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特開2023-87379車載通信装置、走行支援制御システム、及び、車載通信装置の制御方法
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  • 特開-車載通信装置、走行支援制御システム、及び、車載通信装置の制御方法 図1
  • 特開-車載通信装置、走行支援制御システム、及び、車載通信装置の制御方法 図2
  • 特開-車載通信装置、走行支援制御システム、及び、車載通信装置の制御方法 図3
  • 特開-車載通信装置、走行支援制御システム、及び、車載通信装置の制御方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087379
(43)【公開日】2023-06-23
(54)【発明の名称】車載通信装置、走行支援制御システム、及び、車載通信装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20230616BHJP
   H04W 4/48 20180101ALI20230616BHJP
   H04W 76/10 20180101ALI20230616BHJP
   H04W 76/18 20180101ALI20230616BHJP
   H04W 48/10 20090101ALI20230616BHJP
   H04L 49/201 20220101ALI20230616BHJP
   B60W 30/06 20060101ALN20230616BHJP
   G05D 1/00 20060101ALN20230616BHJP
【FI】
G08G1/09 V
H04W4/48
H04W76/10
H04W76/18
H04W48/10
H04L49/201
B60W30/06
G05D1/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201726
(22)【出願日】2021-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 直樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 司郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一馬
(72)【発明者】
【氏名】岸本 善久
(72)【発明者】
【氏名】野口 順平
(72)【発明者】
【氏名】島本 岳
(72)【発明者】
【氏名】関野 琢磨
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
5H301
5K030
5K067
【Fターム(参考)】
3D241BA21
3D241CE02
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC12
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL09
5H181LL17
5H301AA03
5H301AA10
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD06
5H301DD17
5K030JL01
5K030JT09
5K067AA43
5K067BB03
(57)【要約】
【課題】通信負担を軽減可能な車載通信装置、走行支援制御システム、及び、車載通信装置の制御方法を提供する。
【解決手段】車載通信装置は、車両に搭載され、利用者の携帯機と通信可能な通信部と、前記車両に搭載され、前記通信部の通信制御を行うとともに、前記車両の走行支援制御装置と通信を行う制御部とを含み、前記制御部は、前記通信部が前記携帯機と通信接続を確立すると、前記通信部を介して、前記携帯機以外の携帯機とは接続不能であることを表す接続不能情報をブロードキャスト信号で送信する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、利用者の携帯機と通信可能な通信部と、
前記車両に搭載され、前記通信部の通信制御を行うとともに、前記車両の走行支援制御装置と通信を行う制御部と
を含み、
前記制御部は、前記通信部が前記携帯機と通信接続を確立すると、前記通信部を介して、前記携帯機以外の携帯機とは接続不能であることを表す接続不能情報をブロードキャスト信号で送信する、車載通信装置。
【請求項2】
前記接続不能情報は、既に通信接続を確立した前記携帯機が存在することを表す情報である、請求項1に記載の車載通信装置。
【請求項3】
前記接続不能情報は、前記携帯機又は前記携帯機以外の携帯機との通信状態に関する情報、又は、車両の動作状態を表す情報をさらに含む、請求項1又は2に記載の車載通信装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記通信部が前記携帯機と通信接続を確立すると、前記通信部を介して、接続用のブロードキャスト信号の送信を停止する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車載通信装置。
【請求項5】
車両に搭載される車載通信装置と、
前記車両の駐車支援を行う走行支援制御装置と
を含み、
前記車載通信装置は、
利用者の携帯機と通信可能な通信部と、
前記通信部の通信制御を行うとともに、前記走行支援制御装置と通信を行う制御部と
を有し、
前記制御部は、前記通信部が前記携帯機と通信接続を確立すると、前記通信部を介して、前記携帯機以外の携帯機とは接続不能であることを表す接続不能情報をブロードキャスト信号で送信する、走行支援制御システム。
【請求項6】
車両に搭載され、利用者の携帯機と通信可能な通信部と、
前記車両に搭載され、前記通信部の通信制御を行うとともに、前記車両の走行支援制御装置と通信を行う制御部と
を含む車載通信装置の制御方法であって、
前記制御部は、前記通信部が前記携帯機と通信接続を確立すると、前記通信部を介して、前記携帯機以外の携帯機とは接続不能であることを表す接続不能情報をブロードキャスト信号で送信する、車載通信装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載通信装置、走行支援制御システム、及び、車載通信装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両のユーザによって携帯される携帯機との無線通信に基づいて、前記車両を移動させる制御を実行する車両遠隔操作システムがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-186849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の車両遠隔操作システムのようなシステムにおいて、1台の携帯機と通信接続が確立して遠隔操作を受け付けている状態で、他の携帯機から通信接続の要求を受けることが考えられる。このような場合に、他の携帯機による遠隔操作を受け付けないようにするために、他の携帯機と通信接続を確立した上で遠隔操作を受け付けないことを通知すると、遠隔操作を受け付けている携帯機と通信接続を確立した上で、さらに他の携帯機と通信接続を確立することになり、システムの通信負担が大きい。
【0005】
そこで、通信負担を軽減可能な車載通信装置、走行支援制御システム、及び、車載通信装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態の車載通信装置は、車両に搭載され、利用者の携帯機と通信可能な通信部と、前記車両に搭載され、前記通信部の通信制御を行うとともに、前記車両の走行支援制御装置と通信を行う制御部とを含み、前記制御部は、前記通信部が前記携帯機と通信接続を確立すると、前記通信部を介して、前記携帯機以外の携帯機とは接続不能であることを表す接続不能情報をブロードキャスト信号で送信する。
【発明の効果】
【0007】
通信負担を軽減可能な車載通信装置、走行支援制御システム、及び、車載通信装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の走行支援制御システムを搭載した車両の構成の一例を示す図である。
図2】実施形態の走行支援制御システムの構成の一例を示す図である。
図3】実施形態の走行支援制御システムにおける処理の流れの一例を説明するシーケンス図である。
図4】実施形態の車載通信装置が実行する処理の一例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の車載通信装置、走行支援制御システム、及び、車載通信装置の制御方法を適用した実施形態について説明する。
【0010】
<実施形態>
図1は、実施形態の走行支援制御システム100を搭載した車両10の構成の一例を示す図である。走行支援とは、車両10のあらゆる状況における走行を支援することであり、車両10を自立的に駐車位置に駐車すること、又は、車両10を自立的に駐車位置から出庫させることに限られない。ここでは、一例として、走行支援制御システム100が、スマートフォン50から無線通信で遠隔的に車両10に指令を送信することによって、車両10を自立的に駐車位置に駐車する、又は、車両10を自立的に駐車位置から出庫させる形態について説明する。
【0011】
走行支援制御システム100は、スマートフォン50、走行支援制御装置110、ボディ制御部120、車載通信装置130、及び受信機140を含む。このため、スマートフォン50、走行支援制御装置110、ボディ制御部120、車載通信装置130、及び受信機140には、走行支援制御システム100の符号100を括弧書きで記す。受信機140は、車両10の四隅に配置されている。
【0012】
走行支援制御システム100のうち、走行支援制御装置110、ボディ制御部120、車載通信装置130、及び受信機140は、車両10に搭載されている。車載通信装置130は、制御部130Aと通信部130Bとを有する。
【0013】
走行支援制御装置110、ボディ制御部120、及び車載通信装置130の制御部130Aは、ECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)によって実現される。ECUは、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び内部バス等を含むコンピュータである。車両10は、走行支援制御装置110、ボディ制御部120、及び車載通信装置130の制御部130Aの他にも複数のECUを含むが、図1で省略する。
【0014】
スマートフォン50は、BLE((Bluetooth Low Energy(登録商標))のアドバタイズ信号を送信する送信機の一例であるとともに、車両10の外から無線通信によって車両10を移動操作可能な携帯機の一例である。アドバタイズ信号は、アドバタイズパケットであり、通信相手を特定しないブロードキャスト信号である。なお、受信機140とスマートフォン50と無線通信は、BLEに限らず、WLAN(Wireless Local Area Network)やその他の規格の通信等であってもよい。
【0015】
スマートフォン50は、車両10のリモートコントローラとして機能する。走行支援制御システム100を利用してスマートフォン50で車両10を操作するには、スマートフォン50が車両10の前後の所定範囲内(一例として車両周囲6m以内)に位置することが求められる。スマートフォン50の位置は、車載通信装置130によって推定される。
【0016】
また、車両10にアクセス可能なスマートフォン50は複数ある。例えば、利用者の家族が自分のスマートフォン50をリモートコントローラとして利用する場合や、利用者が法人である場合に、法人の複数の従業員等が各自のスマートフォン50をリモートコントローラとして利用する場合が有り得る。
【0017】
また、1台の車両10に対して複数のスマートフォン50がリモートコントローラとして機能するため、一人の利用者が自分のスマートフォン50で車両10にアクセスし始めたときに、少し遅れて別の利用者が自分のスマートフォン50で車両10にアクセスしようとする場合が有り得る。
【0018】
ここで、図1に加えて図2を用いて説明する。図2は、走行支援制御システム100の構成の一例を示す図である。図2には、走行支援制御システム100に加えてスマートフォン50を示す。スマートフォン50は、ディスプレイ51、タッチパネル52、及び無線通信部53を有する。図2に示すように、車載通信装置130は、走行支援制御装置110、ボディ制御部120、及び受信機140と車載ネットワーク150によって通信可能に接続されている。車載ネットワーク150は、一例として、CAN(controller area network)、LIN(local interconnect network)又はその他の形式のネットワークである。
【0019】
走行支援制御装置110は、車両10の走行支援を行う制御装置である。ここでは一例として、走行支援制御装置110が、車両10が自立的に駐車位置に駐車する際の制御を行うことで、車載通信装置130から得る車両移動許可/停止指示に基づいて、車両10を駐車位置に移動させるための制御を行う形態について説明する。
【0020】
ボディ制御部120は、車両10のボディの状態(ドアのロック/アンロックの認証、ドア開閉の検知等)を統括する制御部である。
【0021】
車載通信装置130の制御部130Aは、主制御部131、車両情報取得部132、登録判定部133、操作判定部134、位置推定部135、接続不能情報出力部136、及びメモリ137を有する。制御部130Aは、通信部130Bの通信制御を行うとともに、車両10の走行支援制御装置110と通信を行う制御部である。主制御部131、車両情報取得部132、登録判定部133、操作判定部134、位置推定部135、及び接続不能情報出力部136は、制御部130Aが実行するプログラムの機能(ファンクション)を機能ブロックとして示したものである。また、メモリ137は、制御部130Aのメモリを機能的に表したものである。
【0022】
主制御部131は、制御部130Aの処理を統括する処理部であり、車両情報取得部132、登録判定部133、操作判定部134、位置推定部135、及び接続不能情報出力部136が行う処理以外の処理を実行する。例えば、主制御部131は、自動駐車の進捗状況を表すデータを生成して、通信部130Bを通じて双方向通信でスマートフォン50に送信する。
【0023】
車両情報取得部132は、車両10のボディの状態(ドア開閉の検知等)を表す情報を取得し、主制御部131に伝送する。
【0024】
登録判定部133は、通信部130Bを介して得られるスマートフォン50の双方向通信信号に含まれる識別情報と、メモリ137に格納されているスマートフォン50の識別情報とに基づき、スマートフォン50が登録されているスマートフォンであるかどうかを判定する。
【0025】
操作判定部134は、登録判定部133によって登録されているスマートフォンであると判定されたスマートフォン50によって行われる操作の内容を判定し、判定した内容を走行支援制御装置110に伝送する。ここでいう操作とは、走行支援制御システム100を利用して、スマートフォン50で車両10を移動させるための操作をいう。
【0026】
位置推定部135は、受信機140によって受信されるスマートフォン50のアドバタイズ信号の受信信号強度(RSSI)等の受信状態に基づき、スマートフォン50の位置を推定する。位置推定部135の推定した位置情報に基づき、主制御部131は車両移動許可/停止指示を走行支援制御装置110に伝送する。
【0027】
接続不能情報出力部136は、通信部130Bがスマートフォン50と通信接続を確立すると、接続不能情報をメモリ137から読み出し、通信部130Bを介して、接続不能情報を含むアドバタイズ信号(ブロードキャスト信号)を出力(送信)する。通信接続が確立するとは、通信部130Bとスマートフォン50とがBLE(登録商標)による双方向通信が可能な状態になることをいい、車載通信装置130のメモリ137に識別情報が登録されているスマートフォン50であることが前提になる。BLE(登録商標)による双方通信は、GATT(generic attribute profile)通信である。
【0028】
また、接続不能情報は、通信部130Bが1台のスマートフォン50と通信接続を確立して、他のスマートフォン50とは接続不能であることを表す情報である。接続不能情報は、例えば「既に他のスマートフォンによって操作が行われているため接続できません」というようなメッセージを含み、接続不能情報を含むアドバタイズ信号を受信したスマートフォン50のうち、通信接続を確立しているスマートフォン50以外のスマートフォン50のディスプレイ51には、このメッセージが表示される。
【0029】
また、接続不能情報は、接続不能であることを表す情報に加えて、スマートフォン50Aと通信接続が確立していることを表す情報や、車両10の動作状態を表す情報を含んでもよい。スマートフォン50Aと通信接続が確立していることを表す情報は、例えば、スマートフォン50がリモートコントローラ1である場合には「リモートコントローラ1によって操作が行われています」というようなメッセージであってもよい。このようなメッセージをスマートフォン50Bのディスプレイ51に表示すれば、スマートフォン50Bの利用者は、スマートフォン50Aで誰が操作を行っているかを認識することができる。
【0030】
また、車両10の動作状態を表す情報は、例えば「ユーザが運転中です。遠隔操作に切り替えらえません。」というようなメッセージであってもよい。このようなメッセージをスマートフォン50Bのディスプレイ51に表示すれば、スマートフォン50Bの利用者は、遠隔操作が利用できないことを認識することができる。
【0031】
メモリ137は、車両情報取得部132、登録判定部133、操作判定部134、位置推定部135、及び接続不能情報出力部136が処理を実行するために用いるプログラムやデータを格納する。また、メモリ137には、スマートフォン50の識別情報が予め登録されている。
【0032】
通信部130Bは、接続用のアドバタイズ信号を送信するとともに、接続不能情報を含むアドバタイズ信号を送信する。接続不能情報を含むアドバタイズ信号は、接続不能情報の通知用のアドバタイズ信号である。また、通信部130Bは、スマートフォン50と通信接続を確立し、BLE(登録商標)によるデータ通信を行う。通信部130Bは、スマートフォン50の識別情報や操作の内容を表すデータをスマートフォン50から受信する。また、通信部130Bは、主制御部131によって生成される自動駐車の進捗状況を表すデータをスマートフォン50に送信する。
【0033】
受信機140は、スマートフォン50が送信するBLE(登録商標)のアドバタイズ信号を受信する。スマートフォン50から受信するアドバタイズ信号は、測距に用いられる。
【0034】
<走行支援制御システム100における処理>
図3は、走行支援制御システム100における処理の流れの一例を説明するシーケンス図である。ここでは、車載通信装置130の通信部130Bと通信接続を確立する、又は、通信部130Bと通信接続を確立しているスマートフォン50をスマートフォン50Aと称し、スマートフォン50A以外のスマートフォン50をスマートフォン50Bと称す。
【0035】
車載通信装置130は、接続用のアドバタイズ信号を送信する(ステップS1)。このとき、一例としてスマートフォン50A及び50Bはアドバタイズ信号を受信可能な範囲内にある。
【0036】
スマートフォン50Aは、走行支援制御用のアプリ(アプリケーションプログラム)を起動させ(ステップS2A)、アドバタイズ信号を受信するためにスキャンを行う(ステップS3A)。スマートフォン50Aは、接続用のアドバタイズ信号を受信し、車載通信装置130に対して接続要求を行う(ステップS4A)。
【0037】
このときに、車載通信装置130の通信部130Bと通信接続を確立しているスマートフォン50は存在しないため、スマートフォン50Aと通信部130Bとの通信接続が確立する(ステップS5)。車載通信装置130は、スマートフォン50Aとの通信接続が確立すると、接続用のアドバタイズ信号の送信を停止し、接続用のアドバタイズ信号を送信しなくなる。車載通信装置130は、接続用のアドバタイズ信号の送信を停止するまでは、接続用のアドバタイズ信号の送信を所定の周期で繰り返し行うが、スマートフォン50Aとの通信接続が確立すると、接続用のアドバタイズ信号の送信を停止する。
【0038】
車載通信装置130は、通信接続が確立すると、接続不能情報を含むアドバタイズ信号を送信する(ステップS6)。
【0039】
このようにステップS2A、S3Aの処理を行ったスマートフォン50Aの後から遅れて、スマートフォン50Bが走行支援制御用のアプリ(アプリケーションプログラム)を起動させ(ステップS2B)、スキャンを行ったとする(ステップS3B)。
【0040】
スマートフォン50Bは、ステップS3Bのスキャンを繰り返し行っているうちに、車載通信装置130から送信された接続不能情報を含むアドバタイズ信号を受信する。スマートフォン50Bもアドバタイズ信号を受信可能な範囲内にあるからである。
【0041】
スマートフォン50Bは、接続不能情報に含まれる「既に他のスマートフォンによって操作が行われているため接続できません」というようなメッセージをディスプレイ51に表示する(ステップS7)。
【0042】
<車載通信装置130が実行する処理>
図4は、車載通信装置130が実行する処理の一例を表すフローチャートである。図4に示す処理は、車載通信装置130の制御方法を表す。ここでは一例として、車両10を駐車位置から出庫させる場合の処理について説明する。
【0043】
主制御部131は、処理をSTARTすると、通信部130Bを介して接続用のアドバタイズ信号を送信する(ステップS11)。
【0044】
主制御部131は、接続要求があったかどうかを判定する(ステップS12)。主制御部131は、接続要求がない(S12:NO)と判定すると、ステップS12の処理を繰り返し実行する。
【0045】
主制御部131は、接続要求があった(S12:YES)と判定すると、BLEの接続処理を行う(ステップS13)。BLEの接続処理は、通信接続を確立するための処理である。
【0046】
登録判定部133は、通信部130Bを介して得られるスマートフォン50の識別情報と、メモリ137に格納されているスマートフォン50の識別情報とに基づき、スマートフォン50が登録されているスマートフォンであるかどうかを判定する(ステップS14)。
【0047】
登録判定部133が登録されているスマートフォン50である(S14:YES)と判定すると、主制御部131は、通信接続を確立する(ステップS15)。
【0048】
次いで、接続不能情報出力部136は、通信部130Bを介して接続不能情報を含むアドバタイズ信号を出力する(ステップS16)。
【0049】
主制御部131は、出庫要求を走行支援制御装置110に送信する(ステップS17)。
【0050】
次いで、制御部130Aは、走行支援制御のための処理を行う(ステップS18)。ステップS18では、位置推定部135がスマートフォン50の位置を推定し、スマートフォン50が車両10の周囲の所定範囲内に存在すれば、操作判定部134によって判定されるスマートフォン50への操作の内容が走行支援制御装置110に伝送され、車両10が駐車位置から出庫される。車両10が駐車位置から出庫すると、一連の処理が終了する(END)。
【0051】
なお、ステップS14において、登録判定部133が登録されているスマートフォン50ではない(S14:NO)と判定すると、主制御部131は、BLEの接続処理を中止する(ステップS19)。登録されていないスマートフォン50とは通信接続を確立しないからである。ステップS19の処理を終えると、フローはステップS12にリターンする。
【0052】
また、ここでは、車両10を駐車位置から出庫させる場合の処理について説明したが、車両10を駐車位置に駐車する場合の処理は、ステップS17の代わりに、主制御部131が駐車要求を走行支援制御装置110に送信する処理になる。また、車両10を駐車位置に駐車する場合の処理は、車両情報取得部132によって取得される車両10のボディの状態を表す情報を用いてもよいが、ここでは説明を省略する。
【0053】
以上のように、車載通信装置130の通信部130Bとスマートフォン50Aとの通信接続が確立すると、車載通信装置130は接続不能情報を含むアドバタイズ信号を出力し、スマートフォン50A以外のスマートフォン50Bのディスプレイ51には、接続不能情報が表示される。このため、車載通信装置130の通信部130Bとスマートフォン50Aとの通信接続が確立した後は、車載通信装置130がスマートフォン50Bと通信接続を確立しなくても、スマートフォン50Bの利用者に、車載通信装置130と接続不能であることを周知できる。
【0054】
したがって、通信負担を軽減可能な車載通信装置130、走行支援制御システム100、及び、車載通信装置130の制御方法を提供することができる。
【0055】
車載通信装置130の通信部130Bと通信接続が確立したスマートフォン50A以外のスマートフォン50Bに対しては、アドバタイズ信号で接続不能情報を通知できるので、スマートフォン50Bと通信部130Bとで通信接続を確立しなくて済む。このため、車載通信装置130及び通信部130Bの通信負担を大幅に軽減することができる。
【0056】
また、接続不能情報は、既に通信接続を確立したスマートフォン50Aが存在することを表す情報であるため、後から接続を試みた利用者のスマートフォン50Bは、接続不能になる理由を理解することができ、車載通信装置130及び走行支援制御システム100の使い勝手を向上させることができる。
【0057】
また、接続不能情報は、通信状態に関する情報、又は、車両10の動作状態を表す情報をさらに含むので、スマートフォン50Bの利用者は、スマートフォン50A等の自分のスマートフォン50Bとは別の操作端末との接続が確立していること、自分のスマートフォン50Bとは別のスマートフォン50Aのような操作端末で誰が操作を行っていること、又は、ユーザが運転中であることを認識することができる。この結果、車載通信装置130及び走行支援制御システム100の使い勝手を向上させることができる。
【0058】
以上、本開示の例示的な実施形態の車載通信装置、走行支援制御システム、及び、車載通信装置の制御方法について説明したが、本開示は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0059】
10 車両
50 スマートフォン
100 走行支援制御システム
110 走行支援制御装置
120 ボディ制御部
130 車載通信装置
140 受信機
130A 制御部
130B 通信部
131 主制御部
132 車両情報取得部
133 登録判定部
134 操作判定部
135 位置推定部
136 接続不能情報出力部
137 メモリ
図1
図2
図3
図4