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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087441
(43)【公開日】2023-06-23
(54)【発明の名称】梱包容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/02 20060101AFI20230616BHJP
【FI】
B65D81/02 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201818
(22)【出願日】2021-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】家村 浩太朗
【テーマコード(参考)】
3E066
【Fターム(参考)】
3E066AA01
3E066AA03
3E066AA21
3E066AA24
3E066AA44
3E066AA72
3E066BA01
3E066BA05
3E066CA01
3E066DA01
3E066DB01
3E066FA03
3E066GA03
3E066HA04
3E066JA04
3E066JA23
(57)【要約】
【課題】容器本体が発泡樹脂からなる場合であっても、全体的な変形を抑制することができる梱包容器を提供する。
【解決手段】梱包容器1は、被梱包物40を収納する収納凹部21が形成された容器本体20と、被梱包物40を収納凹部21に収納した状態で、被梱包物Pを覆うように、容器本体20に被着自在となる蓋体30と、を備えている。容器本体20は、発泡樹脂からなり、蓋体30は、非発泡樹脂からなる。収納凹部21は、底壁部22と、底壁部22の周縁から立設した側壁部23と、により形成されている。蓋体30には、側壁部23の外周面23aを囲繞するように、外周面23aに対向するように外壁部33が形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被梱包物を収納する収納凹部が形成された容器本体と、
前記被梱包物を前記収納凹部に収納した状態で、前記被梱包物を覆うように、前記容器本体に被着自在となる蓋体と、を備えた梱包容器であって、
前記容器本体は、発泡樹脂からなり、
前記蓋体は、非発泡樹脂からなり、
前記収納凹部は、底壁部と、底壁部の周縁から立設した側壁部と、により形成されており、
前記蓋体には、前記側壁部の外周面を囲繞するように、前記外周面に係合した外壁部が形成されていることを特徴とする梱包容器。
【請求項2】
前記蓋体には、前記側壁部の内周面に対向した位置に内壁部が形成されており、
前記蓋体は、前記外壁部と前記内壁部で前記側壁部を挟み込むことにより、前記側壁部に係合していることを特徴とする請求項1に記載の梱包容器。
【請求項3】
前記蓋体を前記容器本体に被着した状態で、前記収納凹部の開口部から前記底壁部に沿った方向において、前記外壁部の長さは、前記内壁部の長さ以上であることを特徴とする請求項2に記載の梱包容器。
【請求項4】
前記蓋体は、前記収納凹部の開口部側の端面を覆う頂壁部を有しており、前記外壁部は、前記頂壁部から、前記外周面に沿って延在しており、
前記頂壁部の肉厚は、前記外壁部の肉厚よりも厚いことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の梱包容器。
【請求項5】
前記蓋体は、前記開口部側に位置する部分の肉厚が、前記底壁部側に位置する部分の肉厚よりも厚くなっていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の梱包容器。
【請求項6】
前記蓋体には、前記被梱包物と前記側壁部との間に、凹部が形成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の梱包容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被梱包物を梱包する梱包容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被梱包物を梱包する梱包容器として、発泡樹脂を用いた梱包容器が利用されている。発泡樹脂を用いた梱包容器は、非発泡樹脂のものに比べて、軽量であるが、強度面で劣ることがあり、たとえば、梱包容器に外的衝撃が加わったときに、梱包容器が凹んだり、破損したりすることで、梱包容器が損傷することがある。
【0003】
このような観点から、たとえば、特許文献1には、被梱包物を収納する収納凹部が形成された、発泡樹脂の容器本体に対して、収納凹部を形成する開口部を含む部分に、非発泡樹脂の表皮材を貼着した梱包材が提案されている。この梱包材によれば、表皮材を容器本体に貼り付けることにより、容器本体の開口部まわりが保護されるため、梱包容器の損傷を抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-308317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の梱包容器では、表皮材により、梱包容器の損傷を部分的に抑えることができるが、容器本体は発泡樹脂からなるため、容器本体の開口部を含む部分を表皮材で覆うだけでは、梱包容器の剛性は十分ではなく、梱包容器は、全体的に変形し易い。
【0006】
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、容器本体が発泡樹脂からなる場合であっても、全体的な変形を抑制することができる梱包容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を鑑みて、本発明に係る梱包容器は、被梱包物を収納する収納凹部が形成された容器本体と、前記被梱包物を前記収納凹部に収納した状態で、前記被梱包物を覆うように、前記容器本体に被着自在となる蓋体と、を備えた梱包容器であって、前記容器本体は、発泡樹脂からなり、前記蓋体は、非発泡樹脂からなり、前記収納凹部は、底壁部と、底壁部の周縁から立設した側壁部と、により形成されており、前記蓋体には、前記側壁部の外周面を囲繞するように、前記外周面に係合した外壁部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、容器本体に形成された収納凹部に、被梱包物を収納した状態で、容器本体に蓋体を被着することにより、梱包容器で被梱包物を梱包することができる。ここで、容器本体は、発泡樹脂からなるが、容器本体には、非発泡樹脂からなる蓋体が被着されるため、容器本体を蓋体で保護することができる。
【0009】
さらに、非発泡樹脂からなる蓋体が、被梱包物を収納凹部に収納した状態で被梱包物を覆い、かつ、蓋体の外壁部が、容器本体の側壁部の外周面を囲繞するように係合しているので、梱包容器に外力が作用したとしても、容器本体の変形を蓋体で拘束することができる。このような結果、容器本体が発泡樹脂からなる場合であっても、梱包容器の全体的な変形を抑制することができる。
【0010】
ここで、蓋体の外壁部が、容器本体の側壁部の外周面に係合することにより、梱包容器の全体的な変形を抑制しているのであれば、蓋体の形状は特に限定されるものではないが、より好ましい態様としては、前記蓋体には、前記側壁部の内周面に対向した位置に内壁部が形成されており、前記蓋体は、前記外壁部と前記内壁部で前記側壁部を挟み込むことにより、前記側壁部に係合している。
【0011】
この態様によれば、蓋体の外壁部と内壁部とにより、側壁部が挟み込まれるため、蓋体を側壁部に安定して係合させることができる。これにより、梱包容器に外力が作用したとしても、容器本体の側壁部の変形を、蓋体の外壁部と内壁部とで拘束し、蓋体が容器本体から外れることを抑制することができる。
【0012】
ここで、蓋体の外壁部と内壁部とにより、側壁部が挟み込むことができるのであれば、これらの寸法等は、特に限定されるものではないが、より好ましい態様としては、前記蓋体を前記容器本体に被着した状態で、前記収納凹部の開口部から前記底壁部に沿った方向において、前記外壁部の長さは、前記内壁部の長さ以上である。このような関係を満たすことにより、容器本体に対して、蓋体が浮き上がったとしても、蓋体の外壁部を、容器本体の側壁部に安定して係合させることができるため、容器本体に対して蓋体が外れ難い。
【0013】
さらに、好ましい態様としては、前記蓋体は、前記収納凹部の開口部側の端面を覆う頂壁部を有しており、前記外壁部は、前記頂壁部から、前記外周面に沿って延在しており、前記頂壁部の肉厚は、前記外壁部の肉厚よりも厚い。
【0014】
この態様によれば、蓋体を容器本体に被着した状態で、外壁部よりも肉厚の厚い、蓋体の頂壁部が、容器本体の開口部の周りに配置されるため、容器本体の開口部の周りの変形を抑えることができる。
【0015】
より好ましい態様としては、前記蓋体は、前記開口部側に位置する部分の肉厚が、前記底壁部側に位置する部分の肉厚よりも厚くなっている。なお、この態様は、前記底壁部側に位置する部分から、前記開口部側に位置する部分に向かって、蓋体の肉厚が傾斜的に増加する態様と、前記底壁部側に位置する部分から、前記開口部側に位置する部分に向かって、蓋体の肉厚が段階的に増加する態様のいずれの態様、またはこれらの態様を組み合わせた態様を含む。これらの態様によれば、開口部側に配置される部分は、被梱包物の上部(開口部側の部分)を覆うことになるが、この部分の肉厚を厚くすることにより、被梱包物の上部を保護することができる。
【0016】
より好ましい態様としては、前記蓋体には、前記被梱包物と前記側壁部との間に、凹部が形成されている。この態様によれば、容器本体から蓋体を取り外す際には、作業者の指を凹部に入れて、蓋体を掴むことができるため、蓋体を容器本体から取り外し易くなる。
【0017】
梱包容器は、単体で使用されてもよく、容器本体と蓋体の位置関係(すなわち、梱包容器の姿勢)は、特に限定されず、梱包容器の保管方法および搬送方法等により、適宜設定することができる。しかしながら、複数の梱包容器を用いる場合の好ましい態様としては、前記梱包容器は、前記蓋体を上側にし、前記容器本体を下側にして、上下方向に段積みされるものであり、前記梱包容器は、段積みされた状態で、上段の容器本体は、下段の蓋体を介して下段の容器本体の側壁部で支持され、前記下段の容器本体に形成された前記収納凹部の上方において、前記上段の容器本体の底壁部と下段の蓋体とは、非接触状態になっている。
【0018】
この態様によれば、梱包容器を上下方向に段積みした際に、下段の容器本体の側壁部で、上段の被梱包物の荷重を支持することができる。段積みした梱包容器を、上から順に取り出す際に、容器本体と蓋体とは、樹脂製であるため、上段の梱包容器を持ち上げると、下段の蓋体が、上段の容器本体に静電気で張り付き易い。しかしながら、この態様によれば、下段の容器本体に形成された収納凹部の上方において、上段の容器本体の底壁部と下段の蓋体とは、非接触状態になっているので、下段の蓋体が、上段の容器本体に張り付くことを抑制することができる。上段の梱包容器とともに下段の蓋体とが持ち上げられることを抑え、下段の容器本体から下段の蓋体が外れることを防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、容器本体が発泡樹脂からなる場合であっても、梱包容器の全体的な変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る梱包容器の模式的斜視図である。
図2図1に示す梱包容器の分解斜視図である。
図3図2に示す梱包容器に被梱包物を収容した状態の斜視図である。
図4図1に示す梱包容器の上面図である。
図5図4に示す梱包容器のA-A線に沿った端面図である。
図6図5の状態から梱包容器を分解した梱包容器の断面図である。
図7図4に示す梱包容器の要部の拡大断面図である。
図8図1に示す梱包容器を上下方向に段積みした斜視図である。
図9】(a)は、図8に示す梱包容器を段積みした状態の断面図であり、(b)は、上段の梱包容器を持ち上げた状態の断面図である。
図10】段積み時における下段の容器本体の変形を説明するための概念図である。
図11】(a)~(c)は、変形例に係る梱包容器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1図11を参照しながら、以下に、本発明の実施形態に係る梱包容器を説明する。
【0022】
図1に示すように、本実施形態に係る梱包容器1は、容器本体20と蓋体30とを備えており、2つの被梱包物40、40を梱包する容器である図2に示すように、容器本体20には、収納凹部21が形成されており、蓋体30は、2つの被梱包物40を収納凹部21に収納した状態で、被梱包物40を覆うように、容器本体20に被着自在となっている。
【0023】
容器本体20は、発泡樹脂からなる成形体であり、たとえば、発泡ビーズにより成形された型内発泡成形体であってもよい。容器本体20の材質としては、熱可塑性樹脂を挙げることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(たとえばポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂)、ポリエステル系樹脂(たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、またはポリ乳酸)、またはポリカーボネート系樹脂などが挙げられる。容器本体20は、ビーズ法発泡スチロール(EPS)、ビーズ法発泡ポリプロピレン(EPP)、発泡ポリエチレン(EPE)からなってもよい。
【0024】
本実施形態では、容器本体20は、図4に示すように、上面視矩形状の形状であり、収納凹部21が、蓋体30側(図では上方)に開口することにより、容器本体20(収納凹部21)の開口部20aが、形成される。より具体的には、収納凹部21は、矩形状の底壁部22と、底壁部22の周縁から立設した側壁部23と、により形成されており、側壁部23の端面25の内周縁が開口部20aとなる。
【0025】
図2および図3に示すように、収納凹部21には、被梱包物40の底部41を収納する底部収納部21aが形成されており、底部収納部21a、21a同士の間には、仕切り壁28が形成されている。底部収納部21aに隣接した位置には、指掛用凹部29が形成されており、作業者は、指掛用凹部29に指先を入れ、被梱包物40の底部41に指を掛けることにより、被梱包物40を容器本体20から簡単に取り出すことができる。
【0026】
側壁部23には、容器本体20の外側面に相当する外周面23aと、収納凹部21を形成する内周面23bが形成されており、収納凹部21の開口部20a側には、開口部20aを形成する端面25が形成されている。端面25は、容器本体20の周縁を形成しており、容器本体20を蓋体30に被着した状態で、後述する蓋体30の頂壁部35に接触する。
【0027】
さらに、側壁部23には、端面25の内周側に、端面25に対して底壁部22側に凹んだ段付き受け部26が形成されている。段付き受け部26は、開口部20aに沿って形成されており、端面25を含む部分が、蓋体30側に突出した凸条の形状となる。段付き受け部26は、蓋体30の被着時に、後述する蓋体30の凹み部36を収容する。このようにして、後述する蓋体30を容器本体20に安定して係合させることができる。
【0028】
なお、後述する図8図9(a)に示すように、梱包容器1を上下方向に段積みするような使用をすることを想定した場合には、容器本体20に、底壁部22の底面22aが突出し、底面22aを周回するように係合凹部24が形成されていてもよい。係合凹部24を設けることにより、梱包容器1を上下方向に段積みした際に、上段の梱包容器1の底壁部22を、蓋体30の凹部31に入り込ませ、係合凹部24に、下段の梱包容器の蓋体30の頂壁部35を係合させることができる。
【0029】
蓋体30は、被梱包物40を覆うように、容器本体20に被着自在となっている。蓋体30は、非発泡樹脂からなる成形体であり、たとえば、上述したポリオレフィン系樹脂、または、ポリエステル系樹脂からなる。蓋体30は、真空成型、射出成型、または熱プレスにより成形される。
【0030】
蓋体30は、図5および図6に示すように、被梱包物40を収納した状態で、被梱包物40を覆う被覆部32が形成されている。被覆部32は、容器本体20の収納凹部21内において、底部収納部21aから飛び出した被梱包物40の外形に沿って形成されている。これにより、蓋体30には、凹部31が形成される。本実施形態では、被覆部32は、収納凹部21に収納された被梱包物40に対して隙間を有し、かつ、収納凹部21を形成する底壁部22の底面のうち、被梱包物40から露出した底面に当接するように形成されている。このように構成することにより、被梱包物40を、梱包容器1内において、気密な状態で収納することができる。
【0031】
より具体的には、被覆部32は、底壁部22の底面に当接する底部32cと、底部32cから被梱包物40を囲うように、被梱包物40の形状に応じて隆起した隆起部32bと、を有している。隆起部32bには、被梱包物40の上部42に対向する位置に上壁部32aが形成されている。
【0032】
蓋体30には、容器本体20の側壁部23の外周面23aを囲繞するように、外周面23aに係合した外壁部33が形成されている。蓋体30には、容器本体20の側壁部23の内周面23bに対向した位置に内壁部34がさらに形成されている。内壁部34は、側壁部23の内周面23bに沿って、周回するように形成された壁部であり、被覆部32に連続している。蓋体30は、外壁部33と内壁部34で側壁部23を挟み込むことにより、容器本体20の側壁部23に係合している。
【0033】
具体的には、図7に示すように、蓋体30には、容器本体20の収納凹部21の開口部20a側の端面25を覆う頂壁部35がさらに形成されている。頂壁部35は、開口部20aに沿った枠状の形状であり、外壁部33と内壁部34とを連結している。外壁部33は、頂壁部35の外周縁から底壁部22側に向かって、側壁部23の外周面23aに沿うように延在し、内壁部34は、頂壁部35の内周縁から底壁部22側に向かって、側壁部23の内周面23bに沿うように延在している。
【0034】
本実施形態では、頂壁部35の肉厚は、外壁部33および内壁部34の肉厚よりも厚くてもよい。これにより、蓋体30を容器本体20に被着した状態で、外壁部33よりも肉厚の厚い頂壁部35が、容器本体20の開口部20aの周りに配置されるため、容器本体20の開口部20aの周りの変形を抑えることができる。
【0035】
ここで、蓋体30を容器本体20に被着した状態で、収納凹部21の開口部20aから底壁部22に沿った方向において、外壁部33の長さL1は、内壁部34の長さL2以上であることが好ましい。本実施形態では、図5および図6に示すように、外壁部33の長さL1は、内壁部34の長さL2と同等または長さL2より長い。このような関係を満たすことにより、容器本体20に対して、蓋体30が浮き上がったとしても、蓋体30の外壁部33が、側壁部23に安定して係合するため、容器本体20に対して蓋体30が外れ難い。
【0036】
内壁部34には、容器本体20の段付き受け部26に接触するように、段付き受け部26の形状に応じた凹み部36が形成されている。蓋体30に凹み部36を設けることにより、蓋体30を介して、容器本体20の端面25ばかりでなく段付き受け部26においても、上方からの荷重を安定して受けることができる。なお、後述する図8図9(a)に示すように、梱包容器1を上下方向に段積みするような使用をすることを想定した場合には、段積み状態における上段の被梱包物40の荷重を、段付き受け部26において受けることができる。
【0037】
本実施形態では、容器本体20の端面25に、蓋体30の頂壁部35が接触するため、蓋体30の被覆部32と、容器本体20の底壁部22との間の空間は、気密な状態になる。さらに、蓋体30の凹み部36は、容器本体20の段付き受け部26に接触するため、このような気密な状態はさらに顕著なものになる。これにより、梱包容器1の外部から内部にコンタミなどの異物が浸入することを防止することができる。
【0038】
本実施形態では、外壁部33と、側壁部23の外周面23aとは、頂壁部35の近傍で係合(接触)している。この接触した位置よりも底壁部22側において、外壁部33と、側壁部23の外周面23aの間には、隙間が形成されており、この隙間は、底壁部22側に進むに従って大きくなっている。このような隙間を設けることにより、容器本体20から蓋体30を外す際に、外壁部33の下端部に指を掛けて、容器本体20から蓋体30を引き離し易くなる。
【0039】
ところで、蓋体30の被覆部32は、被梱包物40の外形に沿って形成され、蓋体30の被覆部32と、容器本体20の底壁部22との間の空間は気密であるため、本来ならば、容器本体20から蓋体30を引き離し難い。しかしながら、本実施形態では、外壁部33と、外周面23aとの隙間が、底壁部22側に進むに従って大きくなっているので、容器本体20から蓋体30を引き離そうとすると、外壁部33の下端部から、この隙間を介して、容器本体20の底壁部22との間に外気が流れ込み易い。この結果、容器本体20から蓋体30を容易に引き離すことができる。
【0040】
さらに、図7では、蓋体30の肉厚は略同じであるが、蓋体30は、開口部20a側に位置する部分(たとえば、上壁部32a)の肉厚が、底壁部側に位置する部分(たとえば、底部32c)の肉厚よりも厚くなっていてもよい。具体的な態様としては、底壁部22側に配置される部分から、開口部20a側に配置される部分に向かって、蓋体30の肉厚が傾斜的に厚くなっていてもよい。別の具体的な態様としては、底壁部22側に位置する部分から、開口部20a側に位置する部分に向かって、蓋体30の肉厚が段階的に厚くなってもよい。さらに、これらの2つの態様が、組み合わされてもよく、たとえば、底壁部22側に配置される部分から、開口部20a側に配置される部分に向かって、蓋体30の一部の肉厚が傾斜的に増加し、残りの部分が段階的に増加してもよい。これらのいずれの態様であっても、たとえば、開口部20a側に配置される部分である上壁部32aは、被梱包物40の上部42を覆うことになるが、この上壁部32aの肉厚が他の被覆部32の部分よりも厚くなるので、被梱包物40の上部42を、上方からの衝撃に対して保護することができる。
【0041】
本実施形態では、蓋体30には、被梱包物40と側壁部23との間に、凹部37Aが形成されている。具体的には、凹部37Aは、内壁部34と、隆起部32bとの間に形成されている。容器本体20から蓋体30を取り外す際には、作業者の指を凹部37Aに入れて、蓋体30の外壁部33と内壁部34とを掴むことができるため、蓋体30を容器本体20から容易に取り外すことができる。
【0042】
さらに、蓋体30には、被梱包物40、40同士の間に、凹部37Bが形成されている。具体的には凹部37Bは、隆起部32b、32bの間に形成されている。容器本体20から蓋体30を取り外す際には、作業者の指を凹部37Bに入れて、蓋体30の隆起部32bを掴むことができるため、蓋体30を容器本体20から容易に取り外すことができる。
【0043】
本実施形態では、梱包容器1は、単体で使用されてもよく、その場合には、容器本体20に蓋体30を被着した状態を確保することができるのであれば、容器本体20と蓋体30の位置関係(すなわち、梱包容器1の姿勢)は、特に限定されず、梱包容器1の保管方法および搬送方法等により、適宜設定することができる。梱包容器1を複数体使用する場合には、これらを個別に保管および搬送してもよいが、図8に示すように、複数の梱包容器1、1、…に対して、各梱包容器1は、蓋体30を上側にし、容器本体20を下側にして、上下方向に段積みされてもよい。図9(a)に示すように、容器本体20の底面22aを周回するように係合凹部24が形成されているので、梱包容器1を上下方向に段積みした際に、上段の容器本体20の底壁部22を、蓋体30の凹部31に入り込ませ、係合凹部24に、下段の梱包容器の蓋体30の頂壁部35を係合させることができる。
【0044】
ここで、梱包容器1は、段積みされた状態で、上段の容器本体20は、下段の蓋体30を介して下段の容器本体20の側壁部23で支持される。この状態で、下段の容器本体20に形成された収納凹部21の上方において、上段の容器本体20の底壁部22と下段の蓋体30とは、非接触状態になっている。
【0045】
本実施形態では、上段の底壁部22の底面22aと、下段の被覆部32の上壁部32aとの間に隙間が形成されている。より具体的には、図6に示すように、蓋体30の頂壁部35から上壁部32aまでの距離L4を、蓋体30の頂壁部35から凹み部36までの距離L3よりも、長くすることにより、上述した非接触状態を実現することができる。
【0046】
このようにして、梱包容器1を上下方向に段積みした際に、下段の容器本体20の側壁部23で、上段の被梱包物40の荷重を支持することができる。この荷重により、図10に示す如く、下段の容器本体20の側壁部23は、外側に膨らむように変形するが、蓋体30の外壁部33が側壁部23の外周面23aに当接する。これにより、蓋体30を容器本体20に拘束することができるため、段積みした状態であっても、蓋体30は、容器本体20から外れ難くなる。
【0047】
さらに、段積みした梱包容器1を、上から順に取り出す際に、容器本体20と蓋体30とは、樹脂製であるため、上段の梱包容器1を持ち上げると、下段の蓋体30が、上段の容器本体20に静電気で張り付き易い。しかしながら、下段の容器本体20に形成された収納凹部21の上方において、上段の容器本体20の底壁部22と下段の蓋体30とは、非接触状態になっているので、下段の蓋体30が、上段の容器本体20に張り付くことを抑制することができる。したがって、上段の梱包容器1とともに下段の蓋体30とが持ち上げられることを抑え、下段の容器本体20から下段の蓋体30が外れることを防止することができる。
【0048】
以上、本実施形態によれば、容器本体20に形成された収納凹部21に、被梱包物40を収納した状態で、容器本体20に蓋体30を被着することにより、梱包容器1で被梱包物40を梱包することができる。ここで、容器本体20は、発泡樹脂からなるが、容器本体20には、非発泡樹脂からなる蓋体30が被着されるため、被梱包物40とともに、容器本体20を蓋体30で保護することができる。
【0049】
さらに、非発泡樹脂からなる蓋体30が、被梱包物40を収納凹部21に収納した状態で被梱包物40を覆い、かつ、蓋体30の外壁部33が、容器本体20の側壁部23の外周面23aを囲繞しているので、梱包容器1に外力が作用したとしても、容器本体20の変形を蓋体30で拘束することができる。このような結果、容器本体20が発泡樹脂からなる場合であっても、梱包容器1の全体的な変形を抑制することができる。
【0050】
本実施形態によれば、外壁部33と内壁部34で、側壁部23を挟み込むことができるため、蓋体30を容器本体20の側壁部23に安定して係合させることができる。これにより、梱包容器1に外力が作用したとしても、容器本体20の側壁部23の変形を、蓋体30の外壁部33と内壁部34とで拘束し、蓋体30が容器本体20から外れることを抑制することができる。
【0051】
図11(a)~(c)は、変形例に係る梱包容器の断面図である。図11(a)に示す変形例では、蓋体30の外壁部33が、容器本体20の側壁部23の外周面23aの全体を覆っていてもよい。これにより、外周面23aの全体を蓋体30で保護することができる。この変形例では、外壁部33の長さL1は、内壁部34の長さL2より長いため、衝撃等により蓋体30が容器本体20から外れ難い。
【0052】
図11(b)に示す変形例では、上述した実施形態および変形例のものに比べて、外壁部33の長さL1が短い。この変形例では、容器本体20の高さHに対して、外壁部33の長さL1は、1/4程度(四分の一)であり、このような関係を満たすことにより、容器本体20から蓋体30が取り外し易くなる。
【0053】
このような効果を発現するには、容器本体20の高さHに対して、外壁部33の長さL1が、1/10~2/3の範囲に収まることが好ましい。さらに、図11(b)に示すように、外壁部33の長さL1は、内壁部34の長さと同程度であり、被覆部32の底部32cが、容器本体20の底壁部22から離間していてもよい。
【0054】
これに加えて、図11(c)に示すように、被覆部32に、蓋体30を把持するための把持部39を設けてもよい。この変形例では、把持部39は、その周りの部分を凹ませることにより、形成されているが、蓋体30を把持することができるのであれば、その構造は特に限定されるものではない。
【0055】
以上、本発明のいくつかの実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【0056】
本実施形態では、たとえば、2つの被梱包物を梱包する梱包容器を例示したが、その個数は特に限定されるものではない。また、図8に示すように、段積みした梱包容器において、下段の蓋体の被覆部と、上段の容器本体の底部とが、接触するものであってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1:梱包容器、20:容器本体、20a:開口部、21:収納凹部、22:底壁部、23:側壁部、23a:外周面、23b:内周面、30:蓋体、32:被覆部、33:外壁部、34:内壁部、35:頂壁部、40:被梱包物
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