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特開2023-87346放送受信装置及びデータ受信プログラム
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  • 特開-放送受信装置及びデータ受信プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087346
(43)【公開日】2023-06-23
(54)【発明の名称】放送受信装置及びデータ受信プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/08 20060101AFI20230616BHJP
   H04B 1/16 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
H04B7/08 022
H04B1/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201672
(22)【出願日】2021-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078880
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100183760
【弁理士】
【氏名又は名称】山鹿 宗貴
(72)【発明者】
【氏名】大島 英樹
(72)【発明者】
【氏名】國井 壮志
(72)【発明者】
【氏名】松田 広志
【テーマコード(参考)】
5K061
【Fターム(参考)】
5K061BB12
5K061CC02
5K061CC46
5K061CD01
5K061CD04
(57)【要約】
【課題】製造コストを抑えつつも正常なデータ復調が行われやすい放送受信装置を提供すること。
【解決手段】放送受信装置を、複数のアンテナと、複数のアンテナの各々に接続された複数の受信部と、複数の受信部の各々で受信される放送信号の受信品質を示す、複数の品質信号に基づいて、複数のアンテナのなかから1つのアンテナを選択する選択部と、選択部により選択されたアンテナで受信される放送信号に含まれるデータ信号を取得するデータ用チューナと、を備える構成とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナと、
前記複数のアンテナの各々に接続された複数の受信部と、
前記複数の受信部の各々で受信される放送信号の受信品質を示す、複数の品質信号に基づいて、前記複数のアンテナのなかから1つのアンテナを選択する選択部と、
前記選択部により選択されたアンテナで受信される放送信号に含まれるデータ信号を取得するデータ用チューナと、を備える、
放送受信装置。
【請求項2】
前記選択部は、前記複数のアンテナの各々で受信される、複数の放送信号のなかから、1つの放送信号を、前記データ用チューナに出力する切替出力部と、少なくとも1つのプロセッサと、を含み、
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記複数の品質信号のなかで受信品質が最も高い品質信号に対応する放送信号が前記データ用チューナに出力されるように、前記切替出力部を制御する、
請求項1に記載の放送受信装置。
【請求項3】
前記受信部は、前記アンテナで受信された放送信号に含まれる音声信号を復調するとともに、前記放送信号の受信品質を示す前記品質信号を出力する音声用チューナを含み、
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記複数の受信部の各々より入力される前記品質信号を比較し、受信品質が最も高い品質信号に対応する放送信号が前記データ用チューナに出力されるように、前記切替出力部を制御する、
請求項2に記載の放送受信装置。
【請求項4】
前記音声信号と異なる周波数で放送されるデータ信号を受信する場合、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記切替出力部の出力を順次切り替え、
前記データ用チューナは、前記切替出力部を介して順次入力される放送信号の、受信品質を示す前記品質信号を、前記少なくとも1つのプロセッサに順次出力し、
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記データ用チューナより順次入力される前記複数の品質信号に基づいて、前記複数のアンテナのなかから1つのアンテナを選択する、
請求項2又は請求項3に記載の放送受信装置。
【請求項5】
前記複数のアンテナの各々に接続された複数の受信部の各々で受信される放送信号の受信品質を示す、複数の品質信号に基づいて、前記複数のアンテナのなかから1つのアンテナを選択するステップと、
選択されたアンテナで受信される放送信号に含まれるデータ信号をデータ用チューナに取得させるステップと、をコンピュータに実行させる、
データ受信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送受信装置及びデータ受信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
データが多重された放送信号を受信可能な放送受信装置が知られている。例えば特許文献1に、この種の放送受信装置の具体的構成が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の放送受信装置は、ダイバシティ方式の放送受信装置であり、メインとサブの受信系統を備える。この放送受信装置は、サブの受信系統に、放送信号に多重されたRDS(Radio Data System)フォーマットのデータ(以下「RDSデータ」と記す。)を得るためのデータ用チューナを備える。放送受信装置は、例えば、RDSデータから受信可能な放送局に関する周波数情報を抽出し、抽出された周波数情報に基づいて受信可能な放送局のリストをディスプレイに表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-136632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の放送受信装置では、例えばサブの受信系統で放送信号の受信状態が悪化すると、RDSデータを正常に復調することができない。そこで、データ用チューナをメインの受信系統にも搭載することが考えられる。これにより、サブの受信系統で放送信号の受信状態が悪化してもメインの受信系統で放送信号の受信状態が悪化していなければ、RDSデータを正常に復調することができる。しかし、このような構成を採用すると、放送受信装置の製造コストが高くなる。
【0006】
本発明は上記の事情に鑑み、製造コストを抑えつつも正常なデータ復調が行われやすい放送受信装置及びデータ受信プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る放送受信装置は、複数のアンテナと、複数のアンテナの各々に接続された複数の受信部と、複数の受信部の各々で受信される放送信号の受信品質を示す、複数の品質信号に基づいて、複数のアンテナのなかから1つのアンテナを選択する選択部と、選択部により選択されたアンテナで受信される放送信号に含まれるデータ信号を取得するデータ用チューナと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、放送受信装置の製造コストを抑えつつも正常なデータ復調が行われやすい放送受信装置及びデータ受信プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る放送受信装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態において放送受信装置のプロセッサにより実行されるデータ受信プログラムの処理を示すフローチャートである。
図3】本発明の別の一実施形態において放送受信装置のプロセッサにより実行されるデータ受信プログラムの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る放送受信装置及びデータ受信プログラムについて説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る放送受信装置1の構成を示すブロック図である。放送受信装置1は、例えば道路を走行する車両に搭載された車載型の装置である。なお、放送受信装置1は、車載型の装置に限らず、スマートフォン、フィーチャフォン、タブレット端末、PC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistant)、PND(Portable Navigation Device)、携帯ゲーム機等の他の形態の装置であってもよい。
【0012】
放送受信装置1は、放送信号に多重されたRDSデータを受信することができる。
【0013】
図1に示されるように、放送受信装置1は、メインとサブの2つの受信系統を有する。メインの受信系統は、メインアンテナ100a、アンプ102a及びメインチューナ110aを備える。サブの受信系統は、サブアンテナ100b、アンプ102b及びサブチューナ110bを備える。メインチューナ110a、サブチューナ110bは、それぞれ、電界強度検出回路112a、112bを備える。
【0014】
放送受信装置1は、更に、プロセッサ120、音声信号処理回路130、パワーアンプ132、スピーカ134、バッファアンプ136a、136b、スイッチ回路138、データ用チューナ140、ディスプレイ150及び入力インタフェース160を備える。
【0015】
なお、図1では、本実施形態の説明に必要な主たる構成要素を図示しており、例えば放送受信装置1として必須な構成要素である筐体など、一部の構成要素については、その図示を適宜省略する。
【0016】
プロセッサ120は、本実施形態に係るデータ受信プログラム122を実行するコンピュータの一例である。プロセッサ120は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュROM(Read Only Memory)等を備えており、放送受信装置1全体を制御する。例えば、プロセッサ120は、フラッシュROMに記憶されたデータ受信プログラム122をはじめとする各種プログラムをワークエリアであるRAM上に展開し、展開されたプログラムに従って放送受信装置1を制御する。
【0017】
プロセッサ120は、例えばシングルプロセッサ又はマルチプロセッサであり、少なくとも1つのプロセッサを含む。複数のプロセッサを含む構成とした場合、プロセッサ120は、単一の装置としてパッケージ化されたものであってもよく、放送受信装置1内で物理的に分離した複数の装置で構成されてもよい。
【0018】
フラッシュROMに記憶されたデータ受信プログラム122は、複数のアンテナの各々に接続された複数の受信部の各々で受信される放送信号の受信品質を示す、複数の品質信号に基づいて、複数のアンテナのなかから1つのアンテナを選択するステップと、選択されたアンテナで受信される放送信号に含まれるデータ信号をデータ用チューナに取得させるステップと、をコンピュータであるプロセッサ120に実行させる。データ受信プログラム122の実行により、放送受信装置1の製造コストを抑えつつも正常なデータ復調が行われやすくなる。データ受信プログラム122の詳細は後述する。
【0019】
メインアンテナ100a及びサブアンテナ100bは、各放送局で放送される放送電波を受けて受信信号を出力する。例えばフェージングによる受信電波のレベルの変動を抑えるため、メインアンテナ100aとサブアンテナ100bは、空間的にできるだけ離された位置に設置される。一例として、メインアンテナ100aが車両のフロント部分に設置され、サブアンテナ100bが車両のリア部分に設置される。
【0020】
メインアンテナ100aによる受信信号は、アンプ102aにより増幅されてメインチューナ110aに入力される。サブアンテナ100bによる受信信号は、アンプ102bにより増幅されてサブチューナ110bに入力される。
【0021】
メインチューナ110a及びサブチューナ110bは、プロセッサ120によって選択された放送局(以下「選択局」と記す。)の放送電波からRF(Radio Frequency)信号を抽出する。メインチューナ110a及びサブチューナ110bは、抽出されたRF信号をフィルタリング等の信号処理に適した中間周波数に周波数変換し、周波数変換によって得たIF(Intermediate Frequency)信号を音声信号処理回路130に出力する。
【0022】
このように、メインチューナ110a及びサブチューナ110bは、複数の受信部の一例であり、複数のアンテナ(メインアンテナ100a、サブアンテナ100b)の各々に接続される。
【0023】
選択局は、例えば入力インタフェース160に対するユーザの操作により指定される。例えば、ユーザによる選局操作が行われると、選局操作により指定された選択局の情報がプロセッサ120内のフラッシュROMに格納される。プロセッサ120は、例えば放送受信装置1の電源投入直後やユーザによる選局操作時、フラッシュROMに格納された選択局の情報に従い、メインチューナ110a及びサブチューナ110bの選局動作を制御する。
【0024】
なお、入力インタフェース160には、ハードウェア又はソフトウェア若しくはこれらを組み合わせた種々のUI(User Interface)が想定される。本実施形態では、入力インタフェース160には、放送受信装置1本体のフロントパネルに実装されたメカニカルスイッチキー、メンブレンキー、タッチパネル環境下で提供されるGUI(Graphical User Interface)、操作キーが実装されたリモートコントローラ等が含まれる。
【0025】
音声信号処理回路130は、メインチューナ110a及びサブチューナ110bより入力されるアナログのIF信号をデジタル信号に変換し、音声信号を復調する。音声信号処理回路130は、復調された音声信号に対して、ノイズキャンセラによるノイズ除去処理、ミュート、ハイカット、セパレーション制御等の各種処理を行う。音声信号処理回路130は、音声信号に対して、更に、最大比合成受信、選択合成受信、等利得合成受信等の周知のダイバシティ信号処理を施し、これをアナログの音声信号に変換して、パワーアンプ132に出力する。
【0026】
音声信号処理回路130より出力される音声信号は、パワーアンプ132によるボリュームに応じた利得調整を経て、スピーカ134から音声として出力再生される。
【0027】
電界強度検出回路112a及び112bは、受信電波に比例した直流電圧(言い換えると、受信した放送電波の電界強度)を検出して、プロセッサ120に出力する。電界強度検出回路112a及び112bは、例えば「Sメータ」と呼称されてもよい。便宜上、電界強度検出回路112aより出力される、電界強度を示す信号を、「電界強度信号S1a」と記す。電界強度検出回路112bより出力される、電界強度を示す信号を、「電界強度信号S1b」と記す。電界強度検出回路112a、112bは、それぞれ、電界強度信号S1a、S1bを、例えば所定時間経過毎(例えば10秒毎)にプロセッサ120に出力する。
【0028】
このように、受信部の一例であるメインチューナ110a、サブチューナ110bは、それぞれ、メインアンテナ100a、サブアンテナ100bで受信された放送信号に含まれる音声信号を復調するとともに、放送信号の受信品質を示す品質信号(電界強度信号S1a、S1b)を出力する音声用チューナである。
【0029】
メインアンテナ100aによる受信信号は、アンプ102aによる増幅後、バッファアンプ136aを介してスイッチ回路138に入力される。サブアンテナ100bによる受信信号は、アンプ102bによる増幅後、バッファアンプ136bを介してスイッチ回路138に入力される。便宜上、バッファアンプ136aを介してスイッチ回路138に入力される信号を「放送信号S2a」と記す。バッファアンプ136bを介してスイッチ回路138に入力される信号を「放送信号S2b」と記す。
【0030】
スイッチ回路138は、例えばマルチプレクサ回路であり、プロセッサ120の制御下で、放送信号S2aと放送信号S2bの一方をデータ用チューナ140に出力する。
【0031】
すなわち、スイッチ回路138は、複数のアンテナ(メインアンテナ100a、サブアンテナ100b)の各々で受信される、複数の放送信号(放送信号S2a、放送信号S2b)のなかから、1つの放送信号を、データ用チューナ(データ用チューナ140)に出力する、切替出力部の一例である。
【0032】
本実施形態では、プロセッサ120とスイッチ回路138とが協働して選択部として動作する。すなわち、プロセッサ120及びスイッチ回路138は、複数の受信部(メインチューナ110a、サブチューナ110b)の各々で受信される放送信号の受信品質を示す、複数の品質信号(電界強度信号S1a、S1b)に基づいて、複数のアンテナ(メインアンテナ100a、サブアンテナ100b)のなかから1つのアンテナ(より詳細には、1つのアンテナで受信された放送信号)を選択する選択部として動作する。
【0033】
データ用チューナ140には、スイッチ回路138を介して放送信号S2aと放送信号S2bの一方が入力される。データ用チューナ140は、メインチューナ110a及びサブチューナ110bと同様にIF信号を検波する。データ用チューナ140は、検波されたIF信号をもとに、放送信号に多重されたRDSデータを復調する。
【0034】
すなわち、データ用チューナ140は、選択部により選択されたアンテナで受信される放送信号(スイッチ回路138を介して入力された放送信号S2aと放送信号S2bの一方)に含まれるデータ信号(RDSデータ)を取得する。
【0035】
プロセッサ120は、データ用チューナ140で復調されたRDSデータを例えばフラッシュROMに格納する。プロセッサ120は、例えば、RDSデータに含まれるPI(Programme Identification)コード、PS(Programme Service Name)等の情報に基づいて、ステーションリストをディスプレイ150に表示させることができる。
【0036】
図2は、本発明の一実施形態においてプロセッサ120により実行されるデータ受信プログラム122の処理を示すフローチャートである。プロセッサ120には、所定時間経過毎に電界強度信号S1a及びS1bが入力される。例えば、電界強度信号S1a及びS1bが入力される都度、図2に示されるフローチャートの処理の実行が開始される。
【0037】
図2に示されるように、プロセッサ120は、電界強度検出回路112aより入力される電界強度信号S1aと、電界強度検出回路112bより入力される電界強度信号S1bと、を比較する(ステップS101)。
【0038】
プロセッサ120は、ステップS101における比較結果に基づいて、スイッチ回路138を制御する(ステップS102)。
【0039】
具体的には、電界強度信号S1aが電界強度信号S1bよりも受信品質が高いことを示す場合、プロセッサ120は、スイッチ回路138が放送信号S2aを出力するように、スイッチ回路138に制御信号を出力する。スイッチ回路138は、プロセッサ120より入力される制御信号に従い、放送信号S2aと放送信号S2bのうち、受信品質がより良好であると推定される放送信号S2aを、データ用チューナ140に出力する。
【0040】
また、電界強度信号S1bが電界強度信号S1aよりも受信品質が高いことを示す場合、プロセッサ120は、スイッチ回路138が放送信号S2bを出力するように、スイッチ回路138に制御信号を出力する。スイッチ回路138は、プロセッサ120より入力される制御信号に従い、放送信号S2aと放送信号S2bのうち、受信品質がより良好であると推定される放送信号S2bを、データ用チューナ140に出力する。
【0041】
すなわち、ステップS102において、プロセッサ120は、複数の受信部(メインチューナ110a、サブチューナ110b)の各々より入力される品質信号(電界強度信号S1a、S1b)を比較し、受信品質が最も高い品質信号に対応する放送信号(放送信号S2a又はS2b)がデータ用チューナ140に出力されるように、切替出力部(スイッチ回路138)を制御する。
【0042】
これにより、データ用チューナ140は、受信品質がより良好であると推定される放送信号に多重されたRDSデータを復調することができる。
【0043】
本実施形態によれば、受信品質がより良好であると推定される放送信号からデータを得ることができる。例えば、サブの受信系統で放送信号の受信状態が悪化してもメインの受信系統で放送信号の受信状態が悪化していなければ、データを正常に復調することができる。また、メインの受信系統で放送信号の受信状態が悪化してもサブの受信系統で放送信号の受信状態が悪化していなければ、データを正常に復調することができる。
【0044】
放送受信装置1では、データ用チューナを1つしか備えない構成でありながらも、メインとサブの受信系統のそれぞれに対応する2つのデータ用チューナを備える構成と同様に、正常なデータ復調が行われやすい。すなわち、本実施形態によれば、製造コストの抑制とデータ復調の成功率の向上との両立が達成される。
【0045】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施形態等又は自明な実施形態等を適宜組み合わせた内容も本願の実施形態に含まれる。
【0046】
上記の実施形態では、2つの受信系統を備える放送受信装置1について説明したが、本発明に係る放送受信装置の構成はこれに限らない。例えば、3つ以上の受信系統を備える放送受信装置も本発明の範疇である。この場合、放送受信装置は、3本以上のアンテナと、3本以上のアンテナの各々に接続された3つ以上の受信部と、3つ以上の受信部の各々で受信される放送信号の受信品質を示す、3つ以上の品質信号に基づいて、3本以上のアンテナのなかから1つのアンテナを選択する選択部と、選択部により選択されたアンテナで受信される放送信号に含まれるデータ信号を取得するデータ用チューナと、を備える構成となる。
【0047】
上記の実施形態では、品質信号の一例として、電界強度を示す信号を例に挙げたが、本発明に係る品質信号はこれに限らない。品質信号は、例えば、受信電波のSN比、IF信号の搬送波周波数のずれ量、隣接妨害波のレベル等を示す信号であってもよい。
【0048】
上記の実施形態では、放送信号に多重されたRDSデータを受信することが可能な放送受信装置1について説明したが、本発明に係る放送受信装置の構成はこれに限らない。別の実施形態において、放送受信装置1は、例えば、RDSデータだけでなく、放送信号に多重されたTMC(Traffic Message Channel)フォーマットのデータ(以下「TMCデータ」と記す。)やVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)フォーマットのデータ(以下「VICSデータ」と記す。)を受信できてもよい。
【0049】
ラジオ番組の音声信号とRDSデータとを多重した放送局の放送電波(以下「ラジオ放送電波」と記す。)の放送周波数と、TMCデータ(又はVICSデータ)を放送する放送局の放送電波(以下「データ放送電波」と記す。)の放送周波数は互いに異なる。ラジオ放送電波に対応する電界強度信号が高い受信品質を示すものであっても、放送周波数がラジオ放送電波と異なるデータ放送電波の受信状態が良好であるとは限らない。
【0050】
そこで、別の実施形態では、プロセッサ120は、データ用チューナ140にて正常なデータ復調が行われやすくなるように、ラジオ放送電波の受信品質でなく、各アンテナで受信されるデータ放送電波の受信品質を直接比較し、比較結果に基づいてスイッチ回路138の出力を制御する。
【0051】
図3は、本発明の別の一実施形態においてプロセッサ120により実行されるデータ受信プログラム122の処理を示すフローチャートである。例えば、TMCデータ(又はVICSデータ)を受信する際、図3に示されるフローチャートの処理の実行が開始される。
【0052】
図3に示されるように、プロセッサ120は、データ放送電波の放送信号S2a、S2bがデータ用チューナ140に順次入力されるように、スイッチ回路138の出力を順次切り替える(ステップS201)。
【0053】
データ用チューナ140は、順次入力される放送信号S2a、S2bの電界強度を検出し、検出された電界強度を示す信号を、プロセッサ120に順次出力する。便宜上、データ用チューナ140より出力される、放送信号S2aの電界強度を示す信号を、「電界強度信号S1a’」と記す。また、データ用チューナ140より出力される、放送信号S2bの電界強度を示す信号を、「電界強度信号S1b’」と記す。
【0054】
プロセッサ120は、データ用チューナ140より順次入力される電界強度信号S1a’と電界強度信号S1b’とを比較する(ステップS202)。
【0055】
プロセッサ120は、ステップS202における比較結果に基づいて、スイッチ回路138を制御する(ステップS203)。
【0056】
具体的には、電界強度信号S1a’が電界強度信号S1b’よりも受信品質が高いことを示す場合、プロセッサ120は、スイッチ回路138が放送信号S2aを出力するように、スイッチ回路138に制御信号を出力する。スイッチ回路138は、プロセッサ120より入力される制御信号に従い、放送信号S2aと放送信号S2bのうち、受信品質がより良好であると推定される放送信号S2aを、データ用チューナ140に出力する。
【0057】
また、電界強度信号S1b’が電界強度信号S1a’よりも受信品質が高いことを示す場合、プロセッサ120は、スイッチ回路138が放送信号S2bを出力するように、スイッチ回路138に制御信号を出力する。スイッチ回路138は、プロセッサ120より入力される制御信号に従い、放送信号S2aと放送信号S2bのうち、受信品質がより良好であると推定される放送信号S2bを、データ用チューナ140に出力する。
【0058】
これにより、データ用チューナ140は、放送周波数がラジオ放送電波と異なるデータ放送電波であっても、受信品質がより良好であると推定される放送信号に多重されたTMCデータ(又はVICSデータ)を復調することができる。
【0059】
このように、音声信号と異なる周波数で放送されるデータ信号(TMCデータ、VICSデータ等)を受信する場合、プロセッサ120は、切替出力部の一例であるスイッチ回路138の出力を順次切り替える。データ用チューナ140は、スイッチ回路138を介して順次入力される放送信号の、受信品質を示す品質信号(電界強度信号S1a’、S1b’)を、プロセッサ120に順次出力する。プロセッサ120は、データ用チューナ140より順次入力される複数の品質信号(電界強度信号S1a’、S1b’)に基づいて、複数のアンテナ(メインアンテナ100a、サブアンテナ100b)のなかから1つのアンテナ(より詳細には、1つのアンテナで受信された放送信号)を選択する。
【0060】
例えば、ラジオ放送電波の放送周波数とデータ放送電波(TMCデータ、VICSデータ等)の放送周波数との差が小さい場合(例えば放送周波数の差が150Hz未満の場合)を考える。ラジオ放送電波に対応する電界強度信号が高い受信品質を示すものである場合、放送周波数がラジオ放送電波と近いデータ放送電波も受信状態が良好であるものと推定される。そのため、放送受信装置1は、上記の実施形態と同様に、各音声用チューナの電界強度検出回路より入力される電界強度信号を比較し(図2のステップS101)、比較結果に基づいて、スイッチ回路138を制御してもよい(図2のステップS102)。
【符号の説明】
【0061】
1 :放送受信装置
100a :メインアンテナ
100b :サブアンテナ
102a :アンプ
102b :アンプ
110a :メインチューナ
110b :サブチューナ
112a :電界強度検出回路
112b :電界強度検出回路
120 :プロセッサ
122 :データ受信プログラム
130 :音声信号処理回路
132 :パワーアンプ
134 :スピーカ
136a :バッファアンプ
136b :バッファアンプ
138 :スイッチ回路
140 :データ用チューナ
150 :ディスプレイ
160 :入力インタフェース
図1
図2
図3