IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日阪製作所の特許一覧

<>
  • 特開-乾燥機能付きオートクレーブ 図1
  • 特開-乾燥機能付きオートクレーブ 図2
  • 特開-乾燥機能付きオートクレーブ 図3
  • 特開-乾燥機能付きオートクレーブ 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000873
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】乾燥機能付きオートクレーブ
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/04 20060101AFI20221222BHJP
   F26B 9/06 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
A61L2/04
F26B9/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101937
(22)【出願日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】000152480
【氏名又は名称】株式会社日阪製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】酒井 敬三
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 友彦
(72)【発明者】
【氏名】中田 功一朗
【テーマコード(参考)】
3L113
4C058
【Fターム(参考)】
3L113AA01
3L113AB02
3L113AC01
3L113AC21
3L113AC25
3L113AC44
3L113AC51
3L113AC60
3L113AC67
3L113AC75
3L113AC79
3L113AC85
3L113AC86
3L113BA39
3L113CB13
3L113CB17
3L113CB24
3L113DA16
3L113DA17
4C058AA01
4C058BB04
4C058CC07
4C058EE26
(57)【要約】
【課題】滅菌後における滅菌対象物の乾燥を促進でき、従来の問題点を改善した乾燥機能付きオートクレーブを提供する。
【解決手段】滅菌対象物Xを配置する空間21を有し、当該空間21に水分を含む高温流体を供給して滅菌対象物Xを滅菌する滅菌処理部2と、前記滅菌処理部2に面して設けられた除湿部3と、を密閉可能な筐体4内に備え、前記除湿部3は、前記滅菌処理部2に存在する気体を取り込み、当該除湿部3に導き通過させた後に、前記滅菌処理部2に戻す循環気流Fを形成する気流発生部31と、前記滅菌処理部2から取り込んだ気体を冷却することで気体に含まれる水分を分離する冷却部33と、前記冷却部33に対して前記循環気流の下流側に連続しており、前記冷却部33から導かれた気体を加熱する加熱部34と、を備える乾燥機能付きオートクレーブ1である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌対象物を配置する空間を有し、当該空間に水分を含む高温流体を供給して滅菌対象物を滅菌する滅菌処理部と、
前記滅菌処理部に面して設けられた除湿部と、を密閉可能な筐体内に備え、
前記除湿部は、前記滅菌処理部に存在する気体を取り込み、当該除湿部に導き通過させた後に、前記滅菌処理部に戻す循環気流を形成する気流発生部と、
前記滅菌処理部から取り込んだ気体を冷却することで気体に含まれる水分を分離する冷却部と、
前記冷却部に対して前記循環気流の下流側に連続しており、前記冷却部から導かれた気体を加熱する加熱部と、を備える乾燥機能付きオートクレーブ。
【請求項2】
前記除湿部は、前記筐体の内壁を構成しており、
前記除湿部において、前記冷却部が外側に、前記加熱部が内側に配置されるよう積層されている、請求項1に記載の乾燥機能付きオートクレーブ。
【請求項3】
前記加熱部のさらに内方に、前記滅菌処理部に面した気流放出部を備え、
前記気流放出部は、前記滅菌処理部を向いた面に多数の貫通穴を有し、各貫通穴から前記加熱部から導かれた気体を放出する、請求項2に記載の乾燥機能付きオートクレーブ。
【請求項4】
前記滅菌処理部に前記筐体の外部から気体を導入する気体導入部を備え、
前記除湿部を動作させる際に前記気体導入部による気体の導入もなされる、請求項1~3のいずれかに記載の乾燥機能付きオートクレーブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温流体を用いて密閉空間に配置された滅菌対象物を滅菌する乾燥機能付きオートクレーブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
高温流体(蒸気、空気、水等)を用いて密閉空間に配置された滅菌対象物を滅菌する加熱滅菌装置であるオートクレーブは従来から知られている。このオートクレーブにおいて、例えば特許文献1に記載のように、滅菌後に滅菌対象物を乾燥させるための構成を備えたものが存在する。
【0003】
特許文献1に記載の装置では、滅菌対象物を内部に配置する滅菌槽と、滅菌槽の外部に形成された循環配管を有する。循環配管には凝縮器としての熱交換器と気液分離器が設けられている。滅菌槽内の気体は循環配管に導かれ、熱交換器によって冷却されたことにより、気体に含まれる水分が凝縮して液化する。液化した水分は気液分離器によって気体成分と分離され、循環配管の外部に排出される。その結果、滅菌槽には湿度が低下した気体が戻されるため、滅菌後における滅菌対象物の乾燥を促進できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60-45354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の構成では、滅菌槽の外部に配管工事を行い、熱交換器及び気液分離器を配置する必要があって、オートクレーブを含むシステム全体の構成が複雑化し、設置工事が大がかりであった。また、システム全体の設置スペースも大きくなるという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、滅菌後における滅菌対象物の乾燥を促進できるものであって、前記問題点を改善した乾燥機能付きオートクレーブを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、滅菌対象物を配置する空間を有し、当該空間に水分を含む高温流体を供給して滅菌対象物を滅菌する滅菌処理部と、前記滅菌処理部に面して設けられた除湿部と、を密閉可能な筐体内に備え、前記除湿部は、前記滅菌処理部に存在する気体を取り込み、当該除湿部に導き通過させた後に、前記滅菌処理部に戻す循環気流を形成する気流発生部と、前記滅菌処理部から取り込んだ気体を冷却することで気体に含まれる水分を分離する冷却部と、前記冷却部に対して前記循環気流の下流側に連続しており、前記冷却部から導かれた気体を加熱する加熱部と、を備える乾燥機能付きオートクレーブである。
【0008】
この構成によれば、筐体内に除湿部を備えるため、全体をコンパクトにできる。そして、加熱部を備えるため、加熱した気体を滅菌対象物に当てることで乾燥速度を速められる。
【0009】
そして、前記除湿部は、前記筐体の内壁を構成しており、前記除湿部において、前記冷却部が外側に、前記加熱部が内側に配置されるよう積層されているものとできる。
【0010】
この構成によれば、加熱滅菌装置の壁面部分で乾燥機能を発揮させることができ、滅菌対象物の出し入れに際し、除湿部が邪魔にならない。
【0011】
そして、前記加熱部のさらに内方に、前記滅菌処理部に面した気流放出部を備え、前記気流放出部は、前記滅菌処理部を向いた面に多数の貫通穴を有し、各貫通穴から前記加熱部から導かれた気体を放出するものとできる。
【0012】
この構成によれば、多数の貫通穴から、湿度が低下した気流を滅菌処理部に放出できるので、効率的な乾燥が可能である。
【0013】
そして、前記滅菌処理部に前記筐体の外部から気体を導入する気体導入部を備え、前記除湿部を動作させる際に前記気体導入部による気体の導入もなされるものとできる。
【0014】
この構成によれば、外気導入による乾燥も併用できるので、更に効率の良い乾燥をできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、加熱滅菌装置を含むシステム全体の構成が複雑化することを抑制でき、設置工事も従来に比べて簡単になる。また、システム全体の設置スペースが大きくなることも抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る乾燥機能付きオートクレーブの構成を示す、正面側における縦断面視の概略図である。
図2】前記乾燥機能付きオートクレーブの構成を示す、側面側における縦断面視の概略図である。
図3】前記乾燥機能付きオートクレーブにおける除湿部のうち冷却部を示す縦断面視の概略図である。
図4】前記乾燥機能付きオートクレーブにおける除湿部のうち加熱部を示す縦断面視の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明につき、一実施形態を取り上げて、図面を示しつつ説明を行う。なお、本実施形態で取り上げる乾燥の前に行われる滅菌処理に関しては、従来と同様の構成とされている。このため、概略のみ説明している。また、図1で乾燥機能付きオートクレーブ(以下、「オートクレーブ」と記載)1の概略構成を示しているが、筐体4の内外を連結する配管や開口部分は図示を省略している。
【0018】
本実施形態のオートクレーブ1は、図1に示すように、滅菌処理部2と除湿部3とを密閉可能な筐体4内に備える。本実施形態の筐体4は略直方体形状とされている。ただしこれに限定されず、特に内部が高圧となる場合では、略円筒形状とすることもできる。詳細の図示はしていないが、筐体4の端部(図2に示す左端部)には開閉可能なハッチが設けられている。このハッチを開放して滅菌対象物Xを搬入出でき、ハッチを閉鎖することで、筐体4の内部を、高温流体が漏れないように密閉できる。この密閉は、滅菌処理部2を加圧して滅菌を行うことができるようにすることもできる。
【0019】
滅菌処理部2は「滅菌チャンバ」とも呼ばれ、従来と同様、滅菌対象物Xを配置する空間21を有し、当該空間21に水分を含む高温流体を供給して滅菌対象物Xを滅菌する部分である。高温流体は、例えば高温の蒸気や熱水である。このため、滅菌処理部2には高温流体を空間21に噴出できるノズル等が設けられており、筐体4の外部で生成された高温流体が導入される。滅菌プロセスでは、滅菌処理部2にて高温流体が滅菌対象物Xに当たることにより、滅菌対象物Xが加熱されて滅菌される。滅菌対象物Xは医薬関係や食品関係の製品が例示できるが、特に限定されない。
【0020】
図2に示すように、例えばハッチを開放した状態のオートクレーブ1に対して台車(図示しない)を横づけして、滅菌対象物Xを奥行方向に移動させることで搬出入できる。滅菌処理部2の下部内面には搬入出用レールRが設けられていて、滅菌対象物Xを乗せた支持台Yを搬入出用レールRに沿って滅菌処理部2に出し入れできる。なお、図示したものは、滅菌対象物Xを複数納めた枠体が上下方向に積層された形態であるが、滅菌対象物Xの滅菌処理部2における配置形態は特に限定されない。
【0021】
除湿部3は、滅菌処理部2に面して設けられた部分である。本実施形態では、滅菌処理部2に対して水平方向での両側方(図1における左右側方)に、左右対称に除湿部3が設けられている。除湿部3による除湿プロセスは、滅菌プロセスの終了後に動作する(滅菌プロセスの最終段階とラップさせて動作することもできる)。除湿プロセスは、滅菌プロセスの終了後に連続して(間を置かずに)行うことが好ましい。滅菌プロセスで滅菌対象物Xが加熱された状態となっており、滅菌対象物Xの自熱による乾燥が期待できるからである。
【0022】
除湿部3は、気流発生部31、気流誘導部32、冷却部33、加熱部34、気流放出部35を備える。冷却部33、加熱部34、気流放出部35は各々が内部に空間を有し、上下及び奥行方向に大きく、筐体4の内外方向に小さい層状であって、外側から内側(滅菌処理部2側)に向かい、3層が隣接し、積層されて構成されている。冷却部33、加熱部34、気流放出部35の各層は厚み寸法がほぼ同一とされている(ただしこれに限定されず、厚み寸法を各層で変更することもできる)。気流発生部31、冷却部33、加熱部34、気流放出部35は、気流の通過する部分以外は側部隔壁36で仕切られている。本実施形態の除湿部3は、筐体4の内壁を構成している。
【0023】
気流発生部31は、除湿部3の内部に気流を発生させるために設けられている。本実施形態では回転中心軸が上下方向に沿って設けられていて、気流が水平方向に発生する遠心ファンが用いられている。気流発生部31としては、遠心ファン以外に種々の手段を用いることができる。気流発生部31により発生した気流は、滅菌処理部2の上方に、気流発生部31の図1における左右両側に広がるように設けられた気流誘導部32を通り、筐体4の外方へと流れる。このため気流発生部31は、滅菌処理部2に存在する気体を取り込み、当該除湿部3に導き通過させた後に、滅菌処理部2に戻す循環気流F(図1等に矢印で示す)を形成する。滅菌処理部2と気流誘導部32との間には、滅菌処理部2から気流発生部31に向かう気流が通過する部分以外は水平隔壁37により仕切られている。
【0024】
なお気流発生部31は、滅菌プロセスにおける高温流体の撹拌用と兼用されている。つまり、滅菌プロセスにて、滅菌処理部2に高温流体を導入して滅菌を実施する際に、空間21の高温流体を撹拌するためにも用いられる。この際、冷却部33の加熱動作及び加熱部34の加熱動作は行わず、冷却部33、加熱部34、気流放出部35は単に循環気流Fを通過させる通路として機能する。ただし、滅菌プロセスにて滅菌処理部2の加熱を補助して、空間21内にピュアスチームを導入する際のピュアスチーム使用量を抑制することを目的に、加熱部34の加熱動作を行うことも可能である。
【0025】
冷却部33は、気流誘導部32の、図1における左右端部に上端が連通しており、滅菌処理部2から取り込んだ気体を冷却することで気体に含まれる水分を、凝縮させて液化することで分離する部分である。図3に示すように、筐体4の外部から供給される冷却流体(冷却水、冷媒等)を通す熱交換用配管331が、冷却部33における空間に配置されており、冷却部33を通る気流を、熱交換用配管331に触れることで冷却できる。図3に示した熱交換用配管331は折り返しされることで、冷却部33を通る気流との熱交換の効率を高めている。なお、図3に示した形状は一例に過ぎず、冷却部33における熱交換用配管331は種々の形状としてよい。例えば、熱交換用配管331に、径方向に突出するフィンが設けられていてもよいし、別の折り返し形状とすることもできる。冷却部33で分離された水分は液状であることから、冷却部33の下方に落下し、筐体4の外部に排出される。冷却部33にて、滅菌処理部2に戻す循環気流Fに含まれる水分を減少させ、除湿することができる。
【0026】
加熱部34は、冷却部33に対して循環気流Fの下流側に連続しており、冷却部33から導かれた気体を加熱する部分である。本実施形態の加熱部34は、冷却部33と下端部で連通していて、この連通した部分を気流が通過する。このように気体が加熱されることにより、気体の単位体積当たりの飽和水蒸気量が大きくなるため、気体の湿度を低下させることができる。加熱部34により、高い温度であって、しかも湿度を低下させた気体を滅菌処理部2に供給できるので、滅菌処理部2に配置された滅菌対象物Xを効果的に乾燥できる。図4に示すように、筐体4の外部から供給される加熱流体(蒸気、熱媒等)を通す熱交換用配管341が、加熱部34における空間に配置されており、加熱部34を通る気流を、熱交換用配管341に触れることで加熱できる。冷却部33と同様、図4に示した熱交換用配管341は折り返しされることで、加熱部34を通る気流との熱交換の効率を高めている。なお、図4に示した形状は一例に過ぎず、加熱部34における熱交換用配管341は種々の形状としてよい。例えば、熱交換用配管341に、径方向に突出するフィンが設けられていてもよいし、別の折り返し形状とすることもできる。
【0027】
気流放出部35は、加熱部34に対して循環気流Fの下流側に連続し、かつ、滅菌処理部2の側方に面して位置しており、加熱部34から導かれた気体を滅菌処理部2に放出する部分である。本実施形態の気流放出部35は、加熱部34と上端部で連通していて、この連通した部分を気流が通過する。気流放出部35は、滅菌処理部2を向いた面に多数の貫通穴351を有し、各貫通穴351から加熱部34から導かれた気体を分散させて放出する。
【0028】
このように構成された気流放出部35により、多数の貫通穴351から、高い温度であり、かつ、湿度の低下した気体からなる気流を滅菌処理部2に放出できるので、滅菌処理部2に配置された滅菌対象物Xに偏りの生じにくい状態で気流を当てることができる。よって、効率的な乾燥が可能である。
【0029】
なお本実施形態では、板状の側部隔壁36のうち気流放出部35に属するものを貫通する貫通穴351に気流を通すよう構成されていたが、気流放出部35にノズルを設けておき、例えば噴流の状態で気流を放出できるようにしてもよい。このようにすることで、除湿部3から離れた位置にある滅菌対象物Xまで気流を到達させることができる。
【0030】
除湿部3は、冷却部33、加熱部34、気流放出部35の3層構造となっており、除湿プロセスにおける循環気流Fは、図1及び図3に示すように、冷却部33において上から下に流れ、図1及び図4に示すように、加熱部34において下から上に流れ、図1に示すように、気流放出部35において上から下に流れつつ多数の貫通穴351から滅菌処理部2に流れる。このように、本実施形態の除湿部3では、循環気流Fは上下方向で蛇行しながら流れる。ここで、冷却部33では気体が冷却されるに伴い密度が大きくなるので、循環気流Fの上から下への流れが促進される。加熱部34でも同様に、気体が加熱されるに伴い密度が小さくなるので、循環気流Fの下から上への流れが促進される。また、気流放出部35には冷却部33、加熱部34のような熱交換用配管は配置されていないので、通気抵抗が小さい。このため、加熱部34から気流放出部35に円滑に循環気流Fを導くことができる。
【0031】
本実施形態のオートクレーブ1は以上のように構成されている。本実施形態のオートクレーブ1によれば、筐体4内に除湿部3を備えるため、全体をコンパクトにできる。よって、従来の構成のように、滅菌槽の外部に除湿を行う構成に関する配管工事を行い、熱交換器及び気液分離器を配置する必要がないから、オートクレーブを含むシステム全体の構成を単純化でき、設置工事が大がかりとなることを抑制できる。また、システム全体の設置スペースも従来に比べて小さくできる。そして、加熱部34を備えるため、加熱したことで温度の上がった気体を滅菌対象物Xに当てることで乾燥速度を速められる。
【0032】
このような構成は、特に、滅菌を加圧下で行うことが必要な場合であって、真空乾燥を行うことのできない場合に有用である。
【0033】
また、本実施形態の除湿部3は、筐体4の内壁を構成しているので、オートクレーブ1の壁面部分で乾燥機能を発揮させることができ、滅菌処理部2の空間21に突出した部分を形成する必要がないため、滅菌対象物Xの出し入れに際し、除湿部3が邪魔にならない。
【0034】
本実施形態によると、オートクレーブ1を含むシステム全体の構成が複雑化することを抑制でき、設置工事も従来に比べて簡単になる。また、システム全体の設置スペースが大きくなることも抑制できる。
【0035】
以上、本発明につき一実施形態を取り上げて説明してきたが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0036】
例えば、図示はしていないが、滅菌処理部2に筐体4の外部から気体を導入する気体導入部を備え、除湿部3を動作させる際に気体導入部による気体の導入もなされるものとできる。このように気体導入部を設けることにより、前記実施形態の除湿部3を用いた乾燥に加え、外気導入による乾燥も併用できるので、更に効率の良い乾燥をできる。ただし、外気導入の場合、乾燥度合は外気の湿度の影響を受けるため、それを考慮して導入外気量を設定する必要がある。
【0037】
また、前記実施形態では、滅菌処理部2の上方に気流発生部31と気流誘導部32が配置され、滅菌処理部2の左右両側方に冷却部33、加熱部34、気流放出部35が配置されていた。しかし、例えば気流発生部31を滅菌処理部2の側方に配置したり、滅菌処理部2の左右いずれかの側方だけに冷却部33、加熱部34、気流放出部35を配置したりしてもよく、滅菌処理部2に対する除湿部3の位置関係は自由に設定できる。
【0038】
また、気流発生部31であるファンの羽根角度を可変として、滅菌プロセスでは気流発生部31が発生する気流の方向を滅菌処理部2に向かう方向(本実施形態では下方)とし、気流を直接滅菌処理部2に流すこともできる。こうすることにより、滅菌プロセスでの高温流体の撹拌を効率的に行うことができる。
【符号の説明】
【0039】
1 (乾燥機能付き)オートクレーブ
2 滅菌処理部
21 滅菌処理部の空間
3 除湿部
31 気流発生部
32 気流誘導部
33 冷却部
331 熱交換用配管(冷却部)
34 加熱部
341 熱交換用配管(加熱部)
35 気流放出部
351 貫通穴
36 側部隔壁
37 水平隔壁
4 筐体
X 滅菌対象物
Y 支持台
F 循環気流
R 搬入出用レール
図1
図2
図3
図4