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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087556
(43)【公開日】2023-06-23
(54)【発明の名称】合成皮革
(51)【国際特許分類】
   D06N 3/14 20060101AFI20230616BHJP
【FI】
D06N3/14 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202010
(22)【出願日】2021-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000107907
【氏名又は名称】セーレン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【弁理士】
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(72)【発明者】
【氏名】坂井 昌彦
【テーマコード(参考)】
4F055
【Fターム(参考)】
4F055AA01
4F055AA03
4F055AA18
4F055AA21
4F055AA27
4F055BA13
4F055CA05
4F055DA08
4F055EA01
4F055EA04
4F055EA21
4F055EA23
4F055EA30
4F055FA08
4F055FA15
4F055GA11
4F055GA32
4F055HA17
(57)【要約】
【課題】安価で、柔軟性に優れるとともに、縫製時のシワを容易に改善することができ、またその際に表面のテカリを抑制することができる合成皮革を提供する。
【解決手段】実施形態に係る合成皮革は、繊維質基材と、塩化ビニル系樹脂を含む第一のポリウレタン樹脂層と、塩化ビニル系樹脂を含まない第二のポリウレタン樹脂層と、をこの順で含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維質基材と、
塩化ビニル系樹脂を含む第一のポリウレタン樹脂層と、
塩化ビニル系樹脂を含まない第二のポリウレタン樹脂層と、
をこの順で含む合成皮革。
【請求項2】
前記第一のポリウレタン樹脂層は、塩化ビニル系樹脂10質量%以上50質量%以下とポリウレタン樹脂50質量%以上90質量%以下とを含み、前記第一のポリウレタン樹脂層中の可塑剤の含有量が0質量%以上10質量%以下である、請求項1に記載の合成皮革。
【請求項3】
前記第一のポリウレタン樹脂層は、塩化ビニル系樹脂10質量%以上50質量%以下とポリウレタン樹脂50質量%以上90質量%以下とを含み、前記第一のポリウレタン樹脂層は可塑剤を含まない、請求項1または2に記載の合成皮革。
【請求項4】
前記第一のポリウレタン樹脂層は、二液硬化型ポリウレタン樹脂を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の合成皮革。
【請求項5】
前記第一のポリウレタン樹脂層は、二液硬化型ポリウレタン樹脂のポリオール成分に塩化ビニル系樹脂を添加した混合物と、二液硬化型ポリウレタン樹脂のポリイソシアネート成分との反応物を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の合成皮革。
【請求項6】
前記第一のポリウレタン樹脂層は、二液硬化型ポリウレタン樹脂を含み、さらに有機酸カルシウム塩及び/又は有機酸亜鉛塩を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の合成皮革。
【請求項7】
前記第二のポリウレタン樹脂層は、一液型ポリウレタン樹脂を含み、さらに過塩素酸塩を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の合成皮革。
【請求項8】
前記第一のポリウレタン樹脂層は、二液硬化型ポリウレタン樹脂を含み、かつ過塩素酸塩を含まない、請求項1~7のいずれか1項に記載の合成皮革。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成皮革に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、合成皮革は、車両シート、ドア内張り等の車両内装材用途、家具、椅子等のインテリア資材用途、鞄、靴、衣料などのファッション用途等、様々な分野で用いられている。一般的に合成皮革は次のようにして製造される。塩化ビニル系樹脂またはポリウレタン樹脂を離型紙上に塗布し、乾燥して皮膜を形成する。ついで、皮膜と基材とを貼り合わせた後、熱圧着により接着し、離型紙を剥がす。
【0003】
ポリウレタン樹脂を用いた合成皮革は、柔軟性(即ち、柔らかな風合い)や耐久性に優れる。一方、塩化ビニル系樹脂を用いた合成皮革は、加工性や難燃性に優れ、かつ、安価に製造することが可能である。そのため、例えばシート(座席)などの一つの製品に、ポリウレタン樹脂からなる合成皮革と塩化ビニル系樹脂からなる合成皮革をそれぞれ必要な部位に使用することが一般的である。しかしながら、両者の風合いの違いにより縫製時にシワ(皺)などが発生することがある。そのため、縫製後に熱処理によってシワを伸ばすことが行われる。
【0004】
特許文献1には、シワが発生しにくく、シワが形成されても容易に復元可能な合成皮革とするために、塩化ビニル樹脂および可塑剤を含む発泡樹脂層において可塑剤の含有割合を塩化ビニル樹脂100質量部に対して35~72質量部とすることが開示されている。特許文献1には、基布層と、塩化ビニル樹脂を含む発泡樹脂層と、ポリウレタン樹脂を含む樹脂層とを含む合成皮革は開示されているが、塩化ビニル樹脂とポリウレタン樹脂を含む樹脂層を設けることは開示されていない。
【0005】
一方、特許文献2には、ポリウレタン樹脂にポリ塩化ビニル系樹脂を配合してなる多孔質膜と、ポリウレタン樹脂にポリ塩化ビニル系樹脂を配合してなる無孔質膜とを積層したシート材が提案されている。しかしながら、特許文献2は、経緯の伸びを均一化するために織物や編物等の基材を使用しないことを必須としたものであり、繊維質基材に樹脂層を積層した合成皮革に関するものではない。
【0006】
特許文献3には、基布層と、塩化ビニル系樹脂と熱可塑性ポリウレタンエラストマーを含む発泡樹脂層と、ポリウレタン樹脂を含む表皮層とを、この順に備える合成皮革が提案されている。しかしながら、該発泡樹脂層を形成する樹脂が塩化ビニル系樹脂を主成分とするものであり、塩化ビニル系樹脂を含むポリウレタン樹脂層とはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2017-210703号公報
【特許文献2】特開2011-062950号公報
【特許文献3】特開2020-180191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者は、安価でかつ柔軟性に優れるとともに、縫製時のシワを容易に改善可能な合成皮革として、塩化ビニル系樹脂を含むポリウレタン樹脂層を繊維質基材に積層したものを案出した。しかしながら、ポリウレタン樹脂層の全体に塩化ビニル系樹脂が含まれると、縫製時のシワを熱処理によって伸ばすときに、シボ流れにより表面が平坦化されて、表面にテカリ(てかてか光ること)が生じることが判明した。
【0009】
本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、その目的は、安価で、柔軟性に優れるとともに、縫製時のシワを容易に改善することができ、またその際に表面のテカリを抑制することができる合成皮革を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態に係る合成皮革は、繊維質基材と、塩化ビニル系樹脂を含む第一のポリウレタン樹脂層と、塩化ビニル系樹脂を含まない第二のポリウレタン樹脂層と、をこの順で含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、安価で柔軟性に優れるとともに、縫製時のシワを容易に改善することができ、またその際に表面のテカリを抑制することができる合成皮革を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態に係る合成皮革の断面模式図である。
図2】他の実施形態に係る合成皮革の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態に係る合成皮革は、繊維質基材に、塩化ビニル系樹脂を含む第一のポリウレタン樹脂層と、塩化ビニル系樹脂を含まない第二のポリウレタン樹脂層とを積層してなるものである。第一のポリウレタン樹脂層にポリウレタン樹脂と塩化ビニル系樹脂を併用することにより、合成皮革は柔軟性(即ち、柔らかな風合い)に優れるとともに、塩化ビニル系樹脂による難燃性と熱可塑性を付与することができる。このように熱可塑性を持つことにより、シワ改善性に優れ、エンボス加工したときの凹凸賦型性にも優れる。ここで、シワ改善性は、例えばシート製造時に縫製時のシワをアイロン等の熱処理により修正することが容易であることをいう。また、塩化ビニル系樹脂を併用することにより、ポリウレタン樹脂の使用量を削減することができ、難燃剤を未配合ないし減量した場合でも難燃性が付与される。そのため、安価な合成皮革が得られる。また、第二のポリウレタン樹脂層が塩化ビニル系樹脂を含まないことにより、耐テカリ性に優れ、耐熱性にも優れる合成皮革とすることができる。ここで、耐テカリ性は、例えばシート製造時に縫製時のシワをアイロン等の熱処理で修正する際に合成皮革表面にテカリが生じにくいことをいう。
【0014】
図1は、一実施形態に係る合成皮革1の断面構造を模式的に示したものである。この合成皮革1では、繊維質基材2の一方の面に、塩化ビニル系樹脂を含む第一のポリウレタン樹脂層3と、塩化ビニル系樹脂を含まない第二のポリウレタン樹脂層4がこの順に直接積層されている。
【0015】
図2は、他の実施形態に係る合成皮革10の断面構造を模式的に示したものである。この合成皮革10では、第二のポリウレタン樹脂層4の上に保護層5が設けられている点で図1の合成皮革1とは異なる。したがって、図2の例では、繊維質基材2の一方の面に、第一のポリウレタン樹脂層3、第二のポリウレタン樹脂層4および保護層5がこの順に積層されている。
【0016】
図1、2の例では、合成皮革のオモテ面は平坦であるが、意匠を考慮して、オモテ面には、例えばシボ模様などの凹凸が設けられてもよい。ここで、合成皮革のオモテ面とは、合成皮革の表裏のうち、使用時に目に見える面(意匠面)をいい、上記第二のポリウレタン樹脂層または保護層の表面である。
【0017】
上記繊維質基材としては、特に限定されるものでなく、織物、編物、不織布などの繊維布帛や、天然皮革(床革を含む)等を例示することができる。繊維布帛としては、従来公知の溶剤系または無溶剤系の高分子化合物を塗布または含浸し、乾式凝固または湿式凝固させたものを用いてもよい。ここでいう無溶剤系には水系が含まれる。また、高分子化合物としては、例えばポリウレタン樹脂や塩化ビニル系樹脂が挙げられる。繊維布帛において繊維の種類は、特に限定されるものでなく、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維等、従来公知の繊維を挙げることができ、これらが2種以上組み合わされていてもよい。なかでも強度や加工性の点から、繊維質基材としては、合成繊維からなる編物、特にポリエステル繊維からなる編物が好ましく用いられる。繊維質基材は、染料または顔料により着色されたものであってもよい。
【0018】
上記第一のポリウレタン樹脂層は、塩化ビニル系樹脂を含むものであり、ポリウレタン樹脂と塩化ビニル系樹脂を含む樹脂層である。一実施形態において、第一のポリウレタン樹脂層は、繊維質基材と第二のポリウレタン樹脂層との間に介在して両者を接着させるための接着層である。第一のポリウレタン樹脂層は、1層で形成されていても、2層以上で形成されていてもよい。第一のポリウレタン樹脂層は、1層で形成されていることが好ましい。
【0019】
第一のポリウレタン樹脂層に含まれる塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル及び/又は塩化ビニリデンを単量体成分として構成される重合体である。塩化ビニル系樹脂としては、特に限定されるものではなく、従来公知の塩化ビニル系樹脂を用いることができ、例えば、塩化ビニル樹脂及び/又は塩化ビニリデン樹脂が挙げられる。塩化ビニル樹脂としては、例えば、塩化ビニルの単独重合体であるポリ塩化ビニル、塩化ビニルと他の単量体との共重合体が挙げられる。塩化ビニリデン樹脂としては、例えば、塩化ビニリデンの単独重合体であるポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデンと他の単量体との共重合体が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。ここで、塩化ビニル又は塩化ビニリデンと共重合される他の単量体としては、例えば、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、スチレン、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、マレイン酸、マレイン酸エステル、高級ビニルエーテルなどが挙げられ、塩化ビニルと塩化ビニリデンを共重合してもよい。塩化ビニル系樹脂としては、ポリウレタン樹脂との混合が容易である観点から、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)又はジメチルスルフォキサイド(DMSO)に溶解可能なものが好ましく、その目的と用途に応じて適宜選択すればよい。
【0020】
第一のポリウレタン樹脂層を構成するポリウレタン樹脂は、ウレタン結合を有する重合体の総称である。ポリウレタン樹脂としては、特に限定されるものではなく、従来公知のポリウレタン樹脂を用いることができる。例えば、ポリオール成分としてポリエーテルポリオールを用いてなるポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリエステルポリオールを用いてなるポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリオールを用いてなるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂等を例示することができ、これらを1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。なかでも、耐摩耗性の観点からは、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が好ましく、風合いの観点からは、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂が好ましい。
【0021】
ポリウレタン樹脂を構成するイソシアネート成分としては、特に限定されず、イソシアネート基を2個以上有する各種のポリイソシアネートを用いることができる。例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネートあるいは脂環族ジイソシアネート、および4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の2量体および3量体を含むポリメリックMDIなどを挙げることができ、これらを1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0022】
ポリウレタン樹脂の形態は、特に限定されず、用途に応じて適宜選択すればよい。例えば、無溶剤系、ホットメルト系、溶剤系または水系であってよく、一液型、二液硬化型であってよい。好ましくは、二液硬化型である。二液硬化型であると、化学的発泡により多孔質を形成しやすい。またポリオール成分に塩化ビニル系樹脂を添加した混合物と、ポリイソシアネート成分とを反応させることが容易である。従って、好ましい一実施形態において、第一のポリウレタン樹脂層は、二液硬化型ポリウレタン樹脂を含む。ここで、二液硬化型ポリウレタン樹脂とは、主剤としてのポリオール成分を含む第1液と、硬化剤としてのポリイソシアネート成分を含む第2液とからなり、両者を混合し、常温(25℃)で硬化が始まるポリウレタン樹脂をいう。なお、硬化して得られた樹脂も、便宜上、二液硬化型ポリウレタン樹脂という。上記第1液には触媒などが添加されてもよい。
【0023】
好ましい一実施形態において、第一のポリウレタン樹脂層は、二液硬化型ポリウレタン樹脂のポリオール成分に塩化ビニル系樹脂を添加した混合物と、ポリイソシアネート成分との反応物を含む。塩化ビニル系樹脂は一般に粉体であり、例えば可塑剤に分散させてからポリウレタン樹脂と混合してもよい。可塑剤を配合しない場合、例えば塩化ビニル系樹脂を溶剤に溶解してポリウレタン樹脂と混合してもよい。但し、塩化ビニル系樹脂を溶剤に溶解させると粘度が著しく変化し、加工中の粘度が安定せず、その樹脂組成物の塗布時に塗布量のバラツキが生じることがある。これに対し、塩化ビニル系樹脂をポリオール成分に分散させて、ポリイソシアネート成分と混合することにより塗布量のバラツキを抑えることができる。
【0024】
第一のポリウレタン樹脂層における塩化ビニル系樹脂の含有量は、特に限定されず、第一のポリウレタン樹脂層100質量%に対して10~50質量%でもよく、10~45質量%でもよく、10~40質量%でもよく、10~30質量%でもよい。そのためには、第一のポリウレタン樹脂層用樹脂組成物における固形分換算で塩化ビニル系樹脂の量を10~50質量%、10~45質量%、10~40質量%、又は10~30質量%にすればよい。第一のポリウレタン樹脂層全体における塩化ビニル系樹脂を10質量%以上とすることで、シワ改善性を向上することができる。第一のポリウレタン樹脂層全体における塩化ビニル系樹脂を50質量%以下とすることで、摩耗性や屈曲性などの物性の低下を抑制することができる。また、塩化ビニル系樹脂は不燃性の樹脂であることから、塩化ビニル系樹脂の含有量をこのような範囲内にすることにより、難燃剤の添加量を抑えることができ、製造費用を抑えることができる。
【0025】
本明細書において、固形分とは、有機溶剤や水などの揮発する物質以外の成分をいい、蒸発残分ないし不揮発分とも称される。そのため、可塑剤のように通常の乾燥温度で蒸発しない液体も固形分に含まれる。
【0026】
第一のポリウレタン樹脂層におけるポリウレタン樹脂の含有量は、特に限定されず、例えば、第一のポリウレタン樹脂層100質量%に対して40~90質量%でもよく、50~90質量%でもよく、55~90質量%でもよく、60~90質量%でもよく、70~90質量%でもよい。そのためには、第一のポリウレタン樹脂層用樹脂組成物における固形分換算でポリウレタン樹脂の量を40~90質量%、50~90質量%、55~90質量%、60~90質量%、又は70~90質量%にすればよい。ポリウレタン樹脂の含有量をこのような範囲内にすることにより、ポリウレタン樹脂の特性である柔軟性を向上することができる。
【0027】
好ましい実施形態において、第一のポリウレタン樹脂層は、塩化ビニル系樹脂10質量%以上50質量%以下とポリウレタン樹脂50質量%以上90質量%以下とを含む。このようにポリウレタン樹脂を主成分とすることにより、ポリウレタン樹脂による柔軟性を向上しながら、塩化ビニル系樹脂を併用することによるコスト低減効果が得られるとともにシワ改善性を向上することができる。また塩化ビニル系樹脂の含有量が少ないことから可塑剤の含有量を減らして耐熱性を向上することができる。
【0028】
第一のポリウレタン樹脂層は可塑剤を含んでもよく、含まなくてもよい。但し、可塑剤を含む場合、その第一のポリウレタン樹脂層中における含有量を10質量%以下とすることが好ましい。すなわち、第一のポリウレタン樹脂層100質量%に対する可塑剤の含有量は0~10質量%であり、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3.5質量%以下である。そのためには、第一のポリウレタン樹脂層用樹脂組成物における固形分換算で可塑剤の量を0~10質量%、0~5質量%、0~3.5質量%にすればよい。可塑剤の含有量が10質量%以下であることにより、他の樹脂層への可塑剤の浸出、移行による機械的特性の低下を抑制することができる。
【0029】
可塑剤としては、特に限定されるものでなく、例えば、フタル酸ジアルキルなどのフタル酸エステル系可塑剤;トリメリット酸トリアルキルなどのトリメリット酸エステル系可塑剤;アジピン酸ジアルキル、アゼライン酸ジアルキル、セバシン酸ジアルキルなどの直鎖状二塩基酸エステル系可塑剤;クエン酸トリアルキルなどのクエン酸エステル系可塑剤;ポリ(プロピレングリコール、アジピン酸)エステルなどのポリエステル系可塑剤;ジエチレングリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジベンゾエートなどのグリコールエステル系可塑剤;リン酸トリアルキル、リン酸トリクレジルなどのリン酸エステル系可塑剤;アルキルスルホン酸フェニルエステルなどのスルホン酸エステル系可塑剤;エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化綿実油、エポキシ化脂肪酸エステル、エポキシシクロヘキサン-ジカルボン酸ジアルキルなどのエポキシ系可塑剤等を例示することができ、これらを1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。なかでも、汎用性の観点から、フタル酸エステル系可塑剤が好ましい。
【0030】
第一のポリウレタン樹脂層は、必要に応じて、有機酸カルシウム塩及び有機酸亜鉛塩からなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよい。このように有機酸カルシウム塩及び/又は有機酸亜鉛塩を配合することにより、合成皮革の耐熱性を向上することができる。詳細には、第一のポリウレタン樹脂層にはポリウレタン樹脂の生成過程でアミン系化合物が生じることがある。該アミン系化合物により第一のポリウレタン樹脂層を構成する塩化ビニル系樹脂の脱塩酸が促進されることがある。有機酸カルシウム塩及び/又は有機酸亜鉛塩を配合することにより、上記脱塩酸を抑制して、耐熱性を向上することができ、合成皮革の熱による変色を抑制することができる。
【0031】
有機酸カルシウム塩及び/又は有機酸亜鉛塩としては、例えば、有機カルボン酸、フェノール類又は有機リン酸類等のカルシウム塩及び亜鉛塩が挙げられる。
【0032】
上記の有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、2-エチルヘキシル酸、ネオデカン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ベヘニン酸、モンタン酸、安息香酸、モノクロル安息香酸、p-第三ブチル安息香酸、ジメチルヒドロキシ安息香酸、3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシ安息香酸、トルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、クミン酸、n-プロピル安息香酸、アミノ安息香酸、N,N-ジメチルアミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸、サリチル酸、p-第三オクチルサリチル酸、エライジン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、オクチルメルカプトプロピオン酸等の一価のカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヒドロキシフタル酸、クロルフタル酸、アミノフタル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メタコン酸、イタコン酸、アコニット酸、チオジプロピオン酸等の二価のカルボン酸;前記二価のカルボン酸のモノエステル又はモノアミド化合物;ブタントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、メロファン酸、ピロメリット酸等の三価又は四価のカルボン酸;前記三価のカルボン酸のモノ若しくはジエステル化合物、又は、モノ若しくはジアミド化合物、前記四価のカルボン酸のモノ~トリエステル化合物又はモノ~トリアミド化合物が挙げられる。
【0033】
上記のフェノール類としては、例えば、第三ブチルフェノール、ノニルフェノール、ジノニルフェノール、シクロヘキシルフェノール、フェニルフェノール、オクチルフェノール、フェノール、クレゾール、キシレノール、n-ブチルフェノール、イソアミルフェノール、エチルフェノール、イソプロピルフェノール、イソオクチルフェノール、2-エチルヘキシルフェノール、第三ノニルフェノール、デシルフェノール、第三オクチルフェノール、イソヘキシルフェノール、オクタデシルフェノール、ジイソブチルフェノール、メチルプロピルフェノール、ジアミルフェノール、メチルイソフキシルフェノール、メチル第三オクチルフェノール等が挙げられる。
【0034】
上記の有機リン酸類としては、例えば、モノ又はジオクチルリン酸、モノ又はジドデシルリン酸、モノ又はジオクタデシルリン酸、モノ又はジ-(ノニルフェニル)リン酸、ホスホン酸ノニルフェニルエステル、ホスホン酸ステアリルエステル等が挙げられる。
【0035】
また、有機酸カルシウム塩及び/又は有機酸亜鉛塩は、酸性塩、中性塩、塩基性塩或いは塩基性塩の塩基の一部又は全部を炭酸で中和した過塩基性錯体であってもよい。また、上記の有機酸カルシウム塩及び有機酸亜鉛塩は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0036】
第一のポリウレタン樹脂層における有機酸カルシウム塩及び/又は有機酸亜鉛塩の含有量は、特に限定されず、例えば、第一のポリウレタン樹脂層100質量%に対して0.01~5質量%でもよく、0.1~3質量%でもよい。そのためには、第一のポリウレタン樹脂層用樹脂組成物における固形分換算で有機酸カルシウム塩及び/又は有機酸亜鉛塩の含有量を0.01~5質量%、又は0.1~3質量%とすればよい。有機酸カルシウム塩及び/又は有機酸亜鉛塩の含有量が0.01質量%以上であることにより、合成皮革の耐熱性を向上することができる。有機酸カルシウム塩及び/又は有機酸亜鉛塩の含有量の上限については5質量%を超えると添加量に見合う効果を得にくくなるので、5質量%以下であることが好ましい。
【0037】
本実施形態における第一のポリウレタン樹脂層は無孔質層であっても、多孔質層であってもよいが、多孔質層であることが好ましい。第一のポリウレタン樹脂層を多孔質層とすることにより、得られる合成皮革の柔軟性を向上することができる。
【0038】
第一のポリウレタン樹脂層は多孔質であることが好ましいが、耐摩耗性の観点から、より好ましくは微多孔質(空隙が少ない状態)である。具体的な第一のポリウレタン樹脂層の発泡倍率は1.1~2.5倍であることが好ましく、より好ましくは1.1~2.3倍である。第一のポリウレタン樹脂層の発泡倍率が1.1倍以上であることにより、合成皮革の柔軟性を向上することができる。第一のポリウレタン樹脂層の発泡倍率が2.5倍以下であることにより、耐摩耗性や剥離強度を向上することができる。
【0039】
第一のポリウレタン樹脂層を多孔質とするための手段としては、特に限定されず、公知の方法を採ることができる。例えば、機械の攪拌による物理的発泡、発泡剤の添加による発泡が挙げられる。また、空気中の水分とポリイソシアネート成分(二液硬化型ポリウレタン樹脂の硬化剤)とが反応することで生じる二酸化炭素による発泡などの化学的発泡が挙げられる。また、中空微粒子の添加による発泡(閉塞孔)形成が挙げられる。あるいはまた、ポリウレタン樹脂の湿式コーティングによる孔形成の後、その層表面を無孔質層で被覆することにより、閉塞孔を形成してもよい。
【0040】
第一のポリウレタン樹脂層には、必要に応じて、その物性を損なわない範囲内で、従来公知の添加剤、例えば、ポリウレタン樹脂や塩化ビニル系樹脂以外の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、顔料、難燃剤、導電性付与剤、帯電防止剤、透湿性向上剤、撥水剤、撥油剤、吸水剤、吸湿剤、発泡剤、消臭剤、消泡剤、顔料分散剤、加水分解防止剤、架橋剤、増粘剤などの任意成分を、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0041】
第一のポリウレタン樹脂層の厚みは、特に限定されず、20~300μmであることが好ましく、柔軟性の観点から50~250μmであることがより好ましい。厚みが20μm以上であることにより、合成皮革として十分な耐摩耗性を得ることができる。厚みが300μm以下であることにより、柔軟性を向上することができる。
【0042】
上記第一のポリウレタン樹脂層上には、塩化ビニル系樹脂を含まない第二のポリウレタン樹脂層が積層される。第二のポリウレタン樹脂層は、ポリウレタン樹脂を含む樹脂層である。一実施形態において、第二のポリウレタン樹脂層は、第一のポリウレタン樹脂層の表面に形成された表皮層である。第二のポリウレタン樹脂層は、耐久性の観点から無孔質層であることが好ましい。第二のポリウレタン樹脂層は、1層で形成されていても、2層以上で形成されていてもよい。
【0043】
第二のポリウレタン樹脂層を構成するポリウレタン樹脂としては、特に限定されるものではなく、上述の第一のポリウレタン樹脂層と同じものを用いることができる。なかでも、耐摩耗性の観点からは、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が好ましい。風合いの観点からは、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂が好ましい。
【0044】
ポリウレタン樹脂の形態は、特に限定されず、用途に応じて適宜選択すればよい。例えば、無溶剤系、ホットメルト系、溶剤系または水系であってよく、一液型、二液硬化型であってよい。好ましくは、無孔質層を形成しやすいという観点から、一液型である。ここで、一液型ポリウレタン樹脂とは、硬化剤を別途添加しなくても一液で使用可能なポリウレタン樹脂をいう。一液型ポリウレタン樹脂としては、例えば、ホットメルトタイプのポリウレタン樹脂、溶媒除去により硬化が始まるポリウレタン樹脂、及び、主剤と硬化剤を含み熱処理することにより硬化が始まるポリウレタン樹脂が挙げられる。
【0045】
また、ポリウレタン樹脂は、水系と溶剤系のどちらを選択してもよいが、乾燥が容易である観点から、溶剤系が好ましい。ここで、溶剤系ポリウレタン樹脂とは、有機溶剤に対して可溶性を有するポリウレタン樹脂である。有機溶剤としては、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)又はジメチルスルフォキサイド(DMSO)が好ましい。
【0046】
第二のポリウレタン樹脂層は、必要に応じて、過塩素酸塩を含んでもよい。このように過塩素酸塩を配合することにより、第一のポリウレタン樹脂層における塩化ビニル系樹脂の変色を抑制することができる。上述のようにポリウレタン樹脂の生成過程でアミン系化合物が生じることがあり、該アミン系化合物により第一のポリウレタン樹脂層を構成する塩化ビニル系樹脂の脱塩酸が促進されることがある。第二のポリウレタン樹脂層に過塩素酸塩を配合することにより、第一のポリウレタン樹脂層と第二のポリウレタン樹脂層の界面における上記脱塩酸を抑制することができる。そのため、耐熱性を向上することができ、合成皮革の熱による変色を抑制することができる。
【0047】
過塩素酸塩には、ポリウレタン樹脂の生成過程で生じるアミン系化合物による塩化ビニル系樹脂の脱塩酸を促進することを防ぐという効果がある。その一方で、ポリウレタン樹脂が二液硬化型である場合には、その重合や化学的発泡を妨げるという排反事象が生じる。そこで、一実施形態において、二液硬化型ポリウレタン樹脂を含む第一のポリウレタン樹脂層には過塩素酸塩を含まず、一液型ポリウレタン樹脂を含む第二のポリウレタン樹脂層に過塩素酸塩を含むことにより、排反事象を生じにくくしながら、過塩素酸塩の効果を得ることができる。より詳細には、第一のポリウレタン樹脂層には過塩素酸塩を含まないことにより、二液硬化型ポリウレタン樹脂の重合及び発泡を妨げることがない。第一のポリウレタン樹脂層に接する第二のポリウレタン樹脂層には過塩素酸塩が含まれ、また第一のポリウレタン樹脂層には有機酸カルシウム塩及び/又は有機酸亜鉛塩が含まれる。これにより、第一のポリウレタン樹脂層内、及び第一のポリウレタン樹脂層と第二のポリウレタン樹脂層との界面における塩化ビニル系樹脂の脱塩酸を抑制することができ、合成皮革の変色を抑制することができる。
【0048】
過塩素酸塩としては、例えば、過塩素酸ナトリウム等が挙げられる。過塩素酸塩として過塩素酸ナトリウムを用いると、上記の脱塩酸を抑制するという耐アミン性の点で特に有効である。
【0049】
第二のポリウレタン樹脂層における過塩素酸塩の含有量は、特に限定されず、例えば、第二のポリウレタン樹脂層100質量%に対して0.01~10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1~6質量%であり、更に好ましくは0.5~3質量%である。そのためには、第二のポリウレタン樹脂層用樹脂組成物における固形分換算で過塩素酸塩の量を0.01~10質量%、0.1~6質量%、又は0.5~3質量%とすればよい。過塩素酸塩の含有量が0.01質量%以上であることにより、合成皮革の変色を抑制する効果を高めることができる。過塩素酸塩の含有量の上限については10質量%を超えると添加量に見合う効果を得にくくなるので、10質量%以下であることが好ましい。
【0050】
第二のポリウレタン樹脂層には、必要に応じて、その物性を損なわない範囲内で、従来公知の添加剤、例えば、安定化助剤、ポリウレタン樹脂や塩化ビニル系樹脂以外の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、顔料、難燃剤、導電性付与剤、帯電防止剤、透湿性向上剤、撥水剤、撥油剤、吸水剤、吸湿剤、消臭剤、消泡剤、顔料分散剤、加水分解防止剤、架橋剤、増粘剤などの任意成分を、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0051】
第二のポリウレタン樹脂層には、第一のポリウレタン樹脂層に含まれる塩化ビニル系樹脂の耐熱性を向上させるという観点から、有機酸カルシウム塩及び/又は有機酸亜鉛塩を含有させてもよい。有機酸カルシウム塩及び/又は有機酸亜鉛塩としては、特に限定されるものではなく、上述の第一のポリウレタン樹脂層と同じものを用いることができる。
【0052】
第二のポリウレタン樹脂層における有機酸カルシウム塩及び/又は有機酸亜鉛塩の含有量は、特に限定されず、例えば、第二のポリウレタン樹脂層100質量%に対して0.01~5質量%でもよく、0.1~3質量%でもよい。そのためには、第二のポリウレタン樹脂層用樹脂組成物における固形分換算で有機酸カルシウム塩及び/又は有機酸亜鉛塩の含有量を0.01~5質量%、又は0.1~3質量%とすればよい。有機酸カルシウム塩及び/又は有機酸亜鉛塩の含有量が0.01質量%以上であることにより、合成皮革の耐熱性を向上することができる。有機酸カルシウム塩及び/又は有機酸亜鉛塩の含有量の上限については5質量%を超えると添加量に見合う効果を得にくくなるので、5質量%以下であることが好ましい。
【0053】
第二のポリウレタン樹脂層の厚みは、特に限定されず、5~100μmであることが好ましく、より好ましくは20~50μmである。厚さが5μm以上であることより、均一な第二のポリウレタン樹脂層を形成しやすく、耐摩耗性を向上することができる。厚さが100μm以下であることにより、柔軟性を向上することができる。
【0054】
本実施形態において、第二のポリウレタン樹脂層上に、さらに保護層を設けてもよい。第二のポリウレタン樹脂層上に保護層を設けることにより、得られる合成皮革の物性、特には耐摩耗性を向上させることができる。
【0055】
保護層は、ポリウレタン樹脂を含むことが好ましい。かかる保護層用のポリウレタン樹脂は、特に限定されるものでなく、例えば、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂などを挙げることができ、これらを1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。なかでも、耐久性及び耐候性の観点から、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が好ましい。
【0056】
保護層用のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の形態は、特に限定されず、用途に応じて適宜選択すればよい。例えば、無溶剤系、ホットメルト系、溶剤系または水系であってよく、一液型、二液硬化型であってよい。耐摩耗性、柔軟性、触感の観点から、水系の一液型であることが好ましい。
【0057】
保護層を形成するために用いる保護層用樹脂組成物には、必要に応じて、ポリウレタン樹脂の物性を損なわない範囲内で、ウレタン化触媒、架橋剤、シランカップリング剤、充填剤、チキソ付与剤、粘着付与剤、ワックス、熱安定剤、安定化助剤、耐光安定剤、蛍光増白剤、発泡剤、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、染料、顔料、難燃剤、導電性付与剤、帯電防止剤、透湿性向上剤、撥水剤、撥油剤、中空発泡体、結晶水含有化合物、吸水剤、吸湿剤、消臭剤、整泡剤、消泡剤、防黴剤、防腐剤、防藻剤、顔料分散剤、不活性気体、ブロッキング防止剤、及び加水分解防止剤などの任意成分を、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0058】
保護層の厚さは、特に限定されず、例えば1~50μmであることが好ましく、より好ましくは5~20μmである。厚みが1μm以上であれば、耐摩耗性を向上させることができる。厚みが50μm以下であれば、柔軟性を向上することができる。
【0059】
次に、本実施形態に係る合成皮革の製造方法について説明する。該製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の合成皮革と同様の製造方法を採用することができる。具体的には、以下のような工程を順に行うことにより実施形態の合成皮革が製造できる。すなわち、該製造方法は、
(1)第二のポリウレタン樹脂層用樹脂組成物を離型性基材上に塗布して、第二のポリウレタン樹脂層を形成する工程、
(2)第一のポリウレタン樹脂層用樹脂組成物を第二のポリウレタン樹脂層上に塗布して、第一のポリウレタン樹脂層を形成する工程、
(3)第一のポリウレタン樹脂層と繊維質基材とを貼り合せる工程、及び、
(4)離型性基材を剥離する工程、
を含むものである。
【0060】
離型性基材上に第二のポリウレタン樹脂層用樹脂組成物を塗布する方法としては、従来公知の種々の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。例えば、リバースロールコーター、スプレーコーター、ロールコーター、ナイフコーター、コンマコーターなどを用いた方法を挙げることができる。なかでも均一な薄膜層の形成が可能であるという点で、リバースロールコーター、ナイフコーター、又は、コンマコーターによる塗布が好ましい。
【0061】
離型性基材は特に限定されず、ポリウレタン樹脂に対して離型性を有する基材、あるいは離型処理を施した基材であればよい。例えば、離型紙、離型処理布、撥水処理布、ポリエチレン樹脂またはポリプロピレン樹脂などからなるオレフィンシートまたはフィルム、フッ素樹脂シートまたはフィルム、離型紙付きプラスチックフィルムなどを挙げることができる。離型性基材は凹凸模様を有していてもよい。このような離型性基材を用いることにより、合成皮革の表面にシボ模様などの凹凸模様を形成して意匠性を付与することができる。
【0062】
第二のポリウレタン樹脂層用樹脂組成物を離型性基材に塗布したのち、必要により熱処理を行う。熱処理は、第二のポリウレタン樹脂層用樹脂組成物中の溶媒を蒸発させ、樹脂を乾燥させるために行われる。また、熱処理によって架橋反応を起こす架橋剤を用いる場合や、二液硬化型の樹脂を用いる場合にあっては、反応を促進し、十分な強度を有する皮膜を形成するために行われる。
【0063】
次いで、第二のポリウレタン樹脂層上に第一のポリウレタン樹脂層用樹脂組成物を塗布する。第一のポリウレタン樹脂層用樹脂組成物を塗布する方法としては、第二のポリウレタン樹脂層用樹脂組成物を塗布する方法と同様の方法を採用することができる。その後、第一のポリウレタン樹脂層用樹脂組成物が粘稠性を有する状態で第二のポリウレタン樹脂層と繊維質基材を貼り合せる。
【0064】
次いで、第二のポリウレタン樹脂層から離型性基材を剥離する。離型性基材を剥離することで、第二のポリウレタン樹脂層と第一のポリウレタン樹脂層と繊維質基材との積層体が得られる。
【0065】
第二のポリウレタン樹脂層上に保護層を形成する場合、上記のように離型性基材を剥離した後、積層体の表面に保護層を形成してもよい。保護層を形成するために、保護層用樹脂組成物を第二のポリウレタン樹脂層に塗布する方法としては、第二のポリウレタン樹脂層用樹脂組成物を塗布する方法と同様の方法を採用することができる。
【0066】
次いで、必要により熱処理を行う。熱処理は、保護層用樹脂組成物中の溶媒を蒸発させ、樹脂を乾燥させるために行われる。また、熱処理によって架橋反応を起こす架橋剤を用いる場合や、二液硬化型の樹脂を用いる場合にあっては、反応を促進し、十分な強度を有する皮膜を形成するために行われる。
【0067】
かくして、一実施形態に係る合成皮革が得られる。ただし、本実施形態の合成皮革を製造するための方法は、上記方法に限定されるものではない。
【実施例0068】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0069】
各評価項目は、以下の方法に従った。
【0070】
[柔軟性]
10人のパネラーによる官能評価を行い、下記の基準に従って判定した。B以上を合格とした。
(判定基準)
A:パネラー9人以上が、風合いが柔らかいと感じた
B:パネラー6人以上9人未満が、風合いが柔らかいと感じた
C:パネラー6人未満が、風合いが柔らかいと感じた
【0071】
[シワ改善性・耐テカリ性]
実施例・比較例の合成皮革を表皮材として用いてカーシートを縫製により作製し、下記の基準に従って、シワ改善性と耐テカリ性を判定した。Aが合格である。
(シワ改善性の判定基準)
A:張り込み皺がアイロン等の熱処理で解消される。
B:張り込み皺がアイロン等の熱処理で解消しにくい。
(耐テカリ性)
A:上記熱処理後に合成皮革の表面にテカリが生じない。
B:上記熱処理後に合成皮革の表面にテカリが生じる。
【0072】
[難燃性]
米国自動車安全基準FMVSS302の試験方法に準拠して評価した。
得られた合成皮革の裏面に、厚さ1.3mmの軟質ウレタンフォーム(EL68F、株式会社イノアックコーポレーション製、比重0.03g/cm)と、裏布(ナイロンハーフトリコット)をフレームラミネート法により積層一体化して、複合積層体とした。前記複合積層体を幅100mm、長さ350mmに裁断したものを試験片とした。前記試験片の端部に、ガスバーナーで15秒間接炎させて着火操作を行い、着火した炎が端部から38mmの位置に設けた標線を越えてから消火するまでの距離と時間を測定した。タテ方向、ヨコ方向でそれぞれ5点ずつ測定し、燃焼速度を算出し、最も燃えたものについて、下記の基準に従って判定した。B以上を合格とした。
A:試験片に着火しなかったもの、または、着火した炎が標線前に消火したもの
B:燃焼速度の最大値が80mm/分以下のもの
C:燃焼速度の最大値が80mm/分を超えるもの
【0073】
[耐熱性]
幅100mm、長さ100mmの大きさの試験片を1枚採取した。広口試薬瓶(共栓付250mL瓶、硬質ガラス製)の中に、試験片を試薬瓶の側面に沿わせて入れ、110℃に調整された乾燥機内に400時間静置して熱処理した。熱処理後、試薬瓶を乾燥機から取り出し室温まで冷却した後、試薬片を試薬瓶から取り出した。熱処理前後の試験片を目視にて観察し、熱処理後の試験片について、JIS L-0804規格のグレイスケール(gray scale)を用いて判定した。変退色3級以上を合格とした。
【0074】
[実施例1]
下記表1に従い各成分を配合した各樹脂組成物(第二のポリウレタン樹脂層用樹脂組成物、第一のポリウレタン樹脂層用樹脂組成物)をそれぞれミキサーによりブレンドした。離型紙上に第二のポリウレタン樹脂層用樹脂組成物をコンマコーターにて塗布厚みが200μmとなるようにシート状に塗布した。乾燥機にて120℃で2分間熱処理後、厚さ33.4μmの第二のポリウレタン樹脂層を得た。得られた第二のポリウレタン樹脂層上に第一のポリウレタン樹脂層用樹脂組成物をコンマコーターにて塗布厚みが200μmとなるようにシート状に塗布し、100℃で1分間乾燥し、該第一のポリウレタン樹脂層用樹脂組成物が粘稠性を有する状態のうちにポリエステルトリコット布(厚み0.8mm)に貼り合わせ、マングルにて49N/cmの荷重で圧締した。温度23℃、相対湿度65%の雰囲気下で1日間エージング処理後、離型紙を剥離し、第二のポリウレタン樹脂層上に保護層用樹脂組成物をリバースコーターにて厚みが50μmになるようにシート状に塗布し、乾燥機にて100℃で3分間処理して、厚み10μmの保護層を形成して合成皮革を得た。第一のポリウレタン樹脂層は多孔質層であり、発泡倍率は1.1倍であり、厚みは205.2μmであった。
【0075】
[実施例2~5及び比較例1,3]
各樹脂層用樹脂組成物の処方を表1のように変更した以外は全て実施例1と同様にして合成皮革を得た。
【0076】
[比較例2]
第二のポリウレタン樹脂層用樹脂組成物の塗布厚みを100μm、第二のポリウレタン樹脂層用樹脂組成物の熱処理温度を200℃、第一のポリウレタン樹脂層用樹脂組成物の乾燥温度を200℃に変更した以外は全て実施例1と同様にして合成皮革を得た。
【0077】
表中の各成分の詳細は以下のとおりである。
(保護層)
・ポリウレタン樹脂:ポリカーボネート系、固形分30質量%、スタール・ジャパン(株)製「PERMUTEX EX-RU-13-085F」
・架橋剤:カルボジイミド系、固形分40質量%、スタール・ジャパン(株)製「PERMUTEX XR-5508」
【0078】
(第二のポリウレタン樹脂層)
・ポリウレタン樹脂:ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、固形分25質量%、DIC(株)製「クリスボンNY-331」
・添加剤:過塩素酸塩、Westlake Akishima(株)製「MP-100」
・塩化ビニル系樹脂:塩化ビニル樹脂、固形分100質量%、新第一塩ビ(株)製「ZEST 1000Z」
・可塑剤:フタル酸ジアルキル、固形分100質量%、シージーエスター(株)製「PL-200」
・溶剤:DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)/MEK(メチルエチルケトン)=1/1(質量比)
【0079】
(第一のポリウレタン樹脂層)
・ポリカーボネートポリオール:数平均分子量2000、固形分100質量%、(株)クラム製「クラレポリオールC2090」
・イソシアネート系硬化剤:4,4’-MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)、固形分50質量%
・触媒:固形分100質量%、サンアプロ(株)製「U-CAT SA1」
・塩化ビニル系樹脂:塩化ビニル樹脂、固形分100質量%、新第一塩ビ(株)製「ZEST 1000Z」
・可塑剤:フタル酸ジアルキル、固形分100質量%、シージーエスター(株)製「PL-200」
・難燃剤:有機リン酸塩、固形分100質量%、クラリアントケミカルズ製「EXOLIT OP 930」
・添加剤:有機酸Ca塩/有機酸亜鉛塩、日東化成工業(株)製「HT-240」
調製法:ポリカーボネートポリオールに、イソシアネート系硬化剤以外の成分を添加し、混合した後、イソシアネート系硬化剤を添加し、混合した。
【0080】
第二のポリウレタン樹脂層、第一のポリウレタン樹脂層及び保護層の各厚さは、合成皮革の垂直断面をマイクロスコープ(キーエンス株式会社製、デジタルHFマイクロスコープVH-8000)で観察し、任意の10か所についての厚さを測定し、これらの平均値を算出することにより得られる値である。
【0081】
第一のポリウレタン樹脂層の発泡倍率は、第一のポリウレタン樹脂層用樹脂組成物を離型紙上にコンマコーターにて塗布厚が200μmとなるようにシート状に塗布した後、100℃で5分間乾燥した。得られた発泡シートの膜厚を測定し、次式により算出した。
発泡倍率(倍)={発泡シートの膜厚/(塗布厚(200μm)×第一のポリウレタン樹脂層用樹脂組成物の固形分率)}
【0082】
【表1】
【0083】
表1に示されるように、比較例1では、第一のポリウレタン樹脂層に塩化ビニル系樹脂が配合されていないため、風合いには優れていたものの、シワ改善性が劣っていた。比較例2では、第二のポリウレタン樹脂層が、ポリウレタン樹脂ではなく塩化ビニル系樹脂で形成されていたため、風合いおよび耐テカリ性が劣っていた。比較例3では、第二のポリウレタン樹脂層が塩化ビニル系樹脂を含んでいたため、耐テカリ性が劣っていた。これに対し、実施例1~5では、風合い、シワ改善性および耐テカリ性が優れており、難燃性も合格であった。実施例1,2,4,5では、第二のポリウレタン樹脂層に過塩素酸塩を配合したことにより、耐熱性に優れていた。また、いずれの実施例も、塩化ビニル樹脂を配合しているため、製造コストが抑えられていた。
【0084】
本発明は以下に示される実施形態を含む。
[1] 繊維質基材と、塩化ビニル系樹脂を含む第一のポリウレタン樹脂層と、塩化ビニル系樹脂を含まない第二のポリウレタン樹脂層と、をこの順で含む合成皮革。
[2] 前記第一のポリウレタン樹脂層は、塩化ビニル系樹脂10質量%以上50質量%以下(好ましくは10~45質量%、より好ましくは10~40質量%、更に好ましくは10~30質量%)とポリウレタン樹脂50質量%以上90質量%以下(好ましくは55~90質量%、より好ましくは60~90質量%、更に好ましくは70~90質量%)とを含み、前記第一のポリウレタン樹脂層中の可塑剤の含有量が0質量%以上10質量%以下(好ましくは0~5質量%、より好ましくは0~3.5質量%)である、[1]に記載の合成皮革。
[3] 前記第一のポリウレタン樹脂層は、塩化ビニル系樹脂10質量%以上50質量%以下とポリウレタン樹脂50質量%以上90質量%以下とを含み、前記第一のポリウレタン樹脂層は可塑剤を含まない、[1]または[2]に記載の合成皮革。
[4] 前記第一のポリウレタン樹脂層は、二液硬化型ポリウレタン樹脂を含む、[1]~[3]のいずれか1項に記載の合成皮革。
[5] 前記第一のポリウレタン樹脂層は、二液硬化型ポリウレタン樹脂のポリオール成分に塩化ビニル系樹脂を添加した混合物と、二液硬化型ポリウレタン樹脂のポリイソシアネート成分との反応物を含む、[1]~[3]のいずれか1項に記載の合成皮革
[6] 前記繊維質基材が、合成繊維からなる編物(好ましくはポリエステル繊維からなる織物)である、[1]~[5]のいずれか1項に記載の合成皮革。
[7] 前記塩化ビニル系樹脂が、塩化ビニル樹脂及び/又は塩化ビニリデン樹脂(好ましくは、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと他の単量体との共重合体、ポリ塩化ビニリデン、及び塩化ビニリデンと他の単量体との共重合体からなる群から選択される少なくとも1種)である、[1]~[6]のいずれか1項に記載の合成皮革。
[8] 前記第一のポリウレタン樹脂層に含まれるポリウレタン樹脂が、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂及び/又はポリエーテル系ポリウレタン樹脂である、[1]~[7]のいずれか1項に記載の合成皮革。
[9] 前記第一のポリウレタン樹脂層は、二液硬化型ポリウレタン樹脂を含み、さらに有機酸カルシウム塩及び/又は有機酸亜鉛塩を含む、[1]~[8]のいずれか1項に記載の合成皮革。
[10] 前記第一のポリウレタン樹脂層における前記有機酸カルシウム塩及び/又は有機酸亜鉛塩の含有量が0.01~5質量%(好ましくは0.1~3質量%)である、[9]に記載の合成皮革。
[11] 前記第一のポリウレタン樹脂層が多孔質層である、[1]~[10]のいずれか1項に記載の合成皮革。
[12] 前記第一のポリウレタン樹脂層の発泡倍率が1.1~2.5倍(好ましくは1.1~2.3倍)である、[11]に記載の合成皮革。
[13] 前記第一のポリウレタン樹脂層の厚みが20~300μm(好ましくは50~250μm)である、[1]~[12]のいずれか1項に記載の合成皮革。
[14] 前記第一のポリウレタン樹脂層が前記繊維質基材と前記第二のポリウレタン樹脂層との間に介在して両者を接着させるための接着層である、[1]~[13]のいずれか1項に記載の合成皮革。
[15] 前記第二のポリウレタン樹脂層が前記第一のポリウレタン樹脂層の表面に形成された表皮層である、[1]~[14]のいずれか1項に記載の合成皮革。
[16] 前記第二のポリウレタン樹脂層が無孔質層である、[1]~[15]のいずれか1項に記載の合成皮革。
[17] 前記第二のポリウレタン樹脂層に含まれるポリウレタン樹脂が、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂及び/又はポリエーテル系ポリウレタン樹脂である、[1]~[16]のいずれか1項に記載の合成皮革。
[18] 前記第二のポリウレタン樹脂層は、一液型ポリウレタン樹脂を含み、さらに過塩素酸塩(好ましくは過塩素酸ナトリウム)を含む、[1]~[17]のいずれか1項に記載の合成皮革。
[19] 前記第二のポリウレタン樹脂層における前記過塩素酸塩の含有量が0.01~10質量%(好ましくは0.1~6質量%、より好ましくは0.5~3質量%)である、[18]に記載の合成皮革。
[20] 前記第一のポリウレタン樹脂層は、二液硬化型ポリウレタン樹脂を含み、かつ過塩素酸塩(好ましくは過塩素酸ナトリウム)を含まない、[1]~[19]のいずれか1項に記載の合成皮革。
[21] 前記第二のポリウレタン樹脂層が有機酸カルシウム塩及び/又は有機酸亜鉛塩を含む、[1]~[20]のいずれか1項に記載の合成皮革。
[22] 前記第二のポリウレタン樹脂層における前記有機酸カルシウム塩及び/又は有機酸亜鉛塩の含有量が0.01~5質量%(好ましくは0.1~3質量%)である、[21]に記載の合成皮革。
[23] 前記第二のポリウレタン樹脂層の厚みが5~100μm(好ましくは20~50μm)である、[1]~[22]のいずれか1項に記載の合成皮革。
[24] 前記第二のポリウレタン樹脂層上に設けられた保護層をさらに含み、前記保護層がポリウレタン樹脂(好ましくはポリカーボネート系ポリウレタン樹脂)を含む、[1]~[23]のいずれか1項に記載の合成皮革。
[25] 保護層の厚さが1~50μm(好ましくは5~20μm)である、[24]に記載の合成皮革。
【0085】
なお、明細書に記載の種々の数値範囲は、それぞれそれらの上限値と下限値を任意に組み合わせることができ、それら全ての組み合わせが好ましい数値範囲として本明細書に記載されているものとする。また、「X~Y」との数値範囲の記載は、X以上Y以下を意味する。
【符号の説明】
【0086】
1,10…合成皮革、2…繊維質基材、3…第一のポリウレタン樹脂層、4…第二のポリウレタン樹脂層、5…保護層
図1
図2