(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087334
(43)【公開日】2023-06-23
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/77 20110101AFI20230616BHJP
H01R 13/6581 20110101ALI20230616BHJP
【FI】
H01R12/77
H01R13/6581
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201654
(22)【出願日】2021-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】槇山 弘毅
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA11
5E021FA16
5E021FB02
5E021FB05
5E021FB08
5E021FC21
5E021FC32
5E021LA01
5E021LA09
5E021LA15
5E223AB59
5E223AC21
5E223AC23
5E223AC50
5E223BA04
5E223BA07
5E223BA08
5E223BB01
5E223BB21
5E223CB22
5E223CB29
5E223CB39
5E223CB83
5E223CC15
5E223CD02
5E223DA05
5E223DB09
5E223DB11
5E223DB23
5E223DB25
5E223EA02
5E223EA13
5E223EA33
5E223EB04
5E223EB12
5E223EB23
5E223EB32
5E223EC12
5E223EC22
5E223EC32
5E223EC34
5E223EC47
5E223EC63
(57)【要約】
【課題】搬送効率および組立作業効率に優れたコネクタを提供する。
【解決手段】ハウジング2の前端2a(一端)に、接続部材10が挿入方向Lに挿入される挿入凹部24が形成される。ハウジング2の後端2b(他端)に、上方Z1に開放する段差部Dが形成される。アクチュエータ4は、起立姿勢と、段差部Dを覆うようにハウジング2の後端2b側へ倒れた倒れ姿勢との間で回動可能である。ハウジング2の上面2cを覆う第1シールド5と、倒れ姿勢におけるアクチュエータ4の上面(第1面41)を覆う第2シールド6との間に、隙間Sが形成される。第3シールド7は、開放位置からスライドされて閉じ位置に変位し、閉じ位置で、隙間Sを覆う。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端にフレキシブルな接続部材が挿入方向に挿入される挿入凹部が開口され、他端に上方に開放する段差部が形成されたハウジングであって、上面と、一対の側面と、を含む絶縁性のハウジングと、
前記挿入凹部に配置された接触部を有する第1弾性片部と、前記第1弾性片部と連動可能に連結され前記段差部の上方に少なくとも一部が配置された第2弾性片部と、前記ハウジングに固定された固定片部と、を含む導電性のコンタクトと、
前記ハウジングの上方に起立する起立姿勢と前記段差部を覆うように前記ハウジングの前記他端側へ倒れた倒れ姿勢との間で回動可能なアクチュエータであって、前記倒れ姿勢で前記第2弾性片部を介して前記第1弾性片部を駆動することにより、前記接触部を前記接続部材に加圧する絶縁性のアクチュエータと、
前記ハウジングに固定された第1シールドであって、前記ハウジングの前記上面を覆う導電性の第1シールドと、
前記倒れ姿勢における前記アクチュエータの上面を覆うように前記アクチュエータに固定された導電性の第2シールドと、
前記ハウジングによってスライド可能に支持される板状の第3シールドであって、前記倒れ姿勢における前記アクチュエータの前記第2シールドと前記第1シールドとの間の隙間を覆う閉じ位置と、前記アクチュエータの起立を許容するように前記隙間を上方に開放する開放位置と、にスライドされる導電性の第3シールドと、を備える、コネクタ。
【請求項2】
前記閉じ位置にある前記第3シールドと前記倒れ姿勢における前記アクチュエータの前記第2シールドとを弾性接触させる第1弾性接触構造と、
少なくとも閉じ位置にある前記第3シールドと前記第1シールドとを弾性接触させる第2弾性接触構造と、をさらに備える、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第1弾性接触構造は、前記第3シールドおよび前記第2シールドの少なくとも一方に形成された第1弾性凸部を含む、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記第2弾性接触構造は、前記第3シールドおよび前記第1シールドの少なくとも一方に形成された第2弾性凸部を含む、請求項2または3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記第3シールドは、第3弾性凸部を含み、
前記第1シールドは、前記第3弾性凸部が乗り越え係止されることにより前記第3シールドを前記開放位置に規制する第1規制突起と、前記第3弾性凸部が乗り越え係止されることにより前記第3シールドを前記閉じ位置に規制する前記第2規制突起と、を含む、請求項1~4の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記第3シールドが、単一の板金材で形成されている、請求項1~5の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記第3シールドが、前記第1シールドよりも上方に突出する指操作部を含む、請求項1~6の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記第1シールドが、前記ハウジングの前記上面を覆う上壁と、前記ハウジングの前記一対の側面をそれぞれ覆う一対の側壁と、を含み、
前記第3シールドが、上壁と、前記上壁の一対の側端から直交状に延設された一対の側壁と、を含んで、断面溝形に形成され、
前記第3シールドの前記上壁が、前記ハウジングの前記上面と前記第1シールドの前記上壁との間でスライド案内され、且つ、前記第3シールドの前記一対の側壁が、前記ハウジングの前記一対の側面と前記第1シールドの前記一対の側壁との間でそれぞれスライド案内されるように構成されている、請求項1~7の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記第2弾性片部と前記前記固定片部との間に、前記アクチュエータの被支持部を回動可能に支持することにより、前記アクチュエータをフリップカバーとして機能させる回動支持構造が形成されている、請求項1~8の何れか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるコネクタは、フラットケーブルを端子に押圧するための旋回可能なアクチュエータを備える。アクチュエータが後方に倒れたときに、ハウジングの上壁とアクチュエータとの間に、端子の一部が露出する。端子等へのノイズの影響を抑制するために、ハウジングの上方で起立した姿勢と後方に倒れた姿勢との間で旋回可能な導電性のシールド部材が設けられている。この旋回可能なシールド部材は、倒れた姿勢で、ハウジングの上壁とアクチュエータとの間を含めて、ハウジングおよびアクチュエータの上方を覆う大型の部材である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、旋回される大型のシールド部材を用いる。このため、仮に、シールド部材が起立した姿勢で、コネクタを搬送する場合、高さ方向のスペースを大きく要することになり、搬送効率が悪くなる。逆に、シールド部材がアクチュエータとともに倒れた姿勢で、コネクタを搬送する場合、工場での組立時において、フラットケーブルをコネクタに装着する前の段階で、シールド部材を起立させる作業が必須となる。このため、組立時の作業効率が悪くなる。
【0005】
そこで、本発明の一実施形態では、搬送効率および組立作業効率に優れたコネクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、絶縁性のハウジング(2)と、導電性のコンタクト(3)と、絶縁性のアクチュエータ(4)と、導電性の第1シールド(5)と、導電性の第2シールド(6)と、導電性の第3シールド(7)と、を備える、コネクタ(1)を提供する。前記ハウジングは、一端(2a)にフレキシブルな接続部材(10)が挿入方向(L)に挿入される挿入凹部(24)が開口され、他端(2b)に上方に開放する段差部(D)が形成されたハウジングであって、上面(2c)と、一対の側面(2g)と、を含む。前記コンタクトは、前記挿入凹部に配置された接触部(31a)を有する第1弾性片部(31)と、前記第1弾性片部と連動可能に連結され前記段差部の上方(Z1)に少なくとも一部が配置された第2弾性片部(32)と、前記ハウジングに固定された固定片部(33)と、を含む。前記アクチュエータは、前記ハウジングの上方に起立する起立姿勢と前記段差部を覆うように前記ハウジングの前記他端側へ倒れた倒れ姿勢との間で回動可能である。また、前記アクチュエータは、前記倒れ姿勢で前記第2弾性片部を介して前記第1弾性片部を駆動することにより、前記接触部を前記接続部材に加圧する。前記第1シールドは、前記ハウジングに固定される。また、前記第1シールドは、前記ハウジングの前記上面を覆う。前記第2シールドは、前記倒れ姿勢における前記アクチュエータの上面を覆うように前記アクチュエータに固定される。前記第3シールドは、板状であり、前記ハウジングによってスライド可能に支持される。また、前記第3シールドは、前記倒れ姿勢における前記アクチュエータの前記第2シールドと前記第1シールドとの間の隙間(S)を覆う閉じ位置と、前記アクチュエータの起立を許容するように前記隙間を上方に開放する開放位置と、にスライドされる。
【0007】
この構成によれば、倒れ姿勢におけるアクチュエータの第2シールドと第1シールドとの間の隙間を覆う閉じ位置と、アクチュエータの起立を許容する開放位置とにスライドされる板状の第3シールドを用いる。このため、第3シールドを開放位置として本コネクタを搬送する場合でも、搬送時の高さ方向のスペースを小さくすることができ、また、工場での組立時に、第3シールドを開放させる作業は不要である。このため、搬送効率および組立作業効率に優れる。
【0008】
なお、括弧内の英数字は、後述する実施形態における対応構成要素等を表すが、このことは、むろん、本発明がそれらの実施形態に限定されるべきことを意味するものではない。以下、この項において同じ。
【0009】
1つの実施形態では、前記閉じ位置にある前記第3シールドと前記倒れ姿勢における前記アクチュエータの前記第2シールドとを弾性接触させる第1弾性接触構造(FC1)と、少なくとも閉じ位置にある前記第3シールドと前記第1シールドとを弾性接触させる第2弾性接触構造(FC2)と、をさらに備える。この構成によれば、第1弾性接触構造および第2弾性接触構造によって、第1シールド、第2シールドおよび第3シールドが導電接続されるため、シールド効果が高い。
【0010】
1つの実施形態では、前記第1弾性接触構造は、前記第3シールドおよび前記第2シールドの少なくとも一方に形成された第1弾性凸部(63)を含む。この構成によれば、第1弾性凸部を用いる簡単な構造によって、第3シールドと倒れ姿勢の第2シールドとを導電接続することができる。
【0011】
1つの実施形態では、前記第2弾性接触構造は、前記第3シールドおよび前記第1シールドの少なくとも一方に形成された第2弾性凸部(55)を含む。この構成によれば、第2弾性凸部を用いて、閉じ位置の第3シールドと第1シールドとを導電接続することができる。
【0012】
1つの実施形態では、前記第3シールドは、第3弾性凸部(73)を含み、前記第1シールドは、前記第3弾性凸部が乗り越え係止されることにより前記第3シールドを前記開放位置に規制する第1規制突起(56)と、前記第3弾性凸部が乗り越え係止されることにより前記第3シールドを前記閉じ位置に規制する前記第2規制突起(57)と、を含む。この構成によれば、第3シールドを開放位置および閉じ位置に保持することができる。
【0013】
1つの実施形態では、前記第3シールドが、単一の板金材で形成されている。この構成によれば、構造を簡素化することができる。
【0014】
1つの実施形態では、前記第3シールドが、前記第1シールドよりも上方に突出する指操作部(74)を含む。この構成によれば、指操作部を用いて第3シールドを容易にスライド開閉することができ、操作性が良い。
【0015】
1つの実施形態では、前記第1シールドが、前記ハウジングの前記上面を覆う上壁(51)と、前記ハウジングの前記一対の側面をそれぞれ覆う一対の側壁(53)と、を含む。前記第3シールドが、上壁(71)と、前記上壁の一対の側端から直交状に延設された一対の側壁(72)と、を含んで、断面溝形に形成される。前記第3シールドの前記上壁が、前記ハウジングの前記上面と前記第1シールドの前記上壁との間でスライド案内されるように構成されている。前記第3シールドの前記一対の側壁が、前記ハウジングの前記一対の側面と前記第1シールドの前記一対の側壁との間でそれぞれスライド案内されるように構成されている。この構成によれば、第3シールドを安定してスライド開閉させることができる。
【0016】
1つの実施形態では、前記第2弾性片部と前記前記固定片部との間に、前記アクチュエータの被支持部(44)を回動可能に支持することにより、前記アクチュエータをフリップカバーとして機能させる回動支持構造(K)が形成されている。この構成によれば、簡単な構造でアクチュエータをフリップカバーとして機能させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、搬送効率および組立作業効率に優れたコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るコネクタの斜視図である。
【
図4】
図4は、アクチュエータが倒された状態のコネクタの斜視図である。
【
図5】
図5は、第3シールドが閉じられた状態のコネクタの斜視図である。
【
図6】
図6は、コンタクトが組み付けられたハウジングの斜視図である。
【
図7A-7B】
図7Aは、ハウジングに対する第3シールドの組み付け状態を説明する斜視図である。
図7Bは、第3シールドをスライド案内する構造の模式的断面図である。
【
図8】
図8は、接続部材が挿入されるときのコネクタの斜視図である。
【
図10】
図10は、接続部材の挿入状態でアクチュエータが倒されたときのコネクタの斜視図である。
【
図12】
図12は、第3シールドが閉じ位置に移動した状態のコネクタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に従って説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係るコネクタの斜視図である。
図2は、コネクタの平面図である。
図1および
図2に示すように、コネクタ1は、ハウジング2と、複数のコンタクト3と、アクチュエータ4と、第1シールド5と、第2シールド6と、第3シールド7とを備える。コネクタ1は、フレキシブルな接続部材10(
図8を参照)を接続するためのコネクタである。
【0021】
アクチュエータ4は、起立姿勢(
図1を参照)と倒れ姿勢(
図4を参照)とに、回動可能とされている。
図8および
図9に示すように、アクチュエータ4が起立姿勢にある状態で、接続部材10が無挿入力(ZIF:Zero Insertion Foce)でハウジング2内に挿入される。その後に、
図10および
図11に示すように、アクチュエータ4を倒れ姿勢に倒すことにより、接続部材10に対してコンタクト3が加圧される。アクチュエータ4は、いわゆるバックフリップカバーとして機能する。
【0022】
第1シールド5、第2シールド6および第3シールド7は、導電性である。第1シールド5は、ハウジング2に固定される。第2シールド6は、アクチュエータ4に固定される。第3シールド7は、ハウジング2の上面に沿って開放位置(
図4を参照)と閉じ位置(
図5を参照)とにスライドされる。第1シールド5、第2シールド6および閉じ位置の第3シールド7は、互いに弾性接触する状態で、ハウジング2のほぼ全体を覆って内部のコンタクト3をシールドする機能を果たす。
【0023】
まず、ハウジング2を説明する。
図3は、
図2のIII-III断面図である。
図3において、簡略化のため、コンタクト3、第2シールド6および第3シールド7の断面のハッチングが省略されている(
図9、
図11および
図13においても同様である。)。
図6は、コンタクト3が取り付けられたハウジング2の斜視図である。
【0024】
図6に示すように、ハウジング2は、前後後方Xの一端である前端2aと、前後方向Xの他端である後端2bと、上面2cと、底面2dと、前面2eと、後面2fと、一対の側面2gと、上壁21と、底壁22と、一対の側壁23と、挿入凹部24と、段差部D(
図3を参照)と、を含む。ハウジング2は、絶縁性部材で形成される。
【0025】
図3に示すように、挿入凹部24は、ハウジング2の前端2a(一端)に開口されている。挿入凹部24は、ハウジング2の前面2eに形成された開口24aを介して、前方X1に開放されている。
図8および
図9に示すように、フレキシブルな接続部材10が、挿入凹部24に対して、前後方向Xに沿う挿入方向Lに挿入される。接続部材10は、FFC(Flexible Flat Cable )及びFPC(Flexible Printed Circuits ) の何れか一方で形成される平形の接続部材である。
【0026】
一対の側壁23は、上壁21および底壁22よりも、後方X2へ延びている。ハウジング2の後端2b(他端)は、上壁21における後端と、底壁22における後端と、一対の側壁23における後端とを含む。
図3に示すように、底壁22は、上壁21よりも後方X2へ延びている。これにより、底壁22において上壁21よりも後方X2へ延びる部分22aの上面22bが、上壁21の上面21aよりも下方Z2に配置されることで、段差部Dを構成している。すなわち、段差部Dは、ハウジング2の後端2b(他端)としての、底壁22の後端に配置されている。
【0027】
図6に示すように、各側壁23は、上壁21の上面21aと面一に形成される上面23aと、前端および後端でそれぞれ上面23aよりも上方Z1へ突出する前凸部23bおよび後凸部23cと、を有している。前凸部23bは、第3シールド7の前方への移動の移動端を規制する前ストッパとして機能する。後凸部23cは、第3シールド7の後方への移動の移動端を規制する後ストッパとして機能する。
【0028】
各側壁23の外側面23dにおいて上半部には、前凸部23bと後凸部23cとの間に、側面凹部23eが形成されている。各側壁23の外側面23dにおいて、側面凹部23eよりも下方Z2に、外側方へ突出する係止突起23f(
図6では一方の係止突起23fのみを示す)が、突出形成されている。
【0029】
次いで、コンタクト3を説明する。
【0030】
図3に示すように、コンタクト3は、第1弾性片部31と、第2弾性片部32と、固定片部33と、支持片部34とを含む。コンタクト3は、導電性部材で形成される。固定片部33は、それぞれ前後方向Xに延びている。固定片部33は、前端33aと、後端33bと、リード33cとを含む。固定片部33の前端33aは、ハウジング2の底壁22に形成された固定孔22cに対して後方から圧入されて固定されている。支持片部34は、固定片部33の前後方向Xの中間部から上方Z1に延びている。リード33cは、底壁22の後端の係止する状態で、回路基板の導電部(図示せず)に半田付けされる。
【0031】
第1弾性片部31は、支持片部34の上端部34aから前方X1に延びている。
図11に示すように、第1弾性片部31は、挿入凹部24に挿入された接続部材10の導電部10aに弾性的に加圧接触される接触部31aを含む。第2弾性片部32は、支持片部34の上端部34aから後方X2へ延びている。
【0032】
図3および
図11に示すように、第1弾性片部31および第2弾性片部32は、互いに連動可能に連結されている。すなわち、第1弾性片部31および第2弾性片部32は、支持片部34の上端部34aを支点として、互いに連動してシーソ状に上下に揺動可能に連結されている。
【0033】
第2弾性片部32と固定片部33との間に、アクチュエータ4を回動支持する回動支持構造Kが形成されている。回動支持構造Kは、アクチュエータ4を回動可能に支持することにより、アクチュエータ4をフリップカバーとして機能させる。回動支持構造Kは、第2弾性片部32の支持部32aと固定片部33の支持部33dとの間でアクチュエータ4の被支持部44を弾性的に挟持することにより、被支持部44を介してアクチュエータ4を回動可能に支持する。第2弾性片部32および固定片部33は、被支持部44が後方X2に抜けないようにする抜け止め突起32bおよび抜け止め突起33eをそれぞれ有している。
【0034】
次いで、第1シールド5を説明する。
【0035】
図4に示すように、第1シールド5は、上壁51と、一対の後壁52と、一対の側壁53と、一対の環状フック54と、一対の第2弾性凸部55と、一対の第1規制突起56と、一対の第2規制突起57と、を含む。第1シールド5は、導電性の単一の板金材で形成されている。上壁51は、第1部分51aと、一対の第2部分51bとを含む。第2部分51bは、第1部分51aの左右の端部から後方へ延びている。上壁51は、平面視で、溝形に形成されている。第1部分51aは、ハウジング2の上壁21の上面21aを覆う。第2部分51bは、ハウジング2の一対の側壁23の上面23a(
図6を参照)を覆う。
【0036】
図3および
図4に示すように、一対の後壁52は、一対の側壁53の後端からそれぞれ下方Z2に直交状に延びている。一対の後壁52は、一対の側壁23の後面を覆う。一対の環状フック54(
図4では一方の環状フック54のみを示す)は、矩形環状をなし、一対の側壁53に、それぞれ形成されている。一対の環状フック54は、それぞれ、ハウジング2の一対の係止突起23fに引っ掛け係止される。
【0037】
一対の第2弾性凸部55は、上壁51の第1部分51aの左右端部に、形成されている。
図13に示すように、第2弾性凸部55は、上壁51の第1部分51aから下方Z2に突出している。第2弾性凸部55は、第3シールド7に弾性接触する。第2弾性凸部55は、少なくとも閉じ位置にある第3シールド7と第1シールド5とを弾性接触させる第2弾性接触構造FC2を構成している。本実施形態では、第2弾性接触構造FC2が、第3シールド7と第1シールド5とを常時、弾性接触させる。
【0038】
図2に示すように、一対の第1規制突起56は、上壁51の一対の第2部分51bに、それぞれ形成されている。一対の第2規制突起57は、上壁51の一対の第2部分51bに、それぞれ形成されている。一対の第2規制突起57は、一対の第1規制突起56の後方に配置されている。
図3に示すように、第1規制突起56および第2規制突起57は、下方Z2に突出している。
【0039】
第1規制突起56は、
図3に示すように、第3シールド7の対応する第3弾性凸部73が第1規制突起56の前方X1へ乗り越え係止されることにより、第3シールド7を開放位置に規制する。第2規制突起57は、
図13に示すように、第3シールド7の対応する第3弾性凸部73が第2規制突起57の後方X2へ乗り越え係止されることにより第3シールド7を閉じ位置に規制する。
【0040】
次いで、アクチュエータ4を説明する。
【0041】
図3に示すように、アクチュエータ4は、略矩形の厚肉の板状体であり、絶縁性部材で形成されている。アクチュエータ4は、一端4aと、他端4bと、第1面41と、第2面42と、第1挿入孔43と、被支持部44と、固定溝45とを含む。
図10および
図11に示すように、アクチュエータ4が倒れ姿勢にあるときに、第1面41が、上面となり、第2面42が下面となる。
図8および
図9に示すように、アクチュエータ4が起立姿勢にあるときに、第1面41が前方X1に向き、第2面42が後方X2に向く。
【0042】
図3に示すように、第1面41には、保持凹部41aが形成されている。第1面41の保持凹部41aに、第2シールド6の第1壁61が沿わされて保持される。
【0043】
第1挿入孔43は、第1面41および第2面42を貫通する貫通孔であり、被支持部44に隣接して配置される。第1挿入孔43に対してコンタクト3の第2弾性片部32が挿通されている。被支持部44は、アクチュエータ4の一端4aに設けられている。アクチュエータ4の被支持部44は、第1挿入孔43に挿通された第2弾性片部32の支持部32aと、固定片部33の支持部33dとの間で、弾性的に挟持されて回動可能に支持される。
【0044】
固定溝45は、他端4bに近接して配置される。固定溝45は、第1面41の保持凹部41aに隣接して配置される。固定溝45に対して、第2シールド6の第2壁62が圧入固定される。固定溝45は、第1面41および第2面42を貫通する貫通溝であってもよいし、第2面42を貫通しない有底の溝であってもよい。
【0045】
次いで、第2シールド6を説明する。
【0046】
図3、
図4および
図8に示すように、第2シールド6は、第1壁61と、第2壁62と、第1弾性凸部63とを含む。第2シールド6は、導電性の単一の板金材で形成されている。第1壁61および第2壁62は、左右方向Yに長い矩形板であり、直交状に連結されている。
図4および
図13に示すように、アクチュエータ4が倒れ姿勢にある状態で、第1壁61が上壁を構成し、第2壁62が後壁を構成する。第1弾性凸部63は、第1壁61に、左右一対で設けられている。アクチュエータ4が倒れ姿勢にある状態で、第1弾性凸部63は、上方Z1へ突出する。第1弾性凸部63は、閉じ位置にある第3シールド7と倒れ姿勢におけるアクチュエータ4の第2シールド6とを弾性接触させる第1弾性接触構造FC1を構成している。
【0047】
次いで、第3シールド7を説明する。
【0048】
図7Aは、ハウジングに対する第3シールドの組み付け状態を説明する斜視図である。
図7Aに示すように、第3シールド7は、上壁71と、一対の側壁72と、一対の第3弾性凸部73と、指操作部74とを含む。第3シールド7は、板状をなし、導電性の単一の板金材で形成されている。上壁71は、左右に長い矩形板である。一対の側壁72は、上壁71の一対の側端から直交状に下方Z2に延設されている。第3シールド7は、上壁71と一対の側壁72とを含む断面溝形に形成されている。
【0049】
上壁71は、ハウジング2の上面2c(
図6を参照)に載せられている。
図7Aに示すように、一対の側壁72は、ハウジング2の一対の側面2g(側壁23の側面凹部23e)に沿わされている。これにより、第3シールド7は、ハウジング2によって、挿入方向Lと平行にスライド可能に支持されている。一対の第3弾性凸部73は、上壁71の一対の側端に近接して配置されており、上方Z1に突出している。
【0050】
図7Bに示すように、第3シールド7の上壁71が、ハウジング2の上面2cと第1シールド5の上壁51との間でスライド案内される。第3シールド7の各側壁72が、ハウジング2の対応する側面2g(側壁23の側面凹部23e)と第1シールド5の対応する側壁53との間でスライド案内される。
【0051】
図7Aに示すように、指操作部74は、上壁71の後端の左右方向の中央部から上方Z1へ突出している。指操作部74は、第1シールド5よりも上方Z1へ突出している。指操作部74は、上壁71の後端から切り起こされた突起であり、左右方向に所定の幅を有している。指操作部74を指で操作することにより、第3シールド7をスライドさせて、開放位置と閉じ位置とに変位させることができる。
【0052】
次いで、コネクタ1の取り扱いを説明する。コネクタ1は、
図1および
図3に示すように、アクチュエータ4が起立姿勢にあり、且つ第3シールド7が開放位置にある状態で、搬送される。工場での組立作業時には、搬送されてきた状態のままのコネクタ1の挿入凹部24に対して、
図8および
図9に示すように、接続部材10が無挿入力で挿入される。
【0053】
次いで、
図10および
図11に示すように、アクチュエータ4が倒れ姿勢に倒されることにより、コンタクト3の第1弾性片部31の接触部31aが、接続部材10に加圧される。このとき、第1シールド5と倒れ姿勢のアクチュエータ4の第2シールド6との間に、隙間Sが形成されている。
【0054】
次いで、
図12および
図13に示すように、第3シールド7を閉じ位置にスライドさせ、閉じ位置の第3シールド7によって、第1シールド5と倒れ姿勢のアクチュエータ4の第2シールド6との間の隙間Sを覆う。閉じ位置の第3シールド7と第2シールド6とが、第1弾性接触構造FC1によって弾性接触され、且つ第3シールド7と第1シールドとが、第2弾性接触構造FC2によって弾性接触される。これにより、第1シールド5、第2シールド6および第3シールド7が一体に接続されて、ハウジング2の略全体を覆うシールドとして機能する。
【0055】
本実施形態によれば、倒れ姿勢におけるアクチュエータ4の第2シールド6と第1シールド5との間の隙間S(
図10および
図11を参照)を覆う閉じ位置(
図12および
図13を参照)と、アクチュエータ4の起立を許容する開放位置(
図10および
図11を参照)とにスライドされる板状の第3シールド7を用いる。このため、第3シールド7を開放位置に変位させた状態で、本コネクタ1を搬送する場合でも、搬送時の高さ方向のスペースを小さくすることができ、また、工場での組立時に、第3シールド7を開放させる作業は不要である。このため、搬送効率および組立作業効率に優れる。
【0056】
また、倒れ姿勢のアクチュエータ4に不用意な外力が負荷された場合でも、スライド式の第3シールド7がアクチュエータ4の上方を覆っているため、アクチュエータ4の倒れ姿勢を効果的にロックすることができる。
【0057】
また、
図13に示すように、第1弾性接触構造FC1(第1弾性凸部63)が、閉じ位置にある第3シールド7と倒れ姿勢におけるアクチュエータ4の第2シールド6とを弾性接触させ、且つ第2弾性接触構造FC2(第2弾性凸部55)が、閉じ位置にある第3シールド7と第1シールド5とを弾性接触させる。第1弾性接触構造FC1および第2弾性接触構造FC2によって、第1シールド5、第2シールド6および第3シールド7が導電接続されるため、シールド効果が高い。
【0058】
また、第1弾性接触構造FC1は、第2シールド6に形成された第1弾性凸部63を含む。第1弾性凸部63を用いる簡単な構造によって、第3シールド7と倒れ姿勢の第2シールド6とを導電接続することができる。
【0059】
また、第2弾性接触構造FC2は、第1シールド5に形成された第2弾性凸部55を含む。第2弾性凸部55を用いる簡単な構造によって、閉じ位置の第3シールド7と第1シールド5とを導電接続することができる。
【0060】
また、
図11に示すように、第3シールド7は、第3弾性凸部73を含む。第1シールド5の第1規制突起56は、第3シールド7の開放位置で、第3弾性凸部73が乗り越え係止されることにより第3シールド7を開放位置に規制する。
図13に示すように、第1シールド5の第2規制突起57は、第3シールド7の閉じ位置で、第3弾性凸部73が乗り越え係止されることにより第3シールド7を閉じ位置に規制する。これにより、第3シールド7を開放位置および閉じ位置に保持することができる。
【0061】
また、第3シールド7が、単一の板金材で形成されている。このため、構造を簡素化することができる。
【0062】
また、
図10および
図11に示すように、第3シールド7が、第1シールド5よりも上方Z1に突出する指操作部74を含む。このため、指操作部74を用いて第3シールド7を容易にスライド開閉することができ、操作性が良い。
【0063】
また、第3シールド7の上壁71が、ハウジング2の上面2cと第1シールド5の上壁51との間でスライド案内される。且つ、第3シールド7の一対の側壁72が、ハウジング2の一対の側面2gと第1シールド5の一対の側壁53との間でそれぞれスライド案内される。このため、第3シールド7を安定してスライド開閉させることができる。また、一対の側壁72を設け、側壁72の側面(打ち抜き面でない広い面)を用いてスライド案内するので、スムーズにスライドさせることができる。
【0064】
また、
図3に示すように、第2弾性片部32と固定片部33との間に、アクチュエータ4の被支持部44を回動可能に支持する回動支持構造Kが形成されている。このため、簡単な構造でアクチュエータ4をフリップカバーとして機能させることができる。
【0065】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、第1弾性接触構造FC1を構成する第1弾性凸部は、第3シールド7に設けられてもよいし、第2シールド6および第3シールド7の双方に設けられてもよい。また、第2弾性接触構造FC2を構成する第2弾性凸部は、第3シールド7に設けられてもよいし、また、第1シールド5および第3シールド7の双方に設けられてもよい。また、図示していないが、第3シールド7のスライド方向が、接続部材10の挿入方向Lに対して傾斜されていてもよい。また、第1シールド5が、側壁を持たないものであってもよい。また、第3シールド7が側壁を持たないものであってもよい。
【0066】
また、本発明は、アクチュエータ4が前側に倒されて、いわゆるフロントフリップカバーとして機能するタイプのコネクタに適用することができる。その他、本発明は、特許請求の範囲記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0067】
1 コネクタ
2 ハウジング
2a 前端(一端)
2b 後端(他端)
2g 側面
3 コンタクト
4 アクチュエータ
5 第1シールド
6 第2シールド
7 第3シールド
10 接続部材
24 挿入凹部
24a 開口
31 第1弾性片部
31a 接触部
32 第2弾性片部
33 固定片部
44 被支持部
51 上壁
53 側壁
55 第2弾性凸部(第2弾性接触構造)
56 第1規制突起
57 第2規制突起
63 第1弾性凸部(第1弾性接触構造)
71 上壁
72 側壁
73 第3弾性凸部
74 指操作部
D 段差部
FC1 第1弾性接触構造
FC2 第2弾性接触構造
K 回動支持構造
S 隙間
L 挿入方向