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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087538
(43)【公開日】2023-06-23
(54)【発明の名称】ベッド用フットレスト
(51)【国際特許分類】
   A61G 7/075 20060101AFI20230616BHJP
【FI】
A61G7/075
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201987
(22)【出願日】2021-12-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 展示会名 第48回国際福祉機器展(リアル展)(展示日 令和3年11月10日~12日) ウェブサイトに掲載(掲載日 令和3年11月16日)
(71)【出願人】
【識別番号】390007870
【氏名又は名称】シーホネンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】森東 剛也
(72)【発明者】
【氏名】浦部 裕行
(72)【発明者】
【氏名】山本 敏輝
【テーマコード(参考)】
4C040
【Fターム(参考)】
4C040AA23
4C040AA30
4C040BB02
4C040BB06
(57)【要約】
【課題】製造コストを抑えながら、尖足防止対策が必要な場合/不要な場合に直ちに使用位置/待機位置にすることができる、使い勝手がよく保管スペースが不要となるベッド用フットレストを提供する。
【解決手段】取付具、支持具3、基体部4及び足当て部6等を備える。取付具は脚ボトムDの幅方向中央部に取り付ける。支持具3は、前記取付具に繋がり、マットレス20のフットボート側F端縁20Aよりもフットボード側Fの位置から立起する。基体部4は、支持具3の上部に、マットレス20の上面20Aよりも上方に位置する第1幅方向軸J1まわりに回動可能に連結される。足当て部6は、基体部4の先端部E1に直接的に又は間接的に取り付ける。基体部4を第1幅方向軸J1まわりにヘッドボード側Hへ倒した使用位置Aと、基体部4を第1幅方向軸J1まわりに立ち上げた待機位置とを切り替える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッドの脚ボトムの幅方向中央部に取り付けられる取付具と、
前記取付具に繋がり、前記ベッド上のマットレスのフットボート側端縁よりもフットボード側の位置から立起する支持具と、
前記支持具の上部に、水平状態の前記マットレスの上面よりも上方に位置する第1幅方向軸まわりに回動可能に連結された基体部と、
前記基体部の先端部に直接的に又は間接的に取り付けられた足当て部と、
を備え、
前記基体部を前記第1幅方向軸まわりにヘッドボード側へ倒して前記マットレス上に前記足当て部を配置した使用位置と、前記基体部を前記第1幅方向軸まわりに立ち上げて前記足当て部を前記マットレスから遠ざけた待機位置とを切り替え可能である、
ベッド用フットレスト。
【請求項2】
前記第1幅方向軸まわりの摩擦トルクを、前記第1幅方向軸よりも先端側の部材の自重による前記第1幅方向軸まわりの回動トルクよりも大きくしてなる、
請求項1に記載のベッド用フットレスト。
【請求項3】
前記基体部に対して進退するスライド体の先端部に、前記足当て部を直接的に又は間接的に取り付けてなる、
請求項1又は2に記載のベッド用フットレスト。
【請求項4】
前記スライド体は、前記基体部から進出した位置で前記基体部に対して位置決め可能である、
請求項3に記載のベッド用フットレスト。
【請求項5】
前記足当て部は、前記スライド体の先端部に対して第2幅方向軸まわりに回動可能である、
請求項3又は4に記載のベッド用フットレスト。
【請求項6】
前記足当て部は、前記スライド体の先端部に対して回動した角度で前記先端部に対して回動角度決め可能である、
請求項5に記載のベッド用フットレスト。
【請求項7】
前記足当て部は、幅方向から見て楕円形状又は円形状のクッション材である、
請求項1~6の何れかに記載のベッド用フットレスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長期間にわたってベッドに寝ている人が尖足になることを防止するフットレストに関する。
【背景技術】
【0002】
尖足とは、足関節が足底のほうへ屈曲した位置に拘縮したものをいう。尖足になると、踵を地面につけることができないため、足先で歩くような状態になり、体の支持機能に影響を及ぼす。長期間にわたってベッドに寝ていると、足の重みや掛け布団の圧迫によって尖足になりやすい(習慣性尖足)。
【0003】
尖足になることを防止するベッド用フットレストとして、支持部材、回転受け部材、回転部材、及び当て板により構成されるもの(例えば、特許文献1の第1発明参照)、基部、支持軸、支持部、及び当て板により構成されえるもの(例えば、特許文献1の第2発明参照)がある。
【0004】
特許文献1の第1発明(図1ないし図4)のベッド用フットレスト1において、1対の支持部材5は、ベッドの幅方向の両端部にて、足ボトム102に着脱自在に固定される。1対の回転部材7及び1対の回転受け部材6は相対的に回転し、当て板2の角度を調節する。1対の回転部材7は当て板2の裏面に形成された1対のガイド33に沿って移動し、当て板2のベッドの高さ方向の位置を調節する。回転受け部材6はベッドの長手方向に移動し、当て板2のベッドの長手方向の位置を調節する。
【0005】
特許文献1の第2発明(図12)のベッド用フットレスト1において、基部81は、ベッドのフットボード103に着脱自在に固定される。支持軸82は、ベッドの幅方向に延び、基部81に固定される。1対の支持部は、支持軸82におけるベッドの幅方向の2カ所に、回転可能に且つ所定の回転位置で固定可能に支持される。当て板83は、各支持部に一体的に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-223544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の第1発明及び第2発明のベッド用フットレスト1は、ベッドに取り付けた状態で、長期間にわたってベッドに寝ている人の足裏を当て板2,83に当接させることにより、尖足防止対策に有効である。
【0008】
しかしながら、特許文献1の第1発明のベッド用フットレスト1は、前記構成を備えることから、ベッドの幅方向にわたる大きさを有するとともに構造が複雑であるので、製造コストが増大する。
【0009】
その上、特許文献1の第1発明のベッド用フットレスト1は、前記構成を備えることから、尖足防止対策が必要な場合には支持部材5を足ボトム102に装着して使用し、尖足防止対策が不要な場合には取り外して、ベッドの幅方向にわたる大きさを有するフットレスト1を保管する必要がある。そのため、フットレスト1を保管するスペースが必要になるとともに、装着及び取外しの手間が掛かる。
【0010】
また、特許文献1の第2発明のベッド用フットレスト1は、前記構成を備えることから、尖足防止対策が必要な場合には基部81をフットボード103に装着して使用し、尖足防止対策が不要な場合には取り外して、フットレスト1を保管する必要がある。そのため、フットレスト1を保管するスペースが必要になるとともに、装着及び取外しの手間が掛かる。
【0011】
本発明は、簡素でコンパクトな構成により製造コストを抑えながら、尖足防止対策が必要な場合には直ちに使用位置にすることができ、尖足防止対策が不要な場合には直ちに待機位置にすることができる、使い勝手がよく保管スペースが不要となるベッド用フットレストを提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るベッド用フットレストは、前記課題解決のため、
ベッドの脚ボトムの幅方向中央部に取り付けられる取付具と、
前記取付具に繋がり、前記ベッド上のマットレスのフットボート側端縁よりもフットボード側の位置から立起する支持具と、
前記支持具の上部に、水平状態の前記マットレスの上面よりも上方に位置する第1幅方向軸まわりに回動可能に連結された基体部と、
前記基体部の先端部に直接的に又は間接的に取り付けられた足当て部と、
を備え、
前記基体部を前記第1幅方向軸まわりにヘッドボード側へ倒して前記マットレス上に前記足当て部を配置した使用位置と、前記基体部を前記第1幅方向軸まわりに立ち上げて前記足当て部を前記マットレスから遠ざけた待機位置とを切り替え可能である。
【0013】
このように、本発明に係るベッド用フットレストは、ベッドの脚ボトムの幅方向中央部に取り付けられ取付具、前記取付具に繋がって立起する支持具、前記支持具の上部に対して第1幅方向軸まわりに回動可能な基体部、及び足当て部からなる。したがって、簡素でコンパクトな構成により、ベッド用フットレストの製造コストを抑えることができる。
【0014】
その上、ベッド用フットレストの基体部は、支持部の上部に、水平状態の前記マットレスの上面よりも上方に位置する第1幅方向軸まわりに回動可能に連結されている。それにより、使用位置における足当て部は、ヘッドボード側に行くにしたがって下降する基体部に支持された状態で使用者の足裏に当接する。したがって、使用者の足裏で足当て部がフットボード側へ押されたとしても基体部が上方へ回動することがなく、足当て部の位置が安定する。
【0015】
その上さらに、マットレス上に足当て部を配置した使用位置と、足当て部をマットレスから遠ざけた待機位置とを、基体部等を第1幅方向軸まわりに回動させることで容易に切り替えることができる。したがって、尖足防止対策が必要な場合には直ちに使用位置にすることができ、尖足防止対策が不要な場合には直ちに待機位置にすることができるので使い勝手がよい。
【0016】
その上、尖足防止対策が不要な場合には待機位置にすればよく、取り外して保管する必要がないので、保管スペースが不要になる。その上さらに、ベッド用フットレストがベッドの幅方向中央部に位置するので、ベッドの幅方向の一方側及び他方側のどちら側に介助者がいても操作のし易さが変わらない。
【0017】
その上さらに、ベッドを使用者が食事をする姿勢にするとともに、ベッド用フットレストを使用位置にして、ベッド用フットレストの足当て部に使用者の足裏を当接させた状態で食事をすることにより、使用者の食事中における足底接地が確実になる。それにより、使用者の食事中の姿勢が良くなるとともに、咀嚼や嚥下を効率的に行うことができるので、食事中の疲労や誤嚥を抑制できる。
【0018】
ここで、前記第1幅方向軸まわりの摩擦トルクを、前記第1幅方向軸よりも先端側の部材の自重による前記第1幅方向軸まわりの回動トルクよりも大きくしてなるのが好ましい実施態様である。
【0019】
このような構成によれば、第1幅方向軸まわりの摩擦トルクが、第1幅方向軸よりも先端側の部材の自重による第1幅方向軸まわりの回動トルクよりも大きいことから、ベッド用フットレストの使用位置から待機位置までの姿勢において、第1幅方向軸よりも先端側の部材が自重で動かない。したがって、第1幅方向軸よりも先端側の部材の位置が保持されるので、足当て部等が不意に回動して使用者の足に当たる等の不都合が生じない。
【0020】
また、前記基体部に対して進退するスライド体の先端部に、前記足当て部を直接的に又は間接的に取り付けてなるのが好ましい実施態様である。
【0021】
このような構成によれば、スライド体を基体部に対して進退させて足当て部のベッドの長手方向の位置を調整できる。したがって、使用者の足の位置をベッドの長手方向に移動させることなく、使用者の足の位置に合わせて足当て部の位置を容易に調整できる。
【0022】
さらに、前記スライド体は、前記基体部から進出した位置で前記基体部に対して位置決め可能であるのが好ましい実施態様である。
【0023】
このような構成によれば、スライド体が基体部から進出した適切な位置で基体部に対しスライド体を位置決めすることにより、使用者の足の位置に合わせて足当て部の位置を調整した状態を保持できる。
【0024】
さらにまた、前記足当て部は、前記スライド体の先端部に対して第2幅方向軸まわりに回動可能であるのが好ましい実施態様である。
【0025】
このような構成によれば、足当て部を使用者の足裏に当接させた状態で足当て部が第2幅方向軸まわりに回動できるので、足当て部を使用者の足裏の形状に合わせることができる。
【0026】
また、前記足当て部は、前記スライド体の先端部に対して回動した角度で前記先端部に対して回動角度決め可能であるのが好ましい実施態様である。
【0027】
このような構成によれば、足当て部がスライド体の先端部に対して回動した適切な角度でスライド体を回動角度決めすることにより、使用者の足裏に合わせるように足当て部の角度を調整した状態を保持できる。
【0028】
さらに、前記足当て部は、幅方向から見て楕円形状又は円形状のクッション材であるのが好ましい実施態様である。
【0029】
このような構成によれば、ベッド用フットレストの使用位置で、幅方向から見て楕円形状又は円形状のクッション材である足当て部が使用者の足裏に当接する。したがって、使用者の足裏のアーチに合わせて足当て部を当接させることができるとともに荷重を分散できるので、マッサージ効果を有するとともに使用感が良好になる。
【0030】
本発明に係るベッド用フットレストが取り付けられる「脚ボトム」は、脚ボトム、及び脚ボトムに取り付けられた延長ボトムを含む概念である。
【発明の効果】
【0031】
以上のとおり、本発明に係るベッド用フットレストによれば、主に以下のような効果を奏する。
(1)簡素でコンパクトな構成により、ベッド用フットレストの製造コストを抑えることができる。
(2)使用者の足裏で足当て部がフットボード側へ押されたとしても基体部が上方へ回動することがなく、足当て部の位置が安定する。
(3)尖足防止対策が必要な場合には直ちに使用位置にすることができ、尖足防止対策が不要な場合には直ちに待機位置にすることができるので使い勝手がよい。
(4)尖足防止対策が不要な場合には待機位置にすればよく、取り外して保管する必要がないので、保管スペースが不要になる。
(5)ベッド用フットレストがベッドの幅方向中央部に位置するので、ベッドの幅方向の一方側及び他方側のどちら側に介助者がいても操作のし易さが変わらない。
(6)ベッドを使用者が食事をする姿勢にするとともに、ベッド用フットレストを使用位置にして、ベッド用フットレストの足当て部に使用者の足裏を当接させた状態で食事をすることにより、使用者の食事中における足底接地が確実になる。それにより、使用者の食事中の姿勢が良くなるとともに、咀嚼や嚥下を効率的に行うことができるので、食事中の疲労や誤嚥を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の実施の形態に係るベッド用フットレストを取り付けたベッドの例を示す斜視図である。
図2】仰臥位で寝ている使用者に対するベッド用フットレストの使用位置の例を示す正面図である。
図3】仰臥位で寝ている使用者に対するベッド用フットレストの待機位置の例を示す正面図である。
図4】使用者が食事をする姿勢におけるベッド用フットレストの使用位置の例を示す正面図である。
図5A図2の要部拡大正面図である。
図5B】スライド体を進出させたベッド用フットレストの使用位置の例を示す要部拡大正面図である。
図6図3の要部拡大正面図である。
図7】ベッド用フットレストを脚ボトムに取り付けた状態を示す斜視図である。
図8図7から第1脚ボトムを省略して示す斜視図である。
図9】ベッド用フットレストの取付方法を示す部分分解斜視図である。
図10】基体部を透明にして第1幅方向軸まわりの構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて説明する。本明細書のベッドは平面視で略矩形状であり、本明細書において、前記矩形の長辺に平行な方向を「長手方向」(図中の矢印L参照)、前記矩形の短辺に平行な方向を「幅方向」(図1中の矢印W参照)という。
【0034】
また、ベッド内からフットボードに近づく方向を「フットボード側」(図中の矢印F参照)、ベッド内からヘッドボードに近づく方向「ヘッドボード側」(図中の矢印H参照)という。
【0035】
本明細書のベッドにおいて、ベッドの使用者(図中の符号U参照)が仰臥位で寝ている状態で使用者の右から見た図を正面図とする。
【0036】
<ベッド>
図1の斜視図、並びに図2図3及び図4の正面図に示すように、本発明の実施の形態に係るベッド用フットレスト1を取り付けたベッド10は、大略的に、床面に載置されるベースユニット11、ベースユニット11に対して昇降可能に連結される昇降フレーム12、昇降フレーム12の上面に取り付けられるボトム13、並びに、フレーム本体の長手方向Lの両端部に取り付けられるヘッドボード14及びフットボード15を主な構成部品として備える。ここで、フレーム本体は、昇降フレーム12及び延長フレームG(図2ないし図4)である。
【0037】
ボトム13は、背ボトム13A、座ボトム13B、膝ボトム13C、第1脚ボトム13D、及びボトム延長具である第2脚ボトム13Eを含む。背ボトム4Aは使用者Uの頭及び背中を支える位置に配置され、座ボトム4Bは使用者Uの腰を支える位置に配置され、膝ボトム4Cは使用者Uの膝を支える位置に配置され、脚ボトムDである第1脚ボトム13D及び第2脚ボトム13Eは使用者Uの脚を支える位置に配置される。
【0038】
ベッド10は、例えば、4モーターベッドであり、高さ調節、並びに、頭上げ、背上げ及び膝上げを行うことができる。
【0039】
ベッド10の使用者Uは、ボトム13の上のマットレス20上に、枕Pに載せた頭部をヘッドボード14側に、足をフットボード15側にして横たわる。
【0040】
<ベッド用フットレスト>
図2ないし図4の正面図、図5Aないし図6の要部拡大正面図、及び図7斜視図に示すように、本発明の実施の形態に係るベッド用フットレスト1は、取付具2、支持具3、基体部4、スライド体5、及び足当て部6等を備える。
【0041】
取付具2は、ベッド10の脚ボトムDの幅方向Wの中央部に取り付けられる。支持具3は、取付具2に繋がり、ベッド10上のマットレス20のフットボート側端縁20Aよりもフットボード側Fの位置から立起する。基体部4は、支持具3の上部に、水平状態のマットレス20の上面20Bよりも上方に位置する第1幅方向軸J1まわりに回動可能に連結される。スライド体5は、基体部4に対して進退し、スライド体5の先端部E2(図5Aないし図6)に直接的に又は間接的に足当て部6を取り付ける。本実施の形態では、足当て部6は、スライド体5の先端部E2に対して第2幅方向軸J2まわりに回動可能である。
【0042】
図5Aないし図6の要部拡大正面図に示すように、ベッド用フットレスト1の支持具3のフットボート側Fの端面は、ボトム延長具である第2脚ボトム13Eのマットレス止め21に当接している。したがって、支持具3は、取付具2及びマットレス止め21により強固に支持される。
【0043】
ベッド用フットレスト1は、基体部4を第1幅方向軸J1まわりにヘッドボード側Hへ倒してマットレス20上に足当て部6を配置した使用位置Aと、基体部4を第1幅方向軸J1まわりに立ち上げて足当て部6をマットレス20から遠ざけた待機位置Bとを切り替え可能である。ベッド用フットレスト1の使用位置Aでは、足当て部6が使用者Uの足裏Iに当接する。
【0044】
このように、本発明の実施の形態に係るベッド用フットレスト1は、ベッド10の脚ボトムDの幅方向Wの中央部に取り付けられ取付具2、取付具2に繋がって立起する支持具3、支持具3の上部に対して第1幅方向軸J1まわりに回動可能な基体部4、基体部4に対して進退するスライド体5、及びスライド体5に支持された足当て部6からなる。したがって、簡素でコンパクトな構成により、ベッド用フットレスト1の製造コストを抑えることができる。
【0045】
また、ベッド用フットレスト1の基体部4は、支持部3の上部に、水平状態のマットレス20の上面20Bよりも上方に位置する第1幅方向軸J1まわりに回動可能に連結されている。それにより、使用位置Aにおける足当て部6は、ヘッドボード側Hに行くにしたがって下降する基体部4に支持された状態で使用者Uの足裏Iに当接する。したがって、使用者Uの足裏Iで足当て部6がフットボード側Fへ押されたとしても基体部4が上方へ回動することがなく、足当て部6の位置が安定する。
【0046】
さらに、マットレス20上に足当て部6を配置した使用位置A(例えば図5A及び図5B)と、足当て部6をマットレス20から遠ざけた待機位置B(例えば図6)とを、基体部4等を第1幅方向軸J1まわりに回動させることで容易に切り替えることができる。したがって、尖足防止対策が必要な場合には直ちに使用位置Aにすることができ、尖足防止対策が不要な場合には直ちに待機位置Bにすることができるので使い勝手がよい。
【0047】
さらにまた、尖足防止対策が不要な場合には待機位置Bにすればよく、取り外して保管する必要がないので、保管スペースが不要になる。また、ベッド用フットレスト1がベッド10の幅方向Wの中央部に位置するので、ベッド10の幅方向Wの一方側及び他方側のどちら側に介助者がいても操作のし易さが変わらない。
【0048】
また、例えば図4のようにベッド10を使用者Uが食事をする姿勢にするとともに、ベッド用フットレスト1を使用位置Aにして、ベッド用フットレスト1の足当て部6に使用者Uの足裏Iを当接させた状態で食事をすることにより、使用者Uの食事中における足底接地が確実になる。それにより、使用者Uの食事中の姿勢が良くなるとともに、咀嚼や嚥下を効率的に行うことができるので、食事中の疲労や誤嚥を抑制できる。
【0049】
<スライド体の進退>
スライド体5は、図5Aの要部拡大正面図に示す位置から図5Bの要部拡大正面図に示す位置のように、基体部4から進出し、基体部4から進出した位置で基体部4に対して位置決め可能である。例えば、足当て部6を持ってスライド体5を基体部4から引き出すと、スライド体5が基体部4から進出した複数の位置で基体部4に対して位置決め可能である。解除レバーK1を操作することにより、スライド体5を位置決めした状態が解除され、スライド体5を基体部4へ押し込むことができる。
【0050】
このような構成によれば、スライド体5を基体部4に対して進退させて足当て部6の長手方向Lの位置を調整できる。したがって、使用者Uの足の位置を長手方向Lに移動させることなく、使用者Uの足の位置に合わせて足当て部6の位置を容易に調整できる。また、スライド体5が基体部4から進出した適切な位置で基体部4に対しスライド体5を位置決めすることにより、使用者Uの足の位置に合わせて足当て部6の位置を調整した状態を保持できる。
【0051】
<足当て部の回動>
足当て部6は、例えば図5A及び図5Bの要部拡大正面図に示すように、スライド体5の先端部E2に対して第2幅方向軸J2まわりに回動可能である。図5A及び図5Bの第2幅方向軸J2まわりの足当て部6の回動角度は約10°相違している。足当て部6の第2幅方向軸J2まわりの回動角度は、使用者Uの好みに合わせて適宜変更できる。
【0052】
また、スライド体5の先端部E2に対して回動した角度で先端部E2に対して回動角度決め可能である。例えば、解除ボタンK2を押すと回動角度決めが解除され、スライド体5の先端部E2に対して足当て部6を第2幅方向軸J2まわりに回動されることができ、解除ボタンK2を押すのを止めると、その回動角度で回動角度決めされる。
【0053】
このような構成によれば、足当て部6を使用者Uの足裏Iに当接させた状態で足当て部6が第2幅方向軸J2まわりに回動できるので、足当て部6を使用者Uの足裏Iの形状に合わせることができる。また、足当て部6がスライド体5の先端部E2に対して回動した適切な角度でスライド体6を回動角度決めすることにより、使用者Uの足裏Iに合わせるように足当て部6の角度を調整した状態を保持できる。
【0054】
<足当て部の形状及び材質>
図5A及び図5Bの要部拡大正面図に示すように、足当て部6は、幅方向Wから見て楕円形状のクッション材Cである。足当て部6は、幅方向Wから見て円形状であってもよい。
【0055】
このような構成によれば、ベッド用フットレスト1の使用位置Aで、幅方向から見て楕円形状又は円形状のクッション材Cである足当て部6が使用者Uの足裏Iに当接する。したがって、使用者Uの足裏のアーチに合わせて足当て部6を当接させることができるとともに荷重を分散できるので、マッサージ効果を有するとともに使用感が良好になる。
【0056】
<取付具の取付け>
図8の斜視図、及び図9の部分分解斜視図に示すように、脚ボトムD(ボトム延長具である第2脚ボトム13E)の横線材16,16に対して下方から押し当てた当て板7に対し、横線材16,16の上方から取付具2を押し当て、取付ねじ17Aを通孔2Aを通して螺孔7Aに螺合する。このように、取付具2は、ベッド10の脚ボトムDの幅方向Wの中央部に容易に取り付けられる。
【0057】
<足当て部の取付け>
足当て部6は、前記のとおり幅方向Wから見て楕円状である。図9の部分分解斜視図に示すように、足当て部6の内部空間に取付板9を挿入し、スライド体5の先端部E2に第2幅方向軸J2を介して支持される支持板8の通孔8Aに取付ねじ17Bを挿入して取付板9の螺孔9Aに螺合する。このように、足当て部6は、スライド体5の先端部E2に間接的に容易に取り付けられる。
【0058】
<第1幅方向軸まわりの構造>
図10の斜視図に示すように、基体部4は、ボルト18及びナット19により、支持具3の上部に、第1幅方向軸J1まわりに回動可能に連結される。
【0059】
ボルト18及びナット19の締付トルクは、第1幅方向軸J1まわりの摩擦トルクが、第1幅方向軸J1よりも先端側の部材、すなわち基体部4、スライド体5、及び足当て部6等の自重による第1幅方向軸J1まわりの回動トルクよりも大きくなるように設定している。このように設定した摩擦トルクは、ナット19をダブルナットとして緩み止めすることにより保持される。
【0060】
このような構成によれば、第1幅方向軸J1まわりの摩擦トルクが、第1幅方向軸J1よりも先端側の部材の自重による第1幅方向軸J1まわりの回動トルクよりも大きいことから、ベッド用フットレスト1の使用位置Aから待機位置Bまでの姿勢において、第1幅方向軸J1よりも先端側の部材が自重で動かない。したがって、第1幅方向軸J1よりも先端側の部材の位置が保持されるので、足当て部6等が不意に回動して使用者の足に当たる等の不都合が生じない。
【0061】
以上の説明においては、スライド体5を有する構成を説明したが、本発明にはスライド体5が無い構成も含む。スライド体5が無い場合、足当て部6は、例えば基体部4の先端部にE1に取り付けられる。足当て部6は、基体部4の先端部E1に直接的に又は間接的に取り付けられる。
【0062】
以上の説明においては、第2幅方向軸J2を有し、第2幅方向軸J2まわりに足当て部6が回動する構成を説明したが、本発明には第2幅方向軸J2が無い構成も含む。例えば、足当て部6が幅方向Wから見て円形状であれば、第2幅方向軸J2を無くしたより簡素な構成にすることができる。
【0063】
以上の実施の形態の記載はすべて例示であり、これに制限されるものではない。本発明の範囲から逸脱することなく種々の改良及び変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0064】
1 ベッド用フットレスト 2 取付具
2A 通孔 3 支持具
3A 端面 4 基体部
5 スライド体 6 足当て部
7 当て板 7A 螺孔
8 支持板 8A 通孔
9 取付板 9A 螺孔
10 ベッド 11 ベースユニット
12 昇降フレーム 13 ボトム
13A 背ボトム 13B 座ボトム
13C 膝ボトム 13D 第1脚ボトム
13E 第2脚ボトム(ボトム延長具) 14 ヘッドボード
15 フットボード 16 横線材
17A,17B 取付ねじ 18 ボルト
19 ナット 20 マットレス
20A フットボート側端縁 20B 水平状態のマットレスの上面
21 マットレス止め
A 使用位置 B 待機位置
C クッション材 D 脚ボトム
E1 基体部の先端部 E2 スライド体の先端部
F フットボード側 G 延長フレーム
H ヘッドボード側 I 足裏
J1 第1幅方向軸 J2 第2幅方向軸
K1 解除レバー K2 解除ボタン
L 長手方向 P 枕
U 使用者 W 幅方向
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10