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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087149
(43)【公開日】2023-06-23
(54)【発明の名称】コネクタ、及びコネクタ製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20230616BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20230616BHJP
   H01R 13/41 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
H01R12/71
H01R43/00 B
H01R13/41
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201362
(22)【出願日】2021-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120628
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 慎一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】早川 明
(72)【発明者】
【氏名】芝谷 宇弥
(72)【発明者】
【氏名】古橋 友章
(72)【発明者】
【氏名】小金谷 賢
(72)【発明者】
【氏名】大須賀 寛明
【テーマコード(参考)】
5E051
5E087
5E223
【Fターム(参考)】
5E051BA06
5E051BB03
5E051BB05
5E087EE14
5E087FF04
5E087GG06
5E087GG35
5E087MM03
5E087MM04
5E087RR27
5E087RR47
5E223AC13
5E223BA01
5E223BA07
5E223CB22
5E223CB24
5E223CB31
5E223CB50
5E223CB84
5E223DB08
5E223DB09
5E223DB22
5E223DB33
5E223DB36
5E223EA03
5E223EA13
5E223EA32
(57)【要約】
【課題】補強タブ専用の金型を不要とするコネクタ、及びコネクタの製造方法を提供すること。
【解決手段】コネクタ10は、相手側コネクタと接続される嵌合開口122を有し、回路基板400に載置されるコネクタハウジング100と、嵌合開口122内に延出するピンコンタクト202を有し、コネクタハウジング100に挿入固定された端子200と、端子200の、コネクタハウジング100に挿入固定された部分の形状と同一形状である固定部302を含む補強タブ300と、を備え、補強タブ300の固定部302がコネクタハウジング100に挿入され、固定部302を介してコネクタハウジング100が回路基板400に固定されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側コネクタと接続される嵌合開口を有し、回路基板に載置されるコネクタハウジングと、
前記嵌合開口内に延出するピンコンタクトを有し、前記コネクタハウジングに挿入固定された端子と、
前記端子の、前記コネクタハウジングに挿入固定された部分の形状と同一形状である固定部を含む補強タブと、を備え、
前記補強タブの前記固定部が前記コネクタハウジングに挿入され、前記固定部を介して前記コネクタハウジングが前記回路基板に固定されているコネクタ。
【請求項2】
前記端子は、前記ピンコンタクトと、前記回路基板に対して電気的機械的に接続されるリード部と、前記ピンコンタクトと前記リード部との間にあり、前記コネクタハウジングに圧入固定される第1圧入部と、を有し、
前記補強タブの前記固定部は、前記第1圧入部と同一形状である第2圧入部、及び前記ピンコンタクトと前記リード部との少なくとも一方の、前記第1圧入部と連続した部分の形状と同一である、前記第2圧入部と連続した部分と、を含む、請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記端子は、前記第1圧入部と前記リード部との間、又は前記第1圧入部と前記ピンコンタクトとの間に幅広となった第1拡張部を有し、
前記補強タブは、前記第2圧入部に対して前記回路基板とは反対側に、幅広となった第2拡張部を有する、請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記補強タブの前記第2拡張部は、複数の前記固定部を接続している、請求項3記載のコネクタ。
【請求項5】
前記コネクタハウジングは前記回路基板に載置される載置面を有しており、当該載置面は、前記嵌合開口内に前記ピンコンタクトが延出する方向と平行である、請求項1から4のいずれか1項記載のコネクタ。
【請求項6】
前記コネクタハウジングは前記回路基板に載置される載置面を有しており、当該載置面は、前記嵌合開口内に前記ピンコンタクトが延出する方向に対して垂直である、請求項1から4のいずれか1項記載のコネクタ。
【請求項7】
相手側コネクタと接続される嵌合開口を有する、回路基板に載置されるコネクタハウジングを形成するハウジング形成ステップと、
同一金型を用いて少なくとも一部分が同一形状である端子と補強タブとを形成する形成ステップと、
前記端子を、前記コネクタハウジングの前記嵌合開口内に延出するように圧入固定する端子固定ステップと、
前記補強タブを前記コネクタハウジングに圧入固定し、前記補強タブが前記回路基板に対する機械的固定部を提供するようにする補強タブ固定ステップと、を含む、コネクタ製造方法。
【請求項8】
前記形成ステップが、
前記同一金型を用いて、ピンコンタクト、圧入部、リード部を有する複数の端子がキャリアストリップ及び中継ぎ材によって接続された端子プレス部品を形成するプレス部品形成ステップと、
前記端子プレス部品から、前記キャリアストリップ及び前記中継ぎ材の両方を切断することによって前記端子を形成する端子形成ステップと、
前記端子プレス部品から、少なくともキャリアストリップを切除することによって前記補強タブを形成する補強タブ形成ステップと、を含む、請求項7記載のコネクタ製造方法。
【請求項9】
前記端子プレス部品が、先端側からピンコンタクト、圧入部、中継ぎ材、リード部の順に形成されてキャリアストリップに接続されており、
前記補強タブ形成ステップは、前記中継ぎ材と前記リード部との間を切断するものである、請求項8記載のコネクタ製造方法。
【請求項10】
前記端子プレス部品が、先端側からピンコンタクト、中継ぎ材、圧入部、リード部の順に形成されてキャリアストリップに接続されており、
前記補強タブ形成ステップは、前記リード部と前記キャリアストリップとの間を切断し、さらに前記ピンコンタクトを切除するものである、請求項8記載のコネクタ製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ、特に、コネクタハウジングを剛性の回路基板に固定するための補強タブを有するコネクタ、及びコネクタ製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタハウジングを剛性の回路基板に固定するため、補強タブを備えたものが知られている。このような補強タブは、例えば下記特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されている補強タブは、コネクタハウジングに嵌合固定される固定タブ片と、はんだ接合部を有し、コネクタハウジングに固定されない非固定タブ片と、固定タブ片と非固定タブ片とを連結する連結片とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-48971公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された従来の補強タブは、コネクタハウジングに装着される端子とは全く異なる形状であった。したがって、補強タブと端子はそれぞれ異なる金型を使用して形成されていた。そのため、端子と補強タブとを製造するにあたり、それぞれ異なる金型を製作する必要があり、製造コストが増加していた。
【0005】
本発明の目的は、補強タブ専用の金型を不要とするコネクタ、及びコネクタの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のコネクタは、
相手側コネクタと接続される嵌合開口を有し、回路基板に載置されるコネクタハウジングと、
前記嵌合開口内に延出するピンコンタクトを有し、前記コネクタハウジングに挿入固定された端子と、
前記端子の、前記コネクタハウジングに挿入固定された部分の形状と同一形状である固定部を含む補強タブと、を備え、
前記補強タブの前記固定部が前記コネクタハウジングに挿入され、前記固定部を介して前記コネクタハウジングが前記回路基板に固定されているコネクタである。
【0007】
また、本発明の一態様において、前記端子は、前記ピンコンタクトと、前記回路基板に対して電気的機械的に接続されるリード部と、前記ピンコンタクトと前記リード部との間にあり、前記コネクタハウジングに圧入固定される第1圧入部と、を有し、前記補強タブの前記固定部は、前記第1圧入部と同一形状である第2圧入部、及び前記ピンコンタクトと前記リード部との少なくとも一方の、前記第1圧入部と連続した部分の形状と同一である、前記第2圧入部と連続した部分と、を含む。
【0008】
また、本発明の一態様において、前記端子は、前記第1圧入部と前記リード部との間、又は前記第1圧入部と前記ピンコンタクトとの間に幅広となった第1拡張部を有し、前記補強タブは、前記圧入部に対して前記回路基板とは反対側に、幅広となった第2拡張部を有する。
【0009】
また、本発明の一態様において、前記補強タブの前記第2拡張部は、複数の前記固定部を接続している。
【0010】
また、本発明の一態様において、前記コネクタハウジングは前記回路基板に載置される載置面を有しており、当該載置面は、前記嵌合開口内に前記ピンコンタクトが延出する方向と平行である。
【0011】
また、本発明の一態様において、前記コネクタハウジングは前記回路基板に載置される載置面を有しており、当該載置面は、前記嵌合開口内に前記ピンコンタクトが延出する方向に対して垂直である。
【0012】
また、本発明のコネクタ製造方法は、
同一金型を用いて少なくとも一部分が同一形状である端子と補強タブとを形成する形成ステップと、
前記端子を、回路基板に載置されるコネクタハウジングの、相手側コネクタと接続される嵌合開口内に延出するように圧入固定する端子固定ステップと、
前記補強タブを前記コネクタハウジングに圧入固定し、前記補強タブが前記回路基板に対する機械的固定部を提供するようにする補強タブ固定ステップと、を含む、コネクタ製造方法である。
【0013】
上記一態様において、前記形成ステップは、前記同一金型を用いて、ピンコンタクト、圧入部、リード部を有する複数の端子がキャリアストリップ及び中継ぎ材によって接続された端子プレス部品を形成するプレス部品形成ステップと、前記端子プレス部品から、前記キャリアストリップ及び前記中継ぎ材の両方を切断することによって前記端子を形成する端子形成ステップと、前記端子プレス部品から、少なくともキャリアストリップを切除することによって前記補強タブを形成する補強タブ形成ステップと、を含む。
【0014】
上記一態様において、前記端子プレス部品は、先端側からピンコンタクト、圧入部、中継ぎ材、リード部の順に形成されてキャリアストリップに接続されており、前記補強タブ形成ステップは、前記中継ぎ材と前記リード部との間を切断するものである。
【0015】
上記一態様において、前記端子プレス部品は、先端側からピンコンタクト、中継ぎ材、圧入部、リード部の順に形成されてキャリアストリップに接続されており、前記補強タブ形成ステップは、前記リード部と前記キャリアストリップとの間を切断し、さらに前記ピンコンタクトを切除するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の上記一態様によれば、端子と補強タブが同一形状部分を含んでいるため、コネクタを製造する際に、端子と補強タブの金型を共用することが可能となり、補強タブ専用の金型を不要とすることが可能となる。
【0017】
本発明の上記一態様によれば、端子と補強タブを、同一形状の圧入部とそれに連続した部分によってコネクタハウジングに固定することが可能となる。
【0018】
本発明の上記一態様によれば、第1拡張部を、端子をコネクタハウジングに圧入する際のストッパとして機能させ、第2拡張部を、ハウジングが回路基板にブレなく載置された状態を保持するものとして機能させることが可能となる。
【0019】
本発明の上記一態様によれば、補強タブは第2拡張部によって接続された複数の線条材によってコネクタハウジングを回路基板に堅固に固定することが可能となる。
【0020】
本発明の上記一態様によれば、コネクタを、嵌合開口が回路基板の延在方向に向いており、接続相手方コネクタが回路基板の延在方向に沿って挿入されるサイドタイプ型のものとすることが可能となる。
【0021】
本発明の上記一態様によれば、コネクタを、嵌合開口が回路基板の延在方向に対して垂直方向に向いており、接続相手方コネクタが回路基板に対して垂直方向から挿入されるトップタイプ型のものとすることが可能となる。
【0022】
本発明の上記一態様によれば、コネクタを製造する際に、端子と補強タブの金型を共用することが可能となり、補強タブ専用の金型を不要とすることが可能となる。
【0023】
本発明の上記一態様によれば、共用の金型から形成されたプレス部品から、最終形状の異なる端子と補強タブ形成することが可能となる。
【0024】
本発明の上記一態様によれば、嵌合開口とは反対側からコネクタハウジングに圧入可能な端子を形成することが可能となる。
【0025】
本発明の上記一態様によれば、嵌合開口側からコネクタハウジングに圧入可能な端子を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1(a)は、回路基板に装着された実施形態のコネクタを前方側から見た場合の外観斜視図、図1(b)は、回路基板に装着された実施形態のコネクタを後方側から見た場合の外観斜視図である。
図2】実施形態のコネクタを分解して斜め上方から見た場合の外観斜視図である。
図3図3(a)は、実施形態のコネクタを前方から見た場合の正面図、図3(b)は、実施形態のコネクタを側方から見た場合の側面図、図3(c)は、図3(a)のIIIC-IIIC線断面で切断して上方から見た場合の断面図、図3(d)は、実施形態のコネクタを後方から見た場合の背面図である。
図4】実施形態のコネクタの端子の斜視図である。
図5】実施形態のコネクタの補強タブの斜視図である。
図6図6(a)は、実施形態のコネクタの端子の製造工程を示す説明図であり、図6(b)は、実施形態のコネクタの補強タブの製造工程を示す説明図である。
図7図7(a)は、実施形態のコネクタハウジングに対して補強タブを取り付けた状態を示す断面図であり、図7(b)及び図7(c)は、変形例のコネクタにおいて、補強タブがコネクタハウジングに取り付けられた状態を示す。
図8図8(a)は、他の変形例のコネクタが回路基板に装着された状態を示す外観斜視図であり、図8(b)は、図8(a)のコネクタにおいて補強タブがコネクタハウジングに取り付けられた状態を示す図である。
図9図9(a)は、変形例のコネクタの端子の製造工程を示す説明図であり、図9(b)は、変形例のコネクタの補強タブの製造工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本実施形態のコネクタ10を、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明のコネクタとしてコネクタ10を例示して説明するものであって、本発明をこのコネクタ10に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された他の形態のコネクタにも等しく適用されるべきものである。
【0028】
図1(a)、図1(b)、図2図3(a)-図3(d)を参照し、コネクタ10の全体構成について説明する。本実施形態のコネクタ10は、コネクタハウジング100、端子200、補強タブ300を含み、回路基板400に装着される。
【0029】
コネクタハウジング100は、中空の直方体形状の外形を有しており、回路基板400に載置される載置面110、上面112、前面114、後面116、側面118、120を有する。載置面110は、回路基板400の延在する方向と平行に広がっている。上面112は、載置面110と平行であり、載置面110と上面112との間に前面114、後面116、側面118、120が載置面110、及び上面112に対して垂直に形成されている。前面114には相手側コネクタ(図示せず)と接続される嵌合開口122が形成される。嵌合開口122は、回路基板の延在方向と平行な方向を向いて開口しており、相手側コネクタが回路基板の延在方向に沿って移動させ、嵌合開口122に挿入可能となっている。
【0030】
後面116は、所定肉厚で形成されており、複数の端子挿入孔124が形成されている。本実施形態では、後面116には26個の端子挿入孔124が上下2段に分かれて形成されている。これらの端子挿入孔124には、それぞれ端子200が挿入固定されている。なお、端子挿入孔124の数は、挿入される端子200の数に合わせて幾つであってもよく、例えば、1つだけであってもよく、反対に26個より多くてもよい。また、端子挿入孔124の段数も2段に限定されず、1段であってもよいし、2段より多くてもよい。
【0031】
側面118、120には、補強タブ装着部126、128が形成される。補強タブ装着部126、128は、側面118、120の上下の一部分がさらに側方に向けて突出した突出壁部130、132、及び突出壁部130、132と側面118、120の間を上下に貫通するように形成された補強タブ装着孔134、136を含む。この補強タブ装着孔134、136には、後述する補強タブ300が挿入されている。
【0032】
端子200は、図4に示すように、L字形状であり、ピンコンタクト202と、リード部204と、第1圧入部206と、を有する。ピンコンタクト202は直線状である。リード部204は、L字形状に屈曲しており、回路基板400に対して電気的機械的に接続される部位となっている。第1圧入部206は、ピンコンタクト202とリード部204との間に形成され、コネクタハウジング100に圧入固定される部位となっている。第1圧入部206は、幅方向外側に向けて突出した圧入突起208を含む。また、第1圧入部206とリード部204との間には、幅方向に幅広となった第1拡張部210を有している。
【0033】
補強タブ300は、図5に示すように、端子200の、コネクタハウジング100に挿入固定された部分の形状と同一形状である複数の固定部302を含む。固定部302は、第2圧入部304、基板固定ピン306を含む。第2圧入部304は、端子200の第1圧入部206と同一形状であり、幅方向外側に向けて突出した圧入突起308を含む。端子200の圧入突起208と補強タブ300の圧入突起308は同一形状である。また、第2圧入部304と連続した部分の形状は、端子200の第1圧入部206と連続した部分の形状と同一である。つまり、本実施形態において、第2圧入部304に連続した部分である基板固定ピン306、及び第2拡張部310は、端子200の第1圧入部304と連続した部分であるピンコンタクト202、及び第1拡張部210と少なくとも同一形状の部分を含んでいる。
【0034】
この基板固定ピン306は、回路基板400に形成される補強タブ固定孔に挿入され、固定される。なお、基板固定ピン306の長さは、ピンコンタクト202の長さと同じであってもよいし、それよりも短くてもよい。あるいは、基板固定ピン306の長さは、ピンコンタクト202の長さよりも長くてもよい。基板固定ピン306の長さは、少なくとも、補強タブ300が補強タブ装着部126、128に装着された際に、載置面110よりも下方に突出する長さを有していればよい。
【0035】
さらに、補強タブ300は、第2圧入部304に対して回路基板400に挿入される側とは反対側に、幅広となった第2拡張部310を有する。第2拡張部310は、少なくとも端子200の第1拡張部210と同一形状の部分を含んでおり、複数の固定部302を接続し、補強タブ300を叉状の部材としている。本実施形態では、第2拡張部310は、3つの固定部302を接続している。
【0036】
[製造方法]
次に、図6(a)、図6(b)を参照して本実施形態のコネクタ製造方法について説明する。まず、コネクタハウジング100を形成する。コネクタハウジング100は、射出成型などの方法により、回路基板400に載置される載置面110と、相手側コネクタと接続される嵌合開口122を有するように形成される。
【0037】
次いで、図6(a)、図6(b)に例示されるように、図示しない同一金型を用いて、少なくとも一部分が同一形状である端子200と補強タブ300とを形成する。具体的には、同一金型を用いて、複数の端子材がキャリアストリップ508及び中継ぎ材510によって接続された端子プレス部品500を形成する。端子200を形成するための端子プレス部品と500と補強タブ300を形成するための端子プレス部品500は同一形状である。この端子プレス部品500は、端子200のピンコンタクト202、及び補強タブ300の基板固定ピン306と同一形状であるピン部502を有する。また、この端子プレス部品500は、端子200のリード部204と同一形状であるリード対応部504を有する。さらに、この端子プレス部品500は、端子200の第1圧入部206、及び補強タブ300の第2圧入部304と同一形状である圧入部506を含む。つまり、この端子プレス部品500は、先端側から順に、端子200のピンコンタクト202、第1圧入部206、第1拡張部210、リード部204に対応する、ピン部502、圧入部506、中継ぎ材510、リード対応部504の順に形成される。そして、複数のリード対応部504の後端は、キャリアストリップ508によって接続されている。また、リード部204と同一形状のリード対応部504と、第1圧入部206に対応する圧入部506との間は中継ぎ材510によって接続され、全体として短冊状のプレス部品となっている。
【0038】
次いで、この端子プレス部品500から、図6(a)に示すように、キャリアストリップ508及び中継ぎ材510の両方を切断することによって端子200を形成する。具体的には、破線512においてキャリアストリップ508を切断し、さらに破線514において中継ぎ材510を切断することによって、端子200を形成する。このとき、中継ぎ材510は、隣接し合う端子200の中心からそれぞれの端子200側に近接した部分が切断される。なお、中継ぎ材510は、隣接し合う端子200の中心に沿って切断されてもよい。
【0039】
キャリアストリップ508が切断されることにより、リード部204が形成される。また、中継ぎ材510が切断されることにより、リード部204と第1圧入部206の間に、幅方向に幅広となった第1拡張部210が形成される。第1拡張部210のリード部204側の端面は、端子200をコネクタハウジング100に挿入固定する際の肩部212を構成する。
【0040】
次いで、図6(a)に示すように、端子200は、リード部204の第1拡張部210に近い側を直角に屈曲するように折り曲げ加工され、コネクタハウジング100に挿入固定される前の端子200となる。なお、端子200は、コネクタハウジング100への挿入固定後に折り曲げ加工されてもよい。
【0041】
また、図6(b)に示すように、端子200を形成したのと同一形状の端子プレス部品500から、補強タブ300を形成する。具体的には、補強タブ300は、端子プレス部品500において、破線516に沿って中継ぎ材510からリード対応部504を切断することによって形成される。補強タブ300は、端子プレス部品500の複数のピン部502が中継ぎ材510によって接続された短冊状の形状である。端子プレス部品500の複数のピン部502は、基板固定ピン306を構成し、中継ぎ材510は第2拡張部310を構成する。なお、本実施形態では、補強タブ300は、3つの基板固定ピン306が第2拡張部310によって接続されている。
【0042】
なお、本実施形態では、補強タブ300が、端子プレス部品500の中継ぎ材510とリード対応部504との間を切断することにより形成された例を説明した。しかしながら、本実発明は上記実施形態に限定されず、補強タブ300は、端子プレス部品500から少なくともキャリアストリップ508を切除することによって形成されるものであってもよい。この場合、リード対応部504が第2拡張部310から延設されており、そのまま補強タブ300に残された形状となる。
【0043】
次いで、図6(a)に示すリード部204が折り曲げ加工された端子200を、コネクタハウジング100の嵌合開口122内に延出するように圧入固定する。具体的には、コネクタハウジング100の後面116側から、端子200のピンコンタクト202を端子挿入孔124に挿入する。このとき、端子200の肩部212を、工具によって前方に押しながら端子挿入孔124に挿入し、第1圧入部206を端子挿入孔124内に嵌入させる。すると、端子200のピンコンタクト202は、端子挿入孔124を貫通し、コネクタハウジング100の嵌合開口122内に延出する。
【0044】
次いで、図6(b)に示す補強タブ300を、コネクタハウジング100に圧入固定し、補強タブ300が回路基板400に対する機械的固定部を提供するようにする。具体的には、補強タブ300の固定部302の基板固定ピン306を、コネクタハウジング100の側面118、120に設けられた補強タブ装着部126、128の補強タブ装着孔134、136に挿入する。このとき、補強タブ300の第2拡張部310を工具で下方に押すことにより、第2圧入部304が補強タブ装着孔134、136に圧入される。補強タブ300の基板固定ピン306は、補強タブ装着孔134、136を貫通し、コネクタハウジング100の載置面110を超えて下方へ突出する。
【0045】
コネクタハウジング100を回路基板400に装着する際に、載置面110は回路基板400上に載置される。このとき、補強タブ300の基板固定ピン306は、回路基板400に対応して形成された補強タブ固定孔に挿入され、この補強タブ固定孔の周囲に形成されたランド(図示せず)などにはんだ付けされる。これにより、コネクタハウジング100は回路基板400に堅固に固着される。なお、補強タブ300の固定部302は、基板固定ピン306の、コネクタハウジング100の載置面110よりも下方に延出した部分を側方に屈曲させるように折り曲げ加工してもよい。この場合、補強タブ300の基板固定ピン306は、回路基板400上のパターンにはんだ付けされる。
【0046】
[変形例]
上記実施形態においては、補強タブ300を、3つの固定部302が第2拡張部310によって接続され、コネクタハウジング100の補強タブ装着孔134、136に挿入された例について説明した。図7(a)には、上記実施形態における、3つの固定部302を有する補強タブ300がコネクタハウジング100の補強タブ装着部126に装着された場合が例示されている。なお、本発明における補強タブ300の固定部302の数は、上記実施形態に限定されない。図7(b)に示すように、補強タブ装着孔134に挿入された2つの固定部302が第2拡張部310によって接続されていてもよい。また、図7(c)に示すように、第2拡張部310に、1つのみの固定部302が接続されており、固定部302が補強タブ装着孔134に挿入されていてもよい。なお、コネクタハウジング100の補強タブ装着孔134の数は、補強タブ300の固定部302の数に合わせて形成される。
【0047】
また、上記実施形態においては、コネクタハウジング100の載置面110が、嵌合開口122内にピンコンタクト202が延出する方向と平行である場合を説明した。つまり、嵌合開口122は、載置面110と平行な方向を向くように開いており、相手側コネクタは載置面110と平行に移動して嵌合開口122に挿入された。しかしながら、本発明は上記実施形態に限定されない。本発明の原理は、図8(a)、図8(b)に示すように、コネクタハウジング100Aの載置面110Aが、嵌合開口122A内にピンコンタクト(図示せず)が延出する方向に対して垂直である、いわゆるトップタイプ型のものに適用されてもよい。すなわち、嵌合開口122Aは、載置面110Aに対して垂直方向を向いて開いており、相手側コネクタは載置面110Aに対して垂直方向に移動して嵌合開口122Aに挿入される。
【0048】
なお、この場合、コネクタハウジング100Aに装着される端子のリード部には、上記実施形態のような屈曲部を形成しない。端子は、直線形状のままコネクタハウジング100Aの載置面110Aに形成した端子挿入孔に圧入され、端子リード部が回路基板400に挿入される。
【0049】
また、上記実施形態においては、端子プレス部品500が、先端側から端子200のピンコンタクト202、第1圧入部206、中継ぎ材510、リード部204の順に対応した形状となるように形成された例について説明した。つまり、端子プレス部品500は、ピン部502、圧入部506、中継ぎ材510、リード対応部504の順に形成されキャリアストリップ508に接続されていた。しかしながら、本発明は、上記実施形態に限定されない。図9(a)、図9(b)に示すように、端子プレス部品500Aが、先端側からピン部502A、中継ぎ材510A、圧入部506A、リード対応部504Aの順に形成されてキャリアストリップ508Aに接続されていてもよい。
【0050】
この端子プレス部品500Aから、図9(a)に示すように、キャリアストリップ508A、及び中継ぎ材510Aの両方を切断することによって端子200Aを形成する。具体的には、破線512Aにおいてキャリアストリップ508Aを切除し、さらに破線514Aにおいて中継ぎ材510Aを切断することによって、端子200Aを形成する。これにより、端子200Aは、先端側から順にピンコンタクト202A、第1拡張部210A、圧入突起208Aを有する第1圧入部206A、リード部204Aを有した構成となる。
【0051】
端子200Aは、リード部204Aを屈曲させる前にコネクタハウジング100の嵌合開口122側から端子挿入孔124に挿入される。そして第1圧入部206Aが端子挿入孔124内に圧入され、固定される。次いで、コネクタハウジング100の後面116から後方に延出したリード部204Aは、L字型に屈曲され、回路基板400への接続部として使用される。
【0052】
また、図9(b)に示すように、端子200Aを形成したのと同じ端子プレス部品500Aから、破線516Aにおいてピン部502Aを切除し、破線518Aにおいてリード対応部504Aとキャリアストリップ508Aの間を切断する。これにより、補強タブ300Aが形成される。端子プレス部品500Aの複数のリード対応部504Aは、基板固定ピン306Aを構成し、中継ぎ材510Aは、第2拡張部310Aを構成する。この変形例では、補強タブ300Aは、3つの基板固定ピン306Aが第2拡張部310Aによって接続されている。形成された補強タブ300Aは、上記実施形態と同様に、コネクタハウジング100の補強タブ装着部126、128に装着される。
【符号の説明】
【0053】
10 コネクタ
100 コネクタハウジング
110 載置面
112 上面
114 前面
116 後面
118、120 側面
122、122A 嵌合開口
124 端子挿入孔
126、128 補強タブ装着部
130、132 突出壁部
134、136 補強タブ装着孔
200、200A 端子
202、202A ピンコンタクト
204、204A リード部
206、206A 圧入部
208 第1圧入突起
210、210A 第1拡張部
212 肩部
300、300A 補強タブ
302 固定部
304 圧入部
306、306A 基板固定ピン
308 圧入突起
310、310A 第2拡張部
400 回路基板
500、500A 端子プレス部品
502、502A ピン部
504、504A リード対応部
506、506A 圧入部
508、508A キャリアストリップ
510、510A 中継ぎ材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9