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特開2023-87252被膜構造及び被膜構造のコーティング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087252
(43)【公開日】2023-06-23
(54)【発明の名称】被膜構造及び被膜構造のコーティング方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 9/00 20060101AFI20230616BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20230616BHJP
   C09D 7/62 20180101ALI20230616BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20230616BHJP
   C09D 183/04 20060101ALI20230616BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20230616BHJP
   C23C 26/00 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
B32B9/00 A
C09D201/00
C09D7/62
C09D7/61
C09D183/04
B05D7/24 302Y
C23C26/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201539
(22)【出願日】2021-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】516218384
【氏名又は名称】ハドラスホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108442
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義孝
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】山本 英明
(72)【発明者】
【氏名】池田 正範
(72)【発明者】
【氏名】小田原 玄樹
【テーマコード(参考)】
4D075
4F100
4J038
4K044
【Fターム(参考)】
4D075AE03
4D075CA38
4D075CB06
4D075DB02
4D075DB16
4D075DB31
4D075DB35
4D075DC12
4D075DC13
4D075EA43
4D075EB42
4F100AA20A
4F100AA20B
4F100AK52A
4F100AK79A
4F100AK79B
4F100AT00C
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10B
4F100CC00A
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4F100GB32
4F100JD05
4F100JN01B
4F100YY00B
4J038DL031
4J038DL032
4J038HA431
4J038HA432
4J038HA441
4J038HA442
4J038JC30
4J038NA05
4J038NA07
4J038NA11
4J038PB02
4J038PB04
4J038PB07
4J038PC02
4J038PC06
4J038PC07
4J038PC08
4J038PC09
4K044AA01
4K044AB10
4K044BA14
4K044BA21
4K044BB03
4K044BB04
4K044BB15
4K044BC05
4K044BC09
4K044CA53
(57)【要約】
【課題】被覆対象物の表面への水の浸入を確実に防止することができる被膜構造および被膜構造のコーティング方法を提供する。
【解決手段】SiOを主成分とし、シロキサン結合による主鎖の一部に有機官能基が側鎖として結びついた無機有機複合構造を有するコーティング層20と、コーティング層20に積層されSiOを主成分とする無機構造を有するコーティング層30と、を少なくとも有するコーティング膜100である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SiOを主成分とし、シロキサン結合による主鎖の一部に有機官能基が側鎖として結びついた無機有機複合構造を有するコーティング層と、
前記コーティング層に積層されSiOを主成分とする無機構造を有するコーティング層と、を少なくとも有するコーティング膜であることを特徴とする被膜構造。
【請求項2】
前記無機構造を有するコーティング層は、トップコーティング層であることを特徴とする請求項1に記載の被膜構造。
【請求項3】
被覆対象物の表面に被覆される第一層として、SiOを主成分とする無機構造を有するベースコーティング層があることを特徴とする請求項1または2に記載の被膜構造。
【請求項4】
前記無機有機複合構造を有するコーティング層は、前記無機構造を有するコーティング層よりも厚膜に形成されていることを特徴とする請求項1または3に記載の被膜構造。
【請求項5】
前記コーティング膜は、5nm~5μmの厚さで被膜されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の被膜構造。
【請求項6】
前記コーティング膜は、無色透明であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の被膜構造。
【請求項7】
被覆対象物に対して無機ポリシラザンを主成分とするコーティング剤を直接被覆する工程と、
前記無機ポリシラザンを主成分とするコーティング剤によって生成された無機構造を有するコーティング層の上に、有機ポリシラザンを主成分とするコーティング剤を被膜する工程と、
前記有機ポリシラザンを主成分とするコーティング剤によって生成された無機有機複合構造を有するコーティング層の上に、無機ポリシラザンを主成分とするコーティング剤を被膜する工程と、を有することを特徴とする被膜構造のコーティング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の表面への水の浸入を防止するための被膜構造及び被膜構造のコーティング方法に関する。
【0002】
従来、例えば金属材から構成される各種物品等を被覆対象物として、その表面にコーティング剤を塗布又は散布してコーティング膜を被膜することにより、当該被覆対象物の表層の防汚性や防錆性を高めるようにしたものがある(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1においては、被覆対象として通常外気に曝され、紫外線、雨水、泥水等を原因とする汚れや錆が発生しやすいオートバイ等の二輪車の車体に、ペルヒドロポリシラザンを主原料としたガラスコーティング剤を塗布して、無機構造を有するガラスコーティング膜で被覆することにより、傷や汚れから車体を守り、錆の発生を予防することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-298944号公報(第3頁~第5頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、無機構造を有するガラスコーティング膜により表面が親水性となることにより、雨や雪によるセルフクリーニング機能を持たせて防汚性を発揮できる。しかしながら、無機構造を有するガラスコーティング膜は非常に薄く、外部の異物等との物理的な接触や経時劣化等によりガラスコーティング膜に傷やクラックを生じやすく、当該部位から水が浸入すると、ガラスコーティング膜と車体表面との間に水が留まってしまい、錆の発生原因となってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、被覆対象物の表面への水の浸入を確実に防止することができる被膜構造及び被膜構造のコーティング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の被膜構造は、
SiOを主成分とし、シロキサン結合による主鎖の一部に有機官能基が側鎖として結びついた無機有機複合構造を有するコーティング層と、
前記コーティング層に積層されSiOを主成分とする無機構造を有するコーティング層と、を少なくとも有するコーティング膜であることを特徴としている。
この特徴によれば、上層側の無機構造を有するコーティング層に傷やクラックが生じても、当該コーティング層とは異なり撥水性に富む無機有機複合構造を有するコーティング層により、被覆対象物の表面への水の浸入を確実に防止することができる。
【0008】
前記無機構造を有するコーティング層は、トップコーティング層であることを特徴としている。
この特徴によれば、無機構造を有するトップコーティング層の親水性により、雨や雪によるセルフクリーニング機能を持たせて防汚性を高めることができる。
【0009】
被覆対象物の表面に被覆される第一層として、SiOを主成分とする無機構造を有するベースコーティング層があることを特徴としている。
この特徴によれば、SiOを主成分とすることで被覆対象物に対して極めて薄いベースコーティング層を形成し、その上に形成される無機有機複合構造を有するコーティング層の密着性を高めることができる。
【0010】
前記無機有機複合構造を有するコーティング層は、前記無機構造を有するコーティング層よりも厚膜に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、無機有機複合構造を有するコーティング層の特性を活かしてコーティング膜の変形自由度を高めることができる。
【0011】
前記コーティング膜は、5nm~5μmの厚さで被膜されていることを特徴としている。
この特徴によれば、被覆対象物の質感を損なうことなく被覆対象物の表面にコーティング膜による効果を付与することができる。
【0012】
前記コーティング膜は、無色透明であることを特徴としている。
この特徴によれば、被覆対象物の外観を損なうことなく被覆対象物の表面にコーティング膜による効果を付与することができる。
【0013】
本発明の被膜構造のコーティング方法は、
被覆対象物に対して無機ポリシラザンを主成分とするコーティング剤を直接被覆する工程と、
前記無機ポリシラザンを主成分とするコーティング剤によって生成された無機構造を有するコーティング層の上に、有機ポリシラザンを主成分とするコーティング剤を被膜する工程と、
前記有機ポリシラザンを主成分とするコーティング剤によって生成された無機有機複合構造を有するコーティング層の上に、無機ポリシラザンを主成分とするコーティング剤を被膜する工程と、を有することを特徴としている。
この特徴によれば、無機構造を有するトップコーティング層の親水性により、雨や雪によるセルフクリーニング機能を持たせて防汚性を高めることができるとともに、上層側の無機構造を有するトップコーティング層に傷やクラックが生じても、トップコーティング層とは異なり撥水性に富む無機有機複合構造を有するコーティング層により、被覆対象物の表面への水の浸入を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例における被膜構造のコーティング方法を示す断面図である。
図2】(a)~(c)は、実施例における基材にベースコーティング層が生成されるメカニズムを時系列で示す断面図である。
図3】実施例におけるベースコーティング層の構造イメージの一例を示す図である。
図4】実施例におけるベースコーティング層及び中間コーティング層の構造イメージの一例を示す図である。
図5】実施例におけるベースコーティング層、中間コーティング層及びトップコーティング層の構造イメージの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る被膜構造及び被膜構造のコーティング方法を実施するための形態を図1図5を参照して以下に説明する。
【実施例0016】
(コーティング剤A)
コーティング剤Aは、無機ポリシラザンを主成分としており、本実施例においては、少なくとも無機ポリシラザンが不活性溶剤によって希釈されている。なお、本実施例においては、コーティング剤Aは、無機構造を有するベースコーティング層10及びトップコーティング層30を形成するために用いられる(図1参照)。
【0017】
詳しくは、コーティング剤Aは、無機ポリシラザンを0.1~15質量%、不活性溶剤を85~99.9質量%の割合で含有している。なお、コーティング剤Aは、アルキルシリケート縮合物を5~80質量%の割合で含有していてもよく、不活性溶剤は、微量(例えば0.01質量%)乃至99.9質量%の範囲で含有されていてもよい。
【0018】
より詳しくは、無機ポリシラザンは、ペルヒドロポリシラザン、すなわちSi-H結合とSi-N結合とN-H結合を有し、例えば下記一般式(1)で表される-(SiH-NH)-ユニットから構成される鎖状構造の無機のポリマーである。
【0019】
【化1】
【0020】
なお、無機ポリシラザンは、鎖状構造のものに限らず、環状構造を有するポリマーであってもよく、これらの構造を複合的に有するポリマーであってもよい。
【0021】
不活性溶剤は、無機ポリシラザンに対して不活性な溶剤であり、好適にはジブチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テレピン油、ベンゼン、トルエン等の中から選択される。
【0022】
アルキルシリケート縮合物は、例えばテトラメチルオルトシリケート、テトラエチルオルトシリケート、テトラ-n-プロピルオルトシリケート、テトラ-i-プロピルオルトシリケート、テトラ-n-ブチルオルトシリケート、テトラ-sec-ブチルオルトシリケート、メチルポリシリケート及びエチルポリシリケートの中から選択される1種類又は2種類以上の縮合物である。
【0023】
なお、コーティング剤Aにおける「主成分」とは、コーティング剤Aにより形成されるベースコーティング層10及びトップコーティング層30において、SiOを主成分とする無機構造を構成するための主成分であり、本実施例のコーティング剤Aにおいては、上記した無機ポリシラザン(ペルヒドロポリシラザン)が相当する。また、コーティング剤Aには、有機ポリシラザンが含まれることはない。
【0024】
(コーティング剤B)
コーティング剤Bは、有機ポリシラザンを主成分としており、本実施例においては、少なくとも有機ポリシラザンとアルキルシリケート縮合物が不活性溶剤によって希釈されている。なお、本実施例においては、コーティング剤Bは、無機有機複合構造を有する中間コーティング層20を形成するために用いられる(図1参照)。
【0025】
詳しくは、コーティング剤Bは、有機ポリシラザンを10~90質量%、アルキルシリケート縮合物を5~50質量%、不活性溶剤を0~80質量%の割合で含有している。なお、不活性溶剤は、ゼロ質量%すなわち含有されていなくてもよいし、又は微量(例えば0.1質量%)乃至80質量%の範囲で含有されていてもよい。
【0026】
より詳しくは、有機ポリシラザンは、Si-N結合と官能基(R~R)を有し下記一般式(2)で表される-(SiR-NR)-ユニットから構成されるポリマーであり、特に、Siと直接結びつく官能基R,Rの少なくともいずれかが炭素(C)を有するアルキル基等の有機官能基から構成される有機のポリマーである。
【0027】
【化2】
【0028】
なお、本実施例における有機ポリシラザンは、官能基(R~R)としてのメチル基(CH)の含有率が50%以上に構成されている。また、有機ポリシラザンは、1種類の-(SiR-NR)-ユニットから構成されるポリマーに限らず、官能基(R~R)の組成が異なる複数種類の-(SiR-NR)-ユニットから構成されるポリマーであってもよい。また、有機ポリシラザンは、鎖状、環状、或いは架橋構造を有するポリマーであってもよく、これらの構造を複合的に有するポリマーであってもよい。
【0029】
より具体的には、本実施例における有機ポリシラザンとして例えば、有機ポリシラザンは、下記一般式(3)で表される-(SiH(CH)-NH)-ユニット、-(Si(CH-NH)-ユニット、-(SiR(CH)-NR)-ユニットを含むポリマーであり、特に、-(SiR(CH)-NR)-ユニットにおける官能基Rは、H又はCHであり、Nと直接結びつく官能基Rが反応を促進させる有機官能基となっている。
【0030】
【化3】
【0031】
更に、有機ポリシラザンは、含有するポリマーの構造が異なる複数種類の有機ポリシラザンが混合されたものであってもよく、例えば上記した一般式(3)で表される複数種類の有機ポリシラザンや他の構造を有する有機ポリシラザンが混合されてもよい。例えば、本実施例においてはヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン又はテトラメチルジシラザンから選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0032】
アルキルシリケート縮合物は、例えばテトラメチルオルトシリケート、テトラエチルオルトシリケート、テトラ-n-プロピルオルトシリケート、テトラ-i-プロピルオルトシリケート、テトラ-n-ブチルオルトシリケート、テトラ-sec-ブチルオルトシリケート、メチルポリシリケート及びエチルポリシリケートの中から選択される1種類又は2種類以上の縮合物である。
【0033】
不活性溶剤は、有機ポリシラザン及びアルキルシリケート縮合物に対して不活性な溶剤であり、好適にはジブチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テレピン油、ベンゼン、トルエン等の中から選択される。
【0034】
なお、コーティング剤Bにおける「主成分」とは、コーティング剤Bにより形成される中間コーティング層20において、SiOを主成分とし、シロキサン結合による主鎖の一部に有機官能基が側鎖として結びついた無機有機複合構造を構成するための主成分であり、本実施例のコーティング剤Bにおいては、上記した有機ポリシラザンが相当する。また、コーティング剤Bには、有機ポリシラザンと共に無機ポリシラザンが含まれていてもよいが、この場合、有機ポリシラザンが無機ポリシラザンよりも多く含有されるものとする。
【0035】
(被覆対象物)
本実施例においては、被覆対象物として自転車のメインフレームや車輪のリム・スポーク等の金属材に対して、本発明に係る被膜構造を有するコーティング膜の被覆を行う場合を例に挙げて説明する。本発明の被膜構造の被覆対象物としては、それ自体が移動可能で外的環境が変化するものあって、通常の使用状態で外気や風雨に加え砂塵等にも曝される競技用の自転車が好適であり、その他、オートバイや自動車のボディ等にも適している。
なお、被覆対象物としては、上記に限らず、例えば樹脂材や木材、ゴム材、皮革等の素材から構成される各種の物品が適用可能であり、若しくは什器等の固定設置物であってもよい。
【0036】
(コーティング膜の被覆手順)
まず、コーティング剤Aを被覆対象となる基材1の表面2に直接塗布又は散布によって被膜する。これにより、コーティング剤Aに含まれる無機ポリシラザンが、基材1の表面2に付着している水分若しくは表面2に接する空気中の水分と化学反応して、単層又は複数層のコーティング膜であるベースコーティング層10を形成する(図1(a)参照)。ベースコーティング層10を形成するに要する時間は、その膜厚によって異なるが、コーティング剤Aの被膜から数秒~1分程度である。なお、ベースコーティング層10は、その膜厚として好ましくは約2nm~100nmのコーティング膜として成層されることにより、クラックの発生を防止することができる。
【0037】
なお、ベースコーティング層10の形成よりも前に、前工程として、基材1の表面2に精製水等の水(HO)を不織布若しくは霧吹き等で付着させてもよい。このようにすることで、基材1の表面2に付着させた水分とコーティング剤Aに含まれる無機ポリシラザンとの化学反応を促進させ、基材1の表面2に迅速かつ強固にベースコーティング層10を形成することができる。
【0038】
次に、コーティング剤Bをベースコーティング層10の表面10aに塗布又は散布によって被膜する。これにより、コーティング剤Bに含まれる有機ポリシラザン及びアルキルシリケート縮合物が、先に被膜されたベースコーティング層10の表面10aに付着している水分若しくは表面10aに接する空気中の水分と化学反応して、単層又は複数層のコーティング膜である中間コーティング層20を形成する(図1(b)参照)。中間コーティング層20を形成するに要する時間は、その膜厚によって異なるが、コーティング剤Bの被膜から数秒~1日程度である。なお、中間コーティング層20は、その膜厚として好ましくは約2nm~1μmのコーティング膜として成層されることにより、コーティング膜の柔軟性を維持することができる。
【0039】
次に、コーティング剤Aを中間コーティング層20の表面20aに塗布する。これにより、コーティング剤Aに含まれる無機ポリシラザンが、先に被膜された中間コーティング層20の表面20aに付着している水分若しくは表面20aに接する空気中の水分と化学反応して、単層又は複数層のコーティング膜であるトップコーティング層30を形成する(図1(c)参照)。トップコーティング層30を形成するに要する時間は、その膜厚によって異なるが、コーティング剤Aの被膜から数秒~1分程度である。なお、トップコーティング層30は、その膜厚として好ましくは約2nm~100nmのコーティング膜として成層されることにより、クラックの発生を防止することができる。
【0040】
すなわち、本実施例において、基材1の表面2に形成されるコーティング膜100は、図1(c)に示されるように、基材1の表面2に被覆される第一層に、SiOを主成分とする無機構造を有するベースコーティング層10が成層され、ベースコーティング層10の上にSiOを主成分とする無機有機複合構造を有する中間コーティング層20が積層され、更に中間コーティング層20の上にSiOを主成分とする無機構造を有するトップコーティング層30が積層された3層の被膜構造を有している。
【0041】
なお、本発明に係る被膜構造を有するコーティング膜は、3層に限らず、少なくとも無機有機複合構造を有するコーティング層と、当該コーティング層に積層され無機構造を有するコーティング層と、を有する被膜構造を有するものであればよい。例えば上記した3層構造のコーティング膜100のうち、ベースコーティング層10を省略し、基材1の表面2に直接にコーティング剤Bを被膜して無機有機複合構造を有するコーティング層を形成し、その上にコーティング剤Aを被膜して無機構造を有するコーティング層を形成した2層構造であってもよい。あるいは、上記した3層構造のコーティング膜100に別のコーティング層を重ねた4層以上の構造であってもよい。また、本発明に係る被膜構造を有するコーティング膜の膜厚として好ましくは5nm~5μmの被膜とすることにより、無色透明でありながら、防汚性・防錆性を発揮することができる。
【0042】
また、本実施例のように3層の被膜構造の場合、コーティング膜の膜厚として好ましくは100nm~1μm、更に好ましくは300nm~800nmの被膜とすることにより、基材1の表面2の変形に対する追従性を十分に確保しながら、高い防汚性・防錆性を両立して発揮することができる。
【0043】
また、無機有機複合構造を有する中間コーティング層20は、基材の変形に対する追従性だけでなく、外部からの物理的接触による変形に対しても変形自由度が高いことから、無機構造を有するベースコーティング層10及びトップコーティング層30よりも厚膜に形成されることが好ましい。更に、中間コーティング層20の膜厚は、トップコーティング層30の膜厚と比較して、好ましくは2~10倍、更に好ましくは3~5倍の厚膜に形成されるとよく、このようにすることで、コーティング膜全体の十分な変形自由度を確保しながら、過度な変形による無機構造を有するトップコーティング層30の損傷を防止することができる。
【0044】
(ベースコーティング層の形成のメカニズム)
次に、本発明に係るベースコーティング層10が形成されるメカニズムについて説明する。図2(a)に示されるように、被覆対象として例えば金属材からなる基材1の表面2には多くの場合、結露や空気中の湿気により例え僅かでも複数の水分6,6,‥(水滴)が付着している。この基材1の表面2にコーティング剤Aを薄膜状に塗布又は散布して被覆すると、コーティング剤Aに含まれる無機ポリシラザンであるペルヒドロポリシラザンが、基材1の表面2や空気中の水分(HO)と化学反応することで、基材1の表面2にシロキサン結合(Si-O―Si)による無機構造(図3参照)を有するベースコーティング層10が生成される。なお、上記した化学反応で微量の気体(NH,H)が副次的に生成されるが、これらの気体は当然のことながら基材1の表面2に残らず大気中に揮発する。
【0045】
すなわち、図2(b)に示されるように、コーティング剤Aは、空気に接する表層面Aaにて、空気中に含まれる水分と化学反応することで、ベースコーティング層10の副生成物である水素やアンモニア等のガスが表層から揮発するとともに、ベースコーティング層10の表面10a側の薄層11が生成される。
【0046】
また、基材1の表面2に被覆されたコーティング剤Aは、基材1の表面2に接する背層面Abにて、表面2に付着した水分6,6,‥(水滴)又は表面2に終端として存在しているヒドロキシル基-OHと化学反応することで、水素やアンモニア等のガスが層内を上昇し表層から揮発するとともに、ベースコーティング層10の背面側の薄層12が生成される。
【0047】
このように、先ずコーティング剤Aの表層面Aa及び背層面Abにてそれぞれ薄層11,12が生成される。次に、表層側から背層側に向けて薄層11を拡層するとともに、背層側から表層側に向けて薄層12を拡層することで、順次中間の層を生成し、最終的に外気に接する表面10aと、基材1の表面2に接する背面10bと、に亘るベースコーティング層10が生成される(図2(c)参照)。なお、中間コーティング層20及びトップコーティング層30についても、ベースコーティング層10と略同様のメカニズムにより層形成が行われる。
【0048】
図2に示されるように、ベースコーティング層10を被覆する前の基材1の表面2には、鏡面加工等の特段の表層処理を行わない限り、製造工程等で生じる小傷等によりマイクロレベルの微細な多数の凹凸部3が形成されている。コーティング剤Aは、基材1の表面2を被覆するとともに、凹凸部3内に入り込んだ状態で、上記したように硬化することで、これらの凹凸部3内に入り込んで硬化したコーティング膜の一部がアンカー部として機能するため、ベースコーティング層10は基材1の表面2に対しより強固に密着する。
【0049】
(ベースコーティング層の形状)
基材1の表面2に被覆されたベースコーティング層10の表面10aは、副生成物であるガスの気泡が揮発した箇所の跡に、ナノレベルの凹凸形状を成す凹凸部16が形成される(図1(a)及び図2(b),(c)参照)。より詳しくは、上記した化学反応により水素やアンモニア等の気泡が多数生成され、これらの気泡がベースコーティング層10の平滑面である表層側の薄層11から大気中に向け放出される際に、気泡に接するベースコーティング層10の表面10aに生じる表面張力の影響、及び化学反応に伴うこの薄層11の初期硬化のタイミングの影響が相俟って、当該平滑面にナノレベルの凹部16b及び凸部16aからなる凹凸部16を生成するものと想定される。なお、図2(b),(c)では凹凸部16の凹凸寸法を実寸よりもデフォルメして示している。
【0050】
また、被覆前の基材1の表面2に当初形成された凹凸部3よりも、ベースコーティング層10の表面10aに形成された凹凸部16の方が凹凸の深さ・高さ寸法が小さいため、基材1の表面2にベースコーティング層10を被覆することで、被覆前よりも被覆後の方が表面は平滑に生成される。
【0051】
なお言うまでもないが、上記した副生成物であるガスは、ベースコーティング層10の表面10aに一様に生成されるものであることから、凹凸部16は、ベースコーティング層10の単位面積当たりの個数や凹部の深さ、凸部の高さにバラつきを生じることなく均一に形成されるものである。
【0052】
(中間コーティング層の形成のメカニズム)
次に、本発明に係る中間コーティング層20が形成されるメカニズムについて説明する。ベースコーティング層10の表面10aにコーティング剤Bを薄膜状に塗布又は散布して被覆すると、コーティング剤Bに含まれる有機ポリシラザン及びアルキルシリケート縮合物が、ベースコーティング層10の表面10aや空気中の水分(HO)と化学反応することで、ベースコーティング層10の表面10aにシロキサン結合(Si-O―Si)による主鎖の一部にヒドロキシル基-OHや有機官能基としてのメチル基-CHが側鎖として結びついた無機有機複合構造、すなわちポリシロキサン骨格(図4参照)を有する中間コーティング層20が生成される。
【0053】
このとき、図4に示されるように、アルキルシリケート縮合物が水分と化学反応することで生成される加水分解生成物のヒドロキシル基-OHがベースコーティング層10の表面10aに配位しているヒドロキシル基-OH(図3参照)と脱水縮合することで中間コーティング層20の背面側におけるシロキサン結合(Si-O―Si)による主鎖の一部との間で架橋反応が起こり、架橋構造13が形成されることにより、ベースコーティング層10と中間コーティング層20のポリシロキサン骨格同士が緻密に結合した構造となる。
【0054】
また、中間コーティング層20は、ポリシロキサン骨格が形成されるとともに、アルキルシリケート縮合物の加水分解生成物が架橋剤として作用し、中間コーティング層20におけるシロキサン結合による主鎖同士で架橋反応が起こり、架橋構造22が形成されることにより、中間コーティング層20の弾性率を低下させ、一定以上の膜厚(100nm~1μm程度の厚膜)であっても柔軟性を維持することができる。
【0055】
なお、ベースコーティング層10の表面10aに塗布又は散布されたコーティング剤Bに水分を与えることにより、中間コーティング層20の生成を促進し、中間コーティング層20の膜厚を大きくすることができる。
【0056】
(中間コーティング層の形状)
ベースコーティング層10の表面10aに被覆された中間コーティング層20の表面20aは、架橋構造13が形成されベースコーティング層10と中間コーティング層20のポリシロキサン骨格同士が緻密に結合することにより、中間コーティング層20のポリシロキサン骨格がベースコーティング層10の表面10aの凹凸に沿って形成されるとともに、中間コーティング層20の表面20aに配位される有機官能基によってナノレベルの凹凸形状を成す凹凸部26が形成される(図1(b)参照)。
【0057】
また、中間コーティング層20の表面20aに形成された凹凸部26は、ベースコーティング層10の表面10aに形成された凹凸部16(図1及び図2参照)よりも凹凸の深さ・高さ寸法が小さい。これは、ベースコーティング層10の表面10aに中間コーティング層20を重ねて被覆することで、ベースコーティング層10の凹凸部16の凹凸が均され、より平滑な凹凸部26が形成されるためと想定される。
【0058】
また、中間コーティング層20の表面20aは、有機ポリシラザン由来の有機官能基が配位されることによって、撥水性を有する。
【0059】
(トップコーティング層の形成のメカニズム)
次に、本発明に係るトップコーティング層30が形成されるメカニズムについて説明する。中間コーティング層20の表面20aにコーティング剤Aを薄膜状に塗布又は散布して被覆すると、コーティング剤Aに含まれる無機ポリシラザンであるペルヒドロポリシラザンが、中間コーティング層20の表面20aや空気中の水分(HO)と化学反応することで、中間コーティング層20の表面20aにシロキサン結合(Si-O―Si)による無機構造(図5参照)を有するトップコーティング層30が生成される。
【0060】
このとき、図5に示されるように、無機ポリシラザンが中間コーティング層20の表面20aに配位しているヒドロキシル基-OHと脱水縮合することでトップコーティング層30の背面側の薄層におけるシロキサン結合(Si-O―Si)による主鎖の一部との間で架橋反応が起こり、架橋構造23が形成されることにより、中間コーティング層20とトップコーティング層30のポリシロキサン骨格同士が緻密に結合した構造となる。
【0061】
(トップコーティング層の形状)
中間コーティング層20の表面20aに被覆されたトップコーティング層30の表面30aは、架橋構造23が形成され中間コーティング層20とトップコーティング層30のポリシロキサン骨格同士が緻密に結合することにより、トップコーティング層30のポリシロキサン骨格が中間コーティング層20の表面10aの凹凸に沿って形成され、中間コーティング層20の表面10aの凹凸部26にトップコーティング層30が凹凸嵌合するよう中間コーティング層20の表面20aの凹凸部26内に入り込んだ状態となることで、これらの凹凸部26内に入り込んで硬化したトップコーティング層30の一部がアンカー部として機能する。このように、トップコーティング層30は中間コーティング層20の表面20aに対し、架橋構造23によって化学的に密着するだけでなく、トップコーティング層30の一部がアンカー部となって物理的にも強固に密着することにより、密着性が高められている。
【0062】
また、中間コーティング層20の表面20aに被覆されたトップコーティング層30の表面30aは、副生成物であるガスの気泡が揮発した箇所の跡に、ナノレベルの凹凸形状を成す凹凸部36が形成される(図1(c)参照)。
【0063】
また、トップコーティング層30の表面30aに形成された凹凸部36は、ベースコーティング層10の表面10aに形成された凹凸部16(図1及び図2参照)と凹凸の深さ・高さ寸法が略同一である。
【0064】
また、トップコーティング層30の表面30aは、ヒドロキシル基-OHが配位されることによって、親水性を有する。
【0065】
(本願発明の作用効果)
以上説明したように、本発明の被膜構造は、SiOを主成分とし、シロキサン結合による主鎖の一部に有機官能基が側鎖として結びついた無機有機複合構造を有するコーティング層(例えば本実施例における中間コーティング層20)と、当該コーティング層に積層されSiOを主成分とする無機構造を有するコーティング層(例えば本実施例におけるトップコーティング層30)と、を少なくとも有するコーティング膜100である。これによれば、上層側の無機構造を有するコーティング層に傷やクラックが生じても、当該コーティング層とは異なり撥水性に富む無機有機複合構造を有するコーティング層により、被覆対象物の表面への水の浸入を確実に防止することができる。
【0066】
また、無機構造を有するコーティング層は、トップコーティング層30であることにより、無機構造を有するトップコーティング層30の親水性により、雨や雪によるセルフクリーニング機能を持たせて防汚性を高めることができる。
【0067】
また、被覆対象物の表面に被覆される第一層に、SiOを主成分とする無機構造を有するベースコーティング層10があることにより、SiOを主成分とすることで被覆対象物に対して極めて薄いベースコーティング層10を形成し、その上に形成される無機有機複合構造を有する中間コーティング層20の密着性を高めることができる。
【0068】
また、無機有機複合構造を有する中間コーティング層20は、無機構造を有するベースコーティング層10及びトップコーティング層30よりも厚膜に形成されていることにより、無機有機複合構造を有するコーティング層の特性を活かしてコーティング膜100の変形自由度を高めることができる。
【0069】
また、コーティング膜100は、5nm~5μmの厚さで被膜されていることにより、被覆対象物の表面の質感を損なうことなく被覆対象物の表面にコーティング膜100による防汚性、防錆性等の効果を付与することができる。
【0070】
また、コーティング膜100は、無色透明であることにより、被覆対象物の外観を損なうことなく被覆対象物の表面にコーティング膜100による防汚性、防錆性等の効果を付与することができる。
【0071】
なお、艶消し塗装された被覆対象物の表面にコーティング膜100を被膜した場合には、光沢が出ることなく艶消しの質感を保つことができる。また、光沢のある被覆対象物の表面にコーティング膜100を被膜した場合には、光沢を保つことができる。これは、薄膜のコーティング膜100の表面形状が被覆対象物の表面形状を反映しているためであると想定される。
【0072】
また、コーティング膜100の表面、すなわちトップコーティング層30の表面30aは、ナノレベルの微細な凹凸からなる凹凸部36が形成されることにより、摩擦抵抗を抑えることができるため、良好な手触りと適度なグリップ感を与えることができる。
【0073】
また、ベースコーティング層10とトップコーティング層30は、同一のコーティング剤Aを塗布又は散布することにより形成される無機構造であることにより、無機有機複合構造を有する中間コーティング層20と比べて硬い無機構造を有するベースコーティング層10とトップコーティング層30であっても、基材1の変形に対してコーティング膜100全体が追従しやすくなり、コーティング膜100の被覆性を維持することができる。
【0074】
なお、ベースコーティング層10とトップコーティング層30は、異なる厚さに形成されてもよく、例えばトップコーティング層30がベースコーティング層10よりも厚膜に形成されてもよい。このようにすることで、中間コーティング層20の密着性に寄与するベースコーティング層10を必要最小限の薄膜にするとともに、比較的厚いトップコーティング層30によって十分な親水性を確保し、且つその表面の凹凸部36を適度に形成することができる。
【0075】
また、ベースコーティング層10とトップコーティング層30は、無機ポリシラザンを主成分としていれば、必ずしも同一のコーティング剤Aを被膜するものに限られず、異なる濃度のコーティング剤により形成されてもよい。また、コーティング剤は、各コーティング層に求められる特性に応じて適宜添加物が添加されてもよい。
【0076】
また、本発明に係る被膜構造が形成される基材1の表面2は、金属材の素地面であってもよいし、金属材の素地面に塗料等が被覆されることにより表面処理が施されたものであってもよい。
【0077】
また、トップコーティング層30の上に、更に別のコーティング層が形成されていてもよい。
【0078】
また、本実施例においては、被覆対象物として自転車のメインフレームや車輪のリム・スポーク等の金属材に対して、本発明に係る被膜構造を有するコーティング膜100の被覆を行うことにより、特に競技自転車での高速走行時における空気抵抗を低減することができる。また、横風による空気抵抗も低減することができる。
【0079】
なお、本発明に係る被膜構造は、無機有機複合構造を有するコーティング層(例えば本実施例における中間コーティング層20)と、無機構造を有するコーティング層(例えば本実施例におけるベースコーティング層10、トップコーティング層30)において、特に層内における炭素の濃度(数)が異なることから、例えばX線光電子分光法等の周知の方法を用いて表面から所定の深さに存在する炭素、ケイ素等の濃度分析を行うことにより、本発明に係る被膜構造の存在を確認することができる。
【0080】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0081】
例えば、上記実施例では、ベースコーティング層及びトップコーティング層を形成するコーティング剤Aに含有される有機ポリシラザンは、メチル基(CH)の含有率が50%以上のものとして説明したが、これに限らず、例えばメチル基(CH)の含有率が50%未満のものであってもよい。
【0082】
また、上記実施例におけるコーティング剤Aにおける無機ポリシラザン及び不活性溶剤の含有量、コーティング剤Bにおける有機ポリシラザン、アルキルシリケート縮合物及び不活性溶剤の含有量は一例であり、被膜構造における各コーティング層を良好に形成できるものであれば、含有量は適宜調整されてよい。
【符号の説明】
【0083】
1 基材(被覆対象物)
2 表面
3 凹凸部
6 水分
10 ベースコーティング層(無機構造を有するコーティング層)
10a 表面
13 架橋構造
16 凹凸部
20 中間コーティング層(無機有機複合構造を有するコーティング層)
20a 表面
22,23 架橋構造
26 凹凸部
30 トップコーティング層(無機構造を有するコーティング層)
30a 表面
36 凹凸部
100 コーティング膜
図1
図2
図3
図4
図5