aの奥行寸法を大きくでき、換気通路Aに流入した雨水を換気通路Aに留めることができ、屋内に雨水が浸入することはない。
【0036】
また、本実施例による笠木用換気装置は、内部防水壁25の上端を内部防水壁25の下端よりも換気部材前面板22に近接させており、換気孔27から流入する雨水を換気部材後面板24に至ることを防止できる。
なお、本実施例による笠木用換気装置では、通気胴縁83を上昇した空気は、換気通路Aを通過して換気孔27から排出される。
【0037】
図6は本発明の笠木用換気装置に用いる換気部材の他の実施例を示し、
図6(a)は組図、
図6(b)は分離図である。
図6に示す換気部材20Xは、上記実施例で説明した換気部材20に代えて用いることができる。
【0038】
換気部材20Xは、気密部材10の上面となる見切縁上面板11の上面に対向して配置される換気部材底面板21と、換気部材底面板21の前端から立ち上げた換気部材前面板22と、換気部材前面板22の上端から後方に延出させた換気部材天面板23と、換気部材天面板23の後端から垂下させた換気部材後面板24と、換気部材底面板21の後端から立ち上げた内部防水壁25とからなる。
換気部材前面板22には、換気孔27が形成されている。換気孔27は、高さ方向が幅方向より短い長孔であり、幅方向に複数形成されている。
換気部材底面板21より上方であって換気部材天面板23より下方で、換気部材前面板22の後方であって換気部材後面板24の前方に換気通路Aが形成される。
換気部材底面板21の後端には、換気部材底面板21の後端から立ち上げた底面立上板21xを形成している。
内部防水壁25の上端には前方下方に折り曲げた支持片25xを形成し、内部防水壁25の下端には後方上方に折り曲げた支持片25yを形成している。また、内部防水壁25の上部には通路孔25zを形成している。通路孔25zの下端は、換気孔27の上端よりも高い位置に形成している。支持片25xは換気部材前面板22に当接し、支持片25yは底面立上板21xに当接させる。
このように、内部防水壁25の上端を換気部材前面板22の上部に当接させ、内部防水壁25の下端を底面立上板21xの下部に当接させることで、内部防水壁25を別部材とすることができ、換気通路A内に内部防水壁25を位置決めしやすい。