(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087466
(43)【公開日】2023-06-23
(54)【発明の名称】硬貨処理装置及び貨幣取扱装置
(51)【国際特許分類】
G07D 9/02 20060101AFI20230616BHJP
G07D 11/14 20190101ALI20230616BHJP
G07D 11/22 20190101ALI20230616BHJP
【FI】
G07D9/02
G07D11/14
G07D11/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201863
(22)【出願日】2021-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】水沼 慶太郎
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA08
3E141FF06
3E141GA04
3E141LA07
(57)【要約】
【課題】硬貨出金部内の硬貨の検出精度を向上させる。
【解決手段】硬貨処理装置1は、排出口18を介して硬貨処理装置1内から排出される硬貨CNを収容する硬貨収容空間32を形成する出金トレイ20と、出金トレイ20内に残留する硬貨CNの有無を検出するための磁気センサ34とを設け、出金トレイ20は、底部としての底面22Dと、該底面22Dの四方に形成され、排出口18から排出された硬貨CNを底面22Dに向けて案内する斜面22とを有し、磁気センサ34は、底面22Dの近傍かつ排出口18側の斜面22(後斜面22B)に対し硬貨収容空間32の反対側である後側か、又は、底面22Dの近傍かつ排出口18とは逆側の斜面22(前斜面22F)に対し硬貨収容空間32の反対側である前側かの少なくとも何れか一方に設けられるようにする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出口を介して装置内から排出される硬貨を収容する空間を形成する出金トレイと、
前記出金トレイ内に残留する硬貨の有無を検出するための磁気センサと
を備え、
前記出金トレイは、
底部と、該底部の四方に形成され、前記排出口から排出された硬貨を前記底部に向けて案内する斜面とを有し、
前記磁気センサは、
前記底部の近傍かつ前記排出口側の前記斜面に対し前記空間の反対側である後側か、又は、前記底部の近傍かつ前記排出口とは逆側の前記斜面に対し前記空間の反対側である前側かの少なくとも何れか一方に設けられる
ことを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項2】
前記磁気センサは、前記硬貨を検知するための検知面が水平方向に対して前記空間側に傾斜するように設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項3】
前記排出口側の前記斜面は平面形状であり、
前記磁気センサは、前記排出口側の前記斜面よりも後側において、前記検知面が前記排出口側の前記斜面と略平行に設けられる
ことを特徴とする請求項2に記載の硬貨処理装置。
【請求項4】
前記排出口とは逆側の前記斜面は曲面形状である
ことを特徴とする請求項3に記載の硬貨処理装置。
【請求項5】
前記排出口側の前記斜面は平面形状であり、前記排出口とは逆側の前記斜面は曲面形状であり、
前記磁気センサは、前記排出口とは逆側の前記斜面よりも前側において、前記検知面に直交する方向が前記排出口側の前記斜面と略平行に設けられる
ことを特徴とする請求項2に記載の硬貨処理装置。
【請求項6】
前記磁気センサは、
前記硬貨処理装置において取り扱われる硬貨のうち最も直径が小さい最小径硬貨が前記排出口側の前記斜面にもたれかかったとき、前記検知面に直交する方向から見た際の前記検知面に対する前記最小径硬貨の投影面積の割合が、前記硬貨を検出可能となる所定割合以上となる位置に配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載の硬貨処理装置。
【請求項7】
前記磁気センサは、
前記硬貨処理装置において取り扱われる硬貨のうち最も直径が小さい最小径硬貨が前記排出口とは逆側の前記斜面にもたれかかったとき、前記検知面に直交する方向から見た際の前記検知面に対する前記最小径硬貨の投影面積の割合が、前記硬貨を検出可能となる所定割合以上となる位置に配置されている
ことを特徴とする請求項2又は請求項6に記載の硬貨処理装置。
【請求項8】
前記磁気センサは、
前記硬貨処理装置において取り扱われる硬貨のうち最も直径が大きい最大径硬貨が前記排出口側の前記斜面と前記排出口とは逆側の前記斜面とに当接した状態で前記底部よりも上側に浮いたとき、前記検知面に直交し該検知面から離れる方向に関し、前記最大径硬貨の少なくとも一部分が、前記硬貨を検出可能となる所定範囲内となる位置に配置されている
ことを特徴とする請求項2、請求項6又は請求項7の何れかに記載の硬貨処理装置。
【請求項9】
前記出金トレイは、前記排出口側の前記斜面から前記底部に向かって前記硬貨が案内される方向である前後方向に沿う断面が略V字形状である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかに記載の硬貨処理装置。
【請求項10】
硬貨を処理する硬貨処理装置と、紙幣を処理する紙幣処理装置とを有し、
前記硬貨処理装置は、
排出口を介して装置内から排出される硬貨を収容する空間を形成する出金トレイと、
前記出金トレイ内に残留する硬貨の有無を検出するための磁気センサと
を備え、
前記出金トレイは、
底部と、該底部の四方に形成され、前記排出口から排出された硬貨を前記底部に向けて案内する斜面とを有し、
前記磁気センサは、
前記底部の近傍かつ前記排出口側の前記斜面に対し前記空間の反対側である後側か、又は、前記底部の近傍かつ前記排出口とは逆側の前記斜面に対し前記空間の反対側である前側かの少なくとも何れか一方に設けられる
ことを特徴とする貨幣取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硬貨処理装置及び貨幣取扱装置に関し、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストア等のような小売店舗の精算所において使用される硬貨処理装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、レジ釣銭システムにおいては、POS(Point Of Sales)システム等に接続されたPOSレジに、紙幣や硬貨の入出金処理を行う釣銭機が組み合わされたものが普及している。この釣銭機のうち硬貨を処理する硬貨処理装置は、使用者から硬貨を投入される硬貨投入部と、硬貨を搬送する搬送部と、投入された硬貨の金種及び真偽を鑑別する認識部と、硬貨を金種毎に収納する収納部と、使用者へ出金すべき硬貨を釣銭として収納し使用者へ受け渡す硬貨出金部とを有するものがある。この硬貨出金部は、収納部から出金された硬貨を収容する硬貨トレイの底部に、該硬貨トレイ内の硬貨の残留を検知する磁気センサが配置されものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような硬貨処理装置においては、硬貨出金部の硬貨トレイに硬貨が残留している場合、硬貨トレイ内における硬貨の姿勢にかかわらず確実に硬貨を検出することが望まれている。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、硬貨出金部内の硬貨の検出精度を向上し得る硬貨処理装置及び貨幣取扱装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明の硬貨処理装置においては、排出口を介して装置内から排出される硬貨を収容する空間を形成する出金トレイと、出金トレイ内に残留する硬貨の有無を検出するための磁気センサとを設け、出金トレイは、底部と、該底部の四方に形成され、排出口から排出された硬貨を底部に向けて案内する斜面とを有し、磁気センサは、底部の近傍かつ排出口側の斜面に対し空間の反対側である後側か、又は、底部の近傍かつ排出口とは逆側の斜面に対し空間の反対側である前側かの少なくとも何れか一方に設けられるようにした。
【0007】
また本発明の貨幣取扱装置においては、硬貨を処理する硬貨処理装置と、紙幣を処理する紙幣処理装置とを設け、硬貨処理装置は、排出口を介して装置内から排出される硬貨を収容する空間を形成する出金トレイと、出金トレイ内に残留する硬貨の有無を検出するための磁気センサとを設け、出金トレイは、底部と、該底部の四方に形成され、排出口から排出された硬貨を底部に向けて案内する斜面とを有し、磁気センサは、底部の近傍かつ排出口側の斜面に対し空間の反対側である後側か、又は、底部の近傍かつ排出口とは逆側の斜面に対し空間の反対側である前側かの少なくとも何れか一方に設けられるようにした。
【0008】
これにより本発明は、様々な姿勢で収容された硬貨に対し、磁気センサの検知面と硬貨との硬貨投影面積を確保できると共に、磁気センサの検知可能領域内に硬貨の少なくとも一部分を含めることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、硬貨出金部内の硬貨の検出精度を向上し得る硬貨処理装置及び貨幣取扱装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】硬貨処理装置の外観構成を示す斜視図である。
【
図2】第1の実施の形態による硬貨出金部の構成(1)を示す平面図である。
【
図3】第1の実施の形態による硬貨出金部の構成(2)を示し、
図2におけるA-A矢視断面図である。
【
図4】第1の実施の形態による硬貨出金部における最小径硬貨及び硬貨投影面積を示し、後斜面に直交する方向で前側から見た斜視図である。
【
図5】第1の実施の形態による硬貨出金部において硬貨が底面から浮いた状態を示し、
図2におけるA-A矢視断面図である。
【
図6】第1の実施の形態による硬貨出金部における磁気センサの磁界を示し、
図2におけるA-A矢視断面図である。
【
図7】第2の実施の形態による硬貨出金部の構成(1)を示す平面図である。
【
図8】第2の実施の形態による硬貨出金部の構成(2)を示し、
図7におけるA-A矢視断面図である。
【
図9】第2の実施の形態による硬貨出金部における異物と磁気センサの磁界とを示し、
図7におけるA-A矢視断面図である。
【
図10】第1の比較例の硬貨出金部の構成を示す平面図である。
【
図11】第1の比較例の硬貨出金部において硬貨が検出できない状態を示す平面図である。
【
図12】第2の比較例の硬貨出金部において硬貨が検出できない状態(1)を示す平面図である。
【
図13】第2の比較例の硬貨出金部において硬貨が検出できない状態(2)を示し、
図12におけるA-A矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1-1.硬貨処理装置の構成]
図1に示すように、第1の実施の形態による硬貨処理装置1は、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストアのような小売店舗の精算所(いわゆるレジ)に設置されてPOSレジスタ等に接続されており、顧客が購入したい商品を精算する際に、顧客(以下では使用者とも呼ぶ)により操作される。以下では、硬貨処理装置1のうち使用者が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、該前側に対峙した使用者から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。また硬貨処理装置1の左側又は右側には、紙幣を取り扱う図示しない紙幣処理装置が設置されている。
【0012】
硬貨処理装置1は、制御部(図示せず)を有している。この制御部は、CPU(Central Processing Unit)によってROM(Read Only Memory)や記憶部(図示せず)等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、硬貨に関する種々の処理を制御する。
【0013】
また硬貨処理装置1は、主に、硬貨投入部10、入金搬送部12、出金搬送部14及び硬貨出金部16が設けられている。因みに硬貨は、一般的な硬貨と同様、ニッケル、銅、アルミニウム等の金属又はこれらの合金やその組み合わせでなり、薄い板状に形成されている。以下では、硬貨処理装置1において取り扱われる硬貨のうち、最も直径が短い硬貨である例えば1円玉硬貨を最小径硬貨とも呼び、最も直径が長い硬貨である例えば500円玉硬貨を最大径硬貨とも呼ぶ。
【0014】
硬貨投入部10は、硬貨処理装置1の前側における上段右寄りに設けられている。この硬貨投入部10は、使用者により入金された硬貨を取り込んで1枚ずつ分離し入金搬送部12へ繰り出す。入金搬送部12は、硬貨を搬送しつつ認識部により硬貨の真偽及び金種を鑑別すると共に計数し、該硬貨を金種別に収納部へ搬送して収納させる。出金搬送部14は、商品代金の精算に伴う使用者による入金に対する釣銭金額分の硬貨が収納部から繰り出されるとこれを硬貨出金部16へ搬送する。
【0015】
硬貨出金部16は、硬貨処理装置1の前側における上段左寄りに設けられている。この硬貨出金部16は、上方が開口した形状であり、前面から使用者がアクセス可能に配置されている。硬貨出金部16は、使用者へ出金すべき硬貨が出金搬送部14により搬送されてくると、該硬貨を釣銭として収容する。
【0016】
かかる構成において硬貨処理装置1は、使用者により硬貨投入部10から入金された硬貨を取り込んで内部の収納部に収納すると共に、硬貨を収納部から繰り出し、これを硬貨出金部16から釣銭として出金する。
【0017】
[1-2.硬貨出金部の構成]
[1-2-1.出金トレイの構成]
図2及び
図3に示すように、硬貨出金部16は、硬貨を収容させる空間である硬貨収容空間32が形成され上方が開口する出金トレイ20を有している。出金トレイ20における後端部の上側には、出金搬送部14から搬送された硬貨を出金トレイ20へ排出させる排出口18(
図1)が設けられている。出金トレイ20は、全体として左右方向の中央部を軸として左右対称であり、底面22D、前斜面22F、後斜面22B、左斜面22L及び右斜面22Rにより構成されている。以下では、前斜面22F、後斜面22B、左斜面22L及び右斜面22Rをまとめて斜面22とも呼ぶ。
【0018】
底面22Dは、水平方向に沿う平面視で長方形の平面板であり、前後方向(奥行方向)の長さが0[mm]以上で例えば最大径硬貨の厚さの1枚程度分となっており、左右方向の長さが例えば最大径硬貨の直径程度となっている。
【0019】
前斜面22Fは、その下端部と底面22Dの前端部とが接続されて上端部が上方向へ延設されており、前方向へ向かって凹むように湾曲する曲面形状となっている。具体的に前斜面22Fは、底面22Dの前端部から前方へ向かって水平方向に対し後斜面22Bよりも小さい傾斜角度で徐々に上方向へ向かって湾曲し、最上部においてはほぼ鉛直方向に沿っている。このため前斜面22Fは、硬貨処理装置1の正面に正対した使用者が硬貨収容空間32内へ指先を入れてから曲げて出金トレイ20に収容された硬貨CNを掻き出す際の、指先の移動軌跡とほぼ同様の形状となっている。硬貨CNは、前斜面22Fに当接すると、底面22Dへ向かって自重で滑り落ちる。またこの前斜面22Fは、使用者が向く方向と同様に前方を向いているため、使用者からは後斜面22Bよりも目視しにくくなっている。
【0020】
後斜面22Bは、その下端部と底面22Dの後端部とが接続されて、上端部が後方向へ向かうに連れて上方向へ傾斜する平面形状となっている。また後斜面22Bは、底面22Dを挟んで前斜面22Fと前後方向に対向し、底面22Dに対する後斜面22Bの傾斜角度は、30~45[°]程度となっている。硬貨CNは、後斜面22Bに当接すると、底面22Dへ向かって自重で滑り落ちる。
【0021】
左斜面22Lは、その下端部と底面22Dの左端部とが接続されて、上端部が左方向へ向かうに連れて上方向へ傾斜する平面形状となっている。また底面22Dに対する左斜面22Lの傾斜角度は、30~45[°]程度となっている。硬貨CNは、左斜面22Lに当接すると、底面22Dへ向かって自重で滑り落ちる。
【0022】
右斜面22Rは、その下端部と底面22Dの右端部とが接続されて、上端部が右方向へ向かうに連れて上方向へ傾斜する平面形状となっている。また右斜面22Rは、底面22Dを挟んで左斜面22Lと左右方向に対向し、底面22Dに対する右斜面22Rの傾斜角度は、30~45[°]程度となっている。硬貨CNは、右斜面22Rに当接すると、底面22Dへ向かって自重で滑り落ちる。
【0023】
硬貨出金部16は、出金トレイ20におけるこれら底面22D、前斜面22F、後斜面22B、左斜面22L及び右斜面22Rによって囲まれた空間に、上方が開口する硬貨収容空間32が形成されており、出金搬送部14から硬貨収容空間32に硬貨を非整列状態で一括で受け入れる。上述したように、各斜面22の水平方向に対する角度は、硬貨CNが自重で滑り落ちることができる角度となっている。
【0024】
また出金トレイ20は、前斜面22F、後斜面22B及び底面22Dの左右方向の中央部を通り前後方向に沿う断面が英大文字の略「V」のような形状となっている。このように出金トレイ20は、平面視で底面22Dの四方を囲うように、底面22Dに対し傾斜して外側へ向かって立ち上がる斜面22を形成している。このため出金トレイ20は、出金搬送部14から払い出され斜面22に当接した硬貨CNが中央の底面22Dに集まりやすい形状となっている。また出金トレイ20は、底面22Dの前後方向(奥行方向)の幅が狭く、前後方向に沿う断面が英大文字の「V」のような形状であるため、前後方向に関し狭い領域に集中して硬貨CNを集めるように収容できる。
【0025】
[1-2-2.磁気センサの構成]
さらに硬貨出金部16は、出金トレイ20の後斜面22Bの下端部近傍の背面側に、出金トレイ20の左右方向の中央部を軸として左右対称となるように左右方向に並んで2個の磁気センサ34が配置されている。磁気センサ34は、コイル自体又はコイルを巻き付けたコアを有しており、
図6に示すように、コイルが発生させる磁界36に金属製の硬貨CNが入り込み磁界36が変化したことを検知し、検知結果を制御部へ送出する。すなわち、硬貨CNは、出金搬送部14から払い出されると出金トレイ20の後斜面22B上に沿いながら底面22Dに向かって落下していく。このとき、収容された硬貨CNが磁気センサ34の磁界36を変化させることで磁気センサ34が硬貨CNを検知する。制御部は、磁気センサ34から取得した検知結果に基づき、硬貨収容空間32内における硬貨CNの有無を判定し、硬貨出金部16に払い出された硬貨CNが残留して取り忘れられているか否かを判断する。
【0026】
磁気センサ34は、コイルの一端側端部に沿う仮想的な平面であり、コイルが発生させる磁界36の磁束にほぼ直交する検知面34Sが形成されている。また磁気センサ34は、検知面34Sの水平方向に対する傾斜角度が後斜面22Bとほぼ同一であり、検知面34Sが後斜面22Bと平行となるように配置されている。このため磁気センサ34は、硬貨CNを検知するための検知面34Sが水平方向に対して硬貨収容空間32側に傾斜するように設けられている。さらに磁気センサ34は、
図3に示すように、その中心軸Aが、後斜面22Bにおける、底面22Dと後斜面22Bとの接点よりも僅かに後側を通過する位置に配置されている。
【0027】
この磁気センサ34には、
図5に示すように、磁界36の強さに応じ、検知面34Sから、該検知面34Sに対し直交しかつ該検知面34Sから離れる方向に関する所定の範囲である検知可能領域38が存在する。このため磁気センサ34は、検知面34Sから検知可能領域38よりも離隔した位置にある硬貨CNについては、磁界36が弱まっているため検知できない。
【0028】
また
図4に示すように、検知面34Sに直交する方向から見た際に検知面34Sと硬貨CNとが重なる、ハッチングを付した領域を、硬貨投影領域40とし、該硬貨投影領域40の面積を硬貨投影面積とする。磁気センサ34は、検知面34Sの面積に対する硬貨投影面積の割合である硬貨投影面積割合が一定割合未満である硬貨CNについては、十分な量の磁束が硬貨CNと交差しないため検知できない。
【0029】
また磁気センサ34は、左右方向に並んだ2個で1組の磁気センサ34のうち、何れかの磁気センサ34における硬貨投影面積割合が一定割合以上であれば、該磁気センサ34において硬貨CNを検知可能である。さらに磁気センサ34は、左右方向に並んだ2個で1組の磁気センサ34において、一方の磁気センサ34における硬貨投影面積割合と、他方の磁気センサ34における硬貨投影面積割合とを足した割合が一定割合以上であった場合も、磁気センサ34において硬貨CNを検知可能である。
【0030】
このように磁気センサ34は、検知可能領域38内に少なくとも一部分が位置しており、かつ、硬貨投影面積割合が一定割合以上である硬貨CNを検知可能である。
【0031】
また、直径の異なる硬貨CNが同じ姿勢及び収容位置にある場合は硬貨CNの直径が小さいほど硬貨投影面積は小さくなるため、硬貨投影面積に関しては、最小径硬貨CNsが、磁気センサ34が最も検知しにくい硬貨CNとなる。さらに、1組の磁気センサ34は、出金トレイ20の左右方向の中央部を軸として左右対称となるように左右方向に並んで2個配置されている。このため、底面22Dにおける左右両側に位置している硬貨CNよりも、磁気センサ34同士の間において底面22Dにおける左右中央部に位置している硬貨CNの方が、硬貨投影面積割合は小さくなる傾向にある。
【0032】
これに対し、
図4に、底面22Dと後斜面22Bとの接点に下端部が当接し後斜面22Bに盤面を当接させるようにもたれかかった姿勢の最小径硬貨CNs1を示す。磁気センサ34は、底面22Dにおける左右中央部において下端部が当接し後斜面22Bに盤面を当接させるようにもたれかかった姿勢の最小径硬貨CNs1であっても、硬貨投影面積割合が一定割合以上を確保する位置及び傾きで配置されている。このため磁気センサ34は、底面22Dにおける何れの位置に下端部が当接し後斜面22Bにもたれかかった姿勢の硬貨CNであっても検知できる。
【0033】
また
図4に、底面22Dに下端部が当接し前斜面22Fにもたれかかった姿勢の最小径硬貨CNs2を示す。磁気センサ34は、底面22Dにおける左右中央部において下端部が当接し前斜面22Fにもたれかかった姿勢の最小径硬貨CNs2であっても、硬貨投影面積割合が一定割合以上を確保する位置及び傾きで配置されている。このため磁気センサ34は、底面22Dにおける何れの位置に下端部が当接し前斜面22Fにもたれかかった姿勢の硬貨CNであっても検知できる。
【0034】
さらに、硬貨CNの直径が大きいほど、前後方向に対向する斜面22又は左右方向に対向する斜面22の間において底面22Dに対して高い位置で硬貨CNが引っ掛かってしまう傾向にある。このため検知可能領域38については、最大径硬貨CNlが、磁気センサ34が最も検知しにくい硬貨CNとなる。
【0035】
これに対し、
図5に、前端部を前斜面22Fに、後端部を後斜面22Bにそれぞれ当接させた状態で底面22Dと平行に水平方向に沿う姿勢で引っ掛かった最大径硬貨CNlを示す。磁気センサ34は、底面22Dよりも上側に浮いた状態で引っ掛かった姿勢の最大径硬貨CNlの少なくとも一部分が検知可能領域38内に含まれるように配置されている。このため磁気センサ34は、底面22Dよりも上側に浮いた状態で引っ掛かった姿勢の最大径硬貨CNlを検知できる。
【0036】
[1-3.効果等]
ところで、
図2と対応する部材に同一符号を付した
図10及び
図11に示すような、第1の比較例の硬貨出金部216が考えられる。硬貨出金部216は、硬貨出金部16(
図2)と比較して、出金トレイ20に代えて出金トレイ220が設けられていると共に、磁気センサ34に代えて磁気センサ234が設けられている点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0037】
出金トレイ220は、出金トレイ20と比較して、斜面222における底面222Dの前後左右の長さが最小径硬貨CNsの半径程度であり底面22Dよりも長く形成されている。また磁気センサ234は、底面22Dの真下において検知面34Sが底面22Dと平行となるように水平方向に沿った状態で配されている。この硬貨出金部216においては、
図11に示すように、底面222Dと前斜面22Fとの接点に下端部が当接し後斜面22Bにもたれかかった姿勢の硬貨CNと、底面222Dと後斜面22Bとの接点に下端部が当接し後斜面22Bにもたれかかった姿勢の硬貨CNとは、磁気センサ234に対し平面視で前後に離れて位置している。このため硬貨出金部216においては、磁気センサ234の検知面34Sと硬貨CNとの硬貨投影面積を十分に確保できない場合がある。よって硬貨出金部216においては、出金トレイ220に収容された硬貨CNを検知できない領域が存在してしまった。その場合、出金トレイ220に硬貨CNが残留しているか否かを正確に判定できない可能性があった。
【0038】
これを解決するために、磁気センサ234の出力を大きくすることが考えられる。しかしながらその場合、コストアップにつながってしまう。
【0039】
一方、磁気センサ234の出力を大きくせずに解決する構成として、
図2及び
図10と対応する部材に同一符号を付した
図12に示すような、第2の比較例の硬貨出金部316が考えられる。硬貨出金部316は、硬貨出金部216(
図10)と比較して、出金トレイ220に代えて、硬貨出金部16(
図2)と同様の出金トレイ20が設けられている。この硬貨出金部316は、底面22Dと前斜面22Fとの接点に下端部が当接し後斜面22Bにもたれかかった姿勢の硬貨CNと、底面22Dと後斜面22Bとの接点に下端部が当接し後斜面22Bにもたれかかった姿勢の硬貨CNとを平面視で出金トレイ20の前後方向の中央部に寄せて、平面視で磁気センサ234の検知面34Sに近接させるようにしている。これにより硬貨出金部316は、硬貨出金部216と比較して、磁気センサ234の検知面34Sと硬貨CNとの硬貨投影面積を確保できる。このため硬貨出金部316は、硬貨出金部216と比較して、出金トレイ20に収容された硬貨CNを検知できない領域を小さくすることができる。
【0040】
しかしながら硬貨出金部316においては、
図12及び
図13に示すように、例えば最大径硬貨CNl等、比較的直径が大きい硬貨CNが、前斜面22Fと後斜面22Bとに引っ掛かって底面22Dに当接せず該底面22Dに対して平行な状態で収容されてしまう可能性がある。硬貨出金部316は、底面22Dの面積が底面222D(
図10)よりも狭くなっているため、前後方向に対向する斜面22である前斜面22Fと後斜面22Bとの間隔と、左右方向に対向する斜面22である左斜面22Lと右斜面22Rとの間隔とは、硬貨出金部216と比較して、底面22Dに対して互いに同一の高さの位置の場合は狭くなる。このため硬貨出金部316は、硬貨出金部216と比較して、底面22Dに対して高い位置で硬貨CNが、前後方向に対向する斜面22又は左右方向に対向する斜面22の間に引っ掛かってしまう傾向にある。よって硬貨出金部316においては、底面22Dから磁気センサ234の検知可能領域38よりも上側の領域外において斜面22に引っ掛かって留まった姿勢の硬貨CNを検出できず、出金トレイ20に収容された硬貨CNを検知できない領域が存在した。
【0041】
これに対し硬貨出金部16は、出金トレイ20を前後方向に沿う断面が英大文字の略「V」字形状とすると共に、底面22Dの近傍かつ後斜面22Bの背面側に検知面34Sが後斜面22Bと平行の状態で磁気センサ34を配置するようにした。
【0042】
このため硬貨出金部16は、底面22Dにおける何れの位置に下端部が当接し後斜面22B又は前斜面22Fにもたれかかった姿勢の硬貨CNであっても、磁気センサ34において一定割合以上の硬貨投影面積割合を確保し検知できる。また硬貨出金部16は、底面22Dよりも上側に浮いた状態で引っ掛かった姿勢の硬貨CNであっても検知可能領域38内に含むようにし磁気センサ34において検知できる。
【0043】
このように硬貨出金部16は、硬貨出金部216及び316と比較して、出金トレイ20に収容された硬貨CNを検知できない領域を小さくすることができ、磁気センサ34の検知可能範囲を広げることができる。このため硬貨出金部16は、様々な姿勢で収容される種々の硬貨CNを磁気センサ34により精度良く検知できる。かくして硬貨出金部16は、出金トレイ20からの硬貨CNの取り忘れを防止できる。
【0044】
以上の構成によれば硬貨処理装置1は、排出口18を介して硬貨処理装置1内から排出される硬貨CNを収容する硬貨収容空間32を形成する出金トレイ20と、出金トレイ20内に残留する硬貨CNの有無を検出するための磁気センサ34とを設け、出金トレイ20は、底部としての底面22Dと、該底面22Dの四方に形成され、排出口18から排出された硬貨CNを底面22Dに向けて案内する斜面22とを有し、磁気センサ34は、底面22Dの近傍かつ排出口18側の斜面22(後斜面22B)に対し硬貨収容空間32の反対側である後側か、又は、底面22Dの近傍かつ排出口18とは逆側の斜面22(前斜面22F)に対し硬貨収容空間32の反対側である前側かの少なくとも何れか一方に設けられるようにした。
【0045】
これにより硬貨処理装置1は、様々な姿勢で収容された硬貨CNに対し、磁気センサ34の検知面34Sと硬貨CNとの硬貨投影面積を確保できると共に、磁気センサ34の検知可能領域38内に硬貨CNの少なくとも一部分を含めることができる。
【0046】
[2.第2の実施の形態]
[2-1.硬貨処理装置の構成]
図1に示すように、第2の実施の形態による硬貨処理装置101は、第1の実施の形態による硬貨処理装置1と比較して、硬貨出金部16に代えて硬貨出金部116が設けられている点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0047】
[2-2.硬貨出金部の構成]
図2、
図3及び
図6と対応する部材に同一符号を付した
図7、
図8及び
図9に示すように、第2の実施の形態による硬貨出金部116は、第1の実施の形態による硬貨出金部16と比較して、磁気センサ34に代えて磁気センサ134が設けられている点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0048】
磁気センサ134は磁気センサ34と同様の構成であるものの、出金トレイ20に対する配置が異なっている。2個の磁気センサ134は、出金トレイ20の前斜面22Fの下端部近傍の前面側に、出金トレイ20の左右方向の中央部を軸として左右対称となるように左右方向に並んで配置されている。
【0049】
磁気センサ134は、
図8に示すように、検知面34Sが水平方向に対し傾斜しており、コイルの中心軸A、すなわち検知面34Sに直交する方向が後斜面22Bと略平行となるように配置されている。またこの中心軸Aは、後斜面22Bよりも硬貨収容空間32側を通過している。このため磁気センサ314は、検知面34Sが水平方向に対して硬貨収容空間32側に傾斜するように設けられている。
【0050】
また磁気センサ134は、底面22Dにおける左右中央部において下端部が当接し後斜面22Bに盤面を当接させるようにもたれかかった姿勢の最小径硬貨CNsであっても、硬貨投影面積割合が一定割合以上を確保する位置及び傾きで配置されている。このため磁気センサ134は、底面22Dにおける何れの位置に下端部が当接し後斜面22Bにもたれかかった姿勢の硬貨CNであっても検知できる。
【0051】
また磁気センサ134は、底面22Dにおける左右中央部において下端部が当接し前斜面22Fにもたれかかった姿勢の最小径硬貨CNsであっても、硬貨投影面積割合が一定割合以上を確保する位置及び傾きで配置されている。このため磁気センサ134は、底面22Dにおける何れの位置に下端部が当接し前斜面22Fにもたれかかった姿勢の硬貨CNであっても検知できる。
【0052】
さらに磁気センサ134は、底面22Dよりも上側に浮いた状態で引っ掛かった姿勢の最大径硬貨CNl(図示せず)の少なくとも一部分が検知可能領域38内に含まれるように配置されている。このため磁気センサ134は、底面22Dよりも上側に浮いた状態で引っ掛かった姿勢の硬貨CNを検知できる。
【0053】
このように硬貨出金部116は、前斜面22Fの下端部近傍の前面側に磁気センサ134を配置するようにした。このため硬貨出金部116は、
図9に示すように、使用者からは目視しにくい、硬貨収容空間32から硬貨CNを掬い上げるときに初めに触りやすい箇所である、底面22Dから前斜面22Fに向かって数[mm]~10数[mm]程度の範囲に対し、画鋲、カッターの刃や金属片等、金属類の異物42がいたずらで貼り付けられた場合、磁界36が変化するため、使用者が使用する前に予め磁気センサ134により該異物42を検知できる。これにより硬貨出金部116は、使用者の怪我の防止や防犯対策を行うことができる。
【0054】
その他、第2の実施の形態による硬貨処理装置101は、第1の実施の形態による硬貨処理装置1と同様の作用効果を奏し得る。
【0055】
[3.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、出金トレイ20における前斜面22Fと後斜面22Bとの間に水平方向に沿う底面22Dが存在する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば、出金トレイを、水平方向に沿う底面22Dが存在せず前斜面22Fの下端部と後斜面22Bの下端部とが直接接続する、左右中央部を通り前後方向に沿う断面が英大文字の略「V」のような形状としても良い。この場合、前斜面22Fと後斜面22Bとが当接する箇所は、底面ではなく、左右方向に沿う辺となる。このような構造の出金トレイの場合、該出金トレイの底部は、前斜面22Fと後斜面22Bとが接続する「V」字形状の頂点箇所となる。また断面略「V」字形状の場合、前斜面22Fと後斜面22Bとが接続する箇所に湾曲形状を形成しても良い。さらに、出金トレイを、水平方向に沿う底面が存在せず、左右方向の中央部を通り前後方向に沿う断面が英大文字の略「U」のような形状としても良い。このような構造の出金トレイの場合、該出金トレイの底部は、断面U字形状において湾曲する曲面部分となる。
【0056】
また上述した第1の実施の形態においては、前斜面22Fが曲面形状であり後斜面22Bが平面形状である場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば、前斜面22Fが平面形状で後斜面22Bが曲面形状でも良い。但し、磁気センサ34におけるコイルと金属(硬貨CN)との距離が近い方が検知に有利であるため、磁気センサ34は平面形状の斜面22の近傍に配置することが好ましい。また、前斜面22F及び後斜面22Bの両方とも平面形状でも良い。さらに、前斜面22F及び後斜面22Bの両方とも曲面形状でも良い。第2の実施の形態においても同様である。
【0057】
さらに上述した第1の実施の形態においては、検知面34Sが後斜面22Bと平行となるように磁気センサ34を配置する場合について述べた。本発明はこれに限らず、検知面34Sが後斜面22Bと平行とは異なる方向に沿うように磁気センサ34を配置しても良い。その場合、検知面34Sを水平方向に対し後斜面22Bと平行に近付く傾斜角度で傾斜させることにより、底面22Dよりも上側に浮いた状態で引っ掛かった姿勢の硬貨CNが検知可能領域38内に含まれるようにしやすくすることが好ましい。第2の実施の形態においても、水平方向に対する検知面34Sの傾斜角度を他の種々の値としても良い。
【0058】
さらに上述した第1の実施の形態においては、左右方向に並んで2個の磁気センサ34を配置する場合について述べた。本発明はこれに限らず、1個の磁気センサ34を配置したり、3個以上の磁気センサ34を左右方向又は任意の方法で並べて配置したりしても良い。第2の実施の形態においても同様である。
【0059】
さらに上述した第1の実施の形態においては、出金トレイ20の後斜面22Bの下端部近傍の背面側に磁気センサ34を配置し、第2の実施の形態においては、出金トレイ20の前斜面22Fの下端部近傍の前面側に磁気センサ134を配置する場合について述べた。本発明はこれに限らず、出金トレイ20の後斜面22Bの下端部近傍の背面側に磁気センサ34を配置し、されに、出金トレイ20の前斜面22Fの下端部近傍の前面側に磁気センサ134を配置しても良い。さらに、左斜面22Lの下端部近傍の左側や、右斜面22Rの下端部近傍の右側にも、磁気センサ34を配置しても良い。第2の実施の形態においても同様である。
【0060】
さらに上述した実施の形態においては、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等のレジ精算所において使用されるPOSレジスタ等に接続され硬貨の入出金処理を行う硬貨処理装置1又は101に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、銀行内において使用される自動テラー現金預払機(窓口端末)等の銀行員が使用する端末等、種々の装置に本発明を適用しても良い。
【0061】
さらに上述した実施の形態においては、紙幣処理装置と共に設置される硬貨処理装置1又は101に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば紙幣処理装置と共に設置されず単独で設置される硬貨処理装置1又は101に本発明を適用しても良い。
【0062】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態にも本発明の適用範囲が及ぶものである。また、本発明は、上述した各実施の形態及び上述した他の実施の形態のうち任意の実施の形態に記載された構成の一部を抽出し、上述した実施の形態及び他の実施の形態のうちの任意の実施の形態の構成の一部と置換・転用する場合や、該抽出された構成の一部を任意の実施の形態に追加する場合にも本発明の適用範囲が及ぶものである。
【0063】
さらに上述した実施の形態においては、出金トレイとしての出金トレイ20と、磁気センサとしての磁気センサ34又は134とによって、硬貨処理装置としての硬貨処理装置1又は101を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる出金トレイと、磁気センサとによって、硬貨処理装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、硬貨等の媒体を搬送すると共に判別する種々の搬送装置でも利用できる。
【符号の説明】
【0065】
1、101……硬貨処理装置、10……硬貨投入部、12……入金搬送部、14……出金搬送部、16、116、216、316……硬貨出金部、18……排出口、20、220……出金トレイ、22D、222D……底面、22F……前斜面、22B……後斜面、22L……左斜面、22R……右斜面、22……斜面、32……硬貨収容空間、34、134、234……磁気センサ、34S……検知面、36……磁界、38……検知可能領域、40……硬貨投影領域、42……異物、CN……硬貨、CNs……最小径硬貨、CNl……最大径硬貨、A……中心軸。