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特開2023-87546通信中継装置、通信制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087546
(43)【公開日】2023-06-23
(54)【発明の名称】通信中継装置、通信制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/00 20230101AFI20230616BHJP
   H04W 16/14 20090101ALI20230616BHJP
   H04W 88/08 20090101ALI20230616BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20230616BHJP
【FI】
H04W72/00
H04W16/14
H04W88/08
H04W84/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201998
(22)【出願日】2021-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊太朗
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕和
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA03
5K067AA23
5K067EE02
5K067EE10
5K067JJ11
(57)【要約】
【課題】ユーザーの利用環境に応じて適切な無線通信設定を行うこと。
【解決手段】本発明の一実施形態における通信中継装置は、複数の無線通信モジュールと、ユーザーが所望する帯域幅、および前記通信中継装置の内部情報を取得し、前記帯域幅および前記内部情報に基づき、前記複数の無線通信モジュールのうち使用する無線通信モジュールの数を設定する制御部と、を含む。本発明の一実施形態の通信中継装置において、前記内部情報は、前記通信中継装置に接続されている通信端末の数および外部から放射された所定のレーダー信号の検出頻度を含んでもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信中継装置であって、
複数の無線通信モジュールと、
ユーザーが所望する帯域幅、および前記通信中継装置の内部情報を取得し、
前記帯域幅および前記内部情報に基づき、前記複数の無線通信モジュールのうち使用する無線通信モジュールの数を設定する制御部と、を含む、
通信中継装置。
【請求項2】
前記内部情報は、前記通信中継装置に接続されている通信端末の数および外部から放射された所定のレーダー信号の検出頻度を含む、
請求項1に記載の通信中継装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記帯域幅に基づいて、一つの無線通信モジュールに接続可能な通信端末数の閾値を設定し、
前記接続されている通信端末の数および前記閾値に基づいて使用する無線通信モジュールの数を設定する、
請求項2に記載の通信中継装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記帯域幅および前記検出頻度に基づいて、一つの無線通信モジュールに接続可能な通信端末数の閾値を設定し、
前記接続されている通信端末の数および前記閾値に基づいて前記無線通信モジュールの数を設定する、
請求項2に記載の通信中継装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記通信中継装置の消費電力を取得し、
前記帯域幅および前記通信中継装置の消費電力に基づいて、一つの無線通信モジュールに接続可能な通信端末数の閾値を設定し、
前記接続されている通信端末の数および前記閾値に基づいて使用する無線通信モジュールの数を設定する、
請求項2に記載の通信中継装置。
【請求項6】
前記複数の無線通信モジュールは、5GHz帯のうち第1チャンネルに対応する第1無線通信モジュール、および5GHz帯のうち第2チャンネルに対応する第2無線通信モジュールを含み、
前記制御部は、前記複数の通信端末と前記第1無線通信モジュールとの間の第1接続を設定し、
接続されている通信端末の数が前記閾値未満であり、かつ前記第1チャンネルに対応するレーダー信号が検出されたとき、前記制御部は、前記第1接続から前記複数の通信端末と前記第2無線通信モジュールとの間の第2接続に設定を変更する、
請求項3乃至5のいずれか一項に記載の通信中継装置。
【請求項7】
前記制御部は、日時情報を取得し、
前記日時情報が所定の条件を満たすとき、前記帯域幅、前記内部情報および前記日時情報に基づいて前記複数の無線通信モジュールのうち使用する無線通信モジュールの数を設定する
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の通信中継装置。
【請求項8】
通信中継装置が、
ユーザーが所望する帯域幅、および前記通信中継装置の内部情報を取得し、
前記帯域幅および前記内部情報に基づき、複数の無線通信モジュールのうち使用する無線通信モジュールの数を設定する、
通信制御方法。
【請求項9】
前記内部情報は、前記通信中継装置に接続されている通信端末の数、および外部から放射された所定のレーダー信号の検出頻度を含む、
請求項8に記載の通信制御方法。
【請求項10】
前記帯域幅に基づいて、一つの無線通信モジュールに接続可能な通信端末数の閾値を設定し、
前記接続されている通信端末の数および前記閾値に基づいて使用する無線通信モジュールの数を設定する、
請求項9に記載の通信制御方法。
【請求項11】
前記帯域幅、および前記所定のレーダー信号の検出頻度に基づいて、一つの無線通信モジュールに接続可能な通信端末数の閾値を設定し、
前記接続されている通信端末の数および前記閾値に基づいて使用する無線通信モジュールの数を設定する、
請求項9に記載の通信制御方法。
【請求項12】
前記通信中継装置の消費電力を取得し、
前記帯域幅および前記通信中継装置の消費電力に基づいて、一つの無線通信モジュールに接続可能な通信端末数の閾値を設定し、
前記接続されている通信端末の数および前記閾値に基づいて使用する無線通信モジュールの数を設定する、
請求項9に記載の通信制御方法。
【請求項13】
前記無線通信モジュールは、5GHz帯のうち第1チャンネルに対応する第1無線通信モジュール、および5GHz帯のうち第2チャンネルに対応する第2無線通信モジュールを含み、
前記通信中継装置が、
前記複数の通信端末と前記第1無線通信モジュールとの間の第1接続を設定し、
接続されている通信端末の数が前記閾値未満であり、かつ前記第1チャンネルに対応するレーダー信号が検出されたとき、前記第1接続から前記複数の通信端末と前記第2無線通信モジュールとの間の第2接続に設定を変更する、
請求項10乃至12のいずれか一項に記載の通信制御方法。
【請求項14】
日時情報を取得し、
前記日時情報が所定の条件を満たすとき、前記帯域幅、前記内部情報および前記日時情報に基づいて前記複数の無線通信モジュールのうち使用する無線通信モジュールの数を設定する
請求項8乃至13のいずれか一項に記載の通信制御方法。
【請求項15】
コンピュータに、
ユーザーが所望する帯域幅、および通信中継装置の内部情報を取得し、
前記帯域幅および前記内部情報に基づき、複数の無線通信モジュールのうち使用する無線通信モジュールの数を設定することを実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信中継装置、通信制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線LANなどの無線通信においては、通信帯域として、2.4GHz帯と5GHz帯とが用いられている。5GHz帯の中でもW53およびW56と呼ばれる帯域の使用においては、軍事用および気象用などの特定のレーダー波(レーダー信号ともいう)との干渉を回避するための機能が実装される。この機能は、DFS(Dynamic Frequency Selection)機能と称されている。DFS機能は、以下の処理を実行するものである。まず、W53/W56に分類されるチャンネルと使用して無線通信を開始するときには、無線通信開始前に特定のレーダー信号が1分間にわたって検出されないことを確認する処理が必要である。この処理は、CAC(Channel Availability Check)と称される。また、CACでレーダー信号が検出された場合には、レーダー信号の使用を優先させるために、そのチャンネルの使用を30分間停止しなければならない。一般的にはレーダー信号が検出されるとチャンネルを変更し、無線通信を再開しようとする。しかし、レーダー信号を検出した後は、レーダー信号が使用していないチャンネルを新たに使用したとしても、1分間にわたって無線通信ができない。なお、無線通信をしている状態は、ISM(In-Service Monitoring)と称される。特許文献1では、無線LANの通信ログに基づき、レーダー信号との干渉が生じていると判断した場合、チャンネルを切り替えることが開示されている。
【0003】
また、アクセスポイントには、帯域に応じて複数の無線モジュールを備えているものがある。1つの無線モジュールのみを無線サービスに使う場合、(1)消費電力を少なくできる、(2)他の無線モジュールをレーダー監視用に利用する、(3)他の無線モジュールを他の無線LANシステムとの接続用(例えばWDSブリッジ機能)に利用するなどのメリットがある。一方、複数の無線モジュールを無線サービスに使う場合、その無線LANシステムでの通信帯域を大きくできるメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-182129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、ユーザー自らが利用する無線環境について知ることは難しい。そのため、無線環境が混雑しているときに、使用する無線モジュールの数を変更しようとしても、どのような条件に基づいて判断すればよいかわからない。さらに、ユーザー自らが手動で無線モジュール数を変更するような通信設定を行うことは、非常に煩雑である。
【0006】
本発明の目的の一つは、ユーザーの利用環境に応じて適切な無線通信設定を行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、通信中継装置であって、複数の無線通信モジュールと、ユーザーが所望する帯域幅、および前記通信中継装置の内部情報を取得し、前記帯域幅および前記内部情報に基づき、前記複数の無線通信モジュールのうち使用する無線通信モジュールの数を設定する制御部と、を含む通信中継装置が提供される。
【0008】
また、本発明の一実施形態によれば、通信中継装置が、ユーザーが所望する帯域幅、および前記通信中継装置の内部情報を取得し、前記帯域幅および前記内部情報に基づき、複数の無線通信モジュールのうち使用する無線通信モジュールの数を設定する通信制御方法が提供される。
【0009】
また、本発明の一実施形態によれば、コンピュータに、ユーザーが所望する帯域幅、および通信中継装置の内部情報を取得し、前記帯域幅および前記内部情報に基づき、複数の無線通信モジュールのうち使用する無線通信モジュールの数を設定することを実行させる、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザーの利用環境に応じて適切な無線通信設定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態における通信システムの構成を説明する図である。
図2】本発明の第1実施形態における通信制御処理を説明するフローチャートである。
図3】本発明の第1実施形態における初期化処理を説明するフローチャートである。
図4】本発明の第1実施形態における閾値設定処理を説明するフローチャートである。
図5】本発明の第1実施形態における閾値管理テーブルを説明する図である。
図6】本発明の第1実施形態における無線通信モジュール数設定処理を説明するフローチャートである。
図7】本発明の第1実施形態における無線通信モジュール数設定処理を説明するフローチャートである。
図8】本発明の第2実施形態における閾値設定処理を説明するフローチャートである。
図9】本発明の第3実施形態における閾値設定処理を説明するフローチャートである。
図10】本発明の第3実施形態における通信モジュール数設定処理を説明するフローチャートである。
図11】本発明の第3実施形態における通信モジュール数設定処理を説明するフローチャートである。
図12】本発明の第4実施形態における通信モジュール数設定処理を説明するフローチャートである。
図13】本発明の第5実施形態における通信システムの構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態における通信システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字の後にA、B等を付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0013】
<第1実施形態>
[1-1.通信システムの全体構成]
本発明の第1実施形態における通信システムは、無線通信を中継するアクセスポイントによって実現されている。このアクセスポイントは、少なくとも5GHz帯を用いた無線通信を行う通信装置であって、DFS機能に相当する処理を実行可能である。このとき、アクセスポイントは、以下に説明する方法によって、ユーザーが所望する帯域幅に応じて適切な無線通信モジュールの数を調整することができる。以下に第1実施形態におけるアクセスポイントについて説明する。なお、通信システムは、アクセスポイントに代えてルータ、ネットワークスイッチ等他の通信装置によって実現されてもよい。
【0014】
[1-2.アクセスポイントの構成]
図1は、本発明の第1実施形態における通信システム1の構成を説明する図である。アクセスポイント3は、通信端末5に対して無線LANの環境を提供する装置であり、ルータ9を介してWAN(インターネット等)に通信端末5を接続するための中継をする装置である。なお、図1においては、1つの通信端末5が示されているが、複数の通信端末5が存在してもよい。
【0015】
アクセスポイント3は、無線通信モジュールMa10、無線通信モジュールMb20、制御部50、記憶部70、操作部80、および無線通信モジュールMz90を備える。これらの構成は、バスによって互いに接続されている。この例における通信システム1は、無線通信モジュールMa10、無線通信モジュールMb20および制御部50を含み、1つの筐体に収容されることによってアクセスポイント3の一部を構成している。なお、本実施形態において、無線通信モジュールMa10および無線通信モジュールMb20を分けて説明する必要がないときには無線通信モジュールMとして説明する。
【0016】
無線通信モジュールMa10は、5GHz帯のチャンネルのうち、制御部50によって設定されたチャンネルを用いて、通信端末5との無線通信Csa、およびレーダー信号Lsaの検出を実行する。無線通信モジュールMa10に設定されるチャンネル(第1チャンネルともいう)は、IEEE802.11の規格において、タイプW53、W56に含まれるチャンネルから選択される。
【0017】
無線通信モジュールMb20は、5GHz帯のチャンネルのうち、制御部50によって設定されたチャンネルを用いて、通信端末5との無線通信Csb、およびレーダー信号Lsbの検出を実行する。無線通信モジュールMb20に設定されるチャンネル(第2チャンネルともいう)は、無線通信モジュールMa10に設定されるチャンネルとは異なるチャンネルであるが、タイプW53、W56に含まれるチャンネルから選択される点では同じである。なお、無線通信モジュールMa10および無線通信モジュールMb20には、タイプW52に含まれるチャンネル、すなわち、レーダー信号の検出対象外のチャンネルが、設定されることもある。
【0018】
レーダー信号LsaとLsbとは、チャンネルによって検出可能な無線通信モジュールを区別するために、便宜的に異なる表現で記載している。したがって、検出可能な無線通信モジュールを区別せず、共通の事項として説明する場合には、レーダー信号Lsとして記載する場合がある。
【0019】
無線通信モジュールMa10と無線通信モジュールMb20とは、上述のとおり、設定されるチャンネルが異なるが、その他の設定(例えば、送受信レートセット、セキュリティ設定)については同じであることが望ましい。このようにすると、通信端末5と通信する無線通信モジュールが変わったとしても、通信端末5は、利用するチャンネルの設定を変更すれば、そのまま通信をすることができる。なお、一部の設定については、無線通信モジュールMa10と無線通信モジュールMb20とで異なっていてもよい。
【0020】
無線通信モジュールMz90は、この例では、ルータ9と通信し、ルータ9を介して他の装置と通信するための通信部としての機能を有する。この通信は、例えば、2.4GHz帯を用いた無線によるものであってもよいし、有線によるものであってもよい。
【0021】
記憶部70は、制御部50によって実行される制御プログラムおよび各種のテーブル等の情報を記憶する。記憶部70には、例えば、後述する接続される通信端末数の閾値データが記憶され、制御部50によって適宜更新される。操作部80は、電源ボタン、設定ボタン等の操作子を含み、操作子に対するユーザーの操作を受け付け、その操作に応じた信号を制御部50に出力する。
【0022】
制御部50は、CPUなどの演算処理回路およびメモリを含む。制御部50は、記憶部70に記憶された制御プログラムをCPUによって実行して、各種機能をアクセスポイント3において実現させる。実現される機能には、通信制御機能が含まれる。この通信制御機能によれば、後述する処理(以下、通信制御処理という)を実行することができる。
【0023】
制御プログラムは、コンピュータにより実行可能であればよく、磁気記録媒体、光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供されてもよい。この場合には、アクセスポイント3は、記録媒体を読み取る装置を備えていればよい。また、制御プログラムは、無線通信モジュールを介してダウンロードされてもよい。続いて、通信制御処理(通信制御方法)について説明する。
【0024】
[1-3.通信制御処理]
通信制御処理は、アクセスポイント3において電源がオンにされることによって開始される。なお、ユーザーからの通信制御処理開始の要求(開始設定)により通信制御処理が開始されてもよい。図2は、本発明の第1実施形態における通信制御処理を説明するフローチャートである。本実施形態において、通信制御処理は、初期化処理S100、閾値設定処理S200、無線通信モジュール数設定処理S300を含む。初期化処理S100は、アクセスポイント3のうち無線通信モジュールMの初期条件を設定する処理である。閾値設定処理S200は、ユーザーから入力された所望の帯域幅に応じて閾値を設定する処理である。無線通信モジュール数設定処理S300は、無線通信モジュールMに接続されている通信端末数およびユーザーの所望する帯域幅に応じて無線通信に使用される無線通信モジュールの数を設定する処理である。通信制御処理が開始されると、制御部50は、最初に初期化処理S100を実行する。
【0025】
[1-3-1.初期化処理]
初期化処理S100が開始されると、制御部50は、無線通信モジュールMa10、Mb20に対して、無線通信に用いるチャンネルを設定する(ステップS101)。設定されるチャンネルは、予め決められたチャンネルであってもよいし、前回の電源オフのときに設定されていたチャンネルでもよいし、過去の履歴(例えば、チャンネル使用頻度、レーダー信号Lsの検出頻度等)に応じて決定されてもよい。また、現在使用されていない(空いている)チャンネルが設定されてもよい。このような設定は、記憶部70に記憶されている無線通信モジュール管理テーブルに登録されてもよい。なお、無線通信モジュールMa10に設定されるチャンネル(第1チャンネル)と、無線通信モジュールMb20に設定されるチャンネル(第2チャンネル)とは、異なるように設定される。
【0026】
現状の規格ではレーダー信号Lsを検出したチャンネルは30分間の使用が制限される。このため、この規格がある場合には、無線通信モジュールMのチャンネルが変更されるものとし、レーダー信号Lsの検出後、30分間は、いずれの無線通信モジュールMでもこのチャンネルが使用できないように、制御部50が制御する。初期化処理において、制御部50は、使用される無線通信モジュールの数を「1」と設定する(ステップS103)。このとき、制御部50は、無線通信モジュールMを接続優先モードに設定する(ステップS105)。
【0027】
接続優先モードでは、無線通信モジュールMa10、Mb20のうち、一方の無線通信モジュールM(例えば無線通信モジュールMa10)が通信端末5と接続(第1接続ともいう)された状態(ISM、非制限状態ともいう)とし、他方の無線通信モジュールM(例えば無線通信モジュールMb20)をレーダー信号Lsの検出をする状態(CAC、制限状態ともいう)とし、双方においてレーダー信号Lsの検出をする状態として、アクセスポイント3が動作する。
【0028】
接続優先モードにおいて、無線通信モジュールMb20がレーダー信号Lsを検出すると、無線通信モジュールMb20においてCACが開始される。このとき、無線通信モジュールMb20のチャンネルが変更されてもよいし、されなくてもよい。一方、無線通信モジュールMa10がレーダー信号Lsを検出すると、制御部50は、無線通信モジュールMb20を非制限状態(ISM)に変更し、無線通信モジュールMa10を制限状態(CAC)に変更する。これによって、接続優先モードでは、通信端末5と無線通信モジュールMa10との通信が切断され、通信端末5と無線通信モジュールMb20との接続(第2接続ともいう)に設定が変更されて、無線通信が開始される。このとき、通信端末5では、アクセスポイント3との通信が継続されつつ、無線通信のチャンネルが変更されればよい。このため、無線通信ができない期間がほとんど生じない。接続優先モードによれば、レーダー信号Lsを受信したときに、できるだけ無線通信ができない期間を少なくすることができる。
【0029】
[1-3-2.閾値設定処理]
図4は、閾値設定処理S200を説明するフローチャートである。制御部50は、接続優先モードの処理が実行されている間において、閾値設定処理S200を開始する。
【0030】
閾値設定処理S200において、まずユーザーがアクセスポイント3に対して所望する帯域幅(例えば帯域幅の下限値)を入力する。制御部50は、入力されたユーザーが所望する帯域幅を取得する(S201)。取得された帯域幅の情報は、記憶部70に記憶される。
【0031】
制御部50は、取得された帯域幅に基づいて、レーダー信号Lsの検出頻度の閾値Nth1を設定する(S203)。レーダー信号Lsの検出頻度は、無線通信モジュールMによって所定の期間内に検出されたレーダー信号の検出回数を示す。例えば、制御部50は、無線通信モジュールMは5分ごとにレーダー信号の検出を行ったときに、24時間で何回レーダー信号を検出するかをカウントする。レーダー信号の検出頻度の閾値Nth1として「1」が設定される。
【0032】
制御部50は、無線通信モジュールMに接続される通信端末数の閾値Nth2を設定する(S205)。閾値Nth2は、以下の数式1により算出される。
【数1】
(数式1)
数式1において、閾値Nth2は、ユーザーが所望する1台の通信端末あたりの帯域幅に加えて、所定の通信規格における帯域幅(通信速度)の理論値、無線通信に用いられる無線通信モジュールの数、および所定の係数に基づいて算出される。係数はユーザーが所望する帯域幅およびレーダー信号の検出頻度に基づいて設定される。本実施形態における所定の通信規格は、802.11acである。この通信規格における所定のパラメータ(例えばMSC index 9、Spatial Stream 2、帯域幅 80MHz、ガードインターバル長:0.4μs)を用いたときの理論値は866.7Mbpsである。アンテナ数は、送信用2本×受信用2本の4本である。なお、通信規格802.11acの別のパラメータ(MCS indexなど)が用いられてもよいし、通信規格は802.11acに限定されず、別の通信規格が用いられてもよい。
【0033】
図5は、接続される通信端末数の閾値管理テーブル100の一例である。閾値管理テーブル100は、条件101、ユーザーが所望する帯域幅103、レーダー信号検出頻度105、および接続される通信端末数の閾値107を含む。条件Nth2aにおいて、ユーザーが所望する1台の通信端末あたりの帯域幅「5Mbps」、レーダー信号検出頻度「少」が設定され、この場合の接続される通信端末数の閾値Nth2として「60」が設定される。なお、レーダー信号の検出頻度「少」は、レーダー信号の検出頻度が2回未満の場合をいう。レーダー信号の検出頻度「多」は、レーダー信号の検出頻度が2回以上の場合をいう。
【0034】
接続される通信末数の閾値を決定する処理(S205)が終了すると、制御部50は、現在接続されている通信端末数に基づいて使用される無線通信モジュール数設定処理S300を開始する。
【0035】
[1-3-3.無線通信モジュール数設定処理]
図6は、無線通信モジュール数設定処理S300を説明するフローチャートである。無線通信モジュール数設定処理S300において、初めに制御部50は、所定の時間が経過するまで待機する(S301;No)。所定期間が経過したとき(S301;Yes)、制御部50は、次に、制御部50は、アクセスポイント3の内部情報を取得する。制御部50は、所定の期間における無線通信モジュールMによって検出されたレーダー信号Lsの検出回数(検出頻度)を取得する(S303)。取得されたレーダー信号Lsの検出頻度は、記憶部70に記憶される。また、制御部50は、現在無線通信モジュールに接続されている通信端末数を取得する(S305)。無線通信モジュールに接続されている通信端末数は、時間間隔毎に取得された値である。なお、通信端末数は、所定の期間において時間間隔毎に取得された値の平均値であってもよい。取得された接続通信端末数は、記憶部70に記憶される。レーダー信号Lsの検出頻度および通信端末数の取得の順番は特に制限されない。
【0036】
次に、制御部50は、無線通信に使用される無線通信モジュールの数の変更処理を行う(S307)。図7は、無線通信モジュール数の変更処理S307を示すフロー図の一例である。図7に示すように、制御部50は、レーダー信号の検出頻度が閾値Nth1未満(この例では、Nth1=1)であるかどうかを判定する(S3071)。レーダー信号の検出頻度が閾値Nth1未満である場合(S3071;Yes)、無線通信に用いる無線通信モジュールの数を複数にする(S3072)。具体的には、現在無線通信に用いられる無線通信モジュールの数が「1」である場合、24時間以内のレーダー信号の検出頻度が0回であれば、無線通信に用いられる無線通信モジュールの数を「2」に設定する。無線通信モジュールが複数となったとき(無線通信モジュールの数が「2」に設定されたとき)、制御部50は、通信モジュールMが速度優先モードであるかを判定する(S3073)。速度優先モードである場合(S3073;Yes)、速度優先モードが維持される。速度優先モードではなく接続優先モードの場合(S3073;No)、接続優先モードから速度優先モードに切り替えるためのモード切替処理が実行される(S3074)。
【0037】
このモード切替処理は、無線通信モジュールMの無線通信を制限状態から非制限状態に切り替えることに対応する。これによって、無線通信モジュールのいずれも、通信端末5と無線通信ができるISMの状態(非制限状態)となる。この状態が速度優先モードである。
【0038】
速度優先モードにおいては、無線通信モジュールMa10、Mb20の双方を通信端末5と通信可能な状態(ISMの状態)として、接続優先モードよりも通信帯域を大きくするようにアクセスポイント3が動作する。これによって、多くの通信端末5がアクセスポイント3に接続しても、通信速度の低下を抑えることができる。また、速度優先モードでは、従来のように、レーダー信号Lsが検出されるとCACを開始するため無線通信が制限されるものの、2つの無線通信モジュールの一方がISMの状態を維持していれば、通信端末5は、チャンネルを切り替えて無線通信を継続することができる。
【0039】
レーダー信号検出頻度が1回以上である場合(S3071;No)、制御部50は、無線通信モジュールMに現在接続される通信端末の数を判定する(S3075)。このとき、接続される通信端末数の閾値は「60」である。現在接続されている通信端末数が閾値Nth2以上である場合(S3075;Yes)、制御部50は無線通信に用いられる無線通信モジュールMの数を増やすように設定する(S3076)。具体的には、24時間以内のレーダー信号の検出頻度が1回、かつ現在接続されている通信端末数が「80」である場合、現在無線通信に用いられる無線通信モジュールの数を「2」に設定する(S3076)。この場合、制御部50は、速度優先モードに設定するため、速度優先モードの判定処理が実行される(S3073)。
【0040】
現在接続されている通信端末数が閾値Nth2未満である場合(S3075;No)、無線通信に用いられる無線通信モジュールMの数を減らすように設定する(S3077)。具体的には、現在接続されている通信端末数が「40」である場合、現在無線通信に用いられる無線通信モジュールの数を「1」に設定する。この場合、制御部50は、接続優先モードであるかを判定する処理を実行する(S3078)。接続優先モードである場合(S3078;Yes)、接続優先モードを維持する。無線通信モジュールMが速度優先モードである場合、接続優先モードに切り替える処理を実行し(S3079)、接続優先モードを開始する。接続優先モードでは、無線通信モジュールMa10がレーダー信号Lsを検出した時、制御部50は、通信端末5と無線通信モジュールMa10との接続(第1接続)を切断し、通信端末5と無線通信モジュールMb20との接続(第2接続)に通信設定を変更する。制御部50は、電源がオンの状態において、無線通信モジュール数変更処理S300を繰り返す。
【0041】
上記の通信制御処理は、アクセスポイント3において、電源をオフにされたり、別の通信制御処理に切り替えられたりすると、終了する。
【0042】
以上より、本実施形態の場合、無線通信モジュール数が少ない場合は通信が遮断される時間が短くなり安定した無線通信がなされるとともに、消費電力を抑えることができる。また、無線通信モジュール数が多い場合は帯域幅を大きくすることにより通信速度を向上させることができる。したがって、本実施形態を用いることにより、ユーザーが入力した帯域幅および利用環境に応じて適切な個数の無線モジュールを用いて無線通信を行うことができる。
【0043】
<第2実施形態>
本発明の第1実施形態では、ユーザーが所望する帯域幅に応じて接続されている通信端末数の閾値を設定する例を示したが、本実施形態では、第1実施形態と異なる通信システムについて説明する。具体的には、所望する消費電力に基づいて接続される通信端末数の閾値を設定する例について説明する。なお、第1実施形態と共通する部分についての説明は適宜省略する。
【0044】
[2-1.閾値設定処理]
まず、ユーザーがアクセスポイント3に対して所望する無線通信モジュールMの消費電力(例えば消費電力の上限値)を入力する。制御部50は、入力されたユーザーが所望する無線通信モジュールMの消費電力を取得する(S201A)。取得された消費電力は、記憶部70に記憶される。
【0045】
制御部50は、取得された消費電力に基づいて、レーダー信号の検出頻度の閾値Nth1Aを設定し(S203A)、無線通信モジュールに接続される通信端末数の閾値Nth2Aを設定する(S205A)。閾値Nth2Aは、ユーザーが所望する消費電力に加えて、レーダー信号の検出頻度、および無線通信に用いられる無線通信モジュールの数などに基づいて設定されてもよい。
【0046】
本実施形態を用いることにより、ユーザーの所望する条件に消費電力を抑えながら無線通信を行うことができる。
【0047】
<第3実施形態>
本発明の第1実施形態では、ユーザーが所望する帯域幅に応じて接続されている通信端末数の閾値を設定する例を示したが、本実施形態では、第1実施形態と異なる通信システムについて説明する。具体的には、ユーザーの所望する、無線通信モジュールに接続される通信端末の数に基づいて消費電力の閾値を設定する例について説明する。なお、第1実施形態と共通する部分についての説明は適宜省略する。
【0048】
[3-1.閾値設定処理]
図9は、閾値設定処理S200Bを説明するフローチャートである。閾値設定処理S200Bにおいて、まず、ユーザーがアクセスポイント3に対して、無線通信モジュールに接続される通信端末の所望する数(例えば通信端末の上限値)を入力する。制御部50は、入力されたユーザが通信端末の数を取得する(S201B)。取得された通信端末の数は、記憶部70に記憶される。
【0049】
制御部50は、取得された通信端末の数に基づいて、レーダー信号の検出頻度の閾値Nth1Bを設定し(S203B)、無線通信モジュールMにより使用される消費電力の閾値Nth3を設定する(S205B)。閾値Nth3は、ユーザーが所望する通信端末の数に加えて、無線通信モジュールの帯域幅または処理能力(スループット)などに基づいて設定されてもよい。
【0050】
[3-2.無線通信モジュール数設定処理]
図10は、無線通信モジュール数設定処理S300Bを説明するフローチャートである。図10に示すように、無線通信モジュール数設定処理S300Bにおいて、まず、制御部50は、所定の時間が経過するまで待機する(S301B;No)。所定期間が経過したとき(S301B;Yes)、制御部50は、所定の期間における無線通信モジュールMによって検出されたレーダー信号Lsの検出回数(検出頻度)を取得する(S303B)。取得されたレーダー信号Lsの検出頻度は、記憶部70に記憶する。次に、制御部50は、無線通信モジュールMにおける現在の消費電力を取得する(S305B)。取得された消費電力は、記憶部70に記憶される。
【0051】
次に、制御部50は、無線通信に使用される無線通信モジュールの数の変更処理を行う(S307B)。図11は、無線通信モジュール数の変更処理を示すフロー図の一例である。図11に示すように、制御部50は、レーダー信号の検出頻度が閾値Nth1B未満(この例では、Nth1B=1)であるかどうかを判定する(S3071B)。レーダー信号の検出頻度が閾値Nth1B未満である場合(S3071B;Yes)、無線通信に用いる無線通信モジュールの数を「2」に設定する。(S3072B)。無線通信モジュールの数を「2」に設定されたとき、制御部50は、通信モジュールMが速度優先モードであるかを判定する(S3073B)。速度優先モードである場合(S3073B;Yes)、速度優先モードが維持される。速度優先モードではなく接続優先モードの場合(S3073B;No)、接続優先モードから速度優先モードに切り替えるためのモード切替処理が実行される(S3074B)。
【0052】
レーダー信号検出頻度が1回以上である場合(S3071B;No)、制御部50は、無線通信モジュールMにおける現在の消費電力を判定する(S3075B)。現在の消費電力が閾値Nth3未満である場合(S3075B;Yes)、制御部50は無線通信に用いられる無線通信モジュールの数を「2」に設定する(S3076B)。この場合、制御部50は、速度優先モードに設定するため、速度優先モードの判定処理が実行される(S3073B)。
【0053】
現在の消費電力が閾値Nth3以上である場合である場合(S3075B;No)、無線通信に用いられる無線通信モジュールMの数を減らすように設定する(S3077B)。具体的には、無線通信に用いられる無線通信モジュールの数を「1」に設定する。この場合、制御部50は、接続優先モードであるかを判定する処理を実行する(S3078B)。接続優先モードである場合(S3078B;Yes)、接続優先モードを維持する。無線通信モジュールMが速度優先モードである場合、接続優先モードに切り替える処理を実行し(ステップS3079B)、接続優先モードを開始する。制御部50は、電源がオンの状態において、無線通信モジュール数変更処理S300を繰り返す。
【0054】
以上より、本実施形態の場合、消費電力が少ない場合は無線通信モジュールの数を増やすことにより、帯域幅を大きくなる。その結果、通信速度を向上させることができる。また、消費電力が大きくなってきた場合には無線通信モジュールの数を減らすことにより消費電力を抑えることができる。したがって、本実施形態を用いることにより、利用環境に応じて消費電力を抑えながら適切な個数の無線モジュールを用いて無線通信を行うことができる。
【0055】
<第4実施形態>
本実施形態では、時間情報を取得して無線通信モジュール数設定処理S300Cを行う例について説明する。
【0056】
図12は、無線通信モジュール数設定処理S300Cを説明するフローチャートである。図12に示すように、無線通信モジュール数設定処理S300Cにおいて、まず、制御部50は、所定の時間が経過するまで待機する(S301;No)。所定期間が経過したとき(S301;Yes)、制御部50は、所定の期間における無線通信モジュールMによって検出されたレーダー信号Lsの検出回数(検出頻度)を取得する(S303)。取得されたレーダー信号Lsの検出頻度は、記憶部70に記憶される。次に、制御部50は、現在無線通信モジュールに接続されている通信端末数を取得する(S305)。取得された接続通信端末数は、記憶部70に記憶される。
【0057】
次に、制御部50は、日時情報を取得する(S306)。なお、日時情報の取得タイミングは特に限定されない。また、日時情報は、アクセスポイント3内から取得してもよいし、別の装置から取得されてもよい。制御部50は、取得された日時情報が、所定の日時であるかどうかを判定する(S308)。取得された日時情報が所定の日時ではない場合(S308;No)、無線通信モジュール数の変更処理を行う(S307)。無線通信モジュール数の変更処理S307は、本発明の第1実施形態において説明したとおりである。
【0058】
一方、取得された日時情報が所定の日時である場合(S308;Yes)、制御部50は、特定の無線通信モジュールの数に設定する(S310)。特定の無線通信モジュールの数は、ユーザーが所望する帯域幅、アクセスポイントの内部情報(例えば、レーダー信号の検知頻度、接続される通信端末の数)および日時情報に基づいて、使用する無線通信モジュールの数を設定されてもよい。具体的には、無線通信の少ない土曜日、日曜日には使用する無線通信モジュールの数を「1」に設定してもよい。
【0059】
本実施形態を用いた場合、所定の日時において、決められた無線通信モジュールの数が設定される。したがって、ユーザーがわざわざ設定しなくても消費電力の低下を図ることができるとともに、適切な個数の無線通信モジュールを用いて無線通信を行うことができる。
【0060】
<第5実施形態>
本発明の第1実施形態では、制御部50は、アクセスポイント3の記憶部70に記憶されたユーザーが所望する帯域幅、レーダー信号の検出頻度、および取得した接続される通信端末数などの各種情報に基づいて通信制御処理を行う例を示したが、本発明はこれに限定されない。本実施形態では、一つの無線通信モジュールが異なるアクセスポイントに設けられた例ついて説明する。
【0061】
図13は、通信システム1Dの構成図である。図13に示すように、通信システム1Dは、通信端末5およびルータ9に加えて、アクセスポイント3Dおよびアクセスポイント3Eを含む。アクセスポイント3Dは、無線接続モジュールMbを含まない以外は、第1実施形態のアクセスポイント3と同様である。アクセスポイント3Eは、無線通信モジュールMb20を含む。アクセスポイント3Dおよびアクセスポイント3Eは、同一のネットワークセグメント内に配置される。アクセスポイント3Dの制御部50は、アクセスポイント3Eに記憶された各種情報を用いて通信制御処理を行ってもよい。
【0062】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例および修正例に想到し得るものであり、それら変更例および修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、ステップの追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0063】
本発明の第1実施形態では、ユーザーが所望する帯域幅、レーダー信号の検出頻度、および取得した接続される通信端末数などの各種情報は、アクセスポイント3の記憶部70に記憶される例を示したが、本発明はこれに限定されない。各種情報は、アクセスポイント3とは異なる通信装置またはサーバの記憶装置に記憶された各種情報を用いて通信制御処理を行ってもよい。
【0064】
本発明の第1実施形態では、ユーザーが所望する帯域幅に基づいて、接続される通信端末数の閾値を決定し、現在の接続される通信端末数に応じて無線通信モジュールの数を変更する例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、アクセスポイント3の別の内部情報に基づいて、無線通信モジュールの数を変更してもよい。ユーザーが所望する接続無線端末数の上限に基づいて平均スループットの閾値を決定し、現在の平均スループットに応じて無線通信モジュールの数を変更してもよい。
【0065】
また、本発明の第1実施形態では、接続される通信端末数の閾値を設定するうえで、所定の通信規格における帯域幅の理論値が用いられる例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、現在接続している無線端末が使用している通信規格のうち最低の帯域幅(通信速度)、または帯域幅の平均値が用いられてもよい。
【0066】
本発明の第1実施形態では、接続される通信端末数の閾値Nth2の算出において、係数はユーザーが所望する帯域幅およびレーダー信号の検出頻度に基づいて設定される例を示したが、本発明はこれに限定されない。係数は、アクセスポイント3の別の内部情報、例えば無線通信モジュールMのチャンネル使用率、または無線通信モジュールのCRCエラー率に基づいて設定されてもよい。
【0067】
本発明の第1実施形態では、数式1に基づいて接続される通信端末数の閾値Nth2を算出する例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、あらかじめ機械学習に基づいて生成された学習済みモデルを利用して接続される通信端末数の閾値を生成してもよいし、無線通信モジュールの数を変更してもよい。
【0068】
また、レーダー信号の検出頻度の閾値は、所定の期間において一定の時間間隔でレーダー信号を連続して検出する回数に基づいて設定されてもよい。検出頻度が閾値以上である場合、レーダー信号を検出する確率が高いため通信モジュールの数を減らし、接続優先モードが優先的に設定されてもよい。
【0069】
なお、本発明の一実施形態において、制御部50は、無線通信モジュールMを接続優先モードに設定する例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、すでに設定された通信設定(モード)が引き続き用いられてもよいし、ユーザーが所望した帯域幅に応じて通信設定(モード)が設定されてもよい。
【0070】
なお、本発明の第1実施形態では、所定時間の経過後(S301:Yes)に、レーダー信号を検出する例を示したが、本発明はこれに限定されない。所定時間の経過を待たずに(S301の処理を行わずに)レーダー信号Lsの検出回数(検出頻度)を取得してもよい。
【0071】
本発明の一実施形態の通信中継装置において、前記内部情報は、前記通信中継装置に接続されている通信端末の数および外部から放射された所定のレーダー信号の検出頻度を含んでもよい。
【0072】
本発明の一実施形態の通信中継装置において、前記制御部は、前記帯域幅に基づいて、一つの無線通信モジュールに接続可能な通信端末数の閾値を設定し、前記接続されている通信端末の数および前記閾値に基づいて使用する無線通信モジュールの数を設定してもよい。
【0073】
本発明の一実施形態の通信中継装置において、前記制御部は、前記帯域幅および前記検出頻度に基づいて、一つの無線通信モジュールに接続可能な通信端末数の閾値を設定し、前記接続されている通信端末の数および前記閾値に基づいて前記無線通信モジュールの数を設定してもよい。
【0074】
本発明の一実施形態の通信中継装置において、前記制御部は、前記通信中継装置の消費電力を取得し、前記帯域幅および前記通信中継装置の消費電力に基づいて、一つの無線通信モジュールに接続可能な通信端末数の閾値を設定し、前記接続されている通信端末の数および前記閾値に基づいて使用する無線通信モジュールの数を設定してもよい。
【0075】
本発明の一実施形態の通信中継装置において、前記複数の無線通信モジュールは、5GHz帯のうち第1チャンネルに対応する第1無線通信モジュール、および5GHz帯のうち第2チャンネルに対応する第2無線通信モジュールを含み、前記制御部は、前記複数の通信端末と前記第1無線通信モジュールとの間の第1接続を設定し、接続されている通信端末の数が前記閾値未満であり、かつ前記第1チャンネルに対応するレーダー信号が検出されたとき、前記制御部は、前記第1接続から前記複数の通信端末と前記第2無線通信モジュールとの間の第2接続に設定を変更してもよい。
【0076】
本発明の一実施形態の通信中継装置において、前記制御部は、日時情報を取得し、前記日時情報が所定の条件を満たすとき、前記帯域幅、前記内部情報および前記日時情報に基づいて前記複数の無線通信モジュールのうち使用する無線通信モジュールの数を設定してもよい。
【0077】
本発明の一実施形態の通信制御方法において、前記内部情報は、前記通信中継装置に接続されている通信端末の数、および外部から放射された所定のレーダー信号の検出頻度を含んでもよい。
【0078】
本発明の一実施形態の通信制御方法において、前記帯域幅に基づいて、一つの無線通信モジュールに接続可能な通信端末数の閾値を設定し、前記接続されている通信端末の数および前記閾値に基づいて使用する無線通信モジュールの数を設定してもよい。
【0079】
本発明の一実施形態の通信制御方法において、前記帯域幅、および前記所定のレーダー信号の検出頻度に基づいて、一つの無線通信モジュールに接続可能な通信端末数の閾値を設定し、前記接続されている通信端末の数および前記閾値に基づいて使用する無線通信モジュールの数を設定してもよい。
【0080】
本発明の一実施形態の通信制御方法において、前記通信中継装置の消費電力を取得し、前記帯域幅および前記通信中継装置の消費電力に基づいて、一つの無線通信モジュールに接続可能な通信端末数の閾値を設定し、前記接続されている通信端末の数および前記閾値に基づいて使用する無線通信モジュールの数を設定してもよい。
【0081】
本発明の一実施形態の通信制御方法において、前記無線通信モジュールは、5GHz帯のうち第1チャンネルに対応する第1無線通信モジュール、および5GHz帯のうち第2チャンネルに対応する第2無線通信モジュールを含み、前記通信中継装置が、前記複数の通信端末と前記第1無線通信モジュールとの間の第1接続を設定し、接続されている通信端末の数が前記閾値未満であり、かつ前記第1チャンネルに対応するレーダー信号が検出されたとき、前記第1接続から前記複数の通信端末と前記第2無線通信モジュールとの間の第2接続に設定を変更してもよい。
【0082】
本発明の一実施形態の通信制御方法において、日時情報を取得し、前記日時情報が所定の条件を満たすとき、前記帯域幅、前記内部情報および前記日時情報に基づいて前記複数の無線通信モジュールのうち使用する無線通信モジュールの数を設定してもよい。
【符号の説明】
【0083】
1・・・通信システム,3・・・アクセスポイント,5・・・通信端末,9・・・ルータ,50・・・制御部,70・・・記憶部,80・・・操作部,100・・・データセット,103・・・帯域幅,105・・・レーダー信号検出頻度,107・・・閾値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13