(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008752
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】内部構造体、流体特性変化装置及びその利用装置
(51)【国際特許分類】
B01F 25/40 20220101AFI20230112BHJP
B01F 23/20 20220101ALI20230112BHJP
B01F 25/10 20220101ALI20230112BHJP
C02F 1/50 20230101ALI20230112BHJP
B08B 3/10 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
B01F5/06
B01F3/04 Z
B01F5/00 G
C02F1/50 531R
C02F1/50 540B
C02F1/50 550C
B08B3/10 Z
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175085
(22)【出願日】2021-10-26
(31)【優先権主張番号】P 2021109913
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】509089340
【氏名又は名称】株式会社塩
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100121463
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】駒澤 増彦
(72)【発明者】
【氏名】大木 勝
(72)【発明者】
【氏名】駒澤 心
【テーマコード(参考)】
3B201
4G035
【Fターム(参考)】
3B201AA21
3B201AA47
3B201BB21
3B201BB92
3B201BB98
4G035AB04
4G035AC26
4G035AC44
4G035AE13
4G035AE17
(57)【要約】
【課題】流量を増やすことなくファインバブルを発生することができる内部構造体、流体特性変化装置及びその利用装置を提供する。
【解決手段】収納体に収納されて、流体に対し流体の特性を変化させる内部構造体であって、内部構造体は、第1の内部構造体と第2の内部構造体とを含む。第1の内部構造体は、一乃至複数の中空のベンチュリー管の構造となっている流動特性付与部を有する。第2の内部構造体は、中空軸形態であって第1の内部構造体の少なくとも一部を中空軸の内部に収納し、その外表面には、複数の突起部が形成されているボディー部を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納体に収納されて、流体に対し流体の特性を変化させる内部構造体であって、
内部構造体は、第1の内部構造体と第2の内部構造体とを含み、
第1の内部構造体は、一乃至複数の中空のベンチュリー管の構造となっている流動特性付与部を有し、
第2の内部構造体は、中空軸形態であって第1の内部構造体の少なくとも一部を中空軸の内部に収納し、その外表面には、複数の突起部が形成されているボディー部を有する、
ことを特徴とする内部構造体。
【請求項2】
第1の内部構造体の流動特性付与部の上流には、中空のベンチュリー管へ流す流体を渦巻流とする渦巻流発生手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内部構造体。
【請求項3】
渦巻流発生手段は、流体の流れの方向を特定の角度へ変化させる管体の内壁面に形成された複数の溝であることを特徴とする請求項2に記載の内部構造体。
【請求項4】
渦巻流発生手段は、流体の流れの方向を回転させる管体の内壁面から突出した複数の翼であることを特徴とする請求項2に記載の内部構造体。
【請求項5】
第1の内部構造体の渦巻流発生部の複数の翼の各々は、その先端が軸部の円周方向に互いに翼の個数に依存する角度ずつずらされていることを特徴とする請求項4に記載の内部構造体。
【請求項6】
第1の内部構造体の渦巻流発生部は、3個の翼を含み、翼の各々は、その先端が軸部の円周方向に互いに120度ずつずらされていることを特徴とする請求項4に記載の内部構造体。
【請求項7】
第1の内部構造体の上流側の渦巻流発生部と下流側の流動特性付与部とは一体的に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の内部構造体。
【請求項8】
第1の内部構造体の流動特性付与部は、中空のベンチュリー管の構造により、流路を流れる流体の静圧力を急激に減圧しその後加圧することにより、キャビテーション現象を誘発して、微細気泡を発生させることを特徴とする請求項1に記載の内部構造体。
【請求項9】
第2の内部構造体のボディー部の上流には、複数の螺旋状に形成された翼を含む頭部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内部構造体。
【請求項10】
第2の内部構造体の頭部は、断面が円形である軸部と複数の螺旋状に形成されている翼とを含み、翼の各々は、その先端が軸部の円周方向に互いに翼の個数に依存する角度ずつずらされていることを特徴とする請求項9に記載の内部構造体。
【請求項11】
第2の内部構造体の頭部は、4個の螺旋状に形成されている翼を含み、翼の各々は、その先端が軸部の円周方向に互いに90度ずつずらされていることを特徴とする請求項10に記載の内部構造体。
【請求項12】
第2の内部構造体のボディー部は、その外表面に多数の突起部が網状に形成されていて、突起部の間にできる流路を通過することにより、キャビテーション現象を誘発して、微細気泡を発生させることを特徴とする請求項1に記載の内部構造体。
【請求項13】
多数の突起部が網状に形成されていて、突起部の間にできる流路は、複数の螺旋流路と複数の円環流路とが交差する交差流路であることを特徴とする請求項1に記載の内部構造体。
【請求項14】
第2の内部構造体は、ボディー部より下流側に、流体を収納体の中心に向かって誘導する誘導部を更に有することを特徴とする請求項9に記載の内部構造体。
【請求項15】
多数の突起部が網状に形成されていて、突起部の間にできる流路は、複数の流路が交差する交差流路であることを特徴とする請求項1に記載の内部構造体。
【請求項16】
第2の内部構造体は、円柱形の中空軸形態であることを特徴とする請求項1に記載の内部構造体。
【請求項17】
第2の内部構造体は、角柱形の中空軸形態であることを特徴とする請求項1に記載の内部構造体。
【請求項18】
収納体に収納されて、流体に対し流体の特性を変化させる内部構造体であって、
内部構造体は、管体の形状をしていて、内部構造と外部構造を有し、
内部構造は、一乃至複数の中空のベンチュリー管の構造となっている流動特性付与部を有し、
外部構造は、複数の突起部が形成されているボディー部を有する、
ことを特徴とする内部構造体。
【請求項19】
内部構造には、中空のベンチュリー管へ流す流体を渦巻流とする渦巻流発生手段が設けられていることを特徴とする請求項18に記載の内部構造体。
【請求項20】
渦巻流発生手段は、流体の流れの方向を特定の角度へ変化させる管体の内壁面に形成された複数の溝であることを特徴とする請求項19に記載の内部構造体。
【請求項21】
渦巻流発生手段は、流体の流れの方向を回転させる管体の内壁面から突出した複数の翼であることを特徴とする請求項19に記載の内部構造体。
【請求項22】
請求項1乃至21のいずれかの内部構造体及びそれを収納する収納体からなる流体特性変化装置。
【請求項23】
請求項22の流体特性変化装置を利用する利用装置であって、流体特性変化装置からの流体を、冷却剤、洗浄剤、殺菌剤、伝熱剤のいずれかとして用いることを特徴とする利用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の特性を変化させる流体特性変化装置及びその内部構造体並びにその利用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マイクロバブル(1マイクロメートル~100マイクロメートル程度の白濁する目視可能な気泡)やウルトラファインバブル(数十ナノメートル~1マイクロメートル程度の無色透明で目視不可能な気泡)などのファインバブル(微細気泡)を発生したり、複数の流体(複数の液体どうし、液体と気体、気体どうし)を混合したり、供給流体を撹拌・拡散或いはせん断したりすることの、少なくとも一つの流体特性変化機能を実現する装置がある。例えば、このような装置として、本願特許出願人により、特許第6245397号、特許第6245401号に係る発明が提案されている。或いは他の特許出願人により、WO2014/204399号や特表2016-536139号に係る発明が提案されている。さらに、別の手法によるファインバブルを発生する技術も開発されている。例えば、ベンチュリー管によるファインバブルを発生する技術があり、特開2013-22575号に係る発明などである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6245397号
【特許文献2】特許第6245401号
【特許文献3】WO2014/204399号
【特許文献4】特表2016-536139号
【特許文献5】特開2013-22575号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような従来技術を改良することによって、流量を増やすことなく、しかも空気などの気体を吸引注入することなくファインバブルを発生することができる内部構造体、流体特性変化装置及びその利用装置を提供することを目的とするものである。あるいは、マイクロバブルとウルトラファインバブルを同時に発生することできる内部構造体、流体特性変化装置及びその利用装置を提供することを目的とする。更には、工作機械の分野に用いることで、高圧ポンプによって加圧した流体(切削液)を噴射して、切り屑を強制排出させるような高圧クーラント液の供給装置に好適な内部構造体や流体特性変化装置を提供することを目的とする。また、マイクロバブルの空洞(キャビティ)に圧力が加わって押し潰されていくときに衝撃力(連続的な振動)が発生する流動現象をキャビテーションというが、このような現象をもって洗浄効果をあげることができる流体を供給することができる内部構造体や流体特性変化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するために、具体的には次のような構成をとる。収納体に収納されて、流体に対し流体の特性を変化させる内部構造体であって、内部構造体は、第1の内部構造体と第2の内部構造体とを含む。第1の内部構造体は、一乃至複数の中空のベンチュリー管の構造となっている流動特性付与部を有する。第2の内部構造体は、中空軸形態であって第1の内部構造体の少なくとも一部を中空軸の内部に収納し、その外表面には、複数の突起部が形成されているボディー部を有する。
そして、流体特性変化装置は、上述のような内部構造体及びそれを収納する収納体からなる。流体特性変化装置を利用する利用装置は、流体特性変化装置からの流体を、冷却剤、洗浄剤、殺菌剤、伝熱剤のいずれかとして用いる。
本発明の他の一構成例としては、収納体に収納されて、流体に対し流体の特性を変化させる内部構造体であって、内部構造体は、管体の形状をしていて、内部構造と外部構造を有する。内部構造は、一乃至複数の中空のベンチュリー管の構造となっている流動特性付与部を有し、外部構造は、複数の突起部が形成されているボディー部を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の内部構造体によれば、マイクロバブルやウルトラファインバブルなどのファインバブル(微細気泡)を発生したり、複数の流体を混合したり、供給流体を撹拌・拡散或いはせん断したりすることができる。特に、第1の内部構造体は、マイクロバブルを発生するのに好適である。第2の内部構造体は、ウルトラファインバブルを発生するのに好適である。また、第1の内部構造体は、第2の内部構造体に比較して流体をスムーズに流せるため、流量を増やすことなく多量のファインバブルを発生することができる。
或いは、他の構成例として、内部構造体の内部構造である一乃至複数の中空のベンチュリー管の構造となっている流動特性付与部は、マイクロバブルを発生するのに好適である。内部構造体の外部構造である複数の突起部が形成されているボディー部は、ウルトラファインバブルを発生するのに好適である。また、内部構造は、外部構造と比較して流体をスムーズに流せるため、流量を増やすことなく多量のファインバブルを発生することができる。
本発明の流体特性変化装置は、流体を高圧で吐出する高圧クーラント供給装置にも適用できる。更には、流体内にマイクロバブル等のファインバブルを効果的に発生させて、流体の洗浄効果を上げることも可能とする。或いは、マイクロバブルやウルトラファインバブルから成るファインバブルを含有する各種の冷却用、洗浄用、殺菌用、伝熱用の流体として発生し、或いはその他の機能水として発生し、各種機器や装置などに提供することも可能とする。あるいは更に、家庭用や業務用の水道の蛇口、シャワー、洗濯機用等にファインバブルを含む水道水を提供する装置として、かかる内部構造体や流体特性変化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
以下の詳細な記述が以下の図面と合わせて考慮されると、本発明のより深い理解が得られる。これらの図面は例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【
図1】本発明の流体特性変化装置を用いる利用装置を示す図である。
【
図2】本発明の流体特性変化装置の第1実施形態に係る流体供給管の3次元外観斜 視図である。
【
図4】
図2の流体供給管の3次元分解斜視図である。
【
図6】第1の内部構造体の上流側の渦巻流発生部の側面図(A)と、3次元斜視図 (B)である。
【
図8】第2の内部構造体の3次元斜視図(A)と、下流側の側面図(B)である。
【
図9】第2の内部構造体のボディー部における複数の螺旋流路と複数の円環流路と の交差により多数の突起部が形成されることを示す図である。
【
図10】本発明の流体特性変化装置の第2実施形態に係る流体供給管の透視平面図 である。
【
図12】第2実施形態に係る第1の内部構造体の上流側の渦巻流発生部の側面図(A)と、3次元斜視図(B)である。
【
図13】第2実施形態に係る第1の内部構造体の平面断面図である。
【
図14】本発明の流体特性変化装置の第3実施形態に係る流体供給管の分解断面図 である。
【
図15】第3実施形態に係る第1の内部構造体の平面断面図である。
【
図16】本発明の流体特性変化装置の第4実施形態に係る流体供給管の透視平面図 である。
【
図18】第4実施形態に係る第2の内部構造体の外観図である。
【
図19】本発明の流体特性変化装置の第5実施形態に係る流体供給管の透視平面図 である。
【
図21】第5実施形態に係る第2の内部構造体の外観図である。
【
図22】本発明の流体特性変化装置の第6実施形態に係る流体供給管の3次元分解斜視図である。
【
図23】第6実施形態に係る流体供給管の分解断面図である。
【
図24】第6実施形態に係る流体供給管の変形例の分解断面図である。
【
図25】本発明の流体特性変化装置の第7実施形態に係る流体供給管の3次元分解斜視図である。
【
図26】第7実施形態に係る流体供給管の分解断面図である。
【
図27】第7実施形態に係る第1の内部構造体の外観斜視図である。
【
図28】第7実施形態に係る第1の内部構造体の3次元断面図である。
【
図29】本発明の流体特性変化装置の第8実施形態に係る流体供給管の3次元分解斜視図である。
【
図30】第8実施形態に係る流体供給管の分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の流体特性変化装置Sを用いた利用装置を示す。1は、流体(例えば水)を溜めるタンク(水槽)である。このタンク1の流体は、ポンプ2によって吸い上げられ、配管を通り流体特性変化装置Sに与えられる。流体特性変化装置Sには、タンク1からの流体(第1の流体)が供給されるほかに、特に図示しないが必要に応じて第2の流体が吸入され、流体特性変化がなされたうえで、バルブ3を経由して対象機器4に供給される。第2の流体が空気の場合は、流体特性変化装置Sでは、外気を取り込むだけでよい。例えば、タンク1からの第1の流体を水として、第2の流体を空気とした場合、流体特性変化装置Sにてウルトラファインバブル(バブルの内部は主に気化した水)を直接的に発生しながら、吸入された空気を攪拌・拡散あるいはせん断等して、バブル内部に主に空気を含むマイクロバブル(その一部はウルトラファインバブルになる可能性もある)をも多量に発生することになる。あるいはまた、第2の流体を取り込むことなく第1の流体のみで流体特性変化装置Sにてウルトラファインバブルもマイクロバブルも発生することも可能である。つまり、本発明の流体特性変化装置Sは、流体そのものを減圧により沸騰し気化させてファインバブルを生成する、或いは流体内に常温で溶存している気体を減圧析出させてファインバブルを生成することも可能とする。このようにして、流体特性変化装置Sでは、マイクロバブルの発生とあわせて、ウルトラファインバブルの発生も可能となり、利用装置は、多様なサイズの微細気泡を含む流体を利用可能となる。また、流体特性変化装置Sは、2つの流体(液体どうし、液体と気体、気体どうし、或いは気液混合流体どうし)を混合したり、攪拌・拡散或いはせん断したりすることも可能である。
【0009】
タンク1の第1の流体の状態(水温など)を検知するセンサ5や、流体特性変化装置Sを通過する流体の状態(流量、圧力など)を検知するセンサ6の出力に基づいて制御装置7がバルブ3の開閉制御を行い、その制御状態を表示盤8にてオペレータに明示する。そして、バルブ3を経由した流体は対象機器4に供給される。対象機器4で、供給流体が消費される場合を除き、流体を循環利用する場合は、対象機器4にて使用された流体が濾過器9(場合によっては、チラー(Chiller))などを経由して異物や不純物を濾過した上(場合によっては温度を元に戻した上)でタンク1に戻される。
【0010】
本発明の流体特性変化装置Sからの流体は、各種の利用装置に用いられる。例えば、利用装置は、工作機械であって、ワークや、砥石やドリルなどの刃物に、ノズルから流体特性変化装置Sからの流体を吐出して工作部を冷却したり、洗浄したりする。あるいは、利用装置を、工場の生産ライン(特に精密機器)の洗浄システムとすることができる。このように、流体特性変化装置Sからの供給流体は、対象機器4において、冷却剤や洗浄剤として機能する。つまり、ファインバブルを含む液体は、流体の表面張力を下げ浸透性が向上することによって、流体が細部にまで行き渡ることで冷却効果や洗浄能力を上げる。後述するキャビテーション現象で液中の気圧が飽和蒸気圧以下になると、液体が水の場合は水蒸気による泡が発生する。この泡は負圧でできており、当然、圧力の高いところで消滅し、その際に大きな衝撃が発生する。この衝撃を洗浄に活用して、洗浄能力を高める。同様に、利用装置をビンや容器、機材の洗浄装置とすることもできる。さらには、タンク1からの水に第2の流体としてオゾンを混合し、流体特性変化装置Sにてオゾンファインバブル水に特性変化して、対象機器4において目的とするプロダクトにオゾンバブル水を吐出する。このようにすれば、脱臭・脱色・殺菌効果が得られる。オゾンは酸素分子へ分解され、その過程でOHラジカルなどが生成されることで、殺菌性能が上がる。従って、流体特性変化装置Sからの供給流体は、例えば、殺菌剤として用いられる。
【0011】
更に、対象機器4を含む利用装置としては、家庭内の洗面・風呂・洗濯・洗浄等の流体システムなどがあり、洗浄効果が期待される。この場合は、タンク1は不要で、水道管から供給される水道水(第1の流体)を直接、流体特性変化装置Sを通過させる(第2の流体は、空気である)ことで実現できる。同様に、工場やオフイス、店舗でも水道水を直接利用する流体システムに適用できる。あるいは、タンク1からの水に第2の流体として酸素を混合し、流体特性変化装置Sにて酸素ファインバブル水に特性変化し、農業、水産分野あるいはその他の分野の水処理のための流体システムに適用できる。ファインバブルを含んだ液体は、植物や魚などの生物に吸収されて、成長の速度を加速することができる。また、食材、例えば米や農作物、鮮魚などの洗浄にも用いられる。更には、地下水や井戸水、汚染水の浄化など水処理システムに適用できる。タンク1からの水に第2の流体として水素、二酸化炭素、その他の気体を混合し、流体特性変化装置Sにて水素ファインバブル水、二酸化炭素ファインバブル水、その他の特性を持つファインバブル水あるいは各種の機能水に特性変化させて、各種用途に用いることができる。
【0012】
また、対象機器4を含む利用装置としては、各種機器の発する熱を熱交換する流体システムに適用でき、流体特性変化装置Sからの流体をかかる熱交換器に供給し、冷却或いは加熱することも実現できる。流体特性変化装置Sからの流体(ファインバブルを含み、温度変化の効果が期待される)を対象機器4内の熱交換器内のパイプに通す。対象機器4において、熱交換器を経た流体は、図示しないチラーにて、本来の温度に戻して、タンク1に循環供給される。このようにして、対象機器4に供給される流体が、対象機器の冷却或いは加熱を実現する伝熱剤として機能する。
【0013】
特定の流体を消費する(流体を循環使用しない)流体システムであれば、タンク1に適宜、当該流体を補給しながら利用することになる。そのような対象機器は、種々の製造・生産ラインであり、種々の物品(食品、薬品、エマルジョン燃料など)の製造や生産に流体特性変化装置Sからの流体を利用することができる。
【0014】
本発明において、流体特性変化装置Sには、供給流体の特性を変化させる第1、第2の内部構造体或いは内部構造と外部構造とを備えた一つの内部構造体が含まれるが、この内部構造体は、流体にファインバブル(マイクロバブルやウルトラファインバブル)を発生するものや、流体を撹拌・拡散あるいはせん断して、流体の特性を変更する装置で、流体の分子間の連結構造に変化をもたらすと考えられる構造体も含む。更に、このような内部構造体を複数直列に配列する、並列に配列することなども流体特性変化装置Sの構成として取り得る。
【0015】
(第1実施形態)
図2は、本発明の流体特性変化装置Sの一実施形態に係る流体供給管1100の3次元斜視図であり、
図3は流体供給管1100の内部部品を収納固定した際の透視平面図であり、
図4は、流体供給管1100の3次元分解斜視図であり、
図5は、流体供給管1100の分解断面図である。これらの図面に示されたように、流体供給管1100は、管本体110と内部構造体を構成する第1の内部構造体140と第2の内部構造体240とを含む。第2の内部構造体240は中空の管構造となっている。
図2において、流体は流入口111から流出口112側へ流れる。この流入口111と流出口112との径は同じであり、両者は同心円上にある。
【0016】
管本体110は、第1の内部構造体140を内部の空間に配設した第2の内部構造体240を、収納する収納体として機能する。管本体110は、流入側部材120と流出側部材130とから構成される。流入側部材120と流出側部材130とは、円筒形の中が空いている管の形態を有する。流入側部材120は、一端部に所定の直径の流入口111を有し、他の端部側には流出側部材130との接続のために内周面をねじ加工することによって形成された雌ねじ121を備える。流入口111の側には連結部が形成されており、連結部の内周面に形成された雌ねじ122と図示しない上流側のジョイント部の端部の外周面に形成された雄ねじとのねじ結合により、流入側部材120と上流側のジョイント部とが連結される。
図3に示す通り、流入口111の内径は、雌ねじ121の径より小さく、この径の差の分だけのテーパー部123が雌ねじ122の終端から雌ねじ121の始端まで形成されている。
【0017】
流出側部材130は、一端部に所定の直径の流出口112を有し、他の端部側には流入側部材120との接続のために外周面をねじ加工することによって形成された雄ねじ132を備える。流出側部材130の雄ねじ132の外周面の直径は流入側部材120の雌ねじ121の内径と同一である。流出口112の側には連結部が形成されており、連結部は図示しない下流側のジョイント部と結合される。例えば、連結部の内周面に形成された雌ねじ133とジョイント部の端部の外周面に形成された雄ねじとのねじ結合により、流出側部材130とジョイント部とが連結される。流入側部材120の一端部の内周面の雌ねじ121と流出側部材130の一端部の外周面の雄ねじ132とのねじ結合によって、流入側部材120と流出側部材130とが連結されることで管本体110が形成される。
図3に示す通り、雌ねじ132が施された管の内径は、流出口112の径より大きいため、流出側部材130の下流側には、テーパー部134が設けられていて、その下流側端部は、雌ねじ133の上流側端部につながる。
【0018】
管本体110の上記構成は一つの実施形態に過ぎず、本発明は上記構成に限定されない。例えば、流入側部材120と流出側部材130との連結は上記のねじ結合に限定されず、当業者に知られた機械部品の結合方法はいずれでも適用可能である。また、流入側部材120と流出側部材130との形態は、
図2の形態に限定されず、設計者が任意に選択したり、流体供給管1100の用途によって変更したりすることができる。流入側部材120又は流出側部材130は、例えば、スチールのような金属、又はプラスチックや樹脂等の非金属から成る。このことは以下に説明する他の実施形態でも同様である。
【0019】
図2乃至
図5を併せて参照すれば、流体供給管1100は、第1の内部構造体140を第2の内部構造体240の円筒形軸体の中空空洞に挿入し固定したうえで、流出側部材130に収納した後に、流出側部材130の外周面の雄ねじ132と流入側部材120の内周面の雌ねじ121とを、結合させることによって構成されることが理解される。
図3では、第1の内部構造体140は、第2の内部構造体240に完全に収納されているが、第1の内部構造体140が第2の内部構造体240の上流端部及び/又は下流端部から突出する長さでもよい。これは、第2実施形態以下の他の実施形態でも同じである。なお、
図3に示されている通り、第2の内部構造体240の内部空洞部分の下流端の段差(後述する誘導部247の上流部側に位置する)が、第1の内部構造体140の第2の内部構造体240に対する配置の際の位置決めのストッパーとなり、流出側部材130のテーパー部134の上流側端部の段差が、第2の内部構造体240の管本体110に対する配置の際の位置決めのストッパーとなる。このほか、特別の固定部材や支持部材を用意して、第1の内部構造体140を第2の内部構造体240の内部空間に固定或いは支持することや、第2の内部構造体240を管本体110の内部空間に固定或いは支持するようにすることもできる。このことは以下に説明する他の実施形態においても同様である。
【0020】
第1の内部構造体140は、例えば、スチールのような金属からなる円柱部材を加工する方法又はプラスチックを成形する方法(射出成型する方法なども含まれる)等によって形成される。その外径は、後述する第2の内部構造体240の中空軸体(円筒管体)の円筒形空間(空洞)の内径と同じか僅かに小さく、第1の内部構造体140の外形は、第2の内部構造体240の円筒形空間に収納される円柱形状となっている。そしてその内部空間には、
図7に示す通り、上流側に渦巻流発生部141、下流側に流動特性付与部142を有する。これらの渦巻流発生部141と流動特性付与部142は、別体構成でも一体構成でもよいが、例えば、円柱部材の内部を切削、旋削、研削の加工を単独で或いはこれらを組み合わせて行うことにより形成される。或いは、3Dプリンターによって金属または樹脂の材料から3次元プリント形成することもできる。
【0021】
上流側の開口部付近に、渦巻流発生部141は設けられている。具体的には、渦巻流発生部141は、特定の角度をもって流体の流れを変化させる複数の溝が管体の上流側内壁面に形成される。具体的には
図6(A)に示す通り、8つの断面略半円形の溝がその端面から
図6(B)に示すような斜め方向の特定の角度で形成されている。つまり、溝141-1~141-8がその端面では45度間隔で形成され、下流に行くにつれて、右斜めに傾きを持つ。この溝の本数や、溝の形状、特定の傾き角度は適宜選択できるもので、この実施形態に限らない。渦巻流発生部141のこの構成によって、第1の内部構造体140供給される流体は、上流部分で右旋回する渦巻流となる。このような、複数本の溝を形成するだけで、渦巻流を生成できるので、加工が極めて簡単である。
【0022】
第1の内部構造体140の下流側の流動特性付与部142は、ベンチュリー管の形状を有する内部空洞をもつ。つまり、内径が急激に減少する縮径部142-1と、それに連結される内径が細い絞り部142-2と、急激に内径が拡大する拡径部142-3が同一円心形状に形成されている。一構成例としては、縮径部142-1の流体の流れ方向の距離は、拡径部142-3の流体の流れ方向の距離より短い。そして、縮径部142-1の最大半径と、拡径部142-3の最大半径とは同一もしくはほぼ等しい。勿論、この内部空洞のベンチュリー管の形状は適宜変更できる。この内部空洞の内径の急激な変化で、流体(実際には渦巻流(螺旋流)となって流れる)の速度は絞り部142-2で最大となり、静圧又は静圧力はベルヌーイの方程式によって、流体の静圧力は急激に下がる。流体に外部エネルギーが加えられない状態での圧力、速度、及び位置エネルギーの関係は次のようなベルヌーイ方程式(Bernoulli’s equation)として表される。
【数1】
ここで、Pは流線内の一点での圧力、つまり、静圧、ρは流体の密度、Vはその点での流動の速度、gは重力加速度、hは基準面に対するその点の高さ、Kは定数である。上記方程式として表現されるベルヌーイ定理は、エネルギー保存法則を流体に適用したものであり、第1項は、圧力のエネルギー(静圧)、第2項は運動エネルギー(動圧)、第3項は位置エネルギーに相当し、流れる流体に対して流線上ですべての形態のエネルギーの合計はいつも一定であるということを説明する。ベルヌーイ定理によると、断面積が縮径部142-1の上流では、流体の速度が遅くて静圧は高い。これに対して、断面積が小さい縮径部142-1の下流に行くにつれ、流体の速度が速くなり静圧は低くなる。そして、絞り部142-2で流体の速度が最大となり静圧が最も低くなる。
【0023】
流体が液体である場合、気圧が下がると沸点が下がるので、ボイル・シャルルの法則(Boyle-Charles’law)に従って、低くなった静圧が液体の飽和蒸気圧に到達すると液体の気化が始まる。このようにほぼ同一の温度において静圧Pがきわめて短い時間内に飽和蒸気圧Pvより低くなって(水の場合、3000-4000Pa)、液体が急激に気化する現象をキャビテーション(cavitation)現象と称する。ベンチュリー管の空洞形状はこのようなキャビテーション現象を誘発する。キャビテーション現象によって液体のうちに存在する100ミクロン以下の微小な気泡核を核として液体が沸騰したり溶存気体の遊離によって小さい気泡が多数生じたりする。このとき一部はウルトラファインバブルの可能性があるが、主としてマイクロバブルが発生する。
【0024】
流体特性変化装置S(第1図参照)に対して、第2の流体として気体を第1の流体である液体に混入した場合においても、流動特性付与部142において、当該気体は、絞り部142-2において静圧が低くなって、気泡が大きく膨らむが、拡径部142-3による内径の急激な拡大する変化で、流速は下がり圧力が高くなって、大きなサイズの気泡は加圧されることによって、押し潰されて分裂して微細化され、主としてマイクロバブルが発生することになる。
【0025】
このように、管本体110の流入口111から供給される流体の一部は、第1の内部構造体140の上流側の開口部から供給され、上流側の渦巻流発生部141にて右旋回の流体となって、下流側の流動特性付与部142のベンチュリー管の形状の内部空洞を旋回流として通過するときに、その速度が変化して縮径部142-1で静圧が急激に低くなった後、絞り部142-3で最低の静圧力となり、逆に拡径部142-3で静圧力が逆に急激に高くなることで、微細気泡が発生し、或いは混入気体がマイクロバブル等の微細気泡となる。そして、第1の内部構造体140から微細気泡を含む流体は、拡径部142-3の最下流の開口端から流出することになる。
【0026】
一方、本実施形態の第2の内部構造体240は、
図8に示すとおり、内部が中空の軸体であり、上流側から下流側に向けて、頭部243と、ボディー部245と、誘導部247とが、軸部241の上に一体化して形成されている。これらの頭部243、ボディー部245及び誘導部247は、例えば、スチールのような金属からなる円柱管状部材を、切削、旋削、研削の加工を単独で或いはこれらを組み合わせて行うことにより形成される。或いは、プラスチックを成形する方法(射出成型する方法なども含まれる)等によって形成される。或いは、3Dプリンターによって金属または樹脂の材料から3次元プリント形成することもできる。
【0027】
さらに詳細に説明すると、頭部243は、流体に対して渦巻流(螺旋流)を発生する部分であり、管本体110に第2の内部構造体240が収納された際に、長さ方向に沿って直径が一定した軸部241と、4個の螺旋状に形成された翼243-1~243-4とを含む。翼243-1~243-4の各々は、
図8(A)に示される通りその先端が軸部241の円周方向に互いに90度ずつずらされており、軸部241の頭部243に対応する間の外周面に、所定の間隔をあけて時計まわりに螺旋状に形成されている。本実施形態では翼の個数を4個にしたが、本発明はこのような実施形態に限定されないもので、翼の数は、複数であればよく、望ましくは3以上であればよい。このようにして、頭部243は、流体に対して時計回りの渦巻流を作る。なお、頭部243の渦巻流の発生のための翼243-1~243-4の形態は、流体が各翼の間を通過する間に渦巻流を起こすことができる形態であれば、翼の角度、厚み等の形状は特に制限されない。そして、本実施形態では、頭部243は、第2の内部構造体240を管本体110に収納した時に、管本体110の流出側部材130の内部空間の壁面に近接する程度の外径を有する。つまり、頭部243の外表面の最大外径は、管本体110の内径と等しいか僅かに小さい。
【0028】
ボディー部245は、頭部243より下流側に形成され、円筒形の断面を有し直径が一定した軸部241と、軸部241の外周面から突出した網状に形成された複数の突起部(凸部)245pとを含む。この突起部245pの水平に切った断面は略菱形となる。本実施形態において、ボディー部245の軸部241の直径は、頭部243の直径と同じである。そして、頭部243からボディー部245に流体が流れると、流路の断面積が急激に小さくなって流体の流動特性を変化させる。
【0029】
図9は本実施形態に係る突起部245pと流路245rの形成方法の一例を示す。円筒軸部材の長さ方向(図面の左右方向)に対して90度の方向に一定の間隔を持つ複数のライン(平行に流れる例えば14本の円環状の閉流路)と、上記長さ方向に対して所定の角度(例えば、60度)に傾いた一定の間隔のライン(複数本、例えば8本の螺旋状に流れる螺旋流路)を交差させ、90度の方向のラインの間を一回ずつ飛ばして切削等加工すると共に、傾いたラインの間を一回ずつ飛ばして切削等加工する。このようにして、軸部241の外周面から突出した複数の突起部245pが上下(円周方向)、左右(軸部241の長さ方向)に一つずつ飛ばして規則的に形成される。上述したようにそれぞれの突起部245pの間に流路245rが形成される。本実施形態において、ボディー部245は、内部構造体240を管本体110に収納した時に、管本体110の流出側部材130の筒形の内部空間の壁面に近接する程度の外径(つまり突起部245pの天面(上面)が壁面に接触する程度に近接する)を有する。なお、複数の突起部245pの形状は、種々の形状を取り得て、例えば、三角形、多角形、その他の形状、例えば、WO2014/204399号が開示するエア・フォイル型(翼型)とすることや、特表2016-536139号が開示するノッチ型(切り欠き型)と変形することもできる。その配列も
図9から適宜(角度、幅など)変更できる。例えば、突起部の大きさを上流側では、大きく、下流側では小さくすることもできる。このような、形状や配列の選択や、変形は他の実施形態においても同様に適用可能である
【0030】
本実施形態ではボディー部245の下流側に、
図8(B)に側面を示す截頭ドーム形状で、中心部には第1の内部構造体140の下流側の開口端に繋がる穴が開いている誘導部247が設けられている。誘導部247によって、中心に向かって誘導された流体は、管本体110の流出口112を通じて吐き出される。この誘導部247の形状も截頭ドーム形に限られるものではなく、截頭円錐形、截頭角錐形なども取り得る。
【0031】
管本体110の流入口111を通じて流入された流体の一部は、流入側部材120の内側の内部壁面と頭部243の螺旋状に形成された4個の翼243-1乃至243-4の間を通過して行く。その結果、流体は頭部243の各翼によって強烈な渦巻流になって、ボディー部245に送られる。流体はボディー部245の複数の水平断面が略菱形の突起部245pの間の複数の狭い流路245rを通り過ぎる。具体的には、この流路245rのうち、例えば8本の螺旋流路の流れが急峻であり、14本の円環状の閉流路の流れは緩慢である。この螺旋流路と円環状の閉流路とは交差する交差流路となり、流体は交差する位置で衝突を繰り返しながら全体として下流に進むことになる。その結果、流体には乱流が生じ多数の微小な渦を発生させる。このような現象によって、流体の混合及び拡散を誘発する。ボディー部245の上記構造は、異なる性質を有する二つ以上の流体を混合する場合にも有用である。
【0032】
また、第2の内部構造体240では、流体が、断面積が大きい上流側(頭部243)から断面積が小さい下流側(ボディー部245の複数の突起部245pの間に形成された流路245r)へ流れるようにする構造を有する。この構造は上述したベルヌーイ方程式として表される。流体が液体の場合、キャビテーション現象を誘発する。キャビテーション現象によって液体のうちに存在する100ミクロン以下の微小な気泡核を核として液体が沸騰したり溶存気体の遊離によって小さい気泡が多数生じたりする。すなわち、流体が流動特性付与部245を通過する過程で多数のマイクロバブルやウルトラファインバブルを含むファインバブル(微細気泡)が発生する。
【0033】
また、流体が、水の場合、1つの水分子が他の4個の水分子と水素結合を形成するが、この水素結合ネットワークを破壊することは容易ではない。そのために、水は水素結合を形成しない他の液体に比べて沸点や融点が非常に高く、高い粘度を示す。水の沸点が高い性質は優秀な冷却効果をもたらすので、加工装置分野あるいは工作機械分野では、冷却水として頻繁に用いられるが、水分子の大きさが大きくて加工箇所への浸透性や潤滑性は良くないという問題がある。そこで、通常は水でない特殊な潤滑油(例えば、切削油)を単独に、または、水と混合して用いる場合も多い。ところで、流体供給管1100を用いれば、上記したキャビテーション現象によって水の気化が起き、その結果、水の水素結合ネットワークが破壊されると考えられる。また、気化によって発生するファインバブル(特に、ウルトラファインバブル)は流体(水)の浸透性及び潤滑性を向上させる。浸透性の向上は結果的に冷却効率を増加させる。
【0034】
そして、ボディー部245を通過した微細気泡を含む流体は、誘導部247にて誘導されて第2の内部構造体240の端部に向かって流れる。このようにして、第2の内部構造体240と管本体110内壁の間の流路を通過した流体(主としてウルトラファインバブルを含む)は、第1の内部構造体140の内部流路を通過した流体(主としてマイクロバブルを含む)と管本体110の下流で合流して、管本体110の流出口112から外部に出力することになる。
【0035】
なお、以上の構成例では、第1の内部構造体140の渦巻流発生部141と、第2の内部構造体240の頭部243とにおいて、時計回りの渦巻流(旋回流)を発生するようにしたが、これは、ともに反時計回りの渦巻流(旋回流)を発生するようにしてもよい。このことについては、以下の他の実施形態においても同様である。
【0036】
(第2実施形態)
次に、本発明の流体特性変化装置Sの第2実施形態に係る流体供給管について説明する。
図10は、その流体供給管2100の透視平面図であり、
図11は、流体供給管2100の分解断面図である。この第2実施形態は、第1実施形態と第1の内部構造体の上流部の渦巻流発生手段の構成が異なるのみであり、第1実施形態と同じ部分については同一符号を付してその説明を省略する。図示の通り、第1実施形態とは第1の内部構造体2140の渦巻流発生部2141のみが異なっている。即ち、上流側の開口部付近に設けられている渦巻流発生部2141は、円筒管体の内壁面から突出する複数の翼から成る。本実施形態では、翼の枚数は3枚とするが、2枚又は4枚以上であってもよい。本実施形態にあっては、この翼2141-1~2141-3は、
図12(A)に示す通り先端が円周方向に120度ずつずらされていて、同図(B)に示す通り、例えば右回り(時計回り)の渦巻流を発生するように、下流方向にある長さ(例えば円筒管の側面を半周する)の螺旋状の翼もしくはハネの形状を有する。この複数の翼の枚数とその先端が軸部分の円周方向にずれる角度とは関係する。例えば、4枚の場合は90度となり、5枚の場合は、72度となる。この翼の形態は、流体が各翼の間を通過する間に渦巻流を起こすことができる形態であれば、翼の角度、厚みその他の形状は特に制限されない。
【0037】
この第2実施形態にあっては、管本体2110の流入口111から供給される流体の一部は、第1の内部構造体2140の上流側の開口部から供給され、上流側の渦巻流発生部2141にて右旋回の流体となって、下流側の流動特性付与部142のベンチュリー管の形状の内部空洞を旋回流として通過するときに、その速度が変化して縮径部142-1で静圧が急激に低くなった後、絞り部142-3で最低の静圧力となり、逆に拡径部142-3で静圧力が逆に急激に高くなることで、微細気泡が発生し、或いは混入気体がマイクロバブル等の微細気泡となる。そして、第1の内部構造体2140から微細気泡を含む流体は、拡径部142-3の最下流の開口端から流出することになる。そして、第2の内部構造体240と管本体110内壁の間の流路を通過した流体(主としてウルトラファインバブルを含む)と管本体110の下流で合流して、管本体110の流出口112から外部に出力することになる。
【0038】
なお、本実施形態においても、第1の内部構造体2140の渦巻流発生部2141と、第2の内部構造体240の頭部243とにおいて、時計回りの渦巻流(旋回流)を発生するようにしたが、これは、ともに反時計回りの渦巻流(旋回流)を発生するようにしてもよい。なお、第1の内部構造体2140の渦巻流発生部2141は、以下に説明する他の実施形態においても採用することができる。
【0039】
(第3実施形態)
次に、本発明の流体特性変化装置Sの第3実施形態に係る流体供給管について説明する。
図14は、その流体供給管3100の分解断面図である。この第3実施形態は、第1実施形態や第2実施形態と比べて、上流部の渦巻流発生手段が存在しないことのみ相違する。第1実施形態や第2実施形態と同じ部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0040】
第1の内部構造体3140には、流動特性付与部3142が設けられており、ベンチュリー管の形状を有する内部空洞をもつ。つまり、内径が急劇に減少する縮径部3142-1と、それに連結される内径が細い絞り部3142-2と、急激に内径が拡大する拡径部3142-3が同一円心形状に形成されている。一構成例としては、縮径部3142-1の流体の流れ方向の距離は、拡径部3142-3の流体の流れ方向の距離より短い。そして、縮径部3142-1の最大半径と、拡径部3142-3の最大半径は同一もしくはほぼ等しい。この内部空洞のベンチュリー管の形状は適宜変更できる。この内部空洞の内径の急激な変化で、ほぼ直進する(一部には乱流によって渦ができる)流体の速度は絞り部3142-2で最大となり、ベルヌーイの方程式によって、流体の静圧は急激に下がる。そして、拡径部3142-3で静圧が逆に急激に高くなることで、微細気泡が発生し、或いは混入気体がマイクロバブル等の微細気泡となる。そして、第1の内部構造体3140から微細気泡を含む流体は、拡径部3142-3の最下流の開口端から流出することになる。なお、これ以降の実施形態においても、渦巻発生部を有しない第1の内部構造体3140を採用することができる。
【0041】
(第4実施形態)
次に、本発明の流体特性変化装置Sの第4実施形態に係る流体供給管について説明する。
図16は、その流体供給管4100の透視平面図であり、
図17は、流体供給管4100の分解3次元外観斜視図である。この第4実施形態は、第1実施形態と第2の内部構造体の構成が異なるのみであり、第1実施形態と同じ部分については同一符号を付してその説明を省略する。
図18に示す通り、本実施形態においては、中空の第2の内部構造体4240は、中空の円形軸体であって、外表面には、複数の突起部4245pが網状に設けられているボディー部4245を有する。なお、第1実施形態と異なり、頭部は有さない。
【0042】
ボディー部4245は、円筒形の断面を有し直径が一定した軸部4241と、軸部4241の外周面から突出した網状に形成された複数の断面が略菱形の形状の突起部(凸部)4245pとを含む。第4実施形態において、突起部4245pの断面略菱形の鈍角を持つ頂点を結ぶ辺(側稜)が流れ(
図18の左から右への方向)に対して正面にくるように形成されており、鈍角を挟む2辺の面によって、流体は、左右に分かれて流れることになる。流体は、
図18の右斜め上と右斜め下の2方向に分離して進むが、他の突起部4245pからの同様に分離して進む流体と衝突し混合することを繰り返す。このように、流体は交差する流路4245rを流れて、下流に向かうことになる。
図18において、円筒軸部材の長さ方向(図面の左右方向)に対して180度から菱形の鈍角の角度(例えば、140度)を引いて、それを半分にした角度の傾き(例えば、20度)をもって、図面の右斜め下方向に一定の間隔を持つ複数のラインを一回ずつ飛ばして切削等加工すると共に、右斜め上方向に傾いたラインの間を一回ずつ飛ばして切削等加工することにより、軸部4241の外周面から突出した複数の突起部4245pが上下(円周方向)、左右(軸部4241の長さ方向)に一つずつ飛ばして規則的に形成される。
【0043】
本実施形態において、ボディー部4245は、内部構造体4240を管本体110に収納した時に、管本体110の流出側部材130の筒形の内部空間の壁面に近接する程度の外径(つまり突起部4245pの天面(上面)が壁面に接触する程度に近接する)を有する。なお、この天面はもともとの円柱の外表面の一部であり丸みを帯びている。複数の突起部4245pの形状や配列も
図18から適宜変更できる。
【0044】
本実施形態ではボディー部4245の下流側に、誘導部4247が設けられている。この誘導部4247は、軸体中心に向かう傾斜面を持つ8個の突起部であり、流体を軸体の中心に向かって誘導する。そして、流体は、管本体110の流出口112を通じて吐き出される。この誘導部4247の個数や形状も図示するものに限られるものではない。
【0045】
管本体110の流入口111を通じて流入された流体の一部は、ボディー部4245の複数の断面略菱形の突起部4245pの間の複数の狭い流路4245rを通り過ぎる。具体的には、この流路4245rは交差する交差流路となり、流体は交差する位置で衝突を繰り返しながら全体として下流に進むことになる。その結果、流体には乱流が生じ多数の微小な渦を発生させる。あるいは、流体が交互にスイッチングするフリップフロップ現象も現れることになり、このような現象によって、流体の混合及び拡散を誘発する。ボディー部4245の上記構造は、異なる性質を有する二つ以上の流体を混合する場合にも有用である。
【0046】
また、本実施形態において、上流から供給される流体は、ボディー部4245において、流路4245rの断面積が急激に小さくなって流体の流動特性を変化させる。これは、第1実施形態乃至第3実施形態と同様である。つまり、第2の内部構造体4245の交差する断面が細い流路4245rでは、キャビテーション現象によって液体のうちに存在する100ミクロン以下の微小な気泡核を核として液体が沸騰したり溶存気体の遊離によって小さい気泡が多数生じたりする。すなわち、流体が流動特性付与部4245を通過する過程で多数のマイクロバブルやウルトラファインバブルを含むファインバブル(微細気泡)が発生する。
【0047】
(第5実施形態)
次に、本発明の流体特性変化装置Sの第5実施形態に係る流体供給管について説明する。
図19は、その流体供給管5100の透視平面図であり、
図20は、流体供給管5100の分解3次元外観斜視図である。この第5実施形態は、他の実施形態と第2の内部構造体の構成が異なるのみであり、他の実施形態と同じ部分については同一符号を付してその説明を省略する。
図20に示す通り、本実施形態においては、中空の第2の内部構造体5240は、角柱形軸体であって、外表面には、複数の突起部5245pが網状に設けられているボディー部5245を有する。なお、第1実施形態と異なり、頭部は有さない。また、第2の内部構造体5245の軸体の外形は三角柱であり、3つの側面を持つ。なお軸体の外形は、四角柱その他の角柱形状であってもよい。これは、他の実施形態に適用した場合も同様である。
【0048】
図21において、ボディー部5245は、円筒形の断面を有し三角柱形状の軸部5241と、軸部5241の外周面から突出した網状に形成された複数の突起部(凸部)5245pとを含む。この複数の突起部5245pはそれぞれ断面が略菱形の形状をしている。
図21に示すように、突起部5245pの断面略菱形の鋭角を持つ頂点を結ぶ辺(側稜)が流れ(図の左から右方向)に対して正面にくるように形成されており、鋭角を挟む2辺の面によって、流体は、左右に分離して流れることになる。流体は、右斜め上と右斜め下の方向に進むが、他の突起部5245pでも同様に分離した流体と衝突し混合することを繰り返す。このように、流体は交差する流路5245rを流れて、下流に向かうことになる。
図21において、三角柱軸部材の長さ方向(図面の左右方向)に対して180度から菱形の鋭角の角度(例えば、40度)を引いて、それを半分にした角度の傾き(例えば、70度)をもって、図面の右斜め下方向に一定の間隔を持つ複数のラインを一回ずつ飛ばして切削等加工すると共に、右斜め上方向に傾いたラインの間を一回ずつ飛ばして切削等加工することにより、軸部5241の一側面において外周面から突出した複数の突起部5245pが上下(円周方向)、左右(軸部5241の長さ方向)に一つずつ飛ばして規則的に形成される。このような加工工程を3側面分行うことでボディー部全体が形成される。なお、もともとの加工前の軸体は円柱形であるので、複数の突起部5245pの天面(上面)のそれぞれは、もとの円柱の外周表面であり、丸みを帯びており、しかも総体としてその高さは中心が高く、外側に向かって低くなる形状となる。
【0049】
本実施形態において、ボディー部5245は、内部構造体5240を管本体110に収納した時に、管本体110の流出側部材130の筒形の内部空間の壁面に近接する程度の外径(つまり突起部5245pの天面(上面)が壁面に接触する程度に近接する)を有する。なお、複数の突起部5245pの形状は、種々の形状を取り得て、その配列も
図21から適宜(角度、幅など)変更できる。特に、突起部5245pを各列ごとにわずかに角度を持たせてくねらせて配置すれば、より乱流が発生することになる。
【0050】
本実施形態ではボディー部5245の下流側に、誘導部5247が設けられている。この誘導部5247は、軸体中心に向かう斜面を持つ三角錐であり、終端部は内部空洞につながるように切り欠かれている。この誘導部5247は、流体を軸体の中心に向かって誘導する。そして、流体は、管本体110の流出口112を通じて吐き出される。この誘導部5247の形状も角柱形状に従って、適宜変更できるもので、図示するものに限られるものではない。
【0051】
管本体110の流入口111を通じて流入された流体の一部は、ボディー部5245の各側面上に設けられた複数の断面略菱形の突起部5245pの間の複数の狭い流路5245rを通り過ぎる。具体的には、この流路5245rは交差する交差流路となり、流体は交差する位置で衝突や混合を繰り返しながら全体として下流に進むことになる。その結果、流体には乱流が生じ多数の微小な渦を発生させる。あるいは、流体が交互にスイッチングするフリップフロップ現象も現れることになり、このような現象によって、流体の混合及び拡散を誘発する。ボディー部5245の上記構造は、異なる性質を有する二つ以上の流体を混合する場合にも有用である。
【0052】
また、本実施形態において、上流から供給される流体は、ボディー部5245において、流路5245rの断面積が急激に小さくなって流体の流動特性を変化させる。これは、第1実施形態乃至第4実施形態と同様である。つまり、第2の内部構造体5240の交差する断面が細い流路5245rでは、キャビテーション現象によって液体のうちに存在する100ミクロン以下の微小な気泡核を核として液体が沸騰したり溶存気体の遊離によって小さい気泡が多数生じたりする。すなわち、流体が流動特性付与部5245を通過する過程で多数のマイクロバブルやウルトラファインバブルを含むファインバブル(微細気泡)が発生する。
【0053】
(第6実施形態)
次に、本発明の流体特性変化装置Sの第6実施形態に係る流体供給管6100について説明する。
図22は、流体供給管6100の分解3次元外観斜視図である。この第6実施形態の管本体は、第1実施形態と、流入側部材6120の外表面の流入端部が同一径の円筒形状であること、流出側部材6130の外表面の流出端部が同一径の円筒形状であることの形状の違いがあるが機能的には同じである。また、管本体の内部に含まれる内部構造体6140は、第1実施形態の第1の内部構造体140と第2の中空の第2の内部構造体240とが一体に形成されているところに差異がある。つまり、第6実施形態での内部構造体6140は、
図23に示す通り、管体の形状をしていて、内部構造と外部構造を有する。管体の内側の構造である内部構造は、上流から、複数本の溝から成る渦巻発生部6141、中空のベンチュリー管の構造となっている流動特性付与部6142(縮径部6142-1、絞り部6142-2、拡径部6142-3及び直管部6142-4)を有し、第1の実施形態と同様の構成をとる。管体の外側の構造である外部構造は、上流から、頭部6143、ボディー部6145,誘導部6147が形成されている。頭部6143には、例えば4個の螺旋状に形成された翼を有し、ボディー部は網状に形成された複数の突起部6145pを含み、誘導部は截頭ドーム形をとり、第1実施形態と同様である。
【0054】
つまり、この第6実施形態の内部構造体6140は、第1実施形態における第1の内部構造体140と第2の中空の第2の内部構造体240とが一体に形成されているものであって、内部構造体6140が流入側部材6120と流出側部材6130との内部に配置固定されて、流体供給管6100が製造された場合、第1の内部構造体140と第2の内部構造体240と同じ機能や作用を奏することになる。この内部構造体6140は、3次元プリンターによってプラスチックなどの樹脂やスチールなどの金属で形成することができる。勿論その他、成型等による別の製造工程を採用することもできる。そして、内部構造体6140の内部構造である中空のベンチュリー管の構造となっている流動特性付与部6142は、マイクロバブルを発生するのに好適である。内部構造体6140の外部構造である複数の突起部6145pが形成されているボディー部6145は、ウルトラファインバブルを発生するのに好適である。また、内部構造は、外部構造と比較して流体をスムーズに流せるため、流量を増やすことなく多量のファインバブルを発生することができる。
【0055】
なお、内部構造体6140の渦巻発生部6141は、第1実施形態同様の複数本の溝から成るようにしたが、第2実施形態同様に円筒管体の内壁面から突出する複数の翼から成るようにしてもよい。更には、
図24に示す変形例のように構成してもよい。つまり、
図24の流体供給管6100Aにおいて、内部構造体6140Aでは、直管部6146が渦巻発生部6141の代わりに形成されていて、その他の部分は第6の実施形態の
図23と同様であり、同じ個所には同じ符号を付してその説明を省略する。つまり、この変形例では、渦巻発生部がないため、渦巻流の発生が期待できないが、この内部構造を製造するのはより容易となる。つまり、内部構造体6140Aの内部構造は、上流側と下流側からの切削工程や旋削工程(中ぐりなど)等で形成することができ、3Dプリンターによる製作工程は不要となる。勿論、3D プリンターによる製作工程で形成できることは言うまでもない。また、内部構造体6140、6140Aの外部構造としては、第4、第5の実施形態のボディー部4245、5245と同様の形状あるいはその他の形状とすることができる。つまり、複数の突起部6145pの形状は、種々の形状を取り得て、例えば、三角形、多角形、その他の形状、例えば、WO2014/204399号が開示するエア・フォイル型(翼型)とすることや、特表2016-536139号が開示するノッチ型(切り欠き型)と変形することもできる。
【0056】
(第7実施形態)
次に、本発明の流体特性変化装置Sの第7実施形態に係る流体供給管7100について説明する。
図25は、流体供給管7100の分解3次元外観斜視図である。
図26は、流体供給管7100の分解断面図である。この第7実施形態は、第6実施形態と同様の流入側部材6120と流出側部材6130を有する。また、内部に含まれる第1の内部構造体7140は、第2の内部構造体7240の円筒形軸体の中空空洞に挿入し固定される。この第1の内部構造体7140には、
図27、
図28からも明らかなとおり、3系統の渦巻発生部7141A~7141Cとその下流に位置するベンチュリー管の形状を有する内部空洞から成る流動特性付与部7142A~7142Cが形成されている。つまり、流動特性付与部7142A~7142Cには、夫々内径が急激に減少する縮径部7142-1と、それに連結される内径が細い絞り部7142-2と、急激に内径が拡大する拡径部7142-3が同一円心形状に形成されている。一構成例としては、縮径部7142-1の流体の流れ方向の距離は、拡径部7142-3の流体の流れ方向の距離より短い。そして、縮径部7142-1の最大半径と、拡径部7142-3の最大半径とは同一もしくはほぼ等しい。勿論、この内部空洞のベンチュリー管の形状は適宜変更できる。また、渦巻発生部7141A~7141Cの形状も、溝によるものや翼によるものと適宜変更でき、或いは、製造工程を簡便にするために、渦巻発生部7141A~7141Cを設けないようにすることもできる。また、第1の内部構造体7140が挿入し固定される第2の内部構造体7240は、第1実施形態の第2の内部構造体あるいはその他の実施形態の第2の内部構造体と同様であるので、説明は省略する。
【0057】
このように、本実施形態においては、特に流体の流量を増加するために流体供給管7100のサイズを大きくし、管の径を大きくする場合は、複数系統のベンチュリー管を設けることで発生するマイクロバブルの量を最大化できる可能性がある。なお、図示では、3系統の流動特性付与部7142A~7142Cを形成したが、この系統数は2以上とすることができる。従って、2系統でも、3系統でも、更には、4系統以上でもよい。また、複数系統のベンチュリー管による流動特性付与部は、他の実施形態の第1の内部構造体にも適用できることは言うまでもない。
【0058】
また第7実施形態において、第6実施形態同様に、第1の内部構造体7140と第2の内部構造体7240とを一体的に構成して、内部構造体が、管体の形状をしていて、管体の内側の内部構造と外側の外部構造を有するようにし、その内部構造は3系統或いは2、もしくは4以上の複数系統の中空のベンチュリー管の構造となっている流動特性付与部を有し、その外部構造は、複数の突起部が形成されているボディー部を有するようにすることもできる。内部構造には、中空のベンチュリー管へ流す流体を渦巻流とする複数の溝や管体の内壁面から突出した複数の翼を設けることもできる。
【0059】
(第8実施形態)
図29及び
図30は、本発明の流体特性変化装置Sの第8実施形態に係る流体供給管8100を示す。これは、第6実施形態の変形例(
図24)と同様であり、内部構造体6140Aは、第6実施形態と同様であり、その説明を省略する。この内部構造体6140Aは、管本体8130に収納固定される。その内面上流端には、雌ねじ8131が形成され、上流端の外表面には雄ねじ8132が形成されている。また下流端の内面にも雌ねじ8133が形成されている。この管本体8130の上流端内側の雌ねじ8131は、内部構造体6140Aを収納固定した状態で、流体の流入口が形成されたストッパーの機能を有する固定リング8120の外側の雄ねじ8121と螺合により結合する。このようにして、内部構造体6140Aは、管本体8130の内壁に固定される。そして管本体8130の上流端の外表面の雄ねじ8132は上流の図示しない配管部材と螺合により結合され、下流端の内壁面の雌ねじ8133は、下流の図示しない配管部材と螺合により結合される。本実施形態に係る流体供給管8100はコンパクトな形状をしており、全体を樹脂製とすることで、軽量で、安価に製造することができ、家庭用の水道設備や洗濯機やその他の機器の簡単に接続し、使用できることになる。
【0060】
以上、本発明を、複数の実施形態を利用して説明したが、本発明はこのような例示の形態に限定されることではない。本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、上記説明及び関連図面から本発明の多くの変形及び他の実施形態を導出することができる。本明細書では、複数の特定用語が使われているが、これらは一般的な意味として単に説明の目的のために使われただけであり、発明を制限する目的で使われたものではない。添付の特許請求の範囲及びその均等物により定義される一般的な発明の概念及び思想を抜け出さない範囲で多様な変形が可能である。
【符号の説明】
【0061】
S 流体特性変化装置
4 対象機器
1100、2100、3100、4100、5100、6100、6100A、7100、8100 流体供給管
140、2140、3140、7140 第1の内部構造体
141、2141、6141、7141A 渦巻流発生部
141-1~141-8 溝
2141-1~2141-3 翼
142、3142、6142、7142A~7142C 流動特性付与部
240、4240、5240、7240 第2の内部構造体
243 頭部
234-1~234-4 翼
245、4245、5245、6145、 ボディー部
245p、4245p、5245p、6145p 突起部
245r、4245r、5245r 流路
6140、6140A 内部構造体