(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087197
(43)【公開日】2023-06-23
(54)【発明の名称】ロックボルト打設機用のモルタル注入システム
(51)【国際特許分類】
E21D 20/02 20060101AFI20230616BHJP
E21B 44/00 20060101ALI20230616BHJP
E04G 21/12 20060101ALN20230616BHJP
【FI】
E21D20/02
E21B44/00 Z
E04G21/12 105Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201443
(22)【出願日】2021-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】594149398
【氏名又は名称】古河ロックドリル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】石川 和弥
(72)【発明者】
【氏名】藤城 義信
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129AB05
2D129AB09
2D129BA05
2D129JA01
(57)【要約】
【課題】ロックボルト1本毎に適切なモルタル量を注入することができるロックボルト打設機用のモルタル注入システムを提供する。
【解決手段】制御盤7を備えたロックボルト打設機100と、モルタル注入機3にモルタルを吐出するモルタルポンプ装置201と、モルタルポンプ装置201を制御するモルタルポンプ制御盤202とを有し、制御盤7は、モルタル設定量を入力する注入量入力手段11と、モルタル吐出量を計算する吐出量計算手段12と、モルタル設定量とモルタル吐出量とを比較するモルタル量比較検討手段13と、を有し、モルタル吐出量がモルタル設定量を越える場合は、モルタルポンプ装置201が停止するロックボルト打設機用のモルタル注入システム。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロックボルト孔を穿孔するロックボルト穿孔装置と、ロックボルトを打設するロックボルト打設装置と、前記ロックボルト穿孔装置および前記ロックボルト打設装置を制御する制御盤と、を備えたロックボルト打設機と、
前記ロックボルト孔にモルタルを注入するモルタル注入機と、
前記モルタル注入機にモルタルを吐出するモルタルポンプ装置と、
前記モルタルポンプ装置を制御するモルタルポンプ制御盤と、
を有するロックボルト打設機用のモルタル注入システムであって、
前記制御盤は、前記ロックボルト孔に注入するモルタル設定量を入力する注入量入力手段と、前記モルタルポンプ装置から吐出されるモルタル吐出量を計算する吐出量計算手段と、前記モルタル設定量に基づく量と前記モルタル吐出量に基づく量とを比較するモルタル量比較検討手段と、を有し、
前記モルタル吐出量に基づく量が前記モルタル設定量に基づく量を越える場合は、前記制御盤は前記モルタルポンプ制御盤に前記モルタルポンプ装置を停止させる信号を送り、前記モルタルポンプ装置が停止することを特徴とするロックボルト打設機用のモルタル注入システム。
【請求項2】
前記ロックボルト打設機は、前記ロックボルト穿孔装置および前記ロックボルト打設装置の運転状態を監視するモニタを備えており、
前記モニタに前記モルタルポンプ装置から吐出されるモルタル吐出量が表示されることを特徴とする請求項1に記載のロックボルト打設機用のモルタル注入システム。
【請求項3】
前記ロックボルト打設機は、前記モルタルポンプ装置の運転開始と運転停止を操作するモルタルポンプ運転スイッチを備えており、
前記モルタルポンプ運転スイッチの操作により、前記モルタル吐出量に基づく量が前記モルタル設定量に基づく量より少ない状態で、前記モルタルポンプ装置が運転停止した場合は、前記制御盤は前記モニタに、前記モルタル吐出量に基づく量が前記モルタル設定量に基づく量より少ない状態で前記モルタルポンプ装置が運転停止したことを警告表示するよう指示することを特徴とする請求項2に記載のロックボルト打設機用のモルタル注入システム。
【請求項4】
前記モルタルポンプ装置は、前記モルタルポンプ装置を駆動させるためのモルタルポンプモータを有し、
前記モルタル吐出量は、前記モルタルポンプモータの運転時間に所定の係数をかけて計算することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のロックボルト打設機用のモルタル注入システム。
【請求項5】
前記モルタルポンプ装置は、前記モルタルポンプ装置を駆動させるためのモルタルポンプモータと、前記モルタルポンプモータの回転数を検知する回転数センサを有し、
前記モルタル吐出量は、前記回転数センサからの回転数と回転数当たりの吐出量とにより計算することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のロックボルト打設機用のモルタル注入システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル施工、鉱山坑道掘削および補強土作業において、ロックボルト打設作業を行うロックボルト打設機におけるモルタル注入システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トンネル施工等で複数個所にロックボルトを打設するための削孔を行う装置として、穿孔機とブームとにより構成される穿孔装置およびモルタル等を混練し圧送する混練圧送装置を具備した掘削機と、ロックボルト装着工程が開示されている。特許文献1におけるロックボルト装着工程は、最初に穿孔機により穿孔を行い、次に圧送機からモルタルを圧送して穿孔された孔にモルタルを注入し、モルタル注入後、孔にロックボルトを装着し、順次この工程を繰り返すものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
穿孔された孔にモルタルを注入するモルタル量は、通常、複数個所にロックボルトを打設する場合、ロックボルト総数として管理することはあるが、ロックボルト1本毎に管理ができていない場合が多い。そのため、穿孔された孔にモルタルを注入するモルタル量が多すぎる場合は過剰のモルタルが流出して無駄が発生する。また、モルタル量が少なすぎる場合は、ロックボルトの固定が不完全なものとなる場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、ロックボルト1本毎に適切なモルタル量を注入することができるロックボルト打設機用のモルタル注入システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、ロックボルト孔を穿孔するロックボルト穿孔装置と、ロックボルトを打設するロックボルト打設装置と、ロックボルト穿孔装置およびロックボルト打設装置を制御する制御盤と、を備えたロックボルト打設機と、ロックボルト孔にモルタルを注入するモルタル注入機と、モルタル注入機にモルタルを吐出するモルタルポンプ装置と、モルタルポンプ装置を制御するモルタルポンプ制御盤と、を有するロックボルト打設機用のモルタル注入システムであって、制御盤は、ロックボルト孔に注入するモルタル設定量を入力する注入量入力手段と、モルタルポンプ装置から吐出されるモルタル吐出量を計算する吐出量計算手段と、モルタル設定量に基づく量とモルタル吐出量に基づく量とを比較するモルタル量比較検討手段と、を有し、モルタル吐出量に基づく量がモルタル設定量に基づく量を越える場合は、制御盤はモルタルポンプ制御盤にモルタルポンプ装置を停止させる信号を送り、モルタルポンプ装置が停止するロックボルト打設機用のモルタル注入システムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、ロックボルト1本毎の適切なモルタル量を注入することができるロックボルト打設機用のモルタル注入システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係るロックボルト打設機用のモルタル注入システムの構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るロックボルト打設機用のモルタル注入システムの制御ブロック構成図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るロックボルト打設機用のモルタル注入システムのモニタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明では、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる場合が含まれる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0010】
本実施形態によるロックボルト打設機用のモルタル注入システム300は、ロックボルト孔の穿孔、ロックボルトの打設、および、ロックボルト孔へのモルタル注入を行うシステムである。ロックボルト打設機用のモルタル注入システム300は、ロックボルト孔を穿孔するロックボルト穿孔装置1と、ロックボルトを打設するロックボルト打設装置2と、ロックボルト穿孔装置1およびロックボルト打設装置2を制御する制御盤7と、を備えたロックボルト打設機100と、ロックボルト孔にモルタルを注入するモルタル注入機3と、モルタル注入機3にモルタルを吐出するモルタルポンプ装置201と、モルタルポンプ装置201を制御するモルタルポンプ制御盤202と、を有するロックボルト打設機用のモルタル注入システムであって、制御盤7は、ロックボルト孔に注入するモルタル設定量を入力する注入量入力手段11と、モルタルポンプ装置201から吐出されるモルタル吐出量を計算する吐出量計算手段12と、モルタル設定量とモルタル吐出量とを比較するモルタル量比較検討手段13と、を有し、モルタル吐出量がモルタル設定量を越える場合は、制御盤7はモルタルポンプ制御盤202にモルタルポンプ装置201を停止させる信号を送り、モルタルポンプ装置201が停止するロックボルト打設機用のモルタル注入システムである。以下において、本実施形態に係るロックボルト打設機用のモルタル注入システムの詳細を
図1、
図2に基づき説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るロックボルト打設機用のモルタル注入システムの構成図であり、
図2は、本実施形態に係るロックボルト打設機用のモルタル注入システムの制御ブロック構成図である。ロックボルト打設機用のモルタル注入システム300は、ロックボルト打設機100とモルタル搭載機200を備えている。ロックボルト打設機100は、トンネル等の壁面に補強用のロックボルトを打設するために、ロックボルト用孔を穿孔し、穿孔したロックボルト用孔にロックボルトを打設する装置である。モルタル搭載機200は、ロックボルトを打設する前のロックボルト用孔に注入するモルタルを圧送する装置である。
【0012】
図1、2に示すように、ロックボルト打設機100は、ロックボルト孔を穿孔するロックボルト穿孔装置1と、ロックボルトを打設するロックボルト打設装置2、ロックボルト穿孔装置1およびロックボルト打設装置2を制御する制御盤7を備えている。また、ロックボルト打設装置2は、モルタル注入機3を備えている。モルタル注入機3はモルタル搭載機200から圧送されるモルタルをロックボルト用孔に注入する。ロックボルト打設機100には運転席4が配置されており、運転席4には、ロックボルト穿孔装置1およびロックボルト打設装置2の運転状態を監視するためのモニタ5、モルタルポンプ装置201の始動と停止を行うモルタルポンプ運転スイッチ206、モニタ5に表示された表示をリセットするリセットスイッチ6が設置されている。また、ロックボルト打設機100は無線送受信機9を備えており、無線送受信機9はモルタル搭載機200に搭載された後述する無線送受信機204との信号の送受信を行う。また、ロックボルト打設装置2は圧力スイッチ8を備えている。圧力スイッチ8は、ロックボルトがロックボルト用孔に装着される毎に動作するセンサであり、ロックボルト用孔へのロックボルトの装着が完了すると動作する。本実施形態のロックボルト穿孔装置において、モルタルポンプ装置201の始動と停止の基本操作は、操作者がモルタルポンプ運転スイッチ206を操作することで行う。
【0013】
図1、
図2に示すように、モルタル搭載機200はモルタル注入機3にモルタルを吐出するモルタルポンプ装置201を備えている。ロックボルト打設装置2に備えられたモルタル注入機3とモルタルポンプ装置201とは図示しない圧送ホースが連結している。モルタルポンプ装置201は、駆動用のモルタルポンプモータ203、モルタルポンプ装置201を制御するモルタルポンプ制御盤202、コンバータ205、無線送受信機204を備えている。モルタルポンプモータ203の軸にはモルタルポンプモータ203の軸の回転数を検知する回転センサ207が取り付けられている。また、モルタルポンプモータ203はモルタルポンプモータ203の運転時間を計測するタイマ208を備えている。コンバータ205はモルタルポンプ制御盤202、回転センサ207、タイマ208から送られてくる信号を変換し無線送受信機204へ送信し、また、無線送受信機204から送信される信号を変換しモルタルポンプ制御盤202へ送信する。モルタルポンプ制御盤202は、ロックボルト打設機100に設置されたモルタルポンプ運転スイッチ206のONによってロックボルト打設機100のから送られてくる運転開始信号に基づき、モルタルポンプモータ203を始動させ、また、ロックボルト打設機100のから送られてくる停止信号によりモルタルポンプモータ203を停止させる。無線送受信機204は、ロックボルト打設機100の無線送受信機9と信号の送受信を行う。
【0014】
ロックボルトを打設する作業時には、モルタルポンプ装置201を搭載したモルタル搭載機200はロックボルト打設機100の近くに設置される。ロックボルト穿孔装置1によってロックボルト孔を穿孔した後、ロックボルト打設装置2に備えられたモルタル注入機3を用いて穿孔したロックボルト用孔にモルタルを注入する。モルタル注入後、ロックボルト打設装置2を用いてモルタルが注入されたロックボルト用孔にロックボルトを装着する。
【0015】
次に
図2を用いて、ロックボルト打設機用のモルタル注入システムの制御ブロックについて説明する。
【0016】
ロックボルト打設機100の運転席4には、モニタ5、モルタルポンプ運転スイッチ206、リセットスイッチ6が設置されている。モニタ5は、ひとつのロックボルト用孔に注入されるモルタルの注入量を入力する注入量入力手段11を備えている。注入量入力手段11はモニタ5の画面上から直接入力できるソフトスイッチであるが、注入量入力手段11はモニタ5とは別に設けたハードスイッチでも構わない。また、モニタ5は、モルタル注入機3によって注入されるモルタルのモルタル吐出量を表示するモルタル注入量表示部210を備えている。モルタル注入量表示部210に表示されたモルタル注入量はリセットスイッチ6によりリセットされる。
【0017】
ロックボルト打設機100に備えられた制御盤7は、ロックボルト打設機100を制御する。制御盤7は吐出量計算手段12、モルタル量比較検討手段13、記憶手段14を備えている。吐出量計算手段12は、モルタル搭載機200から送られてくるモルタルポンプモータ203の軸の回転数に基づき、モルタル注入機3によって注入されるモルタル吐出量を計算する。モルタル注入機3によって注入されるモルタル吐出量を計算するための計算式は、記憶手段14に記憶されている。計算は、モルタルポンプモータ203の軸の回転数と単位吐出量とにより求めることができる。尚、モルタル吐出量は、モルタル搭載機200から送られてくるモルタルポンプモータ203の運転時間に基づき計算することでも構わない。モルタルポンプモータ203の運転時間に基づく場合は、モルタルポンプモータ203の運転時間に所定の係数をかけることにより求めることができる。モルタル量比較検討手段13は、モニタ5に備えられた注入量入力手段11から入力されたモルタル設定量と吐出量計算手段12によって計算されたモルタル吐出量とを比較する。モルタル設定量は、ロックボルト孔の穿孔径、穿孔長、ロックボルト形状等により設定する。また、単位吐出量はモルタルポンプ装置201の1分当たりのモルタル吐出量である。また、モルタルポンプモータ203の運転時間にかける所定の係数は、予め、モルタルポンプモータの運転時間およびモルタルポンプ装置201のモルタル吐出量から求めたものである。
【0018】
吐出量計算手段12は、計算によって求めたモルタル吐出量を出力しモニタ5に送信する。モニタ5のモルタル注入量表示部210は、吐出量計算手段12から送信されたモルタル吐出量を表示する。これにより、操作者は、ひとつのロックボルト用孔に注入されているモルタルの注入量を把握することができる。モルタル量比較検討手段13は、吐出量計算手段12によって計算されたモルタル吐出量が注入量入力手段11から入力されたモルタル設定量を越えた場合、モルタルポンプ装置201を停止させる停止信号を出力する。本実施形態では、モルタルポンプ装置201の停止は操作者がモルタルポンプ運転スイッチ206を操作することにより行う。そのため、モルタル吐出量がモルタル設定量より少ない状態で、モルタルポンプ運転スイッチ206が操作されモルタルポンプ装置201が停止した場合は、制御盤7はモニタ5にモルタル吐出量がモルタル設定量より少ない状態で停止したことを警告表示する。
【0019】
次に、本実施形態に係るモルタル注入システム300のロックボルト孔へのモルタル注入について説明する。
【0020】
最初に、操作者は穿孔したロックボルト用孔にモルタル注入機3をセットする。次に、操作者はモニタ5の注入量入力手段11からモルタル設定量を入力し、モルタルポンプ運転スイッチ206をONにする。操作者によってモルタルポンプ運転スイッチ206がONにされると運転開始信号が制御盤7へ送信される。運転開始信号を受信した制御盤7はその信号を無線送受信機9へ送信し、無線送受信機9はモルタル搭載機200の無線送受信機204へ運転開始信号を送信する。ロックボルト打設機100から送信された運転開始信号は、無線送受信機204、コンバータ205を介してモルタルポンプ制御盤202へ送信される。運転開始信号を受信したモルタルポンプ制御盤20はモルタルポンプモータ203に運転開始信号を送信し、モルタルポンプモータ203は始動する。モルタルポンプモータ203が始動すると、モルタル注入機3からロックボルト用孔にモルタルが注入される。モルタルのロックボルト用孔への注入の停止は、操作者がロックボルト用孔に注入されているモルタルの状態を目視で確認し、モルタルが十分にロックボルト用孔へ注入されたと判断した場合に、モルタルポンプ運転スイッチ206を操作してモルタルの注入を停止させる。
【0021】
注入量入力手段11から入力されたモルタル設定量は制御盤7へ送信される。また、モルタル搭載機200から送信されるモルタルポンプモータ203の軸の回転数が制御盤7へ送信される。制御盤7の吐出量計算手段12は、記憶手段14に記憶されている計算式を用いて、モルタルポンプモータ203の軸の回転数に基づきモルタルポンプ装置201から吐出されるモルタル吐出量を算出する。吐出量計算手段12は、算出されたモルタル吐出量をモニタ5に出力する。算出されたモルタル吐出量はモニタ5のモルタル注入量表示部210に表示される。これにより、操作者は、ロックボルト用孔に注入されるモルタルの吐出量を把握することができる。モルタルのロックボルト用孔への注入の停止は、操作者がロックボルト用孔に注入されているモルタルの状態を目視で確認して行うが、モルタル注入量がモルタル注入量表示部210に表示されることにより、操作者は停止させる場合の目安の参考とすることができる。
【0022】
モルタル量比較手段は、注入量入力手段11から入力されたモルタル設定量と吐出量計算手段12が算出したモルタル吐出量を比較する。吐出量計算手段12が算出したモルタル吐出量が注入量入力手段11から入力されたモルタル設定量を越えた場合、制御盤7は、モルタルポンプ装置201を停止させる停止信号を無線送受信機9へ送信する。無線送受信機9はモルタル搭載機200の無線送受信機204へ停止信号を送信する。ロックボルト打設機100から送信された停止信号を受信した無線送受信機204は、コンバータ205へ停止信号を送信する。停止信号は、コンバータ205を介してモルタルポンプ制御盤202へ送信される。停止信号を受信したモルタルポンプ制御盤202は、モルタルポンプモータ203に停止信号を送信し、モルタルポンプモータ203は停止する。モルタルのロックボルト用孔への注入の停止は、操作者がモルタルポンプ運転スイッチ206を操作して行うが、例えば、トンネル工事等が行われる地山に形成された空洞にロックボルト用孔が連通した場合は、モルタルが空洞にも注入されてしまう。そのため、ロックボルト用孔へ注入すべき本来の注入量よりも多いモルタルが注入されてしまう。その場合、モルタルが十分にロックボルト用孔へ注入されたかどうかを作業者は目視で判断できない。しかし、本実施形態では、モルタル注入量がモルタル注入量表示部210に表示されるので、操作者は停止させる場合の目安の参考とすることができる。これにより、ひとつのロックボルト用孔に対して適切なモルタル量を注入することができる。また、本実施形態では、吐出量計算手段12が算出したモルタル吐出量が注入量入力手段11から入力されたモルタル設定量を越えた場合、制御盤7は、モルタルポンプ装置201を停止させる。そのため、必要以上に、モルタルがロックボルト用孔に注入されてしまうことを抑制することができる。
【0023】
本実施形態のモルタル注入システム300は、ロックボルト打設機100がモルタル注入機3を備えているが、ロックボルト打設機100ではなく、モルタル搭載機200がモルタル注入機3を備えていても構わない。また、本実施形態のモルタル注入システム300は、モルタルポンプモータ203の軸の回転数に基づきモルタルポンプ装置201から吐出されるモルタル吐出量を算出したが、モルタルポンプモータ203の運転時間に基づきモルタルポンプ装置201から吐出されるモルタル吐出量を算出しても構わない。また、本実施形態のモルタル注入システム300は、ロックボルト孔に注入するモルタル設定量を入力する注入量入力手段11と、モルタルポンプ装置201から吐出されるモルタル吐出量を計算する吐出量計算手段12と、モルタル設定量とモルタル吐出量とを比較するモルタル量比較検討手段13と、を有し、モルタル吐出量がモルタル設定量を越える場合は、制御盤7はモルタルポンプ制御盤202にモルタルポンプ装置201を停止させる信号を送り、モルタルポンプ装置201が停止するが、必ずしもこれに限定されない。モルタル設定量とモルタル吐出量とを比較する場合のモルタル設定量とモルタル吐出量は、注入量入力手段11から入力されたモルタル設定量に基づく量であり、また、吐出量計算手段12から計算されたモルタル吐出量に基づく量であっても構わない。こうすることにより、注入量入力手段11から入力されたモルタル設定量に達する前にモルタルポンプ装置201を停止させ、あるいは、注入量入力手段11から入力されたモルタル設定量よりも多い量が吐出された後にモルタルポンプ装置201を停止させることができる。
【0024】
以上、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく実施形態の改変は、当業者にとって自明のことである。
【符号の説明】
【0025】
1…ロックボルト穿孔装置、2…ロックボルト打設装置、3…モルタル注入機、4…運転席、5…モニタ、6…リセットスイッチ、7…制御盤、8…圧力スイッチ、9…無線送受信機、11…注入量入力手段、12…吐出量計算手段、13…モルタル量比較検討手段、100…ロックボルト打設機、200…モルタル搭載機、201…モルタルポンプ装置、202…モルタルポンプ制御盤、203…モルタルポンプモータ、204…無線送受信機、205…コンバータ、206…モルタルポンプ運転スイッチ、207…回転センサ、208…タイマ、210…モルタル注入量表示部、300…モルタル注入システム