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特開2023-87240無人飛行体、および、無人飛行体対、並びに、無人飛行体群
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087240
(43)【公開日】2023-06-23
(54)【発明の名称】無人飛行体、および、無人飛行体対、並びに、無人飛行体群
(51)【国際特許分類】
   B64D 5/00 20060101AFI20230616BHJP
   B64C 27/00 20060101ALI20230616BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20230616BHJP
   B64D 1/10 20060101ALI20230616BHJP
   B64D 47/06 20060101ALI20230616BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
B64D5/00
B64C27/00
B64C39/02
B64D1/10
B64D47/06
G09F9/00 351
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201515
(22)【出願日】2021-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】513005280
【氏名又は名称】株式会社amuse oneself
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨井 隆春
【テーマコード(参考)】
5G435
【Fターム(参考)】
5G435EE16
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】複数の無人飛行体を駐機させる場合における必要な駐機スペースの縮小化を図る。
【解決手段】飛行体本体210に対して回動自在に取り付けられた画像表示装置220の外枠フレーム223に、着陸状態において他の無人飛行体の外枠フレーム223を載置可能とする受け台226を備えさせる。このため、無人飛行体20,20を上下に重ね合わせた状態で待機させることができ、複数の無人飛行体20,20,…を、1機分の駐機スペースに駐機させることが可能になる。その結果、複数の無人飛行体20,20,…を駐機させる場合に必要な駐機スペースの縮小化を図ることができる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体本体および回転翼を備え、該回転翼の回転に伴って飛行する無人飛行体であって、
着陸状態において他の無人飛行体の載置を可能とする重ね支持手段を備えていることを特徴とする無人飛行体。
【請求項2】
請求項1記載の無人飛行体において、
前記重ね支持手段は、前記他の無人飛行体を載置した際に当該他の無人飛行体が当接する当接支持点が、前記飛行体本体の上端位置よりも上方に位置していることを特徴とする無人飛行体。
【請求項3】
請求項1または2記載の無人飛行体において、
枠状のフレームを備え、
前記重ね支持手段は、前記フレームの外縁の延在方向に沿った複数箇所に配設されており、
前記各重ね支持手段は、前記他の無人飛行体に備えられた枠状のフレームが載置される構成となっていることを特徴とする無人飛行体。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の無人飛行体において、
飛行体着陸状態における前記重ね支持手段の上端部には、上方に向かって互いに反対方向に向けて傾斜する一対の線材で成るV字型の受け部が設けられていることを特徴とする無人飛行体。
【請求項5】
請求項1~4のうち何れか一つに記載の無人飛行体において、
前記飛行体本体に対して回動可能に取り付けられていると共に、画像を表示する表示面を有する画像表示装置と、
前記飛行体本体に対する前記画像表示装置の回動位置を調整することによって前記表示面の向きを変更可能とする回動位置調整アクチュエータとを備え、
前記重ね支持手段は前記画像表示装置の延在方向に対して直交する方向に延在するように設けられており、
飛行体着陸状態にあっては、前記回動位置調整アクチュエータの作動によって前記画像表示装置が前記飛行体本体に対して平行状態となって前記重ね支持手段が前記画像表示装置から上方に延在する構成となっていることを特徴とする無人飛行体。
【請求項6】
請求項1~5のうち何れか一つに記載の無人飛行体において、
前記重ね支持手段は、前記他の無人飛行体が載置された状態において、当該他の無人飛行体を把持する把持機構を備えていることを特徴とする無人飛行体。
【請求項7】
それぞれ飛行体本体および回転翼を備え、着陸状態において上下に重ね合わされる下側無人飛行体と上側無人飛行体とで構成される無人飛行体対であって、
前記下側無人飛行体には、着陸状態において上側無人飛行体の載置を可能とする重ね支持手段が設けられており、
前記上側無人飛行体には、前記重ね支持手段に載置可能な載置部が設けられていることを特徴とする無人飛行体対。
【請求項8】
請求項7記載の無人飛行体対において、
前記下側無人飛行体における複数箇所には、着陸状態において鉛直上方に向けて光を照射する投光器が設けられており、
前記下側無人飛行体の上側に前記上側無人飛行体がズレ無く載置されたと仮定した場合における前記各投光器の配設位置に対向する前記上側無人飛行体の各位置には、前記投光器からの光を検知可能な光検知手段が設けられており、
前記上側無人飛行体には、前記各光検知手段が前記投光器からの光を検知した状態を維持しながら、前記下側無人飛行体に向けて降下されるように当該上側無人飛行体の前記回転翼の回転を制御するスタック制御部が設けられていることを特徴とする無人飛行体対。
【請求項9】
請求項1~6のうち何れか一つに記載の無人飛行体の複数の集合体で成る無人飛行体群であって、
前記各無人飛行体には、
前記重ね支持手段と、
下側に位置する無人飛行体の前記重ね支持手段に載置可能な載置部と、
複数箇所に設けられ、着陸状態において鉛直上方に向けて光を照射する投光器と、
前記各投光器の鉛直下方側に設けられ、下側に位置する無人飛行体の前記投光器から照射された光を検知可能な光検知手段と、
前記各光検知手段が前記下側に位置する無人飛行体の前記投光器からの光を検知した状態を維持しながら、前記下側に位置する無人飛行体に向けて降下されるように前記回転翼の回転を制御するスタック制御部と、が設けられていることを特徴とする無人飛行体群。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人飛行体、および、2機の無人飛行体で成る無人飛行体対、並びに、3機以上の無人飛行体で成る無人飛行体群に係る。特に、本発明は、複数の無人飛行体の駐機状態を改良するための当該無人飛行体の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地上観測や貨物輸送等に供される無人飛行体(一般にドローンと呼ばれている)が知られている。また、無人飛行体の利用形態の一つとして複数の無人飛行体を協調制御することも知られている。
【0003】
特許文献1には、カメラを搭載した複数の無人飛行体を協調制御することにより、同一時刻の被写体を異なる視点で撮影した多視点映像を生成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-147105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述したような複数の無人飛行体を利用する場合、飛行開始前や飛行終了後に複数の無人飛行体を着陸(待機)させておくための駐機スペース(駐機のための敷地)が必要となる。従来技術にあっては、各無人飛行体それぞれを地上に着陸した状態で駐機させていた。このため、1機の無人飛行体に対して、当該無人飛行体の平面視の大きさに相当する分だけの駐機スペース(敷地面積)が必要であった。つまり、無人飛行体の数が増加するに従って駐機スペースとしては当該無人飛行体の機体数分の広いスペース(広い敷地面積)が必要となり、例えば数十機以上の無人飛行体を駐機させる場合には広大な駐機スペースが必要となってしまうため実用性の面で大きな課題があった。
【0006】
この課題は、協調制御される複数の無人飛行体を駐機スペースに駐機させる場合ばかりでなく、協調制御を前提としていない複数の無人飛行体(個別飛行を前提とした複数の無人飛行体)を駐機スペースに駐機させる場合においても同様に生じている。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の無人飛行体を駐機させる場合における必要な駐機スペースの縮小化を図ることが可能な無人飛行体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、飛行体本体および回転翼を備え、該回転翼の回転に伴って飛行する無人飛行体を前提とする。そして、この無人飛行体は、着陸状態において他の無人飛行体の載置を可能とする重ね支持手段を備えていることを特徴とする。
【0009】
この特定事項により、着陸している無人飛行体の重ね支持手段の上側に他の無人飛行体を載置することができ、無人飛行体を上下に重ね合わせた状態で待機(駐機)させることができる。つまり、複数の無人飛行体を、1機分の駐機スペースに駐機させることが可能になる。このため、これら複数の無人飛行体を駐機させる場合に必要な駐機スペースの縮小化を図ることができる。
【0010】
また、前記重ね支持手段は、前記他の無人飛行体を載置した際に当該他の無人飛行体が当接する当接支持点が、前記飛行体本体の上端位置よりも上方に位置している。
【0011】
これにより、無人飛行体の重ね支持手段に他の無人飛行体を載置した状態にあっては、下側の無人飛行体の飛行体本体の上端位置よりも上方の位置において上側の無人飛行体(前記他の無人飛行体)を支持することになるため、各無人飛行体の飛行体本体同士の干渉を抑制することができ、各無人飛行体を安定的に上下に重ね合わせることが可能である。
【0012】
また、枠状のフレームを備え、前記重ね支持手段は、前記フレームの外縁の延在方向に沿った複数箇所に配設されており、前記各重ね支持手段は、前記他の無人飛行体に備えられた枠状のフレームが載置される構成となっている。
【0013】
これによれば、上側に重ね合わされる無人飛行体を複数箇所(複数の重ね支持手段)によって支持することができ、安定した支持状態を得ることができる。このため、重ね合わせることが可能な無人飛行体の台数を増加させることが可能になる。
【0014】
また、飛行体着陸状態における前記重ね支持手段の上端部には、上方に向かって互いに反対方向に向けて傾斜する一対の線材で成るV字型の受け部が設けられている。
【0015】
飛行状態にある無人飛行体(前記他の無人飛行体)を降下させて、既に着陸している無人飛行体の重ね支持手段に載置させるに当たっては、この無人飛行体(降下する無人飛行体)の位置精度(水平方向の位置精度)が十分に得られていない状態であったとしても、受け部の一対の線材の上端同士の間(V字の上端同士の間)に無人飛行体の一部(重ね支持手段に載置される部分)が入り込めば当該無人飛行体を重ね支持手段に載置することが可能である。このため、前記降下する無人飛行体の位置精度として高い精度は要求されず、降下の制御を行うに当たっての制御系における情報処理の負担の軽減を図ることができる。
【0016】
また、前記飛行体本体に対して回動可能に取り付けられていると共に、画像を表示する表示面を有する画像表示装置と、前記飛行体本体に対する前記画像表示装置の回動位置を調整することによって前記表示面の向きを変更可能とする回動位置調整アクチュエータとを備え、前記重ね支持手段は前記画像表示装置の延在方向に対して直交する方向に延在するように設けられており、飛行体着陸状態にあっては、前記回動位置調整アクチュエータの作動によって前記画像表示装置が前記飛行体本体に対して平行状態となって前記重ね支持手段が前記画像表示装置から上方に延在する構成となっている。
【0017】
これは、飛行状態にある無人飛行体の画像表示装置の表示面に画像を表示させることにより、空中での画像表示を行うことができるようにした当該無人飛行体に対して本発明における重ね支持手段を適用したものである。つまり、無人飛行体の着陸状態にあっては、回動位置調整アクチュエータの作動によって画像表示装置を飛行体本体に対して平行状態とし、重ね支持手段を画像表示装置から上方に延在させる。これにより、この重ね支持手段の上側に他の無人飛行体を載置して、無人飛行体を上下に重ね合わせた状態で待機させることができるようにしている。
【0018】
前記重ね支持手段は、前記他の無人飛行体が載置された状態において、当該他の無人飛行体を把持する把持機構を備えている。
【0019】
複数の無人飛行体を単に重ね合わせるのみでは、これら無人飛行体を同時に移送することが困難である。例えば、複数の無人飛行体を他の地点に運搬するためにトラックに同時に移送することが困難である。この点に鑑み、本解決手段では、重ね支持手段に把持機構を備えさせ、該把持機構によって、重ね合わされた複数の無人飛行体を一体的に連結できるようにしている。これにより、複数の無人飛行体を同時に移送することが容易になる。
【0020】
また、2機の無人飛行体で成る無人飛行体対も本発明の技術的思想の範疇である。つまり、それぞれ飛行体本体および回転翼を備え、着陸状態において上下に重ね合わされる下側無人飛行体と上側無人飛行体とで構成される無人飛行体対であって、前記下側無人飛行体には、着陸状態において上側無人飛行体の載置を可能とする重ね支持手段が設けられており、前記上側無人飛行体には、前記重ね支持手段に載置可能な載置部が設けられている無人飛行体対である。
【0021】
これによっても、下側無人飛行体(既に着陸している無人飛行体)の重ね支持手段の上側に上側無人飛行体を載置させて、これら無人飛行体を上下に重ね合わせた状態で待機させることができる。このため、これら無人飛行体を駐機させる場合に必要な駐機スペースの縮小化を図ることができる。
【0022】
また、前記下側無人飛行体における複数箇所には、着陸状態において鉛直上方に向けて光を照射する投光器が設けられており、前記下側無人飛行体の上側に前記上側無人飛行体がズレ無く載置されたと仮定した場合における前記各投光器の配設位置に対向する前記上側無人飛行体の各位置には、前記投光器からの光を検知可能な光検知手段が設けられており、前記上側無人飛行体には、前記各光検知手段が前記投光器からの光を検知した状態を維持しながら、前記下側無人飛行体に向けて降下されるように当該上側無人飛行体の前記回転翼の回転を制御するスタック制御部が設けられている。
【0023】
下側無人飛行体の上側に上側無人飛行体をズレ無く載置するためには、下側無人飛行体の位置を認識しながら上側無人飛行体を降下させていく必要がある。本解決手段では、それを実現するために複数の投光器および光検知手段を備えさせている。つまり、上側無人飛行体に設けられた各光検知手段が、下側無人飛行体の投光器からの光を検知した状態を維持しながら、スタック制御部によって上側無人飛行体の降下を制御する。各投光器は、下側無人飛行体の上側に上側無人飛行体がズレ無く載置されたと仮定した場合における各投光器の配設位置に対向する位置に配設されているので、前述の検知状態を維持したまま下側無人飛行体の上側に上側無人飛行体が載置された場合には、これら無人飛行体はズレ無く重ね合わされることになる。これにより、各無人飛行体を安定的に上下に重ね合わせることができる。
【0024】
また、3機以上の無人飛行体で成る無人飛行体群も本発明の技術的思想の範疇である。つまり、前記各無人飛行体に、前記重ね支持手段と、下側に位置する無人飛行体の前記重ね支持手段に載置可能な載置部と、複数箇所に設けられ、着陸状態において鉛直上方に向けて光を照射する投光器と、前記各投光器の鉛直下方側に設けられ、下側に位置する無人飛行体の前記投光器から照射された光を検知可能な光検知手段と、前記各光検知手段が前記下側に位置する無人飛行体の前記投光器からの光を検知した状態を維持しながら、前記下側に位置する無人飛行体に向けて降下されるように前記回転翼の回転を制御するスタック制御部とが設けられている無人飛行体群である。
【0025】
この特定事項によっても、前述した場合と同様に無人飛行体をズレ無く重ね合わせることが可能である。つまり、3機以上の無人飛行体で成る無人飛行体群に対しても各無人飛行体をズレ無く重ね合わせることが可能である。
【発明の効果】
【0026】
本発明では、無人飛行体に対し、着陸状態において他の無人飛行体の載置を可能とする重ね支持手段を備えさせている。このため、無人飛行体を上下に重ね合わせた状態で待機させることができ、複数の無人飛行体を、1機分の駐機スペースに駐機させることが可能になる。その結果、複数の無人飛行体を駐機させる場合に必要な駐機スペースの縮小化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施形態に係る複数の無人飛行体および管理サーバを含む空中画像表示システムの概略構成を示す図である。
図2】無人飛行体の飛行状態の一例を示す斜視図である。
図3】無人飛行体の画像表示装置が水平姿勢となっている状態を示す斜視図である。
図4】無人飛行体の画像表示装置が鉛直姿勢となっている状態を示す斜視図である。
図5】複数の無人飛行体のスタック状態を示す側面図である。
図6】無人飛行体の制御系を示すブロック図である。
図7】管理サーバの制御系を示すブロック図である。
図8】無人飛行体群による空中画像表示状態の一例を示すイメージ図である。
図9】無人飛行体のスタック動作の手順を示すフローチャート図である。
図10】無人飛行体のスタック動作を説明するための図である。
図11】変形例1における図10相当図である。
図12】変形例2における図2相当図である。
図13】変形例2における図3相当図である。
図14】変形例2における図4相当図である。
図15】変形例3における図6相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、本発明に係る無人飛行体(他の無人飛行体の載置が可能な構成とされた無人飛行体)を、画像表示装置を備え、他の複数の無人飛行体とで成る無人飛行体群によって空中での画像表示を行うものとして使用した場合を例に挙げて説明する。
【0029】
先ず、無人飛行体群によって空中での画像表示を行うための空中画像表示システムの構成について説明する。
【0030】
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る空中画像表示システム10の概略構成を示す図である。
【0031】
空中画像表示システム10は、複数の無人飛行体(ドローンや自律飛行ロボットとも呼ばれる)20,20,…、および、これら無人飛行体20,20,…を統括管理する管理サーバ30を含んだシステムとして構成されている。
【0032】
これら各無人飛行体20,20,…と管理サーバ30との間は、LTE(Long Term Evolution)、4G(第4世代)、5G(第5世代)等のマルチキャリアの基地局を介した無線通信による通信が可能となっている。この通信により、各無人飛行体20,20,…の飛行状態の制御、後述する空中での画像表示の制御(各無人飛行体20,20,…に備えられた画像表示装置220の表示面での画像表示の制御)、各無人飛行体20,20,…に備えられた画像表示装置220の回動位置の制御等を行うための各情報の送受信が行われる。尚、本実施形態では、各情報が管理サーバ30から各無人飛行体20,20,…に向けて送信されるものとしているが、本発明はこれに限らず、各情報を無人飛行体20,20,…それぞれが記憶したシステムとして構成されていてもよいし、これら情報のうち一部の情報が管理サーバ30から各無人飛行体20,20,…に向けて送信され、他の情報が無人飛行体20,20,…それぞれに記憶されたシステムとして構成されていてもよい。
【0033】
-無人飛行体の構成-
各無人飛行体20,20,…それぞれの構成は互いに同一である。従って、ここでは1機(1台)の無人飛行体20を代表して説明する。
【0034】
無人飛行体20は、複数のロータ(回転翼)212,212,…が飛行体本体210の周りに均等に配設されたマルチコプタである。具体的には、4つのロータ212,212,…を有するクアッドコプタで構成されている。尚、6つのロータを有するヘキサコプタ、8つのロータを有するオプトコプタ等の無人飛行体であってもよい。また、ロータが1つのシングルロータ型の小型無人ヘリコプタであってもよい。以下、本実施形態に係る無人飛行体20の構成について説明する。
【0035】
図2は、無人飛行体20の飛行状態の一例を示す斜視図である。以下の説明では、図2におけるX方向を無人飛行体20の左右方向と呼び、図中のX1方向側を左側、X2方向側を右側とそれぞれ呼ぶこととする。また、図2におけるY方向を無人飛行体20の前後方向と呼び、図中のY1方向側を前側、Y2方向側を後側とそれぞれ呼ぶこととする。また、図2におけるZ方向を無人飛行体20の上下方向と呼び、図中のZ1方向側を上側、Z2方向側を下側とそれぞれ呼ぶこととする。
【0036】
図2に示すように、無人飛行体20は、飛行体本体210、画像表示装置220、回動機構230を備えている。
【0037】
飛行体本体210は、4本のフレーム材210a,210b,210c,210dが平面視矩形状に連結された枠状に構成されている。4本のフレーム材210a,210b,210c,210dのうち無人飛行体20の前側(Y1方向側)に位置して左右方向(X方向)に延在するものがフロントフレーム材210aであり、無人飛行体20の後側(Y2方向側)に位置して左右方向(X方向)に延在するものがリヤフレーム材210bである。また、無人飛行体20の左側(X1方向側)に位置して前後方向(Y方向)に延在するものがレフトフレーム材210cであり、無人飛行体20の右側(X2方向側)に位置して前後方向(Y方向)に延在するものがライトフレーム材210dである。
【0038】
各フレーム材210a,210b,210c,210d同士の連結部分(飛行体本体210の各コーナ部分)には鉛直軸周りに回転可能な回転軸を有するモータ211,211,…が設けられており、これらモータ211,211,…の回転軸にロータ212,212,…が取り付けられている。フレーム材210a,210b,210c,210dを介して互いに隣り合うロータ212,212は互いに反対方向に回転可能となっている。これにより、モータ211,211,…の作動に伴ってロータ212,212,…が回転することにより揚力が発生して無人飛行体20が飛行可能となっている。また、各モータ211,211,…の回転速度を個別に制御することによって、無人飛行体20の水平方向の移動や姿勢変化が可能となっている。
【0039】
画像表示装置220は、回動機構230を介して飛行体本体210に対して回動可能に取り付けられている。以下の説明では、図2におけるH方向を画像表示装置220の第1方向と呼び、図中のH1方向側を左側、H2方向側を右側とそれぞれ呼ぶこととする。また、図2におけるL方向を画像表示装置220の第2方向と呼び、図中のL1方向側を基端側、L2方向側を先端側とそれぞれ呼ぶこととする。
【0040】
画像表示装置220は、装置フレーム221および複数の表示デバイス(自己発光型の表示デバイス)222,222,…(図2では一部の表示デバイス222,222,…のみを示している)を備えている。
【0041】
前記装置フレーム221は、外枠フレーム223、複数の縦フレーム224,224,…およびリンク用のフレーム225L,225Rを備えている。外枠フレーム223は、4本のフレーム材223a,223b,223c,223dが矩形状に連結された枠状に構成されている。4本のフレーム材223a,223b,223c,223dのうち画像表示装置220の基端側(L1方向側)に位置して第1方向(H方向)に延在するものが第1フレーム材223aであり、画像表示装置220の先端側(L2方向側)に位置して第1方向(H方向)に延在するものが第2フレーム材223bである。また、画像表示装置220の左側(H1方向側)に位置して第2方向(L方向)に延在するものが第3フレーム材223cであり、画像表示装置220の右側(H2方向側)に位置して第2方向(L方向)に延在するものが第4フレーム材223dである。この外枠フレーム223における第1方向(H方向)の寸法と第2方向(L方向)の寸法とは略同一寸法に設定されている。例えば3000mmに設定されている。この値はこれに限定されるものではない。また、画像表示装置220の第1方向(H方向)の寸法は飛行体本体210の左右方向(X方向)の寸法よりも所定寸法だけ長く設定されており、画像表示装置220の第2方向(L方向)の寸法は飛行体本体210の前後方向(Y方向)の寸法よりも所定寸法だけ長く設定されている。つまり、画像表示装置220の外形は飛行体本体210の外形よりも大きく設定されている。これにより、小型の飛行体本体210を有する無人飛行体20であっても大型の画像表示装置220を搭載することを可能にする構成となっており、複数の無人飛行体20,20,…によって空中での画像表示を行うに当たり、各無人飛行体20,20,…の飛行体本体210,210,…同士の干渉(接触)を回避しながらも各画像表示装置220,220,…同士の間の隙間を小さくすることを可能にしている。尚、外枠フレーム223としては、第1方向(H方向)の寸法と第2方向(L方向)の寸法とが互いに異なるものであってもよい。
【0042】
各縦フレーム224,224,…は、第1方向(H方向)に所定間隔を存した7本が第1フレーム材223aと第2フレーム材223bとの間に亘って架設されている。これら縦フレーム224,224,…は、後述する各表示デバイス222,222,…の固定部として機能する。縦フレーム224の本数としてはこれに限定されるものではなく、画像表示装置220に要求される強度や、取り付けられる表示デバイス222,222,…の個数に応じて適宜設定される。
【0043】
リンク用のフレーム225L,225Rは後述するリンク機構232L,232Rの連結部となる部分であって、左側(H1方向側)に位置する左側リンク用のフレーム225Lと右側(H2方向側)に位置する右側リンク用のフレーム225Rとを備えている。左側リンク用のフレーム225Lは、第2方向(L方向)に沿って延在する第1部225Laと、該第1部225Laの両端(L方向の両端)から左側(H1方向側)に延在して第3フレーム材223cに接続される第2部225Lb,225Lbとを有している。同様に、右側リンク用のフレーム225Rは、第2方向(L方向)に沿って延在する第1部225Raと、該第1部225Raの両端(L方向の両端)から右側(H2方向側)に延在して第4フレーム材223dに接続される第2部225Rb,225Rbとを有している。
【0044】
各表示デバイス222,222,…は、各縦フレーム224,224,…に取り付けられており、第1方向(H方向)および第2方向(L方向)のそれぞれに7個ずつ並べられたマトリックス配置とされている。つまり、画像表示装置220には、合計49個の表示デバイス222,222,…が備えられている。表示デバイス222の個数はこれに限定されるものではなく任意に設定可能である。また、第1方向(H方向)の配設個数と第2方向(L方向)の配設個数とは互いに異なっていてもよい。
【0045】
また、各表示デバイス222,222,…は、互いに隣り合う表示デバイス222,222同士の間に所定の隙間が生じるように配置されている。これは、無人飛行体20の飛行中において表示デバイス222,222同士の間での風(空気)の通過を可能にしたり、無人飛行体20の上昇時(図3に示す状態での上昇時)にロータ212,212,…からの風(揚力を発生するための風)の通過を可能にするためである。
【0046】
各表示デバイス222は、図示しない複数のLED素子(以下、単にLEDという場合もある)を搭載した表示パネル、各LED素子の発光を制御する回路基板等を備えている。つまり、各表示デバイス222,222,…は、管理サーバ30から送信されて無人飛行体20が受信した画像情報(表示パネル上に表示すべき画像情報)に従って画像表示を行う構成となっている。本実施形態にあってはLEDとしては高輝度LEDが採用されており、夜間ばかりでなく、日中においても表示画像の視認(例えば地上からの視認)が可能なものとなっている。また、周囲の明るさに応じて輝度変更できるものとしてもよい。また、LEDに代えて有機EL(organic electro-luminescence)を採用することも可能である。
【0047】
回動機構230は、画像表示装置220を飛行体本体210に対して回動可能に取り付けるものであって、画像表示装置220と飛行体本体210とを連結する2本の回動アーム231L,231Rおよび一対のリンク機構232L,232Rを備えている。
【0048】
各回動アーム231L,231Rは、画像表示装置220の第1フレーム材223aと飛行体本体210のフロントフレーム材210aとを連結している。これら回動アーム231L,231Rにおけるフロントフレーム材210aとの連結部分にはサーボモータ(本発明でいう回動位置調整アクチュエータ)233L,233Rが内蔵されており、これらサーボモータ233L,233Rの作動によって回動アーム231L,231Rがフロントフレーム材210aに対して相対的に回動することにより画像表示装置220が飛行体本体210に対して回動可能となっている。例えばサーボモータ233L,233Rののステータがフロントフレーム材210aに、ロータが回動アーム231L,231Rにそれぞれ連結された構成となっている。また、このサーボモータ233L,233Rの回動位置を調整することにより、飛行体本体210に対する画像表示装置220の回動位置(飛行体本体210に対する画像表示装置220の回動姿勢)を任意の位置に設定することが可能となっている。
【0049】
各リンク機構232L,232Rは、左側リンク機構232Lと右側リンク機構232Rで成る。左側リンク機構232Lは、一端が飛行体本体210のレフトフレーム材210cに回動自在に連結された第1リンク232La、および、一端が画像表示装置220の左側リンク用のフレーム225Lの第1部225Laに回動自在に連結された第2リンク232Lbそれぞれの他端同士が相対的に回動自在に連結されている。同様に、右側リンク機構232Rは、一端が飛行体本体210のライトフレーム材210dに回動自在に連結された第1リンク232Ra、および、一端が画像表示装置220の右側リンク用のフレーム225Rの第1部225Raに回動自在に連結された第2リンク232Rbそれぞれの他端同士が相対的に回動自在に連結されている。前記サーボモータ233L,233Rの作動によって画像表示装置220が飛行体本体210に対して回動する際、各リンク機構232L,232Rの第1リンク232La(232Ra)と第2リンク232Lb(232Rb)とが相対的に回動することにより、画像表示装置220の回動動作の安定化が図れるようになっている。図3は、画像表示装置220が飛行体本体210に対して回動して水平姿勢となっている状態を示す斜視図である。この場合、画像表示装置220が飛行体本体210の下側に位置すると共に、画像表示装置220の延在方向と飛行体本体210の延在方向とは互いに平行となり、各リンク機構232L,232Rの第1リンク232La(232Ra)の延在方向と第2リンク232Lb(232Rb)の延在方向との成す角度が最も小さくなっている。また、図4は、画像表示装置220が飛行体本体210に対して回動して鉛直姿勢となっている状態を示す斜視図である。この場合、画像表示装置220の延在方向と飛行体本体210の延在方向とは互いに直交する状態となり、各リンク機構232L,232Rの第1リンク232La(232Ra)の延在方向と第2リンク232Lb(232Rb)の延在方向とは同一直線上となる。
【0050】
前述したように本実施形態に係る空中画像表示システム10は、複数の無人飛行体20,20,…で成る無人飛行体群によって空中での画像表示を行うものである。このため、飛行開始前や飛行終了後に複数の無人飛行体20,20,…を着陸(待機)させておくための駐機スペースが必要となる。従来技術にあっては、各無人飛行体それぞれを地上に着陸した状態で駐機させていた。このため、1機の無人飛行体に対して、当該無人飛行体の平面視の大きさに相当する分だけの駐機スペースが必要であった。つまり、無人飛行体の数が増加するに従って駐機スペースとしては当該無人飛行体の機体数分の広いスペースが必要となり、例えば数十機以上の無人飛行体を駐機させる場合には広大な駐機スペースが必要となってしまうため実用性の面で大きな課題があった。
【0051】
本実施形態では、複数の無人飛行体20,20,…を駐機させる場合における必要な駐機スペースの縮小化を図ることを可能にするスタック構造が備えられている。
【0052】
このスタック構造は、複数の無人飛行体20,20,…を上下に重ね合わせて待機させるための構造である。図5は、複数の無人飛行体20,20,…のスタック状態を示す側面図である。この図5に示すようにスタック状態では、画像表示装置220が飛行体本体210に対して回動して水平姿勢となり(図3に示す姿勢となり)、この状態で無人飛行体20,20,…同士が上下に重ね合わされることになる。以下、このスタック構造について説明する。
【0053】
図3に示すように、スタック構造としては、画像表示装置220の外枠フレーム223に設けられた複数の受け台(重ね支持手段)226,226,…と近赤外線カメラ(光検知手段)227,227,…とを備えた構成となっている。
【0054】
受け台226,226,…は、外枠フレーム223の各フレーム材223a~223dにおける長手方向の中間部において、該長手方向に直交する方向(図3に示したように画像表示装置220が水平姿勢となった状態で上方:第1方向Hおよび第2方向Lそれぞれに対して直交する上方)に突出するように配設されている。各受け台226,226,…は、この図3に示す状態において鉛直方向に延在する柱部226aと、該柱部226aの上部に設けられた受け部226bとを備えている。
【0055】
柱部226aの高さ寸法は、図3に示す状態(画像表示装置220が水平姿勢となった状態)において該柱部226aの上端位置が飛行体本体210の上端位置よりも上方に位置する寸法に設定されている。
【0056】
受け部226bは、図3に示す状態において上方に向かって互いに反対方向に向けて傾斜する一対の線材226c,226cによってV字型に構成されている。具体的には、第1フレーム材223aおよび第2フレーム材223bに備えられた各受け台226,226の各線材226c,226cは、上方に向かって第2方向(L方向)において互いに反対方向に向けて傾斜している。また、第3フレーム材223cおよび第4フレーム材223dに備えられた各受け台226,226の各線材226c,226cは、上方に向かって第1方向(H方向)において互いに反対方向に向けて傾斜している。
【0057】
また、柱部226aと受け部226bとの接続部分(受け部226bの底部)には上方に向けて近赤外線を放射するLED(投光器)226dが設けられている。具体的に、受け部226bの中央部に設けられた凹部にLED226dが収容されている。LED226dの配置形態としてはこれに限定されるものではなく、受け部226bの中央部から突出する状態で配置されていてもよい。
【0058】
一方、近赤外線カメラ227,227,…は、外枠フレーム223の各フレーム材223a~223dにおける長手方向の中間部において、該長手方向に直交する方向(図3に示したように画像表示装置220が水平姿勢となった状態で下方)に向けて配設されている。つまり、下方における近赤外線を検出するように配設されている。具体的には、各フレーム材223a~223dの下面に設けられた凹部に近赤外線カメラ227が収容されている。近赤外線カメラ227の配置形態としてはこれに限定されるものではなく、各フレーム材223a~223dの下面から突出する状態で配置されていてもよい。このように、各フレーム材223a~223dにおける受け台226の配設位置と近赤外線カメラ227の配設位置とは同じ位置であり、受け台226は上側から降下してくる他の無人飛行体20の外枠フレーム223を受け止める機能と上方に向けて近赤外線を放射する機能とを有し、近赤外線カメラ227は下方における近赤外線を検出する機能を有している。これは、本発明でいう「下側無人飛行体の上側に上側無人飛行体がズレ無く載置されたと仮定した場合における各投光器の配設位置に対向する上側無人飛行体の各位置に、投光器からの光を検知可能な光検知手段が設けられている」構成に相当する。
【0059】
このため、既に駐機場に駐機している無人飛行体20の上側に飛行中の無人飛行体20を着陸させて無人飛行体20,20同士を重ね合わせる際には、飛行中の無人飛行体20に搭載されている近赤外線カメラ227,227,…が、駐機している無人飛行体20のLED226d,226d,…から放射されている近赤外線を検出し、全ての近赤外線カメラ227,227,…が近赤外線を検出した状態を維持しながら無人飛行体20を降下させることで、この降下する無人飛行体20を、駐機している無人飛行体20に重ね合わせる(平面視において位置ズレ無く重ね合わせる)ことが可能である。つまり、降下する無人飛行体20の画像表示装置220の外枠フレーム223(本発明でいう載置部)を、駐機している無人飛行体20の受け台226の受け部226bによって受けることで重ね合わせることが可能である。このようにして順次無人飛行体20を重ね合わせるように降下させていくことで、図5に示すように複数の無人飛行体20,20,…同士を上下に重ね合わせたスタック状態とすることが可能になり、駐機場として必要な面積の縮小化を図ることが可能となっている。
【0060】
-無人飛行体の制御系-
次に、無人飛行体20の制御系について説明する。以下で説明する無人飛行体20の制御系は一例であって、本発明に係る無人飛行体20の制御系は以下のものには限定されない。無人飛行体20は、管理サーバ30から、飛行経路に係る情報、画像表示のための情報、画像表示装置220の回動姿勢を制御するための情報を受信し、所定の飛行経路に沿って飛行するように制御されると共に、画像表示装置220での画像表示および画像表示装置220の回動姿勢が制御される。
【0061】
図6は、本実施形態に係る無人飛行体20の制御系を示すブロック図である。この図6に示すように、無人飛行体20の制御系としては、位置・姿勢センサ21、通信部22、記憶部23、制御部24を備えている。
【0062】
(位置・姿勢センサ)
位置・姿勢センサ21は、無人飛行体20の現在位置および姿勢を取得するためのセンサである。位置・姿勢センサ21は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)等の航法衛星(人工衛星)から送信される電波(航法信号)を受信する受信機、加速度を計測する加速度センサ、方位を計測する電子コンパス、および角速度を計測するジャイロセンサ等を備えている。具体的には、位置・姿勢センサ21において、受信機が複数の航法衛星から送信される航法信号を受信して制御部24に出力すると共に電子コンパスおよびジャイロセンサによる計測信号を制御部24に出力する。これらの信号に基づいて制御部24は、無人飛行体20の現在位置および姿勢を算出する。特に、本実施形態では、無人飛行体20の現在位置の検出精度を高めるためにRTK(Real Time Kinematic)による測位が行われるようになっている。尚、現在位置および姿勢を得るための情報を取得する手段としては、前記受信機に代えてレーザスキャナおよび気圧センサを用いるようにしてもよい。
【0063】
(通信部)
通信部22は、管理サーバ30との間で通信するための通信モジュールである。前述したように、管理サーバ30からは、飛行経路に係る情報、画像表示のための情報、画像表示装置220の回動姿勢を制御するための情報が送信されており、これら情報を通信部22が受信して制御部24に出力する。また、通信部22は、前述の如く算出された無人飛行体20の現在位置および姿勢の各情報を管理サーバ30に出力する。
【0064】
(記憶部)
記憶部23は、HDD(Hard Disk Drive)等の情報記憶装置である。この記憶部23は、各種プログラムや各種データを記憶し、制御部24との間でこれらの情報を入出力する。各種データとしては、位置・姿勢情報、経路情報等といった制御部24の各処理に用いられる情報が含まれる。
【0065】
位置・姿勢情報は、位置・姿勢センサ21によって取得された、無人飛行体20の現在位置および姿勢を予め定められた所定時間間隔で循環記憶した位置と姿勢の履歴である。経路情報は、管理サーバ30から受信して記憶部23に記憶される情報であって、無人飛行体20が移動する予定である飛行経路に関する情報である。具体的には、飛行経路上における座標列(x,y,z)と、各位置(座標)における時刻、速度、加速度とを対応付けた情報となっている。
【0066】
(制御部)
制御部24は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたコンピュータであり、記憶部23からプログラムやデータを読み出す。制御部24は、このプログラムに従った機能部として、位置・姿勢算出部241、飛行制御部242、画像表示制御部243、回動位置制御部244、スタック制御部245を備えている。
【0067】
位置・姿勢算出部241は、位置・姿勢センサ21の出力から飛行空間における無人飛行体20の現在位置および姿勢を算出し、位置・姿勢情報として記憶させる。また、この位置・姿勢算出部241は、例えば、位置・姿勢センサ21から出力された航法信号から緯度・経度・高度を求め、予め記憶した変換規則を用いて飛行空間の座標系における位置に変換する。更に、この位置・姿勢算出部241は、位置・姿勢センサ21から出力された加速度センサおよびジャイロセンサの計測信号から、飛行空間の座標系における現在姿勢を求める。尚、位置・姿勢センサ21から出力された電子コンパスの計測信号から、飛行空間の座標系における方位を求め、他のセンサからの計測信号を更に用いて現在姿勢を算出するようになっていてもよい。尚、位置・姿勢算出部241は、現在位置を算出する都度、通信部22を介して当該現在位置を管理サーバ30に送信する。
【0068】
飛行制御部242は、経路情報(管理サーバ30から受信した飛行経路に係る情報)、位置・姿勢情報を参照し、無人飛行体20を経路情報に記された飛行経路に追従して移動するように各モータ211,211,…の回転速度を制御する。具体的には、飛行制御部242は、経路情報に記された現在時刻の位置(座標)と、位置・姿勢情報に記された現在位置との誤差が小さくなるように各モータ211,211,…の回転速度を制御する。また、飛行制御部242は、位置・姿勢情報に基づいて無人飛行体20の現在の速度および加速度を算出し、これらの値が経路情報に記された現在時刻の速度および加速度との誤差が小さくなるように各モータ211,211,…の回転速度を制御する。
【0069】
画像表示制御部243は、管理サーバ30から通信部22が受信した画像情報に従って画像表示装置220の表示面における画像表示を制御する。つまり、管理サーバ30は、複数の無人飛行体20,20,…それぞれの表示デバイス222,222,…に対応して、無人飛行体20の位置および時刻に対応した画像を管理しており、この位置および時刻と画像の情報とを関連付けた情報を各無人飛行体20,20,…に送信するようになっている。そして、画像表示制御部243は、GNSSの正確なPPS(Pulse Per Second)信号に基づいて同期させた画像が各無人飛行体20,20,…それぞれの表示デバイス222,222,…において表示されるように画像表示制御を行う。
【0070】
回動位置制御部244は、管理サーバ30から通信部22が受信した、飛行位置に応じた画像表示装置220の回動位置の情報に従ってサーボモータ233L,233Rを作動させて画像表示装置220の回動位置を制御する。つまり、管理サーバ30は、飛行中における各無人飛行体20,20,…の飛行位置を把握しており、この飛行位置において地上からの視認性が最も高くなる画像表示装置220の回動位置を算出し、この回動位置の情報を通信部31から各無人飛行体20,20,…に向けて送信するようになっている。例えば、あるイベントにおいて地上の人(観客)から見て仰角が45°となる位置を各無人飛行体20,20,…が飛行している場合にあっては、図2に示すように画像表示装置220の表示面が水平方向に対して45°下向きとなるように画像表示装置220の回動位置を制御するための情報(回動位置情報)が各無人飛行体20,20,…に送信され、各無人飛行体20,20,…における回動位置制御部244は、受信した回動位置情報に従ってサーボモータ233L,233Rを作動させて画像表示装置220の回動位置を制御することになる。また、地上の人から比較的離れた位置であって、比較的低い位置を各無人飛行体20,20,…が飛行している場合にあっては、図4に示すように画像表示装置220の表示面が鉛直方向となるように画像表示装置220の回動位置を制御するための情報が各無人飛行体20,20,…に送信され、各無人飛行体20,20,…における回動位置制御部244は、受信した回動位置情報に従ってサーボモータ233L,233Rを作動させて画像表示装置220の回動位置を制御することになる。
【0071】
スタック制御部245は、既に駐機場に駐機している無人飛行体20の上側に飛行中の無人飛行体20を着陸させて無人飛行体20,20同士を重ね合わせる際に当該飛行中の無人飛行体20の飛行状態を制御するものである。このスタック制御部245には近赤外線カメラ227,227,…が信号線によって接続されており、各近赤外線カメラ227,227,…から下側の近赤外線(下側の無人飛行体20のLED226dから照射されている近赤外線)の検知信号が入力されるようになっている。そして、スタック制御部245は、全ての近赤外線カメラ227,227,…から近赤外線の検知信号を受信した状態を維持しながら無人飛行体20を降下させるように各モータ211,211,…を制御することによって、飛行している無人飛行体20を、駐機している無人飛行体20に重ね合わせる(平面視において位置ズレ無く重ね合わせる)ことを可能にしている。
【0072】
-管理サーバの制御系-
次に、管理サーバ30の制御系について説明する。以下で説明する管理サーバ30の制御系は一例であって、本発明に係る管理サーバ30の制御系は以下のものには限定されない。この管理サーバ30は、各無人飛行体20,20,…それぞれの飛行先である目標位置を決定し、各無人飛行体20,20,…から受信した現在位置の情報に基づいて、現在位置から目標位置に至る飛行経路を求め、当該飛行経路の情報を各無人飛行体20,20,…に送信する。また、前述したように管理サーバ30は、画像表示のための情報および画像表示装置220の回動姿勢を制御するための情報についても各無人飛行体20,20,…に送信する。図7は、管理サーバ30の制御系を示すブロック図である。この図7に示すように、管理サーバ30の制御系としては、通信部31、記憶部32、および、制御部33を備えている。
【0073】
(通信部)
通信部31は、無人飛行体20との間で通信するための通信モジュールである。この通信部31は、飛行経路に係る情報、画像表示のための情報、画像表示装置220の回動姿勢を制御するための情報を各無人飛行体20,20,…に送信する。
【0074】
(記憶部)
記憶部32は、HDD等の情報記憶装置である。この記憶部32は、各種プログラムや各種データを記憶し、制御部33との間でこれらの情報を入出力する。各種データには、位置情報、空間情報、機体情報、経路情報、画像情報、回動位置情報等の制御部33の各処理に用いられる情報が含まれる。
【0075】
位置情報は、無人飛行体20の現在位置および目標位置を示した情報である。無人飛行体20から現在位置の情報を受信すると、当該無人飛行体20の識別子(機体ID)と対応付けて記憶する。また、ある無人飛行体20の目標位置が設定されると、当該無人飛行体20の機体IDに対応付けて目標位置が記憶される。
【0076】
空間情報は、飛行空間の3次元構造等を表した情報である。本実施形態における空間情報は、飛行空間をボクセル空間として複数のボクセル(単位空間)に分割して飛行空間の障害物の構造等を表した情報である。空間情報は、システムの管理者によって予め設定され記憶される。
【0077】
機体情報は、各無人飛行体20,20,…の特性(性能)を示した情報である。機体情報は、システムの管理者によって予め設定され記憶される。具体的に、機体情報は、各無人飛行体20,20,…の機体IDと、特性値(機体重量、大きさ、最大速度、最大加速度、および最大加加速度)とを対応付けた情報である。
【0078】
経路情報は、各無人飛行体20,20,…の飛行経路に関する情報である。具体的には、経路情報は、無人飛行体20の機体IDと、経路上の座標値(x,y,z)、当該座標値における通過時間、速度、加速度、加加速度、加加速度の変化量の値とが対応付けて記憶される。
【0079】
画像情報は、各無人飛行体20,20,…それぞれに搭載された各表示デバイス222,222,…に表示させるべき画像の情報であって、各無人飛行体20,20,…の位置および時刻に関連付けられた情報である。
【0080】
回動位置情報は、各無人飛行体20,20,…それぞれにおける画像表示装置220の回動位置を制御するための情報であって、各無人飛行体20,20,…の位置および姿勢とサーボモータ233L,233Rの回動角度位置とが関連付けられた情報である。
【0081】
(制御部)
制御部33は、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータであり、記憶部32からプログラムやデータを読み出す。制御部33は、このプログラムに従った機能部として、目標位置設定部331、経路算出部332、画像情報抽出部333、回動位置算出部334を備えている。
【0082】
目標位置設定部331は、各無人飛行体20,20,…の目標位置を設定し、機体IDに対応付けて位置情報として記憶部32に記憶させる。目標位置は、例えば、空中を移動しながら画像表示を行っていく場合にあっては、予め定めた時刻になったときに飛行位置が所定の目標位置となるよう設定する。
【0083】
経路算出部332は、各無人飛行体20,20,…の現在位置から目標位置に至る飛行経路を算出し、算出した経路を経路情報として記憶部32に記憶させる個別経路算出処理を行う。この記憶された経路情報は通信部31から各無人飛行体20,20,…に送信され、この情報に従って各無人飛行体20,20,…の飛行が制御(前記飛行制御部242により制御)されることになる。
【0084】
画像情報抽出部333は、記憶部32に記憶されている複数の画像情報のうち各無人飛行体20,20,…それぞれにおける画像表示装置220において表示させるべき画像の情報を記憶部32から抽出して通信部31に送信する。通信部31は、この画像情報を各無人飛行体20,20,…に送信することになる。
【0085】
回動位置算出部334は、記憶部32に記憶されている複数の回動位置情報(画像表示装置220の回動位置の情報)のうち各無人飛行体20,20,…それぞれの位置や姿勢に応じた回動位置情報を記憶部32から抽出して通信部31に送信する。通信部31は、この回動位置情報を各無人飛行体20,20,…に送信することになる。
【0086】
<空中画像表示動作>
次に、前述の如く構成された無人飛行体20の集合体である無人飛行体群および管理サーバ30で構成される空中画像表示システム10による空中画像表示動作について説明する。
【0087】
先ず、複数の無人飛行体20,20,…が駐機場において待機(駐機)している状態では、前述したスタック構造が利用されて複数の無人飛行体20,20,…が鉛直方向で重ね合わされている。例えば60機の無人飛行体20,20,…を待機させる場合において、6機を一組として重ね合わせた場合には、駐機場には、10組のスタックされた無人飛行体20,20,…が存在することになる。
【0088】
そして、管理サーバ30から飛行指示信号が送信されると、この信号を各無人飛行体20,20,…の通信部22が受信する。この飛行指示信号を受信した各無人飛行体20,20,…は、モータ211の作動に伴ってロータ212が回転することにより揚力が発生し、スタックされている各無人飛行体20,20,…のうち上側に位置する無人飛行体20から順に飛行(上昇)を開始することになる。
【0089】
飛行中の各無人飛行体20,20,…は、管理サーバ30から送信される飛行経路に係る情報を受信する。そして、この飛行経路に係る情報に従って、飛行制御部242が各モータ211の回転速度を制御し、各無人飛行体20,20,…が所定の飛行位置において停止(ホバリング)することになる。そして、図8に示すように、各無人飛行体20,20,…が、互いの画像表示装置220,220,…同士が隣り合うように(各無人飛行体20,20,…が水平方向および鉛直方向に複数機(複数台)が並ぶように)飛行した状態で、管理サーバ30から画像表示のための情報および画像表示装置220の回動姿勢を制御するための情報が各無人飛行体20,20,…それぞれに送信される。各無人飛行体20,20,…は、これら情報に従って各表示デバイス222,222,…に画像を表示させるための画像表示制御を行うと共に、サーボモータ233L,233Rを作動させて画像表示装置220の回動位置を制御する。これにより、協調制御されて飛行する各無人飛行体20,20,…それぞれにおける画像表示装置220,220,…の表示面同士が隣り合った状態で、各表示面に画像が表示されることにより、これら複数の表示面に亘って一連の画像が表示されることになる(図8を参照)。このため、大型の画像を空中に表示させることが可能になり、視認性の高い画像が空中に表示されることになる。
【0090】
<スタック動作>
次に前述したスタック構造を利用したスタック動作について図9のフローチャートおよび図10のスタック動作説明図を用いて説明する。このスタック動作は、既に着陸している無人飛行体20の各受け台226,226,…の上側に他の無人飛行体(飛行中の無人飛行体)20の装置フレーム221(より具体的には外枠フレーム223)を載置するための動作である。
【0091】
先ず、ステップST1において、空中画像表示動作が終了し、駐機スペースへの帰還経路情報が管理サーバ30から入力されると、無人飛行体20は、駐機スペースにおける所定の帰還位置(既に着陸している無人飛行体20の上側の位置)に向けての飛行し、ステップST2において、この帰還位置上方で一旦ホバリングを行う。図10(a)は、このホバリング状態にある飛行中の無人飛行体20の外枠フレーム223および近赤外線カメラ227と、既に着陸している無人飛行体20の受け台226との位置関係の一例を示している。この状態で、ステップST3において、全ての近赤外線カメラ227,227,…が近赤外線を検出した状態となっているか否かを判定する。この判定は、全ての近赤外線カメラ227,227,…からスタック制御部245に対して近赤外線の検知信号が送信されているか否かを判定することによって行われる。飛行中の無人飛行体20が、既に着陸している無人飛行体20の真上に位置し且つ鉛直軸周りの回転方向の位置が一致している場合には、全ての近赤外線カメラ227,227,…が近赤外線を検出した状態となる。
【0092】
全ての近赤外線カメラ227,227,…が近赤外線を検出した状態となっている場合には、飛行中の無人飛行体20は下側の無人飛行体(既に着陸している無人飛行体)20に重なり合うことが可能な位置にある(ズレ無く載置される位置にある)として、ステップST4で無人飛行体20を降下させる降下制御を開始する。
【0093】
一方、少なくとも一部の近赤外線カメラ227,227,…が近赤外線を検出できていない状態となっている場合には、飛行中の無人飛行体20は下側の無人飛行体20に重なり合うことが可能な位置にはないとして、ステップST3でNO判定されてステップST5に移る。図10(b)は、この場合における飛行中の無人飛行体20の外枠フレーム223および近赤外線カメラ227と、既に着陸している無人飛行体20の受け台226との位置関係の一例を示している。この図10(b)に示す状態にあっては、飛行中の無人飛行体20の外枠フレーム223および近赤外線カメラ227の位置が左側にずれていることにより、近赤外線カメラ227が近赤外線を検出できていない状態にある。
【0094】
ステップST5では、無人飛行体20の水平方向の位置を修正するように各モータ211,211,…の制御が行われ、無人飛行体20の水平方向の移動や鉛直軸周りの自転が行われる。この動作がステップST3においてYES判定されるまで(全ての近赤外線カメラ227,227,…が近赤外線を検出した状態となるまで;例えば図10(a)に示す状態となるまで)継続される。
【0095】
全ての近赤外線カメラ227,227,…が近赤外線を検出した状態で降下制御(ST4)が開始されると、ステップST6において、飛行中の無人飛行体20が下側の無人飛行体20に載置された(外枠フレーム223が受け台226に載置された)か否かが判定される。この判定は、無人飛行体20,20同士の間の距離を計測する手段や、無人飛行体20,20同士が当接することで押し込まれるスイッチ等を利用して行うことが可能である。
【0096】
飛行中の無人飛行体20が下側の無人飛行体20に未だ載置されておらず、ステップST6でNO判定された場合には、ステップST3に戻り、前述したステップST3~ST6の動作を繰り返す。
【0097】
そして、図10(c)に示すように、飛行中の無人飛行体20が下側の無人飛行体20に載置され、ステップST6でYES判定されると、無人飛行体20のスタック動作が完了する。その後、更に他の無人飛行体20のスタック動作を行う場合には、この無人飛行体20に対して前述した動作が繰り返されることになる。
【0098】
尚、前述したように受け部226bの線材226c,226cは、上方に向かって互いに反対方向に向けて傾斜しているので、図10(d)に示すように降下する無人飛行体20の位置精度(水平方向の位置精度)が十分に得られていない状態であったとしても、受け部226bの一対の線材226c,226cの上端同士の間(V字の上端同士の間)に外枠フレーム223が入り込めば線材226cのガイド(傾斜面によるガイド)によって(図10(d)の矢印を参照)、無人飛行体20,20同士をズレ無く載置することが可能である。このため、降下する無人飛行体20の位置精度として高い精度は要求されず、降下の制御を行うに当たっての制御系における情報処理の負担の軽減を図ることができる。
【0099】
尚、前述の記載では管理サーバ30から画像表示のための情報を受信し、その画像を画像表示装置220において表示するようにしていたが、地上においてスマートフォンやタブレット端末等の画面上の画像(写真や手書きの絵等)を無人飛行体20に送信し、その画像を画像表示装置220において表示するようにしてもよい。
【0100】
<実施形態の効果>
以上説明したように本実施形態では、着陸状態において他の無人飛行体(降下してくる無人飛行体)20の載置を可能とする受け台226を備えさせている。このため、無人飛行体20,20を上下に重ね合わせた状態で待機させることができ、複数の無人飛行体20,20,…を、1機分の駐機スペースに駐機させることが可能になる。その結果、複数の無人飛行体20,20,…を駐機させる場合に必要な駐機スペースの縮小化を図ることができる。
【0101】
また、本実施形態では、上側の(飛行中の)無人飛行体20に設けられた各近赤外線カメラ227,227,…が、下側(既に着陸している)無人飛行体20のLED226dからの近赤外線を検知した状態を維持しながら、スタック制御部245によって無人飛行体20の降下を制御するようにしている。このため、無人飛行体20,20をズレ無く重ね合わせることが可能であり、各無人飛行体20,20を安定的に上下に重ね合わせることができる。
【0102】
また、本実施形態では、受け台226の受け部226bは、上側の無人飛行体20を載置した際に当該無人飛行体20が当接する当接支持点が、飛行体本体(自身の飛行体本体)210の上端位置よりも上方に位置している。このため、各無人飛行体20,20の飛行体本体210,210同士の干渉を抑制することができ、各無人飛行体20,20を安定的に上下に重ね合わせることが可能である。
【0103】
<変形例1>
次に、変形例1について説明する。本変形例は、受け台226の構成が前述した実施形態のものと異なっている。従って、ここでは受け台226の構成について主に説明する。
【0104】
図11は本変形例における無人飛行体20のスタック動作を説明するための図である。この図11(a)に示すように、本例における受け台226は、柱部226aに対して各線材226c,226cが水平軸周りに回動自在となっている。また、本実施形態における各線材226c,226cは、図11(a)に示す状態において上方に向かって互いに反対方向に向けて傾斜する傾斜部226e,226eと、該傾斜部226e,226eの上端から鉛直方向に延在する鉛直部226f,226fとを備えている。また、各線材226c,226cの回動軸には図示しないモータの回転軸が連結されており、このモータの回転軸の回動に伴って各線材226c,226cが互いに反対方向に回動することで開閉動作を行うようになっている(図11(a)の矢印を参照)。これにより、本発明でいう把持機構(他の無人飛行体が載置された状態において、当該他の無人飛行体を把持する把持機構)が構成されている。
【0105】
そして、本例におけるスタック動作にあっては、図11(b)に示すように、飛行中の無人飛行体20が下側の無人飛行体20に載置された(外枠フレーム223が受け台226に載置された)際にモータが作動し、各線材226c,226c同士が互いに近接する方向に回動する。これにより、下側の無人飛行体20の受け台226が上側の無人飛行体20を把持した状態となる。
【0106】
本例における効果について述べる。複数の無人飛行体20,20,…を単に重ね合わせるのみでは、これら無人飛行体20,20,…を同時に移送することが困難である。例えば、複数の無人飛行体20,20,…を他の地点に運搬するためにトラックに同時に移送することが困難である。これに対し、本例の構成によれば、各線材226c,226cの回動によって、重ね合わされた複数の無人飛行体20,20を一体的に連結することができ、複数の無人飛行体20,20を同時に移送することが容易になる。
【0107】
<変形例2>
次に、変形例2について説明する。本変形例は、画像表示装置220の構成が前述した実施形態のものと異なっている。従って、ここでは前述した実施形態との相違点について主に説明する。
【0108】
図12は本変形例における図2相当図である。図13は本変形例における図3相当図である。図14は本変形例における図4相当図である。これらの図に示すように本変形例に係る無人飛行体20における画像表示装置220は、透過型スクリーン228および画像投影装置(プロジェクタ)229を備えている。
【0109】
透過型スクリーン228は、複数の線材(樹脂製または金属製の線材)が格子状に配設された網材(網状スクリーン;所謂アミッドスクリーン)で成り、画像表示装置220の枠状の装置フレーム221に貼り付けられている。本例における装置フレーム221としては、前記縦フレーム224は備えていない。尚、透過型スクリーン228としては透明樹脂で成る透明スクリーンを採用してもよい。また、この透過型スクリーン228を備えた画像表示装置220は、前述した実施形態のものと同様に回動機構230を介して飛行体本体210に対して回動可能に取り付けられている。
【0110】
画像投影装置229は、透過型スクリーン228の背面側から画像を照射するためのものであって、画像表示装置220の装置フレーム221に支持された状態で、透過型スクリーン228の背面に向けて画像照射を行うようになっている。このため、回動機構230の作動(サーボモータ233L,233Rの作動)によって画像投影装置229が回動して透過型スクリーン228も飛行体本体210に対して回動した場合であっても、透過型スクリーン228と画像投影装置229との位置関係は不変であり、透過型スクリーン228の背面に向けて画像投影装置229からの画像の照射が可能な構成となっている。本実施形態にあっては、受け台226によって画像投影装置229を支持するようにしているが、この画像投影装置229の支持構造としてはこれに限定されるものではなく、複数のアーム(図示省略)によって画像表示装置220の装置フレーム221に支持された構成としてもよい。尚、透過型スクリーン228に画像を照射するデバイスとしては、画像投影装置229に代えて、RGBレーザビームを走査することで透過型スクリーン228上にカラー画像を表示するものとしてもよい。
【0111】
また、本例に係る無人飛行体20にあっても、前述した実施形態のものと同様にスタック構造を備えている。つまり、画像表示装置220の外枠フレーム223に設けられた複数の受け台(重ね支持手段)226,226,…と近赤外線カメラ(光検知手段)227,227,…とを備えた構成となっている。これらの構成およびスタック動作は前述した実施形態の場合と同様であるのでここでの説明は省略する。また、受け台226の構成としては、前述した変形例1のものを採用することも可能である。
【0112】
その他の構成は、前述した実施形態のものと略同様である。
【0113】
本実施形態に係る無人飛行体20における空中画像表示動作時における各無人飛行体20,20,…の制御動作は、前述した実施形態の場合と同様である。つまり、管理サーバ30から、飛行経路に係る情報、画像表示のための情報、画像表示装置220の回動姿勢を制御するための情報を受信し、所定の飛行経路に沿って飛行するように制御されると共に、画像表示装置220での画像表示および画像表示装置220の回動姿勢が制御される。そして、画像表示に際しては、画像投影装置229から透過型スクリーン228の背面に向けて照射された画像が当該透過型スクリーン228の表示面に表示され、空中での画像表示が行われることになる。
【0114】
また、透過型スクリーン228は網状スクリーンであるため、風(空気)の通過が可能であり、飛行中の無人飛行体20は風の影響を受けることが少なく、飛行の安定化に伴って空中に表示させる画像の安定化(空中での画像の揺れ等の抑制)を図ることができ、視認性の高い状態で画像を空中に表示させることができる。
【0115】
また、本例では、画像表示装置220の表示面の全体に対して画像投影装置229から投影された1つの画像を表示させることが可能である。このため、表示面を複数領域に分割して各領域に個別に表示させる画像同士を同期させるようにした場合に比べて、この画像同期のための処理負荷をなくすことができ、画像表示のための制御の簡素化を図ることができて、制御系における負荷の軽減を図ることができる。
【0116】
<変形例3>
次に、変形例3について説明する。本変形例は、無人飛行体20の構成が前述した実施形態のものと異なっている。従って、ここでは前述した実施形態との相違点について主に説明する。
【0117】
図15は本変形例における図6相当図(無人飛行体20の制御系を示すブロック図)である。本実施形態に係る無人飛行体20は、記憶部23に画像情報記憶部23aおよび回動位置情報記憶部23bが備えられている。画像情報記憶部23aには、画像表示装置220に表示させるべき画像の情報が予め記憶されている。また、回動位置情報記憶部23bには、無人飛行体20の飛行位置や飛行姿勢に応じた画像表示装置220の回動位置の情報が予め記憶されている。
【0118】
そして、空中画像表示動作にあっては、画像表示制御部243が画像情報記憶部23aから画像情報を読み出して画像表示装置220の表示面における画像表示を制御する。この画像表示を行うための構成としては、前記実施形態のものであってもよいし、前記変形例2のものであってもよい。また、回動位置制御部244が回動位置情報記憶部23bから現在の無人飛行体20の飛行位置や飛行姿勢に応じた画像表示装置220の回動位置の情報を読み出してサーボモータ233L,233Rを作動させて画像表示装置220の回動位置を制御するようになっている。
【0119】
尚、このように各無人飛行体20,20,…それぞれが画像の情報を記憶し、それぞれの画像表示装置220,220,…の表示面における画像表示を制御する場合、画像表示制御部243は、GNSSの正確なPPS信号に基づいて同期させた画像が各無人飛行体20,20,…それぞれの表示デバイス222,222,…において表示されるように画像表示制御を行うことになる。
【0120】
このため、本変形例にあっては、管理サーバ30と無人飛行体20との間での画像情報の送受信や回動位置情報の送受信は行われないものとなっている。従って、空中での画像表示を行うためのシステム全体の構成の簡素化を図ることができる。また、管理サーバ30と無人飛行体20との間での通信の情報量を削減することができるため、通信の安定化を図ることができる。つまり、管理サーバ30と無人飛行体20との間において例えば飛行経路に係る情報のみを通信する場合には、情報の通信の安定化を図ることができる。
【0121】
<他の実施形態>
尚、本発明は、前記実施形態および前記各変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲および該範囲と均等の範囲で包含される全ての変形や応用が可能である。
【0122】
例えば、前記実施形態および前記各変形例では、受け台226の上端部にV字型の受け部226bを設けて上側の無人飛行体20を載置可能な構成としていた。本発明はこれに限らず、U字型や上方が開放された円弧状の受け部を採用することも可能である。つまり、上側の無人飛行体20を載置可能とする構成としては種々の構成を採用することが可能である。
【0123】
また、前記実施形態および前記各変形例では、無人飛行体対や無人飛行体群を構成する全ての無人飛行体20,20,…は同一構成のものとしていた。つまり、全ての無人飛行体20,20,…が受け台226および近赤外線カメラ227を備えたものとしていた。本発明はこれに限らず、互いに重ね合わされる一組の無人飛行体20,20,…を予め特定しておくと共に、この一組の無人飛行体20,20,…のうち、最も下側に位置される無人飛行体20と最も上側に位置される無人飛行体20とを予め特定しておき(機体ID等によって識別することで特定しておき)、最も下側に位置される無人飛行体20には近赤外線カメラ227を備えさせず、最も上側に位置される無人飛行体20には受け台226を備えさせない構成としてもよい。
【0124】
また、前記実施形態および前記各変形例では、画像表示装置220を備えて空中での画像表示を行う無人飛行体20に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、その他の用途(例えば、地上観測、貨物輸送、農薬散布等)に使用される無人飛行体20に対しても適用可能である。
【0125】
また、前記実施形態および前記各変形例では、複数の無人飛行体20,20,…で成る無人飛行体群によって一連の画像を空中に表示するようにしていた。本発明はこれに限らず1機の無人飛行体20のみによって空中に画像を表示するようにしてもよい。
【0126】
また、前記実施形態では、複数の表示デバイス222,222,…を外枠フレーム223の内側に配置するようにしていたが、外枠フレーム223の外側にも表示デバイス222,222,…を配置するようにしてもよい。これにより、隣り合う無人飛行体20,20の表示デバイス222,222同士の間の隙間を小さくして、より鮮明な画像を空中に表示させることが可能になる。
【0127】
また、無人飛行体20の画像表示装置220として、前述した実施形態における表示デバイス222や、前述した変形例における画像投影装置229は搭載しておらず、スクリーン(例えば反射型スクリーン等)のみを搭載した構成とし、地上に、走査型レーザ照射器(画像照射器)が設置され、この走査型レーザ照射器から各無人飛行体20,20,…の各画像表示装置220,220,…のスクリーンに向けて画像を照射することによって空中に画像を表示させるようにしてもよい。このような空中画像表示システム10の利用形態の一例としては、地上においてスマートフォンやタブレット端末等の画面上の画像(写真や手書きの絵等)を走査型レーザ照射器から無人飛行体群に照射することで、拡大した画像を空中に表示させるといったこと等が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明は、複数台を重ね合わせた状態で待機させることができる無人飛行体に適用可能である。
【符号の説明】
【0129】
20 無人飛行体
210 飛行体本体
212 ロータ(回転翼)
220 画像表示装置
221 装置フレーム
223 外枠フレーム(載置部)
226 受け台(重ね支持手段)
226b 受け部
226c 線材
226d LED(投光器)
227 近赤外線カメラ(光検知手段)
233L,233R サーボモータ(回動位置調整アクチュエータ)
245 スタック制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
図14
図15