(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087461
(43)【公開日】2023-06-23
(54)【発明の名称】ステントデリバリー装置
(51)【国際特許分類】
A61F 2/966 20130101AFI20230616BHJP
【FI】
A61F2/966
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201858
(22)【出願日】2021-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000200035
【氏名又は名称】SBカワスミ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】片山 貴博
(72)【発明者】
【氏名】福島 寛満
(72)【発明者】
【氏名】山辺 悦朗
(72)【発明者】
【氏名】小野塚 偉師
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA56
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB04
4C267BB10
4C267BB11
4C267BB12
4C267CC07
4C267CC08
4C267DD01
4C267EE01
4C267HH08
4C267HH09
(57)【要約】
【課題】生体適合性の高いステントデリバリー装置を提供する。
【解決手段】ステントデリバリー装置は、インナーシースと、インナーシースの周囲に装着されたステント(ステントグラフト)と、ステントグラフトよりも近位側に配設されたプッシャーと、インナーシース、ステントグラフト、及びプッシャーを径方向外側から覆うアウターシース31と、アウターシース31の基端部31aが取り付けられ、インナーシース及びプッシャーに対して摺動可能に取り付けられたコネクタ4と、を備える。コネクタ4は、本体部25と、本体部25に取り付けられるキャップ26と、を有し、本体部25と、キャップ26との間にアウターシース31の基端部31aが非接着で挟持されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インナーシースと、
前記インナーシースの周囲に装着されたステントと、
前記ステントよりも近位側に配設されたプッシャーと、
前記インナーシース、前記ステント、及び前記プッシャーを径方向外側から覆うアウターシースと、
前記アウターシースの基端部が取り付けられ、前記インナーシース及び前記プッシャーに対して摺動可能に取り付けられたコネクタと、を備え、
前記コネクタは、本体部と、本体部に取り付けられるキャップと、を有し、
前記本体部と、前記キャップとの間に前記アウターシースの前記基端部が非接着で挟持されていることを特徴とするステントデリバリー装置。
【請求項2】
前記アウターシースの前記基端部、前記コネクタの前記本体部における前記アウターシースの前記基端部に対する挟持部分、及び前記キャップにおける前記アウターシースの前記基端部に対する挟持部分には、それぞれ螺旋溝が形成されており、それぞれの前記螺旋溝が螺合している請求項1に記載のステントデリバリー装置。
【請求項3】
前記本体部には、前記キャップに向けて突出し、隣接する部位よりも小径に形成された突出部が設けられ、
前記キャップには、前記突出部が挿し込まれる穴が形成されており、
前記突出部の外周面に前記螺旋溝としての雄ねじが形成されており、
前記突出部の前記外周面に対向する前記穴の内周面に前記螺旋溝としての雌ねじが形成されている請求項2に記載のステントデリバリー装置。
【請求項4】
前記穴の前記内周面には、前記雌ねじよりも前記突出部の挿し込み先に設けられ、挿し込み方向に向かうにつれて狭まって形成された穴側縮径部が形成されており、
前記突出部の前記外周面には、前記雄ねじよりも前記突出部の挿し込み先に設けられ、挿し込み方向に向かうにつれて狭まって形成された突出部側縮径部が形成されており、
前記突出部が前記穴に挿し込まれた状態で、前記穴側縮径部と前記突出部側縮径部が前記アウターシースを介して当接している請求項3に記載のステントデリバリー装置。
【請求項5】
前記本体部には、軸心方向に貫通し、前記プッシャーが通された貫通孔と、前記貫通孔に交差して連通するフラッシュポートと、が形成されている請求項1から4のいずれか一項に記載のステントデリバリー装置。
【請求項6】
前記コネクタは、前記プッシャーに固定及び固定解除可能なロック機構を備え、
前記ロック機構は、前記本体部における前記キャップ側とは逆側に設けられており、
前記本体部の外周面に設けられたねじ部と、
ねじ部と螺合可能に構成された回動材と、
前記本体部の内部に設けられて、前記インナーシース及び前記プッシャーを挿通させる軟質材で形成された軟質リングと、によって構成されており、
前記回動材には、前記ねじ部にねじ込まれたときに前記軟質リングを直接的又は間接的に押圧させることが可能な内側突出部が形成されている請求項1から5のいずれか一項に記載のステントデリバリー装置。
【請求項7】
前記ロック機構は、前記本体部の内部に設けられ、硬質材で形成された硬質リングを更に備え、
前記硬質リングは、前記回動材の前記内側突出部と前記軟質リングとの間であって、前記回動材が前記ねじ部にねじ込まれたときに、前記内側突出部に当接する位置に配設されている請求項6に記載のステントデリバリー装置。
【請求項8】
前記軟質リングは、前記硬質リングよりも大きな厚さで形成されている請求項7に記載のステントデリバリー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用に用いられ、ステントを体内に送り出すステントデリバリー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療行為において、体内にステント(ステントグラフトを含む)等の留置具を送り出すステントデリバリー装置が用いられる。このようなものを体管(消化器管、血管等を含む。)内に送り出すために、ステントデリバリー装置のシースが体内に挿入される。このようなステントデリバリー装置によれば、シース内に保持されたステントを体内に留置することができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、ステントを体内にデリバリーする装置として、インナーシースと、アウターシースと、インナーシースとアウターシースとの間に設けられたステントと、操作部と、を備えるステントデリバリー装置(同文献にはステントデリバリーカテーテルと記載。)が開示されている。そして、同文献には、操作部を操作して、操作部に接続されたアウターシースを近位端側に移動してステントを露出させることについても開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された操作部とアウターシースとは、詳細な記載はないが、接着剤によって接着されて接続されていることが一般的である。
このため、接着剤によって接続された操作部とアウターシースとを備えるステントデリバリー装置の生体適合性について改善の余地があった。
【0006】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、生体適合性の高いステントデリバリー装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のステントデリバリー装置は、インナーシースと、前記インナーシースの周囲に装着されたステントと、前記ステントよりも近位側に配設されたプッシャーと、前記インナーシース、前記ステント、及び前記プッシャーを径方向外側から覆うアウターシースと、前記アウターシースの基端部が取り付けられ、前記インナーシース及び前記プッシャーに対して摺動可能に取り付けられたコネクタと、を備え、前記コネクタは、本体部と、本体部に取り付けられるキャップと、を有し、前記本体部と、前記キャップとの間に前記アウターシースの前記基端部が非接着で挟持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
アウターシースがコネクタの本体部とキャップとの間に挟持されていることで、コネクタに接着剤により接着されるものと比較して、生体適合性の高いステントデリバリー装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ステントデリバリー装置により、ステントグラフトを大動脈弓に留置している状態を示す模式図である。
【
図4】第1変形例に係るコネクタを示す断面図である。
【
図5】第2変形例に係るコネクタを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係るステントデリバリー装置(デリバリー装置1)について説明する。
なお、本実施形態で用いる図面は、本発明のステントデリバリー装置の構成、形状、各部材の配置を例示するものであり、本発明を限定するものではない。
また、図面は、ステントデリバリー装置(デリバリー装置1)の長さ、幅、高さといった寸法比を必ずしも正確に表すものではない。
なお、近位側(基端側)は、施術時に術者の近くに配置される側をいい、遠位側(先端側)は、施術時に術者の遠くに配置される側をいう。
また、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0011】
<概要>
本実施形態の説明に先立って、先ず、本実施形態に係るステントデリバリー装置(デリバリー装置1)の概要を、
図1から
図3を主に参照して説明する。
図1は、ステントデリバリー装置(デリバリー装置1)により、ステントグラフト2を大動脈弓50に留置している状態を示す模式図である。
図2は、デリバリー装置1の外観図、
図3は、コネクタ4周りを模式的に示す断面図である。
なお、
図3並びに後述する
図4及び
図5においては、インナーシース30及びプッシャー6の図示を省略している。
【0012】
本実施形態に係るステントデリバリー装置(デリバリー装置1)は、インナーシース30と、インナーシース30の周囲に装着されたステント(ステントグラフト2)と、ステントグラフト2よりも近位側に配設されたプッシャー6と、インナーシース30、ステントグラフト2、及びプッシャー6を径方向外側から覆うアウターシース31と、アウターシース31の基端部31aが取り付けられ、インナーシース30及びプッシャー6に対して摺動可能に取り付けられたコネクタ4と、を備える。コネクタ4は、本体部25と、本体部25に取り付けられるキャップ26と、を有し、本体部25と、キャップ26との間にアウターシース31の基端部31aが非接着で挟持されている。
【0013】
「ステント」は、本実施形態で説明する血管用のものにおいては、ステント部2aと樹脂製のグラフト部2bとを備えるステントグラフト2である。しかし、ステントは、このような構成に限定されず、例えば、呼吸器系、消化器系の体管に対して用いる場合には、グラフト部2bがなく、ステント部2aのみで構成されるものであってもよい。
【0014】
上記構成によれば、アウターシース31が、コネクタ4の本体部25とキャップ26との間に挟持されていることで、コネクタ4に不図示の接着剤により接着されるものと比較して、生体適合性を高めることできる。
【0015】
<全体構成>
デリバリー装置1は、ステントグラフト2を体内(体管内)に送り込むものであり、長尺のシース3(インナーシース30及びアウターシース31)と、シース3内に収容されたステントグラフト2と、ステントグラフト2の近位側の移動を制限するプッシャー6と、インナーシース30及びプッシャー6に対して摺動可能に取り付けられたコネクタ4と、を主に備える。
なお、本実施形態におけるデリバリー装置1によるステントグラフト2の留置箇所は、
図1に示す大動脈弓50内のうち、大動脈瘤40のある部位である。
【0016】
<各部の構成>
(ステントグラフト)
次に、デリバリー装置1の各部の構成について説明する。
本実施形態に係るステントグラフト2は、インナーシース30に取り付けられている。ステントグラフト2は、施術者が後述するコネクタ4を操作することで、コネクタ4に接続されたアウターシース31がインナーシース30に対して相対的に近位側に移動させられることにより、シース3から露出することになる。
【0017】
ステントグラフト2は、金属製(例えばニッケルチタン合金製)のステント部2aと、樹脂製のグラフト部2bと、から構成されている。グラフト部2b内に一部のステント部2aが網目状に配設されており、他の一部のステント部2aが先端部から延出してインナーシース30の先端部に取り付けられている。
【0018】
(シース)
シース3は、先端部に先端チップ5を備えるインナーシース30と、インナーシース30の外周を覆い、インナーシース30の軸方向に前進・退行可能に取り付けられたアウターシース31と、から構成されている。
本実施形態においては、インナーシース30にガイドワイヤ34が通されて、大動脈弓50にあるステントグラフト2の留置箇所に誘導される。本実施形態に係るインナーシース30及び後述するプッシャー6の近位端は、デリバリー装置1の基端部に設けられた把持部材9に固定されている。
【0019】
アウターシース31は、ステントグラフト2を覆う位置と、ステントグラフト2を露出させる位置とに、インナーシース30に対して軸方向に相対的に移動可能に構成されている。
【0020】
(プッシャー)
プッシャー6は、ステントグラフト2の近位側の移動を制限するものであり、径方向において、アウターシース31内に収容されたステントグラフト2に重なる位置に配設されている。
本実施形態においては、プッシャー6の内径は、インナーシース30の外径よりも大きく形成されており、プッシャー6の外径は、アウターシース31の内径よりも小さく形成されて、アウターシース31の内面から離間する大きさで形成されている。
【0021】
(コネクタ)
コネクタ4は、
図2及び
図3に示すように、本体部25と、本体部25に取り付けられるキャップ26と、を備えて、アウターシース31を挟持するものである。
本体部25の遠位端部には、隣接する部位よりも小径であり、先端側に突出する突出部25aが径方向の中央部に形成されている。突出部25aは、キャップ26に設けられた穴26aよりも小径に形成、又は穴26aよりも小径に弾性変形可能に形成されている。
【0022】
突出部25aの先端部の外周面25cには、全周回する嵌合突起25bが形成されている。この嵌合突起25bは、キャップ26の内周面26cに形成された円環溝26bに、アウターシース31の凹凸部31bとともに嵌合するものである。
【0023】
より具体的には、アウターシース31の凹凸部31bにおける内面側の凹部に、本体部25(突出部25a)の嵌合突起25bが径方向内側から嵌合し、キャップ26の円環溝26bに、アウターシース31の凹凸部31bにおける外面側の凸部が径方向内側から嵌合する。
また、突出部25aが穴26aに最も挿し込まれて、本体部25とキャップ26とが面接触するときに、嵌合突起25bが円環溝26bと対向する位置にあるように形成されている。
このような構成により、アウターシース31の基端部31aは、キャップ26と本体部25(突出部25a)との間に挟持されることになる。
【0024】
ここで、円環溝26bへの嵌合突起25b及び凹凸部31bの嵌合については、突出部25aにアウターシース31を被せた状態における凹凸部31bの最大径が、円環溝26bを除く穴26aの内径より大きければ嵌合することになる。
つまり、嵌合突起25bが弾性変形可能に形成されており、突出部25aの穴26aへの挿入時に、突出部25aにアウターシース31を被せた状態における凹凸部31bの最大径が、穴26aの内径と同じかそれよりも小さくなるならば、自然状態において円環溝26bを除く穴26aの内径より大きくてもよい。
【0025】
また、
図3に示すように、本体部25には、軸心方向に貫通し、プッシャー6(
図2参照)が通された貫通孔25dと、貫通孔25dに交差して連通するフラッシュポート25eと、が形成されている。
より具体的には、貫通孔25dは、
図3に示すように、本体部25の中央部分を通って形成され、突出部25aを貫通するように配設されている。
上記構成によれば、フラッシュポート25eを介して、貫通孔25dを通るプッシャー6とアウターシース31の間に潤滑液を供給することで、アウターシース31のプッシャー6に対する摺動を円滑にすることができる。
【0026】
(ロック機構)
コネクタ4は、プッシャー6に固定及び固定解除可能なロック機構8を備える。
ロック機構8は、本体部25におけるキャップ26側とは逆側に設けられている。ロック機構8は、本体部25の外周面25cに設けられたねじ部8aと、ねじ部8aと螺合可能に構成された回動材8bと、本体部25の内部に設けられて、インナーシース30及びプッシャー6を挿通させる軟質材で形成された軟質リング8cと、によって主に構成されている。
回動材8bには、ねじ部8aにねじ込まれたときに軟質リング8cを直接的又は間接的に押圧させることが可能な内側突出部8dが形成されている。本実施形態に係る軟質リング8cは、合成ゴムで形成されている。
【0027】
さらに、ロック機構8は、本体部25の内部に設けられ、硬質材で形成された硬質リング8eを備える。
硬質リング8eは、回動材8bの内側突出部8dと軟質リング8cとの間であって、回動材8bがねじ部8aにねじ込まれたときに、内側突出部8dに当接する位置に配設されている。
【0028】
具体的には、回動材8bをねじ部8aに最もねじ込んだときに内側突出部8dは、軟質リング8cの基端部に当接する後述する硬質リング8eに重なる位置にある。つまり、内側突出部8dは、硬質リング8eを介して軟質リング8cを軸方向に圧縮させ、径方向に拡張させる位置にある。
【0029】
上記構成によれば、回動材8bを本体部25にねじ込み、回動材8bの内側突出部8dで軟質リング8cを押し込むことで、軟質リング8cを径方向に拡張するように弾性変形させることができる。このため、軟質リング8cに通されたプッシャー6に、軟質リング8cを径方向内側に押圧できることで、プッシャー6を保持できる。
また、このような構成によれば、プッシャー6とコネクタ4の隙間から液体が漏れることを防止できる。
また、軟質リング8cと内側突出部8dとの間に硬質リング8eが介在されていることで、回動材8bをねじ部8aにねじ込む際の回動材8bの回動力によって軟質リング8cが回動することを抑制できる。
【0030】
しかしながらこのような構成に限定されず、ロック機構8は、硬質リング8eを備えない構成であってもよい。この場合には、回動材8bをねじ部8aに最もねじ込んだときに内側突出部8dが、軟質リング8cに重なる位置にあればよい。
【0031】
軟質リング8cは、硬質リング8eよりも大きな厚さで形成されている。
換言すると軟質リング8cは、硬質リング8eよりもアウターシース31の軸方向に長い長さで形成されている。
上記構成によれば、回動材8bに押し込まれたときの軟質リング8cの弾性変形量を大きくすることができ、プッシャー6へのコネクタ4の固定をより強固にすることができる。
【0032】
<第1変形例>
次に、第1変形例に係るコネクタ14について、
図4を主に参照して説明する。
図4は、第1変形例に係るコネクタ14を示す断面図である。
【0033】
本例に係るアウターシース31の基端部31a、コネクタ4の本体部35におけるアウターシース31の基端部31aに対する挟持部分、及びキャップ36におけるアウターシース31の基端部31aに対する挟持部分には、それぞれ螺旋溝31c、35b、36bが形成されている。そして、それぞれの螺旋溝31c、35b、36bが螺合している。
【0034】
より具体的には、アウターシース31の螺旋溝31cが、本体部35の螺旋溝35bに螺合しており、キャップ36の螺旋溝36bがアウターシース31の螺旋溝31cに螺合している。
【0035】
上記構成によれば、アウターシース31の基端部31a、及びコネクタ4における挟持部分のそれぞれに設けられた螺旋溝31c、35b、36bが螺合していることで、アウターシース31の基端部をより強固に挟持することができる。
【0036】
より具体的には、本体部35(の遠位端部)には、キャップ36に向けて突出し、隣接する部位よりも小径に形成された突出部35aが設けられている。キャップ36には、突出部35aが挿し込まれる穴36aが形成されている。突出部35aの外周面35cに螺旋溝35bとしての雄ねじ35dが形成されており、突出部35aの外周面35cに対向する穴36aの内周面36cに螺旋溝36bとしての雌ねじ36dが形成されている。
【0037】
より具体的には、突出部35aは、径方向の中央部に形成されており、先端側に突出している。突出部35aは、キャップ36に設けられた穴36aよりも小径に形成、又は穴36aよりも小径に弾性変形可能に形成されている。
【0038】
突出部35aの先端部の外周面35cに、螺旋溝35bが形成されている。この螺旋溝35bは、キャップ36の内周面36cに形成された螺旋溝36bに、アウターシース31の螺旋溝31cとともに螺合するものである。
上記構成によれば、隣接する部位よりも小径に形成された突出部35aと穴36aとが螺合することで、軸心方向に直交する方向に突出する構成となることを抑制して、コネクタ14全体としてコンパクトにすることができる。
<第2変形例>
次に、第2変形例に係るコネクタ24について、
図5を主に参照して説明する。
図5は、第2変形例に係るコネクタ24を示す断面図である。
【0039】
本例に係るキャップ36に形成された穴36aの内周面36cには、雌ねじ36dよりも突出部35aの挿し込み先に設けられ、挿し込み方向に向かうにつれて狭まって形成された穴側縮径部36eが形成されている。突出部35aの外周面35cには、雄ねじ35dよりも突出部35aの挿し込み先に設けられ、挿し込み方向に向かうにつれて狭まって形成された突出部側縮径部35eが形成されている。突出部35aが穴側縮径部36eに挿し込まれた状態で、穴側縮径部36eと突出部側縮径部35eがアウターシース31を介して当接している。
【0040】
「挿し込み方向に向かうにつれて狭まって形成された」について換言すると、挿し込み方向である先端側に向かうにつれて、アウターシース31に近付くようにコネクタ4の中心軸側に形成されていることをいう。
【0041】
上記構成によれば、雄ねじ35dと雌ねじ36dが螺合した先の位置で、穴側縮径部36eと突出部側縮径部35eがアウターシース31を介して当接していることで、栓のように機能して、本体部35及びキャップ36に対するアウターシース31の密着性を高めることができる。
つまり、突出部側縮径部35e及び穴側縮径部36eは、突出部側縮径部35eにねじ山が形成されていないことで、雄ねじ35dに沿って内部の液体が流れないように栓をする機能を有する。
【0042】
上記実施形態においては、デリバリー装置1は、体管としての血管内にステントグラフト2を留置するものとして説明したが、体管内に留置するものであれば、このような構成に限定されない。例えば、呼吸器系、消化器系その他の任意の器官系の体管(消化管等)内に留置するものであってもよい。例えば、デリバリー装置1は、内視鏡に通して用いられるものであってもよい。
【0043】
なお、本発明のデリバリー装置に係る各種構成要素は、個々に独立した存在である必要はない。複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
【0044】
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)
インナーシース(ガイドワイヤパッシングチューブのことです。)と、
前記インナーシースの周囲に装着されたステントと、
前記ステントよりも近位側に配設されたプッシャーと、
前記インナーシース、前記ステント、及び前記プッシャーを径方向外側から覆うアウターシースと、
前記アウターシースの基端部が取り付けられ、前記インナーシース及び前記プッシャーに対して摺動可能に取り付けられたコネクタと、を備え、
前記コネクタは、本体部と、本体部に取り付けられるキャップと、を有し、
前記本体部と、前記キャップとの間に前記アウターシースの前記基端部が非接着で挟持されていることを特徴とするステントデリバリー装置。
(2)
前記アウターシースの前記基端部、前記コネクタの前記本体部における前記アウターシースの前記基端部に対する挟持部分、及び前記キャップにおける前記アウターシースの前記基端部に対する挟持部分には、それぞれ螺旋溝が形成されており、それぞれの前記螺旋溝が螺合している(1)に記載のステントデリバリー装置。
(3)
前記本体部には、前記キャップに向けて突出し、隣接する部位よりも小径に形成された突出部が設けられ、
前記キャップには、前記突出部が挿し込まれる穴が形成されており、
前記突出部の外周面に前記螺旋溝としての雄ねじが形成されており、
前記突出部の前記外周面に対向する前記穴の内周面に前記螺旋溝としての雌ねじが形成されている(2)に記載のステントデリバリー装置。
(4)
前記穴の前記内周面には、前記雌ねじよりも前記突出部の挿し込み先に設けられ、挿し込み方向に向かうにつれて狭まって形成された穴側縮径部が形成されており、
前記突出部の前記外周面には、前記雄ねじよりも前記突出部の挿し込み先に設けられ、挿し込み方向に向かうにつれて狭まって形成された突出部側縮径部が形成されており、
前記突出部が前記穴に挿し込まれた状態で、前記穴側縮径部と前記突出部側縮径部が前記アウターシースを介して当接している(3)に記載のステントデリバリー装置。
(5)
前記本体部には、軸心方向に貫通し、前記プッシャーが通された貫通孔と、前記貫通孔に交差して連通するフラッシュポートと、が形成されている(1)から(4)のいずれか一項に記載のステントデリバリー装置。
(6)
前記コネクタは、前記プッシャーに固定及び固定解除可能なロック機構を備え、
前記ロック機構は、前記本体部における前記キャップ側とは逆側に設けられており、
前記本体部の外周面に設けられたねじ部と、
ねじ部と螺合可能に構成された回動材と、
前記本体部の内部に設けられて、前記インナーシース及び前記プッシャーを挿通させる軟質材で形成された軟質リングと、によって構成されており、
前記回動材には、前記ねじ部にねじ込まれたときに前記軟質リングを直接的又は間接的に押圧させることが可能な内側突出部が形成されている(1)から(5)のいずれか一項に記載のステントデリバリー装置。
(7)
前記ロック機構は、前記本体部の内部に設けられ、硬質材で形成された硬質リングを更に備え、
前記硬質リングは、前記回動材の前記内側突出部と前記軟質リングとの間であって、前記回動材が前記ねじ部にねじ込まれたときに、前記内側突出部に当接する位置に配設されている(6)に記載のステントデリバリー装置。
(8)
前記軟質リングは、前記硬質リングよりも大きな厚さで形成されている(7)に記載のステントデリバリー装置。
【符号の説明】
【0045】
1 デリバリー装置(ステントデリバリー装置)
2 ステントグラフト(ステント)
2a ステント部
2b グラフト部
3 シース
4、14、24 コネクタ
5 先端チップ
6 プッシャー
8 ロック機構
8a ねじ部
8b 回動材
8c 軟質リング
8d 内側突出部
8e 硬質リング
8f 収容穴
8g 貫通孔
9 把持部材
25 本体部
25a 突出部(挟持部分)
25b 嵌合突起
25c 外周面
25d 貫通孔
25e フラッシュポート
26 キャップ
26a 穴(挟持部分)
26b 円環溝
26c 内周面
30 インナーシース
31 アウターシース
31a 基端部
31b 凹凸部
31c 螺旋溝
34 ガイドワイヤ
35 本体部
35a 突出部(挟持部分)
35b 螺旋溝
35c 外周面
35d 雄ねじ
35e 突出部側縮径部
36 キャップ
36a 穴(挟持部分)
36b 螺旋溝
36c 内周面
36d 雌ねじ
36e 穴側縮径部
40 大動脈瘤
50 大動脈弓