IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ヒラノテクシードの特許一覧

<>
  • 特開-バルブとそれを用いた間欠塗工装置 図1
  • 特開-バルブとそれを用いた間欠塗工装置 図2
  • 特開-バルブとそれを用いた間欠塗工装置 図3
  • 特開-バルブとそれを用いた間欠塗工装置 図4
  • 特開-バルブとそれを用いた間欠塗工装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087549
(43)【公開日】2023-06-23
(54)【発明の名称】バルブとそれを用いた間欠塗工装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20230616BHJP
   B05C 5/02 20060101ALI20230616BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
F16K31/06 305C
F16K31/06 305K
F16K31/06 305L
F16K31/06 305M
F16K31/06 305D
F16K31/06 305B
B05C5/02
B05C11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202002
(22)【出願日】2021-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000240341
【氏名又は名称】株式会社ヒラノテクシード
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【弁理士】
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(72)【発明者】
【氏名】榎本 博一
【テーマコード(参考)】
3H106
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
3H106DA08
3H106DA22
3H106DA32
3H106DB02
3H106DB12
3H106DB28
3H106DB32
3H106DC02
3H106DC18
3H106DD09
3H106EE48
3H106FA07
3H106GA01
3H106GA08
3H106GA10
3H106GA11
3H106GC26
4F041AA02
4F041AA12
4F041AB01
4F041BA02
4F041BA10
4F041BA12
4F041BA38
4F041CA03
4F041CA13
4F041CA17
4F041CA18
4F041CA28
4F042AA22
4F042AB00
4F042BA07
4F042BA08
4F042BA12
4F042CA01
4F042CB02
4F042CB08
4F042CB10
4F042CB20
4F042CC07
4F042CC15
4F042CC30
4F042DF23
4F042ED03
(57)【要約】
【課題】ボイスコイルモータを用いたバルブにおいて、弁の開閉をより高速に行うことができるバルブとそれを用いた間欠塗工装置を提供する。
【解決手段】三方弁10の第1バルブ1を作動させる第1ボイスコイルモータ7は、円筒形のアウターヨーク42と、アウターヨーク42の内周面に設けられたリング状のマグネット44と、マグネット44内周側に配されたコイルボビン48と、コイルボビン48と同軸に固定された第1摺動軸30と、コイルボビン48に巻回されたアルミニウム製のコイル50と、アウターヨーク42に配された配線53と、配線53の端部とコイル50とを接続する2本のケーブル56,57とを有する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁本体と、
可動コイル型のボイスコイルモータと、
前記ボイスコイルモータから突出し、前記ボイスコイルモータによって摺動する摺動軸と、
前記弁本体内部に設けられた液体が流れる空間と、
前記弁本体に設けられた前記液体の入口と、
前記弁本体に設けられた前記液体の出口と、
前記出口に設けられた弁座と、
前記弁座を開閉する弁体と、
前記空間内に配され、一端が前記摺動軸と接続され、他端に前記弁体が設けられた摺動シャフトと、
を有し、
前記ボイスコイルモータは、
円筒形のアウターヨークと、
前記アウターヨークの内周面に設けられたリング状のマグネットと、
前記マグネット内周側に配されたコイルボビンと、
前記コイルボビンと同軸に固定された前記摺動軸と、
前記コイルボビンに巻回されたアルミニウム製のコイルと、
前記アウターヨークに配された配線と、
前記配線の端部と前記コイルとを接続する2本のケーブルと、
を有することを特徴とするバルブ。
【請求項2】
前記マグネットより内周側で、かつ、前記アウターヨークと同軸に固定された円筒形のインナーヨークを有し、
前記コイルボビンは円筒形であり、前記マグネットと前記インナーヨークとの間に摺動自在に配され、
円筒形の前記インナーヨークの内周部を前記摺動軸が摺動する、
請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
前記ケーブルは、所定回数以上の屈曲があっても破損しない耐屈曲性と、所定回数以上の捻回があっても破損しない耐捻回性を有している、
請求項1に記載のバルブ。
【請求項4】
2本の前記ケーブルは、前記アウターヨークの内周面の同じ範囲から前記コイルボビンに向かってそれぞれ延び、
一方の前記ケーブルは、前記コイルボビンの軸心と前記同じ範囲とを結ぶ線から90°離れた位置にある前記コイルと接続され、
他方の前記ケーブルは、前記コイルボビンの軸心と前記同じ範囲とを結ぶ線から-90°離れた位置にある前記コイルと接続されている、
請求項1に記載のバルブ。
【請求項5】
走行する長尺状のウエブに塗工液を塗工するダイと、
前記塗工液を貯留するタンクと、
前記タンクに貯留された前記塗工液を圧送するポンプと、
請求項1に記載のバルブである第1バルブと請求項1に記載のバルブである第2バルブとから構成され、かつ、前記第1バルブの前記空間と前記第2バルブの前記空間が連通している三方弁と、
前記ポンプからの前記塗工液を前記第1バルブの前記入口に供給する圧送配管と、
前記第1バルブの前記出口から前記ダイに前記塗工液を供給する給液配管と、
前記第2バルブの前記出口から前記タンクに前記塗工液を循環させる循環配管と、
前記第1バルブの前記出口と前記第2バルブの出口を交互に開閉することによって前記ウエブに塗工区間と未塗工区間とを交互に形成する間欠塗工を行う制御部と、
を有することを特徴とする間欠塗工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブとそれを用いた間欠塗工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金属箔、フィルム、布帛、紙、金属メッシュなどの長尺状のウエブに塗工液を間欠塗工するために、間欠塗工装置が提案されている。この間欠塗工装置は、バックアップロールに抱きかえられ搬送されるウエブに、ダイを用いて未塗工区間と塗工区間とを交互に形成するために、塗工液を圧送するポンプとダイとの間に三方弁よりなるバルブを設けている。ウエブに塗工区間を形成するときは、この三方弁の第1の弁を開けてダイへ塗工液を供給し、第2の弁は閉じる。次に、ウエブへ未塗工区間を形成するときは、三方弁の第1の弁を閉じ、第2の弁を開けて塗工液をタンクに循環するようにしている。
【0003】
最近のリチウムイオン電池の電極部材などに使用される金属箔に、塗工液を間欠塗工する場合には、塗工区間の長さと未塗工区間の長さの精度が高く要求される。そこで本出願人は先に、ボイスコイルモータで弁の開閉を行うバルブを用いることによって間欠塗工を行う間欠塗工装置を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-47245号公報
【特許文献2】特開2020-94610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のようなボイスコイルモータを用いたバルブで間欠塗工する場合であっても、弁の開閉をより高速に行うことが必要であるという問題点がでてきた。
【0006】
そこで本発明は、ボイスコイルモータを用いたバルブにおいて、弁の開閉をより高速に行うことができるバルブとそれを用いた間欠塗工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、弁本体と、可動コイル型のボイスコイルモータと、前記ボイスコイルモータから突出し、前記ボイスコイルモータによって摺動する摺動軸と、前記弁本体内部に設けられた液体が流れる空間と、前記弁本体に設けられた前記液体の入口と、前記弁本体に設けられた前記液体の出口と、前記出口に設けられた弁座と、前記弁座を開閉する弁体と、前記空間内に配され、一端が前記摺動軸と接続され、他端に前記弁体が設けられた摺動シャフトと、を有し、前記ボイスコイルモータは、円筒形のアウターヨークと、前記アウターヨークの内周面に設けられたリング状のマグネットと、前記マグネット内周側に配されたコイルボビンと、前記コイルボビンと同軸に固定された前記摺動軸と、前記コイルボビンに巻回されたアルミニウム製のコイルと、前記アウターヨークに配された配線と、前記配線の端部と前記コイルとを接続する2本のケーブルと、を有することを特徴とするバルブである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ボイスコイルモータの可動部分であるコイルボビンに巻回されるコイルが、アルミニウム製であるため銅線よりも軽量であり、磁力でコイルボビンを摺動させた場合に、より高速にコイルボビンと摺動軸とを摺動させることができる。したがって、摺動軸に接続された摺動シャフトにある弁体がより高速に開閉する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態を示す間欠塗工装置の説明図である。
図2】三方弁の一部欠裁断面図である。
図3】三方弁の第1バルブにおける第1弁本体と第1VCモータの連結部分の縦断面図である。
図4】第1VCモータの縦断面図である。
図5図4におけるA-A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態の間欠塗工装置100と、それに用いられるバルブである三方弁10について図1図5を参照して説明する。
【0011】
(1)三方弁10の構造
まず、間欠塗工装置100に用いられる三方弁10について図2を参照して説明する。
【0012】
三方弁10は、第1バルブ1と第2バルブ2とを組み合わせたものである。第1バルブ1の第1弁本体3と第2バルブ2の第2弁本体4とが横に並んで一体となって組合せられ、組合せ弁本体12を構成している。組合せ弁本体12内部には、共通の空間20が横方向に形成されている。
【0013】
組合せ弁本体12における第1弁本体3の側部に、塗工液の入口14が開口している。
【0014】
組合せ弁本体12における第1弁本体3の上部は円筒状に突出し、その上端部には第1出口16が開口している。
【0015】
組合せ弁本体12における第2弁本体4の上部は円筒状に突出し、その上端部には第2出口18が開口している。
【0016】
共通の空間20は、塗工液の入口14と第1出口16と第2出口18とを繋いでいる。この空間20の内部であって、第1出口16の基部には、ゴム製、又はシリコン製の第1弁座22が形成され、第2出口18の基部には、ゴム製、又はシリコン製の第2弁座24が形成されている。
【0017】
第1弁座22を開閉するための第1弁体26が、第1出口16の基部内部に配されている。第2弁座24を開閉するための第2弁体28が、第2出口18の基部内部に配されている。
【0018】
組合せ弁本体12における第1弁本体3の下部には、円筒状の第1連結体5が設けられ、第1連結体5の下部には、直動式のリニアモータである第1ボイスコイルモータ(以下、「第1VCモータ」という)7が設けられている。
【0019】
第1連結体5から第1弁本体3の空間20に上下方向に突出した第1摺動シャフト34は、その上端に第1弁体26が取り付けられている。この第1摺動シャフト34が摺動することにより、第1弁体26が第1弁座22を開閉する。第1摺動シャフト34の下端は、第1VCモータ7から突出した第1摺動軸30の上端と接続部材54を介して接続されている。第1VCモータ7の下部から下方に突出した第1摺動軸30には、第1位置センサ38が取り付けられている。この第1位置センサ38は、リニアスケールより構成され、第1摺動軸30の位置を1μm単位で検出する。
【0020】
組合せ弁本体12における第2弁本体4の下部には、円筒状の第2連結体6が設けられ、第2連結体6の下部には、直動式のリニアモータである第2ボイスコイルモータ(以下、「第2VCモータ」という)8が設けられている。
【0021】
第2連結体6から第2弁本体4の空間20に上下方向に突出した第2摺動シャフト36は、その上端に第2弁体28が取り付けられている。この第2摺動シャフト36が上下動して摺動することにより、第2弁体28が第2弁座24を開閉する。第2摺動シャフト36の下端は、第2VCモータ8から突出した第2摺動軸32の上端と接続部材54を介して接続されている。第2VCモータ8の下部から突出した第2摺動軸32の下端には、第2位置センサ40が取り付けられている。この第2位置センサ40は、リニアスケールより構成され、第2摺動軸32の位置を1μm単位で検出する。
【0022】
(2)第1摺動シャフト34の摺動構造
次に、第1バルブ1の第1摺動シャフト34の摺動構造について図2図3を参照して説明する。
【0023】
図2図3に示すように、第1バルブ1の第1出口16の下方における組合せ弁本体12の下部からは、筒突部94が下方に突出している。この筒突部94の上面、すなわち共通の空間20との接触面には、円形の開口部96が開口している。
【0024】
図3に示すように、この筒突部94の下端には、筒状の第1連結体5が連結されている。筒状の第1連結体5の本体である筒体58の上端の外周には上フランジ部98が設けられ、筒突部94の下端と不図示のボルトにより固定されている。図3に示すように、筒突部94の内側には、円柱状の支持部60が収納されている。この支持部60の軸方向には、支持貫通孔62が設けられている。
【0025】
図3に示すように、第1連結体5の筒体58の上部であって、支持部60の下方には、円柱型の滑り軸受(リニアブッシュ)64が収納されている。滑り軸受64の中心軸には、第1摺動シャフト34が貫通し、さらにこの第1摺動シャフト34は支持部60の支持貫通孔62を貫通し、円形の開口部96から突出している。この第1摺動シャフト34の上端には、第1弁体26が取り付けられている。図3に示すように、第1摺動シャフト34の下端は、滑り軸受64の下部から突出している。この第1摺動シャフト34の下端は、クレビスよりなる接続部材54に取り付けられている。
【0026】
図3に示すように、円筒型の第1VCモータ7の上面の中央から第1摺動軸30が軸方向に突出している。この第1摺動軸30の上端部には、第1摺動軸30よりもやや径が小さい雄ネジ部68が同軸に突出している。
【0027】
図3に示すように、接続部材54は、円柱状のクレビスよりなる。接続部材54の上部は、U字状の凹部76を有している。第1摺動シャフト34の下端は先細りとなり、凹部76に嵌まり込み、クレビスピン78によって回転自在に接続部材54の上部に固定されている。接続部材54の下部には、雌ネジ部82が刻設されている。図3図4に示すように、第1摺動軸30の雄ネジ部68は、接続部材54の雌ネジ部82に螺合し、接続部材54の下方からナット80によって固定されている。このナット80は、雄ネジ部68と螺合している。
【0028】
図2図3に示すように、第1連結体5の筒体58の下端には、下フランジ部74が形成され、第1VCモータ7の上部にボルトによって固定されている。
【0029】
第2バルブ2の第2摺動シャフト36の摺動構造についても、第1摺動シャフト34の摺動構造と同様の構造を有している。
【0030】
(3)第1VCモータ7
次に、第1VCモータ7について図4図5を参照して説明する。第1VCモータ7は、マグネット(Nd-Fe-B磁石)44が作る強力な磁界の中をコイル50のみが往復運動するタイプの単相モータであって、可動コイル(ムービングコイル)型である。
【0031】
第1VCモータ7は、ケーシングを兼ねた円筒型の鉄製のアウターヨーク42を有している。このアウターヨーク42の内周面には、リング状のマグネット44が固定されている。また、この円筒型のアウターヨーク42の内部には、円筒型の鉄製のインナーヨーク46が配され、アウターヨーク42とインナーヨーク46とは、円形の下面52で固定されている。アウターヨーク42とインナーヨーク46との間には、間隙が設けられている。円形の下面52の中央部には下軸孔72が開口し、円筒型のインナーヨーク46の内周部と連通している。また、この下軸孔72に対応した下面52の下部には、下滑り軸受47が設けられている。
【0032】
円筒型の非磁性体のコイルボビン48が、アウターヨーク42とインナーヨーク46との間隙に、軸方向に沿って摺動自在に配されている。コイルボビン48の外周面には、アルミニウム製のコイル50が巻回され、この巻回されたコイル50の位置は、リング状のマグネット44の位置と相対向している。
【0033】
コイルボビン48の上部の中央部には、第1摺動軸30が貫通して固定されている。第1摺動軸30は、円筒型のインナーヨーク46の内周部も摺動自在に貫通し、下軸孔72も貫通し、下滑り軸受47に摺動自在に支持されている。第1摺動軸30は、下滑り軸受47からさらに突出し、リニアセンサである第1位置センサ38に挿入されている。第1位置センサ38は、この第1摺動軸30の摺動距離に基づいて、第1弁体26の開閉距離を計測する。
【0034】
円筒型のアウターヨーク42の上面は、平面形状が円形の蓋体43で覆われている。この蓋体43の中心部には上軸孔70が開口し、その内周には上滑り軸受45が設けられている。コイルボビン48から上方に突出した第1摺動軸30は、この上滑り軸受45によって摺動自在に支持された状態で、蓋体43、すなわち第1VCモータ7から突出している。第1摺動軸30の上端部には、上記で説明したように雄ネジ部68が突出している。
【0035】
蓋体43の下面には上ダンパ49が配され、下面52のインナーヨーク46の外周部には下ダンパ51が配されている。上ダンパ49と下ダンパ51は、磁力で上下動しているコイルボビン48にクッション性を与えている。
【0036】
アウターヨーク42の外周部、又は内部には軸方向に配線53が設けられている。この配線53の下端部は下面52に設けられた端子55と接続されている。端子55には、制御部126から延びる外部配線134が接続されている(図1参照)。図5に示すように、アウターヨーク42の内部に配された配線53の中で、コイル50に直流電流を流すためのプラス側の端子86とマイナス側の端子88がアウターヨーク42の軸方向における同じ高さで、かつ、同じ範囲Pに設けられている。なお、「同じ範囲P」とはプラス側の端子86とマイナス側の端子88が電気的に接触しない程度には離れた範囲を意味している。
【0037】
このプラス側の端子86には、プラス側のケーブル56の一端が接続され、マイナス側の端子88には、マイナス側のケーブル57の一端が接続されている。これらケーブル56とケーブル57は、いわゆるロボットケーブルと呼ばれるものであり、所定回数(例えば、1000万回)以上の屈曲があっても破損しない耐屈曲性と、所定回数(例えば、1000万回)以上の捻回があっても破損しない耐捻回性を有している。
【0038】
プラス側のケーブル56の他端は、アルミニウム製のコイル50の一端と接続され、マイナス側のケーブル57の他端は、コイル50の他端と接続されている。この接続位置は、図4に示すように軸方向の高さに関しては、同じ高さであり、詳しくは、下面52からの距離が同じである。また、図5に示すようにコイルボビン48を軸方向に切断した面においては、コイルボビン48の軸芯Oと同じ範囲Pとを結ぶ線から90°離れた位置Qでコイル50と接続され、マイナス側のケーブル57は、コイルボビン48の軸芯Oと同じ範囲Pとを結ぶ線から-90°離れた位置Rにあるコイル50と接続されている。すなわち、コイルボビン48の軸芯Oを中心にして、位置Qと位置Rとは180°離れた位置に設けられている。
【0039】
ケーブル56は、端子86とコイル50の接続位置Qとの最短距離よりも長く設けられている。これはコイルボビン48が摺動するためである。ケーブル57は、ケーブル56と長さは同じであり、端子88とコイル50の接続位置Rとの最短距離よりも長く設けられている。
【0040】
第1VCモータ7の動作状態について説明する。外部配線134、端子55、配線53を経て、プラス側のケーブル56から巻回したコイル50に直流電流が流れ、その後にマイナス側のケーブル57に流れる。コイル50に直流電流が流れることにより、リング状のマグネット44の間に磁界が発生し、ファラデーの法則によりコイルボビン48が第1摺動軸30と共に軸方向に移動する。この軸方向に移動する第1摺動速度v1は、コイル50に流す直流電流の強さによって決定される。また、第1摺動軸をどの位置まで移動させるかは、第1位置センサ38で第1摺動軸30の位置を検出し、所定位置まで第1摺動軸30が移動すると、コイル50に流れる直流電流を切り、第1摺動軸30の摺動を停止させる。この第1摺動軸30の摺動距離としては、例えば3mmである。
【0041】
第2VCモータ8も、第1VCモータ7と同様の構造を有し、同様の動作を行う。
【0042】
(4)間欠塗工装置100の構成
次に、間欠塗工装置100の構成について図1を参照して説明する。リチウムイオン電池の電極部材の材料となる長尺状のウエブ(例えば、金属箔)Wが、バックアップロール102によって抱きかかえられて所定の走行速度Vで走行する。このバックアップロール102の側方には、ウエブWに塗工液を間欠塗工するためのダイ104が水平に配されている。このダイ104内部には、液溜め部106が設けられ、この液溜め部106からスリット108を経てダイ104の吐出口109に至る。バックアップロール102の前後には、ウエブWを案内する案内ロール130と案内ロール132が回転自在に設けられている。ダイ104の吐出口109とバックアップロール102を走行するウエブWとの間隙であるギャップgを調整するために、ダイ104、又は、バックアップロール102が不図示のエアーシリンダで水平方向に移動自在に支持されている。
【0043】
図1に示すように、塗工液を貯留するためのタンク110が設けられている。タンク110には、吸引配管113を介して塗工液を圧送する定量ポンプ112が設けられている。定量ポンプ112は、ポンプモータ114によって駆動する。定量ポンプ112と三方弁10の入口14との間には圧送配管116が設けられている。定量ポンプ112は、単位時間当たり一定量の塗工液を、圧送配管116を介して三方弁10へ圧送する。
【0044】
図1に示すように、三方弁10の第1出口16には、給液配管118の一端部が接続され、この給液配管118の他端部は、ダイ104の塗工液入口120に接続されている。三方弁10の第2出口18には、循環配管122の一端部が接続され、この循環配管122の他端部は、タンク110の内部に設けられている。また、この循環配管122の途中には、絞り弁124が設けられている。
【0045】
(5)間欠塗工装置100の電気的構成
間欠塗工装置100の電気的構成について図1を参照して説明する。
【0046】
コンピュータよりなる制御部126には、バックアップロール102を回転させるための走行モータ128、定量ポンプ112を駆動させるポンプモータ114、三方弁10の第1VCモータ7、第2VCモータ8、第1位置センサ38、第2位置センサ40がそれぞれ接続されている。
【0047】
(6)間欠塗工装置100の動作状態
次に、間欠塗工装置100を用いてウエブWに塗工区間L1と未塗工区間L2を形成する間欠塗工を行う動作について図1図2を参照して説明する。
【0048】
図1に示すように、作業員はタンク110に塗工液を入れて満杯にし、ダイ104の吐出口109とウエブWとの間隙であるギャップgを基準ギャップg0に設定し、ウエブWを走行速度Vで走行させる。
【0049】
図1に示すように、ウエブWに塗工区間L1の形成を開始する場合、制御部126は、三方弁10の第1出口16を開状態にし、第2出口18を閉状態にして、定量ポンプ112によってタンク110から塗工液を圧送し、三方弁10を経て、ダイ104に塗工液を圧送する。ダイ104に圧送された塗工液は、液溜め部106からスリット108を経て吐出口109において塗工液を走行するウエブWに塗工される。
【0050】
このときに制御部126は、第1摺動シャフト34を第1基準摺動速度v0で移動させて、第1出口16を開状態にし、同時に第2出口18を閉状態にして、ウエブWに塗工液の塗工を開始する。第1摺動シャフト34の第1弁体26を開状態にするときの摺動停止位置は、第1位置センサ38によって検出し、予め決められた所定位置まで第1摺動シャフト34が上昇すると、制御部126は、第1VCモータ7のコイル50に流す直流電流を切り、第1摺動シャフト34の摺動を停止させる。また、制御部126は、第2出口18を閉状態にする場合に、第2摺動シャフト36の第2摺動速度v2を第1摺動シャフト34の第1基準摺動速度v0と同じにするか、又は少し遅くして下降させる。これにより、第1出口16が開状態になったとき、第2出口18が閉状態になるときの圧力変化の影響を塗工部分が受けることがなく、塗工区間L1の始端に盛上り部分が形成されない。なお、第2摺動シャフト36を閉状態にするときの摺動停止は、第2弁体28が第2弁座24に当たると停止させる。
【0051】
次に、制御部126は、走行速度VからウエブWの塗工区間L1の長さを測定し、塗工を続ける。
【0052】
次に、図2に示すように、制御部126は、塗工区間L1の塗工が終了した場合には、第1出口16を閉状態にし、同時に第2出口18を開状態にする。制御部126が第1出口16を閉状態にする第1摺動シャフト34の第1摺動速度v1を第1最大摺動速度v1maxで行う。一方、制御部126は、第2VCモータ8のコイル50に流す直流電流の強さを制御して、第2出口18を開状態にする場合も同様に、第2摺動シャフト36の第2摺動速度v2を第2最大摺動速度v2maxで行う。このように制御する理由は、塗工液の吐出が時速に終了すればするほど、塗工区間L1の終端がエッジ状になって盛上がるのを防止でき、そして、塗工液の吐出を迅速に終了させるには、第1摺動シャフト34を最も速く摺動させて第1弁体26を閉状態にする必要があるからである。なお、第1摺動シャフト34を閉状態にするときの摺動停止は、第1弁体26が第1弁座22に当たると停止させる。また、第2摺動シャフト36を開状態にするときの摺動停止位置は、第2位置センサ40によって検出し、第2摺動シャフト36の摺動を停止させる。これによって、塗工区間L1の終端の盛上りを防止でき、また、塗工区間L1長さを予め決められた長さに正確に塗工できる。
【0053】
次に、制御部126は、走行速度VからウエブWの未塗工区間L2の長さを測定し、未塗工区間L2を形成する。未塗工区間L2を形成している場合には、三方弁10の第1出口16が閉状態であり、第2出口18が開状態であるため、定量ポンプ112から圧送された塗工液は、循環配管122によって、タンク110に循環する。この循環量は絞り弁124によって決定する。
【0054】
次に、制御部126は、未塗工区間L2の形成が終了すると、上記と同様の制御によって三方弁10の第1出口16を再び開状態にし、第2出口18を再び閉状態にして、ウエブWに塗工区間L1の塗工を開始する。
【0055】
(7)効果
第1VCモータ7におけるコイルボビン48に巻回されているコイル50が、アルミニウム製であるため、銅線よりなるコイルよりも重量が軽く、同じ磁力であっても重量が軽い分だけ、高速に移動できる。そのため、三方弁10の第1弁体26と第2弁体28とが高速に開閉でき、ウエブWに塗工区間L1と未塗工区間L2とを形成する場合に、塗工区間L1の長さと未塗工区間L2の長さの精度を高めることができ、目的の間欠塗工を行い易くなる。
【0056】
また、コイル50と、アウターヨーク42内部にある配線53とは、ロボットケーブルよりなるケーブル56とケーブル57によって接続されているため、断線するリスクが低減する。
【0057】
また、ケーブル56とケーブル57は同じ長さであり、同じ範囲Pから左右に広がるようにしてコイルボビン48の相対向する離れた位置Q,Rにそれぞれ延びてコイル50と接続されているため、コイルボビン48が軸方向に移動しても、一方のケーブルだけに負荷が掛からない。
【0058】
また、2本のケーブル56とケーブル57の端子86と端子88の軸方向の位置と、コイル50との接続位置が同じ高さに設けられているため、コイルボビン48が上下方向に摺動した場合であっても、ケーブル56とケーブル57が上下方向に移動する距離が最短となり、ケーブル56とケーブル57の耐久性を上げることができる。
【0059】
(8)変更例
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1・・・第1バルブ、2・・・第2バルブ、3・・・第1弁本体、4・・・第2弁本体、5・・・第1連結体、6・・・第2連結体、7・・・第1ボイスコイルモータ、8・・・第2ボイスコイルモータ、10・・・三方弁、30・・・第1摺動軸、32・・・第2摺動軸、34・・・第1摺動シャフト、36・・・第2摺動シャフト、42・・・アウターヨーク、44・・・マグネット、46・・・インナーヨーク、48・・・コイルボビン、50・・・コイル、53・・・配線、56・・・プラス側のケーブル、57・・・マイナス側のケーブル、100・・・間欠塗工装置、102・・・バックアップロール、104・・・ダイ
図1
図2
図3
図4
図5