(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008751
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】熱伝導性シート
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20230112BHJP
C09J 133/04 20060101ALI20230112BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J133/04
C09J11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174576
(22)【出願日】2021-10-26
(31)【優先権主張番号】P 2021110139
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005980
【氏名又は名称】三菱製紙株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉城 武宣
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA10
4J004AB01
4J004FA04
4J004FA08
4J040DF021
4J040HA116
4J040HA156
4J040HA166
4J040JB09
4J040LA08
4J040NA17
4J040NA19
(57)【要約】
【課題】熱抵抗が低く、かつリワーク性の高い熱伝導性シートを提供する。
【解決手段】
アクリル粘着剤、熱伝導性フィラー、およびフェノール性水酸基含有樹脂を含有する第一の熱伝導層とアクリル粘着剤を含有する第二の熱伝導層を少なくとも有し、該第一の熱伝導層と該第二の熱伝導層の厚みの合計が25μm以下である熱伝導性シート。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル粘着剤、熱伝導性フィラー、およびフェノール性水酸基含有樹脂を含有する第一の熱伝導層とアクリル粘着剤を含有する第二の熱伝導層を少なくとも有し、該第一の熱伝導層と該第二の熱伝導層の厚みの合計が25μm以下である熱伝導性シート。
【請求項2】
前記第二の熱伝導層がさらにフェノール性水酸基含有樹脂を含有することを特徴とする前記請求項1記載の熱伝導性シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パソコン、携帯電話、PDAなどの電子機器や、LED、ELなどの照明および表示機器など、種々の装置の放熱に利用される熱伝導性シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、演算素子や発光素子の著しい性能向上に伴い、パソコン、携帯電話、PDAなどの電子機器や、LED、ELなどの照明および表示機器などの性能向上は著しい。一方、演算素子や発光素子の性能向上に伴いこれらの発熱量も著しく増加していることから、電子機器、照明および表示機器などにおける放熱をどのように行うかは重要な課題となっている。熱対策として、演算素子や発光素子の発生する熱をできるだけ迅速に広い面積に拡散させて放熱する方法は冷却効率を上げることを目的としたもので、積極的に冷却をするものではないが、携帯電話やパソコンなどの小型電子機器や照明等における冷却方法としては最も現実的なものである。特に熱伝導性フィラーと共にバインダーとしてアクリル粘着剤を含有する熱伝導性シートは簡易に貼るだけで、冷却効果を得ることでき、かつ同時に発熱材料や放熱材料等の被着体を接着できる簡便性を有している。
【0003】
上記アクリル粘着剤を含有する熱伝導性シートで上記した被着体を貼合する際、組み立て時の位置ズレを修正するために、簡便に剥がせて、再取り付けができる、いわゆるリワーク性が求められる場合がある。しかし、強度が低い被着体を貼合する場合、一度貼合に失敗すると引き剥がしが非常に困難になり、無理に引き剥がそうとすると被着体が破損してしまう問題があった。
【0004】
リワーク性向上のため、熱伝導性シートの表裏での粘着力を異なるようすることが提案されており、例えば特許文献1では特定の付加反応硬化型のシリコーン組成物の硬化物を含有する層と、かかる層とは別の組成を有する付加反応硬化型のシリコーン組成物の硬化物を含有する層を積層することが提案されている。また特許文献2ではアクリル系ポリウレタン樹脂を主体とするバインダー樹脂、無官能性アクリルポリマー、熱伝導性充填剤および難燃剤を含有する表面層および裏面層を有し、表面層および裏面層の粘着力を特定することで、密着性と取扱い性を改善する方法が提案されている。さらに特許文献3では、タック性の異なる粘着性熱伝導層と非粘着性熱伝導層を積層した熱伝導性シートが提案されている。しかしながら、電子機器や表示機器の高性能化により、より熱抵抗が低く、リワーク性の高い熱伝導性シートが求められていた。
【0005】
他方、特許文献4には厳しいリフロー条件に曝された場合であっても、高いパッケージ信頼性を達成できる組成物として、アクリル共重合体、エポキシ系熱硬化性樹脂、およびフェノール性水酸基を有する化合物を含有する粘接着剤組成物が記載され、特許文献5には高いタック性と、長期間使用後の被着体に対する離型性を併せ持ち、更に高い熱伝導性を有する熱伝導性シートとして、特定の温度範囲にて液状であるポリブテン、離型剤、およびフェノール性水酸基を複数有する化合物で硬化させたポリ(メタ)アクリル酸エステル系高分子化合物の架橋硬化物を含有する組成物を含む熱伝導性シートが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-234112号公報
【特許文献2】特開2010-93077号公報
【特許文献3】特開2015-79948号公報
【特許文献4】特開2007-314604号公報
【特許文献5】特開2012-38763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
熱伝導性シートの熱抵抗を低くするには、熱伝導性シートの厚みを薄くすること、あるいは熱伝導性シートが含有する熱伝導性フィラーの割合を上げることが効果的であるが、一般的に熱伝導性シートは厚みが薄くなると熱伝導層の粘着力が低下することが多く、さらに熱伝導性フィラーの割合を上げるとその傾向は一層大きくなるため、より熱抵抗が低く、かつリワーク性の高い熱伝導性シートを得ることは困難であった。
【0008】
本発明の目的は、熱抵抗が低く、かつリワーク性の高い熱伝導性シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の構成の熱伝導性シートによって解決できることを見出した。
【0010】
(1)アクリル粘着剤、熱伝導性フィラー、およびフェノール性水酸基含有樹脂を含有する第一の熱伝導層とアクリル粘着剤を含有する第二の熱伝導層を少なくとも有し、該第一の熱伝導層と該第二の熱伝導層の厚みの合計が25μm以下である熱伝導性シート。
(2)前記第二の熱伝導層がさらにフェノール性水酸基含有樹脂を含有することを特徴とする前記(1)記載の熱伝導性シート。
【発明の効果】
【0011】
本発明によって、熱抵抗が低く、かつリワーク性の高い熱伝導性シートを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の熱伝導性シートの一例を示す側面概略図
【
図2】本発明の熱伝導性シートの一作製工程を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の熱伝導性シートの一例を示す側面概略図である。本発明の熱伝導性シート100は熱伝導層を2層有し、
図1に示した熱伝導性シートでは、第一の熱伝導層20と、第二の熱伝導層30とを有する。さらに本発明の熱伝導シート100は、第一の熱伝導層20の第二の熱伝導層30と接していない面側に離型フィルム10を有し、第二の熱伝導層30の第一の熱伝導層20と接していない面側に離型フィルム40を有する熱伝導性シート101とすることが好ましい。
【0014】
<第一の熱伝導層>
本発明の熱伝導性シート100が有する第一の熱伝導層20はアクリル粘着剤、熱伝導性フィラー、およびフェノール性水酸基含有樹脂を含有する。
【0015】
本発明において第一の熱伝導層20が含有する熱伝導性フィラーとしては0.8W/m・K以上の熱伝導率を有する無機フィラーが好適であり、具体的な熱伝導性フィラーとしては水酸化アルミニウム、アルミナ、酸化亜鉛、無水炭酸マグネシウム、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ダイヤモンド、珪藻土、二酸化珪素などが挙げられる。これらの中から少なくとも1種、あるいは複数種を組み合わせることもできるが、中でも水酸化アルミニウム、アルミナ、および酸化亜鉛を併せて含有することは、低い熱抵抗を得る上で好ましい。熱伝導性フィラーの好ましいメジアン径は0.1~10μmであり、異なるメジアン径を有する複数種の熱伝導性フィラーを混合して用いることが好ましい。なお、本発明で使用する熱伝導性フィラーのメジアン径は、例えばレーザー散乱式粒度分布計を用いて測定することができる。
【0016】
水酸化アルミニウムはバイヤー法などで製造された公知のものを用いることができる。水酸化アルミニウムの形状は特には限定されず、針状、棒状、板状、球状などを挙げることができる。水酸化アルミニウムの好ましい市販品としては、日本軽金属(株)製のBF13STM、BE043や、昭和電工(株)製のハイジライト(登録商標)H-42などが挙げられる。
【0017】
アルミナはαアルミナ、βアルミナ、γアルミナなどがあり、いずれの結晶形を有するアルミナを用いてもよいが、化学的安定性の観点からはαアルミナが好ましい。また、アルミナは破砕された破砕アルミナであってもよく、球状である球状アルミナであってもよい。破砕アルミナは、例えば、一軸破砕機、二軸破砕機、ハンマークラッシャーまたはボールミルなどを用いて、塊状のアルミナを破砕することにより得られる。破砕アルミナは一般的に安価であることから、本発明においてアルミナを熱伝導性フィラーとして用いる場合、破砕アルミナを用いることが好ましい。アルミナの好ましい市販品としては、例えば、日本軽金属(株)製LS-110FやLS-710C、(株)アドマテックス製A2-SM-C8などが挙げられる。
【0018】
酸化亜鉛は、特開2014-193808号公報記載の臭化アンモニウム存在下で焼成する方法や、特開2001-342021号公報記載の酸化亜鉛と炭酸ガスとを溶液中で反応させ、得られた塩基性炭酸塩を固液分離して焼成する方法など、公知の方法を用いて製造されたものを用いることができる。酸化亜鉛は、その粒径分布において均一なものを得る必要がある場合や、粗大粒子を除去するために、粉砕あるいは篩などによる分級を施したものであってもよい。粉砕方法は特に限定されず、例えば、アトマイザーを挙げることができる。また篩による分級方法としては、湿式分級、乾式分級を挙げることができる。また、酸化亜鉛の形状は特には限定されず、針状、棒状、板状、球状などを挙げることができる。酸化亜鉛の好ましい市販品としては堺化学工業(株)製LPZINC(登録商標)2や、ハクスイテック(株)製DW-4や小粒径焼成亜鉛華などが挙げられる。
【0019】
本発明において第一の熱伝導層20が含有することができる熱伝導性フィラーにはシランカップリング剤による表面処理など公知の処理を単独あるいは複数を組み合わせて施すことができる。
【0020】
熱伝導性フィラーの表面処理に好ましく使用することができるシランカップリング剤としては、モノマーあるいはオリゴマーのいずれであってもよい。かかるモノマーとしては、具体的には、R1
qSi(OR2)4-qの構造式で示される化合物を例示することができ、ここで、qは1~3の整数であり、R1は活性水素を有する基(例えばアミノ基、メルカプト基、ウレイド基など)、重合性反応基(例えばビニル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、スチリル基など)、活性水素と反応し得る基(例えばエポキシ基、イソシアネート基など)、アルキル基(直鎖状、分岐状および環状のいずれでもあってもよく、炭素原子数が2~18の範囲内にあることが好ましい)、およびフェニル基が挙げられ、OR2はメトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基から選択される基であり、qが1~2の場合(OR2が2個以上の場合)、OR2は同一であっても異なっていてもよい。
【0021】
上記したシランカップリング剤のうち、アミノ基を有するシランカップリング剤、ビニル基を有するシランカップリング剤、アルキル基を有するシランカップリング剤などが好ましい。
【0022】
アミノ基を有するシランカップリング剤の例としては、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミンおよびN-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0023】
ビニル基を有するシランカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシランおよびビニルトリエトキシシランなどのビニルシランなどが挙げられ、アルキル基を有するシランカップリング剤の例としてはヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、デシルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
【0024】
熱伝導性フィラーのシランカップリング剤による表面処理の方法は、乾式法、湿式法のいずれであってもよい。
【0025】
本発明の熱伝導性シート100が有する第一の熱伝導層20において、熱伝導性フィラーが占める体積割合は、低すぎると熱抵抗が高くなり、高すぎると粘着力が低くなる場合があるため、好ましくは35~50体積%である。これにより、熱抵抗が低く、かつリワーク性の高い熱伝導性シートを得ることができる。なお、熱伝導層において熱伝導性フィラーが占める体積割合は、使用する各熱伝導性フィラーの質量をそれぞれの密度で割ったものの合計値と、熱伝導性シートの各構成成分の質量をそれぞれの密度で割ったものの合計値との比率である。
【0026】
本発明の熱伝導性シート100が有する第一の熱伝導層20が含有するアクリル粘着剤としては、アクリルモノマーを含む複数のモノマー成分を重合したアクリル共重合体を用いることができる。使用できるモノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有モノマーまたはその無水物(例えば無水マレイン酸など)、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの炭素数が1~20の直鎖または分岐状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸3-メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4-エトキシブチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、アリルアルコールなどのヒドロキシル基(水酸基)含有モノマー、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有モノマー、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有モノマー、アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー、N-ビニル-2-ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリンの他、N-ビニルピリジン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルピリミジン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルオキサゾールなどの複素環含有ビニル系モノマー、ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有モノマー、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルフォスフェートなどのリン酸基含有モノマー、シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有モノマー、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマーなどが挙げられる。これらアクリル共重合体の中でもカルボキシル基を含有しないアクリル共重合体を用いることが好ましい。
【0027】
本発明で用いるアクリル粘着剤は粘着付与剤を含有することができる。粘着付与剤としては、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンの未変性ロジンをアルコールなどでエステル化したロジンエステルや、未変性ロジンを変性した不均化ロジン、重合ロジン、水添ロジンなどの変性ロジン、これら変性ロジンを更にアルコールなどでエステル化した不均化ロジンエステル、重合ロジンエステル、水添ロジンエステルなどの変性ロジンエステル、ジペンテン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、酸変性テルペン樹脂、スチレン化テルペン樹脂などのテルペン系樹脂、石油樹脂などが挙げられる。粘着付与剤は単独でも複数を組み合わせて用いてもよく、ロジン系粘着付与剤とテルペン系粘着付与剤を組み合わせて用いることもできる。粘着付与剤の量はアクリル共重合体に対して5~100質量%の範囲で用いることができる。
【0028】
本発明の熱伝導性シート100が有する第一の熱伝導層20が含有するアクリル粘着剤としては、上述したようなアクリル共重合体と粘着付与剤を含有した市販品を用いてもよい。アクリル粘着剤の市販品としては、例えば日本カーバイド(株)製KP-2563、KP-2565、KP-2610、DIC(株)製ファインタック(登録商標)CT-6030、CT-3850、CT-4010、CT-5020、東洋インキ(株)製オリバイン(登録商標)BPS5978、BPS6574OSなどが挙げられる。
【0029】
本発明の熱伝導性シート100が有する第一の熱伝導層20はフェノール性水酸基含有樹脂を含有する。本発明においてフェノール性水酸基含有樹脂とは、フェノール性水酸基を含有する高分子化合物を意味し、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(ザイロック樹脂)、ロジン変性フェノール樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価フェノール化合物)、ビフェニル変性ナフトール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価ナフトール化合物)、アミノトリアジン変性フェノール樹脂(メラミン、ベンゾグアナミンなどでフェノール核が連結された多価フェノール化合物)やアルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂(ホルムアルデヒドでフェノール核およびアルコキシ基含有芳香環が連結された多価フェノール化合物)等の多価フェノール化合物が挙げられる。これらフェノール性水酸基含有樹脂の中では、十分な粘着力を得る観点から、カルボキシル基を有さないフェノール性水酸基含有樹脂が好ましい。かかるフェノール性水酸基含有樹脂は市販品を用いてもよく、例えばDIC(株)製フェノライト(登録商標)TD-2090、KA-1163、VH-4150、VH-4170、群栄化学工業(株)製PSM-4300、明和化成(株)製H-100が挙げられる。
【0030】
本発明の熱伝導性シート100が有する第一の熱伝導層20における、アクリル粘着剤とフェノール性水酸基含有樹脂の体積比率は使用する樹脂の種類にもよるが、95:5~40:60が好ましく、より好ましくは90:15~70:30である。第一の熱伝導層20におけるフェノール性水酸基含有樹脂の含有量が少なすぎるとリワーク性が劣り、多すぎると粘着力が劣る場合がある。
【0031】
本発明においてアクリル粘着剤の凝集力をより一層向上させ、安定した熱抵抗を得る上で、第一の熱伝導層20は前述したアクリル粘着剤と共に架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤としては、イソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、金属キレート架橋剤、アジリジン架橋剤などを例示することができる。
【0032】
更に本発明の熱伝導性シート100が有する第一の熱伝導層20は可塑剤を含有することができる。第一の熱伝導層20における可塑剤の含有量は、第一の熱伝導層20が含有する全有機成分に対し1~15質量%であることが好ましく、より好ましくは1~12質量%である。可塑剤としては、例えばフタル酸ジエチル、フタル酸ジ-n-ブチル、フタル酸ジ-n-ヘプチル、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)、フタル酸ジ-n-オクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸n-ブチルベンジル、イソフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジ-n-ブチル、イソフタル酸ジ-n-ヘプチル、イソフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)、イソフタル酸ジ-n-オクチル、イソフタル酸ジイソノニル、イソフタル酸ジイソデシル、イソフタル酸ジトリデシル、イソフタル酸n-ブチルベンジル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸ジ-n-ブチル、テレフタル酸ジ-n-ヘプチル、テレフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)、テレフタル酸ジ-n-オクチル、テレフタル酸ジイソノニル、テレフタル酸ジイソデシル、テレフタル酸ジトリデシル、テレフタル酸n-ブチルベンジルなどのフタル酸エステル系可塑剤;アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジ-n-オクチル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシルなどのアジピン酸エステル系可塑剤;リン酸トリエチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリフェニル、リン酸トリス(2-エチルヘキシル)、リン酸トリキシリルなどのリン酸エステル系可塑剤;トリメリット酸トリス(2-エチルヘキシル)、トリメリット酸トリ-n-オクチル、トリメリット酸トリイソデシルなどのトリメリット酸エステル系可塑剤;二塩基酸(例えば、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸)および二価アルコール(例えば、グリコール)などから合成される低分子量ポリエステルを主として含むポリエステル系可塑剤などの汎用の可塑剤を用いることができ、中でもリン酸エステル系可塑剤を用いることが難燃剤としても働くことから好ましい。
【0033】
本発明の熱伝導性シート100が有する第一の熱伝導層20は可塑剤として下記の一般式で示される酸性リン酸エステル化合物を含有することができる。
【0034】
【0035】
式中R3はアルキル基またはアルケニル基を表す。また式中lは0以上の整数を表し、mは1もしくは2を表す。
【0036】
前記した一般式で示される酸性リン酸エステル化合物の中でも、lは0~5であることが好ましく、R3として炭素数が3~20の直鎖あるいは分岐したアルキル基を有する酸性リン酸エステル化合物が特に好ましく、この具体例としては、l=0の酸性リン酸エステル化合物としてはリン酸モノイソブチル、リン酸モノイソデシル、リン酸モノオレイル、リン酸モノ2-エチルヘキシル、リン酸ジブチル、リン酸ジオレイルなどが挙げられ、lが1以上の酸性リン酸エステル化合物としては、lが2、mが2、R3がC12~15のアルキルであるポリオキシエチレンエーテルリン酸、lが4、mが2、R3がC12~15のアルキルであるポリオキシエチレンエーテルリン酸などが挙げられる。また、前記した一般式で示される酸性リン酸エステル化合物の市販品としては例えばl=0の酸性リン酸エステル化合物ではDP-4、AP-10(大八化学工業(株)製)、lが1以上の酸性リン酸エステル化合物ではニッコール(登録商標)DDP-2、DDP-4(日光ケミカルズ(株)製)、などが挙げられる。
【0037】
本発明の熱伝導性シート100が有する第一の熱伝導層20は、更に、界面活性剤、金属石鹸、難燃剤など公知の物質を含有することができる。また、該第一の熱伝導層20は、多孔体状や発泡体状ではなく、また泡やボイドなどの欠陥を含んでいないことが熱伝導の観点で好ましく、密度が1.5以上あることが好ましい。
【0038】
<第二の熱伝導層>
本発明の熱伝導性シート100が有する第二の熱伝導層30はアクリル粘着剤を含有する。
【0039】
第二の熱伝導層30が含有するアクリル粘着剤は、上述した第一の熱伝導層20で用いるアクリル粘着剤と同様のものを用いることができる。また、第一の熱伝導層20と同様に、アクリル粘着剤の凝集力をより一層向上させ、安定した熱抵抗を得る上で、第二の熱伝導層30はアクリル粘着剤と共に架橋剤を含有することが好ましく、上述した第一の熱伝導層20と同様の架橋剤を用いることができる。
【0040】
第二の熱伝導層30は、さらにフェノール性水酸基含有樹脂を含有することが好ましい。これにより、より強い粘着力を得ることができる。フェノール性水酸基含有樹脂としては、上述した第一の熱伝導層が含有するフェノール樹脂と同様のものを用いることができる。第二の粘着層30におけるアクリル粘着剤とフェノール性水酸基含有樹脂の体積比率は95:5~80:20が好ましい。フェノール性水酸基含有樹脂が多すぎると、特に難接着性物質(例えばグラファイトシート)への初期の密着が悪くなる場合がある。
【0041】
本発明の熱伝導性シート100が有する第二の熱伝導層30は熱伝導性フィラーを含有することが好ましい。熱伝導性フィラーとしては、上述した第一の熱伝導層と同様のものを用いることができる。また、第一の熱伝導層と同様にシランカップリング剤で表面処理した熱伝導性フィラーを用いることもできる。
【0042】
本発明の第二の熱伝導層30において、熱伝導性フィラーが占める体積割合は30体積%以下であることが好ましく、さらに好ましくは15~25体積%であり、上述した第一の熱伝導層における熱伝導性フィラーの占める体積割合より低いことが好ましい。これにより第二の熱伝導層30の粘着力を高め、前述した第一の熱伝導層の粘着力との差を大きくし、リワーク性の高い熱伝導性シートを得ることができる。
【0043】
更に本発明の熱伝導性シート100が有する第二の熱伝導層30は第一の熱伝導層20と同様に可塑剤を含有することができる。第二の熱伝導層30における可塑剤の含有量は、第二の熱伝導層30が含有する全有機成分に対して1~15質量%であることが好ましい。
【0044】
本発明の熱伝導性シート100が有する第二の熱伝導層30は、更に、界面活性剤、金属石鹸、難燃剤など公知の物質を含有することができる。また、該第二の熱伝導層30は、多孔体状や発泡体状ではなく、また泡やボイドなどの欠陥を含んでいないことが熱伝導の観点で好ましく、密度が1.5以上あることが好ましい。
【0045】
本発明の熱伝導性シート100には、さらに種々目的に応じて、第一の熱伝導層20と第二の熱伝導層30の間にPETフィルムやPPフィルム等の基材や第一の熱伝導層20および第二の熱伝導層30とは別の熱伝導層を設けたり、熱伝導性シート100の片面あるいは両面に粘着層や電気絶縁層等の公知の機能層を設けたりすることもできるが、第一の熱伝導層20は、リワーク性の高い熱伝導性シート100を得る観点から、熱伝導性シート100の最外層であることが好ましい。
【0046】
本発明の熱伝導性シート100が有する第一の熱伝導層と第二の熱伝導層の厚みの合計は25μm以下であり、好ましくは10~20μmである。第一の熱伝導層と第二の熱伝導層の厚みの合計が25μmより厚いと熱抵抗が大きくなり、薄すぎると安定的に製造することが困難になる場合がある。第一の熱伝導層20と第二の熱伝導層30の厚みの比は30:70~70:30であることが好ましい。
【0047】
本発明の熱伝導性シート100を作製する方法を説明するにあたり、
図2を用いる。前述した第一の熱伝導層20が含有する各種成分と共に有機溶剤を含有する塗液を離型フィルム10上に塗布、乾燥し熱伝導性シート200を作製し、また別に第二の熱伝導層30が含有する各種成分と共に有機溶剤を含有する塗液を離型フィルム40上に塗布、乾燥し熱伝導性シート300を作製する。次に、熱伝導性シート200と熱伝導性シート300を、第一の熱伝導層20と第二の熱伝導層30が接するよう貼合することで、熱伝導性シート100に離型フィルム10と離型フィルム40が貼合された熱伝導性シート101を作製することができる(
図2)。
【0048】
前記した離型フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムやポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルムなどの樹脂フィルム、あるいはその表面にシリコーン離型剤など公知の離型剤を塗布した離型フィルムが例示される。離型フィルム40の剥離強度は30mN/25mm以下であることが好ましく、離型フィルム10の剥離強度は110mN/25mm以下であることが好ましい。なお、本発明において、離型フィルムの剥離強度は日東電工(株)製31Bテープを用い、90°剥離法で測定した値である。
【実施例0049】
以下に本発明を実施例により更に詳細に示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、熱伝導性シートにおける各構成成分の含有量を算出するにあたり、各構成成分の密度は以下の値を用いた。酸化亜鉛5.6、アルミナ3.9、水酸化アルミニウム2.42、アクリル粘着剤1.19、フェノール性水酸基含有樹脂1.25、酸性リン酸エステル化合物1.8、イソシアネート架橋剤1.0、シランカップリング剤0.9。
【0050】
「熱伝導性シート1の作製」
(株)シンキー製攪拌機AR250に下記の第一熱伝導層塗液1を投入し、撹拌モードで10分間撹拌した。得られた塗液を離型フィルム(アイム(株)製RF1・PET38-CS002、剥離強度65mN/25mm)に乾燥膜厚が7.5μmとなるように塗布し、90℃で4分間乾燥して、第一の熱伝導層を形成させた。
【0051】
<第一熱伝導層塗液1>
BF13STM(日本軽金属(株)製水酸化アルミニウム、メジアン径1.88μm)
0.90g
DW-4(ハクスイテック(株)製酸化亜鉛、メジアン径4.24μm) 1.80g
LS-110F(日本軽金属(株)製アルミナ、メジアン径3.58μm) 13.0g
LS-710C(日本軽金属(株)製アルミナ、メジアン径1.53μm) 6.20g
KBM3103C(信越化学(株)製シランカップリング剤) 0.80g
ファインタックCT-6030(DIC(株)製アクリル粘着剤、固形分46質量%)
15.6g
フェノライトTD-2090(DIC(株)製フェノールノボラック樹脂、固形分100%) 1.88g
バーノックDN(DIC(株)製イソシアネート架橋剤、固形分75質量%)
0.018g
酢酸エチルを加えて全量を55gとした。
【0052】
次に(株)シンキー製攪拌機AR250に下記の第二熱伝導層塗液1を投入し、撹拌モードで10分間撹拌した。得られた塗液を離型フィルム(アイム(株)製RF2・PET50-CS14EX、剥離強度21mmN/25mm)に乾燥膜厚が7.5μmとなるように塗布し、90℃で4分間乾燥して、第二の熱伝導層を形成させた。得られた第一の熱伝導層塗布済み離型フィルムと第二の熱伝導層塗布済み離型フィルムをそれぞれの熱伝導層が接するように貼合し、熱伝導性シート1を得た。なお、熱伝導性シート1の第一の熱伝導層における熱伝導性フィラーが占める体積割合は40体積%であり、第二の熱伝導層における熱伝導性フィラーが占める体積割合は40体積%である。また第一の熱伝導層におけるアクリル粘着剤とフェノール性水酸基含有樹脂の体積比率は80:20である。
【0053】
<第二熱伝導層塗液1>
BF13STM 0.80g
DW-4 1.86g
LS-110F 17.7g
LS-710C 7.50g
KBM3103C 0.40g
ファインタックCT-6030 26.0g
バーノックDN 0.024g
ニッコールDDP-2(日光ケミカルズ(株)製酸性リン酸エステル化合物)0.30g
酢酸エチルを加えて全量を55gとした。
【0054】
「熱伝導性シート2の作製」
第一熱伝導層塗液として、下記の第一熱伝導層塗液2を用いる以外は熱伝導性シート1の作製と同様にして、熱伝導性シート2を作製した。なお、熱伝導性シート2の第一の熱伝導層における熱伝導性フィラーが占める体積割合は40体積%である。また第一の熱伝導層におけるアクリル粘着剤とフェノール性水酸基含有樹脂の体積比率は100:0である。
【0055】
<第一熱伝導層塗液2>
BF13STM 0.90g
DW-4 1.80g
LS-110F 13.0g
LS-710C 6.20g
KBM3103C 0.80g
ファインタックCT-6030 19.5g
バーノックDN 0.018g
酢酸エチルを加えて全量を55gとした。
【0056】
「熱伝導性シート3の作製」
第一熱伝導層塗液の乾燥膜厚を11.25μm、第二の熱伝導層の乾燥膜厚を11.25μm、合計22.5μmとした以外は熱伝導性シート1の作製と同様にして、熱伝導性シート3を作製した。
【0057】
「熱伝導性シート4の作製」
第一熱伝導層塗液の乾燥膜厚を13.75μm、第二の熱伝導層の乾燥膜厚を13.75μm、合計27.5μmとした以外は熱伝導性シート1の作製と同様にして、熱伝導性シート4を作製した。
【0058】
「熱伝導性シート5の作製」
第一熱伝導層塗液として、下記の第一熱伝導層塗液3を用いる以外は熱伝導性シート1の作製と同様にして、熱伝導性シート5を作製した。なお、熱伝導性シート5の第一の熱伝導層における熱伝導性フィラーが占める体積割合は40体積%である。また第一の熱伝導層におけるアクリル粘着剤とフェノール性水酸基含有樹脂の体積比率は80:20である。
【0059】
<第一熱伝導層塗液3>
BF13STM 0.90g
DW-4 1.80g
LS-110F 13.0g
LS-710C 6.20g
KBM3103C 0.80g
ファインタックCT-6030 15.6g
フェノライトKA-1163(DIC(株)製クレゾールノボラック樹脂、固形分100質量%) 1.88g
バーノックDN 0.018g
酢酸エチルを加えて全量を55gとした。
【0060】
「熱伝導性シート6の作製」
第一熱伝導層塗液として、下記の第一熱伝導層塗液4を用いる以外は熱伝導性シート1の作製と同様にして、熱伝導性シート6を作製した。なお、熱伝導性シート6の第一の熱伝導層における熱伝導性フィラーが占める体積割合は40体積%である。また第一の熱伝導層におけるアクリル粘着剤とフェノール性水酸基含有樹脂の体積比率は80:20である。
【0061】
<第一熱伝導層塗液4>
BF13STM 0.90g
DW-4 1.80g
LS-110F 13.0g
LS-710C 6.20g
KBM3103C 0.80g
ファインタックCT-6030 15.6g
フェノライトVH-4150(DIC(株)製ビスフェノールAノボラック樹脂、固形分100質量%) 1.88g
バーノックDN 0.018g
酢酸エチルを加えて全量を55gとした。
【0062】
「熱伝導性シート7の作製」
第二熱伝導層塗液として、下記の第二熱伝導層塗液2を用いる以外は熱伝導性シート1の作製と同様にして、熱伝導性シート7を作製した。なお、第二の熱伝導層における熱伝導性フィラーが占める体積割合は35体積%である。
【0063】
<第二熱伝導層塗液2>
BF13STM 0.65g
DW-4 1.50g
LS-110F 14.3g
LS-710C 6.00g
KBM3103C 0.40g
ファインタックCT-6030 26.0g
バーノックDN 0.024g
ニッコールDDP-2 0.30g
酢酸エチルを加えて全量を55gとした。
【0064】
「熱伝導性シート8の作製」
第二熱伝導層塗液として、下記の第二熱伝導層塗液3を用いる以外は熱伝導性シート1の作製と同様にして、熱伝導性シート8を作製した。なお、第二の熱伝導層における熱伝導性フィラーが占める体積割合は25体積%である。
【0065】
<第二熱伝導層塗液3>
BF13STM 0.40g
DW-4 0.93g
LS-110F 8.90g
LS-710C 3.70g
KBM3103C 0.40g
ファインタックCT-6030 26.0g
バーノックDN 0.024g
ニッコールDDP-2 0.30g
酢酸エチルを加えて全量を55gとした。
【0066】
「熱伝導性シート9の作製」
第二熱伝導層塗液として、下記の第二熱伝導層塗液4を用いる以外は熱伝導性シート1の作製と同様にして、熱伝導性シート9を作製した。なお、第二の熱伝導層における熱伝導性フィラーが占める体積割合は20体積%である。
【0067】
<第二熱伝導層塗液4>
BF13STM 0.30g
DW-4 0.70g
LS-110F 6.66g
LS-710C 2.80g
KBM3103C 0.40g
ファインタックCT-6030 26.0g
バーノックDN 0.024g
ニッコールDDP-2 0.30g
酢酸エチルを加えて全量を55gとした。
【0068】
「熱伝導性シート10の作製」
第一熱伝導層塗液として、下記の第一熱伝導層塗液5を用いる以外は熱伝導性シート1の作製と同様にして、熱伝導性シート10を作製した。なお、熱伝導性シート10の第一の熱伝導層における熱伝導性フィラーが占める体積割合は40体積%である。また第一の熱伝導層における粘着剤とフェノール性水酸基含有樹脂の体積比率は90:10である。
【0069】
<第一熱伝導層塗液5>
BF13STM 0.90g
DW-4 1.80g
LS-110F 13.0g
LS-710C 6.20g
KBM3103C 0.80g
ファインタックCT-6030 17.5g
フェノライトTD-2090 0.94g
バーノックDN 0.018g
酢酸エチルを加えて全量を55gとした。
【0070】
「熱伝導性シート11の作製」
第一熱伝導層塗液として、下記の第一熱伝導層塗液6を用いる以外は熱伝導性シート1の作製と同様にして、熱伝導性シート11を作製した。なお、熱伝導性シート11の第一の熱伝導層における熱伝導性フィラーが占める体積割合は40体積%である。また第一の熱伝導層における粘着剤とフェノール性水酸基含有樹脂の体積比率は60:40である。
【0071】
<第一熱伝導層塗液6>
BF13STM 0.90g
DW-4 1.80g
LS-110F 13.0g
LS-710C 6.20g
KBM3103C 0.80g
ファインタックCT-6030 11.7g
フェノライトTD-2090 3.77g
バーノックDN 0.018g
酢酸エチルを加えて全量を55gとした。
【0072】
得られた熱伝導性シート1~11の粘着力、熱抵抗、およびリワーク性を下記方法に従い評価した。結果を表1に示す。
【0073】
<粘着力評価>
熱伝導性シートの第二の熱伝導層側の離型フィルム(RF2・PET50-CS14EX)を剥離し、露出した第二の熱伝導層の面を0.2mm厚みのアクリルフィルム(日東樹脂工業(株)製)に貼合した。続いて、第一の熱伝導層側の離型フィルム(RF1・PET38-CS002)を剥離し、露出した第一の熱伝導層の面を0.2mm厚みのアクリルフィルム(日東樹脂工業(株)製)に貼合した。得られた貼合物を幅25mmの試験片に裁断した。得られた試験片の粘着力を剥離機((株)イマダ製T字剥離法アタッチメントとフォースゲージDSTの組み合わせ)で測定した。結果を表1に示す。
【0074】
<熱抵抗評価>
熱伝導性シートを25mm×25mmの試験片に裁断した。裁断した熱伝導性シートの第二の熱伝導層側の離型フィルム(RF2・PET50-CS14EX)を剥離し、ヒートシンク((株)ミスミ製ヒートシンクHEATB2-100)の平面部中央に貼り付けた。続いて、第一の熱伝導層側の離型フィルム(RF1・PET38-CS002)を剥離し、熱抵抗測定装置(東京デバイセズ(株)製IW7300-KIT)のMOSFETを熱伝導性シート中央に貼り付けた。測定電力は3Wとし、MOSFETとヒートシンクの温度を測定し、両者の温度が定常状態になる4~5分の熱抵抗の平均値を熱伝導性シートの熱抵抗とした。結果を表1に示す。
【0075】
<離型フィルムの剥離性とアルミ板へのリワーク性評価>
熱伝導性シートの第二の熱伝導層側の離型フィルム(RF2・PET50-CS14EX)を剥離し、パナソニック(株)製グラファイトシートEYGS182307(厚み70μm、熱伝導率1000W/m・K)に貼合した。続いて第一の熱伝導層側の離型フィルム(RF1・PET38-CS002)を剥離した。この際、離型フィルムがきれいに剥がれたものを○、離型フィルムを剥離できたがグラファイトシートから熱伝導層の一部が剥がれているものを△、離型フィルムを剥離できずグラファイトシートが破れたものを×として離型フィルムの剥離性を評価した。次に、第一の熱伝導層の面をアルミ板に合わせて、100g重のローラーで10mm/分のスピードで熱伝導性シートとアルミ板を貼合した。続いてアルミ板から熱伝導性シートを剥離して、その際の熱伝導性シートの状態を観察し、全く破れたりしなかったものを4、少し亀裂の入ったものを3、小さな穴が開いたものを2、大きく破損したものを1としてアルミ板へのリワーク性を評価した。結果を表1に示す。
【0076】
【0077】
表1の結果から本発明の効果が判る。
【0078】
「熱伝導性シート12の作製」
第二熱伝導層塗液として、下記の第二熱伝導層塗液5を用いる以外は熱伝導性シート1の作製と同様にして、熱伝導性シート12を作製した。なお、第二の熱伝導層における熱伝導性フィラーが占める体積割合は20体積%であり、第二の熱伝導層におけるアクリル粘着剤とフェノール性水酸基含油樹脂の体積比は92.5:7.5である。
【0079】
<第二熱伝導層塗液5>
BF13STM 0.30g
DW-4 0.70g
LS-110F 6.66g
LS-710C 2.80g
KBM3103C 0.40g
ファインタックCT-6030 24.0g
フェノライトKA-1163(DIC(株)製クレゾールノボラック樹脂、固形分100%) 0.94g
バーノックDN 0.024g
ニッコールDDP-2 0.30g
酢酸エチルを加えて全量を55gとした。
【0080】
「熱伝導性シート13の作製」
第二熱伝導層塗液として、下記の第二熱伝導層塗液6を用いる以外は熱伝導性シート1の作製と同様にして、熱伝導性シート13を作製した。なお、第二の熱伝導層における熱伝導性フィラーが占める体積割合は20体積%であり、第二の熱伝導層におけるアクリル粘着剤とフェノール性水酸基含油樹脂の体積比は85:15である。
【0081】
<第二熱伝導層塗液6>
BF13STM 0.30g
DW-4 0.70g
LS-110F 6.66g
LS-710C 2.80g
KBM3103C 0.40g
ファインタックCT-6030 22.0g
フェノライトKA-1163 1.88g
バーノックDN 0.024g
ニッコールDDP-2 0.30g
酢酸エチルを加えて全量を55gとした。
【0082】
「熱伝導性シート14の作製」
第二熱伝導層塗液として、下記の第二熱伝導層塗液7を用いる以外は熱伝導性シート1の作製と同様にして、熱伝導性シート14を作製した。なお、第二の熱伝導層における熱伝導性フィラーが占める体積割合は20体積%であり、第二の熱伝導層におけるアクリル粘着剤とフェノール性水酸基含油樹脂の体積比は92.5:7.5である。
【0083】
<第二熱伝導層塗液7>
BF13STM 0.30g
DW-4 0.70g
LS-110F 6.66g
LS-710C 2.80g
KBM3103C 0.40g
ファインタックCT-6030 24.0g
フェノライトTD-2090 0.94g
バーノックDN 0.024g
ニッコールDDP-2 0.30g
酢酸エチルを加えて全量を55gとした。
【0084】
「熱伝導性シート15の作製」
第二熱伝導層塗液として、下記の第二熱伝導層塗液8を用いる以外は熱伝導性シート1の作製と同様にして、熱伝導性シート15を作製した。なお、第二の熱伝導層における熱伝導性フィラーが占める体積割合は20体積%であり、第二の熱伝導層におけるアクリル粘着剤とフェノール性水酸基含油樹脂の体積比は85:15である。
【0085】
<第二熱伝導層塗液8>
BF13STM 0.30g
DW-4 0.70g
LS-110F 6.66g
LS-710C 2.80g
KBM3103C 0.40g
ファインタックCT-6030 22.0g
フェノライトTD-2090 1.88g
バーノックDN 0.024g
ニッコールDDP-2 0.30g
酢酸エチルを加えて全量を55gとした。
【0086】
得られた熱伝導性シート12~15の粘着力、熱抵抗、およびリワーク性を評価した。結果を表2に示す。
【0087】
【0088】
表2の結果から本発明の効果が判る。