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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087342
(43)【公開日】2023-06-23
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 11/00 20060101AFI20230616BHJP
   F25D 21/06 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
F25D11/00 101B
F25D21/06 B
F25D21/06 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201665
(22)【出願日】2021-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】大木 達也
(72)【発明者】
【氏名】和田 芳彦
(72)【発明者】
【氏名】舘野 恭也
(72)【発明者】
【氏名】増田 英夫
【テーマコード(参考)】
3L045
3L046
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045AA03
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045HA01
3L045JA03
3L045JA14
3L045LA06
3L045LA09
3L045LA14
3L045MA04
3L045MA05
3L045NA05
3L045PA01
3L045PA02
3L045PA03
3L045PA04
3L045PA05
3L046AA02
3L046AA03
3L046BA01
3L046CA03
3L046FB01
3L046GB01
3L046JA03
3L046JA06
3L046JA09
3L046KA04
3L046KA05
3L046LA15
3L046LA17
3L046MA01
3L046MA02
3L046MA03
3L046MA04
3L046MA05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】エネルギ消費を抑えつつ確実に除霜可能且つ低製造コストな冷蔵庫を提供する。
【解決手段】圧縮機21、凝縮器22、蒸発器24の順に冷媒が流れる冷却回路20と、圧縮機21または凝縮器22の吐出側と蒸発器24の流入側とを直接繋ぐホットガスバイパス管30とを備え、通常運転状態と圧縮機21から吐出された冷媒がホットガスバイパス管30を介して蒸発器24に流れるホットガス除霜処理を行う状態と、を切り替える切替弁31と、圧縮機21及び切替弁31を制御する制御部と、外気温度を検出して検出データを制御部に送信する外気温度センサと、を備え、圧縮機21の回転数は可変であり、ホットガス除霜処理を行うとき、制御部は、外気温度センサが検出した外気温度に対応した回転数で圧縮機21を稼働し、該外気温度がT1<T2の関係を有するとき、T1における圧縮機21の回転数がT2における圧縮機21の回転数より高い冷蔵庫を提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、凝縮器、蒸発器の順に冷媒が流れて再び前記圧縮機に戻る冷却サイクルが実施される冷却回路と、
前記圧縮機または前記凝縮器の吐出側と前記蒸発器の流入側とを直接繋ぐホットガスバイパス管と、
前記冷却サイクルを行う状態と、前記圧縮機から吐出された冷媒が前記ホットガスバイパス管を介して前記蒸発器に流れるホットガス除霜処理を行う状態と、を切り替える切替弁と、
前記圧縮機及び前記切替弁を制御する制御部と、
外気温度を検出して検出データを前記制御部に送信する外気温度センサと、
を備え、
前記圧縮機の回転数は可変であり、
前記ホットガス除霜処理を行うとき、前記制御部は、前記外気温度センサが検出した外気温度に対応した回転数で前記圧縮機を稼働し、該外気温度がT1<T2の関係を有するとき、T1における前記圧縮機の回転数がT2における前記圧縮機の回転数より高いことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記制御部は、前記ホットガス除霜処理の開始から時間が経過するにつれて、前記圧縮機の回転数を高める制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記圧縮機及び前記凝縮器を冷却するコンデンシングファンを更に備え、
前記ホットガス除霜処理を行う前に、前記制御部は前記コンデンシングファンを停止する制御を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記冷却回路において、前記凝縮器と前記蒸発器の間にキャピラリチューブが配置され、前記凝縮器と前記キャピラリチューブとの間に開閉弁が配置され、
前記ホットガス除霜処理を行うとき、前記制御部は前記開閉弁を閉にする制御を行って、前記凝縮器から出た冷媒が前記キャピラリチューブに流入しないようにすることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記蒸発器の温度を検出して検出データを前記制御部に送信する霜取センサを更に備え、
前記ホットガス除霜処理を行うとき、前記制御部は、前記霜取センサが検出した前記蒸発器の温度に基づいて前記圧縮機の回転数を変更し、該蒸発器の温度が所定の値を超えたとき、前記ホットガス除霜処理を終了する制御を行うことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関し、特にホットガス状の冷媒により蒸発器に付着した霜を除去する冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の冷却回路の一部を構成する蒸発器は、周囲の水蒸気が冷やされることで霜が付着し、冷却性能が低下する虞がある。これに対処するため、冷却回路の一部を構成する圧縮機の下流に蒸発器の上流側へとつながるホットガスバイパス管を設け、ホットガスバイパス管を介して一時的に蒸発器に高温のガスを流すことで蒸発器を熱して除霜を行うホットガス除霜処理が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、圧縮機から吐出されたホットガス状の冷媒を、直接、蒸発器の熱交換パイプの入口に供給することにより、蒸発器を加熱して除霜処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-54287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたホットガス除霜処理では、外気温度の変化や圧縮機の稼働状況によって、ホットガス状の冷媒により蒸発器に加える熱量が変わり、除霜時間がばらつく問題が生じる。特許文献1に記載された冷蔵庫では、蒸発器から霜受け皿に落ちた霜を溶解する加熱ヒータが備えられているが、除霜時間が長くなる場合に合わせて加熱ヒータの容量を大きくすれば、エネルギ消費が過大になる虞がある。一方、除霜時間が短い場合に合わせて加熱ヒータの容量を小さくすれば、霜を溶解する能力が不足する虞がある。また、霜受け皿に温度センサを設けて温度センサによる加熱ヒータの制御を行うことも考えられるが、その場合には、製造コストが増大する問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明は、エネルギ消費を抑えながら確実にホットガス除霜処理が可能な冷蔵庫を低い製造コストで提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の冷蔵庫は、
圧縮機、凝縮器、蒸発器の順に冷媒が流れて再び前記圧縮機に戻る冷却サイクルが実施される冷却回路と、
前記圧縮機または前記凝縮器の吐出側と前記蒸発器の流入側とを直接繋ぐホットガスバイパス管と、
前記冷却サイクルを行う状態と、前記圧縮機から吐出された冷媒が前記ホットガスバイパス管を介して前記蒸発器に流れるホットガス除霜処理を行う状態と、を切り替える切替弁と、
前記圧縮機及び前記切替弁を制御する制御部と、
外気温度を検出して検出データを前記制御部に送信する外気温度センサと、
を備え、
前記圧縮機の回転数は可変であり、
前記ホットガス除霜処理を行うとき、前記制御部は、前記外気温度センサが検出した外気温度に対応した回転数で前記圧縮機を稼働し、該外気温度がT1<T2の関係を有するとき、T1における前記圧縮機の回転数がT2における前記圧縮機の回転数より高いことを特徴とする。
【0007】
ホットガス除霜処理における冷媒の熱源は、外気とモータの発熱が主となる。このため、外気温が低い場合には、冷媒の温度が低いのでより高い回転数で圧縮機を稼働して、冷媒の流入量を増やす。一方、外気温度が高い場合には、より低い回転数で圧縮機を稼働して、蒸発器への過度な熱の流入を抑える。これにより外気温度が異なる場合でも、除霜時間のバラツキを抑制することができる。
【0008】
ホットガス除霜処理において、このような外気温度に対応した圧縮機の回転数の制御を行うことにより、特別な装置を付加することなく、効率的に除霜が行え、除霜時間のバラツキを抑制できる。これにより、エネルギ消費を抑えながら確実にホットガス除霜処理が可能な冷蔵庫を低い製造コストで提供することができる。
【0009】
また、本発明の冷蔵庫では、
前記制御部は、前記ホットガス除霜処理の開始から時間が経過するにつれて、前記圧縮機の回転数を高める制御を行うことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、制御部が、ホットガス除霜処理の開始から時間が経過するにつれて、圧縮機の回転数を高める制御を行うので、蒸発器に付着した霜の量が異なる場合でも、除霜時間のバラツキを抑制して、効率的な除霜が実現できる。
【0011】
また、本発明の冷蔵庫では、
前記圧縮機及び前記凝縮器を冷却するコンデンシングファンを更に備え、
前記ホットガス除霜処理を行う前に、前記制御部は前記コンデンシングファンを停止する制御を行うことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、ホットガス除霜処理を行う前に、制御部がコンデンシングファンを停止する制御を行うことにより、圧縮機から吐出される冷媒の温度を予め高めることができる。これにより、ホットガス除霜処理において、予め温度が高められた冷媒を蒸発器に供給して、より効率的に除霜を行うことができる。
【0013】
また、本発明の冷蔵庫では、
前記冷却回路において、前記凝縮器と前記蒸発器の間にキャピラリチューブが配置され、前記凝縮器と前記キャピラリチューブとの間に開閉弁が配置され、
前記ホットガス除霜処理を行うとき、前記制御部は前記開閉弁を閉にする制御を行って、前記凝縮器から出た冷媒が前記キャピラリチューブに流入しないようにすることを特徴とする。
【0014】
ホットガス除霜処理のとき、仮に開閉弁が開の状態では、凝縮器から出た冷媒がキャピラリチューブに流入するので、冷媒の温度が下がる。よって、蒸発器に流入する冷媒の温度が低下して、除霜の効率が低下する虞がある。このため、本発明では、ホットガス除霜処理を行うとき、制御部が開閉弁を閉にして、凝縮器から出た冷媒がキャピラリチューブに流入しないようにすることにより、冷媒の温度低下を抑制して、効率的な除霜が実現できる。
【0015】
また、本発明の冷蔵庫では、
前記蒸発器の温度を検出して検出データを前記制御部に送信する霜取センサを更に備え、
前記ホットガス除霜処理を行うとき、前記制御部は、前記霜取センサが検出した前記蒸発器の温度に基づいて前記圧縮機の回転数を変更し、該蒸発器の温度が所定の値を超えたとき、前記ホットガス除霜処理を終了する制御を行うことを特徴とする。
【0016】
本発明では、ホットガス除霜処理を行うとき、制御部が外気温度に対応した回転数で圧縮機を稼働するが、更に、蒸発器の温度に基づいて回転数を変更するようになっている。これにより、蒸発器の実際の温度に対応したより効率的な除霜のフィードバック制御が実現できる。
更に、蒸発器の温度が所定の値を超えたとき、つまり、蒸発器の除霜が終了したと推定される温度に達したとき、ホットガス除霜処理を終了する制御を行うので、エネルギ消費を抑えた効率的な除霜処理が実現できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、エネルギ消費を抑えながら確実にホットガス除霜処理が可能な冷蔵庫を低い製造コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫を模式的示す側面断面図である。
図2】本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫の冷却回路の構成を示す線図である。
図3】本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫の除霜に関連する制御システムを示す線図である。
図4】ホットガス除霜処理を行う制御の一例を示すタイムチャートである。
図5】ホットガス除霜処理を行う制御の一例を示すフローチャートである。
図6A】コンデンシングファンを通常運転した場合の圧縮機から吐出された冷媒の温度等の検出データを示すグラフである。
図6B】コンデンシングファンを停止した場合の圧縮機から吐出された冷媒の温度等の検出データを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための実施形態を説明する。以下に説明する冷蔵庫は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。
【0020】
図1は、本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫1を模式的示す側面断面図である。はじめに図1を参照しながら、本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫1の概要を説明する。
【0021】
冷蔵庫1は筐体2を有し、水平な床面に載置された状態において、筐体2の前方部分に回転可能に取り付けられた上扉3及び下扉4を備える。筐体2の内部(以下、「庫内」と称する)には、冷凍室6及び冷蔵室7が配置されている。筐体2の内面と冷凍室6、冷蔵室7の外面との間には、断熱材が配置されている。
【0022】
<冷却流路>
図1に示すように、冷凍室6及び冷蔵室7の後方には、それぞれ仕切板11A,11Bで仕切られた下側冷却流路10A及び上側冷却流路10Bで構成された冷却流路10が設けられている。冷却流路10(詳細に述べれば下側冷却流路10A)には、蒸発器(エバポレータ)24が配置されている。蒸発器24は後述するように、冷蔵庫1の冷却回路20の一部を構成する。冷却流路10内の蒸発器24の上方には、ファン12が配置されている。ファン12により、庫内の気体を流動させることができ、蒸発器24を通過して冷却された気体を、冷却流路10から冷凍室6や冷蔵室7に供給することができる。
【0023】
下側仕切り板11Aの上側の開口には、冷凍室ダンパ13が配置されている。冷凍室ダンパ13が開の状態では、蒸発器24を通過した気体が、冷却流路10(下側冷却流路10A)から冷凍室6に流れる。一方、冷凍室ダンパ13が閉の状態では、蒸発器24を通過した気体が、冷却流路10(下側冷却流路10A)から冷凍室6に流れないようになる。図1では、冷凍室ダンパ13が閉の状態を示す。
【0024】
ファン12が稼働し、冷凍室ダンパ13が開の場合には、冷却流路10(下側冷却流路10A)から冷凍室6に流入した気体は、冷凍室6内を循環して、下側仕切板11Aの下側の開口から、冷却流路10(下側冷却流路10A)に戻る。これにより、気体は再び蒸発器24を通過して冷却され、同様な流動サイクルを繰り返す。これにより、冷凍室6の貯蔵物を冷却することができる。
【0025】
ただし、冷凍室6への気体を流入させるか否かの切り替えは、冷凍室ダンパ13を用いる場合に限られるものではない。例えば、ファン12の外側を覆う可動式のファンカバーを用いることもできる。ファンカバーが開の場合には、ファン12から吐出された気体が冷凍室6に流入し、ファンカバーが閉の場合には、ファン12から吐出された気体が冷凍室6に流入しないようにすることができる。
【0026】
更に、下側冷却流路10A及び上側冷却流路10Bの間には、冷蔵室ダンパ14が配置されている。冷蔵室ダンパ14が開の状態では、蒸発器24を通過した気体が、下側冷却流路10Aから上側冷却流路10Bに流れる。更に、上側冷却流路10Bに流入した気体は、複数の高さ位置に設けられた各開口を介して、冷却流路10(上側冷却流路10B)から冷蔵室7に流入する。一方、冷蔵室ダンパ14が閉の状態では、蒸発器24を通過した気体が、下側冷却流路10Aから上側冷却流路10Bに流れないようになる。図1では、冷蔵室ダンパ14が開の状態を示し、そのときの気体の流れを点線の矢印で模式的に示す。
【0027】
ファン12が稼働し、冷蔵室ダンパ14が開の場合には、冷却流路10(上側冷却流路10B)から冷蔵室7に流入した気体は、冷蔵室7内を循環して、冷蔵室7の下側に開口した戻り流路15の入口15Aへ流入する。蒸発器24を通過した気体が冷蔵室7内を循環する間に、冷凍室6の貯蔵物を冷却することができる。
【0028】
<戻り流路>
戻り流路15は、冷蔵室7を循環した気体が、冷凍室6内を流れることなく、冷却流路10(下側冷却流路10A)の下側に流入するようにする流路である。戻り流路15は、冷却流路10から仕切られて配置されている。冷却流路10(上側冷却流路10B)から冷蔵室7に流入し、冷蔵室7内を循環した気体は、入口15Aから戻り流路15に流入する。そして、流入した気体は、戻り流路15内を流れて、下側の出口15Bから、冷却流路10(下側冷却流路10A)の下側に流入する。つまり、気体は、冷却流路10(下側冷却流路10A)内に配置された蒸発器24の下側に流入する。これにより、気体は再び蒸発器24を通過して冷却され、同様な流動サイクルを繰り返す。したがって、冷蔵室7の貯蔵物を冷却することができる
【0029】
筐体2の後方かつ下部には、機械室40が配置され、圧縮機21、凝縮器22、蒸発皿42が配置されている。更に、機械室40には、圧縮機21や凝縮器22を冷却するコンデンシングファン41が配置されている。
【0030】
<その他の構成>
更に、除霜処理を行った場合に、蒸発器24に付着していた霜が落下して収容される霜受け皿33が配置されている。また、霜受け皿33の近傍には、加熱ヒータ34が配置されている。加熱ヒータ34により、霜受け皿33内の霜を溶解して、ドレン管35を介して、機械室40内の蒸発皿42へ排出することができる。また、上扉3の上部には、外気温度を検出する外気温度センサ50が取り付けられている。更に、蒸発器24には、蒸発器24の温度を検出する霜取センサ51が取り付けられている。
【0031】
<冷却回路>
図2は、本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫1の冷却回路20の構成を示す線図である。次に、図2を参照しながら、冷却回路20の概要を説明する。
【0032】
冷却回路20は、圧縮機(コンプレッサ)21と、凝縮器(コンデンサ)22と、キャピラリチューブ23と、蒸発器24とを備える。冷却回路20の各構成要素間は、配管によって上記の順で流体的に接続されており、冷却回路20内で冷媒が循環する第1冷媒流路を形成している。第1冷媒流路により、通常の冷却サイクルが行われる。
【0033】
圧縮機21は、気体状態の冷媒を圧縮し、高温高圧の状態にする。圧縮された冷媒は、配管を通じて凝縮器22へと送られる。圧縮機21は、インバータを備えており、回転速度が可変になっており、冷却回路20の冷却能力を制御することができる。凝縮器22は、圧縮機21で圧縮された冷媒の熱を放出させ、冷媒を凝縮する。凝縮した冷媒は、配管を通じてキャピラリチューブ23へと送られる。
【0034】
キャピラリチューブ23は、凝縮器22で凝縮された冷媒の圧力を低下させて膨張させ、それに伴い温度を低下させる。膨張した冷媒は、配管を通じて蒸発器24の熱交換パイプへと送られる。フィンで熱交換が促進される熱交換パイプでは、キャピラリチューブ23で減圧された冷媒を蒸発させ、吸熱する。蒸発して気体状態となった冷媒は、サクションパイプ28を通じて圧縮機21へと送られ、再度圧縮される。このようにして冷却回路20は動作する。
【0035】
蒸発器24から圧縮機21へと冷媒を流すサクションパイプ28は、キャピラリチューブ23との間で熱交換できるように、少なくとも部分的にキャピラリチューブ23と近接して配置されている。図2において点線で囲われた領域29が当該熱交換部の概略を表している。
【0036】
圧縮機21、凝縮器22、キャピラリチューブ23、蒸発器24を冷媒が循環する第1冷媒流路による通常の冷却サイクルでは、圧縮機21の回転数を高めた方が冷却能力が高まる。よって、基本的には、外気温度が高いときには、圧縮機21の回転数を高めて冷却能力を高め、外気温度が低いときには、圧縮機21の回転数を低くして冷却能力を抑える制御を行う。
【0037】
蒸発器24は、冷蔵庫1内を流れる気体と熱交換するとき、気体に含まれる水蒸気が着霜する可能性があるので、蒸発器24の除霜を行う必要がある。本実施形態に係る冷蔵庫1では、後述するように、圧縮機21で圧縮されたホットガス状の冷媒を、直接蒸発器24へ供給して除霜を行う。これを、ホットガス除霜処理と称する。ホットガス除霜処理を行うため、冷却回路20は、圧縮機21の出側と凝縮器22の入側とを直接繋ぐホットガスバイパス管30を備える。
【0038】
圧縮機21の出側には、切替弁(三方弁)31が配置されている。切替弁(三方弁)31により、圧縮機21から吐出された冷媒が凝縮器22側に流れる状態と、圧縮機21から吐出された冷媒がホットガスバイパス管30側に流れる状態と、を切り替えることができる。
【0039】
ホットガスバイパス管30は、上述の冷却回路における、圧縮機21-凝縮器22-キャピラリチューブ23-蒸発器24の経路を冷媒が流れる第1冷媒流路とは異なる、圧縮機21-ホットガスバイパス管30-蒸発器24の経路を冷媒が流れる第2冷媒流路を構成する。
【0040】
切替弁(三方弁)31は、制御部100(図3参照)により開閉を制御される。制御部100は、切替弁(三方弁)31を制御して、凝縮器22側が開になるように切り替えることにより、冷媒が第1冷媒流路を流れる通常の冷却サイクルを行うことができる。一方、制御部100は、切替弁(三方弁)31を制御して、ホットガスバイパス管30側が開になるように切り替えることにより、冷媒が第2冷媒流路を流れるホットガス除霜処理を行うことができる。
【0041】
冷媒が第2冷媒流路を流れる場合、圧縮機21を出たホットガス状の冷媒を、ホットガスバイパス管30を介して、直接、蒸発器24の熱交換パイプへ供給することができる。ホットガス状の冷媒が熱交換パイプ内を流れることにより、熱交換パイプが加熱され、熱伝導でフィンも加熱される。これにより、蒸発器24に付いた霜を溶解するホットガス除霜処理を行うことができる。フィンとの接触領域が溶解した霜は落下する。
【0042】
落下した液体は、蒸発器24の下側に配置された霜受け皿33に収容される。仮に、霜受け皿33だけが存在する場合には、半溶解した霜が再凍結する虞があるが、本実施形態では、霜受け皿33の近傍に加熱ヒータ34が配置されている。加熱ヒータ34で霜を溶解し、溶解されて生じた液体が、ドレン管35を介して、機械室40内の蒸発皿42へ流入する。蒸発皿42へ流入した液体は、大気中に蒸発する。
【0043】
また、凝縮器23とキャピラリチューブ23との間に開閉弁32が配置されている。開閉弁32が開の状態では、冷媒が凝縮器23からキャピラリチューブ23へ流れる状態となり、開閉弁32が閉の状態では、冷媒が凝縮器23からキャピラリチューブ23へ流れない状態となる。通常の冷却サイクルを行うときには、開閉弁32が開の状態となっている。後述するように、ホットガス除霜処理を行うときには、開閉弁32が閉の状態とする。
【0044】
<変形例>
本実施形態の変形例として、下記が考えられる。凝縮器22を出た冷媒も十分に高温なので、凝縮器22の出側と蒸発器24の入側とを直接繋ぐホットガスバイパス管30を備える場合もあり得る。その場合には、凝縮器22の出側に切替弁(三方弁)31が配置される。これにより、ホットガスバイパス管30は、圧縮機21-凝縮器22-ホットガスバイパス管30-蒸発器24の経路を冷媒が流れる第2冷媒流路を構成することになる。その場合には、切替弁(三方弁)31が上記の開閉弁32の機能を果たすことになる。
【0045】
(ホットガス除霜処理のための制御システム)
図3は、本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫1の除霜に関連する制御システムを示す線図である。次に、図3を参照しながら、ホットガス除霜処理を行うための制御システムの説明を行う。
【0046】
ホットガス除霜処理のための制御システムは、冷蔵庫1の制御システムの一部を構成している。制御部100は、上扉3の上部に取り付けられた外気温度センサ50と電気的に繋がり、外気温度の検出データ(信号)を受けるようになっている。また、制御部100は、蒸発器24に取り付けられた霜取センサ51と電気的に繋がり、蒸発器24の温度の検出データ(信号)を受けるようになっている。
【0047】
制御部100は、制御信号を送信して、圧縮機21及びコンデンシングファン41の稼働を制御することができる。また、制御部100は、切替弁(三方弁)31及び開閉弁32に制御信号を送信して、開閉を制御することができる。更に、制御部100は、制御信号を送信して、加熱ヒータ34の稼働を制御することができる。
【0048】
(ホットガス除霜処理)
以上のように、本実施形態に係る冷蔵庫1は、図2に示すように、冷媒が圧縮機21,凝縮器22,蒸発器24の順に流れて再び圧縮機21に戻る冷却サイクルが実施される冷却回路20と、圧縮機21の出側と蒸発器24の入側とを直接繋ぐホットガスバイパス管30と、冷却サイクルを行う状態と、圧縮機21から吐出された冷媒がホットガスバイパス管30を介して蒸発器24に流れるホットガス除霜処理を行う状態と、を切り替える切替弁31と、を備える。ただし、ホットガスバイパス管30が、凝縮器22の出側と蒸発器24の入側とを直接繋ぐ場合もあり得る。
【0049】
更に、制御システムとして、図3に示すように、圧縮機21及び切替弁(三方弁)31を制御する制御部100と、外気温度を検出して検出データを制御部100に送信する外気温度センサ50とを備える。このとき、圧縮機21の回転数が可変になっており、制御部100により、圧縮機21の回転数を変更できるようになっている。
【0050】
このような構成により、制御部100が、切替弁(三方弁)31のホットガスバイパス管30側が開になるように制御して、圧縮機21から吐出された冷媒がホットガスバイパス管30を介して蒸発器24に流れるホットガス除霜処理を行うことができる。このとき、制御部100が、外気温度センサ50が検出した外気温度に対応した回転数で圧縮機21を稼働するようになっている。
【0051】
圧縮機21から吐出された冷媒が、凝縮器22及びキャピラリチューブ23を介して蒸発器24に流れる通常の冷却サイクルでは、圧縮機21の回転数を高くした方が、冷却回路20内を流れる冷媒の流量が増えて冷却能力が増加する。一方、圧縮機21の回転数を低くすると、冷却回路20内を流れる冷媒の流量が減って冷却能力が低下する。つまり、一般的に、外部温度が高い場合には、圧縮機21の回転数を高くして冷却能力を高め、外部温度が低い場合には、圧縮機21の回転数を低くして冷却能力を低くするように制御する。
【0052】
圧縮機21の回転数を高くした場合には、冷媒の流量が増えるだけでなく、吐出された冷媒の温度も上昇する。しかし、通常の冷却サイクルでは、圧縮機21から吐出された冷媒は、凝縮器22で冷媒を凝縮され、キヤピラリチューブ23で温度が下げられて蒸発器24に流入する。一方、ホットガス除霜処理では、圧縮機21から吐出された高温の冷媒が、ホットガスバイパス管30を介して、直接、蒸発器24に流入する。
【0053】
ホットガス除霜処理では、外気温が低い場合には、冷媒の温度が低いのでより高い回転数で圧縮機21を稼働して、冷媒の流入量を増やす。一方、外気温度が高い場合には、より低い回転数で圧縮機21を稼働して、蒸発器24への過度な熱の流入を抑える。これにより外気温度が異なる場合でも、除霜時間のバラツキを抑制することができる。
【0054】
つまり、外気温度センサ50が検出した外気温度がT1<T2の関係を有するとき、T1における圧縮機21の回転数がT2における圧縮機21の回転数より高くなるように制御するのが好ましい。このとき、ホットガス除霜処理の間、圧縮機21を外気温度に対応した一定の回転数で稼働する場合もあり得るし、後述するように、時間の経過に応じて回転数を変更する場合もあり得る。
【0055】
このように、ホットガス除霜処理において、制御部100が、上記のような外気温度に対応した圧縮機21の回転数の制御を行うことにより、特別な装置を付加することなく、除霜時間のバラツキを抑制できる。これにより、溶解して霜受け皿33に落下した霜を溶解する加熱ヒータ34に過大な容量を持たせる必要がなく、外気温度が変化しても、加熱ヒータ34を一定の範囲内の負荷で稼働させることができる。これにより、製造コストも低減でき、エネルギ消費も低減できる。よって、エネルギ消費を抑えながら確実にホットガス除霜処理が可能な冷蔵庫を低い製造コストで提供することができる。
【0056】
<蒸発器の温度に対応した制御>
上記のように、外気温度に対応した回転数で圧縮機21を稼働する場合に、霜取センサ51で検出した蒸発器24の温度に基づいて、圧縮機21の回転数を変更することもできる。例えば、比較的低い外気温度に対応して、比較的高い回転数で圧縮機21を稼働していたとき、検出した蒸発器24の温度が予め想定していた温度よりも高い傾向を示す場合に、圧縮機21の回転数を下げる制御を行うことが考えられる。逆に、比較的高い外気温度に対応して、比較的低い回転数で圧縮機21を稼働していたとき、検出した蒸発器24の温度が予め想定していた温度よりも低い傾向を示す場合に、圧縮機21の回転数を上げる制御を行うことが考えられる。
【0057】
以上のように、ホットガス除霜処理を行うとき、外気温度に対応した回転数で圧縮機21を稼働する制御を基本に、蒸発器24の実際の温度に対応した、より効率的な除霜のフィードバック制御が実現できる。
【0058】
更に、霜取センサ51で検出した蒸発器24の温度が所定の値を超えたとき、制御部100がホットガス除霜処理を終了する制御を行うこともできる。所定の値として、明らかに蒸発器24に霜が付着していないと推測される温度を設定するのが好ましい。仮に、ホットガス除霜処理を予め定めた一定の時間だけ継続する場合であっても、蒸発器24の温度が所定の値を超えたとき、ホットガス除霜処理を終了することにより、エネルギ消費を抑えた効率的な除霜処理が実現できる。
【0059】
<コンデンシングファンの停止>
更に、ホットガス除霜処理を行う前に、制御部100が、圧縮機21を冷却するコンデンシングファン41を停止する制御を行うことも考えられる。例えば、除霜処理を行うフラグが成立した時点で、コンデンシングファン41を停止する制御を例示できる。
【0060】
ここで、図6Aは、コンデンシングファン41を通常運転した場合の圧縮機21から吐出された冷媒の温度等の検出データを示すグラフである。図6Bは、コンデンシングファン41を停止した場合の圧縮機21から吐出された冷媒の温度等の検出データを示すグラフである。グラフの横軸が時間を表し、縦軸が温度を表す。図6A図6Bにおいて、上側のグラフが圧縮機21から吐出された冷媒の温度を示し、下側のグラフが霜取センサ51で検出された蒸発器24の温度を示す。
【0061】
図6A及び図6Bの比較から明らかなように、圧縮機21が停止した状態から稼働を開始したとき、コンデンシングファン41が停止している場合には、圧縮機21から吐出された冷媒の温度の時間的な上昇の度合いである温度勾配が、コンデンシングファン41が通常運転している場合に比べて大きくなっている。これにより、ホットガス除霜処理を開始するときの冷媒の温度が、コンデンシングファン41が通常運転している場合に比べて、高くなっている。これに伴い、コンデンシングファン41が停止した状態で圧縮機21を稼働する場合には、蒸発器24の温度の温度勾配が、コンデンシングファン41が通常運転している場合に比べて大きくなっている。これにより、ホットガス除霜処理に要する時間が40分程度短縮されている。
【0062】
このように、ホットガス除霜処理を行う前に、制御部100がコンデンシングファン41を停止する制御を行うことにより、圧縮機21から吐出された冷媒の温度をより高めることができる。これにより、ホットガス除霜処理では、予め温度が高められた冷媒を蒸発器24に供給して、より効率的に除霜を行うことができる。
【0063】
<開閉弁の制御>
上記のように、冷却回路20において、凝縮器22と蒸発器24との間にキャピラリチューブ23が配置され、凝縮器23とキャピラリチューブ23との間に開閉弁32が配置されている。本実施形態では、ホットガス除霜処理を行うとき、制御部100が開閉弁32を閉にする制御を行うことが好ましい。この制御により、凝縮器22から出た冷媒がキャピラリチューブ23に流入しないようになる。
【0064】
開閉弁32が開の状態では、凝縮器22から出た冷媒がキャピラリチューブ23に流入するので、冷媒の温度が下がる虞がある。つまり、ホットガス除霜処理のとき、開閉弁32が開の状態の場合、蒸発器24に流入する冷媒の温度が低下して、除霜の効率が低下する虞がある。このため、本実施形態では、ホットガス除霜処理を行うとき、制御部100が開閉弁32を閉にする制御を行う。この制御により、凝縮器22から出た冷媒がキャピラリチューブ23に流入しないようになるので、冷媒の温度低下を抑制して、効率的な除霜が実現できる。
【0065】
ただし、開閉弁32を開にすることにより、除霜時間を延ばすことができるので、開閉弁32の開閉で除霜時間の調整を行うことも考えられる。
【0066】
(ホットガス除霜処理を行う場合の制御の一例)
<タイムチャート>
図4は、ホットガス除霜処理を行う制御の一例を示すタイムチャートである。次に、図4のタイムチャートを参照しながら、ホットガス除霜処理を行う制御の一例を説明する。このタイムチャートでは、通常の冷却サイクルを行っているときに、除霜フラグが成立し、圧縮機21が稼働する冷却期間が終了した後、除霜前サイクルを行い、その後、ホットガス除霜処理を行い、ホットガス除霜処理終了後、再び通常の冷却サイクルを開始するところを示している。
【0067】
タイムチャート左側の通常の冷却サイクルの冷却期間では、圧縮機21が稼働し、コンデンシングファン41も稼働している。また、切替弁(三方弁)31は、凝縮器22側が開となっていて、ホットガスバイパス管30側は閉の状態になっている。凝縮器22及びキャピラリチューブ23の間の開閉弁32は、開の状態になっている。これにより、圧縮機21-凝縮器22-キャピラリチューブ23-蒸発器24からなる第1冷媒流路を冷媒が流れている。
【0068】
このような冷却期間において、除霜フラグが成立した場合、冷却期間が終了した後、除霜前サイクルを開始する。除霜フラグは、前回の除霜処理から所定の時間が経過したときに成立するようにすることもできるし、霜取センサ51が検出した温度に基づいて成立するようにすることもできる。更に、その他の任意のタイミングで成立するようにすることもできる。
【0069】
除霜前サイクルの前半は、通常の冷却サイクルの冷却休止期間と同様であり、圧縮機21が停止し、コンデンシングファン41も停止する。また、切替弁(三方弁)31は、そのまま凝縮器22側が開の状態を維持し、開の状態だった開閉弁32を閉にする。後半では通常の冷却サイクルの冷却期間であるが、コンデンシングファン41が停止した状態で圧縮機21を運転するので、圧縮機21の温度及び吐出温度を上昇させることができる。ただし、機械室40の環境温度が高いような場合には、コンデンシングファン41の稼働をする場合もあり得る。このとき、冷媒が、圧縮機21-凝縮器22-キャピラリチューブ23-蒸発器24からなる第1冷媒流路を流れる。
【0070】
所定の条件で冷却終了に至った後、ホットガス除湿処理を開始する。このため、切替弁(三方弁)31は、ホットガスバイパス管30側が開になり、凝縮器22側が閉になるように切り替え、開閉弁32を開から閉にする。これにより、冷媒が、圧縮機21-ホットガスバイパス管30-蒸発器24からなる第2冷媒流路を冷媒が流れる。このとき、冷媒の液戻り等を防止するため、除霜中低回転で圧縮機21を一定時間稼働する。除霜中低回転は、基本的に最低回転数とする。
【0071】
一定時間、除霜中低回転で圧縮機21を稼働した後、外気温度センサ50で検出した外気温度に対応して定められた回転数で、圧縮機21を稼働する。図4に示す例では、ホットガス除霜処理を行う間、一定の回転数で圧縮機21を稼働するのではなく、経過した時間に対応させて回転数をステップ状に上げていく回転数ステップアップ制御を行っている。図4では、時間の経過とともに、3段階のステップで回転数を高める制御が示されている。この場合、各ステップで同じ時間が経過したときに次のステップへ移る場合も、個々のステップで異なる時間が経過ししたときに次のステップへ移る場合もあり得る。また、その他の任意のステップ数で圧縮機21の回転数を上げることもできる。
【0072】
圧縮機21の回転数をステップ状に上げていくことにより、蒸発器24に付着した霜の量に関わらず、除霜時間のバラツキを抑えることができる。霜取センサ51で検出した蒸発器24の温度で除霜が終了したか否か推測できる場合には、仮に蒸発器24に付着した霜の量が少ない場合には、低い回転数のステップで除霜処理を完了することができる。一方、仮に蒸発器24に付着した霜の量が多い場合には、高い回転数のステップまで用いて、より多くの冷媒を蒸発器24に供給して、所定の時間内に確実に除霜処理を完了することができる。
【0073】
圧縮機21の回転数をステップ状に上げていくホットガス除霜処理を行った後、除霜後の冷却サイクルを開始する。具体的には、圧縮機21の回転数を最後のステップの回転数よりも低い回転数に変更する。また、切替弁(三方弁)31を、凝縮器22側が開となり、ホットガスバイパス管30側が閉となるように切り替え、開閉弁32を開にする。これにより、圧縮機21-凝縮器22-キャピラリチューブ23-蒸発器24からなる第1冷媒流路を流れるようになる。また、通常の冷却サイクルに備えて圧縮機21の温度を上げるため、コンデンシングファン41は、所定の時間経過後に遅れて稼働を開始する。
【0074】
上記のような経過時間に対応させて回転数をステップ状に上げる制御だけでなく、霜取センサ51で検出した蒸発器24の温度に基づいて、圧縮機21の回転数をステップ状に上げる制御を行うことも考えられる。例えば、蒸発器24の時間的な温度変化を捉えた温度勾配に対応させて、回転数をステップ状に上げる制御が考えられる。また、蒸発器24の温度が所定の値に達したことをトリガーとして、圧縮機21の回転数をステップ状に上げる制御も考えられる。何れの場合も、外気温度センサ50で検出した外気温度に対応して定められた回転数で圧縮機21を稼働し、霜取センサ51で検出した蒸発器24の温度に基づいて、回転数を上げていく制御を行う。
【0075】
図4に示す例では、圧縮機21の回転数をステップ状に上げる制御が示されているが、これに限られるものではない。例えば、時間の経過とともに、圧縮機21の回転数を連続的に上げる制御を行うこともできる。この場合、時間に比例して圧縮機21の回転数を上げる制御が考えられる。更に、時間を変数とするその他の任意の関数を用いて、圧縮機21の回転数を連続的に上げる制御も考えられる。上記の何れの場合についても、制御部100が、ホットガス除霜処理の開始から時間が経過するにつれて、圧縮機21の回転数を高める制御を行っているといえる。
【0076】
以上のように、制御部100が、ホットガス除霜処理の開始から時間が経過するにつれて、圧縮機21の回転数を高める制御を行うことにより、蒸発器24に付着した霜の量が異なる場合でも、除霜時間のバラツキを抑制して、効率的な除霜が実現できる。
【0077】
<フローチャート>
図5は、ホットガス除霜処理を行う制御の一例を示すフローチャートである。次に、図5を参照しながら、図4のタイムチャートに示す制御の具板的な制御フローの説明を行う。
【0078】
はじめに、冷却サイクルを実施中であるか否か判断する(ステップS2)。この判断で、もし、冷却サイクルの実施中ではない(NO)と判別したときには、そのまま本制御処理を終了する。ステップS2の判断で、もし、冷却サイクルを実施中である(YES)と判別したときには、次に、除霜フラグが成立したか否か判断する(ステップS4)。この判断で、もし、除霜フラグが成立していない(NO)と判別したときには、この判断処理を繰り返す待機状態となる。ステップS4の判断で、もし、除霜フラグが成立した(YES)と判別したときには、次に、冷却期間が終了したか否か判断する(ステップS6)。
【0079】
この判断で、もし、冷却期間が終了していない(NO)と判別したときには、この判断処理を繰り返す待機状態となる。ステップS6の判断で、もし、冷却期間が終了した(YES)と判別したときには、コンデンシングファン41を停止して、除霜前サイクルを実施する(ステップS8)。除霜前サイクルの詳細な説明は、上記と同様なので省略する。除霜前サイクルを実施後、次に、ホットガス除霜処理を開始する(ステップS10)。そして、上記のように、切替弁(三方弁)31をホットガスバイパス管30側が開となり、凝縮器22側が閉となるように切り替え、開閉弁32を閉にする(ステップS12)。コンデンシングファン41は、停止した状態を継続する。
【0080】
そして、カウンタjの値に1をインプットし(ステップS14)、回転数r(j)で圧縮機21を稼働する(ステップS16)。j=1の回転数r(1)が除霜中低回転となる。jの値が大きくなるにつれて、回転数r(j)の値が大きくなる。
【0081】
次に、霜取センサ51が検出した蒸発器24の温度が、所定の値を超えたか否か判断する(ステップS18)。この判断で、もし、蒸発器24の温度が所定の値を超えた(YES)と判別したときには、蒸発器24の除霜が完了したと推測され、本制御処理を終了する。
【0082】
ステップ18の判断で、もし、蒸発器24の温度が所定の値以下である(NO)と判別したときには、次に、所定の時間T(j)が経過したか否か判断する(ステップS20)。ここで、時間T(j)は一定の時間の場合も、jの値に応じて異なる場合もあり得る。
【0083】
ステップ20の判断で、もし、所定の時間T(j)が経過していない(NO)と判別したときには、この判断処理を繰り返す待機状態となる。この間、圧縮機21は、回転数r(j)で稼働を継続する。ステップ20の判断で、もし、所定の時間T(j)が経過した(YES)と判別したときには、カウンタjの値に1を加える制御処理を行い(ステップS22)、カウントアップしたjの値が、Nの値に達したか否か判断する(ステップS24)。Nはステップの回数を定めるパラメータであり、図4に示す例では、N=3となる。
【0084】
ステップS24の判断で、もし、jの値がNの値に達していない(NO)と判別したときには、ステップS16に戻り、ステップS16からステップS24の制御処理を繰り返す。これにより、時間の経過とともに回転数r(j)をステップ状に上げて圧縮機21を稼働する制御が実現できる。
【0085】
ステップS24の判断で、もし、jの値がNの値に達した(YES)と判別したときには、ホットガス除霜処理を終了し(ステップS26)、上記のように、圧縮機21の回転数を変更し、切替弁(三方弁)31を、凝縮器22側が開となり、ホットガスバイパス管30側が閉となるように切り替え、開閉弁32を開にする。そして、所定の時間経過後、コンデンシングファン41を稼働する(ステップS28)。これにより、図4のタイムチャートに示す制御処理が終了する。
【0086】
本発明の実施の形態、実施の態様を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態、実施態様における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲及び思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【符号の説明】
【0087】
1 冷蔵庫
2 筐体
3 上扉
4 下扉
6 冷凍室
7 冷蔵室
10 冷却流路
10A 下側冷却流路
10B 上側冷却流路
11A 下側仕切板
11B 上側仕切板
12 ファン
13 冷凍室ダンパ
14 冷蔵室ダンパ
15 戻り流路
15A 入口
15B 出口
20 冷却回路
21 圧縮機
22 凝縮器
23 キャピラリチューブ
24 蒸発器
28 サクションパイプ
30 ホットガスバイパス管
31 切替弁(三方弁)
32 開閉弁
33 霜受け皿
34 加熱ヒータ
35 ドレン管
40 機械室
41 コンデンシングファン
42 蒸発皿
50 外気温度センサ
51 霜取センサ
100 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B