(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087570
(43)【公開日】2023-06-23
(54)【発明の名称】毛髪洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/86 20060101AFI20230616BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20230616BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20230616BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
A61K8/86
A61K8/81
A61K8/39
A61Q5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202032
(22)【出願日】2021-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000108672
【氏名又は名称】タカラベルモント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】戸田 和成
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC182
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC642
4C083AC662
4C083AC712
4C083AC792
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD131
4C083AD132
4C083BB05
4C083BB07
4C083BB34
4C083CC38
4C083DD27
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】ダメージを受けた毛髪に対しても、毛髪を心地よい滑らかな泡で洗うことができ、かつ、すすぎ時の毛髪の柔らかさおよびうるおい感に優れた毛髪洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】成分(A)~(E)を含有している、毛髪洗浄剤組成物を提供する。成分(A)は、アニオン性界面活性剤である。成分(B)は、両性界面活性剤である。成分(C)は、カチオン性ポリマーである。成分(D)は、高重合ポリエチレングリコールである。成分(E)は、植物油脂および植物油脂誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(A)~(E)を含有する、毛髪洗浄剤組成物。
(A)アニオン性界面活性剤
(B)両性界面活性剤
(C)カチオン性ポリマー
(D)高重合ポリエチレングリコール
(E)植物油脂および植物油脂誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種
【請求項2】
前記成分(C)は、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-49、およびポリクオタニウム-50からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記成分(C)は、ポリクオタニウム-22である、請求項1または2に記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記成分(E)は、ポリグリセリン脂肪酸エステルである、請求項1~3のいずれか1項に記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項5】
前記成分(E)は、アンズ核油由来の脂肪酸とポリグリセリンとのエステルである、請求項1~4のいずれか1項に記載の毛髪洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪洗浄剤組成物に関する。より具体的に本発明は、特にシャンプーとしての使用に適した毛髪洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアカラーおよびパーマ施術などの化学処理、並びに、ヘアアイロンおよびドライヤーなどの熱を利用した物理処理によって、毛髪は、日常的に損傷を受けている。毛髪が損傷を受けることによって、毛髪全体の艶、柔らかさ、まとまり感などの毛髪の質感が悪化する。毛髪の損傷の例は、毛髪の表面のキューティクルの剥離、毛髪の内部のタンパク質の変性、および毛髪の内部の空洞化である。毛髪の内部の空洞化は、例えば毛髪の内部の脂質が流出することによって進行する。
【0003】
洗浄時に、毛髪洗浄剤組成物が十分な泡立ちを有していても、損傷を受けた毛髪は、絡まったり、ごわつきが生じたりする。その結果、毛髪洗浄剤組成物の使用時に毛髪が新たに損傷を受けたり、操作者が不快に感じたりすることがある。また、損傷を受けた毛髪は、本来必要な量の水分を毛髪に保持できず、すすぎ時に毛髪が硬くなったり、指通りが悪くなったりする。これにより、操作者が不快に感じることもある。
【0004】
上記した問題に対処するために、特定の化合物を含む毛髪洗浄剤組成物が提案されている。例えば、特許文献1には、特定の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリル、およびカチオン性ポリマーを組み合わせた毛髪洗浄剤組成物を使用することで、洗浄時に、毛髪にすべり性および柔軟性を付与できることが記載されている。
【0005】
特許文献2には、高重合ポリエチレングリコール、特定のカチオン性ポリマー、並びにアニオン性界面活性剤および/または両性界面活性剤を組み合わせた毛髪洗浄剤組成物を使用することで、使用時の泡立ちのよさ、すすぎ時のなめらかさを付与できることが記載されている。
【0006】
特許文献3には、カチオン性界面活性剤、長鎖脂肪族アルコール、両性界面活性剤、および特定のノニオン性界面活性剤を組み合わせた毛髪洗浄剤組成物を使用することで、泡立ちが早く、乾燥後の毛髪のパサツキを抑制し、なめらかさを付与できることが記載されている。
【0007】
特許文献4には、特定のカチオン/両性ポリマーおよびポリエーテル変性シリコーンを組み合わせた毛髪洗浄剤組成物を使用することで、すすぎ時の感触および泡質を改善できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第5902929号公報
【特許文献2】特開2010-6744号公報
【特許文献3】特許第5550876号公報
【特許文献4】特許第6869525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
毛髪洗浄剤組成物は、毛髪の汚れを落とすだけでなく、ダメージを受けた毛髪に対しても、毛髪洗浄剤組成物の使用時に、毛髪が絡まず、ごわつかないような滑らかな泡質が求められる。加えて、すすぎ時の毛髪の柔らかさおよびうるおい感に優れることも毛髪洗浄剤組成物に求められている。従来の毛髪洗浄剤組成物では、使用時に滑らかな泡質を有することと、すすぎ時の毛髪の柔らかさおよびうるおい感とを両立することは、十分とは言い難い。
【0010】
本発明は、ダメージを受けた毛髪に対しても、毛髪を心地よい滑らかな泡で洗うことができ、かつ、すすぎ時の毛髪の柔らかさおよびうるおい感に優れた毛髪洗浄剤組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、
以下の成分(A)~(E)を含有する、毛髪洗浄剤組成物、を提供する。
(A)アニオン性界面活性剤
(B)両性界面活性剤
(C)カチオン性ポリマー
(D)高重合ポリエチレングリコール
(E)植物油脂および植物油脂誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ダメージを受けた毛髪に対しても、毛髪を心地よい滑らかな泡で洗うことができ、かつ、すすぎ時の毛髪の柔らかさおよびうるおい感に優れた毛髪洗浄剤組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0014】
・成分(A)
成分(A)は、アニオン性界面活性剤である。毛髪洗浄剤組成物において、成分(A)は、洗浄性に寄与しうる。加えて、成分(A)は、毛髪洗浄剤組成物の洗浄時における泡立ちおよび泡量に寄与しうる。そのため、成分(A)を含むことで、毛髪洗浄剤組成物の泡で毛髪および頭皮を包み込みながら毛髪を洗浄できる。
【0015】
成分(A)の例は、アミノ酸系界面活性剤、タウリン系界面活性剤、およびカルボン酸系界面活性剤である。成分(A)の好ましい例は、アミノ酸系界面活性剤およびタウリン系界面活性剤である。
【0016】
アミノ酸系界面活性剤の例は、グルタミン酸系界面活性剤、アラニン系界面活性剤、アスパラギン酸系界面活性剤、およびグリシン系界面活性剤である。アラニン系界面活性剤の例は、N-ラウロイル-N-ヒドロキシエチル-β-アラニンナトリウム(ラウロイルヒドロキシエチル-β-アラニンNa)、N-ラウロイル-N-ヒドロキシエチル-β-アラニントリエタノールアミン、N-ココイル-N-ヒドロキシエチル-β-アラニントリエタノールアミン、N-ラウロイル-N-ヒドロキシプロピル-β-アラニントリエタノールアミン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N-ヒドロキシエチル-L-アラニントリエタノールアミン、N-パーム核油脂肪酸アシル-N-ヒドロキシプロピル-L-アラニンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルアラニンナトリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニントリエタノールアミン、およびミリストイルメチル-β-アラニンナトリウムである。
【0017】
タウリン系界面活性剤の例は、ココイルタウリン塩、ココイルメチルタウリン塩、ココイルメチルタウリンタウリン塩、およびカプロイルメチルタウリン塩であり、好ましい例は、ココイルメチルタウリン塩である。各塩の例は、ナトリウム塩、およびカリウム塩である。各塩は、ナトリウム塩であってもよい。
【0018】
カルボン酸系界面活性剤の例は、アルキルエーテルカルボン酸塩である。アルキルエーテルカルボン酸塩の例は、ラウレス-4カルボン酸ナトリウム、ラウレス-5カルボン酸ナトリウム、ラウレス-6カルボン酸ナトリウム、ラウレス-13カルボン酸ナトリウム、C12~13パレス-8カルボン酸ナトリウム、およびC12~15パレス-8カルボン酸ナトリウムであり、好ましい例は、ラウレス-4カルボン酸ナトリウムである。
【0019】
成分(A)として、これらの化合物から選ばれる1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
毛髪洗浄剤組成物の総質量に対する成分(A)の含有量は、例えば、0.1質量%~50質量%である。含有量は、0.5質量%以上、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、7質量%以上、さらには8質量%以上であってもよく、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、18質量%以下、15質量%以下、さらには12質量%以下であってもよい。
【0021】
・成分(B)
成分(B)は、両性界面活性剤である。毛髪洗浄剤組成物において、成分(B)は、毛髪洗浄剤組成物の泡立ちを高めるための助剤として機能しうる。加えて、成分(B)は、泡粘度を向上させて、濃密な泡の形成に寄与しうる。
【0022】
成分(B)の例は、ベタイン系界面活性剤、スルタイン(スルホベタイン)系界面活性剤、ヒドロキシスルタイン系界面活性剤、およびイミダゾリン系界面活性剤である。ベタイン系界面活性剤の例は、アルキルベタイン、アルキルアミノベタイン、およびアルキルアミドベタインである。スルタイン系界面活性剤の例は、アルキルスルタインである。ヒドロキシスルタイン系界面活性剤の例は、アルキルヒドロキシスルタインである。成分(B)のより具体的な例は、アルキル酢酸ベタイン、脂肪酸アミドアルキル酢酸ベタイン、アルキルスルホベタイン、脂肪酸アミドアルキルスルホベタイン、アルキルアミンオキシド、脂肪酸アミドアルキルアミンオキシド、およびイミダゾリン型ベタインである。
【0023】
成分(B)のさらに具体的な例は、ラウリルベタイン、ココベタイン、ステアリルベタイン、オレイルベタイン、ココヘキサデシルジメチルベタイン、ココジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルジメチルカルボキシメチルベタイン、セチルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルアミドプロピルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ミリスタミドプロピルベタイン、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ステアリルジメチルスルホプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルスルホエチルベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、およびラウラミドプロピルヒドロキシスルタインである。
【0024】
成分(B)として、これらの化合物から選ばれる1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。成分(B)は、コカミドプロピルベタイン、ミリスタミドプロピルベタイン、およびラウリルヒドロキシスルタインからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0025】
毛髪洗浄剤組成物の総質量に対する成分(B)の含有量は、例えば、0.1質量%~25質量%である。含有量は、0.5質量%以上、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、4質量%以上、さらには4.5質量%以上であってもよく、22質量%以下、20質量%以下、18質量%以下、15質量%以下、12質量%以下、10質量%以下、8質量%以下、7質量%以下、さらには6質量%以下であってもよい。
【0026】
・成分(C)
成分(C)は、カチオン性ポリマーである。成分(C)を含むことによって、滑らかな泡質を有する毛髪洗浄剤組成物を得ることができるとともに、すすぎ時の毛髪の柔らかさおよびうるおい感に寄与しうる。また、成分(C)は、特に、後述する成分(D)と協働して、毛髪洗浄剤組成物が滑らかな泡質を有することにも寄与しうる。
【0027】
成分(C)は、例えば、第4級アンモニウム基を有するモノマーに由来する構造単位を含むカチオン性ポリマーである。4級アンモニウム基を有するモノマーの例は、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルエチルベタイン、および(メタ)アクリロイルエチルトリメチルアンモニウムクロリドである。成分(C)は、これらから選ばれる少なくとも1種のモノマーに由来する構造単位を含んでいてもよい。成分(C)は、これらから選ばれる少なくとも1種のモノマーに由来する構造単位のみを含んでいてもよい。あるいは、成分(C)は、これらから選ばれる少なくとも1種のモノマーに由来する構造単位と、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、および(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマーに由来する構造単位と、を含むカチオン性ポリマーであってもよい。なお、(メタ)アクリルアミドとは、アクリルアミドおよび/またはメタクリルアミドを意味する。他の化合物における(メタ)は、すべて同様の意味である。
【0028】
成分(C)の別の例は、カチオン化セルロースである。カチオン化セルロースの例は、ヒドロキシエチルセルロースに塩化グリシジルトリメチルアンモニウムを付加して得られる4級アンモニウム塩の重合体である。
【0029】
成分(C)の具体的な例は、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドとアクリルアミドとの共重合体(ポリクオタニウム-7)、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドとアクリル酸との共重合体(ポリクオタニウム-22)、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリドとアクリル酸とアクリル酸メチルとの共重合体(ポリクオタニウム-47)、メタクリロイルエチルベタインとメタクリロイルエチルトリメチルアンモニウムクロリドとメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールとの共重合体(ポリクオタニウム-49)、ポリメタクリロイルエチルベタイン(ポリクオタニウム-50)、および塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(ポリクオタニウム-10)である。成分(C)として、これらの化合物から選ばれる1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。成分(C)は、好ましくは、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-49、およびポリクオタニウム-50からなる群より選ばれる少なくとも1種である。成分(C)の特に好ましい例は、ポリクオタニウム-22である。
【0030】
毛髪洗浄剤組成物の総質量に対する成分(C)の含有量は、例えば、0.1質量%~10質量%である。含有量は、0.2質量%以上、0.3質量%以上、0.4質量%以上、さらには0.45質量%以上であってもよく、8質量%以下、7質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、さらには1質量%以下であってもよい。
【0031】
成分(C)は、成分(C-1)と成分(C-2)とを含んでいてもよい。ここで、成分(C-1)は、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-49、およびポリクオタニウム-50からなる群より選ばれる少なくとも1種である。成分(C-2)は、ポリクオタニウム-10である。すなわち、成分(C)は、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-49、およびポリクオタニウム-50からなる群より選ばれる少なくとも1種と、ポリクオタニウム-10と、を含んでいてもよい。これにより、毛髪洗浄剤組成物は、より優れた泡質を有しつつ、すすぎ時の毛髪の柔らかさおよびうるおい感がより優れたものとなる。
【0032】
毛髪洗浄剤組成物の総質量に対する成分(C-1)の含有量は、例えば、0.1質量%~10質量%である。成分(C-1)の含有量は、0.2質量%以上、0.3質量%以上、0.4質量%以上、さらには0.45質量%以上であってもよく、8質量%以下、7質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、1質量%以下、0.7質量%以下、さらには0.6質量%以下であってもよい。毛髪洗浄剤組成物の総質量に対する成分(C-2)の含有量は、例えば、0.1質量%~10質量%である。成分(C-2)の含有量は、0.2質量%以上、0.3質量%以上、さらには0.35質量%以上であってもよく、8質量%以下、7質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、1質量%以下、0.7質量%以下、0.5質量%以下、さらには0.45質量%以下であってもよい。
【0033】
毛髪洗浄剤組成物において、成分(C-2)の含有量に対する成分(C-1)の含有量の比(C-1)/(C-2)は、例えば、0.60~1.50である。比(C-1)/(C-2)は、0.65以上、0.70以上、0.75以上、0.80以上、さらには0.90以上であってもよく、1.45以下、1.40以下、さらには1.30以下であってもよい。
【0034】
・成分(D)
成分(D)は、高重合ポリエチレングリコールである。成分(D)を含むことによって、滑らかな泡質を有する毛髪洗浄剤組成物を得ることができる。
【0035】
高重合ポリエチレングリコールを構成するポリエチレンオキサイドの平均重合度は、例えば、2,000以上200,000以下である。平均重合度は、5,000以上、7,000以上、9,000以上、10,000以上、20,000以上、さらには30,000以上であってもよく、180,000以下、160,000以下、120,000以下、100,000以下、50,000以下、さらには20,000以下であってもよい。
【0036】
高重合ポリエチレングリコールの重量平均分子量は、例えば、80,000以上7,000,000以下であってもよく、200,000以上5,000,000以下であってもよく、1,000,000以上5,000,000以下であってもよい。あるいは、高重合ポリエチレングリコールの重量平均分子量は、80,000以上2,000,000未満であってもよい。
【0037】
高重合ポリエチレングリコールの例は、PEG-2M(平均重合度2,000、重量平均分子量約88,000)、PEG-5M(平均重合度5,000、重量平均分子量約220,000)、PEG-7M(平均重合度7,000、重量平均分子量約310,000)、PEG-9M(平均重合度9,000、重量平均分子量約400,000)、PEG-14M(平均重合度14,000、重量平均分子量約620,000)、PEG-20M(平均重合度20,000、重量平均分子量約880,000)、PEG-23M(平均重合度23,000、重量平均分子量約1,000,000)、PEG-25M(平均重合度25,000、重量平均分子量約1,100,000)、PEG-45M(平均重合度45,000、重量平均分子量約2,000,000)、PEG-65M(平均重合度65,000、重量平均分子量約2,900,000)、PEG-90M(平均重合度90,000、重量平均分子量約4,000,000)、PEG-115M(平均重合度115,000、重量平均分子量約5,000,000)、およびPEG-160M(平均重合度160,000、重量平均分子量約7,000,000)である。
【0038】
成分(D)として、これらの化合物から選ばれる1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0039】
毛髪洗浄剤組成物の総質量に対する成分(D)の含有量は、例えば、0.01質量%~2質量%である。成分(D)が、重量平均分子量2,000,000以上の高重合ポリエチレングリコールを含む場合、毛髪洗浄剤組成物の総質量に対する成分(D)の含有量は、0.02質量%以上、0.03質量%以上、0.05質量%以上、0.07質量%以上、0.08質量%以上、さらには0.1質量%以上であってもよく、0.6質量%以下、0.5質量%以下、0.4質量%以下、0.3質量%以下、さらには、0.2質量%以下であってもよい。成分(D)が、重量平均分子量2,000,000未満の高重合ポリエチレングリコールを含む場合、毛髪洗浄剤組成物の総質量に対する成分(D)の含有量は、0.02質量%以上、0.03質量%以上、0.05質量%以上、0.07質量%以上、0.08質量%以上、0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.3質量%以上、さらには0.4質量%以上であってもよく、1.8質量%以下、1.5質量%以下、1.2質量%以下、さらには、1.0質量%以下であってもよい。
【0040】
・成分(E)
成分(E)は、植物油脂および植物油脂誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種である。成分(E)は、植物油および植物油誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよい。毛髪洗浄剤組成物において、成分(E)は、すすぎ時の毛髪の柔らかさおよびうるおい感に寄与しうる。
【0041】
植物油脂の例は、ヤシ油、パーム核油、カカオ脂、パーム油、シア脂、マンゴー種子油、マカデミア種子油、ホホバ油、ヘーゼルナッツ種子油、ヒマシ油、ツバキ種子油、メドウフォーム油、チャ種子油、オリーブ果実油(オリブ油)、サザンカ油、ユチャ種子油、ピーナッツ油、アボガド油、コメヌカ油、アンズ核油、アーモンド油、綿実油、ゴマ油、ナタネ油、コメ胚芽油、コムギ胚芽油、コーン油、サフラワー油、ヒマワリ種子油、大豆油、ブドウ種子油、月見草油、カニナバラ果実油、およびアマニ油である。
【0042】
植物油脂誘導体の例は、植物油脂由来の脂肪酸とグリセリンとのエステルである。
【0043】
成分(E)の好ましい例は、ポリグリセリン脂肪酸エステルである。ポリグリセリン脂肪酸エステルは、例えば、ポリグリセリンの水酸基と、植物油脂由来の脂肪酸とがエステル結合したものである。
【0044】
ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンの平均重合度は、例えば、3~20であり、好ましくは3~10である。
【0045】
ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、例えば、炭素数8~20の直鎖または分岐鎖を有する飽和または不飽和の脂肪酸である。脂肪酸の具体例は、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキジン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、ブドウ種子油脂肪酸、およびアンズ核油脂肪酸である。
【0046】
成分(E)は、モノエステルのみでなく、ジエステル、トリエステルなどの、複数のエステル結合を有するものを用いてもよい。
【0047】
成分(E)の具体的な例は、モノラウリン酸デカグリセリル(ラウリン酸ポリグリセリル-10)、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、アンズ核油ポリグリセリル-3エステルズ、アンズ核油ポリグリセリル-4エステルズ、アンズ核油ポリグリセリル-5エステルズ、アプリコット核油ポリグリセリル-6エステルズ、アルガン油ポリグリセリル-6エステルズ、アーモンド油ポリグリセリル-4エステルズ、アーモンド油ポリグリセリル-6エステルズ、アーモンド油脂肪酸ポリグリセリル-4、オリーブ油ポリグリセリル-3エステルズ、オリーブ油ポリグリセリル-4エステルズ、オリーブ油ポリグリセリル-6エステルズ、コメヌカ油ポリグリセリル-3エステルズ、ゴマ油ポリグリセリル-6エステルズ、パーム油ポリグリセリル-3エステルズ、パーム油ポリグリセリル-4エステルズ、パーム油ポリグリセリル-5エステルズ、パーム油ポリグリセリル-6エステルズ、ヒマシ油ポリグリセリル-6エステルズ、ヒマワリ種子油ポリグリセリル-6エステルズ、ヤシ油脂肪酸ポリグリセリル-3、およびヤシ油脂肪酸ポリグリセリル-4である。成分(E)として、これらの化合物から選ばれる1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0048】
成分(E)は、ラウリン酸ポリグリセリル-10またはアプリコット核油ポリグリセリル-6エステルズであることが好ましく、アプリコット核油ポリグリセリル-6エステルズであることがより好ましい。なお、ラウリン酸ポリグリセリル-10は、ラウリン酸とポリグリセリル-10とのエステルである。アプリコット核油ポリグリセリル-6エステルズは、アンズ核油由来の脂肪酸とポリグリセリンとのエステルである。アプリコット核油ポリグリセリル-6エステルズは、アンズ核油由来の脂肪酸とポリグリセリン-6とのエステル交換によって得られたものである。すなわち、成分(E)は、アンズ核油由来の脂肪酸とポリグリセリンとのエステルであってもよい。
【0049】
毛髪洗浄剤組成物の総質量に対する成分(E)の含有量は、例えば、0.1質量%~5質量%である。含有量は、0.2質量%以上、0.3質量%以上、0.4質量%以上、さらには0.45質量%以上であってもよく、4質量%以下、3質量%以下、3.5質量%以下、2質量%以下、1.5質量%以下、1質量%以下、0.8質量%以下、0.7質量%以下、さらには0.6質量%以下であってもよい。
【0050】
毛髪洗浄剤組成物において、成分(A)の含有量は、成分(B)の含有量以上であってもよい。すなわち、毛髪洗浄剤組成物において、成分(B)の含有量に対する成分(A)の含有量の比A/Bは、1以上であってもよい。比A/Bは、1.2以上、1.5以上、さらには1.8以上であってもよく、10以下、12以下、10以下、8以下、5以下、4以下、3.5以下、さらには3以下であってもよい。
【0051】
・その他の成分
毛髪洗浄剤組成物は、上述した成分以外の任意の成分を含みうる。任意の成分は、公知の毛髪洗浄剤組成物に含まれる成分でありうる。
【0052】
任意の成分として、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、エステル、高級脂肪酸、フッ素化合物、シリコーン類、多価アルコール、カチオン性ポリマー、加水分解ペプチド、ビタミン類、植物抽出エキス、保湿剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、アミノ酸、香料、精油、色素、水、pH安定剤、キレート剤、溶剤、抗炎症剤、およびゲル化剤、などが適宜配合されていてもよい。
【0053】
毛髪洗浄剤組成物の剤型は、特定の剤型に限定されず、公知の剤型を採用できる。好ましい剤型は、ゲル状、溶液状、クリーム状、または乳液状である。
【実施例0054】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0055】
(毛髪洗浄剤組成物の調製)
表1~4の組成に従って、実施例および比較例に係る毛髪洗浄剤組成物を調製した。表中の「成分名」の欄における(A)~(E)の表記は、それぞれ、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、および成分(E)に対応する。表中の単位は、全て質量%である。各表の「成分」の欄における「-」の表記は、当該成分を含有していないことを意味する。また、各表の「成分」の欄における「DPG」は、ジプロピレングリコールを意味する。各表において、「A/B」は、成分(B)の含有量に対する成分(A)の含有量の比を表す。「(C-1)/(C-2)」は、成分(C-2)の含有量に対する成分(C-1)の含有量の比を表す。
【0056】
(ダメージ処理毛束の作製)
株式会社ユーカリジャパン製人毛黒髪(YK-1B#10’’)を、ブリーチ剤(タカラベルモント社製「エドル ブリーチ」)を用いてブリーチ処理を行い、水洗した。その後、この人毛黒髪を、濃度10質量%のラウレス硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、その後乾燥させる工程を3回繰り返して、ダメージ処理毛束を作製した。
【0057】
(毛束の質感の評価)
十分にお湯で予洗いしたダメージ処理毛束を、実施例および比較例に係る毛髪洗浄剤組成物を用いて洗浄した。このとき、毛髪が指に引っかかることなく心地よく泡立てられる感触を「滑らかな泡質」として官能評価した。その後、毛束を水洗いした。水洗時における毛髪の柔らかさおよび毛髪の潤った感触を、それぞれ「すすぎ時の柔らかさ」および「すすぎ時のうるおい感」として官能評価した。これらの官能評価は、専門評価者10名によって行われた。各評価項目について、「大変良い」場合を5、「良い」場合を4、「ふつう」の場合を3、「あまりよくない」場合を2、「悪い」場合を1と評価した。各評価項目について、専門評価者10名の平均点が、4.0以上であった場合を「◎」、3.0以上4.0未満であった場合を「○」、2.0以上3.0未満であった場合を「△」、2.0未満であった場合を「×」と評価した。結果を表1~4に示す。
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
各実施例では、滑らかな泡質を有する毛髪洗浄剤組成物を得ることができた。加えて、各実施例では、すすぎ時の毛髪の柔らかさおよびうるおい感に優れていた。すなわち、各実施例では、ダメージを受けた毛髪に対しても、毛髪を心地よい滑らかな泡で洗うことができ、かつ、すすぎ時の毛髪の柔らかさおよびうるおい感に優れていた。