(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087206
(43)【公開日】2023-06-23
(54)【発明の名称】軒天井パネル部材及び軒天井パネル構造体
(51)【国際特許分類】
E04B 9/30 20060101AFI20230616BHJP
E04B 1/64 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
E04B9/30 C
E04B1/64 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201453
(22)【出願日】2021-12-13
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】592114080
【氏名又は名称】株式会社ハウゼコ
(74)【代理人】
【識別番号】100101409
【弁理士】
【氏名又は名称】葛西 泰二
(74)【代理人】
【識別番号】100175662
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英明
(74)【代理人】
【氏名又は名称】葛西 さやか
(72)【発明者】
【氏名】神戸 睦史
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DA03
2E001FA04
2E001FA20
2E001GA13
2E001MA03
(57)【要約】
【課題】 下地の木材無しで施工可能となる軒天井パネル部材及び軒天井パネル構造体を提供する。
【解決手段】軒天井パネル構造体1は、家屋の外壁材71と垂木72との間の軒先部分70に軒天井パネル部材10を取り付けることによって設置される。軒天井パネル部材10は、金属板を折り曲げ形成したものよりなり、外壁材71の内方側に対して垂直方向に延びる第1垂直部11と、第1垂直部11の上端部に接続され、垂木72に沿って斜め下方に傾斜するパネル部13と、パネル部13の外方側に接続され、垂木72の外方側に対して垂直方向に上方に延びる第2垂直部12とからなる。軒天井パネル部材10は、第1垂直部11、パネル部13の凹部15の垂木留め付け部14、第2垂直部12を介して、垂木72又は胴縁73に留め付けられることにより、軒先部分70に取り付けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家屋の軒先部分に取り付けられる軒天井パネル部材であって、
金属板を折り曲げ形成したものよりなり、垂直方向に延びる第1垂直部と、
前記第1垂直部の上端部に接続され、斜め下方に傾斜するパネル部と、
前記パネル部の外方側に接続され、垂直方向に上方に延びる第2垂直部とを備え、
前記パネル部は、前記軒先部分を構成する垂木側に向かって窪み、垂木留め付け部を有する凹部を少なくとも一つ備え、
前記凹部は、前記垂木留め付け部と前記パネル部との間の面に開口が形成される、軒天井パネル部材。
【請求項2】
前記パネル部と前記第2垂直部とは、接続部を介して脱着自在に接続される、請求項1記載の軒天井パネル部材。
【請求項3】
外壁材と垂木との間の軒先部分に設置する軒天井パネル構造体であって、
金属板を折り曲げ形成したものよりなり、前記外壁材の内方側に対して垂直方向に延びる第1垂直部と、
前記第1垂直部の上端部に接続され、前記垂木に沿って斜め下方に傾斜するパネル部と、
前記パネル部の外方側に接続され、前記垂木の外方側に対して垂直方向に上方に延びる第2垂直部とからなる軒天井パネル部材を備え、
前記パネル部は、前記垂木側に向かって窪み、垂木留め付け部を有する凹部を少なくとも一つ備え、前記垂木留め付け部を介して前記垂木に留め付けられ、
前記凹部は、前記垂木留め付け部と前記パネル部との間の面に開口が形成される、軒天井パネル構造体。
【請求項4】
前記軒先部分の妻側隅部に設置する出隅部材を更に備え、
前記出隅部材は、平面視矩形形状の底部と、前記底部の一方端部より垂直方向に立ち上がる妻側側面部と、前記妻側側面部の垂直方向端部の一方及び前記底部の各々に連続し、垂直方向に立ち上がる軒先側側面部と、前記軒先側側面部の垂直方向端部の一方及び前記底部の各々に連続し、垂直方向に立ち上がって前記妻側側面部と対向する軒天側側面部とを備え、
前記軒天側側面部は、前記パネル部の妻側端部を差し込み可能とする差し込み部が形成されている、請求項3記載の軒天井パネル構造体。
【請求項5】
前記軒先部分との取り合い部分が生じる壁部に設置する壁止まり水切り部材を更に備え、
前記壁止まり水切り部材は、平板状の壁止まり部と、
前記壁止まり部の一方面から立ち上がって形成され、前記パネル部の壁側端部を差し込み可能とする差し込み部とを備える、請求項3又は請求項4記載の軒天井パネル構造体。
【請求項6】
隅木に設置する水平出隅水切り部材を更に備え、
前記水平出隅水切り部材は、平板状の隅木取付部と、
前記隅木取付部の長手方向端部の各々に接続され、前記パネル部の隅木側端部を差し込み可能とする一対の差し込み部を備え、
前記一対の差し込み部の各々は、短手方向断面が略コの字形状を有し、前記長手方向端部の各々に沿って延びる形状を有する、請求項3から請求項5のいずれかに記載の軒天井パネル構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は軒天井パネル部材及び軒天井パネル構造体に関し、特に外壁材と垂木との間の軒先部分に設置する軒天井パネル部材及び軒天井パネル構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
軒天井を構築する軒天井パネルとして、特許文献1に示すものが存在している。
【0003】
図15は、従来の軒天井パネル要部の斜視図であり、
図16は、
図15に示した軒天井パネルの取付状態を示した縦断側面図である。
【0004】
まず、
図15を参照して、軒天井パネル80は一枚の板状体を曲成して、パネル本体81と、パネル本体81の後縁部に形成された取付縁片82と、パネル本体81の前縁部に形成された、Π状の折曲部83及び後述する屋根下地材上に釘で止着する取付片84が上端部に折曲形成された鼻板85とを、一体的に形成したものよりなる。尚、折曲部83の頂板には換気孔86が穿設されている。
【0005】
次に、
図16を参照して、軒天井パネル80の施工にあっては、まず、外壁面87に木材よりなる下地材88を固着する。次いで、パネル本体81の取付縁片82を下地材88に当接させて止釘で固定すると共に、パネル本体81の取付片84を屋根下地材89上に当接させて釘で止着して、軒天井パネル80の取付を完了する。尚、軒裏内部は折曲部83の頂板に形成された換気孔86を通して良好に換気されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に示す上述のような従来の軒天井パネル80は、施工の際に下地材88として別途木材を用意する必要があり、施工に要する部材の点数が増えるという問題があった。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、下地の木材無しで施工可能となる軒天井パネル部材及び軒天井パネル構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、家屋の軒先部分に取り付けられる軒天井パネル部材であって、金属板を折り曲げ形成したものよりなり、垂直方向に延びる第1垂直部と、第1垂直部の上端部に接続され、斜め下方に傾斜するパネル部と、パネル部の外方側に接続され、垂直方向に上方に延びる第2垂直部とを備え、パネル部は、軒先部分を構成する垂木側に向かって窪み、垂木留め付け部を有する凹部を少なくとも一つ備え、凹部は、垂木留め付け部とパネル部との間の面に開口が形成されるものである。
【0010】
このようにすると、直接垂木に留め付けられる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、パネル部と第2垂直部とは、接続部を介して脱着自在に接続されるものである。
【0012】
このように構成すると、パネル部と第2垂直部とが分離可能となる。
【0013】
請求項3記載の発明は、外壁材と垂木との間の軒先部分に設置する軒天井パネル構造体であって、金属板を折り曲げ形成したものよりなり、外壁材の内方側に対して垂直方向に延びる第1垂直部と、第1垂直部の上端部に接続され、垂木に沿って斜め下方に傾斜するパネル部と、パネル部の外方側に接続され、垂木の外方側に対して垂直方向に上方に延びる第2垂直部とからなる軒天井パネル部材を備え、パネル部は、垂木側に向かって窪み、垂木留め付け部を有する凹部を少なくとも一つ備え、垂木留め付け部を介して垂木に留め付けられ、凹部は、垂木留め付け部とパネル部との間の面に開口が形成されるものである。
【0014】
このように構成すると、軒天井パネル部材が垂木に直に留め付けられる。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、軒先部分の妻側隅部に設置する出隅部材を更に備え、出隅部材は、平面視矩形形状の底部と、底部の一方端部より垂直方向に立ち上がる妻側側面部と、妻側側面部の垂直方向端部の一方及び底部の各々に連続し、垂直方向に立ち上がる軒先側側面部と、軒先側側面部の垂直方向端部の一方及び底部の各々に連続し、垂直方向に立ち上がって妻側側面部と対向する軒天側側面部とを備え、軒天側側面部は、パネル部の妻側端部を差し込み可能とする差し込み部が形成されているものである。
【0016】
このように構成すると、妻側の出隅での施工及び勾配対応が容易となる。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項3又は請求項4記載の発明の構成において、軒先部分との取り合い部分が生じる壁部に設置する壁止まり水切り部材を更に備え、壁止まり水切り部材は、平板状の壁止まり部と、壁止まり部の一方面から立ち上がって形成され、パネル部の壁側端部を差し込み可能とする差し込み部とを備えるものである。
【0018】
このように構成すると、壁止まりでの施工及び勾配対応が容易となる。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項3から請求項5のいずれかに記載の発明の構成において、隅木に設置する水平出隅水切り部材を更に備え、水平出隅水切り部材は、平板状の隅木取付部と、隅木取付部の長手方向端部の各々に接続され、パネル部の隅木側端部を差し込み可能とする一対の差し込み部を備え、一対の差し込み部の各々は、短手方向断面が略コの字形状を有し、長手方向端部の各々に沿って延びる形状を有するものである。
【0020】
このように構成すると、水平出隅での施工及び勾配対応が容易となる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、直接垂木に留め付けられるので、下地の木材無しで施工可能なものとなる。
【0022】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、パネル部と第2垂直部とが分離可能となるので、異なる勾配にも適用し易くなる。
【0023】
請求項3記載の発明は、軒天井パネル部材が垂木に直に留め付けられるので、留め付け用の下地の木材が不要となる。
【0024】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、妻側の出隅での施工及び勾配対応が容易となるので、施工し易い軒天井パネル構造体となる。
【0025】
請求項5記載の発明は、請求項3又は請求項4記載の発明の効果に加えて、壁止まりでの施工及び勾配対応が容易となるので、施工し易い軒天井パネル構造体となる。
【0026】
請求項6記載の発明は、請求項3から請求項5のいずれかに記載の発明の効果に加えて、水平出隅での施工及び勾配対応が容易となるので、施工しやすい軒天井パネル構造体となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】この発明の第1の実施の形態による軒天井パネル部材の正面図である。
【
図2】
図1で示したII-IIラインの端面図である。
【
図3】
図1で示した軒天井パネル部材を取り付けて、軒天井パネル構造体を設置した状態を示す納まり図である。
【
図4】
図3で示した軒天井パネル構造体に用いられる出隅部材の斜視図である。
【
図5】
図4で示した出隅部材の取付工程を示す模式図である。
【
図6】
図5で示した出隅部材に軒天井パネル部材を取り付ける工程を示す模式図である。
【
図7】
図3で示した軒天井パネル構造体に用いられる壁止まり水切り部材の斜視図である。
【
図8】
図7で示した壁止まり水切り部材及び軒天井パネル部材の取付工程を示す模式図である。
【
図9】
図3で示した軒天井パネル部材に用いられる水平出隅水切り部材の斜視図及び正面図である。
【
図10】
図9で示した水平出隅水切り部材の取付工程を示す模式図である。
【
図11】
図10で示した水平出隅水切り部材に軒天井パネル部材を取り付ける工程を示す模式図である。
【
図12】
図11で示した水平出隅水切り部材及び軒天井パネル部材に水平出隅を取り付ける工程を示す模式図である。
【
図13】この発明の第2の実施の形態による軒天井パネル部材の端面図であって、それぞれ第1の実施の形態の
図2に対応した図である。
【
図14】
図13で示した軒天井パネル部材を取り付けて、軒天井パネル構造体を設置した状態を示す納まり図であって、第1の実施の形態による
図3に対応した図である。
【
図16】
図15に示した軒天井パネルの取付状態を示した縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、この発明の第1の実施の形態による軒天井パネル部材の正面図であり、
図2は、
図1で示したII-IIラインの端面図である。
【0029】
これらの図を参照して、軒天井パネル部材10は、板厚0.35mmの鋼板を折り曲げ形成したものよりなり、垂直方向に延びる第1垂直部11と、第1垂直部11の上端部に接続され、斜め下方に傾斜するパネル部13と、パネル部13の外方側に接続され、垂直方向に上方に延びる第2垂直部12とを備える。
【0030】
パネル部13は、第1垂直部11と第2垂直部12との中間付近において、後述する軒先部分を構成する垂木側に向かって窪み、垂木留め付け部14を有する凹部15を一つ備える。凹部15は、短手側端部の一方から他方にかけて、長手方向に沿って溝状に形成され、垂木留め付け部14とパネル部13との間の第2垂直部12側の面に長角孔の開口16が、長手方向の帯状の範囲に渡って等間隔で複数個形成されているものである。又、パネル部13の第2垂直部12近辺には、短手側端部の一方から他方にかけて長手方向に沿って溝状に形成され、垂木側に向かって窪み、垂木留め付け部17を有する補助凹部18が形成されている。第2垂直部12の上端部は、パネル部13から離れる側の斜め下方に折り返され、屋根下地材当接部19が形成されている。このように構成したことによる効果は後述する。
【0031】
図3は、
図1で示した軒天井パネル部材を取り付けて、軒天井パネル構造体を設置した状態を示す納まり図である。
【0032】
図を参照して、家屋の外壁材71と垂木72との間の軒先部分70に、軒天井パネル部材10が取り付けられて軒天井パネル構造体1が設置されている。
【0033】
軒天井パネル部材10の取り付けはまず、第1垂直部11を胴縁73の上端部外方側に、凹部15の垂木留め付け部14及び補助凹部18の垂木留め付け部17の各々を垂木72の下方面74に、第2垂直部12を垂木72の外方面75に、屋根下地材当接部19を屋根下地材76の下方面77にそれぞれ当接させ、軒天井パネル部材10を取り付け位置に配置する。次に、第1垂直部11、垂木留め付け部14及び17の各々をビスにて当接対象に留め付ける。最後に、第1垂直部11を覆うように外壁材71を、又、第2垂直部12を覆うように鼻隠し78を、それぞれ取り付け、鼻隠し78と共に第2垂直部12をビスにて垂木72の外方面75に留め付けて、軒天井パネル部材10の取り付けを完了する。
【0034】
このように軒天井パネル部材10を取り付けることによって軒先部分70に設置される軒天井パネル構造体1は、金属板を折り曲げ形成したものよりなり、外壁材71の内方側に対して垂直方向に延びる第1垂直部11と、第1垂直部11の上端部に接続され、垂木72に沿って斜め下方に傾斜するパネル部13と、パネル部13の外方側に接続され、垂木72の外方側に対して垂直方向に上方に延びる第2垂直部12とからなる軒天井パネル部材10を備え、パネル部13は、垂木72側に向かって窪み、垂木留め付け部14を有する凹部15を少なくとも一つ備え、垂木留め付け部14を介して垂木72に留め付けられ、凹部15は、垂木留め付け部14とパネル部13との間の面に開口16が形成されるものとなる。
【0035】
このように構成すると、軒天井パネル部材10が垂木72に直に留め付けられるので、軒天井パネル構造体1には留め付け用の下地の木材が不要となる。言い換えると、軒天井パネル部材10は、直接垂木72に留め付けられるので、下地の木材無しで施工可能なものとなる。又、軒天井パネル構造体1は、開口16を介して垂木72の下の空間の換気が可能なものとなる。
【0036】
図4は、
図3で示した軒天井パネル構造体に用いられる出隅部材の斜視図である。
【0037】
図4の(1)及び(2)の各々を参照して、出隅部材20は、
図3で示した軒天井パネル構造体1の役物の一つとして軒先部分70の妻側隅部に更に設置されるものであって、板厚0.35mmの鋼板を折り曲げ形成したものよりなり、平面視矩形形状の底部21と、底部21の一方端部22より垂直方向に立ち上がる妻側側面部23と、妻側側面部23の垂直方向端部の一方24及び底部21の各々に連続し、垂直方向に立ち上がる軒先側側面部25と、軒先側側面部25の垂直方向端部の一方26及び底部21の各々に連続し、垂直方向に立ち上がって妻側側面部23と対向する軒天側側面部27とを備え、軒天側側面部27は、
図3で示したパネル部13の妻側端部を差し込み可能とする差し込み部28が形成されているものである。このように構成したことによる効果は後述する。尚、ここでの差し込み部28は、軒天側側面部27において、軒天側側面部27の一部を底部21に平行する方向に沿って軒天側に折り返して形成した潰し29及びその上方の軒天側側面部27の部分を指す。又、軒先側側面部25の上方側には、軒天側に突出する突出部30が形成されており、突出部30の下端と潰し29の上面とでスリット31が形成されている。更に、妻側側面部23と軒天側側面部27との間(軒先側側面部25の対向位置)は開放されている。
【0038】
図5は、
図4で示した出隅部材の取付工程を示す模式図であり、
図6は、
図5で示した出隅部材に軒天井パネル部材を取り付ける工程を示す模式図である。
【0039】
まず、
図5の(1)及び(2)の各々を参照して、出隅部材20を妻側隅部33の下方から、妻側隅部33の下部に覆い被せるようにして取り付ける。尚、上述したように、妻側側面部23と軒天側側面部27との間は開放されている。したがって、取り付けに当たってはまず、最も妻側に位置する垂木34の軒先側を妻側側面部23と軒天側側面部27との間に納め、次に、垂木34の妻側の面35を妻側側面部23の内方面に、軒先側の面36を軒先側側面部25の内方面に、舌片32を胴縁37の外方面に、それぞれ当接させて、出隅部材20を妻側隅部32に固定する。
【0040】
最後に、
図6の(1)及び(2)を参照して、妻側隅部33に取り付けられた出隅部材20の差し込み部28に、軒天井パネル部材10のパネル部13の妻側端部を差し込み、出隅部材20に軒天井パネル部材10を取り付ける。軒天井パネル部材10の取り付けについて詳述すると、まず、第2垂直部12が軒先側側面部25の突出部30の外方面を覆うように軒天井パネル部材10の位置を合わせ、次に、軒天井パネル部材10を出隅部材20の方向にスライドさせて第2垂直部12と補助凹部18との間のパネル部13をスリット31に差し込み、更に軒天井パネル部材10を出隅部材20の方向に更にスライドさせてパネル部13の妻側端部を潰し29の上面に載置すると共に、潰し29の上方の軒天側側面部27に当接させて、軒天井パネル部材10を妻側隅部33に固定して、妻側の出隅での軒天井パネル構造体1の施工を完了する。このようにして、軒天井パネル構造体1は、軒先部分70の妻側隅部33に設置する出隅部材20を更に備えるものとなる。尚、出隅部材20は、妻側が右に、軒先側が左に位置する妻側隅部に適合するものであり、妻側と軒先側との位置関係が逆となる妻側隅部においては、軒先側側面部25を基準に出隅部材20の構成を左右対称に形成した出隅部材が適合可能である。
【0041】
このように構成すると、妻側の出隅での施工及び勾配対応が容易となるので、施工し易い軒天井パネル構造体1となる。
【0042】
図7は、
図3で示した軒天井パネル構造体に用いられる壁止まり水切り部材の斜視図である。
【0043】
図を参照して、壁止まり水切り部材40は、
図3で示した軒天井パネル構造体1の役物の一つとして軒先部分70との取り合い部分が生じる壁部に更に設置されるものであって、板厚0.35mmの鋼板を折り曲げ形成したものよりなり、平板状の壁止まり部41と、壁止まり部41の一方面から立ち上がって形成され、
図3で示したパネル部13の壁側端部を差し込み可能とする差し込み部42とを備えるものである。このように構成したことによる効果は後述する。尚、ここでの差し込み部42は、壁止まり部41の上方端部から、壁止まり部41に対して直立する長尺状の第1ガイド片43と、壁止まり部41の一部を第1ガイド片43に平行する方向に沿って第1ガイド片43の立ち上がる方向に折り返して形成した第2ガイド片44と、第1ガイド片43及び第2ガイド片44の間の壁止まり部41の部分とを指す。第1ガイド片43の下面と第2ガイド片44の上面との距離は、
図3で示したパネル部13の下面と垂木留め付け部14の上面との距離よりも広く形成されている。
【0044】
図8は、
図7で示した壁止まり水切り部材及び軒天井パネル部材の取付工程を示す模式図である。
【0045】
まず、
図8の(1)を参照して、壁止まり水切り部材40を、軒先部分70との取り合い部分が生じる壁部45に取り付ける。取り付けに当たっては、第1ガイド片43を垂木46の下面に当接させ、胴縁47を介して壁止まり水切り部材40を壁部45に固定する。尚、適当な位置に胴縁47が無い場合は、木端48を適宜用いて壁止まり水切り部材40を取り付ける。
【0046】
最後に、
図8の(2)も参照して、壁部45に取り付けられた壁止まり水切り部材40の差し込み部42に、軒天井パネル部材10のパネル部13の壁側端部を差し込み、壁止まり水切り部材40に軒天井パネル部材10を取り付ける。軒天井パネル部材10の取り付けについて詳述すると、まず、軒天井パネル部材10を壁止まり水切り部材40の方向にスライドさせて、パネル部13の壁側端部を第2ガイド片44の上面に載置すると共に、第1ガイド片43及び第2ガイド片44の間の壁止まり部41に当接させる。次に、第2垂直部12が垂木46の軒先側の面49及び他の垂木の軒先側の面を覆うように、軒天井パネル部材10の位置を合わせて、軒天井パネル部材10を壁部45に固定し、壁止まりでの軒天井パネル構造体1の施工を完了する。このようにして、軒天井パネル構造体1は、軒先部分70との取り合い部分が生じる壁部45に設置する壁止まり水切り部材40を更に備えるものとなる。
【0047】
このように構成すると、壁止まりでの施工及び勾配対応が容易となるので、施工し易い軒天井パネル構造体1となる。
【0048】
図9は、
図3で示した軒天井パネル部材に用いられる水平出隅水切り部材の斜視図及び正面図である。
【0049】
図9の(1)及び(2)の各々を参照して、水平出隅水切り部材50は、
図3で示した軒天井パネル構造体1の役物の一つとして隅木に更に設置されるものであって、板厚0.35mmの鋼板を折り曲げ形成したものよりなり、平板状の隅木取付部51と、隅木取付部51の長手方向端部52a及び52bの各々から連続して形成され、
図3で示したパネル部13の隅木側端部を差し込み可能とする一対の差し込み部53a及び53bを備え、一対の差し込み部53a及び53bの各々は、短手方向断面が略コの字形状を有し、長手方向端部52a及び52bの各々に沿って延びる形状を有するものである。このように構成したことによる効果は後述する。尚、一対の差し込み部53a及び53bは正面視において斜め下方に傾くように形成されている。このように構成すると、雨水等が返りやすいので、水切り機能が向上する。
【0050】
図10は、
図9で示した水平出隅水切り部材の取付工程を示す模式図であり、
図11は、
図10で示した水平出隅水切り部材に軒天井パネル部材を取り付ける工程を示す模式図であり、
図12は、
図11で示した水平出隅水切り部材及び軒天井パネル部材に水平出隅を取り付ける工程を示す模式図である。
【0051】
まず、
図10の(1)及び(2)を参照して、水平出隅水切り部材50を、隅木54に取り付ける。取り付けに当たっては、隅木取付部51を隅木54の下面に当接させ、水平出隅水切り部材50を隅木54に固定する。
【0052】
次に、
図11の(1)及び(2)を参照して、隅木54に取り付けられた水平出隅水切り部材50の差し込み部53a及び53bに、軒天井パネル部材10a及び10bのパネル部13の隅木側端部を差し込み、水平出隅水切り部材50に軒天井パネル部材10a及び10bを取り付ける。軒天井パネル部材10aの取り付けについて詳述すると、まず、差し込み部53aの延びる方向に合わせて隅木側端部が斜め方向に切断された軒天井パネル部材10aの第2垂直部12が、垂木55の軒先側の面56及び他の垂木の軒先側の面を覆うように、軒天井パネル部材10aの位置を合わせる。次に、軒天井パネル部材10aを水平出隅水切り部材50の方向にスライドさせて、差し込み部53aにパネル部13の隅木側端部を差し込み、差し込み部53aの隅木54側の面に当接させて、軒天井パネル部材10aを隅木54に固定する。差し込み部53bにおいても同様にして軒天井パネル部材10bを隅木54に固定する。このようにして、軒天井パネル構造体1は、隅木54に設置する水平出隅水切り部材50を更に備えるものとなる。
【0053】
このように構成すると、水平出隅での施工及び勾配対応が容易となるので、施工しやすい軒天井パネル構造体1となる。
【0054】
次に、
図12の(1)を参照して、隅木54の出隅側端部と、水平出隅水切り部材50の出隅側下方面と、軒天井パネル部材10aの第2垂直部12の外方面及び第2垂直部12から補助凹部18までのパネル部13の下方面とを、それぞれ一部ずつ覆う、水平出隅部材57aを取り付ける。水平出隅部材57aは、金属板を折り曲げ形成したものよりなり、隅木54、水平出隅水切り部材50及び軒天井パネル部材10aを被覆する被覆部58aと、被覆部58aの出隅側端部から延び、第2垂直部12を覆う被覆部58aの内方面と180°未満の角度を形成する重ねしろ59とを備えるものである。
【0055】
最後に、
図12の(2)を参照して、軒天井パネル部材10bの側にも、水平出隅部材57bを取り付ける。水平出隅部材57bは、重ねしろ59を除いて水平出隅部材57aと同一の構成を備え、水平出隅部材57bの被覆部58bの出隅側端部周辺を水平出隅部材57aの重ねしろ59に重ね、水平出隅部材57aと突き合わせて取り付けて、水平出隅での軒天井パネル構造体1の施工を完了する。
【0056】
図13は、この発明の第2の実施の形態による軒天井パネル部材の端面図であって、第1の実施の形態の
図2に対応した図である。
【0057】
図を参照して、軒天井パネル部材60は、第1の実施の形態による軒天井パネル部材10を、パネル部63と第2垂直部62とが、接続部(パネル部接続部67及び第2垂直部接続部68)を介して脱着自在に接続されるものに置き換えたものよりなる。尚、他の構成要素は第1の実施の形態による軒天井パネル部材10と同様であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0058】
すなわち、軒天井パネル部材60においては、パネル部63と第2垂直部62とは分離している。このように構成したことによる効果は後述する。
【0059】
パネル部63には、第1垂直部61に対向する側の端部から垂木側に向かって立ち上がり、側面視略逆L字型を有するパネル部接続部67が形成されている。又、第2垂直部62には、下端部からパネル部63側に延び、側面視略S字型を有する第2垂直部接続部68が形成されている。尚、パネル部63の短手方向の幅(第1垂直部61からパネル部接続部67までの幅)は411.27mmに、パネル部接続部67の短手方向の幅は36.27mmに、パネル部接続部67の垂木側の面の短手方向の幅は24mmに、それぞれ設定されている。又、第2垂直部接続部68の下方側の面の短手方向の幅は37.36mmに、第2垂直部接続部68の垂木側の面の短手方向の幅は35mmに、それぞれ設定されている。
【0060】
図14は、
図13で示した軒天井パネル部材を取り付けて、軒天井パネル構造体を設置した状態を示す納まり図であって、それぞれ第1の実施の形態による
図3に対応した図である。
【0061】
まず、
図14の(1)を参照して、家屋の外壁材71と垂木72との間の軒先部分70に、軒天井パネル部材60が取り付けられて軒天井パネル構造体2が設置されている。尚、
図14の(1)における軒の出は600mmであり、垂木72の勾配は5寸勾配であり、垂木72の外方面75から胴縁73の外方側面までの下方面74の幅は524.92mmとなっている。
【0062】
軒天井パネル部材60の取り付けはまず、第2垂直部62を垂木72の外方面75に、第2垂直部接続部68を垂木72の下方面74に、それぞれ当接させる。次に、第1垂直部61を胴縁73の上端部外方側に、パネル部63の凹部65の垂木留め付け部64及びパネル部接続部67の各々を垂木72の下方面74に、それぞれ当接させる。
【0063】
すると、軒天井パネル部材60及び下方面74の寸法は上述した通りであるから、第2垂直部接続部68の家屋側端部にパネル部接続部67の外方側端部が重なる。この第2垂直部接続部68とパネル部接続部67との重なり部分にビスを打ち、第2垂直部接続部68とパネル部接続部67とを一緒に垂木72に留め付けると共に、分離していた第2接続部62とパネル部63とを接続する。又、第1垂直部61及び垂木留め付け部64の各々を当接対象に、第2垂直部62を鼻隠し78と共に外方面75に、それぞれビスにて留め付けて軒天井パネル部材60の取り付けを完了する。
【0064】
次に、
図14の(2)を参照して、垂木72の勾配が4寸勾配となっている軒先部分70に軒天井パネル部材60が取り付けられて軒天井パネル構造体2が構築されている。尚、
図14の(2)における軒の出は
図14の(1)における軒の出と同様に600mmであるが、垂木72の勾配の変更により、垂木72の外方面75から胴縁73の外方側面までの下方面74の幅は504.95mmとなっている。
【0065】
軒天井パネル部材60の取り付け方法は
図14の(1)とほぼ同様である。取り付けに当たって、第1垂直部61とパネル部63との角度及び第2垂直部62と第2垂直部接続部68との角度は、勾配の変化に応じてそれぞれ適宜なじませる。
【0066】
尚、上述したように下方面74の幅は
図14の(1)よりも狭くなっているが、軒天井パネル部材60の寸法は上述した通りであるから、軒天井パネル部材60は、第2垂直部接続部68の垂木側の面にパネル部接続部67の垂木側の面の全面を重ねる、すなわち第2垂直部接続部68とパネル部接続部67との重なり範囲を調整することにより軒天井パネル部材60の短手方向の幅を狭くして、4寸勾配の垂木72にも適合できるものとなっている。
【0067】
このような構成の軒天井パネル部材60は、パネル部63と第2垂直部62とが分離可能となるので、異なる勾配にも適用し易くなる。又、一つの寸法の軒天井パネル部材60のみでも数種の勾配に適合できるため、勾配毎に寸法の異なる軒天井パネル部材を用意しなくてもよく、コスト的、環境的にも有利なものとなる。
【0068】
尚、上記の各実施の形態では、軒天井パネル部材は凹部を一つ備えるものであったが、凹部を複数備えてもよい。
【0069】
又、上記の各実施の形態では、凹部は特定位置に溝状に形成されていたが、垂木の下方面に当接できる位置であれば他の位置に形成されていてもよく、又、他の形状に形成されていてもよい。
【0070】
更に、上記の各実施の形態では、開口は、特定形状及び特定配置にて凹部の第2垂直部側の面に形成されていたが、他の形状及び配置にて形成されてもよく、又、第1垂直部側の面に形成されてもよい。
【0071】
更に、上記の第1の実施の形態では、軒天井パネル部材は補助凹部及び屋根下地当接部を備えるものであったが、これらは無くてもよい。
【0072】
更に、上記の第2の実施の形態では、パネル部と第2垂直部とは、特定位置に特定形状にて形成されたパネル部接続部と第2垂直部接続部とを介して接続されていたが、パネル部と第2垂直部とが脱着自在に接続できるものであれば、他の構成の接続部を介してもよい。
【0073】
更に、上記の第2の実施の形態では、軒天井パネル部材は5寸勾配の垂木と4寸勾配の垂木とに取り付けられていたが、3寸勾配から6寸勾配までの他の勾配の垂木に取り付けられてもよい。
【0074】
更に、上記の第1の実施の形態では、軒天井パネル構造体は役物として、出隅部材、壁止まり水切り部材、水平出隅水切り部材及び水平出隅部材を備えるものであったが、これらの役物は無くてもよく、又、一部のみ備えるものであってもよい。
【0075】
更に、上記の第1の実施の形態では、出隅部材の差し込み部は特定位置に特定形状にて形成されていたが、他の位置及び他の形状にて形成されていてもよい。例えば、軒天側側面部の一部を切り欠いて形成してもよい。
【0076】
更に、上記の第1の実施の形態では、壁止まり水切り部材の差し込み部は特定位置に特定形状にて形成されていたが、他の位置及び他の形状にて形成されていてもよい。例えば、壁止まり部にコの字状の部材を取り付けて形成されてもよい。
【0077】
更に、上記の第1の実施の形態では、水平出隅水切り部材の差し込み部は長手方向端部の各々から連続して形成されていたが、長手方向端部の各々に接続するものであればよい。例えば、長手方向端部の各々にコの字状の部材を接続して形成されてもよい。
【0078】
更に、上記の各実施の形態では、軒天井パネル部材、出隅部材、壁止まり水切り部材、水平出隅水切り部材の各々は特定寸法の鋼板を折り曲げて形成されていたが、寸法の異なる他の金属板を折り曲げて形成されてもよい。
【0079】
更に、上記の各実施の形態では、軒天井パネル部材、出隅部材、壁止まり水切り部材、水平出隅水切り部材の各々は特定形状及び特定寸法にて形成されていたが、他の形状及び寸法にて形成されてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1…軒天井パネル構造体
2…軒天井パネル構造体
10,10a,10b…軒天井パネル部材
11…第1垂直部
12…第2垂直部
13…パネル部
14…垂木留め付け部
15…凹部
16…開口
20…出隅部材
21…底部
22…一方端部
23…妻側側面部
24…垂直方向端部の一方
25…軒先側側面部
26…垂直方向端部の一方
27…軒天側側面部
28…差し込み部
33…妻側隅部
40…壁止まり水切り部材
41…壁止まり部
42…差し込み部
45…壁部
50…水平出隅水切り部材
51…隅木取付部
52…長手方向端部
53a,53b…差し込み部
54…隅木
60…軒天井パネル部材
62…第2垂直部
63…パネル部
67…パネル部接続部
68…第2垂直部接続部
70…軒先部分
71…外壁材
72…垂木
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。